日本赤ちゃん学会第 14 回学術集会 プログラム・抄録集 日時:2014 年 6 月 21 日(土)・22 日(日) 会場:日本女子大学 西生田キャンパス 主催:日本女子大学人間社会学部心理学科 開催にあたって 日本赤ちゃん学会第 14 回学術集会は、日本女子大学人間社会学部心理学科にて開催させて いただくことになりました。 本大会のテーマは、 「環境への適応、現場への適用」です。赤ちゃんという存在は、皆、生 まれ出る環境へと適応していかねばならない存在です。それは定型的な発達をたどる赤ちゃ んも非定型的な発達をたどる赤ちゃんも同じことでしょう。いずれも懸命に生きていこうと する結果として環境への適応があります。 この「環境への適応」ということを考えたく本大会ではシンポジウムと公開講演会を企画 しております。シンポジウムでは、脳の発達と可塑性を考えるため早稲田大学の杉田陽一先 生をはじめとする複数のパネリストによる発表と討論を企画しております。また公開シンポ ジウムでは、チンパンジーの研究に長年取り組みその親子の関係にも詳しい京都大学霊長類 研究所の松沢哲郎先生にご講演をお願いしております。図らずとも両企画は発達と進化をキ ーワードとする企画となっております。 生まれ出た赤ちゃんが環境を生き抜くために適応していこうとする姿は、ある生物が環境 の中で生存した結果として1つの種が誕生していく過程と重ね合わせることができるかもし れません。個体発生といい系統発生といいそれは1つの発生=genesis であるわけです。本大 会のアカデミックな側面として、この「適応」とは何か、ということを考えていく機会にし ていただければ大会運営委員としてありがたいと存じます。 ただし、赤ちゃん学会は単なる基礎的な学術研究会にとどまるものではありません。 「赤ち ゃん学」という 1 つの discipline=研究領域とは、病院、学校、保育園、幼稚園、療育施設と いった「現場」に適用され survive することで、はじめてその1つのサイクルが完結するも のと信じております。学会の構成メンバーである保育士さん、看護師さん、心理士さんたち を含めた現場の方々の感覚こそが、赤ちゃん学会の方向性を決めてきたことも間違いないこ とかと考えます。本大会ではこの点も強調すべく、 「現場への適用」というテーマもあわせて 設定させていただきました。基礎と臨床、あるいは実験室と現場といった双方の両輪をもっ て、本大会が実りあるものとなることを希望しつつ、そのお手伝いに専心したいと存じます。 日本赤ちゃん学会第 14 回学術集会大会長 金沢 2 創 日本女子大学へのアクセス 〒214-8565 神奈川県川崎市多摩区西生田 1-1-1 小田急線「読売ランド前」駅下車 徒歩 15 分 ● (新宿 -[小田急線 〔急行〕]→ 向ヶ丘遊園 -[小田急線〔各停〕〔区間準急〕〔準急〕] → 読売ランド前) 【東海道新幹線 新横浜駅・小田原駅、羽田空港より】 ● (新横浜- [JR 横浜線 八王子方面] → 町田- [小田急線 新宿方面〔急行〕〔快速急行〕] → 新百合ヶ丘 - [小田急線〔各停〕〔区間準急〕 〔準急〕] → 読売ランド前) ● (小田原 - [小田急線 町田・新宿方面〔快速急行〕] → 新百合ヶ丘- [小田急線〔各停〕 〔区間準急〕〔準急〕] → 読売ランド前) ● (羽田空港- [京急空港線] → 京急蒲田- [京急本線 横浜方面] → 横浜 - [JR 京浜東北線 大宮・八王子方面] → 東神奈川 - [JR 横浜線 八王子方面] → 町田 - [小田急線 新宿方面〔急行〕〔快速急行〕] → 新百合ヶ丘 - [小田急線〔各停〕〔区間準急〕 〔準急〕] → 読売ランド前) 4 駅から会場までのアクセス 5 大会参加者へのご案内 1. 入構手続き 来場者の方には正門にて入構許可証としてネームプレートをお渡しいたします。構内ではネー ムプレートを見える場所に携帯し会場までお進みください。大会受付は会場にて行います。 2. 大会受付(成瀬講堂ホワイエ) 開始時間: 6 月 21 日(土)10:00 から 6 月 22 日(日)9:30 から 場所:成瀬講堂ホワイエ ・参加費を事前にお支払いされた方(5 月 30 日(金)まで) 大会受付でお名前をお申し出ください。抄録集・領収書をお渡しいたします。 ・参加費を当日お支払いされる方 当日参加申込をしていただきます。記帳用紙に必要事項をご記入の上、参加費をお支払くださ い。抄録集・領収書をお渡しいたします。参加費は一般 5,000 円、学生 3,000 円です。 大会期間中、会場ではネームプレートを携帯してください。 3. 研究発表 1) ポスター発表(成瀬講堂北ホール) 日時:6 月 21 日(土)14:00~16:00 会場:成瀬講堂北ホール 在席時間:奇数番号の方は 14:00~15:00、偶数番号は 15:00~16:00 貼付日時:6 月 21 日(土)10:00~13:30 撤去時間:6 月 22 日(日)15:30 ・入り口でお名前・題目をお申し出ください。 ・ポスターはご自身の演台番号のパネルにお貼りください。 ※ポスター貼付用の画鋲は、事務局で準備いたします。撤去時間内にご自身で撤去をお願いいた します。 2) ラウンドテーブル(九十年館 B 棟 1 階、2 階) 企画、司会、話題提供、指定討論の方々は、開始 15 分前には、会場へお越しください。 9 4. 理事会(成瀬講堂会議室) 日時:6 月 21 日(土)13:00~14:00 会場:成瀬講堂会議室 理事の方は万障お繰り合わせの上、ご参加ください。昼食は学会本部で準備いたします。 5. 評議員会(成瀬講堂会議室) 日時:6 月 22 日(日)12:00~13:00 会場:成瀬講堂会議室 6. 総会(成瀬講堂大ホール) 会員の方は必ずご参加ください。 日時:6 月 22 日(日)13:00~13:30 会場:成瀬講堂大ホール 7. 懇親会(九十年館 B 棟食堂 2 階ラ・フォンターナ) 日時:6 月 21 日(土)18:30~20:30 会場:九十年館 B 棟食堂 2 階ラ・フォンターナ 受付にて当日参加も随時受け付けております。参加費は一般 4,000 円、学生 1,000 円です。 8. クローク(成瀬講堂地下階) 日時:6 月 21 日(土)10:00~18:30 6 月 22 日(日)9:30~16:30 場所:成瀬講堂地下階 必ずスタッフより「預かり証」を受領してください。割れ物・貴重品のお預けはご遠慮くださ い。 9. 昼食 九十年館 B 棟食堂 2 階ラ・フォンターナが営業しております。 営業時間:6 月 21 日(土)12:00~14:30 6 月 22 日(日)11:30~14:00 10. 飲食 成瀬講堂内は飲食禁止となっております。九十年館 B 棟 1 階水田記念学生ホール、食堂 2 階を ご利用ください。 11. 休憩 場所:九十年館 B 棟 1 階水田記念学生ホール。自動販売機がございます。 10 12. 学内禁煙 キャンパス内は禁煙となっておりますのでご協力お願いいたします。 13. おむつ替え・授乳コーナー 場所をご用意しております。詳細は大会スタッフにお尋ねください。 ※託児所はございませんのでご了承ください。 14. 企業展示(成瀬講堂ホワイエ)・書籍展示(成瀬講堂北ホール) 関連機器・書籍等の展示をおこなっております。ぜひお立ち寄りください。 ・企業展示 日時:6 月 21 日(土)10:00~18:30 6 月 22 日(日)9:30~15:30 場所:成瀬講堂ホワイエ ・書籍展示 日時:6 月 21 日(土)10:00~18:30 6 月 22 日(日)9:30~15:30 場所:成瀬講堂北ホール 11 大会スケジュール 6 月 21 日(土) 成瀬講堂 九十年館B棟 10:00 受付開始 ホワイエ 11:00 若手企画シンポジウム 南ホール 「赤ちゃん学は(イグ)ノーベル賞を狙えるか? 12:00 -若手研究者の提案-」 11:00~13:00 13:00 昼食 食堂 2 階 理事会 会議室 12:00~14:30 13:00~14:00 14:00 14:30 15:00 ポスター発表 ラ・フォンターナ 北ホール 14:00~16:00 (在席時間)奇数番号:14:00~15:00 偶数番号:15:00~16:00 16:00 シンポジウム 17:00 大ホール 「赤ちゃんから老人まで:発達の可塑性を探る」 16:00~18:30 18:30 懇親会 食堂 2 階 ラ・フォンターナ 18:30~20:30 20:00 12 大会スケジュール 6 月 22 日(日) 成瀬講堂 9:30 受付開始 九十年館B棟 ホワイエ 10:00 ラウンドテーブル 10:00~12:00 RT-1(1 階 14 番教室) 保育所における乳幼児の適応能力 RT-2(1 階 15 番教室) 保育所における新入園児の環境へ の適応 11:00 RT-3(2 階 24 番教室) 赤ちゃんと音楽 11:30 RT-4(2 階 25 番教室) 胎児期からの発達とその障害 昼食 12:00 食堂 2 階 評議員会 会議室 ラ・フォンタ 12:00~13:00 ーナ 11:30 13:00 総会 大ホール ~ 13:00~13:30 14:00 13:30 公開講演 大ホール 14:00 「想像するちから: チンパンジーが教えてくれた人間の心」 13:30~15:30 15:30 閉会 13 公開講演 想像するちから: チンパンジーが教えてくれた人間の心 松沢 哲郎 (京都大学霊長類研究所) 要旨 人間の体が進化の産物であるのと同様に人間の心も進化の産物である。そうであれば、 人間の親子関係も子育ても教育も進化の産物である。とはいえ、骨や歯は化石として残る が、親子関係や子育てや心のはたらきは化石としては残らない。そこで、共通祖先から分 かれた人間以外の動物の親子関係や子育てや心のはたらきを知ることが重要だ。共通する 部分は祖先から受け継いだものであり、違う部分はそれぞれの進化の過程で生み出された と考えられる。人間にもっとも近縁なチンパンジーを比較対象にして、人間の親子関係や 子育てや心のはたらきの進化を考えたい。 まず人間の子育ての特徴は、母親だけでなく複数のおとなが協力して、手のかかる複数 の乳幼児を同時に育てることにある。親が子どもの顔を覗き込んであやす、眼と眼があっ てほほ笑みあう。がらがらを顔の前で振る。イナイイナイバアをする。あかんぼうが声を たてて笑う。生後半年もすると子どもに離乳食を与える。これらは人間を特徴づけるふる まいだ。 そもそも「親が子どもを育てる」のはあたり まえのように思える。しかし、この地球上に生 息する数百万種とも数千万種とも呼ばれる生 物のありようを眺めてみると、親子関係の基本 は「親は子どもを育てない」である。子どもに 投資をするようになったのは哺乳類や鳥類の 共通祖先があらわれる約 3 億年前からだ。人間 を含めたサルの仲間、すなわち霊長類の子育て の特徴は、 「子は親にしがみつき、親が子を抱く」ことにある。手があるからだ。四肢の末 端でつかむ。4つの手をもつサル類が、人間の進化の過程で森からサバンナに進出して、 長距離を歩くようになって「足」を生み出した。四足動物が直立して手が自由になったの ではない。樹上にすむ四手動物が地上に降りて足ができたのである。 14 人間の親子は「しがみつく・抱く」ではないユニークな親子関係を発達させた。親子が 離れている。あかんぼうは仰向けの姿勢で安定している。直立二足歩行ではなく、仰向け の姿勢こそが人間の特徴であり、人間を進化させた。仰向けで、豊かな対面コミュニケー ションがあり、声を交わし、手で物を操る。 また、チンパンジーには彼らに特有な直 観像記憶のあることが見つかっている。そ の一方で、人間はそうした能力をもはやも たないが、言語を発達させた。チンパンジ ーは人間と同様に賢いが、そのあらわれ方 が違う。チンパンジーは人間ほどにはまね ることがじょうずではない。人間のように はことばを操れない。 ことばの本質は、自分の経験を他者と分 かち合うことだ。自分が見たこと、聞いたこと、考えたことを、他者にことばで伝える。 そうした経験と知識の交換によって、自分だけの限られた体験では得られない情報を手に する。そうして互いが互いを必要とし、他者に自発的に手を差し伸べ、お互いが助けあう ように人間は進化してきた。 