獨協医科大学神経内科 脳卒中診断・治療指針 獨協医科大学 神経内科 脳卒中部門 竹川英宏(講師,部門長) 浅川洋平,山本真也,新島悠子,小川知宏,大門康寿, 江幡敦子,横田隆子 獨協医科大学 神経内科 国分則人(講師,病棟医長),平田幸一(教授) 作成:2007 年 12 月 改訂:2010 年 2 月 注 意 本指針は,主に脳卒中治療ガイドライン 2009 に準じて作成した獨協医科大学病院 での診断・治療指針であり,主に脳梗塞について記載してあります. 主に,臨床研修医ならびに脳卒中診療に携わり間もない医師を対象としています. 本指針が全ての症例に当てはまるものではありません. 必ず参考図書に記載したような成書にも目を通すようにしてください. 1 目 次 参考資料 脳血管障害の分類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 1.脳梗塞 超急性期治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 2.入院時検査項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 3.重症度評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 4.入院後検査項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 5.塞栓源検索・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7~8 6.急性期脳血栓症の治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8~11 ・ラクナ梗塞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 ・アテローム血栓性梗塞,動脈原性塞栓症,BAD・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10~11 ・血行力学性梗塞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 7.慢性期抗血小板薬使用(脳血栓症)の選択・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11~12 8.心原性脳塞栓症の治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12~13 9.心原性脳塞栓症におけるワルファリンコントロール目標・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 10.奇異性脳塞栓症の診断と治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 11.脳血栓と心原性脳塞栓症鑑別困難例における治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 12.急性期外科治療(開頭減圧術)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 13.慢性期外科治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・ 15 14.一過性脳虚血発作の治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 15.若年性脳梗塞の鑑別・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 16.脳動脈解離の診断・治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 17.抗リン脂質抗体症候群の診断・治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 18.その他の特殊脳梗塞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19~21 ・片頭痛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 ・全身性エリマトーデス(SLE)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 ・高安病・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 ・側頭動脈炎・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 ・結節性多発動脈炎(PN)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 ・線維筋形成不全(FMD)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 ・Protein C 欠乏症,Protein S 欠乏症・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 ・高ホモシステイン血症・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 ・妊 娠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 2 19.脳梗塞急性期一般治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21~23 ・栄養・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 ・安静度(重症例)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 ・急性期血圧管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 ・抗浮腫療法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 ・脳保護療法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 ・糖尿病・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 ・平温療法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 ・血液レジオロジー因子改善療法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 ・消化性潰瘍予防・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 20.