「猪熊式」美容室経営 誕生物語 目次 1 奇跡のスポーツ刈り 2 美容業界のダークサイド 3 このままじゃだめだ、このままじゃだめだ 4 もう戻れない。 5 1番長い番外編 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 1 第 1 章 奇跡のスポーツ刈り 「うわ〜!か、かっこい〜!!」 小学 4 年生の僕は、心の中で叫びました。 自分のヘアースタイルがカッコ良すぎて(笑) あれは、母の友達家族と一緒に バス旅行で那須ハイランドパークに行く前日のこと。 母「正人、髪が伸びすぎてるから明日の旅行の前に床屋行って来なさい。 そんな頭じゃ恥ずかしいわよ。」 そんなことを言われて、 早速近所のいつもの床屋へ行くことになりました。 がしかし、床屋へ行ってみると・・・ その日は臨時休業。 母ビックリ。 母「どうしようかねえー、他にどっか・・・」 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 2 実はもうこの時の僕は、髪を切らないでこのまま行っても良い。 と思っていました。 だって、髪を切りに行ったとしても スポーツ刈りにされるだけですから(笑) ほとんど坊主に近い、あのヘアスタイルです・・・。 正直、小学 4 年の僕でもあのヘアスタイルは あまりかっこよくないと思っていました。 できることなら、伸びっぱなしの今のほうがマシなくらい。 (まだ坊ちゃん刈りのほうが良い!とまで思っていました) 僕「今日はもうやめようよー。明日はこのままでいいよー。」 と母を、なんとか切らない方向へ説得し始める僕。 母「あ!そういえば近所に新しく出来た美容室があるからそこにいきま しょ!この際切れればどこでもいいわよね!」 とあっさり僕の意見をスルーして近所の美容室へ向かうことになりました。 そして美容室到着。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 3 いつも行っている床屋さんとは違って、なんかオシャレな雰囲気。 音楽もラジオじゃなくて、外国人が英語で歌ってる・・・。 初めての空間に僕は、新鮮な気持ちと恥ずかしいような気持ちで ドキドキしていました。 そんな中、母は美容師さんに一言。 母「スポーツ刈りにしてください」 美容師「え!?スポーツ刈り・・・ですか・・・?」 母「ええ、さっぱりしてください」 美容師「・・・わかりました。では全体的に短く刈りあげて、 前髪を少し残す感じで・・・スポーツ刈りですね。 ではこちらへどうぞ」 僕「・・・・・はい」 この時は僕は知らなかったのですが、 美容師になった今なら分かります。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 4 スポーツ刈りというスタイルは美容室のスタイルにはありませんっ(笑) あのときの美容師さんに「グッジョブ」と伝えたい。 そして、僕にとっての初美容室。とにかく色々が新鮮でした。 まずシャンプーの向きが違う。 顔が濡れない!目をつぶらなくてもいい! 結局気持よくて目をつぶって意識飛んでしまいましたが・・・(笑) そして、なんかすごく丁寧! しかも切ってくれている人がオシャレ!! 僕みたいな子供に敬語で話してくるし!!! 初めて会うような人種でした・・・。 (丁寧だけあって、子供のカットでも相当な金額だったそうです。母親談) そしてフィニッシュ。 美容師さん「お疲れ様です。お母様、お待たせいたしました。 明日ご旅行に行かれるということでしたので、 少し前髪をムースでセットさせていただきました。」 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 5 母「あら、いいじゃない。ありがとうございましたー。」 そして僕。 「うわ〜!か、かっこい〜!!」 心のなかで叫び、感動しました。 いつものスポーツ刈りじゃない! なんか前髪に「ムース?」とかでクシャっとしてくれてるし! な、なんだこれ〜!! 僕じゃないみたい!! 僕はこの時思いました。 「美容師ってすごい!髪の毛変えただけで、こんなに嬉しい気持ちにさせる ことができるんだ!本当にすごい!!」 もちろん、その日は前髪を崩さないように仰向けで寝て、 朝起きて、ソッコーで鏡に確認しに行ったのは言うまでもありません。 那須ハイランドパークで何度トイレで鏡を見たか分かりません。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 6 そしてその日のうちにムースを買いたい!と母にお願いして、 結局買ってもらえず、兄のムースをこっそり使っていたのは ここだけの秘密です・・・。 とにかく、あんなに自分の容姿を意識した一日は生まれて初めてでした。 