2(PDF文書)

Ⅲ
基本計画
第2章 自然と人のぬくもりに囲まれた住みよいまちづくり
第1節 自然とともに生き快適で住みよいまちづくり
快適な生活をおくるための環境整備
西方沖地震を教訓とした地震対策が急務と
現状と課題
なっています。しかし、本市においては、
<有効な土地利用・都市計画>
耐震診断、耐震改修が必要な建築物が多数
本市は、面積が 130.29km で、広く海
存在しています。この状況を踏まえ、安心
に面し、沿岸部は変化に富む海岸線が連な
で安全な生活環境の整備をおこなうため、
り、北松浦半島の一部を構成するとともに、
市有建築物および民間の建築物の耐震化を
4つの有人離島(鷹島、黒島、青島、飛島)、
すすめていくことが課題となっています。
2
および イ ロ ハ 島*や 大 小 島 な ど の 無 人 の
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島々をふくむ地域です。内陸部は、豊かな
<心安らぐ公園・広場・緑地づくり>
緑が広がる緩やかな丘陵地や山地で占めら
本市には、運動公園や総合公園をはじめ、
れており、おもに海岸線や主要河川沿いに
玄海国定公園*区域内にある自然と調和した
平野部が広がっていますが、平野部が占め
公園やキャンプ場、史跡、広場などがありま
る割合が少なく、限られた土地の有効活用
す。市民の憩いの場であるこれらの施設につ
をはかる必要があります。
いて、多くの人に利用してもらうため、施設
このため、国土調査*を推進し、用途地
整備と適正な維持管理をはかる必要がありま
域や各種土地利用規制に基づいた整備をす
す。
すめ、自然保護と乱開発の防止、自然生態
また、市街地整備や企業誘致をすすめる
系の保全を考慮し、地域特性を最大限に活
際には、自然と調和のとれた公園、広場、
かした計画的かつ効率的なまちづくりが求
緑地などの整備につとめなければなりませ
められています。
ん。
<快適な住宅・居住環境づくり>
<安心安全な水の供給>
現在、本市が管理している公営住宅など
本市の水道は、河川を主水源とした上水
の戸数は 814 戸となっています。その内、
道と山間部や離島地域をふくむ簡易水道お
耐用年数を経過した住宅が 224 戸、耐用
よび飲料水供給施設で構成されており、ほ
年数の半分を経過した住宅が 86 戸ありま
ぼ 100%の普及率となっています。
す。このように、本市には建設年度が古く、
今後の人口推移や企業誘致にともなう産
老朽化し狭小な住宅が多いため、建て替え
業開発の動向、住宅整備、下水道事業の進
が課題となっています。今後は、人口推移
捗などの動向を的確に把握し、変化する水
や社会情勢に対応し、誰でも安心して快適
需要に対応できる計画的な水資源確保対策
に暮らせるように、長期的な計画に沿った
を実施し、効果的な施設整備をおこなう
効率的な住宅整備が求められています。
ことで水の安定供給をはかる必要がありま
また、平成 17 年 3 月に発生した福岡県
す。
基本計画
第2章 自然と人のぬくもりに囲まれた住みよいまちづくり
第1節 自然とともに生き快適で住みよいまちづくり
Ⅲ
また、離島地域においては、水資源の
<適切な廃棄物処理>
安定的な確保のため、貯水基盤整備をすす
現在、ごみ、し尿については、北松北部
め、水利用効率の向上をはかる必要があり
クリーンセンター、鷹島環境センター、鷹
ます。
島クリーンセンターへ搬入し、処理してい
ます。これらの施設から生じる処理残さ物
<適切な下水処理の推進>
は、松浦市一般廃棄物最終処分場と鷹島環
本市では、平成 10 年度に松浦市下水
境センター最終処分場にて処理をおこなっ
道基本構想を策定し、平成 15 年度に公
ています。
共下水道の事業認可を受け、平成 19 年度
循環型社会を構築するためには、今後、
(2007 年度)末の一部供用開始に向け整
ごみ問題に対する意識啓発と啓発運動を展
備をすすめています。また、漁業集落排水
開していく必要があります。また、長崎県
施設 * については、福島地域の鍋串地区、