脳梗塞慢性期一般治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24~25 ・高血圧(慢性期血圧管理)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 ・糖尿病・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 ・脂質異常症・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 21.脳内出血の治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25~27 22.脳静脈洞血栓症の治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27~28 23.脳卒中全般の合併症と注意点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28~29 ・深部静脈血栓症・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28 ・嚥下障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28 ・痙攣・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28~29 ・めまい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 ・消化性潰瘍・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 ・血管性パーキンソン症候群・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 24.抗血栓薬の中止・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29~31 ・アスピリン使用例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 ・クロピドグレル使用例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 ・アスピリンとシロスタゾール併用例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 ・アスピリンとクロピドグレル併用例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 ・ワルファリン使用例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 25.脳卒中の一次予防・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31~33 ・喫煙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 ・高血圧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 ・糖尿病・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 ・脂質異常症・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 ・心房細動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32 ・メタボリックシンドローム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32 3 ・無症候性脳卒中および大脳白質病変・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32 ・無症候性頭蓋内主幹動脈狭窄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32 ・無症候性頭蓋外頸動脈狭窄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32 ・未破裂動脈瘤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 26.脳卒中再発・再発予防のため(説明用資料)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33~34 参考図書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34 問い合わせ先・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 34 脳血管障害の分類(参考資料) 5 1.脳梗塞 超急性期治療 血栓溶解療法(t-PA 静注療法)(下記を参照) http://www.dokkyomed.ac.jp/dep-m/neuro/neuro06_06.html 血栓溶解療法(t-PA 動注療法) 発症 6 時間以内の MCA 閉塞に対して検討 (CT 変化が軽微,NIHSS4~22 ないし 29) *発症 3 時間以内に投与可能な症例はまず t-PA 静注療法を検討すべきである 2.入院時検査項目 ・頭部単純 CT ・心電図,胸腹部単純レントゲン ・一般採血 (肝腎機能,尿酸,血糖値,HbA1c,CRP,血算) ・凝固系採血 (BNP,D-dimer,PT,APTT,フィブリノーゲン) ・特殊採血 (TAT,β-TG,PF4)・・・駆血帯使用および真空管採血は禁止 ・単純 MRI (T2WI,DWI,FLAIR,MRA,頸部 MRA) ・エコー検査(頸部血管エコー図・経胸壁心エコー図) *奇異性塞栓が疑われる場合には 下肢静脈エコー図および頸動脈または経頭蓋エコー図(シャント診断) 3.