フランスにおける最近の日本酒事情について 誌名 日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan ISSN 09147314 著者 黒田, 利郎 巻/号 107巻3号 掲載ページ p. 136-148 発行年月 2012年3月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所 Tsukuba Office, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat フランスにおける最近の日本酒事情について 黒田利朗氏は, 1981年にパリに翻訳やビジネス関連調査を行うシンクタンク会社 KSMを設立され,こ 0 0 4年から日本食レストラン(現在 3軒 ) , 2 0 0 7年から日本食 の分野では長く活躍されておられますが, 2 材・調味料,酒類の輸入販売を行うワークショップ・イセを始められました。ワークショップ・イセでは [ホンモノの食材を遜じて B本の風味を伝える j をコンセブトに,欧州への日本の生活文化の発信に取り組 んでおられます。氏のフランスでの長い経験と交友関係を生かした,ジャーナリスト,ソムリエ,飲食業関 係者を対象とした日本酒試飲会の取り組み,また,ビジネス経験に基づくアルコール関連事情の分析等から, 今酒大変新鮮かつ価値のある報告をいただいております。 黒田利朗 守主仏中国人は 6 0万人と推定され,中喜多レストラン はじめに はフランスの津々浦々に赤ほんぼりを掲げ,安{掛かっ 筆者は,パリで日本食レストラン経営と王子行し, 日 エキゾチックな食挙をフランス人に提供している O そ 本食品, 日本酒を総入販売(イセ)している O フラン して,多くの中華レストランでは,食事終了のアナウ I 食j との ンスのかわりに,主人がアジア風微笑を口元にたたえ 出会いは偶然かつ最近である。日本食レストランを最 p u i sj ev o u s0釣 i rd u謹主主?お主之をサービ て , r ス文化圏での生活は 4 0年と長くなったが, Jと無料で食後沼を 初にオープンしたのが 8年前,日本酒・日本食品販売 スさせていただきたいのですが は 5年前に始めた。料理人の世界の独特のルールに驚 援供する「美風Jが存在する O パラ香とノドを焦がす き,食品儀社,フォワダーなど仕事上のパートナーの 泊中青が忘れがたい印象で食事を締めくくり,猪口の底 「専門家的 j ロジックに困惑しつつ職業としての食の の拡大レンズの向こう側に肌もあらわな東洋美人が微 迷宮に迷い込んだ。手探り状態は今も続いている。 笑んでいることもあり「サケ」という言葉は,ますま 本稿は専門家の手になるものではなく,新米の日本 酒「実践」者の断片的感想、である。ただ,フランスと すフランス人の脳髄に明確に刻み込まれることになる O サケ=中国産蒸留酒,これが第一の誤解である。 いう遠いところで日本酒を扱うことで日本では聞こえ ない声も知らずに聞いているかもしれない。パリから の向日で何百かでも拾うことができれば幸いで、ある。 A . 日本酒に関するいくつかの誤解 フランスでも日本酒を r S a k e J と呼ぶが,残念な ことに「サケ j は誤解にまみれており, しばしばネガ テイブなイメージを伴っている。 日本体験のない平均的フランス人は「サケ」は匂い が強く沼精ぷんぷんの月号捻り ( t o r d b o y a u x )Jだと 苫の多くで,飲料 フランスで日本料理の看板を出す 1 は有料のお茶(粉茶, 4ユーロ程度)か守有名目本ブ ランドのどールが好んで提供されている O たまには 「サケ」なるものも飲んで、みようと考える風流な客も いる。供される「サケ」は米国製 も少なくない o i r 青酒Jであること r 日本通 Jを自認するフランス人には, 「サケとは熱して飲むもの Jと思い込んでいるひとも 多い。 サケ=熱して飲む経済沼,これが第二の誤解である。 思い込んでいる。高いパラ様芳香がある中国の「白 酒」である。 フランスはつまり, 日本酒に関して無理解と誤解に S a k ei nF r a n c e: I m p o r t e r ' sO b s e r v a t i o n s T o s h i r oKURODA ( J s s e& C i e ) 136 醸 協 ( 2 0 1 2 ) おちた荒野であり, た。}L-.ミストラルは, 日本酒の福音を履けるのは並大抵 日本の新幹線が登場するまで のことではない。なにしろフランス人は,自国流美食 H 士界の速度記録を持つ高速列車だったが,機関士が運 こそが(生活)文化の土台だと堅く信じている O つと 転席でワイン付きの昼食をとっても誰も驚かなかった。 に釘名な「フランスの中華思想 Jは死に絶えておらず, ちなみに,職場での飲酒がフランスではじめて規制 思想、や科学,外交などでは地盤沈下の激しいフランス (禁止ではない)されたのは 1 9 7 3年であり,飲酒運転 だが,こと飲食にかぎると「中華 j思想は今も現役, に罰金が課されるようになったのは 1 9 9 4年 以 降 で あ フランス料理をユネスコの無形文化遺産に登録するこ る 。 