11c 核型記載の原則 核型記載の原則 目次 記載項目 ページ A 核型記載の原則 karyotype designation 1 B 曖昧な染色体バンド uncertainty in chromosome or band 7 designation C order of chromosome abnormality in 染色体異常の記載の順序 8 the karyotype D 正常変異 normal variable chromosome features 8 E numerical chromosome abnormalities 9 数の異常 A. 核型記載の原則 1.一般的原則 46,XX 正常女性(XX)。 46,XY 正常男性(XY)。 inv(2)、del(4)、r(18) ( t(X;3)、t(2;5) ( ; ) 二つの染色体が関与。性染色体、次いで番号の低い染色体を先に ) 内は染色体番号。 書く。 ins(5;2) 挿入(ins)では断片が挿入する染色体を先に書く。 t(2;7;5) 三染色体の関与する転座。番号の低い染色体を最初に書き、その染色 体から断片が転座する染色体を次に、最初の染色体に転座断片を供与 する染色体を最後に書く。 +21、−7、+der(2) +がついていればその染色体が増えていて、−がついていれば減って いることを表す。 4p+、5q− +がついている腕は普通より長く、−がついている腕は短い。 mos 45,X/46,XX 45,X のラインと 46,XX のラインのモザイク(mos)。正常核型(46,XX) のラインを後に書き、ふたつのラインの間を/で区切る。mos はつけ なくてもよい。 chi 46,XX/46,XY 46,XX( 正 常 女 性 )の ラ イ ン と 46,XY( 正 常 男 性)の ラ イ ン の キ メ ラ (chimera)。 47,XY,+21/46,XY トリソミー21/正常男性のモザイク。 mos 45,X[15]/47,XXX[10]/46,XX[23] 45,X が 15 細胞、47,XXX が 10 細胞、46,XX が 23 細胞のモザイク。 [ ]は分析した細胞数。 45,X[25]/46,X,i(X)(q10)[25] 1 11c 核型記載の原則 45,X が 25 細胞、46,X,i(X)(q10)が 25 細胞。分析した細胞数が同じと きには、数の異常を先に書く。 47,XX,+8[25]/47,XX,+21[25] 分析した細胞数が同じなら、染色体番号の若い方を先に書く。 47,XXX[25]/47,XX,+21[25] 分析した細胞数が同じなら、性染色体数の異常を先に書く。 69,XXY 性染色体構成 XXY の三倍体。 70,XXY,+21 21 番染色体がひとつ多い(+21)三倍体。 end 46,XX 核内倍加(endoreduplication)した 46,XX 細胞。 親由来 46,XX,t(5;6)(q34;q23)mat, inv(14)(q12q31)pat 母由来(mat)の t(5;6)転座と父由来(pat)の inv(14)逆位。 46,XX,t(5;6)(q34;q23)mat, inv(14)(q12q31)mat 母由来(mat)の t(5;6)転座と inv(14)逆位。 46,XX,t(5;6)(q34;q23)mat, inv(14)(q12q31)dn 母由来(mat)の t(5;6)転座と新生(de novo; dn)の inv(14)逆位。 2.切断点(breakpoints) 切断点が隣接するバンドの境目にあるときは、ナンバーの多い方(セントロメアから遠い方) のバンドを書く。切断点が隣接する二つのバンドのどちらかだと思われるとき、または二つの分 析法で得た結果が違うときは、1q23 or q24 と記載する。領域ナンバーまでしか分析できないとき は、1p1、1p1?と書く。 3.切断点とバンドで構造異常記載 簡略式(short system)と詳述式(detailed system)とがある。 1)簡略式(short system) 構造異常の種類、染色体番号、切断点の順に記載する。切断点は構造異常に関与する染色体 の順に記載する。ひとつの染色体の複数の切断と再構成では、切断点の間に ; を書かない。 二箇所の切断点(two-beak rearrangements) 46,XX,inv(2)(p21q31) ひとつの染色体の短腕と長腕に切断点のあるときは、短腕の切断点を先にする。 46,XX,inv(2)(p13p23) 染色体のひとつの腕に二箇所の切断点があるときは、セントロメアに近い方を先に書く。 46,XY,t(12;16)(q13;p11.1) 2 11c 核型記載の原則 46,X,t(X;18)(p11.1;q11.1) ふたつの染色体のそれぞれ一箇所に切断点があるときは、番号の若い方の染色体を先に 書き、性染色体と常染色体とでは性染色体を先に書く。 