重症度評価 ・National Institute of Health Stroke Scale(下記を参照) http://www.dokkyomed.ac.jp/dep-m/neuro/neuro06_06.html ・modified Rankin Scale(退院時にも評価) Grade 0: 障害なし Grade I: 日常業務は全て遂行可能 Grade II: 以前の活動全てを行うのは不可能だが, 介助なしで身の回りのことは遂行可能 Grade III: 何らかの介助は必要だが,自分で歩行可能 (短下肢装具,杖は介助とはしない) Grade IV: 介助なしには歩行不可能 介助なしには身の回りのことは遂行不可能 Grade V: 寝たきり,尿便失禁,常時介助が必要 6 4.入院後検査項目 ・採血 (空腹時血糖,T-Cho,TG,LDL,Lp(a)) *発症間もない時期は脂質系の値は低く出やすいことに留意 ・24 時間血圧計(ABPM)および心電図モニター ・脳血流シンチグラム (奇異性塞栓疑い時は肺換気血流シンチを優先:肺塞栓合併鑑別) ・血液凝固系検査の経時的観察 病 型 病 期 β-TG/PF4 TAT D-dimer BNP アテローム血栓性 脳梗塞 急性期 亜急性期 慢性期 ↑↑ ↑ ↑ ↑ → → →~↑ →~↑ 心原性脳塞栓症 急性期 慢性期 ↑↑ ↑ ↑↑ ↑ ↑~↑↑ ↑~↑ ↑ → → → → ラクナ梗塞 *D-dimer および BNP についての慢性期指標ははっきりしていない 5.塞栓源検索 ・Holter ECG および心電図モニター(発作性心房細動等の検出) ・経胸壁心エコー図および経食道心エコー図 (心原性脳塞栓症も参照) 奇異性塞栓が疑われる場合(別項目も参照) ・下肢静脈エコー図(深部静脈血栓症の検出) ・胸部単純・造影 CT(肺塞栓合併鑑別) ・血液ガス分析(肺血栓塞栓症合併鑑別) ・肺血流・下肢静脈シンチグラム(肺塞栓合併鑑別) ・コントラスト法,Valsalva 負荷を用いた 経食道心エコー図・経頭蓋エコー図・頸動脈エコー図(シャント診断) 7 6.急性期脳血栓症の治療(獨協医科大学病院でのお勧め) 8 ラクナ梗塞 主幹動脈に 50%以上の狭窄がなく,穿通枝領域の 15mm 以下の梗塞で,ラ クナ症候群を呈しなくてもよい.多発性の梗塞の場合は,動脈原性や心原性 塞栓症などの鑑別が必要である. ・オザグレルナトリウム(80mg)×2 回(12 時間毎)を 1 回 2 時間で点滴静注 (保険上最大 2 週間投与可能) ・入院時よりシロスタゾール 200mg/2×内服(点滴と併用) *副作用の問題で投与不可能な場合,アスピリン 200~300mg/1×を 2 日間 投与後,アスピリン 100mg/1×を投与開始(点滴と併用) ・基本的に高張グリセロールの投与は必要ない ・エダラボンの投与は推奨される(別項目参照) ・危険因子のコントロール (特に血圧に関しては慢性期に ABPM で血圧変動タイプを確認する) 再発例(明確なエビデンスはない) ・抗血症板薬の内服は継続し,オザグレルナトリウムを併用 ・抗血小板薬内服(-)またはアスピリン内服の場合にはシロスタゾールを追加投与 ・イコサペント酸エチル 1800~2700mg/2~3×およびスタチン製剤の追加投与 ・イブジラストなどの抗血小板作用を有する脳代謝改善薬の併用 9 アテローム血栓性梗塞,動脈原性塞栓症,BAD ・アルガトロバンまたはオザグレルナトリウムの点滴静注射 (*アルガトロバンは保険上発症 48 時間以降には保険適応なし) (*オザグレルナトリウムの使用はラクナ梗塞を参照) ・アルガトロバン 60mg(6A)/日(24 時間持続点滴)を 2 日間投与後,40mg/日(24 時 間持続点滴)を 2 日間施行し,以後 10mg(1 回 2~3 時間)を 2 回点滴静注 (*保険上での使用は,アルガトロバン 60mg(6A)/日(24 時間持続点滴)を 2 日間投 与後,以後 10mg を 1 日 2 回(1 回 2~3 時間,12 時間毎)5 日間点滴静注.) ・アスピリンを入院時から 160~300mg/1×を 2 日間投与後,アスピリン 100mg/1× (朝)またはクロピドグレル 75mg/1×(朝)を点滴と併用. 出血性梗塞合併時(出血の程度により,以下を施行) ・抗凝固薬,抗血小板薬の一時中止,1 週間後より抗血小板薬の投与開始 ・適時脳単純 CT で出血拡大の有無を確認 ・止血薬や,一般加療以上の血圧コントロールは原則必要としない 再発例(明確なエビデンスはない) ・アスピリン使用時は,シロスタゾール 200mg の併用 またはアスピリンを中止しクロピドグレル使用 ・クロピドグレル 50mg 使用時は 75mg へ増量 ・クロピドグレル 75mg 使用時はアスピリン 81~100mg の併用 またはアスピリン 100mg とシロスタゾール 200mg の併用へ変更 *クロピドグレル 75mg とアスピリン 100mg 併用の場合は 3 ヶ月以内に下記を選択 1.アスピリン 100mg とシロスタゾール 200mg の併用 2.スタチン+イコサペント酸エチル 1800~2700mg/2~3×の追加 3.イブジラストやニセルゴリンなどの脳循環代謝改善薬の追加 *冠動脈ステントの挿入や外科的予防を施行しない例などのハイリスク症例ではア スピリンおよびクロピドグレルの併用を継続せざるを得ない場合があるが,出血性合 併症に十分留意する(血圧管理および PPI などの併用). 10 進行例 ・定義:局所神経症候が発症後 72 時間以後も進行 ・原因:脳浮腫,低血圧,低灌流,再発性塞栓,動脈内血栓の進展,出血性梗塞 ・対処: アスピリンとクロピドグレルまたはシロスタゾールの併用 カンデサルタン少量の併用 乳酸リンゲル液(デキストラン 40 加)500ml/8 時間 3 日間追加投与 ヘパリン少量(5,000~10,000 単位)追加 (著明な低血圧を認める場合は昇圧剤(DOB)投与も考慮) 血管内治療を含めた外科治療の考慮 血行力学性梗塞 ・原則的に原疾患の治療(心不全など) ・基本的にアテローム性血栓梗塞に準じる ・著明な低血圧を認める場合には昇圧剤(DOB)の投与を考慮 ・デキストランやアルブミン製剤の投与を考慮 7.慢性期抗血小板薬使用(脳血栓症)の選択 (獨協医科大学病院でのお勧め) 抗血小板薬の指針(獨協医科大学での指針) A)ラクナ梗塞 シロスタゾール(+スタチン+EPA) B)アテローム血栓性梗塞 ①頭蓋外・内主幹動脈に高度狭窄なし シロスタゾール or クロピドグレル or アスピリン (+ スタチン + EPA) ②頭蓋外・内主幹動脈に高度狭窄あり (または Essen Stroke Risk Score 3 点以上) アスピリン+シロスタゾール or クロピドグレル (+ スタチン + EPA) ③BAD シロスタゾール or アスピリン+シロスタゾール or クロピドグレル C)再発例 抗血小板薬併用 + スタチン + EPA (*EPA:イコサペント酸エチル) 11 (Essen Stroke Risk Score) 上記にて 3~6 点となる場合には,アスピリンよりもクロピドグレルが望まれる. 