- 1 - 原子力規制委、敦賀原発2号機原子炉などの審査を当面保留に フジ

原子力規制委、敦賀原発2号機原子炉などの審査を当面保留に フジテレビ系(FNN) 2015年11月19日(木) 16時8分
原子炉などの審査は、保留となった。福井県にある日本原子力発電の敦賀原発2号機は、原子力規制委員会の専門家会
合で、原子炉建屋の真下の断層が活断層の可能性があるとされている。再稼働に向けて、初めて行われた安全審査で、
規制委員会は、地震などの審査のみを行い、原子炉など、施設の審査は当面、保留することを決めた。新たな規制基準で
は、活断層の上に重要施設があることを認めていない。審査で原子炉の真下にある断層が活断層ではないと証明できない
限り、ほかの審査は行われず、敦賀2号機は、廃炉を迫られることになる。
関電・老朽炉の耐震性示せず――混迷の美浜原発審査 週刊金曜日 2015年11月19日(木) 13時4分
10月27日に
原子力規制委員会の臨時会合が開かれ、関西電力の八木誠社長を含む幹部が呼ばれた。テーマは関電の3つの原発の
新規制基準適合性審査の進め方。現在、大飯、高浜、美浜原発の合わせて7機の原子炉について審査が行なわれている
が、規制委側は、同時並行で続けるのは困難だとし、優先順位を決めるよう迫った。特に問題なのが福井県美浜原発3号
機だ。来年11月30日に運転開始40年が経過する老朽原発だが、この日までに寿命延長の審査を終えなければ廃炉となる。
延長審査は、適合性審査の終了が前提だが、期限まで1年余りしかない状況で、終了の目途は全く立っていない。基準地
震動の策定では、活断層の上端深さが議論になった。750ガルから993ガルへ引き上げられたが決定は8月にずれ込んだ。
その後、機器や施設の耐震安全性を確認する書類が関電から提出されない状況が続く。関電は、開発した新しい評価手
法を適用したいと説明。規制委側は、それでは手法の妥当性から審議しなければならないと難色を示した。10月15日の審
査会合において、原子力規制庁の櫻田道夫規制部長が、新しい手法を用いる目的について「従来の手法では基準適合
性が示せないからではないか」と問い質すと、関電の原子力事業本部水田仁副本部長は「従来の手法では耐震健全性を
示せない」と明言した。関電は、新しい手法は精緻なものだなどと言うが、結局のところ、安全を取り繕い、耐震を装うための
手法であることを白状したにすぎない。再び臨時会合。優先順位は決められないと煮え切らない関電に対し、規制委側は、
期限があることを理由に、美浜3号機を優先的に審査したいと述べた。なぜ最も老朽化が進み最も危険な原発の優先審査
を規制当局の側が提案するのか、全く理解できない。審査を打ち切り廃炉と決めるときだろう。(阪上武・原子力規制監視市
民の会、11月6日号)
<放射性廃棄物>処分場候補地、年内調査断念へ
宮城3カ所 毎日新聞 2015年11月19日(木) 11時45分東京電
力福島第1原発事故による放射性物質を含む指定廃棄物処分場建設問題で、井上信治副環境相が19日午後、宮城県の
村井嘉浩知事と会談し、今後の方針を協議する。同県内では、住民らの抗議により候補地の詳細調査に着手できない状
態が続いており、井上副環境相は年内の詳細調査を断念する考えを伝えるとみられる。宮城県内の候補地は栗原市、加
美町(かみまち)、大和町(たいわちょう)の3カ所。環境省は昨秋に続き、今年も8月から詳細調査着手を試みたが、加美町
で住民が抗議活動を展開。栗原市、大和町は3カ所同時の実施を条件に調査を認めており、いずれも着手できない状態
が続いている。加美町は20日から候補地に通じる町道を冬季通行止めにする予定。丸川珠代環境相は13日の記者会見
で「まもなく降雪の時期となり、年内の詳細調査は難しくなる」と語っていた。栗原市と大和町は、年内に詳細調査を実施で
きない場合は、候補地返上も視野に市町村長会議の開催を求めており、村井知事も会議を開いた上で候補地の白紙化を
環境省に求める可能性に言及していた。【川口裕之】
「活断層」の審査優先=規制委、敦賀原発2号機で 時事通信 2015年11月19日(木) 10時54分
原子力規制委員会
は19日、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の再稼働の前提となる審査について、同社と進め方を議論した。専門
家調査団が原子炉建屋直下にあると判断した「活断層」や、敷地内の別の活断層「浦底断層」の影響を当面審査し、設備
関連は保留することが決まった。原発の新規制基準は、原子炉建屋など重要施設を活断層の上に設置することを認めてい
ない。断層が動いた場合に損壊する恐れがあるためで、審査で建屋下に活断層があると判断されれば2号機は再稼働でき
ず、廃炉を迫られる。
玄海原発廃炉も事前了解対象
3分
県、町、九州電力の3者が安全協定を改定 佐賀新聞 2015年11月19日(木) 10時5
佐賀県と東松浦郡玄海町、九州電力の3者は18日、玄海原発1号機の廃炉を踏まえ、安全協定を改定し、事前了解
事項の対象に「廃止措置」を追加した。従来の協定には廃炉に関する記載がなく、工程の安全性確保を目的に改めた。協
定内容の詳細な事項を記した覚書も見直した。協定の改定を受け、九電が原子力規制委員会に廃止措置計画の認可申
請をする際は、県、玄海町にも了解願の提出が必要になる。廃止措置計画自体は、規制委が審査して認可する。県は実
質的な審査はせず、規制委の認可結果などを確認し、問題がないと判断すれば了解する手続きとなる。廃炉は原子炉や
関連施設の解体のほか、放射性物質の除染、汚染物の廃棄などの作業を伴う。今回の改定では、廃止措置計画認可後の
作業について、平常時の連絡事項として毎月、実施状況の報告を求めている。作業期間中の異常や故障などの発生に関
する報告義務も定めた。安全協定の改定は、九電が3月に1号機の廃炉を決定後、県と玄海町が申し入れて協議を進めて
きた。3者が18日付の文書送付で改定し、調印式などは開かなかった。山口祥義知事は記者団に「安全が大事だから、(廃
炉作業を)放置するのではなく、協定にしっかり書いた方がいい。安全第一でチェックをしていく」と述べた。玄海原発以外
では、北海道の泊原発や中国電力の島根原発などで廃炉に関する自治体の事前了解を含む協定が結ばれている。
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高浜町長、林経産相と20日面会へ
高浜原発の再稼働同意判断に向け 福井新聞ONLINE 2015年11月19日(木)
8時36分福井県高浜町の野瀬豊町長は、関西電力高浜原発3、4号機再稼働の同意判断に向け、20日に東京で林幹雄経
済産業相に面会することで最終調整していることが18日分かった。原子力政策への国の責任や地域振興などを直接確認
する。高浜町会は3月、再稼働に同意。野瀬町長はこれまで、県境を越える広域避難計画を話し合う福井、京都、滋賀3府
県の「地域原子力防災協議会」の日程のめどや、国の責任者からの言質を判断条件に挙げていた。今月2日から、高浜原
発から5キロ圏内の京都府舞鶴市を含む30キロ圏内の府内7市町で、新規制基準の審査内容などの住民説明会が開かれ
ている。野瀬町長は同意判断前に、舞鶴市長に自身の考えを説明する意向を示しており、早ければ来週中にも会う日程を
調整している。一方で、同協議会の日程調整は進んでいない。野瀬町長は「年内に同意判断する」と明言しているが、いつ
表明するかは不透明な情勢。再稼働の手続きに関して西川一誠福井県知事は、高浜町長の意向や県原子力安全専門委
員会での検証、県会の議論などを踏まえ判断する考えを示している。
<汚染牧草>白石市が浪江の牧場に搬出…焼却調整つかず保管 毎日新聞 2015年11月18日(水) 21時40分宮城
県白石(しろいし)市が、東京電力福島第1原発事故で放射性物質に汚染され市内で保管していた牧草約1100ロール(1
ロール300~500キロ)を、福島県浪江町の牧場へ搬入したことが分かり、同町は18日、馬場有町長が20日に同市を訪れ
抗議することを明らかにした。同町は「(指定廃棄物など)ほかの汚染物質までも運び込まれるようなことになれば、町は放
射性廃棄物の集積場になってしまう」と批判している。同市によると、市内の農家には、放射性物質濃度が国による処分と
なる指定廃棄物の基準(1キロ当たり8000ベクレル)に達しない一般廃棄物の汚染牧草が約1100ロール、保管されていた。
一般廃棄物は市で処分可能だが、焼却の調整がつかず農家での保管が続いていた。牧草を受け入れたのは、被ばくした
