基本的な物理現象を 実験的に検証する研究

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「福岡教育大学研究シーズ集」【個人別シーズ登録票】No.012
最終更新日:2015年11月18日
基本的な物理現象を詳細に検証する研究 理科教育講座
~ 物理教育の質の向上をめざして ~
キーワード
教授
宇藤 茂憲
・運動 ・力学 ・光学 ・音 ・放射線 ・パソコン実験 ・物理教育の質の向上
研究シーズの説明(私は、このような研究に取り組んでいます。)
基礎物理一般、例えば、力学、光学、放射線 等を研究対象として、基本的な物理現象を実験的手法で検証し、数値
計算と組み合わせて解析するなど現象の詳細な解釈を試みています。日常生活で経験できるより現実に近い条件で、
データを解析することに努めています。対象とする現象の特性にあわせて実験に用いるセンサーを選択し、パソコン
へのデータ転送およびデータ解析、更には数値計算との組み合わせにより、例えば、運動の実験では加・加速度、
空気抵抗や摩擦の各解析を、また光学実験では干渉や偏光分散の強度等を定量的に評価しています。
基本的な物理現象を
実験的に検証する研究
これらで得られた知見は、小・中・高等学校での物理教育の要求する内容に応じて、その活用方法は異なって
きます。教育の各段階での必要に応じて、定量的に、または定性的に
結果を活用することができます。また、教科書で学ぶ物理(エネルギー
領域)の内容と、日常生
活で経験する現実の現象
真上図
とのつながりを実験で示す
スクリーンの生データ
こともおこなっています。
横図
・写真: 2 スリット干渉実験
・図: 矩形スリットの2次元
回折データと3次元解析
立体図
※ フリーソフト “ Image J ver.1.43 ” 使用
成果の応用可能性(私の活動の成果は、このような分野にこのように貢献することができます。)
〇基本的な物理現象に関する実験的検証で明らかになった研究成果は、教育現場における「より質の高い物理教育」
の実践に貢献することができます。
具体例: 実体振り子運動での推進力・抑制力を幾つかの要因に分けて、周期運動に対するそれらの各効果を実験データ
と数値計算で解析し、現象のより詳細な解釈を可能にしました。例えば、教育現場で振り子の周期を求める実験において、
おもわしくない実験データを得たとき、その殆どは根拠を示すこと無く「空気抵抗が原因」と結論つけることが多いようです。
研究の成果は、このような考察の根拠となる基礎データを提示します。小・中・高等学校を通じて学ぶ「振り子」現象を教授
するうえで貴重な知見を提供し、 物理教育の質の向上に貢献することができます。
〇研究成果は、本学での学生実験およびリカレント教育で活用しています。
具体例: 物理の原理・法則の理解を目的とする学生実験では、実験課題そのものが日常生活で経験する身の周りの現象
とは乖離しているような印象を与えています。これを避けるため、日常生活感覚で体験できる課題を設定して「学生実験の
質の向上」に活用しています。これらは、教育現場の教師を対象としたリカレント教育でも活用しています
(参照: 下記の社会貢献活動) 。
〇研究成果は、中・大連携事業における発展学習に課題を提供しています。
具体例: 中学校理科の教科書で学ぶ物理の内容と日常生活との接点を明確にし、生徒たちの科学を学ぶモチベーション
高揚に活用しています。また、将来の理系人材の発掘にも繋げています(参照: 下記の社会貢献活動)。
これまでの連携研究や社会貢献活動の実績
〇リカレント教育: 福岡県教育センターキャリアアップ講座の講師
(H27年、H26年、H25年、H24年、H22年 ← 中学校物理、H23年、H22年、H21年 ← 高等学校物理)
〇中・大連携活動: 中学校との科学実験大学講座 or (独)科学技術振興機構SPP活動
(H21年からH27年の7年間、継続して実施)
〇科学啓発活動: 志免町総合福祉施設シーメイト出前実験
(H17年からH27年の11年間、継続して実施)
〇 同 : 「Jr.サイエンス or 教育大へいこう」 のつくって楽しむ科学実験(4~5課題/年)
(H16年からH27年の12年間、継続して実施)
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