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フランス語を学ぶ人のためのフランス関連情報サイト…映画・音楽・モードから最新ニュースやトレンド情報まで
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検索
2010年08月19日
てくれた。ロール Rolle にようこそ。ロールは世界の中心という場所ではな
管理人:cyberbloom
い。ジュネーブから40キロ離れ、レマン湖に面した少々陰鬱な街に過ぎな
★FRENCH BLOOM NET は「フランス」の
い。しかし税金逃れをしたい億万長者にとっての楽園でもある。私たちをジュ
情報化のプロジェクトです。具体的には、フ
ランス語を学ぶ人やフランスに関心のある人
のために、フランス関連情報を記事にして、
カテゴリー別に蓄積しています。週末には
「週刊フランス情報」と題して1週間のフラ
ウェブ
記事
ジャン=リュック・ゴダール、Film Socialisme インタビュー
挑発的で親密なインタビューのためにゴダールは私たちをスイスの自宅に招い
PROFILE
SEARCH
↑CLIQUEZ, SVP!!
ネーブ駅で拾ってくれた愛想のいいタクシー運転手は、ほとんど税金を払って
いない人々の地理を知り尽くしている。「あの丘のふもとの家はミヒャエル・
シュマッハー(レーサー)の家です。そこにはピーター・ユスティノフ(作家)が
住んでいて、向こうにはフィル・コリンズ(ミュージシャン)…」
ンス関連ニュースをピックアップしていま
す。精鋭ライターによる main blog 、音楽
「じゃ、ゴダールは?」と尋ねると運転手は答えた。「あるとき一人の日本人
専用サイト FRENCH BLOOM MUSIC も
が私の車に乗り込んできました。そしてわたしにゴダールさんはどこに住んで
よろしく。
★当方、大学のフランス語教師を中心とした
グループです。詳細やお問い合わせに関して
は「ABOUT & PROFILE」をご覧くださ
い。
いるのかと尋ねました。私は知っていると言い、彼をそこへ連れていきまし
た。彼はちょっと待っていてくださいと言って、ゴダールの家の写真を3枚撮
りました。そして駅に戻りました。ゴダールさんは日本にまで知れ渡っている
んですよ」。
TWITTER
FRENCH BLOOM NET
フランスに住民票があるので、ゴダールはそこで税金を払っている。彼はスイ
CATEGORIES
ABOUT & PROFILE(3)
なしではいられないと言っている。いつも彼とのインタビューではそうなのだ
フランスの現在(13)
が、背景がパノラミックなのだ。4時間のあいだ、6つのスクリーンと彼が引
フランスから見た日本(9)
用するVHSやDVDが詰まった棚のある仕事場のすぐ隣の、ちょっと雑然とし
外国語を学ぶということ(5)
ているが、とても機能的なオフィスでインタビューは行われた。そこで私たち
グローバリゼーションを考える(28)
WEB+MOBILE+PC(25)
フランスの外のフランス(8)
cyberbloom
スで生活しているが、彼はそこで生まれたからだ。そこにあるいくつかの風景
は歴史や、政治や、ギリシャや、知的所有権や、もちろん映画について話し
た。さらにはもっとプライベートな事柄、例えば健康とか死について。
「僕たち日本人には「アメリカ」がイ
ンストールされている」私たちはその
ことを知らされていないし、すでに自
分の一部なので普段意識することもな
い。自分が何者かわからないから敵も
見えない。検察やマスコミなどの組織
不全はすべてこのことに起因してい
る。http://bit.ly/anKqqg
4 hours ago
フランス映画(55)
Musique pour…のための音楽(16)
@mixio58 そうそう、昔のその手の
服って長持ちしますよね。RT 涼しく
なったので羽織ったワイズのシャツ、
よく考えたら20年近く着ているかも
しれない。薄手のものだけど、洗濯機
で洗っても色もあせないし、ほつれも
無い。ちょっと驚いた。
マンガ+アニメ+BD(20)
10 hours ago
映画祭(19)
日本と世界の映画(46)
フレンチポップ(27)
JAZZ+ROCK+CLASSIC(14)
宮崎駿 Studio Ghibli(6)
Join the conversation
フランスの美術館(5)
美術館&美術展(14)
ART+DESIGN(14)
ファッション+モード(28)
バーチャル・バカンス(27)
おフランス商品学(22)
ゴダール:私は前もってタイトルを決めます。タイトルが私が撮る映画の指標
CAFE+WINE+GOURMET(16)
になります。映画のどんなアイデアにも先んじてまずタイトルがあります。そ
かんたんフレンチレシピ(15)
れは音楽のラ(A)のようなものです。わたしはタイトル(titre)のリストをまる
エコロジー+スローフード(13)
ごと持っています。ちょうど貴族の称号(titres de noblesse)や有価証券
子育て+少子化対策(11)
(titres de banque)のように。今はむしろ有価証券ですね。私は
スポーツ(サッカー、野球…)(4)
「Socialisme」というタイトルで撮り始めました。撮影が進むに連れてそれ
フレンチ・ブーム年表(4)
は満足できるものではないように思えてきました。映画はコミュニスムやキャ
フランス語講座(3)
書評−グローバル化&WEB(7)
書評−フランス小説(14)
書評−その他の小説(10)
書評−文学・芸術・思想(11)
1 / 38
インタビュア:なぜ、’Film Socialisme’ というタイトルなんですか。
☆cyberbloom をクリックすると
twitter のページに飛びます!
ピタリスムと呼ばれてよいものでした。ところがある面白い偶然が起こりまし
た。私がプレゼン用の小冊子を哲学者のジャン=ポール・キュルニエに送り、
彼がそれを読んだときのことでした。それには制作会社の Vega Film の名前
がついていて(※つまり Vega Film Socialisme と書かれてた) 、彼は映画の
書評−その他(21)
タイトルを Film Socialisme と勘違いしたのでした。彼は10枚以上もある長
時事+トレンド特集(124)
い手紙で、それがどれだけ彼の気に入ったかを書いてよこしました。私は彼が
週刊フランス情報(323)
正しいに違いないと思い、映画のタイトルをそれに決めました。
LINKS
フランス語のニュース番組
FRANCE 24
10/09/24 18:23
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TF1 en direct
RECENT ENTRIES
(09/21)Twitter がハックされた!
インタビュア:地中海やホメロスのクルージングのアイデアはどこから来たの
(09/20)週刊フランス情報 13 - 19
ですか?
SEPTEMBRE
ゴダール:最初私はセルビアで起こるような別の歴史のことを考えていまし
(09/17)「ジャジーなハスキーヴォイス
た。しかしうまくいきませんでした。そのとき私にガレージの中の家族という
フランス系CYBER MEDIA
求む」——ZAZ(ザーズ)
アイデアが浮かびました。マルタン一家です。しかしそれはロングショットで
LE MONDE
(09/14)週刊フランス情報 6 - 12
SEPTEMBRE 後編 年金デモ250万人
(09/12)週刊フランス情報 6 - 12
SEPTEMBRE 前編 映画情報
(09/10)マラドーナに見る英雄の条件
は持ちませんでした。ロングショットで撮れていたら、人々は登場人物になっ
ていただろうし、そこで起こっていることも物語になったことでしょうから。
供たちの物語です。
5 SEPTEMBRE 後編 ロマ問題&シャ
インタビュア:その家族のメンバーは、普通のフィクションの人物たちとほと
ルロット初来日
んど同じで、あなたの映画らしくありませんでした。
(09/05)週刊フランス情報 30 AOUT -
ゴダール:おそらくそうでしょう。しかしながら全くそうというわけではあり
(09/02)就活化する世界(3) グーグリネ
ス Googliness
ません。彼らは登場人物になる前にシーンが中断します。彼らはむしろ彫像で
す。そして人が昔というとき、旅に出かけ、地中海に船で乗り出します。ク
AOUT
ルージングのアイデアはそこから来ています。私は今世紀始めの論客レオン・
(08/29)就活化する世界(2) ハイパーメ
ドーデの、『シェークスピアの旅』という本を読みました。彼はその本の中で
リトクラシーとは
若いシェークスピアの地中海の船旅の行程を追っています。シェークスピア自
(08/27)就活化する世界(1) あなたは会
身はそれについて何も書いていませんが。
(08/23)週刊フランス情報 16 - 22
LE FIGARO
AFPBB NEWS
サイトでフランス語を学ぶ
学校行かずにフランス語
ROND POINT-パトリスのフランス語講
座
学校でフランス語を学ぶ
社のために何ができますか
AOUT 後編 Twitterより
LIBERATION
す。話す彫像です。人が彫像について話すときに、それは昔のものだと言いま
(08/31)週刊フランス情報 29 - 22
(08/24)週刊フランス情報 16 - 22
LE MONDE DIPLOMATIQUE
対話や心理によって作られるフランス映画のような、ひとりの母親と彼女の子
(09/06)週刊フランス情報 30 AOUT -
5 SEPTEMBRE 前編 映画情報
NHK on line FRENCH
インタビュア:例えばアドピ法(La loi Hadopi)、つまりは違法ダウンロード
東京・横浜・日仏学院
の問題、イメージの所有権についてはどうですか。
AOUT 前編
ゴダール:私はもちろんアドピ法に反対です。知的所有権など存在しません。
(08/19)ジャン=リュック・ゴダール、
私は相続にも反対です。つまりアーティストの子供が彼らの親の作品の著作権
Film Socialisme インタビュー
の恩恵をうけることです。子供が成人するまではいいと思いますが、ラヴェル
アテネ・フランセ
関西日仏学館
の子供たちが「ボレロ」の権利にタッチするのは当然のことではないと思い
大阪日仏センター=アリアンス・フラン
ます。
セーズ
編 国民戦線ルペン党首が靖国参拝 by
インタビュア:あなたの映画からイメージを拝借するアーティストに見返りを
フランス最新情報
cyberbloom (08/16)
要求しないのですか。
週刊フランス情報 9 - 15 AOUT 前
ゴダール:もちろんしません。さらにそうしたあげくにネット上で公開する人
RECENT COMMENTS
週刊フランス情報 9 - 15 AOUT 前
編 国民戦線ルペン党首が靖国参拝 by
智太郎 (08/16)
グラントリノ -アジアの少年に受け継
がれる古き良きアメリカ- by
々もいるでしょうが、一般的には良くないことです。しかし私は彼らが私から
CAHIER DE PARIS
FRENCH WAVE
何かを取っているという感情は持ちません。私はインターネットを使っていま
せんが、連れのアンヌ=マリーは使っています。しかし二匹の猫のイメージ
cyberbloom (07/18)
(※予告編にも一瞬出てくる)のように、私の映画にもインターネットから取っ
グラントリノ -アジアの少年に受け継
たものがあります。
MUSIC-FR 仏音楽最前線
フランス雑波
がれる古き良きアメリカ- by たかはし
(07/18)
週刊フランス情報 26 AVRIL- 9 MAI 後
編 by noisette (05/10)
週刊フランス情報 19 - 25 AVRIL by
cyberbloom (04/27)
インタビュア:あなたの映画は FilmoTV を介してネット上で見れます。映画
館での上映と同時に。
れを Youtube に流すことを提案しました。ネット配信は配給会社のアイデア
週刊フランス情報 19 - 25 AVRIL by
joueusedetaichi (04/27)
した。もしそれが私の決定だったら、そんな形で劇場公開しなかったでしょ
「トウキョウソナタ」 by noisette
う。映画を撮るのに4年かかりました。製作に関しては異例です。私はそれを
(04/04)
Battaggia、Arragno、Grivas と一緒に4人で撮りました。それぞれが独自に
セントラムに乗ってみた by cyberbloom
始めてイメージを集めました。グリヴァスはひとりでエジプトに出かけ、何時
ユニクロがパリに旗艦店、日本一の億万
長者、柳井正インタビュー by mimami
(02/25)
RECENT TRACKBACK
ロック温故知新−英仏プログレ対決
(1) ジェネシスVSアンジュ by OOH
PETITEPARIS NET
ゴダール:それは私のアイデアではありません。予告編を作ったとき、私はそ
です。彼らは映画にお金を出しているので、わたしは彼らの要求どおりにしま
(03/24)
chocolat-日仏語podcast
FRENCH CODE
FRENCH BLOOMIN' BLOGS
Coucou Mes Amis
フランス語系人のBO-YA-KI
間分ものフィルムを持ち帰りました。私たちは多くの時間を費やしました。私
は映画の配給に関しては映画を作るのにかかった時間と同じ分だけ収益を得た
franponais 24h
いと思っています。
ふらんすに揺られながら
インタビュア:映画の最後から2番目の引用に、「法が不当なものであれば、
正義は法に先立つ」というのがありました。
ゴダール:これは著作権に関することです。すべてのDVDは違法コピーを禁じ
LA LA - my favorite songs(08/13)
るFBIの警告から始まります。しかしそのフレーズから別のことを知ることも
勝間和代『目立つ力』を読んでみた by
できます。例えばローマン・ポランスキー Roman Polanski の逮捕を思い出
(朝日を忘れた小説家)山雨乃兎のブロ
すでしょう。
parisパリ-カメラマン都築清写真ブログ
Vivent le franponais et la
franpophonie
フランス美食村
グ(08/12)
「トウキョウソナタ」 by 中川ホメオパ
シー (05/19)
ルノ。 by たび☆めし☆うま
BLOG(04/24)
フランスで弁当ブーム!(1) by
monolog-tatamize(04/12)
インタビュア:ポランスキーの逮捕があなたの国スイスで起こったという事実
があなたには重要なのですか。
うるわしのブルターニュ
ゴダール:私はスイス人でも通るし、フランスに住民登録していて、税金も
払っています。スイスには私が好きな、私にはなくてはならないいくつかの風
Bordeaux News
景があります。私のルーツもここにあります。しかし政治的には多くのことに
ショックを受けています。ポランスキーに関して言えば、スイスはアメリカに
2 / 38
L'EQUIPE TRICOLORE
ね式(世界の読み方)
10/09/24 18:23
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「バッファロー'66」 by むーびーふぁん
従う必要はありませんでした。もっと議論すべきで、受け入れるべきではあり
たすてぃっく(03/18)
ませんでした。カンヌに行くすべての映画関係者はポランスキーのために動く
週刊フランス情報 4 - 10 JANVIER べきす。スイスの裁判所は間違っていると主張して欲しかった。ジャファー
後編 by アンチエイジングのことなら
『いきいきナビ』(01/17)
週刊フランス情報 4 - 10 JANVIER ル・パナヒ Jafar Panahi を支持するためにそうしたように。イラン政府は悪
マンガ★国際文化交流
報(01/17)
インタビュア:ギリシャの危機もあなたの映画に強く反響してますね。
立山 Gackt parle français by ロドリ
ゴダール:私たちはギリシャに感謝しなければならないでしょう。ギリシャに
ゲスインテリーン(11/23)
対して借りがあるのは西洋です。哲学、民主制、悲劇。私たちは悲劇と民主制
週刊フランス情報 12 - 18 OCTOBRE
の関係を忘れがちです。ソフォクレスがなければ、ペリクレスもありません。
by したらば掲示板限定シリーズ三部作
私たちが生きているテクノロジーの世界はすべてをギリシャに負っています。
です。ハンナ・アーレントがまさに言ったようにロジックが全体主義を生むの
2010年08月(13)
です。ギリシャのおかげで今みんながお金を稼げているのですから、ギリシャ
2010年06月(10)
2010年05月(16)
RECOMMENDED VIDEO CLIPS
は巨額の著作権料を現代の世界に要求することができるでしょう。ギリシャに
お金を払うことはロジックになかうでしょう。すぐに払うことです。
extra ordinary
three stars
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インタビュア:ギリシャは嘘つきと非難されています。
ゴダール:小学校で習った古い3段論法を思い出します。エパミノンダスは嘘
☆POUPEE DE CIRE, POUPEE DE
SON
by FRANCE GALL
☆HOLIDAY
by MICHEL POLNAREFF
☆LAISSE TOMBER LES FILLES
by MAREVA GALANTER
☆QUELQU'UN M'A DIT
by CARLA BRUNI
☆PERSONNE N'EST COMME TOI
by AUTOUR DE LUCIE
☆FLEUR DE SAISON
by EMILIE SIMON
☆NAUFRAGE EN HIVER
by MIKADO
☆BE MY BABY
by VANESSA PARADIS
☆SAD DISCO
by RHESUS
☆CYBELE'S REVERIE
by STEREOLAB
☆ONE MORE TIME
by DAFT PUNK
☆UNE VERY STYLISCH FILLE
by DIMITRI FROM PARIS
☆ MAD BLUNTED JAZZ
by DJ CAM
☆CHERRY BLOSSOM GIRL
by AIR
☆PLAYGROUND LOVE
by AIR
☆DANCE
by JUSTICE
☆5:55
by CHARLOTTE GAINSBOURG
黒猫亭
生じないように、ひとつの論理の中にとどまれるように、一日中使っている手
2010年09月(9)
2010年07月(10)
FBNレギュラーの個人BLOG
論理学を考えたのは誰でしょう。アリストテレスです。これがこうで、それが
そうなら、こうだ。これが論理というものです。これは強国がとりわけ矛盾を
ARCHIVES
村野瀬玲奈の秘書課広報室
い政府と言うようにスイスの政府もよくないと。
後編 by ちょいヲタオヤジのニュース速
雑記(10/19)
50歳のフランス滞在記
つきだ。ところでギリシャ人はすべて嘘つきだ。したがってエパミノンダスは
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ギリシャ人だ。人はあまり進歩していないですね。
サッカー1週間
☆Les InRocks.com に掲載されたジャン=リュック・ゴダールのインタ
ビュー "Le droit d’auteur ? Un auteur n’a que des devoirs"(著作権だっ
FRENCH BLOOM NET-main blog
て?作家には義務しかない)を部分的に訳出してみました。ロメールに言及し
た箇所もあったのですが、残りは時間があったら。
[PR]キャンペーン実施中!航空券
...
[PR]北海道、沖縄、温泉、家族旅
...