とにも成功してしまった。 B . 酒好きなフランス人の飲酒量が減少している。 1 5 フランス人と飲酒 才以上のフランス人の年間アルコール消費量は 1 2 . 3 リットル ( 1 0 0 9 6アルコールに換算, 2 0 0 8: t I 三 ) で , フランス人に臼本酒を欽んでもらうには,フランス 日 の生活・食文化の文脈の中に「サケ Jの場所を探しだ 本人の 7 . 5リ ッ ト ル ( 同 ) よ り 多 い が , 4 0年 前 の 主ねばならないが,まずフランス人と酒,飲料の関係 1 9 7 0年 に は フ ラ ン ス 人 は 2 0.4リットル飲んでいた。 を考えよう 蛮カラなゴロワ人気質に変質が起こっているらしい。 O 2 . フ ラ ン ス 人 は 酒 飲 み (だった?) フランス人のワイン消費が後退 フランス人は大の酒好きで酉に寛容だった。まだ ONIVINS) の 2 0 0 0年 定 点 仏全国五日萄ワイン公社 ( 0年 以 フランス新幹線 (TGV) が 走 っ て い な か っ た 3 4:::j--以とのフランス人の 8 8 9 6以 仁 が 調 査 l よると, 1 土:前の話になる。秘書室,理容室が付いていて食堂事 アルコール飲料を消費しているが, 27%が習慣的(ほ ではフルコースのフランス料理が供されていた当1J'!jの ほ毎日)欽泊者で. 39%は頻繁な. 3 3 9 6が機会的飲酒 花形列車ル・ミストラル(パリ・リヨン・マルセイユ 者となっている。習慣的飲酒者,頻繁な飲 j 問者の摂取 !日lJの機関士をパリ・リヨン駅で見かけたが,弁当と 飲料はワインが主たるもので,消費アルコール総量の ワインのどンを抱えて機関車運転室に昇るところだっ 6 0 9 6がワインである。フランスの酒飲みには r i i mイコ 71 レコーん消資動向の日仏比較 リットル 2 5 20 1 5 10 富 ∞OON マOON N05N α ∞ 。。。 aa マ NOO omm 問問町内 ω ∞ ∞ マ ∞ ∞ 出 ∞ ∞ 。∞。 ∞件。 守﹄円。 ho Nho 。 o 第 1図 g アルコール治資量動向の日仏比較 出所:who ,i n s e e http://www i . n s e e. f r / f r/ t h e m e s / t a b l e a u . a s p ? r巴Ud= NATTEF06219®_id= 0 h t t p : / / w w w . o n i v i n sf . r / p d f s / 8 51 .pdf 第 1 0 7巻 第 3号 1 3 7 ール,ワイン j ということになる。 4 . フ ラ ン ス 人 は 普 設i 簡を飲まなくなった ところが,フランス人のアルコール消費の逓減傾向 ( 表1 ) はワイン消費減少が主因であり,ビール,ス ピリッツなど他はほぼ横ばい。「国湖j ワインに何が 上記調査は,フランス人がワインを飲むのは「ハ レ」の機会だとしている。 0 9 6がワインを レストラン,知人宅での食事では 9 おこっているのだろうか。 3 . ミネラル水,ソフトドリンクの台頭 肢障をするが,フランスでは水と i l iも仲が 水と油は H 欽むと回答し 70%は外食時はかならずワインを欽む と答えている。接待,出張時の外食も「ハレ」の食事 であり, 7 0 9 6がワインを欽んでいる。一方,自宅の食 職場の昼食でワインを飲むフランス人は少数派に 良くない。 ONIVINS調査によると,習 損的飲料の首位はワイ d なっている。 J くを習 ンではなくオえでフランス人の 64%カfミネラル 7 5 . 若者のワイン離れ 慣的に摂取している。機会的消費を合わせた浸透率は 81%。また,ソフトドリンクの浸透率は 84%とミネ フランス人の日常生活からほろ酔い状態の追放が進 ラル水よりも高いが,習慣的消費者は 40%にとどま みミネラル水が台頭しワイン消費が減ってきたが,ワ る。そしてワインの浸透率は 70%. 習慣的消費者の イン I~I~ れが顕著なのは若者賠z である。 15“ 24 才層はフ 土ヒ率は 22%でしかない。 ランスの飲酒年齢人口 ( 1 5才以上)の 17%を占める 習慣的飲料は基本的に食中飲料で¥長くワインがそ が , ワインの消費量では 5%でしかない。逆に 6 5才 の座をおめでいたが, 1 9 9 5年以降はミネラル水に首 論者は飲酒年齢人口の 19%だがワイン j 持費 以上の高 i : .o 位を奪われ t 0 9 6のウエイトを占める。また, 1 5 2 4オ腐の 量ーでは 3 また,ソフトドリンクも食中飲料として比率を高め ワイン消費量は年間 1 8リットルだが, 4 5 7 4才層では 十を食事中に飲むのは ている。冷たくすいソーダや巣 I 9 0リットルとなる。向じ人種だ、とは思えないほどの 主に若者だが,王手を重ねオジさんになるとワインに回 ギャップだ。 9 8 0年に 習慣的飲酒では高齢化はさらに際著で, 1 帰するのだろうか?。 