三箇所の切断点(three-break rearrangements) 染色体の一部が他の染色体に挿入(ins)しているときは、受容染色体を先に、ドナー染色体を後 に書く。 46,X,ins(5;X)(p14;q21q25) 46,XY,ins(5;2)(p14;q22q32) 切断点の記載は受容体染色体が先で、ドナー断片を後にする。ドナー断片が順位(direct; dir)で挿入しているときはセントロメアに近い方の切断点を先に、遠い方を後に書き、逆 位(inverted; inv)で挿入しているときは、その逆の順序で書く。 46,XX,ins(2)(q13p13p23) 2q13 に 2p13 から 2p23 までの断片が順位で挿入。 46,XX,ins(2)(q13p23p13) 逆位で挿入。 三箇所の切断点を持つ転座でも、番号の低い染色体を最初に書き、最初の染色体の断片を受け入 れる染色体を二番目に、最初の染色体に断片を供給する染色体を最後に書く。 46,XX,t(9;22;17)(q34;q11.2;q22) 9q34 から先の断片が 22q11.2 の切断点に転座し、22q11.2 から先の断片が 17q22 の切断 点に転座、17q22 から先の断片が 9q34 の切断点に転座。 46,Y,t(X;15;18)(p11.1;p11.1;q11.1) Xp11.1 から先の断片が 15p11.1 の切断点に転座、15p11.1 から先の断片が 18q11.1 の切 断点に転座、18q11.1 から先の断片が Xp11.1 の切断点に転座。 四箇所以上の切断点を持つ構造異常(four-beak and complex rearrangements) 三箇所切断点を持つ構造異常と同じ原則に従う。 2)詳述式(detailed system) 複雑な構造異常でも大抵は簡略式で表現できるが、図を使ったり詳述式に頼ったりせざるを得 ないこともある。複雑な構造異常、殊に獲得性構造異常を記述するときには簡略式と詳述式を併 用してもよい。 ( ; )で切断点を、(::)で切断と再結合を、→で断片の範囲を表す。染色体の末端を ter で表し、短 腕末端を pter、長腕端末を qter とし、セントロメアを示すときは cen と書く。 構造異常染色体の記述は短腕の末端(pter)から始め、長腕の末端(qter)で終わる。短腕のセグメ ントがどちらの末端にもなければ、ナンバーの若い染色体の長腕のセグメントから書き始める。 3 11c 核型記載の原則 4.派生染色体(derivative chromosome; der) (1) ひとつの染色体の複数の再構成、即ち逆位と欠失、両腕の欠失、または(2) 複数の染色体の 再構成、即ち不均衡型転座産物を派生染色体(der)と呼び、セントロメア(cen)またはネオセントロ メア(neo)を持つ。 der(1)t(1;3)(p32;q21)t(1;11)(q25;q13) 1p32 と 3q21 の転座と 1q25 と 11q13 の転座から生じた派生 1 番染色体。 46,XX,t(2;5)(q21;q31) 転座の第一減数分裂太糸期の対合の模式図を図1に、隣接-1 分離、隣接 -2 分離、3:1 分離により生ずる派生染色体を表1に示す。このほかに交互分離(AB CD, AD BC) がある。派生染色体は der(2), der(5)と書き、隣接-1 分離、隣接-2 分離、3:1 分離によるものがあ る。 図1.t(2;5)(q21;q31) 相互転座の保因者の第一減数分裂太糸期における対合と乗換えの模式図. A, B, C, D は各染色体の末端を示す.四本の染色分体のうち二本だけを描いてある.交叉記号は 中間部における乗換えを示す. 4 11c 核型記載の原則 表1.均衡型相互転座の減数分裂における隣接分離と 3:1 分離から生ずる可能性のある配偶子. 分離形式 分離の模式 配偶子の染色体 女性の接合子の核型 構成 隣接-1 隣接-2a AB CB 2, der(5) 46,XX,der(5)t(2;5)(q21;q31)mat AD CD der(2), 5 46,XX,der(2)t(2;5)(q21;q31)mat AB AD 2, der(2) 46,XX,+der(2)t(2;5)(q21;q31)mat,−5 CD CB 5, der(5) 46,XX,−2,+der(5)t(2;5)(q21;q31)mat AB AB 2, 2 46,XX,+2,−5 AD AD der(2), der(2) 46,XX,der(2)t(2;5)(q21;q31)mat, +der(2)t(2;5),−5 CB CB der(5), der(5) 46,XX,−2,der(5)t(2;5)(q21;q31)mat, +der(5)t(2;5) 