牛約300頭を研究目的などで飼育している「希望の牧場・ふくしま」。市は9月に同牧場がえさとして汚染牧草を求めている
ことを知り、事業費約1400万円を負担して10月末から今月中旬にかけ、全量を譲渡した。農林水産省や宮城県は今月10
日、市に「法的には問題がないが、福島の復興の足かせになりかねない」などとして搬出の取りやめを求めたが、市は応じ
なかった。浪江町は、既に運び込まれた牧草の回収は求めないという。白石市の担当者は「牧場を手伝いたいと考えた。汚
染牧草を保管する農家の負担は大きい。国や県に解決策を見つけてほしかった」と話している。【川口裕之、山田研】
玄海原発差し止め訴訟、原告1万人超え 佐賀新聞 2015年11月18日(水) 17時28分佐賀など九州を中心に、原発再
稼働に反対する市民が国と九州電力を相手に玄海原発(東松浦郡玄海町)全基の操業差し止めを求めている訴訟の原告
数が、目標の1万人を超える見通しになった。約250人が19日、佐賀地裁に追加提訴する。原告団は長谷川照・元佐賀大
学長を団長に2012年1月、原発訴訟では全国最大規模の1704人で提訴。「再稼働反対の声が根強い世論を裁判に反映さ
せよう」と訴訟参加者を募り、追加提訴を続けてきた。すでに提訴している原告のうち、福岡県在住が半数以上の約5千4百
人を占め、次いで佐賀県が約2千人。韓国や中国など海外からも30人が加わっているほか、作家の片山恭一さんや評論家
の佐高信さんら著名人も名を連ねる。訴訟はこれまで14回の口頭弁論が行われ、原告側は福島第1原発事故の深刻な被
害や国の新規制基準の問題点などを挙げ、「操業は憲法で保障されている人格権や生存権を侵害する」と主張。一方、九
電側は事故対策は十分で地震や津波に対する安全性は確保しているとして、「重大事故が起きる具体的危険性はない」と
請求棄却を求めている。
<全町避難>浪江住民「戻らない」48% 河北新報 2015年11月18日(水) 12時26分復興庁は17日、東京電力福島
第1原発事故で全町避難が続く福島県浪江町の住民意向調査結果を公表した。避難指示解除後に町に帰還するかどうか
について、「戻りたい」との回答は全体の17.8%にとどまり、「戻らない」の48.0%を大きく下回った。「まだ判断がつかない」
は31.5%だった。2014年10月の前回調査に比べ、「戻りたい」は0.2ポイント増、「戻らない」は0.4ポイント減で、帰還を意
識する人に大きな変化は無かった。「判断がつかない」は6.9ポイント増えた。無回答は前回の9.5%から2.7%に減った。
浪江町は17年3月以降の避難指示解除を目指している。調査は9月、復興庁が県、町と共同で全9537世帯を対象に実施。
回答率は59.8%だった。
楢葉63%「地元で再開を」
避難区域で事業所調査 福島民友新聞 2015年11月18日(水) 11時47分東京電力福島
第1原発事故に伴い避難した12市町村の1388事業所のうち、9月に避難指示が解除された楢葉町では、帰還して事業再開
を希望する経営者の割合が63%に上ることが17日、分かった。一方、福島第1原発が立地する双葉町の地元での事業再開
希望は18%、大熊町は20%にとどまった。事業再開を支援するため発足した福島相双復興官民合同チームが、経営者ら
に聞き取ってまとめた。市町村ごとの意向が示されたのは初めて。楢葉町や広野町など避難区域が解除町村では帰還の
意識が強く示された一方で、大部分が帰還困難区域で中間貯蔵施設の建設が予定されている双葉、大熊両町との意識の
違いが浮き彫りとなった。全体では1388事業所中、地元で事業再開を希望する経営者の割合は45%にとどまった。前回の
10月に公表した際は53%だったが、今回は半数を下回った。官民合同チームは、原発事故で避難指示が出た12市町村の
事業者を対象に8月下旬~今月中旬、個別訪問した。福島市で17日開かれた官民協議会と12市町村との意見交換会で公
表した。来年春に山木屋地区の帰還を目指す川俣町では、地元での事業再開希望が7割を超えた。しかし、2017(平成2
9)年3月までの避難指示解除を目標としている飯舘村では、地元での事業再開希望が44%と半数に満たなかった。高木陽
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介経済産業副大臣は「最終的に取り組むのは事業者本人。やる気がなければ進まない。(個別訪問の目標数となる)8000
事業者が『良かった』という流れをつくりたい」と述べた。
<宮城県議>女川再稼働
賛否が拮抗 河北新報 2015年11月18日(水) 10時38分東日
本大震災後に運転を停止している東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の再稼働の是
非をめぐり、10月25日に投開票された宮城県議選で当選した新議員59人の見解は、「賛成」
「近い将来の廃炉を前提に一時的な再稼働に賛成」「反対」がおおむね拮抗(きっこう)すること
が、河北新報社が実施したアンケートで分かった。東北電は2017年4月以降の再稼働を目指し
ており、新議員は陳情採択などの局面で是非の判断を迫られる可能性がある。◎「将来は廃炉」も一定数
再稼働の賛否
はグラフ(上)の通り。賛成の「再稼働させるべきだ」が最多の21人、「一時的に再稼働させても、近い将来廃炉にすべきだ」
は14人、反対の「再稼働させるべきでない」は16人、「どちらとも言えない」は8人だった。会派別に見ると、県政与党の自民
党・県民会議は32人中20人が再稼働に賛成し、一時的再稼働は10人、反対はゼロ。公明党県議団(4人)は一時的再稼働
が1人、「どちらとも言えない」が3人だった。第2会派の民主党系「みやぎ県民の声」(10人)は再稼働反対5人、一時的再稼
働2人、どちらとも言えない3人。共産党(8人)、社民党(2人)の両県議団は全員反対だった。無所属の会(2人)と21世紀ク
ラブ(1人)の内訳は賛成1人、一時的再稼働1人、反対1人。賛成の理由としては「エネルギーの安定供給」「地球温暖化防
止」「産業活性化」などを挙げ、「代替エネルギーの開発で原発依存度を下げるべきだ」と付け加えた回答も多かった。「一
時的再稼働」を選んだ議員からは「再稼働しないのは非現実的。廃炉を視野にエネルギー政策の再転換は必要だ」「原発
依存度を確実に低減させ、近い将来原発からの脱却を実現させることが重要」などの理由が寄せられた。反対する理由に
は「福島の事故が収束していない」「原発をコントロールすることができない」「使用済み核燃料の処理方法がない」などが並
んだ。再稼働に必要な「地元同意」の望ましい範囲はグラフ(下)の通り。「これまで通り立地自治体の女川町、石巻市と宮
城県」が28人で最多だったが、「原発から30キロ圏の5市町も含めるべきだ」「県内全ての自治体」を合計すると30人で「これ
まで通り」を上回った。アンケートは新議員59人を対象に10月中旬~11月上旬、調査票を手渡すか郵送して実施。全員か
ら回答を得た。村井嘉浩知事の県政運営への評価や、解決すべき県政課題の優先度なども尋ねた。
避難区域12市町村事業所
45%古里で再開・継続希望 福島民報 2015年11月18日(水) 10時11分東京電力福島
第一原発事故に伴い避難区域が設定された12市町村の事業所のうち、意向確認ができた1388事業所の45%に当たる6
27事業所が古里で今後、事業再開・継続を希望していることが17日、福島相双復興官民合同チームの調査で分かった。
一方、16%(221事業所)は帰還しての事業再開は難しいと考え、5%(67事業所)は既に廃業を決めている。福島市で開
かれた福島相双復興官民協議会で、合同チームが14日時点の調査結果を公表した。地元に戻って事業を再開したか、地
元で事業を継続し、今後も継続を希望しているのは19%(270事業所)。避難先などで事業を再開している事業所のうち
「将来、帰還して事業を再開したい」が12%(161事業所)、休業中のうち「将来、帰還して事業を再開したい」が14%(196
事業所)で、古里での事業再開・継続希望は合わせて45%になる。一方、「将来も避難先などで事業を継続したい」は19
%(262事業所)、「将来、避難先などで事業を再開したい」は4%(58事業所)で合わせて23%は地元に戻らない意向だ。
合同チームは約8千事業所を個別訪問する計画で、古里での再開を望む事業者には専門家による相談や支援を強化する。
一方、廃業せざるを得ない事業者には転業や生きがいづくりを支える方針。