はワイン人日中習慣的飲酒者の比率が半数を超えるの 3 0 1 9 6 1 :2 6 , 0 2 0 2 0 0 0 :14, 0 1 5 1 0 芝約雪 r 乏 ゴ ヲ9& 句淀川出 にd 、ぷ m w e& 側 、 P3 偽 フ ワイン 雪 1 9 患 っ 働 総 称 d d 1 雪 抗日 1 ヲ7 0 誌 1 争 各 コ ︽令品 1 9 ちo 之内ぜ : 乙5 綱嶋剛剛輸スピリッツ S o u r c e:OMS,g r o u p eI D A,I n s e e 第 2函 アルコール販売量の推移 ( 1 5::t以上国民一人当り) 1 0 0 9 6アルコールに換算) 単位.リットル ( 出所 1 3 8 世界保険機構, IDA,仏国立経済統計研究所 議 協 ( 2 0 1 2 ) 30 3 5 斗 39 ヰ 切 24 1 9 、 、 、 震努務第緩繁務欝務復縁務務復揚揚毅謬趨、 / し 4 5 5 ら 5 5 ω 尋 ヲ 59 跡 7 0 -7 5ct 十 ( E a ue nb o u t e i l l e ) リイン ( V i n ) ( E a udur o b i n e t ) 一開問問由明ソフトドリンク (BRSA) 第 3図 食中飲料と年 í~令官i ( 2 0 0 0年) 出用T: h t t p : / / w w w . o n i v i n s. f r / p d f s / 8 1 3 . p d f 1 5 1 9才のワイン飲酒頻度の推移 2 0 0 0 ⋮前回前回 ⋮者者 ⋮慰園口 1 9 9 0 一者飲飲 一酒的約 一飲会総出 一非機習 1 9 9 5 1 9 8 5 1 9 8 0 0 1 b 弘 2 0 40 百 60% 80% 1 0 0 % 第 4悶 若 者 の ワ イ ン 飲 酒 頻 度 ( 2 0 0 0年) 出所:h t t p : / / w w w . o n i v i n sf . r ゾp d f s / 8 1 3 . p d f 第 107 巻 第 3 号 1 3 9 r ワインを飲むのはエリート j と回答。そ は2 5:才以上だったが, 1 9 9 0年では 40才以上になり, 「厄介jで , 2 0 0 0年の調査では 6 0才以上になってしまった。ワイ して ンはオジさんの飲み物ですらなくおじいさんの飲み物 ンな*'トル表示を求めている。 になったかの観がある。 -ワインと健康 Y i f t代は,ワイン選択が容易になるもっとモダ ヘリテージ世代にはワインは健康な飲み物と認識さ 0 1 1年 7 ちなみに,ワイン消費行動に関しては, 2 れているが,若い世代はアルコールの危険性(飲沼運 月にボルトで開催された国際ぶどう・ワイン機構 転,日常生活)により敏感で,特に若い女性にこの傾 (OIV) 第 3 4回大会でフランスの調査報告 2が発表さ 向が強い。 れた。報告では,ワイン消費者を以下の年齢層でセグ C . フランスにおける日本酒 メントイとし意識が異なることを明らかにしている。 セグメント 1:ヘリテージ世代 ( 6 5才以上) セグメント 2:X世代またはネットワークifI: 代 ( 3 0 4 0才) 1 . フランス市場における日本酒の開題 フランス人が食事とともににワインを飲まなくなっ セグメント 3:Yt 詮代またはモザ、イク世代 ていることは,同じ醸造食中沼である日本源の浸透に ( 183 0才) はネガテイブな要素だが, 句 さらに, 日本凋については, 誤解があることを最初に指摘した O -ワインを飲む機会 -日本酒はパラ香のする蒸留酒である 会セグメントで,ワインは友人との楽しい待問に貢 .日本調は熱~郊で飲む経済沼である 献すると認めているが,レギュラーにワインを楽しむ は X 世代で,お祝いやパーティーなど「ハレ Jの機 会にワ γ ンを飲む。 飲まず,かつ, Y世代は,例外的にしかワインを r 条欽(分かち合って飲む)する j と 5年前に日本酒輸入販売を始めたときに, 日本 j 箆に 関する誤解払拭がまず必要と考え, r サケ」というス S a k eG i n j o J という言葉を対 ポイルされた言葉に, r -J を日本消本来の価値を いう罰答は「ワイン・マニア j に限定される。コミュ 寵した。「サケ・ギンジョ 汁交としてのワインの機能が失われ ニケーションの嫁J 取り返すための「旗 j にコミュニケーションの努力を つつあることがわかる。 してきた。また,美味しさを体験してらうには試飲が 不可欠なことは自明で, -ワインは文化的遺産 すべてのセグメントがワインから,美食,文化を想 宗教的 起すると答え,ヘリテージ世代はテロワール, 2 慣行,地方色豊かなワイン造りの伝統などを想起して いる。 X没代は,ワインの呼称の多様さを関側と考え, ワインを知るには膨大な知識が必英だと指摘。 Y 険代 はワインの呼称が多すぎて,ワインの世界は「高級で、 複雑 j と敬遠している。 -すべての来臨顧客に無料試飲をすすめる .定期的な有料試飲会を開催する .SIAL,S I , A SIRAHなど食品見本市に出展し試飲 してもらう という活動を行ってきた。 過去 5年間で約 3万人税皮のフランス人に「サケ・ ギンジョ -Jを試飲してもらった事になる O -ワインの選択 ヘリテージ組:代はワインの選択に国難を感じない。 常時間じワインを飲み,多くの場合はテーブル・ワイ ン級のワインを選んで、いる。 