"Le droit d’auteur ? Un auteur n’a que des devoirs"
Un entretien avec Jean-Luc Godard
Les InRocks.com
18 mai 2010
RDF SITE SUMMARY
RSS 2.0
☆”Film socialisme”は今年のカンヌ映画祭の「ある視点 Un Certain
Regard」部門に出品されたが、5月17日と18日の2日間、映画館での封切り
RECOMMENDED DVD
に先駆けて、そしてカンヌ映画祭と同じ日にVOD(=Video On Demand)で配
信された。
□ http://www.filmotv.fr/
cyberbloom
posted by cyberbloom at 13:35| パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | フラン
ス映画 |
|
RECOMMENDED CD
2010年06月30日
■「汚れた血」を見たときの衝撃は未
だに忘れられない。ハレー彗星が接近
し、気温が異常に高い近未来のパリ。
STBO という愛のないセックスで感染
するウィルスが蔓延している。夜の底
にまどろむようなアンナの重さに対す
る、リーズの信じられない軽やかさ。
髪をなびかせ、スカートの裾を翻して
夜のパリを軽やかに駆け、アレックス
に「バイクの天使」と呼ばれるリーズ…
ずっとあなたを愛してる Il y a longtemps que je t'aime
■二人 いつか 憧∼れの♪ パリに 行くのを 夢見∼てる♪ 宮崎あおいと
アヒルの熱演による損保会社アフラック
のコマーシャル・ソング。ノートルダムに
シャンゼリゼ、サンジェルマンに凱旋
門、モンマルトルにカルチェラタン、
エッフェル塔にクリニャンクール。実は
パリが曲のテーマ。多くの働く女性たち
にとってパリは今も特別な場所なのだ。
本来一刻も早く全国の飲食店が全面禁煙になるのを待ち望んでいる身なのだ
が、カフェでタバコをくゆらすクリスティン・スコット=トーマスを見ると、
うわ、カッコいいーと思ってしまうのも事実だ。煙が出ないタバコをJTが開発
したらしいけど、それでは紫煙をくゆらせるーという表現は使えない。人生に
疲れた大人の女の格好良さはやはりタバコの吸い方一つにも現れるものだ。
イギリス人女優クリスティン・スコット=
トーマスが全編フランス語で通すのだが、
やや英語っぽいフランス語が聞き取りやす
い。フランス語専攻のみなさんにはどう聞
3 / 38
■パリ、ジュテーム。18人の気鋭の監
督たちによる、パリを舞台にした持ち
時間5分の「愛」の物語。「愛」は恋
愛に限らず、親子の愛であったり、さ
らには街そのものへの愛であったり、
いろいろな「愛」のかたちが描かれ
る。登場する人々もそこに暮らす人々
10/09/24 18:23
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こえるのかわからないが。
あまり日本人には受けない骨美人と思って
だけでなく、旅行者、移民、留学生な
どさまざま。日本からは諏訪敦彦監督
が参加。
いたが、のっけからしわの目立つ疲れた
すっぴんにたるんだ腹回り。サイズの合わ
■マレーヴァ・ギャランテール。タヒチ
生まれ。彼女の名前は「流れ星」を意味
するらしい。1998年、ミス・タヒチ。
1999年、ミス・フランス。1m78の長身
とエキゾチックな美貌で、14歳からモデ
ルとして仕事を始め、テレビのバラエ
ティー番組の司会者なども努める。
2006年に発表された彼女のデビュー・ア
ルバム「ukuyéyé」はイエイエのリバイ
ヴァル。フランス・ギャル「娘たちにかま
わないで」、ジャクリーヌ・タイエブ「朝
の7時」などをカバー。
ない服。イングリッシュ・ペイシェントか
ら過ぎた年月の重さをリアルに感じさせる
気合の入った演技だ。
重い罪を犯して釈放されたばかり、人待ち顔で空港に座る彼女ジュリエットを
やや若い女性—妹レアが迎えに現れる。二人の間に漂う緊張感。
話の展開は単純だ。無表情で人を寄せ付けないジュリエットがレアの家族—夫
と夫の父(口がきけないというがミソ)、二人のベトナム人の養女たち—やその
■未だに根強い「アメリ」人気。もう見
た人も、これから見る人も。ジュネ監
督は「エイリアン4」を撮っているが、
「アメリ」で彼のSFXの技術は現実の異
化にいかんなく発揮。美しくもグロ
い。
友人達と過ごすうちに次第に人間らしさを取り戻し、かつては医師だった彼
女がなぜ息子を殺すという大罪を犯したのかーが最後にわかるようになってい
る。
しかし別に彼女の罪云々はどうでもよい。ジュリエットが再生していく過程が
丁寧に、繊細に描かれている上質な映画造りと演技とを堪能すればいいのだ。
■スーパーモデルにして女優が、2002
年、本アルバムで歌手デビュー。ヨー
ロッパで100万枚を売り上げるヒットと
なった。このアルバムはプロデューサー
のお膳立によるものではない。自分で詞
を書き、曲を作り、ギターまで弾く。さ
らにはハスキーで落ち着いた魅惑的な声
の持ち主ときている。「ポンヌフの恋人」
のカラックス監督のクリップ付。
カフェで声をかけてきた知らない男と寝てーしかも「全然ダメ」なんて相手に
言ってしまったり、妹の養女に本を読み聞かせてやったり、次第に女の部分と
母親の部分—彼女が長年凍りつかせてきたものが溶け始める。
■ジャン・レノと広末涼子が東京を舞台
に共演。リュック・ベッソン制作のB級
映画だが、あからさまな日本幻想が炸
裂。先端(アキバ)と伝統の対比など、
見所(ツッコミ所)も満載。広末のフラ
ンス語に勇気付けられる学生も多い。
化粧をし、似合う色合いの服を身につけ、自分を長年待っていてくれた人に重
い秘密を打ち明けた時、一人暮らしを始める彼女のアパートに差し込む光が印
象的だ。
別に映画に3Dなんていらないよね。いい脚本と演出と確かな演技があればい
い。そう思わせる静かな佳作。
■思い出したようにCMで使われ、プチ
ブームが来る。最近では「シェリーに口
づけ」がホンダのゼストのCMに使われて
いた。今の学生は「ウォーターボーイ
ズ」を思い出すらしい。このベスト盤は
「愛の願い」「愛の休日」「愛のシンフォ
ニー」「渚の思い出」「哀しみの終わると
き」など、ポルナレフの名曲をほぼ網
羅。私も買い直そうかな。
□公式サイト http://www.zutto-movie.jp/
ずっとあなたを愛してる [DVD]
■移民のゲットー、バンリュー(郊外)
を舞台にし、従来のフランス映画のイ
メージを覆した衝撃的な作品。ここは
本当にフランスなのか。最近パリ郊外
で起こった暴動の背景や、移民の若者
たちの鬱屈した心情をを知るために
も。
posted with amazlet at 10.06.30
角川映画 (2010-09-09)
売り上げランキング: 7451
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■アコースティックなフレンチ・ロック。
女性ボーカル、ギター&ベースの構成。
フランス語は淡々と囁くように歌うのが
いい。90年代の前半によく聴いていたブ
リティッシュ系のギターバンドの音。系
統としては80年代のネオアコにまでさか
のぼる。最近はいろいろ試行錯誤してま
す。
■今日、最も有名なフランス映画と言
えばこれ。今やパリ以上に注目されて
いるマルセイユを舞台にしたカーアク
ション映画。4作目まで出ています。
ヒップホップやライを取り入れた音楽
にも注目。
黒カナリア
↑ライターたちの励みになりますので、ぜひ1票=クリックお願いします!
posted by cyberbloom at 18:08| パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | フラン
■フレンチボサノバの名盤。かなりジャ
ズも入ってます。ベルギー発。名曲「南
の海の魚」のフランス語がとても心地良
い。夏が近づくと聴きたくなる。
ス映画 |
|
■ジャームッシュによる5つの都市を舞
台にしたオムニバス作品。笑いを誘い
つつも、差別問題がさりげなく扱われ
いてるパリ編が秀逸。ウィノナのLA
編、ベニーニのローマ編、ヘルムート
さんに癒されるNY編。トム・ウエイツ
の音楽も印象的。
2010年06月23日
『未来の食卓』または未来に食卓はあるのかという話
僕は日本で献血ができない。それは「1980年から2004年までの間に通算
4 / 38
10/09/24 18:23
フランス映画: FRENCH BLOOM NET-INFO*BASE
■ダフト・パンクのベスト・アルバム。今
年のサマーソニックで来日していました
ね。日本絡みで話題の多いダフト。
2nd、Discovery では日本の伝説的なア
ニメーター、松本零士とコラボレーショ
ン。クリップ集は映画化されカンヌで上
映。ダフトの2人は松本零士の「宇宙海
賊キャプテンハーロック」を見て育ち、
「日本は第2の故郷だ」とまで断言す
る。
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6ヶ月以上フランスに滞在歴がある」(日本赤十字社による定義)からだ。つ
まり、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(狂牛病との関連が疑われる病
気)の原因物質を血液が含んでいるかもしれない危険人物ということである。
このような予防措置は当然必要だし、僕の血液が危険で
はないと、僕自身も言い切れない。しかし、僕はそのよ
うな危険を賭して、フランスに留学したのではなかっ
た。そこに問題がある。いつの間にか、巻き込まれてし
まった。だからといって、僕が無辜の被害者だというわ
けでもない。というのは、狂牛病の場合で言えば、肉骨
粉を飼料にして安くあげようとする社会のシステムの恩
■ソフィア・コッポラ監督の「ヴァージ
ン・スーサイズ」。ソフィア・コッポラ
はアメリカの巨匠フランシス・コッポラ
の娘で、これは初監督作品にして、衝
撃的なgirly映画。サントラを担当して
いるのは、彼女自ら依頼したというフ
ランスの2人組Air(エール)。
恵を十分に蒙って、貧乏学生の身分でもたまには肉を
買って食べていたからである。
■日本でも人気が出てきたフランスのバ
ンド。日本のCMにも曲が使用。ヒップ
ホップとロックのミクスチャーだが、こ
の3rdアルバムはロック色が全面に。初
回限定盤は秘蔵ライブ映像付(マーケット
プレイスでget!)。メンバーはライブで
客にナウシカを歌わせるほどの日本アニ
メおたく。
環境汚染もまた同様である。映画『未来の食卓』を観て、その思いを強くし
た。このドキュメンタリー映画の原題は”Nos enfants nous accuseront”、
直訳すれば「私たちの子供たちはいずれ私たちを告発するだろう」。南フラン
スの農村地帯では、小児がん患者が増加の一方をたどっている。それは明らか
に農薬と化学肥料の直接・間接摂取の影響だ、とモンペリエ大学の医学博士は
証言する。除草剤と殺虫剤を散布すれば、少人数で大規模な農地の管理が可
能になり、それだけ収穫と収入を増やすことができる。だが、土壌は汚染さ
れ、やがては不毛の地となるだろう。
http://www.uplink.co.jp/shokutaku/
http://www.nosenfantsnousaccuseront-lefilm.com/
■2000年にアルバム「パズル」で衝撃的
なデビューを飾ったフランスの男性4人
組バンド、タヒチ・エイティの2nd。前作
のポップセンスを維持したまま、ストリ
ングス&ホーンを導入。懐かしい感じの
するメロディが抜群にいい。英語で歌っ
ています。
■ベトナム出身のトラン・アン・ユン監
督の「夏至」。少年時に家族と共にフ
ランスへ移住し、フランスで映画につ
いて学ぶ。濡れれたような深みのある
その色彩は、官能的とも言えるほど。
ウォン・カーウァイ監督の「花様年華」
を撮影したリー・ピンビンを迎え、さら
にその繊細さに磨きをかける。他に
「青いパパイヤの香り」「シクロ」。
現在、松山ケンイチを起用した村上春
樹の「ノルウェイの森」を撮影中。
恐ろしい映像を見た。30年間、有機栽培(フランス語では有機栽培の農作物
や製品をひっくるめてビオbioと呼ぶ)を続けてきた葡萄畑と、農薬散布を続
けてきた葡萄畑が、ちょうど隣り合わせている。春先、ビオの畑は畝の間に
雑草がびっしり生えているが、農薬散布の畑は、まるで墓標のように葡萄の苗
木が並んでいるだけで、草一本生えていない。土を掘り返すと、ビオの畑の方
は、土塊は湿気をたっぷり含みながらもばらけず、中にはミミズが数匹這い
回っている。農薬散布の方は、煉瓦を重ねたように粘土質の階層状に分離して
しまう。もちろん生物は皆無だ。どちらがまともか、一目瞭然である。だ
が、僕たちが口にするフランスワインの大半は、この煉瓦状の土から育った葡
萄で作られていると思ってよい(ちなみに、「AB (agriculture bio)」という
■exquiseさんもイチオシ。フレンチ・エ
レクトロの代表格、AIR(エール)による
「ヴァージン・スーサイズ」のサウンド・
トラック。レトロさと未来っぽさが同居
しているるのがエールの味わい。独特の
トリップ感覚に浸れるが、私にはどうし
てもピンク・フロイドにしか聞えない。
ビオの認定マークを受けるには最低3年間の無農薬栽培が必要)。
こうした現状に危機感を抱き、南仏のバルジャック村では、村長のイニシア
ティブで学校給食の完全ビオ化を実行した。農薬を使い続ける家庭もあるな
か、その意義をめぐって村では議論が巻き起こる。健康が大事なのは分かる
が、ビオは作るのに手間がかかり、買う側としても値段が高い。しかし、村の
映画館で開催された討論会で、村長は言い放つ。「すぐに金の心配をするな、
■「ぼくが街でアントワーヌ・ドワネ
ル(=主人公)風の若者を見つけるたび
にいつも思い出すのは『大人は判って
くれない』の中で通りを駆け抜ける、
あの飢えたようなアントワーヌの最初
の姿である。彼は世界と折り合いを付
けることが出来ずに終始スクリーンを
うろつき、楽しもうとしてみたはいい
が大きすぎる代償を払い続ける。それ
は全く持って人生そのもののようで、
アントワーヌ・ドワネルはやはり生ま
れたときから人生の本質の中にいたの
である」(曾我部恵一)
まずは自分の良心に問いかけろ」。実際、ビオ給食は赤字予算なのだ。それで
も、これは必要なことなのだから、他の予算を削ってでもやらなければならな
い、と村長は確信している。
■コートをまとったポール・ウェラーと
ミック・タルボット。カッコ良すぎる。
二人のファッション、イギリス人が意識
したフレンチ・カジュアルなのかもしれ
ないが、パンツはくるぶしの上5センチ
でカットされており実にイギリス的。録
音も当然ロンドン。写真をパリに、アル
バム・タイトルをフランス語にしてもイギ
リス人がパリなんかでロックのレコード
を録音できるはずがない。80年代の名
盤。ジャケ買いOK。
良心の問題は、労働現場にも影響する。給食をビオにしてから、調理人の意識
が変わった。かつては殺虫剤まみれの缶詰を使っていたが、今では自分が責任
をもてる食材を子供たちに提供している。そのことが、調理人にとっても誇り
となる。学校の片隅には畑が作られ、子供たちはビオを食べるだけでなく、
野菜の栽培と収穫を通して、ビオのサイクルに自ら関わることを教えられる。
教師も、子供たちの前で、消費社会の矛盾をはっきりと口にすることができ
る。
僕はと言えば、まさに殺虫剤まみれの缶詰を3年間もフランスの大学の学生食
堂で食べた人間であり、今さらながらぞっとした。しかも、それが自分の子
供に間接汚染を惹き起こすかもしれないということになれば、まさに僕は次
世代への犯罪に加担したことになる。知らなかった、では済まされない。と
言うよりも、まさにそんなことも知らずに、生産と消費のからくりも知ろうと
■DJ CAM−フランスで最高のDJ。オ
シャレ&クールなジャズ・ヒップホップ。
soulshine というだけあって、ソウルフ
ルな女性ボーカルをフィーチャー。洗練
されつつ、遊び心もふんだんに盛り込ま
れた1枚。大推薦!