そして、それから年月が経ち・・・ 僕が美容師を目指すのに説明はいらないですよね。 これが、僕と美容室との出会いでした。 あの時の美容師さん、ありがとう。 そして、母さんありがとう。 追伸 この時の出来事が、僕の今後の美容師人生を 決定づける基準になっていきます。 この時はまだ知らない美容業界の現実を乗り越えられたのは、 あの時の感動が強烈だったからでしょう。 僕が感じたような気持ちを、沢山の人に感じて欲しい! Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 7 そう思うと、子供ながらにワクワクしたのを覚えています。 あの感情はなんとも言えないモノでした。 こうやって書いている今も、しみじみ思い出します。 初心に戻る。って大切なことですね。 ここが僕の美容師としてのスタートです。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 8 第 2 章 美容業界のダークサイド 奇跡のスポーツ刈りから沢山の年月が過ぎ、 やっとの思いで美容師になった僕。 早くスタイリストになって、僕もあの時の美容師さんみたいに お客さんを嬉しい気持ちにしたい!! そんな期待を胸に、初出勤の日を迎えました。 しかし・・・その時は知りませんでした。 こんなに美容師の世界が険しいなんて・・・ まず、最初の 1 ヶ月。 掃除、洗濯、スタイリストの補助・・・etc 帰宅時間が 12 時過ぎる日なんてザラでした。 練習もかなり体育会系。 基本褒めません。厳しく教育!って感じ。 夜も先輩から OK が出るまで帰れません。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 9 また教える先輩によってやり方が違うので、 何を基準に学べばいいのか分からない・・・。 やっとシャンプーに入れてもらえたのは 2 ヶ月後。 スタイリストになれるのはいつになることやら・・・(涙) 正直お先真っ暗でした。 僕の夢の美容師像がああああ(涙) しかも休日も求人に書いてある日数より明らかに少ない。 初任給は 11 万・・・。 周りからは、 美容師って大変らしいよ。 夜も遅いし、独立するまではあまり稼げないみたいよ。 とは言われていましたが、僕は大丈夫!夢のために頑張るんだ! と息巻いていたものの、 こんなにブラックな業界だったなんて・・・ Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 10 正直、そんな気持ちは軽く吹き飛んでいました。 でも、なんとかギリギリの所で思いとどまって考えました。 辛い時期は短いほうが良い!この際早くスタイリストになって お客さんに幸せな気持ちを提供するんだ! それからというもの、 毎日夜な夜な練習し、休日に講習に行き 友だちともほとんど遊ばずにしてきた結果。 1 年半でスタイリストになることが出来ました(涙) 今でも覚えています。初めて入ったお客さんの顔。 初めてリピートしてくれたお客さんの顔。 美容師になって良かった・・・。 やっぱり母さんありがとう!!(笑) こうやって、美容師としてやっっっっっっと スタートラインに立てた僕ですが 美容室にはまだまだ問題がある事をこの時の僕は知りません。 (スタイリストになるとアシスタントの時には見えないものが見えてくるも のです・・・) Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 11 これから僕の本当の戦いが始まるのです。 短かったけど長い。僕と美容室との戦いが・・・ 追伸 僕は、このアシスタント時代の苦〜〜〜い経験から、 いつか自分でお店を出したときは、 スタッフには絶対に僕のような思いをさせたくない!!! 本気でそう思いました。 その結果、僕の美容室では 6 時閉店。 入社から 3 ヶ月でスタイリストデビュー。 半年で客単価 1 万円・リピート率 80%以上の実現などを 実現することが出来ました。 今でもこれが、僕の教育方針・労働環境の基盤になっています。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 12 第 3 章 このままじゃだめだ、このままじゃだめだ こうして念願のスタイリストになれた僕。 毎日サロンワークをする中で上司から言われる事があります。 お客様ともっと会話しろ! カウンセリングに時間をかけすぎるな! 少し待たせてもいいから予約を詰めなさい! etc・・・ 最初は言われるままにやっていたのですが、 ある日なんだか違和感を感じ始めます。 「これってお客様のためになってないんじゃ・・・」って。 どういう事かというと・・・ ・お客様ともっと会話しろ! これって、中には話すの苦手で静かに読書したい人とかいる。 