2年 体育科実践事例 1.単 元 2.指導時期 するっとサッカー(ボールゲーム) 3.目 ○ 標 6月(1h×6) け ボールを思い切り蹴ったり、ねらったところへ蹴ったりしてみ んなで楽しくゲームができるようにする。 ○ 規則を守り、互いに仲よくゲームを行い、勝敗を素直に認める ことができるようにする。 ○ ゲームを楽しむための簡単な規則を工夫することができる。 4.指導にあたって サッカー型のゲームは、足でボールを扱う機会の少ない2年生の児童にとって、みんなでゲ ームを楽しむところにまで達するのは難しい。従って、 「するっとサッカー」では、プレーする 際のプレッシャーを減らすことを考慮し、シュートとパスを分けた形のゲームを2つ取り入れ ることとした。 ① キックターゲット ○ (シュートゲーム) ○ ボールは1人につき1個あるので、時間内に何度もシュートすることができ、 「蹴りたい」 という児童の欲求を満たすことができる。 ゴールの低い部分へ入ると1点、高い部分は2点とすることで、ある程度ねらったところ へ強くボールを蹴る技能を身に付けさせることができる。 「はじめ」「なか」 の最初に取り組む ゲーム ○ 順番にシュートしていくことで、待っている児童がシュートする児童にボールの蹴り方や ねらうところなどのアドバイスをしたり、励ましの言葉をかけたりするようになり、チー ム内での仲間とのかかわりを増やすことができる。 ② するっとサッカー ○ (パスゲーム) ○ パスを出す、受ける、守る、の3つの範囲を限定することで、攻守分離型のゲームになり、 パスを出す児童へのプレッシャーを軽減することができる。 パスを受ける側の範囲を限定することで、強く蹴るだけの「キック」から受け手のことを 考えた「パス」を意識させることができる。 「なか」 「まとめ」 のゲーム ○ どこに動いたらパスが通るか、またパスをカットできるか、などのチーム内での作戦や声 かけが活発になり仲間とのかかわりを増やすことができる。 なお、言語活動については、互いの考えを交流しながらルールやマナー作りを行うこと により、みんなが楽しく学習できるようにしたい。また、児童が声を出し合って、味方か らパスを受けたり、シュートしたり、協力して守ったりし、ゲームの特性に多くふれられ るように展開していきたい。さらに、試してみたことやしてみたい動きを報告したり、仲 間にアドバイスしたり、応援したりすることで仲間との交流を図り、互いのがんばりを認 められる集団に育てたい。 この単元での基本重要語彙 パス ○ この単元で重視した言語活動 シュート ルール マナー 作戦 運動を楽しむためにルールを作ったり、マナーについ て考えたりして伝え合う。 ○ ゲームを行う中で、互いに声をかけ合ったり、励まし 合ったりする。 ○ 練習の計画を立てたり、作戦を練ったりするためにグ ループで話し合う。 ○ 運動した後の気付きを話したり書いたりする。 6.展開 (◇・・・指導者の行動、○・・・児童の行動) 第1時 いろいろなボール蹴り遊びを楽しむ。 学習活動 指 導 者 の 支 援 予想される児童の行動と発言 児童の実態 ボール遊びは好きであるが、足でボールを蹴ったり止めたり、運んだりするボー ル蹴り遊びの経験は少ない。 いろいろなボール蹴り遊びを楽しもう。 1.準備運動をする。 ◇ボールを使って十分に体を ○ボールを使って運動する。 ほぐす運動をする。 2.ボール蹴り遊びをする。 ◇いろいろなボール蹴り遊び を示す。 ・一人でのボール遊び 〔足の置きかえ、ドリブル ◇足でボールを操作する運動 (手や足で) 、 ボールを止 の楽しさを味わわせる。 める(体のいろいろな部 位で)など〕 ・1,2,1,2の 声でうまくできた。 ・強く蹴ったらダメだな。 ◇「なか」のゲームに向けてチ ーム編成ができるように児 ・二人でのボール遊び 童の実態を把握する。 〔キャッチボール、挟んで ・手をつないだらできた。 ・まっすぐボールが 立ったり、座ったり、パ とばないな。 スなど〕 ・キックターゲットゲーム ◇防球ネットをゴールにし、ポ ○ボールは一人1個使う。 〔シュート遊び〕 ストバーで上下に区分する。 ・シュートがたくさん入ったよ。 (シュートラインからゴー ・2点のところに ルまでの距離は5m) たくさん蹴れたよ。 ・バーにも当たったよ。 評価 評価 ・安全に留意して遊ぼうとする。 ・ボール蹴りゲームのルールがわかる。 ・ボールを蹴ったり、止めたり、運んだりすることができる。 3.今日の学習のまとめをす る。 ・自分がうまくできたこと や、友達のよかったことを 発表しよう。 4.整理運動をする。 ・足の置き換えが速くできた。 ・バーに当たったら 3点にしよう。 第3時 簡単なルールやマナーを守ってゲームを楽しむ。 学習活動 指 導 者 の 支 援 予想される児童の行動と発言 児童の実態 ボールを強く蹴って的に当てることを楽しんでいるが、蹴る力を加減して味方に パスするゲームをするのは初めてである。 ルールやマナーを守って「するっとサッカー」ゲームを楽しもう。 1.準備、準備運動をする。 ◇ボールを使って十分に体を ○ボールを使って運動する。 ほぐす運動をする。 ・足の置き換えは優しくボールに 2. 「キックターゲット」ゲー ◇バーに当たったら3点、蹴っ ムをする。 タッチしたらいい。 た人がボールを取りに行っ ・ナイスシュート。 て合図を出してから次の人 ・いいぞ。がんばれ。 が蹴るようにする。 ・ボールをよく見て蹴ろう。 ・~さんの蹴り方はいいね。 ・立ち足をボールの横に ○少しずつ互いに教え合い励 置けば、うまく蹴るこ まし合いながら、ゲームが とができるよ。 できるようになってきた。 評価 3. 「するっとサッカー」のは ◇どこに蹴ればよいか、またど じめのルールやマナーを のように動いて守るかチー 確認する。 ムで考えるように助言する。 4.ゲームをする。 ・ゲームの仕方やルールが わかる。 ・声を出そう。 (前後半5分、2ゲーム) ・素早く動いて守ろう。 評価 ・役割を分担し、楽しくゲームに取り組もうとする。 ・仲間と教え合ったり、励まし合ったりしようとする。 ・立ち足をボールの横に置いてボールを蹴ることができる。 ・大きく一歩踏み込んでボールを蹴ることができる。 5.学習のまとめをする。 ・友達のよかったことを 発表しよう。 ・もっとゲームを楽しくするために はどうすればよいですか。 ・パスができてうれしかった。 ・受ける係が取りやすい強さで ボールを蹴ることができた。 ・点数を高くしたい。 ・早くやってみたいな。 ◇足でボールを止めたら2点 とする新しいルールを提案 する。 6.整理運動、後片付けを する。 第5時 新しいルールやマナーを守ってゲームを楽しむ。 学習活動 指 導 者 の 支 援 予想される児童の行動と発言 児童の実態 パスを出す役割の児童が、なかなかパスを出せずに立ち止まっている場面が多く 見られ、運動量が少ない。 新しいルールで「するっとサッカー」ゲームを楽しもう。 1.準備、準備運動をする。 ◇ボールを使って十分に体を ○ボールを使って運動する。 ほぐす運動をする。 ・ボールタッチが速く 2. 「キックターゲット」ゲー ◇ボールを思い切り蹴るよう ムをする。 に助言する。 ・1,2のリズムで できるようになった。 ・ボールの真ん中を蹴ろう。 ・ゴールやボールをよく見よう。 足を振りぬこう。 3.新しいルールやマナーを ◇ルールやマナー、場の設定な 確認する。 評価 どを確認する。 ・新しいゲームのルールが (新しいルール) わかる。 ・パスの受け手を 3人にする。 ・足でボールを止めたら2点。 4. 「するっとサッカー」ゲー ◇ゲームでの技能や仲間との ムをする。 かかわりに関して絶えず観 (前後半5分、2ゲーム) 察し、助言をする。 ・相手のいないところへ動こう。 ・ボールだけでなく、 後ろの相手の位置も ・相手と相手の間をねらって ボールを蹴ろう。 ・相手を引き付けて、 パスコースをつくろう。 ・かたまらずに広がって守ろう。 見よう。 評価 ・役割を分担し、楽しくゲームに取り組もうとする。 ・ねらったところにボールを蹴ることができる。 ・パスがもらえるところに動くことができる。 ・ボールを蹴る相手の前に立って守ることができる。 5.学習のまとめをする。 ・自分がうまくできたことや、 友達のよかったことを発表 しよう。 6.整理運動、後片付けを する。 ・足でたくさんボールを 止めることができた。 ・守りのときに、相手の目や足を 見たら、どこに蹴ってくるか わかった。 第6時 ゲーム大会を楽しむ。 学習活動 指 導 者 の 支 援 予想される児童の行動と発言 児童の実態 新しいルールにも慣れ、仲間との教え合いや励まし合いも徐々に高まってきた。 また、ゲームに対する意欲も高まり、簡単な作戦をチームで考えることができるよ うになってきた。 ルールやマナーを守って楽しいゲーム大会にしよう。 1.用具を準備し、準備運動 ◇ボールを使って十分に体をほ ○ボールを使って運動する。 をする。 ぐす運動をする。 評価 ◇ゲーム大会のルールや場の設 2.ゲーム大会のルールや 定を確認する。 ・ゲームの仕方やルールが わかる。 マナーを確かめる。 ◇チームで考えた簡単な作戦を ・落ち着いて味方や 3. 「するっとサッカー」 ゲームをする。 意識しながらゲームするよう 相手の場所を見て 伝える。 ボールを蹴ろう。 (1チーム3ゲーム 前後半5分ずつ) ◇コートの外から、助言やはげ ○友達にうまくアドバイスし ましをするよう、声を掛ける。 ている児童が見られた。 ・手でしっかり止めて ◇次のゲームの前にパスの仕方 1点ずつ取っていこう。 や守り方について、チームで ・声だけでなく、手をあげて合図 考えるように助言する。 を送ろう。 評価 ・ みんなで仲よくゲームに取り組もうとする。 ・ 人と人との間のパスや空いているスペースへのパスをねらおうとしている。 ・ ボールをねらったところに蹴ったり、止めたりすることができる。 4.今日の学習を振り返る。 ・自分がうまくできたことや、 友達のよかったことを 発表しよう。 ・優勝できてうれしいです。 ・~さんに励ましてもらったおか げでパスできるようになってう れしい。 ・もっとやってみたい。 5.整理運動、後片付けを する。 ワークシート活用のポイント 重視した言語活動 「運動した後の気付きを話したり書いたり 【体-2年 ワークシート①】 2ねん たいいく学しゅうカード〔1〕 2ねん ( 2)月( 5)日 くみ する」 するっとサッカー なまえ( ) B チーム チームの なまえ ・最後の欄に気付いたことを簡単に書か ◎きょうの ゲーム( ○を つけましょう ) ぜんはん パス ・ うける ・ まもり ・ しんぱん 1しあい目 こうはん パス ・ うける ・ まもり ・ しんぱん ぜんはん パス ・ うける ・ まもり ・ しんぱん こうはん パス ・ うける ・ まもり ・ 2しあい目 ・本日の学習の中での役割を確認させる。 せることにより、一人一人の思いを把握 することができる。 しんぱん ◎きょうの たいいくは どうでしたか? ( いろを ぬりましょう ) 重視した言語活動 ・きょうの たいいくは、たのしかったですか? ・・・ 「練習の計画を立てたり、作戦を練った ・・・ ・せいいっぱい がんばる ことが できましたか? りするためにグループで話し合う」 ・うまく なったな、よくなったな、と おもう ・・・ ことが ありましたか? ・そうか、なるほど! と 気が ついた こと や、あたらしく わかったことが ありました ・・・ か? ・この発見カードは学級の実態に応じて使 ・きまりを まもって、ともだちと なかよく、 ・・・ たのしく できましたか? ◎ みんなに しらせたい ことが あったら かきましょう。 まもるときに、みんなで きょうりょくして、1人は あいての1人を ねらって やってみたらいいよ。 用する。 ・必要な項目について、自由に書いていく ようにする。(すべての欄について書か せるわけではない。 ) 【体-2年 ワークシート②】 2ねん たいいく学しゅうカード〔2〕 2ねん くみ (あ)攻守とも配置された図 するっとサッカー なまえ( ) ( さくせん・パス・シュート・まもり・ルール・マナー・そのほか )はっ見カード チームの なまえ ○ ● ・○ ・○ ○ (あ) (う)攻めが配置された図 矢印や番号を記入しながら動きをイメージし ち ● ○ ● A チーム (い)守りが配置された図 2 てん 1 てん たり、チーム全体で動きを合わせるなどの作戦を 組んだりするのに有効である。 ●● 手が とどかない 右上 ● ● (い) ● すみを ねらう。 どこからどんなシュートをするといいかな ●● ・○ ・○ とを記入する。 蹴る場所やねらうポイントなどを話し合う ○ ○ シュートエリアでの工夫について、考えたこ (う) ○ ☆ 気が ついた ことを ともだちに おしえて あげましょう。 まもりの ときは、1人だけ 見ないで ぜんいん ことが予想される。 余白についても思いや考えを伝 えるために活用させたい。 を 見るといいよ。 作戦や動きを振り返ったり、ルールやマナーの面で 考えたことを記入したりしたい。 仲間のがんばりや発見したことも記入し、掲示して みんなで共有したい。 友だちに こんな声を かけよう! パスするとき アドバイスのことば せめるとき 「けるときは、みかたと ボールを しっかり みよう。」 「あいてと あいての あいだを ねらおう。」 「みかたの とりやすい ボールを けろう。」 「あいての いない ところに すばやく うごこう。」 「声を 出したり 手を あげたりして みかたを よぼう。」 「どこに うごけばよいか 大きい 声を 出して おしえよう。」 「あいてを ひきつけて だれも いない ところを つくろう。」 まもるとき 「あいての 目や 足を 見て、どこに けってくるか よそうしよう。 」 「うしろの あいてが いる ところを 見よう。」 「いつでも すばやく うごけるように しておこう。」 「かたまらず 広がって まもろう。」 【参考】実践資料(ルールの変遷) ◎キックターゲット ・はじめのルール(第1時) ・1チーム5~6人。 ・ボールは一人1個。 ・一人ずつ順番にシュートする。 ・時間内なら何度でもシュートできる。(1ゲーム3分) ・ゴールの低い部分は1点、高い部分は2点とする。 (防球ネットをゴールにし、70cm のコ ーンにポストバーをつけたものをネットの前に置き上下に区分する。) ・シュートの距離は5mとする。 ・シュートした後、ボールは自分で取りに行く。 ・2 チームごとに対戦し、得点の合計で勝敗を競う。 ・新しいルール(第2時~) ・ポストバーに当たったら3点。 ・次にシュートする人は、前の人がボールを取りに行き、手に取って「いいよ」の合図があっ てからシュートする。 (ゴールを外した場合は前に人がいないか確認してから蹴る。) ◎するっとサッカー ・はじめのルール(第3時) ・1チーム5~6人。 (攻める時―パスする2人、受ける2人、得点・コーチ1~2人。 守る時―まもり3人、得点・コーチ2~3人) ・ボールは2個。 ・一方向からのパスゲーム。 ・パスが通ったら1点。ボールはコートの外を通してパスする人に渡す。 ・コートの外へボールが出ると得点にはならない。 ・受け手は手で受けてもよい。 ・パスする側は蹴るところまでボールを手で運んでも良い。 ・コートについて ― 幅12m、長さ10m〔パス4m・守り2m・受ける4m〕 ・新しいルール(第5時~) ・攻めるときにパスを受ける人数を3人にする。 ・パスを受ける人が足でボールを止めることができたら2点。 ・得点はパスする人が、パスが通ったときにフラフープの中に紅白玉を入れていく。 第3時からの「するっとサッカー」では、パスを出す役割の △ 児童に対し、相手(守り)の間をねらうことや、受け手が止め やすいボールを蹴ることなどの助言を行うようにする。なかな ● かボールを蹴れずに立ち止まっていることが多く見られる場合 ○ は、受け手を3人にしてパスコースを増やすことを新しいルー 14m ○ ルとして取り入れるのもよい。パスを出す機会を増やし、全体 ● の運動量も確保できるようにしたい。 ○ ○ また、受け手を2人のままでコートの幅を12mから14m ● にし、パスコースが広がることでうまくパスできる児童が増え ることも支援の一つとなる。 4m 2m 4m 児童がゲームに慣れるまでは、受け手を3人で学習を進め、その後動きや作戦などを高めてい けるように受け手を2人にするなどの学習計画の工夫が必要である。
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