第22回全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書

第22回
全国ボランティア
フェスティバル高知
大会報告書
独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業
ごあいさつ
第22回全国ボランティアフェスティバル高知を開催して
2013年11月23日・24日の両日、第22回全国ボランティアフェスティバル高知を開催さ
せていただきました。全国から1,664名の参加者の皆様をお迎えし、盛況のうちに大会を終え
ることができました。これも参加された皆様、実行委員会の皆様、運営スタッフ、ボランティアの
皆様、そして協賛いただきました関係機関、団体、企業の皆様のおかげです。心から感謝を申し
上げます。
大会の開催に向けまして、県内で活躍するNPOや市町村社会福祉協議会、企業や行政など
の皆様に集まっていただき、2012年8月に実行委員会を立ち上げて準備を開始しました。実
行委員会では、実行委員の思いやアイディアを一つ一つ大切にしていくために、大会のテーマや
プログラムなども白紙の状態から議論を重ね、実行委員のコンセンサスづくりを尊重しながら準
備を進めてまいりました。こうした実行委員の思いをつなぎ合わせていった中で、大会テーマ
シチズンパワー
「時代を拓く 市民力ぜよ」が生まれました。このテーマは、私たちが本当の意味で豊かで暮らし
やすい社会を目指していくために、市民力を持った参加者の皆さん同士がつながり、その市民
力が新たな時代を拓く、その息吹を感じられる大会にしていきたいという願いが込められてい
ます。そして、このテーマを実現するために、全体会をはじめとする様々な企画を、高知流のおも
てなしとともに行えるよう準備してまいりました。そこから生み出された「ボラフェス・トーク・カ
フェ」は高知らしさに加え、皆様が楽しめる斬新なものになったのではないかと思います。
この2日間を振り返りますと、全国から多数の参加者をお迎えし、全体会や交流会、分科会な
どを通して、新たな学びや発見が生まれるとともに、参加者の皆様がつながり、市民力を高める
ことができたと思います。また、高知の文化や食事、人がらや気候なども感じていただいたと思
います。この2日間の高知大会の中で、市民力が新たな時代を拓く、その息吹を感じることがで
きたのではないかと思います。
今大会を開催できましたことは、私たちにとっても大変良い機会となりました。今回得ること
のできた「出会い」と「つながり」をこれからもボランティア・市民活動の推進に活かしていきた
いと思います。そして、皆様においても今大会で感じた息吹やつながりを、これから大きく育て
ていただきたいと心から願っております。
最後になりましたが、皆様の今後益々のご健勝とご活躍を祈念いたしますとともに、ご参加、
ご協力いただきました方々に厚くお礼を申し上げます。誠にありがとうございました。
第22回全国ボランティアフェスティバル高知 実行委員会
実行委員長
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
1
開催日
大会
概要
2013年11月23日(土・祝)・24日(日)
1日目 11月23日(土・祝)
会 場
会場 高知県立県民文化ホール オレンジホール
2日目 11月24日(日)
分科会会場 高知県立県民文化ホール、高知会館、高新文化ホール、高知共済会館、高知商工会館、三翠園
1
ごあいさつ
3
大会概要
4
大会会場
5
大会運営体制
6
大会運営スケジュール
7
大会テーマ
8
大会プログラム
9
ウェルカム演奏・開会式
10
全体講演
14
ボラフェス・トーク・カフェ
27
分科会
58
交流会
59
閉会式・引継式
60
展示・販売コーナー
62
広報実績
64
大会制作物
66
ボランティアかるた
68
Walk for Volunteer Festival 2013
70
実行委員会設置要綱
71
協賛団体、実行委員名簿、事務局
閉会式会場 高知県立県民文化ホール グリーンホール
テーマ
シチズンパワー
「時代を拓く 市民力ぜよ」
1日目 11月23日(土・祝)
内 容
ウェルカム演奏、プロモーション企画映像(Walk for Volunteer Festival 2013)、開会式
全体講演、ボラフェス・トーク・カフェ、ボランティアかるた表彰式、交流会
2日目 11月24日(日)
分科会、閉会式・引継式
参加費
3,000円(学生 無料) ※交流会費は5,000円、フィールドワーク参加費は2,000円
参加者
実行委員
参加
者数
運営ボランティア
1,311名
38名
109名
講師等
93名
来賓等
50名
主催団体等
63名
合計
1,664名
主 催
第22回全国ボランティアフェスティバル高知実行委員会
社会福祉法人 高知県社会福祉協議会
「広がれボランティアの輪」連絡会議
社会福祉法人 全国社会福祉協議会
後 援
厚生労働省、文部科学省、高知県、高知県教育委員会、高知市、高知市教育委員会、公益財団法人みずほ教育福祉財
団、日本赤十字社高知県支部、社会福祉法人高知県共同募金会、認定特定非営利活動法人NPO高知市民会議、特定非
営利活動法人高知県西部NPO支援ネットワーク、高知県東部ボランティア・NPO交流会、特定非営利活動法人環境
の杜こうち、高知県市町村社会福祉協議会連絡会、公益財団法人高知県老人クラブ連合会、高知県民生委員児童委員
協議会連合会、高知大学、高知県立大学、高知工科大学、高知新聞社、RKC高知放送、KUTVテレビ高知、KSSさん
さんテレビ、NHK高知放送局、高知ケーブルテレビ、エフエム高知、高知シティFM放送、時事通信社高知支局、朝
日新聞高知総局、毎日新聞高知支局、読売新聞社高知支局、日本経済新聞社高知支局、産経新聞社高知支局、共同通
信社高知支局
事務局
第22回全国ボランティアフェスティバル高知実行委員会 事務局
〒780-8567 高知県高知市朝倉戊375-1 高知県立ふくし交流プラザ4F
社会福祉法人高知県社会福祉協議会 高知県ボランティア・NPOセンター、生きがい推進課
TEL 088-850-9100 FAX 088-844-3852
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
3
高知県立大学
高知公園駐車場
☎(088)872-4344
グリーンロード
おり
はしど
なかの
大会会場
追手筋
大会運営体制
はりまや橋
「第22回全国ボランティアフェスティバル高知」の開催にあたり、
「実行委員会」をたちあげました。
小学校
実行委員会は高知県内のボランティア・市民活動に関わる方々、高知県社会福祉協議会、
「広がれボランティアの輪」連絡会議、
全国社会福祉協議会から成る38名の実行委員で構成しました。
実行委員会には「幹事会」と「部会」を置き、幹事会と部会で企画された内容は、実行委員会で共有、意見集約がなされ、
決定しました。
分科会10
分科会3
分科会13
分科会C
分科会F
高新文化
ホール ▲
▼
高知共済会館
分科会5
分科会6
分科会8
分科会14
分科会16
分科会E
分科会H
分科会1
分科会4
分科会11
分科会12
▼
高知会館
高知市役所
たかじょう庁舎
▶
高知商工会館
交流会
・意見調整
・全体会の企画
・交流会の企画 ・関連企画
・運営体制
県民文化ホール
三翠園
分科会7
分科会15
分科会D
分科会G
分科会
1
シニアの出番!!
天神橋パーキング
2
私たちにできる国際交流
☎(088)834-1800
3
地域で実践できるファンドレイジング!
4
東日本大震災広域避難者の支援を考える
5
「広がれボランティアの輪」学園∼午前の部∼
6
これからの災害ボランティアセンターを考える
7
NPO経営塾
8
移動制約者にやさしい街づくり
9
「遊びは生きる力」
10
地球のステージ
11
子育ては未来への種まき
12
中山間地域から進めるこれからの「福祉」と「まちづくり」
13
企業のホンネ、NPOのホンネ
14 「広がれボランティアの輪」学園∼午後の部∼
15
川はみんなの財産
16
スポーツ・ボランティアの可能性
A
市民力が育つ新しい学び
B
平成25年度ふれあい・いきいきサロン全国研究交流会
C
市民力をつなぐボランティアセンター
D
災害時に備えた学生ボランティアセンター間の連携を考える
E
地域防災における若者と女性の参画促進
F
観光ボランティアのおもてなし
G
地域の宝をまちの活性化に!
H
廃校を活用しよう!
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
委 員 長 1名
副委員長 1名
幹 事 4名
▼
全体会
▶
4
幹事会
分科会2
分科会9
分科会A
分科会B
高知県立県民文化ホール グリーンホール
高知商工会館 2階 桂の間
高知共済会館 3階 藤
高知県立県民文化ホール 4階 第6多目的室
高知会館 3階 飛鳥
高知会館 2階 白鳳
三翠園 6階 高見の間
高知会館 3階 平安
高知商工会館 3階 寿の間
高知新聞放送会館 7階 高新文化ホール
高知県立県民文化ホール 4階 第6多目的室
高知県立県民文化ホール グリーンホール
高知共済会館 3階 藤
高知会館 3階 飛鳥
三翠園 6階 高見の間
高知会館 3階 平安
高知商工会館 3階 松竹梅の間
高知商工会館 4階 光の間
高知共済会館 3階 桜
三翠園 2階 五月の間A
高知会館 3階 弥生
高知共済会館 4階 浜木綿
三翠園 6階 筆山の間
高知会館 4階 やまもも
実行委員会
分科会部会
委 員 長 1名
副委員長 1名
幹 事 4名
実行委員 32名
部 会 長 1名
担当実行委員 23名
・分科会の企画 ・分科会の調整
・分科会の運営
広報部会
部 会 長 1名
担当実行委員 3名
・かるた募集 ・広報計画
・プロモーション企画
事 務 局
主催団体
実行委員会、高知県社会福祉協議会、「広がれボランティアの輪」連絡会議、全国社会福祉協議会 4団体
協賛団体
団体・企業等 8団体
後援団体
行政機関、関係団体等 34団体
協力団体
県内市町村社協、ボランティア・市民活動団体、福祉関係団体 等
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
5
大会運営スケジュール
大会テーマ
主なスケジュール
大会を実施するにあたり、実行委員会で協議を重ね、大会テーマを決定しました。
2012年 3月 第22回全国ボランティアフェスティバルの高知開催が決定
ティアの裾野を広げるとともに、ボランティア・市民活動の課題に関する研究協議を深めることを焦点として、企画を作り上
8月 第22回全国ボランティアフェスティバルこうち(仮称) 第1回実行委員会開催
facebookでの大会情報の配信を開始
9月 第22回全国ボランティアフェスティバルこうち(仮称) 第1回幹事会開催
第21回全国ボランティアフェスティバルみえで広報・PR
11月 大会名称を「第22回全国ボランティアフェスティバル高知」に決定
シチズンパワー
大会テーマを「時代を拓く 市民力ぜよ」に決定
2013年 1月 全体講演の講師、ボラフェス・トーク・カフェの出演者の選定
全国ボランティアフェスティバル高知 第1回分科会部会開催
2月 業務委託業者を決定
3月 大会シンボルマークを決定
4月 「ボランティアかるた読み札」の募集を開始
6月 大会ホームページの開設
全国ボランティアフェスティバル高知 第1回広報部会開催
「ボランティアかるた読み札」の募集締切
全国的なボランティア・市民活動の発信イベントである「全国ボランティアフェスティバル」を開催するにあたり、ボラン
げてきました。研究協議を深めるにあたっては、NPO団体の理事・職員や社会福祉協議会を主として、ボランティア・市民活
動に参加し、活動している人たちの市民力を高めていくことを目指しました。また、「これから活動しようとしている人た
ち」と「活動している人たち」をつなぐ大会になることを目標としました。
全体講演では、全国的な視点の元に地域づくりの現場で実践をしている方から市民力を学ぶことを目指しました。ボラフェ
ス・トーク・カフェでは、翌日開催する分科会の内容とつなげるため、
「災害分野」と「地域づくり分野」から選出し、事例の
魅力やポイントを紹介し、高知と全国の事例を両立させました。また、分科会では「市民力を高める」を共通のキーワードと
して、
「人づくり」「仕組みづくり」「組織づくり」「地域づくり」の4つのテーマを設定し、24分科会を開催し、学びを深め
ました。
テーマ
シチズンパワー
「時代を拓く 市民力ぜよ」
近年、人と人とのつながりが薄れつつあるなかで、多くの人たちが改めて人のつながりの大切さに気づき始めています。私
たちは、本当の意味で豊かで暮らしやすい社会を目指していくためには、ひとりひとりが様々なかたちでボランティア活動に
参加し、市民の力を高めていかなければならないと感じています。
近代日本の扉を開いた志士たちのふるさと、高知で開催する「全国ボランティアフェスティバル高知」では、市民力を持っ
た参加者の皆さん同士がつながり、その市民力が新たな時代を拓く、その息吹を感じることができる大会にしたいと考え、高
知らしさと市民性をキーワードにテーマを作成しました。
7月 開催案内パンフレット・ポスター・チラシの発送
8月 大会参加申込開始
交流会、大会用お弁当を決定
9月 プロモーション企画「Walk for Volunteer Festival 2013」のスタート
10月 大会参加申込延長
大会シンボルマーク
高知県ボランティア・NPOセンターのキャラクター「ピッピちゃん」を活用して、大会テーマを連想させる大会シンボルマ
ークを作成しました。
11月 大会参加申込最終締切
プロモーション企画「Walk for Volunteer Festival 2013」のゴール
第22回全国ボランティアフェスティバル高知の開催
2014年 2月 大会報告書作成
実行委員会等実施状況
実行委員会 13回/幹事会 10回
各部会実施状況
分科会部会 2回/広報部会 1回
その他
ボラフェス・トーク・カフェ打ち合わせ 1回/運営スタッフ打ち合わせ 1回
facebook投稿回数 145回
6
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
7
大 会 プ ログ ラム
1日目
11月23日
(土・祝)
ウェルカム演奏・
開会式
12:30∼12:50
「第22回ボランティアフェスティ
ウェルカム演奏(高知県立県民文化ホール オレンジホール)
シチズンパワー
バル高知」は、
「時代を拓く 市民力
NPO法人 こうち音の文化振興会 花山海
ぜよ」をテーマとして、多くの人た
12:50∼12:55
ちが改めて人のつながりの大切さに
プロモーション企画映像 Walk for Volunteer Festival 2013
気づき、豊かで暮らしやすい社会を
13:00∼13:40
目指してひとりひとりが様々なかた
開会式 (高知県立県民文化ホール オレンジホール)
挨 拶 開催地代表 八木 雅昭(第22回全国ボランティアフェスティバル高知実行委員会 実行委員長)
【代読:山﨑 水紀夫(第22回全国ボランティアフェスティバル高知実行委員会 副実行委員長)】
主催者代表 斎藤 十朗(社会福祉法人 全国社会福祉協議会 会長)
ちでボランティア活動に参加し、市
来賓祝辞 厚生労働大臣 田村 憲久 氏【代読:厚生労働省社会・援護局 局長 岡田 太造 氏】
高知県知事 尾﨑 正直 氏
高知県立県民文化ホールにおいて、
ボランティア功労者厚生労働大臣表彰
個人代表 木村 謙児 氏(愛媛県)
団体代表 手話サークル竹の子(愛媛県)
学校代表 安芸市立伊尾木小学校(高知県)
中央推薦代表 花王株式会社(東京都)
受賞者代表挨拶 濱口 真人 氏(安芸市立伊尾木小学校 校長)
民力を高めることを趣旨として行わ
れました。
来賓の方々の御臨席や多くの方々の
参加を得て、盛大に開幕しました。
ウェルカム演奏
NPO法人こうち音の文化振興会 花山海の演奏により、熱い音楽に触れ、高揚した雰囲気の中始まりました。
13:40∼14:30
全体講演(高知県立県民文化ホール オレンジホール)
「日本の田舎は宝の山∼住民や企業と連携した地域づくり∼」 曽根原 久司 氏(NPO法人 えがおつなげて 代表理事)
14:40∼16:20
ボラフェス・トーク・カフェ(高知県立県民文化ホール オレンジホール)
シチズンパワー
テーマ「時代を拓く 市民力ぜよ」
山﨑 水紀夫 氏(認定NPO法人 NPO高知市民会議 理事)
宇賀 文里 氏(とさっ子タウン実行委員会 実行委員長)
鹿野 順一 氏(NPO法人 @リアスNPOサポートセンター 代表理事)
曽根原 久司 氏(NPO法人 えがおつなげて 代表理事)
山首 尚子 氏(社会福祉法人 土佐町社会福祉協議会 事務局長)
こうちよさこいバリアフリー実行委員会 てんてこ舞
16:20∼16:40
ボランティアかるた表彰式(高知県立県民文化ホール オレンジホール)
NPO法人こうち音の文化振興会 花山海による演奏
大 賞 星野 信子 氏(埼玉県) 優秀賞 矢田 正江 氏(高知県)
演奏に乗せて、プロモーション企画映像
「Walk for Volunteer Festival 2013」を
見ていただきました
12:30∼17:00
展示・販売コーナー(高知県立県民文化ホール オレンジホール ロビー)
17:30∼19:30
開会式 来賓の方々から祝辞を賜り、ボランティア功労者厚生労働大臣表彰を行いました。
交流会(高知商工会館 4階光・福の間)
2日目
11月24日
(日)
司会 上田 大(実行委員)
主催者挨拶 上岡 義隆(社会福祉法人 高知県社会福祉協議会 会長)
乾杯 山崎 美貴子(「広がれボランティアの輪」連絡会議 会長)
次期開催地PR 第23回ボランティアフェスティバルぎふ実行委員会
中締め 山田 秀昭(社会福祉法人 全国社会福祉協議会 常務理事)
9:00∼15:00
分科会【24分科会】
山﨑水紀夫副実行委員長
斉藤十朗全社協会長
御臨席いただいた来賓者
市民力を高める人づくり【5分科会】、市民力を高める仕組みづくり【7分科会】
市民力を高める組織づくり【5分科会】、市民力を高める地域づくり【7分科会】
[午前]9:00∼11:30 [午後]12:30∼15:00 [終日]9:00∼15:00
[会場]高知県立県民文化ホール、高知会館、高新文化ホール、高知共済会館、高知商工会館、三翠園
15:30∼16:00
閉会式・引継式(高知県立県民文化ホール グリーンホール)
大会振り返り映像
実行委員長挨拶 八木 雅昭(第22回全国ボランティアフェスティバル高知実行委員会 実行委員長)
【代読:山﨑 水紀夫(第22回全国ボランティアフェスティバル高知実行委員会 副実行委員長)】
大会フラッグの引き継ぎ
次期開催地代表挨拶 飯尾 良英 氏(第23回全国ボランティアフェスティバルぎふ実行委員会 実行委員長)
お楽しみ抽選会
8
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
厚生労働省社会・援護局局長
岡田太造氏の祝辞(代読)
高知県知事
尾﨑正直氏の祝辞
ボランティア功労者
厚生労働大臣表彰式
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
9
全体講演
域外の若者や企業の皆さんに参加してい
ただき、一緒に開墾活動を行なってきた。
するとたいへんウケ、元気になった。そこ
で儀式として「開墾モリモリ」というものを
皆さんと一緒に行なってはじめてきた。
講演者
曽根原 久司さん
(NPO法人えがおつなげて 代表理事)
テーマ
日本の田舎は宝の山
∼住民や企業と連携した地域づくり∼
市民活動や全国ボラフェスがよりよい社会を創ることを伝えることにポイントを置き、全国的な視
点で、地域づくりを実践している人から“市民力”を学べるような講演にしたいと考えました。そこで、
高知県は豊かな森林に恵まれた県であり、県の面積の約84%を森林が占めていることから、NPO法
人えがおつなげて代表理事の曽根原久司さんを迎え、
「日本の田舎は宝の山∼住民や企業と連携した
地域づくり∼」と題して、講演を行なっていただきました。
講演では、曽根原さんのこれまでの実践を、高知県の状況を踏まえ、発表していただきました。多く
の方が市民力を高めることができたのではないかと思います。
日本の農村地帯は過疎・高齢化が進んでおり、担い手が不足して、
その結果として耕作放棄地が増えてしまう。更に森林資源が活用さ
れていない。しかし、私自身農村で19年間活動してきて思うのは、
日本の農村の足元の資源は宝だらけだと思う。足元に宝が埋まっ
ていると思う。課題の側面を見るのではなく、足元に埋まっている
宝を掘り起こすべきだと考え、活動を行なってきた。
実際に行なったことは、企業と連携して、棚田をよみがえらせて、
酒米を生産した。それで地酒を生産して人気になった。このように
荒らしておくと何の価値もないが、再生すると宝の山になる。現在
ではこのような活動を「NPO法人えがおつなげて」で、10数件同
時進行で行なっている。高知県にもつながりがあり、四万十町で地
域活性化を行なっている「株式会社四万十ドラマ」とも連携して農
村連盟を組み、よんぱち村を発足した。今ではこの活動にたくさん
の方が参加している。全国各地の農村に訪問してサポートを行なっ
10
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
ているが、訪問して思うのはやはり日本の農村は宝の山だというこ
と。しかし残念ながら有効活用されていない資源が沢山ある。その
資源を有効活用できれば、どのような新しい産業ができるかを考え
た。私自身の計算によると10兆円産業になると予測している。農
村資源を都市のニーズと結ぶことで「10兆円産業・100万人雇
用」の可能性がある。内訳は、農工商連携と6次産業化を含む農林
漁業で3兆円、農村での観光・交流で2兆円、森林資源の建築・不
動産活用で2兆円、自然エネルギー・再生エネルギーの活用で2兆
円、教育・IT・メディア・福祉等のサービス分野との連携で1兆円。
農林水産省でも似たような資料を出しているので、これから活発に
なってくるのではないかと思う。もしも高知で私の唱えている農村
資源産業が興ると、高知県規模ではどうなるのかも計算してみた。
私の予想では、
「1,000億円産業・1万人雇用」になるのではない
かと考えている。内訳は、農工商連携と6次産業化を含む農林漁業
で300億円、農村での観光・交流で200億円、森林資源の建築・
不動産活用で200億円、自然エネルギー・再生エネルギーの活用
で200億円、教育・IT・メディア・福祉等のサービス分野との連携
で100億円とみている。
我々、
「NPO法人えがおつなげて」が活動をしているのは山梨県
北杜市増富地区という限界集落である。山梨県は大都市である東
京都や神奈川県に非常に近いところにある。農村地域でも課題が
あるが、都市部でも課題がある。多忙感や孤独感、コミュニティの喪
失などによって心と体の健康を害している人が多くいる。両者の課
題をつながり合って解決できればと思って活動を行なっている。
「NPO法人えがおつなげて」があるのは山梨県北杜市白州地区で、
築200年の江戸時代の元庄屋の古民家を再生して事務所として使
っている。我々の活動している増富地区は高齢化率62%、耕作放
棄率62%、販売農家0軒という農村だった。そのためJAが撤退し
てしまった。いわゆる限界集落になってしまった。そういう地域で
13年前から「NPO法人えがおつなげて」は活動をしている。
活動を紹介する前に皆さんと一緒にある儀式を行ないたい。それ
は何かいうと、増富地区では農地の3分の2が荒れているため、耕
作放棄地を再生するところから始めないといけない。その活動を地
ここで私の自己紹介もしておきたい。山
梨に来る前は、東京で銀行の経営コンサル
タントを行なっていた。そのころはバブル
の時代で景気がよかった。その後にバブル
崩壊を迎え、日本の行く末が不安になった。
短期的な課題としてバブル崩壊後の不良
債権、中期的な課題として産業・雇用の空
洞化、長期的な課題として自給率の低さ
の問題が生じた。何かこれらの課題を解決
する方法はないのかと考えた。その時、目に入ったのは、
「日本の森
林率は先進国中第2位」
「日本の耕作放棄面積は40万ha」
「日本
の農業用水路の全延長距離は地球10周分」というデータだった。
そこで考えるだけではいけないと思い、行動に移そうと考えた。行
動を起こす場所として山梨県が適していると考えた。それは山梨が
「耕作放棄率は日本第2位」
「森林率は日本第5位」
「山梨県のミネ
ラルウォーターの全国シェアは約30%」
「北杜市の日照時間は日本
第1位」ということ。そして、1994年に山梨県北杜市白州地区に移
住し、まずは一人で開墾を始めた。田畑を作り、里山林業を始め、薪
を販売した。薪の販売は成功し、年間300t販売し750万円になっ
た。年間で1,000万円の事業収入になった。また、地域のコミュニ
ティに参加し、青年団、消防団、お神楽に参加した。そんなことを行
なっていると、私が行なってきたことを「地域おこしでみんなででき
ないか」という機運が高まってきた。その中で「NPO法人えがおつ
なげて」が発足した。その結果、集落の人口が300人から750人と
2.5倍になった。
そのような活動を行なっていると、2003年に隣の地域の増富地
域の役場の職員から「増富の限界集落でもえがおつなげての取り
組みを行なってくれないか」という声がかかった。そこで早速活動
を行なうことにした。当時、NPO法人は農地が借りられなかったの
で、国の規制緩和で構造改革特区第1号認定を受けて活動を開始
した。その時、ある覚悟を決めて活動にはいった。それはこの地域で
は私自身はやらないということである。どういう意味かというと、私
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
11
モリ!モリ!
はプレイヤーにならないということである。なぜかというと、私がプ
レイヤーになってしまうと広がりに加速度がつかないからである。や
りたい人に集まってもらって、私自身はコーディネーターになろうと
活動した。都会の若者をネットで募り、農村の開墾のボランティアに
参加してもらった。年間500人を集めて開墾を行なっていった。中
には集まってきた人同士で結婚をして、子どもを育て、増富に移り
住んだ人もいる。そのうち、海外からも参加する人がでてきて約20
か国から参加した。参加した人の都道府県別人数をだしてみると、
圧倒的に都会の若者のニーズが多いことがわかる。その結果都市
部から移住して農村で活動する若者が増えてきた。
そこで私は地域と企業の連携で交流型の6次産業を創出するこ
とを考えた。農村の1番の課題は経済だと思う。そこで、企業の持つ
商品の開発力や販路に目を付けた。それらを農村とつなげて新しい
産業ができると考えた。
まずは三菱地所と連携して、
「空と土プロジェクト」を2008年に
開始した。三菱地所の社員を開墾体験バスツアーとして呼び、開墾
してもらった。開墾した棚田で酒米の生産が始まり、その酒米で地
酒の純米酒「丸の内」を生産した。商標登録も取った。また間伐材
の利用を行なった。間伐材が山のようにあり、そのまま放置されて
いるもので三菱地所の商品が作れないかと考え、山梨県、三菱地所
株式会社、三菱地所ホーム株式会社、えがおつなげてによる「山梨
県産材の活用に関する四者協定」を結び、2×4住宅建材(※1)に国
産材を利用し、モデルハウスを建てた。また構造用合板の開発を行
い、FSC認証(※2)を得た。他にも復活した農地で様々な農業体験を
行なうグリーンツーリズムを行なった。企業の社会貢献色の強いツ
アー、三菱地所の東京のマンションに住んでいる方対象のツアー、
OLビジネスマン対象の純米酒ツアー等を行なっている。こういった
活動をするためには、地域の方々の協力なくしては成り立たない。
地域の方々に指導者役になってもらい、指導していただいた。また
宿泊施設がないため、公民館を借りて地元の郷土食を作っていた
だき、食事の準備やお世話をしていただいた。他にも地元の酒蔵を
借りてお酒を造ったり、酒造主の方々と一緒に田植えを行なった。
そういった活動が多方面から注目を集めた。森林・林業白書に取り
上げられたり、農林水産省に表彰されたり、経済産業省のグッドデ
ザイン賞を受賞したりした。講談社とも連携をし、発酵をテーマとし
たマンガを制作した。また、編集部と連携して読者対象の田植えツ
アーを計画し酒米を作り、純米酒「もやしもん」を作った。
12
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
他にも博報堂とも連携して開墾を行ない、
「はくほうファーム」を
行なった。社員による田植え、草取り、稲刈りを行い、その一部は自
分たちの食堂で食べたり、コミュニケーションツールとして博報米と
名を売って海外の企業に配ったりした。どうしてこのようなことを
行なったかというと、人材戦略として、農業体験をすることで体を
動かし、元気で活発になってもらい、想像力を湧かそうとする目的
があった。そのため、人事研修に農業体験を取り込んだ。これは農
業の持つ多面的な機能(生産、リフレッシュ、保養など)をうまく利
用したもの。
MFJファーム・日清オイリオグループと連携し、人材研修の一環
として開墾を行なった。開墾した農地で大豆を生産し、国産の大豆
油を作る実験を行なった。某大手生薬企業の実験農場として原料
を作成して生薬を国産化するのに活用している。早稲田大学と連携
して、WBS(早稲田大学ビジネススクール)ファームを行なっている。
山梨県内の企業である信玄餅の金精軒製菓の畑として在来の大
豆を作って新しい商品開発を行なった。山梨県南アルプス市に本店
を構える株式会社清月と連携して、菓子原料となる農作物を栽培し、
花豆を使った商品を開発した。JTBとも連携して農村ツーリズムの
取り組みとして、古民家の旅を行なっていく予定。他にも新しい復
興支援の産業づくりとして、福島県や宮城県、青森県にある地域と
企業と連携して取り組みを行なっている。他にも様々な取り組みを
多くの地域や企業と連携して行なっている。
私の伝えたいことは、日本の農村は宝の山だということ。現在農
地は活用されず放棄されている。都市住民の農村志向は3割近くあ
る。こういったニーズを持つ人たちと農村の人たちが結びつくこと
で、活性化の道筋もできると思う。そのためには、農村と都市をつ
なぎ、事業の企画運営ができる農村起業家の存在が必要と考えて
いる。そうすれば、日本中ではじめに話した10兆円産業になること
も可能ではないかと考えている。
最後に会場内の皆さんと一緒に
「日本の田舎を掘り起こせ!開墾モリモリ」
※1 2×4住宅建材…北米を中心に行われている木造住宅の建
材。主に2インチ×4インチの木材を使用す
ることからこのように呼ばれる。
※2 FSC認証…FSC(森林管理協議会)の認証。森林管理の認
証と生産・加工・流通過程の管理の認証。
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
13
ボラフェス・トーク・カフェ
トークテーマ
シチズンパワー
「時代を拓く 市民力ぜよ」
「地域の情報通のママがいる喫茶店」を舞台に、出演者の方々をお客様として迎
え、
トークをしていただきました。翌日開催する分科会の内容とつなげるために「災
害分野」と「地域づくり分野」から事例の魅力やポイントを紹介し、高知と全国の事
例を両立させました。
それぞれの取り組みや活動を発表してもらい、また出演者の方々の想いや考えを
聞くことができ、満足のできる内容だったと思います。
アトラクション てんてこ舞によるよさこい鳴子踊り
出演者(お客様)
てんてこ舞
山首▶最近はどんな活動をしゆうが?