5 / 38
■定年退職前の厳しくも優しいロペス
先生のもとで、勉強したり遊んだりす
る13人の子供たちの姿を追った、心温
まるドキュメンタリー映画。Etre et
Avoir—タイトルにもなっているこの二
つの動詞から見ても、フランス人に
とってのフランス語の始まりも、日本
人がフランス語を始めるときと全く同
じなんだな、と分かります。フランス
語をやっている人なら、まるで自分も
小学生になったような気分になり、子
供たちと一緒に「うぃぃ∼!」「ぼん
じゅ∼る、むっしゅ∼」と言ってしま
いそう。
せずに、汚染された食品を摂取し続けたことが罪状となるのだ。それは逃れ
ようのない罪と言うべきだろう。僕は子供たちに告発されるのを待つしかな
い。
映画の冒頭、ユネスコの会議でアメリカの科学者が警告する。「近代が始まっ
10/09/24 18:23
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て以来、子供の健康が初めて親のそれに劣るであろう」と。医療技術の発達が
乳幼児の死亡率や疾病率を下げてきたとすれば、環境汚染が今度は子供たち
をゆっくりと殺していくことになる。「そんなことがあってはならない(That
should not be.)」と科学者は付け加えた。本当にそうだ。野菜が虫に食われ
る方が、人間が薬品に蝕まれるより、どれだけ平和な光景かわからない。
『未来の食卓』とは、一見希望に満ちた邦題だが、この映画の原題が伝えてい
■Mad Blunted Jazzなんて、タイトル
がすでにカッコいい。内容は
「Underground Vibes」と同時期のラ
イブ(1995年レンヌ)のカップリング。タ
イトルの示す通り、地下室の闇を置く深
くまで振るわせるようなヴァイブラフォ
ンの響き。DJ CAMはMJQの現代版か。
クール&タイトなインスト・ヒップホッ
プ。10年経っても全く色あせず。
るのは、むしろ「未来に食卓と呼べるものがあるのか」という危機感であ
る。これからどんなものが食べられるのか、というよりも、安全に食べられ
るものが何かあるのか、という問いに、僕たちは直面しているのである。
bird dog
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■フレンチロリータにしてコギャル系。
今はJ・デップの奥さんだが、このアルバ
ムは元カレのL・クラヴィッツのプロ
デュース。クラヴィッツのポップセンス
がキラキラ輝く。BE MY BABYのクリッ
プを改めて見たが、ファッションが著し
くイマ風。ギャル系の学生も見入ってい
た。
posted by cyberbloom at 00:25| パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | フラン
ス映画 |
|
2010年05月25日
ロシアン・ドールズ Les Poupées russes
■シャルロット・ゲーンズブールの久しぶ
りの新アルバム。映画とのタイアップで
はないオリジナルアルバム。バックにフ
ランスの2人組エールが、さらにプロ
デュースにレディオヘッドも手がけるナ
イジェル・ゴドリッチ。
■原題は L’auberge espagnol−訳す
と「スペインの宿」。これは今のヨー
ロッパを象徴するような文化的な混沌
状態を指し、そんな中でどんなアイデ
ンティティが可能なのかを問うてい
る。主人公はパリ大の学生だが、ヨー
ロッパの交換留学システム「エラスム
ス計画」を使って、バルセロナへ留学
し、ヨーロッパ各国から集まった学生
たちと共同生活を始める。それぞれの
国のタイプが典型的に描かれいている
のが面白い。映画の公開後、エラスム
スの利用者が倍増したという、留学し
たくなる映画。ラストシーンも清々し
く、続編「ロシアン・ドールズ」へと
続く。
■ゴダールとストーンズの奇跡的な出
会い。ジャケットのデザインがすでに
買いだ。ミック・ジャガーのまさに悪魔
的な、シャープなシルエットを見よ。
オヤジバンドには用はない。このDVD
によって自らとどめを刺されるがよ
い。
「スパニッシュアパートメント」の続編「ロシアンドー
ルズ」をようやく見た。「スパニッシュアパートメン
ト」は授業で教材に使い、何度も繰り返し見ているの
で、登場人物たちと何だか顔見知りのような気がしてし
まう。実際、この作品は前作の同窓会的なノリだ。
タイトルになっているロシアン・ドールズはいわゆるマ
トリョーシカってやつで、入れ子になっている人形のこ
と。ロシアン・ドールズは、これが最後の相手と思っても、その向こうに理想
の相手が待っているのでは、と疑ってしまうことの象徴になっている。ひとり
■ブランシェなパリを演出するコスト兄
弟がプロデュースしたホテル・コスト。こ
のホテルのラウンジ&レストランをイ
メージしたコンピレーションCD。今や
9集目を数えるラウンジ系の人気シリー
ズだが、これは記念すべき第1弾。ベス
ト盤もあり。
の相手を決めることができない。あらゆる可能性を試さずにはいられない。
カバは一生、ひとり(一頭?)の相手と添い遂げるというのに(笑)。
モード雑誌の表紙を飾るスーパーモデルとも関係ができたりして、グザビエ
君、ありえない。「スパアパ」でも美しい人妻と不倫していたし。とはいえ、
グザビエだけでなく、マルティーヌもウェンディも恋愛に関して至って真剣
■ヌベル・ヴァーグ期の未だに色褪せな
いオシャレ映画。犯罪に手を染めるス
タイリッシュな若者とジャズの組み合
わせ。シーンにカッコよく色を添える
と思えば、唐突にシーンを切り裂く
ジャズのフレーズ。主人公のミシェル
は、ジーン・セバーグ扮するヤンキー
娘、パトリシアをひたすら口説く。主
人公たちが頻繁に口にする当時の流行
り言葉、dégueulasse(最低)!がキー
ワードになっている。
だ。恋愛にはそれぞれの実存の問題がからむとは言え、傍から見ていてもあま
り同情する気になれない。欲望にはきりがない。きりがないのが欲望だ。そ
れって何だがバブリーなテーマじゃない?日本ではバブルの80年代後半くら
いに「トレンディードラマ」(笑)でよく見かけたパターンのような気がする。
バブルになると自分の可能性まで広がったと勘違いする。可能性のバブルと際
■フランスで最も有名なラッパーの
1st。フレンチラップの金字塔的な作
品。音もジャズっぽく、スタイルもクー
ル。MCソラーは移民の置かれた現実の
告発よりも、純粋に言葉による表現を志
向している。ことわざやクリシェで遊
び、シラブルと韻を自在にあやつる。
限のない差異の戯れの中で溺れてしまうのだ。
この映画の公開は2005年。時期的にもリーマンショック以前の映画なのだ
が、さらにはユーロ・バブルの産物と言えるかもしれない。ユーロはリーマン
ショックの直前に1ユーロ=170円(=1・6ドル)をつけるが、2005年はそれに
向けてまっしぐらな時期だった。セシルはグザビエと同じ経済学部出身だが、
■フランソワ・オゾン監督、「8人の女
たち」。ドヌーブ、ベアール、ユペー
ル、アルダン、ルドワイヤン、フラン
スの大御所女優たちが勢揃い。優雅な
ミュージカル映画かと思いきやけっこ
うえげつない毒のある幕切れ。
テレビのメロドラマを書いたり、モデルのゴーストライターをやったり、不本
意な作家生活を送っているグザビエとは対照的に、金融資本主義の波にうまく
乗り(グザビエは父親の意向に沿えばそうなるはずだった)、レズビアンの友だ
ちを集めて羽振りの良い生活をしている。とどめには金融情報メディア、ブ
ルームバーグ Bloomberg にも出演している姿が映し出されている。ウェン
■セーヌ河のジャズ。青い頃のバルネ・
ウィラン。初っぱなの"SWING 39"がい
い。口につけるリードがこなれず、青臭
く乾いたところ、パーカッションの勢い
6 / 38
ディは父親がロンドンに買っておいてくれたフラットに住んでいて、「今じゃ
高くて買えないわ」と、不動産バブルをほのめかしている。当時パリでも不動
産価格の高騰や家賃の上昇がよくニュースになっていた。
■テクノチューンにのって疾走する鬼
畜系バイオレンス映画。あまりにバイ
オレントな内容にフランスで物議を醸
10/09/24 18:23
フランス映画: FRENCH BLOOM NET-INFO*BASE
にまかせて、伸びる伸びるテナーの音
粒…
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ユーロはリーマンショック後110円台にまで下落し、現在、ギリシャ危機の影
響で120円台で低迷している。経済的な余裕があるから恋愛にこだわっていら
した。ロケットランチャー内蔵のマグ
ナム357で銀行強盗を繰り返す主人
公、ドーベルマンをヴァンサン・カッセ
ルが演じる。
れる。理想の相手を求め続けることは普遍的な問題ではあるものの、今は恋愛
すら難しい状況にある。実際、リーマンショックの予感の中で撮られたクラ
ピッシュの最新作「PARIS」の登場人物たちはパリのすさんだ空気の中で萎
縮し、臆病になり、人を愛することさえためらっている。
■ペトルチーアーニは繊細な演奏をする
フランス生まれのピアニスト。なかでも
オープニングチューン"THE PRAYER"と
2曲目"OUR TUNE"は、たまに無性に聴
きたくなるんよね。
「スパニッシュアパートメント」で混沌としているが可能性に満ちたEUの未
来を信じ、「ロシアン・ドールズ」でユーロ・バブルなメンタリティーを描き
出したクラピッシュは「PARIS」で明らかに方向転換し、堅実なメッセージ
を発している。
「みんな不満だらけで、文句ばかり言っている。これがパリだ。」グザビエと
同じくロマン・デュリスが演じるピエールのセリフが毎日続くデモの話題と重
ね合わせて発せられる。「みんな自分が幸せだということをわかっていな
い」。パリあるいはフランスという枠の中で不満を言い、分け前をよこせと
■泣く子も黙る、モダン・ジャズ・カル
テット。パリを舞台にしたジャズの名盤
のひとつ。ヴァイブラフォンの響きが何
ともクール。「Django」と併せて聴き
たい。
言っているわけだが、「PARIS」の中で、密航によってパリを目指すアフリカ
■「ベルリン・天使の詩」。ロックな映
画監督、ヴェンダースならではの映
画。そしてエトランゼ(流れ者)の映
画。流れ者の天使、ピーター・フォーク
の演技が渋く、流れのシンガー、ニッ
ク・ケイブのライブシーンがカッコよす
ぎる。タキシード・ムーンを始めとす
る、サントラもパーフェクト。流れの
空中ブランコ乗りのお姉さんがフラン
ス語を話している。
の若者が平行して描かれているように、パリもフランスもすでにグローバリ
ゼーションの波の中にある。そういう自分たちの狭い特権的な枠の中で考えら
れなくなっている、とクラピッシュは言いたいのだろう。もはや分け前をとる
だけとって、逃げ切る場所なんてどこにもない。身も蓋もない言い方をすれ
ば、幸せになるためには幸せのレベルを下げろ、幸せの質を変えろというこ
となのだ。
□関連エントリー「PARIS」
■フランスといえばダバダバダバ。ダバ
ダバ・スキャットの名盤。Swingle
SingersがMJQと華麗なバロック・ジャズ
をやっている。「G線上のアリア」な
ど。バロックもジャズもフランス発じゃ
ないが、2つが組み合わされるとそれっ
ぽく聞こえるのが不思議。MJQがコンコ
ルド広場で、こちらはヴァンドーム広
場。
□関連エントリー「スパニッシュ・アパートメント」
■パララパララ…とアンニュイな感じ
で聴こえてくるトランペットの音。マ
イルスのクールなトランペットが映画
を先導する(彼は画面を見ながら即興で
音楽をつけた)。完全犯罪の計画を立て
るが、一つのミスがもとで事態が急変
し、会社のエレベーターに閉じ込めら
れてしまう…ルイ・マル監督による上質
のサスペンス映画。
cyberbloom
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■「枯葉」「マイ・ウエイ」(=コム・ダビ
チュード)、「男と女」など、誰もが知っ
ているシャンソンの名曲をボサノバ・アレ
ンジで歌う。ジュリエット・グレコはダメ
でも、このアレンジだったら今の学生も
聴けるみたい。イントロに本場のボサノ
バのサビを忍びこませている。
タグ:ユーロ
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posted by cyberbloom at 21:10| パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | フラン
ス映画 |
|
プライバシーについて
2010年05月13日
新旧フランス女優列伝(3)ヴァレリア・ブルー二=テデスキの巻
ヴァレリア・ブルー二=テデスキという女優が気になりだ
■フランスのプログレといえば外せない
のがこれ。不思議な響きを放つマグマの
歌は、彼らが考案したコバイア語によっ
て歌われている。彼らはコバイア星から
やってきたコバイア星人で、このバンド
によってコバイア神話を語り継ぐ。これ
も70年代のサイケカルチャーの産物だ
が、ここまで変さを徹底できるのはフラ
ンスならではか。リーダーのドラマー、
クリスチャン・ヴァンデールはコルトレー
ンの影響下にあると言っているが、プッ
チーニのオリエンタル・オペラ(「トゥー
ラン・ドット」とか)にも似ている。
したのは、クロード・シャブロル監督の『嘘の
心』(1999)という作品を観た辺りからだ。物語は例に
よってフランスの片田舎で起きた殺人事件。犯人は一体誰
なのか。たまたま通りかかっただけの女性に疑いがかけら
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れるのだが、真相は分らない。この映画でヴァレリアは冷
静沈着な刑事を演じており、次第に真犯人を追い詰めてい
く。
プライバシーについて
ポーカーフェイスの表情と洗練された立ち居振る舞い。そして、抑制が効いた
低いハスキーな声。無機質なようで鋭いまなざし。一目見ただけでは悪玉なの
か善玉なのか、全く見当がつかない。しかし、圧倒的な存在感でそこに佇む
女…。そんな役をやらせたらこの人の右に出る者はいないだろう。彼女の出現
は、確かにフランス映画に新しい風をもたらしたといっても過言ではない。い
ま、彼女のような実力派女優を抜きにしてはまともなフランス映画を作るのは
難しいのではないだろうか。
7 / 38
10/09/24 18:23
フランス映画: FRENCH BLOOM NET-INFO*BASE
■フランス語圏のベルギーのグループ。
室内楽風の構成なのでチェンバー・ロッ
クと呼ばれる。バスーン(ファゴット)の
こもった低音や、地の底から響いてくる
ようなハーモニュームの音が特徴的。夏
の肝試しにも使えそうな、呪術的でフ
リーキーな音作りだが、リーダー、ダニ
エル・ドゥニのドラムに導かれるアンサ
ンブルも凄い。このLP盤を手に入れるの
にどんなに苦労したことか。今やアマゾ
ンで簡単に買える。
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彼女はある意味で、フランスで最も有名な女性の姉でもある。妹はサルコジ大
統領夫人のカーラ・ブルー二だが、彼女の演技力に魅せられてしまった者はそ
んなことを気にすることはまずないだろう。妹が大統領夫人であろうがスー
パーモデルであろうが、そんなこととは無関係に、ヴァレリアは間違いなく映
画史に名を残す名女優であるからだ。
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バッファロー
そんな彼女の才能を世界の映画作家が放っておくはずが
なく、誰もが好んで自分の映画に彼女を使おうとする。
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『愛する者よ、列車に乗れ』(1998)のパトリス・シェ
ロー(もっとも、彼女はシェローの演劇学校で学んだ経
緯があり、この起用は当然なのだが)。『二人の五つの
プライバシーについて
分かれ道』(2004)、『僕を葬る』(2005)のフランソ
ワ・オゾン。『ミュンヘン』(2005)のスティーヴン・
■ライ(アルジェリア起源のポピュラー音
楽)で注目すべき傾向のひとつは、フラ
ンスにおけるライとr'n'b の融合。2004
年に Kore & Skalp というコンビが多く
のアーチストを集めて製作したRai'n'b
Fever 。このコンピレーションは大セー
ルスを記録し、フランス全体のチャート
でも2位に。なかでも収録曲のひとつで
113, Magic System, Mohamed
LamineによるGaou a Oranはその年の
「フランスのクラブで最も頻繁にかけら
れた曲」となった。
スピルバーグなどがそれだ。『プロヴァンスの贈り
物』(2006)のリドリー・スコットの名を加えても良いかもしれない。日本人
では諏訪敦彦が『不完全なふたり』(2005)で彼女を主演に据えたことが記憶
に新しい。この映画はロカルノ映画祭で高い評価を受けたことで知られてい
る。
余りにもフランス映画で活躍しているので、彼女がイアリア人とフランス人の
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混血であるということを忘れてしまいそうになるが、ある映画がそのことを思
い出させてくれた。日本で『明日へのチケット』(2005)という題で公開され
たその映画は、ケン・ローチ、アッバス・キアロスタミ、エルマンノ・オルミ
プライバシーについて
という三人の名匠が撮った短編によって構成されるオムニバス映画である。三
本の短編はどれも、ある特急列車に乗った人物を主人公にしている。
エルマンノ・オルミが監督した作品の中で、ローマに帰
■パトリシア・プティボンは、近年、
ヨーロッパ各地の大劇場のオペラ公演に
重要な役どころで出演し、高い評価を得
ているフランス人ソプラノ歌手。このプ
ティボン、たんに歌や演技がうまいオペ
ラ歌手というのとはわけが違い、チャー
ミングなキャラを生かした、かなり規格
外のパフォーマー。最大の魅力は、天上
の聖性と地上の下世話さのあいだを一瞬
にして往還する表現の自在さであろう。
る大学教授を駅まで見送る企業秘書の役をヴァレリアは
演じている。教授は列車の中でも秘書の面影が忘れられ
ず、回想に浸る…。この映画でヴァレリアは当然ながら
終止イタリア語を話すのだが、これまでフランス語を話
す彼女ばかりを見ていた観客に、これはいささかの驚き
Saeco マジック カプチー
ノ シルバ...
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をもたらしたと思う。フランス語を話すときは冷徹な雰
囲気を醸し出すヴァレリアの声が、イタリア語では何と
も艶めかしい響きになるのである。彼女は間違いなくイタリア女優—ステファ
プライバシーについて
ニア・サンドレッリやモニカ・ヴィッティのような—の官能的な血を受け継い
でいるだということを改めて思い知らされた。と同時に、この作品は短編なが
ら、彼女の演技の幅の広さを強く印象付ける作品ともなっている。
最近、彼女はActrice『女優』(2007)という映画で、監督・主演を果たしてい
■エレーヌ・グリモーはいまや飛ぶ鳥を
落とす勢いのピアニスト。エクサン・プ
ロヴァンス生まれのフランス人である
が、ドイツ音楽を好み、ベートーヴェン
やブラームスの協奏曲をプログラムに選
ぶことが多い。グリモーは幼い頃から周
囲と溶け込めず、自閉症に近い性格を
持っていた。彼女を変えたのが狼との出
会い。20歳からアメリカに移り住んで動
物生態学を学び始めた彼女は、狼との交
流を通して世界に向かって心を開き始め
る。と同時に、彼女の音楽家としての魂
は目覚しく成長を遂げた。
RECOMMENDED BOOKS
る。映画監督としては二本目であり、女優としてはコメディエンヌとしての側
面もこの映画ではクローズアップされている。いまではソフィー・マルソーま
で監督をやるような時代だから、誰でも監督をやれると言えばその通りなのだ
が、ヴァレリアにかかる期待はソフィーにかかるそれとは同じものではないだ
Le Creuset ココット・
オーバル 27c...
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ろう。ヴァレリアの次の作品を期待しているのは私だけではないはずだ。
プライバシーについて
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プライバシーについて
posted by cyberbloom at 22:33| パリ
■NHKのドキュメンタリー「世界わが心
の旅・宮崎駿 — サン=テグジュペリ紀
行 ∼南仏からサハラ」で、宮崎駿はサ
ン=テグジュペリが通った郵便航路、
8 / 38
ランス映画 |
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10/09/24 18:23
フランス映画: FRENCH BLOOM NET-INFO*BASE
トゥールーズ∼ブエノスアイレス間のう
ち、モロッコのキャップジュビー飛行場
までの行程をたどっている。宮崎駿はこ
の取材旅行にひどく感銘を受け、帰って
からスケッチをかき、それがサン=テグ
ジュペリの『人間の土地』『夜間飛
行』(新潮文庫)のカバーに使われてい
る。『人間の土地』には取材旅行のあい
だに記した文章「空のいけにえ」があと
がきとして収載されている。
http://cyberbloom.seesaa.net/category/1198476-1.html
2010年04月01日
TAXi 2
先日、授業中に映画鑑賞をしていたときのこと。ちょっ
と古い映画であるものの毎年学生さんの評判がいいので
『TAXi 2』をよくとりあげているのですが、観劇中ふ
とあることに気がついてカルチャーショックじみたもの
を感じました。この映画では案外エゲツない描写がちり
deviceSTYLE Angelshare
ワインセラ...
