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愛媛大学学務部教務課 SD 実践報告
−
−プロ意識高揚のために−
−
砂
田
寛
雅
Report on Staff Development Practices in the Academic Affairs
Department of the Ehime University Registrar s Office
−
−To Promote Greater Professional Consciousness−
−
Hiromasa SUNADA
はじめに
持たず,求められる職能開発は個人的な努力や自己
啓発に依存してきた。成長するための手助けを持た
組織人として働くものとして,常に新しいものに
ない組織は,組織的歪みを抱えることになる。愛媛
挑戦し成長しつづける事は当然の事である。
「プロ
大学がある一定の方向に発展,成長していくために
意識をもって働きなさい。
」この常識的訓示は世間
は,組織の構成員も同一方向を向いて成長する必要
一般の初任者研修などにおいて真っ先に叩き込まれ
がある。組織の構成員のベクトルがばらばらなまま
る事である。組織の目標がその成長であるとするな
では,国立大学法人化という変革期を乗り切ること
ら,組織内の個人の成長は不可欠である。個人が不
は難しい。しかしスタッフ全員のプロ意識を組織的
断に自らの職能開発に取り組む姿勢をプロ意識と呼
に高揚する仕組み(以下,「SD」と呼ぶ)が機能す
ぶとするなら,それは組織で働く者に求められる最
るなら,組織は活性化し,そのベクトルは同じ方向
も大切な要件といえる。
を向き,一丸となって前進していくことができるの
とはいえ,組織の経営陣は個人の成長をただ待っ
ではないか。
ているというわけにはいかない。民間企業の場合に
以上のような考え方に立ち,愛媛大学学務部教務
は,経営陣は社員のプロ意識をいかに高揚させるか
課においては,平成13年9月より試行的に SD を実
について熟考を重ねている。社員が成長をしやすい
施してきた。以下,本稿においては,これまでの実
よう手助けをすることは,経営陣の義務とされてい
践結果を検証し,今後の課題を模索してみたい。
る。企業の経営目的に添って,
計画的に社員を採用・
育成していく,組織的な人材育成制度が準備され,
遂行されている。
教務課 SD 誕生の背景
では国立大学の組織の現状はどうであろうか。少
教務課に SD の必要性が出てきたのは,国立大学
なくとも筆者の知る範囲では,これまで,そのよう
法人化の問題に加えて,日ごとに増大する業務の問
なシステマチックな人材育成制度は存在していな
題があった。教務課は平成1
1年より各学部の教務事
かったように思える。しかし,平成1
6年度に向けた
務を一元化して新しく組織された課である。組織後
国立大学法人化への流れが契機となり,国立大学組
3年目にあたる平成1
3年度に大学教育総合センター
織内でも急速に,人材育成に強い関心が寄せられる
が立ち上がったことに伴い,センター内の業務の一
ようになった。
部を教務課が新規に担当することになり,業務量は
愛媛大学事務組織もまた組織的な人材育成制度を
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従来の約1.
5倍になった。現行スタッフで増大した
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業務をこなすには,個人のスキルアップが必要であ
わゆる遠山プラン(平成1
3年6月1
1日「大学を起点
り,さらに業務の共同による効率化を図らざるをえ
とする日本経済活性化のための構造改革プラン−大
ない。また国立大学法人化を控えて,変革の荒波を
学が変わる,日本を変える−」
)に求められると考
乗り切る戦力の充実を図るため,スタッフの意識改
えた。同プランでは,
「大学を核とした三つの改革」
革を促す必要に迫られていた。戦力の充実はすなわ
として,次の三本柱を示している。
ち組織を支えるスタッフの充実と言える。そうした
A−1.世界最高水準の大学作り
考えが教務課内で浮上し,SD を企画・実施するワ
A−2.人材大国の創造
ーキンググループ(以下,SD ワーキングと呼ぶ)
A−3.都市・地域の再生
を立ち上げることになった。
このうち,今後の教務事務の在り方に関わるもの
はA−1「世界最高水準の大学作り」であるが,プ
職場評価
評価項目の策定
ランは本項目について次の三つの「改革の方向性」
を挙げている。その中ではB−1とB−3が,教務
事務の在り方に直接的な影響を及ぼす項目と考えら
れる。
上記の必要性から,スタッフのスキルアップを図
B−1.評価に基づく競争原理の徹底
る具体的方策として,SD ワーキングはスタッフ各
B−2.大学発の新産業創出への加速
自が不断に自己及び同僚の点検・評価を行い,改善
B−3.国立大学を民の発想を活かした経営シス
のための努力を継続していくことが必要であると考
テムへ転換
えた。そのためには教務課スタッフとしての理想像
B−1「評価に基づく競争原理の徹底」とは,「第
をスタッフ各人に示す必要があり,それに向かって
三者機関による公正な評価を徹底」して,
「競争と
スタッフは努力していかなければならない。そこ
評価を通じ国公私立を問わずトップ3
0の大学を世界
