1. - 電波利用ホームページ

総務省
安心して電波を利用するために
平成17年7月4日
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課
専門職 川崎 信治
総務省
1
電波利用の拡大と電波の安全性
2
電波が人体に与える影響について
3
電波が医用機器に与える影響について
4
電波の安全性に関する周知・広報
1
総務省
1
電波利用の拡大と電波の安全性
1-1
電波
1-2
電波利用の現状
1-3
今後の電波利用と電波政策
1-4
電波利用の拡大と電波の安全性
2
1-1 電波
10,000km
100km
―
電磁波の種類
1km
10m
10cm
電
0Hz
30Hz
3kHz
300kHz
障害物の後ろに回り込みやすい
情報量が少ない
電
30MHz
3GHz
〔電波の伝わり方〕
〔伝送できる情報量〕
総務省
―
1cm
磁
〔波長〕
10,000THz
〔周波数〕
波
30GHz
3THz
直進性が強い
情報量が多い
波
光波(光)
電界と磁界が強さを変化させながら空間を伝わっていく。
周波数帯により携帯電話やTV放送など様々な用途に利用
されている。
0Hz
~300Hz
静電界・静磁界
超低周波電磁界
波の性質を持たず、電界と磁
界が独立して存在。
30nm
0.1mm
電離放射線
赤外線・可視光 X線・ガンマ線など。
線・紫外線など。 多量に浴びることに
よって細胞の遺伝子
が傷つけられ、がん
等の原因となり得る
ことが知られている。
周波数が非常に低く、波長が非
常に長い(地球の半径程度の規
模)。
高圧送電線からの電磁波(50Hz、
60Hz)はこれに当たる。
3
1-2 電波利用の現状
波長
長い
総務省
〔波長〕
10,000km 1,000km 100km
周波数
低い 0Hz 30Hz
10km
1km
100m
10m
1m
10cm
1cm
1mm
30kHz
300kHz
3MHz
30MHz
300MHz
3GHz
30GHz
300GHz
0.1mm
30nm
波長
短い
〔周波数〕 周波数
300Hz
3kHz
電
3THz 10,000THz
波
光
○直進性が高いが、山や建物の陰に回り込んで伝わる
ことができる。伝送できる情報量は大きい。
<FM放送 TV放送 航空管制通信 等>
ガンマ線
X線
極超短波
○直進性が高いが、山や建物の陰に回り込んで伝わることも
(UHF)
できる。伝送できる情報量はかなり大きい。
<携帯電話 PHS TV放送 レーダー 無線LAN アマチュア無線 等>
ミリ波
(EHF)
電離
放射線
サブミリ波
紫外線
可視光線
赤外線
マイクロ波
準ミリ波
(SHF)
○直進性が非常に高く、伝送できる情報量は非常に大きい。
<衛星通信・放送 固定マイクロ回線 レーダー 無線LAN 等>
波
高い
超短波
(VHF)
短波
○電離層(F層)と地表との反射を繰り返し、
(HF)
地球の裏側まで到達することが可能。
<船舶・航空無線 短波放送 アマチュア無線 等>
中 波
○比較的遠距離まで到達可能で、 (MF)
短波に比べて伝わり方が安定
している。
<中波放送(AMラジオ)等>
固定通信
に使用
長 波
(LF)
超長波
(VLF)
超低周波
(ELF)
E:extremely
移動通信
に使用
S:super
U:ultra
V:very
H:high
M:medium
L:low
F:frequency
4
1-3 今後の電波利用と電波政策
電波利用の基本的役割
電波利用の基本的役割
電波利用の中長期展望
電波利用の中長期展望
◆快適で質の高い
◆快適で質の高い
国民生活の実現
国民生活の実現
便利・安心・安全な国民生活、社会の
実現に寄与するため、生活、ビジネス、
医療・福祉、国民の安全確保など様々な
電波利用が飛躍的に拡大
◆電波利用関連分野の市場規
模の拡大
◆産業経済活動の
◆産業経済活動の
活性化
活性化
電波政策の中長期目標
電波政策の中長期目標
5年から10年後を視野にい
れた電波政策の目指すべき中
長期目標
◆安全で災害に強い
◆安全で災害に強い
社会・国土の形成
社会・国土の形成
◆地域の活性化
◆地域の活性化
◆世界最先端のワイヤレスブ
ロードバンド環境の構築によ
るユビキタスネットワーク社
会実現への貢献
◆多様なネットワークによる
ナショナルセキュリティの確
保
◆国際競争力のあるワイヤレ
スIT産業の育成
総務省
今後の電波政策の在り方
今後の電波政策の在り方
Ⅰ
Ⅰ 抜本的な周波数割当ての
抜本的な周波数割当ての
見直し
見直し
Ⅱ
Ⅱ 周波数の再配分・割当制
周波数の再配分・割当制
度の整備
度の整備
Ⅲ
Ⅲ 電波利用料制度の抜本的
電波利用料制度の抜本的
な見直し
な見直し
Ⅳ
Ⅳ 研究開発の推進
研究開発の推進
Ⅴ
Ⅴ 無線端末の円滑な普及促進
無線端末の円滑な普及促進
Ⅵ
Ⅵ 国際戦略の一層の強化
国際戦略の一層の強化
ワイヤレスブロードバンド 環境構築による
ユビキタスネットワーク社会の実現
◆ワイヤレスブロードバンド
環境実現への期待
平成15年7月30日 情報通信審議会答申
「電波政策ビジョン」より
Ⅶ
Ⅶ 安心で安全な電波利用環
安心で安全な電波利用環
境整備
境整備
5
1-4 電波利用の拡大と安全性
総務省
電波利用の普及・高度化に伴い、電波が人体や
医用機器に与える影響に対する懸念が増大
電波の安全性について的確な対応が必要
人体に与える影響
医用機器に与える影響
人体
電波発射源
医用機器
6
総務省
2
電波が人体に与える影響について
2-1
健康への影響に対する懸念への対応
2-2
電波防護のための指針の策定
2-3
電波防護指針の制度化
2-4
電波が人体に与える影響に関する研究の推進
2-5
電波の安全性に関する国際動向
7
2-1 健康への影響に対する懸念への対応
総務省
携帯電話などの電波利用が爆発的に普及
健康への影響に対する懸念が増大
より安心して安全に電波を利用できる環境の確保に向けた取組みの強化
電波防護指針の
策定・制度化
電波が人体に与える
影響に関する
研究の推進
WHO等を
中心とした
国際協調
8
2-2 電波防護のための指針の策定
総務省
これまで50年以上の研究の蓄積
1
刺激作用
2
電波によって体内に生じた誘導電流
等より刺激を感じる
(100kHz程度以下)
熱作用
人体に吸収された電波のエネルギー
が熱となり、全身の又は部分的な体温
を上昇させる(100kHz程度以上)
これらの作用を及ぼす電波の強さ(しきい値)
十分な安全率(約50倍)
人体に影響を及ぼさない電波の強さの指針
人体に影響を及ぼさない電波の強さの指針
電波防護指針
電波防護指針
(平成2年策定、平成9年追加)
(平成2年策定、平成9年追加)
1-2
1-2
※ 電波防護指針の内容(例):周波数f〔MHz〕が300MHz-1.5GHzの場合、電界強度は1.585f〔v/m〕、磁界強度はf /237.8〔A/m〕、
電力密度はf/1500〔mW/cm2〕。
※ わが国の電波防護指針は、国際ガイドラインと同等。
9
2-3 電波防護指針の制度化
総務省
1 電波の強度に対する安全施設
電波の強さが基準値を超える場所に一般の
人々が容易に出入りできないよう、安全施設
の設置を義務付け。(平成11年10月)
安全施設
2 人体頭部に吸収されるエネルギー量(比吸収率)の許容値
人体頭部で吸収される電力の比吸収率※
(SAR)の許容値(2W/kg)を強制規
格として規定。(平成14年6月)
※
比吸収率(SAR:Specific Absorption Rate)とは、生体が電磁界に
さらされることによって単位質量の組織に単位時間に吸収されるエネルギ
900MHz
1.5GHz
ー量をいう。
SARの値
高い
低い
頭部横断面のSAR分布
(上から見た図)
10
2-4 電波が人体に与える影響に関する研究の推進(1)
総務省
電波が人体に与える影響を科学的に解明するため、
生体の安全性評価等に関する研究を推進
1 生体電磁環境研究推進委員会
医学・工学の研究者等により構成される「生体電磁環境研究推進委員会」
(委員長:上野照剛 東京大学教授)を平成9年度より開催し、動物実験等
による生体の安全性評価等に関する研究を推進。
2
主な活動
○研究の推進(平成17年度:16件)
・ 2GHz帯電磁波ばく露による生殖・発生・発達に対する影響を調べる
ための動物実験
・携帯電話使用と脳腫瘍等の発生との関連性についての疫学調査※
・電波による眼球への影響を調べるための動物実験 等
※ 疫学調査とは、地域や集団内で収集した症例のデータを整理・分析し、これらを解析することにより、疾患や健康に関する事象の発生の原因等の関連性を
明らかにする調査。
○国際連携
・世界保健機関(WHO)等の国際機関との連携
・専門家会合を通じた諸外国(米国、欧州、韓国等)との連携・協力
11
2-4 電波が人体に与える影響に関する研究の推進(2)
3
総務省
これまでの主な研究成果
血液-脳関門※1に及ぼす影響に関する実験
(H9、H10)
熱作用を及ぼさない強さの電波ばく露で
は影響なし
記憶機能に及ぼす影響に関する実験
(迷路学習実験)(H11~13)
熱作用を生じない条件では影響なし
脳腫瘍の発生に及ぼす影響に関する実験
(長期局所ばく露実験)(H12~14)
長期にわたる携帯電話の使用が脳腫瘍
の発生に及ぼす影響は認められない
脳微小循環動態※2に及ぼす影響に関する実験
(H12~14)
携帯電話の電波が脳微小循環動態に及
ぼす影響は認められない