そういう人でも無理に会話しなければいけないの? Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 13 ・カウンセリングに時間をかけすぎるな! 僕たち美容師側のイメージが曖昧なままで施術して失敗してしまったら そのほうが後々クレームになったりして大変なのでは? ・少し待たせてもいいから予約を詰めなさい! 予約って時間通りにしてほしいからするもの。 それで待たせたら、それこそ失客につながるのでは? う〜ん。やっぱりおかしいぞ。 これって、とっても効率悪いのでは?と思い始めました。 だって、僕がお客様だったら こんな美容室には二度と行きたくないからです。 このままじゃダメだ! 今は店長の売上があるから持っているけど、 実際、僕も含め他のスタイリストのリピート率もあまり良くない。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 14 しかも、新規に対して値引きをしすぎて売上の割に利益は良くないし、 新規のお客様は、安いから来ている人が多い気がする。 どうにかしなくては・・・。 僕は悩みました。 そして、一つ決心しました。 集客や値引きに関しては今すぐどうにかなる話では無いけれど、 まずは僕だけでもリピート率、客単価が上がれば 周りも変わるのでは無いだろうか?よし、やってみよう! そして、考えた仮説がこれです。 技術力ではオーナーに今は勝てる気がしない。 やっぱり経験値が足りなすぎる。 でも、サービス面、薬剤での仕上がりだったらすぐに改善出来る! それでリピート率と客単価は上がらないだろうか? よしやってみよう! と言うことで、早速本屋でサービス関係の本を読みあさり (お金ないので立ち読みメイン。これは!というものだけ買ってました。) Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 15 休日は薬剤関係の講習に東京なんて当たり前、 遠い時は大阪まで夜行バスで行って参加しました。 (そのおかげで薬剤の知識がつき、髪をキレイにする知識がつきました。) あとは実践あるのみ! サービス面に関しては、とある本で一番心を打った言葉。 「サービスの価値は、伝わらなければ何も存在しないのと同じ」 これを基に、お客様に予め決まった説明をする「技術トーク」を開始。 その代わり必要以上の世間話を辞めました。 薬剤に関しては、髪をキレイにするのに足りない薬剤を個人的に調達。 こっそり使いはじめることに。 ダメだったら元に戻せば良いだけ。 そうやって試行錯誤やり始めて半年後・・・。 客単価は上がり、リピート率も80%以上になりました。 正直、僕もビックリ・・・。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 16 しかも、その結果予約もリピーターで埋まるようになり、 店長より予約が多い日も・・・。 ちなみにこの頃から、予約を計算して入れてもらえるようにお願いし、 待ち時間を 5 分以内にすることに成功。 それでも売上は予約を詰めている時より 20%増えました。 リピーター戦略恐るべし! その後はカウンセリングトークをしてみたり、 アドバイストークをしてみたり。 もう、お客様の素直な反応が嬉しすぎて 正直周りが見えていなかったのかもしれません。 そう、あの日が来るまでは・・・。 追伸 この頃の僕の美容師キャリアは2年半。(内スタイリスト歴は1年) こんな経験の浅い美容師でも結果がでたのだから 誰だって正しいやり方さえ学べば、結果が出るの決まってる! 本気でそう思っていました。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 17 その結果出来たのが、現在のマニュアルの数々です。 このころの、試行錯誤の結果が 僕がこれから作る美容室のサービス、コンセプトの基盤になっています。 価値を伝えることの大切さ、お客様の声に耳を傾けることの大切さを 学んだ時期でした。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 18 4章 もう戻れない。 「猪熊くん、周りと合わせよう。みんなついて行けてないから。」 撃沈しました。 終わった。そう思いました。 やはり店長の考え方って中々変わらないものなんだな・・・。 と思った出来事でもありました。 (今は僕も経営者なので分からないでもないですが・・・) でも一方で、僕の考え方にはある程度許容してくれる方でもありました。 今でもとても感謝しています。 僕がスタイリストになって、1年半が経つ頃の出来事でした。 ・・・・・・悩みました。 だって、僕は本当の美容師のあり方を知ってしまったのです。 本当の美容師の幸せとは何なのか? Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 19 そして、お客様にとって本当の幸せとは? 気づいてしまったのです。自分は間違っていない自信はありました。 だってこうやってお客様は喜んでくれているのだから。 もう戻れない。 これが僕の答えでした。 僕はたった1人で独立することを決意しました。 美容業界は今、飽和状態にある。 技術だけで生き残れる時代ではない。 そう思っていました。 現に、僕が独立する1年前に先輩が技術をウリに独立。 しかし・・・ 今はもうそのお店はありません。 サロンでも人気のスタイリストでした。 その先輩が言っていました。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 20 「どんなに値引きして集客してもお客様はリピートしてくれない。 それどころか、安売りのせいで利益さえ残らない。」 あの時の先輩の落胆した顔は、今でも忘れません。 (今の僕だったら救うことが出来たかもしれない・・・) 今美容室に足りないもの。それは経営力。 僕はいつしか自然とそう考えるようになりました。 そんな僕は、この3ヶ月間。 集客や価格戦略、顧客心理など、経営についての勉強に集中しました。 美容室を成功させるため。 その為の投資は惜しみませんでした。 如何に値引きをせずに、お客様を効率よく集めることが出来るか。 そして、確実にリピートしてもらえるようになれるか。 ここがポイントだと思いました。 もちろん家族からはまだ早すぎると大反対。 友人に言っても心配される始末。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 21 それでも、自分を信じたくて出店を決意しました。 (最後は皆応援してくれました) 前の美容室から車で30分以上。駅からは20分。 住宅街の一角で・・・。 顧客は、ほぼゼロからのスタート。 また振り出しに戻るかもしれない。 でも、僕には新しい視点で学んできた知識と経験がある。 そして、それは他の美容室には無い、新しいカタチの美容室になる。 そんなことを考えていると、 不安もいっぱいありましたが、ワクワクしてきたのを覚えています。 あとは前進あるのみ!! そして3ヶ月後、リーリエは群馬県、前橋市にオープンしたのでした。 追伸 独立前の集客や価格戦略、顧客心理の勉強は、 今でも大いに役立っています。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 22 美容業界の値引き競争から抜け、 他店と戦わない経営戦略を学んだのはこの時でした。 ・他店との違いを徹底的に打ち出した差別化戦略。 ・損得勘定でお金を払う客層をターゲットにするのではなく、 自分に価値あるものにお金を払う客層をターゲットにした価格戦略。 ・そして他店とは全く違う方法で、 濃い見込み客を効率良く集めた集客方法。 この時の学びが、僕の美容室の 高いリピート率、高客単価、そして集客の自動化 の基盤となっています。 以上で、僕が独立するまでの物語はおしまいです。 次回は番外編。 独立を決意してから開店までの3ヶ月間。 僕が何を考え、何をしてきたのか? 裏側をお話していきます。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 23 第5章 1番長い番外編 あれは、独立を決意する3ヶ月程前のことです。 僕は一つ疑問に感じている事がありました。 それは、よく美容室で言われる法則というものがあるのですが、 あなたも聞いたことあるのでは無いでしょうか? 「2割の優良顧客の売上が、全体の8割の売上を占める」 というもの。 たしかに、僕が働いていた美容室でも そうゆういわゆる VIP 顧客みたいな人っていました。 毎月来店して、しかもカット+カラー+トリートメントを 必ずフルコースでしていって、しかも商品まで買ってくれて 平均2〜3万円払っていくお客様。 1万円代の時は「今日はいつもより安い」とか言ってしまうお客様。 新しいトリートメントなどを提案すると、「お任せします」と言うお客様。 ・・・うーん。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 24 何故このようなお客様たちは こんなに簡単にお金を払っていくのだろう? しかも、こういうお客様ってどこの美容室にも存在するらしい。 うーーん・・・。 ずっと引っかかっていました。 何に対して僕は、こんなに疑問に思っていたのか? それは・・・ どうすれば、 この優良顧客だけを集めた美容室が出来るのだろうか。 でした。 優良顧客というお客様は、通常のお客様の売上の2〜3倍。 それ以上のお金を払ってくれます。 ということは、少ない客数でも大きな売上が成り立ちます。 