3:1 分離 b CD CD 5, 5 46,XX,−2,+5 AB CD CB 2, 5, der(5) 47,XX,+der(5)t(2;5)(q21;q31)mat AD der(2) 45,XX,der(2)t(2;5)(q21;q31)mat,−5 AD CD CB der(2), 5, der(5) 47,XX,t(2;5)(q21;q31)mat,+5 AB 2 45,XX,−5 AB AD CD 2,der(2), 5 47,XX,+der(2)t(2;5)(q21;q31)mat CB der(5) 45,XX,−2,der(5)t(2;5)(q21;q31)mat AB AD CB 2,der(2),der(5) 47,XX,+2, t(2;5)(q21;q31)mat CD 5 45,XX, −2 5.組換え染色体(recombinant chromosomes; rec) 組換え染色体(rec)は逆位・挿入などの構造異常染色体の保因者の第一減数分裂での乗換えに より生ずる。図 2 は 46,XX,inv(2)(p21q31) 逆位保因者女性の減数分裂のループ内での乗換えによ り生ずる組換え体を示す。 46,XX,rec(2)dup(2p)inv(2)(p21q31)mat 組換えによってできた 2pter–2p21 の重複と 2q31–2qter の欠失。 46,XX,rec(2)dup(2q)inv(2)(p21q31)mat 組換えによってできた 2q31–2qter の重複と 2pter–2q21 の欠失。 母が逆位の保因者であることが分かっていなければ、次のように書く。 46,XX,der(2)(pter→q31::p21→pter) 5 11c 核型記載の原則 図2.inv(2)(p21q31)mat 腕間逆位のヘテロ接合保因者.original の二箇所の切断点を↓で示す. 保因者の第一減数分裂太糸期の対合でループを作り、p16, q24 が互いに対合する.ループ内で乗 換え(×)による組み換えが起こると組換え体ができる.四本の染色分体のうちの二本を省略して ある. 6 11c 核型記載の原則 B. 曖昧な染色体バンド 1.曖昧な同定 45,XX, −?21 多分 21 番染色体の喪失。 47,XX,+?8 多分 8 番染色体の付加。 46,XX,del(1)(q2?) 1 番染色体長腕 q2 領域から先の欠失。 q2 領域のどのバンドかは不明。 46,XX,del(1)(q2?3) 1 番染色体長腕 q2 領域の多分 q23 バンドから先の欠失。 46,XX,del(1)(q?2) 1 番染色体長腕の多分 q2 領域から先の欠失。 46,XX,del(1)(q?23) 1 番染色体長腕の多分 q23 バンドから先の欠失。 46,XY,del(1)(q?) 1 番染色体長腕の欠失。欠失の領域もバンドも不明。1q−とも書く。 46,XY,?del(1)(q23) 1 番染色体が q23 で欠失した可能性がある。 46,XX,der(1)?t(1;3)(p22;q13) 1 番派生染色体は多分 t(1;3)転座から由来した。 2.切断点または染色体番号が曖昧 46,XY,del(1)(q21∼24) 1 番染色体長腕のバンド 21∼24 のどれかで欠失。 46,XY,dup(1)(q22∼24q44) 1 番染色体長腕の1q22、1q23、1q24 のどれかと 1q44 の間の重複(dup)。 46,XX,t(3;12)(q27∼29;q13∼15) t(3;12)転座だが、二つの切断点はどちらも不明確。 43∼47,XX….. 染色体数が 43∼47 の間にある女性。 3.どちらか 46,XX,add(19)(p13 or q13) 19 番染色体の p13 か、q13 に付加断片(add)。 46,XY,del(8)(q21.1) or i(8)(p10) 8q21.1 から先の欠失か、8 番短腕の同腕染色体。 46,XX,t(12;14)(q15;q24) or t(12;14)(q13;q22) 転座切断点の違う二種類の t(12;14)転座のどちらか。 46,XY,der(1)t(1;10)(q44;q22) or dup(1)(q32q44) t(1;10)転座の派生 1 番染色体か、1 番長腕 q32–q44 の重複のどちらか。 4.不完全核型(incomplete karyotype; inc) 染色体標本の質が低いために分析が不完全なときは、核型に最後に inc と書く。 46,XX,del(1)(q21),inc[4] 1 番染色体長腕に欠失があるが、その他にも異常がある(inc)。4 細胞の分析。 52∼57,XY,+1,+3,+6,t(9;22)(q34;q11.2),+21,+3mar,inc[cp10] 此処に示した異常のほかにも、同定不能の異常がある。