で,SD ワーキングでは,教務課において必要とさ
最高水準に引き上げる重点投資」を行おうとする方
れるコンピテンシーを策定しそれについて自己及び
針であり,これに伴い,各大学においては生き残り
他人評価を行う,職場評価を実施した。
を賭けた熾烈な競争が展開されることになる。この
最初に,職場評価項目
(資料番号1:評価票参照)
競争は全国のすべての大学にとって,大学を挙げて
策定の理由について説明していきたい。評価項目は
の総力戦となることが予測される。従って,教務課
すなわち,教務課で必要とされるコンピテンシーの
が本競争の一端を担っていくためには,なによりも
スタッフへの明示である。国立大学法人化を迎える
意識改革が必要であり,そこにおいて,教務課の組
にあたって今後必要とされる理想の人物像を描くと
織自体を「愛媛大学の教育改革推進を全面的に支援
すればいったいどのような人材なのであろうか。こ
するための機能的な事務組織」として明確なイメー
のことを考える上で参考になるのは,平成1
0年度の
ジでもって位置づけ,それを共有することが肝要で
大学審議会答申における次のくだりである。
ある。
「
(事務職員の)専門的な業務との関係では,大学
そこで今後の教務課における最重要課題は,教務
の各種業務の情報化,国際化への対応,入試などの
課スタッフ全員が一丸となって,教育改革への支
専門業務の高度化への対応という観点から,専門的
援,教学組織との連携・協力,大学の教育や管理運
素養のある人材の養成を含め,専門分野ごとの研修
営への参画に携わることであり,この面から教務系
を充実するとともに,適切な処遇が求められる。ま
職員の評価を行うとなれば,文部科学省,国立大学
た,外部の優れた人材の登用も考慮すべきである。
」
協会,あるいは本学における教育改革の動向の把握
(平成1
0年1
0月2
6日大学審議会答申「2
1世紀の大学
(情報収集)力と分析力(項目02),政策・法令・
像と今後の改革方策について―競争的環境の中で個
答申・規程類に関する習熟といった能力が要求され
性が輝く大学―」
)
ることになる。また,教育改革の推進が教学組織と
ここで教務課スタッフにとって「専門的素養のあ
の連携・協力のもとに行われる以上,全学会議の委
る人材」とはどのような人材かをイメージしなけれ
員や他部局の教職員との連携・協力関係を円滑に維
ばならない。SD ワーキングとしてはその鍵は,い
持する必要があり,そのためには他部局教職員への
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愛媛大学学務部教務課 SD 実践報告
対応力(項目0
3)が要求される。
遇)
(項目07)
,学生相談(項目08)
,修学指導,修
B−3「国立大学を民の発想を活かした経営シス
学支援
(教育実習,介護等体験,インターンシップ,
テムへ転換」とは,
「民間的経営原理の導入による
障害学生等)
,専門的助言(資格取得,進路相談等)
,
法人化」と「任期付任用・公募制と業績評価による
学生指導に関する助言といった項目を挙げる必要が
能力主義の徹底」を行おうとする方針であると考え
ある。
られ,将来,このような方向に進むのであれば,事
教務課の業務は今後ますます増え続け,かつ細分
務組織においても,現段階では何よりも企画・立案
化,専門化していく傾向にあるが(これに伴って当
力(項目0
4)
,発言力・文章力(項目0
6)
,リーダー
然企画面の比重も増してくる)
,何と言っても基盤
シップ(項目05)
(ここで言う「リーダーシップ」
となる業務は集中化以前から継続しているルーティ
とは,単に上司が部下に示す指揮上の能力のことで
ーンワークであり,これらの業務は,基本的には電
はない。
)
,マネジメント能力といった面の,これま
算処理をベースとする方法に基づいて処理されなけ
での上下関係を重視した,いわゆるピラミッド型の
ればならない。
事務体制では抽象的に取り扱われてきた能力が,新
しく,具体性をもって要求されることになる。
そこで,教務系職員には事務処理能力(項目0
1),
特にパソコン能力(項目0
9)が欠かせない。パソコ
一方,1
8歳人口の激減に伴う入学者獲得競争,国
ン能力については,教務課の業務の基盤が「教務事
立大学法人化に伴う大学間競争の中で,大学は,主
務システム」であり,さらに「電子事務局」の実現
として「教育改革」と「学生サービス」の二面から
が目前に迫っている現状を鑑みれば,その一定レベ
評価されることになる。従って,教務系職員が「学
ル以上の操作能力は教務系職員にとって不可欠であ
生サービス」に果たす役割はこれまで以上に重要で
る。
ある。
また,教務事務が円滑に遂行されるためには,職
平成1
2年6月の「大学における学生生活の充実方
場における協調性・適合性(項目1
0),勤務態度(項
策について(報告)」によれば,これからの大学は
目1
1)はもちろん,
「専門的素養のある人材」とし
「教員中心の大学」から「学生中心の大学」へ転換
ての自己研鑽努力(研修等への積極的参加や社会の
して行く必要があるとして,
「事務職員の専門性の
動向の把握を含む。
)
(項目1
2)も必要である。
強化」について次のとおり言及している。
「事務職員には,授業科目の登録や,証明書の発
行の手続の際など,学生と接する機会が多くあり,
その対応如何によって学生を励ますことにも,意欲
