素人でも出来る輸入ビジネス<PDF - ww.e

素人でもできる輸入ビジネス
<輸入ビジネス指南書>
目次
はじめに
Ⅰ
-----------------------14
何を始めにやるか。
----------------16
1.自問してみよう。
2.これまでの商売に有効であるか。
3.利益は得られるか。
4.海外ビジネスの基本を知ろう。
個人輸入と小口輸入
5.内外貨物の価格は何で構成されるか。
・外国貨物と内国貨物のコストの大小比較
6.貿易実務の流れを理解する。
①取引相手国を理解する。
②取引先のビジネスの実情を知る。
③輸入ビジネスには何かが起こる。
④国際取引スタイルは英米流が主流である。
⑤国際取引はインコタームズで契約する。
⑥約束ごとは紙で確認する。
7.専門事業者をうまく使う。
e-bizDBの紹介
1
Ⅱ
貿易の仕組みを知ろう。
--------------26
1.内外取引には大きな違いがある。
2.国際取引習慣を知る。
3.基本的な輸入品の流れを知る。
4.取引条件を吟味する。
5.輸入品探しと仕入れはどうするか。
①売買(購入)契約
②契約のポイント
③インコタームズ(国際貿易条件)
・2000 年インコタームズ
④契約書の作成のポイント
6.決済には幾つかの方法がある。
①決済方法
②現金決済
現金送金などの制限
③国際クレジット・カード決済
・締切日と引落日
・クレジット・カード利用者の10の利点
④信用状(L/C)決済
外国為替の決済方法には
・信用状有りの荷為替手形決済
・信用状無しの荷為替手形決済
⑤その他の決済
・相殺勘定決済
・海外預金口座決済
・ネット決済
2
7.リスク(危険)を知ろう。
①相手リスク
共同海損とは?
②輸送リスク
③為替リスク
④商品リスク
⑤市場リスク
8.時間的隔たりで問題が発生する。
①金利的負担
②倉庫料の増大
③販売計画の狂い
④品質の劣化
9.輸入リスクを回避する。
①貨物保険の条件
②売買契約と輸入貨物保険
・付保の手配関係
・輸入貨物保険と信用状
・保険条件(担保危険)
・免責危険
新協会貨物約款の基本的な保険条件
・戦争/ストライキ危険
③輸入貨物に事故が起ったら、
Ⅲ
輸入にはどんな業務があるか。
-----------49
1.世の中の動きを観察する。
2.どんな仕事をやってきたか。
①こんなビジネスをやりたい。
②過去の経験が成功につながる。
3
3.ライバル店・企業を調査する。
4.輸入商品を決める。
①何を輸入するか。
②輸入取引分野・業種・品目を定める。
5.取引先を見つける。
①どのようにして取引先を見つけるか。
TTPP
②見本市で取引先を見つける。
J-Messe とは
③経済団体などに問い合わせる。
④在日大使館に問い合わせる。
⑤海外の輸出業者のダイレクトリーで調べる。
⑥インターネットを使って取引先を探す。
ジェトロの利用
⑦輸入代理業者などの業者に相談する。
6.見本品を取り寄せる。
7.取引先は信頼出来るか。
ビジネス権限の制約・信用の不連続性
①信用調査をする。
②どのような項目を調査するか。
③どのような調査機関がありか。
D&B社とは
④具体的な項目を調査する。
・調査事項と項目は
8.取引国のビジネス慣習を調べる。
9.輸入には通関手続きが必要である。
10.為替相場を知る。
4
・為替レートとは
対顧客レート
・為替予約(リスク・コントロール)
産業構造と為替レート
①外貨確保はどうするか。
②外貨預金はいつするか。
③外貨送金はどこでするか。
・送金にはどのような方法があるか。
・その他の決済方法は
11.輸入規制を知る。
①なぜ輸入規制するのか。
・規制に従わないと罰せられる。
②国際取引法はあるか。
③日本の法規はなぜ及ばないのか。
12.危険への対応を考える。
Ⅳ
小口輸入をやってみよう。
-------------75
1.個人輸入と小口輸入の違いは何か。
2.クリアしなければならない規制を知る。
3.ライフ・スタイルの変化に対応する。
4.一味違う商材を発掘する。
5.内外価格差を活用する。
6.必要なモノを必要なだけ輸入する。
7.取引相手を選ぶ。
8.内外の見本市・展示会を活用する。
9.買付け商品を確定し、発注する。
10.輸入費用を見積もる。
5
11.代金の決済方法を決める。
12.輸送の手段を選ぶ。
Ⅴ
輸入品の価格構成を知ろう。
1.
------------83
どんな費用が掛かるか。
①国外/国内の経費は、
②国内の販売経費は、
2.
輸入代行に伴う経費の実例として、
・イタリア産スパゲティの輸入例
3.具体的輸入経費にはどんな費目があるか。
①L/C 開設料
②商品代
③梱包料
④輸送費
⑤保険料
⑥通関手数料
⑦送金手数料
・銀行からの送金
・郵便局からの送金
・クレジット・カードの手数料
⑧関税等の税金
⑨検査料
⑩代行料
Ⅵ
どんな制約があるかを理解しよう。
---------91
1.規制事項を知る。
①規制の概要を知る。
6
輸入公表の概要
②許認可とは何か。
取決めに基づく拘束
③輸入に対する制度はどうなっているか。
ジェトロの制度・規格・手続情報
2.関連国内法規の概念を知る。
①輸入関係他法令
②法的規制などを確認する。
③輸入に関係する法体系を知る。
④外為法とは、
⑤関税法とは、
FTA/EPAの動き
⑥関連法規と関連品目を知る。
関税品目表
3.輸入総代理店制度と並行輸入を知る。
①並行輸入品に対する考え方
②独占禁止法上問題となる場合
4.製造物責任法(PL法)を知る。
5.輸入食品のポジティブリスト制度
Ⅶ
専門事業者を活用しよう。
------------106
1.餅は餅屋で買う。
2.輸入代行業者を活用しよう。
①小口輸入事業支援者
②商社/専門輸入業者
③輸入コンサルタント
ジェトロ認定貿易アドバイザー
7
3.通関関連業者と仲良くなる。
①通関業者/乙仲
乙仲の由来
②運送業者/倉庫業者
4.金融業者とは日頃から親しくしよう。
5.輸入貨物保険業者を知る。
①㈳日本損害保険協会
②海上保険会社
③保険の種類
・海上貨物保険
・PL保険
・貿易保険
6.国際輸送業者を知る。
世界の主要船社のフルコン船運航
①海上輸送会社
②国際航空会社
Integrated Carrier/Integrator
③国際複合一貫輸送会社
④国際宅配会社
・国際宅配便
⑤郵政公社(郵便局)
・小形梱包物
・小包郵便物
・国際スピード郵便物
7.国際商事仲裁業者を知る。
8.海外企業信用調査業者を知る。
9.その他の業者を活用する。
8
Ⅷ
貨物の輸送の実務を知ろう。
-----------125
・輸送方法とその特徴
1.海上輸送の基礎を知る。
①運賃同盟船と盟外船とは、
海運同盟/運賃同盟
②輸入品はコンテナーで輸送される。
・FCL貨物
・LCL貨物
・フォワーダー詰めFCL貨物
③船舶用コンテナーの種類を知る。
④船舶用コンテナーのサイズは定められている。
⑤船荷証券(B/L)の役割を知る。
⑥海上運賃は変動する。
バース・ターム
・国際市況変動加算運賃
⑦海上運賃は前払いが原則である。
日本の商船隊
⑧日本/世界の主要港間の所要航海日数を知る。
⑨どこの港で荷揚げするか。
・荷揚地/船主/荷主のコスト・バランス
・世界の航路と航海日数
⑩コンテイナー・フィーダー・サービス
⑪アジアの主要港湾には、
⑫コンテナー・ターミナルの役割とは、
⑬内航輸送と陸上輸送
・国内陸上トラック運送費の目安
9
2.航空輸送の基礎を知る。
①IATAとIATA代理店を知る。
・IATA
・IATA 代理店
②航空運送状(AWB)の役割を知る。
B/L
・Master
・House
B/L
③航空貨物にもコンテナーがある。
④航空機用コンテナーのサイズは定められている。
⑤混載貨物とはどんなものか。
⑥混合貨物とは、
⑦航空機の就航地
・日本の国際空港
⑧コンテナー/パレット輸送システム
⑨バラ積み貨物
⑩航空貨物ターミナルの役割とは、
⑪航空貨物運賃は細かく分かれている。
・重量料金
・従価料金
・容積料金
・最低料金
・着払い運賃と前払い運賃
・立替払いと立替払い手数料
・SAL郵便物料金
3.第3の輸送方法もある。
・国際複合一貫輸送
4.輸入貨物は追跡できる。
10
5.輸入貨物は税金を払わずに保管できる。
保税地域
①指定保税地域
②保税蔵地場
6.輸入貨物は保税輸送できる。
Ⅸ
通関(貨物引取)手続きを知ろう。
--------152
1.通関必要書類を整える。
①輸入申告書
②送り状
③船荷証券/航空運送状
④保険料明細書
⑤運賃明細書
⑥梱包明細書
⑦その他必要書類
貿易登録制度
2.関税番号と関税率を調べる。
①HSコード
HSコード/関税品目表
②輸入通関手続きに関する制度
・輸入商品照会制度
・検討依頼制度
・事前教示制度
・簡易申告制度
・予備審査制度
・貨物到着即時輸入許可制度
・輸入関税に関する制度
11
・関税等の納期限延長制度
・特恵関税制度
・減免税制度
3.税率決定までの流れを知る。
①各品目がどこに分類されるかを決定する。
②原産地ごとに適用される税率を決定する。
原産地証明書
③関税の税率にはどのような種類があるか。
・関税の種類
④「部」「類」とはどのようなものか。
⑤その他、表に出てくる記号、単位の意味は
・実行関税率表採用されている単位
⑥特恵税率とは何か。
FTA/EPA
⑦少額輸入貨物の税率表を知る。
・少額輸入貨物に対する簡易税率表
・簡易税率が適用されない主な品目例
⑧輸入商品の関税率の目安を知る。
・輸入商品関税率
Ⅹ
トラブル処理も理解しておこう。
---------174
1.輸入リスクへの対応を考えておく。
①運送クレームとは、
②商品クレームとは、
③損害・被害が発生した場合のクレームは、
2.トラブルの要因を知る。
12
3.クレーム処理を知る。
①貨物輸送上のクレームは
②当事者間のクレームは
③第三者とのクレームは
④中小企業向けPL保険とは、
・中小企業向けPL保険のメリット
・加入の条件
・保険料の目安(例)
4.紛争処理の最善策は仲裁である。
・クレーム解決のための仲裁による紛争処理
参考資料
----------------------183
1.実行関税率表
2.資料紹介
①ジェトロの本
②関連法規資料(ジェトロ発行)
・ジェトロのサイトから閲覧可能法令
3.輸入ビジネス関連団体
4.海外ビジネス支援事業者
5.ジェトロ国内事務所一覧
あとがき
----------------------203
13
素人 でもできる輸入 ビジネス
はじめに
海外とビジネスを行うには、自分は実行しようとするビジネスにど
れだけ特化してきたか、その分野、市場を理解しているか、が問題で
あります。すなわち、これから実施しようとする「商売」に対する専
門家であるかであります。
貿易実務経験だけあってもダメ、語学だけ出来てもダメ、お金だけ
あってもダメ。ここで紹介します「輸入ビジネス(ガイド)」では本業
をお持ちの方で、本業の補完、補充として輸入ビジネスを考えられて
いる方あるいは輸入ビジネスを志されている方に輸入ビジネスの基本
とその実務の理解を深められ、輸入ビジネスに参入されることを目指
しています。輸入は個人でも、原則自由で海外から仕入れ(購入)で
きます。しかし、それには義務と責任も伴います。
特に、輸入は対外との取引ですので、双方には法律や習慣、嗜好な
どの相違が存在します。また、外国からの出入りは「税関」という「関
所」があり、国が定めた掟(規則)があります。そこを出入りする「モ
ノ」
(人、物)はそれに従わないと罰せられます。通行料(関税などの
税金)も支払わなければなりません。また、輸入後も、国内において
はそのビジネスに国内法、規則、規制なども伴うことも十分に理解し
ておくことであります。外国製品は海外旅行がもはや国内旅行と同じ
ように簡単にできる世の中となり、個人が海外商品を購入し、自由に
持ち帰りできる様になりました。これは一種の「個人輸入」ですが、
小売店なども、輸入商社などからの「間接輸入」から脱却して、海外
から安く「直接輸入・仕入れ」できる「小口輸入」も増えてきていま
14
す。中小事業者でも、誰でも輸入ができます。
さて「どうやればできるのか」「どうすれば成功するのか」という
観点から、輸入ビジネスの基本を紹介します。
ここで紹介しますノウハウは、直接輸入を行なったことがない小売
店、工務店、飲食店など中小企業の方々に、これまでの国内ビジネス
の経験に基づく知識とノウハウで輸入規制のない商品、日用雑貨や服
飾品、加工食品などの輸入ビジネスをされることを念頭においており
ます。輸入規制関連商品などは、輸入実務を経験され、さらにワン・
ランク・アップの輸入ビジネスを志されることを期待しています。新し
い情報は下記のHPでお知らせします。
2007 年 6 月
中川和憲
15
Ⅰ
何を始めにやるか。
1.自問してみよう。
輸入ビジネス事業を実行するに当っては、自分自身でブーレン・ス
トーミングし、ビジネス目的と基本認識を明確にし、覚悟しましょう。
その際、動機・目的、客層・地域、市場の状況、事業の優位性、課題・
リスク、国内取引と海外取引の相違点などを紙に抜き出してみてくだ
さい。解らないところは後で本書を参考にしてください。それを基に
基本計画書を作ってみてください。これらだけでも、これから実行し
ようとする輸入ビジネス事業は国内ビジネスと大きく異なることが分
かります。また、経験と実績が成功には極めて、重要であることがご
理解いただけます。
例えば、国内取引では常識であります委託販売(返品あり)が輸入
ビジネスにはありません。全品買取りが原則です。また、仕入れから
販売までの期間が長いことも輸入ビジネスの特徴です。すなわち、輸
入代金支払から販売代金回収まで極めて長い日数がかかることです。
その間に危険が伴います。また、輸入業務の過程では各種の専門知識
が必要となります。そのために専門事業者への業務委託が発生します。
そこには(あなたは)輸入者としての義務と責任と経費負担が生じ
ます。責任には刑事責任を含んでいます。
<業務と責任を明確にする。>
区
分
主な業務/分野
責
任
輸入者自
取引先探し、商品発掘、
輸入者として、取引き全般に
身
契約、販売など事業者自
伴う民事・刑事責任及び経費
身が決定
負担
16
受託事業
金融、通関、輸送、契約
受託業務に伴う代行責任(協
者
などに関連する専門業務
同輸入責任)
2.これまでの商売に有効であるか。
「この商品は他店と差別化できる。」「この商品は売れそうだ。」
などが、輸入しようという動機になるでしょう。また、「仕入費用は
割高だが、輸入品に切り替えれば、相乗効果から店全体の利益を上げ
ることができる。」ということなどもあるでしょう。最近の輸入品激
増一因には、生活の多様化、海外旅行の増加、ブランド品/希少価値品
などへの消費者の希求があります。それに、インターネットの普及に
よる未開拓商品の発掘/販売がより簡単になりました。
中小事業者の輸入ビジネス参入が容易になりました。また、日用雑
貨、衣料品、食品、家電製品などは、中国を中心としてアジア諸国か
らの大量輸入によって、販売価格はどんどん下がってきています。こ
の現象は、今後も続くことでしょう。ただ、中小事業者にとっては、
大量輸入によるビジネスは資金や販売ルートなどから大企業には太刀
打ちできません。中小事業者は「市場性」ある消費者ウヲンツ商品の
少量輸入ルートを開発することが必要です。輸入ビジネスを行なう前
に必要なことは、「売れる商品であるか。」「販路を持っているか。」
を解っていることです。
すなわち、輸入ビジネス商品は市場性、顧客の確保ないしはその見
通し、利益の発生、があることなどのノウハウを持っていることが前
提です。「輸入ビジネス」とは「外国から商品を輸入(仕入れ)し、
国内で販売すること」です。
日本国内市場で販売できなければ「輸入仕入れ」はドブにお金を捨
てる様なものです。また、国内市場で「売れる商品」の顧客、すなわ
17
ち「販路=販売先」を持たなければ、「輸入ビジネス」は成功するこ
とはありません。「売れ筋商品と販路」を持つためにも、輸入ビジネ
スを開始する際の前歴が重要です。
輸入販売しようとする商品は「市場性」があるかどうかに関する調
査や販売計画、すなわち「マーケティング」は成功の確信付けのため
にも必要です。「輸入」は仕入の方法に過ぎません。「市場性」を良
く理解し、実際の「市場性」ある商品と販路を持ち合わせることは「輸
入ビジネス」成功の鍵となります。
中小企業の「輸入ビジネス」はますます特化してくるものと考えら
れます。「市場性ある商品と販路を開発すること」が「輸入ビジネス」
の成功の原点であると考えます。「モノあふれ時代」という中で、輸
入品の販売競争はますます熾烈化することでしょう。これに打ち勝つ
商品発掘輸入は魅力でもあります。
3.利益は得られるか。
「国内での仕入れ」は、一般に購入場所の商品価格で、購入すれば
よいので、非常に簡単です。つまり、購入価格≒仕入れ費用です。運
送(輸送)費用などのコストは僅かです。また、品質も納期も約束通り
でなければ、すぐに返品は可能です。これに対して、「国外(輸入)
での仕入れ」は商品代金+輸送費用だけではありません。この費用以
外に、様々な大きな経費が加わります。
また、通常、輸入では米ドル建ての輸入ですので、米ドルを購入し、
支払わなければなりません。その購入手数料もかかります。その通貨
は外国為替の変動によって、輸入商品の代金が増えたり、また、減っ
たりで「為替損益」が生じます。
また、「クレーム」の発生により、必要以上の経費がかかる場合が
考えられます。海外から送られてくるのですから、出荷遅れによる納
18
期遅延などのリスクも考慮しなければなりません。商品の変質も考え
られます。
「利益」を得るまでには長い距離と永い時間が存在します。
輸入は単純ではありません。
4.海外ビジネスの基本を知ろう。
海外とのビジネス(取引)については、より詳しく次項に記述しま
すが、大まかに次のような制約などがあることを認識する必要があり
ます。
①相手国/地域の文化、習慣、考え方の違い
②国という単位による法律の違い
③日本と取引相手国間の言語の相違
④地理的、時間的隔たりによる危険の存在
⑤国際的ビジネス・ルールによる取引
⑥双方のビジネス(取引)権限の制約
⑦取引先の信用の不連続性
個人輸入と小口輸入
輸入者個人が自分で使用/消費する目的でモノを輸入することを個
人輸入といいます。個人的に使用する目的での輸入ですので、関税手
続きも簡素化されています。また、輸入者が個人であっても第三者に
販売する目的で輸入するものは小口(小額)輸入(個人輸入ではない)
と呼ばれ、少量であろうと少額であろうと輸入、販売に関する法規を
すべてクリアする必要があります。ここで重要なことは個人輸入で輸
入したものを第三者に販売することは違法行為になるということで
す。第三者への販売目的では小口輸入で対応しましょう。
小口輸入を行うには?
小口輸入を支援している団体としてミプロやジェトロがあります。小
19
口輸入をしてみたいという人は下記へアクセスしてください。専門家
からの助言も聞けます。
(財)対日貿易投資交流促進協会(MIPRO)
URL
http://www.mipro.or.jp
電話(03)3989-5151(相談専用)
(独)日本貿易振興機構(JETRO)
URL
http://www.jetro.go.jp
電話(03)3582-5171(東京)
電話(06)6447-2307(大阪)
その外の地方のジェトロ事務所 ジェトロの URL から検索できます。
消費者ウヲンツ:消費者ニーズ(製造者などのサイドから見た最大公
約数の要求)に対して、各消費者個人の要求をココでは区別して指す。
5.内外貨物の価格は何で構成されるか。
内外貨物のコストは外為法等関連法、国際条約/取決め、国内関連
法による規制、許認可取得など、により大きく変わります。
輸入品は仕入れ原価(輸入原価)の2~4倍で、国内販売されると
言われています。詳しくは「Ⅴ.輸入品の価格構成を知ろう。」(P.83
参照)をご覧ください。
6.貿易実務の流れを理解する。
「輸入」は「外国との取引」です。現在では、国際取引商品=輸入
品は普通どこにでも見られる「モノ」になりましたが、取引は国内取
引のやり方とは大きく異なることが多くあります。実際に輸入を成功
させるには「外国・外国人から商品を購入する。」という認識の下に、
危険と難題を解決する必要があります。
「日本的な」商取引・商慣習・通念が、そのまま相手に通じること
はまずないと考えておきましょう。取引相手国/人と接する、という言
うことはそれなりの心構えと準備が必要です。日本国外在住の日本人
20
との取引でも、同じです。
国内と国外には国境があり、互いに異なる法律があります。しかし、
「国際取引」の世界では「国際貿易の基本的な慣習、ルール」を定め
たルールもあります。この「国際ルール」に関する基本的な事項を理
解することが必要です。また、このルールも国により違いがあること
も頭の隅に置いておく必要があります。
さて、ここで言う「輸入」とは、国内販売で言うところの「仕入れ」
です。つまり、輸入した商品は「日本国内で販売する。」という前提
があります。
日本国内で販売することができない「輸入品」(?)になったので
は元も子ありません。まずはそのあたりの基本的なルールを理解しま
しょう。
・外国貨物と内国貨物のコストの大小比較
コスト/規
経費/規制項目
外国貨物取引き
内国貨物取引き
商品代
相対的に小
相対的に大
保険料
輸入品の1%程度
付保しない場合が多い
運送費
極めて大
高いが相対的に小
通関費
極めて大
(関連なし)
関税など税金
0%~
(関連なし)
消費税(5%)
同じ
同じ
諸経費
大きい/項目多い
相対的に小/項目少い
商品探し
大
小
取引相手調査
大
小
許認可取得
大
小
制
直接コスト
間接コスト
21
①取引相手国を理解する。
取引相手国の言語や文化、社会通念、商慣行などの理解が必要です。
当然のことですが、海外との取引の際の言語は英語が基本です。アジ
アでも、通常の国際取引は、英語で行なっています。中国人との取引
では中国語、韓国人との取引ではハングルなど、相手国の公用語を使
うこともありますが、輸入通関書類は英語となります。当然、在外の
日本人との取引きも英語(船積み書類など)で行います。取引先の言
語ができることに越したことはありません。
取引国の言語、文化、風習、慣習などを知ることによって、取引先
の基本的なビジネス・ルールを知ると共に、取引先の考え方や行動様
式を知ることができ、相互理解と信頼関係の樹立に役立ちます。また、
競合他社にも優位に立てます。
②取引先のビジネスの実情を知る。
国際的ビジネスを開始するには取引先(国)の実情を知り、相互理
解を深めることが成功の一つの鍵となります。
たとえば、「安ければ売れる。」=>「中国の製品はほとんどが海外
の一流の企業の製品だ。」+「中国は人件費が安いので、中国から輸
入すれば安くまた、品質も問題ないモノが仕入れできる。」=>「儲
かる。」ということは、誰でもが思い着きます。しかしながら、「輸
入ビジネス」に関する理解がなければ「なぜ、安いのか。」「なぜ、
こんなに時間や経費がかかるのか。」
「なぜ、少量輸入できないのか。」
「なぜ、思うように輸入価格が安くならないのか。」などの疑問が残
ります。「安く輸入できる国を利用する。」というのは、ビジネスの
動機の一つですが、中小事業者にとって中国からの輸入はスケール・
メリットの面や競争相手が多く競争も激しい面などから太刀打ちでき
ない面があります。中小企業は価格志向より、より消費者のニーズ、
22
ウヲンツを重視した海外商品の取引きを奨励します。
③輸入ビジネスには何かが起こる。
輸入ビジネスは常に何かの事件や事故、クレームの発生などで心理
的に落ち着かないことが多くあります。また、起こる可能性は多くあ
ります。契約条件(契約書)は、考えれば考えるほど難しくなります。
しかし、少なくとも発注書(注文書)程度の(売買)条件のレターは
取り交わして置きましょう。また、最悪の場合でも商品代が戻らない
程度の覚悟は重要です。派生的損害(当然発生したであろう利益被害
など)もありえます。また、PL法による損害等の救済命令は莫大に
なるケースも出ます。
④国際取引スタイルは英米流が主流である。
国際取引では、通常、英米流の考え方が主流です。この考え方は契
約書に書かれていなければ、何をしても良い、という「性悪説」が基
本的な考えから来ているものと思われます。契約書ではこと細かく規
定する必要があります。逆に、日本の契約書では「性善説」の考えか
ら最小の必要条件を盛り込み、契約条件にない場合は「話し合いで解
決しましよう。」ということになりますが。取引は契約当事者の取引
条件やビジネス常識や考え方、が一致すれば良いことですが、海外と
の取引では危険です。日本的考え方の契約書でも、取引を開始は可能
です。
⑤国際取引はインコタームズで契約する。
基本的な国際間の貿易条件は、インコタームズがすでにあります。
これを利用して、最小限必要な条件をキチンと相互理解、相互信頼の
下でビジネスを実行するということができれば、最初の一歩はうまく
23
踏み出せます。しかし、基本は「約束は必ず守る。」ということが重
要です。
⑥約束ごとは紙で確認する。
その「約束ごと」を紙に書いて確認する行為が契約です。この契約
書は発注書/受注書の類ではありません。チャンとした様式を備えた
書類を作成することです。インコタームズの様な最低限の条件は常識
的に決まっていますので、そのことをお互いに理解し、合意すること
が必要です。国際取引では、西欧流または、米国流の考え方が底流に
ありますので、高額取引をされる際は専門家に相談することが必要で
す。より詳しくは「Ⅱ.貿易の仕組みを知ろう。」(P.26 参照)で述
べます。
7.専門事業者をうまく使う。
輸入ビジネスを進める間にはいろんな専門知識を必要とする場面
があります。その際は、それに関連する専門事業者を活用する必要が
あります。代金決済のための金融業者(銀行、郵便局)、輸入貨物を引
き取るための通関業者(乙仲/海貨業者、運送業者、宅配業者、航空貨
物取扱業者<IATA エージェント>)、輸入貨物を日本まで運ぶための
輸送業者(船会社、航空会社、国際複合輸送業者、郵政公社)、それに
貿易実務、商業英語などに疎い事業者には通信文や契約書作成などで
支援してもらうための代行業者(貿易商社、コンサルタント、弁護士
など)に業務を依頼することも必要です。より詳しくは「Ⅶ.専門事業
者を活用しよう。」(P.106 参照)で述べます。
24
e-bizDB の紹介
e-bizporter=商売お助け人(URL:http://www.e-bizporter.jp 参
照)<略称 e-bizDB>は「日本語で世界とビジネスを」をキャッチ・
フレーズに日本国内外の中小事業者間のビジネスを支援する個人的
なボランティア事業です。
このサイトでは内外の取引きを日本語で基本的な事項を取決め、取
引案件がまとまったら次の手順でビジネス交渉を進めて頂く、極めて
簡単なシステムです。(ビジネス英語、貿易実務ができる方はジェト
ロのTTPP<ビジネス引き合わせシステム>をご活用ください。)
①このサイトでは直接、双方の事業者(輸出、輸入)が日本語で交渉
します。
②基本合意がなされたら、正式ビジネス手続きをプロに依頼します。
(自社で行うのも当然OKです。)
注1:ジェトロ認定貿易アドバイザー協会では貿易実務、商業英語な
どに疎い事業者に代行業者(貿易商社、コンサルタント、弁護士など)
を紹介しています。
注2:正式な輸入通関手続きは専門的知識が必要ですので、お近くの
ジェトロ、地域の貿易協会あるいは本書末尾に紹介する小口輸入代行
業者などに相談してください。
注3:ジェトロでは主に中小事業者をターゲットとしたグローバル・
ビジネス支援のサイトTTPP(内外の商品・技術・役務・資金など
の取引支援)<P.55 参照>を設けています。
25
Ⅱ
貿易の仕組みを知ろう。
1.内外取引には大きな違いがある。
外国との取引(貿易)は貿易実務、ビジネス英語などの輸入ビジネ
ス技能と国内ビジネス才覚及び長期的資金を必要とします。また、業
務には多種多用で複雑なプロセスとその業務をクリアしなければなり
ません。
「輸入品に対する規制」は「Ⅵ.どんな制約があるかを理解しよう。」
(P. 91 参照)で、「貨物の輸送」は「Ⅷ.貨物輸送の実務を知ろう。」
(P.125 参照)で、
「貨物の引き取り」は「Ⅸ.通関手続きを知ろう。」
(P.152 参照)で、
「トラブル対応」は「Ⅹ.トラブル処理も理解して
おこう。」(P.174 参照)で、述べます。
また、「輸入品の価格構成」は「Ⅴ.輸入品の価格構成を知ろう。」
(P.83 参照)で述べております。
2.国際取引慣習を知る。
一定の国際ビジネス慣習(ルール)は存在しますが、それは慣習で
あり「国際法」ではありません。また、その慣習も国によって異なっ
ています。
従って、国際ビジネスは取引当事者間の合意が基本となることを念
頭に取引きしましょう。その基となりますのは両者間の商習慣に基づ
く取決めです。これを充分に理解して契約することです。
3.基本的な輸入品の流れを知る。
輸入品の流れは、取扱商品の選定 → 取引先の選定 → 見本品の取
寄せ → 購入契約の締結(発注)→ 貨物保険の付保 → 取引先国側の
26
輸出通関手続き → 貨物運賃の支払 → 貨物の輸送(陸、海、空)→ 購
入代金の決済(送金)→ 通関書類の受取 → 国内輸入通関の手続き →
輸入税等の支払 → 輸入品の受取 → 輸入品の販売 → 輸入商品代金
の回収の順となります。
(流れは手続き内容、方法によって若干前後す
ることもあります。)
ジェトロではのサイトマップに「輸出入実務の流れ」の情報を提供
していますので、参照してください。
4.取引条件を吟味する。
取引商品/取引先が決まったら貿易条件(商品条件+貿易条件+決
済条件などの取引条件)を検討し、契約します。一般には、国際取引
で通常使用されている国際貿易取引条件用語に関する国際取引用語規
則のインコタームズ(Incoterms=International Commercial Terms)
に基づき契約します。
この貿易条件は FOB や CIF などの取引基本条件のことで、売主
(Seller)と買主(Buyer)が売買契約で、商品の引渡し場所や日時、
所有権(危険)の移転、運送(海上、航空、郵便など)の手配、運賃
の支払い、保険の手配、保険料の支払い、通関手続と関税などの支払
い、代金の授受(前払い、L/C 決済、送金など)、などの業務及び、そ
の費用分担を取り決める際の国際的な取引用語統一条件(ターム)で
す。
しかも簡単な略号で統一されています。国際商業会議所日本国内委
員会事務局では「1990 年インコタームズの手引き」(No.461/90 英文・
和文併記)を発行しています。
なお、米国などではインコタームズを採用しない業者もいますので、
取引条件を決める際には、インコタームズなどの採用する取引条件を
取り決めておきましょう。
27
5.輸入品探しと仕入れはどうするか。
ニュービジネスの発掘(商品発掘/業者発掘)は①自分で取引先を
探し出す方法(能動的)と②DB等に登録して取引希望者を待つ方法
(受動的)がありますが、能動的に商品/取引先を探しましょう。
能動的に探すには
(イ) 日本国内や海外の国際見本市に足を運び探す。
(ロ) 海外見本市視察・買付ミッション参加に参加して見つける。
(ハ) インターネットでジェトロの J-messe(見本市紹介のサイト)
や TTPP(売りたい/買いたい業者 DB で探す。
(ニ)外国公館などに相談する。
(ホ)各種団体などが発行・公開している貿易業者名鑑(ダイレクトリ
ー)で見つける。
(ヘ)インターネット貿易業者DB(データベース:貿易業者一覧)
やヤフー、グーグルなどのサーチエンジンで見つける。
受動的に探すには
(イ)地方の行政、商工会(議所)、貿易協会などが発行する貿易業者
名鑑に登録する。
(ロ)自社のホームページを設けて、インターネット経由で公開する。
(ハ)ジェトロ等の機関の会員制度に入会する。
(ニ)ジェトロの TTPP に登録する。
(ホ)知人などに紹介してもらう。
などがある。
ジェトロでは「TTPP」と言う海外ビジネス仲介のDBサイトが
ありますので登録(登録無料)しましよう。このサイトは能動的にも、
受動的にも顧客を探すことも出来ます。(TTPP: P.55 参照)
28
ビジネス商品/取引先が見つかったら仕入れ(購入)を検討するこ
とになります。その際は海外の輸出業者に商品見本の送付依頼と商品
の価格、スペック(仕様)、包装条件、納期並びに決済条件などの取引
条件を問い合わせします。単位やレンジ(範囲)、品質基準などは間違
いの原因となりますので、正確に確認しましょう。また、見本品やカ
