フランスにおける最近の日本酒事情について - AgriKnowledge

フランスにおける最近の日本酒事情について
誌名
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan
ISSN
09147314
著者
黒田, 利郎
巻/号
107巻3号
掲載ページ
p. 136-148
発行年月
2012年3月
農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所
Tsukuba Office, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat
フランスにおける最近の日本酒事情について
黒田利朗氏は, 1981年にパリに翻訳やビジネス関連調査を行うシンクタンク会社 KSMを設立され,こ
0
0
4年から日本食レストラン(現在 3軒
)
, 2
0
0
7年から日本食
の分野では長く活躍されておられますが, 2
材・調味料,酒類の輸入販売を行うワークショップ・イセを始められました。ワークショップ・イセでは
[ホンモノの食材を遜じて B本の風味を伝える j をコンセブトに,欧州への日本の生活文化の発信に取り組
んでおられます。氏のフランスでの長い経験と交友関係を生かした,ジャーナリスト,ソムリエ,飲食業関
係者を対象とした日本酒試飲会の取り組み,また,ビジネス経験に基づくアルコール関連事情の分析等から,
今酒大変新鮮かつ価値のある報告をいただいております。
黒田利朗
守主仏中国人は 6
0万人と推定され,中喜多レストラン
はじめに
はフランスの津々浦々に赤ほんぼりを掲げ,安{掛かっ
筆者は,パリで日本食レストラン経営と王子行し, 日
エキゾチックな食挙をフランス人に提供している O そ
本食品, 日本酒を総入販売(イセ)している O フラン
して,多くの中華レストランでは,食事終了のアナウ
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食j との
ンスのかわりに,主人がアジア風微笑を口元にたたえ
出会いは偶然かつ最近である。日本食レストランを最
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ス文化圏での生活は 4
0年と長くなったが,
Jと無料で食後沼を
初にオープンしたのが 8年前,日本酒・日本食品販売
スさせていただきたいのですが
は 5年前に始めた。料理人の世界の独特のルールに驚
援供する「美風Jが存在する O パラ香とノドを焦がす
き,食品儀社,フォワダーなど仕事上のパートナーの
泊中青が忘れがたい印象で食事を締めくくり,猪口の底
「専門家的 j ロジックに困惑しつつ職業としての食の
の拡大レンズの向こう側に肌もあらわな東洋美人が微
迷宮に迷い込んだ。手探り状態は今も続いている。
笑んでいることもあり「サケ」という言葉は,ますま
本稿は専門家の手になるものではなく,新米の日本
酒「実践」者の断片的感想、である。ただ,フランスと
すフランス人の脳髄に明確に刻み込まれることになる O
サケ=中国産蒸留酒,これが第一の誤解である。
いう遠いところで日本酒を扱うことで日本では聞こえ
ない声も知らずに聞いているかもしれない。パリから
の向日で何百かでも拾うことができれば幸いで、ある。
A
. 日本酒に関するいくつかの誤解
フランスでも日本酒を r
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J と呼ぶが,残念な
ことに「サケ j は誤解にまみれており,
しばしばネガ
テイブなイメージを伴っている。
日本体験のない平均的フランス人は「サケ」は匂い
が強く沼精ぷんぷんの月号捻り (
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)Jだと
苫の多くで,飲料
フランスで日本料理の看板を出す 1
は有料のお茶(粉茶, 4ユーロ程度)か守有名目本ブ
ランドのどールが好んで提供されている O たまには
「サケ」なるものも飲んで、みようと考える風流な客も
いる。供される「サケ」は米国製
も少なくない o
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青酒Jであること
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日本通 Jを自認するフランス人には,
「サケとは熱して飲むもの Jと思い込んでいるひとも
多い。
サケ=熱して飲む経済沼,これが第二の誤解である。
思い込んでいる。高いパラ様芳香がある中国の「白
酒」である。
フランスはつまり, 日本酒に関して無理解と誤解に
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おちた荒野であり,
た。}L-.ミストラルは,
日本酒の福音を履けるのは並大抵
日本の新幹線が登場するまで
のことではない。なにしろフランス人は,自国流美食
H
士界の速度記録を持つ高速列車だったが,機関士が運
こそが(生活)文化の土台だと堅く信じている O つと
転席でワイン付きの昼食をとっても誰も驚かなかった。
に釘名な「フランスの中華思想 Jは死に絶えておらず,
ちなみに,職場での飲酒がフランスではじめて規制
思想、や科学,外交などでは地盤沈下の激しいフランス
(禁止ではない)されたのは 1
9
7
3年であり,飲酒運転
だが,こと飲食にかぎると「中華 j思想は今も現役,
に罰金が課されるようになったのは 1
9
9
4年 以 降 で あ
フランス料理をユネスコの無形文化遺産に登録するこ
る
。
とにも成功してしまった。
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.