を減退させることにもなることから,教員と同様に
意識の改革が求められる。
評価項目策定の理由としては,以上のようなこと
が挙げられる。
第1回職場評価
次に具体的評価方法について言及したい。第一回
目の職場評価は平成1
3年9月に実施された。評価項
また,学生中心の大学の観点からは,学生担当部
目は(巻末資料A:評価票参照)
1
2項目が策定され,
署に適切な人材を配置するなど,人事面での配慮を
個人評価と他人評価を同時に5段階の相対評価方式
することも必要である。
で行うこととした。相対評価形式のため他人評価に
さらに,これからの大学においては,学生に対す
ついては評価者には,各項目別に最高得点者と最低
る専門的な助言を行ったり,教員に対して学生指導
得点者を一人ずつ選択するようにした。個人的な利
のあり方などについて提言や発言を行うことのでき
害関係や感情による評価がでることを危惧する意見
る専門的な能力を有する事務職員を育てていくこと
もあったが,むしろ他人からの指摘によって,自己
が重要になっていくと考えられる。このような専門
の長所・欠点をはじめて認識できる機会をもちうる
性を備えた事務職員については,資格や処遇などを
ことが重要と判断し,実施した。一方でそうした指
明確に位置づけ,大学の中心スタッフとして運営し
摘をうけ,公正な評価を実施するため,最高評価者
ていくことが求められる。
」
(平成1
2年6月「大学に
と最低評価者についての評価理由を文章で提出させ
おける学生生活の充実方策について(報告)
」
)
る形式をとった。また,評価の実施に際し,評価情
教務系職員の評価については,この面からも行わ
報管理と部下への指導という観点から,教務課課長
れることが重要であり,学生に対する窓口対応(接
補佐を調整役とした。調整役は評価票の提出を受け
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各項目別に点数を集計,集計の傾向を分析し,評価
なくてはならないだろうし,情報収集と分析力はそ
者全員と個別に面談を行い,改善のための指導・助
れを行うためのバックボーンになると考えられる。
教務課 SD として試行的に実施した職場評価であ
言を行った。
次に,評価の結果について考察してみたい。個人
るが,反省すべき点も明らかになった。第一には,
別の集計結果の分析はここでは行えないので,全体
相互評価が困難を極めた点である。そもそも,教務
の集計を示した(下図資料1参照。なお評価方式は
課業務は各担当者によって業務が細分化され,チー
相対評価をとっており,組織的傾向を示したにすぎ
ムプレーはほとんどないのが実情である。つまり他
ず,厳密な分析は行えないことも付言しておく)
。
人の力量を把握できる機会は日常業務のなかでは極
グラフは各項目別に評価者全員について得点集計し
めて限られている状況である。また,評価項目があ
たものである。このなかで事務処理能力と他部局教
まりに漠然としすぎており,日頃の業務を行う上で
職員への対応が秀でている傾向があると言える。教
具体的指針とならず,結果として5段階評価をする
務課では発足当初,電算化から間もない事情もあ
ための物差しがぼやけてしまうという意見も聞か
り,スタッフのパソコン能力について多大な不安を
れた。
抱えていた。しかし事務処理能力が秀でているとい
第二の問題は,スタッフのスキルアップの向上と
う結果が得られたということは,パソコン能力の集
組織改善を目指し策定された職場評価であるが,個
計結果を含め,2年間,スタッフが自己研鑽を重ね
人の意識改革はそう簡単には進まないと言うことで
てきた証であると言えよう。そして,他部局教職員
ある。日ごろから向上心に燃えて業務を行っている
への対応であるが,教務課の業務は愛媛大学の教務
職員はどんどんスキルアップを図るが,そうでない
事務の統括であり,それゆえ日ごろから他部局との
職員は現状維持を保つという旧態依然の構図はそれ
折衝の必要性に迫られるケースが多い。各種委員会
ほど変わらなかった。そもそも,職場評価は個人の
での調整や,各学部との連携など日常業務のなかか
やる気を促す手段であることを忘れてはならない。
ら生み出された組織力であると言えよう。また,教
個人のやる気は本人の精神を覚醒させなければ生ま
務系のベテラン職員が多く配属されていることも,
れようがない。自発的なやる気をいかに喚起させる
この結果に結びついているかもしれない。
かが課題となった。もちろん,たった一回の実施で
目に見える変化を得ようというのも酷な話であり,
資料1
第1回職場評価集計グラフ(組織傾向)
自己研鑽努力
事務処理能力
3
ていくことが肝要であるとも考えられる。
情報収集と分析力
2.
5
勤務態度
2
他部局教職員へ
の対応
1.
5
協調性
適合性
継続することにより,徐々にスタッフの意識を変え
企画力
立案力
1
第2回職場評価(第1回の反省を踏まえ)
第二回目の職場評価はこうした反省を踏まえて平
成1
4年2月に行われた。上記の第一の問題をうけた
改善点は次の諸点である。まず,難しい相互評価を
少しでも緩和させるため,評価項目を細分化・文章
パソコン能力
リーダーシップ
学生相談
窓口対応
発言力
文章力
化し,より具体的なコンピテンシーを明示すること
で評価者の理解を促した(巻末資料B:教務課 SD
評価参照)
。また,項目の文章は,スタッフの保有
