無線LANにおけるVoIPの通信品質

無線LANにおけるVoIPの通信品質
早稲田大学理工学部
コンピュータ・ネットワーク工学科
後藤研究室 学部4年
1g04r065-7 栢沼 圭輔
2008/2/4
研究の背景、目的
背景
•• 様々なコンテンツの利用
様々なコンテンツの利用
•• 各種アプリケーションで送信機会が均等
各種アプリケーションで送信機会が均等
•• サービスに適したQoS(Quality
サービスに適したQoS(Quality of
of Service)
Service)
••
••
優先度順にトラフィックを制御
優先度順にトラフィックを制御
様々なコーデックの利用
様々なコーデックの利用
目的
VoIP環境に特化したQoS実装法の実現
VoIP環境に特化したQoS実装法の実現
コーデックにおける違いの検討
コーデックにおける違いの検討
2008/2/4
2
IEEE 802.11e
••
••
••
IEEE
IEEE 802.11a/b/gがベース
802.11a/b/gがベース
セキュリティ機能やQoS機能を追加
セキュリティ機能やQoS機能を追加
IEEE
IEEE 802.11eで採用されているQoS技術は、
802.11eで採用されているQoS技術は、
EDCAとHCCAの2つ
EDCAとHCCAの2つ
本研究ではEDCAを用いる
本研究ではEDCAを用いる
2008/2/4
3
EDCA
•• トラヒックを4種類のアクセス・カテゴリーに分
トラヒックを4種類のアクセス・カテゴリーに分
け、優先順位をつける
け、優先順位をつける
•• 優先度に応じて、次のパラメータを設定
優先度に応じて、次のパラメータを設定
CW(Contention
CW(Contention Window)
Window)
−
− 送信待ち時間を決める乱数パラメータ
送信待ち時間を決める乱数パラメータ
AIFS(Arbitration
AIFS(Arbitration IFS)
IFS)
−
− フレーム送信間隔
フレーム送信間隔
TXOP(Transmission
TXOP(Transmission Opportunity)
Opportunity)
−
− チャネルを排他的に使用できる時間
チャネルを排他的に使用できる時間
2008/2/4
4
コーデック
コーデックとは
符号化方式を使ってデータのエンコード(符号化)と
符号化方式を使ってデータのエンコード(符号化)と
デコード(復号)を双方向にできる装置やソフトウェア
デコード(復号)を双方向にできる装置やソフトウェア
音声圧縮に用いられるコーデック
G.711
G.711
G.726
G.726
G.723.1
G.723.1
G.729
G.729 Annex
Annex A
A
2008/2/4
5
IP電話クラス分け(R値)
クラス
R値
遅延
A
80超
100ms未満
B
70超
150ms未満
C
50超
400ms未満
参考文献:TTC標準JJ-201.01
2008/2/4
6
実験環境
・音声品質評価基準:R値
・音声品質評価基準:R値
SD
・コーデック:
・コーデック:
C ONS OLE
FDX
LP
OK
B1
WI C 0 OK
B2
LOOP
B RI
S /T
100
LN K
AU X
DS U
C PU
S3
WIC 1 OK
Cisco 1 720
音声トラフィック
負荷トラフィック
-G.711
-G.711
-G.723.1
-G.723.1
・測定機器:Astec
・測定機器:Astec Eyes
Eyes
for
for VoIPアナライザ
VoIPアナライザ
2008/2/4
7
実験の概要
•• 実験1
実験1
––R
R 値の低下が起こるネットワーク環境を実現
値の低下が起こるネットワーク環境を実現
し、EDCA
し、EDCA の効果を確認
の効果を確認
•• 実験2
実験2
––負荷に耐えうるEDCAパラメータの発見
負荷に耐えうるEDCAパラメータの発見
•• 実験3
実験3
––実験2より得た提案パラメータの検証
実験2より得た提案パラメータの検証
※すべての実験をG.711とG.723.1に対して行う
2008/2/4
8
実験2(最適パラメータの発見)(1/4)
CWmin CWmax CW_X CWmin CWmax CW_X
0
0
A
1
15
I
0
1
B
3
3
J
0
3
C
3
7
K
0
7
D
3
15
L
0
15
E
7
7
M
1
1
F
7
15
N
1
3
G
15
15
O
1
7
H
2008/2/4
デフォルト
9
実験2(最適パラメータの発見)(2/4)
75
70
65
G.7 1 1
G.7 2 3 .1
R値
60
55
50
45
40
35
30
A B C D E F G H
CW_X
I
J K
L M N O
最適パラメータ
デフォルトパラメータ
2008/2/4
10