2 X佐代は,ワイン選択は また,オピニオンリーダーに日本溜「伝道陣」にな ってもらうべく,ジャーナリスト,食評論家,有力シ ェフ&ソムリエなどに積極的にアプローチした。 ボルト大会での報告概要:http://www.winepaper . f r / g e n e r a t i o n -y-consomme-r a r 巴m ent 々i n 1 3 6 4 報告書 "Ther e p r e s e n t a t i o n so fwinei nFrancefromg e n e r a t i o nt og e n e r a t i o n :ad u a lg e n e r a t i o ng a p ",著 者: T h i e r r yLor 巴y ,P a s c a lP o u t e t,i nI n t e r n a t i o n a lJ o u r n a lo fE n t r e p r e n e u r s h妙。ndS m a l lB u s i n e s s,Volume 1 3 .I s s u e2 .p 1 6 2 1 8 0( 2 0 1 1 ) 1 4 0 蔭 協 ( 2 0 1 2 ) .t 世界最優秀ソムリエのオリピェ,プシエ氏などに日 -話題性のあるレストランで臼本酒とフレンチ料理を 合わせた食事会を開催してきた 敏感に反応。新奇なものを喜ぶ。 女性は高い香りが好きだ。吟醸酒中に良いウイキョ 本で蔵元巡りをしてもらった。 ( Cふ参照)。 ウの香りがするとのコメントもある。低アルコール滴 を飲みやすいと評価する女性が多い。 フランス・ワイン界でもっとも権威ある専門月刊誌 レヴ、ュー・ド・ヴァン・ドフランスフランス・料 -フランス人に共通する点 理界の新しい潮流を反映する料理月刊誌ゴー・エ・ミ E 今穣香を楽しんでもらうため,イセではワイン試飲 オ iなどで日本酒について好意的記事が掲載されるこ 用 INAOグラスを f 受用しているが,なかなかグラス とにもつながった。 を口に付けず長く香りを楽しむ傾向がある。日本酒に また,仏閣僚, 日本大使なども参加されるパリ・ソ 2 0 1 0年 1 0月 9日 , ムリエ協会のガラ・ディナー ( レ 比べて旨味成分の少ないワインの味わいでは香りに重 心がかかっているからだろうか。口にしてからも, ) では,プシエ氏が選択し ストラン「プレカトラン J f白い花 J ,I 森、の下草J. I ライチ Jなど香りをベース た日本泊がサービスされる。 にした味わい表現が頻出する。 試飲した数多くのフランス人が B本酒についてもっ 以下に,試飲した顧客類型別に, 日本酒タイプ毎の 好感度を(ゼロ)から(+++)までの悶段階評価で た感想について,一言 0 表にしてみた。 ・否定的反応 高齢のワイン官僚的飲酒者は日本酒を「とらえどこ 試飲好感度は高いが, 霞が伝統ある醸造酒とし 日本 j f ワインと比肩できる食中溺」として認知されるに ろがない」と感じるようだ。酸味,樽味がない日本酒 て は「苦洋としていて評価の手がかりがない」という はいくつかの問題が残っている。 0 ・肯定的反応' ソムリエ・シェフの多くは,純米大吟醸,生もと, l 幻廃系の日本i 蕗を f 余韻が長いJ. r グラ(油脂)があ る(テクスチャーに艶がある)J .I 複雑性が好もし いJなどと評価。 最大級の訪問者数を誇る竜商サイト CDISCOUNT (大手流通カルブール傘下)では,ロパート・パーカ ーカ{9 1点を付けたロワールのミュスカデ IDomaine 一般ワイン愛好家は,大吟醸,生活,にごりなどに 第 1表 ソムリエ &シェフ 3 第ーは価格。 duHautBourg“LesE n c l o s "2 0 0 9 Jが 3 . 9 9ユーロで 日本酒タイプ毎の好感度 ワイン愛好家 ワイン愛好家 若壮年 高齢 一般男性 女性 大I 吟自主・吟醸 ++ ++ ++ ++ 生j 酋 十 +++ 十+ 十 生もと山廃 +++ f l:l;アルコール + ++ ++ ニゴリ j 函 + +++ 十 発i 包i 箇 十十 ÷ 十+ 閤 会麹 j ++ + 十+ + + + “ L ' e m p i r ed e ss e n s,s u s h ie ts a k eg i n j o " ,Lar e v u eduv i nd eFrance,5 4 8号 , ; “SAKE ,N e c t a rd e sD i e u x ",G a u l t & M i l l a uMagazine, 2 0 1 1年 4 5月 , 第 1 0 7巻 第 3 号 2 0 1 1年 2月 , P 103 P126 1 4 1 売られ,ブルゴーニユの銘醸酒ムルソー(白) I M i - どんな風味が飛び出してくるのか分からない日本酒は 巴sC o r b i n s " Meursault 2 0 0 7Jが 1 3 . 9 c h e lP i c a r d" L スリリングだが,味わいについての標準がないことは, ユーロで買える。 日本 j 援を購入するフランス人にとっては イセの日本酒!苫頭小売価格は,ワインボトル とほぼ同量の 4合 瓶 の 純 米 吟 穣 ・ 大 吟 醸 酒 が お か ら 7 0ユーロとなり価格にかなり言語離がある。