8.心原性脳塞栓症の治療(獨協医科大学病院でのお勧め) ・発症 24 時間後の脳 CT で出血性梗塞がないことを確認し,血腫を形成するような大 きな出血がなければ,ヘパリン 1 万単位/日持続点滴を開始 (2 日ごとにAPTTの高度延長がないか確認) (軽症例で大きな梗塞でない場合には,入院時よりヘパリン投与開始) ・ヘパリンと同時にワルファリン 5mg/1×を 2 日間投与し,以後 2mg から PT-INR を確 認しつつコントロールする. (2 日毎に PT-INR を確認し 1.7 以上でヘパリンを中止) *下肢静脈血栓(+)で,主幹動脈閉塞でなければ,入院時より治療開始する (肺血栓塞栓症の危険性があるため) 出血性梗塞(出血の程度により,以下を施行) ・出血性梗塞確認後,2~3 日後の CT で出血の拡大がなければ治療再開 ・治療中に出血性梗塞を認めた場合は,ヘパリンは中止(ワルファリンは継続) ・適時頭部 CT で出血拡大の有無を確認 ・血圧を 180/90mmHg 前後でコントロール 12 80 歳以上例(原則ワルファリン使用) ・高度認知症,内服コンプライアンス不良,本人・家族のワルファリン内服拒否,全身 的な出血の危険性等を認める場合,以下で治療 ・発症 24 時間後の脳 CT で出血性梗塞がないことを確認 ・出血がなければ,ヘパリン 1 万単位/日持続点滴, (2 日ごとに APTT の高度延長がないか確認) ・ヘパリンを 7 日間使用 ・ヘパリン終了 2 日前より,アスピリン 100mg の抗血小板薬を服用開始 再発例 ・基本的に急性期治療に準ずるが,PT-INR でのコントロールをより厳密に施行する (入院時にワルファリンを中止する必要はない) 9.心原性脳塞栓症におけるワルファリンコントロール目標 (獨協医科大学病院でのお勧め) ・原則目標 : 2.0~3.0 ・70 歳以上 : 1.6~2.6(可能な限り 1.7 以上を目標) ・人工弁(生体弁): 2.0~3.0 ・人工弁(機械弁): 2.0~3.0(可能な限り 2.5 以上を目標) ・奇異性脳塞栓症: 2.0~3.0 (DVT がない場合はアスピリン 325mg でも良いがなるべくワルファリンを選択) ・先天性血栓素因: 2.0~3.0(エビデンスはない) (AT-Ⅲ,Protein S,Protein C 欠乏など) *甲状腺機能亢進を伴う場合は,甲状腺ホルモンレベルに応じて治療を要する ワルファリン投与時の注意項目 ・痛風治療薬 :作用増強(コルヒチンは相互作用なし) ・クロレラ :作用減弱 ・納 豆 :作用減弱 ・緑黄色野菜 :作用減弱 ・アルコール :作用減弱 ・便 秘 :作用増強 13 10.奇異性脳塞栓症の診断と治療(獨協医科大学病院でのお勧め) ・ヘパリン持続静注 10,000~15,000 単位/日 ・ワルファリン内服 PT-INR 目標:2.0~3.0 程度 (DVT がない例では慢性期にアスピリン 325mg でも代替可能であるが,日本人にお ける適切なアスピリン量は不明であり,可能な限りワルファリンが望まれる.) *主幹動脈閉塞でなければ,肺血栓塞栓症の危険があるため,すぐにヘパリン,ワル ファリンを投与開始 診断指針 1) CT または MRI で脳梗塞を認める 2) 経食道心エコー図で卵円孔開存を認める 3) 超音波検査または RI venography で静脈血栓を認める 4) 神経放射線学的に塞栓性の特徴を示す *皮質枝梗塞,脳血管撮像で塞栓性陰影や再開通所見など 5) 他の塞栓源となる疾患がない *心房細動,人工弁,リウマチ性心疾患,拡張型心筋症,洞不全症候群, 急性心筋梗塞,心室瘤,大動脈弓部の 4.0mm 以上のプラーク, 責任血管の 50%以上狭窄など 確定診断:1)+2)+3)+4)+5) 疑い診断:1)+2)+3)+4),1)+2)+3)+5),1)+2)+4)+5) Yasaka M et al. Internal Medicine 44: 434–438, 2005 *DVT の存在を予測するには D-dimer が有効であり,60 歳未満では 0.75μg/ml 以 上,60 歳以上では 0.5μg/ml で疑われる. 14 11.脳血栓と心原性脳塞栓症鑑別困難例における治療 (獨協医科大学病院でのお勧め) ・アテローム性血栓脳梗塞(アルガトロバン)に準じて加療 ・速やかな鑑別精査 心電図モニター,Holter 心電図で不整脈の確認 頸部血管エコー図,経胸壁心エコー図,経食道心エコー図 等 *発作性心房細動を疑う参考所見 ・入院時 BNP > 76pg/ml,D dime r> 0.96μg/ml ・70 回/日以上の上室性期外収縮 ・左房径(経胸壁心エコー図)>3.8cm ・左心耳収縮期血流速度(経食道心エコー図)20cm/s 以下 12.急性期外科治療(開頭減圧術)の選択 下記適応を満たせば発症 48 時間以内に硬膜形成を伴う外減圧術を検討 ・18~60 歳 ・NIHSS 15 点以上 ・意識障害例 (NIHSS 1a が 1 以上) ・中大脳動脈領域の梗塞が 50%以上 13.慢性期外科治療 ・NASCET 法で 70%以上の狭窄がある場合に CEA または CAS を考慮 (発症後 2 週間弱の時期に施行) ・不安定プラークや潰瘍形成を伴うプラークなどがある場合 CEA または CAS を考慮 ・ICA または MCA の狭窄や閉塞を認め,73 歳以下で mRS が 2 以下の場合は EC-IC バイパスを考慮 (発症 3 カ月以内に施行.ただし欧米では閉塞例に対して推奨はされていない) ・前方循環および後方循環における多数の動脈狭窄では,責任血管の治療を優先し, 以後シンチグラムなども検討して考慮する. 15 14.一過性脳虚血発作の治療(獨協医科大学病院でのお勧め) ・原則入院加療を勧める ・原因により,アテローム血栓性梗塞,心原性脳塞栓症に準じて治療 ・鑑別困難な場合は,アテローム性血栓梗塞に準じて加療開始 ・高張グリセロールの投与は必要ないが,エダラボンの投与は考慮してもよい 15.若年性脳梗塞の鑑別(獨協医科大学病院でのお勧め) 定義:50 歳未満の脳梗塞 ・脳卒中患者の 1.8%/年を占める ・出血の再発率が,脳梗塞再発率に比べて高値である 原因疾患 ・高血圧,高脂血症,高 Lp(a)血症 ・高ホモシスチン血症・尿症 ・プロテイン C 欠乏症,プロテイン S 欠乏症, AT-Ⅲ欠乏症 ・抗リン脂質抗体症候群 ・DIC(播種性血管内凝固),Trousseau 症候群 ・赤血球異常(赤血球増多症,真性多血症) ・骨髄増殖性疾患(白血病など) ・原発性血小板異常 (TTP,血小板増多症,ヘパリン誘発性血小板減少症・血栓症症候群 等) ・マクログロブリン血症,クリオグロブリン血症,骨髄腫 等 ・経口避妊薬(エストロゲン・プロゲステロン製剤) ・脳動脈解離,線維筋形成不全(FMD),妊娠,産褥 等 16 16.