酒好きなフランス人の飲酒量が減少している。 1
5
フランス人と飲酒
才以上のフランス人の年間アルコール消費量は 1
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フランス人に臼本酒を欽んでもらうには,フランス
日
の生活・食文化の文脈の中に「サケ Jの場所を探しだ
本人の 7
.
5リ ッ ト ル ( 同 ) よ り 多 い が , 4
0年 前 の
主ねばならないが,まずフランス人と酒,飲料の関係
1
9
7
0年 に は フ ラ ン ス 人 は 2
0.4リットル飲んでいた。
を考えよう
蛮カラなゴロワ人気質に変質が起こっているらしい。
O
2
.
フ ラ ン ス 人 は 酒 飲 み (だった?)
フランス人のワイン消費が後退
フランス人は大の酒好きで酉に寛容だった。まだ
ONIVINS) の 2
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0年 定 点
仏全国五日萄ワイン公社 (
0年 以
フランス新幹線 (TGV) が 走 っ て い な か っ た 3
4:::j--以とのフランス人の 8
8
9
6以 仁 が
調 査 l よると, 1
土:前の話になる。秘書室,理容室が付いていて食堂事
アルコール飲料を消費しているが, 27%が習慣的(ほ
ではフルコースのフランス料理が供されていた当1J'!jの
ほ毎日)欽泊者で. 39%は頻繁な. 3
3
9
6が機会的飲酒
花形列車ル・ミストラル(パリ・リヨン・マルセイユ
者となっている。習慣的飲酒者,頻繁な飲 j
問者の摂取
!日lJの機関士をパリ・リヨン駅で見かけたが,弁当と
飲料はワインが主たるもので,消費アルコール総量の
ワインのどンを抱えて機関車運転室に昇るところだっ
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6がワインである。フランスの酒飲みには
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レコーん消資動向の日仏比較
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7巻
第 3号
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ール,ワイン j ということになる。
4
. フ ラ ン ス 人 は 普 設i
簡を飲まなくなった
ところが,フランス人のアルコール消費の逓減傾向
(
表1
) はワイン消費減少が主因であり,ビール,ス
ピリッツなど他はほぼ横ばい。「国湖j ワインに何が
上記調査は,フランス人がワインを飲むのは「ハ
レ」の機会だとしている。
0
9
6がワインを
レストラン,知人宅での食事では 9
おこっているのだろうか。
3
. ミネラル水,ソフトドリンクの台頭
肢障をするが,フランスでは水と i
l
iも仲が
水と油は H
欽むと回答し 70%は外食時はかならずワインを欽む
と答えている。接待,出張時の外食も「ハレ」の食事
であり, 7
0
9
6がワインを欽んでいる。一方,自宅の食
職場の昼食でワインを飲むフランス人は少数派に
良くない。
ONIVINS調査によると,習 損的飲料の首位はワイ
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なっている。
J
くを習
ンではなくオえでフランス人の 64%カfミネラル 7
5
. 若者のワイン離れ
慣的に摂取している。機会的消費を合わせた浸透率は
81%。また,ソフトドリンクの浸透率は 84%とミネ
フランス人の日常生活からほろ酔い状態の追放が進
ラル水よりも高いが,習慣的消費者は 40%にとどま
みミネラル水が台頭しワイン消費が減ってきたが,ワ
る。そしてワインの浸透率は 70%. 習慣的消費者の
イン I~I~ れが顕著なのは若者賠z である。 15“ 24 才層はフ
土ヒ率は 22%でしかない。
ランスの飲酒年齢人口 (
1
5才以上)の 17%を占める
習慣的飲料は基本的に食中飲料で¥長くワインがそ
が
,
ワインの消費量では 5%でしかない。逆に 6
5才
の座をおめでいたが, 1
9
9
5年以降はミネラル水に首
論者は飲酒年齢人口の 19%だがワイン j
持費
以上の高 i
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位を奪われ t
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6のウエイトを占める。また, 1
5
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4オ腐の
量ーでは 3