10 細胞の集合核型[cp 10]。 C.染色体異常記載の順序 7 11c 核型記載の原則 性染色体異常を最初に書く(X 染色体が先で、次いで Y 染色体)。次いで常染色体を異常の種 類に関係なく番号順に書く。各染色体では数の異常を先にし、その後に構造異常を書く。同じ染 色体の複数の構造異常は略語のアルファベット順に書く。 47,X,t(X;13)(q27;q12),inv(10)(p13q22),+21 性染色体異常が最初で、常染色体異常が番号順に続く。 47,Y,t(X;13)(q27;q12),inv(10)(p13q22),+21 男性で同じ核型。 46,t(X;18)(p11.1;q11.2),t(Y;1)(q11.2;p13) X 染色体異常が先で、Y 染色体異常がこれに続く。 48,X,t(Y;12)(q11.2;p12),del(6)(q11),+8,t(9;22)(q34;q11.2),+17,−21,+22 Y の関与する転座が最初で、次いで常染色体異常が番号順で続く。 49,X,inv(X)(p21q26),+3,inv(3)(q221q26.2),+7,+10,−20,del(20)(q11.2),+21 X の逆位を最初に書く。+3 が先で、inv(3)がこれに続く。−20 が先で、del(20)が後。 50,XX,+1,+del(1)(p13),+dup(1)(q21q32),+inv(1)(p31q41),+8,r(10)(p12q25),−21 1 番染色体の関係する異常が 4 種類ある。数の異常が先で、構造異常がアルファベット 順で続く。 46,XX,der(8)ins(8;?)(p23;?)del(8)(q22) 8 番染色体の異常が 2 種類ある。8p23 に由来不明の断片が挿入し、8q22 で欠失した同 腕染色体。同じ 8 番染色体の異常なので、ins と del の記載はアルファベット順に従わず に短腕から長腕の順に書く。 由来不明のリング染色体(r)、マーカー染色体(mar)、二重微小染色体(dmin)はこの順序に従って最 後に書く。 52,XX…..,+r,+mar,12∼20dmin 52,XX…..,+der(?)t(?;6)(?;q16),+r,+mar,5∼9dmin セントロメア不明の派生染色体は由来の分かっている異常よりも後で、r, mar, dmin よ りも先に書く。 D.正常変異 変異(variation)は一般集団中の染色体部位の大きさや染色性の違いに関係する。 1.長さの変異 16qh+ 16 番染色体長腕のヘテロクロマチンの長さの増加(qh+)。 Yqh− Y 染色体長腕のヘテロクロマチンの長さの減少(qh−)。 21ps+ 21 番染色体短腕のサテライトの長さの増加(ps+)。 22pstk+ 22 番染色体短腕のサテライト・ストークの長さの増加(pstk+)。 8 11c 13cenh+pat 核型記載の原則 父から遺伝した 13 番染色体のセントロメア・ヘテロクロマチンの長さの増加。 1qh−,13cenh+,22ps+ 1 番染色体長腕ヘテロクロマチンの長さの減少(qh−)、13 番染色体のセントロメア・ヘテ ロクロマチンの長さの増加(cenh+)、22 番染色体短腕の大きいサテライト(ps+)。 15cenh+mat,15ps+pat 母由来(mat)の 15 番染色体セントロメア・ヘテロクロマチン(cenh)の増加、父由来(pat)1 番染色体短腕の大きいサテライト(s+)。 14cenh+pstk+ps+ 14 番染色体のセントロメ・ヘテロクロマチンの長さの増加(cenh+)、短腕のストークの 長さの増加(pstk+)と、サテライトの増大(ps+)。 2.数と位置の変異 17ps 17 番染色体短腕(17p)にサテライト(s)。 Yqs Y 染色体長腕(Yq)にサテライト(s)。 9phqh 9 番染色体の短腕(9p)と長腕(9q)の両方にヘテロクロマチン(h)。 1q41h 1 番染色体バンド q41 にヘテロクロマチン。 21pss 21 番染色体短腕(21p)に二重サテライト(ss)。 14pstkstk 14 番染色体短腕(14p)に二重ストーク (stkstk)。 正常変異としての腕間逆位 inv(9)(p12q13) 9 番染色体の腕間逆位。 inv(2)(p11.2q13) 2 番染色体の腕間逆位。 3.脆弱部位(fragile sites) fra(10)(q25.2) 10 番染色体 q25.2 の脆弱部位(fra)。 fra(10)(q22.1),fra(10)(q25.2) 同じ 10 番染色体の二箇所(q22.1, q25.2)に脆弱部位(fra)。 fra(10)(q22.1),fra(10)(q25.2) 10 番染色体の q22.1、 もうひとつの 10 番染色体の q25.2 に、 それぞれ脆弱部位(fra)。 