タログも取り寄せ、違いが無いか、細かい点もチェックし、総合的に
判断します。
取引先を見つける。:P.53 参照
①売買(購入)契約
海外とのビジネスは取引き条件がまとまったら契約します。契約は
成文主義で、必ず売買契約書で締結します。契約の形式には意思表示
手紙<注文レター、発注書など>(Letter of Intent)、正式契約書
(Formal Agreement)などがあります。また、スポット契約/長期契
約など、目的、金額、信用度などにより、契約形式は使い分けしまし
ょう。初めての海外取引は、長期契約は避けましょう。
②契約のポイント
正式な輸入のための契約書は販売/購買契約で、「売った/買った」
の合意を表記した基本契約事項<表面>と貿易条件、仲裁条件などの
履行契約事項<裏面>があります。この裏面の履行契約事項では事細
かい定めがあります。この定めはプロでないと書けないノウハウがあ
りますので、必要に応じ専門家に相談します。また、買手、売手のど
ちらがその契約書を作成するかでも、大きく中味が大きく異なります。
一方、小額の取引では双方合意で発注書/受注書ですませる方法もあり、
契約方法もピンからキリまであります。
国内取引ではほぼ即物取引であり、トラブルは国内法で争えますが、
29
国外取引ではそうは行きません。そこには国境があり、国家(法治者)
と法律(法体系)が異なります。また、契約直後は双方契約の条件は
覚えていて、厳格に対応されますが実際に船積みをする頃には条件の
細かいところまで覚えていないということにもなります。ステップ毎
に契約書を双方確認しましょう。荷造り現場との食い違いも発生する
こともあります。
米国の BSC(牛海綿状脳症)特定危険部位脊柱付き牛肉輸出問題の
ような間違いは机上担当者(契約当事者)と現場担当者(パッケージ
担当者)の認識の違い、あるいは見落とし等により、発生したのかも
知れません。事件/事故が発生すると争う法律が異なるため、当該国
間の国内法のどちらを採用するかが発生します。これらは売手・買手
の力関係で決まりますが、出来れば契約では日本の法令を適用する契
約としたいものです。不幸にして発生したら専門相談機関として㈳日
本商事仲裁協会がありますので相談しましょう。
また、前もって入会されることを勧めします。また、日本商事仲裁
協会の「商事仲裁規則」によって仲裁を行う場合は契約書に仲裁条項
として「この契約から、またはこの契約に関連して、当事者の間に生
ずることがあるすべての紛争、論争または意見の相違は、
(社)日本商
事仲裁協会の商事仲裁規則に従って、
(都市名)において仲裁により最
終的に解決されるものとする。」(国内、国際、民事、商事を問わず)
を規定することを日本商事仲裁協会は勧めています。
日本商事仲裁協会:P.122 参照
③インコタームズ(国際貿易条件)
輸入の場合の価格条件は誰が費用と危険を負担するかによりFO
B、CFR、CIFなどの貿易条件(トレードターム)で決まります。
例えばFOB Melbourne はメルボルンの港に停泊している船舶の場
30
所と甲板の手摺りを超えた時点でその費用と危険が売手側から買手側
に移る条件です。即ち、輸出側(売手)にしてみれば貨物本体の価格
に輸出梱包代金、出荷地から積込港までの輸送費及び船積みに要する
輸出までの費用が含むことになります。
この時の海上運賃や海上保険料は買手の手配と費用負担になりま
す。輸出品のCFR Yokohama 条件の場合は横浜までの運賃込みの商
品取引価格ですが保険料は買手の費用となります。CIFは海上保険
まで売主が負担する取引価格です。但し、CFRもCIFもリスク(危
険負担)はFOB条件の場合と同じく貨物が積み込まれた時点で売手
を離れます。被害/損害は保険で求償することになりますので、売手
が付保した条件あるいは買手が付保する条件を正確に認識しておいて
ください。
これら貿易条件の定義は国際商業会議所が定めたインコタームズ
(INCOTERMS 1990 で規定されています。2000年に改訂され、いく
つかの改定点うちC&FはCFRと記載されるようになりました。又、
コンテナー輸送の一般化に伴いコンテナー輸送や航空貨物の輸送にも
適応できるようなタームも加わり現在、全部で13のタームが規定さ
れています。
コンテナー輸送の場合、2000年改訂ではそれ以前までに使われて
いた運賃支払済み条件(CFR)の代わりにCPT(Carriage Paid To)
が、また運賃・保険料支払済み条件CIP(Carriage and Insurance
Paid To)が使われる様になりました。しかし、なじみが薄いこともあ
り相変わらずC&F、またはCIFが使われることが多いようです。
コンテナー輸送や水陸空路複合一貫輸送などの輸送形態に合った
タームも追加されました。CIFは海路で使用され、CIP(Carriage
and Insurance Paid to)は陸路、海路、空路のいずれも使用できる利
点があります。
31
・2000年13インコタームズ (13条件)
類別条件
E類型:
略号
ターム
英
語
名
EXW
工場渡
Ex Works(Factory)
F類型:
FCA
運送人渡
Free Carrier
主要運送賃
FAS
船側渡
Free Alongside Ship
買主負担条件
FOB
本船渡
Free On Board
C類型:
CFR
運賃込
Cost and Freight(C&F)
主要運賃込条
CIF
運賃保険料込
Cost, Insurance and Freight
件
CPT
輸送費込
Carriage Paid To
CIP
輸送費保険料込
Carriage & Insurance Paid To
D類型:
DAF
国境持込渡
Delivered At Frontier
到着条件
DES
本船持込渡
Delivered Ex Ship
DEQ
埠頭持込渡
Delivered Ex Quay
DDU
仕向地持込渡:関税
Delivered Duty Unpaid
DDP
抜
Delivered Duty Paid
出荷条件
仕向地持込渡:関税
込
F(運賃)=海路の運賃概念、P(輸送費)=陸水空路を含めた運賃概念
④契約書の作成のポイント
始めて小規模(小口)輸入する場合は特定商品をスポット契約する
ことになるでしょうから、市販の参考資料を参照しながら自分であら
かじめ日本語で簡単な契約書(注文書、発注書などの文書も含む)を
作成してみましょう。それを基に必要に応じ専門の業者と相談し、監
修してもらいましょう。
(輸入ビジネス・コンサルタントや輸入業務を
32
依頼する専門商社、代行業者、あるいは、大量又は長期契約の正式な
契約書は海外取引に強い弁護士など)また、㈳日本商事仲裁協会に入
会すると指導を受けられます。また、ジェトロ経由で指導を受けるこ
とも可能です。
一般に輸入取引の内容が成立したら英文契約書(2通)を作成し、
双方サインし、各1通を保持しておきましょう。また、発注書/受注書
ですます方法もあります。
6.決済には幾つかの方法がある。
①決済方法
輸入代金の決済(支払)方法には現金(小切手、バンクドラフトなど)、
クレジット・カード、為替(銀行、郵便局)、信用状、D/P・D/A
などの支払いがあります。
海外へ資金を移動する送金・決済は、その方法によっては盗難・紛
失等のリスク軽減だけでなく、手持ち資金の最適に運用にもつながり
ます。決済(送金)方法を知っていなければ、簡単に経費節約できる
ところを、大きな損をしてしまうことがあります。ここで、国際間で
資金移動をおこなうための基本的な資金移動手段を、それぞれのメリ
ット、デメリットと併せて紹介します。どの方法が自分/自社に合っ
た決済方法であるかを見定めましょう。
②現金決済
現金決済には「ゲンナマ」を始め、トラベラーズ・チェック(旅行
小切手)、電信送金、バンクドラフト(銀行小切手)、クレジット・カー
ドなどがあります。
・
「ゲンナマ」やトラベラーズ・チェックは現地に赴き商品と引き換え
に支払う方法以外は考えられません。
33
・電信送金は信頼性の高い相手の口座へ直接送金する方法です(子供
の留学生活資金など)。
・バンクドラフトは取引銀行に発行してもらい、相手に郵送する(裏
書し、取引相手の銀行渡りにする)。これは電信送金と異なり取引銀行
発行の小切手を輸出者に郵送することになります。送金費用は電信送
金に比べてかなり安くなります。銀行の外為部で、バンクドラフトを
組む旨お伝えればよいと思います。郵送は安全な「書留のエアメール」
か「EMS ビジネス便」で送ります。
もう一つ見逃せない郵便局からの送金方法は現金書留です。受け取
る国の郵便システムがしっかりしているのであれば、多分この方法が
一番安い送金方法でしょう。
現金送金などの制限
10 万円を超える現金の送金、振込、支払等は 2007 年 1 月 4 日より、
マネー・ローンダリング、テロ資金対策のための国際的な要請で本人
確認書類(個人の場合:運転免許証、パスポートなど、法人の場合:
登録事項証明書など)の窓口提示が必要です。
詳しくは http://www.fsa.go.jp/policy/honninkakunin/
③国際クレジット・カード決済
国際カードとは海外の大部分の国、地域で使用でき、国際決済シス
テムを持ち、世界的なネットワークを構築しているカード会社のこと
です。国際カード(ブランド)としてはビザ(VISA)、マスターカード
(MASTER)、アメリカンエキスプレス(AMERICAN EXPRESS)、JCB、
ダイナース(DINAERS)などがあります。ただし、カードによっては国
際通用の度合いが異なります。また、使用不可の場合もあります。
クレジット・カード決済は現金後払い決済の 1 つですが即日決済で
34
はなく、後払いと即日決済の中間に当たる支払方法です。支払は必要
事項を記入し、書面にサインの上、文書又はFAXで相手先に送付し
ます。銀行手数料は不要です。個人輸入などでは一般的に行われる決
済方法の1つとして国際クレジット・カード決済が行われています。
手間がかからず、外国通貨の為替レートも特に不利にはなりません。
若干不安も伴いますが簡便で、小口代金の決済には便利です。また、
安く上がります。個人のクレジット・カードの他に、法人のクレジッ
ト・カードもあります。
・締切日と引落日
クレジット・カードには、毎月利用の締切日が決まっています。引落
日は通常締切日の翌月の同じ日になります。例えば、あなたの持って
いるカードが月末締めの25日引落としだとすると、3月10日にカ
ードを利用した分は、4月の25日の引き落としになるわけです。つ
まりクレジット・カードには、商品を手に入れてから代金を払いまで
に、猶予期間(グレイスピリオド)45日が発生します。この間は手
数料がかかりません。これを、かしこく使って上手にショッピングを
しましょう。海外で使用した/海外に支払った代金は日本円で決済す
ることになり、為替レートが介在します。すなわち、決済日にレート
(銀行の為替レートで)が採用されますので、その点を注意する必要
がります。
・クレジット・カード利用者の10の利点
①便利さ:現金や小切手が無くても買い物ができます。また、現金が
必要な場合は、世界中の ATM か銀行で現地通貨を引き出すことができ
ます。
②セキュリティの高さ:盗難、紛失の際の損害を防げます。
35
③緊急保険機能:カードには商品を壊した場合や旅行時の障害にあっ
た場合の保険が付いたものもあります。
④世界中で使用可能:カードは世界の最大 2000 万以上の店舗または
施設などで利用することができます。
⑤利用明細書は家計簿代わり:毎月、カード発行会社より利用明細が
送られてきます。それによってあなたは自分のお金の使い道をしっか
り確認することができます。
⑥魅力的な付帯サービス:多くのカードはキャッシュバックや割引、
ポイント、さらにはチャリティ団体への寄付などの社会貢献プログラ
ムなどを用意しています。
⑦柔軟性:現金を持ち歩きする必要がありません。
⑧計画的な買い物:分割払いができます。
⑨インターネットでの買い物に便利:カードは通信販売における簡単
で素早い決済方法の1つです。
⑩ステイタス証明:カードは、国際社会での一定の地位と経済的なバ
ックボーンを証明する証(身分証明のID)です。また、審査の厳し
いゴールドカードは、より高いステイタスを意味します。
④信用状(L/C)決済
まとまった輸入代金の決済は信用状決済としよう。信用状(L/C=
Letter of Credit)は日本の銀行と取引相手側の銀行との取決め(コル
レス契約)で決済(輸出者に代金の立替支払、輸入者に代金の預かり)
を行うものです。L/C は輸入者の取引銀行が輸入者の依頼によってそ
の信用を保証するために輸出者に発行する証書のことを言います。L/C
の利便さは、特に輸出業者にとって輸出代金の決済が銀行に保証され
ていることで安心して商品輸出が出来ることです。
しかし、あくまでも、書類上での売買代金の決済と商品の引一方、
36
輸入者にとっては輸入商品を契約通りに輸出されたことを確認できる
こともあります。渡しであり、輸入者にとっては輸入商品そのものへ
の不安を完全に解消するものではありません。このシステムは、輸出
業者(売手)にとっては輸入者(買手)の信用状況も良く判らない輸
入者に代わって輸入者の取引銀行が決済を保証してくれることにより
輸出者(売先)に対する信用リスクをヘッジする事となります。
L/C 貨物が航空運送される場合は、Bank Shipment (L/C 開設銀行が
荷受人となる貨物)の取扱となります。あくまでも L/C は代金の支払を
確約するものであり、商品の真偽を確約するものではないことを心に
留めておいてください。
外国為替の決済方法には
外国為替には買手(輸入者)が売手(輸出者)に送る送金為替(並
為替)と売手が銀行を通して買手から代金を取立てる取立為替(逆為
替)があります。
外国為替とはコルレス契約に基づき海外の銀行に設けた為替決済勘
定での決済を言います。また、外国為替は立替(貿易代金の決済)と
交換(外貨の交換の役割)も果たします。
信用状決済には「信用状有りの荷為替手形決済」と「信用状無しの
荷為替手形決済」があります。
・信用状有りの荷為替手形決済
輸出者にとって買手である輸入者がこれまで取引もなく、信用状況
も今一つ判らないような場合でも、信用状で決済できるということで
安心して取引が出来ます。また、輸入者(買手)にとっても、信用状
に商品の規格や品質や数量の証明書を要求したり、船積み期限、船積
地、荷卸し港等の条件を規定することで間違いの無いものを船積みし
37
てもらえるという点で安心が持てます。
但し、輸入者に代わって信用状を開設する銀行は輸入者からそれな
りの担保を取ったり、輸入ビジネスを始めようとする輸入者からは輸
入ビジネスの事業計画書を要求するなどの備えをします。従い、資金
力や信用力に乏しい輸入者は自社の取引に必要な十分なる信用状開設
枠を確保できない場合がでます。その場合、輸入者は信用状開設枠に
余裕のある他の輸入者や輸入代行業者などに、信用状の代理開設を依
頼する場合もでてきます。信用状開設の費用は信用状の期間、仕向国、
開設銀行、また、依頼する輸入者の信用度や信用状の開設金額によっ
ても大きく異なります。その割合も信用状の開設金額の 0.1%から
0.3%程度と開きがあります。少額の場合はミニマム・チャージが適用
されます。ミニマム・チャージは 19,000 円位です。それに信用状を通
知銀行に連絡する際の電信料が連絡文の字数に応じて取られます。
信用状で要求するB/L条件としては下記の文言が記載されます。
その際、発行されたすべての通数を揃える必要があります。
Full set of clean shipped on board ocean Bill(s) of Lading made
out to order of shipper endorsed in blank marked freight prepaid
notify (会社名:ABC, Inc. )
・信用状無しの荷為替手形決済
信用状による決済も正確には信用状に基づく荷為替決済ですが、信
用状無しの荷為替決済の場合は輸出者が輸入者を名宛人とし、輸出者
の為替取組銀行を受取人とする為替手形を、振出し決済するものです。
荷為替手形は為替手形に輸出品の船荷証券や保険証券、インボイス、
その他の船積み書類を添付した手形です。輸出国の為替取組銀行は、
輸入国の取立銀行宛、荷為替を取立てに回します。
輸入者が代金支払いと引替えに書類を渡す条件をD/P(Document
38
against Payment)といい、引受け(支払いを確約すること)と引替え
に船積み書類を渡す場合をD/A(Document against Acceptance)と
呼んでいいます。
輸出者にとっては手形を銀行経由で取立てるとは言え、輸入者の支
払いを銀行が保証するものでないので、リスクがあり輸入者が信用さ
れないとこの決済条件を受けてもらえません。その反面、信用状開設
費用などの費用がかからないなどのメリットがあります。
⑤その外の決済
・相殺勘定決済:外為法が施行された1998年4月1日以降は相手
方との借り方勘定/貸し方勘定の相殺も可能になりました。
・海外預金口座決済:海外に外貨預金口座を持つことで、その口座か
らその外貨で支払したり、入金したりの決済もできます。
・ネット決済:第3者を介在させてインターネットを活用した決済も
始まっています。インターネット・バンキングなどの出現で銀行間の
競争が激化し、銀行の送金/決済手数料も大幅に下がることが期待さ
れています。
7.リスク(危険)を知ろう。
輸入ビジネスにはどんな危険が潜んでいるか。取引先の信用性、輸
送時の事故、為替による損害、商品の変質・商品市場の変化による損
害など次の5つが起こる可能性が時間的・地理的隔たりの中で発生す
る恐れ(リスク)があります。また、これを可能な限り減らさなけれ
ばなりません。
①相手リスク
取引先を知ることはビジネスの大前提です。そのためにも取引先の
信用度を調査します。信頼(信用)度が高くても時間と共に刻々と状
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況は変わる場合があります。また、信頼度にも大きな開きがあります。
1 回の取引き失敗は数回の利益に匹敵する損害にもなりますので、十
分に取引先を調査しましょう。調査はおカネを掛けなくても簡単な情
報は入手可能です。しかし、おカネを掛けない情報は一般に古くて、
表面的な情報です。大きな取引、初めての相手先との取引きなどの場
合は必要に応じ専門信用調査会社に信用調査を依頼しましょう。
信用調査:P.62、P.123 参照
共同海損とは?
船舶が座礁した場合に、(1)船舶を浮かせるために貨物の一部を廃
棄する。
(2)船舶を救助するなどの費用・損害が発生します。 このように、船
舶と貨物が共同の危険から免れるために発生した費用・損害は、船舶・
貨物の所有者が共同して分担することとなっており、この制度を共同
海損と言います。
保険条件: P.43「輸入リスクを回避する。」参照
②輸送リスク
危険の中でも一番起こりやすいリスクは輸送上の危険です。リスク
としては加重でのつぶれ、引っかき傷、衝撃などによる破損、船倉で
の蒸れ・カビ、蔵置場などでの水濡れ、荒海での荷崩れ被害、台風な
どでの到着遅れ等天災・人災による損害が発生することがあります。
また、本船の沈没危機などの際の買手荷物の海中投棄(共同海損)な
ども考えられる。外航貨物海上保険(航空貨物も同じ)を付保する。
③為替リスク
日に日に外国為替レート(代金決済用外貨の購入単価)は変わりま
40
す。取引先との交渉で、考えていたレートが実際に送金(外貨購入)
する際に思わぬ高値で外貨を購入しなければならない羽目にならない
とも限りません。これには為替予約や外貨預金で対応しましょう。
④商品リスク
輸送途上の事故などでない問題、すなわち、収穫時期や生産の遅れ
などによる貨物の遅れ、船倉での臭気などによる商品への汚染、高温
地帯通過などによる商品の変質・変色などによる商品価値の下げ、など
は起こりうることです。これら危険(リスク)の大半は避けることが
できますが、その対策は契約書でキチンと取り決めておきます。
また、輸入後の販売で、商品の性能、品質などから派生する第3者
への被害損害(食中毒、漏電火災など)が発生することがあります。
⑤市場リスク
市場の急変による市場性の減滅・消滅(BSEなどによる米国産牛
肉事件、カイワレ大根のO-157事件など)、販売時期のタイミング
逃し(クリスマス商戦)は利益の低減をもたらします。この点も輸入
ビジネスの難しい点です。
高額、大量買付け等の場合は貿易保険も検討しましょう。また、日
ごろの市場ウォッチと先読み「感」を養いましょう。
8.時間的隔たりで問題が発生する。
商品を輸入する際に忘れがちなのが、時間的隔たり(時空間)にお
ける経費です。これらについて述べられている輸入ビジネス解説書籍
は見当たらないので、筆者なりにその可能性がある項目に分けてその
価格と危険について述べておきます。
輸入品を引取るまでには長い時間を要しますが、その間には各種経
41
費が掛かります。その代表的な経費は代金支払から回収までの金利、
輸入通関後の出荷までの倉庫料などの保管料があります。また、以下
のような時間的隔たりによる商品価値の低下があることは極めて輸入
ビジネスにとっては重大な経営問題ですので、充分に考慮しておきま
しょう。
①金利的負担
輸入は国内取引と大きく異なることの 1 つとして、代金は先払いが
原則であること、その代金支払(借入/預託)から代金回収(販売/
入金)までに長期間かかること、から金利負担が生じます。例え、そ
れが自己資金であってもその期間の資金は「死に金」となります。
②倉庫料の増大
輸入時期と出荷時期の時間的ずれで、倉庫料がかさみます。例えば、
連休や週跨ぎの通関など。これは、一期分の倉庫料(保管料)の増大
となります。
(一期は月~金までの期間を基準とする5日間です)また
金利負担も生じます。
③販売計画の狂い
商品は「生き物」であり、機会を逃すとビジネス価値を逃すことに
もなります。例えば、クリスマス商戦商品がクリスマスを過ぎてから
の入荷、流行のデザイン商品や夏物衣料品などの季節的商品は機会を
逃すとビジネス商品になりません。その間には無駄で経費がかかる大
きな時間的空間が存在します。
④品質の劣化
「生物<ナマモノ>」だけでなく、商品(品質)は時間と共に変質、
劣化します。例えば、時間の経過は変色、臭の付着、缶ジュースやワ
42
インなどの食品では品質落ちがあります。
9.輸入リスクを回避する。
上記のリスクを避けるには取引先の信用調査、長期的展望と余裕を
持った買付け(半年前など)、また、貨物保険/PL保険/貿易保険の
付保、為替の予約、L/C での決済などの回避策を講じましょう。
また、取引先との売買契約で積出日、梱包条件、などを「双方了解
の原則」に基づき明確にしておくなどの対策が必要です。事故が発生
した際の処理についてはⅩ章「トラブル発生の際の処理も理解してお
こう。」で述べます。
トラブル処理:P.122、P.174 参照
貿易保険:独立行政法人日本貿易保険 P.115、P.195 参照
①貨物保険の条件
海外との取引に伴い海上/航空輸送される貨物は、さまざまな危険
にさらされています。本船・艀(ハシケ)の沈没、座礁、衝突、船火
事、荒天との遭遇等々海上輸送に特有な諸危険を始めとし、貨物の盗
難、破損、雨濡れなど枚挙にいとみません。また、海上輸送に付随す
る接続陸上輸送や倉庫保管中の危険も看過できないものがあります。
このような輸送中の事故による貨物に損害が生じた場合でも、運送
人(船舶会社、航空会社)は自己に責任のない限り損害を賠償しませ
んし、運送人の側に責任のある場合でも、運送契約上の賠償責任限度
額があるため損害を十分にカバーできないことがあります。そのほか、
海上輸送特有の共同海損という制度によって、荷主は自己の貨物に何
ら損害がなくてもその損害、費用の一部を負担しなければならないこ
とがあります。外航貨物海上保険は、これらの危険による損害から荷
主を保護し、取引の円滑をはかる役割を果たすものです。
43
②売買契約と輸入貨物保険
輸入貨物の売手と買手のうち、どちらが輸送中の危険を負担しなけ
ればならないか、また両者のうちどちらが保険を手配するかについて
は、両者間で締結される売買契約の中で取り決めます。
国際貿易取引でよく用いられる売手・買手が果たすべき義務及び危
険負担については、
「インコタームズ(Incoterms:国際商業会議所(ICC)
が制定した国際取引条件)」の規定に則って契約されるのが一般的です。
これらの条件で貿易取引を行なう場合に、日本で外航貨物海上保険
の手配を行なう必要があるかどうかを表示すると次のようになります。
・付保の手配関係
輸出入\取引条件
CIF
C&I
C&F(CFR)
FOB
輸
出
○
○
×
×
輸
入
×
×
○
○
○ …日本で保険手配
×…外国で保険手配
CIF 条件は C=Cost 商品代金、I=Insurance 保険料、F=Freight 運賃
を含む取引条件です。
C&I 条件は CIF 条件の一変形で F の運賃が仕向地払いとなっている取
引条件です。
C&F(CFR)条件は C の商品代金、F の運賃を含む取引条件で、I の保険料
は仕向地払いとなっている取引条件です。
FOB 条件は C の商品代金だけで積出地での本船積込時までの取引条件
です。
貿易条件 Incoterms:P.27、P.30 参照
44
・輸入貨物保険と信用状(Letter of Credit)
日本からの CIF 輸出で、信用状(Letter of Credit、以下 L/C と略
します)に基づき貿易決済が行なわれる場合、保険面からは次の点に留
意する必要があります。今日の貿易決済では、銀行を介在 して船積み
書類のやりとりが行なわれますが、銀行は船荷証券の買取りの前提と
して船積み書類の内容が L/C の記載と一致しているか、否か、を調査
します。
しかも、銀行の調査は一般に厳密なもので、証券の内容が L/C の記
載と“文字通り”一致することを要求することが条件です。もし、L/C
上で 「仕向地の相場下落による貨物値下りの危険」等保険の対象とな
らない危険を要求してきた場合、L/C に合致した保険証券を入手する
ことはできないから、手形の買取りにも差し支えがでてくることが考
えられます。
売手の立場に立った場合、L/C を受けとったら保険条項をチェック
し、万一このような条項が入っていれば、速やかに信用状の訂正を買
手に申し入れることが円滑な証券の買取りにつながることになります。
この他に L/C に関して保険として関連する事項としては次のような
ものがあります。
1)保険金額:保険金額は CIF 価額の何%で設定するか通常明記されて
います。L/C に定めのない場合の最低付保金額は CIF 価額に 10%を加
えた額とします。
2)表示通貨:信用状に別の定めがない場合、保険書類は L/C と同一通
貨で表示されなければなりません。
3)発行日付:信用状に別の定めがない場合、船荷証券等に示されてい
る物品の積込日、発送日より後の発行日付となっている保険書類は銀
行では受理されません。
45
・保険条件(担保危険)
保険契約にあたってはどのような場合にどのように支払がなされ
るかについての保険会社(保険者)と荷主(被保険者)との間の取決
めを保険条件と呼んでいます。
外航貨物海上保険では、大きく分けてロンドンマーケット旧協会貨
物約款と新協会貨物約款の 2 種類があり、新約款は旧約款に比べ分か
り易い内容となっています。新旧両約款とも基本的な保険条件は3種
類あり、それぞれの支払われる損害の概要を纏めると以下の表のよう
になります。
なお、損害が発生した場合に保険会社に保険金を支払う責任がある
か、また責任がある場合はどのようにして精算するか、についての準
拠法は英国法に基づくことになっています。
・免責危険
保険条件(担保危険)に記載のいずれの保険条件の場合でも、主と
して次の危険による損害は支払いの対象とはなりませんので注意して
ください。
(注)戦争危険・ストライキ危険は、別途特約により担保されます。
(1) 戦争危険・ストライキ危険(注)
(2) 原子力危険、生物化学兵器危険
(3) 運送の遅延
(4) 保管・加工中等のテロ危険
(5) 保険の目的の固有の欠陥・性質
(6) 被保険者の故意
(7) 間接損害
など
46
新協会貨物約款の基本的な保険条件
事故の種類\保険条件
ICC(A)
ICC(B)
ICC(C)
火災・爆発
○
○
○
船舶または艀の沈没・座礁
○
○
○
陸上輸送用具の転覆・脱線
○
○
○
輸送用具の衝突
○
○
○
地震・噴火・雷
○
○
×
海・湖・河川の水の輸送用具・
○
○
×
○
○
×
汗濡れ
○
●
×
擦損・かぎ損
○
●
×
虫食い・ねずみ食い
○
●
×
盗難・抜き荷・不着
○
●
●
破損・まがり・へこみ
○
●
●
漏出・不足
○
●
●
汚染・混合
○
●
●
共同海損
○
○
○
保管場所等への侵入
船舶への積込・荷卸中の落下
による梱包 1 個毎の全損
○ …支払いの対象となる事故の種類\保険条件。
×…ICC(B)の特約として引受するのが一般的な事故の種類\保険条件。
●…特約がある場合に支払の対象となる事故の種類\保険条件。
※新・旧協会貨物約款の基本的な相違
事故の種類\保険条件:
オール・リスク担保(A/R)≒ICC(A)、
分損担保(W.A.)≒ICC(B)、
分損不担保(F.P.A.)≒ICC(C)
47
旧条件の「荒天遭遇による潮濡れ、雨・雪等による濡れ」は「地震・
噴火・雷、海・湖・河川の水の輸送用具・保管場所等への侵入、船舶
への積込・荷卸中の落下による梱包 1 個毎の全損」へ変更されていま
す。その外の事故の種類、保険条件は変わりません。
・戦争・ストライキ危険
戦争危険およびストライキ危険は、いずれも世界情勢の刻々の変化
に左右されるため予測が極めて困難であるということと、一旦事故が
起こればその被害が甚大なものになるという理由で、基本条件では免
責とし、特約により担保するという形式をとっています。現在、この
2つの危険は、ほぼ一体として取り扱われ、戦争危険を担保する場合
には、同時にストライキ危険も担保しています。
③輸入貨物に事故が起ったら
速やかに、保険会社に連絡しましょう。そして、保険会社の指示に
従い、クレームに必要な手続きを行います。
クレーム処理:P.174
Ⅹ項参照
48
Ⅲ
輸入業務にはどんな実務があるか。
1.世の中の動きを観察する。
消費市場や消費者の好みの動きは大きく、かつ、速くなっています。
国際的出来事はインターネットの発達に伴い、世界を瞬時に巡らしま
す。また、商品情報も瞬時に入手できる状況にアリマス。
例えば、米国のBSE問題の牛肉は輸入激減、鶏インフルエンザで
は発生国から鶏肉輸入の禁止、また、その逆にオーストラリアやニュ
ージーランドの牛肉が大喝采を受けています。米国が旱魃になると大
豆が高騰して豆腐などが高くなるなど、世界の動きをウオッチするこ
とは輸入ビジネスにとっての第一歩です。それら事件は外国為替にも
敏感に反応します。このことは輸入品の決済代金に大きく影響します。
零細企業でもこれら情報はインターネットを通してほぼ無料で、入手
可能です。場合によっては日本語で入手できます。
また、英文情報は自動翻訳機能のソフトを使えば海外情報を日本語
で入手できます。(まだまだ、かなりひどい翻訳ですが、)ジェトロで
はスピードに応えた情報提供を行っています。
2.どんな仕事をやってきたか。
ビジネスでは「売り」が先で、「買い」が後、と言われています。
すなわち、輸入ビジネスを成功させるには経験に基づく事業展開が一
番成功率を高めると言うことです。それは「売り先」と「売り方」を
知っているから仕入れ商品の売り残りを出さない方法を解っているか
らです。その事業の顧客を確保するにはそれまでの人脈や信用が重要
であることを理解されているからです。
さらに、資格・免許、ブランド・特許、商権(代理店権など)を持
49
っているか、でさらに信用を増します。あわせて、何を(販売見込み
商品、消費見込み商品)、どの様に(対面、通信、セルフなどの販売方
法)、どこで(商店街か、郊外スーパーか、インターネットかなどの立
地)、何時(クリスマス・シーズン中や営業日・時間帯)、どの様なビジ
ネス条件(現金、売掛け、形態、資金回収方法)で、どのような方法
で宣伝広報(チラシ、DM、インターネットなど)し、どのような顧
客サービス(顧客管理、クレーム対応、顧客からのフィードバック)
をするかです。さて、あなたはこれまで、どのようなお仕事をされて
いましたか?
