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認定農業者様向け講演 原稿
~
26,8,18
農業新時代を生き抜くためには
~
【スライド】
皆さんこんにちは。農テラスの山下と申します。
本日は貴重な会合にお招きいただきありがとうございました。
私は生まれも育ちも益城です。現在45歳。妻子持ちです。
農大を卒業後20数年農業をやっています。もともとはスイカ農家でしたが、私の代で
茄子に変えて、それからホウレンソウへ。その後益城町に進出してきた農業企業の
果実堂という会社に身売りして、2年前に退職。現在に至ります。
私はちょっと変わっています。昔から変わったことをするのが好きで現在は農業参入コン
サルタントという全国でもまれなお仕事をしています。
これまで全く農業をしたことない人に鍬鎌の使い方から、トラクターの乗り方、野菜の栽
培法から、農業法人の作り方、さらには事業計画の立て方、農業人材の育成の仕方など
これからの農業に必要な組織をつくるように企業を対象に指導する会社をやっています。
ですので、長年農業を経営されていらっしゃる方からすれば若造が農業をかたるなどとは
30年早いって、お叱りを受けると思いますが、そこは長い目で見ていただいてこれから
の農業はこんな風になるだなーって思って頂ければ幸いでございます。
また、私の話にはお金の話や数字のお話が良く出てきます。
こうすれば儲かる的なうさんくさい話も時折出てきますが、純粋に農家の息子として、一
人の農業者としてこれからの農業がどうあるべきか?
真剣に考えこれからの農業界が明るテラス事ができるよう一生懸命にお話させていただき
ますので何卒ご了承の程お願いたします。
<はじめに>
【スライド】
講演やセミナーで会場を回っていると必ず聞かれることがあります。
「それは何を作ればもうかりますか?」って質問です。
私も現役時はいつも考えていました何作ったが儲かるかずーっと考えていて
結構当たりました。
ゴーヤもブレイクする前に作って儲かったし、ズッキニーにも儲かった。
でも失敗したものの方が多い。
最初に話しましたがもともとスイカ農家で茄子に切り替えた時も儲かるって思って初めて、
農協の共販に疑問を感じて自分で販売し始めたのが平成6年か7年だったと思います。
それからいろいろ試して儲かったり損したり。
で、最終的に儲かるのはないって結論が出て、ちゃんと稼ごうって決めたんです。
つまり相場で左右されるのは自分の力じゃないってわかって、自分の力で稼ごうって決め
たら初めてお金がたまるようになって・・・・
で、何作ればもうかりますかって質問ですが、何を作るかよりどうやって稼ぐかの方が大事
なんですってお答えするしかないですね。最近は・・・・
昔みたいにあれ作ればもうかるよってって最近は聞かない。それよりも売り方どうして
る?って話の方がよく聞きますね。
【スライド】
売り方と言えばどの農産物でも言えるのがこれからは「機能性野菜」が売れるってこと。
機能性野菜ってどういうのがあるかというと、
農産物はすべて機能性野菜なの。でも消費者は機能性野菜って特別なものって思っている
から自分の農産物を機能性野菜だって証明する必要があるんです。
例えばお茶だったらカテキンが含まれているでしょう
トマトとはリコピン、ニンジンはカロテン、小松菜はカルシウム。
このように今年の秋から消費者庁が表示法を改定して農産物の成分を明記しても良いって
ことになったんだ。
ってことは消費者はその成分表示で野菜や果物を選ぶようになる。
つまり、成分表示をすることが農産物を有利販売する差別化戦略なんだ。
但し、消費者は厳しいから誤った表示はダメ。ちゃんと分析をし、裏付けとなるデーターを
きちんと持つことが大事なんです。
ここでポイントとなるのが通常の1.5倍とか2倍とか成分が高いことが機能性野菜と思
われがちだが、実は野菜が持つ毒性を抑えることも大事なポイントなんです。
有名なのがホウレンソウの硝酸値。いわゆるえぐみですね。今巷で流通しているサラダホウ
レン草も消費者はそういった品種があると思っている。実際に硝酸値を抑えて栽培されて
いるかどうか基準がないのが現状だ。
そこでこのホウレン草は硝酸値がどれくらいですよって数値で示してあげる。
これで消費者はより安全性を確認できるってわけだ。
最近はやりのトクホ商品が売れに売れている。健康志向の日本人は必ず食いつくに違いな
い。
皆さんも是非成分分析を始めてください。誰より先にデーターをとる。これが何を作るかを
悩むより確実に有利販売する方法です。
では今日の講演の本題に入ります。
~農業新時代を生き抜くためには~
【スライド】
<小規模農家が潰されるって本当?>
皆さんは将来つぶれる農家でしょうか?生き残る農家でしょうか?
いずれにしても
やらなきゃいけない事 は
ぶっちぎりで儲かるこです
ぼちぼちでいい?
だから後継者がいないのです。
サッカー選手も野球選手もぶっちぎりで儲かっています
めちゃくちゃ頑張っています
だから皆、子供たちは憧れるのです
俺だってめちゃくちゃ頑張っているって・・・そうお思いの方がいるかもしれません。
でも、子供たちが憧れないのであるのならそれはやり方が間違っているのです。
野球選手もサッカー選手もがむしゃらな選手は大勢いますが、成功するのは一握り。
プロの世界にぼちぼちでやっている人はすべて引退させれられます。
お笑いの世界も同じです。良くタレントでお笑いやっています。っているけど
その中でお笑い 1 本で食えているのはごく一部。
その中で年収 1 千万以上が成功者。更にそれを継続できるだけの力があるのは
ほんの一握りです。
でも、誰でもお笑いやってます。って言っていいの。どこかの事務所に所属するか、フリー
でもなんでもおわらいやってますって
これって農業も一緒で農業やってますって誰でも言っていいの。畑に種まいてそれで売り
上げが上がろうとあがりまいと、誰でも農業やってますって
これを農林水産省はまとめて農家って言って全国に 600 万人いるって公表してるの。
兼業農家も自給農家も、専業農家もひっくるめて・・・
それで農業の平均所得は 100 万円とか平気で発表しちゃう。
それじゃ=誰も夢もへったくれもないでしょう?
