第2章 住宅・建築物の耐震化の目標 2-1 耐震化の現状 (1)住宅 昭和53年の宮城県沖地震などの建物被害の状況を踏まえ、昭和56年6月に耐震基準の抜本的な 見直しを含む新しい建築基準法(以下、新耐震基準とする)が施行されました。阪神・淡路大震 災では、昭和56年以前の建築物で軽微な被害及び無被害が全体の1/3程度であるのに対し、昭和 57年以降の建築物では約75%と、被害が少なかったことが明らかとなっています。 このことから、昭和57年以降に建てられた住宅は新耐震基準が適用されているため、耐震性が あると想定します。また、昭和56年以前に建てられた住宅についても、一定の割合で耐震性を備 えたものがあると想定します。 以上を基に、住宅の耐震化の状況を検討します. 群馬県耐震改修促進計画では、 住宅総数約838,000棟、うち耐震性を有するものが約574,000 棟であり、耐震化率は約69%と推定されます。 平成19年時点で渋川市の建築物のうち、課税台帳に用途が住宅(戸建住宅・共同住宅等)と記 載されているものは約36,700棟です。住宅の大半が戸建住宅となっており、共同住宅等は1,000 棟と少ない状況となっております。 戸建て住宅・共同住宅の別と建築年を参照して耐震化率を計算すると、渋川市の住宅全体で は約54%になり、群馬県全体と比較すると15ポイント低い水準にあります。 表-2.1 群馬県・渋川市における住宅の耐震化率 (棟) 内容 戸建住宅 共同住宅 (参考) 合計 群馬県の推計値 合計 35,729 1,000 36,729 838,000 新基準 16,584 608 17,192 495,000 旧基準 19,145 392 19,537 343,000 12% 76% - 2,297 298 2,595 79,000 適合棟数 計 18,881 906 19,787 574,000 不適合棟数 計 16,848 94 16,942 耐震化率※ 52.8% 90.6% 53.9% 新基準適合率※ 適合棟数推定 新基準適合率:昭和 56 年以前のうち耐震性能を有する住宅棟数(国の推計値) 戸建住宅:12%,共同住宅:76% 耐震化率:住宅の耐震化率の算出方法は以下のとおり。 昭和 57 年以降の住宅棟数+昭和 56 年以前のうち耐震性能を有する住宅棟数 全住宅棟数 -7- 69% = 耐震化率 (2)特定建築物等 耐震改修促進法第6条において、同条で規定される特定建築物の所有者は、当該特定建築物に ついて耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修を行うよう努めなければならないとされています。 渋川市内における特定建築物等※については、民間建築物は第6条第 1 号が 203 棟、第 2 号 が 163 棟となっています。また、市有建築物は 79 棟となっています。 表-2.2(1) 特定建築物等一覧(民間建築物) 法 規模要件 (対象規模) 特定建築物等の用途 幼稚園・保育所 第6条第1号 小学校等 (小学校、中学校、中等教育学校の前期課程、特別支 援学校) 老人ホーム、老人短期入所施設、福祉ホームその他こ れらに類するもの 老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉セ ンターその他これらに類するもの 病院、診療所 劇場、観覧場、映画館、演芸場 集会場、公会堂 展示場 ボーリング場、スケート場、水泳場その他これらに類 する運動施設 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗 ホテル、旅館 博物館、美術館、図書館 遊技場 公衆浴場 飲食店、キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンス ホールその他これらに類するもの 理髪店、質屋、貸衣装屋、銀行その他これらに類する サービス業を営む店舗 車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場を構 成する建築物で旅客の乗降又は待合の用に供するも の 自動車車庫その他の自動車又は自転車の停留又は駐 車のための施設 郵便局、保健所、税務署その他これらに類する公益上 必要な建築物 学校(第 2 号以外の学校) 卸売市場 賃貸住宅(共同住宅に限る)、寄宿舎、下宿 事務所 工場(危険物の貯蔵又は処理場の用途に供する建築物 