「みなで一緒に・・・・する」というのは、きわめて人間らし いふるまいだといえる。 チンパンジーは、つきつめていうと、「今、ここ、わたし」の世界を生きている。それに 対して、人間は過去にも将来にも広がった世界で生きている。想像するちから。それによ って、遠く離れた過去や未来に思いをめぐらし、遠く離れた場所で苦しむ人々に心を寄せ、 ほかのひとたちとのつながりのなかで生きている。チンパンジーとの比較を通じて見えて きた人間の本性についてお話したい。 主な日本語の参考文献 松沢哲郎(1990) 「チンパンジーから見た世界」 、東京大学出版会 松沢哲郎(1995) 「チンパンジーはちんぱんじん」 、岩波ジュニア文庫 松沢哲郎(2001) 「チンパンジーの心、岩波現代文庫」 、岩波書店 松沢哲郎(2002) 「進化の隣人ヒトとチンパンジー」、岩波新書 松沢哲郎(2006) 「おかあさんになったアイ」、講談社学術文庫 松沢哲郎(2011) 「想像するちから」 、岩波書店 ホームページ チンパンジー・アイ、http://langint.pri.kyoto-u.ac.jp/ai/index-j.html 森林再生をめざす「緑の回廊」プロジェクト、www.greenpassage.org 霊長類学・ワイルドライフサイエンス、www.wildlife-science.org 15 シンポジウム 赤ちゃんから老人まで:発達の可塑性を探る 企画者:山口真美(中央大学) 発表者:山口真美(中央大学) 「赤ちゃんの発達の可能性」 杉田陽一(早稲田大学) 「見えるものと見えないもの: 乳児期における視覚体験の重要性」 月浦 崇(京都大学)「高齢者における記憶とその脳内メカニズム」 櫻井芳雄(京都大学) 「脳の可塑性と身体運動―BMI 研究からわかる生涯発達」 赤ちゃんの発達の可能性 山口真美(中央大学) 本シンポジウムでは、赤ちゃんから老人まで、生涯発達を見極めた赤ちゃん学を提唱し てみたいと思います。 赤ちゃん時代を過ぎた私たちはみな、学童期・青年期を経て、成人となり、やがて老化 へと進んでいきます。赤ちゃんのその後の成長には、さまざまな発達現象が待ち受けてい ます。そして赤ちゃんが持っていた、極めて柔軟な発達は、人生のその後の学習に生かさ れます。 さまざまな障害を受けることになったその後のリハビリや回復、高齢者の適応などなど、 赤ちゃんの柔軟な発達と脳の可塑性から学ぶべきことは大きいところがあります。 本シンポジウムでは、私から赤ちゃんの発達についてのお話をさせて頂きます。発達初 期の視覚脳の成り立ちについて簡単にお話をさせて頂き、各領域を代表する先生方からの お話をいただきます。 世界的にもインパクトの大きい、発達初期の興味深い研究を数多く報告された、杉田陽 一先生、高齢者や認知症についての脳科学的な検討をされてきた月浦崇先生、そして高齢 者の脳の可塑性について検討されてきた櫻井芳雄先生、それぞれの先生のお話を得て、議 論を展開できればと思います。 16 見えるものと見えないもの:乳児期における視覚体験の重要性 杉田陽一(早稲田大学) 生後まもない頃から 1 年間、サルを特殊な視覚環境下で飼育して、乳児期における視覚 体験の効果を検討した。照明光を単色光にすると、物体の色を知覚することが出来なくな る(たとえば、赤色光で証明すると、赤の濃淡しか見えなくなる)。また、点滅光で照明す ると、スムーズな動きが見えなくなる。このような視覚条件下で成育したサルは、物体の 色や物体の動きの知覚に重篤な障害が現れた。さらに、数年間を経過しても、障害が改善 することはなかった。以上の結果は、視覚の要素を抽出することに乳児期の視覚経験が必 要であることを示している。一方、 「顔」を一切見せずに育てたサルは、正常なサルと殆ど 同じように「顔」と「表情」を弁別できた。この結果は、視覚体験がなくても、体性感覚 あるいは自分自身の動きの知覚を通して、「顔」の特徴を認識している可能性を示唆してい る。 高齢者における記憶とその脳内メカニズム 月浦 崇(京都大学) ヒトの記憶機能は,加齢の影響で抑制的な影響を受けることが知られている.記憶のエ ラーには大きく分けて2つの側面があり,1 つは以前に体験した出来事を正しく想起できな いエラーであり,もう 1 つは以前に体験していない出来事を誤って想起してしまうエラー である.本シンポジウムでは,我々がこれまでに行ったこれら 2 つの加齢依存的な記憶の エラーに関連する神経基盤について,健常若年成人と健常高齢者を対象とした機能的磁気 共鳴画像(fMRI)研究を紹介し,加齢に関連して増加する記憶のエラーとその脳内メカニ ズムについて考察する.さらに,加齢に依存して変化する記憶機能が,健常高齢者のどの ような日常生活習慣と関連しているのかについて,地域に在住している健常高齢者を対象 として調査し,日常的な運動習慣,知的活動や社会的活動の習慣と記憶機能とがどのよう に関連しているのかを検証した研究も紹介する.これらの研究から,加齢に依存して変化 する脳内機構によって記憶機能は全体的に低下するが,生活習慣の個人差によってその変 化の仕方は異なる可能性があることが考えられた. 17 脳の可塑性と身体運動 ― BMI 研究からわかる生涯発達 櫻井芳雄(京都大学) 脳が身体を制御することは自明であるが、身体運動も脳に影響を与えている。それは学 習や認知の基礎となる可塑性においても同様であり、たしかに乳幼児の認知発達における 身体運動の重要性がよく指摘されている。しかしこのような身体と脳の関係は、生涯をと おし高齢期になっても続くことがわかってきた。これは老化による高次機能の低下、特に 学習機能の低下を理解するうえで重要である。すなわち従来の研究は、高齢な脳は可塑性 が失われており、そのため学習機能も低下していると主張してきた。しかしそれは身体運 動の低下が原因かもしれない。そこで我々は、もし身体の劣化という状況を回避できれば、 高齢脳が本来持つ学習能力を検出できるのではないかと考え、脳の活動で機械を直接操作 するブレイン-マシン・インタフェース(BMI)を活用した実験を行った。そして、高齢な ラットの海馬からマルチニューロン活動を検出し、その活動だけで機械を動かし餌を得る というオペラント学習を行わせたところ、通常のラットと同様に、短時間で学習できるこ とがわかった。衰えた身体という拘束条件を改善すれば、高齢脳もその可塑性を十分発揮 できるのかもしれない。 18 若手企画シンポジウム 赤ちゃん学は(イグ)ノーベル賞を狙えるか? -若手研究者の提案- 企画者:赤ちゃん学会若手部会 司会:篠原郁子(国立教育政策研究所) 提案者:市川寛子(中央大学) 森裕紀(大阪大学) 高橋英之(大阪大学) 嶋田容子(同志社大学) 岡部祥太(麻布大学) 小林佳雄(東京大学) 講評者:橋彌和秀(九州大学) 開一夫(東京大学) 國吉康夫(東京大学) 企画趣旨 「生産性だけが重視される社会では,多くの品が作りだされるが,斬新な思想は生まれ ない」と言ったのは,ノーベル文学賞を受賞したアルベール・カミュであった。時代や文 脈は違えども,これは昨今の学術界にそのままあてはまる。学問の細分化が進み,業績至 上主義が蔓延する現代において,若手研究者が斬新な思想や革新的な研究に挑戦するのは 容易ではない。しかしながら,医学,ロボット工学,心理学,社会学,脳科学などの様々 な背景を持った会員が,領域横断的に赤ちゃんを解明することを目指す日本赤ちゃん学会 には,このような現状にめげずに,挑戦的・革新的な研究に挑もうという気概をもった若 手研究者が多数いる。 本シンポジウムでは,赤ちゃん学を通じて,ノーベル賞や,「まず人々を笑わせ,そし て考えさせてくれる」ようなイグノーベル賞を目指す気鋭の若手研究者を招き,自身がこ 19 れまでやってきた研究や,これからやろうとしている新しい発想の研究について提案する。 そして,それらの提案に対して心理学,認知科学,ロボット工学のシニア研究者が講評し, その発想を膨らませる。このような議論を通して,赤ちゃん学がノーベル賞・イグノーベ ル賞を狙う可能性について本気で検討し,赤ちゃん研究についての斬新な発想を生み出す ためにどのように研究を進めるべきかを考えていく。 市川は,ヒトの鋭敏すぎる顔検出能力を,乳児が顔を知覚するときの注視行動および脳 活動から説明する試みについて提案する。森は,形態形成からの発生的モデルアプローチ による発達理解の研究を提案する。高橋は,乳幼児の宗教概念の発達を自己意識の発達や 利他性と絡めて議論することで,平和な社会形成を行うために人間の発達の過程で「超自 然的存在」を感じることは有用であるという議論をする。嶋田は,乳児の独り発声につい て,音声・行動分析からその機能を検討し,音楽的行動および探索行動との関連を探る。 岡部は,個体間の親和的関係性構築における音声コミュニケーションの機能解明を目指す。 小林は,二足歩行獲得に至るまでの運動発達の連関性および環境応答における運動変化の 発達機序を明らかにすべく話題提供をする。 20 21 ラウンドテーブル 6 月 22 日(日)10:00-12:00 九十年館 B 棟 RT-1 1 階 14 番教室 保育所における乳幼児の適応能力 「個々の発達に応じた環境設定による乳幼児の正常な適応」 企画者:楢﨑雅(社会福祉法人 摩耶福祉会 るんびに保育園) RT-2 1 階 15 番教室 保育所における新入園児の環境への適応 ― 人的環境設定に焦点をおいて 企画者:藤森平司(保育環境研究所ギビングツリー) ― RT-3 2 階 24 番教室 赤ちゃんと音楽 音楽に関する赤ちゃん学を現場に生かすために必要なこと 企画者:今川恭子(聖心女子大学) RT-4 2 階 25 番教室 胎児期からの発達とその障害 振る舞いから探る初期脳発達 企画者:科学研究費補助金新学術領域研究 「構成論的発達科学―胎児からの発達原理の解明に基づく発達障害のシステム的理解―」 22 RT-1 保育所における乳幼児の適応能力 「個々の発達に応じた環境設定による乳幼児の正常な適応」 企画者:楢﨑雅(社会福祉法人 摩耶福祉会 るんびに保育園) 発表者:杉本富美子(社会福祉法人 幸輪会 幸輪保育園) 楢﨑雅(社会福祉法人 摩耶福祉会 るんびに保育園) 企画趣旨 乳幼児の適応能力は非常に高く、どのような環境においても表面上順応していく姿が多く見られま す。しかし、それはあくまでも表面上のものであって、適切な環境におかれていない子どもは、精神 面や身体面に様々な不具合を起こします。子どもの正常な発達を促すためには、適切な環境が必要で あることは周知の事実です。 保育所には、多様な子どもたちが存在します。現代社会での子育ては、核家族の保護者にとっては 非常に負担が大きく、子どもがおかれる環境も様々です。多様な子どもたちが存在する保育所で生活 するすべての子どもが、自分の個性に応じて正常に発達していくために必要な環境とはどのようなも のでしょうか。また、年々増加傾向(もしくは早期発見による増加)にあり、環境の変化に敏感な発 達障害を抱える子どもたちを、住み分けなしに保育できる環境とはどのようなものでしょうか。 保育所という子ども集団の場で、様々な子どもたちの姿を私たちから提示し、どのように集団の場 に適応できているか、また、適応できる環境とはどのようなものであるのか、それらのことを、物的・ 空間的・人的な環境を軸に、会場の皆様と様々な議論を展開できればと思います。 23 RT-2 保育所における新入園児の環境への適応 ― 人的環境設定に焦点をおいて ― 企画者:藤森平司(保育環境研究所ギビングツリー) 久保健太(篠原保育医療情報専門学校) 発表者:安藤佳広(新宿せいが保育園) 川辺真純/鈴木優二(GT 神奈川) 堀淵寛子/原田真衣(いるま保育園) 指定討論者:久保健太(篠原保育医療情報専門学校) 倉掛秀人(せいがの森保育園) 企画趣旨 保育現場では、毎年多くの子どもたちを受け入れます。その新入園児のほとんどが 0 歳児クラス若 しくは 1 歳児クラスの赤ちゃんです。赤ちゃんにとって、初めての社会生活を経験する大切な場所、 その一つが保育園です。保育所保育指針が平成 20 年 3 月に告示化され法律となりましたが、このこと は保育所の役割と機能が広く社会的に重要なものとして認められ、それ故の責任が大きくなった証し でもあるように感じます。 