関連性の薄いビジネスから転業された方は事前準備に3年、または
修業に3年は掛けましょう。
①こんなビジネスをやりたい。
成功しやすい事例:わが社/私はこんな事業者で、こんな輸入ビジ
ネスをしたい。次の様な事業を行ってこられた方は成功率が高くなり
ます。
・衣料品店
→
小量の自店コンセプトの衣料品を輸入したい。
・喫茶店
→
コーヒー豆を輸入し、自店で焙煎し販売したい。
・花屋
→
ガーデニング用品を輸入したい。
・ 小さな酒屋
→
取引数量は小さいが定期的にワインを輸入したい。
・りんご農家
→
海外から農業交流希望者を受け入れたい。
・農産物生産者→
日本の端境期の農産物を南半球から輸入したい。
・町の工務店
→
個性ある建材、住宅部材などを輸入したい。
・植林事業家
→
海外から苗木や植林技術を輸入したい。
・家具製造業者 →
自社デザインの家具部材などの製作を依頼したい。
・お茶屋
取引数量は小さいがハーブティーを輸入したい。
・レストラン
→
→
近所の競合店との差別化の為の食器を輸入したい。
50
②過去の経験が成功につながる。
過去の経験や現在の仕事が輸入ニュービジネスの成功につながり
ます。次のような輸入ビジネス(海外との取引)を希望されている事
業者は代行業者、共同輸入業者、専門輸入業者、またはミプロ、ジェ
トロに相談してみて下さい。
イメージ:1
レストランを数軒所有しているが、このグルメの時代の中で店を個
性化させ、隣の店との差別化を図り、自店のグレイド(品格)を上げ
たい。
例えば、ニュージーランド・ワインを月100本程度、飲んでもらえ
そうなら、一般に輸入されていないワインを独自で輸入し、他店との
差別化、自店の個性化につなげなさい。
イメージ:2
小規模の注文住宅を建設する工務店を営んでいるが、日本の建材、
資材、部材は極めて高いし、また、あまりにも規格品である。当店は
特注に近い建材、資材、部材を輸入して、他の工務店との差別化をし
て特色を出したい。
例えば、日本は間もなくリホーム時代になると思われるので、月間2
0枚程度の玄関扉需要があるとみれば、自社で設計、デザインし、海
外で製作、輸出できる業者をネットで探してみよう。
イメージ:3
「梅干し」を製造、販売している企業だが、輸入梅干しの大半は中
国産で、しかも、日本と同じ季節であり、旨みが無い。その端境期の
梅が欲しい。
例えば、南半球の国では日系人、日本人も多い国もあり、栽培又は生
産してくれる日系人農家があるはずであるので、ジェトロのTTPP
で捜してみてください。
51
イメージ:4
蜂蜜専門の小売店を営んでいるが国内産の蜂蜜に加え、外国産の蜂
蜜もビジネス・ラインに加えたい。
例えば、日本は今、健康志向時代で、健康に良いものは良く売れます。
中小企業でもインターネット通販であればコストも左程かからないの
で、特色を出すため、幅広くいろんな海外の養蜂業者と提携し、無農
薬蜂蜜を輸入したら同でしょうか。
3.ライバル店・企業を調査する。
これら出来事は輸入ビジネスのチャンスでもあります。
また、チャンスは誰でも利用しようとします。企業者/起業者は競
合ライバル他社・店の動きを観察することも極めて重要です。また、
輸入しようとする場合は他社・店の動きは?、仕入れ価格は?販売価
格は?ターゲットは?商圏は?品質は?などの調査・研究は見落とし
てはならない事項です。
4.輸入商品を決める。
数ある中でどのようなビジネス商品を選ぶか。
これは先に述べましたが、本書では実業家の事業の補完・補足とし
て輸入ビジネスを進めることを主眼に記述しておりますので、現業に
関連するビジネス商品(レストラン業の方はワイン輸入など)を取り
扱いされることを勧めます。
現業あるいは経験から離れすぎますと、そのビジネスのノウハウ、
顧客、商圏などの知識が不足することになりますので、失敗率も増す
からです。
52
①何を輸入するか。
海外とのビジネスを開始するにあたってはその道を総合的に知る必要
があります。一般に、ビジネス実務は幅広く浅い経験、あるいは狭く
深い経験はありますが広く深くはなかなか経験できるものではありま
せん。海外ビジネスを個人的に、あるいは小規模に実施するには知識
の不足部分を補わなければなりません。輸入ビジネスでは全体像を知
り、会得すべき部分は自分で勉強しなければなりません。ある部分は
パートナーに協力を仰ぐ必要もあります。
専門部分は専門事業者に業務委託する必要があります。専門家やパ
ートナーの協力を得られない部分は自分で勉強し、調べる必要があり
ます。手始めとして輸入しようとする商品の生産から輸送、流通、消
費・販売の流れとそのシステム及びその業務内容を知ることです。
即ち、その業務のル-ル(原理原則)を知ることから始めます。本
書ではモノの輸入について記述しています。特に、食品関連ではその
生産段階(農薬残留や生産工程の問題など)からウオッチする必要が
あります。
②輸入取引分野・業種・品目を定める。
輸入ビジネス分野は国内と同じく、多種多様多用な分野のモノがあ
り、また、それに対する役務・サービスがあります。これらビジネス
分野のどの部分で輸入ビジネスを実施するかは自分自身の経験と実績
に基づき事業・ビジネスを実行することが成功の秘訣です。
5.取引先を見つける。
①どのようにして取引先を見つけるか。
「輸入ビジネス」を始めるに当っては「取引先」と「商品」の情報
を集めることが必要です。新規の商品や売主を探す方法には幾つかあ
53
ります。手っ取り早い方法は日本貿易振興機構(ジェトロ)の東京本
部、大阪本部や地方事務所の「ジェトロ貿易情報センター」あるいは
各国の大使館や領事館及び商工会議所などに出向き収集しましょう。
短時間でより多くの商品情報や売主情報を得ることができます。電話
でも対応してくれるでしょう。
この他にも日本国内で開催される「国際見本市」「各種輸入品展示
会」「輸入商談会」などのイベントに赴き情報を収集する方法もあり
ます。展示会で商品や取引先を探すことは取引先と直接面談で取引が
出来ますので、より多くの情報も素早く収集できますので効果的であ
ると共に信頼関係も確立しやすいでしょう。
また、ジェトロなどが募集する買い付けミッション参加も一策です。
海外出張などで取引先を見つけたり、商品を見つけることも考えまし
ょう。最近では、インターネットの貿易サイトを利用して、欲しい商
品や売主候補を探し出すことも簡単にできます。インターネット取引
は通信費用面で非常に経済的です。日本語で商談することも可能です
TTPP、e-bizDB の掲載事業者の中には海外でビジネスしている日本人、
日系人も多く登録しています。
しかし、情報の真偽性、正確性、充分性、適合性の判断は自己責任で
行う必要があります。それら情報は複数の情報源で確認しましよう。
最終的には相手企業の信用調査が必要となるでしょう。
まずは身分相応な相手を見つけることです。必然的に取引先はビジ
ネス規模、取引数量、資金力、各種条件で決まるでしょう。また、取
引先は売上、利益にも大きく関係する重要な要素ですので、何を(売
れ筋商品、販売戦略の商品)、どれだけ(数量)、どこから(国、安定
的な供給先)、どんな条件で(L/C、前払い)、何時までに(必要な
時期、発注から納期までの期間)、いくらで(単価、総額)で購入する
か、をあらかじめ決めておかなければなりません。
54
TTPP
ジェトロ(日本貿易振興機構)が運営するビジネス・マッチング・
サイト<取引出会い広場>TTPP(Trade Tie-up Promotion Program)
は日本企業と海外企業のビジネスを引合わせてくれるサイトです。こ
のサイトでは「商品・部品の輸出・輸入」「技術交流」「 投資」「業務
提携」「工場・事務所の設立場所」「業務支援(サービス)」などの幅
広い海外ビジネス機会を提供しています。すなわち、国際的なビジネ
スパートナーを探すことができます。登録/利用、共に無料です。
サイトの URL は http://www3.jetro.go.jp/ttppoas/indexj.html で
す。
なお、ジェトロは登録者からの提供情報の内容(正確性、信頼性等)
については審査しておりませんので、利用者は自己の責任でアクセス
することになります。特徴は以下の通りです。
・世界のビジネス案件を日本語で閲覧できます。:海外や日本の企業
が登録した約 30,000 件の「商品・部品の輸出入」、
「業務提携」、
「技
術交流」などの幅広い分野の海外ビジネス案件を無料で検索、閲覧
することができます。また、海外の案件は日本語に翻訳されていま
すので、閲覧が簡単です。
・事業者のビジネス案件を世界に発信できます。:ビジネス案件を登
録すると、日本語/英語のウェブ画面を通して世界中に情報を発信し
てくれますので、ビジネス・チャンスが広がります。登録、更新、
削除はあなたのPCからいつでもできますので、タイムリーな情報
発信も可能です。
・登録情報を幅広く広報できます。:登録したビジネス案件を幅広く
広報することができます。海外の政府機関、貿易振興機関、業界団
体が運営するビジネス・マッチング・サイトと相互リンクを図って
55
います。
・海外企業との接触をお手伝いしています:TTPP の定型英文メールフ
ォームを利用しますと海外企業宛てのコンタクト、商品カタログや
サンプル請求等も簡単に出来ます。
・条件にあったビジネス案件を TTPP が自動的に検索し、登録者にメ
ールで通知します。
:ビジネス案件を「自動マッチング機能に登録し
ますと、希望の条件に合った最新案件を TTPP が自動的に探してメー
ルでお知らせします。
・貿易/投資に関する相談にジェトロはお答えします。:輸出入に関
する手続きの流れ、規制等の相談に専門分野のアドバイザーがお答
えします。
②見本市で取引先を見つける。
国内、国外の国際見本市などのビジネス・イベント開催情報はイン
ターネットで簡単に検索できます。特に、ジェトロの J-Messe では「世
界・日本の見本市」を日本語で系統的に紹介しています。
小生のサイト http://www.e-bizporter.jp では日本国内の展示会場
を紹介していますので、地方での国際的な展示会を調べるには有効で
す。
食品の場合は、毎年3月に千葉の幕張メッセで開催される国際食品
展(FOODEX)は海外の食品供給業者が数多く出展しており効率
良く供給先を探せる良い機会です。
また、北九州市では2年毎の遇数年の10月に国際食品見本市(I
FF)を開催しています。ジェトロやアセアン・センター、タイ貿易
センターなどでは地域別や国単位の小規模な取引のための展示会も開
催しています。また、海外で開催されている各種商品別の国際見本市
で新商品、新供給先を発掘するのも良い方法です。
56
J-Messe とは
J-Messe は世界や日本の見本市開催情報を業種や開催地ごとに検索
できるほか、世界の展示会場、バーチャル見本市、見本市レポート、
見本市月間ランキングなど、様々な見本市関連トピックスを提供する
サイトです。詳細は J-Messe のサイト又はジェトロ展示事業課 TEL:
03-3582-5541 までお問合せください。
主な情報提供内容
・新着見本市:新たにデータベースに登録された見本市情報をいち早
く紹介しています。
・海外見本市レポート:世界の人気見本市、特色ある見本市を写真付
で報告しています。
・世界の見本市ビジネス動向:主要国の見本市ビジネス動向を紹介し
ています。
・世界の展示会場:世界各地の主な展示会場を写真付きで紹介してい
ます。
・メールマガジン:日本を始めとする世界中の開催間近の主要な見本
市情報、ジェトロ主催の見本市情報、J-messe の更新案内など、見
本市・展示会情報を希望の方に送信しております。
・バーチャル見本市:ジェトロがウェブで開催する新しい形の見本市
です。出展企業・商品の情報を豊富なビジュアルで紹介します。ま
た、様々な機能によって B to B(企業と企業の取引き)を支援しま
す。
・展示会/商談会への出展支援: 海外の展示会に出展される場合に
支援します。また、ジェトロが主催、参加する展示会だけでなく、
単独で出展される場合にもお手伝いします。
57
(財)対日貿易投資交流促進協会(ミプロ)や日本貿易振興機構(ジ
ェトロ)などでは海外見本市に買付ミッションを派遣しています。こ
れらミッションには中小事業者のために各種サービス(通訳、輸入代
行、輸入金融など)メニューがありますので、取引先や商品探しには
有効な方法です。
③経済団体などに問い合わせる。
ジェトロでは海外の業者の情報を入手する事が出来ます。ジェトロ
は東京本部(赤坂・アーク森ビル6階)および大阪本部(中之島・三
井ビル5階)にビジネス・ライブラリーを持っており、豊富な国際ビ
ジネス情報を提供しています。また、主要都市には事務所を設けてい
ますので、出向かれ相談することもできます。当然、電話等でも対応
しています。ミプロや地方の貿易協会、商工会議所などでも海外の業
者情報を入手できます。
④在日大使館などに問い合わせる。
在日大使館などの在日公館(商務部など)は当該国の商品輸出、対
当該国内投資には積極的に協力してくれます。
国によって違なりますが大使館とは別に通商事務所を設けており、
親切に相談に乗ってくれます。米国、オーストラリア、中国などは州
や省別の在日事務所や対日輸出協会などを持っています。
例えば、米国の農産物関係ではアメリカ農産物貿易事務所(ATO)
を東京と大阪に持っており、業者などを紹介してくれます。
中国は貿易公司や在日事務所の住所、電話・ファックス番号などを
「日本国際貿易促進協会」(JAPIT)発行の「日中貿易必携」(最
新 2006 年版)で詳しく紹介しています。
58
⑤海外の輸出業者のダイレクトリーで調べる。
海外の企業概要を紹介するDB(企業情報を集録した電子名鑑)やダ
イレクトリー(企業名鑑)はジェトロの国内36箇所の事務所等(P.197
参照)で閲覧できます。プリント/コピー・サービスも行っています。
その資料から輸入希望商品の輸出業者をピックアップして引き合いの
e-mail や手紙などを出してみましょう。
また、海外の商工会議所や業界の団体になどに取引先紹介依頼のメ
ールを出して紹介してもらうことも出来ます。
⑥インターネットを使って取引先を探す。
近年はインターネットが発達し、海外のメーカー、イクスポーター、
ディーラーなども日本語のサイトを設けているところもありますので、
英語などが不得意な人でも近寄りやすくなりました。また、自社のホ
ームページやブログで、輸出入取引情報を日本語で海外発信して、海
外とのビジネスが出来るようになりました。
ジェトロでは登録、利用共に無料の内外ビジネス支援サイト(TT
PP)を設け、登録企業は日本国から事業者情報やビジネス情報を世
界へ発信することができます。世界から受信もできます。また、ジェ
トロは世界から受信した情報を、国内登録者へ配信もしています。登
録希望者は常時受け付けています。
ジェトロの利用
ジェトロは、高度で詳細なサービスを求めなければ、基本的な海外
の経済・貿易情報は無料で利用できます。また、ジェトロの日本国内
外の事務所を訪れれば各種資料の閲覧、相談、情報提供を無料で受け
られます。ジェトロでは海外情報を日本語に加工した出版物の発行、
各種イベント(講演会、商談会、相談会など)の開催も実施していま
59
す。これら情報はインターネットでも告知、公開しています。
ジェトロのウエブサイトはインターネットに JETRO やジェトロ、日
本貿易振興機構、輸入ビジネス、貿易支援などの名前を入力すること
で、簡単に検索できます。URL は http://www.jetro.go.jp です。
ジェトロ・メンバーズへの入会
ジェトロ・メンバーになられますと、ジェトロのいろんな情報とサ
ービスをいながらにして郵送、FAX、e-mail で受けられると共に、
海外にビジネス旅行される際の手配サービスもあります。輸入ビジネ
スは実務的には専門的な知識と経験が求められることがありますが、
輸入ビジネスを本業として志される方には、ジェトロ・メンバー入会
をお勧めします。
申込・問合せはジェトロ会員サービス室 TEL:03-3582-5176 まで
⑦輸入代行業者などの業者に相談する。
輸入品を扱いたいが貿易実務、ビジネス英語の疎い、本業が忙しい
などの事業者にはその業務を代行してくれる業者やコンサルタント、
ビジネスパートーなどの事業支援者が多くいます。
これら事業者は豊富な知識で指導、代行してくれますので、これら
業者を活用されるのも一策です。特に、ジェトロ認定貿易アドバイザ
ー協会(AIBA)を活用されることをお薦めします。
これら事業者は元大手商社や流通業界で活躍されていた方で、豊富
な経験と知識を元に海外ビジネス展開に協力してくれます。また、輸
出業者や製造業者の詳しいデータを持っているところもあります。後
記の参考資料で事業者を紹介していますので、参考にしてください。
信用調査:P.62、P.123 参照
J-Messe とは:P.57 参照
ジェトロ国内事務所:P.197 参照
60
6.見本品を取り寄せる。
何はともあれビジネスするモノ「見本品=サンプル」が無ければ取
引の検討も出来ません。写真や説明だけで海外取引する人はいないで
しょう。商品見本と正確な仕様書(内容証明書など)を取寄せます。
細かい取決めは契約書に明記することです。以前にこういう事例があ
りました。米国から家畜用雑穀米の輸入で、送られて来た雑穀米は取
引先に契約のグレイド(品質)の在庫が無く、取引先の好意でワン・
ランク上のグレイドの雑穀米(?)であったために輸入禁止になかっ
た例。台湾から缶入りウーロン茶をワン・コンテナー輸入しましたが、
一部のウーロン茶缶に許容範囲を上回る内容物が含まれていたため輸
入できなかった例(サンプルでは問題なかった)、などがありますので、
見本品より品質がよければ良いとすることは輸入では許されないこと
があります。また、商品は時間と共に品質が変わりますので、注意が
必要です。仕様は厳格に守ることを要求しましょう。
7.取引先は信頼できるか。
海外取引は代金先払いが原則です。輸入者は契約通りの商品を入手
できるか不安です。輸出者も入金できるか不安です。不安が現実化す
るケースとしては、信頼していても担当者が異動し、引き継ぎがうま
くいかなかったケース、最初からだまそうとするケース、不渡り手形
を掴まされて経営が行き詰まり商品を送れなくなったケース、倒産し
てしまったケースなど様々なケースがあると思われます。また、ビジ
ネス権限の制約で、輸入地でのビジネスが制限されることもあります。
従って、まず取引先の財政状況や取引条件などを確認することが重要
です。取引不安(輸出者、輸入者とも同じ)をより軽減する手段とし
て銀行経由の信用状(L/C)の取引方法があります。このL/C発
61
行(開設)には経費が掛かります。また、相手の信用度を調査する方
法もあります。取引先を調べるにも、それに応じた調査会社を使いま
しょう。調べるにもコストが掛かります。
30 万円程度の輸入で、だまされても痛手にはならないと判断される
なら、調査も不要かも知れません。しかし、最低でもその企業は存在
するのか、経営は順調か、悪い噂は無いか、上場企業であれば株価動
向はどうか、などは経費を掛けずとも日本で調査できますので、調べ
ておきましょう。怪我はしたくなければ、信用調査をすることです。
信用(度合)は時と共に変わります。まとまった取引の際は、信用
は不連続であることを念頭に、その都度、信用調査し、最新の情報で
ビジネスするように心がけましょう。
ビジネス権限(取引条件)の制約
販 売 店 契 約 Distributorship Agreement や 代 理 店 契 約 Agency
Agreement 等では販売地域の限定、取扱商品の限定などがありますの
で、契約書で確認しておきましょう。
信用の不連続性
信頼が高い取引先でも担当者の退社や不渡り手形を掴まされ資金
繰りの悪化、営業譲渡(M&A)などで突然、信用状況の悪化が発生す
る場合もありますので、権利付与、信用調査も逐次確認しましょう。
①信用調査をする。
信用調査とはビジネスに際して「取引先の信用に関する情報を第三
者に収集依頼すること」です。ダイレクトリーなどで調べただけでは
相手が信頼できる取引先か十分に判断できません。調査をしなかった
ために後で大きな問題を起こすより事前に十分なる調査をすることが
必要です。輸入ビジネスでは商品代金の損害だけではなく、賠償責任
62
も発生するケースもあります。
自分が実際に現地に出張して相手先を訪問し、調査する事もできま
すが、過去や内情は調査し難い面もあり、的確な判断できません。ま
た、信頼は永続的なものではありませんので、定期的あるいは大きな
取引を開始する前に専門調査機関を通して調査しましょう。信用調査
は専門の調査会社や銀行、人材派遣会社などでも引受手くれますので、
インターネットで簡単に引受企業は調べることが出来ます。
しかし、調査費用は比較的高く、一般の調査会社/提携企業では約
5万円/企業の調査料が請求されます。また、それら企業は会員制を
取っているケースが多いが、ジェトロ厚生会では非会員でも割安で引
き受けします。特に、中小企業からの信用調査依頼は格安で引き受け
しています。
②どのような項目を調査するか。
信用調査は、調査内容の詳しさの程度はともあれ、取引上の必須条
件とすべきです。信用調査では以下の項目を知ることが出来ます。
①
資産、財政状態
②
営業能力、経験、取引量
③
品位、誠実性
④
経済事情等々
上記4点の調査結果を基に信用度に応じて、取引先との契約条件を
設定します。無理のない取引をすることは、リスクを回避するだけで
はなく、相手との取引を長続きさせるための条件でもあります。通常
行う海外取引の際の信用調査は、次のような方法があります。
(a)取引銀行を通じて信用照会をする。
:最も広く利用されている方
法です。銀行信用照会先(Bank Reference)と記載されている銀行へ
直接または取引銀行を経由して照会するものです。(P.123 参照)
63
(b)同業者を通じて信用照会する。
:国内及び外国の企業で信用照会
先(Credit Reference)と記載されているところへ照会します。
(c)専門の信用調査機関に信用照会する。
:インターネットで簡単に
信用調査機関を調べることができます。調査機関に信用照会をする場
合は調査項目、内容、費用を勘案して、依頼しましょう。国内の大手
の調査会社(興信所)は海外企業のデータを独自に持っていないので、
外国の有力な調査機関と提携しています。有名な海外の信用調査機関
は、次の機関があります。
③どのような調査機関があるか。
国内の大手の調査会社(興信所)は下記の外国の調査機関と提携し
ています。以下の信用調査機関(会社)を利用するためには、相当の
経費がかかります。また、調査報告書を読む為には、専門用語と語学
の知識等が必要となります。
*ダン社(Dun & Bradstreet Corp.)
*ムーディーズ社(Moody's Investors Service Inc.)
*スタンダード・アンド・プアーズ社(Standard & Poors' Co.,Ltd.)