を除く) 体育館(一般公共の用に供されるもの) 階数が 2 以上 かつ 500m2 以 上 階数が 2 以上 か つ 1000m2 以上 階数が 2 以上 か つ 1000m2 以上 指示対象 (規模要件) 公表対象※ 750m2 以上 ○ 1500m2 以上 ○ 2000m2 以上 ○ 危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物 民間 2 16 15 3 2 階数が 3 以上 か つ 1000m2 以上 7 89 1 2 2000m2 以上 ○ 1 2 2 階数が 3 以上 か つ 1000m2 以上 - - 2000m2 以上 ○ 28 13 20 1000m2 以上 第6条第1号 第6条第2号 該当棟数 政令で定め る数量以上 の危険物を 貯蔵、処理す るすべての 建築物 500m2 以上 ○ 計 203 163 特定建築物等:特定建築物は、定められた用途や規模を満たし、かつ、建築基準法等の耐震関係規定に適合していない 建築物(巻末資料 資料-3参照)であるが、本章においては、統計上の問題等から、定められた用途や規模を満 たすものすべて(耐震関係規定に適合しているものを含む)を「特定建築物等」と称して整理する。 公表(法題7条第3項)の対象:正当な理由が無く、指示に従わなかったとき、公表の対象となる。 -8- 表-2.2(2) 特定建築物等一覧(市有建築物) 法 規模要件 (対象規模) 特定建築物等の用途 幼稚園・保育所 小学校等 (小学校、中学校、中等教育学校の前期課程、特別支 援学校) 老人ホーム、老人短期入所施設、福祉ホームその他こ れらに類するもの 老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉セ ンターその他これらに類するもの 階数が 2 以上 かつ 500m2 以 上 階数が 2 以上 か つ 1000m2 以上 階数が 2 以上 か つ 1000m2 以上 該当棟数 指示対象 (規模要件) 公表対象 750m2 以上 ○ 2 1500m2 以上 ○ 49 2000m2 以上 ○ 1 病院、診療所 市有 2 劇場、観覧場、映画館、演芸場 集会場、公会堂 5 展示場 ボーリング場、スケート場、水泳場その他これらに類 する運動施設 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗 ホテル、旅館 2 博物館、美術館、図書館 遊技場 第6条第1号 1 階数が 3 以上 か つ 1000m2 以上 2000m2 以上 ○ 階数が 3 以上 か つ 1000m2 以上 - - 公衆浴場 飲食店、キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンス ホールその他これらに類するもの 理髪店、質屋、貸衣装屋、銀行その他これらに類する サービス業を営む店舗 車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場を構 成する建築物で旅客の乗降又は待合の用に供するも の 自動車車庫その他の自動車又は自転車の停留又は駐 車のための施設 郵便局、保健所、税務署その他これらに類する公益上 必要な建築物 学校(第 2 号以外の学校) 卸売市場 賃貸住宅(共同住宅に限る)、寄宿舎、下宿 事務所 5 6 工場(危険物の貯蔵又は処理場の用途に供する建築物 を除く) 体育館(一般公共の用に供されるもの) 1000m2 以上 危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物 政令で定め る数量以上 の危険物を 貯蔵、処理す るすべての 建築物 2000m2 以上 ○ 第6条第1号 第6条第2号 -9- 500m2 以上 ○ 6 計 79 ①多数の者が利用する建築物(法第6条第1号) 特定建築物等の耐震化率は民間の特定建築物等が 53.7%、市有の特定建築物等が 68.4%とな っています。 全特定建築物等の用途別の中で、 民間建築物の 「比較的利用者の滞在時間が長い建築物」 が 119 棟と最も多くを占めていますが、そのうち、耐震性が確認・確保されていないものが 72 棟 (60.5%)を占めています。 また、昭和 56 年以前に建築された特定建築物等 140 棟(民間 94 棟、市有 46 棟)のうち、 耐震性が確認・確保されていないものは 119 棟(民間 94 棟、市有 25 棟:昭和 56 年以前に 建設された特定建築物等の 85.0%)となっています。 