能力をあらわす「〜ができる。
」と,スタッフの行
一方,組織的弱点を挙げると,リーダーシップ,
動をあらわす「〜をしている。
」と表現することで
企画力・立案力及び情報収集と分析力である。いず
教務課が必要とするコンピテンシーをスタッフが理
れも項目策定の際これからの教務課職員に必要とさ
解でき,円滑な評価を行え,さらにはスタッフの日
れる能力であり,いわば国立大学法人化をにらんだ
常業務の指針となりうるようにした。ここで,評価
先取的項目だけに,将来に向けては不安の残る結果
の目的がコンピテンシーの達成であることを考える
となった。先述したとおり,リーダーシップ,企画
と,従来の他者比較による相対評価では不都合が生
力・立案力は変革の時代に組織を前進させるのには
じる。そこで目標達成へ向け,達成度を把握できる
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愛媛大学学務部教務課 SD 実践報告
ようにするため,5段階の絶対評価方式を採用し,
在していることを暗に示すものである。これを改善
それに伴い,評価の点数配分もマイナス点をつけな
していくには,日常業務にもワーキンググループの
い加点方式に変更した。さらに,より公正な評価を
活用など,チームプレーを要する仕組みを取り入れ
行うため外部評価を取り入れた。外部評価は教官か
ていく必要がある。
らの意見及び学生からの意見をアンケート方式で取
り入れることとした。
次に,評価作業から生じた問題点についてである
が,共同作業が少ない職場環境のため,他人評価が
次に,第二の問題をうけ,評価結果を踏まえ,個
第一回目同様困難を極めた。加えて,職場評価によ
人目標を設定→評価→点検→新たな目標設定とい
るスタッフの意識改革もあまり進まなかったという
う,目標管理表を作成し,スタッフが周期的にスキ
ことである。形式上は SD プログラムを作成して,
ルアップを行える枠組を作った(巻末資料C:目標
スタッフ全員を対象に行っているが,効果が伴わな
管理表参照)。但し,これは未実行であり,残念な
い。先にも述べたが,職場評価はスタッフの行動を
がら現段階では結果を報告することはできない。
喚起させるための一助となるもので,実際にスタッ
評価結果を分析してみたい。第一回目と同様職場
フが行動に移す保証はない。SD プログラムを,実
評価を以下の図(資料2:第2回職場評価集計グラ
を伴ったものにするための課題が改めて浮き彫りと
フ)にまとめた。本来ならば第一回目と第二回目の
なったのである。この点の解決策については後述し
結果を対比し,職場評価が及ぼした影響について考
たい。
察したいところであるが,両者が全く同じ基準で実
施されておらず,期間的に見ても6ヶ月という極め
外部評価
て短期間であることを勘案すれば,両者を比較検討
することは困難であると言わざるをえない。但し,
評価の手法を絶対評価としたため,第一回目よりも
教員アンケート
正確な組織的コンピテンシーの傾向が明らかとなっ
次に,教務課に対する外部評価の結果について述
たといえよう。そこで第二回目の結果についてのみ
べたい。最初に,教官からの評価である。評価は,
述べると,協調性・適合性の項目が突出して悪い評
日ごろ教務課職員と業務をともにすることの多い大
価結果となった。相対評価で行った第一回目に比べ
学教育総合センターの委員にお願いした。評価はア
明らかに異なる結果である。これは,先にも述べた
ンケート形式で教務課スタッフに対する意見,提言
ように,教務課業務は各スタッフで細分化されてお
をしてもらうようにしたが,同じ大学組織で働く同
り,共同作業が極めて少ないため,協力関係を築き
僚としての遠慮からか,具体的な指摘を得られるこ
にくい職場であることが起因していると考えられ
とができなかった。
る。また,スタッフ同士がお互いに協調性がないと
感じている事実は,職場内に個人主義的な風潮が存
資料2
第2回職場評価集計グラフ(組織傾向)
自己研鑽努力
事務処理能力
3
2
情報収集と分析力
他部局教職員へ
の対応
1.
5
協調性
適合性
学生評価も教官と同様アンケート形式で行った
(資料3:学生アンケート用紙参照)
。
できるだけ多数の意見を回収するため,アンケー
2.
5
勤務態度
学生アンケート
企画力
立案力
1
ト用紙は学内の事務窓口の他,食堂の各机にも設置
した。平成1
4年2月と,同1
1月にアンケートを実施
し,回収数は約1
0
0通を数えた。学生からのアンケ
ート結果は教務課に対する率直な意見であり,組織
内部からは気づかない指摘も多数受けることができ
た。学生の意見をパターン化し,集計したのが以下
パソコン能力
リーダーシップ
学生相談
窓口対応
発言力
文章力
の図(資料4:学生アンケート集計結果)である。ア
ンケートの半数はスタッフの窓口対応についての批
判で占められている。その他,大学の設備について
の不満,カリキュラムについての不満,学内の諸制
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資料3
学生アンケート
た。自己(教務課)の欠点(窓口対応のまずさ)を直
視することは,腫れ物に触るようなものである。第
おもて
平成14年
月
一回と第二回の職場評価の窓口対応・学生相談の集
日迄有効
計結果と学生アンケートの集計結果を比べてみれば
学 生 発
!
