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中国知財通信
2013 年 6-7 月·第 6-7 号
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目次
LEGISLATION
☆ 上海高級人民法院知財廷が「職務発明創造発明者または設計者に関する奨励、報酬紛
争案審理手引き」制定
IP DATA
・ 2008~2012 年北京市高級人民法院特許権侵害案に関するサンプリング統計データ
・ 中国知財保護状況要約
・ 1996~2012 年全国における商標違法案件取締り統計データ
・ 2009~2012 年特許審査周期統計
CASES UPDATES
☆ 北京市高級人民法院: 商標類似を判断する前に被異議商標の顕著性に審査を行う
☆ 最高人民法院: 包袋禁反言の適用問題
☆ 北京市高級人民法院: 「商標法」第十条第二項の適用
INDUSTRIAL INSIGHTS
☆ 法律意見書と司法鑑定結論の区別
LEGISLATION
☆ 上海高級人民法院知財廷が「職務発明創造発明者または設計者に関する奨
励、報酬紛争案審理手引き」制定
職務発明創造の発明者または設計者に対する奨励、報酬制度の法律適用は企業、職員双方
の利益をどのようにバランスをとるかにつき、創造を激励する専利法の効用をいかに発揮す
るかについても重要な意味が持っている。2008 年「専利法」及び関連実施細則の改正後に、
当該問題は人民法院の特許紛争案審理に新たな難点となっている。6 月 25 日に、上海高級人
民法院知財廷が、上海の各法院へ案件審理の参考用に「職務発明創造発明者または設計者に
関する奨励、報酬紛争案審理手引き」を公布した。
上記「手引き」は計 16 条があり、主な内容とは、(1)単位が職務発明創造奨励と報酬に
ついて発明者、設計者と約定した場合、その約定の効力、形式、内容、合法性と合理性を審
査する問題;(2)約定しなかった場合、協力開発、委託開発及び職務発明成果譲渡過程中に
おける法定奨励、報酬の標準及び確定問題;(3)労務派遣社員の職務発明創造の奨励、報酬
問題;(4)当該「手引き」の関連する適用範囲、訴訟時効、管轄等の手続き問題である。
(上海法院ネット)
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IP DATA
・2008~2012 年北京市高級人民法院特許権侵害案に関するサンプリング統計デ
ータ
1. サンプリングにつき
今回は 100 件のサンプリングを抽出し、全てが 2008~2012 年北京市高級人民法院の受理
した特許権侵害民事紛争二審案件で、2008 年 23 件、2009 年 15 件、2010 年 22 件、2011 年
23 件、2012 年 17 件となる。
案件主体から見れば、100 件の中、渉外案件 30 件、国内案件 70 件となる。
特許類型から見れば、意匠権案件が最も多く 45 件で、特許案件 33 件、実用新案案件 22
件である。中では、国内特許、実用新案、意匠案件はそれぞれ 21 件、18 件、31 件で、渉外
特許、実用新案、意匠案件はそれぞれ 12 件、4 件、14 件である。
2.判決結果につき
(1)勝訴率
100 件の中、権利侵害成立のは 66 件、全て二審で認定された。70 件の国内案件の中、権
利侵害成立と認定したのは 45 件で、国内案件の 64.3%を占める;30 件の渉外案件の中、権
利侵害成立と認定したのは 21 件で、渉外案件の 70%を占め、外国特許権者が勝訴した案件
は 80%を占める。
法院が終審で権利侵害にならないと判決したのは 34 件で、中では一審と二審とも非侵害
と判決したのは 28 件がある。一審で権利侵害と判決し、二審で非侵害と改めるは 6 件があ
る。終審で非侵害と判決された案件の中、特許、実用新案、意匠はそれぞれ 13 件、14 件、7
件である。
(2)二審で判決変更率
100 件の中、6 件だけ二審で一審判決を改め、全てが一審で権利侵害と認定され、二審で
非侵害と変更し、変更率は 6%となり、一審判決の維持率は 94%に達している。
(3)損害賠償
権利侵害と認定される 66 件の中、1 件のみ権利侵害品の製造を停止すると判決し、賠償に
ついては判決していなかった。
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3.審理期間
・ 中国知財保護状況要約(知識財産権局による行政処理)