【スライド】
これからはプロ農業とアマチュア農業を分ける時代になったの。
だから、政府は 10 年かけて農業法人を今の 1 万 5 千から 5 万にするって決めてるの
でも、これは今思いついたのではなく
前から農家をふるいにかけてきたってこと。
これが平成 7 年ごろ・・今から約 20 年前から 5 年計画を提出させる農業者を対象に
支援しますよって制度が始まった。
これって全国にどれだけ意欲的な農家がいるか調べる調査でもあった
しかし、行政が認定農業者数で競っちゃって本当にやる気がなくても補助金目当てに
5 年計画を提出させて認定農業者にしちゃうなど本来の意味を持たなくなって、
今度は集落営農もしくは法人経営、大規模経営を支援するって発表しちゃうあり様。
これって小規模農家をつぶす気?・・・
実はそうなんです。
小規模農家をつぶすつもりはないんですが、方策がないんです。
だから強い農業づくりと称して、大規模農業化を推し進めているのが現状なんです。
これからはプロの農家とアマチュア農家、そして草農家
つまり、農業で立派に生計を立てることができるプロ選手
生計所得は別途もらいながら農業をする兼業農家
草野球のごとく趣味で行う草農家に分かれます。これまでは農業やっていれば
誰にでも補助金、補てん金が出ていましたがそれがなくなるということです。
でも、これって当たり前ですよね。
とりあえず野球やっている人に補助金出しますか?
売れない芸人に補助金出しますか?
やっと政府は正しい税金の使い方を始めるようですね
【スライド】
<ゆでガエルになるな>
とは言ってもこのままでは小さい農家はつぶれてしまいます。
後継者がいないところでは田畑をだれが守るのでしょうか?
農村地域は誰が守るのでしょうか?
なぜ、今になってこんなことになったのでしょうか?
【スライド】
昔、と言っても 50 年も前の話ですが、新婚旅行のメッカと言えば宮崎県でした
ちょうど私の両親も今年金婚式を迎えますが、新婚旅行は宮崎県でした。
その頃の新婚さんの35%が宮崎にいったそうで、さぞその頃は活気にあふれていたこと
でしょう。
しかし、現在新婚旅行で宮崎を訪れる方はほとんどいません。通常の旅行で宮崎を
訪れる方もそう多くないでしょう。
つまり時代が変わったのです。時代についていけなかったのです。
今や新婚旅行といえば海外。その当時からすればそんな時代になるなんて・・って
思われるかもしれませんが、時代は変わるのです。
その後、東国原フィーバーで活気づきましたが、またそれも下火・・・
時代のど真ん中にいると全く気が付かない・・・
鍋の中にカエルを入れてボイルする。するとカエルは徐々に熱くなる水の
変化に気が付かないまま茹で上がるという話を聞いたことがあります。
今、農業界はその茹で上がろうとしている鍋の中にいるのです。
気が付かなければ全員ゆでガエルになりますよ。
【スライド】
<農業を救うのは誰だ?>
この異常事態に気が付いている人は誰でしょうか?
農水省?全農?JA?隣の農家のおじさん?
これに気付いているのは企業です。
企業は自分の会社が生き残るためにあらゆる角度から世の中を見ています。
結果、社会貢献できなければ企業は生き残れない事を熟知しています。
最近ブラック企業などいわれ、社員、従業員をウマ馬車みたいに働かせ、
私腹を肥やしている企業が話題に上りますが、それが事実であろうとなかろうと、
企業がつぶれる理由はただ一つ。社会貢献です。
世の中に必要なモノ、サービスを提供できているかどうか。
出来ていれば儲かる。できていなければ潰れる。もしくは潰される
たったそれだけのです。
その、企業が今着目しているのが農業です。
農業は人間が生きるために欠かせない生活基盤の「衣食住」の食を司っています
その食が危ない。
後継者はいなくなり、休耕地があれる。
結果困るのは誰でしょうか?
【スライド】
国民が困るのです。
国民が困ると、企業は成り立たないのです。
企業は自分の会社をもうけさせたいと思っています。
例えば車屋さんは景気が良くなってみんながお金持ちになればいいと思っています。
アイスクリームやさんは1年中、真夏みたく熱けりゃいいのにって思っています
歯医者さんは虫歯の患者が増えるようにもっと甘いものを食べろって・・・
葬儀やさんは早くみんな・・・・ってこれは自然の摂理なのでそこまで思われる方はいませ
んが、
マスコミは事件、事故、スキャンダルが大好きなんです。
このようにどの企業も会社が存続するためには
最低でも働く国民の生活が安定していなければはじまりません。
衣、食、住に関して特にそうです。
国民が安心して暮らせて初めて企業が成り立つ。
そこで企業は自ら農業界へ進出し始めたのです。
【スライド】
<企業が見た日本の農業>
平成18年トヨタの張会長が茨城県つくば市にある農業生産法人 TKF を訪問されました。
【スライド】
TKF はベビーリーフを生産する日本1の会社ですが、
そこで初めて農業現場を見られた張会長が驚かれたことは
「なぜ、ビニールハウスのセンターは種を撒かれないのですか」との声。
TKF の社長が真ん中は作業員が収穫する時の通路となりますと答えると
通路にも種を撒けば生産性は上がりますよね
でもそれでは作業ができません
では人間が中に入らないようにすればよい
レールを敷いてトロッコみたいなものに乗って収穫したらどうですか?
突拍子もない質問に対応しかねていたら、
今度はなぜ、キャベツは余って圃場で漉き込むことになるのでしょうか?
生産過剰で、市場で荷がダブついいて価格が暴落するからですって答えると
なぜ、作りすぎるのですか?
なぜ生産調整をしなかったのですか
誰が生産調整をしてるのですか?
などなど・・・・
世界のトヨタが見た農場はまさに不思議だらけ、
おそらく鎖国していた日本に上陸したペリーのごとく当時刀を差して、髷を結っていた
日本人がたいそう不思議に映ったように、経済界のトップはかなりの衝撃を受けたようで
す。
我々農村、農業地帯で仕事をしていると気が付かないが、周りから見たらおかしなことが
とても多い。
地域のルール、地域のしきたり、そして近所の目
農業界の暗黙のルール。農協の呪縛などなど・・・
これまで農家、農村はその地域だけで完結していた世界でした。
が、現在自宅に居ながら世界と通じることも可能となっています。
SNS と呼ばれるソーシャルネットワークにって誰でも世界中の方とコンタクトをとること
ができる時代なのです。
携帯電話も今や子供からお年寄りまで持っている時代にもかかわらず、農業農村の情報は
いまだ他の経済界から見れば異様に映るようです。
今から45年前、我が家は五右衛門風呂、裸電球、土間、トイレはぼっとん、外にあり、
牛小屋、鶏小屋があって3輪トラックが走っていました。まだ電話のない家庭もあったと思
います。
停電なんて当たりの益城の奥地で生まれ育ちました。
皆さんは平野部で田んぼで農業を営まれ豊に暮らしてこられたのではないでしょうか?