例えば、 客単価が 7000 円の美容室が 100 万円売りあげようとしたら、 1,000,000(売上) ÷ 7,000(客単価) = 約 143 人 です。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 25 でも、客単価 1 万 4000 円だったらどうでしょうか? 1,000,000(売上) ÷ 14,000(客単価) = 約 72 人 です。 客単価が違うだけで、売上を実現するための目標人数は 71 人も差が出てしまう。 143 人集客するより、72 人集客するほうが 簡単そうではないでしょうか? しかもそういうお客様って来店ペースも比較的早いので、 少ない客数でお店の売上を立てることが可能になります。 (実際に顧客数 100 人超えた時点で 1 ヶ月先まで予約がほぼ埋まるようになりました。) こんなに美容室が乱立している時代です。 もう他の美容室と同じやり方で成功できるとは全く思っていませんでした。 しかもキャリアたった3年の僕が、他店のベテラン美容師と 同じ土俵で勝てる訳がありません(キッパリ) なので重要なのは、 どうやってこの VIP 顧客を効率良く集めるか。 ここがポイントだと思いました。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 26 そこで僕が実際に始めたこと。 それは・・・ 実際に VIP 顧客に聞いてみよう!でした(笑) どうしてうちに来てくれているのか? どこが良くて来てくれているのか? なぜ毎回トリートメントや商品を買ってくれるのか? 率直に聞いて見ることにしました。 「リサーチ」という奴ですね。 これをして分かったこと。僕はとてもビックリしました。 なぜなら理由が一目瞭然だったからです。 答えは1つ。それは・・・ 「髪をキレイにしたいから」 いつまでも髪をキレイな状態にしていたい。 髪がキレイじゃないと毎日が憂鬱だから。 髪に艶があったほうが、気持ちいいから・・・etc Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 27 僕の中で今までの点と点がパン!と線になった瞬間でした。 もちろん髪をキレイにしたい!と思う女性は沢山います。 でも彼女たちは違うのです。彼女たちは、 髪をキレイにするためなら、少し値段が高くてもお金を払う。 方達なのです。 最初から値引きの料金に惹かれて来ている訳では無いのです。 むしろ、最初から髪をキレイにするためには、 ある程度お金がかかる事を理解して来てくれているのです。 それだったら、うちだって傷ませない施術をうたっているよ! と思ったあなた。 違います。あくまでもお客様は、 傷ませたくないのではなく、キレイにしたいのです。 お客様が傷ませたくない。といっているのは、 傷んだら髪がキレイじゃなくなる。と思っているからです。 でもどうでしょうか?傷んだら髪はキレイじゃなくなるのでしょうか? Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 28 くせ毛でバサバサのお客様を、 傷みを感じさせないサラサラストレートヘアーに出来たら・・・ 白髪交じりのツヤのないグレーヘアーに、 ツヤと潤いのあるナチュラルブラウンヘアーに出来たら・・・ おっと、少し話がズレてしまいましたね。 この髪をキレイにする技術に関しては、 またの機会に説明させていただきます。 これで、VIP 顧客というのは「髪をキレイにしたい客層」 ということが分かりました。 後はこの客層にどうやって知ってもらうか? どうやって「いきたい!」と思ってもらえるか? ここがポイントです。 ちなみに、あなたはこう思ったかもしれません。 そんなに VIP 顧客っているものなの!?って。 ここで、僕が考えた仮説を紹介していきます。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 29 例えば、この「2割の優良顧客の売上が、全体の8割の売上を占める」 という法則から推測できることは、 美容室に行くお客様の 2 割は優良顧客。 ということになります。 例えば、人口 4 万人の小さな都市があったとして 女性の人口が半数の 2 万人だったとします。 (通常は女性のほうが若干多い都市がほとんどです) その中の半数が美容室に行っているとして、1 万人。 (もっと行っていると思いますが控えめに) そして、優良顧客の割合もあえて控えめに 1 割で計算します。 (仮設を立てるときは控えめに立てるのがおすすめです) 10,000 人 × 10% = 1000 人 おそらく最低でも 1000 人はいるのでは?ということが分かるわけです。 しかもこの仮説はかなり控えめに計算していますし、 とても小さな都市での計算方式です。