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・ 1996~2012 年全国における商標違法案件取締り統計データ
・ 2009~2012 年特許審査周期統計
CASES UPDATES
☆ 北京市高級人民法院: 商標類似を判断する前に被異議商法の顕著性に審査を行う
第 1067507 号「LA BRIOCHE DOREE 及び図」商標(以下、「引用商標 1」と称する)は、
1996 年 4 月 1 日に出願し、1997 年 7 月 28 日に登録され、指定商品はサービス第 42 類のレス
トラン、カフェ、カフェテリア、旅館サービスであり、商標更新を通じて権利期限は 2017
年 7 月 27 日までとなり、現在の商標専用権者はフランス禄多富公司である。第 3545610 号
「LA BRIOCHE DOREE」商標(以下、「引用商標 2」と称する)は、2003 年 4 月 30 日に出
願し、2009 年 1 月 21 日に登録され、指定商品は第 43 類のレストラン、カフェ、カフェテリ
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ア、ホテルであり、専用期限は 2019 年 1 月 20 日までとなり、現在の商標専用権者はフラン
ス禄多富公司である。第 4278794 号「LABRIOCHE」商標(以下、「被異議商標」と称す
る)の出願人はフランスの中国で運営される独資公司ラプリオ公司である。初歩審査及び公
告後、禄多富公司により商標局に異議申立を提出した。2010 年 3 月 24 日に、商標局は、被
異議商標の指定商品が引用商標 1 の指定サービスとは類似でないため、禄多富公司のラプリ
オ公司が引用商標をコピー、模倣する理由に証拠不足で異議申立は不成立と判断し、被異議
商標に登録を許可した。
禄多富公司は不服のため、商標評審委員会に異議復審を申請した。商標評審委員会の裁定
としては、被異議商標の指定商品と引用商標の指定サービスは販売ルート、方式、工芸等に
相違があり、類似商品・サービスに当たらない。被異議商標と二つの引用商標とは「商標
法」第 28 条が示す類似商品・サービスに使用される類似商標にならない。禄多富公司は被
異議商標の出願日前に中国大陸で引用商標を実際に使用したことが証明できなく、且つ被異
議商標の使用によって「商標法」に規定される不良影響が来たしたことも証明できなく、従
って被異議商標に登録査定を下した。
原告である禄多富公司は商標評審委員会の裁定に不服し、行政訴訟を起こした。一審法院
が思惑、被異議商標標識の顕著識別部分と二つの引用商標標識の顕著識別部分は、字形が少
し違うだが、引用商標の文字が被異議商標の全体を含め、且つ被異議商標と引用商標の全体
外観には明らかな区別がない。被異議商標と引用商標は、もし同じまたは類似する商品・サ
ービスにて使用されれば、関連公衆にこんこうまたは誤認を来たしやすい。被異議商標と二
つの引用商標の標識は類似で、且つ被異議商標の指定商品はクッキ、ケーキ、パンなどであ
るため、これらの商品は一般的に消費者がレストラン、カフェ、パン屋でよく購入する食品
であり、もし上記商品またはサービスに同じ或いは類似する商標を使えば、関連公衆に上記
サービスの提供者は同時に上記商品の提供者でもあると思わせやすく、また上記提供者の間
に何らかの特定関係があると思い込むことからこんこう、誤認を来たす。従って、被異議商
標の指定商品と引用商標 1 と 2 の指定サービスとに強い関連性があるため、類似商品・サー
ビスに当たる。これにより、一審法院は商標評審委員会の裁定を取り消す判決をした。
ラプリオ公司は原審判決に不服し、上訴した。二審法院が思惑、商標の顕著性は二つの方
面から考察すべく、即ち識別性と区分性である。識別性とは、商標を構成する標識は商品ま
たはサービスの出所を示す功能があるとのことである;区別性とは、一つの商標を他人が同
じまたは類似商品・サービスにて使用する商標に区別して消費者のこんこうを招かないとの
ことである。識別性は区分性の前提であり、識別性が有しない標識は必ず区分性に欠乏する。
被異議商標は引用商標と区別できるかどうか、それから登録の可能性について判断する前に、
もし被異議商標が識別性を具備しないとの証拠があれば、区分性があるかどうかを判断する
前にまず識別性を審査すべきである。被異議商標が識別性を具備する場合のみ、引用商標と