これらに加え、電波防護指針値を超えない強さの電波により、非熱効果を
これらに加え、電波防護指針値を超えない強さの電波により、非熱効果を
含めて健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められないこと等を内
含めて健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められないこと等を内
容とする中間報告をとりまとめ。(平成13年1月)
容とする中間報告をとりまとめ。(平成13年1月)
※1
※2
血液-脳関門(BBB:Blood Brain Barrier):
脳毛細血管と脳組織との間に存在し、脳内に毒性物質が侵入するのを防御している生体の構造の総称。
脳微小循環動態:
脳内の微小血管における動的に変動する様々な循環指標。血管径、血流速度、白血球の挙動、BBBの機能等。
12
2-4 電波が人体に与える影響に関する研究の推進(3)
総務省
4 平成17年度以降の研究計画
1 疫学研究・ボランティア研究
(1) 疫学調査
(2) 携帯電話のヒト眼球運動への影響に関する研究
(3) 非熱的 RF 電磁界へのヒト感受性に関する研究
2 動物実験
(1) 生殖・発生・発達に対する2GHz帯電磁波ばく露の修飾作用
(2) パルス波・ミリ波による眼球への影響評価に関する研究
(3) 電波照射の脳微小循環動態に及ぼす影響の直視的評価と加齢性変化に関する研究
(4) 経胎盤的 N-ethyl-N-nitrosourea 誘発中枢神経系腫瘍発生に対する2GHz帯電磁波ばく露の
修飾作用
3 細胞実験
(1) 高周波電磁波ばく露による生物学的影響調査-内分泌撹乱様作用について-
(2) 高周波ばく露の細胞生物学的影響調査と機構解析(細胞実験)
(3) 生体ラジカル発生へのマイクロ波影響の実験調査
4 ドシメトリ(ばく露評価)
(1) 症例対照研究の解析を補完する携帯電話利用者のばく露評価
(2) 高周波ばく露の細胞生物学的影響調査と機構解析(物理的条件からの検索)
(3) 生物実験のためのばく露評価とばく露装置の開発
(4) 人体全身平均 SAR の特性評価
5 その他
(1) 新たな疫学的アプローチの必要性と実施可能性に関する予備的研究
(2) 国内外における電波の生体影響に関する研究の動向調査
13
2-5 電波の安全性に関する国際動向(1)
総務省
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)
(ICNIRP:International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection )
◇ ICNIRPは、国際放射線防護学会によって設置された、
非電離放射線に関する国際的な独立専門組織であり、電波
や光の人体への安全性について科学的見地から検討し、勧
告を行うことを任務としている。
これまで、十分な安全率を考慮した電波防護に係る国際
ガイドラインを策定しており、多くの国がこれと同等のガ
イドラインを採用している。
我が国においても、このガイドラインと同等の電波防護指針を策定。
14
2-5 電波の安全性に関する国際動向(2)
総務省
世界保健機関(WHO)
世界保健機関(WHO)
(WHO:World Health Organization)
◇ WHOは、電波ばく露による健康への影響などを評価
し、環境保健基準の検証等を行うことを目的とする国際
電磁界プロジェクトを推進中。
我が国も研究を実施し、貢献。
WHOファクトシート193より
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の策定した国際ガイドライン
は、(熱及び非熱効果の両方の)全ての科学的文献の注意深い解析に基
づくものであり、RFエネルギーの危険性として確認された全てのものに
ついて、十分な余裕を持って防護するものである。
15
2-5 電波の安全性に関する国際動向(3)
総務省
国際がん研究機関(IARC)
国際がん研究機関(IARC)
(IARC:International Agency for Research on Cancer)
◇ WHOの付属機関であるIARCは、電波による発が
んリスクの評価を実施するため、大規模な疫学調査※を
推進中。
我が国も調査を実施し、貢献。
(参考)IARCによる発がん性評価(モノグラフ)
・モノグラフは、発がん性の有無を様々な証拠をもとに分類したものであって、発がん性の強さなどを
評価したものではない。
・通信、放送等に用いられる電波については、現在検討中。
・送電線、家電製品等から生じる超低周波(ELF)については、磁界成分を「グループ2B」に分類。
この分類には、コーヒー、ピクルス、ガソリンエンジンの排気ガスなどがある。
【 モノグラフの分類 】
グループ1 : ヒトへの発がん性を示す十分な証拠がある場合
グループ2A : ヒトへの発がん性を示す証拠は限定的であるが、動物への発がん性を示す十分な証拠がある場合
グループ2B : ヒトへの発がん性を示す証拠が限定的であり、動物実験での発がん性に対して十分な証拠がない場合
グループ3 : ヒトへの発がん性を示す証拠が不十分であり、動物実験での発がん性に対しても十分な証拠がない場合
グループ4 : 発がん性がないことを示唆する証拠がある場合
※ 疫学調査とは、地域や集団内で収集した症例のデータを整理・分析し、これらを解析することにより、疾患や健康に関する事象の発生の原因等の関連性を明らかにする調査。
16
総務省
3
電波が医用機器に与える影響について
3-1
医用機器に与える影響の例
3-2
医用機器への影響の防止に関する指針の策定
3-3
医用機器への影響の防止に関する指針の概要
3-4
各種電波利用機器による影響の防止策
17
3-1 医用機器に与える影響の例
影響
総務省
心臓に鼓動を促す電気信
号(ペーシングパルス)へ
の干渉の発生
ペースメーカ等植込み型の医用機器
影響
画面の乱れ等
の発生
携帯電話等
医療機関内で使用される医用機器
18
3-2 医用機器への影響の防止に関する指針の策定
総務省
電波による心臓ペースメーカ等への影響に対する懸念
電波による心臓ペースメーカ等への影響に対する懸念
「医用電気機器への電波の影響を防止するための
「医用電気機器への電波の影響を防止するための
携帯電話端末等の使用に関する調査」
携帯電話端末等の使用に関する調査」
※
(平成7~8年度
(平成7~8年度 不要電波問題対策協議会
不要電波問題対策協議会※))
携帯電話端末等の電波が
○ 心臓ペースメーカ (228機種)
○ 病院内の医用機器 (108機種)等
に与える影響について、調査を実施
「医用電気機器への電波の影響を防止するための
「医用電気機器への電波の影響を防止するための
携帯電話端末等の使用に関する指針」を策定
携帯電話端末等の使用に関する指針」を策定
※
(平成9年3月
(平成9年3月 不要電波問題対策協議会
不要電波問題対策協議会※))
※ 不要電波問題対策協議会:不要電波による障害を防止し、除去するための対策を協議することを目的として設立。
学識経験者、関係省庁、関係業界団体等から構成。現電波環境協議会。
19
3-3
医用機器への影響の防止に関する指針の概要
総務省
「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用
に関する指針」(平成9年3月)の概要
~医療機関内での携帯電話端末等の使用~
~植込み型ペースメーカ装着者への配慮~
○携帯電話を持ち込まない
・手術室、集中治療室など
○携帯電話の電源を切る
・検査室、診療室、病室など
○使用できる場所の特定
・待合室など医療機関側で認めた区域
22cm以上離す
携帯電話
PHS
等
○PHSの使用条件
・医療機関の許可を得たもののみ使用可
・容易に識別できるよう表示
ペースメーカ装着部位
から
22cm以上離して使用
満員電車等の混雑する
場所では
電源を切るよう配慮
引き続き、新しい方式の携帯電話端末による影響について調査を実施中。
「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」は、次のアドレス(電波環境協議会のHP)にて公表。
http://www2.ias.biglobe.ne.jp/emcc/others/keitai.html
20
3-4
各種電波利用機器による影響の防止策(1)
総務省
総務省では、携帯電話端末に加えて、各種電波利用機器
による医用機器への影響についても継続的に調査を実施し、
安心して安全に電波を利用できる環境の確保に努めている。
平成14年度(平成15年6月発表)
・ワイヤレスカードシステム、電子商品監視(EAS)機器が植込み型医用機器に及
ぼす影響
平成15年度(平成16年6月発表)
・電子商品監視機器、無線LAN機器、RFID機器が植込み型医用機器に及ぼす影響
21
3-4
各種電波利用機器による影響の防止策(2)
総務省
ワイヤレスカードシステムが植込み型医用機器に及ぼす影響の防止策
ワイヤレスカードシステムが植込み型医用機器に及ぼす影響の防止策
1
1 ペースメーカ装着者は、リーダライタ部(アンテナ部)から心臓ペース
ペースメーカ装着者は、リーダライタ部(アンテナ部)から心臓ペース
メーカの装着部位を、安全率を見込んで12cm以上離すことにより安全に
メーカの装着部位を、安全率を見込んで12cm以上離すことにより安全に
ワイヤレスカードシステムを利用することができる。
