HSE審査基準 平成 17 年 10 月 18 日 2005 年(油調)業務通達第 42 号 最終改正 平成 23 年 4 月 28 日 1. 採択に係る審査 「石油等の探鉱及び採取並びに可燃性天然ガスの液化に係る出資細則」(2004(石推)業務細則第 15 号)第9条第1項及び「石油等の探鉱及び採取並びに可燃性天然ガスの液化に係る債務保証細則」 (2004 年(石推)業務細則第 16 号)第7条第1号に定める労働安全衛生・環境(以下「HSE」という。)の 負荷低減のための審査基準は、別表のとおりとし、主として HSE に対する体制等と法規制の遵守の観 点から審査する。 2. 採択後の管理に係る審査 年度事業計画・個別作業の実施計画等採択後の管理に係る HSE 審査は、別表の「審査項目と審査 基準」に基づき事業が実施されているかどうかの観点から審査を行い、HSE 対策及びその実施状況 を確認することとする。 附則 この通達は、平成 17 年 10 月 18 日から施行する。 附則 この通達は、平成 19 年 4 月 1 日から施行する。 附則 この通達は、平成 22 年 11 月 5 日から施行する。 附則 この通達は、平成 23 年 4 月 28 日から施行する。 別表 審査項目及び審査基準 審査項目 1. HSE に対する取組み全般 審 査 基 準 1.1 HSE に対する体制等 1.1.1 HSE マネジメントシステム 1.1.2 環境影響評価(EIA)報告 書等 ・事業の実施に際し、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下 「機構」という。)の「HSE基準」に則って作業を遂行するためのHSEマネジメ ントシステムを整備すること。HSE マネジメントシステムについては国際的 な標準(ISO、OGP、OHSAS 等)に準じるものとする。 ・コントラクター、サブコントラクター等に対しても同様のHSEマネジメントシ ステムを周知徹底することが可能な体制となっていること。 ・事業の実施に伴う環境に対する影響評価を行い、以下の要件を満たす報 告書を作成すること。 -事業実施国の法制等により求められる事項を満たすものであること。 -原則として、機構の「HSE 基準等」に則って作業を遂行するために必要な 内容を備えること。特に、開発・生産段階にあっては、施設建設から廃棄 までの事業のライフサイクル全体を網羅する環境、社会への影響評価及 び、回避、軽減するための方針・計画を含むものであること。 -地震探鉱・試掘等の探鉱作業についても事業実施国の関連法規に基づ き、EIA あるいはそれに準じる適切な環境影響評価を実施すること。 ・地震探鉱の方法、坑井掘削の場所・本数及び坑井基地へのアクセス方 法、生産施設の建設場所、パイプラインルート、廃棄物、随伴ガス及び生産 水の処理方法等を含む探鉱、開発計画、設備計画、建設計画及び操業計 画について複数の代替案等を検討し、事業の最適化を図ったことが示され ていること。 1 1.1.3 モニタリング体制 1.2 法規制の遵守 ・環境及び社会影響を軽減するため、環境負荷の大きい項目、また作業の 実施に際しては、管理計画、実施計画を策定すること。 ・事業の実施に際し、機構の「HSE 基準等」に則って作業を遂行するための HSE モニタリングシステム(モニタリング周期、報告方法等)を整備するこ と。 ・事業実施国の法的規制等を遵守して事業を実施すること。 ・事業の実施にあたり必要な許認可を全て取得すること。 2. HSE 基準等 2.1 汚染対策 2.1.1 大気 2.1.2 水質 2.1.3 廃棄物 2.1.4 土壌汚染 2.1.5 騒音・振動 2.1.6 悪臭 (陸上のみ) 2.2. 自然環境 2.2.1 保護区 2.2.2 生態系 ・大気・土壌汚染、水質汚濁、騒音、振動、悪臭等の防止及び廃棄物の管理 に配慮した事業実施体制を整えること。 ・以下の基準等を遵守して事業を実施すること。 ・掘削、建設作業及び生産施設(原油・ガス処理設備、ユーティリティー設備 等)等から排出される排出ガスに含まれる大気汚染物質(SOx、NOx、煤塵 等)による大気汚染を回避、軽減すること。また、フレアガス及びタンク等の 放散ガス(VOCs)を削減すること。 環境基準、排出基準等については、国際金融公社(IFC)のEHSガイドライ ン(表-1 参照)等に適合するよう考慮されていること。 CO2/GHG 排出量(陸上・海上) ・事業の実施により排出される CO2 排出量及び事業実施国の総排出量に及 ぼす影響を把握すること。 ・掘削、生産・処理施設、建設現場、現場キャンプ等からの排水、原油の漏 洩による水質汚染(表層水系、地下水脈)を回避・軽減すること。 排出については、国際金融公社(IFC)の EHS ガイドライン(表-1 参照)等に 適合するよう考慮されていること。 ・建設廃材、カッティングス、重金属(Hg Cd)、自然起源放射性物質 (NORMs)、処理施設からの廃棄物等の管理計画を策定し、廃棄物投棄によ る環境汚染を回避・軽減すること。 廃棄物管理については、国際金融公社(IFC)のEHSガイドライン(表-1 参 照)等に適合するよう考慮されていること。 ・開発事業において、プロジェクトサイト(坑井、陸上基地、パイプライン、ア クセス道路、現場キャンプ等を含む。)が過去に土壌汚染されているかを調 査し、必要に応じ対策を講じること。 ・新たに土壌汚染が生じないようリスク要因を分析し、そのリスク評価に基 づく対策を検討すること。 ・地震探査、坑井掘削、船舶航行、航空機の航行、生産施設の建設・運転等 による住民への騒音・振動被害を回避・軽減すること。 騒音については、国際金融公社(IFC)の EHS ガイドライン(表-1 参照)等に 適合するよう考慮されていること。 ・石油・天然ガス中に含まれる H2S、メルカプタン等による悪臭に対し、対策 を施すこと。この対策については、国際金融公社(IFC)の EHS ガイドライン (表-1 参照)等に適合するよう考慮されていること。 ・自然環境保全に配慮した事業実施体制を整えること。 ・以下の基準等を遵守して事業を実施すること。 ・プロジェクトサイト(坑井、陸上・海上基地、パイプライン、アクセス道路、現 場キャンプ等を含む。)が事業実施国の法律、国際条約等に定められた保 護区、及び貴重種の生息地に立地する場合は、事業実施国の承認を得る こと。 ・事業実施国若しくは国際条約で保護されている貴重種・希少種等が事業 域に存在する場合は、影響を回避・軽減すること。 ・事業による植生、海生/陸生動物、底生生物、サンゴ礁、マングローブ 林、湿地帯等への影響(死滅・減少、生息地の減少、外来種の侵入による 生態系の変化、騒音等に敏感な哺乳類、野生生物への影響等)を回避・軽 減すること。 2 2.2.3 水象 2.2.4 地形・地質 (陸上のみ) 2.3 社会環境 2.3.1 住民移転 (陸上のみ) 2.3.2 生活・生計 2.3.3 文化遺産 2.3.4 景観 2.3.5 少数民族・先住民族 2.3.6 近隣事業(開発事業のみ) 2.4 健康への影響 2.4.1 有害物質 2.4.2 放射性物質 2.4.3 作業騒音 2.4.4 健康管理 2.5 安全 2.5.1 設計方針 2.5.2 安全設計 ・プロジェクト周辺の野生生物が特に敏感な時期(営巣・繁殖等)を避けた事 業計画とすること。 ・開発事業による海岸線や表層水系(海洋・河川・湖沼・地下水等)への影響 を回避・軽減すること。 ・生産活動による地盤沈下を回避・軽減すること。 ・プロジェクトサイト(坑井、陸上基地、パイプライン、アクセス道路、現場キ ャンプ等を含む。)の整地・造成等に伴う大規模な地形の改変の回避・軽 減、また土壌浸食対策(植生復旧等)を考慮すること。 ・社会環境に配慮した事業実施体制を整えること。 ・以下の基準等を遵守して事業を実施すること。 ・事業による大規模な非自発的住民移転を回避すること。 ・事業用地の取得に際し、地権者への適切、公平な補償を実施すること。 ・事業作業員の流入に伴う感染症の発生(HIV 等)に関する対策(キャンプ 管理計画等)を計画すること。 ・地域の文化、習慣、生活様式等への影響を回避・軽減すること。 ・事業による海上・陸上交通(工事用車輌の増加による道路の損傷、事故の 増加を含む)、地域社会の設備・生活への影響(生活用水の不足、電力不 足、一過性の発展と衰退等)、土地利用(漁業、農業等)への影響を回避・軽 減すること。 ・船舶(漁船及び一般船舶)の衝突を回避(安全を確保)するために、海上施 設から半径 500mを排他水域とすること。その際、利害関係者との事前のミ ーティング等により社会的影響の軽減を図ること。 ・プロジェクトサイト(坑井、陸上基地、パイプライン、アクセス道路、現場キ ャンプ等を含む。)が考古学的、歴史的、文化的、宗教的に貴重な史跡・遺 跡地域を避けて立地するように配慮すること。 ・事業の活動による文化財及び史跡の破壊・損傷を回避・軽減すること。 ・掘削リグ、プラットフォーム、生産施設、パイプライン敷設帯、送電線、道路 等による景観悪化を回避・軽減すること。 ・事業による少数民族・先住民族への影響を回避・軽減すること。 ・周辺地域において他の事業が実施されているもしくは計画されている場 合、その事業と地域的に重なり環境社会影響が複合される可能性がある場 合には、その影響を軽減する対策を検討すること。 ・労働安全・衛生に配慮した事業実施体制を整えること。 ・以下の基準等を遵守して事業を実施すること。 ・石油・天然ガスに含まれる H2S や Hg 等の重金属による健康障害防止対策 (危害予防規定、避難計画、廃棄物管理基準等)を作成すること。 ・プロジェクトで使用される有害・危険物質に関して MSDS(製品安全データ シート)や取扱マニュアルが整備され、施設の中で有効に活用できるように すること。 ・事業の実施に伴い発生する自然起源放射性物質(NORMs)については、 国際金融公社(IFC)の EHS ガイドライン(表-1 参照)等に適合するよう考慮 されていること。 ・作業騒音については、国際金融公社(IFC)の EHS ガイドライン(表-1 参 照)等に適合するよう考慮されていること。 ・事業作業者の健康管理計画を作成すること(診療施設、感染症(HIV 等)予 防、教育・啓蒙等)。 ・特に高温地域及び極寒地域での作業においては作業環境を整備するこ と。 ・安全に配慮した事業実施体制を整えること。 ・以下の基準等を遵守して事業を実施すること。 ・設備の設計基本方針等が従業員の安全確保や事故のリスクを回避・軽減 させることを基本とし、国際的な基準に合致するように設計されていること。 ・緊急時の安全確保のための設備を国際基準に準拠して設計すること。(緊 急停止システム等) ・自然災害(地震、地滑り、暴風雨、洪水、砂嵐等)に対し、地域特性を考慮 3 した適正な設計を行うこと。 2.5.3 リスク分析 2.5.4 事故防止・緊急時対応対 策 2.5.5 作業安全・保全 2.5.6 教育訓練 2.6 その他 2.6.1 施設の廃棄 2.6.2 プロジェクトの用地利用 2.6.3 テロ・防犯対策 ・海上施設・設備の設計に関しては、国際金融公社(IFC)の EHS ガイドライ ン(表-1 参照)等に適合するよう配慮されていること。 ・坑井掘削時の暴噴事故、油流出事故・ガス漏洩事故に係るリスク分析を実 施し、結果を事業に反映すること。(安全設備、検知器及び遮断弁の位置・ 数、工法、運転方法等) ・労働衛生や設備、作業の安全の課題に対しても、Hazard Identification Study (HAZID) や Hazard and Operability Study (HAZOP)などの手法を用い て、リスク評価・分析を実施し、その結果を安全・衛生管理計画や設備と安 全作業のための設計、安全作業マニュアル作成等に活用すること。 ・事故による作業員・従業員の負傷、死亡を防止すること。 ・石油(原油・コンデンセート)・ガスの流出事故、暴噴、火災・爆発事故等に 対し、適切な防止対策・対応計画を作成し実施すること。(安全設備、ガス検 知・警報器(H2S、可燃性ガス)、防消火設備、緊急時対応計画、救急医療担 当者(有資格者)および医療設備、OSCP/OSRP、避難計画等)。特に、緊急 事態(火災・爆発、ガス漏洩、死傷事故、交通、自然災害、油流出)について は、発生した場合の対応が整備されていること。(表-2 参照) ・設備の健全性を確認するための定期的な検査(腐食検査等)を実施するこ と。 ・検査結果が保全(交換・補修)計画に反映されるシステムを構築すること。 (保全管理基準等) ・危険を伴う作業の実施に際し、責任の所在、危険予知のための効果的な 情報、作業開始前の安全確認などを明確にした正式な作業許可書(PTW: Permit to Work)を発行する等を考慮すること。 ・施設の衛生・安全を管理するために、衛生・安全委員会の設立を考慮する こと。 ・事業作業者に対し、安全教育・訓練を実施すること。 ・緊急時(自然災害、暴噴事故等)の対応訓練(避難訓練を含む)を実施する こと。 ・海洋構造物の乗組員全員に対して退船、避難、救助の訓練を実施するこ と。 ・施設の廃棄に関しては、国際金融公社(IFC)の EHS ガイドライン(表-1 参 照)等に適合するよう配慮されていること。 ・プロジェクトの用地利用を最小限にすること。その対策に関しては、国際 金融公社(IFC)の EHS ガイドライン(表-1 参照)等に適合するよう配慮され ていること。 ・プロジェクト全般にわたるテロおよび防犯対策等に配慮すること。 ・施設への立ち入りは許可制とすること。 ・海上施設には警戒船の配置を検討すること。 