デバイスタイル ...
ロープライス ¥28,700
or 新品 ¥30,097
ポイント 3009pt
ばめられてるんだなぁ、と。
まずその一つ目ですが、冒頭付近で主人公のダニエルが
プライバシーについて
恋人のリリーの実家を初訪問する場面からはじまります。リリーの父親という
のがフランス軍の幹部で、公私混同もはなはだしく普段から話す口調がやたら
と軍人っぽくて、とっつきにくいところがある。ところが、飄々とした&物怖
■デパートの黎明期を活写したエミー
ル・ゾラの『ボヌール・デ・ダム百貨
店』。物語の主軸は、パリのデパート
「ボヌール・デ・ダム百貨店」の貧しい
女店員である主人公ドゥニーズ・ボー
デュと、このデパートの経営者、青年実
業家オクターヴ・ムーレとの身分違いの
恋愛。しかし読み進めるにしたがって、
ドゥニーズのシンデレラ・ストーリーより
も、消費社会の権化とも呼ぶべきデパー
トの実態に興味がひきつけられる。
じしない性格のダニエルはエスプリの利いたやりとりで対応し、この父親と意
気投合することに成功します。
そして、ぼくが気になったのはその直後で、リリーの父親がアルジェリア戦争
での武勲を誇らしげに語る場面。この自慢話をリリーと母親はさんざっぱら
聞かされているらしく、気もそぞろに聞き流している一方で、恋人の父親に配
慮をしているのか、ダニエルはふんふんとそれなりに真剣に聞いている。ここ
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で、「あ」と気がついたことがありました。
プライバシーについて
というのも、ダニエルはフランス旧植民地国の移民という設定であり、で、こ
の(アルジェリアからの?)移民であるダニエルに対し、フランス軍の幹部が
アルジェリア戦争の武勲を語るというのは、ある種のブラックジョークになる
なぁ、と…。
世界の株価指数
2010/09/24(金) 18:22
日経平均
このことに気がついてみると、さらにほかのところでもおなじようなブラック
()
NYダウ
ジョークではないかと思われるエピソードがみつかります。それは物語終盤
■モノが氾濫するなかで育った日本の少
女たちは世界の消費文化の中でも特異な
存在である。彼女たちは階層的なアイテ
ムだったヴィトンやエルメスを日常的に
使いまわす。ブランド世代の母親たちが
「上がり」として手に入れたブランド
と、その過程で獲得した鑑識眼は彼女た
ちにとっては出発点に過ぎない。もはや
憧れではなく、彼女たちはモノとしての
機能性やデザイン、イメージに徹底的に
こだわる。そういう新しいコンテクスト
にエルメスも捉えなおされる。
で、ダニエルたちが日本のテロリストヤクザ集団を追いかけてマルセイユから
パリに移動するときのエピソード。時間に余裕のないダニエルたちは、リリー
の父親の操縦する軍用機をつかい、愛車もろともパラシュートをつかってパリ
に到着します。これって、アルジェリア戦争時、アルジェリア独立に反対する
現地の進駐軍がクーデターを起こしてパリにパラシュート部隊をぶちこもうと
し、フランス国民を恐怖のどん底に陥れたことを踏まえているんじゃないのか
なぁ…。
()
NASDAQ
()
シンガポールSTI
()
上海総合 中国
()
香港 HANGSENG
()
インドSensex
()
このように外国映画ってのは、その国のことを知識としてある程度知っていた
としても、やはりその国民でないとすぐには気がつかないエピソードがかなり
あると思います。みなさんのなかにも、ぼくとおなじように、外国映画で何気
ないエピソードだと思っていたのが、あとになってそれになんらかの意味や
メッセイジが含まれていると気がついたケースはありますか?
イギリス FTSE100
()
フランス CAC40
()
ドイツDAX
()
ブラジルBVSP
()
Worldmarkets.jp
superlight
■ユベール・マンガレリ『おわりの
雪』:フランスの「今」を感じる現代小説
のひとつ。原文はフランス語文法を一通
り終えた人ならじゅうぶん読める平易な
ことばで書かれている。オリジナルの文
章を味わってみるのも楽しい。
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posted by cyberbloom at 15:58| パリ
ランス映画 |
■2002年,東京でミュージシャンとし
て活躍していた著者はパリに移住する.
そして,このお洒落の代名詞ともいえる
フランスの首都にて予期せぬ事態に次々
と遭遇することになる.念願のプ
ジョー・ヴォーグ(ペダルのついたス
9 / 38
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|
2010年03月30日
エリック・ロメールを偲んで
ヌーヴェルヴァーグの巨匠でフランスを代表する映画監督エリック・ロメール
10/09/24 18:23
フランス映画: FRENCH BLOOM NET-INFO*BASE
クーター)に乗ればガス欠となり,ガソ
リンスタンドを求め街を彷徨う.アパー
トでは何の予兆なく唐突に天井が落下す
る.当たり前といえば当たり前だが,花
の都での生活は,バラ色ばかりというわ
けではない.著者の記述が数ある著名人
/芸能人のパリ滞在記と異なるのは,そ
のユーモラスな筆致にある.
http://cyberbloom.seesaa.net/category/1198476-1.html
がこのほど亡くなった。享年89歳。大往生である。フランス映画を観ること
う。
9/24 18:21現在
通貨ペア
現在値
前日比
ドル円
84.58-60
+0.20
ユーロ円
113.23-26
+0.90
ユーロドル
1.3388-90 +0.0075
ポンド円
132.68-74
ポンドドル
1.5688-91 +0.0007
ルです」私はいささか驚き、つまらないことを口走って
豪ドル円
80.73-77
+0.61
しまった。「あなたが、あのエリック・ロメールの弟な
NZドル円
61.79-86
+0.26
のですか?」しかし、シェレール教授は少しも嫌な顔を
南アランド
せず、満足そうな笑みを浮かべ、頷いてくれたのである。彼にとってもロメー
円
11.97-01
+0.03
ルは自慢の兄なのだ。私はシェレール教授のゼミ生になったが、その後、ロ
カナダドル
メールの話はしなかったように思う。
円
81.93-00
+0.37
85.98-04
+0.36
あれは2002年の5月頃だっただろうか。私はパリ第8大
学哲学科の事務所の前に立っていた。隣には、背の低
い、品のよさそうな老人がいた。私は尋ねた。「ルネ・
シェレール教授をご存知ですか?」老人は微笑して答え
る。「もちろん、知っていますよ。私がルネ・シェレー
■祐天寺りえ『フランスだったら産める
と思った』:日本の少子化が問題になっ
ているが、フランスは積極的な政策で少
子化に歯止めをかけている。本書はフラ
ンスに住むことになった日本人の女性の
視点から、フランスの子育て事情につい
て書いている。これからはどんな家族の
あり方が望ましいのか、具体的にイメー
ジできる本。
FXレートウォッチャー
に多くの歳月を費やした者ならば、ロメールを偲ばない訳にはいかないであろ
スイス円
ルネ・シェレールは故ジル・ドゥルーズやジャック・ランシエールらと並ぶパ
+0.36
分足
リ第8大学哲学科の名物教授であり、その著書も何冊か翻訳されている哲学者
だ。だが、彼がロメールと兄弟であり、なぜ、苗字が違うのかということは余
り知られていないかもしれない。映画監督ロメールの本名はモーリス・シェ
レールであり、エリック・ロメールというのは全くの芸名(偽名?)なのであ
る。何故、彼が名前を隠したのかといえば、映画を作り始めた学生時代、両
親には「自分は医学を学んでいる」と告げていたためだ。その後も、親には医
者になったと偽り続けたのだが、エリック・ロメールという名前はどんどん有
名になっていく。その有名な映画監督が自分の息子と同一人物であるとは親は
表示通貨ペアを変更
いつまで経っても気がつかなかったのだという。
実際、ロメールは医者にはならなかったが、高校(リセ)の教師になり、定年
■これまでの「西洋音楽史」と銘打った
本の多くは例外なく、各時代の専門家に
よる分担執筆だった。これらは専門家に
対して正しい専門的な知識を万遍なく提
供するだろう。しかし、様々な関心やつ
ながりからクラシックについて知りたい
と思っている普通の人、例えば、「のだ
めカンタービレ」を読んでクラシックに
興味を持った人が、それを理解できるだ
ろうか。理解できる、できない以前の問
題として、そういう「使えない」音楽史
に意味があるのだろうか。ある種の正し
さはあるかもしれないが、ナンセンスな
専門知識ではないのか。そういう問いが
著者をしてこの本を書かせたようだ。
まで働き続けた(途中からは大学教授として)。その点では親を安心させたの
かもしれない。世界的に知られるようになっても兼業を続けていたのは親に対
する配慮からか。その職業ゆえ、在職中の彼の作品は当然ながら学校がヴァカ
ンスになる夏休みと春休みにしか撮影されなかった。しかし、そのおかげでフ
ランスの最も美しい季節がフィルムに収められることになったのであり、そし
てそれらが1970年以降のフランス映画を代表する傑作の数々となっていった
のである。われわれはロメールの「兼業」に感謝しなければいけないだろう。
ロメール映画は日本にはかなり遅めに入ってきた。あく
まで前衛を突き進むゴダールや、フランス映画の「伝
統」に回帰し、良質の映画を提供するトリュフォーと比
べて、ロメールの映画は長いあいだ分類するのが難しい
類いの映画だったのだろう。彼の新作がリアルタイムで
日本に輸入されたのは、『海辺のポーリーヌ』(1983)
Expo 2009 Kate Moss
はとても言えないような他愛もないことを経験するだけの物語なのだが、途中
から虚構と現実の境界がなくなってくるところが面白い。例えば、散歩の途中
ンデー パリ13区 ピンク・フロイド
に偶然出会った農家のおじさんが農業の話を延々と始めるのを、二人は黙って
ランス ブエナビスタ プジョー プ
映画を撮る人間がフランスにはまだいたのか、というこ
とで、俄かにロメール・ブームが日本のシネフィル達の間で巻き起こった。実
際、この頃のロメールは最良の作品を生み出していたように思う。『満月の
夜』(1984)、『緑の光線』(1986)、『友達の恋人』(1987)、『レネットと
ミラベル/四つの冒険』(1987)…。いずれもテーマなどはあってなきがごと
しであり、男と女、女同士のたわいのない日常が描かれるばかりだ。しかし、
その何も起きない中でのささいな出来事が、信じられないほどの驚きと悲しみ
と喜びを生み出すことがあるという展開。そういう映画をロメールは撮り続け
たのだった。
二年ほど前、大阪の女子大学でのフランス語の授業で、久しぶりにロメールを
観た。それは、『レネットとミラベル∼』の中の1エピソード「青い時間」
だったのだが、久々に体験するロメール的世界に授業であるということを忘
れ、酔い痴れてしまった。田舎で偶然出会った二人の女子学生が、「冒険」と
聞いている場面。あれは、現実にその場にいた農家の人をそのまま登場させた
としか思えない。そうでなければ信じがたい名演である。そして、ふいに吹き
始める風、降り始める雨。自然のあらゆる偶然的要素がロメール映画には奇跡
的に入り込んでくるのだ。
フ
ラティニ ボージョレ ボージョレ・ヌー
ボー ボージョレー ポランスキー マクドナ
ルド マリオン・コティヤール マルシェ・
ド・ノエル ミレイユ・ジュリアーノ メラ
ニー・ロラン
10 / 38
Kindle Le
Figaro NINE PRIMAL SCREAM
Sarkozy-Bruni stones in exile TAHITI
80 twitter uniqlo WATT お金 アメリ ア
ルザス アンリ イノベーション インフルエ
ンザ イーストウッド エコロジー エビアン
エンデ オドレー・トトゥ オバマ オランダ
オーシャンズ カナダ カーラ・ブルーニ
キッドマン キング・クリムゾン キンドル
クラウス・ノミ クラブ クリスマス クルス
ケベック コントワー・デ・コトニエ サッ
カー サマーソニック サルコジ サルコジ大
統領 シャルロット・ゲンズブール シャル
ロット・ゲーンズブール シーザスターズ
ジェラス・ガイ ジャパン・エキスポ ジャメ
ル・ドゥブーズ ジョニー・アリデー ジョ
ン・レノン ジル・ドゥルーズ ストラス
ブール セントラム チョコレート ツィッ
ター ティエリー・アンリ デリダ トゥー
ル・ダルジャン トラン・アン・ユン ト
リュフォー ノルウェイの森 ノーブラ ノー
ベル平和賞 ハイチ ハッキング バレンタイ
辺りからではないだろうか。このような瑞々しい感性の
■本書はコロンブスのアメリカ大陸発見
から現在に至るフランスとアメリカの関
係を綿密に検証している労作だが、とり
わけ第2次世界大戦後の米仏関係を描い
た箇所が興味深い。フランスの知識人た
ちのあいだで「フランス精神はアメリカ
に占領され、植民地化されつつある」と
いう危機意識が生まれたのは、フランス
が経済的に衰退し、外交の舞台でも脇役
に追いやられ、自らのアイデンティ
ティーの最後の砦を自国の文化に求める
しかなかったからである。そして、津波
のように押し寄せたアメリカの大衆文化
をフランスの知識人の理解を超えてい
た。ブルジョワ的な教養という枠組みし
か知らなかった彼らは、それが俗悪な
サーカスか、あるいは帝国主義的なプロ
パガンダにしか見えなかったのである。
Tag Cloud
AMELIE BLOOM Charlotte Gainsbourg
eno EU大統領 hucking iPhone Japan
ユニクロ ユーロ リス
10/09/24 18:23
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半から90年代後半までの10年間、「四季」をテーマに
ワー
ルドカップ ヴァネッサ・パラディ
した作品群を撮っていた時期であろう。実際、『春のソ
介護 佐々木常夫 凱旋門賞 出生率 利子 南
ナタ』(1989)にはロメール映画のすべての要素が凝縮さ
アフリカ 失業率 富山市
れているように感じる。いまでも人気が高い『パリのラ
和義 新型ワクチン 曽我部恵一 未来の食卓
村上春樹 柳井正 核実験 深澤真紀 温暖化
現代思想 皆既日食 皇帝ペンギン 美狂乱
ロメールが最も成熟した作品を撮っていたのは80年代後
ンデブー』(1995)もこの頃に制作された作品だ。しか
し、私がもしも一本だけロメールの作品を挙げるとした
■『中村屋のボース』:インド独立運動
家にしてアジア主義者、ボースの波乱万
丈の生涯。急進的な反英抵抗運動の過程
で、日本に逃亡し、そのまま日本に帰化
する。潜伏先の相馬家の人々に本場イン
ドのカレーを伝授し、それがレトルト化
までされている「中村屋のカリー」に結
実する。
ら、『モード家の一夜』(1969)ということになろう。
トラ レヴィストロース ロブション
肉食系 自殺
少子化 斉藤
草食系 被災者支援 西山
雄二 諏訪敦彦 農地独占 高齢化
初期の作品ではあるが(と言ってもこの時すでにロメールは49歳なのだ
が)、およそ映画的緊張感というものをここまで漂わせる「恋愛映画」は滅多
にない。ある謎の女との「近付きがたく、また離れがたい関係」をジャン=ル
イ・トランティニャンが見事に演じている。この映画はアメリカでも高く評価
されたようだ。
それにしても、2000年台になってもロメールが三本も映画を撮ったというこ
とは奇跡的なことではないだろうか。『グレースと公爵』(2001)、『三重ス
パイ』(2004)、『至上の愛』(2006)。それも、旧態依然たるやり方ではな
く、一作ごとに新しい作風によって。この衰えを知らぬ創造のパワーには恐れ
入るしかない。ロメールの両親も、ここまでやれば、医者にならなかった息子
を咎める気にはならないであろう。ロメールは失われても、彼の映画は失われ
ない。「ロメール映画を観る」という喜びは常にそこにあるのだ。
不知火検校
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posted by cyberbloom at 15:51| パリ
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|
2010年03月25日
クラピッシュの「PARIS」
街ですれ違う他人の人生に感情移入する。それは19世
紀の詩人、シャルル・ボードレール以来のテーマだが、
このセドリック・クラピッシュの新作にはそのボード
レールがしばしば引用される。彼は何よりも都市の遊歩
者であり、群集の中の詩人だった。彼は散文詩「群集」
の中で次のように書いている。
「孤独で沈思する散歩者は、この万人との合体から特異
な陶酔を味わう。群集とたやすく結婚する者は、箱のように心を閉ざしたエゴ
イストや軟体動物のように監禁された怠け者には永遠に与えられないであろ
う、熱狂的な快楽を知っている。彼はその時々の状況が提供するあらゆる職
業、あらゆる喜び、あらゆる悲惨をわがものにする」
「万人との合体」とはこの散文詩の前半に書かれているように、「思うままに
自分自身であり、また他者でありうる」こと、「好きなときに個々の人格に
入り込む」ことである。重い心臓病を抱え、家から出られないピエール(ロマ
ン・デュリス)は窓の外を眺めながら、同じことを試みている。私たちもこの
映画の中で同時進行する複数の物語に対して、感情移入したり、距離をとって
批判的に見たりする。
ファブリス・ルッキーニが扮する歴史学の教授が、お金のために一般向けのテ
レビ番組でパリの歴史案内を務めることになる。その第1回目もボードレール
11 / 38
10/09/24 18:23
フランス映画: FRENCH BLOOM NET-INFO*BASE
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の引用から始まる。自分を気に入ってくれている老教授に対して、「歴史の細
部にこだわり、どうでもいいことをクドクドいいやがって」と悪態をつく。
「マニアックで、偏執的で、哀れなやつだ、ああいうケチな野郎にはなりたく
ない」と批判するが、自分のスタンスにも自信がなくて鬱状態になっている。
もちろん時代の変化に目と耳を閉ざす大学人よりも、危機感の中でもがき続け
る彼の方がはるかに好感が持てる。いつも軽妙洒脱って感じのルッキーニだが
(以前、ホテル・リッツのバーで映画の中と同じ身振りで女性を口説いているの
を目撃したことがある)、この映画ではひたすら弱気である。自分から相談に
行きながら、精神科医に食ってかかるも、その前で泣き出す始末。
おまけに美しい女子学生レティシアに一目惚れして、ケー
タイでストーカーのようにボードレールの詩を引用した
メールを送りつけ、ドン引きされる。フランスでも詩はす
でに世代間ディスコミュニケーションの媒体にすぎなく
なったようだ。レティシア役は「イングロリアス・バス
ターズ」でタランティーノに見出されたメラニー・ロラ
ン。確かに魅力的だ。
時代遅れの詩を引用する一方で、こういうメールも送る。
suis a la fac avec toi t es bel j te kif tro grav
つまり、Je suis à la fac avec toi. Tu es belle. Je te kiffe trop