ワイヤレスカードシステムを利用することができる。
2
2 除細動器装着者は、日常生活において特別にワイヤレスカードシステムを
除細動器装着者は、日常生活において特別にワイヤレスカードシステムを
意識する必要はないが、除細動器装着部位をリーダライタ部(アンテナ部)
意識する必要はないが、除細動器装着部位をリーダライタ部(アンテナ部)
に密着させることは避けるべき。
に密着させることは避けるべき。
3
3 ワイヤレスカードシステムの製造業者等は、リーダライタ部(アンテナ
ワイヤレスカードシステムの製造業者等は、リーダライタ部(アンテナ
部)を明確に認識できるよう表示等を工夫することが影響防止に有効。また、
部)を明確に認識できるよう表示等を工夫することが影響防止に有効。また、
断続磁界モードは、影響が大きくなるので、できる限り連続磁界モードを利
断続磁界モードは、影響が大きくなるので、できる限り連続磁界モードを利
用することが影響防止には有効。
用することが影響防止には有効。
22
3-4
各種電波利用機器による影響の防止策(3)
総務省
EAS機器が植込み型医用機器に及ぼす影響の防止策
EAS機器が植込み型医用機器に及ぼす影響の防止策
ア
ア 植込み型医用機器の装着者は、EAS機器が設置されている場所及びEASス
植込み型医用機器の装着者は、EAS機器が設置されている場所及びEASス
テッカが貼付されている場所では、立ち止まらず通路の中央をまっすぐに通過す
テッカが貼付されている場所では、立ち止まらず通路の中央をまっすぐに通過す
ること。
ること。
イ
イ 植込み型医用機器の装着者は、EAS機器の周囲に留まらず、また、寄りか
植込み型医用機器の装着者は、EAS機器の周囲に留まらず、また、寄りか
かったりしないこと。
かったりしないこと。
ウ
ウ 植込み型医用機器の装着者は、体調に何らかの変化があると感じた場合は、担
植込み型医用機器の装着者は、体調に何らかの変化があると感じた場合は、担
当医師に相談すること。
当医師に相談すること。
エ
エ 植込み型医用機器に対するEAS機器の影響を軽減するため、今後、更なる安
植込み型医用機器に対するEAS機器の影響を軽減するため、今後、更なる安
全性の検討を関係団体で行っていくこと。
全性の検討を関係団体で行っていくこと。
無線LAN機器が植込み型医用機器に及ぼす影響の防止策
無線LAN機器が植込み型医用機器に及ぼす影響の防止策
ア
ア 無線LAN機器によって影響を受けた植込み型医用機器は、1機種であったこ
無線LAN機器によって影響を受けた植込み型医用機器は、1機種であったこ
とから、厚生労働省の協力を得て、医療機関を通じ同機種の利用者全員に対して、
とから、厚生労働省の協力を得て、医療機関を通じ同機種の利用者全員に対して、
試験結果に基づく注意喚起を行った。
試験結果に基づく注意喚起を行った。
イ
イ よって、現時点で特段の注意をされていない植込み型医用機器の装着者は、無
よって、現時点で特段の注意をされていない植込み型医用機器の装着者は、無
線LAN機器に対しては特別の注意は必要としない。
線LAN機器に対しては特別の注意は必要としない。
23
3-4
各種電波利用機器による影響の防止策(4)
総務省
RFID機器が植込み型医用機器に及ぼす影響の防止策
RFID機器が植込み型医用機器に及ぼす影響の防止策
ゲート型RFID機器が植込み型医用機器に及ぼす影響を防止するための指針
ア
ア 植込み型医用機器の装着者は、ゲート型RFID機器が設置されている場所及びRFI
植込み型医用機器の装着者は、ゲート型RFID機器が設置されている場所及びRFI
Dステッカが貼付されている場所では、立ち止まらず通路の中央をまっすぐに通過するこ
Dステッカが貼付されている場所では、立ち止まらず通路の中央をまっすぐに通過するこ
と。
と。
イ
イ 植込み型医用機器の装着者は、ゲート型RFID機器の周囲に留まらず、また、寄りか
植込み型医用機器の装着者は、ゲート型RFID機器の周囲に留まらず、また、寄りか
かったりしないこと。
かったりしないこと。
ウ
ウ 植込み型医用機器の装着者は、体調に何らかの変化があると感じた場合は、担当医師に
植込み型医用機器の装着者は、体調に何らかの変化があると感じた場合は、担当医師に
相談すること。
相談すること。
エ
エ 植込み型医用機器に対するゲート型RFID機器の影響を軽減するため、今後、更なる
植込み型医用機器に対するゲート型RFID機器の影響を軽減するため、今後、更なる
安全性の検討を関係団体で行っていくこと。
安全性の検討を関係団体で行っていくこと。
ハンディ型RFID機器が植込み型医用機器に及ぼす影響を防止するための指針
ア
ア 植込み型医用機器の装着者は、ハンディ型RFIDのアンテナ部を植込み型医用機器の
植込み型医用機器の装着者は、ハンディ型RFIDのアンテナ部を植込み型医用機器の
装着部位から22cm
装着部位から22cm以内に近づけないこと。
以内に近づけないこと。
イ
イ 植込み型医用機器に対するハンディ型RFID機器の影響を軽減するため、今後、更な
植込み型医用機器に対するハンディ型RFID機器の影響を軽減するため、今後、更な
る安全性の検討を関係団体で行っていくこと。
る安全性の検討を関係団体で行っていくこと。
24
4 電波の安全性に関する周知・広報
総務省
1.パンフレットの作成・配布
電波の安全性に関して抱く漠然とした不安を
払拭するため、わかりやすいパンフレットを
作成し、各総合通信局、国民生活センター等
において配布。
2.ホームページによる周知・広報
総務省ホームページの下記アドレスにおいて、生体電磁環境に関する情報
提供を実施。
http://www.tele.soumu.go.jp/j/ele/body/comm/index.htm
3.講演会の開催
全国各地で電波の安全性に関する講演会を開催。
【平成16年度実施状況】
5月(静岡)、6月(札幌、東京)、7月(仙台)、9月(那覇)
10月(京都、広島)、11月(金沢、松山、熊本)、12月(長野)
⇒
平成17年度は、全国で20回程度の講演会を開催予定。
25
総務省
電波の安全性に関する
電波の安全性に関する
調査・研究
調査・研究
電波の安全性に関する
電波の安全性に関する
指針の策定・制度化
指針の策定・制度化
より安心して安全に
電波を利用できる環境を確保
電波の安全性に関する
電波の安全性に関する
国際的な連携・協力
国際的な連携・協力
電波の安全性に関する
電波の安全性に関する
周知・広報
周知・広報
26
安心できる電波環境
北海道大学大学院情報科学研究科
野島俊雄
1.電波の性質と生体影響
2.生体影響研究
(分かっていること,問題など)
3.心臓ペースメーカへの影響
4.安心できる電波利用のために
6.まとめ
平成17年7月4日
○電磁波は真空中を光速度で直進する
電界
○空間の電磁エネルギーの流れ
る
い
て
が っ
界
磁 み合
絡
周波数
生体に電波が照射されると・・
生体に電波が照射されると・・
反射・吸収・通過する
大きなエネルギー吸収
は影響の原因
・原子・分子レベルの影響
・物理的ストレス
・内部電磁界の形成
・電圧・電流の誘起(発熱)
・電荷の誘導
1
電波は放射線と違い原子・分子レベルで影響しないハズ
周波数
1Hz 1kHz 1MHz 1GHz 1TeraHz 1PetaHz 1ExaHz
103
1
超低周波
ELF
WHOの
定義
すべて
電磁波
106
109
1012
中波、短波 マイクロ波
IF
1015
1021
可視光 紫外線 X線
RF
Non-Ionizing Radiation
(非電離放射)
電磁界
(電磁場)
1018
Ionizing Radiation
(電離放射)
電波(RF電磁界)
300∼300GHz or 3000GHz
10eV
=2.4×1015 Hz
電波利用と生体防護の歴史
1800
1900
1950
レーダ等
(職業的利用)
1990
携帯電話
(公衆利用)
2000
1840年代:米国での,電信線が疫病をもたらすとの不安
(理解できないものに対する大衆の不安と恐れ)
1888年:ヘルツの電磁波発生
1890年代:マルコーニの無線通信発明/テスラの電波送電塔
1920年代∼:ジアテルミ温熱療法の開始(最初はおでき治療)
1930年代:レーダー開発と熱作用,はげ・不妊等のうわさ
米国海軍研究所の調査(1940年代:臨床的には問題なし)
1940年代:殺人光線の研究(熱作用いき値)
1950年代:レーダー従事者への影響(米国海軍)
2
1953年:米国シュワンの安全基準提案(10mW/cm )
1958年:ソ連の基準(∼300GHz)
1966年:最初の米国ANSI基準(∼100GHz)
1990年:電波防護指針の提示(電気通信技術審議会答申)
1996∼2007年?:WHO-EMFプロジェクト
2001年:固定無線局の電磁界強度規制(日本)
2002年:頭部側頭部でのSAR規制(日本)
ユビキタス社会へ
2
電波の基本的性質と
生体影響研究の必要性
• 電波は電界と磁界から成り,光のように直進する
• 問題となるような特別な周波数はほぼない(体の
大きさによって吸収に違いがある)
• 同じ電磁波の仲間だが,放射線とは性質が全く
異なり通常の強さなら問題ないはず
☆強いと,熱による影響などがある・・具体的な影
響と強さの関係を究明することが必要
☆未知の作用の懸念・・研究(実験調査)の重要性
„ 電波は様々な分野で百年以上利用され,健康悪
影響は科学的には確認されていない.