山﨑 水紀夫さん
認定NPO法人NPO
高知市民会議 理事
宇賀 文里さん
進行役(ママ)
高知県立大学
社会福祉学部 学生
鹿野 順一さん
NPO法人@リアスNPO
サポートセンター 代表理事
曽根原 久司
さん
NPO法人 えがおつなげて
代表理事
アトラクション
てんてこ舞▶最近の活動はもちろんよさこい鳴子
踊り。それに15年連続参加しゆうが。うちのチー
ムの知名度もだんだん上がってきゆうがよ。
社会福祉法人土佐町
社会福祉協議会 事務局長
14
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
こうちよさこいバリアフリー実行委員会
てんてこ舞
てんてこ舞▶パートナーに参加した
いと思うたら、申 込 書にパート
ナーできますに丸したらえいが。
山首▶こういうボランティアもすごいうれしいね。それじゃあ、
がんばって。
山﨑さん
山首▶よさこいに来たら見てもらいたいね。踊る人たち
は増えゆう?
山首 尚子さん
山首▶パートナーに参加したいと思うたら、
どうしたらえいが?
てんてこ舞▶人数的にはそんなに変りない
ですね。うちの売りはパートナーっていう
踊り手がいるところやね。車いすを押す
だけではなくて踊り手なんですよね。
山首▶山﨑さん、もう来ちゅうが?
山﨑▶裏口が開いちょったき。今日、全ボラがある
がやけど、スーツ着てあいさつしゆう夢見て、目
覚めが悪うてよ。ママのコーヒーでも飲まんと
しゃんとせんきよ。
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
15
山首▶そういや、山﨑さん。いろいろやったね。何年前
になるかね。ちょっと昔の話してもらおうか。
山﨑▶今日はプレゼンせないかんきね。ちょっと練習させてもら
おうか。
高知の15年史。98高知豪雨。これで高知はつながったがよ。
1万2000世帯が床上浸水。あり得んような水害やったね。こ
こで初めて高知に災害ボランティアセンターが設置されて、そ
の時にいろんな仲間とつながったがよ。まさに水害が呼び水
になった災害やったね。
※98高知豪雨:1998年9月24日夜から25日未明にか
けて、高知市で時間雨量129.5ミリを記録した豪雨。死
者6名、負傷者12名。住宅全壊12戸、半懐・一部損壊
86戸。床上浸水12,370戸、床下浸水9,885戸。ピー
ク時避難者1,452人。
山首▶思い返せば、このボランティア・NPOセン
ターができたことは1つの時代の始まりやったね。
山﨑▶1999年∼2002年は広がりの時機で、このころまだ
NPOって何っていうがで、NPOっていうのはこういうことな
んですよっていうことを伝えにいろんな所を巡回したね。で、
2000年に第31回全国ボランティア研究集会が高知
で開かれて、これでますますネットワークが広がったね。
山首▶実は、私は全国ボランティア研究集会で宴会
部長に駆り出されて、500人くらいの宴会を段
取ったんですよ。
山首▶思い返せば、高知県というところは豪雨災害から始まっ
て、その人たちがつながり、ボランティアフェスティバルや全国
の大会をこなす力が徐々に付いてきたね。
山首▶このときはこんなつながりになるとは思わんかったね。
山﨑▶そして98年にNPO法が制定されて、その翌年に中間支
援組織の高知県ボランティア・NPOセンターと高知市市民活
動サポートセンター(サポセン)ができたがよ。
山首▶今思えば、高知県社会福祉協議会
の中にボランティア・NPOセンターがで
きたのはちょっと珍しかったよね。
山﨑▶自分にとっては違和感無かったけど、全国的に見たら
ちょっと珍しいって言われたね。このサポセンも協働の先進事
例ということで、本とかにも紹介されて全国的に高い評価を
得たということやね。ここからやね、高知は。
山﨑▶高知は事務局がたたき台を作ってくるがやのうて、みん
ながゼロから作っていく。これが評価されちゅうがよね。で、
2001年にまた豪雨災害が高知で。このときは土佐清水市や
大月町に1万2000人のボランティアが集まってくれたがよ。
このときはすごかったね。
※01高知西南豪雨:2001年9月6日未明の集中豪雨に
より、県西南部の土佐清水市、大月町、宿毛市、三原村
で中小河川が一気に氾濫した。重軽傷者5名、住宅全壊
25戸、半壊265戸、一部損壊10戸、床上浸水264戸、
床下浸水540戸。
山首▶私も覚えてますけど、あの西南豪雨のとき、私は広島で
仕事をしていて、水紀夫さんから電話がかかってきたんです
よね。
「はよう帰ってきて」って。ホテルでテレビをつけたら、
豪雨のシーンをやってて。帰ってきて駆けつけたら大変なこと
になってましたね。
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
山首▶高知県人いうたら、一番えいところは色々考えずにとりあ
えずやろうとするところよね。
山首▶やっぱり龍馬の残したものが受け継がれ
ちょったらえいね。
山﨑▶やっぱりDNAがあると思うで。僕は災害支援で色んな県
に行くけど、行政に「災害ボランティアセンター(災ボラ)や
れ」って言われたから災ボラ開くとか、行政がやめって言うた
き閉所したとか、けっこうあるがやき。高知は98高知豪雨の
ときに、行政に対等の立場で話しよったきね。高知は行政も
市民に気を使っているというか、市民も行政を恐れてないと
いうか、でもけっして仲は悪くはないがよ。
山﨑▶そうそう。
「それえいね」って言うたら、あまり反対されん。
そのあともボラフェスとかとさっ子タウンとかファンドレイジン
グジャパンinこうちとか、色々続いてきたね。
山﨑▶そして2002年に全国障害者スポーツ大会が行なわれて、
5000人のボランティアが参加したがよ。あとで他の県の方
から「このやり方は、よう真似せん」って、うちの県ではここま
で人を動かせんって言われてね。キーワードは対等の仲間が
集まったということと、高知ってカリスマっていう人がおらん
ろ。それがよかったかもしれんね。さっきも言うたけど、事務
局主体やのうて実行委員がゼロから積み上げていくことと、
ネットワークが強い。それが逆に高知は仲が良すぎるって言わ
れたりするがよ。
16
山﨑▶やっぱり自然が豊かやきね。理屈やなく感性かなって思う
ね。感覚が鋭いっていうのはあるかな。
山﨑▶何なんやろうね。高知のこういうところは…。
※ボラフェス:1997年∼2012年まで、高知県立ふくし
交流プラザで14回開催した、
「こうちボランティアフェ
スティバル」。ボランティア活動・市民活動の必要性や魅
力を伝え、活動のきっかけづくりを行うイベント。公募型
実行委員会形式で企画・運営を行った。
山首▶こう見たら、いろんなものを先に取り入れてますよね。さ
きがけをやってきている気がするんですけど。それを支えてく
れた人もいっぱいいて、ありがたいんですよ。
山首▶NPOが活動するためには、一番初めにはやっぱり行政
のNPOに対する理解も非常に高知は早かったように思うん
ですよね。
山﨑▶そこはやっぱり自由民権運動のDNAかもしれんね。
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
17
宇賀さん
宇賀▶そうなが。まちには35業種以上の仕事があって、そこに
本物の専門家がついてサポートしてくれるがやき。子どもたち
はまちに行って、遊ぶこともできるけど、まずはハローワーク
に求人票を探しに行くが。
宇賀▶こんにちは、おひさしぶりです。
山首▶ハローワークにいるのも子どもなが?
山首▶最近、よくテレビで見るね。どう?と
さっ子タウンは。
宇賀▶そうなんですよ。がんばってます。
この 間 本 番 が あって。そうや。ママ、
ちょっと見てや。
山首▶私の知り合いもとさっ子タウンに参
加しようとしたら、人がいっぱいで入れん
かったって。
宇賀▶そう。今年すごい人気やったが。定
員300人ながやけど、500人くらい募
集が来ちょって。本当、ありがたいが。
山﨑▶うちの子どもも今年参加し
ちょったがよ。
宇賀▶とさっ子タウンは子どもが運営するまちで、
ドイツのミュ
ンヘンでやってる「ミニミュンヘン」っていう子どものまちを高
知の人が見て、
「高知でもやれるんじゃないか、やりたい」って
なって始めたのがとさっ子タウンながね。とさっ子タウンのよ
うな子どものまちは全国でもやりゆうがやけど、高知ならでは
の仕事や文化や遊びを楽しく体験することや子ども同士のコ
ミュニケーションが生まれる場にするということ、社会のしくみ
を知ってもらうことをねらいにしちゅうが。このことを通して、
現実の「まちの運営」や「社会のしくみ」に関心を持ってもら
うっていうのでがんばりゆうがね。とさっ子タウンは2009年
から始まって、今年で5回目。今年からは高知市文化プラザか
るぽーとでやったがやき。8月17・18日とやって344人が参
加したがよ。対象は小学4年生から中学3年生で、主催はと
さっ子タウン実行委員会で100人くらいでやってます。さらに
高知市市民活動サポートセンターがサポートしてくれてます。
次はとさっ子タウンのしくみを紹介するね。まず市民登録局
で受付をして、オレンジ色の市民証をもらって、子どもたちは
市民になれるが。次にまちの仕組みや約束事を30分学んだあ
と、支度金18トスをもらえます。
トスはとさっ子タウンの地域
通貨で、これを使って遊んだり、仕事をして稼いだり
するがよ。
山首▶ここでお金の流れも子どもたちは学ぶのね。
18
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
宇賀▶そう。ハローワークで働きゆうのも子どもなが。色々な求
人票があるから、自分でやりたい仕事を選ぶが。その後、選ん
だ仕事場へ行って一定時間仕事をするが。
山首▶すごいいっぱいあるね。消防士
とか人気があるがやない?
宇賀▶あと警察も人気で、実際にやっているものを使って、指紋
採取とかをやるがよ。本物を子どもたちが体験できるように
なっちゅうがよ。とさっ子タウンっていうがは大人は入ったら
いかんようになっちょって、子どもたちが自由にやってもらえ
るようになっちゅうがよ。でも、とさっ子タウンを応援してくれ
ている大人や協賛、興味・関心がある大人をまちにご案内す
るのに、子どもたちが案内をする観光局っていうのもあるがよ。
山首▶観光に来たっていう設定でまち
の中に入れるがやね。やっ
ぱり大人も見たいでね。
宇賀▶子どもたちが一生懸命案内するがやき。そして、仕事が終
わったらお給料を銀行にもらいに行くが。その後、市民の義務
である税金を税務署に納めに行くが。それでやっと子どもたち
は稼いだお金で食べ物を買って食べたり、遊んだりするが。そ
の中には高知ならではの仕事や遊びもあって、路面電車や
バーやはし拳道場とかもあるが。
山首▶子どもたちが自分で働いて稼いだお金で、自分で使うっ
ていうがは、なかなかない体験やね。しかも、お父さんお母さ
んがいない中で、自分の意志でお金を使うのは日常じゃあ体
験できんからね。
宇賀▶しかもとさっ子タウンはこれで終わらんがやき。自分でお
金を稼いで、一定時間働くと、自分でお店を開くこともできる
がやき。子どもたちがこれは稼げるがやないかっていうお店
を自分で考えてできるがよ。これが一通りのまちの流れなが
やけど、この他にもまちの中で問題や課題があったら、自分
たちで選挙を開いて、子どもたち自らまちの運営を行うがや
き。
「まちを変えたい、良くしたい」っていう子どもたちが立
候補して、自分でマニフェストを考えて、演説をして投票する
がよ。投票も本物の投票箱と投票用紙を市役所の方に協力し
てもらって使いゆうが。そして市長が誕生して、ここに高知県
知事や市長も来てくれたがよ。市長選挙と同じように議員選
挙もするがよ。さらに市長と議員で議会を開いてまちをどう
したらよくしていけるかを話し合ったりするがやき。こういう
とさっ子タウンを運営しゆうがが私たち実行委員ながよ。実
行委員は「子どもたちのチカラを信じよう」を合言葉にやり
ゆうがよ。子どもたちの主体性にゆだねようと困ったら声を
かけ、相談にのるくらいのつもりでいようという形で5回やっ
てきたがよ。その中で、子どもたちのパワーに私たちが驚か
されるがよ。子どもたちの力を信じて、私たちはサポートする
くらいにしようとやってます。実行委員はとさっ子タウンの本
番までの準備で本番は子どもたちにまかせちゅうが。メン
バーは高知大、高知県立大、高知工科大の学生や県内の高校
生、行政などの社会人100名くらいでやりゆうがよ。実行委
員会は1年くらい前から月1回でやりゆうが。実行委員会の
中に5つのユニットがあってそれぞれで活動しゆうが。中にあ
るのは、まちのしくみや1日の流れ、誘導を考える「だんどり
ユニット」、食べ物や企業に協力を得る「くいしんぼユニット」、
まちを作ったり、いるものを準備する「よろずユニット」、と
さっ子タウンを運営するための資金を学生が企業に営業に
いって協力してもらう「営業ユニット」、バッジやグッズを作っ
て運営していく「こうてやユニット」があるがよ。
山首▶学生や若い人たちが地域の
活動をやってみて、どう?
宇賀▶参加してみて、子どもと大人が密に関
わっているのと、学生と大人が対等に言い合
いながら運営を行っていく世代間の交流みた
いなのがあって、みんなでやっている
ことがすごい。
山首▶子どもたちの主体性をってよく言われるけど、そんな活
動ってまだ少なくて、どうしても大人がやってしもうちゅう。
まだ子どもたちが考えてするがを、見守る側の大
人が育ってないよね。
山﨑▶少子高齢化って言われているけど、これを
見ていたら大丈夫な気がするけどね。
山首▶とさっ子タウンのしくみは、行政も企業も年齢差を超えた
多世代もみんなが関わりながらできていくわけやね。それをつ
ないでいく役は誰?
宇賀▶もともと地域活動をしている大人の方が協力・協賛して
くれる企業さんを学生に紹介して下さって、学生がとさっ子タ
ウンの魅力を伝えて協力してもらうっていうのが今の形。
山首▶とさっ子タウンの実行委員のアピール力がすご
いって言うのを聞いたことがあって、みんな
が協力したいなって思うようなプレゼンテー
ション能力があるよね。
宇賀▶大人の方が背中を押してくれるというか、私たちもそう
いう場がないと力がつかないし、そういう面では大人の方が
信じて下さって背中を押してくれてるな、チャレンジさせても
らえてる場があるっていうのはすごいありがたいと思
うちゅう。
山首▶5年やってきたということは、とさっ子タウンに参加した
子が実行委員に入ったりしたがやない?
宇賀▶2人入ってくれたがよ。やき、これから違う視点でとさっ
子タウンの魅力が広がっていくと思うが。こうやって子どもは
社会のしくみが分かって、職業意識が育っていって、実行委員
は自分の考えが育ったり、他の実行委員から刺激を
受けて、みんなで成長していくのがとさっ子タウンな
がやなって思うが。
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
19
鹿野さん
山首▶私はまだ実際に被災地に行ったことがないんですけど。
あまりにも悲しいというか言葉にできない災害が起きてし
まって。自分もどう身を置いたらいいのか分からない状態
やったし。で、鹿野さんはボランティアをやってたっていうの
は地元でやってたの?そのあたりの話を聞かせてほしいです。
水紀夫さんは第1陣でいったが?
山﨑▶僕は第1陣で、単独というか大槌に行ってできる事を考
えてこいって言われて送り込まれてね。
山﨑▶そろそろ鹿野さんが来るはずやけど。
来た来た。鹿野さん、久しぶり。
鹿野▶お久しぶりです。
山首▶私たちも阪神・淡路大震災とかいろんな災害を体験した
というか。災害時に駆けつけるボランティアの時代ができ
たっていうのはあれからでしたよね。今、こうやってどこかで
災害があったら駆けつけるっていうのは、私が若いころには
なかったな。そういう世の中はなかった。すごく世の中って変
わって、こうやって1週間後にボランティアに行くっていう状
況があったっていうことはすごいことだな。
山﨑▶3.11の話しを聞かしちゃってや。
山首▶鹿野さんと山﨑さんはどこで会ったの?
山﨑▶鹿野さんとは会ったのは、最近、自分は3月17日から大
槌町の支援に入っちょって。そのときは大槌は壊滅状態で、寝
泊りを釜石市ののぞみ病院の8階に社協があって、そこで寝
泊まりしよったがよ。後で聞いたら、同じ場所におったがよ。
鹿野▶そうそう。そこでずっとボランティア
してたんですよ。患者さん運ん
だりとかね。
山﨑▶僕は災害ボランティアセンターの立ち上げ支援に行っ
ちょったきね。
鹿野▶まずはママさんとは初対面なので自己紹介から。本業は
お菓子屋さんなんですが、田舎の商店街にあるので、商店街
でのまちづくりをやってたんですよ。そこから枠にとらわれな
い何かいい形がないかなということで、NPOという形でまち
づくりの活動をスタートさせていたところ、震災にあったとい
うところです。岩手県はリアス式海岸があるところで、釜石市
はまちに製鉄所があり、海に非常に近い町なんです。そこで僕
はお菓子屋さんをやってたんですね。こういうところで@リア
スNPOサポートセンターっていうNPOの活動をしてたんです。
どういう活動を行っていたかというと、まちの中に人が集まれ
るようなスペースが2か所あって、ここに集まってきた人たち
とコミュニティビジネス。小学生の子どもたちとキャリア教育で
お店をやったり、障害福祉施設の方も含めて手づくりのもの
を作ったりバザーや趣味で作ってる人たちでマーケットを開催
したり、ひとづくりやまちづくりのリーダーを育てる活動をし
ていたんです。釜石市は昔から大きな津波が来てたんです。更
に戦争で焼け野原になったりと、何回もまちづくりをやり直し
ているんです。そして平成23年3月11日に東日本大震災が
起こったんです。ちょうどその日、僕は何をしていたかというと
コミュニティビジネスの研修会を行ってたんです。山﨑さんと
会った釜石のぞみ病院でやってたんですよ。なので、そのまま
ここに留まったんです。釜石市の場合、死者884名、行方不明
者194名、死亡認定者数170名、だいたい全部で1000人近
い人が亡くなったんですよね。僕の店も跡形もなく津波に流さ
れてしまったんです。津波って水だけが来るんじゃなくて、1番
最初に聞こえてくる音がバキバキっていう音なんですよ。そし
て、黒い土煙がだんだん近寄ってきてね。なんでかっていうと
家を巻き込んで壊して、その瓦礫が家にぶつかって、また壊れ
ての繰り返し。だから、まちの中に瓦礫が広がっちゃうんです。
家が転がったりね。そのときって人間ってたくましいもので、
悲しいとか恐ろしいとか怖いとかっていう感情が一切なくな
るんです。男の人は疲れなくなる。寝なくてもずっと起きてい
ても大丈夫。女の人はどれだけでもものが食べれるようにな
る。これは人間の動物としての本能だと思うんです。男性は家
族を守るため動けるようになる。女性は子どもを守るために
栄養を摂る。
とはいえ、助かったので、いろんなところからの支援を見て、
自分たちが何もしないわけにはいかんということになって、自
分たちはこのまちでまちづくりをやってたな、とい
うことで、仮設で事務所を借りて、緊急支援物資
の配給からスタートしたんです。
山首▶もともと鹿野さんは、まちづくりの活動をしていたの
でみんなとやっていくことがスムーズにできたんですよね。
山首▶災害の時に鹿野さんのようなつながるツールがあって、
彼をスタートに情報や物資が入っていく、そういう人が1人い
てくれたことは大きいですよね。
山﨑▶地域にキーマンがいるっていうの。僕らも大槌に入った
時にやったのが、ボランティアセンターができそうな地域の
キーマンを探すこと。僕らが作るもんじゃないきね。地域で作
らないかんから。鹿野さんがキーマンやったがやね。
鹿野▶自分のまちだからね。これからずっとここで暮らそうと思
っていたまちだから、自分のまちを何とかするのは自分だよ
ね。ボランティアの皆さまにもたくさんお手伝いいただいたし。
その中で4月、岩手県内で活動するNPOの仲間たちに集まろ
うと声をかけて、声をかけられて。そして、岩手として外と中
をつなぐ役割を作ろうよということで、団体も作ったんです
よ。必要な支援を必要な人とつなぐために。なぜかっていう
と、様々な市町村で格差が出たわけなんです。ここには足りて
るんだけど、ここには足りてないっていう。じゃあ、これを取り
まとめする団体を作ろうよって。そうやって集まったものを
「もってけ市」という名で、好きなものを持っていってもらっ
たんです。行政じゃなくて民間がやったことの利点なんですよ。
避難所に100人います。あずかったものが95個しかない。こ
れ、行政は住民に出せないんですよ。そういうことがいっぱい
あったんです。だから僕らはキーマンになる人を見つけて、
「何人か我慢できる人探して」ってお願いして、後の人に渡し
たんです。あと、避難所に行って、好きなもの持って行って並
べちゃったりとか。夏になると、仮設住宅に行って子どもたち
と一緒にうちわを作ったり、情報発信で今の釜石や隣の大槌
のことを知ってもらったり、被災した事業者の紹介
をするHPを作ったり、仮設住宅の見回りをしたり、
いろんなイベントを開催したりしたんですよ。
山首▶やっぱり災害の時は、地元の商店街のまちづくりをして
いた人たちと最初に手を結びました?
山首▶その時はまだ知らなかったの?
山﨑▶その時は知らんかったね。会ってたかもしれんけど。今日
はそこらあたりの話をたっぷり聞かせてあげてください。
20
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
鹿野▶それまでもツイッターとfacebookで情報を発信してい
たのが、震災でぱたっと止まったんですよね。それで心配して
くれた方々に「今日の釜石」という1枚の写真を発信するとこ
ろから再スタートしたんです。それをきっかけにいろんな人か
ら「何か必要なものないですか」っていう連絡をいただいて、
いろんなものが集まってきて、これを運びに行こうということ
で活動をスタートさせました。
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
21
鹿野▶最初は商店街で共に働いている仲間だったんで。被災し
ちゃったんで、やっぱりみんな自分の店があった所に集まって
くるんですね。まちの中で出会うことが多かったんです。みん
なそれぞれにいろんな事情があったんですけど、そこで会って
話をしていくうちに、少しずつ気持ちが変わっていって、ここ
でもう一度頑張ろうっていう風になっていったんですよ。次に
手がけたのが居場所作り。前に僕たちの事務所があった場所
に「みんなの家・かだって」を作ったんです。外から中が見え
るようにして、何でも使えるようにしたんです。場所があると
何だろうって顔を出す人がいて、少しずつ人が集まりだすと、
いろんなことを話し始めるんですよ。もうひとつ「インターネッ
トdeかだって」っていうのを作ったんです。誰が使ったかとい
うと、報道関係者の方が原稿を送るために使ったんですよ。仕
事で入ってきた人もホテルもインターネットが使えないので。
その後、小学生も来るようになったりして、色々な形で使って
るんです。こんなところで演奏会やものづくり、中学生のワー
クショップなんかもやったんです。釜石市の行政が作った復興
プランを読んで中学生が話し合って、市長さんに提言書とし
て持っていったんですよ。
山首▶そういう子どもたちの関わりを
作っていくのは大事ですよね。
鹿野▶大事です。僕は復興とまちづくりって、言葉を入れ替えて
も全部同じ意味が通じると思ってるんです。中学生っていった
ら、10年後には25歳。25歳っていったら、まちづくりではす
ごい戦力なんです。だったら、復興のまちづくり、新しいまち
を作ろうとしてるんだったら、彼らが活躍できるまちにするん
だったら、彼らの話を聞かないと。僕らが10年後20年後には
次の世代になるので。彼らが主役になるんだったら、彼らがど
ういうまちにしたいか聞いておかないといかんよねっていう
風に考えてます。
山﨑▶何かとさっ子タウンとつながっ
てきたね。宇賀ちゃん、どう思う?