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 30 ちなみに、僕の美容室「リーリエ」がある前橋市の人口は 30 万人です。 がしかし、これは合併後の人口なのでかなり遠方の街まで含まれています。 本来の前橋市の人口で考えると 20 万人。女性が、10 万人として考えます。 そして、この中で美容室に行っている女性を半数とすると、5 万人。 最後に、優良顧客の割合もあえて控えめに 1 割で計算します。 50,000 人 × 10% = 5000 人 おそらく最低でも 5000 人はいるのでは?ということが分かるわけです。 では実際に、現在 2 ヶ月先まで予約いっぱいの美容室リーリエの 顧客数はというと・・・ 500 人です。 たったの 1 割しか対応しきれていません。 実際には半数以上をお断りしている状況なので 今まで問い合わせが来た人数は 1000 人以上になっていると思います。 それでも 2 割です。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 31 この計算方式は、かなり控えめにしているので おそらく 5000 人以上の見込み客がいることが分かります。 いかがでしょうか? 数字で計算していくと、この計画が可能なのか、難しいのか イメージが付いて来ませんか? このように仮説を立て、戦略を立てていくと自分が考えている計画が うまく行きそうなのか、行かなそうなのかが、ある程度分かってきます。 経営とはお金の流れ。つまり数字の流れを管理することです。 逆算思考を徹底的にしていくことで、成功するべくして成功する。 ビジネスとは、そういうものであると僕は考えます。 その為には、今までの美容業界のやり方ではダメなのです。 美容師という職業にもっと夢や希望が必要なのです。 休憩もほとんど取らずに、夜遅くまで働いて、休みも少ない。 一生懸命頑張っているのに給料は少なく、この先の保証もゼロ。 あなたが思い描いた美容師像はそうでは無かったはずです。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 32 きっと、ドラマに出てくるようなもっと明るい未来を 描いていたのでは無いでしょうか? これを機会に是非考えてみてください。 そして・・・ これからあなたが目指す美容室像は、 値引きで集客をして、毎日あくせく働いて、 それでも少ない利益を毎日積み重ねていくことで 何とか経営をしていける美容室ですか? それとも、値引きをせずに、高単価でも来てくれる優良顧客だけと接して、 仕事とプライベートも充実し、しっかり利益の出る美容室ですか? 追伸 経営とは・・・ 成功するか、失敗するかの博打ではありません。 経営とは、成功するべくしてするものです。 その為には、あなたは正しい情報を常に選択していくことが 必要になっていきます。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 33 しかし・・・ 現実はそんなに甘くはなく、目先の利益で誘惑したり、 あなたの不安をあおるような情報であふれています。 でも、あなたにはそのような情報にまどわされる時間は無いのです。 今まで僕は、そういう経営者を沢山見て来ました。 新しい商品が出るとすぐに飛びつき、また出るとすぐ飛びつき・・・ 常に右往左往している始末。 お客様にも毎回新商品を勧め、 結果がどうなのかも分からないモノまで売ってしまう。 実際こういう美容室ってかなり多いのですが、 結局、そういう美容室はこの先潰れていきます。 (現に今も潰れていますが・・・) お客様は別に新商品が欲しいわけでは無いのです。 自分にとって良い商品・サービスが欲しいだけですから。 それでも、途中で気づいた人はなんとか持ち越して 今は順調に右肩上がりになっている人もいます。 なのであなたはそういう事がないように、 いらない情報は排除して自分に必要なものだけを選んでいってください。 Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 34 読んでいただきありがとうございました。 猪熊 正人 猪熊への質問・感想はこちらから送ってください。 旅行などで、返信まで 3 日ほどお時間を いただくこともありますが、必ず返信いたします。 [email protected] 「猪熊式・ゆとりある美容室経営」公式 HP http://tuyakami.info/ Copyright©2013 inokuma masato. All Rights Reserved. 35
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