しかし現実の保育現場では、子どもの最善の利益をどの様に保障しているのか、主体的な子どもの 姿を保障するためにどのような環境を設定していけばよいものか、なかなか深い考察がなされないま ま、様々な考えのもとで保育が行われているのも事実です。その原因の一つとして、指針に記載され ている内容を十分に咀嚼し、具体的に保育現場に反映させていく作業が困難であるのと同時に、保育 方法及び保育内容を議論すること自体、なかなか保育関係者間で行いづらいことが想像されます。 この様な背景の中、今回は 0 歳児クラスと 1 歳児クラスの赤ちゃんに対する環境設定、特に人的な 環境について考えてみたいと思います。ある保育園では、 「赤ちゃんは情緒の安定が必要であり、また 認可保育園の最低基準では 0 歳児クラスは保育士 1 人に対して赤ちゃん 3 人だから、担当制にしてい つも同じ保育士が保育にあたるようにしています。これによって、赤ちゃんは大人との愛着を形成し、 情緒の安定を図ることができます。」という考えで保育を行っています。一方で、「赤ちゃんには様々 な個性があり、既に大人を動かし、お友だちと引き合う力が備わっているわけですから、0 歳児と 1 歳児クラスのお友だちが一緒に生活し、更に保育士を固定するのではなく保育士はチームを組んで、 赤ちゃんが様々な大人やお友だちと関わりが持てるように保育環境を整えています。」というような保 育園もあります。 このような現状の中、赤ちゃんを授かったお母さんお父さんから、様々な戸惑いの声が聞こえます。 育児に関する多くの情報が、肝心の保護者を悩ませています。 そこで、今回の学術集会のテーマに鑑み、新入園児の赤ちゃんが、はじめての社会生活を営む保育 園にどの様に適応していくのか、人的環境である保育士やお友だちとどの様に関わりを持っていくの か、 映像を中心に保育現場で実際に起こっている赤ちゃんの姿を 3 つの団体から発表してもらいます。 今回、発表を予定している演者の保育園は、子どもたちを生年月日で区別することはなく、個々の 発達を重視し、一人ひとりの子どもたちの発達にあった環境を用意することに力を注いでいます。ま た、赤ちゃんが保育士やお友だちを選べるよう、0 歳児クラスと 1 歳児クラスの赤ちゃんを複数の保育 士がチームを組んで保育にあたり、また両クラスの赤ちゃんは活動をともにし、多くのお友だちと関 わりが持てるようにしています。そのような保育環境のもとで、この 4 月に新しく入園した赤ちゃん はどのように保育園に適応していくのか、入園当初から赤ちゃんが愛着関係を形成し、自発的な行動 がみられるまでを時系列で発表していただきます。 その結果を踏まえ、0 歳、1 歳の赤ちゃんにおいて、様々な保育士(大人)やお友だち(異年齢の集 団)の必要性について、会場の皆様と考えていければありがたいと思っています。 24 RT-3 赤ちゃんと音楽 音楽に関する赤ちゃん学を現場に生かすために必要なこと 企画者:今川恭子(聖心女子大学) 志村洋子(埼玉大学) 発表者:坂井康子(甲南女子大学) 丸山慎(駒沢女子大学) 村上康子(共立女子大学) 今川恭子(聖心女子大学) 指定討論者:小川清実(東京都市大学) 司会・進行:志村洋子(埼玉大学) 企画趣旨 本企画は、保育の現状をより赤ちゃんの発達や視点に寄り添ったものとすることを目指して、 「音楽 部会」が実施するものである。これまで明らかにされてきている赤ちゃんの音楽聴取に関する能力や 表出力の姿は、保育現場の音楽活動に反映されているとは言い難い。このラウンドテーブルでは、慣 習ともいえる現場の音楽活動の状況に鑑み、どのような情報発信が赤ちゃん学に求められているか、 音楽に関して必要な情報を検討する。 内容的には、大きく次の二つの点から話題提供を行う。 1) 赤ちゃんと大人(養育者、保育者)との音声相互作用と歌 赤ちゃんと大人(養育者、保育者)の音声相互作用については、国内外において近年多くの研究成 果があげられつつある。赤ちゃんの歌唱発達に関する研究はまだ途上にあるといえるが、音声発達全 体の中で言語との関係の検討、音声特徴の検討は着実に進みつつある。こうした研究から得られる知 見ならびに養育者の音声特徴(マザリーズ等)についての知見は、保育における赤ちゃんへの歌いか けや語りかけにどう繋げることができるのだろうか。 保育現場においては、従来の実践の中で暗黙的に受け継がれてきた知恵の中に、赤ちゃん学の研究 成果による裏付けを確認できる点もある一方で、再吟味が必要な実践も多々あるのではないだろうか。 子どもにとっての「声」の見直しと「声あそび」の意義、保育において「歌うこと」の意味、保育者 養成における「声」のトレーニングなどをめぐって再検討を行いたい。 2)「モノ・音・身体」から見る赤ちゃんと楽器 楽器というと、文化的に洗練されたツールに含まれるルールや型が前提に考えられることが多い。 そういった側面が重要であることも確かだが、それはともすると保育現場における「教え込む」タイ プの楽器指導につながりがちである。そうした楽器指導は、かならずしも子どもの発達に即したもの とは言い難い「訓練」に陥ってしまうこともある。ましてや赤ちゃんにそのような教え込みが望まし いとは思われない。 赤ちゃんの生活に目を向けると、手でテーブルを叩く、スプーンで食器を鳴らす、コップの水をブ クブクする、といった「モノとかかわる」行為を通してたくさんの音が発信されている。このように 身体がモノとかかわって音を創り出す姿は、楽器を奏して音を創り出すことと繋がっているのではな いだろうか。音楽部会では、モノとかかわる身体に着目し、そこから音を創り出す延長線上に赤ちゃ んと楽器との出会いを置く発想を提案している。この提案をめぐって、理論と実践の両面から話題提 供し、考察を深めたい。 これらの話題提供をもとに、小川氏からは現場での実践の状況を視点に、音楽に関する赤ちゃん学 の研究成果がどのように保育の場に受け入れられるかについて、討論をお願いする。 25 RT-4 胎児期からの発達とその障害 振る舞いから探る初期脳発達 企画者: 科学研究費補助金新学術領域研究 「構成論的発達科学―胎児からの発達原理の解明に基づく発達障害のシステム的理解―」 発表者: 諸隈誠一(九州大学 環境発達医学研究センター) 最上晴太(京都大学 医学部附属病院) 金西賢治(香川大学 医学部附属病院) 大村吉幸(東京大学 大学院情報理工学系研究科) 小西行郎(同志社大学 大学院心理学研究科) 司会・指定討論者:國吉康夫(東京大学 大学院情報理工学系研究科) 企画趣旨 本ラウンドテーブルでは,胎児期から随意性の獲得までの時間軸で,運動,栄養,体内リズムそし て脳がどう発達し,それらがどのように関係しあっているかについて議論する. まず,はじめに,胎児期から乳児期にかけてのサーカディアンリズムの発達について考える.睡眠 は脳の学習にとっても極めて大切であるし,特に脳幹部の成熟を表す指標ともなりうる。また,睡眠 覚醒の成熟は随意運動の発達を考察する上でも避けることはできない. つぎに,脳の発達と栄養の関係について考える.胎児期と新生児とでは,栄養補給の方法が胎盤か ら母乳へと大きく切り替わる.この変化が発達に与える影響は非常に大きく,特に出生後の睡眠覚醒 リズムは消化器官の成熟と強く関連する.また,新生児期から乳児期にかけて糖の代謝が大きく変化 することがどのように脳の発達に影響を与えるかについても議論する必要がある. ところで、胎児は,子宮の中で極めて多様な運動を見せることが知られている.たとえば,12WG 頃 からは Hand-to-Contact 運動を観察することができ,胎児期からすでに指しゃぶりのような動作も見 ることができるし,さまざまな表情を示すことも明らかになってきた.さらに,双子研究からは,胎 児期の早期から「個性」の出現が示唆され,聴覚などでは胎内での学習も強く示唆されている.これ らの自発運動は,胎児期から新生児期にかけて連続性を有すると考えられており,早産児や胎児で見 られる独立指運動などは皮質の関与を示唆するものと考えられてきた. 一方で,皮質や脊髄路の発達の研究が進み,皮質脊髄路の発達が 26WG と上記の多様な運動から予測 されるよりもかなり遅い時期から進むことが明らかになってきた.体性感覚野に感覚信号が投射を開 始する時期も 26WG 以降であることが明らかになってきた.さらに,独立指運動に強く関与する大脳皮 質からモータニューロンへの直接の投射の成熟は生後 6 ヶ月~1 年の時期に起こることが明らかにな っており,早産児や乳児期に見られる独立指運動への皮質の関与は極めて限定的であることが示され た。従来の「胎児期から乳児期に見られる運動は皮質の関与を強く受ける」という考えは再考を迫ら れている. また,近年,ヒトの成人において退化していると考えられていた脳幹脊髄路においても、指の独立 運動が可能であることがわかり、巧みな運動においても、脊髄・脳幹のシステムが極めて重要な役割 を担っていることが示されている.このように,従来比較的軽視されていた錐体路外の経路が発達初 期だけでなく,成人においても有効に用いられていることが示唆されるにつれ,皮質下のシステムに よる「自発運動」の生成やその学習可能性について議論していく必要が増していると考える. 最後に,胎児期から乳児期にかけての随意運動の発達を軸に,脳性まひや発達障害と初期運動発達 の関係について議論を行う. 26 ポスター発表 6 月 21 日(土)14:00-16:00 成瀬講堂 北ホール 在席時間 奇数番号:14:00‐15:00 偶数番号:15:00‐16:00 27 P-01 Informing the other about a "new" object based on shared experience Xianwei Meng1・Kazuhide Hashiya2 (1 九州大学大学院人間環境学府・2 九州大学人間環境学研究院) P-02 子どもの利他行動における監視の効果と心の理論の関連 藤井貴之 1・高岸治人 2・岡田浩之 2 (1 玉川大学大学院脳情報研究科・2 脳科学研究所) P-03 Perceptual narrowing は領域共通か 1 向井田真衣 ・板倉昭二 ― 音声刺激および顔刺激を用いた検討 ― 1 (1 京都大学大学院文学研究科) P-04 親の性格と乳児期の気質が及ぼす育児ストレスとの関係 仁科国之 1・鎌田次郎 2 (1 玉川大学大学院脳科学研究科・2 関西福祉科学大学) P-05 乳幼児の音声表現の多様性 ―5児の「おかあさん」の音声分析をもとに― 坂井康子 (甲南女子大学) P-06 ノンパラメトリックベイズモデルを用いた時系列生理指標解析に基づく情動推定の試み ~乳児の情動発達過程の解明を目指して~ 堀井隆斗・長井志江・浅田 稔 (大阪大学大学院工学研究科) P-07 顕著性に基づく注視と予測学習を通した目標指向動作の理解 長井 志江・Jorge Luis Copete・浅田 稔 (大阪大学大学院工学研究科) P-08 母体のストレスが胎児に与える免疫学的影響-第3報- 田中滋己 1・山本初実 1・河合優年 2 (1 国立病院機構三重中央医療センター 臨床研究部・2 武庫川女子大学 教育研究所・子ど も発達科学研究センター) P-09 「要求に沿わない結果」に対する幼児の意図帰属に行為者間の関係性が及ぼす影響 宇土裕亮 1・長江侑紀 1・浦田恭子 1・橋彌和秀 2 (1 九州大学教育学部・2 九州大学大学院人間環境学研究所) P-10 広汎性発達障がい児の出生早期における運動・行動特性 儀間裕貴 1・木原秀樹 2・中野尚子 3・渡辺はま 1・中村友彦 2・多賀厳太郎 1 (1 東京大学大学院教育学研究科・2 長野県立こども病院・3 杏林大学保健学部) 28 P-11 母親の mind-mindedness と子どものアタッチメント: 予備的検討についての報告 篠原郁子 (国立教育政策研究所) P-12 音楽に対する3ヶ月児の心拍反応 梶川祥世 1 ・黒石純子 2 (1 玉川大学リベラルアーツ学部・2 ピジョン(株)中央研究所) P-13 歯科医師と助産師の連携による乳児保護者への小児口腔保健指導の取り組み 今村由紀 1,2・塚本淳子 1・直井亜紀 3 (1NPO 法人歯ぐくみ・2 まゆみ矯正こども歯科・3 さら助産院) P-14 乳児の後側頭領域における人物同定能力の発達 