宇賀▶子どもの発想って豊かで、私たちが思っている以上の発
想や行動力があるんですよ。子どもたちの持っている可能性
やパワーっていうのは無限大なんだなって思うんです。信じた
らどこまでも伸びていくんだろうなって感じがするんです。子
どもたちの引き込む力ってすごくて、大人たちも引き込まれ
るじゃないですか。
山首▶私たちはついつい市民力とか住民力とかの中に、子ども
たちを入れていないんじゃあないかなって。だから、子どもた
ちと一緒に今の現実を確かめながら、次の世代を子どもたち
と作っていくっていうことは、復興していく上で被災地の市民
力を作っていくっていうことなんですよね。
鹿野▶僕は震災の後、様々な方たちとつながりを持たせていた
だいたことがものすごい宝物なんです。起きてしまったことは
しょうがなかったって思うしかないんです。だけど、そこから
出会った方々とのつながりとそこから生まれる色んな形って
いうのは、僕にとって財産だし。これから僕がお伝えしていか
ないといけない1つには、復興ってこうですよっていうことを、
これから先にいろんな場所で災害が起きるって言われていて、
そうしたときに防災まちづくりと復興まちづくりはイコールだ
と思うんですよね。僕がこれから「復興ってこういうことです
よ」ってお伝えすることを、これから起きる災害に備えるまち
づくりって置き換えて聞いてもらえたらといいなって思うんで
す。復興っていうのは、3年目になる今見ていて、ものすごく
バランスが大事なんだなって感じてきています。一言で復
興って言っても、その中には、住んでいる人たちの「生活の復
興」。住む場所や家や仕事、公共交通機関を含めた周りの環
境。これが1つですね。次に「産業の復興」。元々のそのまちの
経済を支えていた事業所が復興しないと。そして「町並みの
復興」。これからは防災や減災のために、道路を広げたり、避
難できる高いビルの外階段を設置したり。もっと種類はある
と思うんだけど、3種類だけ考えてみても、店を建てたところ
が防災上道路を通すのに重要なところだったら、ど
ちらが優先されるべきなのかっていう問題も出てく
るんですよ。
山首▶そういうことを市民がそれぞれで真剣に考えて、市民が
市民のまちを作っていくことを東北はやっていると思うんで
す。これから30年40年たった時に、東北の方々が培ってきた
文化とか助け合い・支え合い、そして産業やいろんな分野を
超えて、いろんな人や企業がつながる力が上がってるんじゃ
ないかなって思うんです。なので、私は復興っていう意味の中
に、人々の営みがつながっていく仕組みが東北に育っていて、
日本の中でもそういう差がでるんじゃないかなと思うんです。
東北の人たちっていうのは、震災前もそういった助け合い精
神がすごい地域だったと思うんですが、これからそ
ういうまちができるんじゃないかなって思うんです。
22
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
鹿野▶僕は1つこれが大事だって思うことがあって、自分たちの
まちなんだから自分たちのまちの好きとか愛してるっていう気
持ちや想いって、どんな立場の人でも同じなんだって思ったん
ですよ。だったら、このまちを作っていくときに誰かだけ頑
張ってもしょうがないんですよ。行政だけ頑張ってもだめ。住
民がやりたいことだけ口に出しててもだめ。みんなが一緒にや
らないといけない。それぞれに得意不得意があるから。今、被
災地でよく言われるのが、震災前からお宅の場所で課題だっ
たでしょっていうことと震災があったから出てきた課題がごっ
ちゃになったら、なんともならんよねっていう話なんですね。あ
とは行政の皆さんを理解して認めるということ。よく何で融通
がきかんのだろうという話をされるんだけど、彼らがみんなが
みんな融通をきかせ始めると、どうなっちゃうのっていう話な
んですよ。
山首▶市民力や住民力のポイントの1つに、住民の方も行政の方
を認めるというか、行政の方を受け入れる力っていうのはいり
ますよね。ついつい行政の方と対になってしまうけれど、市民
力・住民力を高めていくことは行政の方と本当の意味で対等
な活動ができる住民にならないとだめだってことですよね。
鹿野▶もちろん思いは一緒なんだから、がんばっていこうってい
う気持ちにならないと。思いは変わらないんだけど、やり方が
違うだけで。お互いが認め合ってしまえば、彼らができないこ
とを僕らがやる。僕らができないことを彼らにやってもらえ
ばっていう話なんです。
曽根原▶こんにちは。
山首▶今、鹿野さんとも話していたんですけど、曽根原さんも企
業やいろんな分野をつなげて、山間地域の住民を見続けてき
たと思うんですけど、高知県も限界的な集落が多くて、それを
活性化するにはもっと外とつながらなくちゃいけないってい
うのがあるんですけど、なかなかそのつなぎ役がいないって
いうことと住民自身もまだまだ受け入れる力がなくて、山間
地域の住民力が追いついてなかったり。どうしても高齢化の
ことを全面に出してしまって、その次に行かないっていうこと
を聞くんですね。曽根原さんにとって山間地域の住民力って
なんでしょうか。
曽根原▶もともと山間地域の方は住民力があ
りますからね。お米を作るは、野菜を作れる
は、木は切れるは、山菜は採れるは、キノコは
採れるは、鹿や猪は獲れるは、住民パワーは
ありますよ。
山首▶私たちはつながったりいろんな人とい
ろんな活動をしていくことをついつい住民
力だと言ってしまうけれど、本来、山間地
域の農業の方々がやっていること自体、住
民力だと。
曽根原さん
山﨑▶そろそろ曽根原さんも来るころやけど。どうもお久しぶり
です。
曽根原▶都会の人にとってはあこがれの的
ですから。先ほどの講演で紹介した住民の
方々は人気者ですよ。
山首▶前にお話しを聞いた時には、いろん
な方を巻き込んでいると感じたんですけ
ど、巻き込むポイントは何ですか?
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
23
山首▶やっぱり市民活動・住民活動をやっていこうとすると、そ
の課題だったり、いろんなものをアピールしていくんですけど、
リアルさが足らないんですよね。子どもたちにこのまちをよく
しようって呼びかけても来てくれませんよね。子どもたちにこ
のまちがどうなっていくんだっていうことをリアルに伝えるっ
ていうことで子どもたちが参加してくれる。
山首▶曽根原さんは市民力はもともと持っていると思っていて、
宇賀さんはつながる力が市民力だと思ってるのね。鹿野さん
はどうですか?
曽根原▶私は餅は餅屋だと思ってるんです。山間地域の住民っ
てね、お米は作れるは、野菜は作れるは、山菜は見分けれるは、
キノコは採れるは、燻製は作れるは。これって餅屋じゃないで
すか。企業は企業で餅屋の部分はあるし、行政は行政で餅屋
の部分はあるし。餅屋は餅屋で協力し合えばえいだけじゃな
いですか。
山﨑▶もともと強いような気もするよね。
曽根原▶高知の人はめちゃくちゃ強いですよ。たぶん日本全体
の中でもプッシュが強いと思いますよ。
山首▶そうすると、高知県の山間地域の人たちのそういったお
米を作ったり、野菜を作ったり、近所同士の助け合いをして
いったり、そういうことを引き出していったらいいんでしょう
か?
曽根原▶引き出すというか、もともと持っていますからね。だか
ら、持っているものを使って、他に提供できる形になればね。
うちの場合は、提供している人が都会の若者だったり、企業の
人だったりしているわけですよ。そしたら、その人たちが感激
するわけですよ。そしたら、まんざらでもないなってそんな気
になるわけですよ。
山首▶すごいですね。私のまちにも東京とか大阪とかいろんな
ところに出て行って、大学が終わっても向こうに住んでたりす
る方が、たくさんいるんですよ。その人たちとまちがつながっ
てないんですよ。家族とつながってないんですよ。どんどん山
間地域の住民力は落ちてきていると私は思っていて。そうい
う人たちとつながりながら、市民力・住民力を上げていきた
いなっていう思いがあって。水紀夫さん、高知の市民力って上
がっています?
24
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
山首▶宇賀さんにとって、大学生や小学生は
市民だと思っていると思うんですけど、な
かなか大人が住民っていう感覚がないと思
うんですけど。宇賀さんにとって住民力・市
民力はどうだと思います?
宇賀▶私はとさっ子タウン等の市民活動に参加するようになっ
て、つながる力っていうのが市民力かなって感じていて、大人
の方々とか学生のネットワークとかでつながって、1人1人の
力が集まって取り組みが行われていて、つながる力っていう
のが市民力なんだなって思ってます。
鹿野▶僕はね、そこに住んでるだけの人は住民、自分のまちに
参加している人が市民だと思っていて。ただ、そこの住んでい
る人たちも市民と住民の違いというよりは、まちに参加する
方法が分からない人たちだと思うんです。参加する方法って
たくさんあって、そのまちでがんばっているグループやNPO
などのいろんな人たちを応援することも参加の1つだし、自分
が先頭に立って何かをすることだけじゃなくて、がんばってい
る人たちを応援することも、
「参加する」っていうことなんで
すよっていう風に少し説明を柔らかくしてあげて、
「一緒にや
ろうよ」、
「応援してくれよ」っていう形で巻き込んでいくと、
少しずつ間口が広がって、一歩片足突っ込んでみようかなっ
ていう人たちも増えてくるのかなって思ってます。
山首▶そういった活動に参加するまでには、人の気持ちを動か
すって難しいと思うんですけど。そういった1人の気持ちが動
いていくときのキーって何だと思います?
鹿野▶1つには、僕は子どもたちもそうだし、震災の後もちょっ
とおどしをかける。どういう意味かっていうと、リアルを感じて
もらいたいからなんですね。今度来るかもしれない南海トラフ
地震。いつかじゃなくて、僕らも実は宮城県沖地震っていうの
が30年以内に99%の確率で来るって言われてたんです。今
回の地震で浸水したとこっていうのは、シミュレーションで何
回も見てるんです。だから、地震が来ることはわかってた。津
波が来ることも分かってた。でも、30年以内を30年先って勝
手に思っていて。だから、それが今日来るって思っている人が
少なかったから、亡くなる人も多かったし、被害も多かった。今
ここで地震が起こったらどうします。僕はそれを経験したんで
すよ。その日その場所にいるところから、家に帰ったら家が無
くなっていた。家族も失いました。それがリアルに考えれるか
どうかなんですよ。幸い皆さんはその災害がまだ来てないじゃ
ないですか。30年以内は明日も30年以内だし、これをいかに
リアルに伝えられるかだと思います。
鹿野▶なんでさっきの中学生がやる気になったかっていうと、
僕は釜石の復興プランを作るときに、子どもたちの意見を
持ってくるから聞いてくれって行政の方にお願いしていたん
ですよ。中学生にも「これを作ったら市長のところにお前たち
が持っていくんだよ」って言ったんですよ。市長に僕らが言え
るんだっていうリアル。そういう感じかなって思いますね。
山首▶市民力を上げていくということはその活動に参加してく
れたり、もともと市民や住民が持っている技術などを引き出
して、そこをうまくつなげる。
曽根原▶引き出すって言うと、ちょっとおこがましいような気が
して。私は自分でやってて、落とし穴に落とすって言ってるん
です。どういうことかっていうと、例えば、企業の農業体験が
始まるとするじゃないですか。そしたら体制を組もうとすると、
あの人を農業の先生にどうかなって話をしたり、料理ならあ
の人にして落とそうとするんです。そういうのを落とし穴って
言ってるんです。ただし、落ちても痛くない落とし穴。一度落
ちてみて、痛くなくてよかったなって思ったら、これなら悪く
ないかもって思うんですよ。
山首▶その痛くない落とし穴に落とし
入れる人が要りますよね。
曽根原▶餅は餅屋。それは私の役
目です。私はプレーヤーじゃなく
て落とし役。
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
25
山﨑▶いろいろあるけど、10年くらい前に高知で地域づくりの
全国大会があって、その時のテーマが「タノシムチカラ」。さっ
き怖がらすっていうがもあったけど、いろんな
キーワードがあって、高知では特に楽しむってい
うところがあるね。
山﨑▶そろそろ全ボラが始まる時間や。なんぼでも話したいけ
ど、行きましょうか。
山﨑▶さっき言いよった災害のときって必ず足りんやん。足りな
いものをどうやって配るかっていうのも地域の力やと思うね。
山首▶皆さん素敵な方でしたね。あんな素敵な人たちがいたら、
いろんなものがつながって、いろんな人たちが笑顔になって、
いろんなところで化学反応が起こって、まちがどんどん元気に
なっていく。そういったことがこれからも続けばと思います。
「 高 知 県は 、ひとつの 大 家 族やき。」という
キャッチフレーズでがんばっています。高知
家ながよ。ですから、私も高知という大きな
家族の絆をもっともっと築いていきたい
と思います。何と言うたち市民力が時
代を拓くがやきね。今日はありがとう
ございました。
市民力を高める地域づくり
鹿野▶あともう1つキーワードは、逃げることさえ忘れなければ
何とかなるっていう場合と逃げてもだめでしょうっていう場合
をちゃんとわけて考えてやるっていうこと。僕が経験したこと
だけど、自分の命を守ることで精いっぱいになります。それぞ
れが自分の命を守りさえすれば、家族は再会できるんですが、
1つだけ要介護者の方をどうするかっていうことは、これは
やっぱりあきらめるわけにはいかないので、僕らも震災前から
自主防災会であの人のところにこうだねってやってるんです
けど、そのときにはやっぱり地域の力が大切になるので、そこ
はキーポイントになるのかなって思います。
午後(12:30∼15:00)
終日(9:00∼15:00)
テーマ
市民力を高める組織づくり
山首▶特にまちの方々は支援を受けるっていうことをスムーズ
にやってしまうんですけど、山間地に行けばいくほど遠慮した
り、私たちは構いませんからっていうことで、支援を受けるこ
と自体に慣れていなくて。その「受援力」。助けられ上手みた
いなものも住民力に加えていかないと市民力は上がっていか
ないかもしれませんね。
午前(9:00∼11:30)
市民力を高める仕組みづくり
山﨑▶間違いなく関係があると思うし、最近言われるのが「受
援力」。支援する力じゃなくて援助を受け取る力がないと復
旧が進まない。それは災害のときには上がっていくんだけれ
ども、普段から素地があって、よりプラスになるっていうだけ
でゼロだとできないから。
分科会
市民力を高める人づくり
山首▶高知っていうのはイラレが多いですよね。イラレっていう
のはイライラするとか、ジッとしていられないとか思い立った
らすぐに行動に移すっていうところがありますね。これも1つ
の住民力ですよね。災害と市民力って関係あると思います?
山首▶日本全国どこで起こってもおかしくないくらい今、大災害
が発生していますよね。そういったことをいかに住民がリアル
に捉えて、動き始めるか。そういったきっかけをどうやって
作っていくかで、防災活動ができるようになった県とそうでな
い県で格差が生まれてきて、そういった市民力はリアルな体
験が活動に変わっていき、どんどん住民の力が出ていくんで
しょうね。災害の場合は、リアルを伝えるっていうことが簡単
なようで難しくて、私たちも話をするんですけど。これだけ世
界各国のいろんな映像を見て、明日来るかもしれないってい
うことはわかっているはずなのに行動ができないっていうも
どかしさがあって、みんなでリアルに考えていくっていうこと、
リアル感をつけていくっていうことも大事なんでしょうね。
1
シニアの出番!!
P28
10
2
私たちにできる国際交流
P30
11
∼輝くシニアのエネルギー∼
∼異文化理解と多文化共生∼
3
地域で実践できる
ファンドレイジング!
P32
12
4
東日本大震災広域避難者の
支援を考える
P33
13
P34
14
B
P39
子育ては未来への種まき
P40
∼子育て・若者を育てることは社会全体の使命∼
市民力が育つ新しい学び
A
5
地球のステージ
∼音楽と大画面の映像で、世界が身近になる!∼
「広がれボランティアの輪」学園
∼午前の部・ボランティア基礎編∼
P47
中山間地域から進める
P41
これからの「福祉」と「まちづくり」
企業のホンネ、NPOのホンネ
∼企業とNPOのパートナーシップづくり∼
「広がれボランティアの輪」学園
∼午後の部・活動を支える仕組み∼
平成25年度 ふれあい・いきいきサロン全国研究交流会
明日へ繋げよう地域の絆∼輪・話・和∼
6
これからの
P35
災害ボランティアセンターを考える
7
NPO経営塾∼広報とは何か?∼
P43
P44
P49
P36
C
市民力をつなぐボランティアセンター
∼改めてボランティアセンターの役割を考える∼
P51
D
災害時に備えた学生ボランティアセンター間の連携を考える
P52
E
地域防災における若者と女性の参画促進
P53
8
9
移動制約者にやさしい街づくり
∼ユニバーサルな移動手段を考える∼
「遊びは生きる力」
∼おもちゃ図書館の様々な活用方法∼
P37
15
川はみんなの財産
P45
P38
16
スポーツ・ボランティアの可能性
P46
F
観光ボランティアのおもてなし(フィールドワーク)
P55
G
地域の宝をまちの活性化に!
P56
H
廃校を活用しよう!
P57
※数字の分科会は半日、アルファベットの分科会は終日です。
26
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
27
分科会
1
市民力を高める
シ ニ ア の 出 番!!
∼ 輝 くシ ニ ア の エ ネ ル ギ ー ∼
参加者▶ 192人
会 場▶ 高知県立県民文化ホール グリーンホール
出演者▶講 師 小川 全夫さん
(熊本学園大学社会福祉学部 教授/熊本)
事例発表 小原 健一さん
(NPO法人生きがいの会 理事長/東京)
吉森 伸郎さん
(NPO法人とかの元気村 事務局長/高知)
進 行 田村 佳久さん
(社会福祉法人佐川町社会福祉協議会 事務局長/高知)
1.概 要
シニア世代の活動は広がり、地域づくり活動をはじめとした様々な場
面で、シニア世代の方々が輝いている。今後高齢化が進行していくなか
で、地域づくりや地域の活性化には、シニアが活躍できる出番づくりが
とても重要となってくることから、講師の小川全夫さんから「高齢者を
地域の救世主にする法」という演題でお話をいただいた後、地域で活躍
する2人から事例を聞き、今後のシニア世代の活動展開や出番づくりに
ついての意見交換を行った。
2.主 な 内 容
◆講演
「高齢者を地域の救世主にする法」
熊本学園大学社会福祉学部 教授
小川 全夫さん
高齢者というととかくネガティブなイメージ
があるが、これからは増加する高齢者の知恵を
活かして地域貢献に役立てよう。
高度経済成長期は職場が中心でそこで生ま
れた豊かさを配分して日本を豊かにしてきた。
これからは高齢者の人口に占める割合が増加
するが、高齢者が働いて世の中に豊かさを配
分することは無理である。
高齢者のイメージはネガティブに捉えられて
いるが、負担をかけることばかりではない。高
齢者は時間があるのでその時間を寄付するこ
とができる。賃金発生はないが、誰かが必要な
時間を提供すること。ボランティアの代償で地
域通貨を発行しているところがある。この通貨
は利子は生まない。地域の中でこの通貨を流
通、消費、還元とぐるぐる回していく。高知は
野菜や花きの栽培をして売り、外から入ってき
たお金をエネルギー代で消費してしまっている。
現在、日本の100歳以上の高齢者は5万4
千人である。有名な方で医師の日野原重明さ
ん、ピアニストの嘉納愛子さん、美容師の加藤
きよさん、詩人のまどみちおさんなどがおり、
生涯自由業という人が長命である。女性は長
命だが、認知症になる人も多い。男性はスーパ
ーシニアが多い。
高齢者の働き方の特徴は、人から言われて
やっている仕事ではないということ。
「自主裁
28
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
量労働」で自分から自分でできる仕事の量を
やっている。徳島県上勝町の「いろどり」や長
野県小川村「小川の庄」、各地にある「道の
駅」や「良心市」、
「青空市」なども高齢者が自
分達の庭先で採れたものを農協などから言わ
れて出荷するのではなく、出せる量だけ出すと
いうことで成り立っている。柿に竹串と干し柿
の作り方を入れて道の駅に出すなど、創意工
夫したものを出すようになっている。このよう
に仕事を創る喜びがあるのは高齢者向きであ
る。
「シルバー人材センター」は労働市場とは別
で高齢者ができる仕事を分け合って自分たち
の生きがいにしている。
施設でボランティアをしたらそれをポイント
で貯めて介護保険料が安くなることをやって
いるところもある。
農村では昔から白川郷の屋根の葺き替えの
ように手伝いに出たことが記録される台帳が
あり、お互いに助け合う仕組みが続いていると
ころがある。
広島県の総領福祉会はデイサービスの送迎
の際に家庭菜園の野菜も集荷してまわり、代
金を地域通貨で支払っている。その通貨は施
設の食事代などに使うことができるようにな
っている。利子は生まないが地域をぐるぐる回
っている。
ボランティアに対し地域通貨を渡すことでシ
ャドーワークから評価される労働となる。豊か
さを作り上げる手法となる。
大分県では孟宗竹をなんとかしたいという
ことから「竹楽」というイベントを始めた。切っ
た竹を灯籠にして町中に敷き詰め、灯りを灯し
た。観光客も火をつけることができる楽しいイ
ベントに成長し、観光収益も上がっていった。
使った灯籠は炭焼き技術のある高齢者が竹
炭加工して土壌改良材として地域の畑にまか
れている。一つの種が地域内相乗効果を生ん
でいる例である。
高齢者がもったいないと思うことを地域内
で回すことを考えれば、高齢者の出番は必ず
見つかる。百寿者から学ぶことから色々な商品
開発に結びついている。
WHOは政策としてのアクティブ・エイジング
を推進し、今は「Age-Friendly City」、全て
の世代に優しい都市を推進している。日本は
情報発信力が弱く、ヘタである。もっと情報発
信するべきだ。
高齢者は「重荷」なんかではない。これから
は、高齢者のがんばりを受け止める社会の側
の改革が必要である。
高齢者の時間資源を評価し、豊かな時間を
活用する知恵がある高齢者を上手に使えば地
域をもっと豊かに安心して暮らせる社会を創
ることが可能である。
<事例発表1>
NPO法人いきがいの会
小原 健一さん
「男性利用者が行ってみたくなるデイサービ
ス運営に携わって」と題して事例発表。定年退
職後、毎日が日曜日の日々を送っていた時に
東京都の広報で「森林ボランティア養成講座」
を知り参加したことからボランティアと関わり
ができた。
「男の料理教室」で知り合った仲間と杉並区
高齢者在宅サービスセンター「松渓ふれあいの
家」を創立。指定管理者となるためにNPO法
人いきがいの会を立ち上げた。男性ばかりで
立ち上げたデイサービスで、自分たちが行きた
くなる施設、自分たちが楽しめるプログラムを
考えた。
見学に行った施設は女性利用者が多く、男
性向けの内容ではなかった。男性は勝負事が
好きで麻雀・囲碁・将棋などが好きなので、プ
ログラムに入れた。その結果、利用者の72.9
%が男性となっている。
他にもパソコン、絵画、七夕、ハロウィン、ク
リスマス、美術館訪問、日帰り旅行等もイベント
として行っている。
地域社会と付き合い始めて10年で感じて
いることは「自分の居場所となっている」
「新
しい仲間、新しい知見、新しい刺激がある」と
いうこと。
これからますます高齢者の割合が増してい
くが、財源は限られているので高齢者同士が
助け合っていかなくてはいけない。シニアの出
番が待ち望まれているが、周りをみても自治会
や町会に出てくるメンバーは限られており期待
と現実にまだ大きなかい離がある。
これから第一歩を踏み出す方への提案とし
ては、①子供のころの夢は何だったか思い出し
てみる。②今暮らしている地域、近場で活動し
よう。③ヒントは県、市町村の広報紙にもある。
<事例発表2>
NPO法人とかの元気村
事務局長 吉森 伸郎さん
「NPO法人とかの元気村におけるシニア世
代の地域づくり」と題して事例発表。 斗賀野のある佐川町は高知県の中西部に位
置し、歴史的人物も排出してきた文教の町で
ある。斗賀野地区は農村地帯で、盆地地形な
のでまとまりやすく、住民の仲がいい地区であ
る。平成17年に「とかの里づくり懇話会」の代
表者の提案で地域のやる気を形にするために
地域のすべての団体やグループ36団体を傘
下に入れたNPO法人を設立した。地域を住み
やすく、伝統を継承し、誰もが元気で生き生き
と暮らせる地域づくりを目指した「エリア型NP
O」である。
会員は平成25年6月現在で145名。男性
110名、女性35名で男性が76%を占めてい
る。65歳以上のシニア世代は67%である。会
費として入会費1,000円、年会費1,000円。
事業として、指定管理事業としての公園の管
理や町立図書館の運営。受託事業として「桜再
生活動事業」や「あったかふれあいセンター」
事業。自主事業として「たらふく秋まつり開
催」
「健康ウォーク」
「作品展」。自然環境保護
事業(ササユリ・ノカンゾウ保護・増殖・植樹)、
機関紙の発行などを行っている。
「斗賀野のビ
ジョン」をつくり、すすみ具合を点検している。
図書館の運営には保育園の元園長など女性
のシルバーパワーが発揮され、町が運営してい
た時より利用者が5割アップ。男性のシルバー
パワーが発揮されているのは、公園の管理や
自然環境保護事業である。
地区のゴミ捨て場となっていた河川を親水
公園としてリニューアルさせることなども行っ
てきた。
NPOの事務所も役場から無償で提供しても
らった中古の鉄骨を基に会員有志が建設した。
その後、事業の拡大に伴い、手狭になってきた
ので増設を行った。
事業の後に反省会を兼ねて行う「飲み会」
が楽しみでもあり、アイデアが出てくる場でも
あり、お互いを褒め讃え合い認め合う場ともな
っている。
斗賀野地区はいつまでも若いシニア世代を
中心としてNPOとかの元気村の活動を通じ、
お互いを認め讃え合うことで、
「結いの心」を
地域のつながりを深め、いつまでも斗賀野の
宝である美しい自然環境を守っていきたい。
<意見交換会>
これからのシニア世代をいかに地域に巻き
込んでいくかをテーマに意見交換。
小川さんから2人の事例発表を聞いての感
想、コメント。
「高齢のことなどを他人ごとであ
ると考えずに我が事として考えていくことが大
事であり、一人ではどうやってよいかわからな
いのでお互い様の事に仕上げていくのがボラ
ンティアのポイントである。」
進行役の田村さんから佐川町社協は退職世
代を地域活動に巻き込んでいくために「セカン
ドライフ夢追い塾」を始めたことが紹介された。
(小原)シニア世代を地域活動に巻き込んでい
くには、行政などに高齢者大学のような学
びの場を作ってもらいシニア世代が集まっ
たところで問題点の話し合いをしてもらうこ
とで、新しい仲間と動きはじめるのでは。
(吉森)地域活動に参加し易い、魅力ある活動
をつくることも大事であるが、声掛けも大切。
誘ってみること、背中を押すこと。
(小川)シニア世代の地域デビューを仕掛ける
ために山口県では地域デビューのためのテ
キストが作成され、連合がタイアップして退
職前の方に出前講座を行うことなどが実施
されている。
「オパールプロジェクト」
(高齢
者参加型コミュニティ構築支援事業)を行っ
ており、シニアの発想や豊かな知識、経験、
技能を活かす、公募型の委託事業を行って
いる。
(小原)男性の地域活動参加を促進するには、
地域にどうやって目を向けさせるかが大事
であり、情報を持っている女性から誘っても
らったり、得意分野での役割を与えていくこ
となどがよい。
(吉森)お互いの活動を褒め讃える、
「あなた
のおかげ」であると感謝し褒めることも大事。
人 づ くり
(小川)自分ができること、自分がやりたいこ
とが地域と結びつけばそれが一番良い。
「タ
レント銀行」
(人材バンク)などを創り、自分
の得意なこと(麻雀、料理、漬物づくりなど)
を登録してもらう。地域の課題を点検し、こ
の人材を地域の必要なことに結び付けてい
く。そのためには中間支援機能(縁結びをす
るところ)があることで具体的な活動につな
がっていく。
(小原)シニアの活動が期待されている。まず、
行動を起こし、自分に合った活動を捜すこと
が大事。人の役にたっているかなと思ってい
たが、自分の役に一番たっていた。
(小川)これまで活躍した高齢者が活動できな
くなった時に、思いがバトンタッチできるこ
とが大事。日本の歩んだ高齢化社会を韓国、
中国が後追いしており、日本の生き方は東
アジアの生き方になり、世界の生き方の見
本に、新しい生き方の最先端を行っている。
いつまでも元気で長生きし、お互いを褒め
合う関係を創っていくことがなによりも大事。
みなさんの近くでそういう活動を始めてくだ
さい。
3.担当実行委員コメント
私は老人クラブの事務局に勤務しており、シ
ニアの方々の活動は大変な関心事で、この分
科会ヘは客席に座りじっくり聞かせていただき
たいと思っていたほどである。現在、老人クラ
ブは会員が減少し、活動の低下が問題になっ
ており、男性や若手の加入が大きな課題とな
っている。それを解決していくヒントが分科会
の中でいくつか見つかり、私自身大変勉強を
させていただいた分科会であった。会場の参
加者の皆様にも満足していただけたのではな
いかと思っている。
また、高齢者になった時に地域で活動してい
くことって素晴らしいなと思わせてくれる分科
会であり、私もその時が来たらどんな地域デビ
ューをしようか、活動できるよう元気でありた
いと考え始めた。
〈分科会担当実行委員〉
西森 裕子
(公益財団法人高知県老人クラブ連合会)
〈分科会運営スタッフ〉
受付▶小野川 志帆
(社会福祉法人高知県共同募金会)
運営▶葛島 由利恵
(社会福祉法人高知県共同募金会)
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
29
分科会
2
市民力を高める
人 づ くり
私たちにできる国際交流
∼異文化理解と多文化共生∼
参加者▶ 27人
会 場▶ 高知商工会館 2階 桂の間
出演者▶ 事例発表 弘間 善郎さん
(高知SGG善意通訳クラブ 会長/高知)
今井 多衣子さん
(南国市国際交流協会 副会長/高知)
マイケル カーンさん
(高知学芸中学校 英語講師/高知)
進 行 吉富 志津代さん
(NPO法人多言語センターFACI
L
理事長/兵庫)
1.概 要
市民レベルでできる国際交流にはいろいろな活動がある。国際交流
に関わっている方々と異文化理解や多文化共生について進行役のも
と、考えを共有し、市民レベルでできる国際交流がどのように人とつ
ながり、地域の人づくりとなっているかを共に学んだ。
2.主 な 内 容
◎3人の事例発表と進行役の吉富志
津代さんのコメント
●弘間 善郎さん
高知城ガイド、観光地同行ガイド、通訳、翻
訳、国際交流事業、研修などを通じて高知県の
国際観光や国際交流に貢献するために活動を
している。外国の方を案内する際には習慣の
違いをよく理解したうえで対応をしていく必要
がある。温かいもてなしを基本にした、人と人
とが交流する活動が世界平和にもつながると
思う。
▶吉富 志津代さんコメント
高知SGGは「お・も・て・な・し」の言葉を
実行している。対象は観光客だけでなく、留学
生・地域住民等で、内容も“高知の文化の紹
介”
“地域の人や次世代に繋ぐ活動”など幅広
く素晴らしい。
●今井 多衣子さん
2002年の設立当初は、外国人との交流を
通じて異文化を理解し、国際感覚を磨くととも
に地域の活性化を図る活動をしてきた。しかし、
2011年3月11日、東日本太平洋沖地震によ
る被害の大きさに衝撃を受けたことをきっか
けに、住民同士のネットワークを強固にして、
災害に対する危機意識を持つことが重要であ
ると考え、2012年自治総合センター地域コミ
ュニティ助成金事業を、
「共に暮らし共に学ぼ
う」とし、災害支援に取り組んだ。主な内容とし
ては
①外国人のすむ南国市とその周辺住民が共に
30
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
学ぶ研修会の実施
②“ようきたようきた”南国市生活ガイドの作
成(日本語・英語・中国語・インドネシア語・ベ
トナム語)
▶吉富 志津代さんコメント
災害の時ほど、地域にいろんな人が住んでい
ることを思い知らされることはない。いわゆる
多文化共生というものを実感させられる。
●マイケル カーンさん
英語の講師をしながら、高知県地域移住サ
ポーターとして、家族で鏡村(現高知市鏡)の
古民家に住み、地元の人と交流をしながら生
活をしている。鏡には、昔から現在につながっ
ているもの・感覚があり、非常に魅力を感じる。
1996∼2002年まで、鏡村役場で、村の広報
誌を担当し、高知市合併後も村の取材を続け
ている。撮りためた映像作品をドキュメンタリ
ー作品に編集したり、村人のインタビューもア
ーカイブしてアクセスできるようにしたい。
▶吉富 志津代さんコメント
先住民ではなく、長住民という言葉と視点
で、日本の良さを表現してくれた。あとから来
たからこそ分かることもある。違うことがプラ
スの発想になる。皆さんとのつながりを広げて
団体に発展してほしい
三人の事例の共通点は、みんな高知が大好
きなことだ。
◎ディスカッション
①活動を始めたきっかけは?