*ジェトロ厚生会、や東京商工リサーチからでもダン社のレポートを
購入できます。
D&B社とは
正式名称は Dun & Bradstreet Corp.(米国ニュージャージー州)
と言います。世界最大の海外企業情報(データベース)を保有する企
業情報サービス会社です。D&B社はグローバル・データベースの収
録件数が1億事業所を超えたと述べています。同社が提供する世界の
企業情報レポート=通称「ダンレポート」又は「D&Bレポート」は
ビジネスのリスク回避判断、新規ビジネス開拓などの企業判断情報と
64
して定評があります。日本法人D&Bインフォメーション・サービ
ス・ジャパン(Tel03-3481-3561) でも直接購入できます。レポート
はすべて統一された標準的なフォームになっています。
ジェトロ厚生会はダン社と提携しており、調査料は相手先の所在地
などの条件で異なりますが、アメリカで 12,000 円/社から、中南米・
アフリカ・中近東で 38,000 円/社から、などがあります。一般より格
安です。また、調査不能の国や国によっては調査不能の項目もありま
す。取引銀行では顧客サービスの一環として割安で取り寄せしてくれ
るところもあります。
④具体的な調査項目を知る。
下記表はダンレポートの調査項目ですが、調査レポートは英語で書
かれ、専門用語が多くありますので、ダンレポートには「ダンレポー
トの読み方マニュアル」を付けてくれる。そのマニュアルはD&Bの
サイトでも見れます。また、「読み方」の講習会も実施しています。
・調査事項と項目は
調
調査事項
企業概要
査
項
目
企業名、業種・業種コード、所在地、電話、FAX、代表者
名、従業員数、設立年、財務内容、信用格付け、売上動向
特記事項
控訴、倒産、盗難、火事、経営者の交代又は買収等
支払振り
最高与信額、売掛残高、支払遅延額、取引条件
財務情報
直近の貸借対照表、損益計算書
その他
登記事項、取引先銀行、取引状況、沿革・経営者略歴、事
業内容、親会社・子会社など
注:言語:英語で記述されています(有料の翻訳サービスもあります)。
賠償責任:P.115、P.179 参照
65
8.取引国のビジネス慣習を調べる。
「輸入」は「海外からの仕入れ」で「国内での仕入れ」とは商談方
法、取引条件、契約方式などの基本が異なるという事実を十分に理解
しておきましょう。
また、「輸入」には時間がかかる、双方の法律が異なる、予想外の
経費が発生する、並びにビジネス風土などの環境が予想外に異なる、
などがあります。
すなわち、輸入は「国際取引」であり、「輸出者(取引先)=売主」
と「輸入者(あなた)=買主」の間の商談、取引条件、契約方法は売
主・買主双方の国の法令、制度、商習慣などを考慮しながら「国際貿
易の商慣行・貿易取引ルール」に基づいて行なう必要があります。輸
出国側では合法でも、日本側では違法となることが多くありますので、
輸出者=売主が言うことを鵜呑みにせず、日本の法令等に抵触しない
か輸入者(あなた)=買主が調べる必要があります。
インコタームズのような「貿易用語の解釈に関する国際ルール」は
「支払条件」などの基本的な項目を最低理解しておくための国際的な
約束ごとです。インコタームズでは「取引条件である商品、仕様・品
質、単価、支払条件、納入条件など」のうち「商品の受渡場所、商品
移動による破損や事故などの危険(リスク)、所有権の移転、運送の手
配と運賃の負担、保険の手配と保険料の負担、輸出入の通関手続きと
関税の負担及び其の他の経費負担などの区分」について、売主と買主
の責任分担を決めた国際的な統一ルールにすぎません。
「支払条件」も国内取引とは異なります。1998 年 4 月の外為法(外
国為替及び外国貿易管理法及び関連法令・規則)改正で、決済も原則
自由化されました。
しかしながら、インコタームズには外国為替に関する「信用状」(L
66
/C:Letter of Credit)、海外送金などに関しては含まれていいませ
んので、取引銀行とよく相談して決めることです。「信用状」取引は、
国内取引にはない取引決済の1つです。海外取引では、日本国内の「手
形」は通用しません。
9.輸入には通関手続きが必要である。
「通関」とは「税関」を通るための手続きをすることです。関所(税
関)では、通行手形(輸入申告書)を提示し、通行料(税金)を支払
い、「モノ」を国(国内市場)に通すための「国内へ入るための入口
での手続き」です。税関では国が定める各種規定に従い、輸入者が輸
入申告を行わなければなりません。また、関税、消費税等の税金を納
める必要になる場合があります。
現在の税関は税金徴収の役目もありますが、国際取決め(国際条約
など)、国内規則(国内法規、通達など)による取締りが重要な役割
となっています。
現在、輸入品目のほとんどは規制を受けませんが、検査や許認可が
必要な場合も多くありますので、規制がないか、事前に関係者や輸入
する港(空港)の税関へ問い合わせすることをお薦めします。
参考資料:P.183 参照、
税関の「輸入通関手続に関する制度」:P.157 参照
10.為替相場を知る。
輸入ビジネスにとって、代金決済のための外国通貨購入のタイミン
グは利益を大きく左右する要因です。従って、そのシステムを理解す
ることは海外とビジネスをする際、基本的な知識として必要です。し
かし、為替相場を予測することは不可能ですので、その対策として事
前の外貨確保(外貨予約、外貨預金など)が必要となります。また、
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決済方法(手段)には荷為替手形決済(逆為替)<信用状取引あり・
なし>と外国為替送金(並為替)<銀行為替、郵便為替>、クレジッ
ト・カードなどがあります。
・為替レートとは
外国との貿易取引で決済通貨を日本円以外の外国通貨で行う場合
は為替相場(為替レート)の影響により損益が生じます。契約の時に
は大きな利益が見込めた取引でも、実際の代金決済時の為替相場如何
では思わぬ損失を被ることもあります。為替変動のリスクを如何にヘ
ッジ(損失回避策)するかは貿易取引の利益確保の上で非常に大切なこ
とです。
対顧客レート
外国との決済通貨では米ドルを契約・決済上の通貨に使うことが多
くあります。新聞やテレビなどで報道される為替レートは銀行間の取
引レートに基づくものです。ドル送金などの支払いには銀行間のレー
ト+1円(TTSレート)を、ドルの受け取りには銀行間のレート-
1円(TTBレート)が毎日午前10時に対顧客レートとして発表さ
れます。高額の決済の場合は、銀行手数料は1円より安くなるケース
もあります。米ドルの現金交換は+/-2円/$です。
シティバンクではユーロ1円、豪ドル1円、NZドル1円、英ポン
ド1円、カナダドル1円、スイスフラン1円、香港ドル0.4円の対
顧客レートを取っています。(2006 年 11 月現在)
・為替予約(リスク・コントロール)
輸入契約をしてから為替が大幅に円安になった為に、もともと儲か
る筈のものが実際は損が発生したということはよくある事です。為替
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レートの動向は予測し難く専門家のアナリストなどでも予測が当たる
ことは非常に少ないことです。従い、外貨建ての契約を行ったら基本
的には為替予約又は外貨確保を行って為替変動のリスクをヘッジする
事です。とは言っても過去の円高に推移した過程で思わぬ利益があっ
たりすると、なかなか契約と同時に為替予約又は外貨確保が出来ない
場合もあります。
そんな時にもし円安(US$1.00=110 円が 130 円など)になったら
輸入では大きく損をすることを考え予約することです。もう少し待っ
たら円高に戻って損が取り戻せるだろうと考えているとますます損が
膨らみ「今更予約できない」というような状態になることがあります。
為替で儲かっても所詮一時的な利益と割り切って契約したら迷わず予
約する事にしましょう。
通貨によりますが、密策の1つとして為替予約又は外貨確保を日本
でするより輸出国でやる方が有利なレートがとれる場合があります。
例えば、オーストラリア・ドル(Aドル)の場合、日本の為替市場で
はAドルの取引が相対的に少ない為に対顧客レートが良くありません
(手数料が高い)。一方、オーストラリアでは、日本はお得意さんです
ので、円の売買は多く対顧客レートは良いので、日本でAドルを予約
する代わりに、日本からは円を送ってAドルに替えて決済する方が銀
行のマージンが少ない為に良いレートとなります。ニュージーランド
も同様です。
また、シティバンクは主要通貨の顧客レートを 1 円(売り買い共)
にしています。
①外貨確保はどうするか。
輸入代金の決済は、一般的には外貨を送金することで処理します。
売買契約(取決め)で円決済も当然あります。外貨建で契約(主に米
69
ドル、アラブ諸国ではユーロを指定する場合あり)する場合は売買代
金の採算などを勘案し、円貨に換算しますが、その基準レートをどこ
に設定するか、また、送金時に円安/円高のどちらに動くかは輸入ビ
ジネスの採算(為替変動リスク)に大きく影響します。このリスクを
回避するため、先物相場を見て外貨を確保します。また、外貨予約し
ます。
産業構造と為替レート
その国の為替相場はその国の産業や主要産品(輸出品など)がリー
ドします。また、為替レートは当該国の金利政策で大きく変わります。
ことは頭の隅に置いておきましょう。自動車、電子製品等の比重が高
い日本の場合はその産業の競争力で変動します。農業・酪農業が基本
のニュージーランドの場合はその生産動向や輸出動向で大きく変動
します。賃金格差大きい中国の場合は海外からの投資や賃金上昇に強
く影響されます。発展途上国の場合は産業が未熟であり、強い通貨に
固定したがります。また、事件、事象、疫病などは当該国の産業に大
きく影響を及ぼし、為替レートに大きく影響します。
②外貨預金はいつするか。
国内の取引銀行に外貨普通預金あるいは外貨当座預金を開設して、
外貨が安いと思った時に、まとめて購入し、支払はその口座から支払
う方法もあります。
また、取引相手国に自社/自分の口座を設けることも可能です。また、
非居住者の銀行口座開設が制限されている国もあります。
三菱東京UFJ銀行はインターネットを通したインターネット・バ
ンキング(外為サービス)送金などのサービスを行っています。
70
③外貨送金はどこでするか。
金額が比較的小さい時には町の郵便局から郵便為替(Money Order)
で送金することも出来ます。少額の場合は信用状開設に伴う費用が割
高になるとか、輸入業者の信用度が十分な場合などは外貨送金(現金
送金)で決済する場合もあります。輸出業者をよく知っている場合や
信用度の高い輸出業者の場合は前払いしても良い場合もあるでしょう。
しかしながら、信用度の低い輸出業者の場合や、取引経験が浅い輸入
者/輸出者の場合はリスクがありますので、前払いは避けるべきです。
取引先が日本人であり信用して前払いしたが倒産などで貨物は船
積みされず前払い代金も帰らなかったという事もありますので、慎重
にすべきです。
送金で決済する相手先でも一部前払い、一部は後払いとするなどの
策も講じましょう。また、前払はもし債権になっても経営上大きく響
かないような金額にとどめましょう。
海外送金額が500万円を超える場合は「支払等報告書」の提出が
義務付けられています。
・送金にはどのような方法があるか。
輸入代金送金の方法には次の方法がありますので、金額の多寡とか、
緊急度や相手の了解などに基づき選択します。
・電信送金(Telegraphic Transfer)
:送金銀行と支払銀行の間に取引
関係(コルレス契約)があるかどうかなどにもよりますが電信で通知
した場合は、同日或いは翌日には相手銀行に入金できます。
注:コルレス契約とは国際決済のために日本の金融機関が海外の金
融機関と結ぶ為替業務代行の契約
・送金小切手(Demand Draft)
:輸入者の依頼で輸入者の取引銀行が外
貨小切手の発行人となり輸出者の取引銀行を輸出者の受取人とした外
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貨小切手を輸入者が受け取り、それを輸出者に送ります。輸出者はそ
れを銀行に提示して取り立てに回して輸入者からの代金を回収します。
・郵便局からの外貨送金:上記はいずれも銀行によるものですが郵便
局からでも送金できます。しかし、送金できる通貨に制限があります。
例えば、オーストラリア向けには豪州ドルの送金しか出来ませんし、
かつ、取引先が郵便局に口座を持っていないと入金できないなどの制
約がありますので、取引先に事前了解を取る必要があります。
小額送金の方法として国際郵便為替(International Postal Money
Order)による送金もあります。費用的には銀行経由の送金より手数料
が安く上がります。
・その他の決済方法は
その他にも幾つかの決済方法があります。特に、インターネット・バ
ンキングなどの出現で銀行間の競争が激化し、銀行の送金/決済手数
料も大幅に下がることが期待されています。
・国際クレジット・カード決済:個人輸入などでは一般的に行われる
決済方法の1つとして国際クレジット・カードによる決済があります。
手間がかからず、外国通貨の為替レートも特に不利にはなりませんの
で、小口代金の決済には便利です。若干不安も伴いますが簡便で、安
く上がります。
・相殺勘定:外為法が施行された1998年4月1日以降は相手方と
の借り方勘定/貸し方勘定の相殺も可能になりました。
・海外預金口座決済:海外に外貨預金口座を持つことでその口座から
その外貨で支払したり、入金したりの決済もできます。
・ネット決済:第3者を介在させてインターネットを活用した決済も
始まっています。
信用状(L/C)決済、ネット決済:P.33 参照
72
11.輸入規制を知る。
① なぜ輸入規制するのか。
国にはその国の国民性、生活環境、食生活、体格・体質、などの事
情でそれぞれの規制(法律)があり、その規制は往々にして日本のそ
れとは異なるケースがあります。また、共通事項で、国際間で守らな
ければならないこともあります。その国際間取決め代表例としては、
動植物の種の保存(ワシントン条約)、国際安全保障(キャッチオール
規制)、懲罰的輸出入規制(北朝鮮制裁)などがあります。
また、日本国内では国民の安全(電気用品安全法)、不当競争(輸
入公表による規制)、疫病進入阻止(米国牛肉の輸入差し止め)などが
あります。
・規制に従わないと罰せられる。
規制は法律を根拠とするもので、それに従わないと罰せられます。
また、それを取り締まるのが法律を根拠に管轄する官庁、団体です。
また、それら機関が許可や認可を行います。輸入においては外為法、
関税法、関連国内法に基づき、税関などの関係官庁、輸入組合などの
関係団体が許可や認可を行います。
より詳しくはⅥ章「どんな制約があるかを理解しましょう。」で述べま
す。
制約:P.91 参照
②国際取引法はあるか。
国際取引契約に適用される法律や裁判所はまだありません。また、
世界統一取引法、世界商事取引裁判所もありません。
そのため、適用法、準拠法(Applicable Law、Governing Law)は
73
売手/買手双方了解の基に売買契約書で定める必要があります。また、
費用等の観点から仲裁規程を設けることもあります。
③日本の法規はなぜ及ばないのか。
売買契約は買手/売手双方の取決めが基本となりますが、輸入ビジ
ネスに伴う売買契約は当事者間を規制する条約(国際間取決め)も国
際間にありませんので、契約違反などにより裁判になるとどの国(売
手国、買手国、第三国)で裁判するか、が問題になります。契約に基
づき裁判を実行しようとすると相手国(売手)の法規と日本(買手)
の法規、国際ルールなどが関連してきます。
売買契約に日本の法令で裁く規定があっても、必ずしも日本の法規
が通用するとは限りません。そのためには、国際的な仲裁機関である
㈳日本商事仲裁協会(Japan Commercial Arbitration Association)
では「商事仲裁規則」を契約書に規定することを勧めています。この
条項を入れることにより仲裁は取引先の国の法的拘束力を持たせるこ
とになります。
商事仲裁条項:P.182 参照
12.危険への対応を考える。
輸入ビジネスにおいて、取引き先や取引き商品は日本国外にあるた
め多くのリスク(危険)が日本国内外で発生する恐れがあります。取
引相手あるいは取引国に対するリスク、輸送時のその輸入品に対する
リスク、時間的空間でのリスク、製造物に対するリスク、などがあり
ます。そのリスクをカバーする保険には外航貨物海上保険、製造物責
任保険、貿易一般保険の 3 種類があります。
74
Ⅳ
小口輸入をやってみよう。
中小事業者が新たに輸入ビジネスを開始するためには、手始めに小
口(少量)輸入をされることを薦めます。小口輸入を行うことで、輸
入ビジネス業務の概要とその流れを理解することが可能です。以下は
ミプロがウエブで公開している「小口輸入をやってみよう。」と言う資
料を参考に変更・加筆しましたので、実業者の本業補完として輸入ビ
ジネスを開始される際の参考としてください。
1.個人輸入と小口輸入の違いは何か。
個人輸入は自分が欲しいものを自己責任の基に輸入することです。
それを消費するのは自分自身だからです。
(個人輸入で他人へ売ること
はできません。)
ところが小口輸入はそうではありません。輸入した商品は販売を目
的とするため、その商品に対して輸入者は責任を取らなければなりま
せん。
また、商売とするには誰に、どこで売るのか、など明確にして、そ
の上で輸入を行なわなければなりません。まず、自分自身の頭の中で
ターゲットを想定し、仕入れと販売経路のイメージを明確にしておく
必要があります。
2.クリアしなければならない規制を知る。
輸入者本人が自己の責任において使用・消費する場合は一定の範囲
内で輸入が認められる商品(個人輸入商品)でも、販売を目的とした
(商業)輸入<小口輸入など>となれば輸入者(販売者)としての義務/
責任が生じます。輸入者は許可や認可を取ることが必要になります。
75
販売の際には日本語表示が義務づけられるなど、様々な規制を受けま
す。規制の内容は商品によって異なりますので、専門家の意見を聞く
などで情報収集することが重要です。また、輸入ビンビジネス・セミ
ナーなどに参加し、輸入ビジネス情報の収集や知識を蓄積しましょう。
ミプロやジェトロでは専門家を揃え無料相談に応じていますので相談
しましょう。税関でも相談窓口があります。
3.ライフ・スタイルの変化に対応する。
インターネットの発達、ライフ・スタイルの変化、小売業態の変化、
など、最近の小売業の環境は大きく変化しています。消費者は、余裕
が出ると「豊かな生活」を求めて「心の豊かさ」を求める消費に向か
います。また、「健康」を求める消費に向かいます。「モノ」があふれ
る中で、小売店は、ただ漫然と商品を並べただけでは売れなくなりま
した。小売業者にはそういった消費者トレンドを捉え、ライフ・スタ
イルを提案する輸入品の取扱いやショップ運営、あるいは商品展示手
法や対話型/対面応対型対応が求められます。
4.一味違う商材を発掘する。
日本国内ではどこに行っても同じもの/同じようなものが同じ値
段で買ええます。一般消耗品ならばそれでも良いかも知れませんが、
「心豊かな生活」を求めるには新鮮味や魅力がありません。海外商品
には珍しい商品、優れたデザイン商品、健康に優しい商品、夢のある
商品、優越感を与える商品などがたくさんあります。
自社あるいは自店の商品にそれら一味違う海外商品を加えること
で同業他社との差別化、区別化を図ることができます。そんな醍醐味
もあるのが中小事業者の小口輸入です。
76
5.内外価格差を活用する。
海外旅行に行って、ブランド品が半値とか、3割安いとか感じた方
は多いと思います。海外ビジネスにとって、この価格は見逃せない魅
力です。日本で売られている輸入ブランド商品は独占販売権などで競
争も少ないせいか非常に高値で売られている場合が多くあります。同
じ商品を海外で探すと、一般に日本での商品の四分の一にも満たない
価格もあります。
そのような商品に輸入にかかる諸経費を加えても、日本で売られて
いる価格の半額くらいで輸入販売することが可能です。つまり、個人
で始める小口輸入であっても十分競争力があるということです。大手
企業が20万円で売っているものを、個人企業で小口輸入すれば10
万円程度という価格で売れると言うことです。
輸入総代理店制と並行輸入:P.102 参照
6.必要なモノを必要なだけ輸入する。
小口輸入では、まず何を仕入れるか?どんな商品か?数量は?どこ
から?いくらで?少量買付けが可能か?日本市場での話題性はある
か?顧客のニーズに適応しているか(市場性)?売りやすい商品か?
などを検討します。小口輸入商品が売れるかどうかは自分自身の能力
に頼るしかありません。
すなわち、自分の経験とノウハウで得意とする商品を選ぶことです。
自分の得意とする商品分野ならいろいろな情報が蓄積されているから
で、的確に計画を進められます。好きこそものの上手なれです!
この事前計画がマーチャンダイジング<商品販売計画>です。マー
ケティング目標<ターゲット市場>を実現化するためには①特定の商
品/サービスを、②適正な場所で、③商機を逃さない時期に、④市場
性ある価格で、⑤売れそうな数量を、⑥市場に流す計画が必要です。
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7.取引相手を選ぶ。
商品名が決まったら、次は取引相手を探します。一般に、取引相手
は日本人ではありません。また、取引に使用する言語が異なりますの
で意思疎通(コミュニケーション)に気を使います。相手と対等に交
渉するには、やはり商品知識があるかどうかがものを言います。商品
知識があれば、取引相手の言いなりにならずに対等にビジネス交渉す
ることができます。
プロ意識の高く、誠意を持って輸出をしてくれる取引相手を探すこ
とです。また、言葉が通じにくい分、説明は正確でなければなりませ
ん。語学は「翻訳業者」でも用を足しますが、商品知識やノウハウは
代行業者では勤まりません。
良い商品の提供を受けるには、欲しい商品の好みや日本の市場性、
商品の差別化戦略などを相手に伝え、理解してもらう必要があります。
また、必要な決済や輸送条件を取引先に正確に伝達します。商談の主
導権は買手であるあなたが握るようにします。
良い商品を手に入れるためには、問題があってもそれをクリアする
だけの意気込みが必要です。惚れた商品は必ず手に入れる意気込みで
す。
8.内外の見本市・展示会を活用する。
内外の見本市<定期的に主に同じ場所で開催される商談中心の商
品展示商談会>や展示商談会<モノを展示し、そのモノで商談する会
場>は商品を発掘し、発注する場です。ジェトロの見本市紹介サイト
の J-Messe では世界の、及び日本の見本市を紹介していますので、事
前に当該見本市の情報を収集して、チャンスを逃さず見に行こう。
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9.買付け商品を確定し、発注する。
輸入品買付け方法には幾つかの方法がありますが、日本国内外で行
なわれる国際見本市で買い付けることも1つの方法です。日本の見本
市では初顔合わせ程度(名刺交換し後日商談)であることが一般的で
すが、海外では即商談の場となります。海外の見本市はビジネス(取
引)が主体の戦場です。
これら見本市では発注する商品・数量・明細が確定すると、直ちに、
出展者(セーラー、輸出者、メーカーなど)は注文請書を書き、買手
(バイヤー、つまり貴方)に確認サインを求める迅速なビジネス・ス
タイルが取られています。
サインは英語でも日本語でも大丈夫であるが、パスポートと同じサ
インが信用を得るでしょう。買手がコピーを受け取ることで発注仮手
続きが完了します。
10.輸入費用を見積もる。
「輸入」は、海外からの仕入れで、運ぶ方法には、海上(船舶)輸送
か、航空(航空機)輸送か、の方法しかありません。郵便物もどちらか
の方法を選びます。海上運賃は航空運賃よりもはるかに安いが、時間
がかかります。また、海上運送でも、ある一定の規模以下の貨物(ミ
ニマムロット)になると、梱包料、手数料、運賃などで航空輸送より
も高くなる場合があります。経費は商品代や運賃、保険料以外に輸入
費用として、関税+消費税等の税金、通関手数料、輸入(空)港での手
数料、国内配送料などがかかります。関税+消費税などの税金は予め、
税関の「事前教示制度など」などを利用して調べておくことをお薦め
します。
同時に、「輸入承認や許認可など」が必要ないかも確認することも
お薦めします。
79
「通関手続き」は、
「陸運業者」や「倉庫業者」が「通関業」も兼業で
行なっている場合が多いです。また、
「通関手数料、税関検査料」など
の経費は、税関の手数料として決まっています。これら通関経費は前
もって「運送・倉庫業者」を兼ねる通関業者に見積りを依頼すること
ができます。その場合、当然のことながら「どこから、何を、どのよ
うに、輸入するのですか?」と聞かれます。
これに応えるだけの書類を準備しておくことも必要です。さらに、
通関が完了した後、輸入品は日本国内の輸入者(買手)の指定場所へ、
配送しなければなりません。この国内配送料金や保管倉庫料金も仕入
れコスト(輸入費用)としてかかります。この物流コストは輸入品コ
ストの大きな割合を占めますので、運送・通関・倉庫業者の上手な活
用が求められます。
11.代金の決済方法を決める。
代金決済には幾つかの方法がありますが、小口輸入による海外取引
の場合、クレジット・カードによる支払いが一般的です。あるいは現
金前払いです。
クレジット・カード払いはお薦めの代金決済方法です。小口輸入での
代金後払いは初めての方ではまずありえません。原則として全額前払
いとなります。
また、梱包費、運賃、保険料などの付帯経費は後で計算して、その
費用を合計した上で決済が可能ですので、クレジット・カード支払が
便利です。輸入者はあらかじめ付帯経費も計算しておきましょう。結
構雑多な業務経費が掛かるのが輸入ビジネスです。付帯費用について
は事前にわかっていればいいのですが、そういかない事が多いです。
国際的なクレジット・カードはいくつかあります。クレジット・カー
ドは国によって異なりますが、なかでも、VISA や Master カードは喜
80
ばれます。これらのカードは手数料も安く、何かと便利です。
相手が喜ぶ決済方法を進んで採用することも、輸入ビジネスを円満
に進めるコツでもあ ります。銀行 送金も可能で すが一件最低でも
2,500 円の送金料と手数料がかかります。
利便性を考えたらクレジット・カードが良いです。そのクレジッ
ト・カードは個人名義でも法人名義でも可能ですが、有効期限が 6 ヶ
月以上あること、クレジット取引利用残高が十分にあることが条件で
す。予算配分において利用残高を 7 対 3 にわけ、7 が商品代金、3 が前
払い運賃付帯費用と見積もりましょう。例えば利用限度額が 40 万円の
場合、商品代金充当額が 28 万円、残り 12 万円は運賃などに当てます。
万一、利用限度額がオーバーする場合はカード会社に事情を説明す
れば利用限度額を増額してくれる場合があります。いずれにしても利
用限度額の大きいカードを使うのが安心です。また、航空会社のマイ
レージ付クレジット・カードや JAL カードはマイルも貯まります。ま
た、小額であれば郵便局から Money Order で決済(送金)する方法も
あります。
12.輸送の手段を選ぶ。
軽いもの/重いもの/軽いけどかさばるもの、高価なもの、破損し
やすいもの、変質しやすいものなど、商品に応じて輸送方法を考える
必要もあります。
また、輸送費用についても考慮する必要があります。費用がかかり
過ぎても元も子もありません。商品に見合った輸送方法を的確に判断
する必要があります。輸送方法には以下があります。
①国際郵便小包(船便)
②エコノミー小包(SAL 便)(船便と航空便を併用するもの)
③航空郵便小包(普通)
81
④国際スピード郵便小包(EMS)
⑤国際宅配便(UPS、DHL、FEDEX、日通ペリカン便など)
⑥一般貨物輸送(海、空)
このうち、①~④は小口のドア to ドア・サービスの郵便物です。それ
には無料関税代行サービス付です。配達の際に立替金(関税、消費税
等の税金、通関料)を請求されます。国際郵便小包の場合は20kg ま
で、EMS は30kg まで、国際宅配便(FEDEX)の場合は70kg までの
重量制限があります。重量制限や容積制限は宅配業者や相手国・地域
によって変わりますので、事前に確認しましょう。
また、その制限に従って小分けして、送付してもらいましょう。⑤
は①~④と同じく、中口(中量)のドア to ドアで輸送され、無料関税
代行サービス付です。⑥は大口(多量)輸入の場合、相対的に費用が
安いです。また、⑥は①~⑤の様にドア to ドア輸送サービスはありま
せんが、個別に通関業者に配送委託できます。
82
Ⅴ
輸入品の価格構成を知ろう。
1.どんな費用が掛かるか。
①国外/国内の経費は、
輸入品の仕入れには、「国外貨物」の時の経費と、「国内貨物」と
なった後(又はその前後)の経費の二つに分けて考えることが出来き
ます。以下に「一般的な輸入商品取引までの大まかな仕入れ関連経費」
を項目別に列記しました。
(一般的な輸入仕入関連費用の構成)
国外貨物の時の経費は、
商品代:輸入品価格(Cost)
梱包費:取引き条件による梱包費用
輸送費:海上運賃/航空運賃(Freight)<輸出港から輸入港まで
>
保険料:海上貨物保険料(Insurance)
<輸出港/輸出者から輸入港/輸入者まで>
国内貨物となった後の費用(又はその前後)
通関費:陸揚げ費用+通関費用+税関検査費用
諸税金:関税+消費税等税金
諸経費:その他の輸入諸経費
(商品検査料、通関手数料、倉庫保管費用など。)
運送費:国内運搬費(通関後の輸入港から輸入者又は引取者まで)
銀行費:送金/信用状などの費用(取引関わる銀行手数料)
輸入仕入経費の合計=国外貨物経費+国内貨物経費+事務費や目に見
えない経費
83
②国内の販売経費は、
輸入ビジネスをはじめるにあたり、事務費や目に見えない経費(時
間的と金利的なども)も考慮しておく必要があります。上記の経費は
直接経費ですが、それ以外の事務経費として①相手先との通信費用(国
際電話、国際 FAX、国際郵便など)、②カタログ、見本品などの取寄
せ費用(見本品は無料ではありません。また、カタログも一般的に有
料です。)、③海外出張費用、④市場調査、取引先の信用調査などの
調査費用、⑤証明書等取得費用、⑥代理店を使った場合の手数料など
の費用、が加わります。