地下水バイパスポンプ一時停止
第一原発 福島民報 2015年11月18日(水) 10時10分
東京電力は17日、福島第
一原発の建屋に流れ込む前に地下水をくみ上げ、汚染水を減らす「地下水バイパス」のくみ上げポンプの稼働が一時、停
止したと発表した。東電によると、16日午後11時55分ごろ、設備点検のため、ポンプを制御するA、B、Cの電源3系統のう
ち、B系統の電源を停止した。停止後、異常を知らせる警報が鳴り、AとC系統のポンプ5台の稼働が止まったという。B系統
の電源が停止し、通信異常の信号が発生したのが原因という。停止したポンプ5台は約4時間後に全て再起動した。
セシウム濃度変化なし
除染袋流出、飯舘などの川 福島民報 2015年11月18日(水) 10時9分関東・東北豪雨で東京
電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物が入った袋が福島県飯舘村などの川に流出した問題で、環境省は17日、川の
水と川底の放射性セシウム濃度は豪雨前と変化がないとする計測結果を発表した。飯舘村と下流の南相馬市の6地点で1
0月上旬に水質などを調べた。川の水から放射性セシウムはいずれも不検出で、川底は豪雨前の濃度の範囲内かそれ以
下だった。同省は17日までに、発見した448袋のうち443袋を回収した。残りの5袋は、渓谷など人の出入りが難しい場所
にあり、回収方法を検討している。
災害公営住宅「入居希望せず」55%
浪江町民調査 福島民報 2015年11月18日(水) 10時9分復興庁は17日、東
京電力福島第一原発事故で全町避難している福島県浪江町の住民意向調査の結果を発表した。災害公営住宅の入居希
望は「入居を希望しない」が55.3%で、昨年8月の前回調査に比べ9.0ポイント増えた。災害公営住宅の入居希望が減っ
ていることについて同庁は、避難先で買い求めた持ち家に住む住民が増えているのに加え、町の帰町開始目標が平成29
年3月に迫り、現在の住居から直接帰還を予定している住民がいるためとみている。「入居を希望しない」は昨年は46.3%、
一昨年は34.8%で年々増えている。「入居が決定している」「入居の申し込み中」「入居を申し込みたい」を合わせた回答
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は20.0%で、昨年の24.8%と比べ4.8ポイント減っている。避難指示解除後の帰還の意向は「すぐに・いずれ戻りたいと
考えている」が17.8%で、昨年の17.6%とほぼ変わらなかった。調査は復興庁と県、町が共同で、9月9日から同25日ま
で行った。全9537世帯の世帯主が対象で、5703世帯から回答があり、回収率は59.8%だった。
住宅「解体やむなし」が4割
浪江町民・世帯主の意向調査 福島民友新聞 2015年11月18日(水) 9時34分復興庁は
17日、東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く浪江町の世帯主を対象にした意向調査の結果を発表した。現在の
住宅の状況に関する設問で、震災の地震被害や原発事故による避難後の劣化で、住宅を「解体せざるを得ない」と考えて
いる人が約4割に上ることが分かった。回答結果によると、「地震により解体せざるを得ない被害、劣化がある」が14.7%、
「避難中に解体をせざるを得ない劣化がある」が28.6%。浪江町は、住宅を「解体せざるを得ない」と考える町民が約4割
いることについて「避難中の被害は余震や雨漏り、ネズミによる場合が多いと考えられる。全町避難が長引くほど劣化は進
むと考えられ、空き家バンクなど有効な手段を探っていきたい」(復興推進課)としている。また、原発事故に伴う避難指示が
解除された場合、帰還するかどうかの質問に「すぐに・いずれ戻りたいと考えている」と答えたのは17.8%で、前回の昨年1
0月調査と比べ0.2ポイントの微増となった。ただ、「戻りたい」と答えた人に時期を尋ねると「すぐに戻りたい」は33.7%、
「いずれ戻りたい」は58.7%となり、一定の時間をおいた帰還を想定していることが分かった。また、帰還する場合の家族
構成を聞いたところ「家族全員での帰還」と答えたのは34.7%、「家族一部での帰還」と答えたのは42.9%で、半数近く
が家族の一部による帰還を検討する傾向が浮き彫りになった。調査は9月9日から25日まで、同町の全世帯主を対象に実
施。9537世帯のうち5703世帯から回答があった。回収率は59.8%。
東芝が東証開示基準違反
米原子力子会社の減損損失公表せず SankeiBiz 2015年11月18日(水) 8時15分東芝は
17日、子会社の米原子力大手ウェスチングハウス(WH)の2013年3月期の減損損失を公表しなかったことについて東京
証券取引所の開示基準に違反していたと発表した。WHに関しては具体的な数字を示さずに「安定した収益を上げてい
る」と説明してきたが、実際は開示しなければならないほどの巨額損失を計上していた。利益水増し問題発覚以降、深夜や
土曜など発表が異例の日時に行われたこともあり、東芝の情報開示姿勢が改めて問われそうだ。東証の適時開示基準で
は、子会社が連結純資産の3%以上の損失を出した場合、公表の必要がある。東芝によると、13年3月期に損失計上した
約9億3000万ドルは当時のレートで約762億円で、開示義務があった。東芝は「適時適切に開示すべきだった。おわびし
たい」としている。これまではドルベースでしか明らかにしていなかったが、14年3月期と合わせたWHの減損損失額は当時
のレートで計1156億円だという。東京電力福島第1原発事故で新規建設が減ったことから、市場関係者は、東芝が06年
に買収したWHの収益悪化懸念を指摘してきた。しかし東芝はことあるごとにこれを否定。田中久雄社長(当時)が辞任を表
明し、利益水増し問題からの再建に踏み出したはずの7月の会見でも「損益の8割以上が保守や燃料の交換。収益は安定
的だ」と説明していた。今月7日の15年9月中間決算会見で、WHで減損損失が出たことを明らかにしたが、金額は公表し
なかった。同社の情報開示に関しては、利益水増し問題が起きて以来、混乱が続いてきた。5月には水増し問題のその時
点の影響額を午後11時45分に開示。今月7日には旧経営陣を提訴しながら会見で説明しなかった。東証は利益水増し問
題を受け東芝を「特設注意市場銘柄」に指定している。指定から約1年で管理体制の改善がみられなければ上場廃止にな
るとして審査する。過去の損失とはいえ、適時開示基準違反があったことで、東芝への審査が厳しくなる可能性がある。
消えない不安と疑問-高浜原発の安全対策
UPZの大江で説明会 両丹日日新聞 2015年11月18日(水) 8時1分関
西電力が再稼働をめざす高浜原発(福井県高浜町)の安全対策に関する住民説明会が16日夜、福知山市大江町河守の
町総合会館で開かれた。原発30キロ圏内の緊急時防護措置準備区域(UPZ)にあたる有路下地区の住民を対象に実施し、
府・市議を含む56人が参加。緊急時の防護措置などの話に耳を傾けた。また「重大事故発生時は、まず屋内退避を」とする
説明に対し、「それで本当に大丈夫なのか」と不安視する声が上がった。原子力規制委員会による新規制基準の審査で認
可され、現在は使用前検査が進む高浜原発に対し、理解を深めてもらうのが目的。UPZ圏域の府内の市町で開かれている。
説明会では、原子力規制庁が新規制基準や審査の経緯▽資源エネルギー庁が原発の必要性や日本のエネルギー政策
▽関電は新規制基準に沿った地震や津波の安全対策▽内閣府は原発の防災対策や緊急時の避難方法-などを解説し
た。関電の説明では、耐震性を高めるため、機器や配管約830カ所のサポート補強をし、津波対策として海抜8メートルの防
潮堤を設置したことなどを挙げ、安全性を強調。さらに万が一、重大事故が発生した場合の対応も伝えた。質疑の時間で
は、屋内退避への不安のほか、「水害が発生した際、地元は道が水没することがよくある。どのように避難すればいいのか」
「逃げる方向など、重大事故発生時に情報は届くのか」といった質問が相次いだ。またこの日は、参加者に質問用紙を配布
しており、各機関から回答を得たうえで、市のホームページで掲載するとともに、説明会の映像を25日から一般公開する予
定。同時にDVDの貸し出しも行うことにしている。
「浜岡再稼働認めないで」
静岡県に署名17万人分 @S[アットエス] by 静岡新聞 2015年11月18日(水) 7時47分