しかし,公衆レベルの身近な利用は近年の
ことだから十分な研究調査は必要
„ 強い電波は急性作用(熱作用など)を引き起こす.
強さを抑えた利用が必要
弱ければ人には何の心配もないハズ
(全身曝露:1mW/cm 2 以下)
„ 晩発性作用(発ガンなど)は確認されない.
遺伝子レベルで僅かな影響もない?
„ 電子機器EMCは現状では機器に依存
3
生体防護で検討すべきこと
基地局からの
遠方界照射
(全身、長期、微弱)
携帯電話の
近傍界照射
(局所、短時間、強)
電波は吸収され、
体内電流・電磁界を形成
神経刺激
(ない)
発熱
植込み型
電子機器 全身/局部
温度上昇
組織/細胞/DNA/
体内に
入った電波が問題
(エネルギー,強さ?)
生理機能への影響
(急性,晩発性,遺伝)
直接的,複合的, 間接的
防護基準を決めるために
健康リスク
☆熱的影響が支配的
☆他は仮にあってもリスクは小
作用毎に
異なる特性?
発生
リスク制御値
安全率
制限値?
制限値?
不確かさ
ゼロ
1-10GHz:
10-9mW/cm2
自然界レベル
晴天時可視光:
100mW/cm2
ばく露量
防護指針値
1mW/cm2
悪影響確認レベル(いき値)
∼50mW/cm2
指針値を少々超えても問題はない
4
白内障
150m W /cm 2
(2.45G H z),10 0分
深部体温 上昇
行動異常
4W /kg, 6 分間
その際に ,
局所体温 上昇
組織への 影響
20倍, 6 分間
磁気閃光
数十H z, 10 4 A /m
マイクロ 波ヒヤリング
200M ∼3G H z, 1μ∼1m S 幅 ,
50∼2 0K 個のパ ルス
250m W /cm 2 (ピーク値)
脳腫瘍
携帯電話
一時的記 憶喪失
携帯電話
角膜損傷
10m W /cm 2 , パルス
(2.45G H z),24 0分
B B B 影響
携帯電話
熱感
60m W /cm 2 ( 3G H z)
神経・筋 刺激
0.35・10 -4 f A /cm 2
レットゴ ー電流
感電のレ ベル
電流火傷
200m A
子供への影響
血圧低下
携帯電話
C aイオン流 出(雛の脳
細胞)
0.1∼1m W /cm 2 , 6∼
16H z A M
(147 , 240, 450M H z)
白血病
基地局
生殖器腫 瘍
レーダガ ン
体内マイ クロ
波への影 響
科学的裏づけのある
熱的作用などは
いき値が確認されている
はげ
ミリ波
メラトニ ン
基地局
睡眠妨害
基地局
胎児への 影響
携帯電話
薬物との 複合
作用
懸念の主張があるが
信頼できる多くの実験では
影響が確認されない
世界における最近の研究例
不安があれば、自ら研究して確認する
•
•
•
•
•
•
•
•
•
米国WTR;CTIAの資金(25mil.$), ’93--’99
FDA-CTIA, ’00 -Motorola 25mil.$
独国無線通信研究協会(FGF), --’97
仏,伊,豪,フィンランド等のプロジェクト,
EC-COST244bis, 30Meuros, ’96---’00,
欧州MMF ’01--,中国その他
日本;総務省,ARIB,’94 --WHO EMF Project , IARC, ’ 96∼’07---
5
生体作用研究の困難性
安全性(何もないこと)の完全な証明は不可能
e.g. 脳腫瘍の発生率・・・6人/10万人
「あってもわずかの影響」どうやって確認?
(1) in vitro ・温度,薬品など他の要因の除去
(細胞研究) ・周波数,変調,出力等への依存性
・組織,細胞の違い,人間との相関
・既存の手法(薬品等)の適用性と完全性
(2) in vivo
・ストレス,温度など他の要因の除去
(動物研究) ・周波数,変調,出力等への依存性
・人間との相関
・試験個体数
(3) 疫学
・適用性の評価、交絡因子の除去
・ボランティア実験
・プラシーボ等の除去
○作用を起こすメカニズムの明確化
電磁波過敏症
• Hypersensitivity, Microwave-monophobia
• 実験調査の結果は,通常経験する電波との因果
関係を支持はしないが,感覚や認識に何らかの
影響が生じている
• 問題は,本人しか感知できないこと(否定するこ
とは有り得ない)
• WHOの定義では,安寧が妨げられる状態は健
康とはいえない
• 冷静な対応が重要
6
携帯電話ばく露に関連する過敏症の症状:因果関係なし
Maila Hietanen : Bioelectromagnetics,
Bioelectromagnetics, Vol.23, No.4, May 2002
携帯電話電波で頭痛などを覚える20
人についてダブルブラインド試験
携帯電話電波で頭痛などを覚える20人についてダブルブラインド試験
(ボランティア)を実施.
フィンランドでサービス中の
アナログ,ディジタル両シス
テムの携帯電話を使用.
携帯電話電波発射がない時
のほうが影響が顕著にでた.
血圧,心拍,呼吸頻度など
をチェックした結果,影響の
殆どは頭部にでた.
結論:被験者は確かに不快
結論:被験者は確かに不快
感を覚えたものの,電波の
直接的影響ではない.
弱い電波で影響があったとする
最近の研究報告から
• DNA損傷
• BBB影響
• 血流影響
• アレルギーとの関連性
• 安寧への影響
• 幾つかの疫学事例
○検討が不十分で結論に問題あり
7
Netherlands Organisation for Applied Scientific Research (TNO)
オランダ応用科学研究機構の報告抜粋(2003, 9月)
1.背景
GSM及びUMTS電磁界曝露による体調への影響を二重盲検法
により実験調査する(電磁波過敏症の存在調査).
スポンサー:経済省,環境省,厚生省
2.方法
A群(過敏症の人達),B群(そのような経験のない人達)最大36名で,
曝露影響のボランティア試験(リアルタイムのアンケート調査)を行う.
・擬似曝露(被験者は曝露有りと思っている),・GSM曝露(945MHz, 1840MHz),
・UMTS曝露(2140MHz)曝露,の4条件.短時間曝露 (検査時間10~20分).
高さ1mで1V/m(公共の場で測定されるGSM基地局からの最大放射レベル).
3.結果
・RF曝露と体調とは無関係という仮説は否定された
・電界強度1V/mのUMTS(CDMA)と 安寧(well being) との間に統計的関連性
を見出した.A,B群共に同様の結果が得られた
・熱的作用ではない(曝露は微弱)
・生物学的メカニズム,曝露との定量的関係などはまだ分からない
・ CDMA が問題であり,UMTS(2.14GHz)以外についても調査が必要
8
4.今後の課題
・安寧への影響の定量的評価;RF界強度の増減と影響の度合い
・男女,成人と子供とでの差異の有無を調査
・健康影響の明確化のための生物学的メカニズムの究明
・脳機能に関する生物学的メカニズムの究明
・異なるパルス波形,周波数の違いによる影響の評価
・ 認識機能検査でポジティブなのに,別の試験ではネガティブな理由
・UMTS-like信号で検出された影響が,他のCDMA信号でも検出されるかどうか?
その他の情報:拡大解釈したマスコミへの研究リーダからの手紙(2003,10,07)
・プレスは過度の反応をしている
・GSM/UMTS-like信号曝露と安寧及び認識機能検査結果に 統計的関係 が
存在することを発見したが,頭痛を生じたなど健康に悪影響があるとは示唆して
いない
・我々は健康悪影響の可能性については何も検討していない
・今回の結果は世界で最初の発見であり,再現性あるものと信じている
・しかし,何らかの 信憑性のある結論 を導出する前にTNOと独立な機関による
再現実験 を実施することが必要である
今後への影響と問題点
1.影響
1) WHOによる健康の定義では「身体的,精神的及び社会的に完全に安寧な
状態であり,単に病気でないということではない」・・・・ 安寧 は健康の一部.
・・・・・指針値以下のRF曝露が健康に悪影響する?
2) 1V/mは基地局電波として強いレベルではない.もし本当に影響するなら,
端末からの曝露はより大きいから何らかの影響があってもおかしくない?
3) エリクソンのコメント:たった一つの実験調査では何も結論づけられない.
移動通信ネットワークは悪影響しないことに変わりはない.
2.問題点
1) 二重盲検査とはいえども,電波暗室内に居ること,アンテナの存在などの
条件がアンケートに影響しないか?・・・・プラシーボ基準だからOK?