近赤外分光法を用いた神経順応パラダイムによる検討 小林恵 1、2・大塚由美子 3・金沢創 4#・山口真美 5・柿木隆介 1 (1 自然科学研究機構生理学研究所・2 日本学術振興会・3The University of New South Wales・ 4 P-15 日本女子大学・5 中央大学) 乳幼児における女性顔選好への匂いの効果 田中礼紀 1・金沢創 2・山口真美 3 (1 中央大学大学院文学研究科・2 日本女子大学・3 中央大学) P-16 キャストシャドウによる対象の接近・後退運動知覚の発達 伊村 知子 1・森 柚紀 2#・白井 述2 (1 新潟国際情報大学情報文化学部・2 新潟大学人文学部) P-17 ハイハイ動作の動作分析におけるコード化の試み(1) 動作分析コード化基準の提案 富山愛弓 1・上原ひろの2・永瀬慎介1・夏迫歩美2・藤澤衣里奈1・近藤麻衣1・藤森美菜子1・ 寺尾瞳3・鶴崎俊哉3 (1 長崎百合野病院・2 長崎大学病院リハビリテーション部・3長崎大学大学院医歯薬学総合 研究科) P-18 ハイハイ動作の動作分析におけるコード化の試み(2) 動作分析コード化基準の検討 上原ひろの 1・富山 愛弓 2・永瀬 慎介 2・夏迫 藤澤衣里奈 2・近藤 麻衣 2・藤森美菜子 2・鶴崎 歩美 1 俊哉3・寺尾 瞳3 (1 長崎大学病院リハビリテーション部・2 長崎百合野病院リハビリテーション科・3長崎大 学大学院医歯薬学総合研究科) 29 P-19 乳児は匂いのついた玩具を好むか 作田由衣子 1,4・稲田祐奈 1・和田有史 2・國枝里美 3・金沢創 1・山口真美 4 (1 日本女子大学・2 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所・ 3 P-20 高砂香料工業株式会社・4 中央大学) 乳児は絵本読み聞かせ場面で何を学んでいるのか 大橋喜美子 1・今福理博 2,3・明和政子 2 (1 神戸女子大学文学部・2 京都大学大学院教育学研究科・3 日本学術振興会) P-21 デジタル絵本遊びが母子の共同注意に与える効果 生後 12 か月児と母親の視線やりとりの検討から 佐藤鮎美 1・佐藤朝美 2#・石川由美子 3#・齋藤有 4#・堀川悦夫 5# (1 京都橘大学健康科学部・2 愛知淑徳大学人間情報学部・3 聖学院大学人間福祉学部・4 ル ーテル学院大学総合人間学部・5 佐賀大学医学部) P-22 10 ヶ月児の絵本に対する注視行動に影響を与える要因 乙部貴幸 1・中井昭夫 2・竹内惠子 3・森俊之 4・谷出千代子 5・高谷理恵子 6 (1 仁愛女子短期大学 幼児教育学科・2 兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どもの睡眠 と発達医療センター・3 福井大学 教育地域科学部・4 仁愛大学 人間学部・5 仁愛大学 人間生 活学部・6 福島大学 人間発達文化学類) P-23 「他者―他者」間の社会的随伴性が乳児期の模倣学習に与える影響 山本弥佳・鹿子木康弘・明和政子 (京都大学大学院教育学研究科) P-24 食物分配場面にみる母子間相互作用の進化的基盤―オランウータンからの検討― 山本英実 1・林美里 2・明和政子 1・S. Dharmalingam3 (1 京都大学大学院教育学研究科・2 京都大学霊長類研究所・3 Bukit Merah Orang Utan Island Foundation) P-25 吹き出しを用いた人形遊びの誤信念課題への影響 安井愛可 1・小幡亜希子 2・吉村美奈 2・山本淳一 3・皆川泰代 3 (1 慶應義塾大学大学院社会学研究科・2 日立ハイテクノロジーズ・3 慶應義塾大学文学部) P-26 アタッチメント安定傾向の母親による乳児のネガティブ情動表出への心的帰属 調律的応答を支える認知的バイアスの検討 蒲谷槙介 (東京大学大学院教育学研究科・日本学術振興会) 30 P-27 乳児の行動・生理状態が母親の抱き行動に及ぼす影響 西村優美子・鹿子木康弘・明和政子 (京都大学大学院教育学研究科) P-28 1歳児音楽教室におけるロープ教材を用いた実践 音楽的行動の成立を支えるモノの性質に着目して 山﨑寛恵 1・森内秀夫 1 (1 ヤマハ音楽振興会ヤマハ音楽研究所) P-29 乳児の睡眠紡錘波の出現頻度・持続時間・左右同期性 佐治 量哉 1 (1 玉川大学脳科学研究所) P-30 15 ヵ月児における公平感 1 ―社会的評価との関係― 2# 上野美果 ・Merito Marek ・板倉昭二 1 (1 京都大学文学研究科・2 日本学術振興会) P-31 医師は乳幼児にとって常に怖い存在か? 渡部基信 1,3 2 「医者嫌い」のメカニズムの解明 3 ・加藤正晴 ・松田佳尚 ・小西行郎 3 (1 学研都市病院・2NTT コミュニケーション科学基礎研究所・3 同志社大学赤ちゃん学研究セ ンター) P-32 乳児の泣き・笑いと母親の心理・生理学的回復力 水垣さなえ・明和政子 (京都大学大学院教育学研究科) P-33 子どもの音声模倣に対する母親の反応と子どもの言語発達 小椋たみ子 1・浜辺直子・増田珠巳 1・平井純子 1 (1 帝塚山大学現代生活学部) P-34 項目依拠的規則に加えた統語範疇遷移規則の獲得がもたらす過去形の過剰一般化の発達的 変化 計算論モデルによる検討 河合 祐司 1・大嶋 悠司 2・浅田 稔 1 (1 大阪大学大学院工学研究科・2NTT ソフトウェアイノベーションセンタ) P-35 幼児期における向社会的行動の認知的基盤:認知的共感との関連から 河原徳恵 1・今福理博 1,2・鹿子木康弘 1・明和政子 1 (京都大学大学院教育学研究科 1・日本学術振興会 2) 31 P-36 電気生理学機能検査を通しての重度障害乳幼児とのコミュニケーション 高谷恒範・平野絵美・中谷賢司・田戸志舞・辻中彩香・加藤順子・山本さよみ・吉田秀子・ 西田幸世・水野麗子・山崎正晴 1)・大仲雅之 2)4)・嶋緑倫 2)・ 尾崎由美 3)・ 高橋幸博 4) (奈良県立医科大学付属病院中央臨床検査部 同 小児科 2) 同 リハビリセンター3) 総合周産期母子医療センター新生児集中治療部門 4)) 同 P-37 1) 選好注視法と視線計測装置を用いた乳幼児発達の健診課題 松田佳尚 1・小西行彦 2・日下隆 2・徳地暢子 2・山口真美 3・金沢創 4・小西行郎 1 (1 同志社大学赤ちゃん学研究センター・2 香川大学医学部・ 3 P-38 中央大学文学部・4 日本女子大学人間社会学部) 赤ちゃん返りの実態 1 ―幼稚園保護者の長子対象調査結果― 2 鎌田 次郎 ・川本 祥也 # (1 関西福祉科学大学社会福祉学部臨床心理学科・2(株)ミヤマ産業) P-39 乳児音声シグナルに対する反応 ―実験場面における養育経験者と養育未経験者の心拍数の検討― 竹中 和子 1・下見 千恵 2 (1 広島大学大学院医歯薬保健学研究科・2 広島都市学園大学) P-40 日本人1歳児におけるオノマトペの理解 池田彩夏 1・2 3 ・小林哲生 ・板倉昭二 -一般語との比較から- 1 1 ( 京都大学大学院文学研究科・2 日本学術振興会・3NTT コミュニケーション科学基礎研究所) P-41 統語範疇の精緻化に基づく幼児の名詞・動詞般用発達モデル 大嶋悠司*1・河合祐司・笹本勇輝*2・長井志江・浅田稔 (大阪大学大学院工学研究科) P-42 反射型フォトインタラプタを利用した吸啜動作計測 石井健太郎 1,2 ・尾形正泰 3・今井倫太 3,2 ・開一夫 1,2 (1 東京大学・2 JST CREST・3 慶應義塾大学) P-43 乳児における影知覚の発達 佐藤夏月 1,2・金沢創 3・山口真美 4 (1 中央大学大学院文学研究科・2 日本学術振興会・3 日本女子大学・4 中央大学) P-44 授乳期初期における授乳姿勢と児の吸着について(1) ―乳房に対する児身体の位置関係の測定― 阿部晃子・斉藤 哲 (ピジョン株式会社 中央研究所) 32 P-45 5-6 ヶ月児における前頭前野機能と Default Mode Network 皆川泰代 1・矢田部清美 1・星野英一 1・松田聡一郎 2・佐藤大樹 3・吉村美奈 4・牧敦 3 (1 慶應義塾大学文学部・2 慶應義塾大学大学院社会学研究科・3 日立中央研究所・4 日立ハイ テクノロジーズ) P-46 新しい劇表現活動とその発展 乳児を対象とした際の反応について 荒川正嗣・森内真紀 (社会福祉法人 豊野保育園) 33 P-1 Informing the other about a "new" object based on shared experience Xianwei Meng1࣭Kazuhide Hashiya2 㸦 ᕞᏛᏛ㝔ே㛫⎔ቃᏛᗓ࣭2 ᕞᏛே㛫⎔ቃᏛ◊✲㝔㸧 1 Inferring the epistemic states of others is considered an essential requirement for humans to communicate; however, the developmental trajectory of this ability is unclear. The aim of the current study was to shed light on this topic, by considering pointing behavior as a measure. Infants aged 13 to 18 months (n = 32, 16 females) participated in the study. The experiment consisted of two phases. In the Shared Experience Phase, both the participant and the experimenter experienced (played with) one object and the participant experienced a second object while the experimenter was absent. In the Informing Phase, the participant was seated on his mother’s lap, facing the experimenter and the two objects from the Shared Experience Phase were presented side-by-side behind the experimenter. The participants’ spontaneous production of pointing was analyzed based on video recordings. While the analysis of the Shared Experience Phase suggested no significant difference in the duration of the participants’ visual attention to the two objects, they pointed more frequently to the “new” object for the experimenter (in Experiment 1). This selective pointing was not observed when the experimenter knew neither of the two objects (in Experiment 2). These findings suggest that infants belonging to this age group spontaneously point, presumably to inform about an object, reflecting the shared experience. 