中部電力浜岡原発の再稼働に反対する「浜岡原発の再稼働を認めないで!県下一斉署名」の実行委員会は17日、静
岡県内外から寄せられた約17万2400人分の署名を県に提出した。今後1年間を再稼働議論のヤマ場とみて、川勝平太知
事に対し再稼働に同意しないよう求めた。伊藤通玄静岡大名誉教授ら呼び掛け人と署名活動に参加した県内25団体の代
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表者が県庁を訪れ、黒田晶信・県危機管理監代理に目録を手渡した。提出に先立ち、呼び掛け人の林弘文静岡大名誉教
授は「浜岡原発は一刻も早く廃炉にする必要がある」と述べた。黒田代理は「しっかり知事に報告する」と応じた。実行委は
署名活動を続け、来秋をめどに第2次提出を行う。
川内原発営業運転、大手電力に追い風
業績改善で料金値下げ視野 SankeiBiz 2015年11月18日(水) 7時16分九
州電力川内原発2号機(鹿児島県)が17日、営業運転に移行したのを受け、大手電力は業績改善の追い風になると期待
を寄せる。川内1、2号に続き再稼働する原発が増えれば、原油や液化天然ガス(LNG)など火力発電の燃料費を減らせる
からだ。再稼働が広がれば料金値下げにつながる可能性もある。九電は現在の電気料金について川内1、2号と、玄海3、
4号(佐賀県)の計4基の再稼働を前提にしているため、川内2基の再稼働だけでは値下げにはつながらない。しかし、同社
の瓜生道明社長は玄海の2基も再稼働した場合の値下げについて、「収支状況や競争環境を勘案して検討する」と説明す
る。川内原発の次に再稼働が有力視されているのが、四国電力の伊方3号(愛媛県)だ。伊方3号が稼働すれば月約40億
円の収支改善が見込まれ、同社の佐伯勇人社長は値下げの検討を示唆している。東京電力の広瀬直己社長も10月末の
決算会見で、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を前提に「値下げを考えないといけない」と述べた。来年4月の電力小売り
の全面自由化で、原発を持たない新電力と家庭向け電力の販売競争が激化する。大手電力が、相次ぎ値下げの検討に
言及するのは、火力に比べ発電コストの低い原発が再稼働すれば、価格競争で優位に立てるとの思惑もある。ただ、川内
1、2号、伊方3号の他で原子力規制委員会の審査に合格している関西電力高浜3、4号(福井県)は、福井地裁が再稼働
を差し止める仮処分を決定した。柏崎刈羽をはじめ事故を起こした福島第1原発と同じ炉型の沸騰水型軽水炉(BWR)は
再稼働のめどすら立っておらず、思惑通りに値下げにつながるかは見通せない。
原発事故の原状回復訴訟
地裁が現地検証へ 日本テレビ系(NNN) 2015年11月17日(火) 22時36分原発事故をめ
ぐり、住民が国と東京電力を相手に被害の原状回復などを求めている裁判で、福島地方裁判所が現地で検証を行う考えを
示した。この裁判では、県内外の住民約4000人が国と東京電力を相手に空間放射線量を事故前の数値に戻す「原状回
復」などを求めている。17日、福島地裁で開かれた口頭弁論で、原告側は裁判所に被災地の視察など現地での検証をあ
らためて求めたのに対し、金澤秀樹裁判長は、来年3月に浜通りで検証を行う考えを示した。民事訴訟での現地の検証は
異例。一方、被告の国側は、検証の必要はない、としている。
<川内原発>市民ら約40人が抗議の声
2号機営業運転開始 毎日新聞 2015年11月17日(火) 20時33分
九州
電力川内(せんだい)原発2号機(鹿児島県薩摩川内市)の営業運転が17日始まり、原発正門前では雷雨の中、再稼働に
反対してきた市民ら約40人が抗議の声を上げた。鹿児島県内では14日以降、薩摩半島西方沖を震源とする地震が断続
的に発生。川内原発運転差し止め訴訟原告団長の森永明子さん(44)は「大地震がないことを祈るばかり」と不安を口にし
た。川内原発を巡っては、県が周辺に設置した太陽光発電式のモニタリングポストが、日射量不足で空間放射線量を測定
できない時間帯があったことが会計検査院の調査で判明した。県護憲平和フォーラム代表の下馬場学さん(60)は、県や
九電がその事実を公表していなかったことに触れ「『大丈夫』と言われても信じられない」と批判した。一方、地元経済界は
営業運転再開を歓迎。川内商工会議所の上村健一専務理事は「安全を最優先に、今後は地元経済が将来に向かって活
性化することを期待している」と述べた。【杣谷健太】
東芝、適時開示不備でおわび
東証が指摘
原子力子会社の減損損失、25年3月期は762億円 SankeiBiz 2015年
11月17日(火) 20時15分東芝は17日、子会社の米原子力大手ウェスチングハウス(WH)の平成25年3月期の損失処
理に関し、東京証券取引所から情報開示の基準に該当する、との指摘を受けたと発表した。これまで東芝はWHの損失処
理を開示していなかったが、東証は適時開示すべきだとし、情報開示の不備を指摘した。これを受けて東芝は同日、損失
の内訳を正式に公表した。東芝によるとWHは25年3月期に、約9億3千万ドル(当時のレートで約762億円)の減損処理
を行った。内訳は東京電力福島第1原発事故で世界的に原発ビジネスが停滞したことを受け「新規建設」事業で約557億
円、原発の監視制御システムの開発などを担う「オートメーション」事業で約205億円。東証の適時開示基準では、子会社
が連結純資産の3%以上の損失を出した場合は公表する必要があると定めている。東芝は「適時適切に開示すべきだった。
おわびしたい」と述べた。このほか東芝は、26年3月期にも新規建設で約394億円を減損処理した。両年度の減損損失額
は計1156億円だという。WHの業績について、東芝は7月の会見でも「損益の8割以上が保守や燃料の交換。収益は安定
的だ」と説明していた。今月7日の27年9月中間決算会見で、WHに減損損失が出たことを明らかにしたが、金額は公表し
ていなかった。
電気料金値下げ、実現は不透明=川内原発2号機の営業運転で―九州電 時事通信 2015年11月17日(火) 18時0分
九州電力川内原発2号機(鹿児島県)が17日、営業運転に移行した。既に営業運転している1号機も含め月120億円の収支
改善効果があり、九州電は2016年3月期連結決算で5年ぶりに純損益が黒字化する可能性が高い。管内の経済界からは
電気料金値下げへの期待が強まっているが、同社の財務状況はなお厳しく、実現できるかどうかは不透明だ。
東芝が開けた原子力事業
パンドラの箱
週刊文春 11月19日(木)13時1分配信
ついに「パンドラの箱」が開いた。
東芝が、原子力事業の子会社・米ウェスチングハウス(WH)が2012年度~13年度の決算で計13億ドル(約1600億円)もの減
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損処理を行っていた事実を認めたのだ。13日の株価は急落、不正会計発覚前の4割にまで落ち込んだ。東芝が5400億円
もの巨資を投じてWHを買収したのは2006年。その後の追加出資で、総買収額は6600億円にまで膨んだ。「選択と集中を
掲げ、積極経営を進めた西田厚聰社長時代に買収した。西田氏は、2015年までに原発施設を33基受注し、原子力事業の
売り上げを3倍以上に引き上げると豪語していました」(電力アナリスト)
西田氏の後継指名を受けた原子力部門出身の佐
々木則夫社長は、さらに目標を「売上高1兆円、全世界で39基の受注」に引き上げた。しかし、東日本大震災で状況は一変。
2011年以降、新規受注は進まず苦戦が続く。もともと、東芝はWHを「高値掴みした」(金融関係者)と言われてきたが、3・11
以降も、強気の姿勢を崩さず、決算ではWHの経営は順調と抗弁してきた。その背景を前出の電力アナリストが解説する。
「30基を超す原発受注という高収益を前提に、WHののれん代や繰り延べ税金資産の合計約5000億円を、東芝本体のその
他資産に計上してきた。しかし、その前提が崩れれば、東芝のその他資産を取り崩さなければならず、株主資本が吹き飛
びかねません」
今回、WH単体では減損したものの、東芝本体の連結決算では、減損しないとの会計処理になったのは、
こうした“懐事情”が背景にあると見られても仕方があるまい。東芝は、原子力部門全体としての収益性は確保されているた
め、本体として減損はしていないと説明する。「東芝はWHを支援するため、受注プロジェクトに関して債務保証をつけてい