②活動を通して変わったことは?
(弘間)
①自分が好きで持っているものを社会に活
かしたいと思った。
②対象が外国人であっても人間対人間とい
うことは変わらず、そういう気持ちで接して
いくことの大切さと同時に、益々自分が日
本人であるということを感じるようになった。
(今井)
①日本語教師なので、日本語教室で色々な
学習者を教えるようになった。
②仲間に恵まれ、大がかりな事業もできる
状況をありがたいと思う。町の言葉は、生き
た言葉であり、コミュニケーションツールで、
これによって人はつながっていくのだと思う。
(マイケル)
①8才の時に家族で東京に暮らしたことが
あり、カルチャーショックは大きく大変だっ
たけど刺激を受けた。鏡村の村長さんが差
別の目を持たず、自分に広報の担当を任せ
てくれた。
②鏡村の先祖代々の話にショックを受けた。
人類の皆が持っているけれども、アメリカ人
が忘れてしまっているルーツの感覚に接す
ることによって、それが大事なものとして思
い出させてくれた。
③国際理解・多文化共生を目指す中で、ど
んな町になってほしいか?
(マイケル)14年間、鏡村の人と深いかかわり
を持っているが、村は後継ぎがなく限界集
落になってしまった。1000年続いてきた家
でさえ、後継者がいない。若者の仕事につな
がるような、産業につながるようなものとは
何か?自分の作品が出来て、上映できて、ツ
ーリズムにつながるようにしたいが、個人で
やっているので、とても時間がかかる。取材
することによって村の人たちとつながりは深
くなるが、村の子孫が残ることにつながるか
どうかはこれからのことだと思う。
(今井)どこの国の人であっても隣人として温
かく迎えていける、そして、災害の時には、外
国人・日本人と区別なくみんなが共存でき
る南国市になってほしい。
(弘間)経済的なものとは違うことを売り物に
する高知に。都会から地方へ、地方といえば
高知と、目先を変えたい。
(吉富)マイケルさんは、家族や村の中で多文
化共生の中で生きている。産業につながる
活動を期待する。
外国から来てより遠さを感じる人たちと
地域のつながりを深める。そういう人たちの
ことをきっかけにして地元の人たちがつな
がるようなそんな町に。日本の原風景が弘
間さんの住む高知にある。これまでのマイナ
スをプラスへの発想の転換は、外から来た
人によって気づかされることがある。
◎参加者からの質問
●日本の文化に戸惑う外国人には、どのよう
に対処しているか?語学力がないと参加でき
ないか?“ようきたようきた”パンフレットの他
の言語版も増やしていくのか?より多くの居住
者に告知するツールは?それぞれの団体の横
のつながりがあるのか?
●“文化”という言葉をどんな定義で使ってい
るか?など
◎参加者からの意見
地元の人が地元の人の話を聞く場を作ると
いうことは、どの地域・どの国においても非常
に大切なことだと思う。自分の地元を深く知る
ことで、国内外を問わず広く故郷をPRしてい
くことができるのだと思う。私自身、自分の故
郷についてより学びを深め、自信をもって故郷
をPRできるようにお客様をおもてなししたい
と感じた。
◎まとめ(吉富 志津代さん)
パネラーは、すごく頑張っている人達だけど、
特別な人ではなく、一人一人の気持ちで、色々
な形のやり方がある。多文化共生の“共生”は、
とても日本的な言葉で英語に訳すのは難しい
が、日本語での“共生”は日本の文化に根付い
た調和の“和”につながる。和に至るプロセス
で“多文化”や“違うということ”で、もめるこ
となどもあるだろうが、その過程でしっかりと
自分自身を知って、この町が大好きな人たち
が、最終的にどのように“共生”し、
“和”をつ
くっていくかが大切。プロセスを省略しないで、
違うということを出し合って、そこから学び、違
いを認めたうえで、何か自分でできることを考
えていくことが、共生であると思う。
3.担当実行委員コメント
異文化理解や多文化共生というと、何とな
く難しく聞こえるが、実はそれは自分の住む地
域やそこに住む人、日本について思いをはせる
ことにつながるということを実感した分科会で
あった。
3人の発表者はそれぞれの活動をして
いるが、基本は自分や地域のことをよく知って、
ほかの人と共に生きていく視点をもって活動
している点で同じであった。質問コーナーでは
いろいろな質問が出て、活発な交流ができた。
進行役の吉富さんは、日本の和の文化は“共
生”につながり、それぞれの違いを認めたうえ
で、そのプロセスを大切に、そこから学び、自
分でできることを考えてほしいと言われた。国
際交流の活動をしていなくても、個人の生活の
中で、共に生きるという視点をもつことで人と
のつながりが生まれ、そのことが市民力につな
がるという思いを抱かせてくれた分科会であ
ったと思う。
<分科会担当実行委員>
木下 くみ子(高知SGG善意通訳クラブ)
<分科会運営スタッフ>
受付▶白木 星果(高知SGG善意通訳クラブ)
加藤 さくら(高知県立大学生)
運営▶田中 伊緒(高知SGG善意通訳クラブ)
記録▶小槻 規子(高知SGG善意通訳クラブ)
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
31
分科会
3
市民力を高める
仕 組 み づ くり
地域で実践できる
フ ァ ン ド レ イ ジ ン グ!
参加者▶ 50人
分科会
4
市民力を高める
仕 組 み づ くり
東日本大震災広域避難者の
支援を考える
参加者▶ 38人
会 場▶ 高知県立県民文化ホール 4階 第6多目的室
出演者▶事例発表
新井 康子さん(えんじょいんと香美 代表/高知)
三浦 綾さん(ひろしま避難者の会アスチカ 代表/広島)
鈴木 訪子さん(社会福祉法人荒川区社会福祉協議会
会 場▶ 高知共済会館 3階 藤
出演者▶パネリスト
我如古 盛修さん
(公益社団法人青年海外協力協会沖縄事務所/沖縄)
久津摩 和弘さん
地域ネットワーク 課課長/東京)
(Community Fundraising Japan 共同代表、
社会福祉法人山口県共同募金会・山口県社会福祉協議会
主任主事/山口)
浦井 理恵さん
(株式会社テラムラ総務課企画室/高知)
コーディネーター
栗田 暢之さん(NPO法人レスキューストックヤード代表理事、
愛知県被災者支援センター センター長/愛知)
コーディネーター
東森 歩さん(ファン度レイジング・マーケティング 代表/高知)
1.概 要
1.概 要
地域でできるファンドレイジングについて
沖縄県、山口県、高知県での地域版ファンド
レイジング事例を参考に参加者と共有し、地
域で成功するファンドレイジングについてそ
のヒントを学んだ。
2.主 な 内 容
まずキックオフとして、コーディネーター役
の東森(ファン度レイジング・マーケティング
代表)から、ファンドレイジングの用語の解説、
そして本分科会のテーマである「地域ででき
るファンドレイジング」についてそのポイント
として「寄付を集める立場、寄付を出す立場
の両者共に楽しむ(FUN)こと」と、
「社会的
課題を解決する活動を応援する(FAN)」気
持ちの度合いをレイジングする、ファン度レイ
ジングであることを解説。分科会のテーマと
事例の聴きどころについて道しるべを示した。
事例紹介では3つのファンドレイジング成
功事例を紹介。
まず一つ目は沖縄県みらいファンドがおこ
なうファンドレイジングの「カンパイチャリテ
ィ」や子どもたちがスポーツ大会参加のため
に行うファンドレイジングを沖縄国際協力事
務所の我如古さんが解説。狭い地域の中の、
32
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
人間関係の濃い近所付き合いの中で、日常
生活シーンに寄り添った事例を紹介。沖縄流
のファンドレイジングのポイントとして「子ど
もにファンドレイジングをやらせてみること」
を事例で示した。
次に山口県共同募金会から「募金百貨店
プロジェクト」の取り組みについて久津摩さ
んから紹介。赤い羽根共同募金の取り組みと
して、多岐にわたる企業とのコラボーレーシ
ョン・ファンドレイジングを成功に導いている。
地元のスーパーマーケットでの飲料の売上に
寄付をつけたり、寝具店の枕、アパートの家
賃、居酒屋の生ビールなど生活シーンのいろ
いろな場面で「募金百貨店プロジェクト」に
出逢うことができる。県庁や市役所の食堂に
寄付つきメニューを登場させるアイデアには
会場全員が共感をした。
続いてご当地高知の事例で、葬祭に寄付
をつける「寄付ぎふと」が登場。この企画の
立案者のひとりである浦井さんから紹介。浦
井さんは株式会社テラムラにて「寄付ぎふ
と」の営業推進役を務めながら、NPO高知
市民会議の理事としても活躍している。
「寄
付ぎふと」は、香典の一部を寄付にして、会
葬者に御礼と共に寄付の報告をするという
日本でも初めての葬祭寄付である。寄付を集
めたいNPOに代わって葬儀社が寄付を集め
3.担当実行委員コメント
2.主 な 内 容
地方だからこそできるファンドレイジング
として、沖縄県、山口県、高知県となかなか
揃うことのない各地域の事例を集めたこと
が、バリエーションに富んでいて聴き応えの
ある分科会になったと感じている。資源に限
りある地方でのファンドレイジングは、アイデ
アと情熱をもってファン度レイジングする、と
いうことに尽きることが参加者にも伝わった
と思う。
①事例発表:20分×3人
②全国の動向報告(栗田):30分
③質疑ならびにディスカッション:30分
者組織の設立の必要性を感じ2012年10
月にアスチカを発足した。交流カフェなどを
開き避難者からの相談を丁寧に聞く、避難者
と支援者とをつなげる活動などもおこなって
いる。いまは常設の活動拠点をつくることが
目標。
三人目、鈴木訪子さん。荒川区社協は、東
京都の「孤立化防止事業」を受託し専従のコ
ーディネーターを設置して避難者の支援をお
こなっている。避難してすぐの頃は物資がな
い・送迎をしてほしいなどニーズが見えやす
く、それらと支援者の思いとをつなぐことに
力を入れてきた。避難生活が長期化するにつ
れ、不安や困りごとが個別化・潜在化してき
ており、
“何気ない話や呟き”からニーズをキ
ャッチすること、またそうした状況を風化させ
ず区民に伝える努力をしている。
①事例発表
②全国の動向報告
る役割を果たすこと、その葬儀社からの視点
での企画ポイントなど、参加者はすぐにでも
葬儀社に連絡したくなるノウハウが凝縮され
ていた。
<分科会担当実行委員>
東森 歩(ファン度レイジング・マーケティング)
<分科会運営スタッフ>
受付▶岡﨑 稚奈(高知県立大学)
坂本 梨花子(高知県立大学)
運営▶島村 由記子
(ファン度レイジング・マーケティング)
岡林 京子
(こうちファミリーサポートセンター)
東日本大震災により、住み慣れたふるさと
を離れて全国各地で生活している、いわゆる
「広域避難者」の方々。避難生活の長期化に
伴い課題を抱える方々のニーズは多様化・
深刻化しつつある。特に支援の必要な方々の
個別的な課題に対しては、伴走型支援(パー
ソナル・サポート)が必要ともいわれている。
避難をされている被災者の現状を知り、そ
の自立を支えるための息の長い支援につい
て、ボランティアにできることをともに考えた。
一人目、新井康子さん。福島県いわき市か
ら2012年高知県香美市に一家で避難した。
避難者と地元高知のボランティアが協力しあ
って2012年夏と2013年夏の2回、放射能
の影響に不安のある親子を受け入れる保養
キャンプを実施した。また高知の野菜を被災
地に向けて宅配している。えんじょいんと香
美は、避難者と避難先と被災地とが共に縁で
結ばれるような活動ができればいいと思って
いるが、一方では資金確保やボランティアで
の継続の困難さも感じている。
二人目、三浦綾さん。震災直後に広島に母
子避難をした。当初は地元社協等の主催で
交流会等を開催してもらったが、支援者に気
を遣うことも多かった。徐々に避難者の当事
震災後2年8カ月が経過し、警戒区域から
の避難者と自主避難者の間での心の溝、福
島県と周辺ホットスポットとの溝などの分断
がある。避難者の課題は減っていないのに
「まだ言ってるの?」などと冷視されるように
もなってきている。
避難者は全国各地に分散しているが、支援
はすべてが善意に頼っており、支援者の側に
も人材・ノウハウ・資金などの不足から疲れ
が出ている。
しかしながら、発災後3年目が孤独死最多
との予測もあり、避難先の地域において孤立
化させないための取り組みを行政や専門家
と協働しておこなうことが必要である。
この問題は日本初の国難であり、ボランテ
ィアベース(がんばろう)だけでは解決しない。
しかし、風化が進んでいる状況下では、ボラ
ンティアでもNPOでも社協でも誰でもいい
から決して絶望者を出してはならない。
③質疑ならびにディスカッション
栗田氏進行のもと、
3人の事例発表をさら
に深める意見交換がなされた。
3.担当実行委員コメント
東日本大震災から2年8カ月が過ぎて問題
そのものが忘れ去られようとしているなか、
全国ボランティアフェスティバルにおいてこ
のテーマを取り上げることができて本当によ
かった。
ニーズが潜在化・個別化・複雑化している
状況にあっては、人と人、人と機関、機関と
機関をつなぎながら、困難な人にはさりげな
く寄り添い、何気ない言葉からニーズをキャ
ッチして支援を展開する社会福祉協議会の
役割がますます重要性を帯びてきているよう
に感じた。
<分科会担当実行委員>
徳弘 博国
(社会福祉法人香美市社会福祉協議会)
<分科会運営スタッフ>
受付▶比江森 志乃
(社会福祉法人香美市社会福祉協議会)
運営▶島津 佐知子(えんじょいんと香美)
記録▶岡本 真一
(社会福祉法人香美市社会福祉協議会)
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
33
分科会
5
市民力を高める
仕 組 み づ くり
「広がれボランティアの輪」学園
分科会
市民力を高める
6
組 織 づ くり
∼午前の部・ボランティア基礎編∼
参加者▶ 85人 会 場▶ 高知会館 3階 飛鳥
出演者▶1限目講師
水谷 綾さん(社会福祉法人大阪ボランティア協会 事務局長/大阪)
2限目講師
原田 正樹さん(日本福祉大学 学長補佐/愛知)
学園長
山崎 美貴子さん
これからの
災 害 ボ ラ ン テ ィア
センターを 考える
(「広がれボランティアの輪」連絡会議 会長、
神奈川県立保健福祉大学 顧問・名誉教授/東京)
進 行
山内 明子さん
(日本生活協同組合連合会 執行役員・組織推進本部長/東京)
参加者▶ 102人
会 場▶ 高知会館 2階 白鳳
出演者▶ パネリスト
北川 進さん(社会福祉法人石巻市社会福祉協議会
ささえあい総括センター 所長/宮城)
田尻 佳史さん(認定NPO法人日本NPOセンター
常務理事兼事務局長/東京)
コーディネーター
川竹 康寛さん(社会福祉法人南国市社会福祉協議会
事務局次長/高知)
1.概 要
ボランティア活動をこれから始めたい人も、
これまで長年続けてきている人も、ボランテ
ィア・市民活動にまつわる「今さら聞けない
基本の話」や「ここでしか聞けないこぼれ話」
を、
「広がれ」学園で学んだ。
2.主 な 内 容
オリエンテーションでは学園長の山崎さん
から「広がれボランティアの輪」連絡会議の
団体及び活動紹介が行われた。 本分科会は、学校の講義を模した内容とな
っており、午前の部ではボランティア基礎編
として、2つの講義が行われた。
1限目として、社会福祉法人大阪ボランテ
ィア協会事務局長の水谷さんが、
「きほんの
き!NPO/NGOとボランティア」のテーマで
講義を行った。
講義内容は、ボランティアとは何か、ボラン
ティアが持つ力とはどのようなものであるか
を解説していただいた。また、ボランティア活
34
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
動を社会に広げていくための手段の一つと
して、NPO/NGOを組織化する方法を講義
いただいた。最後に、ボランティア活動を行
っていく上でミッションを確認するなど明確
なビジョンを持たないと組織運営が困難で
あると解説いただいた。
次に2限目として、日本福祉大学学長補佐
の原田さんが「実は知らない、ボランティア
の歴史と変化」のテーマで講義を行った。
講義内容は、ボランティアの語源から世界
のボランティア活動の歴史及び日本における
ボランティア活動の歴史と動向について解説
いただいた。
また、ボランティアのあり方や今日的な価
値について、関連法や著名な人物の言葉を
引用しながら解説いただいた。その中で、今
日のボランティアのあり方を考える上で、他
人を支える「支え上手」だけではなく、自分
自身も支えられる「支えられ上手」になる必
要があること、この「支え上手・支えられ上
手」が双方向に良い働きをすることで人同士
が認め合い、支え合う社会が作られるのでは
ないかという提案をいただいた。
3.担当実行委員コメント
分科会参加者の方々は、比較的ボランティ
ア経験が豊富な方が多いように見受けられ
たが、講義を熱心に聞いている姿が印象的
でした。
<分科会担当実行委員>
阿南 健太郎
(財団法人児童健全育成推進財団)
田尻 佳史
(認定NPO法人日本NPOセンター)
<分科会運営スタッフ>
受付▶脊戸 明子(NPO法人IAVE日本)
運営▶青塚 和子
(財団法人おもちゃの図書館全国連絡会)
記録▶梅沢 元彦
(NPO法人チャイルドライン支援センター)
1.概 要
日本ではこれまで多くの自然災害が発生
し、人々のこころや身体、暮らしに大きな傷跡
を残していった。その際、被災者の力になり
たいと全国各地から被災地に集まったボラン
ティアが、心温まる活動を繰り広げた。そこで
被災者の皆さんとボランティアを「つなぐ」
役割の一端を担ったのが、災害ボランティア
センターである。この分科会では、災害ボラ
ンティアセンターについて、東日本大震災の
経験から今後のあり方を皆さんで検討した。
2.主 な 内 容
最初に田尻佳史さんから災害ボランティア
センターの今までの歴史や、今ある現状の問
題提起、災害ボランティアに関わる各団体の
特徴などを話していただいた。
次に北川進さんより東日本大震災や宮城
県沖地震などの経験・体験を踏まえての災
害ボランティアの活躍やボランティアセンタ
ーの設置例などの話をしていただいた。
お二人のお話を踏まえたうえで、コーディ
ネーターの川竹康寛さんを含めた3名でパネ
ルディスカッションを行った。
災害ボランティアセンターの現状や今後に
ついてのアドバイスをしていただいた。
グループワーク①
「災害ボランティアがすべきと考える仕事
とはなにですか?」をおこなう。方法はKJ法
を活用。支援者の立ち位置で検討してもらう。
グループワーク②
「地域の方が災害ボランティアに求める仕
事はなにですか?」を行う。方法はKJ法を活
用。地域の方がボランティアに求める仕事は
何かというのを検討してもらう。
二つのグループワークが終了した時点で、
支援者がすべきことと地域の方が求めること
との違いは何なのかということを皆さんで共
有してもらった。
最後にまとめとしてパネリスト、コーディネ
ーターの3者で質疑応答とまとめのコメント
をいただいた。
災害ボランティアセンターとしての今まで
の取組みにとらわれることなく、地域に合っ
た形を考えていくことが大切であるというこ
とだった。
3.担当実行委員コメント
災害ボランティアセンターが東日本大震災
の経験を踏まえて発展できればよいと考え
企画した。
今までにない問題提起やグループワーク
ができたのではないかと考えている。
<分科会担当実行委員>
丹生谷 行朗
(社会福祉法人南国市社会福祉協議会)
<分科会運営スタッフ>
受付▶北野 友也
(社会福祉法人南国市社会福祉協議会)
運営▶柚村 誠(日本赤十字社高知県支部)
記録▶中本 有香理
(社会福祉法人南国市社会福祉協議会)
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
35
分科会
市民力を高める
7
組 織 づ くり
分科会
市民力を高める
8
地 域 づ くり
移動制約者に
や さ し い 街 づ くり
∼ユニバーサルな移動手段を考える∼
NPO経営塾
参加者▶ 47人
会 場▶ 高知会館 3階 平安
出演者▶ パネリスト
前田 梢さん(NPO法人高知県肢体障害者協会 理事/高知)
吉永 美佐子さん(NPO法人高齢者快適生活つくり研究会 代表理事/福岡)
片岡 朝美さん(NPO法人地域サポートの会さわやか高知 理事/高知)
上田 一彦さん(高知県地域福祉部障害保健福祉課 チーフ/高知) 参加者▶ 18人
会 場▶ 三翠園 6階 高見の間
出演者▶ 事例発表
四宮 成晴さん
(NPO法人土佐の森・救援隊 理事/高知)
講義・進行
上田 健作さん(高知大学人文学部 教授/高知)
1.概 要
本分科会7は、高知県ボランティア・NPO
センターが主催している『NPO経営塾』のス
タイルで実施された。
『NPO経営塾』とは、N
POの理事・職員を主たる対象としてその経
営力の向上を目指した学習会であり、組織の
ミッションを効果的に実現していくための経
営のあり方を参加者が所属する団体の実践
事例を題材に研究・協議するものである。今
回は、NPO法人土佐の森・救援隊の活動事
例を題材に「NPOの『広報』の本質」につい
て全国から集まった皆さんと研究・協議を行
った。
2.主 な 内 容
1)実践事例報告
まず、高知県の森の荒廃と林業の衰退に
関するお話しとともに『土佐の森・救援隊』
の活動背景について説明があった。個人を担
い手とする小零細林業の衰退が森荒廃の最
大要因であり、こうした小零細の林業従事者
の復活が林業と森の再生に大きく貢献する
ということである。
『土佐の森・救援隊』では、
『自伐林業』
(個人でもできる林業の形態)を団体自らが
実践しつつ、当該林業による林業従事者の復
36
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
活(『自伐林家』の育成)及び『自伐林業』
が持続的に発展するために必要となる仕組
みの開発を通じて『地域と歩む林業』の構築
を目標にしていること、それを実現するため
に工夫を凝らした様々な具体的実践例につ
いて報告がなされた。
2)研究・協議
実践事例報告を題材に4グループに分か
れてNPOの広報にとって最も大切な要素と
は何かについて研究・協議を行った。事例報
告のわかりやすさもあって、初めて顔を合わ
せた人たちとは思えないほど和やかで活発
な意見交換が行われた。その結果以下のよう
な統一見解が得られた。
NPOにとって広報の技法も大切だが、そ
れ以上に大切なことは活動内容とその魅力
自体である。活動が前進しないとき、よく『広
報』の不足にその原因を求めることがあるが、
その際、活動自体の内容を振り返ってみる必
要がある。
さらに、NPOの広報は「人々に元気と勇気
を与える広報」でなければならない。このコ
ピーは、本分科会におけるすばらしい副産物
であったと思う。
コーディネーター
田中 きよむさん(高知県立大学社会福祉学部 教授/高知)
3.担当実行委員コメント
すばらしい参加者と事例提供者に恵まれ
て、
「NPOの広報の本質を再確認する」とい
う本分科会のミッションを達成することがで
きた。参加された皆さんが「タンポポの種」と
なり、NPO同士の学び合いが全国的にムー
ブメントになることを期待させてくれる一日
であった。ここに改めて参加者の皆さんに感
謝申し上げる。
<分科会担当実行委員>
上田 健作(高知大学人文学部)
四宮 成晴(NPO法人土佐の森・救援隊)
<分科会運営スタッフ>
受付▶中村 太亮
(高知大学人文学部3年生)
運営▶北村 真美
(NPO法人こうち音の文化振興会)
記録▶依光 真納土
(高知大学人文学部3年生)
1.概 要
高齢者・障害者の中には、車イス利用者や
歩行に不安が有り、思うように生活(社会活
動)出来ない方々は少なくない。それらの
方々に不安の無い環境づくりや、安全な移動
手段が求められてきている。バス・タクシー
のバリアフリー化、福祉有償運送やタウンモ
ビリティーといった移動制約者に沿った試み
も始まっている。移動制約者にとって、やさし
い街の在り方について、移動手段をテーマに、
それぞれの立場で、やさしい街づくりへの多
様な手段・方法検討し、包括的なやさしい移
動環境を考えるときである。
※タウンモビリティーとは、電動スクーター
や車イスなどを長距離の歩行が困難な人に
貸し出して、町の中を自由に移動できるよう
にし、買い物や散策などを楽しんで頂くとい
うものである。
2.主 な 内 容
高齢者や障害者の移動に不自由を感じて
いる方々の支援を実践されているNPO法人
等の活動家、利用者、そして行政の関係者そ
れぞれの意見、思いを紹介し、移動制約者の
支援を通した地域づくりを考えた。
福岡県久留米市でタウンモビリティーを行
われている吉永さん。高齢者の介護に従事さ
れており、日々のかかわりの中で介護保険等
の行政サービスだけでは、自由な行動や買い
物もままならない。手段を提供し実践を重ね
ることで、周囲も理解が生まれ、使いやすい
環境が生まれてくるようになった。
高知の福祉有償移送の認可第一号「さわ
やか高知」の片岡さん、地域の助け合いから
ニーズに応え始めたボランティアでの移送活
動。県下各地、過疎地域ではニーズはあるも
担い手不在で、なかなか実現していない。マ
インドタクシー等の試みも各地で始まってい
る。
両杖使用し歩行している前田さん、実際に
ひとりで電車・バスを利用するのは難しいし、
介護タクシーも増えて来たが、毎回利用する
には金銭的負担が大きいので結局、外出回
数を減らさざるを得ない。商店街の買い物に
ついても転倒等の不安はいつも付きまとう。
自身も活動する障害当事者団体の福祉有償
移送の車両を利用したり、高知でも始まった
タウンモビリティーを利用できるのは、非常
にうれしいしありがたい。
高知県の障害者対象のアンケートで、行い
たい行動の上位は、
「外出に買い物」と語る
高知県庁障害保健課の上田さん、過去3年
障害者週間等に合わせて、高知県社協の事
業としてイベント的に高知市の中心商店街で
タウンモビリティーを実施、今年度より月一
回のペースで地元NPOが運営する形で商店
街の協力も得て事業化することができ、利用
者には喜ばれており、一定の成果が出ている。
それぞれに語ってくれた。
3.担当実行委員コメント
移動制約者の問題は、さまざまな思考によ
り多様な選択肢が増えてきたが、いずれも解
決できるものではない。しかしながら選択肢
が増えることは豊かなことであり、多様な事
業を組み合わせることでより問題解決に近
づくものだと思った。多くの方に参加いただ
き、関心の高さを再認識した。今後多様な活
動が生まれ、やさしい街があちらこちらに出
来ることを期待したい。
<分科会担当実行委員>
中屋 圭二
(NPO法人高知市身体障害者連合会)
<分科会運営スタッフ>
三谷 英子
(NPO法人地域サポートの会さわやか高知)
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
37
分科会
9
市民力を高める
地 域 づ くり
「遊びは生きる力」
∼おもちゃ図書館の様々な活用方法∼
参加者▶ 68人
会 場▶ 高知商工会館 3階 寿の間
出演者▶ 基調報告
小泉 康代さん
分科会
10
市民力を高める
人 づ くり
地 球 のステージ
∼音楽と大画面の映像で、
世界が身近になる∼
(おもちゃの図書館全国連絡会 世話人代表/東京)
事例発表
三橋 巌さん(春野おもちゃ図書館 代表/高知)
森 依顕さん
(校舎の無い学校附属おもちゃの図書館 代表/徳島)
朝川 修子さん(福山おもちゃ図書館 代表/広島)
鳥海 洋治さん
(社会福祉法人福山市社会福祉協議会
福祉のまちづくり課/広島)
参加者▶ 120人
1.概 要
「おもちゃ図書館」には様々な形があるが、
今回の分科会においては、おもちゃを通じて
「地域で障害のある子どもたちの居場所づく
り」また「町づくり」
「幼老交流の場」へと活
動の広がりを図っている取り組みを紹介する。
「おもちゃ図書館」は、地域のニーズに応じて
活用され、またボランティア自身の興味や関
心のある分野での活動を広げていくことが
できる。全国各地で社協、行政等と協働し、
多くの「おもちゃ図書館」のボランティアが事
業の中で活躍している。
実際に各地域においておもちゃ図書館活
動を実践している3館より事例の発表があっ
た。
①三橋 巌さん(春野おもちゃ図書館代表)
高知市春野町芳原地区において、住民の
力でおもちゃ図書館を誕生させ、芳原町づく
り協議会発足など、地域づくりへと発展させ
た経緯、また地区の公民館での定例開催の
ほか、おもちゃ図書館が地域の様々な場所で
活用されていることなど、今後の課題などを
発表した。
②森 依顕さん
2.主 な 内 容
Ⅰ 基調報告
おもちゃの図書館全国連絡会は今年設立
30周年をむかえる。おもちゃの図書館全国
連絡会世話人代表小泉より、おもちゃ図書館
とは何か、歴史(世界、日本)、活動の移り変
わり、特色、これからの課題、東北での大震
災後の支援活動の様子などの発表があった。
また平成25年6月13日∼15日に東京にて
開催された「第4回アジア会議」の様子を報
告した。
Ⅱ 事例発表
38
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
(校舎の無い学校附属おもちゃの図書館代表)
森さんの「障がいのある子ども」との出会
いについてのお話、徳島県吉野川町での森
さんの取り組み「地域の老人と子ども(障が
いのある子どもを含む)と大人をつなぐ三世
代交流居場所づくり」について発表があった。
③朝川 修子さん(福山おもちゃ図書館)
鳥海 洋治さん(福山市社会福祉協議会)
福山市における、障がいのある子ども達対
象のおもちゃ図書館誕生の経緯、その後社会
福祉協議会の協力を得ながら、子ども達の
居場所づくりへと広がっていった経緯、また