gravement ということなのだが(kiffer=aimerの若者言葉)、フランスのオジ
さんもこういうメール(=texto)を書けるんだね。もちろん若作りしているわ
けだけど。とりあえずエッチまでこぎつけたはいいが、さらなるドツボにはま
る。レティシアにウケをねらって涙ぐましい努力を重ねるが、若くてカッコい
い恋人を見せつけられたり、サディスティックにふりまわされる姿が悲しい。
レティシアにしても、私のことが好きなら、ちゃんと私の置かれている立場
(フランスの若い世代が置かれている状況)も理解してよ、という思いもあるの
だろう。恵まれたオジさんと普通の女子学生のあいだの越えがたいギャップに
ついても。
男と女のあいだがうまくいかない。女性に対する偏見が壁になり、過去に受け
た傷がトラウマになっている。恋愛の街、パリにも時代の変化が大きく影を落
としている。このパリはすでにボードレールのパリでも、「アメリ」のパリで
もない。まさにリーマンショックに見舞われたグローバル経済の時代のパリな
のだ。映画の中で雇用状況にも言及される。「若者がつねに犠牲になり、社
会運動は死んでしまい、パリは金持ちのための街になりつつある」と。みんな
萎縮して、臆病になっている。その中でかすかな希望の光を手探りで探してい
る。
ボードレールは19世紀のパリの貧しい人々を描きはしたが、それは特権者の
一方的な表象にすぎなかった。私たちもまたボードレールの高踏的な態度に共
感していたにすぎない。彼によって描かれた者たちはうめき声のような言葉を
発するだけで、決して表現者となることはなかった。しかし「パリ」の登場人
物たちは手ごたえのある確かな言葉で語り、日本にいる私たちですらそれに
共感し、同じ感情を共有できるのだ。
エリック・サティの「グノシェンヌ」がメランコリックな「パリ」を演出して
いるが、Wax Trailer の'Seize the day'も映画の印象を決定付ける忘れられ
ない曲である。メランコリックな女性ボーカルをフィーチャーしたエレクト
ロ・ヒップホップで、ラストシーンにも流れる。Wax Tailor こと
Jean-Christophe Le Saoût はフランスのみならずヨーロッパ各国で絶大な
人気とカリスマ性を誇るヒップホップ・DJ&プロデューサー。
Seize the day
I don't mind whatever happens
I don't care whatever happens
□Wax Tailor feat. Charlotte Savary - Seize the day
□Paris by Cedric Klapisch - trailer
12 / 38
10/09/24 18:23
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posted by cyberbloom at 20:47| パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | フラン
ス映画 |
|
2010年02月03日
「皇帝ペンギン」
今年の正月の目玉映画のひとつとしてジャック・ペラ
ンの「オーシャンズ」が公開されている。
「WATARIDORI」で様々な渡り鳥の生態を記録したペ
ラン監督が、世界中の海とそこに暮らす生命体を革新
的な映像美で描いた海洋ドキュメンタリーだ。ハンド
ウイルカの大群、ザドウクジラの捕食、5万匹に及ぶク
モガニの交尾、ウミガメの孵化など、自然界で起きる
奇跡的なシーンの数々。日本版ナレーションを宮沢り
えが担当したことも話題になっている。
フランスは自然界を舞台にしたドキュメンタリーの秀作を多く生み出している
が、リュック・ジャケ監督の「皇帝ペンギン La Marche de l'empereur 」
もそのひとつに数えられるだろう。こちらは南極に住む皇帝ペンギンの産卵
と育児を追った作品であるが、それは自然界で最も過酷な子育てとも言われ
る。
しかしそういう過酷な自然の中にあってもペンギンは何をすべきか知ってい
る。やるべきことがプログラミングされているからだ。ペンギンたちは気の遠
くなるような距離を歩き続け、極寒の吹雪の中で何日も立ち尽くし、その営み
を何代にもわたって続けるのである。
分化し、専門化した本能は、それぞれの状況において何をすべきか、絶対的な
確かさをもって指令を下す。分化した動物は生存目的と関係のない対象を知る
ことはない。人間のように対象を対象として捉えずに、行動系列の一部として
把握する。動物にとって生態的に限定された環境で生きることは当然のこと
で、それに完全に対応した器質と本能を持っているので、不確実さや迷いが生
じることもない。知覚は何らかの行動に結びつき、根拠のない行動、つまり
知覚からの指令のない行動は存在しない。知覚と行動が完全に調和した円環
の中を生きている。
ペンギンの生の営みに驚異と畏怖を感じるのは、ペンギンが自然の中に完全
に組み込まれているからだ。またそのように人間が自然=ペンギンを対象化
し、さらに表象しようとするのは、人間が自然と乖離し、自然から疎外されて
いるからでもある。私たちの弱さの本質はそこにあるのだ。宇宙の果てについ
て思い巡らすのも、将来のことを考えて不安になるのも、人間だけなのだ。
13 / 38
10/09/24 18:23
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ペンギンにはひとつの決まった仕事が待っている。しかし私たちは何をすべき
か知らないし、自分の任務は何ひとつ決まっていない。これから仕事を探そう
としている若い人には羨ましいことだろう。ペンギンの姿を見ていると意外に
も人間の労働について考えさせられる。人間は良くも悪くも可能性の生き物な
のだ。動物はすべてがプログラムされているから可能性がない。
近代以前、生まれてから死ぬまで自分の生まれた村から出ることなく一生を終
えた時代の人間は、ペンギンに近い存在だったのかもしれない。近代化とは
人間をそういう反復と習慣に塗りこめられた動物的な環境から解放すること
だったが、人間を絡めとっていた(一方では安心と安定を与えていた)あらゆる
文化的な網の目は次々とほどけ、よりどころのない世界に放り出されてしまっ
た。私たちの周囲で渦巻く知覚=情報は、私たちの人生をますます不確実で、
迷いに満ちたものにしている。
それでも歩くペンギンのコケティッシュな姿を見ると頬がゆるむし、柔かい毛
に覆われたペンギンの赤ちゃんの愛らしさには癒される思いがする。不況の
時代には動物や赤ちゃんのCMがうけるという話を聞いたことがある。過酷な
状況に置かれたとき、人間は盲目的で絶対的な、本能のような感情に身を任
せたくなるのだろう。それは現実逃避ではなく、過酷な状況を過酷だと思わ
ないプログラミングへの志向性なのだ。個人的には、両足の上に卵を載せて
温めていたお父さんペンギンが、卵を落として割ってしまったときの表情に言
いようのない切なさを感じてしまったが、これも人間の勝手な感情移入に過ぎ
ないのだろう。
□LA MARCHE DE L'EMPEREUR - trailer
□フランスのエレクトロな歌姫、エミリー・シモンがサントラを担当
皇帝ペンギン プレミアム・エディション [DVD]
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2010年02月02日
オリヴィエ・アサイヤス、話題の3本
去年の夏、全国で上映されたオリヴィエ・アサイヤス
Olivier Assayas の『NOISE』がDVD化される。この
作品は、2005年6月にフランスのサン=ブリュー
Saint-Brieucで開催されたアート・ロック・フェスティ
バルのライブドキュメント映像である。とりわけ、アメ
リカのソニック・ユース Sonic Youth のメンバー4人
14 / 38
10/09/24 18:23
フランス映画: FRENCH BLOOM NET-INFO*BASE
http://cyberbloom.seesaa.net/category/1198476-1.html
が、MIRROR/DASH(サーストン・ムーア&キム・ゴー
ドン)、TEXT OF LIGHT(リー・ラナルド&スティー
ヴ・シェリー)という、2人ずつ2組のユニットに分かれて参加したことが話
題になった。その2組のユニットは、ソニック・ユース以上にアヴァンギャル
ドでフリーキーなプレイを披露。また、新作を発表したばかりのジム・オルー
クがエンディングで音楽と映像を提供した。アサイヤス監督は実験的なモン
タージュによって、不均質だが、ロック感にあふれる映像を演出している。
アサイヤスといえば、離婚したばかりのマギー・チャンと『クリーン』(2003
年)を撮ったが、それが日本で去年公開されたばかりである。ドラッグに溺れ
ていた女性シンガーが、失ったものの大切さに気付き、母としての自覚を取り
もどしてゆく。主人公エミリーを熱演したマギー・チャンは、この作品で第
57回カンヌ映画祭主演女優賞を受賞している。アサイヤスはタイトルに「ド
ラッグから足を洗ってクリーンになる」という意味だけでなく、「現代社会の
混沌の中に自分を見失ってしまった状態から抜け出す」という意味も込めたと
いう。
http://www.clean-movie.net/
一方、印象派の画家たちが魅せられたイル・ド・フラン
スの美しい庭を舞台にした『夏時間の庭』では『ノイ
ズ』とは対極的な美を描いている。年末企画「2009年
のベスト映画」で不知火検校さんがこの作品をベスト
映画に挙げていた。「久しぶりにフランスの田舎の緩や
かな時間を感じさせてくれたことと、安易な解決を放棄
した映画作りの姿勢に敬意を表しました。この映画で
はジュリエット・ビノシュの恋人役をイーストウッドの
息子カイルが演じています。『センチメンタル・アドベンチャー』(1982
年)の少年もすっかり渋い男に成長しましたので、ご覧ください」とのこと
だ。
http://natsujikan.net/
個人的には5分×18本のオムニバス映画『パリ、ジュテーム』の中の
"Quartier Des Enfants Rouges" のスタイリッシュな映像に魅せられた。ア
メリカから撮影のためにパリにやってきた女優を演じるマギー・ギレンホール
が素敵すぎる。
http://www.youtube.com/watch?v=00jJ6IHRflg
『NOISE』のように、アサイヤスは通常の映画の枠にとどまらない活躍をし
ている。2008年にはモダン・ダンスの振付師、アンジェリン・プレリョチャ
イ Angelin Preljocaj のバレエ「エルドラドEldorado 」を撮影したが、この
作品は2007年に亡くなった現代音楽家、シュトックハウゼンとの出会いに
よって生まれた。
cyberbloom
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2009年12月10日
名も無き役者たちの美しさと恐ろしさ—『木靴の樹』と『かつて、ノル
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マンディーで』—∼懐かしの70年代の名優たち(9)
かつて、『木靴の樹』(1978年)という印象的なイタリア映画があった。切
り倒してはいけないことになっている樹から子供のために木靴を作ってしまっ
たために村を出て行かざるを得ない男とその家族のエピソードが表題の元に
なっているのだが、それはこの映画の中で起こる多くの出来事の一つに過ぎな
い。エルマンノ・オルミ監督によって作られたこの『木靴の樹』という映画
は、北部イタリアのベルガモ地方のある村の中で起こった様々な物語を殆どド
キュメンタリー的な手法でカメラに収めることに成功した稀有な作品であ
る。オルミはこの映画で監督、脚本、撮影を一人でこなすという離れ業を演じ
ている。
何よりも特徴的なことは、こ
の映画には職業俳優が一切登
場しないことだ。すべての俳
優が演技経験の無い素人であ
るため、そこに劇的な表現な
どはありようも無い。不思議
な事件も奇怪な人物によって
もたらされる騒動も何も起こ
らない。あたかも、どこにで
もある村のごく普通の日常的
な風景を捉えたかのようにすべての物語が進行していく。村人の食料となる家
畜を殺す場面と、それを恐々と見つめる子供たち。長い並木道を歩く村人を
遠景から捉える場面。そして、緩やかに進行して行く若い男女の婚礼の場面。
こうした場面に一切の劇的処理は施されていない。
このような映画はハリウッド映画に慣れた観客には最初は苦痛に感じるであろ
う。しかし、そのゆったりとした時間の流れに浸り続けていると、我々がこ
れまで観ていた映画が何と騒がしく、何と仰々しいものであったかが痛感され
てくる。この映画を観ていると、日常とはこれほど何もないものだったのかと
思わされる。そして、だからこそ何もない日常こそがかけがえのないものなの
だと思わされてくる。それゆえ我々はこの何もない日常の場面を、いささか恐
怖を心に感じながら見つめ続けることになる。本当にこの幸福な日常は続くの
だろうかと怯えながら…。
そうした点からこの映画と微妙な位置で近接しているのが『私、ピエール・リ
ヴィエールは母と妹と弟を殺害した』(ルネ・アリオ監督、1976年)という
映画だ。この映画も全員が素人俳優によって演じられるが、ただしこちらは日
常の中に非日常が起こったという設定である。19世紀フランスのノルマン
ディー地方の寒村で起こった尊属殺人事件を取材した哲学者ミッシェル・フー
コーの著書『ピエール・リヴィエールの犯罪』(岸田秀、久米博訳、河出書房
新社)を元に映画化されたこの作品も、すべての役がその村の住人によって演
じられている。残念ながら私はこの映画をこれまで観ることが出来なかった
が、昨年、ニコラ・フィリベール監督の『かつて、ノルマンディー
で』(2007年)というドキュメンタリー映画でその全貌を知ることが出来
た。
『かつて、ノルマンディーで』は30年前にこの映画
(『私、ピエール・リヴィエールは…』)に助監督とし
て参加したフィリベールが当時の出演者を訪ね歩くとい
うドキュメンタリーである。『私、ピエール・リヴィ
エールは…』はパスカル・ボニツェール(多くのジャッ
ク・リヴェット作品の脚本家で本人も映画監督)、ジャ
ン・ジュルドゥイユ(現パリ第10大学教授の演劇研究
者)、セルジュ・トゥヴィアナ(元『カイエ・デュ・シ
ネマ』編集長で現シネマテーク・フランセーズ館長)といういまから見れば豪
華なメンバーによって脚本が書かれたが、当時としては徹頭徹尾マイナーな企
画であった。この映画がいかに資金難で苦労したか、そして素人俳優たちがど
のような気持ちでこの物語を演じたのか、などの率直な証言がフィリベールの
インタビューの中で淡々と綴られていく。
この映画『かつて、ノルマンディーで』は観ていて不思議な気分にさせられる
作品である。現在の村人たちのインタビュー場面と、30年前に彼らが演じた
『私、ピエール・リヴィエールは…』の場面が交互に映るのだが、現在の場面
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に比べて30年前の場面があまりにも嘘くさく見えるのである。それは彼らの
演技が下手だからではない。それは『私、ピエール・リヴィエール…』が所詮
は脚本に基づいて演じられたフィクションであるために(例えその脚本が事実
に基づいているとはいえ)、現在の彼らを捉えたドキュメンタリー場面の持つ
強度には到底太刀打ちできないからだ。その為、この映画は不思議な構造を
持つ事になる。100年以上前にあった現実の殺人事件の記録。それをもとに
30年前に書かれた脚本と素人俳優によって演じられた映画。それを振り返る
現在の村人たちの映像。この三つ、あるいは四つの時間が入り組み、観てい
るものは迷路のような空間に迷い込んだ気にさせられるのである。
こういう映画を観ていると「演じる」ということが一体何なのか分からなく
なってくる。演技経験の全く無い素人によって100年前に「現実に起こった出
来事」を「出来る限り真実に近く」演じようとしたとき、そこに表現されてい
るものは一体何なのだろうか。演技が示そうとしているのは「虚構」なのか
「真実」なのか。そして、どこまでが演技でどこまでが演技ではないのか。彼
らにとってその場面を演じるということにいかなる意味があるのだろうか。徹
頭徹尾、演技ということについて考えさせる不思議な映画がいま作られること
の意味は何なのだろうか。
□albero degli zoccoli(film completo bergamasco)
□Retour en Normandie - bande annonce
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2009年12月02日
新旧フランス女優列伝(2)エマニュエル・ベアールの巻
エマニュエル・ベアールが一躍その名を知られるように
なったのは、クロード・ベリ監督の文芸大作『愛と宿命
の泉』の第二部『泉のマノン』(1986年)によってで
ある。南フランスのある土地の権利を巡って壮絶な争い
を繰り広げる人間たちを描くこの映画(原作はマルセ
ル・パニョル)の中で、ベアールは主人公の愛娘を演じ
ていた。彼女の出現は『シェルブールの雨傘』でのカト
リーヌ・ドヌーヴ、『アデルの恋の物語』でのイザベ
ル・アジャーニの登場に比肩される出来事だったと言える。マスコミは「久々
の大スターの出現か」と色めき立ったものである。それほど彼女のフランス映
画界への出現は鮮烈なものだった。
ところで、私はベアールの演技を直に見たことがある。あれは15年前(1994
年)の春。南フランスの地中海沿いを一人旅した際、モンペリエの帰りにふと
立ち寄ったセート(詩人ヴァレリー生誕の地として知られる)という港町での
ことだった。ベアールはその街の古い劇場で僅か一晩だけ上演された劇作品に
出演していた。作品は19世紀ロマン主義の作家アルフレッド・ド・ミュッセ
の傑作『戯れに恋はすまじ』。演出は中堅のジャン=ピエール・ヴァンサン。
前年にパリ郊外のナンテール・アマンディエ劇場で上演された演目の地方巡業
の一環であるが、土地の人はパリの人気女優を一目見ようと大勢詰め掛けて
いた。
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ベアールは当時28歳。すでに『泉のマノン』の好演で映画女優として知られて
はいたが、舞台は恐らく初めてだったのではあるまいか。もちろん、声は確か
に劇場に響いてはいるものの、舞台女優としての存在感は感じられなかった。
どうしても違和感があり、何か大切なものが欠けていると思わされる。この辺
が同じ映画女優でもコメディ・フランセーズ出身であるイザベル・アジャーニ
やジャンヌ・バリバール、国立演劇学校出身であるイザベル・ユペールなどの
女優たちとベアールとの違いなのかもしれない。格の違いだろうか。彼女はそ
の後、舞台では余り活躍していないと思う。
やはりベアールは映画女優なのであり、彼女の魅力はスク
リーンの中でこそ全開する。彼女がフランスでも日本でも
一番注目されたのはジャック・リヴェット監督の『美しき
諍い女』(1991年)に出演したときであろう。四時間に
亙る映画の中で、殆ど最初から最後まで全裸のままスク
リーンに登場する女優などといえば、マスコミ的には好奇
のまなざしで見られてもおかしくはない。だが、現実にこ
の映画を観たものならば誰でも分かることだが、リヴェットはまさしく裸体の
奥底にあるものを抉り出しており、映画の中でベアール演じる女と同様、この