フランス 闘の価値を提示しなければならな 人が納得で、きるお本 j 1 m:介」に感 じられはずである。 2 . フ ラ ン ス の 日 本 レ ス ト ラ ン と E本 酒 1 0年来,フランスで日本食ブームが盛り上がった。 日本酒を飲むフランス人の数が増えるのではと期待し し ミ 。 第こは l 味わい。 たくなるが,ことはさほど簡単ではない。 風味については好感されている。しかし,フランス フランスでは. I 日本食 j レストランが 2 0 0 0年前後 人が尊いとするワインには何処かに「険」があり,そ から急増し現在1 6 0 0軒ほどあるらしいロが, 9割 の険しさを料理の見えない弱点と震ねるときにはじめ は非日本人系「スシ」庖と推定されるこれらファ て「嫡」が生まれ,これをフランス人は「マリアージ ーストフード的なスシ・レストランは安価な普段食の ュJと呼ぶ。フランス人がうつくしく, 場である。日常の「ケ j の食事でありフランス人はワ しなやか I 冒険 Jして日本酒を飲もうとい (絹)だと感じるのは,強い酸とタンニンで支えられ インも飲まないし, るワインの味わいの構造と,料理の味覚構造のゆがみ うことにはなかなかならない。 が美しい非対称を作り出すときではないか。乱調の美 爆をしてでも「味わ である O ワインには,料理と喧 l いj を高みに導く野趣に満ちたものがある。 これに比べ,スタンダードな(そんなものがあると 一方, I 本格的」日本レストランというのも変だが, オーナー(及び/又は)シェフが日本人のレストラン 0 0粁強程度の少数派にとどまる O は,フランス全体で 1 た だ し 「 本 格 的 j 日本食への仏メディアの関心は高 すればだが)ー白本溺は,水の粋にも似てその美点は正 くビジビリティーはあり,日本溺紹介の受け肌として 調の美しさにある。フランス人にはこの美しい味わい 効果が高い。フランス人の多くは臼本食の食中飲料に が時としてとらえどころのないものに感じられる。料 ついて特別な考えを持っておらず,スタッフが自信を 理とのベアリング,サービスの工夫などにより日本酒 持って勧めることができれば日本泊流布の媒介役とし のイメージをくっきりと明確に訴えていく必要がある て有効だろう だろう。 O 日本食レストランのサービス・スタッフを対象にし た日本酒研修の仕級みが望まれる。 第三はスタンダードの問題。 フランス・ワインには風味の「標準 jが存在してい 3 . フランチ・レストランと日本酒 るO ブドウの品種と作り手の所在地(テロワール)で 日本源のプロモーションには,オピニオンリーダー だいたいの味わいをイメージできる O ソムリエという に良さを分かつてもらうことが重要だと考え,有力シ 沢山の引き出しを援の中におさめた職業集団が成立し ェフ・ソムリエに日本沼ファンになってもらうよう, うるのは,テロワール毎に味わいの標準があるからだ。 以下のようなフレンチ・レストランで日本酒デイナ スシレストラン j の数は現在 1 5 8 0}苫に達した O ファストフー 「調査会社 GIRAコンセイユによると,位、の f ド自(17 5 0 ) と余り変わらないが,年溺はスシレストランの 8億 6400万ユーロに対しファストフードは 4 5 億ユーロと向者の隔たりは大きい。大多数のスシレストランは独立系で, 1 9 9 0年代に大流行したネム(ベト ナム風春巻き)の人気低下を受けて,“金になるスシ"に転向した元中主主レストランが多い。一方で、,スシシ ョッフ¥プラネットスシ, S u s h i w e s t,などのチェーン庖も台頭し, 2 0 1 0年末のチェーン活舗数は 1 3 2,売上 げは合計 l億 4 000万ユーロに達した。なお GIRAコンセイユによると,スシ愛好者は大都市に住む,どちら 6 5才未満の層。」出典:A FP2011-02-07 かというと知的戦業につく 4 パリ首都閣について,電話帳から数を拾う作業をしてみたところ,ほほ 1 0 0 0軒の日本食レストランがあった 0 0判:弱でだいたい l訴になった。 が,その内,日本人が経営しているか,日本人の料理人がいる庖の数は 1 1 4 2 穣 協 ( 2 0 1 2 ) 6 ) 室町酒造 f 桃太郎トマト酒」 一・ランチを会 i 堕してきた。 リンゴのキューブ(セロリ風味) オーベルジ、ユ・ F・1 )ル(ミシュラン三 7)大七泊造「真桜」 ジョルジュ V ホテル・メインダイニング(ミシュ マグロの切り身と紫芋ピュレ 8 ) 黒龍酒造「龍 J ラン二星) ポワローのイカスミ煮 ピガラード(ミシュラン二つ星) アルベール・ブルミエ(ミシュランー 9 )旭酒造「綴祭 EU50J シャサニェット(ミシュランー星) 自身魚グリル, 1 0 ) 須藤本家「黒吟 J ジャデ、イス(ミシュラン 豚皮スフレと鰯のマリネ アローム(ミシュラン l l ) 池 長 酒 造 「 風 の 森 露 葉 風J 直近では. 9月 3日にパリのピストロ fシャトーブ リアン j で日本沼夕食会を開催した。 綴のグリル 1 2 ) 蔦来醸造「践し人九平次純米[1特設 j 牛肉タルタルステーキ(粉末酵母トッピング) 開催日・ 開催地. 2 0 1 1年 9月 3B ( 土). 