その他の費用として金利などがかかります。特に、現地へ出張する
場合の旅費は、国内出張よりも割高になります。これら費用は国内の
同じ費目でも割高です。
2.輸入代行に伴う経費の実例として、
大まかには3項の経費、費用がありますが、輸入実例として下記に
イタリア産のスパゲッティを20F/T ワン・コンテナー(1袋 500 グ
ラム入り×20 束入りカートン×2,000 カートン入り)20M/Tを輸
入した場合の費用を示しました。これは輸入港に近い営業倉庫に保管
した状態でのコストです。また、営業倉庫の保管料は3期分(1 日~
30 日間)<毎月1日~10日、同11日~20日、同21日~月末、
の10日間を1期といいます。>をみていますので、保管期間が伸び
る場合は更にそれに応じて保管料を加算されます。
84
・ イタリア産スパゲッティの輸入例
20F/T コンテナー1本(C&F の商品価格=120 万円、重量=20M/T)
(有)ジャパントレードリンク(後記紹介)より、
番
経費費目
単位/単価
金額(円)
号
①
商品代金(C&F 価格)
②
保険料(CIF 価格で付保)
③
L/C 開設料
④
銀行諸掛
⑤
輸入税
1,200,000
C&F×1.1×0.70%
0.30%
9,240
3,600
15,000
従量税
\30.00/kg
600,000
(HS:1902.19.093 協定)
⑥
THC(下記参照)
20,000
⑦
通関手数料
11,800
⑧
食品手数料
10,000
⑨
取扱い手数料
20,000
⑩
OLT申請料(下記参照)
⑪
コンテナー横持ち料
⑫
バン出し料(入出庫)
20M/T×\3,000/m3
60,000
⑬
保管料
20M/T×\750/m3×3 期
45,000
⑭
輸入者表示等ラベル印刷料
5,100
20,000
50,000
小計
2,069,740
⑮
輸入代行コミッション
10%
206,974
―
合計(通関後の倉庫内価格)
2,276,714
―
倉庫単価/500g袋当り
\56.92=C&F 価格の 1.9 倍
THC:Terminal Handling Charge、
OLT:Over Land Transport 保税地域間輸送
85
また、金利も考慮しなければなりません。小出しや地方に配送する
場合は配送する数量、配送先等による費用がかかります。販売価格決
定にはこれら経費を加味する必要があります。国内小分け配送関係費
用としては保管料・荷捌き料・荷出手数料、梱包料、国内配達料など
も計算に入れます。それに消費税5%が加算されることになります。
この実例では、輸入に伴う直接原価は C&F 価格(1袋30円)の約
2倍(\30.00→\56.92)となっています。これに輸入者の利益を加え、
小売業者の販売経費を加えると市場価格は輸入原価の3~4倍になり
ます。
3.具体的輸入経費にはどんな費目があるか。
①L/C 開設料
輸入者が取引銀行から輸入資金を借り入れる場合、取引銀行はいく
ら支払保証するか、を示すのが「与信額」(信用貸する限度額)です。
L/C 決済の場合は輸入品代金相当の現金を預金するか、借入れするか、
が必要です。「与信」はその元金になります。
例えば、毎月の発注額が 100 万円で、船積みが信用状開設後 30 日
以内、輸入ユーザンス(延払い)期間が 90 日の場合は最高で 500 万円
の与信枠(100 万円×5 か月分)を必要とします。
②商品代
商品代とは輸入品の代金ですが、輸入する場合は輸出者から輸送業
者(船会社、航空会社、通関業者など)に引き渡すまでの費用をどち
らがどのように負担するかを明確に定めておきます。すなわち、店先
/工場などからのハダカ渡しか、簡易ダンボール梱包か、輸出梱包か、
また、輸出国の航空会社渡し条件か、輸出港渡し条件か、などの条件
で商品代金も変わります。
86
③梱包料
上記②の商品代に付随する経費で輸送方法により、その梱包荷姿が
異なり商品代や輸送料金も変わります。一般に小型貨物は輸出ダンボ
ール梱包が主流です。それらをまとめてコンテナー詰められるからで
ある。中型貨物になると木箱、木枠(クレート)また、パレット(荷
台座付)で梱包され、コンテナー詰められます。大型になると木箱、
木枠(クレート)また、パレットそのままの状況で本船積みされます。
一般商品はコンテナー詰め輸送が多いので、効率的な積み込みとす
るために、定型化された経済寸法の梱包資材を使用します。梱包状況
(荷姿)によっては事故の際、保険求償の対象にならないことにもな
りますので、梱包費をケチらないようにしましょう。しかし、コスト
アップにもなるので、注意を要します。
④輸送費
輸送費には輸出国側の国内運送料と海上(航空)輸送料および日本
国内の運送料がありますが、商品代でも触れましたが、輸出国側の国
内運送料は不明確になりやすいので「FOB+輸出港」で契約するな
ど梱包条件を明確にし、契約しましょう。また、海上/航空輸送料込
みは「C&F」となります。Door To Door 条件もあります。
⑤保険料
保険料は CIF 価額の 110%とするのが通常です。FOB 輸入の場合は、
FOB 価額に I(保険)と F(運賃)を、C&F 輸入の場合は、C&F 価額
に I(保険)をそれぞれ加えて、CIF 価額を算出し、これに 10%を加
算した額で付保します。
87
⑥通関手数料
通関手数料(手続料)は通関業者の手数料、税関へ支払う手数料、
その他の機関へ支払う許可書などの取得費用、商品検査料、事故の際
のサーベー料、また、代行業者などを使う場合の手数料などがありま
す。思わぬ費用が掛かることがあります。例えば、食品の場合は内容
検査料、分析料、その証明料が必要となり、高い費用が掛かることが
あります。
⑦送金手数料
輸入代金を送る際の手数料です。送金方法には次の方法等がありま
す。また、送金方法の一種であります L/C 決済は輸入代金の一般的な
決済方法です。
送金・決済方法は金額の多寡、安全性、緊急度および相手の了解な
どに基づき選択しましょう。
・銀行からの送金
電信送金
電信送金(Telegraphic Transfer)手数料:シティバンクに口座を
保有する人・法人の場合の送金費用は電信料 2,000 円+手数料 1,500
円=3,500 円と 2,000 円のみ等があります。また、同行では預金口座
の有無や預金額等によっても手数料が異なります。他の銀行も似たり
寄ったりでしょう。
送金小切手
送金小切手(Demand Draft)郵送料:輸入者が取引銀行に依頼し、送
金小切手を発行してもらい、輸出者に郵送しますが、輸入者には送金
小切手作成料 2,500 円+自分で小切手を送るときの切手代がかかりま
88
す。銀行や条件によっても費用が若干異なります。
・郵便局からの送金
国際郵便為替:小額送金の方法として国際郵便為替(International
Postal Money Order)による送金があります。費用的には銀行経由の
送金より手数料が安く上がります。郵便局からは約90数ヶ国宛に安
価に海外送金が可能です。
最も安いサービスだと、金額にかかわらず手数料は 400 円で送る方
法があります。送れる金額も数万円までの小額送金の場合には、銀行
の小切手(Bank Draft)の送金より若干手数料が安くなります。
総合口座「ぱ・る・る」:郵便局の総合口座「ぱ・る・る」を持っ
ているとイギリス、オーストリア、スイス、スウェーデン、スペイン、
デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、フランス、ベルギ
ー、アイルランド、アメリカ、オーストラリア、スロバキア、チェコ、
中国、香港、マカオ、マーシャル諸島、ミクロネシア、リヒテンシュ
タイン、ルーマニア及びルクセンブルクの22カ国2地域の郵便振替
口座あてに限定されますが送金できます。
また、これらの国から日本国内の同総合口座あてに送金することも
可能です。
海外銀行口座あて送金:最近は銀行口座あてに送金できるサービス
も始まりました。宛先国は約90カ国、料金は一律 2,500 円ですが、
送金方法などはかなり複雑に分類されていますので、郵便局に確認し
てください。
・クレジット・カードの手数料
利用者(クレジット・カード保有者)のクレジット・カード使用に
伴う手数料は一切かかりません。ただし、輸入代金支払の場合の為替
89
レートによる手数料は銀行の顧客レートが適用されます。年間会員料
が掛かるカード会社や有料ステータス・カードなどはあります。むし
ろ、クレジット・カード使用から代金を払いまでに猶予期間(グレイ
スピリオド)で、資金の有効利用ができる。また、各種還元制度(景
品や商品券などと交換できるポイント、航空会社提携のマイレージ)
など有利な面が多くあります。
⑧関税等税金
関税は関税率表に基づく税金で、輸入品はどの税番HSコードに該
当するかで、税率が変わりますので、通関業者や税関相談官と相談し
てください。また、別に輸入品にも全品消費税5%が通関時(保税地
域からの引き取り時に関税込み価格)に加算されます。また、さらに
加算される酒税法に基づく酒税、タバコ税があります。
⑨検査料
通関時の検査料が関税などの税金以外に掛かります。また、初めて
輸入する食品などは内容物などの検査(ブランド別、銘柄別に)を受
け、許可を受けなければなりませんし、それには検査料などが掛かり
ます。
⑩代行料
輸入代行業者に業務を委託する場合に支払う費用で、費用は委託業
務内容により、大きく異なります。通信文や契約書を、許可取得を、
また、店先納品までを、などで大きく変わります。
90
Ⅵ
どんな制約があるかを理解しよう。
1.規制事項を知る。
輸入ビジネスには取引きを拘束する当事者間の取決め(売買契約な
ど)の他に、国際間の取決め(国際条約など)及び当該国内の定め及
び日本国内の定め(国内法など)があります。輸入ビジネスはこの取
決めがからみ合って行われますが、これら取決めの中には禁止や制限、
許可などの規制事項があり、手続きが必要になります。これを規定す
るのが「輸入貿易管理令」です。本書ではこれら国内法に基づく規制
の許認可について述べます。
輸入貿易管理令の主な管理は①輸入に関する事項の公表、②輸入の
承認、③経済産業大臣の輸入割当、で行っていますが、大半の品目は
管理(規制)の対象外となっています。これらを輸入しようとする場
合は許可、認可、承認(許認可)を事前に取得しなければなりません。
①規制の概要を知る。
輸入に関する管理は外国為替及び外国貿易管理法(外為法)の下に、
輸入貿易管理令(輸入令)、輸入貿易管理規則(輸入規則)、輸入注意
事項などで規制しています。その他に輸入で忘れてならないのが、そ
の外の国内法による規制です。また、国際的取決め(国際条約など)
及び国際ルールがあります。
どの様な品目がどの様な制度によって輸入できるかは、輸入公表に
よって公開されています。輸入ビジネスを開始する際は第一にその品
目が規制の対象になるかを専門機関、通関業者などに確認してくださ
い。規制対象品目は経済産業大臣等の許可を得なければならない等を
勉強しなければなりませんし、時間と費用も必要ですので、初心者は
91
避けたほうが良いでしょう。
輸入公表の中の輸入割当品目(IQ品目)には一部の食品、鉱物、
化学品や核関連、軍関連及びワシントン条約該当品(約520種)が
あります。
②許認可とは何か。
「許認可とは何だ?」普通生活している際にもいつも付きまとう規
則や制限に対する許可/認可を受けることです。それかといってどんな
ものか解り難い。実際、許認可に絡む事項は、家庭生活から会社での
仕事などあらゆる活動に張り巡らされた規則/制限がそれにあたりま
す。家庭ではガス、水道、電気、外に出ると交通規則、買い物すると
食品衛生法、食品表示法など様々な規制、規則があります。
ありとあらゆる物品、行動、状態に巨大で仔細に決められた、提供
者側、消費者側など守らなければならない規則があります。また、こ
れら規則に従わない/違反すると罰則があります。この許認可は法律
を根拠とするものです。
取決めに基づく拘束
当事者間取決め(ルールなど)
・売買契約書など、
・インコタームズ、
・商事仲裁条項、
国際間取決め(条約など)
・絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシン
トン条約)
・二国間条約(特恵)
国内取決め(国内法など)
92
・外為法(輸入貿易管理令、輸入貿易管理規則、輸入注意事項)
・関税法
・薬事法、・食品衛生法、・植物防疫法
・生産物責任法(PL法)
・絶滅のおそれのある野生動植物の種に関する法律(ワシントン条約
に基づく)
品目ごとの規制/手続き
食品輸入:食品衛生法、酒税法、植物防疫法、家畜伝染病予防法、農
林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)並び
に、事前届出や一括届出の制度、輸出国公的検査機関の事前検査受入
制度など。
衣料品輸入:家庭用品品質表示法、不当景品類及び不当表示防止法、
絶滅の恐れのある野生動植物の国際取引に関する条約(ワシントン条
約)、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(有害物質規
制法)あるいは輸入貿易令など。
化粧品・医薬品輸入:薬事法、高圧ガス保安法や輸入販売業の許可な
ど。
日用雑貨、スポーツ用品輸入:消費生活用製品安全法、食品衛生法(雑
貨品の場合)、家庭用品品質表示法、電気用品安全法など。
その 1 つが自動車運転免許で、公安委員会(警察)~免許(許可)
を受けなければ自動車を運転してはならないし、無免許は罰せられま
す。自転車は、許可は必要ありませんがルール(規則)は守らなけれ
ばなりません。
我が国の輸入貿易は、原則自由とされていますが、外国貿易及び国
民経済の健全な発展を図るという観点から、管理は一定の輸入規制を
行っています。輸入品の輸入にも当然、許可、認可を受けなければ輸
93
入できないものが多くあります。
特に、国内産業保護の基づく乳製品、牛肉、主食の米あるいは国際
間での条約などは禁止あるいは制限される品目が多くあります。
現在の許認可の対象項目(品目)は「輸入公表」で発表されていま
す。その輸入公表の概要は下記の通りです。日本は生産者重視と言わ
れ、批判の的になっていましたが、近年は消費者重視に変わってきて
います。PL法では消費者保護が前面に出ています。
輸入公表の概要
我が国の輸入貿易管理は、原則自由となっていますが、外国貿易及び
国民経済の健全な発展を図るという観点から、一定の輸入規制を行っ
ています。
経済産業大臣は、輸入割当てを受けるべき品目、輸入承認を受けるべ
き貨物の原産地または船積み地域 、その他輸入についての必要な事
項を第一号から第三号までに分け公表しています。これを輸入公表と
言います。
第一号:輸入割当てを受けないと輸入できない品目(輸入割当品目=
IQ品目)
次に掲げる品目を輸入する場合は、経済産業大臣から輸入割当てを受
ける必要があります。
・非自由化品目
・ワシントン条約に定める動植物並びにその派生物、およびモントリ
オール議定書に定める規制物質
第二号:経済産業大臣の承認を受けないと輸入できない品目(2号承
認品目)
次に掲げる品目を輸入する場合は、経済産業大臣の輸入の承認を受け
る必要があります。
94
・特定の原産地または船積地域からの特定貨物の輸入
・ワシントン条約動植物及びその派生物、モントリオール議定書附属
書に定める製品、廃棄物、化学兵器禁止法に定める特定有害物質等
第三号:事前確認品目および通関時確認品目
・経済産業大臣などによる事前の確認を要する「事前確認品目」
・各省庁から取得した各種の証明書を通関時に税関に提出して確認を
受ける「通関時確認品目」
<注>上記は輸入公表の概要であり、実際に輸入を行うに当たって
は、輸入貨物の関税率表番号、また最新の輸入公表を確認の上、各種
手続きを行ってください。
根拠:輸入貿易管理令第3条第1項「輸入公表」
③輸入に対する制度はどうなっているか。
貿易ビジネスにも規則/許認可と言う「見えない壁」規制に囲まれ
ている。輸入に伴う際の物の生産、輸入、流通、販売においても同様
です。生産ではPL法、輸入では関税法、物流では事業営業法、販売
では店舗法、などがあります。この規制の経済域は国民総生産(GN
P)の40%を占めると言われています。
規制は経済の硬直化にもつながっていると言われ、現在はこの硬直
化是正(規制緩和、規制の撤廃、業務の民営化)が進められています。
一方、規制に伴う許認可は利権を生み、ジビネス機会を創出します
し、規制緩和も、またビジネスの機会を創出します。
ジェトロではサイトマップに「制度・規格・手続き情報」(輸入に
関する基本的な制度、商品ごとの輸入手続き、関連法規)などを項目
ごとに紹介していますので、辞書代わりに使用できます。
95
ジェトロの制度・規格・手続き情報
日本の輸入に関する制度・規格・手続きに関する Q&A と、日本の規格・
認証・標準に関する情報をこのサイトから提供しています。輸出情報
もあります。
本ページに関するご意見・ご感想は下記、ジェトロ貿易投資相談課ま
で、
E-mail:[email protected]
TEL:03-3582-6270
※各省庁の規格・認証制度の制定・改訂案は「事前意図公告」からご
覧いただけます。
輸入に関する基本的な制度(貿易・投資相談 Q&A)
貿易手続き:保険、通関手続き・制度、物流、流通、検疫、代金決済、
金融、 契約条件、制度・法規制、国際条約、規格、貿易その他、知
的所有権、クレーム、
商品ごとの輸入手続き(貿易・投資相談 Q&A)
動物・植物性生産品、食料・飲料等、鉱物性生産品、化学工業、プラ
スチック・ゴム製品、皮革・毛皮・ハンドバック等、木材、コルク等・
同等品、パルプ・紙製品、繊維製品、石・陶磁器・ガラス等の製品、
真珠・貴石・半貴石・貴金属これらの加工品・装飾品、鉄・非鉄金属・
同製品、機械類・電気機器等、輸送機器等、精密・光学・写真用・映
画用・測定・医療用機器等・時計・楽器、雑品、ビジネス支援サービ
ス業務、環境関連、情報システム、バイオテクノロジー、商品その他、
関連法規資料
関連法規資料
食品衛生法、食品添加物、JAS 制度、電気用品安全法、輸出用木製梱
包材、輸入法規ハンドブックなどの関連法規資料も紹介しています。
96
2.関連国内法規の概念を知る。
①輸入関係他法令
外国から輸入される貨物「輸入品」には、その大半は規制がありま
せんが、日本の産業、経済、保健・衛生、公安・治安及び風俗等に悪
影響を及ぼす/おそれがある貨物については、それに関連する国内法
令によって「輸入の制限」を行っています。また、国際的保護、治安
などの面から条約によって輸入の制限を行っています。関税は国内産
業の保護などの観点から、税金が掛けられたり、また、輸出国・地域
などの経済事情や政治事情による定めがあります。また、割当品目な
どの輸入量、輸入時期にも関連することもあります。
これら輸入制限や課税は、「外国為替及び外国貿易法(外為法)」や
その他の法令により、規定されています。同法令では貨物の輸入に関
し許可、承認、その他の行政機関の処分または検査あるいは条件の具
備(以下「許可、承認等」)を必要とする旨規定しています。これら制
限は関税法による輸入を許可制にすることによって実効あるものにし
ています。
従って、貨物の輸入について関税関係法令以外の法令(通称「他法
令」)の規程により許可、承認等を要する場合には、輸入申告または税
関の審査の際に他法令の許可、承認等を受けている旨を税関に証明、
確認を受けなければ輸入許可されません。輸入に関する他法令の規制
については、税関に問い合わせしてください。また、輸入関係他法令
に規定されている品目を輸入する際は、輸入手続をスムーズに行うた
めにも、あらかじめ、主管省庁に相談することをお勧めします。
税関(相談官)には事前確認制度として★輸入商品照会制度★検討
依頼制度★事前教示制度があります。なお、法令によっては、外国の
政府機関等の証明等を取得していないと許可、承認が受けられないも
のもありますので、事前にこれらについて調べておく必要があります。
97
②法的規制などを確認する。
日本国内で商品を仕入れる場合と海外から商品を仕入れる場合は
情況が異なるのは当たり前です。日本国内では問題にならない「モノ」
も、輸入商品には問題がある「モノ」も多くあります。まず、輸入し
ようとする商品には「規制がある可能性がある」と認識して輸入ビジ
ネスに取り掛かりましょう。輸入禁制品、輸入割当品目や薬事法、酒
税法などの規制を受け免許など資格を必要とするもの、植物防疫法、
家畜伝染病予防法などの規制を受けた特定の国や地域からの輸入品、
などで規制されたモノでないか調査します。
例えば、健康食品やサプリメントなどは薬事法に注意します。海外
では普通に売られている商品も日本では販売できないものもあります。
特に、食品衛生法に違反するものもが多くあります。お酒などは酒
税が関税の他にかかります。こういったことを事前に知らないと、輸
入品は日本の(空)港に着いたものの、
(空)港から引き取ることがで
きない(通関できない)という事態になってしまいます。
また、制度及び税率を知る際は関税品目表(HSコード)で調べて
おく必要があります。
これらの調査は自分でも調べられますが、通関業者(乙仲)に聞く
とか、税関及び関連官庁に問い合わせします。
東京税関の税関相談官室の電話番号は 03-3472-7001 です。
「実行関税率表」(発行:日本関税協会 TEL:03-3263-7345 発行)
「新輸入注意事項集<加除式>」13,000 円(発行:経済産業調査会・
TEL:03-3535-4884)などの解説書で調べることも出来ます。
一部の品目についてはジェトロのホームページの「商品別輸入手続
便覧」で輸入制度や注意すべき点を説明していますので、調べること
が出来ます。
98
③輸入に関係する法体系を知る。
日本は輸入に関する法律および、関連する法律で自由貿易を基本と
し、規制を最小限に留めています。貿易に関わる主な法体系は以下の
通りです。
★輸入に関する基本法:外国為替および外国貿易管理法(外為法)
:外
為法の下に輸入貿易管理令、輸入貿易管理規則、輸入注意事項及び、
具体的な政省令や輸出入取引法など。
★関税および通関に関する基本法:関税法の下に関税定率法、関税暫
定措置法など。
★その他輸入関連法:検疫法、植物防疫法、家畜伝染病予防法、火薬
類取締法、薬事法、食品衛生法などの諸法規。
★国際条約・協定など:WT0 条約、IMF 協定など包括的取り決め、ワシ
ントン条約など特定品目についての取り決め、及びメキシコ、シン
ガポール、マレーシアとの二国間取決め。
④外為法とは、
外為法(外国為替及び外国貿易管理法)は輸入ビジネスの法的原点
です。この法は 1979 年 12 月の法律改正で、それまでの対外取引を原
則禁止から原則自由に改められました。その後、1 年にわたり政令、
省令、通達などの整備、改廃が行われ、1980 年 12 月 1 日から施行さ
れました。
現在の輸入貿易管理は、輸入取引秩序の維持と国際的義務の履行な
どのために行われています。
⑤関税法とは、
この関税法に関連する法律・制度(関税法及び政省令、関税法施行令、
関税法施行規則、税関関係手数料令) の目的は関税の確定、納付、徴
99
収及び還付並びに貨物の輸入についての税関手続の適正な処理を図る
ため必要な事項を定めた規制です。
貨物を輸入しようとする者は、当該貨物の品名並びに課税標準とな
るべき数量及び価格、その他必要な事項を申告し、必要な検査を経て
その許可を受けなければなりません。
FTA(自由貿易協定)/EPA(経済連携協定)の動き
FTA/EPAは、経済のグローバル化が進む中、WTO(世界貿易機関)を補
完するものとして我が国の対外経済関係の発展及び経済的利益の確保に寄与す
るとの認識で締結交渉が、現在日本では以下のとおり進められています。
FTA/EPAの説明は P.166 を参照ください。
相手国/地域
現状
特徴
シンガポール
02 年 11 月発効
初の締結国。05 年 11 月見直しを議論
メキシコ
05 年 04 月発効
肉類、オレンジ類で無税や減税枠を設定
マレーシア
06 年 07 月発効
15 年までに自動車関税撤廃で合意
フィリピン
06 年 09 月署名
条件付きで看護師などの受入れに合意
タイ
05 年 09 月大筋合意
難航。米や小型車の関税削減を先送り
アセアン10
05 年 04 月交渉開始
域内障壁の撤廃が狙い
インドネシア
05 年 07 月交渉開始
投資環境の改善と資源確保が狙い
チリ
06 年 02 月交渉開始
農林水産物、鉱物資源、鉱工業品が狙い
韓国
04 年 11 月交渉中断
農水産分野で対立。再開のメド立たず
インド
04 年 11 月産学官
共同研究立ち上げ合意
豪州
05 年 04 月政府間
共同研究開始合意
スイス
05 年 04 月政府間
共同研究開始合意
日本・ASEAN10包括的経済連携:アセアン 10 カ国及び日本は可能な自由貿易
地域の要素を含む包括的経済連携の実現へ向けた措置を、10 年以内のできる限り
100
早い時期に完了すべきく、2002 年 11 月 5 日にカンボジアのプノンペンで開催さ
れた日 ASEAN 首脳会議において「日本・ASEAN 包括的経済連携」の枠組みを検討
する委員会が設立されました。
この枠組みは①日本と ASEAN との間の障壁を最小化し、②経済的繋がりを深化
させ、③ビジネス・コストを下げ、④域内の貿易及び投資を増加させ、経済効率
を高め、日本と ASEAN の双方のビジネスのためにより多くの機会とより大きな規
模の経済を有することにより大きな市場を創設することにあります。
また、申告納税方式が適用される貨物を輸入しようとする者は、当
該貨物に係る関税の納付に関する申告をしなければならないと規定し
ています。
輸入者は、当該貨物の品名、数量、価格等必要事項を税関長に申告
し、必要な検査を経てその許可を受けなければなりません。
⑥関連法規及び関連品目を知る。
外為法以外の国内法としては輸出入管理法、関税法、PL法(製造
物責任法:輸入業者に輸入品から派生する事故や被害に対する責任が
課せられる。)、品目別に関連する法令、また原産地証明(Country of
Origin)、特許権、商標権、著作権、意匠権、知的財産権(以前は知的
所有権)などがあります。
主要な規制法令では薬事法、食品衛生法、植物防疫法、家畜伝染病
予防法、アルコール専売法、食品表示法、輸入公表(1号品目:輸入
割当品目・禁止品目・制限品目など、2号品目:特定原産地/貨物、
3号品目:事前/通関時・確認品目)また、輸入貿易管理令別表第1、
第2に規定などがあります。
101
3.輸入総代理店制度と並行輸入を知る。
ブランド商品の並行輸入は、関税定率法 21 条に定められている「知
的財産権侵害物品」に該当しない真正商品であれば輸入できます。た
だし、1991 年 7 月公正取引委員会からこの種の取引についての考え方
が次のように示されました。
①並行輸入品に対する考え方
1)
総代理店契約が輸入品について行われる場合において、第三者が
契約当事者間のルートとは別のルートで契約対象商品を輸入すること
があります。(以下これを「並行輸入」といい、商標権を侵害しない、
いわゆる真正商品の輸入を前提としています。)並行輸入は一般に価格
競争を促進する効果を有するものです。従って、価格を維持する為に
これを阻害する場合には独占禁止法上問題となります。
2)
並行輸入品と称する商品が真正商品でなく偽物である場合には、
商標権侵害を理由にその販売を差し止めることができます。
3)
この他、次のような場合において、商標の信用を保持する為に必
要な措置を採る事は、原則として独占禁止法上問題とはなりません。
★商品仕様や品質が異なる商標品であるにもかかわらず、虚偽の出所
表示をすること等により、一般消費者に総代理店が取り扱う商品と同
一であると誤認される恐れのある場合。
★海外で適法に販売された商標品を並行輸入する場合に、その品質が
劣化して消費者の健康・安全性を害すること等により、総代理店の
取り扱う商品の信用が損なわれることとなる場合。
②独占禁止法上問題となる場合
1)
海外の流通ルートからの真正商品の入手の妨害。
★並行輸入業者が供給業者の海外における取引先に購入申し込みをし
102
た場合に、当該取引先に対し、並行輸入業者への販売を中止するよう
にさせること。
★並行輸入品の製品番号等によりその入手経路を探知し、これを供給
業者又はその海外における取引先に通知する等の方法により、当該取
引先に対し、並行輸入業者への販売を中止するようにさせること。
2)
販売業者に対する並行輸入品の取り扱い制限。
3)
並行輸入品を取り扱う小売業者に対する契約対象商品の販売制限。
4)
並行輸入品を偽物扱いすることによる販売妨害。
5)
並行輸入品の買占め。
6)
並行輸入品の修理等の拒否。
7)
並行輸入品の広告宣伝活動の妨害。
★根拠法:関税定率法第 21 条「流通・取引慣行に関する独占禁止法上
の指針」(1991 年 7 月 11 日)
★関係機関
財務省関税局
03-3581-4111
公正取引委員会 03-3581-5471
http://www.customs.go.jp/
http://www.jftc.go.jp/index.htm
スポーツ用品公正取引協議会 03-3219-2531
4.製造物責任法(PL法)を知る。
この法律の内容は、製造物に欠陥があり消費者(第三者も)が損害
を被った場合、消費者が小売店などを飛び越えて、直接、製造者に対
し無過失責任を負わせ、損害賠償責任を追求できるというものです。
輸入品に限定した法律ではなく、商品全般に関連する法律です。
例として、買ったテレビが火を噴いたり、爆発したりして人が大怪
我をしたり、死亡したようなケースです。
保護される被害者の範囲:本来は消費者保護がPL法の主たる目的
ですが、欠陥品により被害を受けた者であれば、企業のように、いわ
103
ゆる末端消費者個人以外であっても保護されると規定されています。
例えば、企業が他の製造者/輸入者から購入した素材やその他の半
製品に欠陥があった場合は、当該企業が製造者/輸入者に責任を追及
できるわけです。
対象:PL法の第2条第1項で、対象となる「製造物」とは、
「製造又
は加工された動産」をいうものとされています。ここで言う「製造」
とは、部品又は原材料に手を加えて新たな物品を作り出すことであり、
「加工」とは、物品に手を加えてその本質を保持しつつこれに新しい
属性又は価値を付加することをいうものとされています。農産物を加
工して漬物にした際に、有害物質が混入したようなケースでは、漬物
は製造物責任の対象となります。
責任主体=誰が責任を負わされるか:PL法の第2条第3項第1号