比べて区分性を有するかどうかについて判断する。本件においては、被異議商標の文字は直
接に指定商品のケーキー、パンなどの商品またはその主原料を表示し、関連公衆にそれは商
品に係わる特定提供者の商標であるように思わせる可能性がなく、識別性を有しない。この
ような状況では、二審法院はこれ以上被異議商標が引用商標と区分できるかどうかとの審査
を行わない。これらを基にして上訴を却下し、一審判決を維持した。((2012)高行終字第
1725 号行政判決書を基礎に整理する)
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☆ 最高人民法院: 包袋禁反言の適用問題
2009 年 8 月に、中誉電子(上海)有限公司(以下、中誉公司と略称)は上海市第二中級人
民法院に起訴し、その理由としては実用新案権者である田瑜、江文彦が出願した「一種のス
テアリングギア」が 2008 年 2 月 13 日に権利付与され、実用新案権番号は ZL200720069025.2
となる。2009 年 2 月 10 日に、中誉公司は上記権利者と「専利実施許可契約」を締結し、中
誉公司が当該実用新案権を独占で使用する権利を享有し、有効期限は 2017 年 4 月 17 日まで
と約定した。2009 年 2 月に、中誉公司がドイツのニュルンベルクで開かれた春季玩具展覧会
で、上海九鷹電子科技有限公司(以下、九鷹公司と略称)の当展覧会で宣伝するある模型飛
行機に使用されるステアリングギアは上記実用新案の権利保護範囲内に入ることを発見した。
中誉公司は、九鷹公司が権利者の許可を得ずに、当該実用新案権を不正使用し、且つ権利侵
害品を低価で販売し、権利侵害品に関する宣伝を長期に渡って行う行為は中誉公司の合法権
益をひどく損害したため、法院に被告に権利侵害停止及び損失賠償を判決するようと請求し
た。
九鷹公司の抗弁として、その製品に使用する技術は現有技術と公知常識とは同じく、或い
は実質的な差異がないため、権利侵害にならない。また、九鷹公司が 2009 年 4 月 20 に t に
本件実用新案権に対して、専利復審委員会へ無効宣告請求を提出した。専利復審委員会によ
り、2009 年 7 月 22 日に第 13717 号無効宣告請求審査決定(以下、第 13717 号無効決定と略
称)を下し、本件実用新案権の請求項 1-2、4-6 に無効だと宣告し、請求項 3 を基礎として本
件権利が有効と維持した。当該決定は後に司法復審を通じて確認された。
一審法院により、2009 年 11 月 11 日に、係争製品の技術特徴は係争権利の請求項 3 の技術
特徴とは同一または相当になるか否かについて、及び係争製品の技術特徴は現有技術に属す
るかどうかについて委託鑑定をした。関連鑑定結論として、(1)係争製品の技術特徴は係
争権利の請求項 3 の技術特徴とは同一または均等になる;(2)係争製品の技術特徴は現有
技術方案の技術特徴とは同一または実質的な差異がなく、係争権利侵害品の技術特徴gは公
知常識とは字実質的な差異がない。それに基き、一審法院が、係争権利侵害品の技術方案は
現有技術と公知常識との簡単な組み合わせであり、九鷹公司の現有技術抗弁が成立でき、係
争権利侵害品は係争権利を侵害することにならないと認定した。
中誉公司は一審判決に不服し、上訴を提起した。二審法院は、九鷹公司の現有技術抗弁は
成立し、且つ中誉公司は包袋禁反言原則に違反し、無効宣告において請求項を修正すること
に通じて技術方案を放棄した反面、権利侵害紛争においてそれを再び権利保護範囲に入れ、
その権利侵害に関する主張は成立できないため、上訴を却下し、原判決を維持した。
中誉公司は二審にも不服し、再審を提出した。
包袋禁反言については、最高人民法院が思惑、まず、包袋禁反言の法理基礎となるのは誠
実信用原則であり、即ち民事主体は承諾を守って、善意をもつ第三者のそれに対する合理的
な信頼または正当な期待を損害してはならなく、それによって自由に権利を行使する際に生
じてくるアンバランスを均衡させる。権利付与の実践においては、出願人はしばしば請求項
または説明書の権利範囲を縮小する方法で速やかに権利付与を獲得し、権利侵害訴訟におい
てはまた均等論を持って既に放棄した技術方案を再び権利範囲に入れることを企む。権利保
護範囲の安定性を確保し、社会公衆の信頼利益を守るため、専利制度は「包袋禁反言」を持
って権利者が上記両方の利益を獲得するような状況を防ぐ。
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次、包袋禁反言原則の適用条件については、一般的では、請求項、説明書を修正または意