現在は、稲作農家はコメだけでは食えな時代。
それまで苦労してきた畑どころの野菜農家が安定しているかもしれません。
それなのに日本の農家はやっぱり米を作ろうとします。生産性が低いと分かっていても
コメ作りに執着するのは企業は理解できないようです。
なぜならば企業は社会貢献が目的だからです。
もし現在の農家いなくなって企業がコメ作りをしたらどうなるでしょう。
おそらく、全国の田んぼを分析して土質を調べます。
そして生産性の高い圃場を分類して、適切な品種を適期に植え付けします。
その後、成長過程を記録し、適期に収穫。その後あらかじめ必要とされたマーケットに対し
て必要な分だけ小分けにし、必要に応じてお届けするサービスをすべて自動化するでしょ
う。
今の日本の技術ではこれが十分可能なのです。
でもコストが合わない?って思われるでしょ。
でも企業はやります。コスト度外視で・・・
これは企業がお金を持っているからではないのです。これが企業の役割なのです。
昔コンピューターは1台100万以上していました。私が初めて買った平成3年でも5,6
0万したと思います。
今はどうでしょうか数万円で買うことができます。
これが企業努力なのです。
しかし、この間、開発費はかかります。この間会社はずっと赤字です。
そんな会社が良く生き残れると思われるかもしれませんが、そこにお金を投資する企業が
必ずいるのです。
社会貢献で得た利益は社会貢献に使う。これが企業精神です。
これまで農業界に全くなかった考え方ですが、
この社会貢献、社会還元をしなければスティーブジョブズのアップルコンピュターも
マイクロソフトを作ったビルゲイツも
この世に出てこれなかったのです。
これからは企業、もしくは企業的農業が日本の農業を救います。
でも、企業なんかに任せられんって思わる方はどうすればいいのでしょうか?
【スライド】
<誰がやるの?>
企業は自分たちの理屈ばっかりで儲からんてわかるとすぐほったらかしにして
逃げていく。
企業が農業に入ってきていいことは何もないって憤慨される方も多いのですが、
じゃ=どうしますか?若者がいなくなったこの農村を、この地域農業を・・・
ここにいる若者だけ委ねますか?
ここに39歳以下の若者、これから30年継続できる人何人いますか?
その人はこれからこの地域を担う力はありますか?
これから自分たちの地域を守るために
1枚岩になる事が重要です。
【スライド】
日本の農業改革は国際競争力をつけるって言ってます。
これまで個別で戦ってきた農業界の戦士たちが、今ここに
力を合わせようって言っているのです。
ここに農村からリーダーが出るか、外部のリーダーに従うかしかないのです。
まずは各地のリーダーが結集して、県単位で連携し、日本の農業として1枚岩になる必要が
あるのです。
既に、有望な農業法人は地域や、県をまたいで生産販売活動しています。
冬は玉名、天草、八代で生産し、冬は大分の九重高原で生産している北部農園、
冬は茨城、夏は長野で生産している TKF
冬は長崎、夏は長野、北海道で生産しているミスズライフなど・・・
でも・・・これって JA の役割じゃ?って思われていることでしょう。
そうなんです。これまで日本の農業は農協という組織ですべて運営されてきてたのです。
これから先この時代の変化に農協が頑張ってほしいのです。
政府は全中に対し、今年5月、自分たちで農協を改革しなさいって指示を出しています
これから農協はどう変わるのでしょうか?
【スライド】
<求められる役割>
良く街中を車で通っていると、建物が壊されていて空き地になっているところがあります。
そんな時「あれ?ここ前は何だっけ?って」思われたことないですか?
そうなんです。ここなんだっけ?って思われていたってことは必要ない会社だったんです。
この世の中には必要ないものは淘汰されていきます。
その時々で必要なものが生まれ、いらないものは消えていくのです。
芸能人も、会社も、サービスも・・・
皆生き残りに必死です。その時々の時代に合わせるのに必死なのです。
【スライド】
これは 8 月 12 日の熊日新聞の記事です・・・
あすは我が身・・・ひっそりと倒産してはいけません
では農協はどうでしょうか?
農協サービスと言えばガスから住宅、車、日配品から家電販売まで日常に必要なものは何で
お揃えてくれました。また、近くにの農協でお金を下したり、共済で保険まで面戸見てくれ
ます。
農村生活には欠かせない。それが地域に密着した農協の役割です。
一方、農業資材や、共同出荷、共同選別など農業経営、農家の生計に関わる大事な
役割を果たしてくれました。
とりわけ、農協に風当りが強い昨今本当に農協が悪いのでしょうか?
農協は農業協同組合で、理事からなる理事会で運営されてます
それを束ねるのが代表理事で組合長と呼ばれますが、その組合長を選ぶのも
実は組合員さんなのです。
その14の単協代表理事の中から経済連、中央会、厚生連、共済連など会長が選出されます
未だ、14農協がある事すらまとまりがない県であることが大きな問題で、
熊本からリーダーが育たない。
国際競争に勝つためには日本農業としてまとまる必要があるのに
一つの県だけでまとまらないってことが後々どれだけ悪影響を及ぼすか・・
全国でまとまっていない県はこちら
【スライド】
・ホクレン農業協同組合連合会 –
北海道における経済連。関係企業も含め、最大規模である。

福井県経済農業協同組合連合会(JA 福井県経済連)

静岡県経済農業協同組合連合会(JA 静岡経済連)

愛知県経済農業協同組合連合会(JA あいち経済連)

和歌山県農業協同組合連合会(JA 和歌山県農)

熊本県経済農業協同組合連合会(JA 熊本経済連)

宮崎県経済農業協同組合連合会(JA 宮崎経済連)

鹿児島県経済農業協同組合連合会(JA 鹿児島経済連)
もうすでにばれちゃってるんです。
全国の農協職員は25万人いて、認定農業者は25万人。
これから頑張ろうって25万の農家に対して25万人の職員を守る事ばかり
考えている農協という組織にみんな白けているの・・・
先ほどの、宮崎の新婚旅行と一緒。
いつまでの続くと思っていたの。この新婚旅行ブームが。時代の変化に気が付かなかったの
だから今さらぬるま湯から抜けられないの
残念だけど今抜け出さないと熱湯でゆであがっちゃうの。
だけど、農協を否定しているのではないの・・
農協に求められる役割がこれまでと違うの。
農協は政治団体として国政に大きな影響を与えてきたけど、もう力はないの。
これからは農政で国に影響を及ぼすことができないならどうやって社会に貢献しようか
考えなければならないのです。
農協がこれまで行ってきた業務で金融はほかの銀行でもすぐにできる。
ATM はコンビニにある。
共済も他の保険で代行してくれる。ガス、スタンドも民間がある。農業資材はコメリやホー
ムセンターの方が安い。
更に農産物は農協へ出荷しなくなれば農協の役割はなくなります。
売上はどんどん下がります。もう農協は終わりですね・・・
しかし農協はつぶれないんです。全国の JA バンク総預貯金額が100兆円あるから
ゆうちょ、三菱 UFJ に次ぐ第3位なのです。
これが厄介なの
潰すわけにはいかないでも農業改革をするにはこれまでの農協体制が邪魔。
すべて利権で成り立つ組織だからこそ農業改革は一筋縄ではいかないようです。
【スライド】
<自立し、現役で稼ぎ、引退して後者を育てる>
このように
農協も含め皆それぞれ自分の利益を求める。これは当然のことです
自らも、自分の利益を求めているはずです。
物欲を捨てなさいってお坊さんは言うけど
万物皆、物欲や,生理欲で皆存在しているのです。
ここで大事なのは今そういう世の中になったってこと。
これまでと社会の仕組み、農業を取り巻く環境が変わったてこと。
これまでの農協依存型だけではおいて行かれることがあるってことを
知っていればいいの。
そのことに気が付き、明日から自分はどう生きるのか、どういう農業するのかを
一生懸命考える。
プロの農家になるのか、アマチュア農家になるのか、草農家に甘んじるのか?
