15-D-0375 2015 年 8 月 20 日 株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。 産業ファンド投資法人 【据置】 長期発行体格付 格付の見通し 債券格付 (証券コード:3249) AA 安定的 AA ■格付事由 (1) 07 年 3 月に設立され、10 月に東京証券取引所(不動産投資信託証券市場)に上場した物流施設及び工 場・研究開発施設等並びにインフラ施設を投資対象とする J-REIT。資産運用会社(AM)のスポンサーは 三菱商事(出資比率 51%)及びユービーエス・エイ・ジー(同 49%)である。現行ポートフォリオは東 京圏に所在する物件を中心に物流施設 27 物件、工場・研究開発施設等 7 物件、インフラ施設 8 物件の全 42 物件で構成され、約 2,038 億円の資産規模となっている。なお、MID リート投資法人(現 MCUBS MidCity 投資法人)に対する取り組みとして、AM は 15 年 4 月に同投資法人の資産運用会社であった MID リートマネジメント(現 MCUBS MidCity)の株式の 65%を取得し同投資法人のメインスポンサーとなっ たが、本投資法人とは投資対象が異なるため、特段の影響はないものとみている。 (2) 本投資法人は 15 年 3 月に実施した公募増資等により、「IIF 品川 IT ソリューションセンター」など 6 物 件を約 217 億円で 15/6 期に新規取得した。継続的な外部成長により物件やテナントの分散が進展してい るとともに、上記新規物件取得後における取得価格ベースの NOI 利回りは 5.9%と相対的に高い水準が維 持されている。また、空室が発生していた IIF 名古屋ロジスティクスセンターにおいて 15 年 2 月にリテ ナントを実現したこともあり、15/6 期末のポートフォリオ平均稼働率は 99.8%となっている。比較的長 期かつ固定賃料を主体としたテナントとの賃貸借契約形態等によってポートフォリオ・キャッシュフロー の安定性が下支えされていることに加え、資産規模の拡大や、賃料増額改定の実現等による内部成長がそ の創出力の強化に寄与しているものと JCR では考えている。財務面では資産総額ベースの簿価 LTV が 13/6 期末以降概ね 50%で推移しているほか、主としてキャップレートの低下に伴う鑑定評価額の上昇に よりポートフォリオの含み益は拡大傾向にある。有利子負債の返済期限の分散化、借入コストの緩やかな 低減等も図られており、当面安定した財務運営が見込まれる。以上を踏まえ、格付を据え置き、見通しを 安定的とした。 (3) 大規模かつスペックに優れる物流施設の取得環境が依然として厳しい状況にあるとみられる中、本投資法 人は比較的競争の少ない工場・研究開発施設等及びインフラ施設に焦点を当て、AM 独自のルートやスポ ンサーサポートに基づく物件取得パイプラインも活用し、企業の CRE 戦略等に対応する提案を通じた相 対取引での新規物件取得に取り組む方針である。この取り組みによる外部成長や、テナントとの密接なリ レーションに基づくニーズを的確に把握した提案型の内部成長の動向について、今後の収益力の維持また は向上にむけたポイントとして保有物件の経年対応とともに注目していく。なお、ポートフォリオの収益 全体に与える影響は限定的と考えているが、現状空室が発生している「IIF 品川 IT ソリューションセンタ ー」のリーシングの進展にも注目している。 (4) 金融機関取引では主力の三行を中心としたレンダーフォーメーションを維持しており、新規取引先の招聘 も行われている。ALM の観点も踏まえたデットの長期化や固定化、借入極度額計 200 億円のコミットメ ント・ライン設定による流動性の担保等からみて、現状資金調達面に関する懸念は特段みられない。今後 についても増資を含む適切なレバレッジコントロールや、金利変動リスク及びリファイナンスリスクへの 対応も考慮した財務基盤強化にむけた各種施策の継続状況及びその実効性をフォローしていく。 1/4 http://www.jcr.co.jp 【主な新規取得物件の概要】 (1) IIF 品川 IT ソリューションセンター ・93 年 2 月に竣工した鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根地下 1 階付 5 階建事務所。テナントは日立システムズ、 国内大手通信会社のシステム子会社、興安計装の計 3 社で、現行稼働率は 76.1%となっている。 ・本物件は用途の特殊性を有する電算センタービルであるが、東急目黒線「不動前」駅から徒歩 2 分に位置 し立地の希少性を有する。「不動前」駅から JR「目黒」駅まで 2 分、 「大手町」駅まで 20 分(直通)、 「永田 町」駅まで 16 分(直通)と、都心アクセスの面においても交通利便性は高い。近隣は事務所、共同住宅を 中心に戸建住宅、駐車場等が混在し、概ね良好な住環境を形成している。データセンター施設としてみた 場合、最寄駅に近接、都心への良好なアクセス、災害リスクの低い地盤(武蔵野台地東端)等からみて、 希少性に対する一定の評価が可能と考えられる。 ・建物の規模は延床面積約 3,100 坪で、基準階床面積が約 630 坪(2F)と 600 坪を上回っており、貸室は長方 形型(整形)の 3 区画で構成されている。電算センタービルとして開発され、オフィスあるいはデータセ ンターとしての利用が可能であり、レイアウトの自由度や利用効率に関する水準は標準的とみられる。外 観について建物正面はガラスを主体とし石張りの質感が一定のグレードを有しており、エントランス廻り の空間も広い。データセンタービルとしてのスペックは最新物件に比べやや劣位するものの、特別高圧 3 回線スポットネットワーク受電、非常用自家発電設備、フロアごとの非接触 IC カードによるセキュリティ 等を備えている。築年経過物件ではあるが、維持管理の状態は概ね良好である。 取得日:15 年 3 月 17 日 取得価格:7,200 百万円 鑑定評価額:7,640 百万円(15 年 6 月末時点) (2) IIF 泉佐野フードプロセス&ロジスティクスセンター ・96 年 10 月に竣工した、鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根地下 1 階付 6 階建の倉庫・工場・事務所。テナント はナカノ商会 1 社で現行稼働率は 100%となっている。なおエンドテナントとして、サンデリカの食品加工 工場が所在するほか、国際貨物を扱うテナント等も入居している。 ・本物件は最寄駅の JR 関西空港線・南海電鉄空港線「りんくうタウン」駅から約 750m、りんくうタウン北地 区地区計画における総合流通地区に立地している。本物件が属する泉佐野市りんくうエリアは大阪湾を臨 み、空港関連を中心とする産業・流通地区として発展してきた地域である。