見陳述との二つの方式を取る際にのみ、生産技術方案の放棄が生じてくる可能性があり、そ
の上包袋禁反言原則の適用を引き起こす。本事件においては、独立請求項が無効だと宣告さ
れ、その他の従属請求項を基礎として権利有効と維持したため、当該従属請求項は実際に元
の独立請求項の地位に取って代わることになった。しかし、当該従属請求項の内容またはそ
れによって確定された保護範囲は元の独立請求項が無効になった原因で変えることはない。
何故ならば、各請求項も単独で、完備している技術方案であり、各請求項も独立請求項の方
式で表されるかどうかを問わず、出願人が出願当時に主張する各自の保護範囲を正確に、且
つ完全に反映すべきである。それに基き、何れの請求項も単独で有効と維持され、または無
効と宣告されることできる。各請求項の効力は、その他の請求項に対する独立される効力だ
と推定されるべきである。従属請求項の従属する請求項は無効宣告されたとしても、当該従
属請求項はその原因で無効とされることはない。従って、従属請求項の従属する請求項が無
効されるから当該従属請求項の確定する保護範囲も制限されると簡単に思い込むことはいけ
ない。
また、放棄に関する認定基準としては、専利権の保護範囲は請求項に含まれる技術特徴に
よって限定されるため、権利保護範囲の変化も請求項における技術特徴の変化から表れる。
専利権の権利付与または無効宣告中に、権利者が自発的、或いは審査員の要求に応じて、技
術特徴の増減を通じて某請求項の確定する保護範囲について制限するか、または意見陳述で
某請求項について縮小制限の解釈をすることができる。包袋禁反言原則は権利範囲が縮小す
る修正または意見陳述に適用する。当該放棄とは、通常、権利者が修正または意見陳述に通
じて行う自発的な放棄を指す。但し、専利復審委員会が独立請求項に無効を宣告し、その従
属請求項を基礎に権利の有効を維持する場合、且つ権利者による上記のような自発放棄がな
ければ、包袋禁反言原則における「放棄」になるかどうかについて判断する際、権利者が自
発放棄してない状況に十分の注意を払うべき、放棄に関する認定条件を厳格に把握しなけれ
ばならない。
現有技術の抗弁問題については、最高人民法院が思惑、本件において、係争権利侵害品の
技術特徴は現有技術によって公開されず、本分野の一般技術者が公知常識に沿って現有技術
から直接または難儀なく生み出される技術特徴でもない。従って、係争権利侵害技術方案は
現有技術方案とは実質的な相違があり、知財事務センターの鑑定意見に基き、九鷹公司によ
る現有技術抗弁は成立するとの原両審判決には錯誤が存在している。
上記によって、最高人民法院は、原両審判決を取消し、九鷹公司の行為は権利侵害になる
と判決した。((2011)民提字第 306 号民事判決書に基づいて整理する)
☆ 北京市高級人民法院: 「商標法」第十条第二項の適用
チューリッヒ保険有限責任公司(以下、チューリッヒ公司と略称)は、自分の優先日が
2008 年 5 月 19 日となる第 G980884 号「ZURICH HELPPOINT」商標について中国で領土延
伸保護を申請し、指定商品は第 16 類の文房具用品等及び第 36 類の保険等である。中国商標
局により、2009 年 9 月 21 日に国際登録拒絶通知書を発行し、当該商標は「商標法」第十条
第二項に違反した理由で、全ての類別にての登録を拒絶した。チューリッヒ公司は不服のた
め、復審申請を提出した。2011 年 3 月 7 日に、商標評審委員会がその中国における領土延伸
保護申請を却下すると裁定した。そこでチューリッヒ公司が出願商標は商標法第十条第二項
の規定に違反していなく、類似する状況の商標は既に登録された事実を持って当該商標には
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登録可能性があることを証左し、行政訴訟を提起して、法院に商標評審委員会の決定を取り
消すことを請求した。
一審法院が、「商標法」第十条第二項は地名のみ構成される商標に適用すると考える。本
件では、出願商標の中に外国地名である「ZURICH」が含まれるものの、地名のみで構成さ
れる商標ではないため、「商標法」第十条第二項の調整範囲に属しない。出願商標には
「ZURICH」との外国地名が含まれても、その地名は中国公衆に熟知されず、その英文の表
しも中国公衆の中ではそれほどの認識度がなく、しかも当該商標には他の組成部分もあり、