CWmin CWmax CW_X CWmin CWmax CW_X
0
0
A
1
15
I
0
1
B
3
3
J
0
3
C
G.711
3
7
K
0
7
D
3
15
L
0
15 G.723.1
E
7
7
M
1
1
F
7
15
N
1
3
G
15
15
O
1
7
H
2008/2/4
デフォルト
11
実験2(最適パラメータの発見)(3/4)
72
70
R値
68
G.711
G.723 .1
66
64
62
60
58
0
1
3
AIFS
7
最適パラメータ
デフォルトパラメータ
2008/2/4
12
実験2(最適パラメータの発見)(4/4)
74
72
R値
70
G.711
G.723 .1
68
66
64
62
752
1504
3008 6016
TXOP
12032 24064
最適パラメータ
デフォルトパラメータ
2008/2/4
13
最適パラメータ
CWmin CWmax
AIFS
TXOP
デフォルト
パラメータ
3
7
1
1504
G.711
パラメータ
3
15
1
3008
G.723.1
パラメータ
7
15
1
12032
2008/2/4
14
R値
実験3(デフォルトとの比較)
78
76
74
72
70
68
66
64
62
60
58
75.2
72.3
70.22
デフォルトパラメータ
提案パラメータ
64.26
G.711
G.723.1
コーデック
2008/2/4
15
追加実験
•• それぞれのコーデックでの最適パラメータを
それぞれのコーデックでの最適パラメータを
入れ替え、R値を測定
入れ替え、R値を測定
R値
提案パラメータ
G.711
72.3
提案パラメータ
入れ替え
65.9
G.723.1
75.2
70.7
2008/2/4
16
まとめ
•• コーデックの違いにより、最適なEDCAパラ
コーデックの違いにより、最適なEDCAパラ
メータに違いがでた
メータに違いがでた
•• コーデックG.711では、最適パラメータを用い
コーデックG.711では、最適パラメータを用い
ることにより、R値がクラスC水準からクラスB
ることにより、R値がクラスC水準からクラスB
水準を満たすまで向上した
水準を満たすまで向上した
2008/2/4
17
ご清聴ありがとうございました
2008/2/4
18
補足
2008/2/4
19
R値
予備実験(デフォルトパラメータ) (1/2)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
EDCAなし
EDCAあり
10M 20M 30M 40M 50M 60M 70M
負荷トラフィック [ bps ]
G.711
2008/2/4
20
R値
予備実験(デフォルトパラメータ) (2/2)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
EDCAなし
EDCAあり
10M
20M
30M
40M
50M
60M
70M
負荷トラフィック [ bps ]
G.723.1
2008/2/4
21
今後の課題
•• 大規模で、様々なアプリケーションを同時に
大規模で、様々なアプリケーションを同時に
実行する複雑なネットワーク下における品質
実行する複雑なネットワーク下における品質
評価をおこなう
評価をおこなう
•• 今回使用していないコーデックでも同様に測
今回使用していないコーデックでも同様に測
定する必要がある
定する必要がある
•• 今回使用していないアクセス・カテゴリの影響
今回使用していないアクセス・カテゴリの影響
を考慮する必要がある
を考慮する必要がある
2008/2/4
22
VoIP
•• Voice
Voice over
over Internet
Internet Protocol
Protocol
–– ネットワーク上で音声パケットを扱う
ネットワーク上で音声パケットを扱う
–– 例
例 IP電話、Skype、音声チャット
IP電話、Skype、音声チャット etc
etc
•• 評価基準:R値
評価基準:R値
–– E−modelと呼ばれる計算式に、音声品質に関
E−modelと呼ばれる計算式に、音声品質に関
する20個のパラメータを入れ計算
する20個のパラメータを入れ計算
2008/2/4
23
R値
•• 主観的品質評価、客観的品質評価の要素を
主観的品質評価、客観的品質評価の要素を
踏まえ、総合的に品質を評価する指標
踏まえ、総合的に品質を評価する指標
•• E−modelと呼ばれる計算式に、音声品質に
E−modelと呼ばれる計算式に、音声品質に
関する20個のパラメータを入れ計算
関する20個のパラメータを入れ計算
•• 00 ∼
∼ 100
100 までの数値で表し、数値が大きい
までの数値で表し、数値が大きい
ほど品質が高い
ほど品質が高い
2008/2/4
24
主観的品質評価・客観的品質評価
【【 主観的品質評価