教務課行
この事実は明白である。また,
組織の指針はあるが,
どのように実践するかについて議論してこなかった
ということも問題であった。そうした状況下で,学
愛媛大学教務課発行
生による外部評価を行い,あらためて現状を浮き彫
りにする意見を得られたことの意義は大きい。
うら
ご 案 内
の質向上
!本切符は第1学生サービスセンター,共通教育係(窓口)
を目指して発行されました。ご自由に御意見,御要望を記入くだ
さい。
!例えば,窓口での係員の応対,大学のホームページに関する事,
電子掲示板に関する事,証明書関係発行手続き,履修手続き,カ
リキュラムや履修制度についての御要望などを記入ください。
!記入後は食堂(食器返却口)
,共通教育係,第1学生サービスセ
ンターに設置の切符入れに 月 日までに投函ください。
資料5
学生サービス基本マナー
1.学生の立場にたったサービスを
2.やさしい言葉遣いを忘れずに
3.表情から伝わる言葉も大切に
4.学生の話をよく聞こう
度に係る不満,授業内容についての不満が続いてい
5.公正,迅速から大きな信頼
る。言うまでもなく教務課の業務はその性質上,学
6.清潔な身だしなみでいい窓口
生との対話なくして語ることができない。各学部学
7.マナーアップは態度から
生の履修指導や学生相談,休・退学手続きなどの業
8.マナー違反には適切な指導を
務において,スタッフが窓口で学生生活に及ぼす影
響は計り知れない。職場評価に窓口対応,学生相談
という項目を設定したのもその重要性を考えたから
に他ならなかった。そうしたことを考えると,窓口
業務の改善は教務課にとって喫緊の問題となった。
資料4
学生アンケート集計結果
全員参画型 SD プログラムの実施
接遇研修
さて,教務課の窓口業務改善への取り組みについ
てであるが,第一に接遇研修を実施した。国家公務
お褒め
4%
授業内容
4%
制度
5%
カリキュラム
6%
員においてもマナーが重視されている時代である。
その他
1
9%
偶然にも人事院四国事務局で教務課スタッフが接遇
窓口対応
5
0%
設備
1
2%
研修を受講する機会があった。そこで,教務課での
接遇研修は研修受講者が研修プログラムをそのまま
の形で教務課スタッフ全員に伝えるといった形を
とった。研修内容は,敬語の使い方にはじまり電話
応対,態度・行動について,来訪者へのマナー,コ
ミュニケーションのとり方などについて行われた。
教務課では,発足以来,先述した「大学における
加えて,
「大学における学生生活の充実方策につい
学生生活の充実方策について(報告)
」をうけ,窓口
て(報告)」を再度読み直し,理解を深める作業も
業務については重要視してはいた。実際,
「学生サ
行った。
ービス基本マナー」という教務課としての窓口応対
の指針を8項目(資料5:学生サービス基本マナー
職場評価と外部評価から浮上した問題
参照)にまとめ,実践しようとしてきた。但し,形
第二に,スタッフ全員で窓口業務の改善方策につ
式はそろえたものの,業務の実践におけるまずさに
いて議論し,実際に策定した。議論の方法と決定し
ついてはなおざりにされていたことは否めなかっ
た窓口業務の在り方については後述することとし
4
6
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愛媛大学学務部教務課 SD 実践報告
て,まず,職場評価実施から浮き彫りとなった問題
の情報の共有を図ることも意図されている。そし
を確かめておきたい。それは,職場評価が改革へ向
て,スタッフミーティングに FD ワークショップの
けた全員の職場意識の喚起には直結しにくかったと
効用を持ち込めば,スタッフミーティングのこうし
いうことである。その問題が引き起こる理由とし
た目的の具現化が可能となる。そこでワーキングで
て,強制的な職場評価はスタッフの受身の姿勢をう
は,FD ワークショップ的なプログラムを,合宿や
み,本人の行動を伴わないということが挙げられ
時間外などにではなく,教務課のルーティーンとし
た。そうした状況は SD ワーキングの一人歩きを目
て組み込まれたスタッフミーティングにおいて展開
立たせ,他のスタッフの足並みが揃ってこないとい
することを試みたのである。
う皮肉な結果を生んでしまったのである。加えて,
細分化した教務課業務の特性は,個人主義的な土壌
「はなしあい」
(第二回の職場評価の結果からも分かる)の温床と
ワークショップは仰々しいイメージを避けるため
なっている。ワーキングでは,これらの問題解決の
「はなしあい」と題して,窓口応対についての改善
方策として,スタッフ全員が参加し,自らのコンピ
策について話し合った(巻末資料 D:話し合いの手
テンシーの構築を考え,ひいては自分の所属する組
法参照)
。「はなしあい」はベストセラーともなった
織の成長を考えていける,押し付けではなく自発的
斎藤孝『会議革命』,
(20
0
2,PHP 研究所)を大い
行動を促せる全員参画型 SD プログラムが必要であ
に活用させていただいた。
ると考えた。
実効的 SD プログラムとは
まず,3人1グループに分かれ議論することで,
大人数の会議などでありがちな,特定の者のみが発
言するという弊害をなくし,個人レベルの意見を少
教務課の業務のなかには愛媛大学教育総合センタ
しでも活用できるようにした。そして,どんな些細
ーの業務も一部含まれていることは先述した。セン
な個人的意見もまずは用紙に書き込み,それから意
ターは,教育の資質向上を目指して設置された組織
見をまとめていくようにした。議論の時間は1
5分に
であり,そのなかの教育システム開発部では FD に
限定し,その後,各グループでまとめた意見の発表
ついて検討が続けられている。愛媛大学の FD につ
をグループにつき2分でスタッフ全員に対して行っ
いては,全学的な組織の設置に伴い,組織的に既に
た。議 論 前 の ス タ ッ フ へ の 説 明 の 時 間 と あ わ せ
さまざまなプログラムが実施されており,教員の教
て,1時間足らずで議論の成果が出る仕組みであ
育能力向上のための制度作りは SD のそれよりもは
る。この手法をとることにより,短時間で全員の意
