大阪大学 心臓血管外科グループ 専門医育成プログラム

大阪大学 心臓血管外科グループ 専門医育成プログラム
大阪大学心臓血管外科グループ
グループ専門医育成
専門医育成プログラム
プログラムの
の特色
大阪大学心臓血管外科
グループ
専門医育成
プログラム
大阪大学心臓血管外科グループは、成人および小児心臓血管外科疾患の幅広い領域にわたり質の高い治療を
提供しています。大阪大学では、年間手術症例 400 例、うち心臓および胸部大動脈手術等のいわゆる Major
Cardiac Surgery を 2007 年では 370 例以上、グループ全体では 2300 例以上行っており、国内でも屈指の心臓
外科手術症例数を誇っています。このグループ施設の中で、大阪大学が基幹施設となり、専門医育成に必要な
症例をグループ内のローテーションで経験していただきます。
【成人心臓血管外科】冠動脈、弁膜症の様々な症例を経験する事が可能です。冠動脈バイパス術は動脈グラフ
トを多用したオフポンプ手術を、また弁膜症では自己弁温存のための弁形成術を積極的に取り入れています。
【大血管手術】腹部および胸部大動脈瘤に対するステント治療では国際的にも最先端の治療を行っており、内
外から注目を集めています。
【心不全】心臓移植認定施設であることから、内科合同の心不全チームとして重症心不全治療にあたり、内科
的治療から補助人工心臓、心臓移植を含む外科治療にいたるまで幅広い治療オプションの中から、個々の患者
に対して最適な治療をシステマティックに実践しています。細胞移植などの再生治療の臨床応用も開始してお
り、心不全治療の全てのオプションが実践可能な国内随一の施設となっています。
【先天性心疾患】国内の心臓外科創成期から日本の小児心臓外科をリードしてきた施設であり、複雑心奇形の
治療を中心に質の高い治療を提供し、成人先天性心疾患に対する治療も積極的に行っています。
各疾患治療の詳細については大阪大学心臓血管外科ホームページをご覧ください。
スタッフ指導医の多くは海外で心臓外科臨床トレーニングを積んでおり、年功序列にとらわれない実力本位
の指導を提供することが可能です。随時カリキュラムに参加していただき、本人の希望により大阪を中心とし
たグループ病院内で臨床研鑽しても良いし、心臓外科の研究を2−3年行い(ほとんどの人が大学院に入り博
士号を取得)、世界に通ずるアカデミズムを身に付けることも可能です。留学は希望があればほぼ100%可
能です(現在11名が海外留学中)。中でも臨床留学は様々な国にルートを持っており、常時4−5名が臨床留
学して手術経験を積んでいます(現在米国3名、オーストラリア1名、ドイツ1名、フィンランド1名の合計
6名が海外臨床留学中)
。
このように大阪大学心臓血管外科グループでは、単に手術ができるだけの外科医ではなく、世界に通用する
アカデミックサージャンを養成することを目的としており、高い理想を持ったやる気のある若手外科医を広く
募集しております。
目標
本カリキュラムの目的は、心臓血管外科医として専門診療技術の習得とともに、広く心臓血管外科領域の知
識の習得とその実践応用を指導し、さらに臨床研究の実践とその成果の情報発信能力の育成することです。
対象は心臓血管外科専門医を目指す医師であるため、医学部卒業後2年間の初期研修を終了した者とし、外
科修練の経験に応じてカリキュラムを計画します。修練終了後は患者から信頼を得て診療を担当できる臨床能
力を備え、将来的にリーダーとしてチーム医療を主宰できるような有能な心臓外科専門医になれるよう、全人
的な修練を積めるようになっています。
さらに臨床能力だけでなく、後進の医師や学生を指導できる教育能力と、診療の成果を学会や論文によって
情報発信できる能力を付け、将来アカデミックサージャンとして日本の心臓外科を牽引していけるような人材
を養成することを最終的な目標としています。
修練カリキュラムとして、大阪大学心臓血管外科グループに参加する各施設において共有化しうるプログラ
ムを設定し、そのカリキュラムにそって研修します。修練医は施設間ローテートを行いながら、研修目標を達
成可能なように年度ごとの研修目安となる到達目標を設定し、研修を行います。
研修施設
基幹施設
大阪大学 心臓血管外科
グループ施設
国立病院機構呉医療センター 心臓血管外科
国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科
大阪府立急性期総合医療センター 心臓血管外科
大阪府立成人病センター 心臓血管外科
大阪府立母子保健総合医療センター 心臓血管外科
大阪市立総合医療センター 小児心臓血管外科
りんくう総合医療センター 心臓血管外科
市立豊中病院 心臓血管外科
宝塚市立病院 心臓血管外科
社会保険紀南病院 心臓血管外科
大阪警察病院 心臓血管外科
大阪厚生年金病院 心臓血管外科
大阪労災病院 心臓血管外科
大手前病院 心臓血管外科
桜橋渡辺病院 心臓血管外科
八尾徳洲会病院 心臓血管外科
KKR 札幌医療センター
心臓血管外科
福井循環器病院 心臓血管外科
河内総合病院 心臓血管外科
東宝塚さとう病院 心臓血管外科
関西労災病院 心臓血管外科
協力施設
愛媛大学 心臓血管外科
兵庫医科大学 心臓血管外科
鳥取大学 心臓血管外科