34 P-2 Ꮚࡶࡢ⾜ື࠾ࡅࡿ┘どࡢຠᯝᚰࡢ⌮ㄽࡢ㛵㐃 ⸨㈗அ 1࣭㧗ᓊே 2࣭ᒸ⏣ᾈஅ 2 㸦 ⋢ᕝᏛᏛ㝔⬻ሗ◊✲⛉࣭2 ⬻⛉Ꮫ◊✲ᡤ㸧 1 ⫼ᬒ ⾜ືࡣ⪅ࡼࡿ┘どࡼࡗ࡚ಁ㐍ࡉࢀ㸦┤᥋┘どࡢຠᯝ㸧 ࠊࡲࡓࠊ⪅ࡀぢ࡚࠸ࡿࡇࢆ♧၀ ࡍࡿࡼ࠺࡞ࠊ┠ࡢ⤮࠸ࡗࡓல⣽࡞่⃭ࡼࡗ࡚ࡶಁ㐍ࡉࢀࡿࡇࡀ♧ࡉࢀ࡚࠸ࡿ㸦㛫᥋┘どࡢຠᯝ㸧 ࠋ ࡇ࠺ࡋࡓ┘どࡢຠᯝࡘ࠸࡚ࡣࠊ⪅ࡢⓗ࡞ࡿ⯙࠸ࡀホุࢆࡋ࡚➨୕⪅ࡽࡢ⾜ືࢆ ᑟࡃ࠸࠺㛫᥋ᜨᛶࡢ㆟ㄽᇶ࡙ࡁࠊホุࡢ㛵ᚰࡼࡿㄝ᫂ࡀྍ⬟࡛࠶ࡿࠋ ㏆ᖺࠊ┤᥋┘どࡢຠᯝࡀ 5 ṓඣ࠾࠸࡚ࡶ♧ࡉࢀࠊ5 ṓඣ࡛ࡍࡽホุࢆẼࡋ࡚࠸ࡿࡢゎ㔘ࡀ࡞ࡉ ࢀࡓࠋࡋࡋࠊホุࢆ⌮ゎࡍࡿࡓࡵᚲせ࡞ḟࡢಙᛕ⌮ゎࡣඣ❺ᮇྍ⬟࡞ࡿࡇࡀ♧ࡉࢀ࡚࠾ ࡾࠊ5 ṓඣࡀホุࢆ⌮ゎࡋ࡚࠸ࡿࡣ⪃࠼ࡃ࠸ࠋ୍᪉࡛ࠊ5 ṓඣ࡛ࡣ┠ࡢ๓ࡢ┦ᡭ㈨※ࡢศ㓄ࢤ࣮ ࣒ࢆ⾜࠺㝿ࠊ┦ᡭࡢᛂࢆẼࡋ࡚බᖹ࡞ศ㓄ࢆ⾜࠺ࡇࡶ♧ࡉࢀ࡚࠾ࡾࠊ5 ṓඣࡗ࡚ࡣࠊ┠ࡢ๓ ࠸ࡿ⪅ࡽࡢᛂࡀࡼࡾ㔜せ࡛࠶ࡿ᥎ ࡉࢀࡿࠋ ࡑࡇ࡛ᮏ◊✲࡛ࡣࠊ5 ṓඣࡢ⾜ື࠾ࡅࡿ┘どࡢຠᯝࡣࠊホุࡢ㛵ᚰࡼࡾࡶࠊ┠ࡢ๓ࡢ⪅ ࡽࡢ┤᥋ࡢᛂࢆẼࡍࡿࡇࡼࡗ࡚⏕ࡌ࡚࠸ࡿ⪃࠼ࠊ2 ࡘࡢㄪᰝࢆᐇࡋࡓࠋ ➨ ㄪᰝ ᗂ⛶ᅬᖺ㛗⤌ࡢ 29 ྡ㸦⏨ඣ 13 ྡࠊዪඣ 16 ྡࠊᖹᆒᖺ㱋 5.3 ṓࠊSD = 0.5㸧ࢆᑐ㇟ࡋࠊ⾜ື ࠾ࡅࡿ┤᥋┘どࡢຠᯝࠊ㛫᥋┘どࡢຠᯝࢆ᳨ウࡋࠊࡲࡓᚰࡢ⌮ㄽࡢ⋓ᚓ㸦୍ḟḟࡢಙᛕ⌮ゎ㸧 ࡘ࠸࡚ࡶ☜ㄆࢆ⾜ࡗࡓࠋලయⓗࡣࠊཧຍ⪅ࡣ⮬㌟༏ྡࡢࢡࣛࢫ࣓࣮ࢺ 1 ேࡢ㛫࡛ࠊ10 ಶࡢ࠾Ⳬ Ꮚࢆዲࡁ࡞ࡼ࠺ศ㓄ࡋࡓ㸦⊂⪅ࢤ࣮࣒㸧ࠋࡑࡢ㝿ࠊᐇ㦂⪅ࡀᶓ࠸ࡿ≧ἣ㸦┤᥋┘ど㸧ࠊᐇ㦂⪅ࡀ ࠾ࡽࡎࣔࢽࢱ࣮┠ࡢ⤮ࡀ⾲♧ࡉࢀ࡚࠸ࡿ≧ἣ㸦㛫᥋┘ど㸧 ࠊᐇ㦂⪅ࡀ࠾ࡽࡎࣔࢽࢱ࣮ⰼࡢ⤮ࡀ⾲♧ ࡉࢀ࡚࠸ࡿ≧ἣ㸦┘ど࡞ࡋ㸧࠸࠺ 3 ࡘࡢ᮲௳ࡀ⿕㦂⪅ෆせᅉࡋ࡚タᐃࡉࢀࡓࠋᚰࡢ⌮ㄽࡘ࠸࡚ ࡣࠊ୍ḟⓗㄗಙᛕㄢ㢟ḟⓗㄗಙᛕㄢ㢟ࢆ PC ࡢࣔࢽࢱ࣮ୖ࡛ࠊࡑࢀࡒࢀูࡢ᪥ᐇࡋࡓࠋ 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目的 育児における音楽の使用は、乳児の情動調節を補助し、親子間コミュニケーションを促進すること が知られている。例えば、早期出生児における音楽呈示の鎮静・安定効果や(Amini et al., 2013)、出生 前に聴取した既知旋律に対する新生児の注意喚起が示されてきた(Granier-Deferre et al., 2011) 。また 3 カ月齢頃には、母親の歌唱音声と朗読音声に対し異なる反応を示す(梶川・黒石,2011)など、音楽 が育児において固有の機能をもつことが分かっている。多くの先行研究では、子守歌や器楽曲が慣習 的に音楽刺激として使用されてきたが、どのような音楽であっても同様の効果をもつのか、また乳児 の反応に影響を及ぼす要素は何かという問題について、未だ明確にされていない。本研究は、生後 3 カ月において聴き慣れた音楽と新奇音楽、母親歌唱音声、自然環境音を用いて、聴取時の乳児の心拍 反応を比較し、音楽への親和度、音色、演奏形態の観点から検討を行った。 方法 【対象】 3 カ月児 6 名(男女各 3 名)。平均 104 日齢(92-115 日齢)であった。6 名とも正期産で健康状態は 良好、出生体重は 2600g 以上であった。第二子 5 名、第三子 1 名である。 【手続き】 児の出生 1~14 日後(平均 7 日)から実験日までの期間に、 「ゆりかごの歌」を含む童謡 CD を家庭 で任意に聴取し、日時、場面、曲目、母親歌唱の有無を日誌に記録してもらった。 生後 3 ヵ月時に聴取実験を実施した。覚醒し機嫌良好な状態の乳児を実験室内のベッドに仰臥位で 寝かせ、母親はその傍らの椅子に腰かけた。まず 1 分間の無音の後、①「ゆりかごの歌」 (既知、女声・ 伴奏付)、②「ショパン子守歌変二長調作品 57」(新奇、ピアノ独奏)の冒頭 2 分間をスピーカーから 呈示した。この後休憩を挟み実験を再開した。1 分間の無音の後、③母親による歌いかけ、④自然環境 音(新奇、鳥の鳴き声とせせらぎの音)の呈示を各 2 分間行った。①と②、③と④の間に各 1 分間の 無音を挿入した。実験全体を通して、メモリー心拍計(GMS)により乳児の心拍を測定した。心拍解 析ソフトウェアにより抽出された 2 秒毎の心拍数平均をもとに、各条件の 30 秒毎平均値を算出した。 10 Dif f erence of mean HR (bpm) 結果 対象児全体の傾向として、すべての音刺激に 対し開始直後 30 秒間の心拍平均が直前 30 秒間 の平均から低下し、聴覚定位反応がみられた (Fig.1)。既知歌(CD(vocal))とピアノ独奏(CD (piano))では低下が必ずしも継続せず、変化の パターンには個人差がみられた。これに対し、 母親歌唱音声と自然環境音は共通傾向として心 拍平均の低下が継続してみられた。尚、童謡 CD の平均聴取日数は 59 日(SD = 29.5)、期間全体 に対し平均 58%(SD = 31.9)であった。 1-30 (s) 31-60 61-90 91-120 5 0 -5 -10 -15 CD(vocal) CD(piano) Fig.1 Singing CD(nature) Mean difference of heart rate. Error bar stands for SE. 考察 音楽に対する反応には個人差がみられ、生後 3 カ月において既に経験の量や質が大きく関わること を示唆する結果を得た。一方母親歌唱音声と自然環境音に対しては、比較的安定して心拍低下がみら れた。母親の歌唱音声のみならず新奇な録音音声にも継続的に注意が喚起されたことは、生物音声に 対する固有の反応であるのかもしれない。今後は出生前後の音楽経験をより厳密に捉える方法を検討 し、生後 1~2 カ月、4 カ月以降の時期においても比較を行いたい。 45 P-13 ṑ⛉་ᖌຓ⏘ᖌࡢ㐃ᦠࡼࡿ ஙඣಖㆤ⪅ࡢᑠඣཱྀ⭍ಖᣦᑟࡢྲྀࡾ⤌ࡳ ᮧ⏤⣖ 1,2࣭ሯᮏ῟Ꮚ 1࣭┤ள⣖ 3 㸦 NPO ἲேṑࡄࡃࡳ࣭2 ࡲࡺࡳ▹ṇࡇࡶṑ⛉࣭3 ࡉࡽຓ⏘㝔㸧 1 ࠙┠ⓗࠚᡃࡀᅜ࡛ࡣࠊ1 ṓ 6 ࢝᭶᳨デࡲ࡛ᑓ㛛ᶵ㛵ᑠඣࡢཱྀ⭍ࡘ࠸࡚ᑜࡡࡿᶵࡢ࡞࠸ಖㆤ⪅ࡶከ ࡃࠊཱྀ⭍ࢣࡢ᪉ἲࡸṑࡢⴌฟࡘ࠸࡚࡞ࠊᵝࠎ࡞ၥࢆᢪࡁ࡞ࡀࡽࡶࠊ▱ேࡸࣥࢱ࣮ࢿࢵࢺୖ ࡢሗ㢗ࡿࢣ࣮ࢫࡀᑡ࡞ࡃ࡞࠸ࠋNPO ἲேṑࡄࡃࡳ࡛ࡣࠊ⫱ඣ୰ࡢಖㆤ⪅ࠊ≉ࡲࡔᑓ㛛ᶵ㛵ࢆཷ デࡍࡿࡇࡢᑡ࡞࠸ஙᗂඣࡢಖㆤ⪅ྥࡅࠊᑠඣṑ⛉་ࡽࡢሗᥦ౪ࢆࡍࡿࡇࢆ┠ⓗࠊࢭ࣑ࢼ ࣮㛤ദࡸẕぶྥࡅ࣋ࣥࢺࡢฟᒎ࡞ࡢάືࢆ⾜ࡗ࡚࠸ࡿࠋᅇࡣࡑࡢ୍ࡋ࡚ࠊຓ⏘ᖌࡢ㐃 ᦠࡼࡿࠊஙඣࡢಖㆤ⪅ྥࡅᑠඣཱྀ⭍ಖᣦᑟࡢྲྀࡾ⤌ࡳࢆሗ࿌ࡍࡿࠋ ࠙ᑐ㇟ࠚຓ⏘ᖌࡢ㛤ദࡍࡿ࣋ࣅ࣮࣐ࢵࢧ࣮ࢪࢡࣛࢫཧຍࡋࡓ⏕ᚋ 2 ࢝᭶ࡽ 1 ṓࡢஙඣ࠾ࡼࡧࡑࡢẕ ぶ㸦ẖᅇ 12 ⤌ 24 ྡ㸧ྥࡅࠊᑠඣṑ⛉་ࡼࡿᑠඣཱྀ⭍ಖ㛵ࡍࡿㅮᗙࢆ㛤ദࡋ࡚࠸ࡿࠋ㐌 1 ᅇ ⾜ࢃࢀ࡚࠸ࡿ࣋ࣅ࣮࣐ࢵࢧ࣮ࢪࢡࣛࢫ࡛ࡣࠊẖᅇࠕ࣐࣐ྥࡅ࣑ࢽㅮᗙࠖࡋ࡚ࠊ㞳ங㣗ࡸ༞ங࡞ࠊ Ꮚ⫱࡚㛵ࡍࡿㅮᗙࡀ㛤ദࡉࢀ࡚࠾ࡾࠊṑ⛉་ᖌࡀᢸᙜࡍࡿㅮᗙࡣࡑࡢ୰ࡢ 1 ㅮᗙ࡛࠶ࡾࠊ༢Ⓨ⤖ ㅮᗙࡋ࡚ࠊ1㹼2 ࢝᭶୍ᗘ⥅⥆ⓗ⾜ࡗ࡚࠸ࡿࠋ ࠙ෆᐜࠚ ࠕ࣐ࢼࢫ 1 ṓࡽࡢṑண㜵ࠖ ࠕ▱ࡗ࡚࠾ࡁࡓ࠸ṑࡸ࠾ཱྀࡢ⥭ᛴែࡢᑐฎἲࠖ ࠕᑠඣṑ⛉་ ࡀ࠾ఏ࠼ࡍࡿ㉥ࡕࡷࢇࡢṑ࠾ཱྀࡢヰࠖ࡞ࢆࢸ࣮࣐ࡋࡓ 30 ศࡢㅮᗙࢆ㛤ദࡋ࡚࠸ࡿࠊཧຍ⪅୍ ே୍ேࡽࠊ㉥ࡕࡷࢇࡢṑࡸཱྀ㛵ࡍࡿၥࠊᝎࡳࡘ࠸࡚ఛࡗ࡚࠸ࡿࠋࡲࡓࠊㅮᗙ⤊ᚋಶูࡢ ┦ㄯࡶᛂࡌ࡚࠸ࡿࠋཧຍ⪅ࡽࡣࠊṑࡀ⏕࠼࡚࠸࡞࠸ᮇࡸࠊ⏕࠼ࡓࡤࡾࡢᮇࡢཱྀ⭍ࢣࡢ᪉ 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先に行い、次に匂いあり条件を行い、女性顔への選好を調べるため、選好注視法を用いた。それ ぞれの条件での刺激提示時間は、それぞれ 15 秒×2 試行(左右の入れ替え)の計 30 秒間であっ た。 【結果】 匂いなし条件と匂いあり条件にお ける女性顔への注視率を調べた。各 条件における女性顔注視率を右に示 した(Figure 2)。この結果から、8 ヵ月児で匂いにより女性顔への選好 が促進されることが示唆される。現 在、データ取得中であるため、当日 はデータを追加して、発表する。 Figure 2. 女性顔選好への匂いの効果 48 P-16 ࢟ࣕࢫࢺࢩࣕࢻ࢘ࡼࡿᑐ㇟ࡢ᥋㏆࣭ᚋ㏥㐠ື▱ぬࡢⓎ㐩 ఀᮧ ▱Ꮚ 1࣭᳃ ᰆ⣖ 2㸡࣭ⓑ ㏙ 2 㸦 ᪂₲ᅜ㝿ሗᏛሗᩥᏛ㒊࣭2 ᪂₲ᏛேᩥᏛ㒊㸧 1 ࠙┠ⓗࠚ ᑐ㇟ࡢ᥋㏆࣭ᚋ㏥▱ぬࡣࠊ⾪✺㇟ࡸࠊᤕ㣗⪅➼ࡢ㐼㐝࡞ࡢ༴ᶵࡢᅇ㑊㈉⊩ࡍࡿࠊࣄࢺࢆྵ ࡴື≀୍⯡ࡗ࡚ྍḞ࡞どぬሗࡢ ࡘ࡛࠶ࡿࠋඛ⾜◊✲ࡼࡾࠊほᐹ⪅᥋㏆ࡋ࡚ࡃࡿᑐ㇟ࡢ▱ ぬᡭࡀࡾ࡞ࡿᣑ㐠ືࣃࢱࣥࡢ᳨ฟࡣࠊほᐹ⪅ࡽ㐲ࡊࡿ㸦ᚋ㏥ࡍࡿ㸧ᑐ㇟ࡢ▱ぬᡭࡀࡾ ࡞ࡿ⦰ᑠ㐠ືࣃࢱࣥࡢ᳨ฟẚࠊ⣲᪩ࡃຠ⋡ⓗ࡛࠶ࡿࡇ㸦7DNHXFKL㸧 ࠊࡑ࠺ࡋࡓഴྥࡣᑡ࡞ ࡃࡶ⏕ᚋ ࣨ᭶ࡢஙඣࡶㄆࡵࡽࢀࡿࡇࡀሗ࿌ࡉࢀ࡚࠸ࡿ㸦6KLUDL<DPDJXFKL㸧ࠋ୍᪉ᡂ ே࡛ࡣᣑ࣭⦰ᑠ㐠ືࡔࡅ࡛࡞ࡃࠊ࢟ࣕࢫࢺࢩࣕࢻ࢘㸦௨ୗࠊᙳࡍࡿ㸧ࡢࡼ࠺࡞⤮⏬ⓗዟ⾜ࡁᡭࡀ ࡾࡼࡿᑐ㇟ࡢ᥋㏆࣭ᚋ㏥ࡢどぬ᥈⣴ㄢ㢟࠾࠸࡚ࡶࠊᑐ㇟ࡢ᥋㏆ࡢ᳨ฟࡀࠊᚋ㏥ࡢ᳨ฟẚ࡚ ඃ࡛࠶ࡿࡇࡀ♧ࡉࢀ࡚࠸ࡿ㸦,PXUDHWDO㸧ࠋᮏ◊✲࡛ࡣࠊஙඣᮇ࠾ࡅࡿ᥋㏆᳨ฟᚋ㏥ ᳨ฟࡢ㠀ᑐ⛠ᛶࡢ୍⯡ᛶࡘ࠸᳨࡚ウࡍࡿࡓࡵࠊ⏕ᚋ ࣨ᭶ࡽ ࣨ᭶ࡢஙඣࢆᑐ㇟ࠊᙳࡼࡿᑐ ㇟ࡢ᥋㏆ᚋ㏥ࡢ㐠ືࡢ▱ぬⓎ㐩ࢆᐇ㦂ⓗ᳨ドࡋࡓࠋ ࠙᪉ἲࠚ ᐇ㦂ཧຍ⪅㸸5-12 ࣨ᭶ඣ 23 ྡ㸦ᐇ㦂 1㸧ࠊ5-12 ࣨ᭶ඣ 22 ྡ㸦ᐇ㦂 2㸧ࠋ ่⃭㸸11 ಶࡢᚋ㏥่⃭ࡢ୰ 1 ಶࡢ᥋㏆่⃭ࡀྵࡲࢀࡓ᥋㏆᳨ฟ᮲௳ࠊ11 ಶࡢ᥋㏆่⃭ࡢ୰ 1 ಶ ࡢᚋ㏥่⃭ࡀྵࡲࢀࡓᚋ㏥᳨ฟ᮲௳ࡢ 2 ✀㢮ࡢどぬ᥈⣴⏬㠃ࢆ⏝࠸ࡓࠋ่⃭ࡣ࠸ࡎࢀࡶṇ᪉ᙧᙳ ࡽ࡞ࡾࠊ᥋㏆่⃭ࡣᙳࢆྑୗࠊᚋ㏥่⃭ࡣᙳࢆᕥୖືࡍࡇࡼࡾࠊᡂேࡣṇ᪉ᙧࡀ᥋㏆ࠊ ᚋ㏥ࡍࡿࡼ࠺▱ぬࡉࢀࡿࠋࡇࡢ่⃭ࢆ⦪ 3ᶓ 4 ࡢ㓄ิ㓄⨨ࡋࠊࡑࡢ࠺ࡕࡢ୰ẁࡢᕥྑ࠸ࡎࢀࠊ 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3・金沢創 1・山口真美 4 ( 日本女子大学・2 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所・ 3 高砂香料工業株式会社・4 中央大学) 1 乳児は生後すぐにも未知の匂いと既知の匂いを区別できることが知られている(Mennella, & Beauchamp, 1998; Mennella, Jagnow, & Beauchamp, 2001)。乳児は優れた嗅覚を有しており、匂いの種類 により、匂いを発する物体への好みや、その物体に対する行動が変化するのではないかと考えられる。 7-15 ヶ月児を対象とし、玩具とスミレの匂いを用いて、匂い付き玩具と匂い無し玩具に対する探索行 動を比較した研究では、乳児は匂い無しの玩具をより多く手に取ったり口に入れたりし、匂い付きの 玩具を避ける傾向がみられた(Durand, Baudon, Freydefont, & Schaal, 2008)。スミレの匂いが乳児にとっ てなじみがないことなどが、乳児の匂い付き玩具に対する接触行動を減少させた可能性がある。また、 6-13 ヶ月児を対象に、バニラ、エタノールの匂いを使用して匂い付き玩具への行動を測定した研究で は、匂いが母乳を通してなじみがある場合は、その匂いのする玩具への接触頻度(注視、口に入れる) が増加した(Mennella & Beauchamp, 1998)。以上の研究より、匂いになじみがある場合は、その匂いの する玩具への行動が促進されるが、なじみのない匂いの場合は回避的となる可能性がある。そこで本 研究では、匂いの既知性と食物/非食物の分類が乳児の行動に及ぼす影響を系統的に検討した。なじみ のある食べ物の匂いは、その匂いのついた玩具への探索行動をより促進することが期待される。 方法 実験参加者:12-13 ヶ月児 27 名(男児 13 名、女児 14 名)。平均日齢 374.3 日(SD=22.1)。 刺激:匂い刺激として、ミルク香料(50%エタノール溶液)、洗剤(50%水溶液)、アニス香料(10% エタノール溶液)を使用した。サイズと見た目の類似した布製のラトル 2 種類を用意し、片方を匂い 付き玩具、もう片方を匂い無し玩具として乳児に提示した。匂いの種類は被験者間要因とした。 手続き:匂いのついた玩具と匂いのついていない玩具を乳児に提示し、自由に遊ばせる自由探索実験 を行った。まず、匂い付き玩具、匂い無し玩具の順に、30 秒×2 回ずつ乳児の顔の前に提示した。