映画はむしろ「おぞましいもの」を観てしまったという感覚を観客に与えるこ
とになる。その意味ではエロス的な快感を与える映画では全くなかったことだ
けは確かだ。その後、ベアールは『Mの物語』(2003年)でリヴェットと再
び組むことになる。
ベアールが出た映画の中で私が最高の出来だと思うのはクロード・シャブロル
監督の『愛の地獄』(1994年)という映画だ。余りにも魅力的なために実は
浮気をしているのではないかと夫に疑われる妻の役をベアールは演じているの
だが、夫の妄想の中でのベアールの悪女ぶりが堂に行っていて、観客も「間違
いなくこの女は悪女に違いない」と思ってしまうほどなのだ。ベアールの持つ
暗い、悪魔的な面が見事に炙り出されていて、リヴェットとは別の意味でシャ
ブロルはこの女優の仮面を剥いだと言えるだろう。未見の向きには是非、お勧
めの一本である。シャブロルの演出も冴え渡っている。
それ以降、リヴェットやシャブロルほどベアールの魅力を引き出すことの出来
た監督は残念ながらいないのではないだろうか。現在、彼女は型にはまった
美女役でしか映画に登場していないような気がする(『とまどい』(1995
年)、『恍惚』(2003年)など)。このままではアジャーニの二の舞になり
かねないと気がかりなのだが、アジャーニほどのカリスマ性もないのもまた問
題である。
とはいえ、ベアールの持つ華やかな美しさというものがいまの映画界で貴重な
ことは確かだ。ブライアン・デ・パルマが往年の人気テレビ・ドラマをスク
リーンに蘇らせた『ミッション・インポッシブル』(1997年)があれだけ鮮
烈な印象を観客に与えたのは、トム・クルーズやジャン・レノの演技のおかげ
というより、ベアールの持つ他に類を見ぬ艶やかな存在感にあったのではある
まいか。確かにベアールは儚さと典雅さを兼ね備えた稀有な女優であって、そ
の意味では彼女の代わりを務めることのできる女優は存在しないと言えるだろ
う。
ベアールも今年で43歳。容色に衰えは全く見られないけれども、この辺りで
一作でもいいから彼女のもう一つの代表作を観てみたいと思うのは私だけだ
ろうか。
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2009年11月28日
新旧フランス女優列伝(1)イザベル・ユペールの巻
「イザベル」とくれば「アジャーニ」と答えるの
が普通のフランス映画ファン。そこでもしも「ユ
ペール」と答えてくれると、「お、この人は映画
をよく観ている」ということになり、映画好き同
士の話も弾むというもの。実際のところ、ア
ジャーニと比べればユペールは地味で前者のよう
な華々しさはない。だが役者としての実力は段違
いであろう。もちろん、ユペールのほうが遥かに
上。彼女は本当に様々な役を演じていて、その演
技の幅は計り知れない。まさに「職人」と呼ぶに相応しい女優の一人であ
る。
ユペールが一躍有名になったのはやはりゴダールの『勝手に逃げろ/人
生』(1980)、『パッション』(1981)に出演した辺りからではないだろ
うか。特に後者で演じた口数の少ない工場労働者の役では共演したドイツの
名女優ハンナ・シグラに勝るとも劣らぬ存在感を示し、観客に強い印象を残
した。その後、彼女の演技をもっとも開化させた監督は同じヌーベル・ヴァー
グ出身でありながらゴダールとは全く別の道を歩んだクロード・シャブロルで
ある。『主婦マリーがしたこと』(1988)、『ボヴァリー夫人』(1991)
などで見せた達意の演技によってユペールは一躍フランス映画界の中心人物の
一人となる。その後の活躍は誰もが知るとおりである。同じシャブロルとは
『沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇』(1996)でも組み、ブルジョワ家庭
を破壊する野卑な郵便局員役を演じきっている。
彼女の作品は枚挙に暇がないが、一つ日本未公開の作品を紹介しよう。
L’Inondation(「洪水」)というタイトルで1995年にフランスで公開されたこ
の作品はロシアの作家ザミャーチンが原作。物語は夫の浮気のために妄想に取
り付かれた主人公が最期に夫殺しを敢行してしまうというまさにユペールなら
ではのもの。だが何よりも特徴的なのはユペール以外のこの映画のスタッフ、
キャストがすべてロシア人であるということだ。そしてユペール自身も当然ロ
シア語をしゃべっている。彼女は演劇の勉強をコンセルヴァトワール(国立演
劇学校)で始める前にソルボンヌでロシア文学を学んだという経歴の持ち主
で、この作品ではプロデュースまで務めており、パリでの公開時には舞台挨拶
までするほどの入れ込みようであった。さすがは「職人」、中途半端なことは
しない。
夫殺しや狂気に憑かれた役などが今となってはユペールの十八番だが、彼女に
はもともと喜劇も演じられる要素があった。いまのように注目される以前、
二十歳代の駆け出しの頃は、彼女もB級映画でドタバタ喜劇を演じていたこと
もあるのだ。そんな彼女の一面が窺える作品がハル・ハートーリー監督『愛・
アマテュア』(1994年)だろう。元尼僧で現在はポルノ小説作家の女性が、
記憶喪失の男と共に訳の分からぬ犯罪に巻き込まれ、最終的には元居た修道
院にかくまってもらうというハリウッド映画によくあるストーリー。こんな役
を嬉々として演じられるユペールはやはり天性の役者なのだ。
ユペールはまた、映画のみならず舞台女優としても高い評
価を受けている。1995年のパリの演劇界最大の話題はユ
ペール主演、ヴァージニア・ウルフ原作、ロバート・ウイ
ルソン演出の『オーランドー』(オデオン=ヨーロッパ劇
場)であった。世紀を超え、性別をも超える人物を主人公
とする「奇書」として名高い小説をウイルソン流にアレン
ジしたこの作品は上演当時頗る評判となった。そこで舞台
女優としての自信を得たユペールは、続いて2001年にはエウリピデスの『メ
デイア』でもタイトル・ロールを演じ、2002年にはサラ・ケイン作『4時48
分 サイコシス』(ブッフ・デュ・ノール劇場)でも大いに話題をさらった。
偶々パリに住んでいた時期であったために、幸運にも私はこの舞台を観ること
が出来たが、最初から最期まで舞台に立ち尽くして狂気に陥っていく主人公を
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演じるユペールの鬼気迫る姿には文字通り戦慄させられた。私はこのとき「職
人」ユペールの真骨頂を見た思いがする。
そんなユペールの円熟した演技を観ることが出来たのはカンヌ映画祭のグラン
プリを受賞したミヒャエル・ハネケ監督『ピアニスト』(2001年)とオリ
ヴィエ・アダン監督『いつか、きっと』(2002年)であった。特に後者で演
じた娼婦役は彼女の演技の最高峰であろう。前者は若く才能溢れるピアニス
ト(ブノワ・マジメル)に恋に落ちた中年ピアニスト(ユペール)が乏しい恋
愛経験のために彼に対して奇怪な行為を繰り返した挙句、殺意まで抱いてしま
うという物語。この映画、その過激な描写のために好き嫌いはかなり分かれ
ると思うが、ユペールの演技の質だけはやはり評価せずにはいられない。一
方、後者は娼婦として生きる女がある男(パスカル・グレゴリー)との出会い
をきっかけに自分の過去を振り返る旅に出る物語で、味わい深い印象を残すド
ラマであった。実際、この二つは対極的な作品であるけれども、これほど求
められる表現が異なる役を同時期に演じ切ることの出来る女優は世界的に見
てもあまりいないのではないかと思われる。
ただ、そんなユペールにもしも弱点があるとしたら「限界」を知らない、とい
うかやり過ぎてしまうことだ。数年前、ジョルジュ・バタイユ原作の『我が
母』の映画化作品(クリストフ・オノレ監督『ママン』、2004年)に出演し
たそうだが、観た友人の意見ではかなり酷い出来であったそうだ。自分で観
ていないので評価は控えるべきなのだが、ユペールとバタイユではちょっと毒
があり過ぎるのかもしれない…。だがそれでもユペールは、「彼女が出演して
いるならば観てみようか」と思わせてくれる、今日では数少ない女優の一人で
あることには変わりはない。
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2009年11月07日
『ノルウェイの森』のロケを見学!(2) パリの13区
パリの13区にはヨーロッパ最大規模の中華街がある。中華街と言っても、実
際には東南アジア街であり、13区に限っては、中国系よりも圧倒的に東南ア
ジア系の移民が多い。1992年の統計では、13区のアジア系移民のうちカンボ
ジア系が50%、ベトナム系が20%を占め、中国系は10%にも満たない。
1970年代、パリの13区には都市開発によって多くのマンションが建てられた
が、石油危機などの不景気もあって、当て込んでいたパリ市民には人気がな
かったところに、東南アジア系の人々が代わりに住み着くようになった。ト
ラン監督の生い立ちに関する情報はあまりないが、サイゴンが陥落したベトナ
ム戦争の終結時にフランスに逃れてきたようだ(1975年、12歳のとき)。
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13区に林立する高層マンション群は大きなショッピングセンター(中国資本の
陳氏兄弟 Tang Frères が有名)や商店街とつながっていて、ひとつの迷宮の
ような世界を作り上げている。パリで最もミステリアスで、最もご飯が美味し
いスポットのひとつだ。コンクリート製の箱庭のような外観とは裏腹に、そ
の内部には商店街が地下茎のようにはびこっていて、それを伝ってどこまでも
入っていける。この地区の通奏低音といえば、チープなアジアン・ポップと、
強烈なドリアンの匂いだ。ベトナム系ギャルたちが集う、ココナッツミルク
ベースのデザートが美味しいフルーツ・パーラー(死語?)にもよく通った。め
ぐりめぐった果ての行き止まりに小さな寺院があったり、ガラスで隔てられた
向こうにボーリング場が見えたりする。旧正月を祝う春節祭に一度足を運んだ
ことがある。カラフルな祭壇の前に集まっているお爺さんたちに話しかけてみ
ると、中国語(らしき言葉)で返され、「同胞よ」って感じでハグされた。移り
住んで以来パリの奥深い場所で外界と接触なく生活してきたのだろう。この生
活感の全面化と、現れるイメージのとりとめのなさはアジア的猥雑さと言って
もいいかもしれないが、そこは紛れもなくパリなのだ。
一体自分がいつの時代にいるのか、どこの国にいるか、わからなくなってく
る。同時に何だか懐かしい感じがする場所でもある。生活臭がしみつき、そし
て時間の止まったような学生寮の中に現れた68年のサイケな光景は、この13
区に迷い込んだときのキッチュな眩暈を思い出させたのだった。
「ノルウェイの森」の映画化は単にヨーロッパから日本を見るという問題では
ない。トラン監督の中にすでにアジアが折りたたまれているし、今私たちが生
きているのは歴史性が希薄で、60年代も、70年代も、80年代も同一平面状に
浮遊している時代だ。グローバリゼーションとはこういう時代感覚の、無時間
的な共有でもある。私たちは音楽や映画やマンガを通して時代を共有する。村
上春樹が小説の中でうまく音楽を使うように、トラン監督の音楽の使い方も
うまいし、私たちもその音楽を知っていて、それをちゃんと評価できる。また
世界は同時的につながっているが、未曾有の金融危機を経て世界がどこに向か
うのかわからない(高度成長だのバブルだの同じことを繰り返すのか、新しい
価値を見出せるのか)という方向感の無さも同時に共有している。
上に動画を貼り付けた「ショワジー門 Porte de
Choisy 」はオムニバス映画『パリ、ジュテーム』の中
に収録されている。クリストファー・ドイル監督が13区
を舞台に撮ったもので、その独特の雰囲気をうまく伝え
ている。イメージのとりとめのなさに比べて、この短編
のテーマはすっきりしている。つまりは白人男性のアジ
ア女性への幻想である。アジア女性の髪の問題を解決す
るヘアケア製品を美容室に売り込みに来た Henny氏(名
前をフランス語式に読むと、Je t’aime の中国語「アイニー」と音が似てい
る)に向かって、マダム・リーが「アジア女性の髪の問題って何なのよ?」と聞
き、すかさず「問題があるのはアンタの方よ」とつっこむ。白人のオッサン
はやはり黒髪が好きなのだ。
動画のタイトルにあるように、この映画には中国と日本の狭間で生きた女優&
歌手、李香蘭の「梅花」が挿入歌として流れる。戦後、中国語圏で李香蘭の名
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を復活させた山口淑子が、香港の百代唱片公司で10数曲の主演映画の主題歌
を録音したが、それらは今もスタンダード・ナンバーとして歌い継がれ、「梅
花」もそのひとつである。
□「ノルウェイの森」のロケを見学!(1)
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タグ:ノルウェイの森 村上春樹 トラン・アン・ユン パリ13区
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2009年10月29日
「ノルウェイの森」のロケを見学!(1) 学生寮のサイケな光景
先日、某大学の学生寮で「ノルウェイの森」のロケを見学してきた(※09年7
月11日)。トラン・アン・ユン監督、松山ケンイチ、玉山鉄二を至近距離で目
撃。永沢役の玉鉄は当日初めて名前を知った。ネットでロケの情報を得て見学
に来たという女性と知り合い、玉鉄がいかにカッコいいかを教えてもらった
(彼女は実物を見て「脚が長い!」と感動していた)。彼女が『ノルウェイの
森』の文庫本を持っていたので、それを借りて、お昼休みでスタッフが弁当を
食べているあいだ(現場に着いたときはお昼だった)、すっかり忘れていた『ノ
ルウェイの森』の学生寮のシーンを読みふけってしまった。将来地図を作るこ
とを夢見ている突撃隊や、主人公とフィッツジェラルドを通して結びつく永沢
が登場する、あのシーンだ。
ロケの準備が始まり、周囲があわただしく
なってきた。ロケ現場と思われる棟の裏側
に回ると、エキストラで出演している教え
子のK君に会うことができた。K君は役得
で、トラン監督(トラン・アン・ユンのト
ランが姓)の息子さんにも会ったようで、
フランス語で、Quel âge? って聞いたら、
Huit ans と答えてくれたと嬉しそうだっ
た(写真はK君が写メで送ってくれた監督直
筆のサイン)。
やがてリハーサルが始まったが、それはちょっと小説のイメージとはかけ離れ
たシーンだった。○○が立ち込める中、ギュワーンとファズギターが鳴り響
き、○○がサイケなロックを○○している中で、寮生が○○をしているとい
う、何とも形容しがたい、それこそ「サイケな」シーンで、それを背景にワタ
ナベや永沢が語り合っているというもの(詳細は書けないのでご勘弁を)。
時代をスタイリッシュに彩って、象徴的に描き出す。トラン監督は少々過剰気
味に、実際の68年以上にベタでトンガった68年を演出しているように見え
た。主人公やエキストラのファッションも時代の先鋭的な部分を映しているよ
うだった。小説は時代性をあまり感じさせないが、68年と言えば、パリから
世界へと広がった五月革命の年であり、ベトナム戦争の真っ最中でもあり、翌
年には伝説的なロックフェス、ウッドストックが行われた。
それでも「おいキスギ、ここはひどい世界だよ(…)こういう奴らがきちんと大
学の単位をとって社会に出て、せっせと下劣な社会を作るんだ」とワタナベに
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言わせて、全共闘の学生の変わり身の早さを批判している。またミドリが女性
に飯炊きをさせる全共闘のマッチョなノリに憤慨しているが、いずれも本質的
なツッコミである。
また小説中の文学の議論によっても時代の流行を垣間見ることができる。寮生
の大多数が読んでいたのは、大江、三島、高橋和巳、フランスの現代作家
(ヌーボーロマンのことだろうか)で、自分(=主人公)みたいにフィッツジェ
ラルド、アップダイク、チャンドラー、カポーティなどのアメリカの作家を読
んでいたのは極めて少数派だったと書かれている。
村上春樹もある意味スタイリッシュだが、それは趣味の良い上品さであって、
決して時代の先端を追うようなものではない。消費主義的な洗練、あるいはモ
ノとライフスタイルの細部に徹底的にこだわる一種のスノビズムだ。新興国の
若い読者に人気があるのも、そういうものに憧れがあるせいだろう。『ノル
ウェイの森』では、見栄えも良く、お金にも困っていない、生の条件に恵まれ
た登場人物が次々に死んでいく。貧困や飢餓で死ぬわけではない。成り上がろ
うと無茶をして死ぬわけでもない。そういう理由のない死は、消費主義的な洗
練の究極的な身振りだということなのだろうか。その部分をトラン監督がどの
ように描くのか非常に気になるところだ。1968年から20年後に『ノルウェイ
の森』が発表されたわけだが、それからさらに20年後の現在、日本は貧困に
よって多くの若者が命を絶つような『蟹工船』の時代に逆戻りしてしまった。
果たしてそういう身振りは未だに説得力を持っているのだろうか(結局、バブ
ル前夜の「1Q84」年に回帰するしかなかったということなのだろうか)。
蒸し暑い学生寮の中は1968年だった、というより、むしろみんながベトナム
の若者に見えた。季節柄エキストラの寮生たちも日焼けしていたし、特に7対
3で固めた黒々とした髪が額に張りつくレトロな感じがベトナムだった。何で
トラン監督が『ノルウェイの森』なのかとずっと思っていたが、ベトナムを舞
台に映画を撮ってきたトラン監督からすれば、私たちにとっての遠いノスタル
ジーが近くてリアルなものなのかもしれない。
ベトナムは現在、高度成長の真っ只中にある。今回の世界的な金融危機の影響
も少なく、2009年においても5.5%の成長が見込まれている。また2025年ま
でのスパンでは年平均8%の成長率が予想されていて、世界で最も成長率の高
い国になると言われている。成長が止まるどころか、これから人口がどんどん
減り、経済規模が縮小していく日本とは極めて対照的である。つまりトラン監
督が「ノルウェイの森」を撮っている現在は、頂点を目指して昇っていく国
と、頂点を極めたあとに落ちていく国の交差する地点=時点ということにな
る。そこが非常に興味深いのだ。村上春樹のスタイリッシュさは経済成長の
頂点において醸成された上澄みのようなものだから。
私は舞台となる学生寮に関してこじんまりとした牧歌的なものを勝手に想像し
ていた。しかし実際に行ってみると、それは古い鉄筋造りで、それもちょっと
した総合病院くらいの規模だった。もちろん内部は病院のようにこぎれいでは
なく、雑然としていて、むさ苦しいほどの生活感にあふれていた。階段の踊り
場にロープを張って洗濯物が干してあったのが印象的で、こんな場所が今もあ
るのかとちょっとびっくりした。そんな学生寮と見学したシーンの組み合わせ
は意外なものを想起させた。それはパリの13区である。トラン監督にとって
もおそらく馴染みのある場所だろう。(続く)
★このエントリーは09年7月25日に main blog に掲載
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2009年08月26日
「大人は判ってくれない」
「人のセックスを笑うな」を60年代のフランス映
画みたいだったよと言ったのは、数年ぶりに出
会った友人だったが、その60年代のフランス映
画って具体的にはどの作品?