る。つまり両社は一体と言っていい。それなのに、一方は減損し、他方はしないというのは理解されない。上場廃止の可能
性も囁かれ始めました」(同前)
パンドラの箱は開いたばかり。ギリシャ神話では、災いが出尽くした後には「希望」が残るは
ずなのだが……。<週刊文春2015年11月26日号『THIS WEEK 経済』より>
【英国】英国、石炭火力発電所を閉鎖へ:ガス火力・原子力を奨励
NNA 11月19日(木)9時0分配信
英政府は18日、
国内の石炭火力発電所を2025年までに閉鎖する方針を明らかにした。二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)施設を持た
ないすべての石炭火力発電所が対象となり、2023年までにこうした発電所の使用を制限する。今後はこれに代わり、CO2
排出量の少ないガス火力および原子力発電所の新設を奨励する。アンバー・ラッド・エネルギー・気候変動相は、「英国の
ような先進国が50年前に建てられたCO2排出量の多い石炭火力発電所に依存するのはよくない」と説明。「信頼性とコスト
効率が高く、排出量の少ない選択肢に切り替える必要がある」と強調した。政府は石炭火力発電所の閉鎖計画について、
来年春に意見公募を実施する。BBC電子版によると、石炭火力発電所は国内電力需要のうち約28%を賄う。ガス火力発
電所のCO2排出量は石炭火力発電所の約半分にとどまるため、同相は石炭からガスへの切り替えが最適と考える。また、
原発への投資も不可欠と見ており、「将来、新規原発がクリーンエネルギーの約3分の1を占めるようになる可能性もある」と
している。ただ、現在建設中の大型ガス火力発電所は1カ所だけで、昨年に政府補助を確保した別のガス火力発電所プロ
ジェクトは出資者探しが難航している。また、イングランド南西部サマセット州ヒンクリーポイント(Hinkley Point)に新規原子
力発電所を建設する計画も遅れており、運転開始は2025年になる見通し。[環境ニュース]
再生エネ4割上積み目標
滋賀県がビジョン素案
京都新聞 11月19日(木)8時54分配信
滋賀県は18日、長期的
なエネルギー政策の指針とする「しがエネルギービジョン」の素案をまとめた。2030年の再生可能エネルギーによる発電量
の目標数値について、現行の計画から太陽光発電を中心に約4割上積みして154万キロワットとした。同年の電力消費量
は14年比で10%減とする目標を示し、省エネにも重点を置いた。県は13年3月に再生可能エネルギー振興戦略プランを
策定し、30年の導入目標量を106万キロワットとしていた。その後、国が将来の電源構成を見直し、県が「原発に依存しな
い新しいエネルギー社会」を目指す基本構想を打ち出した流れを受け、同プランを改訂してビジョンを作ることにした。素案
では、30年を展望した長期ビジョンを前提に、16~20年度までの重点政策を示すとした。30年の再生可能エネルギーの
導入目標量は、現行プランにある17年時点の目標をすでに達成している項目を上方修正した。固定価格買い取り制度に
より普及が進んだ太陽光発電(住宅以外)は34万キロワットから81万キロワット、バイオマス発電は1万1千キロワットから1
万8千キロワットとした。消費電力は14年実績の約147億キロワット時から10%減らし、30年で132億キロワット時を目指す。
これらの目標を達成した場合、30年の電力供給量に占める再生可能エネルギーは15%となり、14年の4倍近くに伸びる。
火力、原子力の大規模電源は7割弱となる。県は今後、20年までの短期目標や具体的なプロジェクト、年次ごとの進め方
をまとめ、来年3月にビジョンを策定する。
東芝課徴金70億円超
なぜ最高額…「長期・巨額」を問題視
産経新聞 11月19日(木)7時55分配信
東芝が過去
最高額の課徴金納付を命じられる見通しとなったのは、利益水増し問題による決算への影響が長期間に及び、巨額だった
ことがある。すでに引当金を積んでおり、これから業績を押し下げることはないが、収益力が低下している中では大きな痛手
だ。この問題で新たな損害が生じるため、同社は旧経営陣に対する損害賠償請求額を拡大する可能性がある。日本証券
業協会の稲野和利会長は18日の記者会見で、東芝に対し「投資家の意思決定有用性(意思決定の上で役立つこと)を担
保できるような適切な開示が行われていなかったのは誠に遺憾だ」と述べた。利益水増し問題というより、原子力事業を行う
米子会社の多額の減損損失を公表していなかったことへの発言だ。ただ、投資家の判断を誤らせる要因となり得たという点
で2つは共通しており、いずれも東芝の体質に根ざした問題といえる。利益水増しは少なくとも平成20年4月~26年12月
までの6年8カ月にわたった。同時に、生産設備などの価値を実際より高く見せかけたことにもなり、税引き前利益の修正額
合計は2248億円に上った。22年3月期は当初の黒字を赤字に修正。25年3月期までの2年間は黒字額がいずれも修正
- 6 -
前の半分以下になった。27年4~9月期の最終利益は372億円で、70億円の課徴金は少額とはいえない。東芝は歴代3
社長らに対し3億円の損害賠償を求め提訴した際、新たな損害が発生した場合は請求の追加を検討するとしていた。
遠心分離機4500基撤去=イラン
時事通信 11月19日(木)6時5分配信
【パリ時事】AFP通信は18日、国際原子力
機関(IAEA)報告書の内容として、イランが中部フォルドゥとナタンツの核施設に設置された遠心分離機計約4500基を撤去
したと報じた。イランは遠心分離機を約1万9000基保有していた。イランは欧米など6カ国とまとめた7月の合意に基づき、遠
心分離機を約6100基まで減らすことになっており、さらに大幅に削減する必要がある。欧米側はこうした対応と引き換えに、
対イラン制裁を解除する。
石炭発電、25年までに全廃=温室ガス抑制狙う―英
時事通信 11月18日(水)20時14分配信
【ロンドン時事】英政
府は18日、2025年までに石炭火力発電所を全廃すると発表した。23年までは限定的に使用し、その後、全て閉鎖する。石
炭火力発電は温室効果ガスの排出量が多いため、ガス火力や原子力などに切り替え、地球温暖化の抑制を目指す。英国
では現在、電力の3割程度を石炭火力発電で賄っている。ルッド・エネルギー気候変動相は声明で「英国のような先進国が、
大量の二酸化炭素を排出し、環境を汚染する、50年も前に造られた石炭火力発電所に頼っていることには満足できない」
と訴え、「われわれには21世紀に適合した新しいエネルギーのインフラが必要だ」と強調した。
【連載】瀬戸際もんじゅ(3)
揺れる核燃料サイクル(福井新聞2015年11月19日午後5時20分)
新たな運営主体の特
定が困難ならば、高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の在り方を抜本的に見直すこと―。原子力規制委員会の勧告は、
政府にもんじゅの存廃も含めた判断を迫っている。「もんじゅが廃炉となれば、日本の核燃料サイクルをやめるということ」。
高速炉に詳しい福井大附属国際原子力工学研究所の竹田敏一特任教授は懸念する。原発の使用済み燃料からプルトニ
ウムなどを取り出し、再処理して再び燃料に使う核燃料サイクルは、国の原子力政策の根幹。中でも、発電しながら消費し
た以上の燃料を生むもんじゅは、資源小国の日本にとって、かつては「夢の原子炉」と期待された。ただ、1994年の初臨界
後、ナトリウム漏れ事故などで21年間ほとんど運転実績がない。1兆円を超す国費が投じられてきたが、高速増殖炉の実用
化のめどは立たないままだ。それでも、もんじゅが核燃料サイクルの中核として位置付けられてきたのは「エネルギー安全保
障や自給率の観点で、他に案がない」(竹田特任教授)と、国が判断してきたからにほかならない。高速増殖炉の実用化目
標は、先送りの歴史だ。目標時期が初めて具体的に明記されたのは、67年の原子力研究開発利用長期計画(長計)で「1
980年代後半」。改定の度に目標を延期し、2005年の原子力政策大綱では「2050年ごろ」。もんじゅの長期停止もあり、
当初から約70年間も先延ばしした。福島事故後、14年に閣議決定されたエネルギー基本計画では「増殖」の文言と目標
時期すら消えた。代わりに、もんじゅは高レベル放射性廃棄物を減らす研究という役割が強調された。「もんじゅが動けば、
廃棄物問題の解決に貢献するかのように言うのは『誇大広告』ではないか」。規制委の更田豊志委員長代理は今月2日の