2) サンプル数は十分と説明しているが,偶然性やばらつきが未検討
・・・・追試験の必要性を研究者自身が認めている
3) GSM(第二世代)と,CDMA(第三世代または2.1GHz)の影響に
一貫性が無いのはなぜか?
9
Hyper sensitivityに関わるボラン
ティア実験の一般的問題点
・プラシーボ効果でもdose effectが生じるこ
とがある
・再現実験に一貫性が無い,ランダムな結
果が出る場合は交絡因子の作用の可能
性が大
・30分の通話でも,肩こり,頭痛などが起
きる(電波と関係なく)
サンティニのアンケート調査
(2001,Sept)
仏国携帯電話基地局,周辺住民の健康調査
530のアンケート分析結果から,携帯電話基地局から住宅ま
での最小距離を300m以下とすべきでないと結論
10
研究のポイントとそれらの問題点
• 仏居住の530名(Webで知って研究参加を希望),基
地局近くに居住/しない者についてアンケート調査
○選択バイアスの影響(興味のある人だけが回答)
• 300m以内で疲労感,頭痛,睡眠障害,不快感等と相
関.100m以内では吐き気,視覚変調等顕著な影響
○不定愁訴に影響を及ぼす可能性のある交絡因子の
影響(喫煙・飲酒,ストレス,etc.)が未検討
・ 電波ばく露が不定愁訴に影響している
○電波のばく露量が測定されていないので,電波の影
響は議論できない
◎電波影響ではなく基地局が嫌いということが原因の
可能性が大
スチュアート発言(2005,Jan)
英国NRPB理事長の個人的発言
同氏は2000に報告書を政府に提出(独立専門家グループ)
11
関連業界の一部が過敏に反応
関連8社が販売を自粛
根 拠
• 幼い子供が電磁波に被曝した場合,中枢神経系や
免疫系,その他の器官が形成される時期であり,深
刻な健康影響が生ずる可能性がある.
• 環境ホルモンの中には,例え超微量であっても成人
してからの(或いは曝露本人の子供の)生殖機能に
異変をもたらす場合がある
• 脳組織での伝導性がより大きい.頭部での高周波の
吸収率がより大きい
• 頭蓋骨が大人より薄い,etc.
12
オランダ健康委員会のコメント
2004,February
子供の携帯電話使用を制限すべきとの勧
告を支持する科学的データは得られていな
い.HCNは,生後二年目以降の頭部の成
長において,子供と大人の感受性に差を生
じるような変化は生じないと結論する.ゆえ
にHCNは,子供の携帯電話の使用制限を
勧告する理由はないと考える
安心できる電波利用のために
• 信頼できる研究結果から得られた防護指
針に沿って電波を発射する・・・法律による
規制
1.無線端末は,使用する人についてSAR規
格を満足するような端末と出力で利用する
2.無線基地局は,電波が照射される環境に
ついて電磁界強度(電力束密度)が規格値
を超えないように設置して運用する
13
我が国の電波防護指針の構成
管理指針
全身曝露(環境)
に対する指針
電磁界強度指針
/補助指針 E, H, S
局所曝露(携帯電話等)
に対する指針
局所吸収指針
2W/kg(条件
G)
2W/kg(条件G
基礎指針
全身平均SAR
;0.4W/kg 局所SAR
;10W/kg
全身平均SAR;
局所SAR;
例え ば安 全係数1 0 倍
生体作用いき値
全身平均SAR
;4W/kg
全身平均SAR;
局所吸収電力
(SAR)
十分な
安全率
をとって
規定
50倍
50倍
・不均一分布
・組織に依存(均一組織を仮定できる)
・距離に依存(近いほど大,ホットスポットはない)
・出力に依存
・周波数に依存(高周波ほど狭い範囲に集中)
14
基地局は電磁界強度
で規制
電波防護基準値
10k
○ 日本の電波法
(またはARIB標準規格STD-38)
電界強度 [V/m]
1k
○ スイスの基準値
・4 V/m at 900MHz携帯電話基地局
100
・6 V/m at 1.8GHz携帯電話基地局
1/10
○ パリ憲章
・2 V/m 900MHzと1.8GHz
基地局電波の集計(24時間
実効ばく露平均)
10
1/100
○ PDC基地局から主ビーム上
50m地点の計算例
1
利得:18 dbi
アンテナ入力電力:16W
0.1
10k
100k
1M
10M
100M
1G
10G
100G
○ザルツブルグ会議での提案
周波数 [Hz]
ま と め
• 電波を安心して利用できるようにするため,多くの,様々
な研究調査が行われている
• 最新の研究手法は未確認の領域を殆ど解決しつつある
• 熱的な影響について考慮した使い方であれば健康に悪
影響することはないだろう
• 影響を確認したとする報告には,検討が不十分な点が見
受けられる
• 安全と安心は適切な指針を守ることで実現される
• それでも不安だから電波は小さいほど安全,という考え
に科学的根拠は見受けられない
15
携帯電話電波による
植込み型心臓ペースメーカへの影響
• 接近した電子機器間では影響が起きやすい
• ペースメーカ影響を生ずるメカニズムは?
• 影響を明確化するための実験調査の方法と結
果は?
• 影響を受けないようにするための対策は?(ガ
イドラインの有効性)
• 電車の中などの特殊な環境での影響は?
ペースメーカ影響を生ずる
メカニズムは?
・電子回路内に電波が侵入して,その
回路のトランジスタ等で電波の変化が
検出されることが一番の原因
・その結果,その電子回路の信号と同じ
周波数の妨害電圧や電流が生じて,動
作に影響することがある
16
影響を明確化するための
実験調査の方法と結果は?
・旧不要電波問題対策協議会ではペースメーカ協議会に参加する
12社の関係するほぼ全機種である、309機種(除細動器を含む)
について実験調査を実施(平成12年段階)
・擬似人体を使った高精度な試験法であり,現実の電波照射の状
況よりも厳しい条件で影響の推定ができる
・欧米での装着者実験でも同様の結果が得られている
・その後も,新たなペースメーカについて継続されると共に,総務
省委託の実験調査が電波産業会で行われている(∼平成16年)
・ほぼ全てのペースメーカのデータが取得されている
心臓ペースメーカ影響が生じた距離の実験結果例
(標準ダイポールアンテナ使用*)
*:同じ入力で最も
強く電波を発射
出来るような
理想的アンテナ
50
影響を受けた
ペースメーカの割合
Number of pacemakers tested:
68(PDC、PHS), 43(W-CDMA)
+13[defibrillator]
40
実際の携帯電話では
影響は弱くなる
800MHz band PDC (0.8W)
1.5GHz band PDC (0.8W)
30
2GHz W-CDMA (0. 25W)
影響受けた数 ×100
全数
[%]
20
1.9GHz PHS (0.08W)
10
0
0
10
20
30
40
50
アンテナ基部とペースメーカとの距離 [cm]
17
実験結果のポイント
• 携帯電話を接触する程に接近させても影響を受けない
ペースメーカが多くあった・・・・PDC携帯電話では約7
5%,WCDMAでは約95%の機種で影響は全く確認さ
れなかった
• 影響を受ける最大距離は約15cmと評価された
• 電波発射が停止すれば,影響は解消
• WCDMA(2GHz帯)の影響はあっても携帯電話直近領域
のみ
• 実際の携帯電話使用時では通常出力が低く,断続もな
いので影響は実験結果より大幅に緩和される(殆ど影響
しない)
影響を受けないようにするための
対策は?(ガイドラインの有効性)
• 実験で確認された,影響を受ける最大距
離の15cmに安全係数 2 を掛けた22cm
を安全距離とすれば,電波の影響を受け
ずに安全に携帯電話を利用できる
• 欧米では6インチ(15cm)の安全距離が
推奨されている
• すべてのペースメーカに対する有効性が
実験的に検証されている
18
ま と め
• 携帯電話電波によるペースメーカへの具体的障
害発生例は世界的に全く報告されていない
• ほぼすべてのペースメーカ機種について実験調
査が実施されている・・安全距離が成立しない
ペースメーカは日本には存在しない
• 22cmの安全距離をとれば携帯電話を安全に利
用できる(ペースメーカ協議会が策定した我が国
のガイドライン)
• 欧米では6インチ(15cm)が安全距離
• 満員電車内で仮に複数の携帯電話が使用された
としても安全距離が成立することを計算で評価
19
諸外国の電波防護
規制状況について
2005年7月4日
会場:ホテル仙台プラザ
(財) 未来工学研究所
本間 純一
2005.7.4
1
内 容
1. 調査の概要
2. 電波防護規制値の単位
3. ICNIRPガイドライン (1998年)
4. 諸外国の電波防護規制の制定状況 (公衆曝露)
5. 米国・カナダの電波防護規制
6. EU(欧州連合)の電波防護規制
7. 欧州主要国の電波防護規制
8. オーストラリア、ニュージーランドの電波防護規制
9. 韓国、中国の電波防護規制
10. 電磁界の生体影響の研究状況
11. 今後の課題・方向
12. まとめ
2005.7.4
2
1. 調査の概要
主な調査内容
‹電波防護 (高周波領域) の規制内容
公衆曝露(一般の人々の電磁界への曝露)
職業曝露 (職業上の専門労働者の電磁界への曝露)
‹電磁界の生体影響に関する研究概要
「諸外国における電波防護規制に関する
調査報告書 (平成16年3月)」
電波利用ホームページに掲載