表-1 国際金融公社(IFC)EHS ガイドライン抜粋 環境ガイドライン 大気 項目 対象期間 ガイドライン SO2 (μg/Nm3) 10 分間値 24 時間平均 NO2 (μg/Nm3) 1時間平均 年間平均 500 125(暫定*1) 50 (暫定*2) 20 200 40 PM10 (TSP) (μg/Nm3) 24 時間平均 150(暫定*1) 100(暫定*2) 75(暫定*3) 4 年間平均 50 70(暫定*1) 50(暫定*2) 30(暫定*3) 20 75(暫定*1) 50(暫定*2) 37.5(暫定*3) 25 35(暫定*1) 年間平均 25(暫定*2) 15(暫定*3) 10 *暫定:最終目標値を達成するために設定された段階的な目標値。プロジェクトのおかれて いる技術的・経済的条件などを考慮して設定する。 PM2.5 (μg/Nm3) 24 時間平均 排出ガイドライン 項 SO2 (mg/Nm3) NOX (mg/Nm3) エンジン:燃料中硫黄分 1.5%以下(ただし、処理装置設置 等の条件下で 3.0%) タービン:燃料中硫黄分 0.5%以下 ボイラー:2000 固体 ボイラー:2000 エンジン(点火プラグ型):200 エンジン(燃料選択型) :400 エンジン(圧縮点火型) :1600 タービン(3-15MWth):42ppm(発電用) 100ppm(動力用) タービン(15-50MWth):25ppm ガス 固体 液体 固体 H2S (mg/Nm3) ガイドライン 液体 液体 PM (mg/Nm3) 燃料 ボイラー :320 エンジン口径<400mm:1460(ただし、エネルギー効率が 高い場合には 1600mg/ Nm3 まで可) エンジン口径≧400mm:1850 タービン(3-15MWth):96ppm(発電用) 150ppm(動力用) タービン(15-50MWth):74ppm ボイラー :460 ボイラー :650 エンジン:50 (ただし、処理装置設置等の条件下で 100) ボイラー:50(ただし環境アセスメトの結果により 150) ボイラー:50(ただし環境アセスメントの結果により 150) 5 以下(陸上) 環境配慮項目 共通 ・フレア フレアガスを最小化すること。 フレアスタックの無煙化に努めること。 ・ベントガス ベントガスを連続的に排出しないこと。 緊急時排出の最小化に努めること。 5 ・VOCs 水質 油ガスの漏洩防止に努めること。(含油排水設備の密閉化等) 海上 ・フレア 平常運転時の「ゼロフレア」化に努めること。 陸上 ・ベントガス 漏れの検出とその修復プログラムがシステム化されていること。 ・VOCs タンクからの漏れ検知及び制御方法のガイドラインを作成すること。 排出ガイドライン (生産水) 項目 単位 海上 陸上 油分 mg/l pH 42(日間最大:生産水) 29(月間平均:生産水) 15(機関室からの排水) - 10(生産水) 6-9 BOD mg/l - 25 COD mg/l - 125 TSS mg/l - 35 フェノール 硫化物 mg/l mg/l - 0.5 1 塩化物 mg/l - 600(平均) 1200(最大) 重金属 mg/l 5 * 温度上昇 ℃ 3 3 *温度上昇:冷却水排出による温度上昇は、最初の混合、希釈が行われる区域の端(明確で ない場合には排出口から 100m地点)での上昇温度。 - 海上の場合、生産水は原則として油井・廃棄井に再圧入もしくは陸上にて処理。やむをえ ず海上排出の場合は、上記ガイドライン(海上)にしたがう。 - 陸上の場合、生産水は原則として油井・廃棄井に再圧入もしくは再利用。やむをえず表 層水系や土壌に排出する場合は、上記ガイドライン(陸上)にしたがう。 環境配慮項目 項目 水圧テスト水 ガイドライン(海上) ガイドライン(陸上) 陸上で処理し排出する。海 上排出を行う場合はケミカ ルの種類および使用量を 制限する。 表層水系や土壌に排出 する場合は、上記ガイド ライン(生産水・陸上)に したがう。 - ケミカル類 生分解性、低毒性添加剤 を使用する。 - 甲板排水 MARPOL 73/78 - 下水 MARPOL 73/78 脱塩水 MARPOL 73/78 pH: 6-9 BOD: 30mg/l COD:125mg/l 全窒素量: 10mg/l 全リン量: 2mg/l 油分:10mg/l TSS: 50mg/l 全 大 腸 菌 数 :400 MPN/100ml (MPN: Most Probable Number) - 6 廃棄物 ビ ル ジ 水( 船底 MARPOL 73/78 水) 廃棄物ガイドライン 共通 ・油・ガス開発に使用されるケミカル類については、その種類・用途や危険性(リスク)などに 基づく管理計画を作成すること。 ・環境、安全や人の健康に配慮したケミカル類の選択を行い、使用に際して製品安全データ シート(Material Safety Data Sheet:MSDS)を活用すること。 ・NORMsが沈殿、堆積する可能性のある場所では、少なくとも5年毎にモニタリングを実施 すること。 ・NORMsが検知されたところでは、NORMs管理プログラムを作成し、NORMsの存在する箇 所を等級付けし、管理と処理の方法を定めること。 ・NORMsおよび NORMsを含む廃棄物を処理する場合は、地下への再圧入、または密閉容 器に入れ地中廃棄などの方法を検討すること。 項目 海上 陸上 水系掘削流体 原則排出禁止であるが、排出する 地下への圧入または無害化処理 場合は下記の条件を満たすことと を施し廃棄する。 と掘屑 地上貯蔵や廃棄ピットは掘削操業 する。 ・バライト(重晶石) Hg:<1mg/kg, 終了後、12ヶ月を目途に閉鎖し、 定期的にモニタリングを実施する Cd:<3mg/kg ・最大塩素濃度:周囲より4倍以下 こと。 ・排出ポイント:海面下 15m以深 ・泥水については、毒性テスト* (96hr.LC-50 の毒性テストにおい て SPP 3vol%以上)に合格または サイトの固有の生物による標準毒 性試験を行い確認する。 非水系掘削流 泥水は海上排出禁止である。 同上 掘屑についても原則海上排出禁 体と掘屑 止であるが、排出する場合は、下 記の条件を満たすこととする。 ・油分: <1%(乾燥掘屑・重量 比) ・Hg : <1mg/kg(バライト) ・Cd : <3mg/kg(バライト) ・排出ポイント:海面下 15m以深 生産砂 廃棄井への圧入、または陸上へ 同上 運搬し処理すること。海中廃棄の 場合は油分 1%以下とすること。 (乾燥砂・重量比) 坑井仕上げ流 地下への圧入、もしくは以下の条 地下への圧入もしくは処理後に廃 件に処理を施した上で海洋廃棄と 棄する。 体 する。 油分 日間最大 42mg/ℓ、月間平 均 29 mg/ℓ pH5 を下回らないよう中和するこ と。 食品廃棄物 25mm以下に裁断した上で廃棄 規制に従って廃棄処分する。 すること。 陸上に搬送し再利用、または規定 同上 固形廃棄物 に沿って廃棄処分とすること。 有害廃棄物 同上 同上 5 年に 1 回の調査 放 射 性 物 質 5 年に 1 回の調査 2 β/γ:< 4.0 Bq/ cm2 β/γ:< 4.0 Bq/ cm (NORMs) 2 α:< 0.4 Bq/ cm α:< 0.4 Bq/ cm2 7 *化学物質による環境中の生物への影響に関する評価方法 96hr LC50:試料中の浮遊粒 子相のある濃度(ppm または%)の中で、魚類などが 96 時間暴露されたときに 50%の致死量 となる濃度。(SPP: Suspended Particulate Phase ) 騒音・振動 共通 ・一般的な騒音・振動対策として以下の項目等が考慮されていること -低音圧レベルの機器の使用、騒音源への防音装置、防音建屋の設置、振動防止装置等の 設置。 -運転時間の制限および一般居住区への影響の最小化。 作業環境騒音ガイドライン 単位 受容側暴露基準(海上) 受容側暴露基準(陸上) LA eq 8hr 85 LA max 110 LA eq 8hr 85 LA max 110 軽工業分野 (資 材ヤード等) 50-65 110 50-65 110 工業地区事務所 40-45 重工業分野(石 dB(A) 油開発) 40-45 海上 ・漁業活動への配慮:漁獲時期について漁業従事者との調整を行う。 海上(震探作業) ・海洋哺乳動物に対する配慮:海洋哺乳類については生息域より 500m以上離れた場所で 作業を行うこと。作業現場より、500m以内で海洋哺乳類が観測された場合、その生物が去 るまで作業の中断または延期をすること。 ・エアガンなどの高周波音の使用の最小化・回避に努めること。 陸上 ・可能な限り地元住民の近隣では地震探査活動の最小化を図ること ・陸上地震探査時にショットホール法を採用する場合は、騒音を最小にするために深い穴を 使用し、かつショットホールの上に砂のクッションを被せること。 ・野生生物に対しての配慮:生息地域を特定し、実施期間、監視者の配置等を行うこと。 騒音環境ガイドライン 騒音項目 工業・商業地域 悪臭 安全設計 単位 dB(A) 受容側(陸上) 昼 夜 70 70 住宅・事務所地域 55 45 ・排出源と居住地区を考慮したガス拡散シミュレーションに基づく H2S ガス検知ネットワーク を構築すること。 ・早期の H2S 検知と警告を目的とした H2S 検知器を設置すること。 