そ の後 1 分の休憩を挟み、匂い付き玩具、匂い無し玩具の順に、それぞれ 5 分間ずつ自由に遊ばせた。 実験中、乳児は母親のひざの上に座らせ、テーブルの上に玩具を置いて遊ばせた。乳児の行動をビデ オカメラで記録し、行動(握る・操作・口に入れる)の総時間と回数を測定した。 ( 結果と考察 それぞれの玩具で遊んだ総時間(秒)について、匂いの種類ごとに、性別×匂い有無の分散分析を 行った(図 1) 。その結果、ミルクを提示した群は女児の方が男児より玩具で遊ぶ時間が長く(p < .05)、 匂い有り玩具の方が匂い無し玩具より遊ぶ時間が長い傾向(p = .07)がみられた。他の匂いでは有意差 および有意傾向は見られなかった。また、 匂い有 300 * t 検定の結果、女児では匂い有り玩具の 匂い無 方が匂い無し玩具よりも遊ぶ時間が長 総 250 い傾向が見られた(p = .07) 時 200 間 以上の結果より、匂いの種類により乳 150 児の行動に異なる影響がみられた。特に 秒 ミルク(既知の食物)の匂いは乳児にと 100 って重要な意味を持つことから、その匂 50 いのする物体に対する乳児の行動を促 0 進したと考えられる。また、女児の方が 男児 女児 男児 女児 男児 女児 匂いの違いに敏感であることが示唆さ れた。これは先行研究での知見と一致す ミルク 洗剤 アニス る(e.g., Brad & Millot, 2001 for review; 図 1 それぞれの玩具で遊んだ時間の総計(秒) Fernandez & Bahrick, 1994) 。 (*: p < .05, Error bar: SE) ) 52 P-20 ஙඣࡣ⤮ᮏㄞࡳ⪺ࡏሙ㠃࡛ఱࢆᏛࢇ࡛࠸ࡿࡢ ᶫ႐⨾Ꮚ 1࣭⚟⌮༤ 2,3࣭᫂ᨻᏊ 2 㸦1 ⚄ᡞዪᏊᏛᩥᏛ㒊࣭2 ி㒔ᏛᏛ㝔ᩍ⫱Ꮫ◊✲⛉࣭3 ᪥ᮏᏛ⾡⯆㸧 ࠙ၥ㢟ࡢᡤᅾ┠ⓗࠚ ஙඣᮇࡢ▱ぬ࣭ㄆ▱Ⓨ㐩ࢇࡍࡿᐇド◊✲ࡣ┠ぬࡲࡋ࠸㐍ᒎࢆࡆࠊࣄࢺࡣⓎ㐩ึᮇࡽ㦫ࡃ ࡁ⬟ຊࢆ㌟ࡘࡅ࡚࠸ࡿࡇࡀࢃࡗ࡚ࡁࡓࠋ⚾ࡓࡕࡣࡇ࠺ࡋࡓᇶ♏◊✲ࡢᡂᯝࢆಖ⫱ࠊᩍ⫱ሙ㠃࡛ 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分間)の母子相互作用を下記の共同注意に関する指標(Martins, 2003; Osorio et al., 2011 を参考に改変)および注視対象に関する指標によりコード化した。(1)共同注意 に関しては:(a)母親からの働きかけ;①絵本で子どもに接触,②絵本を動かす,③絵本を見せる,④ 絵本を差し出す,⑤指さし,⑥行動モデルの提示,⑦言語指示,⑧ページめくり,(b)乳児の反応;① 並列注意(交互注視なしの共同注意),②応答的共同注意(交互注視ありの共同注意),③無視,の行 動をコード化した。(2) 乳児および母親の対象別注視時間は:(a)相手の顔,(b)絵本,(c)それ以外を注 視した時間が測定された。 結 果 乳児の反応の割合および母子の対象別注視時間(秒)の各場面間の差を被験者内計画(1×3)の分散分 析により検定した。その結果,応答的共同注意割合は紙絵本場面に比べ音有デジタル絵本場面で有意 に低い傾向があった(p = .082)。また,母親の子どもへ向けられた注視時間も,紙絵本場面に比べ音有 デジタル場面でより短かった(p < .05) 。さらに,母子の対象別注視時間の各項目と乳児の反応の割合 の各項目の相関係数を求めたところ,母親の絵本を注視する時間と並列注視割合に正の相関が,応答 的共同注意割合と負の相関があった。母親の子どもを注視する時間と応答的共同注意割合には正の相 関があった。子どもの絵本を注視する時間と応答的共同注意の間には負の相関が見られた。 90 0.16 80 0.14 注 視 時 間 ( 秒 ) 0.1 0.08 0.06 0.04 母子の注視と共同注意の相関係数 (紙絵本場面) 母親 絵本を注視 50 40 相手を注視 30 子ども 絵本を注視 10 0 紙絵本 音有絵本 音無絵本 0 紙絵本 -0.04 Figure 1 60 20 0.02 -0.02 Table 1 70 0.12 各場面における応答的共同注意 音有絵本 音無絵本 Figure 2 各場面における母親の子どもへ の注視時間 相手を注視 並列注視 .950 * -.923 並列注視 .841 -.703 応答的共同注意 -.996 ** .975 * 応答的共同注意 -.952 * .741 *p < .05, **p < .01 考 察 分散分析の結果から,音有のデジタル絵本場面では,母子ともにやりとりしている相手への注意が 低下している可能性が示唆された。また,相関係数から,特に母親が絵本へ注意を向けすぎることが 並列注視を促し,応答的共同注意の頻度を低め,逆に相手へ注意を向けることが応答的共同注意の頻 度を高める可能性が示唆された。 54 P-22 10 ࣨ᭶ඣࡢ⤮ᮏᑐࡍࡿὀど⾜ືᙳ㡪ࢆ࠼ࡿせᅉ எ㒊㈗ᖾ 1࣭୰ኵ 2࣭➉ෆᏊ 3࣭᳃ಇஅ 4࣭㇂ฟ༓௦Ꮚ 5࣭㧗㇂⌮ᜨᏊ 6 1 㸦 ோឡዪᏊ▷ᮇᏛ ᗂඣᩍ⫱Ꮫ⛉࣭2 රᗜ┴❧ࣜࣁࣅࣜࢸ࣮ࢩࣙࣥ୰ኸ㝔 Ꮚࡶࡢ╧╀Ⓨ㐩་⒪ࢭࣥࢱ࣮࣭ 3 ⚟Ꮫ ᩍ⫱ᆅᇦ⛉Ꮫ㒊࣭4 ோឡᏛ ே㛫Ꮫ㒊࣭5 ோឡᏛ ே㛫⏕άᏛ㒊࣭6 ⚟ᓥᏛ ே㛫Ⓨ㐩ᩥᏛ㢮㸧 ࠙⫼ᬒ࣭┠ⓗࠚ ⤮ᮏࡢㄞࡳ⪺ࡏࡣྂࡃࡽ⫱ඣ࣭ಖ⫱⌧ሙ࠾࠸࡚᪥ᖖⓗ⾜ࢃࢀ࡚ࡁࡓ⾜Ⅽ࡛࠶ࡿࠋࡋࡋ㏆ ᖺࠊ2000 ᖺ᪥ᮏ࡛ࡶጞࡲࡗࡓࠕࣈࢵࢡࢫࢱ࣮ࢺࠖ㐠ືࡢᙳ㡪ࡶ࠶ࡾࠊ≉ஙඣᮇ࠾ࡅࡿㄞࡳ⪺ ࡏࡀࡲࡍࡲࡍᗈࡲࡾࡘࡘ࠶ࡿࠋࡑࡢ୍᪉࡛ࠊ ࠕㄞࡳ⪺ࡏࠖࡀ⬻ࡢⓎ㐩ࡼ࠸࠸࠺࢟ࣕࢵࢳࣇ࣮ࣞࢬ ࡢࡶࠊᴟ➃࡞ሙྜ࡛ࡣ᪂⏕ඣᮇࡽ⾜ࢃࢀ࡚࠸ࡿࡶ࠶ࡾࠊಖㆤ⪅ࡢࡳ࡞ࡽࡎᏊࡶ㛵ࢃࡿᑓ㛛 ⫋ࡢ㛫࡛ࡶࠊ㐣࣭≉Ṧ࡞ࠕ᪩ᮇᩍ⫱ࠖࡢຓ㛗ࡸ㈇ᢸឤ࣭↔⇱ឤࡽ⫱ඣᏳࢆቑᙉࡋ࡚ࡋࡲ࠺ࡇ ࡀ༴ࡉࢀ࡚࠸ࡿࠋࡇࡢࡼ࠺࡞⫼ᬒࡽࠊ⤮ᮏࡢㄞࡳ⪺ࡏஙᗂඣࡢⓎ㐩㛵ࡋ࡚ࠊࡼࡾ⛉Ꮫⓗ࡞ ᳨ドࡀᮃࡲࢀ࡚࠸ࡿࠋ ᡃࠎࡣࡇࢀࡲ࡛ࠊ≉ 10 ࣨ᭶ඣ࠾࠸࡚ࠊㄞࡳ⪺ࡏࠊㄞࡳ⪺ࡏࢆࡋ࡚࠸࡞࠸ࡁẚࡋ࡚ ⤮ᮏᑐࡍࡿὀど㛫ࡀ㢧ⴭቑຍࡍࡿࡇࢆぢฟࡋ࡚ࡁࡓࠋࡋࡋࠊㄞࡳ⪺ࡏࡢࡢࡼ࠺࡞ഃ㠃 ࡀ 10 ࣨ᭶ඣࡢ⤮ᮏࡢὀどࢆಁ㐍ࡋࡓࡢࡘ࠸࡚ࡣᐃ࡛ࡣ࡞ࡗࡓࠋࡑࡇ࡛ᮏ◊✲࡛ࡣࠊஙඣࡀ ཷࡅྲྀࡿ㡢╔┠ࡋࠊࡢࡼ࠺࡞≉㉁ࢆᣢࡘ㡢ࡀஙඣࡢ⤮ᮏࡢὀどࢆቑຍࡉࡏࡿࢆ᳨ウࡍࡿࡇ ࢆ┠ⓗࡋࡓࠋ ࠙᪉ἲࠚ ṇᖖ‶ᮇ⏘࡛ฟ⏕ࡋࠊⓎ㐩≉ၥ㢟ࡢ࡞࠸ 10 ࣨ᭶ ࡢஙඣ 65 ྡࡀᐇ㦂ཧຍࡋࡓࠋࡇࡢ࠺ࡕࠊṇᖖ࡞࢟ࣕ ࣜࣈ࣮ࣞࢩࣙࣥࡀ⾜࠼࡞ࡗࡓஙඣ࡞ࢆ㝖ࡁࠊ᭱⤊ⓗ 60 ྡࡢࢹ࣮ࢱࢆゎᯒ⏝࠸ࡓࠋᐇ㦂⨨ࡋ࡚ Tobii T60㸦Tobii Technology AB, Sweden㸧ࢆ⏝࠸ࡓࠋ่⃭ㄢ㢟 ࡋ࡚㸲ࡢ⤮ᮏ㸦ᖹᒣᏊࠕࡃࡔࡶࡢࠖࠊᯇ㇂ࡳࡼᏊ )LJ ᐇ㦂ࢭࢵࢩࣙࣥࡢᵓᡂ㸬⤮ᮏෆࡢ࣮࣌ࢪᥦ♧㡰ᗎࡣ୍ᐃࡔࡀࠊ ࠕ࠸࡞࠸࠸࡞࠸ࡤ࠶ࠖ 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Dharmalingam3 㸦1 ி㒔ᏛᏛ㝔ᩍ⫱Ꮫ◊✲⛉࣭2 ி㒔Ꮫ㟋㛗㢮◊✲ᡤ࣭3 Bukit Merah Orang Utan Island Foundation㸧 ┠ ⓗ ࣄࢺࡣࠊ≉␗ⓗಶయ㣗≀ࢆศ㓄ࡍࡿື≀࡛࠶ࡿࠋࡓ࠼ࡤࠊᆺ㢮ே⊷ࡢ୍✀࡛࠶ࡿࢳࣥࣃ ࣥࢪ࣮ࡣࠊᏊࡶࡍࡽ✚ᴟⓗ㣗≀ࢆศࡅ࠼ࡿࡇࡣࢇ࡞࠸㸦 Hiraiwa-Hasegawa, 1990; Nishida & Turner, 1996; Silk, 1978㸧 ࠋࡓࡔࡋࠊ࣮࢜ࣛࣥ࢘ࢱࣥࡣࡢᆺ㢮ே⊷ẚࡿࠊẕぶࡽᏊ ࡶࡢ㣗≀ศ㓄⋡ࡀ㧗࠸࠸࠺ሗ࿌ࡀ࠶ࡿࠋ࣮࢜ࣛࣥ࢘ࢱࣥࡣࠊᏊࡶࡀ㸵ṓ⛬ᗘ㐩ࡍࡿࡲ࡛ẕ Ꮚࡢࡳ࡛⏕άࡍࡿ㸦Galdikas, 1985㸧ࠋࡇ࠺ࡋࡓ≉␗ⓗ࡞♫ᵓ㐀ࢆࡶࡘࡇࡽࠊ࣮࢜ࣛࣥ࢘ࢱࣥࡢẕ Ꮚ㛵ಀࡣࡢᆺ㢮ே⊷ࡣ␗࡞ࡗ࡚࠸ࡿྍ⬟ᛶࡀ࠶ࡿࡀࠊࡑࡢሗ࿌ࡣ࠸ࡲࡔ㐓ヰࣞ࣋ࣝࡲࡗ ࡚࠸ࡿࠋᮏ◊✲࡛ࡣࠊ༙㔝⏕≧ែ࡛⏕άࡍࡿ࣮࢜ࣛࣥ࢘ࢱࣥẕᏊ㸯⤌ࢆᑐ㇟ࠊ㣗≀ศ㓄ࡢᵝ┦ࢆᚤ どⓗศᯒࡋࡓࠋࡑࡢ㝿ࠊᚑ᮶⏝࠸ࡽࢀ࡚ࡁࡓ㣗≀ศ㓄ࡢᐃ⩏ࠕಶయ㛫ࡢ㣗≀ࡢ⛣ືࠖࢆᣑࡋࠊ ࠕಶ య㛫࡛㣗≀ࡢ⛣ືࡣకࢃ࡞࠸ࠖࢣ࣮ࢫࡶྵࡵ᳨ウࡋࡓࠋࡑࢀࡼࡾࠊᙼࡽࡢ㣗≀ศ㓄ࡢ⊂⮬ᛶࢆ᫂ࡽ ࡍࡿࡇࢆ┠ⓗࡋࡓࠋ ᪉ ἲ ᑐ㇟㸸༙㔝⏕ୗࡢ࣮࢜ࣛࣥ࢘ࢱࣥẕᏊ㸦1 ṓࠊ࠾ࡼࡧ 2 ṓࡢⅬ࡛ᙳ㸧ࠊ1 ⤌ࠋ ศᯒ᪉ἲ㸸㣗≀ศ㓄ࡀ㉳ࡁࡓ㸦ࠕẕぶࡀ㣗≀ࢆධᡭࡍࡿ㹼ఱࡽࡢᙧ࡛ẕぶࡢᡭࡽ㣗≀ࡀ࡞ࡃ࡞ࡿࠖ ᮇ㛫Ꮚࡶࡢ㣗≀ศ㓄ࡀᑡ࡞ࡃࡶ 1 ᗘ௨ୖ㉳ࡁࡓ㸧 ࠕࠖࢆࣅࢹ࢜グ㘓ࡽᢳฟࡋࡓࠋࡑࡢᚋࠊ ྛෆ࡛ほᐹࡉࢀࡓẕᏊࡑࢀࡒࢀࡢ⾜ືࢆࠊ ࠕᏊࡶࡢࡡࡔࡾࡢ᪉ἲࠖЍࠕࡑࢀᑐࡍࡿẕぶࡢ㣗≀ ศ㓄ࡢ᭷↓ࠖЍࠕ㣗≀ศ㓄ࡢ᪉ἲ㸦ಖᣢཱྀ࣭࠺ࡘࡋ࣭ᣠ࠸࣭チࡉࢀࡓ┐ࡳ㸧ࠖࡢὶࢀ࡛ࠊ⣔ิศᯒࢆ ⾜ࡗࡓࠋணഛศᯒࡢ⤖ᯝࠊࠕᏊࡶࡢࡡࡔࡾࠖࡢ࠺ࡕࠕᥱࡿ㸦Ꮚࡶࡀ㣗≀ࢆࡶࡘẕぶࡢᡭ㊊ࢆᥱࡿࠊ ࡲࡓࡣẕぶࡢᣢࡘ㣗≀ࢆᥱࡿ㸧ࠖ࠸࠺⾜ືࡀ㢧ⴭࡳࡽࢀࡓࠋࡑࡇ࡛ࠊᏊࡶࡀࠕᥱࡿࠖࡡࡔࡾࢆ⏕ ㉳ࡉࡏ࡚ࡽࠊẕぶࡶࡋࡃࡣ㣗≀ࡽᡭࢆ㞳ࡍࡲ࡛ࡢᮇ㛫ࡳࡽࢀࡓẕぶࡢ㌟య≧ែࢆࠊࠕ㟼Ṇࠖࠕ㐠 ືࠖ ࠕᣄྰࠖࡢ㸱ࡘศࡅ࡚⣔ิศᯒࢆ⾜࡞ࡗࡓࠋ ⤖ ᯝ Ꮚࡶࡢࡡࡔࡾࢆዎᶵࡋ࡚㣗≀ศ㓄ࡀ㉳ࡁࡓ 203 ᅇࡢ ࠺ࡕࠊẕぶࡀࠕಖᣢࠖ 㸦ẕぶࡀᡭࡸ㊊࡛ಖᣢࡋ࡚࠸ࡿ㣗≀ࢆᏊ ࡶࡀ㣗ࡿ㸧ࡍࡿࢣ࣮ࢫࡀ 92%ࢆ༨ࡵࡓ㸦ᅗ 1㸧 ࠋලయⓗࡣࠊ Ꮚࡶࡀࠕᥱࡿࠖࡡࡔࡾࢆ⏕㉳ࡉࡏ࡚㣗≀ศ㓄ࡀ㉳ࡇࡗࡓሙྜࠊ Ꮚࡶࡀ㣗≀ࢆཱྀධࢀ࡚࠸ࡿ㛫ࠊẕぶࡀࠕ㟼Ṇࠖࡋ࡚࠸ࡓ ྜࡀ 60%ࢆ༨ࡵࡓࠋࡲࡓࠊᏊࡶࡀࠕᥱࡿࠖࢆ⏕㉳ࡉࡏࡓⅬ 㸦㸿Ⅼ㸧㣗≀ࢆཱྀධࢀࡓⅬ㸦㹀Ⅼ㸧࡛ࠊẕぶࡢ㌟య ≧ែࡀࡢࡼ࠺ኚࡋࡓࢆẚ㍑ࡋࡓࠋࡑࡢ⤖ᯝࠊ㸿Ⅼ࡛ ࡣࠕ㐠ືࠖࡋ࡚࠸ࡓࡶࢃࡽࡎࠊ㹀Ⅼ࡛ࠕ㟼Ṇࠖࡋࡓ ᛂࡣయࡢ 62㸣࠶ࡗࡓࠋ 㸦 ࠕ㐠ືࠖЍࠕ㐠ືࠖ36㸣,ࠕ㐠ືࠖЍࠕᣄ ྰࠖ2㸣㸧ࠋࡉࡽࠊ㹀Ⅼ࡛ࡣࠕ㐠ືࠖ≧ែ࡛࠶ࡗ࡚ࡶࠊࡑࡢ ᚋᏊࡶࡀ㣗≀ࢆཱྀࡋ࡚࠸ࡿ㛫ࠕ㟼Ṇࠖࡋࡓሙྜࢆྵࡵࡿࠊ ᅗ㸯 㣗≀ࢆࠕಖᣢࠖࡍࡿẕぶ Ꮚࡶࡀ㣗≀ࢆཱྀධࢀࡿẕぶࡀࠕ㟼Ṇࠖࡍࡿྜࡣ 80㸣ࢆ㉸࠼࡚࠸ࡓࠋ ⪃ ᐹ ௨ୗࡢ 2 Ⅼࡀ᫂ࡽ࡞ࡗࡓࠋ 㸦㸯㸧ẕᏊ㛫ࡢ㣗≀ศ㓄ࡣࠊẕぶࡀ㣗≀ࢆࠕಖᣢࠖࡋࠊᏊࡶࡀࡑࡢ 㛫㣗ࡿࢣ࣮ࢫ㸦ಶయ㛫ࡢ㣗≀⛣ື࡞ࡋ㸧ࡀከᩘࢆ༨ࡵࡿࠋ 㸦㸰㸧ẕぶࡣࠊᏊࡶࠕᥱࡿࠖࡡࡔ ࡾࢆࡉࢀࡿࠊ㣗≀ศ㓄ࢆࡍࡿ㝿ࡣࠊᏊࡶࡀ㣗≀ࢆཱྀධࢀ࡚࠸ࡿ㛫ࠕ㟼Ṇࠖࡋ࡚ࡸࡿࡇࡀከ࠸ࠋ ࡉࡽࠊᏊࡶࡀ㣗≀ࢆ㣗࡚࠸ࡿ㛫ࡎࡗ㟼Ṇࡋ⥆ࡅ࡚ࡸࡿࡇࡉ࠼࠶ࡿࠋࡇࢀࡽࡢ⤖ᯝࡽࠊ࢜ ࣮ࣛࣥ࢘ࢱࣥࡢẕぶࡣࣄࢺࡢࡼ࠺࡞✚ᴟⓗ࡞㣗≀ศ㓄ࡣ⾜ࢃ࡞࠸ࡶࡢࡢࠊᆺ㢮ே⊷ࡢ୰࡛ࡣ㢧ⴭ࡞ ᐶᐜࡉࢆ♧ࡍࡇࡀ᫂ࡽ࡞ࡗࡓࠋ 57 P-25 ྿ࡁฟࡋࢆ⏝࠸ࡓேᙧ㐟ࡧࡢㄗಙᛕㄢ㢟ࡢᙳ㡪 Ᏻឡྍ 1࣭ᑠᖭளᕼᏊ 2࣭ྜྷᮧ⨾ዉ 2࣭ᒣᮏ῟୍ 3࣭ⓙᕝὈ௦ 3 㸦 ᠕⩏ሿᏛᏛ㝔♫Ꮫ◊✲⛉࣭2 ᪥❧ࣁࢸࢡࣀࣟࢪ࣮ࢬ࣭3 ᠕⩏ሿᏛᩥᏛ㒊㸧 1 ࠙⫼ᬒ࣭┠ⓗࠚ ⪅࠶ࡿࡣ⮬ᕫࡢᚰⓗ≧ែࢆ᥎ᐹࡍࡿᶵ⬟ࡋ࡚ᥦၐࡉࢀࡓᚰࡢ⌮ㄽࡘ࠸࡚ࡣ㸪ㄗಙᛕㄢ㢟ࡀ㛤 Ⓨࡉࢀ࡚௨᮶ከࡃࡢ◊✲ࡀ࡞ࡉࢀ࡚ࡁࡓࠋࡇࢀࡲ࡛ࡢ◊✲ࡼࡾ㸪4ṓඣࡲ࡛ࡣࡑࡢ༙ࡀㄗಙᛕㄢ㢟 ㏻㐣ࡋ࡞࠸ࡇࡸ㸪⮬㛢ඣࡶࡇࡢㄢ㢟㏻㐣ࡋ࡞࠸ࡇࡀ☜ㄆࡉࢀ࡚࠸ࡿࠋࡋࡋ㸪㏆ᖺ㸪⮬㛢 ඣࢆᑐ㇟ࡋࡓ◊✲࡛㸪྿ࡁฟࡋࢆ⏝࠸ࡓカ⦎ࢆ⾜࠺ࡇࡼࡾ㸪ㄗಙᛕㄢ㢟ࡢᡂ⦼ࡀྥୖࡍࡿࡇ ࡀ♧ࡉࢀࡓࠋ୍᪉࡛㸪ࡇࢀࡲ࡛ࡢ◊✲ࡼࡾ㸪ஙᗂඣࡀ⪅ࡢᚰⓗ≧ែࢆ⌮ゎࡍࡿ㝿ࡣど⥺ࡸ㢦ࡀ 㔜せ࡛࠶ࡿࡇࡀ♧ࡉࢀ࡚࠸ࡿࠋ ௨ୖࡢࡇࡽᮏ◊✲࡛ࡣ㸪྿ࡁฟࡋࢆ⏝࠸ࡓேᙧ㐟ࡧカ⦎ࡀ㸪᪥ᮏࡢᗂඣࡶ᭷ຠ࡛࠶ࡿࢆ᳨ ウࡍࡿࡇࢆ┠ⓗࡋࡓࠋࡲࡓ㸪ඛ㏙ࡓࡼ࠺㸪⪅ࡢᚰⓗ≧ែࡢ⌮ゎࡣど⥺࣭㢦ࡀ㛵ಀࡍࡿ ⪃࠼ࡽࢀࡿࡓࡵ㸪カ⦎⏝࠸ࡿ⋵ල㢦࡞ࡢࣉࣜࣥࢺࡢ࠶ࡿ⋵ලࣉࣜࣥࢺࡢ࡞࠸⋵ලࢆ⏝࠸࡚ ࣉࣜࣥࢺࡢ᭷↓ࡀカ⦎ࡢຠᯝࡢࡼ࠺࡞ᙳ㡪ࢆ࠼ࡿࡘ࠸࡚ࡶ᳨ウࡋࡓࠋ ࠙᪉ἲࠚ ᮏᐇ㦂ࡣ㸪ಖ⫱ᅬࡢᅬඣ 61 ྡࡀཧຍࡋࡓࠋཧຍඣࡣྛᖺ㱋ࡈ㸪௨ୗࡢ 3 ⩌ศࢀࡓࠋ3 ṓ ඣࡢࣉࣜࣥࢺ᭷ࡾ⩌ 10 ྡ㸪ࣉࣜࣥࢺ࡞ࡋ⩌ 10 ྡ㸪⤫ไ⩌ 9 ྡ㸪4 ṓඣࡢࣉࣜࣥࢺ᭷ࡾ⩌ 11 ྡ㸪ࣉࣜ ࣥࢺ࡞ࡋ⩌ 11 ྡ㸪⤫ไ⩌ 10 ྡ࡛࠶ࡗࡓࠋཧຍඣࡣ㸪カ⦎ࣇ࢙࣮ࢬࡢ๓ᚋ࡛ࢸࢫࢺࣇ࢙࣮ࢬཧຍࡋ ࡓࠋࢸࢫࢺࣇ࢙࣮ࢬ࡛ࡣ 2 ✀㢮ࡢㄗಙᛕㄢ㢟ࢆᐇࡋࡓࠋカ⦎ࣇ࢙࣮ࢬ࡛ࡣ㸪ࣉࣜࣥࢺ᭷ࡾ⩌࣭ࣉࣜ ࣥࢺ࡞ࡋ⩌ࡣ Wellman et al.