201 時から 1 3 ) 惣誉泊造「きもと純米大吟酸J 黒豚のプレサ,ハーブ風味 レストランル・シャトーブリアン LeChateaubriand 住所: 1 2 9AvenueParmentier7 5 0 1 1P a r i s 参加者, 5 2名(有料 1 2 0ユーロ/人) 1 4 ) 壱│岐の蔵沼造 リキュール「柚子小 I I I JJ 胡瓜の種,グリーンコーティング 1 5 ) 須藤本家「超 t J口」 キノコのチョコレート)!nl..味 [レストラン ル・シャトーブリアン i 1 6 ) 旭酒造 パリの下1 1 可1 1区にあるレストランル・シャトーブ リアンは 1 9 3 0年代創業のワイン・ピストロ O エディ 1 3割 9分スパークリング j アプリコットの蜂蜜煮 1 7 ) 楯の ) 1 1酒造 タルタルステーキ 1 i l l f流 J 木いちご ット・ピアフが街角で歌っていた古き良き時代の間影 を残す。バスク地方出身のイナキ・エズピタルト料理 食後泊として 0 1 1年度の 長による斬新なメニューが話題になり. 2 1 8 ) 京屋酒造 芋焼酎 「侍舞(常庄 )J │止界ベストレストラン・ランキングで 9伎にノミネー トされた。ミシュランの星は lつ O {参加者] [メニューとマリアージ、ユ] 満席。 予約客 5 2名とジャーナリスト数名が参加lし府内は 1)宮坂藤造「やわらか純米 J ホテルジョルジュ・サンクのエリック・ブリファー トリュフと香草(フヌイユ)のアミューズ・ ル総料理長や人気ロックグループ, フェニックスのメ フツンユ ンパー,ピエール・エルメ元夫人のフレデリック・グ 2 ) 楯の川酒造「濁流 J ラス・エルメさん(料理研究家)の姿もあった。惣誉 酒造の河野社長,出~~桜 j践造の 1iJ 1 野部長が参加された。 セビーチェ 3 ) 大七酒造「箕輪門」 スパイス・ナッツでコ ティングされた鴨の 開始直前に土砂降りの悶という悪天候のため,遅れ 心臓 4 ) 南部美人 1 ALLKOJ12 0 0 8 J ペルセベス(亀の手) 5 ) 出羽桜酒造「一路J 燕とフォアグラのブイヨン 第 1 日7 券 [ディナーの模様} 第 3号 闘と様々なおつま て到着する参加者を待ちながら,お j み(グ、ジ、エール,ムール貝,海老など)が振る舞われ, さくな雰沼気で食事が始まった。 1 5種類の日本酒と, 途中で口休め的に 2種のリキュール,それぞれ合わせ 143 た料理が計 1 7種出て,最後に焼酎。メニューの前半 えている O はシェフの個性的なミニアチュール料理(一口サイズ 欧州日本沼市場 ( 2 0 1 0年)でフランスは,絶対景 の料理)で,参加者はワイングラスでサービスされる で独英だけではなく,オランダ,イタリアより少なく 日本酒とのマリアージ、ユを楽しんだ。イナキ・シェフ 主要留中 5位 。 た だ し 金 額 で は 3伎で欧州市場のな と若手実力派ソムリエのセパスチャン氏のタンデムが かで高級酒比率が高いことが分かる O 輸出量を金額で 作り上げたユニークなフレンチ・ピストロ料理と日本 0 1 0年 は フ ラ ン ス が EU諸国中でトップ, 割ると. 2 酒との祁性に参加者から驚きの声があがった。深夜 イギリスがこれに次ぎ. 3位のドイツ以下を大きく百│ 1 2時過ぎにディナーが終わった後も,ほとんどの参 き高佐している。 EU全域について総入量を国の人口で割ると,意外 加者が自分の気に入ったお酒をパーカウンターで再度 試飲。午前 l時過ぎまで続色大盛況だ、った。また, な結果が見える。国民 l人あたりの日本酒輸入量が最 ディナーに参加したジョルジュ Vのエリック・ブリ 6 11 ) ットル/人)になる。台湾 大の国はラトピア ( ファール総料理長は,秋・冬のメニューから日本j 闘を と比較できる水準でフランスの 3 1 1 音。オランダも 1 1 リットル/人と米国とほぼ同じ水準でフランスのほぼ 取り入れたいと語っていた。 9僚を示している O 4 . 日本酒の対仏輪出 ラトピアは,ロシア,北欧へのハブになっていること 0年間の日本沼対仏輸出の数字を見ると政行 過去 1 が予測され,オランダも欧州最大の海運基地を擁し, 性があるが,フランスの経済成長率を反映した動きで f むの欧州諸国向けの中継基地になっていると推測され ある。 る 。 0 0 7 ただし,単悩を克ると逓増傾向にあり,特に 2 仏日本沼市場が数量でイギリス並みの密度(輸入量 年からかなりはっきり上昇している。 2 0 0 5年の総入 . 6傍になり, /人口)になると,フランス市場は今の 2 6 0円 最・金額の数字を 4合瓶換算すると. 1本平均 3 ほぼ 2 0万リットル. 4合瓶換算で現在より 2 8万本近 だったものが. 2 0 1 0年には 5 1 8円になっている。イ い上乗せになるはず。 伸びる可能性はまだまだある。 セによる吟醸,大吟醸酒の総入院始とタイミング的に 合致しており,フランスに於ける日本酒の「高級」化 にいくばくかでも貢獄できたのではないかと密かに考 対仏日本酒輸出と経済成長率 3 1 4 0, 000 i 庄 ト ト 120, 000 2 ~. 1 0 0 . 