排出ガイドライン 悪臭:排出源における大気排出基準 H2S<5 mg/Nm3 (海上施設・設備の設計時の配慮項目) ・海上における環境上の条件(例えば、地震活動、暴風・高波、潮流、氷の形成等)に配慮す ること。 ・外部の環境条件を考慮した十分な収容能力のある宿泊施設(海上プラットフォーム)とする こと。 ・緊急時の避難ルート、避難場所の確保、脱出方法を確保すること。 ・手すり、床、階段等の安全対策や落下防止等の配慮をすること ・火災、ガス漏れ、落下などの事故発生時の警報・通報システムを設置すること。 ・海底パイプラインルートに投錨禁止区域(一般的に 1000m幅)を設定すること。 (陸上施設・設備の設計時の配慮項目) 8 ・パイプラインの掘削溝に人間や動物が落ちるのを防ぐため安全フェンスを設置する。遠隔 地では、野生生物が掘削溝から脱出できるような斜面を設置する。(1km毎) 施設の廃棄 海上 ・プロジェクトの終了時には、IMO 及び OSPAR の指針に従うこと -IMO 指針では、デッキ及び上部構造物を除く 4,000 トン以下の施設や構造物で水深 75m 以浅のものは撤去する。 -OSPAR 指針では、1998年1月以降は、施設や構造物が完全に撤去可能な設計にし、1 998年以前に設置された施設または構造物は、水面下 55mまでは撤去する。技術的ま たは経済的な理由で、可能であれば完全に取り除く。 陸上 ・坑井廃棄では、坑井はセメンチングにより密閉し、油層流体の移動がないように遮断し、帯 水層も同様に処理する。坑井位置の土地が農業に使用されるのであれば、地表近くのケー シングを農業機器の深さ以深で切断し、覆土すること。 ・施設、設備の廃棄計画の中には、プロジェクトの終了前までに、廃棄後のモニタリング計画 の詳細についても盛り込むこと。 プロジェクト ・環境社会影響を軽減すべく、掘削作業・施設建設等の用地面積を最小化すること。 の用地利用 ・伐採にあたり、重機械の使用制限を考慮すること。 ・パイプラインは地表から 1m以上埋設すること。 (陸上) ・地震探査ラインの幅を最小化すること。(一般的に 5m以下) ・除草のための薬品の使用を制限すること。 表-2 緊急時対応(国際金融公社(IFC)EHS ガイドライン等) 緊急事態 対応項目 1 共通事項 1.1 マスコミや関連機 ・マスコミへの対応を含むステークホルダー(利害関係者)に対して十分な説明がで きる代表者を置くこと。 関との関係 1.2 事業継続のため ・不慮の災害に備え、業務に支障がないように、非常用の水、電気、燃料などを確 保しておくこと。 の危機管理 ・HSEに配慮した通常運転に復帰できるよう、重要な情報、データを確保しておくこ と。 発生防止 2.火災・爆発 ・潜在的な着火源を取り除くこと。 検知・通報 ・警報システムや遠隔制御システムを設置すること。 消火設備 ・火災拡大の防御設備を備えること。 ・消火システム(消火器の配置、消火手段とその設計、消火器の点検・補修等)を整 備すること。 防災訓練 ・作業員の防災訓練を実施すること。 安全対策 ・居住区の防火対策、避難経路の確保は特に海上施設において徹底すること。 発生防止 3.ガス漏洩 ・H2S の滞留、集積を防止する通風、換気に適した設備の設計とすること。 検知・通報 ・放出(漏洩)源と居住区を考慮したガス拡散シミュレーションに基づく、H2S ガス検 知ネットワークを構築すること。 防災設備 ・H2S に接触する危険性の高い作業員に対して、自給式呼吸器とガス検知器を支給 し、救急用酸素供給器を設置する。 防災計画 ・緊急時対応計画の策定には、地域社会との連携も考慮すること。 発生防止 4.死傷事故 プロジェクト従事者の事故件数は、ゼロを目指すこと。 災害対応 9 5.交通 ・救急医療設備を備えておくこと ・緊急搬送計画を策定すること。 一般交通(陸上) ・使用する車両の定期点検を行うこと。 ・作業者の交通安全教育を行うこと。 人員輸送(ヘリコプター及び船舶) ・海上施設に設置されるヘリコプターデッキは、国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization :ICAO)の要求事項に従うこと。 ・船舶の係留設備の設計は、最悪の気象・海象条件を想定して行うこと。 ・作業員が船とプラットフォームへの移動に使用するクレーン、ケーブル、籠はISO (International Organization for Standardization :国際標準化機構)の規格に適合して いること。 ・サービスボートは、SOLAS条約(海上における人命の安全のための国際条約) 等に適合している船舶を使用すること。 