脳動脈解離の診断・治療(獨協医科大学病院でのお勧め) ・40 歳台に発症のピークがある ・若年性脳梗塞の 4%を占める ・原因は特発性,FMD,Marfan 症候群,高血圧,嚢胞性中膜壊死,外傷 等がある ・頭痛の訴えが 68%にある(脳梗塞発症 2~3 日前が 72%,同時発症が 28%) ・頭蓋外解離では脳梗塞が 89%を占める ・頭蓋内解離では脳梗塞が 60%,くも膜下出血での発症が 39% ・総頸動脈・内頸動脈系に 17%,椎骨動脈系に 83%といわれている. 検 査 ・頸部血管エコー図(intimal flap の直接観察) ・頭部 MRI(T2WI,Gd-T1WI-axial) ・頭部 MRA(造影剤を使用した,MRA の元画像) ・3D-CT Angiography ・脳血管撮影 等 治 療 ・原則として,頭蓋内動脈解離による脳梗塞は脳血栓に準じて加療する ・頭蓋外動脈解離による脳梗塞は心原性脳塞栓症に準じて加療する ・動脈解離部は経時的に変化するため,最初の 3 ヶ月は 1 ヶ月毎に MRI,エコーなど で確認 ・嚢状拡大を認めた場合は,抗血小板薬などは中止し,外科治療の適応判断 17 17.抗リン脂質抗体症候群の診断・治療 (獨協医科大学病院でのお勧め) ・閉経前の若年女性,再発性かつ多発性脳梗塞を呈する ・基礎疾患として SLE が多い ・動脈血栓(脳梗塞,眼,末梢,心肺,腸間膜) ・静脈血栓(下肢静脈,肝臓,脳,網膜) ・その他 (習慣性流産) 検 査 ・血液・凝固系検査 APTT の延長,ループスアンチコアグラント陽性, 抗カルジオリピン抗体陽性(IgG) 抗カルジオリピン β2 グリコプロテインⅠ抗体 血清梅毒反応生物学的偽陽性 (ガラス板法陽性,TPHA 陰性,FTA-ABS 陰性) 治 療 ・急性期治療は一般的加療と同様(アルガトロバン > ヘパリン) ・慢性期再発予防 ワーファリン(PT-INR:2.0~3.0) 副腎皮質ステロイド(ただし SLE 合併例) *再発例では PT-INR3.0 以上が望まれる *抗血小板薬の効果も示唆されており,経頭蓋エコー図での微小栓子シグナルでの 評価が望まれる. 18 18.その他の特殊脳梗塞(明確なエビデンスはない) (注意点などについて記載) 片頭痛 ・卵円孔開存や動脈解離の合併が多いといわれている. 全身性エリマトーデス(SLE) ・活動性の高い時期に脳血管障害を来たし易い ・大量のステロイド剤,あるいは免疫抑制剤の併用 (活動性に応じてステロイドの増量・パルス療法) ・アルガトロバンの点滴 高安病 ・HLA-B52 と関連,頸動脈エコーでマカロニサインが見られる ・炎症所見がある場合には,プレドニゾロン 30~40mg/日を数ヶ月かけて漸減 ・ステロイド離脱困難例では免疫抑制剤を考慮 ・炎症消退期での予防は抗血小板薬 ・脳循環閉塞高度例,血行再建術後ではワルファリン(INR1.6~2.6)の投与を考慮 側頭動脈炎 ・55 歳以上の高齢者に多い ・側頭部限局の拍動性頭痛(65~95%) ・浅側頭動脈の発赤・腫脹・怒張・圧痛・拍動の減弱 ・脳血管障害はまれだが椎骨脳底動脈系に多い ・赤沈上昇 ・側頭動脈エコー図で血管壁の dark hallo(浮腫状の変化)がみられることもある ・赤沈を参考に,プレドニゾロン 50~60mg を投与,症状を見ながら漸減する (少なくとも 1 年程度は少量のプレドニゾロンを継続) ・重症型(発症直後に視力障害・冠・脳動脈虚血症状)ではプレドニゾロン 60~ 100mg またはステロイドパルス療法 ・ステロイド抵抗性では免疫抑制剤の使用を検討 19 結節性多発動脈炎(PN) ・顕微鏡的 PN:MPO-ANCA(P-ANCA)上昇(古典的 PN では認めない) ・高血圧,大量ステロイドは動脈硬化を促進させる可能性がある ・脳血管障害(脳梗塞>脳出血)は進行した病期でみられやすい (末梢神経障害などがより早期に出現しやすい) ・脳血管障害発症予防は急性期にステロイドパルス療法施行し,以後プレドニゾロン 60mg/日以上を 8 週間投与.その後 8 週かけて減量し 5~10mg/日を 2 年間 (減量は赤沈,CRP,臨床所見を参考に行なう) ・シクロフォスファミド投与を施行する場合は 48~96 週間 ・脳梗塞発症時はアルガトロバンやオザグレルナトリウムでの加療および再発予防と して抗血小板薬を投与 線維筋形成不全(FMD) ・腎動脈や頭頸部動脈など,全身の中小動脈に起こる非動脈硬化性,非炎症性の狭 窄性アンギオパチーである ・男性よりも女性におおい ・腎動脈狭窄が 58%,頭頸部動脈 32%(内頸動脈は椎骨動脈の 5.5 倍)といわれる ・頭頸部では頭蓋外内頸動脈に多く,両側性が 86%といわれている ・頭蓋内狭窄例では 40 歳以下に多いとされる ・脳血管撮影では string of beads(念珠様)が 90%と高頻度であり,動脈瘤形成は内 頸動脈・中大脳動脈に多い ・抗血小板薬の内服(血行再建術も検討) Protein C 欠乏症,Protein S 欠乏症 ・脳梗塞の発症直後および発症慢性期いずれも異常値を示す ・家族内にこれらの蛋白質欠乏ないし著しい低値者が存在する *Protein C は播種性血管内凝固(DIC),悪性腫瘍,肝疾患,敗血症でも欠乏状態 となる ・確立した治療法はないが,ワルファリン療法(PT-INR:2.0~3.0)が推奨されている 20 高ホモシステイン血症 ・葉酸を使用することを考慮してもよい ・血中ホモシステインが 10μmol/l 以上の場合は,総合ビタミン薬の連日投与を考慮し てもよい もやもや病(脳梗塞発症) ・第一に外科的治療を検討 ・脳血栓に準じて治療 ・アスピリンまたはクロピドグレルによる再発予防 ・成人例では出血発症が多いことに留意 ・過換気となるような状況は避ける 妊 娠 ・高リスク群(凝固異常や心房細動など)では妊娠期間を通じて APTT のモニタリング をしながらヘパリン投与(静脈内投与・皮下注射)を考慮する ・低リスク群では出産予定日 3 か月前までアスピリン 100mg 内服 *脳梗塞は産褥第 1 週に多発しやすいため,高リスクではヘパリンなどを検討 *くも膜下出血や高血圧性脳出血もみられるため,血圧管理が重要 *高安病では分娩第 1・2 期に脳出血を発症しやすい 19.