fra(10)(q25.2),fra(16)(q22.1) 10 番染色体の q25.2、16 番染色体の q22.1 に脆弱部位(fra)。 E. 数の異常 1.一般原則 染色体の前に+をつければその染色体の付加を、−をつければ減少を表す。例外は性染色体で、 総染色体数の次に性染色体をすべて書く。 26,X,+4,+6,+21 半数体(haploid; 23)に近く、4 番、6 番、21 番が 2 コピーずつある。 71,XXX,+8,+10 三倍体(triploid; 69)に近く、8 番、10 番が 4 コピーずつある。 9 11c 核型記載の原則 89,XXYY, −1, −3, −5,+8, −21 四倍体(tetraploidy; 92)に近く、1 番、3 番、5 番、21 番が 3 コピー、8 番が 5 コピー。 mos 47,XY,+21[12]/46,XY,[18] 21 トリソミーのラインが 12 細胞、正常男性のラインが 18 細胞のモザイク(mos)。 76∼102<4n>XXXX…. 染色体数の分布は四倍体に近く<4n>、性染色体は XXXX。 58<2n>XY,+X,+4,+6,+8,+10,+11,+14,+14,+17,+18,+21,+21[10] 総染色体数は二倍体に近く、増えている染色体を列挙。 2.性染色体 45,X X モノソミー。 47,XXY Klinefelter 症候群。 47,XXX 47,XYY 48,XXXY mos 47,XXY[10]/46,XY[20] XXY が 10 細胞、XY が 20 細胞のモザイク(mos)。 mos 45,X[25]/47,XXX[12]/46,XX[13] 45,X が 25 細胞、47,XXX が 12 細胞、正常女性(46,XX)核型が 13 細胞のモザイク(mos)。 mos 47,XXX[25]/45,X[12]/46,XX[13] 47,XXX が 25 細胞、45,X が 12 細胞、正常女性核型(46,XX)が 13 細胞のモザイク(mos)。 獲得性性染色体異常(acquired sex chromosome abnormalities) 47,XX,+X 46,XX 女性の腫瘍で 47,XXX 核型。 45,X, −X 46,XX 女性の腫瘍で X を失った 45,X 核型。 45,X,−Y 46,XY 男性の腫瘍で Y を失った 45,X 核型。 48,XY,+X,+Y 46,XY 男性の腫瘍で 48,XXYY 核型。 構成的核型(constitutional karyotype; c)が異常で、獲得性異常が加わったとき。 48,XXYc,+X 47,XXY 男性(Klinedelter 症候群)の腫瘍で X が加わった 48,XXXY 核型。 46,Xc,+X 45,X 女性(Turner 症候群)の腫瘍で X が加わり 46,XX 核型。 46,XXYc, −X 47,XXY 男性(Klinefelter 症候群)の腫瘍で X が失われた 46,XY 核型。 46,Xc,+21 45,X 女性(Turner 症候群)の腫瘍で 21 染色体が加わり、トリソミー21。 47,XXX?c 腫瘍細胞で 47,XXX。ひとつ多い X が構成的(constitutional)か否かは不明。 48,XXY,+mar c XXY で過剰マーカー染色体を持つ男性。+mar と c の間にスペースを置く。 3.常染色体数の異常 47,XX,+21 トリソミー21(Down 症候群)。 48,XX,+13,+21 トリソミー13 とトリソミー21。 10 11c 45,XX, −22 モノソミー22。 46,XX,+8, −21 トリソミー8 とモノソミー21。 48,XY,+21c,+21 Down 症候群男性の腫瘍で 21 番染色体の付加。 46,XY,+21c,−21 Down 症候群男性の腫瘍で 21 番染色体の喪失。 核型記載の原則 4.片親性ダイソミー(uniparental disomy; upd) 46,XY,upd(15)mat 15 番染色体が母側(mat)片親性ダイソミー(upd)。 mos 47,XX,+2[23]/46,XX,upd(21)pat[7] 47,XX,+2 が 23 細胞、21 番染色体の父側片親性ダイソミーが 7 細胞のモザイク(mos)。 47,XX,+2 のラインが多いので、先に書く。 45,XY,upd der(13;13)(q10;q10)pat 父由来の der(13;13) Robertson 型転座を持つ男性。父が同じ転座を持つので、転座は父 側片親性ダイソミーと判定。 梶井 [2009 年 5 月 6 日] 11
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