耐震化率を向上するためには、昭和 56 年以前の建築物の耐震性の向上が必要であり、まずは 耐震診断を実施すること、そして耐震性が不足するものについて積極的に耐震改修を促進するこ とが必要です。 なお、耐震化率の推計においては、昭和 56 年以前の建築物のうち耐震診断が実施されていな い建築物については「耐震性が確保されていない建築物」と扱っています。したがって、今後、 耐震診断の実施により耐震化率の向上が見込まれます。 表-2.3(1) 法第6条1号に該当する特定建築物等の状況(民間建築物) (棟) 分類 1.被災時に 避難者及び 傷病者の救 護など災害 救護拠点とな る建築物 病院、診療 所、集会場、 公会堂、郵便 局、保健所、 学校、体育館 等 2.災害時に 3.比較的利 4.その他の 5.利用者が 要援護者が 用者の滞在 不特定多数 比較的限定 いる建築物 時間が長い が集まる建築 される建築物 建築物 物等 幼稚園、小学 校、中学校、 盲学校、聾学 校、高齢者福 祉施設、児童 福祉施設、障 害者福祉施 設等 旅館、ホテ ル、賃貸(共 同)住宅、寄 宿舎、下宿等 ボーリング場 等、運動施 設、劇場、映 画館、展示 場、百貨店等 店舗、美術 館、銀行、遊 技場等 卸売市場、事 務所、工場、 自動車車庫、 危険物貯蔵 施設等 15 20 119 15 34 203 昭和57年以降に建築 された棟数 12 17 47 9 24 109 昭和56年以前に建築 された棟数 3 3 72 6 10 94 耐震性が確保され ているもの 0 0 0 0 0 0 耐震性が確認・確 保されていないもの 3 4 72 5 10 94 80.0% 85.0% 39.5% 60.0% 70.6% 53.7% 含まれる用途 全特定建築物等 耐震化率 - 10 - 合 計 表-2.3(2) 法第6条1号に該当する特定建築物等の状況(市有建築物) (棟) 大分類 Ⅰ.災害対策拠点機能等の確保を図 Ⅱ.震災時における被害防止の観点 るうえで優先的に整備すべき市有施 Ⅲ.その他 から整備すべき市有施設 設 小分類 1 災害対策 含まれる用途 2 救護対策 4 要援護者 施設 3 避難対策 5 集客 6 長期滞在 7 その他 市営住宅、 宿泊施設、 寄宿舎、高 等学校等 左記以外の 施設、左記 附帯施設 (倉庫、機 械室等) 合 計 市庁舎、地 病院、消防 集会場、 児童福祉施 博物館、美 域機関及び 署 小・中学避 設、高齢者 術館、劇 専門機関、 難指定校、 福祉施設、 場、体育館 教育事務 市立高等学 障害者福祉 等 所、支所等 校防災拠点 施設、小・ 等 中学校等 全特定建築物等 3 2 53 6 8 7 0 79 昭和57年以降に建築さ れた棟数 0 0 19 5 5 4 0 33 昭和56年以前に建築さ れた棟数 3 2 34 1 3 3 0 46 耐震性が確保されてい るもの 0 2 18 0 0 1 0 21 耐震性が確認・確保さ れていないもの 3 0 16 1 3 2 0 25 0.0% 100.0% 69.8% 83.3% 62.5% 71.4% 0.0% 68.4% 耐震化率 - 11 - ②危険物を取り扱う建築物(法第6条第2号) 第6条第 2 号「火薬類、石油類、その他危険物の一定数量以上の貯蔵場又は処理場」について は、総数が 163 棟となっており、耐震化率は 57.7%となっています。なお、これはすべて民間 建築物のみで、市有建築物については該当する建築物はありません。 表-2.4 特定建築物等の状況(法第6条2号) (棟) 分類 法第6条2号 特定建築物等 111 昭和57年以降に建築された棟数 64 昭和56年以前に建築された棟数 47 耐震性が確保されているもの 0 耐震性が確認・確保されていないもの ※不明 52 棟を除く 47 耐震化率 57.7% また、第 6 条第 2 号の対象となる保有危険物は以下のとおりです。 表-2.5 第 6 条第 2 号に該当する危険物の数量 危険物 数量要件 ① 火薬類 火薬の場合 10t 他規定あり ② 「危険物の規制に関する政令」別表第3の指定危険物 各々「指定数量」の 10 倍 ③ 同政令別表第4備考第6号に規定する可燃性固体類 30t ④ 同政令別表第4備考第8号に規定する可燃性液体類 20m3 ⑤ マッチ 300 マッチトン ⑥ 可燃性ガス(⑦・⑧除く) 20,000m3 ⑦ 圧縮ガス 200,000m3 ⑧ 液化ガス 2,000t ⑨ 毒物及び劇物取締法第2条第1項に規定する毒物 20t ⑩ 同条第2項に規定する劇物 200t ※マッチトンはマッチの計量単位。