脳梗塞急性期一般治療(獨協医科大学病院でのお勧め) 栄養 ・基本的に意識障害や嚥下障害がない場合は食事の摂取を行う ・食事は全粥食で副采を刻み,トロミをつけることで誤嚥のリスク軽減を図る ・入院時より低栄養がある場合は,経腸補助食の併用を考慮する ・末梢点滴ではアミノ酸などを含んだものを考慮する ・急性期からの中心静脈栄養は行わない方が望ましい 21 安静度(重症例) ・基本的に発症直後は絶対安静(頭部挙上も不可) ・発症 2~3 日後より挙上(30°,60°,90°,車椅子と 1 日毎にあげていく) ・高齢,主幹動脈閉塞:慎重な血圧管理のもとにリハビリを開始 ・ベッドサイドリハビリは入院初日より開始する 急性期血圧管理 ・原則脳梗塞では降圧を必要としない ・目標:入院時血圧の 85~90% or 185~220/105~120mmHg ・収縮期血圧 220mmHg 以上または平均血圧(=拡張期血圧+脈圧/3)130mmHg 以上が 20 分以上の間隔で 2 回ともみられた場合,降圧剤の内服またはニトロ製剤の 貼布,Ca 拮抗薬の微量持続点滴を考慮する ・拡張期血圧 140mmHg 以上が 5 分以上の間隔で 2 回ともみられた場合,Ca 拮抗 薬の微量持続点滴を考慮する ・左心不全,心筋梗塞,腎不全,大動脈瘤などの合併があり,これらの疾患の増悪が 懸念される場合には,185/105mmHg 以下を目標とする ・多量の降圧薬を内服している場合には,薬剤中止による心不全合併などを考慮し, 入院前の内服の半量継続なども施行も考慮する ・心原性脳塞栓症(大梗塞)では 180/100mmHg 以下を目標とする ・純粋なラクナ梗塞では 130/85mmHg 以下にコントロールする (アテローム血栓の要素が強いときは,一般的コントロールが望まれる) 抗浮腫療法 ・原則脳ヘルニアの危険が高い場合に使用を検討する (機能的予後を改善するエビデンスはない) ・高張グリセロール 200ml~1000ml(1 回 200ml を 30 分~1 時間で投与) 神経症候安定したら,2~3 日ごとに 200mlずつ減量 ・浮腫による増悪が著明な場合,フロセマイド 40mg 単回投与の考慮 ・心不全合併時は,使用について十分検討を行い,厳重な水分管理を行う 22 脳保護療法(エダラボン;最大 14 日間投与可能) ・8 日以上の使用を推奨(運動麻痺では 10 日以上の使用を推奨) ・腎障害(eGFR<30ml/min./1.73m2 または Cre>1.5mg/dl)では腎機能障害増悪など の副作用が懸念されるため投与については慎重に検討(透析患者では禁忌) ・慎重投与:肝機能障害,心疾患 ・副作用:急性腎不全,肝機能障害,血小板減少,DIC ・併用注意: グリセオール,β ラクタム系,ニューマクロライド,アミノグリコシド系, グリコペプチド系,ニューキノロン系,アンフォテリシン B,β 遮断薬, ACE 阻害薬,A II 受容体拮抗薬 ・最低でも,投与翌日,3 日後,7 日後は採血検査施行 ・急性腎不全時には DOA 少量,充分な補液,利尿薬で改善を図る 糖尿病 ・高血糖は速やかに改善する 平温療法(明確なエビデンスはない) ・発症 7 日以内の体温が 37.0℃以上の場合,積極的クーリング療法を施行. ・37.6℃以上の場合,クーリングおよび解熱鎮痛薬の併用 血液レジオロジー因子改善療法(明確なエビデンスはない) ・Hct 45%以上の場合,乳酸リンゲル液(デキストラン 40 加)の投与を行っても良い (保険適応外,使用しても 3 日間,急性循環不全) 消化性潰瘍予防 ・高齢者,消化性潰瘍の既往がある場合にはプロトンポンプ阻害薬投与が望まれる. *H. pylori 感染,喫煙,飲酒でも胃潰瘍の危険率は上昇する *欧米では消化性潰瘍および逆流性食道炎の予防にはファモチジン 40mg で予防効 果を得たと報告されている *本邦における胃粘膜保護薬ではレバミピドの有効性が知られており,併用も良い 23 20.脳梗塞慢性期一般治療(獨協医科大学病院でのお勧め) 高血圧(慢性期血圧管理) ・発症約 1 ヶ月後よりコントロールを開始する ・一次目標(2~3 ヶ月かけてコントロール)は 150~170/95mmHg 未満とする ・二次目標(発症数ヶ月かけて)は 140/90mmHg(家庭血圧 135/85mmHg)以下とす る ・ 発 症 後 1 年 後 に は , 高 度 狭 窄 が な い 場 合 , 130/85mmHg ( 家 庭 血 圧 125/80mmHg)以下とする *少なくとも家庭血圧を起床時,就寝時に測定し血圧変動を確認する 降圧薬の選択 ・ATII 阻害薬(+利尿薬) ・ACE 阻害薬+利尿薬 ・Ca 拮抗薬 ・AT II 阻害薬+利尿薬+Ca 拮抗薬 *糖尿病ある場合は第一選択として AT II 阻害薬または ACE 阻害薬から開始 *難治性早朝高血圧には α 拮抗薬の就前投与を検討 *non-dipper や inverted dipper タイプの血圧は,日中や早朝における脳循環不全 症状の有無に注意する 糖尿病 ・HbA1c 5.8 未満,空腹時血糖が 110mg/dl 未満が望まれる ・HbA1c 6.5 以上では不十分である ・脳卒中二次予防ではピオグリタゾンが有効であるが,心不全例や低血糖を生じやす い例では α グルコシダーゼ阻害薬が望まれる ・基本的にスタチン製剤の併用が望まれるが,血糖コントロールが不良となる可能性 に留意する ・日本糖尿病学会:科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン(南江堂)を参照 24 脂質異常症 ・基本的にスタチン製剤を選択し,EPA の併用を検討する ・LDL120mg/dl 未満,HDL40mg/dl 以上,TG150mg/dl 未満にコントロール ・冠動脈疾患がある場合には,LDL100mg/dl 未満にコントロール ・可能な限り LDL/HDL を 2.0 未満(できれば 1.5 以下)にコントロール *欧米の報告では,脳出血の既往を持つ例では LDL<70mg/dl で出血合併症が増加 する可能性が指摘されている 21.