また,ソフトドリンクも食中飲料として比率を高め
ワイン消費量は年間 1
8リットルだが, 4
5
7
4才層では
十を食事中に飲むのは
ている。冷たくすいソーダや巣 I
9
0リットルとなる。向じ人種だ、とは思えないほどの
主に若者だが,王手を重ねオジさんになるとワインに回
ギャップだ。
9
8
0年に
習慣的飲酒では高齢化はさらに際著で, 1
帰するのだろうか?。
はワイン人日中習慣的飲酒者の比率が半数を超えるの
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一者飲飲
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ワインを飲むのはエリート j と回答。そ
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5:才以上だったが, 1
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0年では 40才以上になり,
「厄介jで
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0年の調査では 6
0才以上になってしまった。ワイ
して
ンはオジさんの飲み物ですらなくおじいさんの飲み物
ンな*'トル表示を求めている。
になったかの観がある。
-ワインと健康
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t代は,ワイン選択が容易になるもっとモダ
ヘリテージ世代にはワインは健康な飲み物と認識さ
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1
1年 7
ちなみに,ワイン消費行動に関しては, 2
れているが,若い世代はアルコールの危険性(飲沼運
月にボルトで開催された国際ぶどう・ワイン機構
転,日常生活)により敏感で,特に若い女性にこの傾
(OIV) 第 3
4回大会でフランスの調査報告 2が発表さ
向が強い。
れた。報告では,ワイン消費者を以下の年齢層でセグ
C
. フランスにおける日本酒
メントイとし意識が異なることを明らかにしている。
セグメント 1:ヘリテージ世代 (
6
5才以上)
セグメント 2:X世代またはネットワークifI:
代 (
3
0
4
0才)
1
. フランス市場における日本酒の開題
フランス人が食事とともににワインを飲まなくなっ
セグメント 3:Yt
詮代またはモザ、イク世代
ていることは,同じ醸造食中沼である日本源の浸透に
(
183
0才)
はネガテイブな要素だが,
句
さらに,
日本凋については,
誤解があることを最初に指摘した O
-ワインを飲む機会
-日本酒はパラ香のする蒸留酒である
会セグメントで,ワインは友人との楽しい待問に貢
.日本調は熱~郊で飲む経済沼である
献すると認めているが,レギュラーにワインを楽しむ
は X 世代で,お祝いやパーティーなど「ハレ Jの機
会にワ γ ンを飲む。
飲まず,かつ,
Y世代は,例外的にしかワインを
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条欽(分かち合って飲む)する j と
5年前に日本酒輸入販売を始めたときに, 日本 j
箆に
関する誤解払拭がまず必要と考え,
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サケ」というス
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J という言葉を対
ポイルされた言葉に, r
-J を日本消本来の価値を
いう罰答は「ワイン・マニア j に限定される。コミュ
寵した。「サケ・ギンジョ
汁交としてのワインの機能が失われ
ニケーションの嫁J
取り返すための「旗 j にコミュニケーションの努力を
つつあることがわかる。
してきた。また,美味しさを体験してらうには試飲が
不可欠なことは自明で,
-ワインは文化的遺産
すべてのセグメントがワインから,美食,文化を想
宗教的
起すると答え,ヘリテージ世代はテロワール, 2
慣行,地方色豊かなワイン造りの伝統などを想起して
いる。
X没代は,ワインの呼称の多様さを関側と考え,
ワインを知るには膨大な知識が必英だと指摘。 Y 険代
はワインの呼称が多すぎて,ワインの世界は「高級で、
複雑 j と敬遠している。
-すべての来臨顧客に無料試飲をすすめる
.定期的な有料試飲会を開催する
.SIAL,S
I
,
A SIRAHなど食品見本市に出展し試飲
してもらう
という活動を行ってきた。
過去 5年間で約 3万人税皮のフランス人に「サケ・
ギンジョ
-Jを試飲してもらった事になる
O
-ワインの選択
ヘリテージ組:代はワインの選択に国難を感じない。