主観的品質評価 】】
•• MOS
MOS(Mean
(Mean Opinion
Opinion Score)
Score)
–– 多くの人に音声を聞かせ、5段階で評価
多くの人に音声を聞かせ、5段階で評価
【【 客観的品質評価
客観的品質評価 】】
•• PSQM
PSQM(Perceptual
(Perceptual Speech
Speech Quality
Quality Measure)
Measure)
‒‒ 送信前と受信後の音声の劣化具合を数値化
送信前と受信後の音声の劣化具合を数値化
•• PESQ
PESQ(Perceptual
(Perceptual Evaluation
Evaluation of
of Speech
Speech Quality)
Quality)
‒‒ PSQMに対して、パケットの揺らぎ・損失を考慮
PSQMに対して、パケットの揺らぎ・損失を考慮
2008/2/4
25
CSMA / CA
•• 通信路が一定時間以上継続して空いている
通信路が一定時間以上継続して空いている
ことを確認しデータを送信
ことを確認しデータを送信
2008/2/4
26
TDMA
•• Time
Time Division
Division Multiple
Multiple Access
Access
•• 携帯電話などの無線通信で利用
携帯電話などの無線通信で利用
•• 1つの周波数を時間軸に沿って短時間ずつ分
1つの周波数を時間軸に沿って短時間ずつ分
割し、分割した各時間を各ユーザに割り当てる
割し、分割した各時間を各ユーザに割り当てる
2008/2/4
27
Dynamic TDMA
•• ノード同士が互いの制御情報を交換
ノード同士が互いの制御情報を交換
どの時間に帯域を割り当てるかを動的に更新
どの時間に帯域を割り当てるかを動的に更新
•• 特定の通信に対して一定の帯域を確保できる
特定の通信に対して一定の帯域を確保できる
2008/2/4
28
QoS(Quality of Service)
•• ネットワーク上で、ある特定の通信のための帯
ネットワーク上で、ある特定の通信のための帯
域を予約し、一定の通信品質を保証する技術
域を予約し、一定の通信品質を保証する技術
•• 音声、動画などのリアルタイム配信などの通信
音声、動画などのリアルタイム配信などの通信
の遅延、停止が許されないサービスにとって重
の遅延、停止が許されないサービスにとって重
要な技術
要な技術
2008/2/4
29
EDCA(追加情報)
•• Enhanced
Enhanced Distributed
Distributed Channel
Channel Access
Access
•• CSMA/CAを拡張
CSMA/CAを拡張
•• データを4種類のカテゴリに分類し、待ち時間
データを4種類のカテゴリに分類し、待ち時間
やデータ送信時間を優先度に応じて変化
やデータ送信時間を優先度に応じて変化
優先度の高いフレームを送りやすくする
優先度の高いフレームを送りやすくする
2008/2/4
30
アクセス・カテゴリ
•• 送信データの種類ごとに分類
送信データの種類ごとに分類
サービス品質に差を付ける
サービス品質に差を付ける
•• アクセス・カテゴリは次の4種類
アクセス・カテゴリは次の4種類
‒‒ AC-BK(バックグランドトラフィック用)
AC-BK(バックグランドトラフィック用)
‒‒ AC-BE(ベストエフォート用)
AC-BE(ベストエフォート用)
‒‒ AC-VI(ビデオ伝送用)
AC-VI(ビデオ伝送用)
‒‒ AC-VO(音声用)
AC-VO(音声用)
2008/2/4
31
HCCA
•• Hybrid
Hybrid Coordination
Coordination Function
Function Controlled
Controlled
Channel
Channel Access
Access
•• 端末の優先度を考慮したスケジューリング
端末の優先度を考慮したスケジューリング
送信を許可した端末にポーリングフレーム送信
送信を許可した端末にポーリングフレーム送信
送信が許可された端末以外はアクセスを制御
送信が許可された端末以外はアクセスを制御
2008/2/4
32
EDCAを選択した理由
•• 一般的に利用されるアプリケーションでもQoS
一般的に利用されるアプリケーションでもQoS
を保証できる
を保証できる
今回の実験では音声の優先度を上げる
今回の実験では音声の優先度を上げる
EDCAは送信データの種類ごとに優先度を設定
EDCAは送信データの種類ごとに優先度を設定
EDCAを選択
EDCAを選択
2008/2/4
33
EDCAデフォルトパラメータ
Cwmin
Cwmax
AIFS
TXOP
AC_BE
15
63
3
0
AC_BK
15
1023
7
0
AC_VI
7
15
1
3008
AC_VO