1マッチトンは並型マッチ(56×36×17mm)で 7,200 個、約 120kg。 - 12 - 2-2 住宅・民間特定建築物等の耐震化の目標 (1)住宅・民間特定建築物等の耐震化の目標 「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針(平成 18 年 1 月 25 日 国土交通省)」では、住宅の耐震化率及び多数のものが利用する建築物の耐震化率について、現 状の 75%を、平成 27 年までに少なくとも 90%にすることを目標としています。 本市においても、被害想定の半減化等に向けた目標設定を行うものとし、住宅では 75%、民 間特定建築物等では 80%と耐震化率の目標を定めるものとします。 【現状】54% 住 (平成 19 年度) 【推計値】68% 宅 戸建住宅 (平成 27 年度) 耐震化目標 75%以上 共同住宅等 ○これまでの動向から推計 ・平成 27 年度の住宅棟数 ・昭和 56 以前の住宅建替棟数 ・住宅棟数の年間滅失率 被害の半減化 (減災効果) 【現状】55% 民間特定建築物等 第1号:54% 第2号:58% (平成 19 年度) 多数のものが利用する 建築物(第1号) 【推計値】64% (平成 27 年度) 危険物を取り扱う建築 物(第2号) ○これまでの動向から推計 ・平成 27 年度の民間特定建築物等の棟数 ・平成 27 年度までの民間特定建築物等の滅失率 図-2.3 耐震化目標の設定の考え方 - 13 - 耐震化目標 80%以上 (2)耐震化の現状と平成 27 年度の見込み ①住宅 平成 19 年度での住宅の耐震化の現状は、耐震化されている住宅が 19,787 棟(53.9%)で あるのに対し、耐震性が不十分※な住宅が 16,942 棟(46.1%)となっています。現状の住宅数 の増減を勘案し、平成 27 年までの住宅数が 37,831 棟まで増加、かつ住宅の更新がこれまでの ペースで進むと仮定した場合、耐震化されている住宅は 25,734 棟となり、その割合は 68.0% と見込まれます。 ②民間特定建築物等 平成 19 年度での民間特定建築物等の耐震化の状況は、耐震化されている建築物が 173 棟 (55.1%)であるのに対し、耐震性が不十分な建築物は 141 棟(44.9%)となっています。 平成 27 年までには、民間特定建築物等の除却や改修がこれまでのペースで進むと仮定した場合、 耐震化されている建築物は 216 棟となり、全民間特定建築物等に対する耐震化されている建築 物の割合は 64.1%と見込まれます。 総数 337 棟 総数 37,831 棟 総数 314 棟 総数 36,729 棟 耐震化されている住 宅 19,787 棟(53.9%) 耐震化されている建築 物 173 棟(55.1%) 耐震化されている住宅 25,734 棟(68.0%) 昭和 57 年以降 →173 棟 昭和 56 年以前 →0 棟 昭和 57 年以降 →17,192 棟 昭和 56 年以前 →2,595 棟 耐震性が不十分な住 宅 16,942 棟(46.1%) 平成 19 年 耐震化されている建築 物 216 棟(64.1%) 耐震性が不十分な建築 物 141 棟(44.9%) 耐震性が不十分な住宅 12,097 棟(32.0%) 平成 19 年 平成 27 年(自然更新) 図-2.4 住宅の耐震化の現状と平成 27 年度の見込み 耐震性が不十分な建築 物 121 棟(35.9%) 平成 27 年(自然更新) 図-2.5 民間の特定建築物等の耐震化の現状と 平成 27 年度の見込み 耐震性が不十分:本章においては、耐震診断により耐震がないと確認されたものと耐震診断を実施しておらず耐震性が 確認されていないものを含めて「耐震性が不十分」と称する。 - 14 - (3)耐震化の目標 ①住宅 現状の耐震化率や自然更新による耐震化率の見込み及び住宅の耐震性の確保による減災効果 を踏まえ、住宅の耐震化の目標を 75%と設定します※。 目標の達成に向けては、8 年間で 5,947 棟の自然更新による耐震化の実施数を、的確な施策 の推進により 8,586 棟まで向上させることが必要となります。 