脳内出血の治療(獨協医科大学病院でのお勧め) 原 因 ・高血圧 ・脳アミロイドアンギオパチー ・脳血管奇形 ・頭部外傷 ・血管炎(PN,SLE など) ・脳感染症 ・脳腫瘍 ・Wills 動脈輪閉塞症 ・出血性素因 白血病,再生不良性貧血,血小板減少性紫斑病,血友病,肝硬変,抗凝固剤 分 類 ・被殻出血(高血圧性出血) Ⅰ :内包外に限局(死亡率 4%) Ⅱ :内包前脚へ進展(死亡率 7~16%) Ⅲa :内包後脚へ進展,脳室穿破なし(死亡率 6%) Ⅲb :内包後脚へ進展,脳室穿破あり(死亡率 21%) Ⅳa :内包前,後脚へ進展脳室穿破なし(死亡率 26%) Ⅳb :内包前,後脚へ進展脳室穿破あり(死亡率 74%) Ⅴ :視床,視床下部へ進展(死亡率 54~92%) 25 ・視床出血(高血圧性出血) Ⅰa :視床に限局,脳室穿破なし Ⅰb :視床に限局,脳室穿破あり Ⅱa :内包へ進展,脳室穿破なし Ⅱb :内包へ進展,脳室穿破あり Ⅲa :視床下部または中脳への進展,脳室穿破なし Ⅲb :視床下部または中脳への進展,脳室穿破あり 治 療 血圧管理 ・血腫増大は発症 6 時間以内に多いため,この期間は 140~160/80~90mmHg 程 度にコントロールする ・発症 24 時間以後は収縮期血圧を 180mmHg 以下または平均血圧(=拡張期血圧 +脈圧/3)130mmHg 未満にコントロールする ・血圧コントロールは Ca 拮抗剤の持続静脈内投与(内服の併用も可) *脳主幹動脈狭窄の有無を必ず確認する 抗浮腫療法(高張グリセロール 200~1000ml) ・発症 6 時間後の脳 CT で血腫拡大がないことを確認し使用 ・脳幹出血などで,生命の危機がある場合はすぐに使用 (前述の使用方法を参照) 止血剤 ・アドレノクロム 100mg を持続点滴静注(エビデンスはない) ・Vitamin C:2000mg(血管壁の強化を期待するがエビデンスはない) ・FFP 輸血(肝硬変などで,凝固因子が不足例で使用を検討) ・ワルファリン内服例では速やかに INR を 1.35 以下にする(第Ⅸ因子複合体であるプ ロトロンビン複合体が望まれるが保険適応外であり,使用できない場合はビタミン K を投与する) ・出血傾向が著しい場合は血小板やプロトロンビン複合体も検討 透析 ・腹膜透析または持続血液濾過を検討.1~2 週間後に維持透析へと移行 26 外科治療 ・被殻出血 ・視床出血 ・皮質下出血 ・小脳出血 ・脳幹出血 :血腫が 31ml 以上で JCS20~30 の意識障害 :水頭症合併時に脳室ドレナージ術を検討 :脳表から 1cm 以下の部位 :最大径が 3cm 以上または脳幹圧迫所見がある例 :適応はないが,脳室内穿破が主体例では脳室ドレナージ術を検討 安静度・リハビリテーション ・出血拡大がなく,神経症候安定したらベッドサイドよりリハビリテーションを開始 脳内出血後の抗血栓剤使用(血栓の危険が高い例:獨協医科大学のお勧め) ・出血発症後 1~2 週間は抗血栓療法を施行しない ・2~3 週後からヘパリンを開始し,出血の拡大がないことを確認してワルファリンコン トロール(PT-INR1.6~2.0)を行う 22.脳静脈洞血栓症の治療(獨協医科大学病院でのお勧め) 症 状 ・頭痛:最も早期に出現,70~90%に見られる 通常片側持続性が多いが,前頭部,側頭部限局もある ・意識障害:頭蓋内圧亢進に伴い出現,30~60% ・痙攣発作:40~60%に出現 ・運動障害,感覚障害,精神機能障害 原 因 ・感染症一般(頭蓋内・外感染,敗血症,心内膜炎,など) ・脳腫瘍,脳梗塞,脳出血 ・妊娠,産褥,経口避妊薬(エストロゲン,プロゲステロン) ・悪性腫瘍 ・多血症,出血後貧血,鎌状赤血球,PNH,血小板減少症 ・ATⅢ欠乏,PC 欠乏,PS 欠乏,DIC ・代謝性(激しい脱水,甲状腺機能亢進症,ネフローゼなど) ・膠原病(SLE,側頭動脈炎,Wegener 肉芽腫,サルコイドーシス等) ・右心不全 27 治 療 ・ヘパリン 3000 単位を静注(iv),以後 15,000~65,000 単位を約 2 週間持続点滴 ・APTT は入院時の約 2 倍にコントロールする ・出血を認めても基本的に治療を中止する必要はない ・ヘパリン後のワルファリン投与は心原性脳塞栓症に準じる (ヘパリン開始約 10 日後より開始) ・発症後 3~6 ヶ月までワルファリンを使用後,抗血小板剤に切り替える (血液凝固異常の基礎疾患がある場合はワルファリン継続) ・浮腫の程度により高張グリセロールの併用を検討 ・AT-Ⅲ欠乏,DIC などに対しては AT-Ⅲ製剤投与 ・原疾患の治療 ・局所ウロキナーゼ投与の検討 23.脳卒中全般の合併症と注意点(獨協医科大学病院でのお勧め) 深部静脈血栓症 ・弾性ストッキングや間欠的空気圧迫法,または両者の併用 嚥下障害(誤嚥性肺炎予防) ・ACE 阻害剤を検討 ・脳梗塞ではシロスタゾールの使用を検討 ・シンメトレル 100~150mg を検討 ・L-Dopa100~200mg を検討 痙攣 ・脳卒中における痙攣発作の多くは,部分発作であり,カルバマゼピンが第 1 選択で ある. ・大きな脳出血では数日間の抗痙攣剤を投与してもよい ・発症 14 日以降に出現した痙攣(late seizure)は,てんかんとなる可能性が高いた め,継続的な抗痙攣剤の内服を考慮する. 28 代表的薬剤と代表的副作用 ・カルバマゼピン 眠気,ふらつき,肝機能障害,汎血球減少,皮膚粘膜眼症候群 ・バルプロ酸ナトリウム 肝機能障害,高アンモニア血症 等 ・フェニトイン めまい,ふらつき,不整脈,肝機能障害など めまい ・イブジラストを使用 消化性潰瘍予防(19.脳梗塞急性期一般治療 も参照) ・高齢者,胃潰瘍の既往がある場合にはプロトンポンプ阻害剤投与が望まれる. ・ファモチジン 40mg およびレバミピドの併用を検討 血管性パーキンソン症候群 ・抗パーキンソン病薬は基本的に効果を期待できないが,投与を検討しても良い 24.抗血栓薬の中止 (内視鏡および止血困難な小手術:獨協医科大学病院のお勧め) ・原則,抜歯や観察のみの内視鏡検査,止血が容易な小手術は内服継続 ・抗血小板薬の再開は可能な限り検査(手術)翌日までに行う (長期中止が必要な場合は入院でヘパリンの使用を検討) ・抗血小板薬内服例においても,脳頸部主幹動脈に高度狭窄がある場合は,入院で ヘパリンを使用することを検討 29 アスピリン使用例 ・検査(手術)10 日前にシロスタゾール 200mg 追加投与 ・検査(手術)7 日前にアスピリン中止 ・検査(手術)3 日前にシロスタゾール中止 ・検査(手術)後,出血リスクが減少したら速やかにアスピリンおよびシロスタゾール 200mg を開始し,シロスタゾールは 5 日間で中止 クロピドグレル使用例 ・検査(手術)13 日前にシロスタゾール 200mg 追加投与 ・検査(手術)10 日前にクロピドグレル中止 ・検査(手術)3 日前にシロスタゾール中止 ・検査(手術)後,出血リスクが減少したら速やかにクロピドグレルおよびシロスタゾー ル 200mg を開始し,シロスタゾールは 5 日間で中止 アスピリンとシロスタゾール併用例 ・検査(手術)7 日前にアスピリン中止 ・検査(手術)3 日前にシロスタゾール中止 ・検査(手術)後,出血リスクが減少したら速やかにアスピリンおよびシロスタゾール 200mg を開始し,シロスタゾールは 5 日間で中止 アスピリンとクロピドグレル併用例 ・検査(手術)10 日前にクロピドグレル中止しシロスタゾール 200mg 追加投与 ・検査(手術)7 日前にアスピリン中止 ・検査(手術)3 日前にシロスタゾール中止 ・検査(手術)後,出血リスクが減少したら速やかにクロピドグレルおよびシロスタゾー ル 200mg を開始し,シロスタゾールは 5 日間で中止 30 ワルファリン使用例 ・検査(手術)5 日前にワルファリン中止しヘパリン 1 万単位の持続点滴を開始 (APTT を正常対象の 1.5~2.5 倍にコントロール) ・検査(手術)数時間前にヘパリン中止(手術前に APTT を確認) ・検査(手術)後,出血リスクが減少したら速やかにヘパリン 1 万単位ならびにワルフ ァリンを再開 ・INR が目標値に達したらヘパリン中止 25.