日本原子力研究開発機構の幹部への意見聴取で、こう切り込んだ。高速炉を使って廃棄物を減らす研究開発は理論段階
にすぎず、単なる延命だと暗に批判した形だ。九州大大学院の吉岡斉(ひとし)教授も「技術的な信頼性はなく、実現には
高速炉が何十基も必要で、実際は不可能な話」と指摘する。高速増殖炉のサイクルが実現するまでの“つなぎ”として位置
付けられてきたのは、一般の軽水炉での「プルサーマル発電」。増殖とは違い、各原発から出るプルトニウムを再処理して
消費していくというのが主眼だ。プルサーマルは15年度までに全国の16~18基で導入する目標だったが、福島事故前の
時点で実施は関西電力高浜3号機など4基のみ。サイクルの中核となる青森県六ケ所村の再処理工場は竣工の延期を繰
り返し、先行きは見通せない。一方で、国内外で再処理した日本のプルトニウム保有量は約48トンにまで増えた。サイクル
が動かなければ、核不拡散の観点から国際社会の批判も免れない。福井県原子力安全対策課長を務めた若狭湾エネル
ギー研究センターの岩永幹夫常務理事は「核燃料サイクル全体が動いていない中、サイクルの必要性の判断は将来の原
子力をどうしていくかだ。原発の割合を減らしていくのなら高速増殖炉の必要性は見えにくい」と指摘。国がエネルギー政
策をどう選択するかの問題だと強調した。
高浜原発の保安規定変更を認可
3、4号機について原子力規制委(福井新聞2015年11月19日午前7時10分)
原子
力規制委員会は18日の定例会合で、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について、運転開始から30年を超え
て稼働するために必要な保守管理方針を盛り込んだ保安規定の変更を認可した。原子炉等規制法では、運転30年を超
える1年前までに60年運転を目安に健全性を確認する高経年化(老朽化)技術評価を行い、今後10年間に実施する対策
をまとめた長期保守管理方針と併せ、国に報告するよう義務付けている。3号機は1985年1月、4号機は同年6月に運転を
開始している。関電は昨年1月に3号機、同6月に4号機について、追加保全策を実施すれば30年以降も運転を継続でき
ると報告し、保安規定の変更を申請した。申請後、関電は新規制基準への対応や基準地震動の引き上げを踏まえて追加
評価を行い、耐震安全性を確認。耐震設計の目安となる基準地震動への評価が必要な全ての機器について、全7種類の
地震動についての安全性評価を行うことを、長期保守管理方針に追加した。
【連載】瀬戸際もんじゅ(2)
場当たり的改組の20年間(福井新聞2015年11月18日午後5時30分)
原子力規制委員
会が高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の運営主体を変更するよう、文部科学相への勧告方針を決めた今月4日、田中
俊一委員長は運営主体の日本原子力研究開発機構を「ここ20年間、同じようなことを繰り返してきた」と切り捨てた。1995
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年12月のもんじゅナトリウム漏れ事故の後、対策を重ね、規制官庁も再三指導してきた。だが、勧告は「結果的に具体的な
成果を上げることなく推移した」と断じた。事故当時、運営主体だった動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は、大学、電力会
社、原子炉メーカーなどから専門家を集めたエリート集団だった。エネルギー資源に乏しい日本で、国策の核燃料サイクル
を担う主役に位置付けられた。その自負が、温度計1本の破損で打ち砕かれた。組織は混乱し、事故現場のビデオ隠しは
社会問題に発展した。「動燃職員は当時、技術的レベルも法令を順守するモラルも低かった」。20年前に計測機器のメー
カー担当者としてもんじゅに関わった男性は、当時の現場の気質を苦々しく振り返る。「原子炉はメーカーの複合体につく
ってもらい、動燃は実験データを取って、論文を書くのが仕事だ―と。法律上の規制も、重要な実験を担う研究者とは無関
係と、公言する人もいた」
研究至上主義で閉鎖的とされた動燃は98年、「解体的出直し」と称して核燃料サイクル開発機
構に生まれ変わった。旧動燃を主体にスリム化したが、看板を架け替えただけに過ぎなかった。2005年には国の「特殊法
人合理化」の名の下に、核燃機構は日本原子力研究所(原研)と統合。「事業肥大化」という問題が再燃した。旧動燃出身
で、事故直後から約10年、もんじゅ所長を務めた原子力バックエンド推進センター(東京)の菊池三郎理事長は「個人的に
は、合併は間違っていたと思う」と正直に語る。この間、もんじゅの所管が科学技術庁から文部科学省に移ったため「さらに
学術に走った」と菊池氏は振り返る。場当たり的な改組を繰り返す中で、実用化を担うため社員を送り出してきた電力会社も
及び腰になった。「出向者のレベルが下がり、入れ替わりの期間も短くなった」と複数の関係者は証言する。結果的に組織
の意思疎通が滞り、職員間の認識違いと単純ミスを繰り返す悪循環に陥った。もんじゅに勤める技術職の職員は「研究で成
果を残してなんぼ。もんじゅを動かしても評価されない」と打ち明ける。改組は、対外的に変化をアピールしようと現場を細か
く組み替えるため、だれも腰を据えて仕事ができないという。この職員は「本当の意味で看板だけを掛け替えるならよかった
のに」と皮肉った。今月2日の原子力規制委員会との意見交換で、着任半年の児玉敏雄原子力機構理事長は、組織の甘
さを認めた上で「期限を決め、潜在する問題をつぶす」と決意を語った。これに対し更田豊志委員長代理は「結果を出せな
いという結果を積み重ねてきた」と主張し、こう突き放した。「要するに、手詰まりです、というふうにしか聞こえない」
内閣府、原発避難支援で骨子案
事前に被ばく線量予測し管理
2015/11/19 12:54
【共同通信】
内閣府は19
日、原発事故時に住民避難の支援に当たる国や自治体職員、バス運転手らの被ばく対策についての検討会を開き、被ば
く線量を予測して被ばく管理を適切に行うことを柱とした骨子案を示した。年内に報告書をまとめる。骨子案によると、対象
は自衛隊や警察などを除く国や自治体の職員、民間バス事業者の運転手ら。被ばく管理は事前に作業計画を策定した上
で線量を予測し、被ばくを最低限に抑えるよう管理する。国や自治体がバス事業者などに避難の支援を依頼する場合は、
自治体と事業者が事前に合意していた被ばく線量の範囲内に収まるか確認する。
原発、再生エネで44%以上
電力会社に目標設定
2015/11/18 22:04
【共同通信】
経済産業省資源エネルギ
ー庁は18日、電力会社に対し、原発と再生可能エネルギーの電源構成比率を合計で原則44%以上とする目標を設定す
る方針を示した。2030年度までの実現を求めるもので、達成に向けた取り組みが不十分と判断すれば、個別に指導や勧
告をする。政府は30年の電源構成比率で、総発電量に占める火力発電の割合を56%とし、原発を20~22%、再生エネ
を22~24%とすることを決めている。確実に実現できるよう、法制度を整える。18日に開かれた有識者委員会に提案した。
小売りを手掛ける電力会社を対象とする。
OECD作業部会、非高効率型石炭火力への公的融資制限で合意 電気新聞2015/11/19
ロイター通信やブルームバ
ーグなど複数の海外メディアの18日(日本時間)までの報道によると、パリで開かれていた経済協力開発機構(OECD)の
輸出信用作業部会は現地時間17日、超々臨界圧(USC)と途上国・島しょ国向けの超臨界圧(SC)を除いた従来型の石
炭火力に対し、公的融資を制限することで合意した。融資制限は2017年1月から開始。石炭火力への融資の約85%が制
限されるとしている。月末の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を前に、加盟国間で方針を固めた。
USCなどの高効率石炭火力の輸出は当面容認されるため、電力需要が伸びるアジア地域への輸出を進め、温室効果ガ
スの削減などにつなげる日本としての戦略の基本は維持される見通しだ。
中核のアルゼンチン原子力発電所建設契約 原子力の「走出去」には大きな経済波及効果 (15/11/16)2015/11/18
中国は整った原子力工業体系を備える数少ない国の一つであり、近年、国内において原子力発電の建設規模を急拡大