表-2.6 住宅の耐震化の目標 現状の耐震化率 自然更新による耐 震化率の見込み 53.9% (19,787 棟) 68.0% (25,734 棟) 目標耐震化率 目標の達成に向けて 75% 2,639 棟(年間約 330 棟)の耐震化が必要とな (28,373 棟) ります。 ※カッコ内は耐震性のある住宅棟数 総数 37,831 棟 総数 37,831 棟 耐震化されている住宅 25,734 棟(68.0%) 耐震化されている住宅 (自然更新) 25,734 棟(68.0%) 総数 36,729 棟 耐震化されている住宅 19,787 棟(53.9%) 耐震性あ り 28,373 棟 昭和 57 年以降 →17,192 棟 昭和 56 年以前 →2,595 棟 耐震性が不十分な住宅 16,942 棟(46.1%) 施策効果 2,639 棟(7.0%) 耐震性が不十分な住宅 12,097 棟(32.0%) 耐震性が不十分な住宅 9,458 棟(25.0%) 平成 19 年 平成 27 年(自然更新) 平成 27 年(施策促進) 図-2.6 住宅の耐震化の目標 住宅の耐震化率の目標設定: 「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針 (平成18 年1 月25 日 国土交通省)」では、住宅の耐震化率について、現状の75%を、平成27 年までの目標を90%としている。県 は、現状の耐震化率が全国に比較して5 ポイント以上低いことや木造戸建住宅が多いこと等を背景として、目標 耐震化率を85%と設定している。 本市においては、現状の耐震化率が県全体に比較して15 ポイント程度低いことを踏まえて目標耐震化率を 75%と設定した。 - 15 - ②民間特定建築物等 現状の耐震化率や自然更新による耐震化率の見込み等を踏まえ、民間特定建築物等の耐震化の 目標を、80%以上と設定します。目標の達成に向けては、54 棟の耐震改修を実施していくこと が必要となります。 耐震化率の推計においては、昭和 56 年以前の建築物のうち耐震診断が実施されていない建築 物については「耐震性が確保されていない建築物」と扱っています。したがって、今後、耐震診 断の実施により耐震化率の向上が見込まれます。 表-2.7 民間特定建築物等の耐震化の目標 現状の耐震化率 55.1% (173 棟) (第 1 号 109 棟、第 2 号 64 棟) 自然更新による耐 目標耐震化率 目標の達成に向けて 64.1% 80% 54 棟(年間約 7 棟)の耐震改修が (216 棟) (270 棟) 震化率の見込み 必要となります。 ※カッコ内は耐震性のある民間特定建築物等棟数 総数 337 棟 総数 337 棟 総数 314 棟※ 耐震化されている建築物 173 棟(55.1%) 耐震化されている建築物 216 棟(64.1%) 耐震化されている建築物 (自然更新) 216 棟(64.1%) 昭和 57 年以降 →173 棟 昭和 56 年以前 →0 棟 耐震性あり 270 棟 (80.1%) 施策効果 54 棟 (16.0%) 耐震性が不十分な建築物 141 棟(44.9%) 耐震性が不十分な建築物 121 棟(35.9%) 耐震性が不十分な建築物 67 棟(19.9%) 平成 19 年 平成 27 年(自然更新) 平成 27 年(施策促進) 図-2.7 民間特定建築物等の耐震化の目標 現状の民間特定建築物等の総棟数:第 1 号 203 棟、第 2 号 163 棟の合計から第 2 号の内の状況不明な 52 棟を引い た棟数となっている。 (203 棟+163 棟-52 棟=314 棟) - 16 - 民間特定建築物等の用途別の平成 27 年の将来推計と耐震化率を算定すると、表-2.8 のとおり となります。 これは、以下の条件で検討を行いました。 ・特定建築物等の目標が全体で 80%とする。 ・用途のうち、第 1 号の「1.被災時に避難者及び傷病者の救護など災害救護拠点となる建築 物」と「2.災害時に要援護者がいる建築物」は防災上重要な施設なので、100%となるよ うに算定した。 表-2.8 用途別にみた民間特定建築物等の耐震化の目標 (棟) 特定建築物 法 用途 平成27年度推計 H27建替 昭和56年 全数の推計 (滅失)数 以前の (H19*1.072) (5.81%) 建築物③ ① (H19-②) ② 平成27年度目標 昭和57年 ③のうち 耐震性有り 以降の 耐震性有り 建築物数 ⑥ 建築物④ 建築物数 (④+⑤) ⑤ (①-③) 平成27年 平成27年度 平成27年度 平成27年度 度耐震性 耐震性なし までの耐震 耐震化率 なし (%) 改修数 建築物数 建築物数 1.