6.自然災害 船舶による衝突事故防止 ・海上施設は、当該国と国際的な要求事項に見合った航法支援システムを装備す ること。航法支援システムは、施設内のレーダーと照明を含み、支援船舶上にも設 置すること。 ・恒久海上施設の周りに少なくとも半径 500mの排他海域を設けること。 ・プロジェクトで使用される船舶ルート、また施設の設置計画、リグの移動、地震探 査計画(期間及び海域)等、船舶の移動に関する情報を、関係当局に通知するこ と。 ・恒久施設の位置は海図に登録すること。 ・沿岸部海域の航路では、パイプラインは埋設し航行による事故防止に努めるこ と。 発生防止 ・ハリケーン、台風のような異常な気象・海象条件にも耐える設計にすること。 検知・通報 ・天気予報等の情報収集システムを備えておくこと。 安全対策 ・緊急時の避難計画を策定すること。 7.油流出 7.1 発生防止 7.2 検知・通報 7.3 拡大防止 7.4 危険性評価 防食対策 ・設備の健全性を維持するため、パイプライン、プロセス機器、タンク等に防食対策 を実施すること。 メンテナンス ・保守、腐食モニタリングプログラムを導入すること。(維持管理プログラムにはパ イプラインの内部清掃のための定期的なピグ通しを含む) 検知システム ・自動停止システムを設置すること。 ・パイプラインには漏洩検知システム、遠隔制御データ収集システム(Supervisory Control and Data Acquisition :SCADA システム)、緊急閉止バルブ、緊急ポンプ停止 システムなどを設置すること。 通報 ・流出時(発見時)の初期通報方法・内容が示されていること。 設備 ・早期の運転停止または漏洩箇所の隔離のため、緊急遮断弁を設置すること。 ・油流出、拡散を防止するため、容器・タンク周りに防油堤を設置すること。(陸上) リスク評価 ・油流出事故の対象となりうる生産設備、掘削作業、生産プロセス等のリスク評価を 実施すること。 環境マップ ・環境リスクの感度マップの作成と地域的な特徴を考慮すること。(土壌タイプ、地 下水と表面水資源、生態学上の保護区域、農業用地、居住区、工業地域、観光資 10 7.5 シミュレーション 7.6 流出対応計画 7.7 資機材 7.8 訓練 源、文化的に重要な景観の地域等) 基礎データ ・操業状況・気象・海象・地形・現場の状態・後方支援の有無・油の性質等が十分実 情を反映したものであること。 予測 ・信頼性の高いシミュレーションモデルによる油の流出状況、最終漂着点を予測す ること。(油井からの暴噴のような最悪事態のシナリオを含む。)(海上) ・流出対応への取り組み体制を確立し要員を特定すること。(責任、権限・役割・連 絡詳細を含む)油流出対応計画策定に当たっては、以下を参考にすること。 ・流出規模またはその影響の大きさに基づく段階的対応を検討すること。(TierⅠ、 TierⅡ、TierⅢ) ・流出油の防除計画、海岸線の浄化・復旧計画を作成すること。(海上) ・油漏洩により影響を受ける対象地区、影響に応じた対応の優先順位を特定するこ と。 資機材 ・資機材の配備場所と配備資機材のリスト及び流出現場への配備の時間を予測す ること。 廃棄物 ・回収された油、ケミカル類、燃料、または他の汚染物質、それらの輸送、仮貯蔵、 処理・廃棄を含む浄化戦略と取り扱いの方法を定めること。 ・油流出の防止、漏洩事故対応に関する適切なトレーニングを実施すること。 表-3 略号表 略号表 略号 英 BOD Biochemical Oxygen Demand 生物化学酸素要求量 水質汚濁物質 COD Chemical Oxygen Demand 化学的酸素要求量 同上 EHS Environment, Health and Safety 環境・労働安全衛生 EIA Environmental Impact Assessment 環境影響評価 GHG Greenhouse Gas 温室効果ガス HAZID Hazard Identification Study HAZOP Hazard and Operability Study H2S Hydrogen Sulfide 硫化水素 悪臭・危険性物質 HIV Human Immunodeficiency Virus ヒト免疫不全ウイルス エイズ病原体ウイルス等 HSE Health-Safety-Environment 労働安全衛生・環境 ICAO International Civil Aviation Organization 国際民間航空機関 IFC International Finance Corporation 国際金融公社 IMO