自分自身にそう問いかけてみると、最初に頭に浮
かんだのはフランソワ・トリュフォーの「大人は
判ってくれない」(59年の映画だが...)。
「大人は判ってくれない」という題名なのだから、主人公は当然大人ではな
い。
この映画で主役を務め、後にヌーヴェルヴァーグを代表する俳優となるジャ
ン=ピエール・レオは当時13歳だったそうだが、もしも松山ケンイチが13
歳で映画に出演していたなら、このような演技をしたのではないかとふと思っ
たわけである。
ただインパクトは充分だがいささか感傷的に訳された感があることも否めない
邦題に反し、この映画の中心は大人/少年という2項対立にあるわけではな
い。
「街を歩けばアントワーヌ・ドワネル風の若者たちを見つけることができる。
ある者は洒落た洋服を着て、いかした恋人の肩を抱き歩く。ある者は何も語ら
ず恋人とふたり並んで歩く。またある者は不格好に煙草を吸い、さみしげな瞳
で信号が変わるのをそわそわと待っている。そしてぼくが街でアントワーヌ・
ドワネル風の若者を見つけるたびにいつも思い出すのは『大人は判ってくれな
い』の中で通りを駆け抜ける、あの飢えたようなアントワーヌの最初の姿であ
る。彼は世界と折り合いを付けることが出来ずに終始スクリーンをうろつき、
楽しもうとしてみたはいいが大きすぎる代償を払い続ける。それは全く持って
人生そのもののようで、アントワーヌ・ドワネルはやはり生まれたときから人
生の本質の中にいたのである」。
偶然読んでいた本(「昨日・今日・明日」曽我部恵一
著)に「大人は判ってくれない」について書かれていた
ので長く引用したが、著者が述べている通り、結局のと
ころ世界と折り合いを付けることが不得手な一人の人物
が描かれているというだけの映画である。
言うまでもなく世界と折り合いを付けることが不得手で
あることに年齢は選ばない。
ある者は年を重ねれば重ねるほど世界と折り合いを付け
ることに困難を覚えるかもしれない。
ある者は年を重ねることで世界と折り合いを付ける術を学んでいくかもしれな
い。
そう考えてみると、この映画のタイトルはどこか本質的な部分を取り逃がして
いるような気もしてくる。
とはいえ13歳の少年が世界と折り合いをつけることが出来ないとき、それは
20歳の青年や30歳の男が直面する困難と決して同じものではないだろう。
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トリュフォーは「大人は判ってくれない」をシリーズ化し「アントワーヌとコ
レット/二十歳の恋」、「夜霧の恋人たち」、「家庭」、「逃げ去る恋」と
計5作品撮っているが、果たしてアントワーヌ・ドワネルは世界と折り合いを
つけることを学んだのだろうか。
「大人は判ってくれない」の重々しいトーンから一転し、次作の「二十歳の
恋」では陽気な雰囲気が主調音となることから判断すると、アントワーヌ・ド
ワネルは年を経て処世術を学ぶタイプの人物だといえるかもしれない。
ただ後の「家庭」や「逃げ去る恋」では浮気や離婚といった俗っぽい題材が
扱われ「夜霧の恋人たち」までにあった新鮮さが失われていくのも確かであ
る。
そういう意味でアントワーヌ・ドワネルは人生の本質から少しずつ逸脱して
いったのかもしれない。
いずれにせよ少年であるアントワーヌ・ドワネルが駆け抜け、そして時に立ち
止まるのは1959年のパリの街だ。
その街並みは少年にとって世界がそうであるようにモノトーンの色彩を欠いた
街並みであるわけだが、その色彩を欠いた街並みが50年後の今日でも新鮮
に映ってしまうことは全く驚くべきことではないだろうか。
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タグ:トリュフォー 曽我部恵一
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2009年07月22日
エリック・ロメール 『我が至上の愛∼アストレとセラドン∼』
エリック・ロメールEric Rohmer(1920- )とい
う映画監督について私たちは異なったふたつのイ
メージを持つ。ひとつは「ヴァカンスと恋愛の作
家」(『海辺のポーリーヌ』『緑の光線』『夏物
語』...)。もうひとつは「へんてこなコス
チュームプレイ(時代劇)の作家」(『O侯爵夫
人』『聖杯伝説』『グレースと公爵』)。彼の作
品のふたつの系統ははっきりと区別されており、
これまで両者が混じり合うことはなかった。一方には現代に生きる普通の人
間の普通の生活と、とりとめのない(ように見える)会話と、恩寵のような自
然がある。もう一方には過去を舞台にした原作と、すべてを統御する厳格な演
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出と、きわめて人工的な空間がある。
彼の最新作『我が至上の愛∼アストレとセラドン∼』Les amours d'Astrée
et de Céladon(2007)は、初めてこのふたつの系統の境界を飛び越えた作品
である。原作は17世紀に書かれたバロック小説『アストレ』(オノレ・デュ
ルフェ作)。舞台は5世紀のガリア。若い羊飼いの恋人同士の、誤解と別離と
和解の物語である。これまでの彼の映画作りの原則から行けば、当然ふたつ
めの系統の映画になってもよさそうなものである(そして、それはそれでおも
しろいものになったろう)。だが彼はこの映画を、『聖杯伝説』のようにでは
なく、むしろ『海辺のポーリーヌ』のように撮った。そして出来上がった作品
は、初々しさと、生々しい感情と、またその感情とシンクロするかのように
豊かな表情を湛える自然の美にあふれるものになった。さらには軽妙な艶笑譚
的趣もある(とくに後半)。なぜ彼がここにいたって「原作もの」の演出ポリ
シーを変更するに至ったのかはよくわからぬが、この新機軸から生まれた結果
は非常に好ましく、ロメールが齢九十近くにして新たなる境地に達したことを
はっきりと示している。聞くところによると彼はもう長編を撮らないつもりら
しいが、こんな若々しい傑作をまだ撮れるのになんともったいないことか、
と思ってしまう。
ロメールの映画は総じてシネフィル的な記憶をあまり喚起しないのだが、本作
はその自然描写——川、森、陽光!——と生の(そして官能の)喜びの横溢に
よって、ある映画作家の一本の作品を私たちに想起させる。ジャン・ルノワー
ルJean Renoirの『草の上の昼食』Le Déjeuner sur l'herbe(1959)であ
る。若いころから一貫してルノワールの熱烈な信奉者であったロメール——彼
は1959年に『草の上の昼食』を称揚する「ルノワールの若さ」なる文章を発
表している——が、老境にいたり、改めて自作によってルノワールへの大いな
る共感を表明しているように私には思える。溺れたセラドンが救助されて運ば
れたニンフの居城に掛かる絵のなかに、エドゥアール・マネÉdouard Manet
の有名なタブロー「草上の昼食」Le Déjeuner sur l'herbeと同様のポーズを
とる群像があったことを指摘しておこう。ルノワールの映画と同じ名を持つマ
ネの絵の引用。これが偶然のはずはなかろう。半世紀前に作られた名画にたい
するロメールのまわりくどいオマージュに違いあるまい。
■上記の城に掛かっていた「絵」自体は、マネが「草上の昼食」を制作すると
きに参照したライモンディの「パリスの審判」(ないしはそれの模写)だった
ようにも思うが、なにぶん一瞬見ただけなので記憶が曖昧である。いずれ
DVDなどで確認したいと思うが、詳しいことをご存じの方がおられたらご教
示願いたい。
■私はロメールの前作『三重スパイ』をまだ見ていない。この文章は当作品を
ふまえたものでないことをお断りしておく。
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2008年10月20日
宮廷料理人ヴァテール
映画の中には料理が主題になっているもの、料理を
するシーンや食事風景がキーになっているものが案
外あります。今まで観た映画の中で、私の記憶に残
る「料理のある映画」を紹介したいと思います。ま
ずは<宮廷料理人 ヴァテール>。題名がそのまま
“ど真ん中”の映画です。
料理やお菓子の名前には由来のあるものが少なくありません。例えば、生ク
リームに砂糖を加えて泡立てたホイップクリームは「クレーム・シャンティ
イ」と呼ばれていますが、「シャンティイ城」からその名前が付けられたと言
われています。シャンティイ城を舞台にした映画、<宮廷料理人 ヴァテー
ル>はそんなことからついつい観てしまった映画です。
「キリング・フィールド」や「ミッション」のローランド・ジョフィ監督がフ
ランス映画史上空前の40億円を投じ、フランスを代表する俳優ジェラール・
ドパルデューを主役に配し、絢爛豪華シャンティイ城で繰り広げられた3日間
の大饗宴を描いた史劇ですが、公開当時、日本ではおりしもグルメブーム、豪
華美食映画を期待した人たちの多くは歴史的背景の勉強不足(私も含めて)も
あってその描き方にちょっと期待はずれを感じてしまったかもしれません。
…ルイ14世(ジュリアン・サンズ)の治世下の1671年、フランス宮廷で
起こった内乱=フロンドの乱で国王を裏切った形となり、重職から遠のいてい
たコンデ大公(ジュリアン・グラヴァー)は国王の信頼を取り戻すべく、チャ
ンスを覗っていたそんな時、国王の臣下ローザン公爵(ティム・ロス)から、
大公の居城シャンティイ城に国王が3日間滞在すると聞いた。大公は莫大な借
金をし、5万エキュ(当時の貨幣価値を今の日本に置き換えるとなんと3兆円
以上!)をかけて、国王と500人以上の廷臣を3日間の饗宴でもてなすこと
にする。そこでコンデ大公は名料理人フランソワ・ヴァテール(ジェラール・
ドパルデュー)にヴェルサイユ以上のもてなしをするよう依頼する。ヴァテー
ルは料理のプランを立てるだけでなく、3日間にそれぞれのテーマを設け、国
王が当時凝っていたといわれるバレエ・オペラ・芝居を取り入れた演出を試
み、準備期間が短かったにもかかわらず、饗宴の総合プロデュースをやっての
ける…自らの命を懸けて。
完璧を追求するあまり絶望し、主人への忠誠そして自らの誇りのために絶望し
たヴァテールは死をもって決し、その料理ではなく、彼の生き方そのものが伝
説になりました。事実、約100年後に登場する本当の宮廷料理人アントナ
ン・カレームや19世紀に登場する現代フランス料理の父とされるオーギュス
ト・エスコフィエのように、彼のレシピはほとんど残っていません。現代のフ
ランスで、彼の名はもちろん偉人として知られていますが、料理人としてのそ
れではなく、信念を貫いた潔いその責任の取り方に美学を感じる偉人としてな
のです。
映画の中で私の期待通りのエピソード(宴の最中、カスタードクリームを作る
為の卵が腐ってしまい、機転を利かせたヴァテールは、手元にあったクリーム
に砂糖を加えて泡立て「クレーム・シャンティイ」を作ります。)はありまし
たが、このこと自体もあくまで伝説に過ぎないらしいのです。しかし映画で描
かれているヴァテールのめざましい活躍はそんな機転の数々ばかりでなく、料
理の材料の手配から始まり、支払いを含めた金策にまで追われ、私の想像して
いた宮廷料理人とは思えない働きぶりなのでした。そして彼は料理ばかりでな
く、国王を喜ばせる為の舞台演出までをこなし、3日間の饗宴を総合芸術にま
で高めていきます。彼にとって料理とは自分の持っているすべてを傾ける情熱
の表現であり、美味しいものを作って客を喜ばせること、驚かせることにとど
まらないもの、そして唯一彼の生き方に共感する女官アンヌ(ユマ・サーマ
ン)への愛を伝える手段であることが伺えます。宮廷内のどろどろした権力闘
争や思惑、さまざまな人々の愛憎劇などとは違うステージで生きる、懸命な
彼の生き方が浮かび上がってきます。
というわけで私が勝手に想像していた「宮廷料理人像」や「豪華宮廷料理」は
描かれていませんでした。映画としてはその当時の風俗・衣装、美術が素晴し
く再現されていることはもちろん感動に値しますが、それぞれの人物の描き方
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が単純であることやストーリー展開が意外と単調でした。そのため、ティム・
ロスやユマ・サーマンといった個性的な俳優たちの印象があまり残らない映画
になってしまっているのも残念です。「眺めのいい部屋」のジュリアン・サン
ズ(私にとっては懐かしい∼)が上品なルイ14世を演じていたのが救いでし
たが…
世界史の授業を受けるよりはもちろん?勉強になりそうですし、単純にルイ
14世になった気分で3日間の大宴会を楽しんでみてはいかがでしょう…(現
実には手元に豪華フランス料理が出てこないのが何より悲しいですけれど。)
それにしても当時最高峰の料理が作られていた厨房の、お世辞にも清潔とはい
えない環境には驚かされますが、そんな中から世界に誇るガストロノ
ミー(美食)は生み出されたのですね。
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我々には想像も付かない
フランス絶対王政最盛期の宴
むむむ!