させているとともに、原子力発電の「走出去」(対外進出)でも初歩的な成果を上げている。現地時間11月15日、G20第10回
首脳サミットの開催地であるトルコのアンタルヤにおいて、中核集団とアルゼンチン原子力発電公社がアルゼンチン重水炉
原子力発電所の商務契約と加圧水型炉の枠組契約に調印した。これにより、中核集団とアルゼンチン原子力発電公社は
共同でアルゼンチン第4及び第5原子炉の建設を進めることになる。「華龍一号」原子力発電技術がアルゼンチンに根を下
ろす見込みである。中核集団は中国の原子力発電の技術と工業の主役であり、現在20ヵ国近くと原子力発電や原子力工
業チェーンの協力をめぐって商談を進めている。中核集団は2012年にアルゼンチン原子力発電公社からAC1000技術合
格資格証書を取得し、ここ1年でアルゼンチン事業を急速に推進してきた。中核集団総経理助理(社長補佐)の李暁明氏
によると、今回調印された中国・アルゼンチン原子力発電事業は、英国の原子力発電事業と大きな違いがある。英国の事
業は投資が主であり、その後で技術輸出を行なうことになるが、アルゼンチン事業では中国の「華龍一号」技術が市場を直
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接占拠することになり、重水炉であれ、加圧水型炉であれ、いずれも中国の生産能力牽引の面で顕著な効果を上げる。ア
ルゼンチンが中国の原子力発電を選択した理由について、李暁明氏は、(1)中国とアルゼンチンの関係は極めて良好であ
り、貿易シェアがますます上昇している、(2)アルゼンチンにも原子力の基盤があり、南米の大国として中国との相互協力に
よって他の南米市場を開拓することを希望している、の2つの点を挙げた。「一帯一路」及びその周辺では60ヵ国以上が原
子力発電の開発や計画を進めており、2030年には新規原子力発電設備は200基余りに達する。中国が「一帯一路」沿線に
おいて20%の市場シェアを占めるとすると、約20基の設備を輸出することになり、500万人の雇用を創出するだけでなく、全
ライフサイクルで約3兆元の生産高を生むことになる。中核集団の銭智民総経理によると、「華龍一号」の開発に参加した企
業・機関は60社余りに上り、「走出去」が実現すれば、国内の設備製造分野で大小様々な企業数百社にも波及する。「華龍
一号」1基の輸出額は控えめに見積もっても300億元になり、自動車30万台の輸出に相当する。原子力発電設備の輸出が
自動車と異なる点は、輸出後も燃料、技術、保守等の支援サービスを行い、全体で1,000億元前後の売上になる。設備の
輸出は産業構造の調整や高度化にとって極めて大きい意義を有している。(新浪財経 11月16日)
中国が第13次5ヵ年規画期に原子力・水力・火力発電や特高圧送電の「走出去」を推進へ (15/11/16)2015/11/18
国家能源局の11月11日の発表によると、中国は第13次5ヵ年規画期に「一帯一路」戦略を重点的に実施し、周辺諸国及
び「一帯一路」沿線諸国との国際協力を深め、重要エネルギー事業を推進するとともに、引き続き原子力発電、水力発電、
火力発電及び特高圧(UHV)送電の「走出去」(対外進出)を推進することになる。国家能源局が先日開いたエネルギー第1
3次5ヵ年規画座談会は、第13次5ヵ年規画期の中国のエネルギー政策について、非化石エネルギー消費の比率の上昇、
天然ガス消費の比率の上昇、石炭のクリーンで高効率の利用水準の向上の3つの目標に向けて、引き続きエネルギー消費
総量を抑制し、重点分野のエネルギー使用方式の変革を急ぐことを提唱した。同時に産業配置を高度化し、石炭、火力発
電、製油の生産能力建設を合理的に調節して資源配置の効率を高める。また、エネルギーシステムの最適化を推進し、電
力と天然ガスのピーク調整能力向上、分散型エネルギーとスマートグリッドの発展、インターネット+スマートエネルギー等
の行動計画を実施する。さらに、今回の会議は、成熟技術の産業化、キーテクノロジー・コアテクノロジーの重点開発やエ
ネルギーの体制と仕組みの革新を加速すること、エネルギーのイノベーションと発展を制約する体制的拘束を打開すること、
エネルギー発展モデルと商業モデルの革新に力を入れること、契約型エネルギー管理や需要側管理等の市場化メカニズ
ムを実施することを提言している。(人民網 11月16日)
[フランス] EDF、国内原子炉建替え計画を公表
電事連2015年11月19日2015年10月23日付報道によると、フランス大
手エネルギー会社EDFの最高経営責任者レビ会長は同日、2030年に向けての発電事業の戦略プランを公表した。2030年
までには、欧州における水力を含む再生可能エネルギーによる発電容量を現在の2倍の5,000万kW超に引き上げるとの目
標を設定する一方で、原子力発電については、6,300万kWという現状の水準を維持する方針を盛り込んだ。設備容量を削
減しなくとも、電気自動車や他の用途によって需要が増加するため、2025年に原子力発電比率を現在の75%から50%に
下げる目標は達成可能とされる。レビ会長は、国内の58基の原子炉について、そのほとんどの稼動年数を50年、さらには6
0年へと引き上げることが可能との見解を示しつつ、2030年から2050年にかけては、老朽化した原子炉のリプレースを進め
ると説明した。具体的には、EPR(第3世代加圧水型原子炉)の改良型(EPR NM)を2基ずつ建設していき、2050~2055年
には、現行の原子炉の閉鎖を完了し、EPR NMが35~40基程度という構成になると説明した。
[米] 再生可能エネルギー、西部地域へ集中
電事連2015年11月19日2015 年11 月6 日付の業界誌によると、米国の
再生可能エネルギー発電容量の50%が西部の13 州に集中しており、太陽光発電においては70%が、地熱発電について
は100%が、この地域に設置されている、と米国再生可能エネルギー協議会が報告した。報告によると、西部の再生可能エ
ネルギー分野へは多くのベンチャーキャピタルが参入しており、西部地域での再生可能エネルギーの発電電力量比率は
約3 分の1 へ拡大し、米国全土の比率(13%)を大きく上回っている。また、カリフォルニア州は2014 年に他のどの州よりも
多くの投資を集め、その額は52 億ドルに上っている。これは、再生可能エネルギー利用促進のための州政府プログラムや
市および民間公益企業による助成措置が多数あることに起因するとしている。
[米] 米ドミニオン社、自社サリー原子力発電所の2回目の運転認可更新の意向を表明
電事連2015年11月19日2015
年11 月6 日付の報道によると、米国の電力会社であるドミニオン社は、同社の所有するサリー原子力発電所1、2 号機に
ついて2回目の営業運転認可の更新を行う意向を米原子力規制庁(NRC)に通知した。米国内の原子力事業者がNRC へ
2回目の運転認可更新を行う意向を通知したのは、初の事例となる。同社は、認可更新に関する技術面をレビュー中である
が、2019 年に予定している更新申請を妨げる大きな障壁はないとしている。同社のDavid Christian 副社長は、「2 回目
の認可更新は、顧客および地域の経済や環境にとって良いニュースである。我々の顧客は、発電所からの安全で信頼性
のある低価格な電気を継続的に受け取ることで利益を得る」と述べている。サリー1、2 号機はそれぞれ1972 年、1973 年
に運転を開始し、両機とも2003 年に1 回目の認可更新(20 年)を済ませている。現在の運転認可の期限は、それぞれ203
2 年、2033 年となっているが、2 回目の更新(20 年)が認可されれば、2052 年と2053 年までとなり、運転開始以来80
年目までの運転が可能となる。
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ベルギー:規制当局がドール3とチアンジュ2の再起動を許可
原産新聞2015年11月18日
ベルギーで2012年に原子
炉容器(RV)からヒビの兆候が検出され、停止していたドール原子力発電所3号機とチアンジュ原子力発電所2号機につ
いて、ベルギー連邦原子力規制局(FANC)は11月17日に再起動を承認すると発表した。原因となった水素白点による微
少気泡の存在が両炉の安全性に許容しがたい影響を及ぼすことはないという点で、事業者のエレクトラベル社が納得のい
く証明を行ったと明言。これにより、ドール3号機は2003年1月の法令に基づき2022年10月1日まで、チアンジュ2号機は