社協の取り組みを発表した。
会 場▶ 高新文化ホール
出演者▶桑山 紀彦さん(認定NPO法人地球のステージ代表理事、
3.担当コメント
当初、高知での分科会開催には不安があ
ったが、全国から60名以上もの方に参加し
ていただき、大変有意義な分科会になったこ
とは大変嬉しく思う。
おもちゃ図書館の活動は、開催する地域の
独自性をフルに発揮して、地域のニーズに応
じたやり方が望ましいと感じた。会場の皆さ
んは、事例発表された講師の方々の熱意を
いっぱい受け止め、地元に帰ってからの活動
のエネルギーにしていただけたと思う。これ
から、少子高齢社会において、おもちゃが多
世代交流のツールとして活躍することと思う。
そして、認知症があっても、障がいがあって
もともに地域で生きていけるコミュニティー
が町のどこでも生まれることを願っている。
(高知おもちゃ図書館はとぽっぽ 濱田 百合子)
<分科会担当実行委員>
田村 和之(佐川おもちゃ図書館さくらんぼ)
<分科会運営スタッフ>
受付▶濱田 百合子
(高知おもちゃ図書館はとぽっぽ)
運営▶松山 明子
(新居浜おもちゃ図書館きしゃポッポ)
記録▶隅田 ひとみ
(おもちゃの図書館全国連絡会)
東北国際医療会 心療内科医/宮城)
共 催▶J
ICA四国
1.概 要
東日本大震災で被災しながら、翌日から
24時間体制で被災者の診療にあたり、現在
も診療内科医として心のケアにあたっている
桑山院長。
災害・紛争・飢餓・貧困、地球の抱える問
題にどうアプローチしていくのか・・・
院長の国内外でのこれまでの経験をもと
に、世界で起きている様々な出来事を、講演
形式ではなく、音楽と大画面のビデオ、スラ
イドに写しだし、語りと曲で構成していく「映
像と音楽のシンクロ」ステージ。
参加の皆さんの、私たちの生き方のヒント
にしていただく。
2.主 な 内 容
◆世界がどれだけ広いのか、どんな民族がど
んな暮らしをして、何を願っているのか。
◆世界の貧しさの現状を伝えると共に、その
困難をどのようにして克服し、人がどう強く
なっていくのか。
◆紛争の中で生きるという困難をどのよう
に乗り越え、尊厳を持ち生きていくのか。
◆世界各地で起きる自然災害、そして「地球
のステージ」自身が被災した2011年3月
11日の東日本大震災。人はどのように乗り
越えてきたか。
人はだれしも人生でぶつかる壁がある。そ
の壁を乗り越えようと一生懸命に努力するこ
と、乗り越えてゆくことによって人は強くなれ
る。
世界の困難、日本の困難、心に傷を負った
人と接するときいちばん大切なこと…事例を
紹介しながら紡いでゆく音楽と映像のステー
ジ。貧困と生きる力強さ。紛争と生きる力強
さ。災害と生きる力強さについて考える。
【地球のステージ1】
①オープニング【STAGEon EARTH】
②放浪篇【アメージンググレース】
③中南米篇【地球の詩】
④フィリピン篇【還ろう】
⑤ソマリア篇【風の国の道】
⑥震災篇【この国へ】
⑦エンディング【まあるいひかり】
3.担当実行委員コメント
人・モノ・お金が世界のグローバル化によ
って、大きく動く時代に私たちは生きていま
す。私たちの暮らすこの高知でも、身の回り
にある食料品・衣料・電化製品などあらゆる
ものが外国から輸入され消費されています。
私たちが大量消費しているものが実は児童
労働や環境破壊・・・誰かの犠牲の上に成り立
っているのだとしたら…そのようなつながり
に気づき・考えるきっかけとなり、多くの来
場者からも感動の涙が止まらなかったとのコ
メントをいただくことができました。
<分科会担当実行委員>
山内 桂(国際協力機構JICA四国)
<分科会運営スタッフ>
運営▶安地 勝江(高知大学国際茶屋)
記録▶西岡 幸司(高知大学国際茶屋)
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
39
分科会
11
市民力を高める
人 づ くり
子育ては未来への種まき
∼子育て・若者を育てることは
社会全体の使命∼
分科会
市民力を高める
12
仕 組 み づ くり
中山間地域から進めるこれからの
「福祉」と「まちづくり」
参加者▶ 137人
会 場▶ 高知県立県民文化ホール グリーンホール
出演者▶ 基調講演
矢田 宏人さん(厚生労働省社会・援護局地域福祉課 課長/東京)
事例報告
辻駒 健二さん(川根地区振興協議会 会長/広島)
尾崎 弘明さん(社会福祉法人しまんと町社会福祉協議会
福祉活動専門員/高知)
コーディネーター
小坂田 稔さん(美作大学生活科学部 教授/岡山)
参加者▶ 75人
会 場▶ 高知県立県民文化ホール 4階 第6多目的室
出演者▶ パネリスト
今城 逸雄さん
1.概 要
(高知大学社会協働教育部門 特任講師/高知)
和食 仁志さん
(人材育成研修講師・人づくりアドバイザー/高知)
進 行
高橋 美佐子さん
(NPO法人高知市こども劇場 理事長/高知)
1.概 要
子どもや若者を支え導くことは、未来を支
え導くこと。今を生きる大人の忘れてはなら
ない使命である。多彩な経歴を持ち、現役パ
パとして、大学教員として意欲的に若者に関
わる今城先生。自身は子育てを終え、30年
間中高生のためのボランティア塾を運営し地
域の子どもたちを支え、現在は社会人教育に
携わる和食先生。二人をパネリストに迎え、
参加者には、子どもや若者を支え導くエッセ
ンスと活動のための元気とモチベーションを
持ち帰ってもらう。
2.主 な 内 容
導入部分では、パネリストのプロフィール
をエピソードなどを交えながら楽しく紹介。
参加者とパネリストの心の距離を縮めてから、
パネルディスカッションに入った。
パネルディスカッションは、前半部と後半
部に分けたが、前半部ではパネリストそれぞ
れの立場から感じている現代の子どもや若
者を取り巻く環境や現状を出し合いながら
抽出。
後半部の冒頭に今城先生が携わる高知大
学の地域協働教育部門の学生が着ぐるみシ
ョーを披露。なぜ、大学の授業でこういった
ものが必要とされるようになったかという話
を皮切りに、前半部で抽出した現状・問題に
対するアプローチや心の持ち方、考え方、実
際の解決エピソードなどの話へ進んだ。
最後に、分科会のテーマについてパネリス
40
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
トそれぞれの思いを語ってもらい、閉会とした。
プロフィール紹介で参加者にも知ってもら
ったように、挫折や様々な人生の転機を乗り
越えながらも、明るさと爽やかさを失わない
パネリストの口から語られる言葉にはパワー
と説得力があり、参加者に活動のためのヒン
トやモチベーション、心のよりどころを与えら
れたと思う。
3.担当実行委員コメント
大会の性質上、参加者はNPO・ボランティ
ア活動を日頃から人生の一部として活動して
いるため、講師の話を自分の身に置き換えて
考え、共感し、私たち企画側が届けたかった
ことを受け止めてくれていた。NPO・ボラン
ティア関係者という絞られた相手だからこそ
成し得た成果でもあったと感じている。
一方、様々な年齢層、所属層から成る参加
者に対して、一律の答えを押し付けるのでは
なく、参加者それぞれが講師の話を自分の中
に置き換えて「落としどころ」を見つけてもら
う内容だったため、受け取る側の力量に依る
部分が多く、中には全然腑に落ちなかったと
いう参加者も予想どおり存在していた。特に
NPOや地域ボランティアなどに無縁の方に
は理解が難しかったはず。しかしながら会の
性質上、講師の話を自経験に置き換えて考
えられる参加者の方が圧倒的に多いはずで
あり、個々人の満足度は高かったと確信して
いる。
魅力ある講師の先生方の話から、活動の
ためのヒントやモチベーションを持ち帰って
もらうことを目的にプログラムを進めたが、
講師の先生方は期待以上に参加者の心をつ
かみ、効果をあげてくれた。高知の優れた人
材を参加者に紹介できたことも喜ばしい。講
師の先生方の話に強く感銘を受けた人たち
は、終演後アンケートなど書かずに、講師の
先生にはりついて話をしたり、名刺交換をし
ていた。実際アンケートには反映されていな
い喜びの声もあると思う。
「今日の分科会が
今までで一番良かった」
「ありがとう」と声を
かけてくれた参加者もおり、企画側も報われ
るありがたい経験をさせてもらった。
今回、
「子育て」というキーワードに興味を
示して参加を申し込んだ方が多かったと思う。
定員を上回る申し込みを受けた結果から、こ
ういったものに対するニーズの高さも伺える。
年齢層も子育て世代、孫世代が半々ぐらいで、
大会の年齢比率から言っても若めの分科会
ではなかっただろうか。若いNPO・ボランテ
ィア層を呼び込むためにも、こういった子育
て関係の分科会をもう少し増やすべきでは
ないかと感じた。
<分科会担当実行委員>
高橋 美佐子(NPO法人高知市こども劇場)
<分科会運営スタッフ>
受付▶岡本 多樹
(NPO法人高知市こども劇場)
運営▶武市 真寿美
(NPO法人高知市こども劇場)
記録▶坂倉 豊
(NPO法人高知市こども劇場)
今後も益々過疎・高齢化が進行すると予想
される地域において、これから必要な地域づ
くりの方法とは? 住民・中間支援組織・行
政それぞれの立場から「福祉」や「まちづく
り」についてディスカッションし、中山間地域
をはじめ、超超高齢化を迎えた日本の地域づ
くりについて考えた。
2.主 な 内 容
●矢田 宏人氏
「福祉」
「まちづくり」を進めていく必要性、
社会的背景、国としての取り組み、大きな動
きを知っていただく。
1.地域福祉の推進について
行政のタテ割りをなくし「人」
「世帯」にし
っかり注目し総合的な対応ができるようすす
めていかなければならない。施策はもちろん
のこと、そういった課題に対応できる地域づ
くりもすすめていく必要がある。
2.生活困窮者の支援
生活保護は最後のセーフティネット。生活
保護の相談は年間約80万件、そのうち受給
開始が40万件ほど、後の40万件の人はギリ
ギリの生活が続いている。働ける世代の受給
率も以前に比べ高くなっている。
今国会で提出している生活困窮者自立支
援事業は生活保護手前のもう一つのセーフ
ティネットであり、様々な機関と連携し自立に
めけて支援していく仕組みづくりとなる。
3.ボランティアの全国的な活動状況
約20万団体、900万人の方が活動してい
る。
女性活動者が7割。男性活動者を多くして
いくことが課題。
高齢者福祉関係が多い。
住民参加型の福祉サービスが増えてきて
おり支え支えられの仕組みができつつある。
来年度、企業訪問ができるような予算を立
てており、今後の人材育成・確保に備えてい
る。特に中山間地域は、NPOなどの団体も
少ない。行政・社協・住民が協力し、ちょっと
したことからはじめるコーディネーターも、居
場所交流の場、気軽に相談できるような場所
があればよいと思う。まちづくりや集落の活
性化についての補助金は、福祉事業だけで
なく、他省庁のまちづくりのための経費があ
る。それらを上手に総合的に活用していくこ
とがよいと思う。
●辻駒 健二氏
42年前、行政に頼っていたら地域がなく
なるということで、全戸加入の川根地区振興
協議会を設立。昭和の町合併で役場が地区
より30分以上かかる場所に、当時は車を持
っている人も少なく何か用事をしようとして
も一日仕事。自分達は特別なことをしている
わけではない。自分達の地域は自分達で守る
ということを実践しているだけ。20数年前代
表になった当時は、
「なぜ、自分らがここまで
しないといけないのか。自分達が何もかにも
したら行政がくせになる。」行政がすることは
“させにゃならん、せにゃならん”という意識
だった。その関係がずっと続いてきていた。
地域を守りながらこれからどうしていくのか、
要は「攻め」の地域づくりをしていかないと
地域が活性化しないと思った。要求型から提
案型へ、自分達のまちをどうするかまず議論
しないといけない、そしてそれは個人の意見
ではなくて住民総意の意見にしないといけな
いと言った。自分達が住んでいるまちは自分
たちで経営しよう。自分達がここでどう生き
るかを考える事がポイント。人任せではいけ
ない。
●尾崎 弘明氏
住民座談会を開催。いいところ、不安・課題
を出し合う場を作ったところでた意見は、先
行きの不安、交通の便、ひとり暮らしの不安、
集落機能の低下の声が多数あがった。しかし、
解決とまではいけなかった。そこで、健康福
祉部の後押しもあり生活支援サポーター養
成研修を実施。地域での支え合い活動の再
確認。個人の能力や特技を活かし楽しみなが
らできる支え合い活動をみつけてもらおうと
研修を3回、
6小学校区で開催し、120名の
サポーターができた。その中で、隣近所の助
けあいが大事、行政任せではいけないとの意
見。
自分の地域の5年後10年後を考えてもら
うとともに地域の現状・課題を話し合い、地
域の目標を立てた。
住民から絵に書いた餅にならないようにと
声があり、話し合う場を設けた。
仁井田地区では、地域の方を巻き込んで
何かをしようということでお月見会を開催し、
成功。その後1つの組織が立ち上がった。
継続支援をどうしていくのか、サポーター
の位置づけや役割がまだまだ不十分
サポーター同士の連携、仕組みづくりをす
すめていかなければならない。
社協として、地域に出向き、地域の方と一
緒に課題にぶつかり汗をかくことが大事。
●小坂田 稔氏
大きな面積の中に少ない人口という中山
間地域に共通する特徴。10年後には様々な
影響がでてくると考えられる。
これからの地域づくりを進めていくにあた
り、従来は「守っていく」、問題がでてきたら
それをどう保護・支援するかということが大
きな課題だった。これに加えこれからは「攻
めていく」自分達で発想し造っていく、提案
していくという2つの視点が求められてきて
いる、そしてこの「攻め」と「守り」をどう合わ
せていくのかということ。
現状の中山間地域では、住民あるいは社
協だけでは地域づくりを進めていくことはで
きない。多くの人が関わりながら連携してい
かないとならない。
地域の実態をまず明らかにし、課題ニーズ
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
41
分科会
12
をまず「見える化」していかなければ住民が
取り組んでいくことができない。
地域の特徴、いいところを見つけていく作
業が大事。外部の目で地域を見ることも重要。
プロセスを大切にするということ。丁寧に
何度も何度も話し合いの場を重ねることが
重要。
今までは伝統重視、男性中心の一戸1票制
の地域づくりだった。これでは多くの意見が
反映できない。一人1票制で男女分け隔てな
くみんなが参加できる、そういう場を作って
いくことが特に中山間地域では大事となって
くる。
もう一つ重要なのは、従来は地縁型の場を
つくってきた。むしろ多くの方に参加いただ
きテーマ型、目的を持った場を作っていくこ
とが求められている。
これから都市部も高齢化が進んでくる。現
在の中山間地域の取り組みが今後の都市部
にとって大きな参考になる。
◎パネルディスカッション
Q.
(辻駒健二氏に)住民の理解をどう得て
きたのか。仕掛けをどうしてきたのか。
A.1970年の災害と昭和の町合併がポイン
トだった。自分達の町がなくなるという危機
感。しかし、時がたち、振ればでてくる打出の
小槌のように要求すれば役場が答えてくれる
というカタチができてきてしまった。そこに中
学校の統合問題がでてきた。その時に住民
が再び危機感を持ち、話し合い自分達の地
域を考えるきっかけとなった。
既存の婦人会(女性会)を廃止し、組織の中
に女性会を作った。それが大きな力となって
いる。行政に頼るのではなく、行政と共有す
る環境をつくるということが重要。
住民が力をつけることで役場職員の意識も
変わってきた。
Q.
(尾崎弘明氏に)意識を作っていくという
取り組みをどう進めたか。
A.まず、住民座談会において地域について
考えてもらうことを仕掛けた。人ごとではな
いということを伝えてきた。生活支援サポー
ターの活動に取り組んでいくことで、自分た
ちにできること、行政ができることなどサビ
分けができ、課題解決の取り組みが進むよう
になった。地域の実態を明らかにし、住民の
意識変革を進めていく際、社協が重要な役
割となる
Q.
(矢田氏に)住民活動や住民主体で参加
していくという部分で何か意見があれば。
A.補助金はあるが、市町村単位まで伝わっ
ていないということがある。住民にも伝わっ
ていない。情報が来れば攻めていく力がもっ
と出来上がっていくと思う。今各地で取り組
まれている良い取り組みをもっと発信してい
くべき。なるべく使いやすいお金を作る努力。
42
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
市民力を高める
福祉教育、小さい頃からの教育も重要になる。
(小坂田氏)情報を得る場がない。住民と行
政が同じ場所で話し合うことでよりタイムリ
ーな議論ができる、一つにはそういう場作り
が必要と考える。
大阪の岬町では大人の民生委員とともに子
ども民生委員もおこなっている。そこで何が
変わったかというと子どもはもちろん親が変
わった。親が変わると地域が動いていく契機
になる。
Q.
(辻駒氏に)みなさんに対してこう関わっ
て欲しいということがあれば。
A.自分たちがぼうっとしていれば役場もぼ
うっとしている。行政に頼るのではなく自分
達で考え、行政に要求するのではなく議論を
することが重要。
Q.
(尾崎氏に)社協として住民と行政をど
うつないでいくべきか?
A.社協はパイプ役になる。そして、黒子役に
徹しお手伝いをしていく。行政・住民ができ
ることを明確にし、調整すること。
Q.
(矢田氏に)行政が立割りでバラバラ。ど
のように横串をさせるか?
A.今回の生活困窮者自立支援事業は、行政
の立割りをなくすこと、住民との協働を目指
しましょうというのが大きなポイント。相談を
受け止め、個人・世帯をしっかりと見据え、自
立プログラムを行政だけではなく社協やNP
O、社会福祉法人や民間企業などの力を借り
て一緒に作っていかなければならない。今国
会で成立すると、平成27年から施行になる。
相談事業は必須事業となるので、どの地域で
も展開がなされていくことになるのでそのよ
うな仕組みが広がると思う。
(小坂田氏より)最後に。
岡山県笠岡諸島のこども達が地域福祉活動
計画を立て地域の方に発表をした際に、書い
た手紙
拝啓10年後、笠岡諸島に暮らすあなたへ
10年後の笠岡諸島では変わらず美しい海と
砂浜はありますか
10年後、変わらずたくさんの魚がやってきて
いますか
10年後、変わらず観光客の人は来てくれて
いますか
10年後、祭りや踊りは受け継がれています
か
10年後、お年寄りの元気な姿はありますか
10年後、静かな夜はありますか
10年後、私たちの母校はありますか
私たちはどうしたら笠岡諸島が楽しく素晴
らしい島になるか考えました。
どうか私たちが笠岡諸島に帰ることがで
きますように。
活動計画発表後の挨拶で、
「大人のみなさん、この計画を10年間しっか
仕 組 み づ くり
りと実行してください。もし実行しなかったら
ここにいる子ども達全員島に帰ることはあり
ません。」
子ども達が大人に突きつけた最後通告つ
まり脅し。その後最後に中学生が言った一言、
「もし、大人のみなさんがしっかり10年間こ
の計画を実行してくださったら10年後以降
は私たちに任せてください。私たちがしっか
りとやっていきます」
その後大人は変わり今実践を始めている。
これはどの地域でも言えること、自分達だけ
が考えているわけではない、子ども達も考え
ている。その子ども達の10年20年後に向け
て今私たちは立ち上がって自分達ができる
ことをやっていかないと1年後も2年後も見
えて来ない。今日出たいくつかのヒントを参
考にみなさんの地域でも取り組みを進めて
いただきたい。
3.担当実行委員コメント
この分科会では「行政」
「住民」
「社協(中
間支援組織)」それぞれの立場からこれまで
の取り組みも踏まえ中山間地域で進めるこ
れからのまちづくりのあり方を考えた。
パネラーの皆様からは、地域の実態を知り
その上でみんなでこれから地域をどうしたい
のか話し合い自分達の意思をしっかり持ち、
行政に足らないものを求め訴えるだけでは
なく、目標の共通認識を図り「守る」ことと
「攻める」地域づくりをこれからは進めていく
ことが大事という共通のお話があった。
「み
んなで」というのは、世帯主だけでなく子ど
も・女性も含めた住民はもちろん、行政や学
生などもともにその「地域」を考えていく。そ
の調整役として社協やNPOなど中間支援組
織の役割も大きいということも見えた。
担当者の時間配分が至らず、登壇いただ
いた皆様には、それぞれ少ない時間でまとめ
ていただき大変な苦労をおかけしたこと、ま
た、十分なディスカッションの時間を設ける
ことができず不完全燃焼に終わってしまった
ことが大きな反省点として挙げられるが、内
容はしっかり濃いものだったのでこれから地
域づくりを進めるはじめの一歩のヒントにな
ったと確信している。
<分科会担当実行委員>
上田 大(社会福祉法人土佐町社会福祉協議会)
<分科会運営スタッフ>
受付▶長野 通世
(社会福祉法人土佐町社会福祉協議会)
運営▶筒井 由美
(社会福祉法人土佐町社会福祉協議会)
記録▶山下 太郎
(社会福祉法人土佐町社会福祉協議会)
分科会
市民力を高める
13
仕 組 み づ くり
企業のホンネ、NPOのホンネ
∼企業とNPOのパートナーシップづくり∼
参加者▶ 45人
会 場▶ 高知共済会館 3階 藤
出演者▶ 講師
古賀 桃子さん
(NPO法人ふくおかNPOセンター 代表/福岡)
岡田 一水さん
(株式会社高知銀行地域連携ビジネスサポート部
主任業務役/高知)
1.概 要
NPO活動に対する企業側の「イメージ」や、
企業にとって「寄付」や「協賛」とは何か、企
業の担当者の本音も聞きながら、NPOと企
業の「つながり」をよりよくするための方法
について講演を行った。また反対に、NPOが
企業に期待することなどNPOの本音や、福
岡県で取り組まれている「ふくおかかつぎて
けいかく」による企業とNPOのパートナーシ
ップづくりの事例の紹介を行った。そして、ワ
ークショップを通じてNPOと企業の関わり方
や接し方の検討や、参加者同士の取り組みの
情報交換を行った。
2.主 な 内 容
講演では、まず「企業のホンネ」と題し、協
力価値、協賛、寄付などについて企業目線で
企業の考えるポイントや企業の断るケースな
どについて紹介した。
通常の講演では、企業側は成功事例や取
組事例を発表することが多いが、今回の講演
では、全く逆の視点から企業の「ホンネ」トー
クを行うことにより、企業とNPOとのギャッ
プに気付きを与えることを主とした内容で行
い、
「本当の現実」を知ってもらうことを目的
とし、講演を行った。
続いての講演では「NPOのホンネ」と題し、
ふくおかNPOセンターの取り組みを中心に、
「モノの仲介」としてモノの活用について、
「ヒトの仲介」として「ふくおかかつぎてけい
かく」による企業とNPOのパートナーシップ
づくりについて、そのほか取り組み事例の紹
介を行い、最後に企業への伝え方、いわゆる
企業ニーズに対応する「ホンネ」について講
演を行った。
ワークショップでは、まず、自己PRとは何
か?を、参加者が面接官となって表現方法や
表現の与える影響などについて体験を行い、
その後「自己PR力」を高めるために、自己P
R方法についてマーケティング手法をベース
に用いて検討した。
続いて、
「企業とNPOのパートナーシッ
プ」をテーマに、企業とNPOの関係づくりに
は何が必要かをテーマにグループ討議を行
い、企業とNPOとの関わり方について検討・
情報交換を行い、
1番と考えるポイントについ
てグループごとに発表し、情報共有を行った。
3.担当実行委員コメント
活動の継続・拡大には、企業とNPOのパ
ートナーシップが必要不可欠であり、そのた
めには相互理解が前提となる。
しかし、私自身、企業側の担当としてNPO
との連携事業に向けた活動を行っているが、
距離感を感じることもある。
本分科会を通してお互いの「ホンネ」を理
解し、距離感を縮め、連携・協働による活動
推進に繋がればと思う。
<分科会担当実行委員>
岡田 一水(株式会社高知銀行)
<分科会運営スタッフ>
受付▶加納 真穂(高知県立大学)
運営▶池 美保子(高知県立大学)
記録▶中 知子(高知県立大学)
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
43
分科会
市民力を高める
14
仕 組 み づ くり
「広がれボランティアの輪」学園
∼午 後の部・活動を支える仕組み∼
分科会
15
川はみんなの財産
会 場▶ 三翠園 6階 高見の間
出演者▶パネリスト
渡邊 法美さん(高知工科大学マネジメント学部 教授/高知)
中村 英雄さん(NPO法人新町川を守る会 理事長/徳島)
清藤 真司さん(高知県香南市 市長/高知)
木村 理紗さん(高知工科大学マネジメント学部 学生/高知)
コーディネーター
兼松 方彦さん(NPO法人環境の杜こうち 理事長/高知)
本分科会は、講演とパネルディスカッショ
ンの2本柱で実施し、講演では、先進事例と
なる徳島県新町川の取り組みと、課題を抱え
る高知県物部川の取り組み紹介を行ってい
ただき、その後、
「どうすれば川はみんなの財
産になるか?」というテーマでパネルディス
カッションを行った。
2.主 な 内 容
会 場▶ 高知会館 3階 飛鳥
出演者▶ 3限目講師
大島 勉さん(社会福祉法人NHK厚生文化事業団 常務理事/東京)
片山 宣博さん(社会福祉法人産経新聞厚生文化事業団
【講演】川から広がるまちづくり
中村 英雄さん
●徳島県の中心市街地を流れる新町川の清
掃活動や景観の修復、遊覧船の運航、お祭り
やイベント開催といった、川を中心とした取り
組みの数々をご紹介いただいた。それらを通
して、取り組みを続けるポイントは市民が楽し
むことであり、市民が楽しんでいれば行政が
ついてくるようになり、行政がついてくるよ
うになれば企業がついてくるようになるとい
った、活動継続のポイントを教えていただい
た。
障害者支援施設三恵園 管理者/大阪)
4限目講師
丹保 有充さん(公益財団法人損保ジャパン記念財団 事務局次長/東京)
田中 皓さん(公益財団法人助成財団センター 専務理事/東京)
学園長
山崎 美貴子さん(「広がれボランティアの輪」連絡会議
会長、神奈川県立保健福祉大学 顧問・名誉教授/東京)
進 行
阿部 陽一郎さん(社会福祉法人中央共同募金会 企画広報部長/東京)
1.概 要
ボランティア活動をこれから始めたい人も、
これまで長年続けてきている人も、ボランテ
ィア・市民活動にまつわる「今さら聞けない
基本の話」や「ここでしか聞けないこぼれ話」
を、
「広がれ」学園で学んだ。
2.主 な 内 容
オリエンテーションでは学園長の山崎さん
から「広がれボランティアの輪」連絡会議の
団体及び活動紹介が行われた。 本分科会は、学校の講義を模した内容とな
っており、午前の部に引き続き、午後の部で
は活動を支える仕組みとして、
2つの対談形
式の講義が行われた。
3限目として、NHK厚生文化事業団の大
島さんと産経新聞厚生文化事業団の片山さ
んから「一歩先行く、メディア活用方法」のテ
ーマで報告を行った。報告内容として、大島
さんからメディアに取り上げられるためには、
44
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
【講演】物部川環境保全・再生の現状と課題
「メディアの特性を知る必要があること」、そ
してメディアに売り込むためには、
「事前に紹
介したい活動の目的を簡潔に紹介できる準
備が必要であること」があげられた。また、片
山さんからは、
「メディアを活用するためには、
メディアを知っている人を活用することが大
事だが、基本は記者との人間関係が重要で
ある」と報告があった。また、活動を行ってい
くうえで、メディアも含めた様々な人をまき
こむことが大事であると発言いただいた。
次に4限目として、損保ジャパン記念財団
の丹保さんと助成財団センターの田中さん
から「ここでしか聞けない、助成金方法」のテ
ーマで報告を行った。報告内容としては、田
中さんから日本の助成財団の現状を報告い
ただき、企業が資金提供者となって設立され
た財団が多く、比較的小規模であり、助成分
野は細分化しているとの説明をいただいた。
また、丹保さんからは、助成団体が助成金を
行う上で見ているポイント、申請する上で「思
い」だけではなく明確なビジョンを提示する
必要あると報告いただいた。また、助成団体
は活動を行う上でのパートナーであると発言
いただいた。
3.担当実行委員コメント
午後は、活動を支える仕組みとして「メデ
ィアの活用方法」と「助成金の情報」につい
ての内容だったが、活発な質疑応答があり非
常に盛会であったと思われる。
<分科会担当実行委員>
阿南 健太郎
(財団法人児童健全育成推進財団)
田尻 佳史
(認定NPO法人日本NPOセンター)
<分科会運営スタッフ>
受付▶脊戸 明子(NPO法人IAVE日本)
運営▶青塚 和子
(財団法人おもちゃの図書館全国連絡会)
記録▶梅沢 元彦
(NPO法人チャイルドライン支援センター)
地 域 づ くり
参加者▶ 23人
1.概 要
参加者▶ 68人
市民力を高める
渡邊 法美さん
●高知県香美市を流れる物部川の干ばつや
治水工事の歴史をたどり、水に不自由しない
経済的な豊かさは得たが、極上の自然を失
ってしまったのが現代の姿であることを紹介。
今も山の荒廃による長期濁水に悩まされて
いる状況にありながら、本来の自然を取り戻
そうと、市民団体が動き始め、産官学民を巻
き込んだ動きが生まれはじめていることを伝
えていただいた。また、海外の先進事例(チュ
ーリッヒ)を紹介しながら、責任の共有やリス
ク推奨といった、河川再生に向けた新しい公
共工事のあり方も提言いただいた。
【パネルディスカッション】
(テーマ)
どうすれば川はみんなの財産になるか?