国立循環器病センター
基本的知識、
、手技
手技の
の習得
基本的知識
心臓血管外科診療に必要な局所解剖、心疾患の病態生理、循環管理、救急対応、心室補助、心臓移植など
すべてにわたる基礎的知識を習熟し、臨床に即した対応ができるよう、研修開始後早期に以下の基礎的知識、
手技を習得します。
① 解剖と病態生理:心臓血管外科臨床に必要な心臓、大血管、末梢血管の発生学、局所解剖を理解する。
また、先天性心疾患、後天性心疾患、大血管疾患、末梢血管疾患などの病態生理を理解する。それら
疾患の手術適応や手術術式の適切な判断が行えるよう知識を習得する。
② 検査:心臓血管外科に必要な画像検査、生理検査等の原理、意義を理解し、適切な検査計画を立案し、
読影を行うことができる。
③ 周術期の管理:疾患や術式の特性、手術侵襲、術後合併症などの病態を把握し、検査、治療計画を立
て指示することができ、合併疾患に対する対応が行える。開心術後状態および合併疾患の必要水分量
を把握し、電解質、酸塩基平衡を考慮した周術期の補正輸液、維持輸液、輸血を行うことができる。
さらには、心不全、呼吸不全、腎不全など併発症、合併症をもつ症例に対し、疾患別病態別の輸液計
画を立て実施することができる。
④ 感染症:細菌の基礎知識を持ち、術後感染症に対する抗菌剤を適切に選択、投与することができる。
AIDS、肝炎その他感染症を併発した患者に対する外科処置についての知識を持ち、対処することがで
きる。重症感染症に対する病態の把握に基づいた対応ができる。
⑤ 凝固異常、術後抗凝固療法:基礎疾患の特色、病態の理解に基づいた出血傾向に対する処置、管理が
できる。血栓症の予防、診断および治療の方法について理解を持ち、的確に対応できる。術後抗凝血
療法の適応や方法について理解し、的確に対応できる。
⑥ 栄養と代謝:患者の病態や疾患に応じた必要カロリーを把握し、適切な食事、経腸、経静脈栄養剤の
投与、管理を行うことができる。
まず、これら心臓血管外科領域における基礎的知識を習得したうえで心臓血管外科チームの一員として受け
持ち患者の治療にあたり、以下のプログラムにそい心臓血管外科医としての専門的技術を修練します。最終的
には心臓血管外科専門医習得に必要な点数が十分に経験できるようになります。
プログラム到達目標
到達目標(
(臨床経験評価
臨床経験評価)
)
プログラム
到達目標
一般外科修練後(外科専門医取得に必要な一般外科修練後)、心臓血管外科専門医認定機構の臨床経験評価
方式に従い、3年間で250点以上、5年間で500点以上の臨床、手術手技を経験することを目標とします。
各項目について1年毎自己評価と指導医による評価を行い、点数を基幹施設(大阪大学 心臓血管外科)に報
告し、点数を調整します。
年度毎の
年度毎の到達目標の
到達目標の概要
1年時 年間50点以上
基本的手術手技
難易度 A)、B)手術の第一助手
基本的手術手技
2年時 年間100点以上
難易度 A)、B)手術の第一助手
難易度 A)手術の術者
基本的手術手技
3年時 年間120点以上
難易度 A)、B)、C)手術の第一助手
難易度 A)、B)手術の術者
基本的手術手技
4年時 年間120点以上
難易度 A)、B)、C)手術の第一助手
難易度 A)、B)、C)手術の術者
(C) 複合弁手術など)
基本的手術手技
5年時 年間120点以上
難易度 A)、B)、C)手術の第一助手
難易度 A)、B)、C)手術の術者
(C) TF、弁形成、Maze など)
モデルプラン(
(目標点数
目標点数500
500点
点)
モデルプラン
500
以下にモデルプランを示します。このモデルプランでは、心臓血管外科修練開始後 5 年間で専門医取得が可能
となっています。
1年目
2年目
3年目
4年目
5年目
a)
50
50
25
25
25
b)
25
25
25
25
25
術者
3
5
10
5
5
第一助手
5
5
5
5
5
術者
0
5
6
10
10
第一助手
5
10
10
5
10
術者
0
0
0
2
4
第一助手
0
5
10
10
10
51.5
100
124
125
145
年間 第一助手件数
10
20
25
20
25
年間術者件数
3
10
16
17
19
基本的手術手技(件数)
難易度 A) 手術(件数)
難易度 B) 手術(件数)
難易度 C) 手術(件数)
年間点数
3年間 合計点数
275.5
5年間 合計点数
545.5
3年間 第一助手件数
55
3年間 術者件数
29
5年間 第一助手件数
100
5年間 術者件数
65
プログラムの
の報告
報告、
、認定
プログラム
プログラム指導医(各グループ施設責任者)は、以上の到達目標を理解し、修練医の技量に応じ可能な手技
を研修させるようにします。修練医は、自身の経験を年度ごとに点検し、その経験を基幹施設(大阪大学 心
臓血管外科 診療局長)にアンケートとして報告します。診療局長にてチェックした後に、基幹施設
科長(大
阪大学心臓血管外科教授)に報告し、報告に基づき以後の修練の研修計画を調整し、適切な修練計画を立案し、
修練医の以後の研修計画に反映させます。以上により、5 年間程度で、先天性から成人の様々な心臓血管外科
領域疾患に対する臨床能力が身につくことになります。