脳卒中の一次予防(獨協医科大学病院でのお勧め) 喫 煙 ・喫煙は脳梗塞,くも膜下出血の危険因子であり,受動喫煙も含めて避けるべきであ る 高血圧(20.脳梗塞慢性期治療 も参照) ・若年および中年者は病院血圧 130/85mmHg 未満(家庭血圧 125/80mmHg 未満) ・糖尿病および CKD は病院血圧 130/80mmHg 未満(家庭血圧 125/75mmHg 未満) ・高齢者では病院血圧 140/90mmHg 未満(家庭血圧 135/85mmHg 未満) *家庭血圧を起床時,就寝時に測定 *糖尿病ある場合は第一選択として AT II 阻害薬または ACE 阻害薬から開始 糖尿病(20.脳梗塞慢性期治療 も参照) ・HbA1c 5.8 未満,空腹時血糖が 110mg/dl 未満,2 時間値 140mg/dl 未満が望まれ る ・大血管障害の予防には α グルコシダーゼ阻害薬が勧められる 脂質異常症(20.脳梗塞慢性期治療 も参照) ・スタチンによる加療が望まれるが,副作用で使用が困難な場合は,他の薬剤を使用 31 心房細動(獨協医科大学病院でのお勧め) CHADS2 スコア ・TIA を含む脳卒中:2 点,心不全:1 点,高血圧:1 点,糖尿病:1 点,75 歳以上:1 点 上記合計で 2 点以上ではワルファリンの導入が望まれる (上記危険因子が全くない 60 歳未満ではアスピリン 81~330mg の投与でも可) メタボリックシンドローム ・厳密なリスク管理が必要(複合リスクを有するものと考える) ・診断基準: ウエスト周囲計:男性≧85cm,女性≧90cm 上記に加えて下記 2 項目以上 ・高 TG 血症かつ/または低 HDL 血症状 (TG≧150mg/dl,HDL<40mg/dl) ・収縮期血圧 ≧130mmHg かつ/または 拡張期血圧 85mmHg ・空腹時血糖 ≧110mg/dl 無症候性脳卒中および大脳白質病変 ・高血圧を中心とした危険因子の徹底的な管理 無症候性頭蓋内主幹動脈狭窄 ・徹底的な危険因子の管理(降圧については緩徐に施行) ・高度狭窄ではシロスタゾールの検討 (副作用で使用困難な場合は EPA やアスピリンを検討) ・アセタゾラミド負荷脳血流シンチグラムで脳血流が低下する場合は外科的血行再建 術を検討 無症候性頭蓋外頸動脈狭窄 ・徹底的な危険因子の管理(降圧については緩徐に施行) ・NASCET60%以上の狭窄はシロスタゾールおよび EPA 併用やアスピリンなどを投 与 ・NASCET80%以上の狭窄はアスピリンとシロスタゾール併用またはクロピドグレル, アスピリン単剤の投与に加えて,外科的治療を検討 32 未破裂動脈瘤 ・患者の余命が 10~15 年以上ある場合は外科的治療を検討 *大きさ 5~7mm 以上の未破裂動脈瘤 *5mm 未満であっても 症候性の脳動脈瘤 後方循環,前交通動脈,および内頸動脈-後交通動脈などの脳動脈瘤 *Dome neck aspect 比が大きい・不整形・ブレブを有する ・外科的治療を行わない場合は,禁煙,大量飲酒を禁止し,厳重な血圧管理を施行し, 半年~1 年毎の画像評価を行う 26.脳卒中発症・再発防止のため(説明用資料) ①家庭血圧の測定(起床時,就寝前,可能であれば日中安静時も): 血圧変動パターンの確認 ②減塩(目標 6g/日) 塩分量の目安 ラーメンの汁 1 杯:約 8g うどん・そばの汁 1 杯:約 5g 塩鮭 1 切れ:約 2.6g 梅干し 1 個:約 2g 味噌汁 1 杯:約 2g 薄口醤油大さじ 1 杯:約 1g ③バランスの良い食事 ・1 日 5 品目以上の食材で,1 日 3 回バランスの良い食事を摂ること ・卵は 1 日 1 個まで ・青魚の摂取 ④BMI の測定(22 を目標,最高でも 25 を超えないように) (BMI;Body Mass Index:体重 Kg/身長 m/身長 m) ⑤必要カロリーの目安 1 日の必要摂取カロリー(kcal)=標準体重(A:下記)×カロリー数(B:下記) A:標準体重=身長(m)×身長(m)×22 B:カロリー数 ・軽作業労働(デスクワーク,専業主婦など) :25~30 kcal ・通常労働(立ち仕事など) :30~35 kcal ・重労働(力仕事など) :35~40 kcal 33 ⑥運動療法 有酸素運動 :早歩き,ジョギング,サイクリング,水泳 (自覚的にややきつい程度,運動中に会話ができる程度) (1 回 30 分,連日) 歩行 :成人男性;9,200 歩/日 (高齢者では 6,700 歩) :成人女性;8,300 歩/日 :高齢者 ;6,700 歩/日 ⑦禁煙 必須項目 40 本/日で脳梗塞発症は約 2 倍,20 本/日で約 1.5 倍,受動喫煙にも注意 5~10 年の禁煙で脳卒中発症率は低下 *禁煙外来がある施設ではバレニクリンの保険適応内処方が可能 ⑧アルコール制限 ・エタノール量で 450g/週以上の摂取は脳卒中発症率が増加 ・エタノール量で 1~149g/週では脳梗塞発症率が減少 ・目安として日本酒 1.5 合/日(できれば 1 合)以内, 缶ビールは 500ml 以内(できれば 350ml 以内) 参考図書(日本語のみ抜粋) ・脳卒中治療ガイドライン 2009,協和企画,2009 ・高血圧治療ガイドライン 2009 年版,ライフサイエンス出版,2009 ・脳血管障害を極める 改訂第 2 版,永井書店,平成 21 年 ・脳卒中ビジュアルテキスト,医学書院,2008 ・必携脳卒中ハンドブック,診断と治療,2008 ・動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007 年度版,協和企画,2007 ・インターベンション時代の脳卒中学(改訂第 2 版)上(日本臨床増刊号),日本臨床社,2006 ・インターベンション時代の脳卒中学(改訂第 2 版)下(日本臨床増刊号),日本臨床社,2006 ・脳血管障害の画像診断,中外医学社,2005 問い合わせ先 獨協医科大学 神経内科 脳卒中部門 竹川 英宏 34
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