るかに進んだものとなっている。なかでも教育ワー
見を取り入れた教務課の意見をあきらかにすること
クショップは教員による教員のための教育改革プロ
ができる。また,職場評価で浮き彫りとなった,協
グラムであり,教育改革へ向けた参加者全員の意見
調性・適合性についての問題の解決や,教務課とし
を昇華させることが特徴である。実際,これまで3
て必要なコンピテンシーを高めることにも効果をも
回のワークショップにはそれぞれ教務課スタッフ
つ。なぜなら「はなしあい」の手法はスタッフを議
の一部も参加し,その効果を実感してきた。このワ
論しやすい環境に置くことができるので,発言力を
ークショップの手法は SD ワーキングが求める全員
高める訓練となる。また,スタッフが発言するため
参画型のそれに合致しており,窓口応対のみなら
には自己の主張が必要であり,企画・立案能力を養
ず,課内で議論すべき問題が生じた場合にも活用で
うことにも!がる。そして,3人グループで議論
きる。
し,グループとしての意見をまとめるという行程で
言い遅れたが,教務課では課発足以来,毎週火曜
は,お互いの意見を理解し,またそれに対し発信す
日にスタッフミーティングを開いてきた。スタッフ
るというコミュニケーション能力が必要であり,共
ミーティング開催の目的は,継続的な職場改善の実
同作業に必要とされる協調性・適合性も各人に必要
施を目標とした,スタッフへの発言機会の提供であ
とされるところである。
り,またそうした場での,スタッフの企画力・発言
見よう見真似で行われた「はなしあい」だが,ス
力高揚の促進である。さらには,
業務の細分化によっ
ムーズな議論が行われ,各グループから窓口業務改
て生み出される弊害の緩和のために,スタッフ同士
善に向けた興味深い意見が多数出された(巻末資料
大学教育実践ジャーナル 創刊号 2
0
0
3
4
7
砂 田 寛 雅
資料6
事後処理状況(窓口対応を除く)
未処理
2
1%
現状維持
(検討の上)
1
3%
改善処理済
3
7%
検討中
5
0%
「はなしあい」風景
これからの SD を考える
今後の課題
職場評価に始まり,教員評価,学生評価,ワーク
ショップの導入というステップを踏んできた教務課
SD であるが,これまでワーキングが実感したの
は,こうしたプログラムを継続していくことの重要
発表風景
性である。そうすることでスタッフの意識改革を引
き起こし,改革という渦を巻き起こすことができ,
E:窓口業務改善方策参照)
。この手法を活用して
国立大学法人化に向けて足並みを揃えて戦い抜ける
みて,教務課スタッフは,各自が問題意識をもって
組織作りが可能となる。その際,
改まったかたちで,
業務にあたっていることが分かった。議論しやすい
いかめしい SD プログラムを行うよりは,自然な形
場の提供があったことを差し引いても,日頃の問題
で日常業務のなかに組み込むかたちで SD プログラ
意識なくして,多くの意見が集まるはずもない。一
ムを実施していくほうがより効果的である。そうい
方で,これまではそうした多くの意見は陰に隠れる
う意味で,先述したスタッフミーティングは定期的
形で,教務課スタッフ全員が個人レベルの意見を理
にスタッフ全員が参加できるもので,日常的 SD プ
解しうるような環境がなかったといえよう。そし
ログラムの実施には格好の場であると言える。現在
て,今回のようにスタッフ間での議論が行われれ
スタッフミーティングでは,職員のプレゼンテー
ば,お互いの様々な考えを学ぶことで,刺激を受け
ション能力を高めようと,スタッフが感じた業務上
られ,スタッフの向上意欲を呼び起こすこともでき
の問題点や,これからの業務・組織のあり方につい
そうである。実際,今回の「はなしあい」が終了し
て,当番制で発表会を開いている(発表の後,意見・
た後も,スタッフ同士で窓口応対についての議論が
質問等のディスカッションを行う)
。これを行うこ
続けられ,スタッフの意欲を覚醒させることができ
とで,毎回のミーティングで議論する習慣を植え付
たと実感した。ただし,この時点では窓口応対改善
け,報告などの議題で停滞しがちなミーティングを
という目標にはなんら達してはいないということを
活性化することにも一役買っている。
忘れてはならない。したがって,今後の課題として
また,外部評価の実施は今後も重視していかなけ
今回の「はなしあい」で決まった方策について,目
ればならないだろう。自己を正確に点検する上で外
標達成へ向けた具体的方略を策定し,それに向けて
部評価は欠かせないものである。さらに外部評価の
行動し,達成度を周期的に点検していく必要があ
利点を取り入れるなら,窓口業務改善について,教
る。学生評価からえられたほかの提言についても,
務課スタッフ全員で議論したが,今後はここにも教
同様の対応が必要である。
員,学生を加えた形で行うべきであろう。外部評価
4
8
大学教育実践ジャーナル 創刊号 2
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0
3
愛媛大学学務部教務課 SD 実践報告
を受けた形で,それについて当事者のみで議論した
れ,将来へ向かうそうした不安と真っ向から対峙で
わけであるが,ここに問題を投げかけた外部者(学
きるはずなのである。
生)自身を含めることで,問題についてのより的確
な解答が可能になると考えられる。
全学的 SD プログラムの必要性
草の根的な活動が続く教務課 SD であるが,まず
は教務課のなかから改革の波を立ち上げ,将来的に
は他の部署もこの渦に巻き込められれば理想的であ
る。SD プログラムを日常的に実施し,ひとたびそ
うした波を立ち上げることができれば,ボトムアッ
プ的に愛媛大学全体を覆い尽くすことは可能である
と考える。組織をボトムアップ的に変えていくこと
を考えた場合,時間は要するがその意向はスタッフ
全員の集約であるため,組織的抵抗は起こりにく
く,スムーズな変革が行える利点がある。全員の意
見を昇華させるワークショップの手法はすなわち,
組織を末端から変えうるボトムアップの手法と言え
よう。一方,ワーキングの一人歩きという問題が露
呈した職場評価は,強制力を伴うものであり,トッ