に、
「当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者」と記載されて
います。
「製造、加工」だけではなく「輸入した者」も責任を負わされ
るということです。
つまり、自分で外国から部材を輸入販売すれば、自分で製造や加工
をしていない輸入者であっても、PL法が適用され、リスクを負うこ
とになることを意味しています。これは、被害者が海外の製造者に直
接責任を問うことは困難であることから、とりあえず輸入者に責任を
負わせ、後日、輸入者が海外の製造者に求償してゆけばよいという考
えに基づいています。
5.輸入食品のポジティブリスト制度
「ポジティブリスト制度」は輸入食品のみならず、全食品が対象で
ある。食品中残留農薬、動物用医薬品、飼料添加物のうち、残留基準
が設定されていない物質を一定量以上含む食品の流通を原則禁止する
新規制で、18年5月29日から施行されています。詳しくは、厚生
104
労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 TEL:03-5253-111 内線 2487、
2489 に問合せするか、又はホームページ「ポジティブリスト制度」で
検索できます。
2003年5月に食品衛生法が改正され、食品中の農薬、動物用医薬
品及び飼料添加物(以下「農薬等」といいます。)の残留については、
従来の「残留基準値が定められたものについてはこれを超えて残留す
る食品の流通を禁止するが、残留基準値のないものについては規制の
対象としない」という「ネガティブリスト制度」から、
「原則、一律基
準値(0.01ppm)を超えて残留するものの流通を禁止する。ただし、残
留基準値が定められたものはこれを超えて残留する食品の流通を禁止
する。」という、いわゆる「ポジティブリスト制度」に移行することと
されました。
食品中の農薬等の残留基準値は2005年11月29日に告示され
ました。
食品のポジティブリスト制度は、野菜などの作物だけでなく畜産物
についても適用されます。
105
Ⅶ
専門事業者を活用しよう。
1.餅は餅屋で買う。
輸入ビジネス事業者(輸入業者)であっても取引先探しから輸入品
販売まで全て1人で実施している人/出来る人は少ないでしょう。輸
入ビジネスはそれだけ多才な知識と経験を有する事業です。また、こ
れらの業務は輸入者自身で、ある程度までは実行できますが、専門知
識、費用、時間などの観点から「餅は餅屋で」の専門家にお願いした
方が、トータル・コストは安くなります。
しかし、任せ切では不安もあり、不信感と誤解の元にもなります。
専門(事)業者を活用するに当たっては、その専門業務をある程度は
理解しておくことが必要です。
注:専門事業者=代行業者、通関業者、運送業者、金融業者、保険
業者、仲裁業者などの業者(営利を目的に事業を営む企業、個人)を
指すことにします。
2.輸入代行業者を活用しょう。
本書は輸入ビジネス志向事業者が本業を補完する事業として、外国
商品を輸入するために執筆したガイドブックです。すなわち、これま
で輸入ビジネスは門外漢であった実業者を重点的対象者としています。
これら業者は貿易実務に疎いのが一般的です。そういう状況の中では、
小口輸入などを手伝ってくれる輸入代行業者などの手助けが必要にな
る場合があります。
それら業者は、ジェトロ認定貿易アドバイザー協会、ジェトロ(東
京、大阪、主要都市の貿易情報センター)、ミプロ、商工会議所、各
種貿易支援機関や銀行、保険会社などを通じて紹介してもらうことも
106
出来ます。また、インターネットで検索することによって、業務委託
する業者を探し出すことも一つの方法です。
①小口輸入事業支援者
小口輸入事業支援者(代行業者)は、商社や専門輸入業者より規模
的に小さく、ワンマン企業など少人数のビジネス形態で、各々得意分
野があります。また、小物を中心とした輸入業務に強いと思われます。
小口輸入事業支援者自身が直接輸入する他に代行輸入、共同・協同
輸入などにも臨機応変で対応してもらえると思います。輸入ビジネ
ス・ノウハウも持っているので中小事業者が小口輸入する際は有効で
す。
②商社/専門輸入業者
総合商社や専門輸入業者は大量自社直接輸入が本業であり、小口輸
入は不得意な分野でしたが、近年は大手商社でも、この分野にも積極
的参入するようになって来ましたので、相談する価値はあります。ワ
ン・コンテナー輸入程度なら引き受けてくれるかも知れません。
③輸入コンサルタント
国際ビジネス・コンサルタントやジェトロ認定貿易アドバイザーは、
顧客(輸入者)の要望に応じて、各種サービスを展開しています。
ジェトロ認定貿易アドバイザー
貿易アドバイザーは、貿易実務やマーケティングなどに精通した貿
易実務のスペシャリストとして480名以上の人が全国各地で活躍し
ています。貿易アドバイザーはデータベース化されており、掲載され
たアドバイザーはいくつかの得意とする分野・業種・地域を持ってい
ます。相談したい内容にあわせて検索できます。
107
※ データベースに掲載されているアドバイザーは、ジェトロ認定貿
易アドバイザー試験に合格された方のうち、掲載を許諾された方
のプロフィールです。
※ 下記検索ページの利用にあたっては、利用者が必要に応じて自己
責任において適切なアドバイザーを検索し、利用できます。また、
問合せは下記へ
貿易アドバイザー協会(AIBA)
本
部
〒108-0071 東京都港区白金台 2-9-6 白金台光和ビル 6F
事務局
〒101-0021 東京都千代田区外神田 1-1-5 昌平橋ビル 2F
TEL: 03-3255-2477
URL:
FAX: 03-3255-2477
http://trade-advisers.com/index.asp
E-mail: [email protected]
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ジェトロの貿易アドバイザー制度
日本貿易振興機構(ジェトロ)は貿易取引についての実務経験と知
識・ノウハウを有する人材を認定する「ジェトロ認定貿易アドバイザ
ー制度」を設けています。この認定アドバイザー制度では全国的にバ
ランスの取れたアドバイザーを認定/配置すると共に地方の貿易関連
業者等に対し、貿易ビジネスの展開を図る上で的確な助言を行うこと
によって、地域レベルでの貿易促進に資することを目的とするもので
す。この制度についての問合せは下記まで、
ジェトロ人材開発支援課貿易アドバイザー試験事務局
TEL: 03-3582-4689
E-mail:
[email protected]
3.通関関連業者と仲良くなる。
①通関業者/乙仲
輸入品の入港から通関、荷主(輸入者)への引渡しまでの一切を引
108
き受ける業者を通関業者=乙仲、また、海貨業者(海上貨物取扱業者)、
航空貨物エージェント(IATA代理店=航空貨物取扱業者)の名称
で呼ばれ、海上貨物と航空貨物を取り扱う業者に分かれます。
乙仲は運送業、通関業、倉庫業を営むケースが多く、輸入品が荷揚
げされた後の一時保管から輸入通関、仕分、そして輸入者(荷主)の
指示による国内運送などの業務を一貫して実施する業者がほとんどで
す。
(本書では国内運送と国際間の運送を分け、国内を運送業者とし、
国際間を輸送業者として述べ区別しています。)
この一連の関連業務を通関業者に依頼した方が費用的に安く上が
りますし、時間的にも早く引き取れます。また、国際貨物取扱業者(海
上貨物、航空貨物)の多くは、海外各地に自社事務所や提携先を持っ
ているケースもありますので、現地の輸出者や商品の運送に関わる情
報を事前に教えてもらうことができます。
また、輸出者が輸送業者を指定する場合は、その業者と連絡を取っ
ておくことが何かと便利です。さらに、輸入商品やその数量、価格に
応じて、輸入貨物の通関費用が変わりますので、あらかじめ、明細を
通関業者に提示して見積りを取り付けておくことが必要です。
通関業を兼業している会社(乙仲など)の通関業者は営業所ごとに
「通関士」(許可条件)を常駐させなければならないので、輸入通関、
関税等に関する相談をすることも可能です。
なお、通関業務代行を依頼する場合は委任状、運送書類(B/L又
はAWB)、荷積み書類(インボイス、パッキング・リスト他)、保
険証券、許可書などを通関業者に引き渡しします。ただし、許可書等
は輸入者が入手する必要があります。
109
乙仲の由来
荷揚回漕業者で港湾輸送業者、船積代理業者、税関貨物取扱業者、
海上貨物取扱い業者の通称:戦前の定期船貨物の取次ぎをする仲介業
者を乙種仲立業=乙仲、不定期船を取り扱う業者を甲仲と言ったこと
に由来します。
㈳日本通関業連合会(Japan Customs Brokers Association)
URL:http://tsukangyo.or.jp/gaiyo.html
Tel:03-3508-2535
通関関連の図書も取り扱っています。
②運送業者/倉庫業者
国内物流の2翼を任あっているのが国内運送業者(国際宅配業者な
ども)と倉庫業者(物流センターなども)です。この2者が独自ある
いは提携してロジスティック=物流の大量輸送システムを形成してい
ます。現在、国内物流を取り巻く環境は物流サービスのグローバル化、
サービスの細分化、コンプライアンスの確保、労務環境の変化、道路
事情などで、これらのコストが商品価格への跳ね返り物流コスト比重
(率)が大きくなっています。物流業界は高価格構造と言われ、調達、
輸入(生産)、販売、物流などの供給活動を同期化させ、その改善を顧
客満足の充実、無駄な在庫の削減や移動の極少化、供給コストの低減
などに向けることにより、物流企業の競争力を強化し、企業価値を高
めることが求められています。
注:本書では運送業者を国内での荷物運搬事業者とし、輸送業者を
国外との荷物運搬事業者と区別し記述しています。
4.金融業者とは日頃から親しくしよう。
外国為替取扱い金融業者(外為銀行)は、輸入業務では輸入商品代
金の決済機関であると共に、輸入代金の貸し出し等も行っています。
110
外為銀行(取引銀行)では代金決済、外貨交換、信用状(L/C)開設/
発行、船荷証券(B/L)買取など外国貿易に関連するサービスも行って
います。輸入代金の決済、輸入資金のための運転資金の調達など、銀
行の世話になることは多くあります。
取引銀行に海外部門、または国際部門あるいは、取引相手(国)に
支店や事務所などを持つ銀行だと、取引相手先(国)の情報や取引上の
注意点などの情報提供、また実情を入手することも可能です。また、
実際の決済、その方法も含めて、アドバイスを受けることができます。
現地情報や相手先の簡単な調査なども実行してくれることも有ります。
銀行によってはその国の情報の多寡がある場合もありますが、事前に
相手国について詳しいかどうかを確かめましょう。
輸入に伴う金融業者の銀行業務については P.33 を参照してくださ
い。
5.輸入貨物保険業者を知る。
①㈳日本損害保険協会
海上貨物保険については下記の17社の輸入貨物保険会社及びそ
の代理店で保険を引受しています。相談も各社並びに下記の㈳日本損
害保険協会(SONPO)か、その代理店で受けしています。航空貨物保険
についても同保険会社で引き受けています。
②海上保険会社
海上貨物保険会社は、通常の国内貨物とは異なり、幾多の危険が発
生する恐れがある海外貨物に対するリスク軽減(リスクヘッジ)する
ための補償(保険)引受会社です。海上火災保険会社は輸入品に対す
る輸送上の貨物に対する海上貨物保険や輸入品に対する製造物責任保
険(PL保険)などの危険負担を引受しています。
111
各社の取扱窓口では、外航貨物海上保険業務の部門で、海上保険の
基本的な条件やかけ方、相手国に関する基本情報などの提供、相談に
乗ってもらえます。銀行同様、現地に支店や駐在員事務所がある保険
会社は現地からの新しい情報を得ることが出来ます。
あいおい損害保険株式会社
東京海上日動火災保険株式会社
朝日火災海上保険株式会社
日新火災海上保険株式会社
共栄火災海上保険株式会社
ニッセイ同和損害保険株式会社
ジェイアイ傷害火災保険株式会社
日本興亜損害保険株式会社
スミセイ損害保険株式会社
富士火災海上保険株式会社
セコム損害保険株式会社
三井住友海上火災保険株式会社
セゾン自動車火災保険株式会社
三井ダイレクト損害保険株式会社
株式会社損害保険ジャパン
明治安田損害保険株式会社
大同火災海上保険株式会社
③保険の種類
国際取引の過程においては、日本国内で完結する国内取引と比較し
て、とても多くのリスクがあります。相手国に対するリスク、製品輸
送に対するリスク、製造物に対する製造物責任(商品)リスクなど、
があります。そのリスクをカバーする保険として以下の3種類があり
ます。
・海上貨物保険
輸入で保険をかけるといえば、一般的にはこの海上貨物保険を指し
ます。貿易が海上輸送から始まったために海上保険といいますが、も
ちろん、航空輸送の貨物でもカバーされる輸送中の製品に対する保険
です。取扱いは一般の損保会社やその代理店が行っています。
112
保険期間
保険会社(保険者)が損害などを補償する期間を保険期間といいま
す。
外航貨物海上保険の保険期間は「貨物が保険証券記載の仕出地の倉庫、
その他の保管場所から搬出された時に開始し、通常の輸送過程を経て
証券記載の仕向地にある最終倉庫、その他の保管場所に搬入された時
に終了する」ことになっていいます。
下記の場合は、貨物がたとえまだ仕向地の最終倉庫に搬入されてい
なくともその時点で、保険は終了します。
★本船/航空機から荷卸し完了後 60 日(航空機の場合は 30 日)を経過
した時。
★通常の輸送過程上の保管以外の保管または貨物の仕分けもしくは配
送のために、任意の倉庫または保管場所に引渡された時。
戦争危険については、上記と異なり原則として貨物が陸上にある間
は担保されません。貨物を本船に積み込んだ時から荷卸しされる時(ま
たは本船最終荷卸港到着後 15 日経過した時点のいずれか早い時)まで
が保険期間となります。
保険金額
保険金額とは保険者(保険会社)が 1 回の事故について保険金を被
保険者(荷主)に支払う最高限度額を言い、CIF 価額の 110%とするの
が通常です。FOB 輸入の場合は、FOB 価額に I(保険)と F(運賃)を、
C&F 輸入の場合は、C&F 価額に I をそれぞれ加えて、CIF 価額を算出
し、これに 10%を加算した額で付保するのが通常です。
113
保険料率
海上危険の場合:保険条件、貨物の性質、状態ならびに荷姿、被保
険輸送区間、積載船舶、過去の損害率等を勘案して算出しています (保
険金額 100 円につき、いくらという形で表示します。)。特に、積載船
舶は重要な要素となります。東京海上日動は(1)1,000G/T 以上である
こと、(2)所定の船級を取得していること、(3)船令15年以下の鋼鉄
製の動力船に積載されること、を前提として料率を算出ています。
上記の要件を満たさない船舶積みの貨物については、割増保険料率
が適用される場合がありますので、積載船舶の良否には注意する必要
があります。
戦争・ストライキ危険の場合:戦争・ストライキ危険:戦争・スト
ライキ危険料率は世界情勢の変化により変更される場合が有ります。
本料率は原則、本船の積地出帆日における料率が適用されます。
外貨建保険
外貨建保険契約における保険料:保険契約者が本邦居住者の場合、
保険料の決済は、通常、円貨で行なわれていますが、保険金額が外貨
建で設定されている外貨建保険契約の場合には、算出された外貨表示
の保険料を円貨に換算しなければなりません。
保険金の換算率:この場合の換算率は、原則として、確定契約申込
み受付日または確定通知受付日の前日における三菱東京UFJ銀行本
店の電信売(T.T.Selling)相場の終値によります。また、上記の日に
電信売の建値がなかったときは、さかのぼって最も近い日の終値によ
ります。
一方、外貨建保険契約で事故が発生した時に保険金を円貨で支払い
する場合の換算率は、損害協定時のものを採用することになります。
契約時における為替換算レートを使用して算出された円貨の保険金の
114
額と、損害協定時の為替換算レートを使用して算出された実際支払わ
れる円貨の保険金の額とは、為替相場の変動により異なる可能性があ
り、場合によっては後者が前者を下回る可能性もあります。外貨建保
険契約を契約の際は、以上の点をあらかじめ了承する必要があります。
・製造物責任保険(PL 保険)
製造業者が生産した製品によって発生した消費者への損害の賠償責
任をカバーする保険です。日本への輸入品では、現状では輸入者が製
造物責任を負わなければならない立場にありますので、輸入ビジネス
においては PL 保険を考慮しなければなりません。取扱いは一般の損保
会社やその代理店が行っています。また、商工会議所等では中小企業
者向けに格安 PL 保険を用意しています。
中小企業者向け PL 保険:P.179 参照
・貿易保険
輸出入取引や海外投資における非常危険(不可抗力的な危険)と信用
危険(取引相手の問題による危険)をカバーする取引自体に対する保
険で、特に、国情が不安のある国との取引や投資において政府(経済
産業省)が保険者となっている保険です。運営は独立行政法人日本貿
易保険がおこなっています。
なお、あいおい損害保険、損害保険ジャパン、東京海上日動火災保
険、三井住友海上火災保険の民間損保4社も大企業向け貿易保険に
2007 年 4 月から参入する。中小企業向けは 2005 年 4 月より取扱って
いる。(P.111 参照)
115
6.国際輸送業者を知る。
輸送業者には船会社、航空会社(輸送機器所有)が頭に浮かぶ業者
ですが、船舶や航空機を自社で所有せず利用(輸送役務提供)するこ
とにより国際輸送する複合輸送業者、郵便局、宅配業者も輸送業者で
す。これら業者は顧客の要望に応えコスト、時間、仕入れ地、また、
商品の品質保持などの観点により、航空機/船舶/鉄道/トラック並
びに、郵便/宅配便/貨物便を使い分けビジネスとしています。輸入
者は何時までにその商品が必要か、また、どのような梱包荷姿にする
か、輸送費用はいくらかかるか、で輸送方法と業者を決定しましょう。
なお、輸入品が荷揚げされた後の業務(保管、通関、配達など)に
携わる輸入品の保管、荷捌きする倉庫業者、国内陸送業者及び通関業
務を行う通関運送業者を含む国内運送業者は別項で述べます。
①外航船舶会社
②国際航空会社
③国際複合一貫輸送会社
④国際宅配会社
⑤郵政公社<外郵>(郵便局)
世界の主要船社のフルコン船運航状況(2003 年末現在)
コンテナー積載数
船
社
名
国 籍
隻数
TEU
世界比
日 本 郵 船
日本
80
242,943
3.8
川 崎 汽 船
日本
63
199,213
3.1
商 船 三 井
日本
56
179,804
2.8
Marsk Sealand
デンマーク
293
851,814
13.2
Hapag-Lloyd
ドイツ
41
163,874
2.5
H-S(Hamburg-Sudamerikanische)
ドイツ
63
128,570
2.0
116
P&ON
英国
136
395,262
6.1
CP Ships Group
英国
67
178,449
2.8
Mediterranean Shipping Co
スイス
179
489,619
7.6
フランス
116
290,308
4.5
チリ
56
130,270
2.0
73
270,425
4.2
CMA(Compagnie Maritime
d'Affretement)
CSAV(Compania Sud Americana
de Vapores)
APL(NOL)
シンガポー
ル
Evergreen Marine Corp
台湾
146
440,247
6.8
Yang Ming Line
台湾
59
146,556
2.3
Hanjin shipping
韓国
76
291,637
4.5
Hyundai Marchant Marine
韓国
34
124,081
1.9
Orient Overseas Container Line
香港
48
173,542
2.7
COSCO
中国
94
221,403
3.4
China Shipping Container Line
中国
50
158,569
2.5
Zim Israel Navigation
イスラエル
78
173,779
2.7
1,808
5,250,365
81.5
1,258
1,195,377
18.5
3,066
6,445,742
100.0
小
計
そ の 他(上記 20 社以外の船籍数、TEU、その
割合)
合
計
TEU:Twenty Foot Equivalent Unit = 20 フィート・コンテナー換算単位
①海上輸送会社
日本の外航船会社は日本郵船(NYK)、川崎汽船(K Line)、
大阪商船三井船舶(商船三井:Mitsui OSK Lines)の3社が外国航
117
路を持って、世界各地の港を周航しています。輸送する貨物は日本の
3社の他に下記の海外船舶会社の船が輸送しています。また、貨物は
国際ハブ港といわれる大きな港湾で積み替えされに日本港に輸送され
ます。航路の航行日数などの目安を P.66 に紹介していますので参考に
してください。正確な日数/到着日などは直接船会社に確認するか、
通関業者(乙仲)などで確認してください。
日本船主協会会員は104社(2005 年 6 月 1 日現在)
②国際航空会社
国 際 貨 物 輸 送 航 空 会 社 は 運 送 人 / 運 航 者 ( Airline 、Carrier 、
Operator)とも呼ばれておます。航空会社の業務責任は運送約款にお
いて、貨物の損害について定めた責任の範囲であって、次の4原則か
ら成り立っています。
1)航空運送中の貨物事故についてのみ責任を負う。
2)航空会社は航空会社の過失により生じた貨物事故についてのみ責任
を負う。
3)航空会社の責任は一定期間を経過すると消滅する。
4)航空会社の責任は荷送人の申告価額又は無申告の場合、1 キロにつ
いて US$20.00 を最高限度額とする。
日本の国際航空会社(国際便保有)には日本航空と全日本空輸があり
ます。
Integrated Carrier/ Integrator
(インテグレイティド・キャリア/インテグレイター)
国際航空会社とフォワーダー双方の機能を持つ輸送企業のことで、
1970 年代の米国における規制緩和に伴って、フォワーダー自らが航空
機を運航することになったことから従来の航空会社、フォワーダーと
区別するために使われ始めました。
118
③国際複合一貫輸送会社
少量や小口の商業貨物の輸送は陸・海・空の輸送方法を活用した国
際郵便や国際宅配便が手軽ですが、大きさ、重量などの制約から、こ
れらが使用できない貨物について開発されたのが「国際複合一貫輸送」
の始まりです。
海陸の国際複合一貫輸送を行う複合運送人(Multimodal Transport
Operator)には、船会社の場合とフォワーダー(海貨業者)の場合があり
ますが、後者を船会社と区別して NVOCC(Non-Vessel Operating Common
Carrier=自身では船舶を運航しない運送人)と呼んでいます。両者は
複合運送書類として Multimodal Transport Bill of Lading あるいは
Sea Waybill または船荷証券(B/L)を発行し複合一貫輸送を行います。
国際複合一貫輸送では複合運送人が船会社、道路運送業者、鉄道、航
空会社等を下請運送人として使用して輸送(海陸の国際複合一貫輸送
を船会社が行う場合、海上輸送は船会社自身が行う。)を行いますが、
複合運送書類を発行したこれら複合運送人がその運送約款に基づき荷
主に対して運送責任を負います。
海空の複合一貫輸送は、NVOCC の主宰で行われており、空陸ではコ
ンソリデーターと呼ばれる航空貨物フォワーダーが行っていますが、
こ れ ら の 場 合 の 複 合 運 送 書 類 は 主 宰 す る 複 合 運 送 人 に よ り Air
Waybill か、Sea Waybill あるいは Multimodal Transport B/L を選択
されます。日本と海外を結ぶ国際複合運送事業者の団体として(社)日
本インターナショナル・フレイト・フォワーダーズ協会(JIFFA)
があります。
④国際宅配会社
海外から日本に少量の荷物(FedEx では最大 70Kg/個)を送る際は、
119
いわゆる宅配業者と呼ばれる業者を利用する方法が何かと便利です。
ただし、サービス網、荷物の集荷方法、大きさや重量の制限、料金な
ど、それぞれの業者に違いがありますので数社に問い合わせし、比較
してみてください。また、国内のこれら事業者は海外の事業者とお互
いに提携し、より広いグローバル・サービスを図っています。
・国際宅配便
(International Courier Service)
<国内業者>
郵便(EMS 等)
<国外業者>
ヤマト運輸(クロネコヤ
OCS
FedEx
マト)
西鉄航空
DHL
日本通運(ペリカン便)
阪神エアカーゴ
UPS
西濃運輸(カンガルー便)
鈴与
TNT
福山通運
山九
中国流通王
佐川急便
(Score
Express)
名鉄運輸
⑤郵政公社(郵便局)
郵便を利用した輸入方法もあります。なお、輸入に使用できる郵便
物の種類には以下の3種ですので、目的並びに商品などの条件で選び
ましょう。
・小形包装物
小形包装物 Petit Paquet 又は Small Packet は通常郵便物の取扱い
による小形の物品の運送を目的とするもので、実質的には、小包郵便
物に近いものです。
しかし、重量は2kg までに制限され、業務上の票符など、取扱いが
小包郵便物とは多少異なります。一般的な物品のほか、商品見本、船
120
積書類などの業務用書類、録音物(レコード、CD、テープなど)、情
報処理用のテープ、カード等は「小形包装物」として輸入することが
できます。
・小包郵便物
小包郵便物(連合小包、南アフリカ小包)は国際小包ラベルを使用
し、手紙のように通信の性質のあるもの以外の物品を送るための郵便
物です。万国郵便連合(万国郵便条約)の小包約定により交換される
もの(連合小包)と、二国間約定により交換されるもの(南アフリカ
小包)とがあります。
・国際スピード郵便物
国際スピード郵便物(EMS)は国際スピード郵便ラベルを使用し、
郵便物として送ることができる通信文、書類又は物品を最も迅速に、
しかも確実に送達するサービスです。引受及び配達を記録し、万一、
亡失等した場合には、損害要償額の範囲内で実損額が賠償されます。
送達方法
郵便物による送付(送達)方法には、より航空便、船便、SAL便
<海空併用>があります。どれを使うかは費用、時間的制約から選び
ましょう。
・航空便(Par Avion):航空便(Air Mail 等名あて国で通用する表
示も可)は票符又は青色又は黒色印されたラベルをはり、国内及び
国際間の運送に航空機を最大限利用して送達します。対象郵便物は
通常郵便物、小包郵便物です。
・SAL便(Surface Airlifted):SAL便(エコノミー航空便)は
121
名あて国までは航空輸送(航空機の搭載に際し一般の航空便よりも
優先度が低い。)し、本邦内及び名あて国内では船便郵便物と同様
に取り扱って送達します。対象郵便物は印刷物、小形包装物、小包
郵便物です。(いずれも、取り扱わない国があります。)
・船便:船便(Surface)は船舶や鉄道、自動車等の平面路により送達
する通常郵便物や小包郵便物に限定されます。また、これらには下
記の条件が付随します。
・大きさ重量の種類:通常郵便物、小包郵便物、国際スピード郵便物
(EMS)
・料金: 通常郵便物、小包郵便物 、国際スピード郵便物(EMS)、
及び特殊取扱い物、料金割引があります。
・禁制品:郵便物による郵便禁制品及び差出禁止品、条約等に基づく
禁制品、国際郵便としてお引受できない危険物があります。
その他:郵便物が事故にあったときの手続き、等については郵便局
に確認してください。
7.国際商事仲裁業者を知る。
国際間の商事トラブルは通常、裁判所では取り扱われません。一般
には国際商事仲裁業者(機関)としての㈳日本商事仲裁協会(JCCA =
Japan Commercial Arbitration Association)<会員制>が「国際取
引クレーム」の「調停、仲裁」の相談に乗ってくれます。また、日本
商事仲裁協会は、世界各国の43の外国ADR(Alternative Dispute
Resolution)機関と協力協定を結んでいる商事に関する仲裁調停機関
でもあります。
これら機関との協定の中には、各国の企業に対し相手方との取引契
約に仲裁条項規定を入れるように薦める機関もあります。日本商事仲
裁協会は同協会のサイトで、契約書の中に推薦仲裁条項などを紹介し
122
ています。日本商事仲裁協会の「商事仲裁規則」によって仲裁を行う
場合はまた、仲裁の際の仲裁条項として、
「この契約から、またはこの
契約に関連して、当事者の間に生ずることがあるすべての紛争、論争
または意見の相違は、
(社)日本商事仲裁協会の商事仲裁規則に従って、
(都市名)において仲裁により最終的に解決されるものとする。」(国
内、国際、民事、商事を問わず)の条項を規定することを勧めていま
す。また、協定によって仲裁を行う場合の条項なども紹介しています。
8.海外企業信用調査業者を知る。
輸入者は契約通りの商品を入手できるか不安です。輸出者も入金で
きるか不安です。また、輸入品は輸入地でのビジネスが制限されるこ
ともあります。いつ信用も喪失するかも解りません。従って、まず取
引先の最新の財政状況や取引条件などを確認することが重要です。
その取引相手の信用度を調査するのが海外企業信用調査業者でま
す。信用(度合)は時と共に変わります。最新の情報でビジネスする
ように心がけましょう。取引先の信用調査は、調査内容の詳しさの程
度はともあれ、取引上の必須条件とすべきです。信用調査では以下の
項目を知ることが出来ます。(P.63 参照)
①
資産、財政状態
②
営業能力、経験、取引量
③
品位、誠実性
④
経済事情等々
国内の大手の調査会社(興信所)<東京商工リサーチ、帝国データ
ーバンクなど>は海外企業のデータを独自に持っていないので、外国
の有力な調査機関と提携しています。有名な海外の信用調査機関は、
次の機関があります。
*ダン社
123
*ムーディーズ社
*スタンダード・アンド・プアーズ社
9.その他の業者を活用する。
①貿易情報提供機関、②信用調査会社、③紹介機関などの海外ビジ
ネス支援者はジェトロ(東京、大阪及び主要地方35箇所)以外に、
④中国貿易に関しては日中貿易情報センター、東南アジア諸国との取
引に関しては⑤アセアン・センターなどの各種貿易情報センターで紹