http://www.tele.soumu.go.jp/j/ele/body/pr/report.pdf
2005.7.4
3
調査実施国
地 域
北 米
調査実施国
米国、カナダ
スウェーデン、オランダ
ドイツ、フランス、英国
欧 州
オーストリア、スイス
イタリア、ギリシャ、スペイン
ポーランド、ロシア
オセアニア オーストラリア、ニュージーランド
ア ジ ア 韓国、中国
2005.7.4
4
2. 電波防護規制値の単位
‹電界強度: V/m (ボルト/メートル)
[ボルト・パー・メーター]
‹磁界強度: A/m (アンペア/メートル)
‹磁束密度: T (テスラ)
・1 T = 104 G (ガウス)、1万ガウス
・1μT (マイクロテスラ) = 10-6 テスラ
百万分の1テスラ、10ミリガウス
‹電力密度: W/m2 (ワット/平方メートル)
[ワット・パー・メーター2乗]
・1μW/cm2
(マイクロワット/平方センチメートル)
= 0.01 W/m2
2005.7.4
5
参考付表:単位換算表
求めたい変換後の単位
与えられた
単位
電界強度
磁界強度
E [V/m]
H [A/m]
S [W/m ]
E [V/m]
1×E
E/377
E /377
H [A/m]
H×377
1×H
H ×377
H ×37.7
H ×37700
2
(S×377)
(S/377) 1/2
1×S
0.1×S
100×S
0.0647×S
10×S
1×S
1000×S
0.205×S
(S/37700) 1/2
0.01×S
0.001×S
1×S
0.00647×S
0.8×B
239×B
S [W/m ]
1/2
S [mW/cm ]
2
(S×3770)
1/2
2
(S×3.77)
1/2
S [μW/cm ]
B [μT]
300×B
(S/37.7)
等価平面波電力密度
2
2
2
E /3770
2
1/2
2
S [mW/cm ]
2
2
2
23.9×B
磁束密度
2
S [μW/cm ]
B [μT]
2
E /3.77
E/300
2
H×1.25
1/2
1/2
1/2
2
23900×B
1×B
例えば、1 [μT] → 0.8 [A/m]、1 [A/m] → 1.25 [μT]と換算できる。
H、E、S 間の換算は、平面波で近似できる場合の次の関係式から換算:
・H [A/m] = E [V/m] /η0
自由空間の波動インピーダンス η0 = 120π [Ω]
・S [W/m2] = H [A/m] × E [V/m]= E2 [(V/m)2] /η0= H2 [(A/m)2] ×η0
磁界のH、Bの換算式: H [A/m] = B [T] /μ0
真空の透磁率 μ0 = 4π×10-7 [H/m]
(なお、 [H/m] : ヘンリー/メートル
[Ω]: オーム
π: 円周率)
2005.7.4
6
3. ICNIRPガイドライン(1998年)
曝露制限の根拠
‹確立された短期影響のみを考慮
(末梢神経や筋肉の刺激、導電性物質に触れ
て生じる感電、熱傷)
‹電磁界曝露中のエネルギー吸収によって
生じる生体組織の温度上昇
‹疫学研究に基づく影響の可能性は立証さ
れておらず根拠には不十分
ICNIRP:International Commission on Non-Ionizing
Radiation Protection 国際非電離放射線防護委員会
2005.7.4
7
ICNIRPガイドライン
基本制限
10MHz~数GHz: 4W/kg
‹職業曝露: 4W/kg に対する安全係数 10
全身平均 SAR 0.40 W/kg
‹公衆曝露: 職業曝露に対する安全係数 5
全身平均 SAR 0.08 W/kg
SAR:Specific Absorption Rate 比吸収率
電磁界に生体を曝露したとき、単位質量あたりに生体組織に
吸収される電力 W/kg (ワット/キログラム) をいう。
周波数が約100kHz 以上のときの曝露量測定に使われる。
2005.7.4
8
SAR:比吸収率
ICNIRPガイドライン/IEEEガイドライン
全身平均
曝露区分 SAR (W/kg)
頭部・胴体の
局所最大
SAR (W/kg)
生体組織
10g平均
四肢の
局所最大
SAR (W/kg)
生体組織
1g平均
生体組織
10g平均
IEEE
ICNIRP
IEEE
ICNIRP
IEEE
ICNIRP
公衆曝露
0.08
2
1.6
4
職業曝露
0.4
10
8
20
IEEE: Institute of Electrical and Electronic Engineers
(米国)電気電子学会
2005.7.4
9
4. 諸外国の電波防護規制の
制定状況(公衆曝露)
国
北米
欧州
オセアニア
アジア
強制
強制
強制 (※1)
-
ICNIRP
ガイドライン準拠
-
-
(ICNIRPと同等)
○(適宜適用)
強制
○
ガイドライン
強制
強制
ガイドライン
頭部SARのみ強制 (※2)
強制
-
-
○
○
○
-
強制/ガイドライン
米国
カナダ
スウェーデン
オランダ
独、仏、スペイン、
伊、ギリシャ、スイス
英国、オーストリア
ポーランド、ロシア
オーストラリア
ニュージーランド
韓国
中国
(※1) スウェーデン:マイクロ波による室内壁・床乾燥の規則(10MHz~150GHz)(1995年制定)が強制
(※2) 韓国: ICNIRPガイドラインの参考レベルとIEEEガイドラインの頭部局所SARを採用。このうち
頭部局所SARのみ強制
2005.7.4
10
電波防護規制の主な対象設備
(公衆曝露)
国
名
・米国、カナダ
・ギリシャ、イタリア、スペイン、
ロシア
・オーストラリア、ニュージーランド
・中国
・フランス、英国、オーストリア
・韓国
・ドイツ、スイス、ポーランド
固定無線
TVラ
携帯
移動無
送信設備・
電話
ジオ送
携帯電話
線機器
端末機
信塔
基地局
○
○
○
○
○
○
-
-
○
-
-
○
2005.7.4
11
SAR規制値(公衆曝露)
導入の国々
準拠の
ガイドライン
全身平均
SAR
(W/kg)
頭部・胴体局所
最大SAR
(W/kg)
四肢局所
最大SAR
(W/kg)
国 名
フランス、ギリシャ、
スペイン、オーストラリア、
ニュージーランド
0.08
2
4
1.6
1.6
10
4
-
20
米国、カナダ
-
0.08
-
0.4
-
0.02
-
-
中国
ICNIRP
IEEE
SARの導入なし
韓国
英国
イタリア、スイス、
ポーランド、ロシア
2005.7.4
12
電波防護規制制定の関連機関
国名
米国
機関名
国名
機関名
連邦通信委員会
イタリア
カナダ
連邦保健省、連邦産業省、
連邦人材開発省
開発省 (原子力委員会)、輸送通信省、
ギリシャ 環境自然計画公共土木事業省、
雇用社会保護省
スウェ
ーデン
環境省、労働省、産業雇用通信省、
放射線防護機関、環境労働機関
スペイン 保健消費者省、産業観光商務省
オラン
ダ
住宅国土計画環境省、保健省、経済省、
保健評議会
ポーラ
ンド
環境省、経済労働社会政策省、
軍衛生疫学研究所、労働医学研究所
ドイツ
連邦環境自然原子炉安全省、
連邦経済労働省、電気通信郵便規制庁、
連邦放射線防護局
ロシア
公衆衛生省、労働衛生研究所
フランス 産業省、保健省、環境安全衛生局
英国
保健省、放射線防護庁 (現、健康保護
局の放射線防護部)、安全衛生庁
オースト 連邦農業森林環境水利管理放射線防護
リア
省、規格協会、オーストリア研究センター
スイス
連邦環境森林景観局、連邦公衆衛生局
環境省、保健省、国立衛生研究所
オースト 保健省、通信局、
ラリア 放射線防護原子力安全庁
ニュージ
ーランド
環境省、保健省、基準委員会、
国立放射線研究所
韓国
情報通信部、産業資源部、労働部
中国
衛生部国家環境保護局
2005.7.4
13
5.米国・カナダの電波防護規制
(公衆曝露)
‹ 米国:強制
‹FCC (連邦通信委員会) 制定
1996年:無線周波放射曝露制限 (300kHz~100GHz)
FCC規則パート1、パート2
規制値:NCRPガイドラインに基づく
SAR値:ANSI/IEEEの値を採用
‹ カナダ:ガイドライン (強制)
‹連邦保健省制定 (連邦産業省、連邦人材開発省と協定)
1991年 (1999年改定): Safety Code 6 (安全規定6)
無線周波電磁界の曝露制限 (3kHz~300GHz)
ガイドラインであるが法律に引用されて強制
FCC: Federal Communications Commission (米国) 連邦通信委員会
NCRP: National Council on Radiation Protection and Measurements (米国) 放射線防護測定審議会
2005.7.4
14
米国(電界強度)
1k
米国 public
ICNIRP public
100
電
界
強
度
破線 : mW/cm2 値から換算
(V/m)
10
1
10k
100k
1M
10M
100M
1G
10G
100G
1T
周波数(Hz)
(300MHz~300GHzは電力密度で規定)
2005.7.4
15
米国(磁界強度)
100
米国 public
ICNIRP public
10
磁
界
強 1
度
破線 : mW/cm2 値から換算
(A/m)
0.1
0.01
10k
100k
1M
10M
100M
1G
10G
100G
1T
周波数(Hz)