プダウンの手法であると言えよう。トップダウン方
式は,瞬間的に組織全体へトップの意向を伝達でき
るが,反面,強制的要素がある分,組織的抵抗を招
く。但し,国立大学法人化を目前とした現状を踏ま
えると,草の根的な手法でボトムアップ的に組織全
体を改革の波に覆い尽くそうとすることはあまりに
も時間が掛かりすぎる。早急に,全学的な SD プロ
グラムを作成し,教員を含めたスタッフ全員の意識
改革を促す必要がある。この際,トップダウン方式
で制度を構築し,手法は可能な限りボトムアップ的
に行うのが理想である。全学的な SD の実施によ
り,愛媛大学が競争市場の中で戦い抜ける戦力を身
につけるべきである。
現在,法人化後に国立大学がたどる道は霧に煙っ
て見えない状況である。法人化は名ばかりで,旧態
依然の状態が続くかもしれないし,あるいは完全民
営化への道を走り出すかもしれない。後者の道を歩
まねばならない時を迎えた瞬間,旧態依然たる変化
を求めない組織は,有無を言わさず強制的な変容を
強いられるであろう。企業の再生の際によく使われ
るリエンジニアリングや,リストラクチャリングは
組織内の痛みや悲しみを伴う。いずれの道を歩むに
しても,われわれがお金をもらって働くことの意義
を真剣に考えるならば,プロ意識を発揮し続けら
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0
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砂 田 寛 雅
巻末資料A
評
価
票(試行用)
平成1
3年9月
!この評価は,教務課・教務系職員の資質向上と事務合理化への対策として,自己分析をするために役立て,今後の大学職員
としての自覚を持ち一層の研鑽をお願いしたいために行うものです。本評価票は,
「自己評価」と「職場評価」
(同室の職員
に対する評価)を兼ねています。
!下表のそれぞれの項目ごとに,A=最も良い(得点5点)
,B=良い(得点3点)
,C=普通(得点1点)
,D=良くない(得
点−1点)
,E=最も良くない(得点−3点)の5段階評価を行ってください。
A評価の者を必ず1人選んでください。B〜D評価の人数は制限しません。E評価を行う場合は必ず1人に絞ってください。
評価項目の内容について不明の点があれば,別添「評価項目設定の基本方針について」を参照してください。
0
1
氏 名
0
2
0
3
0
4
事 務 処 理 情報収集と 他部局教職 企 画
能
力 分 析 力 員への対応 立 案
0
5
0
6
力 リーダー 発 言
力 シ ッ プ 文 章
0
7
0
8
0
9
1
0
パソコン 協 調
力 窓口対応
学生相談
能
力 適 合
力( 接 遇 )
1
1
1
2
自己研鑽
性
勤務態度
努
力
性
!上表の各項目について,A,Eと評価した理由を,下表に明確に記入してください。
項 目
0
1
0
2
0
3
0
4
0
5
0
6
0
7
0
8
0
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1
0
1
1
1
2
評 価
理
由
A
E
A
E
A
E
A
E
A
E
A
E
A
E
A
E
A
E
A
E
A
E
A
E
!独立行政法人化を目前にして,将来の教務課,あるいは教務事務の在り方に関する意見,提案等を必ず記入してください。
(本
意見等は取りまとめた上で,事務局長へ提出します。
)
氏
5
0
名
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3
愛媛大学学務部教務課 SD 実践報告
巻末資料B
教務課 SD 評価(平成13年度後学期)
!評価項目にしたがって,職場評価と自己評価をそれぞれ行ってください。なお,職場評価については所属部署(教務班,共
通教育係)のスタッフについてのみ行い,評価シートを課長補佐へ提出してください。
!下の評価基準表にしたがって,評価点数に応じた該当個所を別紙評価シートへ鉛筆でマークしてください。
点
数
評
価
基
準
4
十分行っている。8割以上できている
3
行っているほうである。5割以上はできている。
2
十分ではないが行っている。5割未満であるができている。
1
ほとんど行っていない。たまに行うことがある。2割くらいはできている。
0
全く行っていない。全くできていない。
評
価
項
目
1
事務処理の際は冷静・慎重であり,正確・几帳面に遂行できる。
2
自己責任の意識をもち,疑問点は解消した上で徹底的に処理を行っている。
3
迅速・効率的な処理を行っている。
4
エラー発生時,迅速な事後処理を行い,解消に努めている。
5
文章の読み取りや,話の聞き取りが早く,ポイントを正確に把握し仕事を進めている。
6
自己の行っている事務に対して,常に問題意識を持ち,改善に努めている。
7
業務に関する情報を継続的・積極的に収集している。
8
様々な情報を分析し,取捨選択・加工を行い業務で役立てている。
9
日頃から相手の立場を尊重し,常識的マナーをもって応対している。
1
0
所属部署の意向,自らの意思を相手に明瞭に伝達し,理解・協力を促すことができる。
1
1
交渉,折衝時における逆説に対し,自ら強力に主張すべき点を把握した上で,徹底的に主張を貫く
ことができる。
1
2
他部局等からの依頼,要請について率直性をもって応じ,協力的である。
企画力・
立案力
1
3
自ら直面する業務,課題について広い視点を持ち,変更・改善点をうちだし,実行できるよう努め
ている。
リーダー
シップ
1
4
日常業務において,全学に視点をおき,独法化へ向けた未来志向の行動・態度・姿勢で臨んでいる。
事務処理
能力
情報収集と
分析力
他部局教職
員への対応
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0
0
3
5
1
砂 田 寛 雅
評
価
項
目
1
5
自らが得た組織上影響を及ぼしうる情報を何らかの形(ミーティング,メール等)で遅滞なく伝達
している。
1
6
職場内のムードを大切に,思いやりを持って部下・同僚へ指導と配慮ができる。
発言力
1
7
発言力がある。
文章力
1