常時間じワインを飲み,多くの場合はテーブル・ワイ
ン級のワインを選んで、いる。
2
X佐代は,ワイン選択は
また,オピニオンリーダーに日本溜「伝道陣」にな
ってもらうべく,ジャーナリスト,食評論家,有力シ
ェフ&ソムリエなどに積極的にアプローチした。
ボルト大会での報告概要:http://www.winepaper
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世界最優秀ソムリエのオリピェ,プシエ氏などに日
-話題性のあるレストランで臼本酒とフレンチ料理を
合わせた食事会を開催してきた
敏感に反応。新奇なものを喜ぶ。
女性は高い香りが好きだ。吟醸酒中に良いウイキョ
本で蔵元巡りをしてもらった。
(
Cふ参照)。
ウの香りがするとのコメントもある。低アルコール滴
を飲みやすいと評価する女性が多い。
フランス・ワイン界でもっとも権威ある専門月刊誌
レヴ、ュー・ド・ヴァン・ドフランスフランス・料
-フランス人に共通する点
理界の新しい潮流を反映する料理月刊誌ゴー・エ・ミ
E
今穣香を楽しんでもらうため,イセではワイン試飲
オ iなどで日本酒について好意的記事が掲載されるこ
用 INAOグラスを f
受用しているが,なかなかグラス
とにもつながった。
を口に付けず長く香りを楽しむ傾向がある。日本酒に
また,仏閣僚,
日本大使なども参加されるパリ・ソ
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0年 1
0月 9日
,
ムリエ協会のガラ・ディナー (
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比べて旨味成分の少ないワインの味わいでは香りに重
心がかかっているからだろうか。口にしてからも,
) では,プシエ氏が選択し
ストラン「プレカトラン J
f白い花 J
,I
森、の下草J. I
ライチ Jなど香りをベース
た日本泊がサービスされる。
にした味わい表現が頻出する。
試飲した数多くのフランス人が B本酒についてもっ
以下に,試飲した顧客類型別に,
日本酒タイプ毎の
好感度を(ゼロ)から(+++)までの悶段階評価で
た感想について,一言 0
表にしてみた。
・否定的反応
高齢のワイン官僚的飲酒者は日本酒を「とらえどこ
試飲好感度は高いが,
霞が伝統ある醸造酒とし
日本 j
f
ワインと比肩できる食中溺」として認知されるに
ろがない」と感じるようだ。酸味,樽味がない日本酒
て
は「苦洋としていて評価の手がかりがない」という
はいくつかの問題が残っている。
0
・肯定的反応'
ソムリエ・シェフの多くは,純米大吟醸,生もと,
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幻廃系の日本i
蕗を
f
余韻が長いJ. r
グラ(油脂)があ
る(テクスチャーに艶がある)J
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複雑性が好もし
いJなどと評価。
最大級の訪問者数を誇る竜商サイト CDISCOUNT
(大手流通カルブール傘下)では,ロパート・パーカ
ーカ{9
1点を付けたロワールのミュスカデ IDomaine
一般ワイン愛好家は,大吟醸,生活,にごりなどに
第 1表
ソムリエ
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若壮年
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吟自主・吟醸
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どんな風味が飛び出してくるのか分からない日本酒は
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スリリングだが,味わいについての標準がないことは,
ユーロで買える。
日本 j
援を購入するフランス人にとっては
イセの日本酒!苫頭小売価格は,ワインボトル
とほぼ同量の 4合 瓶 の 純 米 吟 穣 ・ 大 吟 醸 酒 が お か ら
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0ユーロとなり価格にかなり言語離がある。フランス
闘の価値を提示しなければならな
人が納得で、きるお本 j
1
m:介」に感
じられはずである。
2
. フ ラ ン ス の 日 本 レ ス ト ラ ン と E本 酒
1
0年来,フランスで日本食ブームが盛り上がった。
日本酒を飲むフランス人の数が増えるのではと期待し
し
ミ
。
第こは l
味わい。
たくなるが,ことはさほど簡単ではない。
風味については好感されている。しかし,フランス
フランスでは.