(300MHz~300GHzは電力密度で規定)
2005.7.4
16
カナダ(電界強度)
1k
カナダ public
ICNIRP public
100
電
界
強
度
(V/m)
10
1
10k
100k
1M
10M
100M
1G
10G
100G
1T
周波数(Hz)
2005.7.4
17
カナダ(磁界強度)
100
カナダ public
ICNIRP public
10
磁
界
強
度
1
(A/m)
0.1
0.01
10k
100k
1M
10M
100M
1G
10G
100G
1T
周波数(Hz)
2005.7.4
18
6. EU(欧州連合)の電波防護規制
(a)電磁界の公衆曝露規制
‹EU理事会勧告1999/519/EC (1999年7月)
ICNIRPガイドラインの公衆曝露制限値を加
盟国で適用するよう勧告
‹基本制限
‹参考レベル
電界強度、磁界強度、磁束密度、
電力密度
‹5年以内に欧州委員会は勧告を評価
2005.7.4
19
(b)電磁界の職業曝露規制
‹EU理事会指令2004/40/EC (2004年4月)
ICNIRPガイドラインの職業曝露制限値を加
盟国で適用するよう指令
‹曝露制限値 (ICNIRP用語:基本制限)
‹行動値
(ICNIRP用語:参考レベル)
電界強度、磁界強度、磁束密度、
電力密度
‹2008年4月末まで各国内法に導入
2005.7.4
20
7. 欧州主要国の電波防護規制
(公衆曝露)
(1) ICNIRPガイドライン制限値
を適用 (国内法)
EU理事会勧告1999/519/ECを
導入
ドイツ
スペイン
フランス
(2) ICNIRPガイドライン制限値
より厳しい規制 (国内法)
(a) EU理事会勧告1999/519/EC
に適合
ギリシャ
イタリア
ポーランド
(b) EU非加盟国
スイス
ロシア
(3)ICNIRPガイドライン適用を勧告
EU理事会勧告1999/519/EC
適用を勧告
スウェーデン
オランダ
(4) ICNIRPガイドライン導入を
検討中
EU理事会勧告1999/519/EC
導入を検討中
英国
オーストリア
2005.7.4
21
(1) ICNIRPガイドライン
制限値を適用(国内法)
EU理事会勧告1999/519/ECを導入
‹ドイツ
1974年 (基本法) 連邦環境汚染防止法 BImSchG
1996年 (電磁界の政令) 連邦環境汚染防止法の第26実施政令
26.BImSchV : 16.66Hz、50Hz、10MHz~300GHz
2002年 電磁界制限の証明手続きの政令: 9kHz~30GHz
2003年 連邦全体にわたる電磁界測定シリーズの規則: 9kHz~300GHz
‹スペイン (0~300GHz)
2001年 無線放射の公衆防護、放射制限、健康保護対策の規則 (王令)
2002年 無線通信事業者の調査証明提出の規則 (政令)
‹フランス (0~300GHz)
2002年 通信・無線機器から放射される電磁界の公衆曝露規制値の政令
2003年 通信・無線機器の適合評価と機器使用・サービス提供条件の改正
政令 、無線機器に適用する技術仕様の省令 (SAR値) 、
無線機器の情報提供の省令 (携帯電話端末のSAR値表示義務)
2005.7.4
22
ドイツ(電界強度)
1k
ドイツ public
ICNIRP public
100
電
界
強
度
(V/m)
10
1
10k
100k
1M
10M
100M
1G
10G
100G
1T
周波数(Hz)
2005.7.4
23
ドイツ(磁界強度)
100
ドイツ public
ICNIRP public
10
磁
界
強
度
1
(A/m)
0.1
0.01
10k
100k
1M
10M
100M
1G
10G
100G
1T
周波数(Hz)
2005.7.4
24
ドイツ
全基地局の計測地点
・2004年1月から
Webで公開
・55000ヵ所の基
地局アンテナ
・電気通信郵便
規制庁(Reg TP)
http://emf.regtp.de/GisInternet/StartFrame.aspx?User=1000&Lang=de
または http://www.regtp.de/en/
2005.7.4
25
(2) ICNIRPガイドライン
制限値より厳しい規制(国内法)
(a) EU理事会勧告1999/519/ECに適合
予防的措置の導入
‹ギリシャ (ICNIRPガイドラインに予防的措置を付加)
2000年 全陸上基地局アンテナに対する公衆曝露防護措置 (0~300GHz)
2002年 全低周波電界・磁界放射の全装置に対する公衆曝露防護措置
(0~100kHz)
‹イタリア (ICNIRPガイドラインをベースにして予防的措置を導入)
2001年 電界・磁界・電磁界の曝露に対する防護枠組み法 (0~300GHz)
2003年 送電線から生ずる商用周波数 (50Hz) の電界・磁界に対して、
国民保護の曝露限界、注意値、品質目標の制定
2003年 電界・磁界・電磁界に対する国民保護の曝露限界、注意値、
品質目標の制定 (100kHz~300GHz)
‹ポーランド(独自研究データをベース)
2001/2002年 労働社会政策省政令 (職業曝露) 0~300GHz
2003年 環境省政令 (公衆曝露) 0~300GHz
2005.7.4
26
(2) ICNIRPガイドライン
制限値より厳しい規制(国内法)
(b) EU非加盟国
予防的措置の導入
‹スイス (ICNIRPガイドラインをベース)
1983年 連邦環境保護法
2000年 非電離放射線防護政令 (0~300GHz)
‹ロシア (独自研究データをベース)
2001年 住居のための衛生疫学的要求 (50Hz)
2003年 公衆衛生疫学的規則と基準
・生産環境の物理因子:生産条件の電磁界 (職業曝露)
(0Hz, 50Hz, 10kHz~300GHz)
・自然環境、生産環境の物理因子:無線送信設備の配置と運転に対
する衛生学的要求 (公衆/職業曝露) (30kHz~300GHz)
・自然環境、生産環境の物理因子:陸上移動無線通信手段の配置と
運転に対する衛生学的要求 (公衆/職業曝露) (27MHz~2400MHz)
・パソコンと作業体制に対する衛生学的要求 (0Hz, 5Hz~400kHz)
2005.7.4
27
イタリア、ギリシャ、スイス
(公衆曝露)
‹ ギリシャ (0~300GHz)
‹ 全陸上アンテナ
ICNIRPガイドラインの参考レ
ベル(V/m、A/m)の80%値
‹ イタリア (0~300GHz)
‹ 3レベルで規制
①曝露限界レベル
②注意値レベル:
センシティブエリア
③品質目標レベル
‹ スイス (0~300GHz)
‹ ICNIRPガイドラインをベ
ース
‹ センシティブエリア
・無線通信送信設備・放送送
信設備・レーダ設備など3種
類について規定:
ICNIRPガイドラインの参考
レベル(V/m)の10%値
スイスのセンシティブエリア:託児所、幼稚園、子供の遊び場 (公園)、学校、病院、老人施設、住宅、
オフィス (長時間滞在) 等が含まれる。イタリアでは人々が4時間以上滞在する同様の区域。
2005.7.4
28
イタリア(電界強度)
1k
イタリア public (Exposure limits)
イタリア public (Attention values:屋内
及び Quality goals:屋外)
ICNIRP public
100
電
界
強
度
(V/m)
10
1
10k
100k
1M
10M
100M
1G
10G
100G
1T
周波数(Hz)
2005.7.4
29
イタリア(磁界強度)
100
イタリア public (Exposure limits)
イタリア public (Attention values:屋内
及び Quality goals:屋外)
ICNIRP public
10
磁
界
強
度
1
(A/m)
0.1
0.01
10k
100k
1M
10M
100M
1G
10G
100G
1T
周波数 (Hz)
2005.7.4
30
スイス(公衆曝露)
‹センシティブエリア以外: ICNIRPガイドライン準拠
‹センシティブエリア: ICNIRPガイドラインの
参考レベル(V/m)の10%値
① 携帯電話通信システム、無線ローカルループの送信設備
・900MHz帯送信設備:
4V/m
・1800MHz帯以上の送信設備: 6V/m
・両周波数帯の同時送信:
5V/m
② 放送、その他無線応用送信設備
・長波・中波:
8.5V/m
・その他全ての送信設備:
3.0V/m
③ レーダー設備:
5.5V/m
センシティブエリア: 託児所、幼稚園、子供の遊び場 (公園)、学校、病院、 老人施設、
住宅、オフィス (長時間滞在) 等が含まれる。
2005.7.4
31
ポーランド、ロシア(公衆曝露)
‹ ポーランド:法的強制
独自研究データに基づく: 0~300GHz
ICNIRPガイドラインより厳しい
基地局 900MHz、1800MHz: 10μW/cm2 (6.14V/m)
‹ ロシア:法的強制
独自研究データに基づく: 0Hz, 50Hz, 30kHz~300GHz
ICNIRPガイドラインより厳しい
基地局 900MHz、1800MHz: 10μW/cm2 (6.14V/m)
携帯電話端末機:
100μW/cm2 (19.4V/m)
2005.7.4
32
(3) ICNIRPガイドライン
適用を勧告
EU理事会勧告1999/519/EC適用を勧告
‹スウェーデン