ごみ処理広域化計画を視野に入れ、現行の
鷹島地域の阿翁浦漁港、日比地区、殿ノ浦
ごみ・し尿処理体制を維持しながら、ごみ・
漁港、船唐津漁港の5カ箇所を整備してい
し尿を適切に処理していきます。
ます。これらの地区以外では、浄化槽設置
を推進しています。
<公共交通体系の充実>
今後も良好な生活環境の形成、自然環境
鉄道やバス、フェリーなどの公共交通機
保全、農業、水産業の資源保護、水害対策
関は地域住民や交通弱者の日常生活に不可
など、計画的かつ効果的な下水施設の整備
欠な交通手段です。本市の海上交通につい
が必要です。
ては、本土と鷹島間、本土と福島間に定期
船があり、陸上交通では路線バス、循環バ
<自然環境の保全>
スおよび松浦鉄道があります。本市は離島
近年の異常気象による自然災害は、地球
や他県につながる半島などで形成されてい
温暖化がひとつの要因といわれています。
るため、同じ市内にありながら、松浦、福
自然の驚異から身を守り、自然と共存して
島、鷹島の3地域を結ぶ公共交通機関がな
いくためには、水、空気、緑といった自然
く、市民の地域間交流に影響を与えていま
環境を日常生活の身近な問題ととらえ、本
す。これらの地域を結ぶ公共交通機関の確
市が有する恵まれた自然を活かしたまちづ
保と運行時間の短縮が求められています 。
くりをすすめてくことが必要です。
また、都市化の進展にともない発生が懸
念される騒音、振動、悪臭、水質汚染など
の公害を未然に防止する必要があります。
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第2章 自然と人のぬくもりに囲まれた住みよいまちづくり
第1節 自然とともに生き快適で住みよいまちづくり
浄化槽の設置状況
累計設置数
処理人員
基
900
5,202
800
5,592
5,377
4,915
700
4,265
人
6,000
5,000
4,521
600
4,000
500
3,000
400
300
618
687
757
798
839
2,000
550
200
1,000
100
0
0
∼H12
H13
H14
H15
H16
H17
資料:市民生活課
ごみの推移
可燃物
不燃・資源・粗大
t
7,400
t
1,200
7,200
7,000
1,045
952
1,000
905
6,800
800
6,600
7,253
6,400
652
692
600
7,146
7,019
6,200
400
6,000
6,407
5,800
6,066
200
5,600
5,400
0
H13
H14
資料:松浦市一般廃棄物処理基本計画
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H15
H16
H17
基本計画
第2章 自然と人のぬくもりに囲まれた住みよいまちづくり
第1節 自然とともに生き快適で住みよいまちづくり
【施策の体系】
快適な生活をおくるための環境整備
有 効 な 土 地 利 用 ・ 都 市 計 画
計画的かつ効率的な土地利用
都市計画マスタープランに
基づいたまちづくり 国
土
調
査
の
推
進
快適な住宅・居住環境づくり
Ⅲ
計画的かつ効率的な住宅整備
建 築 物 の 耐 震 化 の 促 進
人にやさしい設計・建設の推進
心安らぐ公園・広場・緑地づくり
公園などの適正管理と利用促進
緑
化
の
推
進
安 心 安 全 な 水 の 供 給
水
道
水
施
資
設
源
の
の
整
確
備
保
適 切 な 下 水 処 理 の 推 進
公 共 下 水 道 の 整 備
そ の 他 下 水 施 設 の 整 備
都 市 下 水 路 の 整 備
自
然
環
境
の
保
全
環 境 保 全 意 識 の 高 揚
公
害
の
防
止
自然環境を活用したまちづくり
適
切
な
廃
棄
物
処
理
廃棄物の減量化・資源化の促進
効果的な廃棄物処理施設の整備
廃 棄 物 の 有 効 利 用
市民参加による環境保全の推進
公 共 交 通 体 系 の 充 実
生
活
路
線
の
充
実