被災時に避難者及び傷 病者の救護など災害救護拠 点となる建築物 16 1 2 14 0 14 2 0 2 100.0% 2.災害時に要援護者がい る建築物 21 1 2 19 0 19 2 0 2 100.0% 3.比較的利用者の滞在時 間が長い建築物 128 8 64 64 0 64 64 34 30 73.4% 4.その他の不特定多数が 集まる建築物等 16 1 5 11 0 11 5 3 2 81.3% 5.利用者が比較的限定さ れる建築物 37 2 8 29 0 29 8 7 1 81.1% 218 13 81 137 0 137 81 44 37 79.8% 第 危険物の貯蔵場又は処理場 2 の用途に供する建築物 号 119 7 40 79 0 79 40 23 17 80.7% 合 計 337 20 121 216 0 216 121 67 54 80.1% 法 第 6 条 第 1 号 小 計 - 17 - 2-3 市有建築物の耐震化の目標 (1)市有建築物の耐震化の目標 市有建築物については、市民の生命・財産を守る以外に、地震発生後の災害対策や避難救護を 図るための重要な役割があります。 市有の特定建築物等の現状の耐震化率は 68.4%となっています。 表-2.9 市有建築物の状況 (棟) 大分類 1 災害対策 Ⅰ. 災害対策拠点機 能等の確保を図 2 救護対策 るうえで優先的 に整備すべき市 有施設 3 避難対策 4 要援護者施設 Ⅱ. 震災時における 被害防止の観点 5 集客 から整備すべき 市有施設 6 長期滞在 Ⅲ.その他 耐震性 なし 小分類 7 その他 市庁舎、地域機関 及び専門機関、教 育事務所、支所等 病院、消防署 集会場、小・中学 避難指定校、市立 高等学校防災拠点 等 児童福祉施設、高 齢者福祉施設、障 害者福祉施設、 小・中学校等 博物館、美術館、 劇場、体育館等 市営住宅、宿泊施 設、寄宿舎、高等 学校等 上記以外の施設、 上記附帯施設(倉 庫、機械室等) 合計 耐震性 あり 合計 耐震化率 3 0 3 0.0% 0 2 2 100.0% 16 37 53 69.8% 1 5 6 83.3% 3 5 8 62.5% 2 5 7 71.4% 0 0 0 - 25 54 79 68.4% 市は「市民、施設利用者の生命(安全)」を守る責務があることから、耐震診断の結果「耐震 性が不十分」とされた建築物については、建築物の倒壊危険度及び重要度を考慮した優先順位を 付け耐震化を進めます。 特に、庁舎等の防災上重要な建築物、集会場等の不特定多数が利用する建築物等の緊急度の高 い施設から財政事情等を十分考慮しつつ計画的に耐震化を進め、平成 27 年度までに耐震化率を 90%とすることを目標とします。 また、施設を利用する市民に対して耐震性の周知を行う必要があるため、耐震診断結果の公表 に取り組みます。 - 18 - (2)市有建築物の耐震化の優先度 市有建築物の耐震化は、下表に示す優先性の考え方に基づき推進します。用途や規模において 優先度を定めない区分については、地域防災機能の側面及び緊急性から優先性を判断します。 また、水道施設等をはじめとし、市民の生活に密着しているライフライン関係施設等の市有施 設についても、計画的に耐震化を推進していきます。 表-2.10 市有建築物の耐震化の考え方 大分類 Ⅰ. 災害対策拠点機 能等の確保を図 るうえで優先的 に整備すべき市 有施設 Ⅱ. 耐震化の優先性 小分類 用途別 1 災害対策拠点機能関係 規模別 大規模なものほど優先 2 救助・救急、医療等拠点機能関係 特に優先度 を定めない 3 避難収容施設関係 大規模なものほど優先 大規模なものほど優先 優先度高い 4 要援護者施設 特に優先度を定めない 震災時における 被害防止の観点 5 多数の市民が集まる施設 特に優先度を定めない から整備すべき 市有施設 Ⅲ.その他 6 比較的滞在時間の長い施設 優先度低い 特に優先度 7 その他の市有施設 を定めない - 19 - 大規模なものほど優先 特に優先度を定めない
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