I
日本食 j レストランが 2
0
0
0年前後
人が尊いとするワインには何処かに「険」があり,そ
から急増し現在1
6
0
0軒ほどあるらしいロが, 9割
の険しさを料理の見えない弱点と震ねるときにはじめ
は非日本人系「スシ」庖と推定されるこれらファ
て「嫡」が生まれ,これをフランス人は「マリアージ
ーストフード的なスシ・レストランは安価な普段食の
ュJと呼ぶ。フランス人がうつくしく,
場である。日常の「ケ j の食事でありフランス人はワ
しなやか
I
冒険 Jして日本酒を飲もうとい
(絹)だと感じるのは,強い酸とタンニンで支えられ
インも飲まないし,
るワインの味わいの構造と,料理の味覚構造のゆがみ
うことにはなかなかならない。
が美しい非対称を作り出すときではないか。乱調の美
爆をしてでも「味わ
である O ワインには,料理と喧 l
いj を高みに導く野趣に満ちたものがある。
これに比べ,スタンダードな(そんなものがあると
一方,
I
本格的」日本レストランというのも変だが,
オーナー(及び/又は)シェフが日本人のレストラン
0
0粁強程度の少数派にとどまる O
は,フランス全体で 1
た だ し 「 本 格 的 j 日本食への仏メディアの関心は高
すればだが)ー白本溺は,水の粋にも似てその美点は正
くビジビリティーはあり,日本溺紹介の受け肌として
調の美しさにある。フランス人にはこの美しい味わい
効果が高い。フランス人の多くは臼本食の食中飲料に
が時としてとらえどころのないものに感じられる。料
ついて特別な考えを持っておらず,スタッフが自信を
理とのベアリング,サービスの工夫などにより日本酒
持って勧めることができれば日本泊流布の媒介役とし
のイメージをくっきりと明確に訴えていく必要がある
て有効だろう
だろう。
O
日本食レストランのサービス・スタッフを対象にし
た日本酒研修の仕級みが望まれる。
第三はスタンダードの問題。
フランス・ワインには風味の「標準 jが存在してい
3
. フランチ・レストランと日本酒
るO ブドウの品種と作り手の所在地(テロワール)で
日本源のプロモーションには,オピニオンリーダー
だいたいの味わいをイメージできる O ソムリエという
に良さを分かつてもらうことが重要だと考え,有力シ
沢山の引き出しを援の中におさめた職業集団が成立し
ェフ・ソムリエに日本沼ファンになってもらうよう,
うるのは,テロワール毎に味わいの標準があるからだ。
以下のようなフレンチ・レストランで日本酒デイナ
スシレストラン j の数は現在 1
5
8
0}苫に達した O ファストフー
「調査会社 GIRAコンセイユによると,位、の f
ド自(17
5
0
) と余り変わらないが,年溺はスシレストランの 8億 6400万ユーロに対しファストフードは 4
5
億ユーロと向者の隔たりは大きい。大多数のスシレストランは独立系で, 1
9
9
0年代に大流行したネム(ベト
ナム風春巻き)の人気低下を受けて,“金になるスシ"に転向した元中主主レストランが多い。一方で、,スシシ
ョッフ¥プラネットスシ, S
u
s
h
i
w
e
s
t,などのチェーン庖も台頭し, 2
0
1
0年末のチェーン活舗数は 1
3
2,売上
げは合計 l億 4
000万ユーロに達した。なお GIRAコンセイユによると,スシ愛好者は大都市に住む,どちら
6
5才未満の層。」出典:A
FP2011-02-07
かというと知的戦業につく 4
パリ首都閣について,電話帳から数を拾う作業をしてみたところ,ほほ 1
0
0
0軒の日本食レストランがあった
0
0判:弱でだいたい l訴になった。
が,その内,日本人が経営しているか,日本人の料理人がいる庖の数は 1
1
4
2
穣 協 (
2
0
1
2
)
6
) 室町酒造 f
桃太郎トマト酒」
一・ランチを会 i
堕してきた。
リンゴのキューブ(セロリ風味)
オーベルジ、ユ・
F・1
)ル(ミシュラン三
7)大七泊造「真桜」
ジョルジュ V ホテル・メインダイニング(ミシュ
マグロの切り身と紫芋ピュレ
8
) 黒龍酒造「龍 J
ラン二星)
ポワローのイカスミ煮
ピガラード(ミシュラン二つ星)
アルベール・ブルミエ(ミシュランー
9
)旭酒造「綴祭 EU50J
シャサニェット(ミシュランー星)
自身魚グリル,
1
0
) 須藤本家「黒吟 J
ジャデ、イス(ミシュラン
豚皮スフレと鰯のマリネ
アローム(ミシュラン
l
l
) 池 長 酒 造 「 風 の 森 露 葉 風J
直近では. 9月 3日にパリのピストロ
fシャトーブ
リアン j で日本沼夕食会を開催した。
綴のグリル
1
2
) 蔦来醸造「践し人九平次純米[1特設 j
牛肉タルタルステーキ(粉末酵母トッピング)
開催日・
開催地.