介してくれます。これらの機関の情報とサービスを利用することで、
より正確な現地情報や信用調査などの調査を行なうことが可能となり
ます。海外の貿易/経済情報は、ジェトロやジェトロの地方貿易情報セ
ンターを通じて収集可能です。また、⑥大都市の貿易協会、⑦地域の
商工会(議所)、⑧外国の経済公館などでも貿易情報を提供してくれる
し、無料の相談にも乗ってくれます。基礎的な情報収集の際や海外ビ
ジネス相談には有効です。また、インターネットでも簡単に探せます。
124
Ⅷ
貨物の輸送の実務を知ろう。
貨物を輸送する方法(海上輸送にするか、航空輸送にするか)は輸
入する「モノ」の数量/重量、時間的緊急性、商品の鮮度/季節的時
期、価格など各種要因により選びます。また、業者は一般貨物取扱業
者、宅配便取扱業者、郵便局、あるいは国際複合一貫輸送取扱業者な
どがあります。どの方法を選ぶかはトータル・コストから判断します。
また、輸送方法の手配は輸出者が手配するか、輸入者が手配するかの
方法に分れます。
輸送方法とその特徴
輸送方法
特
徴
取扱業者
貨物の
内容
(輸送機器)
海上輸送
主要な輸送を海路輸送すること
海上貨物取扱業者
一般貨物
(船舶)
・多量輸送貨物
宅配業者
宅配貨物
・小型貨物
郵便局
郵便貨物
主要な輸送を空路輸送すること
航空貨物取扱業者
一般貨物
・少量輸送貨物
・小型貨物
宅配業者
宅配貨物
・迅速輸送貨物
・高額商品
郵便局
郵便貨物
航空輸送
(航空機)
・大型貨物
複合輸送
陸路・海路・空路を有効に使い
主に海上貨物取扱業
一般貨物
(船舶、鉄
輸送すること
者が提携してコンソ
宅配貨物
道、航空機、 ・大型内陸輸送貨物:陸海輸送
等)
ーシアムを形成する
・中型内陸輸送貨物:空海輸送
企業体
・小型内陸輸送貨物:陸空海
郵便局
郵便貨物
125
1.海上輸送の基礎を知る。
船会社には安定的船舶の運航、長期的一定料金、貨物の安全のため
の団体を航路別に編成し、協調を図っています。
海上(海路)輸送は大量輸送に向いています。小量でも可能ですが
ミニマム・チャージ(最小単位価格)があると共に、梱包条件などで
費用がかさむこともあり、少量は割高となります。現在はこれを解決
する策としてLCL貨物をフォワーダー(通関業者など)が集めFC
L貨物にして、荷揚地で小分けし、各荷主(輸入者)へ渡すシステム
で、輸送料金を下げる方法がとられています。
このシステムは国、地域によりますので、通関業者に確認してくだ
さい。また、船会社名、船籍<船の国籍>、船齢/船級<船の年齢>に
より運賃もかなり違いますので、どの船会社の便に乗せるかで輸送コ
ストもかなり変わってきます。海上運賃が安くても保険料が高いケー
スも出ますので、比較確認しましょう。近年はほとんどがコンテナー
専用船になっていますので、梱包の大きさ、上積み耐性などにも配慮
します。嵩張る物(大型物)、バラもの、特殊貨物などにはそれ専用の
船舶もあります。例えば、バラ積貨物専用船のバルク船、一般大型貨
物の在来貨物船、天然ガスのLPG専用船、車両関連の自動車専用船
などがあります。また、冷凍船もあります。
①運賃同盟船と盟外船とは、
北米航路、欧州航路或いはオーストラリア航路などでは船会社間で
運賃協定(運賃同盟/海運同盟)を締結しています。協定を結んだ船会
社の船を同盟船と呼んでいます。同盟船の場合は一般的に運賃が割高
ですが、便数が多い、航海日数が早い、船会社がしっかりしているな
どの利点があります。
日本の船会社3社は同盟に加盟しています。一方盟外船(同盟に加
126
入していない船会社の船)として中国、台湾、韓国、ロシアなどの船
も就航していますが運賃が安い代わりに便数はあまりありません。
老朽船が多くリスクが高く、航路によっては寄港地が多く航海日数
が長い、保険料が高いなどの欠点があります。盟外船は本船まるごと
借り上げなどの特殊な場合に利用されることが多くあります。輸入者、
輸入品などの事情で船積みする船(会社)を決めます。
定期的にかなりの貨物が有る場合は船会社と交渉し、安くしてもら
うことも考えましょう。運賃の割合が高いような商品は少しの運賃差
でも商売の採算に影響しますので、こまめに交渉しましょう。
海運同盟/運賃同盟
Shipping Conference/Freight Conference
定期船サービスは中長期に船舶の運航を固定する必要があります
が、一方で経済情勢や季節により、即ち貨物量需要が著しく増減する
のは不可避という事情があります。一般に複数の船社が同一定期船サ
ービスを競争しつつ提供していますので、完全な自由競争では貨物減
少時にダンピング合戦となる危険があります。
こうなると、船会社の経営存続が危うくなり、輸送サービスの安定
性も損なわれ、貿易の発展に大きな障害となってきます。そこで、多
くの国では海上輸送に関して運賃カルテルを容認しており、同一航路
で定期船サービスを提供する船会社が海運同盟あるいは運賃同盟など
を結成し、運賃カルテルによるタリフ(運賃表)を同盟で決めること
が一般的となっています。
②輸入品はコンテナーで輸送される。
荷主(輸出者=Shipper)が貨物を輸出する場合コンテナイー船に積
むのが一般的です。その詰め方によりFCL貨物とLCL貨物と詰め
る業者による輸出者詰め、輸送者詰め、フォワーダー詰めがあります。
127
・FCL貨物
荷積地で売主(輸出者)が自らコンテナー詰め(Shipper's Pack)
を行う方法で、船会社から20フィート又は40フィートの空コン(テ
ナイー)を借り受け、詰めたコンテナーはコンテナイー・ヤード<置
き場>(Container Yard:CY)へ搬入/封印され、船会社に引き渡さ
れます。荷揚地では買主(輸入者)が通関後CYでコンテナーを受け
取るものです。この際、内容品の種類、数量、各個の重量、容量及び
総重量を記載したリスト(Container Load Plan)を船会社に提出します。
このコンテナー単位の貨物をFCL(Full Container Load)貨物と言い
ます。
・LCL貨物
貨物の量が1コンテナーに満たない(小口の貨物)場合の売主(輸
出者)は、船会社指定のCFS(Container Freight Station)<貨物
取扱駅>)に貨物を持ち込み、船会社が他の荷物と混載してコンテナ
ーに詰め、買主(輸入者)は荷揚地のCFSでその貨物を受け取るも
のです。
このコンテナー単位の貨物をLCL(Less than Container Load<
コンテナー1本に満たない貨物>)貨物と言います。
・フォワーダー詰めFCL貨物
LCL貨物は船会社が小口貨物をまと詰めする方法ですが、フォワ
ーダー(通関業者など)が小口貨物を集荷して荷積地でFCL貨物にし
て詰め、荷揚地のCYでそのフォワーダーが貨物を各荷主(輸入者)
に引き渡す方法です。
128
③船舶用コンテナーの種類を知る。
船舶用コンテナーは長さにより、20フィート・コンテナーと40
フィート・コンテナーの2種類に大別できます。また、貨物の荷姿な
どにより一般貨物を詰めるドライ・コンテナー、冷凍冷蔵貨物を積む
リーファー・コンテナー、液体を運ぶタンク・コンテナー、バラの穀
物などを運ぶバルク・コンテナー、天井が無いオープン・トップ・コ
ンテナーなどのコンテナーがあります。
よく使われる密閉型20フィート・コンテナーの場合、重量では約
18トン、容積では約30立方メートルが最大の積載量です。密閉型
40フィート・コンテナーの場合、重量では約27トン、容積では約
67立方メートルが積載可能です。従って、重量物は20フィート・
コンテナーが有利です。また、容積では40フィート・コンテナーが
有利です。しかし、40フィート・コンテナーは積載容量も大きく有
利ですが、日本の内陸部までコンテナーのままの輸送は日本の道路幅
や車両制限で通行できない場合がありますので、気を付ける必要があ
ります。また、米国の様に最大積載重量を定めている国もあります。
④船舶用コンテナーのサイズは定められている。
コンテナー・サイズ
規格
内側寸法
扉開口寸法
単位
20フィート
40フィート
長さ(m)
約 5.9 m
約 12.0 m
幅
(m)
約 2.3 m
約 2.3 m
高さ(m)
約 2.2 m
約 2.2 m
幅
(m)
約 2.3 m
約 2.3 m
高さ(m)
約 2.1 m
約 2.1 m
約 30.0 ㎡
約 66.5~68.1 ㎡
約 2.3~1.6 Ton
約 3.4~2.9 Ton
内容積
(立方米)
自重
(Ton)
129
最大積載重量
(Ton)
約 18.0~18.7 Ton
約 27.0~27.5 Ton
米国の荷積制限
<例>
TriAxle
ReferCon.17.67Ton
15.87Ton
⑤船荷証券(B/L)の役割を知る。
船荷証券(オーシャンB/L=Ocean Bill of Lading)は輸出者(荷
主/売手)から海上輸送人(船会社)が輸出貨物を受け取ったことの
証として B/L を発行し、指定港で B/L の正当な輸入者(荷主/買手)
に当該運送貨物を引き渡す義務を負う証券です。
従って、この証券は売買の対象になる一種の有価証券でもあります。
(航空貨物の場合は有価証券とはなりません。)法律上は輸出者の申告
に従って、船会社が輸送貨物の種類、個数、容積、重量、記号、外観、
その他必要事項を記載した B/L を発行します。発行された B/L は記載
事実が異なっても善意の B/L 所持人に輸出者は賠償責任を負うことに
なります。海上貨物の決済(代金と貨物の引渡し)は輸入品の受け渡
し時期の関係から現物の輸入品を引き渡す代わりに、有価証券である
B/L(船荷証券)の授受を以て輸入品代金と輸入品の受渡しとなります。
また、輸入者は B/L に裏書きし、需要者にその貨物を引き取ることも
出来ます。B/L は有価証券としての機能のほかに、輸入品の受領証や
運送契約を表す証拠書類としての機能も持っています。
⑥海上運賃は変動する。
現在の海上運賃(Freight)は荷主協会(大手輸出者)と船会社が
協定した運賃表が表定運賃<タリフ>(Tariff Rate)として一般輸出
者の運賃としても適用されています。同時に、確立されたスケジュー
ルで長期的に安定した海上運賃(率)を輸出者に提供することになっ
ています。バース・タームの海上運賃には積み地/揚げ地での荷役料を
含みます。
130
バース・ターム(B/T:Berth Term)
海上運送に際して、船会社が本船荷役についてどこまで船会社の作
業を提供するかを定める一つの区分方法です。すなわち、積み出し港
においてはテイクル(クレーンの鉤)で荷物をつり上げるところから、
揚げ地で同じくテイクルでつり下げ終わるところまで船会社が船会
社の危険負担と費用負担をする条件です。
・国際市況変動加算運賃
本来は、タリフで完全に安定した運賃を提供されるのが望ましいこ
とですが、国際経済情勢の激変により、船舶運行コストに大幅変動を
生じることがあります。
その内の大きな要素として燃料と為替があります。そのコスト変動
を収受する運賃で調整するものが CAF、BAF と言います。BAF とは、
Bunker Adjustment Factor(燃料費調整係数)の略で、燃料(重油)価格
の変動に対して調整される割り増し料金のことです。別名 Bunker
Surcharge とも呼びます。
CAF とは、Currency Adjustment Factor(通貨変動調整係数)の略で、
為替レートの変動に 対し調整され る割り増し料 金を意味します。
Currency Surcharge とも呼びます。
通常、タリフと同じようにトン当たり何ドル、またはコンテナー当
り何ドルという形で決められています。この二つ以外にも、特定港の
船混みによる滞船長期化があると Congestion Surcharge(船混み割増)、
ある季節だけ貨物量が激増したときに Peak Season Surcharge(ピー
ク・シーズン割増)などが臨時に設けられることがあります。これらも、
CAF、BAF も、一般には同盟で一律に決められます。
131
⑦海上運賃は前払いが原則である。
海上運賃の支払は前払い(Freight to be prepaid)と後払い(Freight
to collect)に大別できますが、その支払い時点での違いで、さらに
4種に分類できます。通常はB/L発行時に現金(前払い)で支払い
ます。船会社との取決めで「前払い運賃はいかなる場合でも返還しな
い。」
(Freight to be discountless, non returnable, ship and/or cargo
lost or not lost)となっている場合は、荷主(輸出者あるいは輸入
者)は運賃にも付保する必要があります。
日本の商船隊
日本の外航海運会社は、現在、大阪商船三井船舶、日本郵船、川崎汽
船の3社が全世界の航路で活躍しています。また、各社は海外の船会
社とアライアンスを結成し、グローバルなサービスを展開していま
す。
⑧日本/世界の主要港間の所要航海日数を知る。
日本の主要港から世界の主要港までの航海日数はおおよそ下記日
数を見込んでおきましょう。ドア to ドア条件の輸送ではさらに 10~
20 日間を加算して考えます。また、本船や積替え便、経由港などの条
件により、航海日数が変わりますので、取り扱い通関業者に確認しま
しょう。
⑨どこの港で荷揚げするか。
日本の中枢国際港湾(コンテナー港、国際ハブ港)として東京港、
横浜港、千葉港、川崎港、名古屋港、四日市港、神戸港、大阪港、関
門港(下関港、北九州港)、博多港の 10 港湾があり、中枢国際港湾の
機能を補完すると共に地域へのコンテナー輸送(フィーダー輸送)に対
応したコンテナー・ターミナルを保有した港湾、中核国際港湾8地域
132
8港湾があります。さらに特定重要港21港湾が全国各地にあります。
・荷揚地のコスト・バランス
輸入者が荷揚げ港湾を選ぶにあたって注意を要することとして、以下
のことを考慮する必要があります。
東京港、横浜港、大阪港、神戸港などの中枢国際港湾(コンテナー港、
国際ハブ港)になぜ輸出入が集中し、立派な港湾施設でありながら地
方港の輸出入は少ないか。を考えてみる必要があります。その理由に
は①コストと②迅速性に主な要因があると思われます。
また、ハブ港に輸出入が集中する要因(荷揚げ要因)には、船社側の
トータル・コストと荷主側のトータル・コストにより運賃があります。
船主側のトータル・コスト:輸出/輸入の船腹充足率(容積)に伴う
運賃設定、例えば、輸出の船腹充足率が100%に近ければ50%よ
りも半分程度に運賃は安くできます。しかし、輸入の船腹充足率が5
0%に近ければ100%よりも2倍程度高くなると考えられます。従
って、海上運賃はこの輸出入量のバランスで、決まります。
世界の航路と航海日数
航路
地域/国名
航海日数
北米航路
ハワイ
10
米国東海岸
25~30
ニューヨーク
27
米国西海岸(カナダ)
15~20
ロスアンゼルス
11
サンフランシスコ
20
パナマ
30
中米航路
133
南米航路
東アジア航路
東南アジア航路
オセアニア航路
欧州航路
中東地域航路
アフリカ航路
グアテマラ
40
アルゼンチン
40
チリ
45
ブラジル
45
パラグアイ
50
韓国
3
中国
3~10
台湾
5
フィリピン
18
タイ
10
シンガポール
10
スリランカ
20
バングラディッシュ
25
ニュージーランド
25~35
オーストラリア
25
イギリス
25~30
フランス
30~40
北部
30~40
ドイツ
30
大陸
40~45
地中海地域
30~45
UAE
20~40
サウジアラビア
40~55
チュニジア
45
ケニア
50
コートジボアール
55
ナイジェリア
60
134
荷主側のトータル・コスト:海上運賃+運送費/輸出入共に理想的な
荷物の料が一定であれば最小コストに設定できることとなります。国
内陸上運賃(又はフィーダー転送費)
ハブ港までの運賃と国内陸上運賃が輸入者までの地方港の外航運賃と
の差がどのようになるか、です。
例えば、米国のシアトルから仙台市(輸入者)まで、木材をワン・コ
ンテナー輸入する際に、東京湾で荷揚げし、トラック、鉄道又は内航
船で仙台に転送する場合のコストとダイレクト仙台港に転送し、通関
する際の転送コストの比較です。
迅速性:輸出入のバランスで便数と航行スピード(寄港地の増減)が
増減します。また、便数が多ければスケール・メリットによる通関コ
ストも低減につながります。中枢国際港湾では比較的そのバランスが
よいことがあります。
荷主側にとって、迅速性は、輸送コストはおろか、販売計画、利益な
どに影響する問題であります。地方港湾では輸出/輸入の船腹充足率や
バランスの悪さ、便数の少なさから来る不便さ、税関の経験度の違い
による通関スピードの遅さがあると思われます。
ただ、地方港湾近くの輸入者にとっては国内送料の軽減には有効です。
また、土地代が安いこともあり倉庫料、港湾に於ける各種経費が公的
に軽減される場合が考えられます。また、地域の内陸通関拠点(イン
ランド・デポ)を使えば下記の点で有利です。
・関税の留保、・取引きの円滑化、・スピード化、・送料の削減、・倉
庫賃の軽減、・管理の効率化、・検査対応の容易さなどがあります。
注:東京から九州までの陸上輸送費(国内送料)は米国シアトル港か
ら東京港までの海上運賃に匹敵すると言われています。
迅速性においてはダイレクト配船数が少ない、通関に手間取る(専門
135
港で通関し、フィーダー輸送されます。または陸上輸送されます。)
⑩コンテナー・フィーダー・サービス
外航船が寄港しない港(国内港)へは内航船でのコンテナーの転送
(フィーダー輸送)サービスがあります。その際、中核港湾を日本の
国際ハブ港と呼びます。
⑪アジアの主要港湾には、
アジアには世界的に有名な香港、シンガポール、釜山(韓国)、高
雄(台湾)、上海、新圳(中国)、ポートケラン(マレーシア)、マニラ
(フィリピン)、青島(中国)、レムチャバン(タイ)、タンジュン・プ
リオク(インドネシア)、基隆(台湾)、コロンボ(スリランカ)があ
ります。
また、そのうちの巨大なシンガポール港、プサン港、高雄港などは
国際ハブ港と呼ばれ、これら有名国際港湾は一般国際港湾間のコンテ
ナイー転送(フィーダー・サービス)が重要なサービス業務となって
います。
⑫コンテナー・ターミナルの役割とは、
コンテナー・ターミナルとはコンテナー船が着岸しやすく、かつ、
効率的な荷役ができる港湾施設を言います。日本にはコンテナー・タ
ーミナルを保有する港湾は18ヶ所あります。
また、大型船の就航に伴い大水深港湾施設(水深13メートル以上)
の要求も強く、日本では中枢国際港湾(国際ハブ港)として新・北九
州港(大水深岸壁:水深13メートル)などがその条件を備えていま
す。
一方、コンテナーのままでの国内輸送は日常化している中で、道路
136
の混雑、高速道路料金の高さなどから陸上輸送料の商品価格への跳ね
返りが、大きな問題となっています。
⑬内航輸送と陸上輸送
内航船は、国内の貨物(内貨物<ないかぶつ>)を積んで国内だけ
を航海する船で国内輸送量の約40%(トンキロベース)を運んでい
ると言われれています。
特に、石油製品や石灰石、鉄鋼、セメントなどの産業基礎物資につ
いて見ると、その80%以上を運んでいます。
工業製品は一般貨物船、自動車は自動車専用船が運んでいます。
さらに、RORO 船(貨物フェリー)は、国内各地を結び、荷物を積ん
だトラックやトレーラー(又はトレーラー部分のみ)をそのまま積み
込んで輸送しています。
最近は高速化が進み、北海道や九州で収穫された新鮮な野菜や牛乳
が、貨物フェリーとトラックを活用し、その日の内に東京や大阪に届
けられているケースもあります。
その他にも、内航船には輸送する貨物に応じてさまざまな種類があ
ります。また、内航船や鉄道は、少ない燃料で大量の貨物を運ぶこと
ができることから、環境に優しい輸送手段として注目されています。
・陸上トラック運送費の目安
国内陸上運送費とはコンテナーヤードと荷主の倉庫との間のコンテ
ナー運送料金です。貨物自動車運送の料金は、以前は認可制でしたが
現在は事後届出制となっており、その額を把握することは極めて困難
です。下記表は目安として旧許可料金を参考にして計算したものです。
137
陸上トラック賃の目安
往復運送距離
(Km)
旧認可料金(円)
20ft
40ft
陸上運送費
(円/TEU)
5
16,990
26,130
7,187
10
21,140
30,990
8,688
20
25,050
38,710
10,627
40
34,900
54,150
14,842
50
39,800
61,870
16,945
60
44,730
69,580
19,052
80
54,560
84,990
23,258
100
64,410
100,440
27,475
6,000円+200円×距離(Km)=配達国内料金
138
2.航空輸送の基礎を知る。
航空業界にも船会社の同盟のような団体としてIATA(国際航空
運送協会)があります。航空機を使う貨物は海上貨物に比べ、輸送に
伴う期間(時間)が極端に短いが、輸送費が極めた高い。従って、少
量の貨物、相対的に軽いもの、高価格品、緊急貨物などの輸送が対象
物になります。
なお、空港(税関)によっては輸入実績がない品目、また不得意な
分野などが有り、別の空港での通関や通関日数を要することもありま
すので、到着予定の空港の税関や通関業者に事前に確認しましょう。
①IATA国際航空運送協会と IATA 代理店を知る。
・IATA
I A T A ( 国 際 航 空 運 送 協 会 International Air Transport
Association)は世界の民間航空事業(乗客便、貨物便)にたずさわる
定期航空会社の世界的団体です。1979 年 10 月に通貨規則運賃及び運
賃調整会議などが設けられました。2005年現在の加盟航空会社は
約260社(運航の94%を占める。)になっています。IATA は安全、
確実、かつ経済的な航空運送を発達させ、航空による貿易を推進し、
これに関する問題を研究しています。また、IATA は業者間の協力機関
としての ICAO(国際民間航空機関=International Civil Aviation
Organization)やその他の国際団体と協力することも目的としていま
す。
・IATA代理店
IATAには IATA の代理店免許を受けた航空貨物代理店(IAT
A代理店 IATA Agent)があります。IATA 代理店は国別認可となってい
139
ます。認可を受けた国で営業している航空会社の貨物輸送の業務を請
け負う代理店となる資格が出来ますが、業務を請け負おうとする航空
会社の指定を受け、航空運送状(AWB=Air Waybill)の発行者番号を
受けることが必要となります。指定を受けると売上代金支払いについ
て最 大 45 日 の 支払 猶 予を 受 ける 権 利 を有 す る 上に 、 Airfreight
Charges + Valuation Charges の 5%の貨物販売手数料を受け取る権利
が発生します。また、IATA の航空貨物賃率は重量逓減制をとっている
ことから、混載業者は貨物を混載し、高重量にまとめることによって
運賃の差益を得ることができます。
日本では混載貨物を取扱う業者をフォワーダー(Forwarder 利用航
空運送事業者)又は混載業者(Consolidator)ともいい、運輸大臣の
許可業者です。
②航空運送状(AWB)の役割を知る。
航空貨物には船荷証券(B/L)と同じような航空運送状(AWB)があり
ます。この航空運送状(AWB)は Air Consignment Note(航空貨物輸送請
負書)と同義語で、荷送人(輸出者)により、または荷送人に代わって作
成された非譲渡証券で、航空会社が受託貨物を運送するため、荷送人との
間で契約を結んだことの証明書です。これは世界的に統一された様式です。
この 航空運送状は航空会社の指定を受け、発行者番号を受けた IATA
代理店が発行します。航空運送状の 主たる役割は次の通りです。
・運送契約の証拠書類であること。
・運送物品の受領書であること。
・運賃/料金の請求書となること。
・保険の証明書となること(航空会社の荷主保険が付保された場合)。
・税関申告の書類となること。
・航空会社に対する運送品の取扱い、発送、引渡しに関する荷送人(輸
140
出者)
の指図書となること。
航空運送状は混載業者が混載貨物を取り扱う場合、混載貨物を 1 件
の貨物として航空会社に引き渡す時に発行する運送状(Master Air
Waybill)を特定化していいます。
・Master B/L
混載運送状(混載原票) House Waybill 又は混載目録 House Manifest
は混載業者が自己の運送約款にもとづいて、荷主 (輸出者)と運送契
約を締結の際に発行する航空運送状で IATA 航空会社の統一様式と、
FIATA 様式のものもがあります。Master B/L は混載業者が混載運送状
に基づいて作成した運送目録です。
・House B/L
混載業者が混載貨物 Consolidated Cargo(荷主が複数の貨物)で輸
送し、到着後、各荷主へ連絡する際のAWBとして使用します。着地
では貨物の仕分けのため、自ら又は契約先を仕分け代理店とするため、
貨物の宛先地はおのずと限定されます。なお、航空会社と運送契約を
締結する時発行する航空運送状は、IATA 航空会社の運送状で、IATA
代理店によって発行されます。
③航空貨物にもコンテナーがある。
船舶用コンテナーと同様に航空機用コンテナーもありますが、航空
機用コンテナー(Freight Container)は航空機の機腹の種類により異
なります。また、コンテナーはISOで定義されています。航空法に
おけるコンテナーは、航空機の構造物の一部と見なされ、耐空性証明
(Air Worthiness)が求められ、航空局の検査に合格したもののみが航
141
空機に搭載できます。
④航空機用コンテナーのサイズは定められている。
大 型 航 空 機 の 下 部 貨 物 室 用 コ ン テ ナ ー ( Lower Deck < LD >
Container)は、Half Width と Full Width のタイプがあります。Lower
Deck(下部貨物室) に対して貨物専用機の主部貨物室(旅客機の旅客
部分に相当)のことを Main Deck といいます。更に B-747F では Upper
Deck(2 階客室)があります。貨物室のドアサイズ、貨物室の大きさ、
位置等から貨物室の搭載可能な貨物は限界があります。
⑤混載貨物とはどんなものか。
IATA 代理店(利用航空運送事業者)が、自己の運送約款にもとづい
て、航空会社の公示賃率より安い賃率で不特定多数の荷主から集荷し
た貨物を同一仕向地あてに一括し、自ら荷送人として航空会社と運送
契約を締結し、運送される貨物(House AWB 発行)を混載貨物と言い
ます。前記②参照
⑥混合貨物とは、
一件の航空運送状で運送される一個又は一個以上の梱包から成る
貨物で、その内容品の賃率がそれぞれ異なる貨物を含む荷物です。な
お、この混合貨物(Mixed Consignment)には別送手荷物並びに危険物、
自動車、貴重品、動物、遺体遺骨、外交行嚢(のう)、は含んではなら
ないことになっています。
⑦航空機の就航地
・日本の国際空港
日本の国際空港は海外の巨大国際空港に比べ、かなり規模が小さく、
142
滑走路の数も少なく、距離も短いです。しかし、成田、中部、関空は
比較的市街地から近い距離にありますので輸入者の利便性については
優れているとも言えます。
一方、日本の国際空港の着陸料は世界で最も高いが、乗り入れ待ちの
航空会社は30社以上あるというのが日本の国際空港の特徴といえま
す。
第一種空港:
国際航空路線に必要な飛行場
東京国際空港(羽田空港)
成田国際空港(成田空港)
中部国際空港(セントレア・中部空港)
大阪国際空港(伊丹空港・大阪空港)
関西国際空港(関西空港)
第二種空港:
主要な国内航空路線に必要な飛行場
この第二種には更に、(a)、(b)の区別があり、国が設置し管理す
る空港が(a)、国が設置し地方自治体が管理する空港が(b)と定めて
います。
北海道:新千歳空港、旭川空港、稚内空港、釧路空港、
帯広空港(とかち帯広空港)、函館空港
東
北:仙台空港、秋田空港、山形空港
中
部:新潟空港
近
畿:八尾空港
中
国:広島空港、山口宇部空港
四
国:高松空港、松山空港、高知空港(高知竜馬空港)
九
州:福岡空港、新北九州空港、長崎空港、熊本空港、
大分空港、宮崎空港、鹿児島空港
沖
縄:那覇空港
143
⑧コンテナー/パレット輸送システム
航空貨物にも海上貨物の FCL/LCL のような梱包輸送システムとし
て、航空会社所有の規定パレット<荷物台>やコンテナー<荷物箱>
がある。単一梱包された貨物をこれらに積付け航空会社に搬入(Pallet
Loading、Container Loading)し、着地においてパレット/コンテナー
単位で輸入者(買主)に引き渡される輸送システムがあります。これ
は IATA 代理店にとって有利なビジネスの一つです。しかし、日本発に
は適用されていませんが、日本着にはあります。
これらパレット/コンテナー単位に対しては割引制度があります。
航空機用パレット/Pallet とは貨物専用機等の大型機の上部、下部貨
物室等搭載用具で、全体がアルミニュームで出来たもので、主たる機
能は、個々の貨物をパレット平面上に積載し、荷役機械を用いて航空
機 に 搭 載 す る こ と で す 。 貨 物 専 用 機 の B-747F で は Main Deck
Compartment にパレットを 29 枚、Lower Deck Compartment に最大 9
枚を搭載することが出来ます。旅客大型機の下部貨物室にも所定の枚
数のパレットを搭載することが出来ます。航空輸送の場合は荷物(輸
出貨物の梱包荷姿の)大きさ等に注意が必要ですので、航空会社や
IATA 代理店に確認してください。
⑨バラ積み貨物
単一梱包されていないバラの貨物 Bulk Loading を搭載するシステ
ムもあります。Pallet Loading、Container Loading に対する語です。
航空貨物運賃はパレットやコンテナーに積付けられた貨物の重量
が一定重量に達するまでは定額であり、一定重量を超えると超過料金
が 加 算 さ れ る パ レ ッ ト ・ コ ン テ ナ ー 単 位 料 金 Bulk Unitization
Charges (BUC)制が取られています。パレット・コンテナーの単位料金
は種類別に定められています。この両方の余力を利用して IATA 代理店
144
はビジネスを行っています。なお、混合貨物は高い商品の運賃率が適
