米国株式市場の見通し

2016年11月28日
(No.2,615)
〈マーケットレポートNo.5,126〉
米国株式市場の見通し
NYダウは2万ドル台が視野に
○トランプ次期大統領選出後、米国株式市場と債券利回りが急上昇しています。株式市場はトランプ次期大
統領の成長を呼び込む「強いアメリカの復活」に期待を寄せ、中小型株が大きく上昇しています。一方、債
券市場では景気回復による物価上昇期待と将来の財政悪化懸念を背景に金利が上昇しています。
○トランプ次期大統領が選出されてからの資金の流れを投信マネーで確認すると、米国株式ファンドへ資金が
流入しています。債券に集中していた資産配分に修正が加わる可能性があります。
○トランプ次期大統領の政策の具体化はこれからですが、例えば海外留保資金のみなし還流税の適用などが
注目されます。海外で豊富な資金を抱えるテクノロジー企業にとって、米国内で新たな投資機会を探る
チャンスとなりそうです。
○株式市場が堅調に推移する条件として業績の回復期待が重要です。企業業績は概ね減益に歯止めがかか
り、ここからの回復力が注目されます。「強いアメリカの復活」期待がセンチメントを大幅に改善させ、これに企
業業績の回復期待も加わることで、NYダウは2万ドル台乗せが視野に入ってきました。
「強いアメリカの復活」期待で株式市場のセンチメントが大きく改善
10年国債利回りも急上昇
■トランプ次期大統領選出後、米国の債券利回りと株式が急上昇しました。10年国債利回りは11月8日の大
統領選挙投票日を起点に11月25日までに0.5%上昇し、2.36%となりました。一方、株式市場はNYダウ、
S&P500、NASDAQなどの代表的な株価指数が相次いで史上最高値を更新しました。
NYダウと米10年国債利回り
(ドル)
20,000
18,000
2/1
イエレン氏が連邦
準備制度理事会
(FRB)議長に就任
14,000
6
2/16
4産油国が増産
凍結で合意
NYダウ(左軸)
16,000
(%)
10/29
量的緩和
終了
8/11
人民元切り下げ
ショック(基準値を3
日連続で引き下げ)
19,152.14ドル
5
6/24
英が欧州連合
11/8
(EU)離脱を選択 米大統領選
12/16
連邦公開市場委員 3/16
挙でトランプ
会(FOMC)0.25% FOMCは年内2
氏が勝利
の利上げ
回の利上げに予
想を引き下げ
12,000
米10年国債利回り(右軸)
10,000
14/1
14/5
14/9
15/1
15/9
3
2.36%
2
5/22
イエレンFRB議長が年
内利上げを示唆
15/5
4
16/1
16/5
1
16/9 (年/月)
(注)データ期間は2014年1月2日~2016年11月25日。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友アセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘
するものではありません。■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。■当資料の内容は作成基準日現在のもので
あり、将来予告なく変更されることがあります。■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、
今後の市場環境等を保証するものではありません。■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を
保証するものではありません。■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾
者に帰属します。■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。
2016年11月28日
成長期待で小型株が上昇
徐々に資産配分修正の可能性
■規模別にみると、小型株指数が11月25日まで
15日連続での上昇となりました。上昇ピッチが速い
点が気懸りですが、より価格変動リスクの高い小型
株への投資が活発化していることから、成長期待が
加速していると言えそうです。
■また、大統領選挙後の投信マネーの流れを見ると、
米国株式ファンドが大幅な流入超となり、徐々に資
産配分の修正が進み始めました。米国債券ファンド
は長期金利が上昇しているとは言え、安定したパ
フォーマンスが期待でき、大きな流出とはなっていま
せん。米国ハイイールド債ファンドは11月第3週には
流入超に転じました。
小型株が大きく上昇
(ポイント)
~規模別株価指数の推移~
130
120
110
100
90
80
16/1
16/3
16/5
16/7
16/9
16/11 (年/月)
(注1)データ期間は2016年1月1日~2016年11月25日。
(注2)小型:S&P600 SMALL CAP Index、中型:S&P400
MIDCAP Index、大型:S&P500。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
米国株式ファンドへ資金が流入
11月第1週
NYダウで2万ドル台が視野に
■トランプ次期大統領の政策はまだ具体化しておらず、
期待が先行している点には注意が必要ですが、米
国の産業力が復活する期待はこれからも高まりそう
です。例えば、トランプ次期大統領は税制改革の
一環として海外での利益から生まれた資金を米国
に戻す際の税金を減税する措置(*)を政策の一つと
して掲げています。これが実現すれば、海外で潤沢
な資金を有する大型のテクノロジー企業などは、イノ
ベーションを推進するための買収戦略の選択肢を広
げることが可能となり、株価にプラスに作用すると期
待されます。(*)海外留保資金のみなし還流税
■今後、米国株式市場が堅調に推移する条件として
業績の回復期待が重要です。企業業績は規模別
にみても概ね減益に歯止めがかかったと見られ、ここ
からの回復力が注目されます。「強いアメリカの復
活」期待がセンチメントを大幅に改善させ、株価上
昇の原動力となっていますが、企業業績の回復期
待も加わることで、NYダウは2万ドルが視野に入って
きました。
小型
中型
大型
2016年1月1日=100
(単位:億ドル)
11月第2週
11月第3週
(11/3-9) (11/10-16) (11/17-23)
米国債券ファンド
米国ハイイールド債ファンド
米国株式ファンド
24
▲ 0.1
▲ 82
▲ 28
▲ 26
2
50
370
51
(注)データ期間は2016年11月第1週~第3週。▲は流出超。
(出所)EPFRグローバルのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
大型、小型、中型の順で業績は底打ちへ
~規模別1株当たり予想利益の推移~
(ポイント)
102
2016年1月1日=100
100
小型
大型
中型
98
96
94
16/1
16/3
16/5
16/7
16/9
16/11 (年/月)
(注1)データ期間は2016年1月1日~2016年11月25日。
(注2)小型:S&P600 SMALL CAP Index、中型:S&P400
MIDCAP Index、大型:S&P500。予想はBloomberg L.P.。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
2016年11月25日 FOMC「議事要旨」(米国)
2016年11月24日 最近の指標から見る米国経済(2016年11月)
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友アセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘
するものではありません。■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。■当資料の内容は作成基準日現在のもので
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