皆さんは是非プロの農家になってもらいたい。
プロの農家さん捕まえてプロになりましょうって大変失礼な話ですが、
プロの選手は
自分で稼いでいるのです。
皆さんも自分で稼いでいらっしゃいますよね。でも本当に稼いでいる方は
どんな時も稼ぐ方を言います
例えば大根1本50円、10万本出せば500万ですよね
ところが価格が上がって70円。これは産地にて出荷量が減ったからでしょう。
7万本しか出荷できませんでした。それでも売り上げは490万円
逆に12万本すべて出荷出来たとしても相場が40円であればやっぱり480万
結果、値段が高かろうが、安かろうが500万前後です。
これを1本50円で10万本出せば500万、20万本出せば1000万になるよう
な仕組みを作り上げるのがプロの農家さんなのです。
これが初めて、頑張ったら頑張った分年俸がもらえるプロの世界です。
それともう一つ、
現役はそんなに長くできないと思ってください。
農業を70過ぎても80過ぎてもやっていらっしゃる方には敬意を表しますが、
現役を引退し、草農業へ移行してほしいのです。
そして指導者になってほしいのです。
皆さんが農業をやめて指導者になると一つは残った生産者が潤います。
これからは民間の農業指導者が職業としてニーズが増えます。
現に私は農業歴20年足らずで全国初の民間の農業指導で会社を経営しているのです。
これから衝撃の事実を発表します。
農家が儲かるには農家の数を減らさなければなりません
【スライド】
日本の農産物産出額年間約8兆円・・・
これを国内専従農業社160万人がいるのですが、
平均すれば年商500万にしかなりません。
コンビニエンス:セブンイレブンは1万6千店舗で3兆7千億
つまり、セブンイレブンは農家の1/100で約半分の4億を稼いでいるのです。
この違いは何なのか?セブンイレブンと比較するには極端化もしれませんが、
あえて比べるとするなら、
お客様に選ばれているということ。
客の購買行動を見てみれば「便利・簡単・気持ちいい」がヒットの条件です
コンビニも便利で消費者のハートをわしづかみにしました
一つは求められる企業であること
求められるということは飛躍的に売り上げを伸ばします。
先ほども言いましたがここに何があったか気が付かないようなところはつぶれます
二つ目は24時間営業であるということ。
我々は植物工場でない限り、24 時間販売体制はとれませんが、仮に1店舗当たり売上が2
億あったとしましょう。それでも年間8760時間で割れば 22831 円/時間当たり売上
農家も 500 万を稼ぐ稲作農家の労働時間 1000 時間で割れば 5000 円/時間当たり労働時間
一方で農業はどうかというと
まだまだ農家が多いということ。です。
誰も言ってませんが、国内で原材料として使われる金額は約 13 兆円。内国内で賄う分が
8 兆円。残りの5兆円は輸入農産物の金額です
これを農家、農業社でシェアを奪い合っているのです。
つまり
一人で日本の農産物を引き受ければ年商 8 兆円
10 人で 8000 億円の山分け
100 人で 800 億
1000 人で 80 億
1 万人で 8 億
10 万人で 8 千万円
現在農業法人の平均年商 2 億 6 千万。ということは
このままいけば10年後、5 万社の農業法人で国内の農業産出額を生産してしまうことにな
るのです。
マーケットも必要な分を必要な時に必要な価格でこれら農業生産法人から仕入れることに
なります。
当然、市場や,JA からの物流はなくなります。
これから一気に時代が変わる。もう他県では取り組みが始まっています。
危機感を募らせていると県、地域ほどこれからの農業に対しての取り組みは早い。
熊本は農業県であるがゆえにかなり遅れをとっています。
【スライド】
<くまもと農業が生き残るには>
現在熊本県が取り組む農業振興の一環としてくまもと農業アカデミーの講師を務めており
ますが、セミナーでもこの危機を必ずお伝えしています。
その時はこれからどうすればよいか対処法もお伝えしていますが、今日は時間が足りない
のでこのままではいけませんというお話だけをさせていただきます。
しかし、本当にそんなに時代が変わるのでしょうか?
【スライド】
農業、農村はその地域だけで完結していましたが、農業、農村もまたその地域の経済、その
県の経済社会に影響を受けています。
熊本の経済は日本の経済の影響を受けています。
自分たちは独立していると思いがちですがすべてつながっているのです。
もちろん日本経済は世界経済とつながっています。
ということは我々も社会を知るべきなのです。
昔ショッピングと言えば商店街でお買い物をしていました。どの町にも商店街があり、
活気に満ちていました。
しかし、現在はどうでしょう?
どの商店街もシャッター通りとなり地方の商店街は閑散としています。
これは誰の仕業でしょうか?
たった一つの法律が変わっただけなのです。
それは大規模小売店舗法という小売り店が大規模にお店を広げてはいけませんよって法律
がもともとあったんだけど、
日米の貿易格差を縮小する目的で行われた日米構造協議において外国の大型店舗が日
本に進出しやすいように
2000年6月大店舗法が廃止されたの。
それによって、トイザらスがやってきたり、コストコがやってきたり、イオンやイズミがシ
ョッピングモールを作って、小さな商店はつぶれたの。
同じように、銀行法が変わり、銀行も小さい銀行は統廃合され、メガバンクが生き残りまし
た。
保険も、外資系が入ってきて価格競争になり、郵便民営化、電話会社も NTT しかなかった
専売特許も KDDI、ソフトバンク第二電電などが参入し通信費が一気に下がった。
現在進められている国の政策は農業とエネルギ―。エネルギーもどこそこにメガソーラー
を建設して誰でも電力を売る事ができる時代になったの
それでも九州電力は体制を変えたくない。必死で時代に抵抗している
同じように農業改革では農協組織も必死に自分たちの利権を守ろうとしている
しかし、最大の悪はそれらを指導する行政を改革できない政治家となる。
では熊本はというとくまモンで経済効果を450億上げているようだが、
農業産出額は3200億と全国5位の農業産出国です
1位北海道
2位茨城
3位千葉
4位鹿児島
6位愛知
7位宮崎
しかし、熊本の農家戸数は 17,620 戸
農業産出額は国内 5 位なのに、農家数は全国 3 位なんです。
つまり、3200 億を 1 万 7 千戸で分けていることになります
だから年商 180 万になるのです。
1 位北海道・・・1 位
2 位鹿児島・・・
4位
3 位熊本・・・・
5位
4 位長野・・・・・・13 位
5 位茨城・・・2 位
6 位宮崎・・・・・・ 7 位
7 位千葉・・・3 位
8 位愛媛・・・・・・26 位
9 位青森・・・・・・10 位
熊本の農業を守るためには本当に農家を増やすことでしょうか?