【登壇者】
■コーディネーター 兼松 方彦さん
■事例紹介&パネリスト 中村 英雄さん
渡邊 法美さん
■パネリスト 清藤 真司さん
■パネリスト 木村 理紗さん
●新町川と物部川の講演をもとに「どうすれ
ば川はみんなの財産になるか」というテーマ
でディスカッションを行った。
(楽しむこと、続けることの大切さ)
●川に目を向ける仕組みを用意することが
必要。やれ!というのではなく、魅力を伝えて
自然に参加してもらえるような仕組みを。そ
のためにはやっている人が楽しんでないとい
けない。市民に支持されるものでないと誰も
ついてこない。
●純粋に地域を良くしたい!一人でもやる!
という決意があれば人もお金も自然と集まっ
てくる。ただそうなるには10年20年かかる。
続けることが大切。取り組みは続けていない
と人が来なくなる。川にいけば誰かが何かを
やっているという環境をつくっておくことが
大切。
●楽しむイベントも何のために開催するかと
いう目的がないと続かない。お金が無くなっ
たらやめるイベントは目的がない。
●どこかと連携したいときは必ずこちらから
出かけていくこと。そうすれば向き合ってく
れる。相手を想うことが大切。それが原点。同
様に批判しないことも大切。ゴミを捨ててい
る人がいても怒らず横で黙々と拾う。そうす
れば自然と変わってくる。
(部分ではなく、全体を見ることの大切さ)
●河川の保全は自分の地域だけをやるので
はなく、下流の人が上流に行く仕組み、山を
手入れする仕組みを考えないといけない。平
地に住む人も人として山の荒廃には関心を
持っている。けどその人達をうまく巻き込め
ていない現状がある。
●行政は分野ごとに課を分けるのでは無く、
関係する全ての課がかかわり、地域も越える
ような広域行政にしていく必要がある。行政
主体で動くこともあれば、住民主体で動くこ
ともある。それらはどちらも対等でないとい
けない。
●河川を改修する際も、経済的指標だけでは
なく、人の幸せや豊かさを指標とすることで、
工法も差別化でき、談合問題なども解決で
きるのではないかと考えている。
●観光と結びつけることもポイント。保全ツア
ーなど、川の活動と結びついた体験型観光
などに可能性を感じる。鹿食害対策のネット
張りを体験した大学生も楽しんでいた。
●ボランティアからバイト、バイトから副業、
副業から本業とステップアップできるような
ナリワイをつくれる森づくりの仕組みが必要
とも感じている。
(若い世代が経験しておくことの大切さ)
●大学生は何かと忙しい。けれど本当にやり
たいことをやっている学生は少ないので、川
での活動がそれに当てはまってほしい。地域
の大人ががんばっている姿を見ると、大学生
もついてきてくれると感じている。
●本音としては、若い世代が環境保全に関心
を持つことは難しいと感じている。ただ、若
い時に自然と接する機会を作っておけば、大
人になって家族を持ったとき等に、ハッと気
づいて行動するようになると思う。そういう
意味でも経験しておくことが大切。
3.担当実行委員コメント
新町川を守る会の中村さんからは、これま
で取り組んできた事例を紹介いただきなが
ら、楽しみながら取り組むこと、それを継続す
ることの大切さを学んだ。また、高知工科大
学の渡邊さんからは、過去には必要だった開
発が今の時代に合わなくなってきているとい
う示唆をいただき、これからの時代に必要な
川の保全のあり方を提言いただいた。それら
の話を踏まえて行ったパネルディスカッショ
ンでは、川をみんなの財産にするためには
「活動している人が楽しむこと、そして続ける
こと」
「目に見える一部分ではなく、全体を見
据えて取り組むこと」
「若い世代が川と接す
る機会を作り、未来に備えておくこと」の3つ
が大きなポイントになる議論であったと感じ
ている。この分科会をきっかけに、川の活動
が全国に広がっていくことを期待したい。
<分科会担当実行委員>
近藤 純次(NPO法人FUSE)
<分科会運営スタッフ>
受付▶上田 文
記録▶高山 莉菜(高知工科大学)
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
45
分科会
16
市民力を高める
地 域 づ くり
ス ポ ー ツ・
ボ ラ ン テ ィア の
可能性
(高知龍馬マラソン実行委員会 事務局長/高知)
片岡 優世さん(一般社団法人U−プロジェクト
スポーツコーディネーター/高知)
辻 正彦さん(香南ししまるスポーツクラブ 事務局/香川)
1.概 要
コーディネーター
清原 泰治さん
(高知県立大学地域教育研究センター 教授/高知)
2.主 な 内 容
はじめに、コーディネーターから分科会の
趣旨、
「スポーツ・ボランティア」の定義、ス
ポーツ・ボランティアに関する研究の動向な
どについて説明があり、引き続いて、三つの
立場から事例報告があった。
①「高知龍馬マラソン2013∼スポ
ーツイベントとボランティア」
葛目憲昭さん
2013年に始まった高知龍馬マラソン。第
1回大会は「成功」と評価されているが、実際
は課題山積だった。ランナー、沿道で声援を
送った人々、そしてボランティアの奮闘がな
ければ、この評価は得られなかった。
初めての大会だったので、ボランティアは
市役所やスポーツ関係団体、学校などに依頼
して募集した。受付や給水、給食、輸送など、
お願いした役割を果たしてくれたが、自分た
ちで考えて工夫してくれた事例もある。例え
ば、高校生がランナーの荷物の輸送で、携帯
電話を使ってゴールしたランナーを確認し、
すぐに荷物を届けるということをしてくれた。
たいへん好評だった。
46
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
②「障害者スポーツにおけるボラン
ティアの可能性について」
片岡優世さん
「失われたものを数えるな、残された機能
を最大限に活かせ」という考え方から障害者
スポーツは始まっている。障害者スポーツは
まだあまり知られていないことが多いが、多
彩なスポーツにたくさんの障害者が取り組み
楽しんでいる。同時に、彼らを支えるボランテ
ィアたちもいっしょにスポーツを楽しんでい
ること、成長している事例が紹介された。
障害者スポーツのボランティアは、これま
では「支える」側面が強かったが、今後は、障
害のある人もない人もいっしょにスポーツを
楽しむ、
「する」
「見る」
「支える」の一体化が
必要であるという考え方が示された。
③「地域スポーツから始まるボラン
ティア活動∼香川県高松市香南地
区を一例として」
辻正彦さん
平成の大合併によって香南町と高松市が
合併したときに、総合型地域スポーツクラブ
である香南ししまるスポーツクラブが誕生し
た。香南町には地域のいろいろな活動に参加
するのが当然という考え方が伝統的にあり、
クラブが行うスポーツ教室やスポーツサーク
ル、イベントなどを無償のボランティアが支え
ている。
ボランティアの内容としては、クラブ運営
の他に、スポーツ指導、大会などのイベントの
運営や審判、日常活動のサポート(準備・片
付け・送迎など)、スポーツ観戦や応援など
があげられる。
スポーツ・ボランティアとして参加すること
によって住民の意識の変化があり、地域コミ
市民力が育つ
新しい 学 び
人 づ くり
会 場▶ 高知商工会館 3階 松竹梅の間
出演者▶講師
新崎 国広さん(大阪教育大学教育学部 准教授/大阪)
事例発表
山崎 杏さん(香美市立大栃中学校 生徒会執行部/高知)
近藤 悠斗さん(香美市立大栃中学校 生徒会執行部/高知)
大西 万寿夫さん(香美市立大栃中学校 校長/高知)
矢田 幸嗣さん(香美市立大栃中学校 教諭/高知)
立花 直樹さん(社会福祉法人岬町社会福祉協議会 事務局長/大阪)
亀﨑 泰広さん(社会福祉法人岬町社会福祉協議会/大阪)
会 場▶ 高知会館 3階 平安
出演者▶ 講師
葛目 憲昭さん
スポーツ・ボランティアという用語が使わ
れるようになったのは最近のことである。し
かし、
「するスポーツ」
「見るスポーツ」
「支え
るスポーツ」と言われるように、重要性は急
速に高まっている。スポーツイベント、障害者
スポーツ、地域スポーツの三つの視点から、
スポーツにおけるボランティアの役割を考え
るとともに、今後のスポーツ・ボランティアの
可能性を探った。
A
市民力を高める
参加者▶ 51人
参加者▶ 23人
1.概 要
分科会
ュニティの構築や地域での新たなネットワー
クの形成などが進んでいる。
休憩を挟んで、ディスカッションを行い、ス
ポーツ・ボランティアをマネジメントする側と、
ボランティアとして参画する側の二つの側面
から、今後の可能性を探った。さまざまな意
見交換があったが、結果として、スポーツの
本質は「楽しい」ということであり、スポーツ
を「する」
「見る」
「支える」ことを楽しむこと、
それに日常的な人と人とのつながりが加わ
れば、ボランティアはもっと充実していき、ス
ポーツによるまちづくりが進むのではないか
ということで議論は終わった。
3.担当実行委員コメント
スポーツには人と人をつなぐ力がある。よ
く分かっていることだが、三つの事例を聞き
ながら、改めてその思いを強くした。
スポーツをする人だけでなく、ボランティ
アとして関わる人もまた、同じ空間でスポー
ツを楽しむこと、スポーツを見て感動するこ
とでつながっていく。
予想を上回る参加者が来てくださり、感謝
している。会場のみなさんもまた、スポーツに
よってつながっていったことを期待したい。
<分科会担当実行委員>
清原 泰治(高知県立大学)
<分科会運営スタッフ>
受付▶高橋 わかな(高知県立大学)
運営▶野々下 生(高知県立大学)
記録▶岡﨑 史花(高知県立大学)
地域や自分たちの課題に根ざしたリアルな
学びを経験することによって課題発見力や
解決力、コミュニケーション能力を高めること
ができる学び=「サービスラーニング」の理
論と実践を学ぶことにより、学校や地域など
において、市民力を育み、高めることができ
る実現可能で具体的な手法を講演と事例発
表から学び、またグループワークでは互いの
実践をもとに交流を深め、ネットワークを広
げる機会とした。
2.主 な 内 容
◆講演「∼地域をつくる主体者を育
む学び、市民力が育つ学びとは∼
福祉教育・ボランティア学習の視点
から学ぶ」
講師▶新崎 国広さん
●「福祉教育」という活動がまだない時代、
大学の教授をする前に働いていた障害者の
施設にて、地域のボランティアの方が当事者
の方と関わることから施設の課題をボランテ
ィアの方から指摘を受け、職員の方と一緒に
なって考え、施設が良い方向に変わっていっ
た経験が基盤にある。
●子どもたちが学校で先生から教科書を用
いて学ぶだけではなく、ボランティア活動を
通して実際に頭と心と体を使って学んでいく
ことで得られるものは大きい。
●福祉教育には、①社会福祉の専門職を育
てる専門教育、②学校における児童生徒を対
象とした福祉教育、③地域福祉を推進するた
めの地域教育、生涯学習の3つの領域があり、
この3つの領域が重なりあう学校と地域とが
一緒になって展開される福祉教育を考えて
いく事が重要である。
≪今、日本でおこっている様々な問題≫
●セルフネグレクトによる孤立死、20代の死
因のトップでもある自殺、子育て不安も一つ
の要因である児童虐待、学校でのいじめ、不
登校といった様々な問題に共通することは
「社会的孤立」が原因。地域の中に相談でき
る人がいないため、不安であり負担となって
いる。福祉教育とは様々な問題に対する予防
である。色々な課題を持っている方々が、社
会的孤立になるのを防ぐために様々な取組
みが必要である。
≪日本の福祉の歴史≫
●戦前の自助、戦後の公助という考え方が
広まっていき、
「困ったことがあれば行政に」、
また「教育は学校に」という専門職依存が強
くなり、
「自分達で一緒になって考える。取り
組む。」という姿勢が弱くなっていったが、
1995年の阪神淡路大震災、そして2011年
の東日本大震災以後、
「地域でつながること
の大切さ」
「絆の大切さ」が再確認された。
福祉とは本来身近なものであるため、福祉・
地域に無関心な人ではなく、目配り、気配り、
心配りができ、他人の困りごとを放っておく
ことのできない人=おせっかいな人を増やし
ていくことが今後の福祉教育のポイントの一
つである。
◆事例発表「僕らが守る物部の未
来∼わたしたちにできること∼」
発表者▶香美市立大栃中学校生徒会
●総合的な学習の時間で、森林環境学習、地
域防災学習、地域福祉ボランティア学習、ス
キルアップ講座等を実施。地域との交流を大
事にしながら、中学生は地域の方から物部の
伝統や生活の知恵を学び、また中学生の取
り組みが地域の活性化に繋がっている。
●森林環境学習では、
「塩の道ボランティア」
と「植樹&保護ボランティア」で下草の手入
れや植樹した木を鹿の被害から守る作業を
通して森林を守ること、そして班で協力する
ことの大切さを学んだ。
●平成24年度には地域防災学習としてテン
トの設営から炊き出しの訓練、救命救急講習
を行い、後日、各班で振り返りを行うことで
「地域の方との交流を通して防災に向けた準
備をしていくことの大切さ」、
「訓練をやって
みて自分達の感情がどう変化したのか」など
を話し合った。
●地域福祉ボランティア学習では物部の特
産物であるゆずの収穫のボランティアを4年
前から実施。その他にもゆず料理を作り、地
域の生きがい教室に参加している高齢者の
方々に振る舞い、高齢者の方にメッセージを
書いてもらい、そこから地域を活性化するた
めに「物部のゆずを全国の人に知ってもらい
たい」という意見が出たことから様々なPR
ポスターを作成し、
JA等に掲示してもらった。
今年は、物部をPRするCMを作る計画。
●玉川大学の灘波克己先生を講師にスキル
アップ講座を実施し、体験学習をする際のコ
ミュニケーションの取り方や物の見方、自己
表現の仕方、心構えについて学習を積み重
ねることで、実際の体験活動でもコミュニケ
ーションを大切にし、積極的に活動できるよ
うに成長した。
●平成25年度に実施した防災キャンプはテ
レビでも紹介され、防災キャンプを通して地
域の災害対策と環境保全についても考える
機会となった。
≪発表に対する新崎国広さんのまとめ≫
●地域との交流を通して学ぶだけでなく、生
徒自身が自分達から積極的に関わろうとい
う意識の芽生え。地域特性にあった取り組み
をうまく活用した体験学習の広がり。振り返
りを工夫し意見を出し合うなど学びを振り返
ることでより深い学びとなっている。
◆事例発表「地域福祉共育・小地
域ネットワーク活動」
発表者▶立花 直樹さん、亀﨑 直樹さん
●担い手、子ども、学校の先生、家庭、当事
者(高齢者や障害者など)の5者が、いかに日
頃の活動のコミュニケーションを向上させる
かが重要である。
●岬町社協では「福祉教育」ではなく「福祉
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
47
分科会
市民力を高める
A
ともいく
共育」、大人も子どもも共に学び合い、共に
育つという捉え方をしている。地域の中、生
活の中で生きた学びから福祉というものを
子どもたちは学び、子どもから大人たちも学
び返すことを目的としている。一方的に教え
るのではなく共に育ち合うプラグラムから町
づくり・人づくりを目指す。
●岬町社協で取り組んでいる「キッズ‐Eye
ぼらんてぃあ」と「地域福祉共育実践プレゼ
ンテーション」の事例発表。
≪キッズ‐Eyeぼらんてぃあ≫
●岬町内の福祉協力校である4校区のうち1
つの小学校の1年生∼6年生が、下校途中に
大人のボランティアの方と一緒に、一人暮ら
し高齢者等の見守り対象者のお宅を訪問し、
玄関より声掛けを行う。
●下校途中であるため、学校活動から離れた
自主的なボランティアである。
●日常的な見守り活動から、住民同士が「援
助が必要な人が自分の周りにいないか」とい
う気持ちを持ち、また子どもたちにも町づく
りを創造する一員として主体的に関わっても
らうこと。さらに、生身のコミュニケーション
体験を通して、命の大切さや人との関わりか
ら「共に生きる」ことの大切さを学ぶ。安心
できる地域の中で「やさしさを基点」とした
こころを育める環境づくりについて、学校と
地域で協働実践することが重要と考え事業
を実施。
●年3回連絡会を開催し、情報共有や振り返
りまた、本来の目的でもある個別援助の意味
合いを再確認。
●福祉教育のプログラムで終わるのではなく
お互いの関係性、お互いの育みの中から地
域本来のコミュニケーション力を高める。
≪地域福祉共育実践プレゼンテーション≫
●福祉協力校や共に活動している福祉委員
や民生委員、ボランティア、福祉施設そして
保護者等の意見交流・研修会や各校が活動
報告を兼ねたプレゼンテーションを行い、赤
い羽根共同募金の価値ある助成を決定する
取り組みであるとともに、学校、社協、地域、
家庭がつながることを目的として開催。それ
までは担い手同士お互いの活動等共有する
場がなく、また取り組みを学習する場もなか
ったことが開催に至った要因。
●学校側は社協が何をしているのか知らな
いため、まずは学校と社協との信頼関係を約
2年間、社協職員が学校に足しげく通い築い
た。
●学校の先生が参加しやすい夏休み期間中
の毎年8月に講師、コメンテーターの方に参
加してもらい、基調講演や座談会を実施。ま
た22年度からは共同募金の助成を受けてい
る地域の団体にも来ていただいてプレゼンテ
ーションの大会を開いている。
●プレゼンテーションの評価の曖昧さがない
48
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
ように、独自に評価シートを作成し、評価委
員会で助成金を決定している。評価の様子も
地域の方々に見ていただくことにより、プレ
ゼンテーションが人の認識を変え、地域が変
わるきっかけにもなった。
≪発表に対する新崎国広さんのまとめ≫
●高齢者理解教育について施設訪問で学ぶ
ことが多いが、岬町の場合は民生委員と一緒
に関わることで、
「自分のことを想っている
大人が親以外にもいる」という気持ちになる。
●共同募金は集めた募金が明確に何に使わ
れているかが分かりにくいため、どこの地域
も募金額が年々減っている。災害義援金など
は目的がはっきりしているので多くの募金が
集まる。岬町ではプレゼンテーションで集め
たお金がどう使われているのかを知ってもら
い、さらに社協だよりによって、プレゼンテー
ションの中身が可視化されてフィードバック
され、より良い振り返りになっている。
◆グループワーク導入
(アイスブレイク)
(後出しじゃんけん、落書きゲーム、
1分間ゲーム)
●「思いやりの心を持つこととは大切」と言
うが難しい。努力が必要ということをゲーム
を通じて体験して感じてもらう。
●学びとは色々な人と出会って対話すること
である。色々な人と出会うことから個別化、
一人ひとり違いがあることに気づき、その違
いに合わせた支援や教育をすることが大切。
地域の中には色々な人が住んでおり「みんな
違ってみんないい」という意識を持ってもら
うことが大切である。
●全国的にボランティアの高齢化が進んでい
るが高齢化は問題ではない。問題は活動のメ
ニューにある。その人に合わせたメニューを
工夫すれば一生ボランティアとしてやってい
ける。例えばアドバイザーとして若いボランテ
ィアに助言をすることや、傾聴ボランティアな
ど、大切なのはボランティアの方がその活動
に生きがいを持って続けることである。
●偏見と差別は似て非なるものである。偏見
は先入観に基づく偏ったものの見方。偏見に
気付いて偏見を少なくする努力が必要。差別
とは誰もが持っている偏見を利用して、一部
の人がしあわせを一人占めすること。
◆グループワーク
「これからのどんな福祉教育実践、ボランテ
ィア実践をしていけばいいか?やってみたい
やれそうな実践。」
≪グループワークまとめ≫
●福祉教育の目的と方法を分けて考えるこ
とが大切。車椅子体験や防災訓練が福祉教
育の目的ではない。車椅子体験や防災訓練
は方法であり、目的は地域をまきこむこと、
子どもを理解することである。
●福祉教育の目的は偏見をなくす努力をす
人 づ くり
分科会
市民力を高める
B
仕 組 み づ くり
ること、自分の持っている良いところ弱いと
ころをお互いに認め合える関係を築くこと、
そして大きな目的は社会的孤立・孤独をなく
すことが大切である。
≪テキスト「社会的包摂にむけた福祉教育」≫
●12ページ「地域がどのようにかわることを
めざすのか」ではこれからの福祉教育、ボラ
ンティア学習の在り方が書かれている。●排
除しない地域、無関心でない地域であること
●多数決ではなく個人が尊重されること●
地域のなかでいきていくことができること●
多様性を認めあえる地域であること●「共
感」にもとづく「当事者性」があること●地
域の福祉力があること●誰もが助け助けら
れる関係があること
◆総括
新崎国広さん
●助け上手、助けられ上手になる必要がある。
ボランティア、社協は助け上手だが助けられ
下手である。助けられ上手とは自分一人で考
えるのではなくみんなと一緒に考えることで
ある。
●今までの自立は自分のことは自分でする、
ということだが言い換えれば孤立している。
これからの自立は、自分に出来ることは自分
でする。学校・社協・ボランティア等で出来る
ことはする。自分一人で出来ないことは人の
支援を受けても、誰かの力、支援を受けても
自分の人生を生きるということが大切。それ
を福祉教育を通じて伝えていくことが大切で
ある。
3.担当実行委員コメント
「福祉教育」=車椅子体験や高齢者疑似体
験をイメージしがちであるが、講師の新崎国
広さんは、
「いのちの大切さ」
「普段の暮らし
のしあわせがふくしである」とし、
「学校と家
庭、そして地域が協働した福祉教育の実践が
重要である」と話された。
また、実践する際には社協の果たす役割は
大変重要である。プログラムを考える際、学
校、地域それぞれで考えるのではなく、一緒
にその地域にあったプログラムを考えること
が市民力を高める学びの重要な第一歩であ
る。
<分科会担当実行委員>
下川 毅士
(社会福祉法人いの町社会福祉協議会)
<分科会運営スタッフ>
受付▶森本 淑江
(社会福祉法人いの町社会福祉協議会)
運営▶山本 亜希
(社会福祉法人いの町社会福祉協議会)
記録▶武政 豊
(社会福祉法人いの町社会福祉協議会)
平成25年度
ふれあい・いきいきサロン全国研究交流会
明日へ繋げよう地域の絆 ∼輪・和・話∼
参加者▶ 180人
会 場▶ 高知商工会館 4階 光の間
出演者▶基調講演・シンポジウムコーディネーター
市川 一宏さん(ルーテル学院大学 学長/東京)
シンポジスト
片田 ひろ美さん(高知市上本宮町山手町内会
「サロン大崎さんち」お世話役/高知)
國土 セツ子さん(一ノ谷子育てサロンひだまり、観音寺市一ノ谷地区
社会福祉協議会 会長/香川)
大浦 礼子さん(社会福祉法人仙台市社会福祉協議会地域福祉課 課長/宮城)
ワークショップファシリテーター
松端 克文さん(桃山学院大学社会学部社会福祉学科 教授/大阪)
主 催▶社会福祉法人 高知市社会福祉協議会
助 成▶公益財団法人 みずほ教育福祉財団
1.概 要
今、地域には少子高齢化を背景として、
「助けて」の一言が言えないため、事態をよ
り深刻化・重度化させ、最悪の結果を招きか
ねない方がいる。
サロン活動は、高齢者や障がい者、子育て
中の親子等が「気軽に自由に集える場」とし
て全国各地で実施され、地域住民のSOSを
早期に発見する場としても期待されている。
本年度は他のサロン活動を学びながら、参加
者が輪をつくり、話し、和み、明日への活力を
得ることを目的とした。
2.主 な 内 容
◆基調報告
「明日へ繋げよう地域の絆 ∼輪・
話・和」
講師▶市川 一宏さん
<サロンの役割>
●孤立の問題を解決していくためにも、地域
でほっとできる場所である、縁側が必要とな
っている。それを担っているのがサロンであ
る。
●居場所となるだけではなく、介護・認知症
予防にも、リハビリにも効果があると言える。
防ぐという意識づくりも大事である。
行うことができ、自然体でなじみのある地域
の居場所となる。
●福祉活動を行う上で、
0か100かの発想は
やめなければならない。やるかやらないかで
はなく、0と100の間には、
1∼99が含まれ
ている。それは99通りのやり方があるという
ことである。身の丈にあった活動をやってい
くことが重要である。
<成果>
<福祉活動の考え方>
<事例から学ぶサロン活動のポイント>
●歩いていける地域の交流の場であること。
●住民が主役であり、やれる人がやれること
をやっていくこと。
●出入り自由で、気軽さが重要。
●多様な活動形態があるため、企画力、想像
力を生かして、地域の食べ物や文化など、そ
の地域の特性に合わせること。
<今後の展望>
●その地域で何をしたいか、何ができるか、
何が求められているのかを踏まえた上で、サ
ロン活動を行っていくことが大事である。そ
れは特定の人だけが中心になるのではなく、
その地にある様々な資源を活用しながら、無
理のない運営がより継続的にサロン活動を
◆片田 ひろ美さん
●自主防災組織を進めていく中で、勉強会や
地域支え合いマップづくりを行い、課題を見
出した上で“見守りカード”と“サロン活動”
が始まった。
●見守りカードは民生委員にも協力を得るこ
とで、情報の共有をすることもできた。
●サロン活動については、町内会長に場所を
提供してもらい、いきいき百歳体操をきっか
けにサロンを開催した。
●今では夏祭りをして近所の子どもたちと交
流を図ったり、男性利用者を増やすために夜
のサロンを開催したりと様々な工夫をしなが
ら参加者の幅を広げている
<今後の課題>
●男性の参加者が少ない。消極的な男性に
魅力的なものを用意したり、積極的に声掛け
をしたりとはたらきかけをする。
●災害時に地域の方が合同で避難できるよ
うな施設の確保。
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
49
分科会
市民力を高める
B
仕 組 み づ くり
分科会
市民力を高める
C
組 織 づ くり
市民力をつなぐ
ボ ラ ン テ ィア セ ン タ ー