(2002)ࡢカ⦎ᡭ⥆ࡁࢆඖࡋࡓカ⦎ཧຍࡋࡓࠋ⤫ไ⩌ࡣ㸪ᐇ㦂⪅୍⥴ ࣃࢬࣝ㐟ࡧࢆ⾜ࡗࡓࠋ ࠙⤖ᯝ⪃ᐹࠚ 3 ṓඣ࡛ࡣ㸪カ⦎๓ẚ࡚カ⦎ᚋࡢㄗಙᛕㄢ㢟ࡢᡂ⦼ࡀྥୖࡍࡿࡇࡢࡳࡀ♧ࡉࢀ㸪᮲௳㛫ࡢᡂ⦼ ࡢࡕࡀ࠸ࡣぢࡽࢀ࡞ࡗࡓࠋ୍᪉㸪4 ṓඣ࡛ࡣ㸪᮲௳㛫ࡢ㐪࠸ࡀぢࡽࢀ㸪ࣉࣜࣥࢺ᭷ࡾ⩌࡛ㄗಙᛕㄢ㢟 ࡢᡂ⦼ࡀྥୖࡍࡿࡇࡀ♧ࡉࢀࡓࠋ௨ୖࡢࡇࡽ㸪᪥ᮏࡢ 4 ṓࡢᖖඣᑐࡋ࡚ࡶ྿ࡁฟࡋࢆ⏝࠸ ࡓカ⦎ࡀ᭷ຠ࡛࠶ࡿࡇࡀ♧ࡉࢀࡓࠋᐇ㦂࡛ࡣ㸪ࣉࣜࣥࢺࡢ᭷↓ࡀカ⦎ࡢຠᯝࡢࡼ࠺࡞ᙳ㡪ࢆ ࠼ࡿࡘ࠸᳨࡚ウࡍࡿࡇࡶ┠ⓗࡋ࡚࠸ࡓࠋ⤖ᯝ㸪ࣉࣜࣥࢺ᭷ࡾ⩌࡛ࡣㄗಙᛕㄢ㢟ࡢᡂ⦼ࡀྥୖ ࡋࡓࡢᑐࡋ㸪ࣉࣜࣥࢺ↓ࡋ⩌࡛ࡣᡂ⦼ࡢྥୖࡀ♧ࡉࢀ࡞ࡗࡓࠋࡇࡢࡇࡽ㸪ࣉࣜࣥࢺࡢ᭷↓ࡀ カ⦎ࡢຠᯝᙳ㡪ࡍࡿࡇࡀ♧၀ࡉࢀࡓࠋࣉࣜࣥࢺ↓ࡋ⩌ࡢேᙧࡣ㢦(┠)ࡀᥥࢀ࡚࠸࡞࠸ࡓࡵ㸪ே ᙧࡀ࠶ࡿᑐ㇟ࢆぢ࡚࠸ࡿࡇࢆᩍ♧ࡋࡓሙྜ㸪 ࠕேᙧࡀ࠶ࡿᑐ㇟ࢆぢ࡚࠸ࡿࠖ࠸࠺ᚰⓗ≧ែࢆேᙧ ᖐᒓࡉࡏࡿࡇࡢ⌮ゎࡀᅔ㞴࡛࠶ࡗࡓྍ⬟ᛶࡀ⪃࠼ࡽࢀࡿࠋ ࠙ཧ⪃ᩥ⊩ࠚ Wellman, H. M., Baron-Cohen, S., Caswell, R., Gomez, J. C., Swettenham, J., Toye, E., & Lagattuta, K. (2002). Thought-bubbles help children with autism acquire an alternative to a theory of mind. Autism, 6, 343–363. ࠙グࠚ ᮏ◊✲ࡣᰴᘧ♫᪥❧〇సᡤࡢጤク◊✲ࠕஙᗂඣࡢㄆ▱Ⓨ㐩㛵ࡍࡿ◊✲ࠖࡢ◊✲㈝ࡢ୍㒊ࢆࡗ ࡚⾜ࢃࢀࡓࠋᮏ◊✲ࡢᐇ㦂ࡈ༠ຊ࠸ࡓࡔࡁࡲࡋࡓ࣋ࢿࢵࢭࢳࣕࣝࢻࢣࢭࣥࢱ࣮᪥ྜྷࡢఀ㈡ୖ▱ Ꮚᅬ㛗ࢆࡣࡌࡵ 6 ᅬࡢಖ⫱ᅬࡢඛ⏕᪉ᅬඣࡢⓙᵝ㸪ᐇ㦂ᐇ༠ຊࡋࡓ▼Ύ㤶᠕⩏ሿᏛ㸪 ☄ᖹ᪥❧ࣁࢸࢡࣀࣟࢪ࣮ࢬឤㅰ⮴ࡋࡲࡍࠋ 58 P-26 ࢱࢵࢳ࣓ࣥࢺᏳᐃഴྥࡢẕぶࡼࡿஙඣࡢࢿ࢞ࢸࣈື⾲ฟࡢᚰⓗᖐᒓ ㄪᚊⓗᛂ⟅ࢆᨭ࠼ࡿㄆ▱ⓗࣂࢫࡢ᳨ウ ⵦ㇂ ᵞ 㸦ᮾிᏛᏛ㝔ᩍ⫱Ꮫ◊✲⛉࣭᪥ᮏᏛ⾡⯆㸧 ࠙ၥ㢟┠ⓗࠚ㏆ᖺ, ẕᏊࢱࢵࢳ࣓ࣥࢺ◊✲ࡢ㡿ᇦ࡛ࡣ, ẕぶࡀᏊࡶࢆᚰ⌮ⓗయ(psychological agent)ぢ࡞ࡋ࡚᥋ࡍࡿែᗘࡢ㔜せᛶࡀᣦࡉࢀ࡚࠸ࡿ(Sharp & Fonagy, 2007)ࠋࡇࢀ㛵ࡋ࡚, ㏆ᖺ≉ ╔┠ࡉࢀ࡚࠸ࡿࡶࡢࡋ࡚ㄪᚊⓗᛂ⟅(Gallese et al., 2007)ࡀᣲࡆࡽࢀࡿࠋࡇࢀࡣஙඣࡢἽࡁࡸࡴࡎ ࡾ࠸ࡗࡓࢿ࢞ࢸࣈື⾲ฟᑐࡋ࡚, ẕぶࡀඹឤࡋࡓୖ࡛, ࡑࡢஙඣࡢືࢆ࣓ࢱࡋ࡚ࣇ࣮ ࢻࣂࢵࢡࡍࡿࡶࡢ࡛࠶ࡿࠋⵦ㇂(2013)ࡣ๓ゝㄒᮇஙඣࢆᑐ㇟ẕᏊ┦స⏝ࡢほᐹࢆᐇࡋ, ࢱࢵࢳ ࣓ࣥࢺࢫࢱࣝࡀᏳᐃഴྥࡢẕぶࡣஙඣࡢἽࡁࡸࡴࡎࡾᑐࡋ࡚ࠕ➗㢦ࢆకࡗࡓᚰቃゝཬࠖࢆ⾜࠸ ࡸࡍ࠸୍᪉࡛, Ᏻᐃഴྥࡢẕぶ࡛ࡣࡑ࠺࠸ࡗࡓࣇ࣮ࢻࣂࢵࢡⓗ࡞ᛂ⟅ࡀ࡞ࡉࢀࡃ࠸ࡇࢆぢฟ ࡋࡓࠋࢱࢵࢳ࣓ࣥࢺᏳᐃഴྥࡢẕぶࡣஙඣᑐࡋ࡚ࡇ࠺ࡋࡓㄪᚊⓗᛂ⟅ࢆ⾜࠺ࡇ࡛, Ꮚࡶࡢ♫ ⥴ⓗⓎ㐩ࢆಁࡋ࡚࠸ࡿࡢࡶࡋࢀ࡞࠸ࠋ ࡋࡋⵦ㇂(2013)࡛ࡣ, ㉁ၥ⣬࡛ ᐃࡉࢀࡿẕぶ⮬㌟ࡢࢱࢵࢳ࣓ࣥࢺࢫࢱࣝ(ECR-GO)ࡢࡳ↔ Ⅼࢆᙜ࡚ࡓࡓࡵ, ࡇ࠺࠸ࡗࡓㄪᚊⓗᛂ⟅ࢆᨭ࠼ࡿㄆ▱ࣉࣟࢭࢫࡘ࠸࡚ࡣᮍ᳨ウ࡛࠶ࡗࡓࠋࡑࡇ࡛ᮏ✏ ࡛ࡣ, ࢱࢵࢳ࣓ࣥࢺᏳᐃഴྥࡢẕぶࡀ, ஙඣࡢἽࡁࡸࡴࡎࡾᑐࡋ࡚ዴఱ࡞ࡿᚰⓗᖐᒓࢆ⾜࠸ࡸ ࡍ࠸ࡢࢆ, ඹ㏻ஙඣ่⃭(cf. ⠛ཎ, 2006)ࢆ⏝࠸᳨࡚ドࡍࡿࠋ ࠙᪉ ἲࠚᑐ㇟ࡣ, ⏕ᚋ 3㹼9 ࣨ᭶ࡢஙඣࡢẕぶ 36 ྡ(ᖹᆒ 33.3 ṓ)࡛࠶ࡗࡓࠋ ࡲࡎ⠛ཎ(2006)ೌ࠸, ᮏ ◊✲ࡢᑐ㇟⪅࡛ࡣ࡞࠸ஙඣࡢᫎീࢹ࣮ࢱࢆ⣲ᮦࡋ࡚, 5 ࡘࡢࣅࢹ࢜ࢡࣜࢵࣉ(ྛ 30 ⛊㛫)ࢆసᡂࡋࡓࠋ ࡇࢀࢆẕぶ 36 ྡ୍ேࡎࡘ࿊♧ࡋࡓୖ࡛ࠕᫎീ୰ࡢ㉥ࡕࡷࢇࡀࢇ࡞ࡇࢆឤࡌࡓࡾ, ᛮࡗࡓࡾ, ⪃ ࠼ࡓࡾࡋ࡚࠸ࡿᛮ࠺ࠖࢆၥ࠸, ᅇ⟅୰ஙඣࡢෆⓗ≧ែゝཬࡋࡓᩘࢆ࢝࢘ࣥࢺࡋࡓࠋࡑࡢ㝿, ᚰ ⓗゝཬࡢୗ࢝ࢸࢦࣜࡋ࡚ࠕឤ≧ែ (: 㡢ࡀ㬆ࡗ࡚ᴦࡋ࠸)ࠖࠕḧồ≧ែ (: ఱヰࡋࡓ࠸ࡢ ࡞)ࠖ ࠕᛮ⪃ㄆ▱≧ែ (: ࡍࡈ࠸࡛ࡋࡻ࣮ࡗ࡚ᛮࡗ࡚࠸ࡿ)ࠖࢆタࡅ, ẕぶࡈྛ࢝ࢸࢦࣜࡢゝཬᩘࢆ ࢝࢘ࣥࢺࡋ, ྛ✀ MM ᚓⅬࡋࡓ(࡞࠾ 5 ࡘࡢࢡࣜࢵࣉࡢෆ, 2 ࡘࡣஙඣࡢࢿ࢞ࢸࣈື⾲ฟࡀྵࡲࢀ ࡿࡶࡢ࡛, ௨ୗᮏ✏࡛ࡣࡇࡢࢿ࢞ࢸࣈ่⃭ᑐࡍࡿẕぶࡢ MM ↔Ⅼࡍࡿ)ࠋ ẕぶࡣ ECR-GO(୰ᑿ࣭ຍ⸨, 2004)ᅇ⟅ࡋ࡚ࡶࡽ࠸, ᅇ㑊(avoidance)࠾ࡼࡧᏳ(anxiety)ࡢഃ㠃 ࡽ, ẕぶ⮬㌟ࡢ⯡ⓗ࡞ࢱࢵࢳ࣓ࣥࢺࢫࢱࣝࢆ ᐃࡋࡓࠋ⤫ィゎᯒࡣ R 3.0.2 ࢆ⏝࠸ࡓࠋ ࠙⤖ᯝ⪃ᐹࠚྛ✀ MM ᚓⅬࢆᚑᒓኚᩘ, ECR-GO ࡢᅇ㑊࠾ࡼࡧᏳᚓⅬࢆ⊂❧ኚᩘࡋࡓ࣏ࢯࣥ ᅇᖐศᯒࢆ⾜ࡗࡓ⤖ᯝ, ᅇ㑊ᚓⅬࡀ㧗࠸ឤ≧ែࡘ࠸࡚ࡢᚰⓗゝཬࡀከࡃ࡞ࡿ࠸࠺ഴྥࡀㄆ ࡵࡽࢀࡓ(β = .26, p < .10)ࠋḟ, ᅇ㑊࠾ࡼࡧᏳᚓⅬࡑࢀࡒࢀࡢᖹᆒ್ࢆᇶ‽ࡋ, ᚓⅬࡢ┦ᑐⓗ࡞㧗 పࡢ⤌ࡳྜࢃࡏࡽྛẕぶࢆ 4 ࡘࡢࢱࢵࢳ࣓ࣥࢺࢫࢱࣝศ㢮ࡋ, ࢫࢱࣝࡈឤ, ḧồ, ᛮ ⪃ㄆ▱ࡢྛ MM ᚓⅬࢆ⟬ฟࡋࡓ(Figure 1)ࠋศᩓศᯒࢆ⾜ࡗࡓ⤖ᯝ, Ᏻᐃഴྥ(ᅇ㑊: ప, Ᏻ: ప)࠾ࡼ ࡧࡽࢃࢀഴྥ(ᅇ㑊: ప, Ᏻ: 㧗)ࡢẕぶࡣ, ஙඣࡢࢿ࢞ࢸࣈື⾲ฟᑐࡋ࡚, ឤࡼࡾࡶḧồ ⓗഃ㠃ᑐࡍࡿᚰⓗᖐᒓࢆ⾜࠸ࡸࡍ࠸ࡇࡀ♧ࡉࢀࡓࠋ୍᪉, ᣄ⤯ᅇ㑊ഴྥ(ᅇ㑊: 㧗, Ᏻ: ప)࠾ࡼࡧ ᑐேᜍᛧᅇ㑊ഴྥ(ᅇ㑊: 㧗, Ᏻ: 㧗)ࡢẕぶ࡛ࡣ, ࡑ࠺࠸ࡗࡓ⩌ෆᕪࡣぢ࠸ࡔࡉࢀ࡞ࡗࡓࠋ ௨ୖࡢ⤖ᯝࡽ, ≉ࢱࢵࢳ࣓ࣥࢺࢫࢱࣝᅇ㑊ࡀప࠸ẕぶ࡛ࡣ, ஙඣࡢἽࡁࡸࡴࡎࡾᑐࡋ ࡚, ⾲㠃ⓗ࡞ឤ≧ែࡼࡾࡶ, ࡼࡾὝᐹࡀᚲせ࡞ࡿḧồⓗഃ㠃ࡢᖐᒓࢆ⾜࠸ࡸࡍ࠸ゝ࠼ࡿࡶ ࡋࢀ࡞࠸ࠋࡇࢀࡣᏊࡶࢆᚰ⌮ⓗయ ぢ࡞ࡋ࡚᥋ࡍࡿែᗘࢆᨭ࠼, ࢫ࣒࣮ࢬ ࡞ㄪᚊⓗᛂ⟅(: ➗㢦ࢆకࡗࡓᚰቃゝ ཬ)ࢆྍ⬟ࡍࡿㄆ▱ⓗࣂࢫ⪃࠼ ࡽࢀ, ⵦ㇂(2013)ࡢ⤖ᯝࡶ➢ྜࡍࡿࡶ ࡢゝ࠼ࡼ࠺ࠋ ࠙ᩥ ⊩ࠚⵦ㇂ᵞ. 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―社会的評価との関係― 上野美果 1・Merito Marek2#・板倉昭二 1 (1 京都大学文学研究科・2 日本学術振興会) テストイベントに対する注視時間 (秒) 【背景・目的】 先行研究において,乳児は他のエージェントに対して援助行為や公平な行為を示すエージェントを ポジティブに評価し,一方,妨害行為や不公平な行為を示すエージェントをネガティブに評価するこ とが示されている (e.g., Geraci & Surian, 2011; Hamlin, Wynn, & Bloom, 2007)。本研究では,15 ヵ月児が エージェントの示す援助行為と公平な行為との関係や妨害行為と不公平な行為との関係を予測してい るのかについて検討を行った。 【方法】 実験参加児:生後 15 ヵ月の乳児 26 名 (男児 12 名,女児 14 名) が実験に参加した。 手続き:馴化イベントとテストイベントの 2 つのイベントからなる映像刺激を提示した。馴化イベン トでは,坂道を上るエージェントに対して援助するエージェントあるいは妨害をするエージェントの アニメーションを提示した (Hamlin et al., 2007) 。次のテストイベントでは,馴化イベントにおいて援 助行為を示したエージェントあるいは妨害行為を示したエージェントが,別のエージェントにイチゴ を公平あるいは不公平に分配するアニメーションを提示した (Meristo, Strid, & Surian, 2012) 。エージェ ントが分配を終えてから 1 分間映像が提示され,その時の乳児の視線運動を視線計測装置 Tobii T60 (Tobii technology) を用いて計測し,乳児のテストイベントに対する注視時間を測定した。 実験条件として,馴化イベントにおいてエージェントが援助行為あるいは妨害行為のどちらを示す か,またテストイベントにおいてエージェントが公平あるいは不公平な分配のどちらを行うかによっ て 4 つの条件が設定され,乳児 1 名に対していずれか 1 つの条件の映像刺激を提示した。 【結果】 乳児のテストイベントに対する注視時間を測定したところ,馴化イベントにおいて援助行為を示し たエージェントを見た乳児において,そのエージェントが公平な分配をした条件よりも不公平な分配 をした条件の乳児の方がテストイベントに対する注視時間が長かった (Figure 1) 。一方,馴化イベン トにおいて妨害行為を示したエージェントを見た乳児においては,テストイベントで公平あるいは不 公平な分配をした条件で違いは見られなかった。 馴化イベントにおけるエージェントの行為 (援助・妨害) とテストイベントにおけるエージェントの 分配行為 (公平・不公平) を実験参加者間要因とした 45 二要因分散分析を行った。その結果,エージェントの 40 分配行為の主効果 (F (1, 22) = 12.01, p < .01) および 35 交互作用 (F (1, 22) = 15.14, p < .001) が有意であった。 30 25 交互作用について,単純主効果の検定を行った結果, 20 馴化イベントにおいて援助行為を示したエージェン 15 トが公平に分配した条件よりも不公平に分配した条 10 件の方が,有意に注視時間が長かった (F (1, 22) = 5 27.05, p < .001) 。また,馴化イベントにおいて妨害を 0 行ったエージェントよりも援助を行ったエージェン 公平 (N = 7) 不公平 (N = 4) 公平 (N = 7) 不公平 (N = 7) トが不公平な分配をした条件の方が, 注視時間が有意 援助 妨害 に長かった (F (1, 22) = 13.67, p < .01) 。 Figure 1. 各条件におけるテストイベントに対する注視時間 (秒) 【考察】 本研究の結果,15 ヵ月児は過去に援助行為を示したエージェントが,公平な分配を行った時よりも 不公平な分配を行った時において注視時間が長いことが示された。このことから,15 ヵ月児は他のエ ージェントに対する援助行為と公平な行為との関係を予測していたことがわかる。一方,過去に妨害 行為を示したエージェントに対しては,公平な分配と不公平な分配で有意な注視時間の差は見られな かった。したがって,本研究では,15 ヵ月児の,妨害行為と不公平な行為との関係予測は示されなか った。今後,人数を増やして検討を続ける必要がある。 63 P-31 医師は乳幼児にとって常に怖い存在か? 「医者嫌い」のメカニズムの解明 渡部基信 1,3・加藤正晴 2・松田佳尚 3・小西行郎 3 (1 学研都市病院・2NTT コミュニケーション科学基礎研究所・3 同志社大学赤ちゃん学研究センター) 日常の小児科の診療において,しばしば乳児は医師の診察に対し,強い拒否反応を示し,時には激 しく泣いて嫌がる。このような反応は 4 ヶ月未満の児にはほとんど見られず,人見知りのはじまる 6 ~7 ヶ月頃より除々に認められ,2~3 歳まで続く。今まで単なる「医者嫌い」として見過ごされてき たが,そこには乳幼児の情動や認知機能の発達等の要因が関係していると思われる。本研究において 以下についてについて明らかにしたい。 ①診察時乳幼児はどこに注目しているのか。 ②乳幼児の緊張状態は医師の行動とともにどのように変化していくのか。 今回我々は医師診察時の状況を再現し,医師に対する乳幼児の行動について実験的に検討した。 【方法】対象:健康な生後 7 ヶ月から 20 ヶ月の乳幼児 46 名(女児 23 名,男児 23 名) 。 手続き:パーティションを使って簡易の診察室を作り,奥の壁側の椅子に母親が座り,その膝の上で 乳児に座位を取らせた。実験は 4 つの場面で構成された。 ①白衣を着た実験者が母子の正面から部屋に入る(入室)。 ②次に母親に話しかけながら診察出来る距離まで母子に 近づき椅子に座る(着席)。 ③問診を取りながら白衣から聴診器を取り出し乳児の胸部 にあて聴診する(聴診)。 ④聴診をした後実験者はパーティションの横から部屋の外へ出る(退出)。 解析方法:乳児の胸部に心電図のセンサーを取り付け実験中の心拍数を計測した。また実験中の乳児 のビデオ撮影を行い,医師への注視時間を計測し,行動を分析した。 【結果】生後 400 日未満と 400 日以上では医師に対する反応が大きく異なっていた。生後 400 日未満児 では、医師の入室後に児の心拍は有意に低下していたが、生後 400 日以上の児は入室後徐々に心拍が 増加していた(Fig.1)。 