私は強力な農家が1000件生き残ったほうが熊本の為になると思っています。
今でこそくまモン効果で認知度が上がりましたが、東京の人はそこまで熊本に思い入れは
ありません。
それこそ、熊本産が全国から求められているのかと言えばクエスチョンマークです。
仮に、今、熊本県がなくなったとしましょう。
いったいどれだけの方が困るでしょうか?
いったいどれだけの方が悲しむでしょうか?
実は農業県である北海道がなくなったらえらいことになります。
特に乳製品、夏野菜など無くてはならない道府県です。
また、千葉、茨城もなくなったら困ります。
世界都市東京には1000万の人々が暮し、現在も日本の中枢です。これに神奈川を含めた
2000万都市の食の中心を担う千葉、茨城がなければ国内パニックになるのです。
先の震災時原発問題で茨城千葉産がヤバいってなった時と関東圏内の人々は食の大事さを
改めて認識されたようです。
その時、関東の食を支えたのが九州産、特に熊本産だったのです。
しかし、そのほとぼりが覚めたころ熊本産には冷たい仕打ちが待っていました。
ただ量だけ多い熊本産はいらないって
これまで熊本は厳冬期に野菜を供給する産地として重宝されてきました。
ところが現在は必要な分を必要な時に必要なだけ届けてくれる適時安定供給農家が
求められています
闇雲に大量生産しても都心部で大量に消費してくれなくなったのです。
これを東京築地成果のある役員は食材が欲しい。食糧入らないって熊本県産に酷評を
下しました。
熊本のものを地場で消費するには人口が少なすぎです。
九州全部の人口が1000万人。東京都同じ人口です。
農家多いが、消費者は少ない。だとすれば人口の多い消費地を対象にお金を稼ぐ。
この基本姿勢を貫きながら何をすべきかを考えるのです。
【スライド】
<これから求められる農業とは>
これからは年に1作しかできないものは高く売る努力をすべきです。
例えば桜桃、葡萄、桃、ナシなど・・・・もちろん米も
消費者は「今だけ・これだけ・ここだけ」が大好きなんです。
TV ショッピングで今だけですよとか、ここだけですよとかこれだけですよとかよく耳にす
るでしょう。
農産物も年1作は是非試してみてください
一方連続出荷できる野菜を高く売る努力はいかがなものでしょう?
特に単体で食することがない野菜。
サラダ食材や、調理野菜は高く売ろうとすればお客様に嫌われます
ですから高く売る努力をするべき農産物は1年に一度しか収穫できず、
その旬を逃せば食べられないという希少価値があって、
調理せずに単体でそのモノを食べる商材は以下に高く売るか考えましょう
しかし、あくまで材料として使われる食材としての農産物は
もうすでに加工された後の価格設定が終わっているためそれなりの価格でしか
売れないのです。
例えばレストランのメニューに載っている食材。レタス、ホウレン草、ジャガイモ
人参などなど。これらはレストラン側がすでにその食材の仕入れ値(上限)を決めています
これを決めないとレストランでメニューの値段を決められないのです
また、スーパーの野菜も高ければ高いほどお客さんの購買意欲はなくなります。
キュウリが3本300円だったとしましょう。あなたなら買いますか?別にどうしても
キュウリ食べたいわけではないでしょう?
結局買ってもらえない。
買ってもらえなければ意味がないのです。
それよりいつも3本150円~120円が妥当です。
農家手取りは1本25円~20円。これがお客さんが喜ぶことなのです。
お客様を喜ばせなければお金はいただけません。
プロの農家になるっていうことは
自分で稼ぐということ
稼ぐということは
お金を頂くということ
お金を頂くということは喜ばれているということです。
お客さんに喜んでいただかなければ、お客さんに求められるようにはなりません。
人は毎日何かを選んでそのえらんだものにお金を払います。
新聞は熊日なのか読売なのか朝日なのか、選んだものに購読料を払います
朝から缶コーヒを自販機で飲むときもジョージアなのか UCC なのか、ネスレなのか
サントリーなのか選んでお金を払います。
お昼に行くラーメン屋もこの後でかける居酒屋も何件もあるうちから選んでそのお店に
足を運びお金を払います。
我々の農産物は選ばれているからお金を頂いているのです。そのえらばれる理由は
いったい何ですか?
また、儲からない農業をしている方はなぜ選ばれないのでしょうか?
そもそも誰に選んでもらおうとしているのでしょうか?
通り道すがりに1件の農家がいつの間にかいなくなりました。
誰にも気づかれず、そっと
今、選ばれている農家もはたして5年後も10年後も選ばれ続けるでしょうか?
我々は選ばれ続けなければならないのです。
トーナメントから脱落しないように。
その為には求められる産地になる。求められる生産者になる。
そして生き残った者だけがこれから日本の食を支えるリーダーになるのです。
年齢は関係ありません。そのお客様に求められるリーダーが地域の方々の農産産物を
売ってあげるのです。
その役割を果たすのが東区アグリネットのメンバーなのです
一枚岩になった産地には全国のバイヤーから矢のごとく注文が来るでしょう。
なぜならば電話一本であらゆる農産物が手に入るわけでしょう。
こんな都合の良い産地(仕入先)はないでしょう。
つまりこれがお客さんを喜ばせるということ。
お客さんが喜ぶポイントは
「便利・簡単・気持ちいい」
・・・簡単に仕入れができたらどれだけのバイヤーが喜ぶか・・・
これがこれから産地の生き残りだと思っています。
【スライド】
<求められる人になる>
求められる人になる、選ばれる人になるにはどうすればよいのか・・・
よく「野菜を自分で売りたい」のだがどうすればよいのでしょうか?
という質問を受けます
つまり自分で自分の農産物を売りたいと思っている人は買いたい人から求められる必要が
あります。
農産物を自分で売るためにはどうすればよいのでしょうか?