また阪神高速道路湾岸線「泉 佐野 IC」から約 400m の至近に位置し、関西国際空港へ約 6km の近接性を有する貨物中継地点エリアにあ るほか、港湾機能の面から堺泉北港等へのアクセスも良好である。大阪中心部等消費地へはやや距離があ るものの、同地向け配送拠点として阪神高速、阪和自動車道、国道 26 号等主要幹線道路などが利用可能で あることから一定の利便性を有しているとみられる。操業環境としては流通・製造・加工/工場団地ゾーン 内に位置するため、騒音等による周辺からのクレームも出にくく、24 時間稼働・多頻度配送が可能といっ た要件を備えている。なお本物件の東部には住宅地が広がるため、雇用確保にも特段懸念はないものと想 定される。 ・本物件の賃貸面積は約 4,200 坪。接道や車両動線等大型トラックの搬出入面に関し特段問題はなく、乗用車 駐車場は平面 50 台を確保している。基本仕様は床耐荷重 1 階 2.0t/㎡、2∼5 階 1.5t/㎡、柱間隔 6.75∼ 10.7m、天井高(梁下有効)5.1m となっている。またドッグシェルター付搬出入口 3 バースや、庫内搬送設 備として荷物用エレベーター(5.0t)1 基、垂直搬送機(2.0t)2 基、ドックレベラー4 基を装備している。 倉庫スペックについては 3 階及び 4 階の一部が定温庫仕様であるほか、2 階が食品加工工場として利用され ているものの、他階と同様倉庫スペースとしての利用も可能な汎用性を有している。築後 18 年を経過して いるが、維持管理の状態は概ね良好である。 2/4 http://www.jcr.co.jp 取得日:15 年 3 月 24 日 取得価格:860 百万円 鑑定評価額:1,010 百万円(15 年 6 月末時点) (担当)杉山 成夫・松田 信康 ■格付対象 発行体:産業ファンド投資法人 【据置】 対象 長期発行体格付 対象 第 1 回無担保投資法人債(特定投資 法人債間限定同順位特約付) 第 2 回無担保投資法人債(特定投資 法人債間限定同順位特約付) 第 3 回無担保投資法人債(特定投資 法人債間限定同順位特約付) 格付 見通し AA 安定的 発行額 発行日 償還期日 利率 格付 50 億円 2012 年 12 月 27 日 2016 年 12 月 27 日 0.56% AA 50 億円 2012 年 12 月 27 日 2022 年 12 月 27 日 1.40% AA 0.890% AA 20 億円 2014 年 6 月 26 日 2024 年 6 月 26 日 格付提供方針に基づくその他開示事項 1. 信用格付を付与した年月日:2015 年 8 月 17 日 2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:藤本 主任格付アナリスト:杉山 成夫 幸一 3. 評価の前提・等級基準: 評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に「信用格付の種類 と記号の定義」 (2014 年 1 月 6 日)として掲載している。 4. 信用格付の付与にかかる方法の概要: 本件信用格付の付与にかかる方法の概要は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)のストラクチャード・フ ァイナンス「格付の方法」のページに、 「J-REIT」 (2014 年 6 月 2 日)の信用格付の方法として掲載している。 5. 格付関係者: (発行体・債務者等) 産業ファンド投資法人 6. 本件信用格付の前提・意義・限界: 本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。 本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性 の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外 の事項は含まれない。 本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入 手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。 7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者: ・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表 ・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明 8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要: JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、 独立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、 当該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。 9. JCR に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置:なし ■留意事項 本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、 的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、また は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、 金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因 のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であ って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも のでもありません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として 3/4 http://www.jcr.co.jp 発行体より手数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データ を含め、本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。 ■NRSRO 登録状況 JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。 ■本件に関するお問い合わせ先 情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026 4/4 http://www.jcr.co.jp
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