2023年2月1日まで運転の継続が許された。FANCの決定を受けて、エレクトラベル社はすでに両炉の再起動準備を開
始。これに要する4週間の間、複数の監督当局が作業を綿密に監視するほか、次の燃料サイクル終了後には適切な超音
波探傷装置を使ってフォローアップ検査を行うことになると説明している。両炉では2012年夏の定検時に超音波探傷検査
で鋼製RVに毛状ヒビの兆候が検出されたことから、FANCは徹底した調査を指示。その結果、RVの鋼製リング鍛造時に
材料中の水素が偏って生じた「白点」が微少な気泡を生み、これらが長さ12~16ミリメートル、タバコ紙ほどの厚さの薄層
状になったものと判明した。FANCは、微少気泡の存在が両炉の安全性を損なうことはないとエレクトラベル社が説得力の
ある証明を行うまでは再起動は許可しないと決定。両炉それぞれについて同社が2012年12月に提出した安全性保証文
書(セーフティ・ケース)を内外の複数の専門家の助力を受けて分析し、2013年5月に両炉の一時的な再稼働を追加試験
実施などの条件付きで許可した。これを受けて同社は同年6月に両炉の運転を再開したものの、水素白点のある試料で行
った機械的耐性試験で理論モデルよりも放射線影響を強く受けるとの暫定結果が出たため、両炉の停止日程を前倒しして、
2014年3月から第2シリーズの試験を開始した。FANCは同社が今年7月と10月に提出した新しいセーフティ・ケースを、
米オークリッジ国立研究所を含む数多くの専門家に提示して意見を収集。自らも集中的に同文書を分析した上で下した結
論として、「どちらのセーフティ・ケースも広範な科学調査の結果に基づいており、両炉で検出し、正確に計測したすべての
微少気泡が原子炉の安全性に悪影響を及ぼすことはないと確信している」と断言した。エレクトラベル社も同日、FANCの
最終判断を歓迎する声明文を発表した。何万時間もの調査作業と1,500回以上実施したという材料試験の結果、同社が
下した結論は以下の通りとなっている。・RVで検出されたヒビは鍛造時に生じた水素白点によるもので、最初から存在して
いたことになる。・水素白点はRV内壁に沿って層のような平らな状態になっていた。そのため、わずかに機械的ストレスを
受け易いものの、RVの構造上の健全性に悪影響を及ぼすことはない。・超音波探傷検査ですべての水素白点を完璧に検
出し、位置を特定し、計測することが可能になった。・2014年の追加検査ですべての水素白点を特定しており、これらが安
定していて成長しないことが判明。感度を上げて分析したことでいくつかの小さい白点を発見できたが、複数の小さなヒビを
寄せ集めると1つの大きなヒビに見える。・RVの照射化部分に水素白点が存在しても、周辺物質の破壊靱性に影響は及ば
ない。・RVの構造上の健全性は、通常運転時および事故時など、いかなる状況下においても保証される。
チリにおける自然エネルギーの可能性
2015年11月19日
員銅、水力、バイオエネルギー、太陽光
高橋洋
都留文科大学教授・自然エネルギー財団特任研究
筆者は、11月初めにチリのサンチアゴを訪れ、エネルギー大臣などと自然エネ
ルギー政策について意見交換する機会を得た。自然エネルギーに関連してチリという国名はこれまで余り耳にしなかった
が、現地では近年高い注目が集まっているという。日本から馴染のないチリの自然エネルギー事情について、紹介したい。
チリは世界最大の銅の生産国であり、輸出額の半分を関連商品が占める。一方で、化石燃料の大半を輸入に頼っている。
電源構成については、石炭火力41%、水力26%、天然ガス15%となっており(2013年度)、原子力はない。以前からチリで
も、原子力を導入すべきとの議論はあったが、2011年の福島原発事故により完全に否定されたという。そこでここ数年間で
急速に注目を集めているのが、自然エネルギーである。水力を除く自然エネルギーの電源構成は未だ6%(日本は3%)だが、
その多くをバイオエネルギーが占める。チリは4000kmにも及ぶ南北に細長い国土を擁するが、銅鉱山が集まる北部は砂漠
地帯で、南部は湖沼地帯である。湖沼地帯が水力の源となっているが、自然環境保護の観点からこれ以上の開発は難し
い。バイオエネルギーは主として工場廃液などを使った熱電併給である。従って、今後増やすべきは太陽光や風力である。
実は北部のアタカマ砂漠の日照量は、世界最高水準を誇る。固定価格買取は不要?
ところが、自然エネルギーを増や
すために固定価格買取制度のような特別な支援措置はないという。チリは、1982年に世界で初めて電力自由化を成し遂げ
た、新自由主義的改革の先駆者である。現地で話を聞くと、固定価格買取制度や補助金に対して否定的な意見が多く、R
PSのみ採用している。何よりも、「自然エネルギーはコストが安いから補助金など必要ない」というのだ。10月に発電事業の
入札(20年間の買取契約)が行われたが、その入札額は、風力は9.36~11.4円/kWh、太陽光の最安値は7.8円/kWhであ
り、いずれも石炭火力よりも安かった。計5社の自然エネルギー発電事業者が落札し、2017年から運開する新たな発電電力
量は、合計で年間12億kWhに達する。これは、2013年のチリの全発電電力量の1.7%を占めることになる。RPSの目標値は、
これまで大規模水力を除いて2020年までに10%だったが、自然エネルギーの急速な導入を受けて2025年までに20%(日本
は2030年に13~15%)へと改定されたところだという。とはいえ、最大の課題は送電網にあると思われる。細長い国土のた
めに南北方向のみに送電網が建設されている上に、4地域に分かれて非同期となっている。アルゼンチンと国際連系して
いるが、送電容量に限りがある上、外交関係も障壁となって緊急時に限ってしか使われていない。送電網については機能
分離がなされており、アメリカ型のISOが中立的な系統運用の役割を果たしている。系統接続上の制度的障壁は小さく、送
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電網の国内・国際連系や増強投資を政策的にどう進めていくかが、今後の鍵となるだろう。もう1つの課題は資本力である。
自然エネルギー資源には十分に価格競争力があるものの、初期投資の負担は小さくない。そこで期待されているのが、外
資である。1980年に社会主義のアジェンデ政権が崩壊して以来、チリでは開放的な経済運営が継続されてきた事実が、直
接投資に魅力的な環境を提供している。実際、上記の入札についても、落札企業5社中3社がスペインやアメリカの自然エ
ネルギー事業者であった。今回の訪問でも、日本企業によるメガソーラーや送電網、スマートグリッドへの投資に期待が高
かった。日本にとっての示唆
地球の裏側のチリの状況は、日本にとっても参考になるだろう。第1に、自然エネルギーの
価格競争力である。近年自然エネルギーが最も発電コストの低い電源になったという話は、チリ以外にもテキサス州やオー
ストラリア、デンマークなど各地からも聞く。日本の買取価格は下がってきたとはいえ、ドイツと比べまだ2倍程度と高い。消
費者の負担になる賦課金を抑えることも重要である。日本はチリより日照量や地価などの条件が劣るものの、ドイツよりは日
照時間が長い。まだまだコスト低減の余地があるはずであり、事業者やパネルメーカーの奮起に期待したい。第2に、新規
参入の重要性である。チリが外資に期待する理由の1つは、自由化以降寡占化が進んできた電力市場に再度競争を起こ
すためという。あくまで自由市場をベースとして、自然エネルギーという価格競争力のある電源を通して、市場競争を活性
化させるという考え方は、日本では聞かれないものであろう。日本でも2016年4月に小売り全面自由化が実施されるが、自
然エネルギーに限らず新規参入こそが様々なイノベーションの源泉なのであり、徹底した競争政策が求められる。第3に、
やはり送電網の重要性である。広域運用が十分にできていない、国際連系が活用できていないという話は、日本にも当て
はまる。日本は、地理的制約についてはチリよりも恵まれているはずだが、発送電分離は遅れており、系統接続は不十分で
優先給電になっていない。自然エネルギーについて日本と同程度に遅れている、しかし2011年を経て日本以上に盛り上が
っているチリの状況から、日本のやるべきことが見えてくるのではないか。
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