その為には
モノを売る行為・・・つまり「販売とは何か」を知る必要があるでしょう
【スライド】
<野菜を売るってどういうこと?>
販売とはモノやサービスを
提供し、その対価をもらうことですが、世の中の人は何かしらモノやサービスを
売って生計を成り立たせています
例えばトヨタは自動車を売っていますし、自動車部品屋さんはトヨタに部品を
売っています
広告代理店などは企業の宣伝広告を代わりに作るサービスを売っていますし、
銀行はお金を預かったり、運用するサービスを行ったりしています。
公務員は役所として行政サービスを行うなど、すべての方々が何かしらの
モノやサービスを行っているのです
そして
サラリーマンは自分の時間を会社に供給しています。
では、これらを業としている方々はこれをビジネスといい、モノサービスの売買を
トレードと言います。
ビジネスには二通りあって、
欲しいという人にモノサービスを「探す・作る」して提供するか、
今ここにあるモノサービスを欲しい人を「探す・作る」しかない
そもそもお金というものはそのモノサービスに対して価値がある、得したと感じた時に
頂ける報酬なのです。
では先ほどのビジネスの基本である欲しい人に何かしらモノサービスを提供するビジネス
と、モノがあってほしい人を探してくるビジネスとどちらが上手くいくのでしょうか?
御商売をされた方は分かられると思いますが、
儲かっているお店は客に選ばれています。
一方儲かっていないお店は客を探しています。
つまり儲かるためには選ばれなければならないのです
【スライド】
<野菜に価値がないって知っていました?>
皆さん野菜自体には価値がない事知っていましたか?
【スライド】
例えばこのキャベツ。いったいいくらでしょうか?
キャベツ栽培されたことがある方ならお分かりですよね。
反 30 万として 1ha ほどあるから 300 万!
残念。
答えはゼロ円。正確には-150 万・・・
まだ圃場にある段階ではこのキャベツには価値はありません。
むしろ種代、肥料代など経費が掛かっていますのでマイナスです。
草より悪いのです。
このキャベツは・・収穫されて、梱包されて出荷され店頭に並べらて
初めて値札が付き、お買い物に来られた奥様に手に取ってもらい、カートに入れて
更にレジを通してお金を払われるまでその価値は見出されないのです
その後食卓で冷蔵庫の中でしまいっぱなしでとうとう使われなくても
その時のキャベツは価値は変わりません。
しかし、スーパーで売れ残ってしまえばそのキャベツは価値がないのと一緒です
更には、出荷されずに圃場でそのまま漉き込まれることだってあるのです。
農産物の価値ってどこで生まれるか?を知る
今、皆さんが栽培されている野菜を売りたいということは
その野菜に価値を見出してくれる方に届けてちゃんと報酬を頂くことなのです
これが野菜を売るということです。
そしてこれまでの農家はこの売るという行為を
誰か買ってくれる人を探し続けてきたのです。
しかし繁盛しているお店は客が選んできてくれます
もうからないお店はいつも客を探しています。
今日は稼ぐ農業についてお話させていただきますが、
どうすればお客さんが選んでくれるお店になるか?ってお話です
しっかり聞いてください
ではまず、稼ぐ農業者になるための考え方についてお話ししましょう
スライド
<農と業のバランス>
これまでの農業はあまり販売について考えてきませんでした
なぜなら、作れば売れる時代だったからです。
私の実家はスイカ農家でしたがかなり儲かっていました。
作れば作る分売れて近所の農家も、地域農家も一様に儲かって経済的にはかなり豊か合っ
たと思います
JA の系統出荷を中心に市場に同一規格の商品を大量に出荷することで市場からの信用を受
けることを目的に農業の「農」の部分つまり生産に力を入れておけばよかったのです
しかし、バブル崩壊後不景気の波は農業界へも押し寄せ、モノ余り時代デフレ経済
リーマンショックなど作っても売れない時代になったのです。
これまで売る事を怠ってきた農業界は一気に元気がなくなり農家の息子たちは一様に
農業を職として選ばなくなりました。
これから成功する農業をするためには農だけでなく業、つまり販売をしなけらばなりませ
ん。
一方、企業の農業参入が各地で話題となっていますが、企業はビジネスが得意です
業はどうすればよいかわかっています。
しかし、農はよくわかっていない。つまりこれもまた成功しません。
成功する農業とは農と業のバランスをとる事。
これしかないのです。
農とは商品力(生産力)業とは営業力(販売力)のことです
スライド
<農と業の間にあるものって?>
ではこれからの農業はどんな農業があるのでしょうか?
一つは稼ぐ農業。
・・・経済活動が潤沢で将来性のある持続継続できる農事業です。
2 つ目は癒し農業・・・経済面は農業事業以外で補うことができ、心身を癒すためもしくは
社会貢献を行う農兼業
そして 3 つ目はきつい農業・・・経済的不安を抱え心身共に余裕がないまま農作業をしてい
る農業の事です。
皆誰もが 1 番の稼ぐ農業をしたいと思っています。
しかし、現状は 3 番のきつい農業されているのではないでしょうか?
1 番の稼ぐ農業と 3 番のきつい農業の違いは農事業と農作業です。
1 番は農と業の間に「事」があります。
3 番は農と業の間に「作」があります。
この違いが大きな違いなのです。
農と業のバランスをとるためにこの間にある「事」が何の事なのか
これが分かると皆さんも 1 番の稼ぐ農業の仲間入りです。
スライド
<農と業の間にある事>
農と業の間にある事って一体何でしょう
それは農業経営、流通販売、生産技術の 3 つです。
農業経営とは利益を上げる工夫です。
売上を上げて、費用を下げる努力をしなければなりません
生産技術は土づくり、栽培技術、農地選定の 3 つで決まります
最後の流通販売。
これは先にお話しした営業して納品して代金回収することです。
これらの「事」ができる人が 1 番の稼ぐ農業をすることができる人なのです
スライド
<企業的農業って?>
しかしこれらをできる農事業者でも生産技術ありきでは成功しません
これからは農業経営を土台とした農事業をしなければ成功しないのです。
理由は
これからの農業は企業的感覚を持ち合わせた頭脳労働者にならなければならないのです。
では企業的とはどういうことでしょうか?
スライド
企業とは企てる業と書きます。つまり企業的とは企てることです。
企てるというとなんだか悪いことをたくらんでいるようですが、
実はどうやって稼ぐげばよいか企む必要があるのです。
つまり何をたくらんでいるかというと
経営は数字であるということをたくらみます。
スライド
<企業的・・・数字を企てる>
経営は数字です。
利益を上げるためには売上高~売上原価を引いて更にその粗利(稼ぎ高)から経費を引いた
のが利益になる事をわかったうえで企みます。
キャベツ 1 玉 50 円のキャベツを 25 円で生産し、25 円の粗利から人件費、トラクターの償
還費など必要経費を引いた残りが 5 円にするためには?・・・・ってな感じで
キャベツ 1 玉生産出荷するたびに 5 円利益が落ちる仕組みをたくらむのです
その為に企業的な社長は戦略と戦術をたくらみます
スライド
<農事業を企てる>
企む社長はランチェスターの法則を知っています。
そして農業事業成功の50%は社長自身の考え方であることを知っています。
つまり企てたり、企んだりする必要があるという考えなのです
次に目的、目標が明確です。
いくら利益を出したいのか、商品原価はいくらか、いくらで売れば採算が取れるのか
そしていよいよ戦略を企てます。
どうやってこの目標を達成するのか?・・・・
生産方法は?販売方法は?お金が入ってくる仕組みをどうすれば作れるのか?