0 0 0 離 →繁一数量 ~ , ~ 、 - O ぎ L o 一←金額 実質 G DP伸率 舗 網 、 1 E 岡 話 ま 2 0, 000 0I -2 ト EJ イ ン ト ド 1 ト i -3 『しR)や'\勺,や~勺手~勺寸nし勺φ九らや 第 5図 対仏日本酒輸出と経済成長率 単位数最=リットル,金額=千円 出所:通関統計 1 4 4 醸 協 ( 2 0 1 2 ) 欧州主護国の尽本酒輸入蚤の推移 4 0 0, 0 0 0 0 0 0 3 5 0, 0 0 0 3 0 0, p i 誌 0 0 0 2 5 0, 0 0 2 0 0,0 0 0 0 1 5 0, , 日0 0 0 1 0 50, 0 0 0 。 2010 2 0 0 9 2008 2 0 0 7 2 0 0 6 第 6図 2005 2004 2 0 0 3 2 0 0 2 2 0 0 1 2000 欧州主要国向け日本酒輸出 (数量) 単位 数量=リットル,金額=千円 出所・通関統計 歌州主要因包本 j 直輸入金額 000 2 5 0, 000 2 0 0, 000 1 5 0, 1 0 0, 000 000 50, 。 2010 2009 2008 2 0 0 7 第 7悶 第 107 巻 第 3 号 2006 2005 2004 2003 2002 2 0 0 1 2000 欧州主要国向け日本酒輸出(金額) 単位.数景=リットル,金額=千円 出所通関統計 145 欧州主要国日本酒輸入単価の捻移 0 . 8 0 0 . 7 0 0 . 6 0 0 . 5 0 0. 40 0 . 3 0 0 . 2 0 0 . 1 0 0 . 0 0 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2 0 0 1 2000 欧州主要国 i 白j け日本j 密輸出(単価) 第 8菌 単位:単価=千円/リットル 出所・通関統計 3 5 0 . 0 0 0 7 0 . 0 0 : : l l ! 1 J l M l h 6 0 . 0 0 5 0 . 0 0 4 0 . 0 0 盟国聞数重量 2 0 0 . 0 0 0 4 争 や や 命毛~命令1<./ 子 。 Eニ ニコ金額 3 0 0 0 4r-霊堂/人口 2 0 . 0 0 1 0 . 0 0 < f /Ãf< l I /A A/ 0 . 0 0 ぷ?<,~) /.;戸〆ぺF d トグぷ J F 1 r f o/1IYJTJ♂ 少/tTf1 、 J 3 1 < ; ' 第 9図 ~-ゲ示守りい ポ1J61 う l 劣ノヂ イ 欧州諸国への日本j 密輸出(数量) 単位数最=リットル,金額=千円 設j 主 j 統言' l 出所・ i 1 4 6 醸 協 (2012) 第 2表 会 主i i I 口 s -i 可 布 欧州諸国への日本酒 t愉出 金額 「数量/人口 J 1 金額/数 5 v人口 金額/人 D 数日 , 16 3 9, 2 6 6 5 0 , 19 0 6 0 . 3 1 7 1 .0 8 21 . 76 1 3 7, 3 0 7 4 8, 6 6 1 0 . 3 5 61 .0 7 21 .6 4 米国 3, 70 5, 3 8 5 17 2, 2 6 9 3. 0 . 8 6 1 1 .7 8 1 0 . 0 8 時 ¥ i 1 8 9. 13 2 8 6, 41 4 0 . 46 1 1. 41 5 . 2 1 英 3 0 0, 75 8 2 01 .8 1 0 0 . 6 7 4 . 8 5 3 . 2 5 デンマーク 2 5. 15 1 1 7, 0 8 1 0 . 6 8 4 . 5 5 3 . 0 9 ) 1 ( 3 1 3, 8 3 3 1 2 8, 9 2 0 0 . 41 3 . 8 4 1 .5 8 ベルギー 3 1, 73 0 2 8 1 1 8, 0 . 5 8 2 . 9 3 1 .6 9 キプロス 。 2 . 12 4 8 3 3 0 . 3 9 2 . 6 4 1 .0 4 1 4 8, 2 1 3 4 9, 7 7 3 0 . 3 4 0 . 8 2 フィンランド 1 2, 46 8 9 , 5 7 4 。 2 . 46 77 2 . 3 3 1 . 79 位 、 1 2 2 , 7 1 8 7 5 4 8 8, 0 . 7 2 1 .9 5 1 .4 1 四 8 5, 5 8 0 48 0 2 5, 0 . 3 0 1 .8 6 0 . 5 5 アイルランド 6 . 7 5 2 3, 0 7 6 0 . 46 1 .5 1 0 . 6 9 f;vトガ jレ 1 0, 9 6 5 1 0. 43 8 0 . 9 5 1 .0 3 0 . 9 8 ノルウェー 4 , 9 1 0 6 . 19 6 1 .2 6 1 .0 1 1 .2 8 スウェーデン 7 , 8 4 4 43 5 1 0, 1 .3 3 0 . 8 4 1 . 12 オ fーランド 1 8, 9 0 9 1 1. 19 0 0 . 5 9 0 . 5 0 0 . 2 9 ギリシャ 3 φ 2 5 8 1 .3 8 1 0 . 42 0 . 2 9 0 . 12 チェコ 1 , 46 4 , 12 5 3 0 . 8 6 0 . 14 0 . 12 9 9 9 1 , 18 1 1 . 