日 本 進 出 8 年 目 を 迎 え 「 ク マ の 手 」

エクスペディア インタビュー
なりません。
第 2はエクスペディアの強みでもある航空券の取り扱い
を軸に、ホテルも一体で販売する形をより強化していきま
す。エクスペディアの日本での航空券の取り扱いは世界で
5 番目の規模。エクスペディアの検索のしやすさに加えて、
航空券とオンライン予約の親和性の高さが旅行者たちの
なかざと・みつあき
慶應義塾大学卒。日本アイ・ビー・エム、三井物産等
を経て09年にエクスペディア・ジャパン入社。
ディスカバー・ザ・ワールド・マーケティング
営業・マーケティング課長
佐々木麗氏
ささき・れい
立命館大学卒。旅行会社等を経て12年にディスカバー・
ザ・ワールド・マーケティング入社。
オンライン旅行ビジネスの可能性を
切り拓いてきたエクスペディア。日本
進出から8年目を迎え、新たなビジ
ネス展開への取り組みも進行中だ。
(文/高岸洋行、写真/鷲山淳)
日本進出8年目を迎え
中里光昭氏
「クマの手」ユーザーをさらに拡大へ
エクスペディア・ジャパン
パートナーシップマーケティング
北アジア(日本・韓国・香港・台湾)事業開発統括責任者
間に浸透したことが追い風となっています。こうした流れ
をさらに確かなものにするため、航空券についても
「最安
値にチャレンジ」と称し、13 年10月に期間限定キャンペー
ンを実施しました。
第3の方針は、アジア方面への取り組み強化です。エクス
ペディアのイメージとして、米国のホテルに関する強みがク
ローズアップされがちですが、アジア方面の取り扱いも急
増中です。11年7月からエアアジアとジョイントベンチャー
Q. 旅行会社向けのB2Bプログラムである「クマの
手」導入の狙いは?
を組むことによって、アジアのホテルに関する競争力も高
Q. 世界最大の旅行予約サイトとして日本に進出し
まっています。今後は伸び盛りの東 南アジアのホテルの
「クマの手」は、02年にイタリアで開始した店舗型旅行
キャンペーンなども積極的に行っていきます。
会社向けのプログラムで、TAAP(トラベル・エージェント・
このほか、13年に前年比110%増と倍増以上の急成長と
アフィリエイト・プログラム)の名称で提供していたもので
なった「パートナーマーケティング」の分野にも注力してい
す。11年10月に日本市場でTAAPの導入を決めた際に「ク
きます。
マの手」という愛称を付けました。旅行会社に対する営業
Q. パートナーマーケティングの中身について教え
てください。
てから現在までの歩みをご説明ください。
活動はディスカバー・ザ・ワールド・マーケティングに委託し
ています。
エクスペディアにとって新規需要の開拓でもあります。日
本における旅行のオンライン予約のシェアが仮に3割に達
パートナーマーケティングは、エクスペディアの取り扱い
したとしても、7割の旅行市場が手つかずのまま残っていま
06年11月に日本語サイトを立ち上げてから丸7年が経過
全体の約3 0%を占める重要な分野で、具体的には、旅行
す。ここにリーチする手段として「クマの手」が力を発揮す
しました。この間、0 8年には海外ホテルの最低価格 保証
のポータルサイトや各種企業、リアル店舗などを経由した
ると期待しています。
を開始し、11年からは航空券と宿泊を組み合わせたダイナ
オンライン予約を意味します。現在、エクスペディアは約50
旅行会社にとってももちろん価値あるプログラムです。オ
ミックパッケージの取り扱いを始めました。13年4月からは
社の企業と契約を交わしているほか、3万9000に及ぶサイ
ンライン旅行予約に馴染まない顧客を抱える店舗型旅行
国内宿泊施設についても最低価格保証をしています。
トとも提携しています。これらのサイトには個人ブロガーの
会社にとっては、自社の顧客に対して、エクスペディアが仕
13年2月にはJTBとの包括的な業務提携も実現し、7月
旅行ブログなども含まれます
入れた競争力の高いホテル在庫を提供でき、最低価格保
からエクスペディアのサイト内に専用の宿泊予約ページを
企業との契約ではJTBとの包括的業務提携もそのひと
証などの安心感が得られる点も大きな価値です。
設け、JTBグループが扱う約70 0 0軒の旅 館や民宿、ペン
つであり、航空会社に関しては全日空や日本航空との契約
「クマの手」あるいはTAAPは世界30カ国で展開し、日
ション、貸別荘の提供を開始。11月にはJTBサイトで、エク
があります。航空会社のホームページを経由してエクスペ
本の120 0 社を含む4万50 0 0 社が利用しています。契約旅
スペディアが取り扱う世界約10万軒のホテルの提 供もス
ディアで予約した場合、航空会社のマイレージポイントを
行会社には販売規模に応じた特典も用意しており、より魅
タートしました。
獲得できます。クレジットカード会社の場合は、割引特典な
力的なプログラムを目指して工夫を重ねています。
13年1〜12月期のエクスペディアの日本での取り扱い実
ども用意しています。旅行のポータルサイトとの連携では、
14年は全国の旅行会社の皆様に直接お目にかかる機会
績は前年同期比56%増の大幅な伸びとなり、14年も引き続
共同でプロモーションを実施することもあります。
をこれまで以上に増やしていきます。特に地方の旅行会社
き高い伸び率を維持していきたいと考えています。
旅行会社の場合は、エクスペディアの持つノウハウを自
へのアプローチを強化するつもりです。13年は札幌と沖縄
社のオンライン販売に取り込むことができるメリットは大き
でセミナーを開催しましたが、14年はさらに多くの地方都
いはずです。エクスペディアでは1カ月に100回以上も、さま
市でセミナーを行います。
ざまなテストを繰り返しながらサイトを日々進化させてい
旅行会社に対しては、単なる仕入れツールとして利用す
Q. 2014 年以降の日本におけるビジネスの展開方
針はいかがですか?
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エクスペディアのノウハウをぜひ活用してほしいと話す中里氏
ます。たとえば検索ボックスの大きさをミリ単位で調整した
るのではなく、成長し続けるエクスペディアのノウハウや成
第1にモバイルチャンネルの最大活用を目指します。ス
り、コンテンツの掲載順を変えたりすることで、売り上げに
功要因を吸収するためのネットワークとして活用してもらい
マートフォンやタブレットなどのモバイルチャンネルからの
どのような影響が出るかを確かめ、コンマ数パーセント単
たいと考えています。また14年の早い時期にプラットフォー
予約は予約全体の20%を超えてきており、今後も伸びが予
位で成約率を高める努力を、日本進出以来の7年間続けて
ムを3.0にバージョンアップする予定です。予約機能や旅行
想されます。国内旅行の購買チャンネルは完全にスマート
きました。一般の旅行会社はオンライン販売のノウハウを
情報管理機能も大幅に改善する見込みです。一段と使いや
フォンなどにシフトしてきており、海外旅行も後に続くと考
持ち合わせていないケースも多く、エクスペディアのノウハ
すく強力になる「クマの手」を、ぜひ活用していただきたい
えられます。こうしたトレンドにしっかり対応していかねば
ウを生かせる余地は大きいと思います。
と思います。