∼改めてボランティアセンターの役割を考える∼
参加者▶ 50人
会 場▶ 高知共済会館 3階 桜
出演者▶事例発表
千田 裕さん(ボランティアステーション 世話人代表/東京)
天野 日佐恵さん(ボランティアステーション/東京)
井岡 仁志さん(社会福祉法人高島市社会福祉協議会
地域福祉課長兼ボランティア・福祉学習センター長/滋賀)
尾崎 昭仁さん(認定NPO法人NPO高知市民会議/高知)
コーディネーター
熊谷 紀良さん(東京ボランティア・市民活動センター 統括主任/東京)
ファシリテーター
池澤 良子さん(ファシリテーター研究会 こうち/高知)
◆國土 セツ子さん
<成果>
●障がい児とその親の居場所づくりという
課題の解決を図ることで、子育てサロンから
共生型サロンへと発展させることができた。
●障がいをもった人たちがサロンに参加する
ことによって、子どもたちは障がいの有無に
かかわらず自然に接することができるように
なった。
●参加している母親同士が交流でき、障がい
について理解し、いろいろな話ができるよう
になっている。
<課題>
●ひとり親や問題を抱えている人達の、
SOS
に応えられる地区社協組織の確立。
●参加している若い母親にボランティア精神
が育つように働きかけていくこと。
◆大浦 礼子さん
<成果>
●参加者同士のつながりづくり
●支援団体のチームワークの向上、他団体と
のつながりによる日頃の活動の連携強化。
●地域でできるということを確認することが
できた。
<課題>
●特別な支援から日常的な支援への移行が
必要となってくるが、そのタイミングが難しい
ため、今後見計らいながら進めていく。
●仮設住宅に住んでいる方は、次に復興公
営住宅へと移住しなければならない。再度人
間関係を築いていかなければならない状況
にあるため、そのフォローを地区社協ととも
に行っていく。
50
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
◆ワークショップ(ワールドカフェ方式)
ファシリテーター▶松端 克文さん
○サロンの参加者を増やす方法
●誰でも参加しやすい雰囲気づくり
●発想の転換
●内容・ネタの工夫
●地道にあきらめずに誘う
○障害者、親子等誰でも集えるサロン
にする方法
●障害のある方を受け入れる体制づくり
●プログラムや内容の工夫
○自分たちのサロンの良さ、魅力
●ルールづくり
●男性ばかりのサロン等の特徴・特色がある
●協力者の豊富さ
●自分のサロンが一番という自信
○サロンの協力者を増やす方法
●幸せを一緒に分かち合える仲間をつくる
●サポーターの育成(性格的に心にゆとりの
ある人)
●地場産業をしている方にも協力してもらう
●ボランティアを大事にする
○継続参加してもらう為のネタや工夫
●お世話する人、される人の線引きを無くす
●仲間を増やす
●無理はしない
●楽しい企画を考える
○みんなが主役のサロンにする方法
●それぞれの得意技の発見、活用 ●自己肯定感を高める ●雰囲気づくり
3.担当実行委員コメント
サロンの開催となると、
“やってあげなけ
ればいけない”という意識になってしまいが
ちであるが、今回の分科会では基調講演をは
じめ、
“みんなで楽しめるサロン”
“身の丈に
あった活動内容”という活動者自身も楽しむ
ことが重要であることを学ぶことができた。
また、これから甚大な被害が想定されている
南海地震を前に、防災面でのサロンの効果に
ついて知ることもできた。被災地となり、被
災地サロンとかかわっている仙台市社会福
祉協議会の大浦さんからご報告して頂いた
ことで、刺激のある講演にもなったのではな
いかと思う。
基調講演やシンポジウムでの思いも含めて、
日頃からサロン活動を行う中で感じている課
題や成果についてのワークショップを行うこ
とで思い思いのことを話し合えたのではない
だろうか。また、分科会の“まとめ”としてい
い機会にもなったのではないかと思う。
今回の分科会で明日からつかえる活動の
ヒント、そして活力を得て、それを発揮してい
ける場ができることを期待したい。
<分科会担当実行委員>
竹島 直孝
(社会福祉法人高知市社会福祉協議会)
<分科会運営スタッフ>
入木 涼子
(社会福祉法人高知市社会福祉協議会)
図師 智子
(社会福祉法人高知市社会福祉協議会)
1.概 要
ボランティアセンターは、地域住民の個々
のニーズをキャッチし、ボランティアの力で課
題の解決を図る、市民力をつなぐ場である。
しかし、ニーズキャッチがうまくできない、活
動できるボランティアが減ったという課題を
抱えている。ボランティアセンターをうまく活
用することで、市民がつながり、コミュニティ
全体の力の向上につながる。
本分科会ではボランティアセンター機能を
活かしている事例を学び、老若男女のボラン
ティアの力を高める戦略を練ることを目的と
した。
2.主 な 内 容
まず、コーディネーターである熊谷さんよ
り、ボランティアセンターを取り巻く概況の説
明がある。
●福祉分野のボランティアは高齢者が多く、
子どもや国際関連のボランティアは若者が多
い。
●ボランティア団体の高齢化や偏りについて
の相談は多い。
●ボランティアセンター業務に携わる職員の
ボラセン勤務年数として、分科会参加者は3
年以内がほとんど。
●中間支援組織とは、プラットホーム作りで
あり、ボラセンがもともと持っていた機能が
名前や立ち位置を変え、できている。 ●社協が福祉課題解決のために取り組んで
いくなかで「ボランティアセンター」のように
センターがあると目に見えやすい。
●否定的、批判的な人も混じえ誰も排除せず
に取り組む。
次に、各実践者の事例発表がある。
●必ずしもボランティア=マンパワーではな
い。
●普段持っている「看板」を下ろして飲む。
●大枠だけ作って怪我がなければ100点。
枠は作らない。
●場をつくるとできる人が集まってくる。
●ボランティアコーディネーターの専門性を
改めて問い直さなければ埋没化する。
●ボランティアセンターは問題発見の機能と
気付きを持ち込んでもらえる場。
●つながるために求められることは、プラッ
トホームであることの自覚。
●子どもの力を信じる。
●最初から「できない」と決めつけない。
午後からは各グループにわかれ、グループ
ワークを行う。
既にあるつながりの書き出し、これからつ
ながっていきたい人や機関の書き出し、グル
ープ内での共有を行う。
◎全体ワーク
参加者が提示したいくつかある課題の中
で他の参加者自身が検討したいものを選び、
話し合う(出演者、実行委員も入る)
分科会後の出演者からの振りかえりでは、
●多様な話の聞ける分科会。
●参加者の得るものも多かったのでは。
●それぞれの講師の特徴ある取り組みがき
けたので参加者の参考になったのではない
か。
●発表者の中に地元の講師がいたのがよか
った。
●地域に帰ってからの課題解決の仕方を学
べる機会。
●自分自身の振り返りもでき楽しかった。
●参加者同士がつながった。
とのことであった。
3.担当実行委員コメント
地域住民からのニーズを拾い、それを誰に
どのようにつなげればよいか悩んでいたが、
頭の中の靄が晴れたように感じる。出演者の
言葉や参加者とのやり取りで心の中にすとん
と落ちるようなものがたくさんあり、多くの
ものを得ることができた。
知識や理論、方法論ももちろんだが、何よ
り実行委員として関わったことで様々な分野
で活躍する人たちとつながることができた。
そのことこそが市民力をつないでいく力にあ
るのだろうと改めて感じた。
<分科会担当実行委員>
田所 真衣
(社会福祉法人香南市社会福祉協議会)
山本 麻子
(社会福祉法人しまんと町社会福祉協議会)
<分科会運営スタッフ>
受付▶上田 若葉
(社会福祉法人香南市社会福祉協議会)
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
51
分科会
市民力を高める
D
組 織 づ くり
災害時に備えた学生ボランティア
センター間の連携を考える
参加者▶ 33人
センター長・講師/埼玉)
部門長・准教授/高知)
学生発表
大阪大学キャンパスライフ支援センター
ボランティア支援スタッフ「ツナボラ」
高知県立大学「イケてるあいあい」
高知大学「学生ボランティアセンター」
高知大学学生ボランティアセンターは来る
べき大規模災害に備え、大学近隣地域との
関係づくり、全国の学生とのネットワークを
二本柱に日々活動を行っている。その全国の
学生のネットワークに関して、東日本大震災
以降、私たちは未だ来ぬ災害の地を「未災
地」と呼び、被災地から始まる未災地間の連
携ができないかと考えてきた。
そして今回、全国から学生たちを招き、学
生ボランティアセンターが行う地域活動や、
被災地支援を通した継続的な学生のネットワ
ークについて意見を共有した。加えて、その
ような活動をどのようにしてうまく大学と協
働して続けていくかといったことを、コメンテ
ーターの立正大学新藤こずえ先生からいた
だいた。
2.主 な 内 容
今回のワークショップは、学生ボランティア
センターが災害時、どのような機能を果たす
かを考えるところから始めた。キーワードは
「受援」
(援助を受けること)である。始めに、
平成25年11月に京都を中心に猛威をふる
った台風18号での発災直後の災害ボランテ
ィアの様子をツナボラ大門さんから発表して
いただいた。そして、そこから考えられる「受
援」に関する5つの事例を班に分かれて議論
してもらった。その事例とは「被災後一週間
で、支援物資を持って被災地に入った。A避
難所ではまだ大量のおにぎりが欲しいと言
われた。その後、すぐとなりのB避難所に行っ
てみると、コーヒーを欲しがっていた。このよ
うな差が生まれたのはなぜか?」といったも
のだ。ここでは、
「AとBで連絡を取っていな
かった」や「Aは支援先とうまくつながれなか
った。」といったことが挙げられた。今回は、
出てきた課題への対策として「内とのつなが
52
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
3.担当実行委員コメント
(学生ボランティアセンター代表)
この分科会の特徴は、社会人(大学教職員
や社会福祉協議会の方)と大学生が同じワ
ークを受けることである。そして、その場を全
て学生がコーディネートすることであった。そ
れゆえ、どのような意見が出てくるのか予測
不能なことが多く、当日まで内心不安で仕方
なかった。特に、企画段階で頭を悩ませたの
が、前半のワークで使った「5つの課題」だ。
無用な対立は避けつつ、対等に学生と社会
人(特に、大学教職員)が意見を出し合って
話すためにはどのようなものを使えばいいの
か手探りだった。しかし、当日は参加者の
方々がうまくその場で話しやすいような形で
会を進めてくれた。普段、本音では触れにく
いところにも「ここ(仕事をしているところと
異なるところ)だから」といった感じで話し合
ってくれていた。それゆえ、学生、社会人どち
らにもとても刺激的な会になったのではない
かと思う。
そして、これらはひとえに企画段階で支え
てくれた社会人の方々のおかげである。企画
を進めていくとき、また内容を詰めていく時
E
組 織 づ くり
地域防災における
若者と女性の参画促進
会 場▶ 高知会館 3階 弥生
出演者▶コーディネーター
石井 布紀子さん(NPO法人さくらネット 代表理事/兵庫)
パネリスト
八重樫 綾子さん(NPO法人いわてGINGA−NET 代表/岩手)
田村 勝太郎さん(語り部KOBE1995 代表/兵庫)
山﨑 水紀夫さん(認定NPO法人NPO高知市民会議 理事/高知)
ファシリテーター
玉里 恵美子さん(高知大学総合教育センター修学支援部門
り、外とのつながり」が必要なのではという
導入で前半をまとめた。
「内」は地域の中や
被災地の地域間でのという意味で、
「外」は
被災地域を支援する側で、被災していない特
定の地域のことを意味する。
後半では当団体の「内のつながり」をつく
るための地域活動、高知県立大学の「外のつ
ながり」をつくるための未災地に県外の学生
を招いて行うツアー型研修の活動報告を聞
いていただいた。最後に、この二つのつなが
りを踏まえて、これから学生のボランティアセ
ンターとして災害と向き合い、どのような活
動を行っていくかを考えていった。
市民力を高める
参加者▶ 19人
会 場▶ 三翠園 2階 五月の間A
出演者▶ コメンテーター
新藤 こずえさん(立正大学ボランティア活動推進センター
1.概 要
分科会
1.概 要
にも、僕らだけではわからないことがほとん
どだった。最後まで僕らを信頼し、任せ、時に
心配し、声をかけてくださった大会運営の
方々や大学の先生方にこの場を借りて、感謝
の意を述べたい。
(全ボラ担当)
僕たちにとって全国ボランティアフェステ
ィバルは、一つの目標であった。というのも
企画が始まった1年半前は、発表する内容が
全くなかったのである。そのため、全ボラで
発表できるようにこれからの活動を詰めてい
こうということになっていた。それから様々
な知識や経験、繋がりをもつことができた。
準備段階では、それらを振り返りまとめるこ
とができた。また当日では、高知県立大学の
皆さん、ツナボラの皆さんの活動の話を聞い
て、今までできてなかった活動助成などとい
たった、団体を維持する上での具体的なこと
が話しあえた。そこで、次のステップも見つか
った。 僕は一応、全ボラ担当ということで、約1年
半前から全ボラの役割を受け持ち、取り組ん
できた。しかし、一時期落ち込んだ時期があ
り、なかなか全ボラに向けて準備が進まなか
った。そのおかげで、今回の全ボラは、学生ボ
ランティアセンターのメンバーに迷惑をかけ
てしまったと思う。しかし、全ボラ1週間前ほ
どにして無理にでも自分のやる気を出して、
当日はなんとか形になったのではないかと思
う。なかなか難しいことが多かったけど、最
後までやりきって、またこれから頑張ろうと
思う。
東日本大震災では、避難所運営における
女性の視点の欠如が大きな問題となり、自
主防災組織等において女性の中核的参画が
必要とされている。一方、岩手県立大学では
学生ボランティアセンターと県外NPO等の
連携により、全国の大学生をコーディネート
し復旧活動の大きな推進力となった。
今回は先進的事例から学び、自主防災組
織や町内会活動の組織活性化で不可欠とさ
れる女性と若者の参画促進について意見交
換を行った。
2.主 な 内 容
◆出会いタイム・自己紹介タイム
知らない人3人と挨拶。
①出身・名前、②避難所で食べたい炊き出し、
③今日つかんで帰りたいもの、を記入し自己
紹介。
◆事例発表
<事例発表1>
NPO法人いわてGINGA−NET代表
八重樫 綾子さん
岩手県内には5つの大学があるが内陸に
あり、被災地の沿岸まで2∼3時間かかるた
め、震災直後は給油制限もあり現地に向かう
ことができなかった。
初動として学生は高齢者の安否確認をし
ながら大学に到着した。これは土鍋ネットな
ど平時からの地域とのつながりがあったから
できた。初動は情報収集を行い学生ボランテ
ィアでできる役割を確認した。震災7日後か
ら支援を開始。現地のボランティアセンター
のスタッフとして参加したが、時間の経過と
ともに外から来たボランティアを現地にどう
つなぐかが課題となった。ゴールデンウィー
クには県外学生ボランティアの受け入れ拠点
運営を試験的に実施。学生にとっては移動手
段と宿泊が活動のネックとなる。住田町の公
民館を借り、学生が滞在する居を確保した。
これにより13大学、512名の学生が参画し
た。夏には「いわてGINGA−NETプロジェク
ト」が立ち上がり、夏休みの2か月で1000
人を受け入れた。
苦労話としては、週百人分のごみ処理や暑
さ対策としての水分補給の問題が起きた。い
わてGINGA−NETプロジェクトは現在も春
銀河、夏銀河、冬銀河など仮設住宅でのサロ
ン活動や農業・漁業支援など全国の学生を
受け入れた活動を継続している。
<事例発表2>
語り部KOBE1995代表
田村 勝太郎さん
震災時は53歳で教員をしていた。母親は
地震で生き埋めになったが、地域の人の救出
活動によって助かった。そのお礼も込めて語
り部の活動をしている。避難所生活が3か月、
仮設住宅で3年半暮らし復興住宅に移ったが、
新参者として受け入れられない実態がある。
今日のネライは2つある。
●みんながみんなの命や体を守ろうと、一人
一人が主役を演じる舞台
●自治能力を鍛え、共同体としての一体感を
深める道場
阪神淡路大震災当時は学生は受験シーズ
ンで大変だった。高齢者だけが残ったと嘆い
ても仕方がないので自分たちでやるように
意識を変えた。一方で地域自主防災組織で
は構成の革新を目指し、青年部から長を選出
するなど役員会の構成を考え直している。昨
年11月に実施した防災訓練では600世帯
の地域で200人の参加があり、消防署の担
当も驚く参加率だったが、若者の参加が少な
く、女性の参加は多かったが年齢層が高かっ
た。次年度は「若者の参加を増やす」ことを
目標にし、今年度は240人が参加し、中学生
15人や車いすの夫婦など参加者層が広がっ
た。けが人搬送の若者活動コーナーでは、若
者らしい発想が生まれた。来年度は「若い女
性の参加」を課題にしている。
<事例発表3>
認定NPO法人NPO高知市民会議理事
山﨑 水紀夫さん
高知県では1998年に12,000世帯以上
<分科会担当実行委員>
伊藤 創平(高知大学学生ボランティアセンター)
<分科会運営スタッフ>
平田 瞭平(高知大学学生ボランティアセンター)
有働 拓馬(高知大学学生ボランティアセンター)
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
53
分科会
市民力を高める
E
組 織 づ くり
分科会
F
市民力を高める
地 域 づ くり
観光ボランティアのおもてなし
参加者▶ 39人
会 場▶ 高知共済会館 4階 浜木綿
出演者▶ 事例発表
今西 眞知子さん(NPO法人土佐観光ガイドボランティア協会 会長/高知)
堺 喜久美さん(室戸市観光ガイドの会 副会長/高知)
ガイド
窪田 昭子さん、安岡 彰子さん、丸田 宏子さん、日向 千恵子さん
(NPO法人土佐観光ガイドボランティア協会/高知)
内田 寛郎さん(ボランティアサークル「ルーモ」/高知)
進行
井上 直美さん(NPO法人高知県生涯学習支援センター/高知)
が床上浸水するという桁外れの豪雨水害が
あり、この時に災害ボランティアセンターの代
表を務めた。以後11回の被災地支援を行っ
ている。
高知での自主防災活動を見ていると、女
性や若者の参画の多い地域が活発な活動を
行っていると思う。
安芸市では若手の女性が中核的な役割を
担うことで防災替え歌や防災まんじゅうを販
売するなど遊び心を取り入れることで、活動
が活発化している。
また旧春野町(現高知市)では子どもを巻
き込んだ活動を展開している。DIGを活用し
て小学生や中学生が地域の防災マップをつ
くる過程で地域住民との交流が生まれ、防災
面だけではなく地域の文化を知る機会にも
なった。
私が勤め顧問をしている高知県立大学の
防災サークルは昨年に夏銀河に参加したこと
で学生の意識が大きく変わった。
5月には未
災地ツアーという斬新な発想で、企画を行い
地域住民とのつながりも深まっている。高知
県立大学だけなく、今日も高知大学生を中
心に「災害時に備えた学生ボランティアセン
ター間の連携を考える」という分科会を企
画・運営しており高知県のここ2年間の防災
活動の動きがすごいという評価を受けてい
る。
女性や若者の参画が地域の受援力を高め
ていると思う。
◆質問コーナー
①聞きたいこと、②言いたいこと、③話し合
っておきたいことを書き出し、
10項目が出さ
れ、参加者とパネラーで意見交換が行われた。
(2項目を抜粋)
Q1.物資配布の現状はどうなっているか?
A.民間に扱いを託そうという動きがある。
救援物資は被災地を襲う第2の災害とし
54
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
て受入をしないことも多い。
Q2.ボランティアの宿泊所の現状と課題?
A.環境整備が進んでいるが、その分、居心
地のよさで居ついてしまうボランティアが
出てしまうのが課題
◆コーディネーターからの話題提供
NPO法人さくらネット代表理事
石井 布紀子さん
阪神淡路大震災当時は学生は個人単位で
押し寄せたが、東日本大震災では誰かがお世
話をして連れてきた感がある。単位化する学
校も出てきた。
自衛隊で派遣された2割がうつ病を発症
したと言われる。震災関連死も3000人を超
えようとしている。自身の体験として阪神淡
路大震災では2日間で500人の遺体を確認
した。
3年目に自分の中で記憶を消した体験
を持つ。震災現場ではD−MATなどの緊急
医療の派遣の形も変わりつつあり、福祉避難
所も増えつつあるが、各地域では現場を知ら
ない座長先生が増えつつある。
避難所では2日目が避難者のピークでそこ
からは減ってくるが出入りが激しい。避難所
に間仕切りが入ることでルールが守られるよ
うになり秩序が維持される。
若者の防災活動の表彰として「ぼうさい甲
子園」がある。過去は消火訓練の回数の多い
ところが受賞していたが、近年は新たな発想
や地域連携が決め手になっている。昨年度の
大学部門のぼうさい大賞は八重樫さんのい
わてGINGA−NETだった(今年度は山﨑さ
んの高知県立大学が受賞した)。
◆グループワーク
3班に分かれて討議。
「防災にどうスイッチ
を入れるか」
(1、
3班)、
「日常からの組織づ
くり」
(2班)でグループワークを行った。
1班「防災にどうスイッチを入れるか」
●若者は地域に出番があるとわかると参
加意欲が高まる。
●世代間のつながりがないと、共感的な動
きになりにくい。
2班「日常からの組織づくり」
●近隣の知り合い同士で地図作りなどコ
ツコツとした取り組みの継続。
●「助けてほしくないカード」を作る。真意
は本当は助けてほしいという本音を引
き出す。
3班「防災にどうスイッチを入れるか」
●子どもや若者を巻き込んでいく
●楽しく暮らしやすいまちが災害にも強い。
日頃から地域コミュニティづくりを進め
る。
3.担当実行委員コメント
自主防災組織に限らず、地域活動の衰退
が言われて久しい。個人主義や価値観・ライ
フスタイルの多様化など複合的なことが原因
だと考えられるが、内的要因として、男性中
心の運営による組織の硬直化にも原因があ
ると感じてきた。実際、若者や女性が中心的
な役割を持った組織は多様性と柔軟性に富
み組織が活性化していることが今回の事例
でも明らかになった。
「高齢男性がダメ」では
なく、
「高齢男性のみの組織運営」に限界が
あり、若い世代や女性の参画できる組織が要
援護者やマイノリティと言われる人への細や
かな配慮のできる多様性のある組織である
という気づきになればと思う。
参加者が19人と少ないのは残念だったが、
その分細やかで集中した議論はできたように
思う。
<分科会担当実行委員>
山﨑 水紀夫
(認定NPO法人NPO高知市民会議)
1.概 要
四国霊場八十八カ所巡りに関して「お接
待」という伝統がある。お遍路さんを自ら進
んでおもてなしできることを喜びとする慣習
である。高知のボランティアには、このおもて
なし精神が息づいている。人と触れ合い、絆
が生まれ、温かな人間関係が育まれる、そう
いう観光が広がれば、私たちはもっと心豊か
に、つながれるのではないだろうか。高知県
ならではのおもてなし観光をご紹介した。
2.主 な 内 容
NPO法人土佐観光ガイドボランティア協
会会長の今西眞知子さんよりパワーポイント
を使って協会の組織状況、入会資格、目的、
ガイドの基本方針、観光案内実績件数等の事
例発表を30分間していただいた。
続いて室戸市観光ガイドの会副会長の堺
喜久美さんよりパワーポイントを使ってガイ
ドの会の発足からの経緯、活動、研修内容、
課題、ガイド実績件数等の事例報告を30分
間していただいた。
上記1時間の高知県における観光ボランテ
ィアガイドについての勉強の後、実際に観光
ボランティアの方にガイドをしていただきな
がら、高知城周辺を観光。高知城天守閣、日
曜市、路面電車、龍馬の生まれたまち記念館、
龍馬生誕地、山内神社など高知城下の文化
と歴史に触れた。
昼食は土佐茶を中心とした地元の食材か
ら土佐の魅力を発信する
‘土佐茶カフェ’
で、
自然が香る素朴な料理(かつおのタタキ、チ
ャ―テと柿のゴマ酢、ズイキのきんぴら、リュ
ウキュウの旨煮、大葉と厚揚げの煮浸し、四
方竹の五目寿司、香の物、紫芋のお味噌汁、
土佐の和菓子)をいただいた。土佐茶の美味
しい淹れ方の実演もあった。
4時間40分の観光の後、元の分科会会場
に戻り、高知県特産の柚子ドリンクと芋けん
ぴ、ミレービスケットをいただきながら、参加
者代表5名の方に感想を発表していただい
た。
最後には視覚障がいがありながらも、他の
参加者同様に全行程を遅れることなく参加
された方に大きな拍手が送られた。
3.担当実行委員コメント
はるばる高知県までおいでいただく県外
からの参加者に、高知での楽しい時間を過ご
していただきたいと企画した。観光ガイドの
皆さんの熱心で臨機応変なガイドと、スタッ
フの懸命さ、昼食の献立など全てに「おもて
なしの心」が溢れていたと思う。参加者を少
人数の班に分け、ガイドとスタッフがきめ細
やかに対応できたことも良かった。参加者の
中には過去に高知城を観光されたことがあ
る方もいらっしゃったが、
「ガイドさんの説明
があるのと無いのとでは、建築物も景色も全
く違って見えるし、勉強にもなる。本当にあり
がたい」と、喜んでいただいた。私達高知県
のガイドやスタッフにとっても、楽しく充実し
た嬉しい時間となった。
<分科会担当実行委員>
井上 直美
(NPO法人高知県生涯学習支援センター)
<分科会運営スタッフ>
受付▶武田 人士
(NPO法人高知県生涯学習支援センター)
運営▶高木 義夫
(NPO法人高知県生涯学習支援センター)
記録▶水木 和香
(NPO法人高知県生涯学習支援センター)
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
55
分科会
市民力を高める
G
地 域 づ くり
分科会
市民力を高める
H
地 域 づ くり
廃校を活用しよう!
