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国際航空民間機関(ICAO)よる REDD+の活用に関する提言
2016 年 4 月 8 日
CI ジャパン
本年 9~10 月に開催される第 39 回国際航空民間機関(ICAO)総会において、国際航空から
の温室効果ガスの排出削減に活用される市場メカニズムの内容が決定されます。コンサベーシ
ョン・インターナショナルは、他の 8 団体1とともに、「森林減少・劣化に由来する排出の削減
(REDD+)」からのクレジットが ICAO の市場メカニズムにおいて活用されることを求めてい
ます。以下に、提言の概要をご紹介致します。詳細は原文(英語)をご参照下さい。
背景(国際航空からの温室効果ガスの排出と削減努力の現状)
 国際航空からの温室効果ガス排出量を国に例えると、世界第 10 位に匹敵する規模です。
標高が高いところで排出がなされるため、その温室効果はより強力と考えられています。
世界的な人口増加とグローバル化の進展に伴って航空需要の増加が見込まれており、
2040 年には国際航空からの排出量は 3~4 倍に増えると予想されています。
 国際航空からの排出は気候変動枠組条約(UNFCCC)の対象に含まれていませんが、国
連の専門機関である ICAO において、排出削減に向けた議論が行われています。2010
年の ICAO 総会では、国際航空からの温室効果ガス排出量を 2020 年の水準でキャップ
をかけ、それ以上は増やさないという世界的な削減目標に合意しました。
 この目標の達成に向けて、ICAO は本年 2 月に初めて、航空機の二酸化炭素(CO2)排
出基準に合意しました。さらに、新たな技術や代替燃料の導入等も進められる見込みで
す。しかし、これらの対策を進めてもなお排出量を 2020 年水準に留めるためには大き
なギャップが存在します。このギャップは、経済的手法である市場メカニズムによって
埋められることになります。
 本年 9~10 月に開催される ICAO 総会で、世界的な「市場メカニズムを活用した制度
(market-based measure: MBM)」の内容が決定されます。現在各国が MBM の内容を
検討しています。
「森林減少・劣化に由来する排出の削減(REDD+)」について
 森林には大気中より多くの炭素が存在しており、熱帯雨林だけで、化石燃料の燃焼によ
って年間に排出される CO2 の 5 分の 1 を吸収しています。しかし、木が切られると、
炭素が排出されます。今日、世界の総排出量の 10~15%は、熱帯雨林が失われること
によって引き起こされています。そのため、森林を守り木を切らずに残すことは有効な
気候変動緩和策となります。土地利用のあり方を変えずに気温上昇を 1.5 度ないし 2 度
以内に抑えることは不可能と考えられています。
 REDD+は、途上国の森林を保全することに対して資金的なインセンティブを付与する
ことによって、途上国の土地の利用方法を変え、炭素の排出を抑えるメカニズムです。
UNFCCC の下で制度が構築され、パリ協定の第 5 条に含まれたことで、今後長く活用
される排出削減の仕組みとして確立しました。
 REDD+は、気候変動の緩和以外にも、多くの環境的・社会的な便益を提供します。こ
れは他のセクターにおける緩和活動には見られないユニークな特徴です。熱帯雨林は
16 億人の人々に食料、水、燃料、薬を提供しています。さらに、生物多様性を守り、
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Environment Defense Fund, Forest Trends, Global Canopy Programme, IUCN, Sustainable Travel International,
The Nature Conservancy, Verified Carbon Standard, Wildlife Conservation Society.
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土壌の侵食を抑え、洪水から人々を守っています。REDD+を実施し森を守ることで、
持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献することができます。
国際航空の排出ギャップを埋めるために REDD+が果たしうる役割
 ICAO 総会は MBM の設計に当たり、以下の項目等を含む 16 の原則を設定しています。
 温室効果ガスの排出削減を支援すること
 透明性が高いこと
 費用対効果が高いこと
 排出削減量の二重計上がないこと
 リーケージ(排出の移転)と市場の歪みを最小化すること
 REDD+では、これらの原則に対応することができます。
 温室効果ガスの排出削減:前述の通り、REDD+は緩和策として広く受け入れら
れています。
 透明性:削減量の算定、モニタリング、報告、独立した検証等からなる厳格な
REDD+の仕組みが開発され、世界中で実施されています。
 費用対効果:既に多くの政府、国際機関、NGO 等が効果的に REDD+を実施す
るための基礎作りを支援してきています。
 排出削減量の二重計上: REDD+の活動は全て、透明性の高い登録簿で追跡され、
二重計上されることがないよう厳格に要求されます。
 リーケージと市場の歪み:非永続性やリーケージに対処するための方法が構築さ
れており、発行されたクレジットを永続的に使うことができます。追加性を決定
し、信頼性の高いベースラインを確保する方法も構築されています。
 過去 10 年に亘り、いくつかの航空会社が REDD+や他の森林保全活動を支援しています。
エアカナダ、デルタ航空、ケニア航空、カンタス航空、ユナイテッド航空等は、飛行機
の乗客の自発的なオフセットに、森林保全及び回復活動からの排出削減量を使えるよう
にしています。
結論



REDD+は、温室効果ガスの排出を効率的かつ効果的に、そして大規模に削減すること
できる実証された方法です。同時に、社会と環境に対して追加的な便益を生み出すこと
ができます。
REDD+の仕組みは ICAO の MBM の目的や原則と一致しており、国際航空の排出ギャッ
プを埋めるために重要な役割を果たすことができます。
REDD+のクレジットが ICAO の MBM のオプションに含まれることを求めます。
以上
詳細版(英文)
”Linking Flight and Forests: The Essential Role of Forests in Supporting Global Aviation’s
Response to Climate Change. An Overview for ICAO Policy Makers.”
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