2
0
1
1年 9月 3B (
土). 201
時から
1
3
) 惣誉泊造「きもと純米大吟酸J
黒豚のプレサ,ハーブ風味
レストランル・シャトーブリアン
LeChateaubriand
住所:
1
2
9AvenueParmentier7
5
0
1
1P
a
r
i
s
参加者,
5
2名(有料 1
2
0ユーロ/人)
1
4
) 壱│岐の蔵沼造
リキュール「柚子小 I
I
I
JJ
胡瓜の種,グリーンコーティング
1
5
) 須藤本家「超 t
J口」
キノコのチョコレート)!nl..味
[レストラン
ル・シャトーブリアン i
1
6
) 旭酒造
パリの下1
1
可1
1区にあるレストランル・シャトーブ
リアンは 1
9
3
0年代創業のワイン・ピストロ O エディ
1
3割 9分スパークリング j
アプリコットの蜂蜜煮
1
7
) 楯の )
1
1酒造
タルタルステーキ
1
i
l
l
f流 J
木いちご
ット・ピアフが街角で歌っていた古き良き時代の間影
を残す。バスク地方出身のイナキ・エズピタルト料理
食後泊として
0
1
1年度の
長による斬新なメニューが話題になり. 2
1
8
) 京屋酒造
芋焼酎
「侍舞(常庄 )J
│止界ベストレストラン・ランキングで 9伎にノミネー
トされた。ミシュランの星は lつ O
{参加者]
[メニューとマリアージ、ユ]
満席。
予約客 5
2名とジャーナリスト数名が参加lし府内は
1)宮坂藤造「やわらか純米 J
ホテルジョルジュ・サンクのエリック・ブリファー
トリュフと香草(フヌイユ)のアミューズ・
ル総料理長や人気ロックグループ, フェニックスのメ
フツンユ
ンパー,ピエール・エルメ元夫人のフレデリック・グ
2
) 楯の川酒造「濁流 J
ラス・エルメさん(料理研究家)の姿もあった。惣誉
酒造の河野社長,出~~桜 j践造の 1iJ 1 野部長が参加された。
セビーチェ
3
) 大七酒造「箕輪門」
スパイス・ナッツでコ
ティングされた鴨の
開始直前に土砂降りの悶という悪天候のため,遅れ
心臓
4
) 南部美人
1
ALLKOJ12
0
0
8
J
ペルセベス(亀の手)
5
) 出羽桜酒造「一路J
燕とフォアグラのブイヨン
第 1
日7 券
[ディナーの模様}
第 3号
闘と様々なおつま
て到着する参加者を待ちながら,お j
み(グ、ジ、エール,ムール貝,海老など)が振る舞われ,
さくな雰沼気で食事が始まった。 1
5種類の日本酒と,
途中で口休め的に 2種のリキュール,それぞれ合わせ
143
た料理が計 1
7種出て,最後に焼酎。メニューの前半
えている O
はシェフの個性的なミニアチュール料理(一口サイズ
欧州日本沼市場 (
2
0
1
0年)でフランスは,絶対景
の料理)で,参加者はワイングラスでサービスされる
で独英だけではなく,オランダ,イタリアより少なく
日本酒とのマリアージ、ユを楽しんだ。イナキ・シェフ
主要留中 5位 。 た だ し 金 額 で は 3伎で欧州市場のな
と若手実力派ソムリエのセパスチャン氏のタンデムが
かで高級酒比率が高いことが分かる O 輸出量を金額で
作り上げたユニークなフレンチ・ピストロ料理と日本
0
1
0年 は フ ラ ン ス が EU諸国中でトップ,
割ると. 2
酒との祁性に参加者から驚きの声があがった。深夜
イギリスがこれに次ぎ. 3位のドイツ以下を大きく百│
1
2時過ぎにディナーが終わった後も,ほとんどの参
き高佐している。
EU全域について総入量を国の人口で割ると,意外
加者が自分の気に入ったお酒をパーカウンターで再度
試飲。午前 l時過ぎまで続色大盛況だ、った。また,
な結果が見える。国民 l人あたりの日本酒輸入量が最
ディナーに参加したジョルジュ Vのエリック・ブリ
6
11
) ットル/人)になる。台湾
大の国はラトピア (
ファール総料理長は,秋・冬のメニューから日本j
闘を
と比較できる水準でフランスの
3
1
1
音。オランダも
1
1
リットル/人と米国とほぼ同じ水準でフランスのほぼ
取り入れたいと語っていた。
9僚を示している O
4
. 日本酒の対仏輪出
ラトピアは,ロシア,北欧へのハブになっていること
0年間の日本沼対仏輸出の数字を見ると政行
過去 1
が予測され,オランダも欧州最大の海運基地を擁し,
性があるが,フランスの経済成長率を反映した動きで
f
むの欧州諸国向けの中継基地になっていると推測され
ある。
る
。
0
0
7
ただし,単悩を克ると逓増傾向にあり,特に 2
仏日本沼市場が数量でイギリス並みの密度(輸入量
年からかなりはっきり上昇している。 2
0
0
5年の総入
.