必死で企むのです。
そしていよいよ実行です。
戦術を企て具体的に何をすればよいのかをたくらむのです。
スライド
<ユニクロは家電屋さん?>
昨今企業が農業に参入しています
実は農テラスでは既存の農家さんに農業をお教えする会社ではありません
全くこれまで農業をしたことがない新規農業参入者、参入企業に農業とはどういうことな
のか、農業事業で成功するにはどうすればよいのかを教えている会社です。
私も肩書は農業参入コンサルタントという名前で仕事をしております。
これまで 40 社以上の農業参入や販売促進、農業法人化のお手伝いなどをさせて
頂、約 30ha 以上の新規農場を立ち上げてきました。
しかし、なぜ今農業に企業がたくさん参入してきているのでしょうか?
私は平成元年より稼業である実家の農業を継いで農業経営を 27 歳から始めたわけですが、
縁あって、企業農業の先駆けである果実堂に入社することができました。
おかげさまで、新規で農業を始めた会社として大きく成長し、今ではあのカゴメと提携する
までになりました。
実は背景に産業構図の変化があります
これまで 1 次産業は農林水産業、2 次産業は商工産業、3 次産業は財サービス業などと
くくられてきた産業構図が大きく変わろうとしているのです。
つまり、
2 次産業、3 次産業が 1 次産業へ進出し始めているのです。(産業のボーダレス化)
例えばセブイレブンのセブンファーム、ローソンふぁーむ、ワタミファーム、JR九州が玉
名でミニトマトを作り、九電工が天草でオリーブを生産販売しています
他にもユニクロ+ビックカメラ=ビックロ
モスバーガー+ミスタードーナッツ=モスド
など、など・・・
どの企業も他分野へどんどん進出していってるのです。
もちろん農業もしかり、
これら企業が平成 21 年農地法一部改訂ご 1300 社余りが農業界に参入しています。
つまり 5 倍の速度で企業の農業参入が加速しているのです。
では、いったい儲からないって言われている農業界になぜこれだけ多くの
企業が参入するのでしょうか?
スライド
<チャンス到来>
答え=農業の規制緩和が始まったのです・・・今年は「農業改革元年」なのです
では
何が大きく変わろうとしているのか?
何が大きく変わったのか?
スライド
<農産物流通の変化>
これまでの農業は農家が直接卸売市場に農産物を持っていき、競りにかけられていました
が、戦後農協という協同組合による系統出荷という個人個人を束ねた組織農業が主流とな
りました。
その後、農業法人が登場し、個人の農家が実力を増しで農協に頼らなくても自分で大量に農
産物を流通させようとする動きが出始めたのです。
その農業法人の出現により、これまで農協に出荷していた個人農家も農業法人に販売を委
託するようになり、更に農業法人の力が増していっています。
一方マーケット側もこれまで卸売市場を経由して仕入れた農産物を仲卸業者から仕入れて
いましたが、今では直接農業法人と契約を結びより安定的に農産物の仕入れを行い始めた
のです。
他にもネット販売、道の駅、最近ではドラックストア、ホームセンターでも野菜を取り扱っ
ています。
このように農産物流通の変化によって販売チャンネルが多様化し、野菜は市場で仕入れる
者という神話が崩れていっているのです。
これは企業が農業に参入するチャンスです。
JA に頼らなくてもマーケットとつながっていればできた農産物はキャッシュに変えること
ができる。
農業に参入するのに学歴も資格もいらないのです。
スライド
<飛躍する食ビジネス>
農産物は農場に生えている、もしくは成っているときは野菜、果実ですが、収穫し、
摘み取った後は食品に変わります。
つまり農業は人間が生きていくための根幹である
「衣食住」の食に携わる産業なのです。
では、食ビジネスの業界を見てみましょう
食品産業の年間の国内生産額は何と 78 兆円もあります。
国家予算が約 100 兆円ですのでいかに額が大きいかお分かりになると思います
一方国内流通の農水産額は 16 兆円
つまり、食産業は 16 兆円の材料を使って 78 兆円稼いでいるのです。
農業は大きな産業の中に位置しているのですね
スライド
<国内マーケットは 8 兆円>
しかし、国産農産物は 8.2 兆円しかありません
輸入が 5 兆円。全部で 13 兆円です。
つまり国産農産物は食産業界からなくてはならないとても貴重な財源なのです
スライド
<農業人口の減少>
・・・にも拘わらず、日本農業人口は急激に減っています。
現行、基幹的農業者は 168 万人・・・平均年齢 66.5 歳
内 65 歳以上が63%・・・106 万
それらの方が引退したらたったの 62 万人しかいなくなるのです。
日本人は何といっても国産が好きです
国産野菜を好みます
・・・なのに国産の生産者はいなくなり、食産業は手ぐすね引いて待っている。
状況。
農業の担い手が減少するうえでいちばん困っているのは食産業なのかもしれないのです
スライド
マーケットイン農業
企業が農業に参入する最大の理由はマーケとインビジネスがまだ定着していないというこ
とです。
冒頭でも述べましたが、儲かる商売をしている企業やお店はお客様に選んでいいただいて
います。
儲かっていない企業やお店はいつもお客を探しています。
つまりいいもの作ってもお客を探しているようでは実はそれは独りよがりなのかもしれ荷
のです。
それよりもお客様が求めている商品サービスを提供できればあっという間に繁盛店です。
つまり、マーケットが求める者を提供するマーケットインビジネスこそがこれから生き残
るカギであるということを企業は知っているのです。
スライド
<これから必要とされるマーケットイン農業とは>
ではマーケットイン農業とはどういうことでしょうか?