一方、聴診後生後 400 日未満では徐々に心拍の増加がみられたのに対し、400 日以上では心拍の低下をみた(Fig.2) 。さらに詳しく解析を進めてみると、予防注射を接種後 1 か月 以内の児では、聴診後脈拍が上がるのに対し、1 か月以上経っていると脈拍が低下していることがわか った(Fig.3) 。 【考察】医師に対する乳幼児の反応は、年齢により違うことが示された。さらに、予防接種からの期間 が関係していることがわかった。医師と乳幼児との関係を考える上で、予防接種の影響は大きいもの と思われる。 Fig.1 医師入室後の心拍変化 Fig.2 生後 400 日以上 400 日未満 10 ΔHeart Rate (beats/min) 医師聴診時の心拍変化 生後 400 日以上 400 日未満 Fig.3 10 12 1ヶ月以内 1ヶ月以上 400日以上 400日未満 400日以上 400日未満 5 5 0 0 医師聴診時の心拍変化 予防接種後 1 ヶ月以上 1 ヶ月以内 8 4 0 -5 -5 -4 -10 0 10 Heart Beat number 20 -10 0 10 Heart Beat number 64 20 -8 0 10 Heart Beat number 20 P-32 ஙඣࡢἽࡁ࣭➗࠸ẕぶࡢᚰ⌮࣭⏕⌮Ꮫⓗᅇຊ Ỉᇉࡉ࡞࠼࣭᫂ᨻᏊ 㸦ி㒔ᏛᏛ㝔ᩍ⫱Ꮫ◊✲⛉㸧 ࠙⫼ᬒ┠ⓗࠚ㣴⫱⪅ࡣฟ⏘ᚋ㛫ࡶ࡞࠸࠺ࡕࡽࠊஙඣࡀ⾲ฟࡍࡿືಙྕ㸦Ἵࡁࡸ➗࠸➼ࡢ⾜ື㸧 ࢆᕦࡳឤ▱ࡋࠊஙඣ࡞┦స⏝ࢆᅗࢁ࠺ࡍࡿࠋࡓࡔࡋࠊࡑ࠺ࡋࡓពᅗࡣࡘࡡ㐩ᡂࡉࢀࡿ ࡣ㝈ࡽ࡞࠸ࠋ┦స⏝ࡀ࠺ࡲࡃᒎ㛤ࡋ࡞࠸ሙྜࡣࠊ⫱ඣࢫࢺࣞࢫࡢせᅉࡢࡦࡘ࡞ࡿࠋࡃ ฟ⏘ᚋ 6㹼7 ࣨ᭶㡭ࡣࠊஙඣ㣕㌍ⓗ࡞ᚰ㌟ࡢⓎ㐩ࡀ㉳ࡇࡿࡇࡽࠊ㣴⫱⪅ࡀ⫱ඣࢫࢺࣞࢫࢆᙉࡃ ឤࡌጞࡵࡿᮇ࠸ࢃࢀࡿࠋࡇࡢᮇ㉳ࡇࡾࡸࡍ࠸⫱ඣࢫࢺࣞࢫࡣࡢ⛬ᗘࡢಶேᕪࡀࡳࡽࢀࡿ ࡢࡔࢁ࠺ࠋஙඣࡀ⾲ฟࡍࡿືಙྕࡣࠊࡢ⛬ᗘ㣴⫱⪅ࡢࢫࢺࣞࢫࢆ㧗ࡵࡿ̿పࡵࡿࡢࡔࢁ࠺ࠋ ࡇࢀࡽࡢၥ㢟ࢆ᫂ࡽࡍࡃࠊᮏ◊✲࡛ࡣࠊᚑ᮶ᆺࡢព㆑ⓗ࡞ࢫࢺࣞࢫホ౯㸦㉁ၥ⣬ㄪᰝ㸧ຍ࠼ࠊ ↓ព㆑ࣞ࣋ࣝࡢࢫࢺࣞࢫᛂࠊ㌟య⏕⌮≧ែࡢኚࡘ࠸࡚ࡶ↔Ⅼࢆ࠶࡚࡚ᐇドⓗ᳨ウࢆ⾜ࡗࡓࠋ ࠙᪉ἲࠚ 㸺ཧຍ⪅㸼⏕ᚋ 6㹼7 ࣨ᭶ࡢ➨ 1 Ꮚࡑࡢẕぶ 25 ⤌㸦⏨ඣ 11 ྡ㸪ஙඣᖹᆒᖺ㱋 6.9s0.6 ࣨ ᭶㸪ẕぶᖹᆒᖺ㱋 32.5s 3.1 ṓ㸧 ࠋ㸺ᡭ⥆ࡁ㸼ㄪᰝࡣࠊ୍⤌ࡢぶᏊࡘࡁィ 2 ᅇ⾜ࢃࢀࡓࠋ1 ᅇ┠㸸่ ⃭సᡂࡢࡓࡵࠊஙඣࡢື⾲ฟ㸦Ἵࡁ➗㢦㸧ࢆࣅࢹ࢜グ㘓ࡋࡓࠋࡲࡓࠊẕぶࡼࡿ⫱ඣࢫࢺࣞࢫ ࣥࢹࢵࢡࢫ㸦PSI㸧ឤ୪ࡧẼศ≧ែホᐃᑻᗘ㸦᪥ᮏㄒ∧ PANAS㸧㉁ၥ⣬ࡢᅇ⟅ࢆ౫㢗ࡋࡓࠋ 㸰ᅇ┠㸸ẕぶࡢ㌟య⏕⌮ᛂィ 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かせた時に「あ」の口になっている一致顔を選好するか、そ れとも「い」の口になっている不一致顔を選好するか。⑤BM: ドットで構成された生物の動き(BM)をランダムドットと対 提示した場合にどちらを注視するか。 参加者は、健常児(ⅰ)3 ヵ月、(ⅱ)8 ヵ月、(ⅲ)10 ヵ月、 (ⅳ)12 ヵ月、(ⅴ)18 ヵ月、(ⅵ)36 ヵ月、(ⅶ)成人の計 150 名である。 (早産児の結果は学会当日に発表する) 【結果と考察:左図参照】 ①再注視課題の通過率:各月齢でほぼ 100%の人が通過した。 ②色と運動の統合:発達に伴い、逆U字曲線を描いた。3 ヵ月 児では刺激の区別がつきにくく、逆に成人では弱いコントラ ストであっても見えるためにチャンスレベルになったと考え られる。③運動透明視:発達とともにチャンスレベルへ減衰 した。認知能力の発達に伴い、透明視刺激への馴化が起こっ たと考えられる。④音声と顔の統合:発達を通して一致顔へ の弱い選好があったが、一致/不一致以上に「顔」という強 い選好刺激のため、両方の刺激を見比べるという行動になっ たと考えられる。⑤BM:発達を通してチャンスレベルになっ た。BM を知覚した・しないに関わらず、ランダムドットの動 きが気になったと内観報告を受けた。以上の結果から健診課 題として適切なのは、①再注視、②色と運動の統合、③運動 透明視であることが分かった。 【謝辞】本研究は文科省科研費新学術領域研究「構成論的発達 科学」(24119004)の助成を受けた。 70 P-38 ㉥ࡕࡷࢇ㏉ࡾࡢᐇែ ̿ᗂ⛶ᅬಖㆤ⪅ࡢ㛗Ꮚᑐ㇟ㄪᰝ⤖ᯝ̿ 㙊⏣ ḟ㑻 1࣭ᕝᮏ ⚈ஓ 2㸡 㸦1 㛵す⚟♴⛉ᏛᏛ♫⚟♴Ꮫ㒊⮫ᗋᚰ⌮Ꮫ⛉࣭2ᰴ࣑࣐ࣖ⏘ᴗ㸧 ၥ㢟┠ⓗ ஙᗂඣᮇࡢ㏥⾜⌧㇟̿࠸ࢃࡺࡿ㉥ࡕࡷࢇ㏉ࡾ(infant regressive behavior)ࡣࠊ⎔ቃኚࡢ㐺ᛂࡀᚲせ ࡞ࡉ࠸ᗂඣࡀ㣴⫱⪅ࡢᢞ㈨ࢆᘬࡁฟࡑ࠺ࡍࡿ⾜ືഴྥ⪃࠼ࢀࡤ㐍ᚰ⌮Ꮫⓗ⯆῝࠸⌧㇟࡛ ࠶ࡿࡀࠊᏛ⾡ⓗ࠶ࡲࡾ᳨ウࡉࢀ࡚࠸࡞࠸ᛮࢃࢀࡿࠋᐇ㝿ࠊ㉥ࡕࡷࢇ㏉ࡾࡣఱࡽࡢࡢኚ࡛ Ꮚࡶࡢ㣴⫱⪅ࡢࢃࡾࡀῶᑡࡋࡓࡉ࠸⏕ࡌࡿ⤒㦂ⓗ▱ࡽࢀ࡚࠸ࡿࠋࡑࡇ࡛ࠊ㉥ࡕࡷࢇ㏉ ࡾࡀఱṓࡃࡽ࠸ࡢᮇࠊࢇ࡞⾜ືࡀࠊࢇ࡞⎔ቃኚࡼࡗ࡚⏕ࡌ࡚࠸ࡿࡘ࠸࡚ᐇែࢆㄪᰝ ࡋࡓ⤖ᯝࢆሗ࿌ࡍࡿࠋ ᪉ἲ 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(2008) ࡣࠊ᪂ወ࡞ྡモࡲࡓࡣືモࡢᣦ♧ᑐ㇟㸦≀యࠊືస㸧ࢆ ṇࡋࡃ㑅ᢥ࡛ࡁࡿࢆヨࡍྡモ࣭ືモ⯡⏝ㄢ㢟ࢆ⏝࠸࡚ࠊⱥㄒࡀẕㄒࡢሙྜࠊྡモ⯡⏝ࡣ୕ṓࡽྍ ⬟࡛࠶ࡾࠊືモ⯡⏝ࡣṓ࡛ㄒࡸ┠ⓗㄒࢆ᫂♧ࡍࢀࡤᡂຌ࡛ࡁࡿ࠸࠺Ⓨ㐩㐣⛬ࢆ᫂ࡽࡋࡓࠋ ࡋࡋࠊࡇࡢⓎ㐩ⓗኚࡀࡢࡼ࠺࡞⤫ㄒ⠊ࡢኚࡼࡗ࡚ᘬࡁ㉳ࡇࡉࢀࡿࡣ᫂ࡽ࡛ࡣ࡞࠸ࠋ ᮏ◊✲࡛ࡣࠊ⤫ㄒ⠊ࡢ⋓ᚓࡑࢀᇶ࡙ࡃྡモ࣭ືモ⯡⏝ࡀྍ⬟࡞ࣔࢹࣝᥦࡋࠊࡑࡢࣔࢹࣝࢆ ⏝࠸࡚ྡモ࣭ືモ⯡⏝ࡢ⫼ᚋ࠶ࡿ⤫ㄒ⠊ᵓ㐀ࡢⓎ㐩ⓗኚࢆ᫂ࡽࡍࡿࠋ ࠙᪉ἲࠚᥦࣔࢹࣝࡣ≀యࡸືసࡑࢀࡽࡢሙ㠃ࢆㄝ᫂ࡍࡿᩥࢆධຊࡋࠊ࣋ࢪࣥ㞃ࢀ࣐ࣝࢥࣇ ࣔࢹࣝ(BHMM)(Goldwater & Griffith 2007) ࢆ⏝࠸࡚⤫ㄒ⠊ࢆᏛ⩦ࡍࡿࠋBHMM ࡣᩥ୰ࡢ༢ㄒࢆㄒ㡰 ᇶ࡙ࡁ S ಶࡢ࢝ࢸࢦࣜ㸦⤫ㄒ⠊㸧ศ㢮ࡍࡿࠋS ࡣணࡵỴᐃࡉࢀࡿࣃ࣓࣮ࣛࢱ࡛ࠊࣔࢹࣝࡀ⋓ᚓ ྍ⬟࡞⤫ㄒ⠊ᩘ࡛࠶ࡿࠋࡁ࠸⢭⦓࡞⤫ㄒ⠊ࡀ⋓ᚓྍ⬟࡛࠶ࡿࠋᮏ◊✲࡛ࡣࡇࡢᛶ㉁ࢆ⏝ ࡋࠊS ࡀᑠࡉ࠸ࣔࢹࣝࢆ୕ṓࠊࡁ࠸ࣔࢹࣝࢆṓࡳ࡞ࡍࠋࣔࢹࣝࡣࠊ᪂ወㄒࡢ⤫ㄒ⠊ࢆ᥎ᐃࡋࠊ ࡑࡢᣦ♧ᑐ㇟ࢆ㑅ᢥࡍࡿࠋImai et al. (2008) ࡢᐇ㦂ྠᵝࠊձྡモ᮲௳ ղ㡯┬␎ືモ᮲௳ ճ㡯᫂♧ ືモ᮲௳ ࡢ୕᮲௳࡛᪂ወㄒ X ࡀ࠼ࡽࢀࡿࠋ ࠙⤖ᯝ࣭⪃ᐹࠚᅗ 1 X ࢆືస᥎ᐃࡋࡓྜࢆ♧ࡍࠋ ྡモ᮲௳࡛ࡣ್ࡀᑠࡉ࠸ࠊືモ᮲௳࡛ࡣࡁ࠸ṇࡋ ࠸⯡⏝࡞ࡿࠋࡇࡢᅗࡽࣔࢹࣝࡣ Imai et al. (2008) ࡢ ᐇ㦂⤖ᯝࢆࡼࡃ⌧ࡍࡿ࠸࠼ࡿࠋᅗ 2 ࣔࢹࣝࡢ⋓ᚓ ࡋࡓ⤫ㄒ⠊ᵓ㐀ࢆ♧ࡍࠋS ࡀ 3 ࡢሙྜࠊྡモࡀ௦⾲ⓗ ࡞⤫ㄒ⠊ࡀ⋓ᚓࡉࢀ࡚࠸ࡿࡀࠊືモࡸྡモࠊᙧᐜモࡀ ΰྠࡉࢀࡓ⤫ㄒ⠊ࡶ⋓ᚓࡉࢀ࡚࠸ࡿࠋࡑࡢࡓࡵྡモ⯡ ⏝ࡣᡂຌࡋࠊືモ⯡⏝ኻᩋࡋࡓࠋ୍᪉ࠊS ࡀ 7 ࡢሙ ྜࠊྡモࠊືモࡑࢀࡒࢀࡀ௦⾲ⓗ࡛࠶ࡿ⤫ㄒ⠊ࢆᣢࡕࠊ 㡯᫂♧᮲௳࡛ືモ⯡⏝ᡂຌࡋࡓࠋࡋࡋࠊⱥㄒࡣㄒࠊ ┠ⓗㄒࡢ┬␎ࡀᑡ࡞࠸ࡓࡵ㡯┬␎᮲௳࡛ࡣືモ⯡⏝ ኻᩋࡋࡓࠋࡉࡽࠊ᪥ᮏㄒࡸ୰ᅜㄒ࡛ࡶ Imai et al. 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(2009) “Evidence on the emergence of the brain's default network from 2-week-old to 2-year-old healthy pediatric subjects” Proc Natl Acad Sci U S A106(16):6790-6795. Gusnard & Raichle (2001) “Searching for a baseline: functional imaging and the resting human brain” Nat Rev Neurosci. 685-694. Imafuku et al. (under Revision) “Mom called me! : Behavioral and prefrontal response to self-name uttered by mother voice in infants” 78 P-46 ᪂ࡋ࠸⾲⌧άືࡑࡢⓎᒎ ஙඣࢆᑐ㇟ࡋࡓ㝿ࡢᛂࡘ࠸࡚ ⲨᕝṇႹ࣭᳃ෆ┿⣖ 㸦♫⚟♴ἲே ㇏㔝ಖ⫱ᅬ㸧 >⫼ᬒ࣭┠ⓗ@ ಖ⫱ᡤಖ⫱ᣦ㔪࠾࠸࡚͆⾲⌧͇ࡲࡘࢃࡿᣦ㔪ࡣᩘከ࠸ࠋࠕ➨ 3 ❶ ಖ⫱ෆᐜࠖࡢ୰࡛ࡣࠊ͆⮬⏤ ⾲⌧͇ࡸ͆⮬ศ࡞ࡾ⾲⌧͇࡞࠸࠺グ㏙ࡀᩓぢࡋࠊᏊࡶࡢ⾲⌧ࡲࡘࢃࡿྲྀࡾ⤌ࡳࡀ㔜せど ࡉࢀ࡚࠸ࡿࡢࡀ❚࠼ࡿࠋ ᪥ᖖࡢಖ⫱ᅬࡢάື࠾࠸࡚ࡶࠊ⾲⌧ࢆ┠ⓗࡋࡓྲྀࡾ⤌ࡳࡣᩘከࡃࠊᕤኵࡶ༑ศ࡞ࡉࢀ࡚࠸ࡿࠋ ୰࡛ࡶⓎ⾲࡞ࢆࡋࡓࡼࡿ⾲⌧άືྲྀࡾ⤌ࡴᅬࡣᩘከ࠸ࠋࡲࡓࠊయⓗ㛵ࢃࡿ ⪅ࡀ₇ࡌࡿࡢࢆᴦࡋࡴཷືⓗ࡞ࡶࡢࠊ࡛ࡢ㛵ࢃࡾ᪉ࡶከ✀ከᵝ࡛࠶ࡿࠋࡑࢀࡒࢀࡢ⾲⌧άື≉ ᚩࡀ࠶ࡾࠊ࣓ࣜࢵࢺࢹ࣓ࣜࢵࢺࡶ⏕ࡌࡿࠋࡑࡢ୰࡛ཷືⓗ㛵ࢃࡿ㸦⣬Ⱚᒃࠊ࣮࣌ࣉࢧ࣮ࢺࠊ࢚ࣉ ࣟࣥࢩࢱ࣮࡞ࡶྵࡴ㸧࠾࠸࡚ࡢ㊥㞳ឤࠊࡲࡓほ⪅࡛࠶ࡿᏊࡶࡢ୍᪉⾜ࡢ㛵ࢃࡾࢆᨵၿࡍࡿ ࡇ࡛Ꮚࡶ㐩ࡢീຊཬࡧ⾲⌧ຊࢆᇵ࠺᪂ࡓ࡞⾲⌧άືࡀ⏕ࡲࢀࡿࡢ࡛ࡣ࡞࠸⪃࠼ࡓࠋ ࡑࡋ࡚ᅇࡣࠊஙඣࢆᑐ㇟ࡋ࡚ᐇ₇ࡋࠊࡑࡢᛂࢆほᐹࡋࡓࠋ [᪉ἲ࣭≉ᚩ] ⏝ۑពࡍࡿࡶࡢ࣐̿̿̿ࢵࢺ㸦90cm120cm㸧ᕸ〇ࡀᮃࡲࡋ࠸ࠋ ேᙧ࣭ᘓ≀㸦❧య≀㸧࡞ࠊࡑࡢࢫࢺ࣮࣮ࣜ‽ࡌࡿࠋ ேᙧࡣ❧యໃࡀྲྀࢀࡿࡶࡢࡀᮃࡲࡋ࠸ࠋ ᡭ㡰 1㸸࣐ࢵࢺࢆ₇ࡌࡿሙᡤࡢ୰ᚰᤣ࠼ࡿࠋ ᡭ㡰 2㸸Ꮚࡶ㐩ࡀ࣐ࢵࢺࢆᅖࡴࡼ࠺ᗙࡿࠋ2 㔜௨ෆࡀᮃࡲࡋ࠸ࠋ ₇ࡌᡭࡣࠊணࡵ≀ㄒࢆ㐍ࡵࡸࡍ࠸⨨ࢆ☜ಖࡋ࡚࠾ࡃࠋ ᡭ㡰 3㸸࣐ࢵࢺୖ࡛₇ࡌᡭࡀ≀ㄒࢆ㐍ࡵࡿࠋ ≉ᚩ 1㸸Ꮚࡶ㐩₇ࡌᡭࡀ㏆࠸ࠋ ≉ᚩ 2㸸Ꮚࡶࡢ┠⥺ࡀࠕ◁ሙ㐟ࡧࠖࡸࠕேᙧ㐟ࡧࠖ➼㏆࠸ࠋ ≉ᚩ 3㸸Ꮚࡶࡢ┠⥺ࡽぢࡿዟ⾜࣭❧యឤࡀ࠶ࡿࠋ 㸦ࡲ࡛࡞࠸ど⏺㸻᪂㩭㸧 [⪃ᐹ] ᅇࡣஙඣᑐࡋ࡚₇ࡌ࡚ࡳࡓࠋࡍࡿᗂඣᑐࡋ࡚₇ࡌࡓࡣࡸࡸ␗࡞ࡿᛂࡀぢࡽࢀࡓࠋࡑ ࢀࡣࠊᏊࡶ㐩ࡢ㞟୰ຊࡀ⤊ጞ㝿❧ࡗ࡚࠸ࡓࡇࠋཧຍ࡛ࡁࡿࡣ✚ᴟⓗཧຍࡍࡿጼໃࡀほᐹࡉ ࢀࡓࡇࠋࡲࡓࠊᗂඣ࣭ஙඣࡶඹ㏻ࡋ࡚ゝ࠼ࡿࡢࡣࠊᏊࡶ㐩ࡢࡍࡇࡪࡿᛂࡀ࠸࠸ࡇࠋࡇࢀ ࡣࠊ⮬ศࡢṇ㠃ᒃࡿ㐩ࡢᛂࡀ┠ධࡿࡇࡀ୍ᒙᴦࡋࡉࢆቑᖜࡋࠊࡑࡋ࡚⯆ዧᗘࡀቑࡍࡼ࠺ࡔࠋ ࡑࡋ࡚ࡉࡽࠊࡇࡢࠕࢧ࣮ࢡ࣭ࣝࢩࢱ࣮ࠖࢆࡸࡗࡓᚋྠࡌෆᐜࡢ⤮ᮏࢆㄞࢇࡔࡇࢁᬑ㏻⤮ᮏ ࢆᅇㄞࡴࡢᅇ┠ࡼࡾ⌮ゎࡀ᪩ࡗࡓࡑ࠺ࡔࠋ㚷㈹࣐ࢼ࣮ࡘ࠸࡚ࡶ㦫ࡁࡀ࠶ࡗࡓࠋேᙧࡸᘓ≀ ࠸ࡗࡓసࡾ≀ᑐࡋゐࡗ࡚࠸࠸₇ࡌ࡚࠸ࡿ㛫ࡣゐࡗ࡚ࡣ࠸ࡅ࡞࠸࠸ࡗࡓ࣮ࣝࣝ㛵ࡋ࡚ࡶᩘ ᅇࡍࡿࡇ࡛Ꮚࡶ㐩ࡶ࣮ࣝࣝࢆぬ࠼ࠊᡭฟࡋࡣࡋ࡞ࡃ࡞ࡿࡼ࠺ࡔࠋ ୍᪉ࠊࢹ࣓ࣜࢵࢺࡋ࡚ࡣࠊேᩘ㸦15 ྡ௨ୖ㸧࡛ࡣほࡃࡃ࡞ࡿࡇࡸࠊ₇┠ࡸ⏝ࡍࡿ㐨ල ࡼࡗ࡚ࡣほࡿゅᗘḟ➨࡛ぢ࠼࡞࠸㒊ศࡀ⏕ࡌࡿྍ⬟ᛶࡀ࠶ࡿࡇࠊ࡞ࡀ࠶ࡆࡽࢀࡿࠋ [ᚋࡢㄢ㢟] ᚋࡢⓎᒎࡘ࠸࡚ࡣࠊ୍➃ಖ⫱ኈࡼࡿỴࡵࡽࢀࡓࢫࢺ࣮࣮ࣜࢆ₇ࡌ⤊࠼࡚ࡽᏊࡶ㐩ࡀ⮬⏤ ேᙧ࣭࣐ࢵࢺ㸦⯙ྎ㸧ࢆࡗ࡚㐟ࡪࡇࡶ⪃࠼࡚࠸ࡓࡀࠊᖺ㱋ᒙᛂࡌ࠼᪉ࢆ⪃࠼࡞ࡅࢀࡤ࡞ࡽ ࡞࠸ࠋ ᑦࠊᡃࠎࡣࡇࡢ᪂⾲⌧᪉ἲࢆࠕࢧ࣮ࢡ࣭ࣝࢩࢱ࣮ࠖࢇ࡛࠸ࡿࠋ 79 日本赤ちゃん学会第 14 回学術集会 協賛団体ご芳名 <協賛・広告・機器展示・書籍展示> 花王株式会社 株式会社 株式会社 株式会社 カネカ 島津製作所 ナックイメージテクノロジー 株式会社 フレーベル館 トビー・テクノロジー株式会社 トロル ピジョン株式会社 (五十音順) 本学術集会を開催するにあたり、上記の方々に多大なご支援をいただきました。 ここにご芳名を記し、感謝の意を表します。 2014 年 6 月 21 日 日本赤ちゃん学会第 14 回学術集会 大会長 80 金沢創 81 82 83 84 日本赤ちゃん学会第 14 回学術集会 事務局:日本女子大学人間社会学部心理学科・金沢研究室 中央大学文学部・山口研究室 金沢 創 (大会長) 山崎 悠加 稲田 祐奈 真鍋 佳穗 山口 真美 市川 寛子 作田 由衣子 楊 嘉楽 小林 恵 表紙イラスト作成:作田由衣子 日本赤ちゃん学会第 14 回学術集会 プログラム・抄録集 発行日:2014 年 6 月 21 日 発行者:日本赤ちゃん学会第 14 回学術集会事務局 大会長 金沢創 〒214-8565 神奈川県川崎市多摩区西生田 1-1-1 85
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