6傍になり,
/人口)になると,フランス市場は今の 2
6
0円
最・金額の数字を 4合瓶換算すると. 1本平均 3
ほぼ 2
0万リットル. 4合瓶換算で現在より 2
8万本近
だったものが. 2
0
1
0年には 5
1
8円になっている。イ
い上乗せになるはず。 伸びる可能性はまだまだある。
セによる吟醸,大吟醸酒の総入院始とタイミング的に
合致しており,フランスに於ける日本酒の「高級」化
にいくばくかでも貢獄できたのではないかと密かに考
対仏日本酒輸出と経済成長率
3
1
4
0,
000 i
庄
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ト 120,
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実質 G
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舗
網
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ト
EJ イ ン ト ド
1
ト
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『しR)や'\勺,や~勺手~勺寸nし勺φ九らや
第 5図
対仏日本酒輸出と経済成長率
単位数最=リットル,金額=千円
出所:通関統計
1
4
4
醸 協 (
2
0
1
2
)
欧州主護国の尽本酒輸入蚤の推移
4
0
0,
0
0
0
0
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0
3
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誌
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0
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0
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2010
2
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9
2008
2
0
0
7
2
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0
6
第 6図
2005
2004
2
0
0
3
2
0
0
2
2
0
0
1
2000
欧州主要国向け日本酒輸出 (数量)
単位 数量=リットル,金額=千円
出所・通関統計
歌州主要因包本 j
直輸入金額
000
2
5
0,
000
2
0
0,
000
1
5
0,
1
0
0,
000
000
50,
。
2010
2009
2008
2
0
0
7
第 7悶
第 107 巻 第 3 号
2006
2005
2004
2003
2002
2
0
0
1
2000
欧州主要国向け日本酒輸出(金額)
単位.数景=リットル,金額=千円
出所通関統計
145
欧州主要国日本酒輸入単価の捻移
0
.
8
0
0
.
7
0
0
.
6
0
0
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0
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0
.
3
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0
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.
1
0
0
.
0
0
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2
0
0
1
2000
欧州主要国 i
白j
け日本j
密輸出(単価)
第 8菌
単位:単価=千円/リットル
出所・通関統計
3
5
0
.
0
0
0
7
0
.
0
0
:
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l
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1
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争 や や
命毛~命令1<./
子
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ニコ金額
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第 9図
~-ゲ示守りい
ポ1J61
う
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イ
欧州諸国への日本j
密輸出(数量)
単位数最=リットル,金額=千円
設j
主
j
統言'
l
出所・ i
1
4
6
醸 協
(2012)
第 2表
会
主i
i
I
口
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-i
可
布
欧州諸国への日本酒 t愉出
金額
「数量/人口 J
1
金額/数 5
v人口
金額/人 D
数日
,
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米国
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時
¥
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2
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.
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.
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4
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.
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7
,
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1
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φ
2
5
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12
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1
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12
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.
14
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.
12
9
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,
18
1
1
.
18
.
12
0
0.
14
d
ラトビア
f
オーストリア
おわりに
一百,放射線の問題について。
大量に放出してしまった以上,その有答性について可
能な│浪りの誠意:をもって説明する責任を日本は負って
いる。また, 日本国内で生産される食品(日本源を含
r
日本のものは良いもの j と
めて)はすべて,フランス人を含めて外国人にとって
いう漠然としてはいるが好意的なイメージが下支えし
「グレーな虞犯者 j であることを認識しなければなら
日本(食)ブームは,
ていた。福良第一原子力発電所の事故によって,その
ない。普通の日本人が, 90以上あるフランスの県の
土台がもろくも崩落した。
名前を知らないように,フランス人も日本の地理には
原子力事故そのものの深刻性もさることながら,
故後の日本からの説明,情報発信(方法と内容)に疑
問,不信がもたれ,その帰結として日本食品(日本滴
も含めて)にも不信感が生まれている O
世界の人々が分かち合う大気,海洋に有害な物質を
第 107 巻 第 3 号
疎い。「フクシマ」が日本の中にある以上,外国から
見ると日本全体がフクシマなのだと認識するべきだ。
J をフラ
この状況下で,なお「良い食品(日本酒 )
ンス人,外国人に訴求するにはどうすれば良いのだろ
うか。
147
まず,暫定基準値は「安心の基準」になっていない
ンスで(おそらくその他の諸外閣で)懸念が広く流布
ことを認めるべきだろう。筆者は,暫定基準値と疫学
してしまっていることが重要だ。政府の基準より厳し
的安全性に付いて云々する知識を持ち合わせないが,
い自主的基準の採用を発表した食品企業もでできてい
多くのフランス人と向様,基準値はきわめて苛烈な極
.