18 . 12 0 0. 14 d ラトビア f オーストリア おわりに 一百,放射線の問題について。 大量に放出してしまった以上,その有答性について可 能な│浪りの誠意:をもって説明する責任を日本は負って いる。また, 日本国内で生産される食品(日本源を含 r 日本のものは良いもの j と めて)はすべて,フランス人を含めて外国人にとって いう漠然としてはいるが好意的なイメージが下支えし 「グレーな虞犯者 j であることを認識しなければなら 日本(食)ブームは, ていた。福良第一原子力発電所の事故によって,その ない。普通の日本人が, 90以上あるフランスの県の 土台がもろくも崩落した。 名前を知らないように,フランス人も日本の地理には 原子力事故そのものの深刻性もさることながら, 故後の日本からの説明,情報発信(方法と内容)に疑 問,不信がもたれ,その帰結として日本食品(日本滴 も含めて)にも不信感が生まれている O 世界の人々が分かち合う大気,海洋に有害な物質を 第 107 巻 第 3 号 疎い。「フクシマ」が日本の中にある以上,外国から 見ると日本全体がフクシマなのだと認識するべきだ。 J をフラ この状況下で,なお「良い食品(日本酒 ) ンス人,外国人に訴求するにはどうすれば良いのだろ うか。 147 まず,暫定基準値は「安心の基準」になっていない ンスで(おそらくその他の諸外閣で)懸念が広く流布 ことを認めるべきだろう。筆者は,暫定基準値と疫学 してしまっていることが重要だ。政府の基準より厳し 的安全性に付いて云々する知識を持ち合わせないが, い自主的基準の採用を発表した食品企業もでできてい 多くのフランス人と向様,基準値はきわめて苛烈な極 . 11 るが,これも一つの対応法だろう O 日本からは, 3 限状況で緊急避難的に設定されたものだろうと思って 以降も「安全で安心な良い食品(日本滋)を提供す いる。科学的コンセンサスにかならずしも基づいてい る」という基本的メッセージを強く発信してもらいた 式できない。このよ ないのではないかという疑問が担J い 。 ( J s s e&C i e ) うな懸念に根拠があるか否かは別にして,すでにフラ 執筆者紹介(順不悶・敬称略) o s h i r oKURODA> 黒 田 利 朗 <T 参与, 1 8年日本酒造組合中央会技術顧問,四年東京 昭和 2 5年 1 0月 1B~主まれ<勤務先とその所在地> 農大醸造科学科教授,現在に至る。<抱負>乳酸菌の I s s e& C i e,1 1r u eS a i n tAugustin 75002 P a r i s, 去を進 素靖らしい働きを利用した日本滋・焼酎の製造 j F r a n c e<略歴>昭和 50年パリ大学第 7学部日本語学 めたい。<趣味>史跡、探訪,小限, 9~ 62年パリ大学第 7学部日本語学科 科修了,昭和 5 o u i c h iM I Y A I> 富井孝一<K 6年調査会社 KSM設立,社長に就任, 講師,昭和 5 大正 1 3年 2月 5B生まれ<勤務先とその所在地> 現在に至る。平成 1 5年有限会社「イセ j を設立しレ 〒1 4 2 0 0 5 1 品川区平塚 3 1 3明日<略股>昭和 1 9年 9年イセ, 日 ストラン「眉山 Jをパリで関業。平成 1 0月 資島工専醗酵工業科(現広大工学部)卒,同年 1 本酒・食材の輸入販売を開始。<抱負>日本の良い食 東京財務局鑑定部(12月財務局技手)問 2 1年大蔵技 品をフランス,ヨーロッパに伝えたい。<趣味>消と 0年 4月鑑 官(問 23年 6月東京国税局鑑定-g'室)向 3 タ ノ fコO 1i . ドj 前自の白ボケ矯正 定官,同 3 高橋康次郎<K o j i r oTA K A H A S H I> 法 Jを発案(本誌 5 2巻. 1号. 1 9 5 7 ),同 43年 6月 昭和 1 7年 l月 1 3日生まれ<勤務先とその所在地> 熊本,名言子屋, r t m渋・ゼラチン r 渇信局主任鑑定官, 5 1年 7月 札 東京農業大学,守 1 5 6 8 5 0 2東 京 都 世 白 谷 区 桜 ケ 丘 幌国税局鑑定宮室長,同 54i . j 三7月退官,同 5 4年 8月 1 1 -1,日本酒造組合中央会 ~ 6 3. i J ミ 末 の 関 千1 0 5 0 0 0 3 東京都港 f 石) 1 1酒造k.k,武蔵野高等 k . k . (KK 毘商事~橋 1-1-21 <略歴>昭和 4 0年北海道大学農学部 武蔵野化学研究所). 日本地酒頒布協同組合等の技術 農芸化学科卒,農学博士。昭和 40年国税庁入庁,昭 顧問J.平成以降~ 19BYまでは,酒造技術アドバイ 和 62年国税庁醸造試験所第 4研 究 室 長 札 幌 ・ 仙 台 ザーとして清酒,乙焼酎,リキュール類の製造に関与。 国税局銭定官室長,醸造研究所酒類理化学研究室長を <抱負>酒造り 65年余の悶顧と日本酒の需要振興策。 0年宝酒造(械 綬て,平成 9年目表造研究所所長,王子成 1 <趣味>水墨画等の鑑賞. TV (スポーツ,脳の活性 1年取締役酒類技術開発本部長, 1 7年非常勤 入社, 1 化等)。 1 4 8 醸 協 ( 2 0 1 2 )
© Copyright 2024 Paperzz