ここに大手自動車メーカに部品を納めるネジ屋さんがあります。
このネジ屋さんが皆さんだと思ってください。
このネジ屋の社長さんのもとにメーカからこんなネジを毎日 10 万本作ってほしい
と依頼がありました。
このネジ屋ではこれまで違うネジを製造していて新たなネジを作るラインは持っていませ
んでした。社長さんは考えます。
「どうしよう?せっかくこれまで作り上げたネジのラインを壊してしまうともったいない
かといって新たなネジの注文を受けなけらば仕事が取れない・・・
悩んだ末に新たな製造ラインを企業努力によって構築し、見事お客様のご要望にお応え
することができたのです。
これにより商談は成立し、その後も取引先のニーズにいち早く答えてくれる企業だという
ことで安定した業績を納めているということです。
一方、これまでのプロダクトアウト型の社長さんは・・・
来る日も来る日も自社のネジ開発に余念がなく、自社努力を自社製品開発につぎ込んでい
ました。もっといいものを作ろうもっと性能を高めようと企業努力は怠りません。
そして満を持して最高のネジが出来上がりました。
「良し、これでわが社は安泰だ。早速売込みに行こう!」
社長は自信満々に営業に回ります。いかに自社製品がすごいのかいかに他社製品と違うの
か熱く営業するのですが一向に商談は決まりません。
帰ってくる言葉は「今そのネジ必要ないんだ。このネジができないのなら取引はできないね」
・・・お客様の要望に合わせないで自社都合で生産しても買ってもらえない
このモノ余りの時代。いいものだから売れるは間違いなのです。
今、お客様は必要なものを必要な分必要な時にその価値を認めた時だけ購買行動に出ます
闇雲にいいもの作っても売れない。
だからマーケットインビジネスをしなければならないのです。
では、マーケットイン農業をするにあたり、マーケットは何を求めているのでしょうか
これが分かれば後はそれに合わせるだけですね。
ではまず、マーケットはどんなものがあるのか確認してみましょう
スライド
<誰からお金を頂くのか?>
まず、百貨店ですこれは高級なイメージで、百貨店でお買い物をされているマダムは
高いモノでも買ってくださいます。
百貨店のブランドを信用されているからです
一方、量販店はスーパーマーケットやホームセンタードラッグストアなど
これらはチラシで特売をするなどいかにお客さんを取り込むかに必死になっています
そしてこれらに農産物を下しているのが青果業者です
この青果業者は市場や JA から農産物を仕入れ量販店や百貨店などに卸しています
また、道の駅や直販所。これは全国にブームを巻き起こし生産者と消費者が互いに歩み寄っ
た新たなマーケットの一つでしょう
しかしこれらはいずれも仕入れ値と販売価格が一定ではありません。
農産物特有の需要と供給のバランスにより高くなったり安くなったりしています
ところが右側の漬物 1 次加工業者、業務用、惣菜用食材、外食、中食、カット野菜用など
は何れも末端のお客様に届くまでに加工するのであくまで材料として供給すべきマーケッ
トなのです。
これらが新たなマーケットとして食産業の中でシェアを広げています。
これまでの食品加工関連業者は主に輸入食材を使っていました。
最終的に安く提供できるし、食材(材料)が安価で安定的に大量に仕入れることができたか
らです。
しかし、昨今の食に関する国民の意識の変化、国産野菜へ対する国民の期待から
食ビジネス産業界は国産農産物に熱い期待を寄せているのです。
しかしながら今日の日本農業はできた農産物を規格に合わせて出荷する系統販売になれて
しまって、食ビジネス産業が企画した商品の食材として納品することが苦手なのです
しかし、これらのマーケットが今非常に大きくなっています。
皆材料が欲しくてたまらないのです・・・
つまりマーケットイン農業をする上で「生産者が規格を揃えてできた農産物に価格を決め
る」マーケットから商品企画され価格が決定後に生産者に発注もしくは生産依頼、生産委託
されるマーケット主導型の流通に大きく変化していっているのです
このように規格品を出荷する時代から、企画された食材を安定的に納品する時代なのです
スライド
<農業で稼ぎたい>
小規模農家は淘汰されるのではなく時代の移り変わりに飲み込まれていくのです。
これまで JA の参加に入っていても JA 組織から有望な生産者が出ていけば
その JA は更に販売力を弱めることになるでしょう。
だからと言って有望な農業者を引き留めるだけの力は JA には残っていないのです
これまでぬるま湯につかっていたカエルに試練が訪れています。
これは農業だけに与えられた試練ではないのです。
林業は繊維など衣料、住宅の材料を供給していた衣食住の衣と住はとっくに
その試練を終えました。
結果、どうなりました?製糸工場や林業はほぼなくなりました。
サービス業もしかりです。規制緩和という波はタクシー業界へ料金自由化。これにより小
さなタクシー屋は潰れていきました。
ガソリンスタンドも規制緩和の下で多くの個人スタンドがつぶれていきました。
でも、当事者からは大変な出来事でも国内、国民にとっては便利になったり、簡単になった
り喜ばしい事だったりするのです。
消費者からすれば規制緩和によって自由競争になり価格が下がることは決して悪いことで
はないのです。
では農業を救うのは誰でしょうか?やっぱり企業なんです。企業は社会貢献を義務付けら
れています。そうでなければ存続できないのです。企業を組む。異業種とうまく組むことが
これからの農業の生き残りなのです。
しかし闇雲に組んではいけません。一枚岩になるのです。日本は国土が狭く、耕地が狭いの
です。大規模農業はこれから先もできません。小規模でも隣人や地域が組んで異業種と連
携すれば大きな力を発揮するのです。
その一枚岩を期待していた JA グループは大きくなりすぎてもはやコントロールできなく
なっています。
これからは各地域にリーダーが必要です。
しがらみのないビジネスができる、異業種と手を組むことができるリーダです。
そしてそのリーダーは求められる役割は『社会貢献』です。
そしてお客様から
選ばれる産地、選ばれる人にならなければならないのです。
これまでの農村は区長に選ばれる努力、農業委員会に選ばれる努力、農協の理事に選ばれ
る努力、町議に選ばれる努力ばかりしてきました。
その努力は地域を潤してきましたか?
これからは異業種、特に『農産物を買って下さるお客様に選ばれる努力』をやりましょう!
これがプロの農家です。プロは自ら稼がなければなりません、相場でその年の年俸を決め
られるこれまでの農業を脱却しなければなりません。
そして現役で稼いで、引退してください。そして後者育成に力を注いで下さい。
私は生まれも育ちも熊本ですが熊本が大好きなんです。
その熊本がこのままだと衰退します。農業県と呼ばれたこの県がお客様から選ばれなくな
ってきているのです。
この事実から目をそらしてはいけません。
謙虚に選んでいただく努力をしなければなりません。
くまもと農業が生き残るには食糧を供給していた産地から脱却し、食材を提供できる産地
に生まれ変わらなければなりません。
なぜならば、これから求められる農業とはお客様に選ばれる農業をしなければならないか
らです。
全国の市場から選ばれるために必死に規格を揃え選別してブランディングを図ってきた
JA の系統出荷から、卸売市場を通さないマーケットが直接産地と取引を始めるのです。
そのマーケットに選ばれるか否かがこれからの農業で稼ぐためのカギとなるのです。