効果的な移動手段の確保
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基本計画
第2章 自然と人のぬくもりに囲まれた住みよいまちづくり
第1節 自然とともに生き快適で住みよいまちづくり
施策内容
1.有効な土地利用・都市計画
(1)計画的かつ効率的な土地利用
2. 快適な住宅・居住環境づくり
(1)計画的かつ効率的な住宅整備
限られた土地資源の計画的かつ効率的な
計画的かつ効率的な住宅整備を推進し、
利用をはかるため、長崎県土地利用基本計
公営住宅については、公営住宅ストック総
画などとの整合性をはかりながら、都市計
合活用計画を策定して効果的な整備をおこ
画マスタープランなどの計画に沿った総合
ないます。
的な土地利用をすすめ、遊休地の利用促進、
自然保護、歴史的遺産の保全を考慮したま
(2)建築物の耐震化の促進
ちづくりを推進します。
耐震改修促進計画を策定し、市有建築
また、平成 20 年度末完成予定の鷹島肥
物および民間の建築物の耐震化を推進しま
前大橋(仮称)や西九州自動車道伊万里松
す。
浦道路の進捗を考慮した効果的なまちづく
また、民間建築物についても、市民の生
りを推進します。
命はもとより財産・社会資本の保護の観点
から、耐震化の必要性に関して広報活動を
(2)都市計画マスタープランに
おこない、市民の意識啓発をはかります。
基づいたまちづくり
市民の生活の場である木造戸建て住宅に
市の総合的なまちづくりの推進について
ついては、県の安全・安心住まいづくり支
は、将来の都市構造や都市づくりの基本方
援事業などの活用により、耐震診断および
針である都市計画マスタープランにより、
耐震改修を支援します。
計画的なまちづくりをすすめます。
(3)人にやさしい設計・建設の推進
(3)国土調査の推進
公共施設の新設、改修において、バリア
土地の現況把握と計画的かつ効果的な土
フリー法や長崎県福祉のまちづくり条例に
地利用に資するため、国土調査の実施を促
基づいた、人にやさしい設計・建設をおこ
進し、市民、関係者の理解と協力をもって
なっていきます。
早期完成につとめます。
また、国土調査の成果をもとに、圃場整
備事業や上下水道事業などのさまざまな公
共事業への活用や固定資産税の適正課税の
資料として有効活用をはかります。
辻の尾地区
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基本計画
第2章 自然と人のぬくもりに囲まれた住みよいまちづくり
第1節 自然とともに生き快適で住みよいまちづくり
3. 心安らぐ公園・広場・
緑地づくり
(1)公園などの適正管理と利用促進
(2)水資源の確保
Ⅲ
今後の人口推移や企業立地など、産業開
発にともなう水需要の変化に対応できる水
資源の確保につとめます。
公園などの適正管理をおこない、市民の
関係機関と連携のうえ、森林・河川の保
憩いの場として市民が安心して利用できる
全をはかるなど、安全で安定した水の供給
施設整備につとめます。また、交流人口を
につとめます。
拡大するために、市内のみならず、市外か
限りある資源として水の有効利用をはか
らも訪れやすい施設づくりをめざします。
るため、市報や街頭パレードなどの広報活
(2)緑化の推進
市街地や工業地域周辺における緑地の整
動をとおして、市民の理解と協力を呼びか
けていきます。
備、花いっぱい運動などを推進し、緑地の
保全と緑化の推進につとめます。
鷹島ダム
4.安心安全な水の供給
(1)水道施設の整備
5.適切な下水処理の推進
(1)公共下水道の整備
水道施設の効率的な維持管理につとめ、
長崎県汚水処理構想および松浦市下水道
安全かつ安心して飲める水の安定供給と浄
基本計画、地域再生計画などに基づいた、
水施設の更新、改良などの施設整備の充実
公共下水道の整備をすすめ、普及率の向上
をはかります。
をはかります。
また、施設の統合によって、水の相互融
また、下水道の供用開始にともなう下水
通をはかり、安定供給と効率的な運営によ
道への接続率の向上につとめます。