3
7
1
1504
2008/2/4
34
CW(Contention Window)
•• 送信待ち時間を決める乱数パラメータ
送信待ち時間を決める乱数パラメータ
•• 待ち時間=乱数値×一定時間
待ち時間=乱数値×一定時間
(CWmin
(CWmin ≦
≦ CW
CW ≦
≦ CWmax)
CWmax)
––乱数値:0∼CWのランダムな整数
乱数値:0∼CWのランダムな整数
•• CWはフレーム衝突後の再送のたびに2倍と
CWはフレーム衝突後の再送のたびに2倍と
なり、CWmaxに達すると一定値
なり、CWmaxに達すると一定値
2008/2/4
35
AIFS(Arbitration Inter Frame Space)
•• フレーム送信間隔を表すパラメータ
フレーム送信間隔を表すパラメータ
•• 優先度の高いアクセス・カテゴリ
優先度の高いアクセス・カテゴリ
AIFS時間を短く設定
AIFS時間を短く設定
2008/2/4
36
TXOP(Transmission Opportunity)
•• チャネルを排他的に使用できる時間
チャネルを排他的に使用できる時間
•• TXOP
TXOP == 0の場合
0の場合
アクセス権獲得後の送信フレーム数が1つ
アクセス権獲得後の送信フレーム数が1つ
2008/2/4
37
VoIP通信で使われるコーデック
コーデック名称
符号化方式
ビットレート
動作原理
G.711
PCM
64Kbps
波形符号化
MP−MLQ
6.3Kbps
ACELP
5.3Kbps
G.723.1
G.729
G.729
Annex A
2008/2/4
CS−ACELP
ハイブリッド
符号化
8Kbps
CS−ACELP
38
波形符号化方式
目的
目的 :: 入力信号の波形をそのまま復元
入力信号の波形をそのまま復元
【メリット】
【メリット】
音楽など、人間の声以外でも良好な品質
音楽など、人間の声以外でも良好な品質
【デメリット】
【デメリット】
高いビットレートが必要
高いビットレートが必要
ビットレートを低くすると、品質が著しく劣化
ビットレートを低くすると、品質が著しく劣化
2008/2/4
39
ハイブリッド符号化方式
••
••
人間の発声構造がベース
人間の発声構造がベース
入力信号の波形をそのまま復元
入力信号の波形をそのまま復元
【【メリット
メリット】】
波形符号化方式に対して、
波形符号化方式に対して、
低いビットレートでも品質が良い
低いビットレートでも品質が良い
【【デメリット
デメリット】】
人間の声以外
人間の声以外 ⇒
⇒ 品質劣化
品質劣化
2008/2/4
40
実装基本コーデック
•• 現在、情報通信審議会でIP電話の技術基本
現在、情報通信審議会でIP電話の技術基本
が討議中
が討議中
•• その報告書の中では次のように記載
その報告書の中では次のように記載
「050-IP電話に対しても、符号則、ベアラ規定
「050-IP電話に対しても、符号則、ベアラ規定
については、0AB∼J-IP電話と同様、G.711
については、0AB∼J-IP電話と同様、G.711
μ.Lawのサポートを基本とすることが適当で
μ.Lawのサポートを基本とすることが適当で
あり、TTC技術レポートTR-9024に準ずること
あり、TTC技術レポートTR-9024に準ずること
が望ましい。」
が望ましい。」
2008/2/4
41
Astec Eyes for VoIP アナライザ
•• ネットワークトラフィックの測定
ネットワークトラフィックの測定
•• パケットの収集・分析
パケットの収集・分析
•• IP電話などの音声品質の測定、セッションの
IP電話などの音声品質の測定、セッションの
シーケンスの閲覧、音声の再生が可能
シーケンスの閲覧、音声の再生が可能
2008/2/4
42
iptables
•• 現在のネットワークは最善努力型
現在のネットワークは最善努力型
•• QoS保証がない
QoS保証がない
•• パケットヘッダ内のTOS値により優先制御
パケットヘッダ内のTOS値により優先制御
•• Iptablesを用いてTOS値の書き換え
Iptablesを用いてTOS値の書き換え
2008/2/4
43
TOS値
•• Type
Type Of
Of Service
Service
•• EDCAでのアクセス・カテゴリの分類
EDCAでのアクセス・カテゴリの分類
パケットヘッダ内のTOS値により判断
パケットヘッダ内のTOS値により判断
2008/2/4
44
無線アクセスポイント
•• Corega
Corega cg-wlbarag2
cg-wlbarag2
•• 無線環境
無線環境 :: IEEE
IEEE 802.11b
802.11b
•• EDCAを実装することによりIEEE
EDCAを実装することによりIEEE 802.11e環
802.11e環
境を構築
境を構築
2008/2/4
45