International Maritime Organization 国際海事機関 International Organization for 国際標準化機構 ISO 文 ※アルファベット順 日本語 Standardization LA eq 備 考 ISO14000 シリーズ:環境管理シス テム 等価騒音レベル LC50 Lethal Concentration 50% 半数致死濃度 MARPOL Marine Pollution 73/78 1973 年の船舶による汚染防 略称:海洋汚染防止条約 止のための国際条約に関す る 1978 年の議定書 MPN Most Probable Number 最確数 MSDS Material Safety Data Sheet 製品安全データシート NORMs Naturally Occurring Radioactive Materials 自然起源放射性物質 生産に伴い地下から地表に移動 NOx Nitrogen Oxides 窒素酸化物 大気汚染物質(NO, NO2, N2O 等) 11 略号 英 文 日本語 OGP International Association of Oil & 石油・ガス生産者機構 Gas Producers 備 考 旧称 E&P Forum (メジャーを含む国 際的な石油、ガス生産企業の技術 機関) OHSAS Occupational Health and Safety OSCP Oil Spill Contingency Plan 油流出事故緊急時計画 OSHA Occupational Safety and Health 米国労働安全衛生局 OSPAR Oslo and Paris Conventions Assessment Series 労働安全衛生に関する評価 英国規格協会(BSI)発行の労働安 シリーズ 全衛生マネジメントシステム規格 作業者の安全、健康に関する基準 Administration (USA) 北東大西洋の環境保護のた めの条約 OSRP PM2.5 PM10 Oil Spill Response Plan 油流出事故対応計画 Particle Matters less than 2.5 micron 粒子状物質(2.5 ミクロン以 diameter 下) Particle Matters less than 10 micron 粒子状物質(10 ミクロン以 diameter 下) SCADA Supervisory Control and Data Acquisition 遠隔制御データ収集 Ra-226 Radium 226(isotope) ラジウム 226 同位元素 SOLAS The International Convention for the 海上における人命の安全の Safety of Life at Sea ための国際条約 SOx Sulfur Oxides 硫黄酸化物 SPP Suspended Particulate Phase 浮遊粒子相 TSP Total Suspended Particles 全浮遊性固体 大気汚染物質 大気汚染物質 226 Ra 大気汚染物質(SO2, SO3) 大気汚染物質(PM10 を含む) TSS Total Suspended Solid 全懸濁性固体 水質汚濁物質 VOCs Volatile Organic Compounds 揮発性有機化合物 メタン等の揮発性の石油軽質分 α, β, αray, βray, γray α線, β線, γ線 放射線種 γ 表-4 単位表 単位表 μg / Nm3 mg / Nm3 mg/L mg/kg Bq/cm2 pCi/g dB(A) : : : : : : : micrograms (10-6 grams) per normal cubic meter milligrams (10-3 grams) per normal cubic meter milligrams (10-3 grams) per liter milligrams (10-3 grams) per kilogram (103 gram) Becquerel per square centimeter(1Bq=1 秒間の放射性壊変数) Pico-Curie (10-12 Curie) per gram (1Curie=3.7x1010 Bq(崩壊数/秒)) Decibel(A logarithmic representation of magnitude) 12
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