る経営の健全化をはかるとともに、水道料
下水道の供用開始後は、有収水量 * の確
金体系の整備を推進します。
保と経費削減につとめ、下水道事業の経営
の安定化につとめます。
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Ⅲ
基本計画
第2章 自然と人のぬくもりに囲まれた住みよいまちづくり
第1節 自然とともに生き快適で住みよいまちづくり
(2)その他下水施設の整備
(3)自然環境を活用したまちづくり
長崎県汚水処理構想および地域再生計画
干潟再生や砂浜の保全、潮遊び場や海水
などに基づき、農業・漁業集落排水施設の
浴場などの適切な維持管理をおこない、豊
効率的な整備、合併処理浄化槽の普及を促
かな自然環境を活用したまちづくりを推進
進します。また、集合処理施設の加入率の
します。
向上につとめます。
(3)都市下水路の整備
市街地および低地の雨水対策として都市
下水路の効果的な整備につとめます。
6.自然環境の保全
ホタルが生息する木場川
(1)環境保全意識の高揚
地球温暖化対策実行計画を策定し、市民、
事業者、行政により、二酸化炭素排出削減
や省エネルギーに対する取り組みを促進し
7.適切な廃棄物処理
(1)廃棄物の減量化・資源化の促進
ます。また、市民、事業者への環境問題に
一般廃棄物処理基本計画に基づき、家庭
関する情報提供などを通じて、環境保全に
や事業所から発生するごみの分別、減量化
対する共通認識の確立、意識の高揚をはか
の徹底を推進し、資源回収活動の支援、エ
ります。
コバッグ * や簡易包装の普及をはかり、廃
棄物の減量化、資源化を促進します。
(2)公害の防止
豊かな自然環境と住みよい生活環境を保
(2)効果的な廃棄物処理施設の整備
持するため、大気環境中の酸性降下物や各
ごみ・し尿処理施設の適正な維持管理に
種汚染物質の測定・分析、河川や海域など
つとめていくとともに、公害防止および生
の公共用水域の水質調査などをおこない、
活環境の保全に十分な配慮をもって施設の
監視体制の充実につとめます。
管理・運営をおこなっていきます。
また、騒音や悪臭、廃棄物の不法投棄な
どに対しては、監視パトロールの強化をは
(3)廃棄物の有効利用
かるとともに、不法投棄に関する市民およ
現在、北松北部クリーンセンター汚泥再
び事業者のモラルの向上につとめます。
生処理施設では、し尿、浄化槽汚泥、生ご
みを使用して、生ごみ汚泥堆肥が生産され
ています。今後も、原料を確保し、市民な
どへの販売促進をはかり、堆肥の販売ルー
トを拡大します。
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基本計画
第2章 自然と人のぬくもりに囲まれた住みよいまちづくり
第1節 自然とともに生き快適で住みよいまちづくり
また、家庭用生ごみ処理機器購入に対す
る支援をおこない、家庭から排出される生
8.公共交通体系の充実
ごみの減量化をはかります。
再資源化・再利用が可能な空き缶、雑誌
(1)生活路線の充実
Ⅲ
類、ペットボトルなどの資源について、回
市民の外出時における利便性を高めるた
収活動を支援し、資源の有効活用を促進し
めのバス、フェリー、鉄道などの交通機関
ます。
について、地域の実情や需要に応じた施設、
運営の充実を推進します。
(4)市民参加による環境保全の推進
空き缶回収キャンペーンや市民大清掃な
(2)効果的な移動手段の確保
ど、市民参加による環境美化活動や広報活
移動時間の短縮や地域間交流の促進をは
動を通じ、市民意識の高揚をはかっていき
かる観点から、海上ネットワークの充実に
ます。
向け高速巡回船の就航などの検討をすすめ
また、松浦市保健環境連合会と協力し、
ます。
環境美化の推進とリサイクル活動の推進を
はかります。
さらに、河川、道路、公園などにおいて
アダプト制度 * を導入し、住民参加による
美化運動に取り組みます。
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