参加者▶ 19人
会 場▶ 高知会館 4階 やまもも
出演者▶ 事例発表
朝倉 聡さん(NPO法人里山ねっと・あやべ 事務局長/京都)
宮原 美佐子さん(NPO法人きらり水源村 事務局長/熊本)
大崎 登さん(森の巣箱運営委員会 会長/高知)
進 行
西本 五十六さん(西土佐環境・文化センター四万十楽舎 専務理事/高知)
地域の宝を
町 の 活 性 化 に!
1.概 要
参加者▶ 35人
会 場▶ 三翠園 6階 筆山の間
出演者▶ 事例発表
公文 寛伸さん(土佐塩の道保存会 会長/高知)
村上 健太郎さん(NPO法人NPO砂浜美術館 理事長/高知)
曽根原 久司さん(NPO法人えがおつなげて 代表理事/山梨)
1.概 要
現在、私たちの住んでいる地域(田舎)は
地元で働く雇用の場が少なくなり都会に行く
若者が増加し人口の減少や高齢化がすすん
でいる。
しかし、全国にはそこにしかない文化や自
然、又その地域でしか味わえない食があり、
「田舎の良さ」を求めてIターンをしてくる若
者も増加していると聞く。
そこで、現在地域で行っている事例を参考
に、私たちの住んでいる地域の宝を探しだし、
それを利用した町の活性化についてみんな
で一緒に考えてみたい。
2.主 な 内 容
スケジュール
①分科会の趣旨説明
②自己紹介(各班)
③事例発表−1
④事例発表−2
⑤昼食
⑥事例発表−3
⑦グループワーク(意見出し)
⑧各班発表(6班)
⑨事例発表者の感想
事例発表−1
公文 寛伸さん
自己紹介後、昔から物流の為の大切な道
であった塩の道の説明。
活動の目的は次の世代までこの道を伝え
ていく事、塩の道を通じて交流人口の増大を
計る事。また、地域の活性化のために物産品
や土産物などの商品開発を行う事。
56
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
また、今後の取り組みとして、会員の若返
りと後継者、案内人の育成など課題もあると
言うことを報告して頂いた。
事例発表−2
村上 健太郎さん
砂浜美術館の活動に関わりたくて移住し
てきたことなどの自己紹介後、砂浜美術館の
Tシャツアート展の映像を見ながら砂浜美術
館の考え方の説明を行った。
また、活動として行っているキルト展や砂
の彫刻展などの話があり、活動をしていく中
で、地域との繋がりがあまりなかったことや、
スタッフが以前は楽しみながら活動を行って
いた事がだんだん苦痛になってきた事など
の課題の話。
重要な事は、活動自体を「タノシム」事が
大事だと言うこと。最後に砂浜に流れ着いた
物の紹介があった。
事例報告−3
曽根原 久司さん
活動を行っている山梨県増富の説明後、
活動の報告があった。耕作放棄地の開墾、酒
米を作って地酒の製造、捨てられる間伐材を
企業と連携し住宅材にしている事業。また、
耕作放棄地を利用し、開墾ツアーなどを行っ
ている事などいくつかの活動の事例を報告
してくれた。
グループワークについては、事例報告を聞い
て次の3つの事について話し合いをもっても
らう交流をした。
1.住んでいる町の宝物の発掘。
2.宝物の利用方法
3.宝物のPR方法
話し合い後、各班の代表者が発表を行った。
各班の発表のまとめは、地元の食や祭りなど
各地域色んな自慢できる物があることが分
かった。その町に来てみて感動してまた来た
いと思ってもらうことが必要。
3.担当実行委員コメント
長時間の分科会で疲れた方もいたと思う
けれど、3つの事例発表とグループワークの
スケジュールに対して積極的に参加してくれ
うれしかった。
公文さん、村上さん、曽根原さんと発表者
の個性も違い、また話の内容も海、山、田舎
など参加者が入って行きやすい話でとても
良かったと思う。 私個人の司会進行は反省点がありますが、
参加したスタッフが担当ごとに動いてくれた
ことに大変感謝しています。
「地域の宝を町の活性化に!」全体の内容
の感想は、自分たちの住んでいる地域が好き
だといえる人のもっている知識・経験・アイ
デアを活かしながらそれぞれの活動に取り組
み、様々な活動が展開されていくことこそが、
地域の大切な「宝」だと思いました。
私自身、初めてこのような分科会を担当さ
せてもらい、貴重な経験をさせて頂きました。
ありがとうございました。
<分科会担当実行委員>
濱田 義隆(絵金蔵運営委員会)
<分科会運営スタッフ>
受付▶片岡 真弓
運営▶小川 公可
(社会福祉法人香南市社会福祉協議会)
記録▶横山 和志
(社会福祉法人香美市社会福祉協議会)
少子高齢化が進む農山漁村地域において
は、地域コミュニティのシンボル的存在であ
る小中学校の廃校は、さらなる過疎化を加速
させ、地域の活力低下を招くのではないかと
危惧されている。
そこで廃校となった小中学校を再生可能
な貴重な地域財産ととらえ、様々な活用を図
り、地域の活性化に結び付けていくことが望
まれる。この分科会では、遊休施設を使って
地域コミュニティづくりと交流人口の拡大に
ついて事例を通して考えた。
2.主 な 内 容
<はじめに>
平成4∼22年度の19年間で6,300校が
廃校になっている。そして平成14∼21年度
に廃校になった4,200校のうち、3,800校
が現存しており、2,600校が活用されている。
本分科会では、廃校活用について都市農村
交流型の事例発表をもとに考えていく。
<事例発表>
①「廃校舎が『森の巣箱』に生まれ変
わる∼床鍋地区の住民による集落再生
への挑戦∼」大崎 登さん
■農村交流施設「森の巣箱」誕生まで
1.床鍋集落の実情
2.活性化への取り組み
「主人公は集落であり、集落全体で汗をか
くこと。そしてその責任は集落代表者でもな
く行政でもなく、集落全体が負い、その間、行
政はサポート役に徹する。」
・平成15年4月 「森の巣箱」誕生
■森の巣箱活動の概要
●運営は集落経営による完全自立
■10年の節目をむかえて未来へ
●集落調査から見えた課題→緩やかな見守
り、いざという時の「安心」
●地域福祉活動計画「床鍋地区アクションプ
ラン」の策定→地域で見守る仕組み「お守り
カード」、
「全員参加の避難訓練」
■「森の巣箱」未来への挑戦
②「廃校活用による地域づくり・きくち
ふるさと水源交流館」宮原 美佐子さん
●廃校までの歴史
●地域活性化事業:岩下神楽子ども教室、結
いづくり芸術交流、水源食の文化祭、水源子
どもひろば、水源手支事おこし活動
●自然体験活動等支援事業:きらり人登録、
子ども村、ふるさと楽校
●都市山村交流事業:体験プログラム事業、
菊池おいしい村づくり
●自然環境保全事業:新規就農者受入支援、
森の楽校づくり、耕作放棄地再生モデル事業
施設では宿泊・食事・体験などを受けいれ
ているが、各人が得意なことを訪れた人に教
えることで、交流ややりがいを感じ、誇りの回
復につながる。地域でつくったNPOは、常に
みんなでやる仕組みづくりも追求している。
③「小学校からみんなの学校へ−新し
い学びの場からの地域再生」
朝倉 聡さん
1.綾部について
2.綾部市里山交流研修センターと里山ねっ
と・あやべについて
2000年7月 里山ねっと・あやべ設立
2006年3月 NPO法人化
●情報発信:ホームページ、メールマガジン、
月刊通信、地元通信
●農業体験、料理体験
●農家民泊のしくみづくり
●ボランティアや研修の受入
3.綾部里山交流大学−ローカルな現場こそ
最先端の学びの場
●「“志縁”による価値創出が時代を変える」
をテーマに、一座建立の精神で学び合い、そ
れぞれの舞台で里山ビジネス、地域ビジネス、
社会起業、まちづくり等を志し、新しい型(ビ
ジネスモデル、地域づくり、ライフスタイル、生
き方、暮らし方など)を創出し、魅力的で平
和な世界をもたらす人財を輩出することを目
的とし開講。
●日本各地で、廃校などを拠点としてローカ
ル大学が生まれ、人材育成や生涯学習の場
となっている。
④「四万十楽舎紹介」西本 五十六さん
●四万十楽舎誕生までの経緯
●四万十楽舎の事業
自主事業:子どもキャンプ、一般社会人向
けエコツアー、タケノコ祭り、柿の上収穫祭、
炭焼き作業
受託事業:四万十小楽校、四万十川森のよ
うちえん、森川海人つながり再発見、山の一
日先生派遣事業
<まとめ>
●廃校活用は集落福祉:地域の人が、最終的
にどのような死に方を迎えられるか。最期ま
で幸せに暮らす。
●廃校活用では地元での合意形成が課題。
これは共通した課題。ネットワークや情報交
換を通じて、アイデアを出しあうことが必要。
●廃校はそれぞれの地域で活用方法を考え
る→住民が「良いもの」と思える活用方法、
地元の人が地元の特性、特色を活かすことが
重要。
●廃校に関わらず、地域の中に資源がたくさ
んある。資源を活かすことを住民の共通認識
としてもつ。
●人生三毛作、四毛作→寿命が長くなって、
自分がどんな役割を地域で果たせるか。
3.担当実行委員コメント
本分科会では都市農村型の廃校活用につ
いて、事例発表をもとにして、学びを深めた。
高知・熊本・京都それぞれの地域において、
廃校を活用することによって、交流人口を増
やし、地域の活性化とよりよい地域づくりを
実現している。廃校はいまや都市、農村に関
わらず進んでいるが、廃校活用が新たな地域
の姿を描き出せる契機となるといえるだろう。
<分科会担当実行委員>
八木 雅昭
(NPO法人高知県西部NPO支援ネットワーク)
<分科会運営スタッフ>
受付▶有澤 咲香(高知県立大学)
記録▶大原 泰輔
(NPO法人高知県西部NPO支援ネットワーク)
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
57
交 流会
高知商工会館内の4階光・福の間にて開催、全国から約320名が参加し
て交流会を行いました。かつおのたたきや田舎寿司、鮎、お菓子、地酒等を
味わっていただき、参加者の交流を深めてもらいました。また、高知のPR
を行うとともに次期開催地の岐阜県のPRを行っていただきました。
閉会式・引継式
閉会式
はじめに大会の振り返りとして、2
日間の様子を写真で収めた画像をスラ
イドショーで見ていただきました。
その後、山﨑水紀夫副実行委員長より
参加者の皆様にお礼をお伝えしました。
上田大実行委員
(土佐町社会福祉協議会)
の司会でスタート
上岡義隆
(高知県社会福祉協議会会長)
の挨拶
振り返り映像
山崎美貴子
山﨑副実行委員長の挨拶
(「広がれボランティアの輪」連絡会議会長)
による乾杯発声
引継式
これまでの大会の想いをつなげてきたフラッグに更なる思いを乗せ
て、高知大会の山﨑副実行委員長から岐阜大会の飯尾良英実行委員長
に引き継ぎました。
高知の海・山・川の幸あふれる
皿鉢料理
大会フラッグを岐阜県へ
岐阜大会の飯尾実行委員長のご挨拶
握手で想いも渡しました
高知の地酒
多くの方に参加していただきました
お楽しみ抽選会
抽選しています
交流会を華やかに飾った土佐凧とフラフ
58
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
次期開催地の岐阜県によるPR
山田秀昭(全社協常務理事)
の中締め
見事、
1等賞が当たりました
会場の皆様と一緒に掛け声をかけて、次回の岐阜県につなげました
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
59
展示・販売コーナー
○NPO活動PRブース
高知県立県民文化ホール オレンジホールのロビーで、高知県内の各NPO団体等
が展示や販売を行いました。またチラシ配布等を行い、各団体のPRを行いました。
出展団体 ○展示・販売ブース
1
第23回全国ボランティアフェスティバルぎふ
2
とさっ子タウン実行委員会
3
NPO法人こうち音の文化振興会
4
NPO法人まあるい心ちゃれんじどの応援団
5
NPO法人高知こどもの図書館
6
高知県ボランティア・NPOセンター
7
NPO法人日高わのわ会
8
社会福祉法人すずめ福祉会
9
筒井書房
1
絵金蔵運営委員会
4
認定NPO法人NPO高知市民会議寄付ぎふと
2
のびのび青空キャンプ高知実行委員会
5
NPO法人土佐の森救援隊
3
社会福祉法人高知県共同募金会
6
高知大学学生ボランティアセンター
第23回全国ボランティアフェスティバルぎふ
絵金蔵運営委員会
のびのび青空キャンプ高知実行委員会
社会福祉法人高知県共同募金会
NPO法人土佐の森救援隊
認定NPO法人NPO高知市民会議寄付ぎふと
高知の観光PR
Walk for Volunteer Festival 2013
多くの方に見てもらいました
10 日本赤十字社高知県支部
11 「広がれボランティアの輪」連絡会議
とさっ子タウン実行委員会
高知大学学生ボランティアセンター
60
NPO法人こうち音の文化振興会
NPO法人まあるい心ちゃれんじどの応援団
NPO法人高知こどもの図書館
高知県ボランティア・NPOセンター
NPO法人日高わのわ会
社会福祉法人すずめ福祉会
筒井書房
日本赤十字社高知県支部
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
「広がれボランティアの輪」連絡会議
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
61
広 報実 績
○メディア掲載
多くの方に全国ボランティアフェスティバル高知を知っていただき、興味や関心を抱き、そして参加して頂けるように広報
活動を行いました。
・新 聞
高知新聞 2013年 9月29日(日)朝刊
2013年10月19日(土)朝刊
2013年11月23日(土)朝刊
2013年11月24日(日)朝刊
西日本新聞
福祉新聞
31面広告
26面
3面社説
28面
ラジオ
FM高知 2013年 6月23日(日)放送 「Blue Project」(ボランティアかるた読み札募集)
2013年 11月17日(日)放送 「Blue Project」(分科会10「地球のステージ」)
広報紙
高知県のお知らせ
こうちボランティア・NPO通信「てをつなごう」
全ボラNEWS第1号(Vol.96、2012年10月)
全ボラNEWS第2号(Vol.97、2013年1月)
全ボラNEWS第3号(Vol.9 8、2013年4月)
全ボラNEWS第4号(Vol.99、2013年7月)
特集(Vol.100、2013年10月)
「ボランティア情報」2013年4月号∼5月号
新潟市社会福祉協議会広報誌「ボランティア情報にいがた きらりん」(2013年6月号)
金沢市社会福祉協議会広報誌「金沢ボランティアセンター メールマガジン」(2013年6月号)
南国市社会福祉協議会広報誌「社協だより なんこく」(第203号2013年5月)
香南市社会福祉協議会広報誌「香南市社協情報」(No.39、2013年9月)
高知市社会福祉協議会広報誌「社協だより」(第143号2013年10月)
しまんと町社会福祉協議会広報誌「しまんと町社協だより」(2013年10月号)
四万十市社会福祉協議会広報誌「しまんと」(第98号2013年6月、第100号2013年8月)
宿毛市社会福祉協議会広報誌「ふれあい」(2013年8月号)
土佐清水市社会福祉協議会広報誌「しあわせ」(2013年5月号、2013年8月号)
○PR活動
大会facebook(2012年8月28日(火)開始、いいね!416人(2014年1月20日現在))
大会ホームページ(2013年6月3日(月)公開)
第22回全国ボランティアフェスティバルみえでのブース出展・PR活動(2012年9月29日(土)∼30日(日))
ねんりんピックよさこい高知2013でのブース出展(2013年10月26日(土)∼29日(火))
第22回全国ボランティアフェスティバル高知の歓迎看板(2013年11月16日(土)∼25日(月))
62
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
63
大会制作物
開催告知チラシ
ボランティアかるた
読み札募集チラシ
大会用Tシャツ
大会用のぼり
開催案内チラシ
ピッピちゃん飴
参加証
開催案内ポスター
開催案内
パンフレット
当日パンフレット
開催案内シール
資料袋
開催告知うちわ
開催案内
マグネットシート
開催告知
タンブラー
ボランティアかるた
開催告知シール
64
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
65
ボランティアかるた
手をつなぐ 心をつなぐ ボランティア かとれあ(愛知県)
と
登下校 皆で見守る 地域の目
てんじょう(兵庫県)
な 何かある キミにもきっと できること 両間(東京都)
について多くの方に考えていただくことを目的に、スタートアップ企画として始
に
りのんぱ(東京都)
まりました。
“ボランティア”から連想するかるたの読み札を募集し、全国から4,
ぬ ぬくもりに 人と人とが 響き合う よ∼そろ∼(兵庫県)
ね ネットワーク はなれてつながる 新時代 まるこ(香川県)
の のんびりと できることから はじめよう ほっかまん(沖縄県)
は 励ましに 行ったつもりが 励まされ パパラッチ(新潟県)
ひ 広がるよ ドナー登録 命の輪 テレレ(長野県)
ふ 部活終え 部員揃って 献血車 龍神(大阪府)
へ 平凡な 日々も生き生き 大変身 澄華(大阪府)
ほ ほたる舞う きれいな川を 取り戻す とっと(大阪府)
ま ママみてね ぼくの小さな ボランティア はちまんあおぐ(兵庫県)
み 見つけよう 自分に合(あ)った ボランティア 怪傑もぐり33世(神奈川県)/あずき(神奈川県)
む 無限です 人の優しさ 思いやり もへじ(千葉県)
め メンバーの 強い絆が 実を結ぶ 両間(東京都)
も もっとある 今の僕らに 出来ること きら星(東京都)
シベリアンハスキー(大阪府)
「第22回全国ボランティアフェスティバル高知」の開催を機に、ボランティア
139通の応募をいただきました。絵札は、高知県立高知工業高等学校漫画研究
部のみなさんに描いていただきました。
大 賞
優秀賞
審査員
特別賞
上を向く 勇気をくれた ボランティア
星野 信子 氏(埼玉県)
作品
ボランティアかるた表彰式
市民力 豊かな社会の エネルギー
矢田 正江 氏(高知県)
作品
作品
遅くない いくつになっても 出来ること(完熟きのこ 愛知県)
メンバーの 強い絆が 実を結ぶ
(両間 東京都)
やさしさと 夢がつまった 募金箱
(シベリアンハスキー 大阪府)
ボランティアかるた
かるた紹介
66
て
虹の橋 心に架かる 『ありがとう』
あ 新しい あなたが見つかる ボランティア
Mr.ぼらん(神奈川県)
や やさしさと 夢がつまった 募金箱 い いろいろな 生き方学ぶ ボランティア
北山のぞむ(京都府)
ゆ 夕べから 胸が高鳴り 眠れない 息子と共に 初ボランティア 鬼小町(大分県)
う
明日の風(埼玉県)
よ
え エントリー 参加資格は 笑顔だけ
きら星(東京都)
ら ランドセル 海を渡って 子らの背に 榮倉はち(東京都)
お 遅くない いくつになっても 出来ること
完熟きのこ(愛知県)
り
ぽん太(島根県)
か 活気ある 町にはいつも ボランティア
お天気パパ(東京都)
る ルーキーの 気持ち忘れず 慣れすぎず おおもり(栃木県)
き 帰省やめ ガレキの山に 流す汗
中年やまめ(神奈川県)
れ レッツゴー! 今日から私も ボランティア あずき(神奈川県)
く 口癖は 情は人の ためならず
万彩(兵庫県)
ろ
あまた(東京都)
け
傾聴で 心をひらく おばあちゃん
夢追い人(新潟県)
こ
漕ぎ手なら 私も出来る 助け舟
いしざわこーど(茨城県)
上を向く 勇気をくれた ボランティア
さ 再発見 こんな俺でも 役に立つ 松の実(兵庫県)
し
市民力 豊かな社会の エネルギー anego(高知県)
す
少しだけ 勇気を出して 行動へ 湘路(神奈川県)
せ
世代超え つながる仲間と 笑顔の輪 フォレスト(広島県)
そ
掃除する 誇れる場所に 戻すため 大流応円(愛知県)
た 魂を 揺さぶる体験 ありました 北山のぞむ(京都府)
ち ちょっとでも 動けば届く その想い おらふ(愛知県)
つ つないでく 君と僕の手 大きな輪 高蔵彩香(群馬県)
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
ボランティアかるたブース
世の中は 持ちつ持たれつ 助け合い 理解ある 会社でよかった 「行ってきます」 路肩には 地域で植えた 四季が咲く 当日は販売も行いました
好々爺予備軍(福島県)
わ 輪になって 笑顔で結ぶ 感謝の和 ゆうこひらた(新潟県)
ん ん?そうそう 話を聞いて 共感し
ラッキーミッキー(大阪府)
実際にかるたを楽しんでもらいました
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
67
Walk for Volunteer Festival 2013
シチズンパワー
2013年9月から11月の間、大会のテーマである「時代を拓く市民力ぜよ」を目指していくために、坂本龍馬が歩いた脱藩の
道を歩きながら、大会に向けた高知の取り組み情報を発信し、大会への関心を高めてきました。また、道中に所在するNPOや社
協、役場を訪問し、参加の呼びかけを行いました。
梼原維新の門を出発し、高知県立県民文化ホールまでの91.6㎞を歩ききりました。その様子を動画・写真等により
facebookやホームページで紹介するとともに、大会当日の開会式前に映像で取り組みの紹介を行いました。
梼原維新の門
高野の舞台(津野町)
高知大学
日高村役場
津野町役場西支所
脱藩の道
道の駅 布施ケ坂
高知県立県民文化ホール前
桜座(佐川町)
元気がでる作業所ゆらら
高知大学
小村神社(佐川町)
いの町総合保健福祉センター
津野町役場西支所
68
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
69
第22回
全国ボランティアフェスティバル高知
実行委員会設置要綱
(趣 旨)
第1条 平成25年11月に高知県で開催される第22回全国ボランティアフェスティバル高知の企画及び運営を行うことを目的とし
て、「第22回全国ボランティアフェスティバル高知実行委員会」(以下「実行委員会」という。)を設置する。
(役 割)
第2条 実行委員会は、次の各号に関し、協議、実践を行う。
(1)第22回全国ボランティアフェスティバル高知の企画及び運営並びに評価に関すること。
(2)その他、第22回全国ボランティアフェスティバル高知の開催準備及び広報等に必要なこと。
「第22回全国ボランティアフェスティバル高知」
の実施にあたり、
ご寄附や広報、資機材のご提供、
ボランティアによる当日の運営等に
ご協力いただきました。
協 賛
紙面でのご紹介をもって、お礼に代えさせていただきます。
第22回全国ボランティアフェスティバル高知 実行委員会 委員名簿
大会役職
氏 名
委 員 長
副委員長
幹 事
幹 事
幹 事
幹 事
八木 雅昭
山﨑水紀夫
上田 健作
竹島 直孝
玉里恵美子
東森 歩
阿南健太郎
伊藤 創平
井上 直美
上田 大
内田 洋子
岡田 一水
岡村 美紀
北村 真実
木下くみ子
清川 真史
清原 泰治
葛島由利恵
近藤 純次
坂本真由美
佐甲 学
四宮 成晴
下川 毅士
白石 研二
柚村 誠
高橋美佐子
田尻 佳史
田所 真衣
田村 和之
徳弘 博国
中屋 圭二
西森 裕子
丹生谷行朗
濱田 義隆
三谷 英子
山内 桂
山中 雅也
山本 麻子
(組 織)
第3条 実行委員会は、NPO、企業、大学、社会福祉協議会その他ボランティア活動やNPO活動の推進に関係する団体等に所属す
る委員で構成する。
2 委員の増員を行うときは、実行委員会の承諾を得て行う。
3 委員の任期は、第22回全国ボランティアフェスティバル高知の開催後、事業評価が終了するときまでとする。
(委員長及び副委員長)
第4条 実行委員会に、委員長1名及び副委員長1名を置く。
2 委員長及び副委員長は、委員の互選による。
3 委員長は、会務を統括し、実行委員会の議長となる。
4 委員長に事故があるときは、副委員長がその職務を代理する。
(会 議)
第5条 実行委員会は、必要な都度、委員長が召集する。
2 議事は、出席委員の過半数をもって決し、可否同数のときは委員長の決するところによる。
3 緊急やむを得ない場合など実行委員会を開催することができない場合は、議事を事前に実行委員に付したうえで、メール等
により実行委員の過半数の同意をもって決することができる。
(幹事会)
第6条 実行委員会は、幹事会を設け、実行委員会が指定した内容等について、協議、決定することができる。
2 幹事会で協議した内容は、実行委員会に報告することとする。
3 幹事会の委員は、次の各号の委員で構成する。
(1)委員長及び副委員長
(2)委員長が指名した委員
4 幹事会の運営は、前条の規定を準用する。
(部 会)
第7条 実行委員会は、事業の実務的な企画立案及び個別課題ごとの協議を行うために部会を設け、協議することができる。
2 部会で協議した内容は、実行委員会に報告することとする。
(事務局)
第8条 実行委員会の事務局は、高知県社会福祉協議会に置く。
(その他)
第9条 この要綱に定めるほか、必要な事項は委員長が別に定める。
附 則
この要綱は、平成24年8月27日から施行する。
70
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
日本生活協同組合連合会、教職員共済生活協同組合、全国労働者共済生活協同組合連合会、一
般社団法人日本新聞協会、財団法人高知県福祉基金、NPO法人モバイル・コミュニケーショ
ン・ファンド、株式会社NTTドコモ四国支社高知支店、社会福祉法人すずめ福祉会
<事務局>
氏 名
池田 知勢
間 章
仙頭 正輝
氏原 由理
小野麻衣子
森部 功一
上岡 怜
植月 裕子
所 属
役 職
NPO法人高知県西部NPO支援ネットワーク
認定NPO法人NPO高知市民会議
高知県ボランティア・NPOセンター運営委員会
社会福祉法人高知市社会福祉協議会
高知大学総合教育センター
ファン度レイジング・マーケティング
財団法人児童健全育成推進財団
高知大学学生ボランティアセンター
NPO法人高知県生涯学習支援センター
社会福祉法人土佐町社会福祉協議会
認定NPO法人NPO高知市民会議
株式会社高知銀行地域連携ビジネスサポート部
高知県文化生活部県民生活・男女共同参画課
NPO法人こうち音の文化振興会
高知SGG善意通訳クラブ
高知県地域福祉部地域福祉政策課
高知県立大学地域教育研究センター
社会福祉法人高知県共同募金会
NPO法人FUSE
NPO法人とさはちきんねっと
社会福祉法人全国社会福祉協議会全国ボランティア・市民活動振興センター
NPO法人土佐の森・救援隊
社会福祉法人いの町社会福祉協議会
社会福祉法人高知県社会福祉協議会
日本赤十字社高知県支部
NPO法人高知市こども劇場
認定NPO法人日本NPOセンター
社会福祉法人香南市社会福祉協議会
佐川おもちゃとしょかん「さくらんぼ」
社会福祉法人香美市社会福祉協議会
NPO法人高知市身体障害者連合会
公益財団法人高知県老人クラブ連合会
社会福祉法人南国市社会福祉協議会
絵金蔵運営委員会
NPO法人地域サポートの会さわやか高知
JICA・高知デスク
高知県地域福祉部ねんりんピック推進課
社会福祉法人しまんと町社会福祉協議会
所 属
社会福祉法人高知県社会福祉協議会
社会福祉法人高知県社会福祉協議会
高知県ボランティア・NPOセンター
社会福祉法人高知県社会福祉協議会 生きがい推進課
理事長
理事
副委員長
課長補佐
准教授
代表
課長
職員
地域福祉コーディネーター
専務理事
主任業務役
チーフ
理事長
副会長
チーフ
副センター長
主事
理事長
事務局長
所長
理事
主任
事務局次長
事業推進課長
理事長
常務理事兼事務局長
主事
事務局長
会長
主任
係長
会長
会長
国際協力推進員
チーフ
主事
役 職
事務局長
所長
主事
主事
事務職員
研修生
研修生
主事
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
71
72
第22回 全国ボランティアフェスティバル高知 大会報告書
第22回
全国ボランティアフェスティバル高知 報告書
発
行 第22回全国ボランティアフェスティバル高知実行委員会
事務局
社会福祉法人高知県社会福祉協議会
高知県ボランティア・NPOセンター、生きがい推進課
〒780-8567 高知市朝倉戊375-1 高知県立ふくし交流プラザ4F
TEL 088-850-9100 FAX 088-844-3852
URL http://www.pippikochi.or.jp
発行月 2014年2月