11
るが,これも一つの対応法だろう O 日本からは, 3
限状況で緊急避難的に設定されたものだろうと思って
以降も「安全で安心な良い食品(日本滋)を提供す
いる。科学的コンセンサスにかならずしも基づいてい
る」という基本的メッセージを強く発信してもらいた
式できない。このよ
ないのではないかという疑問が担J
い
。
(
J
s
s
e&C
i
e
)
うな懸念に根拠があるか否かは別にして,すでにフラ
執筆者紹介(順不悶・敬称略)
o
s
h
i
r
oKURODA>
黒 田 利 朗 <T
参与, 1
8年日本酒造組合中央会技術顧問,四年東京
昭和 2
5年 1
0月 1B~主まれ<勤務先とその所在地>
農大醸造科学科教授,現在に至る。<抱負>乳酸菌の
I
s
s
e& C
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e,1
1r
u
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n
tAugustin 75002 P
a
r
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s,
去を進
素靖らしい働きを利用した日本滋・焼酎の製造 j
F
r
a
n
c
e<略歴>昭和 50年パリ大学第 7学部日本語学
めたい。<趣味>史跡、探訪,小限,
9~ 62年パリ大学第 7学部日本語学科
科修了,昭和 5
o
u
i
c
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iM
I
Y
A
I>
富井孝一<K
6年調査会社 KSM設立,社長に就任,
講師,昭和 5
大正 1
3年 2月 5B生まれ<勤務先とその所在地>
現在に至る。平成 1
5年有限会社「イセ j を設立しレ
〒1
4
2
0
0
5
1 品川区平塚 3
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3明日<略股>昭和 1
9年
9年イセ, 日
ストラン「眉山 Jをパリで関業。平成 1
0月
資島工専醗酵工業科(現広大工学部)卒,同年 1
本酒・食材の輸入販売を開始。<抱負>日本の良い食
東京財務局鑑定部(12月財務局技手)問 2
1年大蔵技
品をフランス,ヨーロッパに伝えたい。<趣味>消と
0年 4月鑑
官(問 23年 6月東京国税局鑑定-g'室)向 3
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前自の白ボケ矯正
定官,同 3
高橋康次郎<K
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法 Jを発案(本誌 5
2巻. 1号. 1
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),同 43年 6月
昭和 1
7年 l月 1
3日生まれ<勤務先とその所在地>
熊本,名言子屋,
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m渋・ゼラチン
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渇信局主任鑑定官,
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1年 7月
札
東京農業大学,守 1
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2東 京 都 世 白 谷 区 桜 ケ 丘
幌国税局鑑定宮室長,同 54i
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三7月退官,同 5
4年 8月
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-1,日本酒造組合中央会
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3 東京都港
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石)
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1酒造k.k,武蔵野高等 k
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毘商事~橋 1-1-21 <略歴>昭和 4
0年北海道大学農学部
武蔵野化学研究所). 日本地酒頒布協同組合等の技術
農芸化学科卒,農学博士。昭和 40年国税庁入庁,昭
顧問J.平成以降~ 19BYまでは,酒造技術アドバイ
和 62年国税庁醸造試験所第 4研 究 室 長 札 幌 ・ 仙 台
ザーとして清酒,乙焼酎,リキュール類の製造に関与。
国税局銭定官室長,醸造研究所酒類理化学研究室長を
<抱負>酒造り 65年余の悶顧と日本酒の需要振興策。
0年宝酒造(械
綬て,平成 9年目表造研究所所長,王子成 1
<趣味>水墨画等の鑑賞. TV (スポーツ,脳の活性
1年取締役酒類技術開発本部長, 1
7年非常勤
入社, 1
化等)。
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醸 協 (
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