1987年 高周波電磁界の政令(職業曝露) (3MHz~300GHz)
‹ 強制:1995年 マイクロ波による室内壁・床の乾燥の規則
(公衆曝露) (10MHz~150GHz):
ICNIRPと同等の値
1996年 低周波電界・磁界-予防原則のガイダンス
‹ 2002年 電磁界の公衆曝露制限の一般的助言
(EU理事会勧告適用の勧告声明)
‹オランダ
・アンテナ政策により、市民、地方政府担当者への
基地局情報の提供と啓発活動を推進
・2000年以降、ICNIRPガイドラインを適宜適用
2005.7.4
33
(4) ICNIRPガイドライン
導入を検討中
EU理事会勧告1999/519/EC導入を検討中
‹英国:ガイドライン
1993年 静的・時間変化の電磁界への人体曝露制限の
NRPB声明 (0~300GHz)
1999年 労働安全衛生規則
2002年 大略10MHz超のRF(特に携帯電話と基地局) に
対しICNIRPを予防的措置(任意実施)として追加
‹2004年NRPB:ICNIRP導入を勧告
‹オーストリア:ガイドライン
1992年 オーストリア規格SF1120 (30kHz~3000GHz)
1994年 オーストリア規格SF1119 (0~30kHz)
‹2004年以降制定予定 (ガイドライン) E8850電界・磁界・
電磁界の曝露制限 (0~300GHz) : ICNIRP準拠
2005.7.4
34
英国(電界強度)
10k
英国 public
英国 public (Precaution)
ICNIRP public
1k
電
界
強 100
度
(V/m)
10
1
10k
100k
1M
10M
100M
1G
10G
100G
1T
周波数(Hz)
2005.7.4
35
英国(磁界強度)
100
英国 public
英国 public (Precaution)
ICNIRP public
10
磁
界
強
度
1
(A/m)
0.1
0.01
10k
100k
1M
10M
100M
1G
10G
100G
1T
周波数(Hz)
2005.7.4
36
8.オーストラリア、ニュージーランドの
電波防護規制(公衆曝露)
ICNIRPガイドライン準拠
‹オーストラリア:法的強制
2003年 無線周波フィールドへの最大曝露レベル
(3kHz~300GHz)
‹ニュージーランド:ガイドライン
1999年 ニュージーランド基準:無線周波フィールドPart1
最大曝露レベル (3kHz~300GHz)
2000年 無線周波送信機の影響管理の国内ガイドライン
2005.7.4
37
9. 韓国、中国の
電波防護規制(公衆曝露)
‹ 韓国:自主規制/SARのみ法的強制
2002年 電磁界曝露に対する人体保護基準 (0~300GHz)、電磁界の測定
方法 、 SAR測定方法 、 基準適用の対象機器、の4種の政令
・ICNIRPガイドラインの参考レベル適用: (自主規制)
・IEEEガイドラインの頭部局所SAR :1.6W/kg 以下 (強制)
‹ 中国:法的強制
1988年 環境電磁波衛生標準 (公衆曝露)(100kHz~300GHz)
電磁輻射防護規定 (公衆曝露と職業曝露)(100kHz~30MHz)
1989年 超高周波作業場所衛生標準 (職業曝露)(300MHz~300GHz)
・独自データ
・ICNIRPガイドラインより厳しい
全身平均 SAR :0.02W/kg 以下
900MHz,1800MHz:12V/m (38μW/cm2)
2005.7.4
38
携帯電話基地局の法的強制値
部の値はICNIRPガイドラインの参考レベル値。( )内数値はV/mまたはμW/cm からの換算値。
2
国名
900MHz
1800MHz
米国
(47.6V/m)
600μW/cm2
(61.4V/m)
1000μW/cm2
イタリア
カナダ
47.6V/m
(600μW/cm2)
61.4V/m
(1000μW/cm2)
ギリシャ
-
-
スペイン
-
41V/m
(446μW/cm2)
41V/m
(446μW/cm2)
-
-
58V/m
(892μW/cm2)
58V/m
(892μW/cm2)
-
ポーランド
-
-
41V/m
(446μW/cm2)
4V/m
(4.2μW/cm2)
58V/m
(892μW/cm2)
6V/m
(9.5μW/cm2)
スウェーデ
ン
オランダ
ドイツ
フランス
英国
オーストリ
ア
スイス
(下記以外)
(センシティ
ブエリア)
国名
ロシア
オーストラ
リア
900MHz
1800MHz
曝露限界: 40V/m (424μW/cm2)
注 意 値: 6V/m (9.5μW/cm2)
品質目標: 6V/m (9.5μW/cm2)
33V/m
46V/m
(357μW/cm2) (713μW/cm2)
41V/m
58V/m
(446μW/cm2) (892μW/cm2)
(6.14V/m) 10μW/cm2
(6.14V/m)
10μW/cm2
41V/m
58V/m
2
(446μW/cm ) (892μW/cm2)
ニュージ
ーランド
-
-
韓国
-
-
中国
12V/m
(38μW/cm2)
2005.7.4
39
10. 電磁界の生体影響の研究状況
EU
研究テーマ/期間
助成機関/研究費用
第5次:INTERPHONE調査など8件
(4件完了)
1998~2002年
欧州委員会: 約 1200万ユーロ
参加国負担: 約 1000万ユーロ
フレーム
ワーク
第6次:EMF-NETの1件
プログラム
2004~2008年
欧州委員会: 約 150万ユーロ
参加国負担: 約 80万ユーロ
ドイツ
4分野:生物学、疫学、
ドシメトリー (曝露量評価法)、
リスクコミュニケーション
テーマ 約50件
2002~2006年
連邦環境省: 約 850万ユーロ
携帯電話事業者:
約 850万ユーロ
英国
携帯電話通信と健康の研究プログ
ラム (MTHR)
テーマ 約20件
2002~2008年
約 700万ポンド
MTHR: Mobile Telecommunications and Health research Programme
2005.7.4
40
EU第5次フレームワークプログラム
開始日
進捗状況
2000.2.1
遂行中
略号
プロジェクトのテーマ
CEMFEC
電磁界と周囲環境中の発ガン物質との組み合わせによる影響
Advice
Pulsed Fields
パルス電磁界適用のセキュリティ装置およびその類似装置の
使用による一般公衆の健康リスクに関して欧州委員会と加盟
国への助言作成
2000.2.1
完了
PERFORM-A
携帯電話と基地局に関係する健康影響の可能性についてのイ
ンヴィヴォ研究 (齧歯類動物における発ガン性の研究)
INTERPHONE
携帯電話使用に関係するガンについての国際的な症例対照研
究
REFLEX
敏感なインヴィトロ方法を使用して低エネルギーEMF曝露によ
る環境危険要因の可能性に関するリスク評価
THz-BRIDGE
生物学的研究、診断での調査、遺伝子毒性影響の可能性に関
する研究におけるテラヘルツ放射
RAMP 2001
携帯電話のEMFへの神経系細胞の曝露に関するリスクアセス
メント:インヴィトロからインヴィヴォまでの研究
2000.3.1
遂行中
2000.2.1
遂行中
2000.2.1
完了
2001.2.1
完了
2000.1.1
遂行中
2002.1.1
個別完了
GUARD
GSM携帯電話の聴覚に及ぼす悪影響の可能性
2005.7.4
41
11.今後の課題・方向
(1) イタリア、ギリシャ、ポーランドなど電磁界曝露規制値
の厳しい国々の課題:EU域内での経済流通・競争力、
規制ハーモナイゼーション等
(2) 未解明な生体影響研究の成果
WHO(世界保健機関) 、EU、ドイツ、英国、日本などの
研究
(3) ICNIRPガイドラインの再検討、ハーモナイゼーション
(4) 公衆曝露のEU理事会勧告1999/519/ECに対する欧
州委員会の評価
(5) WHOによるELF、RFの環境衛生基準(EHC)の再評価
ELF: Extremely Low Frequency 超低周波
RF: Radiofrequency 無線周波
EHC: Environmental Health Criteria
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12. まとめ
(1) 米国、カナダはIEEEのSARを導入しているが、規制値の設定は
若干異なる。
(2) EU加盟国は、理事会勧告1999/519/EC(公衆曝露)、理事会指
令2004/40/EC(職業曝露)に沿って、ICNIRPガイドラインを導入
しつつある。イタリア、ギリシャ、スイスは、より厳しい規制値を設
定。オーストリア、英国は公衆曝露のICNIRP準拠を検討中。
(3) ICNIRPガイドラインは、韓国、オーストラリア、ニュージーランド
でも導入。
(4) 独自データに基づくポーランド、ロシア、中国はICNIRPガイドラ
インよりも厳しい規制値を設定。
(5) 電磁界の生体影響に関し、科学的に不確定な分野の研究が
WHO、EUを初め世界主要国の研究機関で行われている。
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ご清聴ありがとうございました
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