人材確保の基本

レポート No.801430
No .801430
人材確保の基本
■ C・O・N・T・E・N・T・S
はじめに
1章 中小企業でも人材は確保できる
2章 人材確保のために必要なこと
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はじめに
本レポートは、
中小企業の経営者や人事担当者の方を対象として、
中小企業が人材の確保に成功するために
どのように取り組むべきかを考え、現状を見直していただくヒントをご紹介する
という目的で作成したものです。
1章 中小企業でも人材は確保できる
「中小企業には人が集まらない」といわれますが、これは本当に根拠があるのでしょ う
か。たしかに、求職者にとって中小企業よりも大企業のほうがゆとりや安定を与えてくれ
るように感じられるのかもしれません。名の知られた大企業は一見魅力的です。しかし、
実際のところ、大企業への就職を希望する理由の多くが「名前を知っている」
「何となく聞
こえがよい」「待遇が良さそうだから」といった漠然としたものです。大企業に就職した人
がゆとりや安定を手に入れ、中小企業に就職した人はそれを手に入れられないのかという
と必ずしもそうではありません。つまり、求職者はあくまでも外から見た企業のイメージ
しか知り得ないわけですから、
中小企業であっても自社の経営方針、事業内容、将来の展望、待遇等をきちんと説明し
・大企業と変わりのないこと
・大企業よりも優っていること
・大企業に劣る点があるならば、それを補うために努力していること
等をアピールすることができれば、優秀な人材確保は十分に可能です。
綿密な採用戦略のもとに採用活動を進めていけば、優秀な人材を採用することに企業 の
規模は決定的な要因とはなりません。人材確保がうまくいかないのならばその原因をつき
とめ、対応策を講じ、その時点で最良の人材の確保に努めることが大切です。
2章 人材確保のために必要なこと
前章で述べたように、優秀な人材確保には企業規模ばかりが成功要因となるわけでは あ
りません。もちろん、大企業志向等さまざまな厳しい問題はありますが、これは人材確保
を阻む直接の原因ではないのです。
そこで、満足のいく人材確保のために取り組んでいくべきことを、考えていくことに し
ましょう。
1.長期的ビジョンの上に成り立った採用計画
人手不足時代には競って採用に奔走し、不況となると減量経営のために人員削減に頭 を
悩ます、というような場当たり的な雇用管理を行なっていては、中長期的視野に立った本
当に必要な人材の確保はできません。こうした対応を続けていては、企業イメージが低下
し、有能な人材から敬遠されることにもなりかねません。
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たとえば、「良い人材がいない」「人材が欲しいのだが、なかなか採れない」と悩むば か
りで、欲しい人材のイメージを明確にしていなかったとします。これでは、募集広告にも
「こういう人が欲しい」とはっきり打ち出すことができないので、インパクトの弱い広告
になってしまいます。また、こうした状態では説明会でも「どのような人に、どのように
活躍してほしいか」ということを説明することもできず、ひととおりの会社説明で終わっ
てしまいます。これでは人材が確保できなくても無理はないのです。
人材を採用するにあたっては、
どのような能力、技術、経験をもった人材が必要であるか、
また、その人材に社内でどのように働いてほしいのか
ということまで具体化することが大切です。
ただし、「能力があって、仕事ができて、バリバリと働いてくれる人」「我が社の将来 を
担ってくれるような、一流大卒の若い人材」といった人物像を描いても、それでは必要な
人材を明確にしたことにはなりません。
人材確保は
「経営目標を達成するため」に
「本当に必要な人材」を
「必要なだけ採用する」
ことが目的です。
確たる採用計画をもってこそ、それが実現できるのだということを十分に理解しなく て
はなりません。
2.現在の雇用環境を把握する
人材確保にあたっては、雇用環境の把握も重要です。
その時々の経済動向、労働市場の動向、雇用慣行の変化、就労意識の変化等によって 、
求職者の数も意識も大きく変わります。企業としても、採用可能な人材や人数が変わるわ
けですから、対応の仕方も変わらざるを得なくなります。
たとえば、労働市場の動向をとらえる指標として、有効求人倍率があります。これは 、
職業安定所に届け出された求人数を求職者数で割った数値です。この数値が1を割り込め
ば求職活動が難しくなっていることを、また1を超えていれば求人活動が難しくなってい
ることをあらわします。
日々変化する雇用環境に柔軟に対応するためには、現状を常に把握しておくことが大 切
です。「先を読む」のは大変難しいことですが、最低限「現状を把握する」よう努めたいも
のです。
3.どのような人材にも柔軟に対応する
中小企業は大企業と比べ、知名度の低さもさることながら、給与・福利厚生・社内体 制
の整備等さまざまな面において見劣りのする点が多いため、募集・採用する人材について
柔軟に考えなければなりません。たとえば、次のようなことが挙げられます。
1)学歴にこだわらず、能力を評価する
中小企業が人材を 確保す るためには、学 歴や出身校にはあ まり固執しない ほうが よ