セットや衣装は豪華。おののき。
明暗、表裏。
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2008年09月23日
懐かしの70年代の名優たち(6) ジャン=ルイ・トランティニャン
1970年代を代表するフランスの男優はだれか?いまだ健在振りを見せていた
ジャン・ギャバンは50年代の俳優だし、ジャン=クロード・ブリアリはむし
ろ60年代のイメージが強い。人気という点だけから言えばギャンク映画で一
世を風靡するアラン・ドロンが代表かもしれない。だが、私は別の俳優の名
前を挙げたい。それがジャン=ルイ・トランティニャンだ。
トランティニャンといえば、確かに1970年代を代表するフラン 男と女 特別版
スの俳優の一人だった。クロード・ルルーシュ監督の『男と女』(1966年)
の驚異的な成功のために、主演のトランティニャンとアヌーク・エーメの名前
はフランシス・レイのテーマ曲と共に世界中に知れ渡った。いま観直してみれ
ば全ての場面が甘すぎて、殆ど出来のいいビデオクリップにしか見えないこの
映画も、70年代には世界観を変えるほどのインパクトを観客に与えたよう
だ。主演の二人はこの映画でのイメージをいまだに引きずっているようにも見
える。いまだに「フランス映画」といえば『男と女』とつぶやく人がいるくら
いだから、一つの映画がもつイメージの大きさとは不思議なものである。
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しかし、トランティニャンといえば忘れられないのはベルトルッチの『暗殺の
森』(1970)であろう。原作はアルベルト・モラヴィアの『順応主義者』。
舞台は第二次大戦前のパリ。少年時代の不幸な経験が引き金となってイタリア
のファシストの手先となったある男が主人公。反ファシストとして活動するか
つての大学時代の恩師を暗殺するために彼は新婚旅行を装い、妻とパリにやっ
てくる。教授夫妻と親しくなった男は暗殺の機会を伺うが、その機会はいつに
なっても訪れない。ついに、別の組織が暗殺を決行することになったため、そ
れを妨害するために彼らを追跡に森へと向かうが、暗殺の場面で教授夫妻を
見殺しにする。その数年後、イタリアのファシスト政権は瓦解。ついに彼は何
もなすことが出来ず、何者も助けることも出来ず、何者も信じることが出来
ず、ただ「順応主義者」でしかなかった自分自身の姿を知ることになる。
自らのなすことに決して自信を持ちえず、ただ与えられた使命に従って彷徨い
歩くにすぎない病的な主人公。この複雑な役を演じられるのはトランティニャ
ンを措いて他には考えられなかっただろう。それほど彼はこの役の中に同化し
ていた。この映画はベルトルッチの演出、ストラーロの撮影が完璧と言っても
いいほどの高度な出来栄えを見せた映画だったが、それ以上にトランティニャ
ンという俳優の存在は大きかった。彼を主役に得て、この映画は初めて実現可
能になったと思える。これ以外では、エリック・ロメールの『モード家の一
夜』(1969年)、フランソワ・トリュフォーの遺作『日曜日が待ち遠し
い!』(1983年)なども彼ならではの作品となっている。
近年、我々が久しぶりにトランティニャンの姿を見ることが出来たのは、クシ
シュトフ・キエシロフスキ監督の『トリコロール』の中の一作「赤の
愛」(1994年)であったから、それももう10年以上前のことになる。主人公
の女性(イレーヌ・ジャコブ)に絡む、謎の老人の役をトランティニャンが演
じていた。もう相当に顔に皺が増え、顔つきも幾分変わってしまったように思
えたが、トランティニャンはやはりトランティニャンであった。
一見、とっつきにくそうな気難しい老人のようでありながら、様々なことに思
いをめぐらし、深い人間性を湛えている男。しかし、その男の真の姿はやはり
謎に包まれている…。こういう人物はやはりトランティニャンでなければ演じ
きることが出来ないだろう。トランティニャンが画面の中に現れるだけで、作
品内の空間自体が奥行きを増して行き、物語は観客のあずかり知らぬ遥かかな
たへと向かっていくように思われる。そこにいるだけで映画自体を変えてしま
う男。それがジャン=ルイ・トランティニャンなのだ。「赤の愛」が『トリコ
ロール』三部作の中で最も不可思議な魅力を持つ作品になったのは言うまでも
ない。
近年のフランス映画がつまらないのは彼のような俳優がいないからではない
か?ドパルデューはもちろんのこと、ダニエル・オートゥイユらの演技は余り
にも分かり易すぎるのだ。ヴァンサン・ペレーズやブノワ・マジメルにトラン
ティニャンの境地を目指せというのは酷かも知れないけれども…。
不知火検校
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2008年08月29日
「ぼくの好きな先生」 Etre et avoir
いきなり牛が吹雪の中にいるという、この季節には寒々し
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10/09/24 18:23
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いシーンから始まります。
スクールバスに乗っていく生徒たち、年齢はさまざま。
カメ2匹がのんびりと歩く、あったかい教室。
ここは小さな村の小学校、超少人数。
みんなが兄弟のように過ごしています。
同じく小学生の子供が出てくる「エコール」とは、また
違ったほのぼのとした雰囲気。
(一般ウケするのは確実に「ぼくの好きな先生」の方。)
おおよそ13人の子供たちが、ただひたすら勉強したり、遊んだり。
定年退職前の厳しくも優しいロペス先生に、
幼稚園から小学6年までに習うことを、一貫して教えてもらっています。
子供はそれぞれ個性があり、中には日系(?)の子もいます。
この映画の見どころは、ドキュメンタリー映画として良い点である、
「自分もその場所にいるような感じがする」ところです。
特に、フランス語習い始めで、しかもどうやってフランス語を覚えたらいいの
かさっぱり、
現地の人はどうやって覚えているのだろう…という疑問は、
この映画を見るとスッキリ解決するかもしれません。
何のことはなく、日本と同じような教え方をしているのです。
「あん、どぅー、とろわ…」と、数字を覚えたり、
文字を書いて覚えたり、お絵かきしたり、先生の言うことを書き取ったり。
宿題が出れば家で家族みんなで大奮闘。
お母さんに「そこ違うでしょ!」と叱られながら、ああでもない、こうでもな
い…
ケンカもするし、「あの子わたしの消しゴムとった!!」と文句もたれます。
ほとんど、日本の小学校の風景と同じなのです。
むしろ、家で算数の宿題をしていて親に「違うでしょ!!」と言われて、
最後は親まで宿題にまいってしまうシーンは、懐かしささえありました(笑)
(算数のシーンでは、数字もたくさん出てくるので要チェック!)
そして、Etre と Avoir、タイトルにもなっているこの二つの動詞から見て
も、
フランス人にとってのフランス語の始まりも、
日本人がフランス語を始めるときと全くと言っていいほど同じなんだな、と分
かります。
子供たちは可愛いし、風景もとてもきれい。
子供を一生懸命思いやる先生と、リアリティあふれる小学校の毎日。
のんびり見てもいい映画ですが、フランス語をしている人には、
まるで自分も小学校に入学したかのような気分になり、
子供たちと一緒に「うぃぃ∼!」「ぼんじゅ∼る、むっしゅ∼」と言ってしま
いそうになります。
フランス語を習いながら、「こんな難しいの、どうやって覚えるんだ!?」と
なってる人が、希望を持てそうな、おススメ映画です。
Etre et avoir ぼくの好きな先生
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素朴な人は素朴さを伝えられない
日本人が忘れてしまったもの
教育関係者のかた! ぜひ観てください。
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本当は毎日こんなもの
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2008年08月13日
「ニキータ」
先日久しぶりにリュック・ベッソンの「ニ
キータ」(1990)を観る機会がありまし
た。以前にご紹介した「汚れた血」のレオ
ス・カラックス、そして「ディーバ」、
「ベティ・ブルー」のジャン=ジャック・
ベネックスとともに、リュック・ベッソン
は80年代後半から90年代にかけてフラン
ス映画界に新風を吹き込んだシネアストで
す。アクション映画という娯楽性の強い内
容や派手な映像、エリック・セラの個性的
な音楽で、ほかの2監督の作品と比べる
と、いわゆる「フランス映画好き」からの
評価は高くないかもしれませんが、わかりやすく観ていて単純に楽しめるこの
作品は、逆にフランス映画を苦手としていた人たちの多くを振り向かせたはず
です。
ドラッグ漬けだった野生児のような娘ニキータ(アンヌ・パリロー)が、そ
の素質を見いだされて政府の工作員として養成される、という言ってみれば裏
版「マイ・フェア・レディ」的なストーリーや、美しいレストランでのドンパ
チ(ダストシュートへ飛び込むシーンは見もの)、恋人との幸福な場面が一転
して任務遂行の舞台と化すといったメリハリのあるスピーディーな展開はいか
にもハリウッド好みで、実際アメリカでは「アサシン」というタイトルでリメ
イクされ、さらには連続テレビドラマにもなりました。
アクションシーンなどの暴力的
な部分だけではなく、繊細な面
が同時に見られるのもこの映画
の魅力のひとつ。ニキータはク
レイジーで男性顔負けの強さを
もつ一方で、任務の恐ろしさに
おびえる弱さや、好きな男に思
いっきり甘える可愛らしさも
持っています。それは彼女の着
こなす両極端なファッションーーハードな革ジャンやパンツといったボーイッ
シュなスタイルと体にぴったりとしたミニのワンピースやエレガントな帽子、
キュートなプリントの下着といった女らしいスタイルーーにも表れています。
また彼女を取り巻く2人の男性も対照的で、方や常に冷静な上司ボブはときに
厳しくときに穏やかにニキータを調教し、方や恋人マルコは彼女の過去を問い
ただすこともせず、ただひたすらに優しく無償の愛を捧げる。この映画は2人
の男から全く異なった「愛し方」をされる女性の物語でもあるのです。マルコ
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を演じたジャン=ユーグ・アングラードは当時「様」づけされるくらい日本の
女子を魅了した美青年で、そんな人にとことん尽くされるのだから、初めて映
画を観た頃は断然マルコのほうがいいよ∼って思っていました。
しかし、今回あらためて観たと
ころ、ボブがいいんですよ! ニキータと最初に会話をする
シーンで、彼女の名を尋ねて
「いい名前だ・・」ともの静か
に話すボブに漂う色気・・ あ
の頃はおじさんに思えたチェッ
キー・カリョのほうが今ではセ
クシーなシブい男性として俄然存在感がありました。時を経ると作品の見方も
ずいぶん変わるものです。
映画はそれまでの派手さとは打って変わってしんみりした雰囲気のなか、ニ
キータではなく、残された2人の男たちの対話で終わりますが、そのあたり
がアメリカではなくやはりフランス映画的で、監督の冴えを感じます。この後
ついにハリウッドに進出したリュック・ベッソンは「レオン」「フィフス・エ
レメント」を発表して知名度をさらに上げましたが、その後はプロデュース業
を多く手がけるようになり、近年監督業ではあまりぱっとせず、引退宣言も飛
び出す始末。おそらく監督としてやりたいことは、「ニキータ」あたりでほと
んどやってしまったのでしょう。
二キータ
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普通
根底はラブストーリー
『レオン』の前菜に『ニキータ』を!
レオンよりいい!
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2008年07月29日
「ぼくの伯父さんの休暇」 -映画の中の夏休み(2)
先回、「映画の中の夏休み」と題し、エ
リック・ロメールの「獅子座」を紹介し
た。
そこでは、今ひとつぱっとしない雰囲気
の中年男のある夏の物語が描かれていた
が、今回も、やはり中年、というより初
老の男性のサマー・ストーリーである。
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映画は、ヴァカンスの始まり(いざ海辺
へ!)から、その終わりまでを描く。
特に物語らしきものはない、コメディー映画である。
とはいえ、そのユーモアはモンティ・パイソンなどに代表される英国人のブ
ラックな「笑い」とも、ウッディ・アレンの映画で描かれるアメリカ東海岸の
スノッブな「笑い」とも確実に異なる独特のものだ。
それは、実にゆったりとした「笑い」であり、爆笑が起こるような「笑い」
では決してない。
否定的に語るならば「のろくて退屈な映画」と形容することもできるだろう。
しかし、その緩慢なリズムのなか、主人公ユロ氏のパントマイムを思わせる機
械的な身振りは、おかしい。
ビーチで、数年前に日本でもかすかに流行したトルコアイスらしきものがねり
ねりと作られる。
ねりねりとしたトルコアイスはねりねりと延び、砂の上に落ちてしまいそう
だ。
ユロ氏は、それが気になって仕方がない。
そこで機械的な動きで、トルコアイスがねりねりと落下してしまうの
を、なんとか阻止しようとする。
そこがおかしいのである。
言葉にしてもおかしくはないが、それは筆者の文才の欠如に由来することで、
映画とは無関係だと考えていただきたい。
またユロ氏がなかなか紳士であるところも良い。
中年、或は初老の男性、というと人はそれぞれイメージするところのものがあ
るだろう。
しかし、このユロ氏は、おそらく多くの人の中年像を覆すのではないかと思わ
れる。
それは、あらゆる文脈から逸脱しており、それが「笑い」を生むわけだ。
ひょっとすると、次回最終回を迎えるTBSのドラマ「パパと娘の7日間」の中
の館ひろしの仕草に、くすっと笑ってしまうような感覚に近いかもしれない。
もちろん、映画にはテレビドラマの中のようにはっきりとしたドラマは不在
ではあるが。
大笑いしたいという気分の時に観る映画ではない。
しかし、くすっと笑いたいときや、緩慢に時間を過ごしたいときには
うってつけの映画である。
映画は、ヴァカンスの終わりと共に結末を迎えるが、そこには夏休みが終わる
ときに感じる独特の切なさがある。
そうした切なさを、子供が主人公の映画ではなく、初老の男性を主人公とし
た映画で描いていることが、この映画のオリジナリティーの高さかもしれな
い。
ちなみにサウンドトラックも、お洒落である。
ぼくの伯父さんの休暇
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2008年07月24日
「獅子座」-映画の中の夏休み(1)
数年前、「動物占い」なるものが一世を風靡した。
獅子座
しかし、わざわざ生年月日や性別を材料に、新たに自分を動物に当てはめな
くても、人は誰しもある動物と運命を分かち合っている。
東洋人たる我々にとって、自らの生まれた年の干支から逃れることはできな
い。
さらに星座。
こちらは血液型と同じく、恋人を、さらには生涯の伴侶を選択する上でも決し
て無視することのできない重要な指標の一つである。
さそり座の星の下に生まれ落ちた者は、その星の支配圏から逃れ出ることは
できない。
たとえ、あなたの性格が草食動物のように穏やかなものであっても。
おとめ座の星の下に生まれ落ちた者は、その星の支配圏から逃れ出ることは
できない。
たとえ、あなたが格闘家のような強さを備えていたとしても。
というわけで、星座とは時に残酷に、時に優しく人に微笑む。
エリック・ロメールの「獅子座」もそういう映画である。
映画の主人公は「獅子座」の中年男。
さえない感じで、いささかメタボリックだ。
獅子然とした雰囲気は、当然、皆無である。
舞台は、夏のパリ。
ヴァカンス中のパリである。
8月2日、40歳を目前とした主人公は一通の電報を受け取る。
伯母の遺産が相続できることになったらしい。
ところが、その相続の話、水泡に帰し、主人公は金策に迫られ、人気のない
パリを彷徨うことになる。
エリック・ロメールの処女長編。
理屈っぽい話を長々と続けるロメール映画の登場人物が苦手という人にも、こ
の映画は受け入れられるのではないだろうか。
他人の不幸の話は、常に笑いを誘うものであるが、この映画も実に独特のユー
モアを備えている。
やれやれといった感じで、主人公は次第にみずぼらしくなっていくが、悲壮感
はなく、むしろ滑稽である。
そして最後には、予期せぬ結末が見る者を驚かせるだろう。
8月2日から8月22日までの20日間。
獅子座の男は、緩慢ではあるが確実に運気に翻弄される。
1959年のフランス映画。
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さえない中年男を主人公にしながら、映像はとてもみずみずしい。
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2008年06月19日
大いなる休暇 LA GRANDE SEDUCTION
これはフランス映画ではなくカナダ映画なのですが、言
語がフランス語なので…。
とある高齢者だらけのほんわかした離れ小島。
みんな支給で生活してるんだけど、もうそろそろそれも
底をつき、
とうとうケベック州が打ち切りを出してきた!
高齢とは言え、気が若いみんなは大慌て。
打ち切り撤回の条件は、その島にお医者さんを1ヶ月定住させること。
そんな島に、一人の「何か人生バカンスだよね」な若医者がやってくることに
なった。
島のみんなは大喜び!でも、彼を定住させるには…
みんな、おじいちゃんおばあちゃんが孫を喜ばせようとしてやったことって、
たいてい す べ る よ ね 。 かわいいけどね。
そうです、スベりまくりです。でもみんな必死なのです。
お医者さんがいてくれるためなら、つまんないクリケットだって実践!観戦!
盗聴器を仕掛けてでも、釣り針に魚を仕込んででも気に入ってもらうため大奮
闘。
そしたら今度はケベック州から「島民200人を越えなければ打ち切り」、
とか言われるの。
島民がちょっとしかいないからみんな大慌て。
大慌て…な中、「なんだかいい島だなぁ」とほのぼのするお医者さん。
島をあげての大嘘大会、仲良くなったらうそなんてつきたくない。
さて、その結末は…。
□「大いなる休暇」(予告編 en francais)
□公式サイト「大いなる休暇」
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ほのぼのしたいい映画でした
ただひたすら前向きな村人たち。
小さな島の住民が引き起こすドタバタ劇
名画でしょう。
スローライフに憧れて。。。
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posted by cyberbloom at 07:48| パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | フラン
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2008年05月16日
「恋愛睡眠のすすめ」
映画のなかでは、夢の世界の表現はさまざ
まなかたちで行われてきましたが、最近観
たミシェル・ゴンドリーの「恋愛睡眠のす
すめ」は、そのなかでもかなりユニークな
作品でした。
メキシコから母親(ミュウ=ミュウ)の住
むパリへやってきたステファン(ガエル・
ガルシア・ベルナル)は、ときどき夢と現
実の区別がつかなくなる青年。母親が大家
をしているアパルトマンに落ち着き、これ
また母親が探してきた職場で、つまらぬ仕事を始めた彼は、隣に越してきたス
テファニー(シャルロット・ゲンズブール)が次第に気になり、夢の世界で彼
女との恋を楽しむが、現実ではそううまくいかない・・
シックなパリの街並、いかにもパリジャンたちの生活に登場しそうなアパルト
マンやカフェの映像と交互に描かれるステファンの夢は、ダンボール、色紙、
セロファン、布や毛糸などを用いた「手作り」感あふれる装飾にかこまれた世
界。それらがアニメーションで動くなかを、ヒーローとなったステファンが繰
り広げるドラマチックな恋愛劇がとても楽しい。
しかしながら、正直言ってこの
映画は万人におすすめできるも
のではありません。ステファン
の夢はとりとめなく続く、しだ
いに現実との境界があいまいに
なってよくわからなくなる、だ
らだらした物語の先がまったく
読めない、そしてステファンそ
の人の性格がウジウジして情けない。これはガエル・ガルシア・ベルナルが演
じているからキュートに見えるのであって、実際にこんな人がいたらアブナす
ぎる・・ 好きな人と嫌いな人とにはっきりと分かれる作品だと思います。最
初このウダウダ感に戸惑ったものの、もともと脱力系が好きなものですか
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ら、私は結構面白く観ました。
ガエル&シャルロット、というありそうでなかったキャスティングもナイス
で、とにかく2人が楽しそうに演じているのが、観ていて気持ちがよかったで
す。やたらエロトークを連発する上司役のアラン・シャバをはじめ、彼らをと
りまく一風変わった人々もいい味出してました。
監督のミシェル・ゴンドリー
は、もともとビヨークなどの
ミュージック・ヴィデオを手が
け、映画監督としては、これま
で「ヒューマン・ネイチュア」
や「エターナル・サンシャイ
ン」などヘンテコでユーモアあ
ふれる映画をハリウッドで発表
してきました。今回母国フランスへ戻って制作した「恋愛睡眠・・」は、前2
作品をさらに純化させ、コンパクトにしたような作品で、いろいろなアイディ
アを好き放題に詰め込んだという感じです。それを象徴するのがステファンの
さまざまな珍発明で、極めつけは「1秒タイムマシン」。名前の通り1秒だけ
未来と過去に移動できる、というものでその実際の効果はぜひ映画でご覧く
ださい。
MTV畑出身ということもあるのか、サウンドトラックも秀逸で、映像と音楽
が重なるシーンはどれも見事にマッチしていました。ステファンが夢のなかで
ステファニーに捧げる曲も、彼の着ぐるみ姿ともどもチャーミングで好きな
シーンのひとつです。
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買いですが。
ガエルくんが可愛かったです!
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ジャン キュルニエ 哲学
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