8
文章力がある。
(当項目に関しては,各自作成の文章課題を評価の参考としてください。
)
1
9
身だしなみを整え,窓口に来る全ての人に対し丁寧な応対,言葉づかいをしている。
2
0
相手の意向を汲み取り,適切な説明,迅速な手続きを行っている。
2
1
常に明るく思いやりをもって,優しい態度で対応している。
2
2
法令・規定・履修手続きに精通し,学生の立場に立った視点から説明,指示を行い,理解を得ている。
2
3
学生の置かれている立場を把握し,適切な指導(進学指導・生活指導・成績指導・励まし等)を行っ
ている。
2
4
表計算ソフト(エクセル,ロータス等)を使いこなせる。
2
5
ワープロソフト(ワード,一太郎等)を使いこなせる。
2
6
データベースソフト(アクセス等)を使いこなせる。
2
7
HTML を理解している。
2
8
データバックアップを確実に行っている。
2
9
自己の責務を果たした上で,同僚の手伝いなど組織全体にプラスになる協力的行動をしている。
3
0
上司の指示,同僚の依頼について素直に遵守しようとする姿勢がある。
3
1
報告・連絡・相談を確実に行っている。
3
2
業務に対し常に積極的であり,責任感を持って遂行している。
3
3
業務について常に効率性を考え,期限・目標設定を行い計画どおり遂行している。
3
4
コスト意識を常に持ち業務にあたっている。
3
5
職場における自己の能力を高めるため,積極的業務への取り組み,研修参加等を行っている。
3
6
職場における自己の能力を高めるため英語力,専門知識等を習得するよう努めている。
リーダー
シップ
窓口対応
(接遇)
学生相談
パソコン
能力
協調性・
適合性
勤務態度・
規律性
自己研鑽
努力
5
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平成 年後学期自己評価
平成 年後学期自己評価
平成 年後学期自己評価
平成 年前学期目標
平成 年前学期目標
平成 年前学期目標
補佐コメント
補佐コメント
補佐コメント
補佐コメント
備考 学期のはじめに自己評価,職場評価を踏まえたうえで各自,自由に目標を設定してください。目標の設定数も自由とします。
1学期経過後前学期目標の達成度を点検,自己評価を行います。同時に補佐が評価を行います。
平成 年後学期自己評価
平成 年前学期目標
目標管理表(目標設定時期4月,1
0月)
巻末資料C
愛媛大学学務部教務課 SD 実践報告
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砂 田 寛 雅
巻末資料D
はなしあいの手法
SDWG
特定の者のみが発言するとか,意見の空中戦を行うといったこれまでの会議での弊害を改善する為の一手
法を今回のミーティングで試してみたいと思います。この手法は,個人の意見を出しやすくし,全員の意見
の吸い上げを可能にします。
【 手
順 】
1組3名のチーム分けを行います。
!
このチーム分けによって発言力の有無に関係なく個々の意見の吸い上げを可能にしますし,全体意思統一
の前提として,個レベルで膨大なお互いの情報を共有することができます。互いの情報の共有はクリエイティ
ブなアイディアを創造します。一人の脳ミソでなくみんなでやるというのがポイントです。
意見は付箋紙にどんどん書き込み用紙に貼り付けていきます。
"
意見は文章にせずキーワードを付箋紙に記入し用紙に貼り付けていきます。ここで,記入順序は最重要項
目から記入するのが望ましいでしょう。また,くだらなさそうな主観的意見も議論を活性化させる可能性が
あります。どんな意見も貼り付けていってください。キーワードのなかから共通の項目,全く異なる項目な
どに分類し,付箋紙を貼り直して,アイディアを文章化してください。記入されたキーワードを元にアイディ
アを練り上げていく感覚です。
チーム内のポジショニングは用紙が見やすいように。
#
発言者の意見を適宜他の人が記入していくようにしてください。
時間厳守で議論します。
$
限られた時間内(1
5分間)に一人ひとりの能力を出し尽くしてください。
チームの意見をプレゼンテーションします。
%
プレゼンテーションも時間厳守(2分間)で行います。
各チームのアイディアのなかから全員で最終のアイディアを採用します。
&
投票によってアイディアを採用します。
! チーム作業のポイント
! 書く場合は文章ではなく,キーワードを中心にして書いていく。
! まずは秩序を考えないで,できるだけカオスをつくるようにドンドン書き付けていく。
! 与えられた時間内にアイディアを全て出し切る。
! 相手の言った言葉もメモする。
! 各人の領土を決めないで3人の脳ミソを混ぜ合わせる。
! 評価はせずに,ささやかなものでもことばにして出し切る。
! 相手の考えを否定しない。
※上記は,斎藤孝(2
0
0
2)
『会議革命』PHP 研究所の完全模倣です。
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愛媛大学学務部教務課 SD 実践報告
巻末資料E
窓口業務改善方策
〜教務課スタッフ全員のはなしあいで策定〜
!ぞうさんチーム
! 学生の立場にたって話を聞く
! 丁寧な応対
!脇さんチーム
! 担当者以外のスタッフも業務を理解する(情報の共有)
! ベテラン(専門職業人)が窓口業務を(率先して)→若手の育成
!さわやかチーム
! コミュニケーションをとる
! マナー(笑顔,電話応対でメモをとる,たらいまわしをしない)
! 研修
! 組織を学生に分かりやすいように表示
! 入りやすい窓口(設備)
! 適切な指導
!はなチーム
! 適切な指導
! 研修
! 情報共有
! 事務の一元化
!ゆーゆーチーム
! 学生の話をよく聞く(たらいまわしをしない)
! 研修
! 応対しやすいような机の配置
! 昼休みの役割分担
! 組織を学生に分かりやすいように表示
!下戸チーム
! きれいな窓口(設備)
! 身だしなみを整える
! 組織を学生に分かりやすいように表示
! 不公平のない適切な指導
! 情報共有
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