いでしょう。逆に 埋もれている人材を発掘するくら いの気 持ちでいたほうが、有能な
人材を確保しやすいといえます。
学歴や出身校を表 面に出 すことよりも、実力主義・能力主 義を唱えていく ことで 、
社員のやる気を喚起することにもつながります。
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2)女性を活用する
男女雇用機会均等 法の改 正によって、募 集・採用の際の男女の差別が 禁止 されま し
たが、未だ女性の ほうが就職が難しいのが現状です 。高い 能力をもちながらも就職で
きずにいる女性は 多く、同じ賃金であれば、男性よ りも女 性のほうが優秀な人材を得
やすいということ も考えられます。女性は結婚・出 産等の ハードルがあり「あてにな
らない」と思われ がちですが、女性でもキャリア志 向で一 生働こうと考える人が大勢
います。子育てに 関する制度等を整備することによ り、優 秀な女性を獲得できる可能
性が高まるといえるでしょう。
3)高齢者を活用する
定年を迎えて仕事 から離 れても、働く意 欲をもつ高齢者は 少なくありませ ん。そ の
なかには、長年の 経験から高い技術や能力をもつ優 秀な人 材も含まれています。これ
らの高齢者の活用も、今後は考えていかなければなりません。
少子高齢化の進む 我が国 では、今後ます ます若手の労働力 不足が深刻化す るため 、
高齢者の活用はど の企業でも重要な課題となるとい われて います。すでに、定年延長
や再雇用制度、嘱 託社員制度等で高齢者を採用し、 効果を上げている企業も多数あり
ます。
さまざまな人材の有効活用は社会的要請でもあります。多様な人材活用への道を積極 的
に開いていくことは、企業のイメージアップにもつながり、人材確保をさらに容易なもの
へと導いていくことでしょう。
4.採用体制の強化
採用の基本はできるだけ多くの応募者を集め、
そのなかから優秀な人材を採用することです。
これは、まず人が集まらなくては、そのなかから本当に必要な人材を選別できないか ら
です。では、どのような取り組み方をすればよいでしょうか。
1)トップの率先した取り組み
採用を人事担当者 に任せ きりにしてはい ないでしょうか? 実務面ではそれ でよく て
も、表に出るところでは社長が積極的に採用のために働きましょう。
たとえば、大学の 就職部 に求人を依頼す る場合、社長自ら が訪問するのと 人事担 当
者が訪問するのと では、先方の対応が異なります。 また、 会社説明会の際に、人事担
当者が淡々と会社 概要を話すのと、社長が自ら会社 の歴史 、現状、将来のビジョンを
熱意を込めて語るのとでは、応募者の受ける印象は大きく異なります。
2)優秀な人事スタッフの配置
優秀な人材を得るには、優秀な人事スタッフが必要です。
人事部門は営業等 と違っ て利益を生む部 署ではありません 。このため、優 秀な人 材
を配置することに は抵抗があるかもしれません。し かし、 優秀な人材を確保したいと
思うのであれば、 採用を担当する人事担当者には優 秀な人 材を配置する必要がありま
す。なぜなら、効 果的かつ効率的な採用戦略を立て 、それ を実行することは、そうし
た任務を担うだけの優秀な能力をもった人材でなければできないからです。
また、人事担当者 は応募 者がはじめて接 する社内の人間で もあります。そ の人事 担
当者に「高い能力」や「 魅力」あるいは「企業 に対する意欲」が感じられなければ、
応募者は失望を感 じてしまうことでしょう。つけ加 えるな らば、優秀な人事スタッフ
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でなくては応募者の能力を見極めることができないということもいえます。
以上のことから考えると、人事担当者には次のような資質が求められます。
・プレゼンテーションができる
・社内情報、特に営業や生産の現場情報、社員の情報に精通している
・社内での信望が厚く、影響力がある
・会社を代表しているという意識を強くもっている
・社長自身も信頼し、仕事を任せられる人間である
また、新規学卒者 への配 慮として、人事 スタッフに若手社 員を入れることも大切 で
す。入社して日が 浅いことから、「 応募者 の気持ちを理解しやすい」「企業に対する新
鮮で率直な感想を伝えられる」「応募者に親近感を抱かせられる」といった効果が期待
できます。
3)コミュニケーションツールの整備
多くの応募者を集 める手 段として、入社 案内等のコミュニ ケーションツー ルがあ り
ます。このツール を効果的に使うことによって、企 業をア ピールし、他社との差別化
を図ることができます。
人材を確保するに あたって、「企業はアピ ールすべき『商 品』」と捉えるこ とが必 要
です。自社PRは 、自社製品の売り込みと同じ気概で臨み ます。最近ではインターネ
ットのホームペー ジや、ビデオ・CD−ROM等を 使う企 業も見受けられますが、ど
のような形にせよ 、奇抜さで目を引くのではなく、 企業の 特色や魅力がしっかりと表
現されている情報源であることが肝心です。
−以 上−
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