その組成部分の占める比率も「ZURICH」の占める程度とは同じであるため、当該部分も出
願商標の顕著部分となる。この状況で、中国の関連公衆に対しては「ZURICH」が外国地名
であることに多少知っていても、「ZURICH HELPPOINT」商標全体について通常地名とし
て認識されるだけとのようなことはない。従って、出願商標は顕著性が具備していて、その
登録は「商標法」第十条第二項の立法目的に違反しなく、登録されることができる。同時に、
出願商標に登録を許可することは、その実践においてチューリッヒ公司は「ZURICH」につ
き、他人の正当な使用を排除する権利がない。他人による「ZURICH」を地名として正当に
使用する行為に対し、チューリッヒ公司はそれを禁止する権利がない。これらに基き、法院
は商標評審委員会の決定を取り消すとの判決を下した。
商標評審委員会は不服のため、上訴した。二審法院が思惑、商標法第十条第二項は県以上
の行政区分の地名または公衆に周知される外国の地名に適用するだけでなく、県以上の行政
区分の地名または公衆に周知される外国の地名を含む商標にも適用する。「商標法」第十条
第二項に規定される公衆周知の外国地名とは、中国公衆に知られる外国地名を指すし、同時
に中国公衆に知られる地名は外国の地名なのか或いはその中国訳なのかを考慮すべきである。
もし、中国公衆に知られるのはその外国地名の中国訳であり、外国語地名自体は公衆に知ら
れていなければ、その外国語地名は使用禁止と登録禁止の範囲外となる。また、もしある外
国地名が中国公衆によく知られるが、公衆の公認を来たすことがなければ、それも使用禁止
と登録禁止の範囲外となる。
本件では、本件に係る出願商標が含まれる外国地名「ZURICH」の対応する中国語訳「蘇
黎世」は中国公衆によく知られるが、その外国語名称は認識度が低い。更に、本件出願商標
には外国地名となる「ZURICH」以外に他の組成部分もあり、当該組成部分は「ZURICH」
とは字形、大きさ等の方面では差別がなく、両者は商標全体に占めるに比例も相違がない。
これらによって、原審法院による中国公衆に対しては本件出願商標が「商標法」第十条第二
項の規定を違反せず、登録できるとの認定は正しいである。上記に基き、上訴を却下し、原
審判決を維持する。((2012)高行終字第 1001 号行政判決書を基礎に整理する)
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☆ 法律意見書と司法鑑定結論の区別
近年、多くの知財権案件において、当事者がように専門家に委託して法律意見書を発行す
る方法で自分の訴訟に支持を求めることが現れている。とある案件で、双方当事者とも関連
分野の専門家に法律意見書の発行を委託したが、さまざまな原因で同じ分野の専門家は同一
法律問題に、双方当事者に法律意見を提供する際に分岐と争議が出てくる可能性があるため、
公衆は専門家意見に質疑することを来たしている。全国に大騒ぎとなっていた「王老吉」と
「加多宝」赤缶ハーブ茶商品包装紛争案もその典型的な一例である。双方とも知財権及び関
連領域のいくつかの法学専門家に法律意見の発行を委託して自分の訴訟のために気勢を張る。
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ここで留意すべくのが、法律意見書は、関連分野の専門家が案件にかかる争議の焦点と法
律問題に対してプロの分析を通じて提供する参考できる意見または助言を載せる資料である。
司法鑑定は、訴訟において鑑定人が科学技術または専門知識を用いて、訴訟にかかる専門性
がある問題に対して鑑別或いは判断し、且つ鑑定意見を提供する活動を指す。法律意見書と
技術鑑定(司法鑑定)結論とは違って、前者は専門家による法律においての意見及び研究成
果に重点をおく。法律意見書は証拠ではないため、証左する必要もない。それが実際に関連
者に参考する資料となり、関連者に立法背景を了解し、法律条項を理解する補助で、且つ関
連情報を伝達して、方策の参考として知財権関係の法官、行政執行者の知識面を広げ、情報
量の拡大、思考の開拓に手助けをするものである。司法鑑定結論は訴訟法に規定される証拠
の一つであり、それが法定用件に合致し且つ証左された後、もし法院は当該鑑定結論に欠乏
がないと認定すれば、直接に裁決の証拠として受け入れられる。(沐漁)
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