ホール効果

第 3 回 6月センター試験本番レベル模試[物理]講評
物 理
今回の結果をもとに,夏に向けて努力を行うこと。
間に合わない可能性が高い。今日から本格的に勉強
Ⅰ.全体講評
を始め,夏に向けて努力を行うこと。
毎回のことではあるが,今回のセンター試験本番
レベル模試の結果が,満足なものだった受験者と残
念なものだった受験者に分かれたであろう。
Ⅱ.大問別分析
満足できる結果だった受験者は,これまでの努力
第 1 問 小問集合(20 点)
が結果として現れたと言える。ただ,入試本番まで
まだ 7 か月以上ある。特にこれから迎える夏のすご
さまざまな設定を読み取る必要があるが,あ
せらず確実に読み取ること。
し方は重要である。今回の結果に油断することな
小問集合は「さまざまな運動」
,
「波動」
,
「電気と
く,引き続き努力を怠らないようにすること。
磁気」
,
「熱」の各分野からの出題であった。
また,残念な結果だった受験者は,物理の勉強時
小問集合は,他の大問と違ってさまざまな設定を
間や勉強量が足りていない可能性が高い。例年,
短時間で読み取って解答する必要がある。ただし,
「物理は夏休みから本格的に勉強を始めるつもり」
正しく設定を読み取らないと,ケアレスミスの原因
と い う 受 験 者 が い る。 し か し,2015 年 度 か ら 始
となる。
まった現課程での「物理」は,旧課程の「物理Ⅰ」
例えば,問 3 ではコイルの巻き数が 20 回である
よりも範囲が広く,そして深くなっている。夏休み
ので,誘導起電力の大きさは磁束の時間変化を 20
から本格的に勉強を始めていたのでは,入試本番に
倍する必要があるが,20 倍せずに解答を選択した
受験者が見られた。
せっかく解答を導き出す能力があっても,問われ
得点分布 物理
30
ている内容を正しく読み取れなければ,得点になら
平均 36.3%
25
ない。勘違いやケアレスミスで得点できなかった受
受
験 20
者
数
の 15
割
合
10
(%)
験者は,今後,注意して問題文を読むことを心がけ
るように。
第 2 問 電気と磁気(20 点)
5
0
10
20
0
第1問
30
40
50
28.1
40.5
29.1
第4問
第5問
第6問
70
80
大問別得点率(%)
20
40
60
80
第2問
第3問
60
得点率(%)
27.0
100
第 2 問は,A は非直線抵抗,B はホール効果に関
する出題であった。
A は,複雑な計算は必要なく,図 1(a)のグラ
100
フを正しく利用できるかどうかで差がつく。問 1
は電球 A,B の電圧の和が 30 V になる電流の値を
求め,問 2 は電球 B が 2 個並列に接続されている
ので,1 個あたり 0.20 A の電流が流れていることか
ら電源の起電力を求める。問題文から設定を正しく
47.6
34.3
90
ホール効果は確実に原理を理解しておくこ
と。
読み取れたかどうかで,差がつく。不正解だった受
験者は,もう一度解きなおしておくこと。
B は,ホール効果の典型的な問題である。問 4 は
計算がやや複雑であるが,手順を踏んで考えていけ
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第 3 回 6月センター試験本番レベル模試[物理]講評
ば,決して理解できない内容ではない。ホール効果
モル比熱と定積モル比熱が与えられている。理想気
は重要事項の一つであるから,解答解説をよく読
体の状態方程式を用いて,状態変化での温度変化を
み,確実に理解しておくこと。
求めれば難しくはない。慣れないとやや複雑に見え
るかもしれないが,考え方を身につければ確実に得
第 3 問 波動(20 点)
点源にできる。
基本事項を与えられた設定で使えるかどうか
で差がつく。
第 6 問 原子(15 点)
ニュートンリングに関する出題であった。
今回正解できなくても,確実に理解しておけ
ば次回は得点源にできる。
A は,自由端反射での反射波の波形を正しく描
第 6 問は,水素の原子模型に関する出題であっ
け,入射波と反射波が合成されてできる定常波は自
た。
由端では腹であることを理解していれば,決して難
原子分野は,教科書に書かれている内容を理解し
しくない。不正解だった受験者は,自由端反射の反
ていれば難しくない。この問題も,知っていたかど
射波を描く手順を確認したうえで,反射波の波形を
うかで差がつく内容といっても過言ではない。今回
自分で描いてみること。
正解できなかった受験者も,復習して理解を深めて
B はニュートンリングの典型的な問題である。見
おくこと。そうすれば,次回,類題が出題されたと
慣れない受験者もいたかもしれないが,問題文には
きには確実の得点できるはずである。
第 3 問 は,A が 入 射 波 と 反 射 波 の 干 渉,B が
空気層の厚さ y の式が与えられている。したがっ
て,他の光の干渉の問題と同様に,反射による位相
のずれと経路差と波長の関係を考えるだけでよい。
Ⅲ.学習アドバイス
見慣れない設定が出てきたときこそ,基本事項に立
◆模試の問題を復習する。
ち返って考えること。
今回のセンター試験本番レベル模試で出題された
ホール効果やニュートンリングは,センター試験に
第 4 問 さまざまな運動(25 点)
かぎらず入試で頻出の内容である。
よく見かける設定なので,確実に復習してお
くこと。
これらの内容を確実に復習して身につければ,夏
第 4 問は,A は斜方投射,自由落下,B は万有引
終わると緊張感がなくなり,復習まで気が回らない
力による物体の運動に関する出題であった。
などとは言わず,間違った問題やたまたま正解だっ
A では,特に問 2,3 はよく見かける設定である
た問題は,確実に復習しておくこと。
以降,得点が伸びることは間違いない。模試受験が
ので,ケアレスミスが他の受験者との差となる。こ
のような問題のときこそ,落ち着いて問題文を読
◆問題文を正しく読み取ることを心がける。
み,問われていることを正しく理解してから解答し
物理の能力があっても,問題文を正しく理解して
ないといけない。
解答しないと,得点にはならない。
B は,問 4 は万有引力を向心力とした等速円運
今回のセンター試験本番レベル模試でも,第 1
動,問 5 がケプラーの法則を理解できているかど
問問 3 ではコイルの巻き数が 20 回であることを読
うかで差がつく。センター試験にかぎらず入試頻出
み取れていない受験者がいた。また,基本的な問題
であり,よく見かける設定なので,不正解だった受
では正答率が高くなるので,ケアレスミスが他の受
験者は解答解説を読んで理解し,類題を演習してお
験者との差となる。ふだんから落ち着いて問題文を
くこと。
読むように心がけること。
来年のセンター試験本番で実力を出し切り,すば
第 5 問 熱(15 点)
らしい成績が残せるよう,皆さんの健闘を祈る。
考え方を身につければ,得点源にできる問題
第 5 問は,P─V グラフに関する出題であった。
状態変化は定圧変化と定積変化のみであり,定圧
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