用されますので、割高となります。
⑩航空貨物ターミナルの役割とは、
航空機輸送による輸入貨物の荷捌きは船舶貨物による荷捌きと比
較して広大な敷地を必要としませんので、空港内あるいは空港近くに
デポ・センター(航空貨物ターミナル、エアカーゴ・ターミナル)な
どを設け各社仕分けしています。
また、内陸部では公共のデポ・センター(基本的には保税地域)を
設けているところもあります。
⑪航空貨物運賃は細かく分かれている。
航空貨物運賃には重量料金(Weight Charge)、従価料金(Valuation
Charge)、容積料金(Volume Charge)、最低料金(Minimum Charge)や
着払い運賃(CC)と前払い運賃(PP)などがあります。
・重量料金
重量料金(Weight Charge)は貨物の重量に基づいて算出される運
送料金です。
通常は重量を段階ごとに何種類かの運賃に分かれており、重量が重く
なるほど、1 キログラムあたりの運賃は安くなる構成となっています。
・従価料金
従価料金(Valuation Charge)は、高価な貨物を航空会社が運送す
る場合に負担しなければならない危険を、価格に応じ運賃の形で荷主
に分担していただくという考えに基づくところの貨物運賃です。荷送
人(輸出者又は輸入者)は、全貨物の価格を申告しなければなりませ
145
んが、この貨物申告価格(Declared Value for Carriage)が、貨物 1kg
当たりについて US$20を超える場合には、従価料金が課されます。
なお、無申告 N.V.D(No Value Declared)は1つの申告とみなされま
す。荷送人運送貨物に対する申告価格の US$20/Kg を超える部分の
金額に対して0.75%の従価料金が課されます。
・容積料金
容積料金(Volume Charge )は、貨物の容積にもとづいて算出され
る運送料金をいい、6,000 立方センチメートル(約18cmの立方体)
を 1 キログラム、166 立方インチ(約5.5cmの立方体)を 1 ポン
ドとして容積=重量に換算(容積重量)しています。この結果、容積
重量(M/T)が重量(G/T)より重いと、容積重量を重量として適用さ
れます。
・最低料金
最低料金(Minimum Charge)は 一件の貨物に対し、適用賃率に貨
物の実重量(または容積重量)を乗じた結果、一定額に達しない場合適
用される際の最低の料金です。最低料金は、運送地域または地区間ご
とに設定されています。
・着払い運賃(CC)と前払い運賃(PP)
着払い運賃(CC=Charges Collect)は Freight collect 又は Charges
forward
/ Carriage forward と同義語で、航空運送状面記載の輸入者から取立
てる(料金欄に記載)料金を言い、運送料金およびそれに付随する料
金があります。
運賃及び従価料金を着払扱いとした場合、運賃と従価料金を合計した
146
額に対し、着払貨物取扱料が課されます。
この取扱料は輸入地において計算し輸入者より徴収します。取扱料
の算出は日本着の場合、運賃と従価料金の合算額の5%又は最低料金
3,000 円が、運送状の due carrier 欄に記入される。
前払い運賃(PP=Charges Prepaid) は航空運送状の発行時において、
貨物運送料金を輸出者が輸出地での支払いです。
・立替払いと立替払い手数料
航空会社は輸出者からの要求に基づき、航空運送開始前に運送料金、
保管料、通関手数料保険料等を立替払金(航空運送状に記載された金
額)として輸出者から徴収するサービスを提供しています。
ただし、支払金額は、航空運送状に示された運賃額が 25,000 円
(US$100.00)未満の場合を除き、運賃額を上回ってはならないことに
なっています。
立替払いサービスは着払が禁止されている国宛には利用できませ
ん。このサービスの手数料は支払金額の10%、最低料金は
US$20.00(日本発で 5,000 円)で、発売航空会社の収入となります。
・SAL 郵便物料金
SAL 郵便物(Surface Airlifted)は平面路(陸路・海路)郵便物を
航空扱いとするものより低い優先度で航空路により運送する扱いの郵
便です。
航空貨物(書類又は物品)を最も迅速に、確実に送達するサービス
としては EMS/国際スピード郵便があります。引受から配達までを記録
し、追跡調査することが可能です。万一、亡失等した場合には、損害
要償額の範囲内で実損額が賠償されます。
147
3.第3の輸送方法もある。
・国際複合一貫輸送
全輸送区間を一貫して運送責任を負い、一本化された運賃により国
際貨物輸送を行うシ ステムがあり ます。これを 国際複合一貫輸送
(International Multimodal Transport)と言います。これは、同一の
運送人が2つ以上の異なる輸送手段を用い行うものです。2つ以上の
輸送手段とは海陸、空陸あるいは海空等の組み合わせで、海上では船
舶、陸上では鉄道およびトラックによる輸送です。場合によっては、
それに航空輸送が加わります。
現在最も広く行われているのは、海上コンテナーを利用した海陸の
複合一貫輸送です。例えば、日本からの米国シカゴからの輸入貨物で
は海上コンテナーを西海岸までの内陸部は鉄道やトラックで運び、海
上部は船舶で輸送する方法です。また、海上輸送と航空輸送を組み合
わせたシー&エアー輸送もあります。
国際複合一貫輸送では複合運送人が船会社、道路運送業者、鉄道会
社、航空会社等を下請運送人として使用して輸送(海陸の国際複合一
貫輸送を船会社が行う場合、海上輸送は船会社自身が行う。)を行い
ますが、複合運送書類を発行した複合運送人がその運送約款に基づき
荷主に対して運送責任を負います。
現在、国際複合一貫輸送を定めた有効な国際条約は存在しませんが、
複合運送書類の約款ではネットワーク・システムと呼ばれる責任原則
が主に採用されています。それは複合運送人が複合輸送の全区間につ
いて単一の責任原則に基づいて契約責任を負うのではなく、陸、海、
空の輸送区間と輸送手段ごとの下請運送人の運送約款とそれらに強行
的に適用される国内法、国際条約(適用法規)に準拠して運送責任を負
うというシステムです。
148
異なる輸送手段が用いられる多国間の複合輸送では一元的な法制度
による全輸送区間共通の責任原則が必要ですが、現実には複合輸送を
構成する輸送区間ごとの下請運送人の運送約款とそれらを定めた適用
法規に準拠するシステムであるため、間接的な立場である荷主には非
常にわかりにくいという問題が指摘されています。
しかし、ネットワーク・システムは下請運送人が複合運送人に対し
て負う運送責任と複合運送人が荷主に負う運送責任とに乖離が生じる
ことを防ぐことにもなっています。
4.輸入貨物は追跡できる。
輸入する貨物の出荷から船積み/搭載、輸送、到着、配達までの貨
物の動きを Ocean B/L、AWB(M.AWB、H.AWB)の番号を基に、輸入貨物
の現況(どの位置にあるか。)を追跡(Racing 又は Trucking)調査す
ることが可能です。特に、
「カーゴナビ」の貨物追跡リンク集では・航
空会社・定期船会社・国際輸送業者・国際宅配便/EMS などの貨物を追
跡できるサイトがあります。国際的な輸送業者も自社で追跡システム
をもっています。SAL郵便物も追跡調査が可能です。
5.輸入貨物は税金を払わずに保管できる。
小出しに輸入する場合や引取り時期に間がある場合などでは、関税
等の税金や通関諸費の支払いを遅らせる手段等で保税地域を活用する
ことができます。
保税地域とは、輸出入手続きを適切かつ効率的に行い、また、貨物を
輸入手続き未済のまま蔵置(保管)し、又は加工・製造、展示等をす
ることができる特定の場所のことです。
保税地域にはその機能に応じて①指定保税地域、②保税蔵置場、③
保税工場、④保税展示場、⑤総合保税地域の5種類があります。各々
149
の主な機能等は次表の通りです。
指定保税地域
種
類
主な機能
蔵置期間
許可等
指定保 税
外国 貨物 の 一時 蔵
1月
地方公共団体等が所有、管理す
地域
置
る土地又は施設について財務大
臣が指定
保税
外国 貨物 の 一時 蔵
原則3カ月
民間の土地又は施設について税
蔵置場
置及び長期蔵置
最大2年
関長が許可
保税
外国 貨物 を 原料 と
2年
民間の施設について税関長が許
工場
する加工、製造
:延長あり
可
保税
外国貨物の展示・使
税関長指定
国際博覧会等の会場について税
展示場
用
期間
関長が許可
総合保
外国貨物の蔵
2年
第3セクター等が所有、管
税地域
置、加工製造、
:延長あ
理する一団の土地又は施設
展示
り
について税関長が許可
① 指定保税地域
指定保税地域は外国貨物の積卸、運搬、一時蔵置の他、税関長に届
け出て内容の点検、改装、仕分けその他の手入れができます。また、
税関長の許可を受けた場合には、見本の展示、簡単な加工等を行うこ
とができます。この地域は、公共施設のため 1 ヶ月以内の短期間の蔵
置しか原則として認められていません。
②保税蔵置場
保税蔵置場は、外国貨物を保税の状態で原則として3ヶ月間、承認
を受けると2ヵ年まで蔵置できる場所のことです。保税蔵置場は輸入
150
貨物を関税保留のまま滞貨し、市況の好転を待って輸入したり、ある
いは仲介貿易などの場合の輸出や積み戻しに利用されています。
6.輸入貨物は保税運送できる。
外国貨物は、開港、税関空港、保税地域、税関官署及び関税法第 30
条第 2 号(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)の規程により税関
長が指定した場所の相互間に限り、外国貨物のまま運送することが出
来ます。これを保税運送 In Bond Transportation と言います。輸入
者のメリットとしては税金の一時留保などがあげられます。
151
Ⅸ
通関(貨物引取)手続を知ろう。
1.通関必要書類を整える。
通関手続きは普通、輸入(業)者に代わって通関業法に基づき税関長
より許可を受けている通関業者が行います。輸入者が通関手続きを行
うことも可能ですが、費用、時間を考慮すれば通関業者委託の方が安
く早く引き取れます。
どちらにしても、輸入者は通関手続き(外国からの貨物引取り手続
き)概要を知っておく必要があります。輸入者は貨物が(空)港に到
着前に下記船積み書類を輸出(業)者又は輸入者の取引銀行より入手
して、予め通関業者に必要書類を渡し、通関を依頼しておきます。
税関手続きは大蔵省の「税関ホームページ」にも掲載されています
ので、参考にされると良いでしょう。
注:輸入者の取引銀行=売手(輸出者)の取引銀行がコルレス契約
した買手(輸入者)の取引銀行
業者=○○業をビジネスとする人、企業
者=個人を含む。
輸入申告に必要な書類
①
輸入申告書
②
送り状
③
船荷証券又は航空貨物輸送状
④
保険料明細書<海上保険料請求書>
⑤
運賃明細書<運賃請求書>
⑥
梱包明細書<パッキング・リスト>
⑦
その他貨物の種類により必要な書類
152
①輸入申告書
輸入申告書(I/D)は輸入を申告する際に作成するもので、輸入
者、輸入品の税番(HSコード番号)、税金(関税など)などを一枚(表
裏両面)の様式に求められる書類です。この申告書は通関業者の通関
士が作成してくれます。申告の際の価格はCIF価格で行います。税
関で申告書類が審査され、輸入税と消費税を支払うと輸入許可になり、
貨物の引き取りが出来ます。
②送り状
送り 状 <イ ン ボ イス( 仕 入 書) >に は (商 業 送 り状 ) Commercial
Invoice と(公用送り状)Official Invoice とがあります。単に Invoice
という場合には一般的に Commercial Invoice を指します。送り状は輸
出者が輸入者との契約に基づき品名、数量、価格、契約条件、契約単
価などを記載した書類で、船積みされた輸出貨物の明細であると共に、
代金の決済、輸入申告などもこの Invoice をベースに処理されます。
貿易取引上重要な書類の1つです。
③船荷証券/航空貨物運送状
船荷証券(Ocean B/L)あるいは航空貨物運送状<輸送証>(A
WB<Air Waybill>)は船会社又は航空会社からの貨物引取りの為に
証書ですので、早めに通関業者に渡しておきましょう。貨物到着まで
に船積み書類が到着していない場合は輸入者の取引銀行に貨物引取り
の保証状にサインをしてもらい、これを船会社又は航空会社に渡して
貨物の引取りが素早く出来るようにしておきます。
④保険料明細書
CIF契約などは輸出者払いですので保険料支払証明書、FOBや
153
C&F契約などの場合は輸入者負担ですので海上保険料請求書を添付
します。
⑤運賃明細書
一般にはB/LやAWBに明記されていますが、FOB契約の場合
は輸入者負担ですので運賃請求書が必要です。
⑥梱包明細書
1梱包毎の商品明細書=梱包(包装)明細書のパッキング・リスト
(Packing List)が必要です。
⑦その他必要書類
貨物の種類により必要な書類<例示>
・
他法令の許可・承認証(他法令該当貨物の場合)
・
特恵原産地証明書(特恵関税の適用を受けようとする場合)
・
減免税明細書(減免税の適用を受けようとする場合)
必要とする書類は商品、輸出地、或いは契約形態などによります。
例えば、植物検疫が必要な貨物の場合は輸出国の政府機関の検疫証
明書が必要です。また、食品などは通関に先立って厚生省管轄の各港
の食品検疫所に「食品等輸入届書」を提出する必要があります。
必要とするこれら届出書類及び添付書類は通関時に他の書類と共
に提出する必要がありますので、予め通関業者と打ち合わせしておき
ましょう。また、カタログや仕様書あるいは契約形態に依って契約書
の写しや説明書等が必要な場合もあります。
特恵国又は協定国からの輸入品は原産地証明書を添付しないと恩
恵が受けられません。
154
貿易登録制度
貿易登録とは東京商工会議所に原産地証明をはじめとする貿易関
係証明を申請する法人・団体・個人は「貿易関係証明申請者登録」の
手続きです。また、申請者から委託を受けて申請業務を代行する者(代
行業者)は「貿易関係証明代行者登録」の手続きをします。
申請業務と代行業務の両方を兼ねている方は両方の登録の手続き
が必要です。それぞれ該当する登録手続きをしないと貿易関係証明の
発給を受けられません。貿易登録の手続きは東京商工会議所の会員・
非会員を問わず、すべての申請者・代行業者に必要です。登録の有効
期限は登録の日から 2 年間です。
代行業者とは貿易関係証明の申請事務を申請者に代わって行うこ
とを業とする者を代行業者といいます。営利を目的とし、継続して反
復的に申請事務を代行する意思を 持つ者です。 海貨業者(乙仲、
Forwarding Agent)等がこれに該当します。詳しくは東京商工会議所
へお問合せください。(http://www.tokyo-cci.or.jp/ )
2.関税番号と関税率を調べる。
①HSコード
関税率は各国で分類解釈が異なると混乱しますので、世界共通コー
ド(番号)統一されたのが、HSコードです。
海外からの貨物を輸入通関する際は関税品目表に基づく分類番号
(HSコード)を明記しなければなりません。日本は1988年1月
1 日 か ら 、 国 際 条 約 に 基 づ く H S コ ー ド ( Harmonized Commodity
Description and Coding System)体系に移行しました。なお、大半の
国がHSを採用している中、米国、カナダは採用していませんので、
注意が必要です。
輸入契約する際には輸入する商品の関税番号と関税率を予めチェ
155
ックして輸入品のコストを計算しましょう。税率は品目ごとに異なる
と共に輸出国(または原産国)でも異なります。また、特恵国、割当
品目(I/Q)などは、輸入時期などでも異なることもあります。このチ
ェックは普通、日本関税協会(Tel: 03-3263-7221)で発行している「実
行関税率表」(\24,000)で行うことができます。参考までに末巻の別添
(3)に実行関税率表の類表を掲載しましたので参照してください。
また、関税率には後記(3-③)の種類があります。また、それにより
税率も異なります。
これら税率には国定税率といい国が決めた税金と別に条約(協定)
により定められた協定税率、特恵税率があります。協定税率が適用さ
れる場合はWTO加盟国からの輸入と関税に関する最恵国待遇認定国
と二国間協定国からの輸入の場合です。
輸入通関では協定税率と国定税率を比べいずれか低い方の税率が
適用されます。また、暫定税率は基本税率に優先されます。
HSコード
各国の関税率はHSコード(Harmonized Commodity Description and
Coding System)に準拠して決められています。この関税率表全9桁
コードのうち、6桁は各国共通、残り3桁は各国の事情で定められま
す。売手/買手双方の商品知識の行き違いを避けるため、この6桁の
コードを活用するとよいでしょう。
各国の大半がHSコードを採用している中、米国の関税率は「米国
関税率表」(United States Harmonized Tariff Schedule)により、
管理されています。詳細は米国国際貿易委員会(USITC)のウエブサ
イトに掲載されています。
カナダは 2007 年 4 月 1 日より、HSコードに移行します。
156
②輸入通関手続に関する制度
輸入申告では、上記の原則的な方法のほか、輸入の迅速化、簡便化
などの便宜を図るために次の制度が設けられています。詳しくは税関
又は取引き通関業者へお問合せください。
・輸入商品照会制度
輸入貨物(商品)は全て関税定率法別表の関税品目(率)表に分類
されています。輸入者はその分類番号を明記しなければなりませんが、
間違いを未然に防ぐために、税関には「輸入商品照会制度」の窓口が
ありますので、相談してください。
また、一般的な事項の相談窓口として、「税関相談官室」があるの
で事前に相談されることが望ましい。
また、輸入貨物に課される関税及び内国消費税は、所得税や法人税
などの内国税と同様に過少申告加算税及び無申告加算税が導入されて
います。
情報問合先:財務省関税局業務課
Tel03-3581-3041
URL:http://www.mof.go.jp
・検討依頼制度
輸入者は輸入令第4条の規定(輸入承認)に該当する品目を除いて自
由に輸入できますが、輸入貨物が輸入制度上問題ないか、十分に注意
する必要があります。この制度は輸入令の適用を受けるものであるか
否かを確認できる制度です。
・事前教示制度
事前教示は、申告納税制度における輸入者の適正な申告を助長し、
申告納税制度の円滑な運用を図るために、税関では輸入申告前に、輸
157
入者等から申告に必要とする関税率表番号、税率、価格、数量等(以
下「輸入制度等」という。)、その他手続上の諸事項についての教示を
求められた場合には、その適切な教示に努めることになっています。
教示は税関相談官室、統括審査官(通関担当及び為替担当等)、関税
鑑査官、その他の担当部門で行われます。
(事前に関税額が分かり販売計画などに役立つほか、輸入申告のミ
スを減らし円滑化を図るため。)
・簡易申告制度
税関長の承認を受けている輸入者が、継続的に輸入していると指定
を受けた貨物については、法令遵守(コンプライアンス)の確保を条
件に輸入申告と納税申告を分離し、先に貨物の引取申告を行い、その
後納税申告することができる制度です。
簡易申告により、申告内容が減るほかペーパーレス化も図られます。
(輸入貨物引取りの迅速化を図るため。)
・予備審査制度
輸入貨物が日本に到着する前に「予備申告書」を税関に提出して、
事前に税関の書類審査を受けることができる制度です。輸入貨物が保
税地域に搬入された後、本申告(輸入申告)の意思表示を行えば直ち
に許可されます。
生鮮食料品やジャスト・イン・タイムで納期の厳しい商品、特定の
季節やイベント(クリスマスなど)のための商品など、国内搬入を急
ぐ商品によく使われます。(輸入貨物引取りの迅速化を図るため。)
・貨物到着即時輸入許可制度
輸入の際に予備申告が行われた貨物のうち、国内引取を急ぐ貨物の
158
場合、税関の書類審査の結果「検査不要」とされた貨物については、
貨物の到着が確認され次第、本申告(輸入申告)を行えば保税地域に
搬入することなく直ちに輸入許可となる制度です。
(輸入貨物引取りの
迅速化を図るため。)
・輸入関税に関する制度
輸入の際の関税に関して、申告の便宜のため情報を提供し、また納
付の際の負担を減らす制度です。
・関税等の納期限延長制度
輸入貨物を国内に引取るためには関税を納付しないと輸入許可が
されませんが、担保を提供することを条件として3か月以内の納期限
延長が認められる制度です。(関税の納付の際の負担を減らすため。)
・特恵関税制度
開発途上国を原産地とする特定の種類の輸入品については、一般の
関税率よりも低い税率を適用し、それらの国・地域の輸出所得の増大、
工業化の促進、経済発展を推進する制度です。
(特定国の産品の関税を
減らし、販売競争力が増し、よってその国の振興も図る。)
・減免税制度(関税定率法)
貨物が一定の条件に適合した場合には、関税の一部又は全部が免除
される制度です。
・保税地域内蔵置中に変質・損傷等の場合の減税
・再輸入免税
・再輸入減税
・再輸出免税
159
・再輸出減税
・生活関連物資の価格騰貴の際の減免税
・飼料の原材料等、製造用原料品の減免税
・輸入時と同一状態で再輸出される場合の戻し税
・違約品等の再輸出又は廃棄の場合の戻し税
・加工又は組立てのため輸出された貨物を原材料とした製品の減税
・加工又は修繕のため輸出された貨物の減税
・皇族、海外元首のための物品などの無条件免税
・我が国船舶が外国で採捕した水産物等の減免税
・学術振興等の見地から学術研究など特定用途に供される特定貨物の
免税(特
定用途免税)
・外交官用貨物等の免税
・輸出貨物製造用原料品の減免税・戻し税
・課税原料品等による製品を輸出した場合の免税又は戻し税
・関税暫定措置法に関係する減免税制度
・航空機部分品等の免税
・加工又は組立てのため輸出された貨物を原材料とした製品の減税
・加工再輸入減税制度
・日本から輸出された特定の原材料(皮革、繊維、ほか部品など)が、
外国で加工された後、その原材料の輸出許可日から一年以内に特定
の製品(革製品や繊維製品など)として輸入される場合、その製品
にかかる関税のうち原材料価格に相当する分の関税を減税する制
度。
160
3.税率決定までの流れを知る。
関税とは、税関を通過する輸入貨物に課せられる税金です。税率は
貨物の種類、また、当該貨物の原産地や国際協定によって異なります。
現在、大半の品目は「ゼロ」関税です。税率が決まるまでの流れは、
次の通りです。
①各品目がどこに分類されるかを決定する。
輸入品は法令で定める分類(21 部 97 類)に従い所属別に分ける必
要があります。まず、その物品の名称と一致する品名が記載してある
項があるかないかを確認します。
次に、その項に属する部又は類の注に関係する規定がないかどうか
を確認します。部、類、項などの分類については後述します。輸入品
の所属は「関税率表の解釈に関する通則」に従って決定され、公表さ
れています。
②原産地ごとに適用される税率を決定する。
関税の税率は、輸入品の種類(HSコード)とその原産地とで決定
します。まず、貨物の所属(種類)を決定し、次に原産地を明確にし
ます。それにより、適用される税率が決定します。
税率は経済の発展度合で日本の一方的恩典としての特恵税率と双
方協定による協定税率とに分かれます。例を以下に示します。
輸入貨物の原産地が、
A.シンガポール<星>(又はメキシコ<墨>、マレーシア<馬>)
である場合で、日星協定(又は日墨協定)対象品目→日星協定税
率(又は日墨協定)税率を適用
B.LDC(後発開発途上国50国)である場合で、一般特恵対象品
目又はLDC特恵対象品目→無税を適用
161
C.一般特恵対象国である場合で、一般特恵対象品目→
一般特恵税
率を適用(ただし、シーリング<限度>管理対象品目は、シーリ
ング枠内の輸入に限る。)
D.WTO加盟国、便益関税受益国及び二国間協定により最恵国待遇
を認めている国である場合で(A、B、Cにおいて『その他の品
目』とされた品目を含む)
・協定税率及び暫定税率が設定されている品目
暫定税率≦協定税率である品目→
暫定税率を適用
暫定税率>協定税率である品目→
協定税率を適用
・協定税率が設定され、暫定税率が設定されていない品目
基本税率≦協定税率である品目→
基本税率を適用
基本税率>協定税率である品目→
協定税率を適用
・協定税率が設定されていない品目
→
E.へ
E.その他(AからD以外)の国である場合で(Dにおいて『協定税
率が設定されていない品目』とされた品目を含む)
・暫定税率が設定されている品目
→
・ 暫定税率が設定されていない品目→
原産地証明書
暫定税率を適用
基本税率を適用
Certificate of Origin
特定国からの特定品目について有利な特恵関税の税率特典の適用
を受けるためには、輸出国が原産であることを証明する書類を添付す
る必要があります。
③関税の税率にはどのような種類があるか。
関税の税率は、基本税率、暫定税率、一般特恵税率、LDC特恵税
率(以上、関税暫定措置法で定められています。)、WTO協定税率(WTO
協定で定められています。)、日星協定税率、日墨協定税率(以上2件
162
はメキシコ、シンガポール、マレーシアの3国を原産地とする輸入貨
物にのみ適用されます。)に分かれ、それぞれ法律または協定において
規定されています。
それぞれの税率の説明は以下の通りです。今後、世界的に関税撤廃
へ向け日星/日墨/日馬協定のような二国間協定が増加すると思われる。
・関税の種類
基本税率
暫定税率
特別な事情がない限り長期適用される基本的な税率です。
基本税率では不都合な事情がある場合に、一時的に基本税
率に代わって適用される税率です。
開発途上国で、特恵関税の供与を希望する国のうち、わが
一般
特恵税率
国が当該供与を適当と認めた国(特恵受益国)を原産地と
する輸入貨物に対して適用される税率であり、実行税率
(基本税率<暫定税率>と協定税率のいずれか低い税率)
よりも低い税率を供与されます。
LDC
特恵税率
特恵受益国の内、後発開発途上国(LDC)を原産地とす
る一般特恵対象品目を輸入する場合、税率は無税となりま
す。
WTO
WTO 加盟国を原産地とする輸入貨物に対し、それ以上の関
協定税率
税を課さないことを約束(譲許)している税率です。
日本とシンガポール(日星)の間で結ばれた自由貿易協定
日星
で定められている税率です。シンガポールを原産地とする
協定税率
貨物については、関税撤廃スケジュールに従って、関税が
撤廃されます。
日墨
協定税率
日本とメキシコ(日墨)の間で結ばれた自由貿易協定で定
められている税率。メキシコを原産地とする貨物について
は、関税撤廃スケジュールに従って、関税が撤廃されます。
163
日本とマレーシア(日馬)の間で結ばれた自由貿易協定で
日馬
定められている税率。メキシコを原産地とする貨物につい
協定税率
ては、関税撤廃スケジュールに従って、関税が撤廃されま
す。
④「部」、「類」とはどのようなものか。
部、類
HS条約の附属書である品目表に基づく区分で21部97類あります。
HS条約品目表に基づく区分で、項は4桁で、号は6桁の数字で定めら
項、号
れています。なお、分類の決定は、同一の水準(項レベル、号レベル)
のみで比較することができます。
関税政策目的のため、「号」をさらに分類区分したものです。関税定率
法別表と関税暫定措置法別表で定められており、表中の品名欄にある
税表
1、
(1)、A、(a)、イ、
(イ)、Ⅰ、(ⅰ) などの記号によって表され
細分
ています。細分は、アラビア数字、アルファベット、カタカナ、ローマ
数字の順で細かくなっており、関税率はこの細分ごとに定められていま
す。
統計
「号」の下に設けられた統計を取るための細分で、日本では3桁を用い
細分
ており、号の6桁を合わせて統計品目番号として9桁で用いています。
⑤その他、表に出てくる記号、単位の意味は
「国定実行関税率表」の基本税率の左肩についている◎印は、関税
定率法第20条の2と関税定率法施行令第57条に基づくもので、特
定の用途に使用されることを要件として適用される軽減税率(用途別
軽減税率)であることを示しています。
暫定税率の左肩についている◎印についても、同様に、関税暫定措
置法第8条の7と関税暫定措置法施行令第62条に基づく用途別軽減
税率であることを示しています。
164
また、品名欄の*印については、税表細分が関税暫定措置法で設定
されていることを示しています(無印のものは関税定率法で設定され
ている税表細分)。
・実行関税率表で採用されている単位
CM
立方メートル
CT
カラット
DT
排水トン数
DZ
ダース
GR
グラム
GS
グロス
GT
総トン数(重量)
KG
キログラム
KL
キロリットル
L
リットル
M
メートル
MT
メジャートン(容積)
SM
平方メートル
NO
個、本、枚、頭、羽、匹
等
ST
組
TH
千個、千本、千枚
PR
足、対
(D.W.)
乾燥重量
(I.C.)
容器とも
(I.I.)
内装とも
(M.C.)
金属含有量
⑥特恵税率とは何か。
一般特恵税率は先進国が開発途上国の産品の輸入に際し、関税を軽
減或いは免除することにより発展途上国の輸出を促進させ、貿易収支
を改善させようという制度です。
特別特恵税率は後発の発展途上国からの輸入にさらに便宜を与え
ている税率です。両特恵税率の適用を受けようとする場合は輸入申告
に際して原産国の政府機関またはそれに準じる機関で発行された原産
地証明書(FORM-A)を提出する必要があります。
165
FTA/EPA
日本の通商政策は、世界貿易機関(WTO)での多角的貿易交渉と
EPAを2本柱にしてきましたが、WTO交渉が行き詰まり、経済連
携協定(Economic Partnership Agreement /EPA)強化に軸足を移
しています。
経済連携協定とは、2国間あるいは複数国間で経済の自由化ルール
を定めて、経済を活性化させる目的の協定です。
「自由貿易協定(Free
Trade Agreement/FTA)」が関税撤廃による貿易自由化が中心なの
に対し、EPAは投資、知的財産などのルール作りも含みます。
自由貿易協定とは、物品の関税、その他の制限的な通商規則、サー
ビス貿易等の障壁など、通商上の障壁を取り除く自由貿易地域の結成
を目的とした、2 国間以上の国際協定です。
また、FTAには自由貿易地域 (Free Trade Area) として、自由
貿易協定を結んだ地域を指す場合もあります。
2国間協定が多いFTAですが、NAFTA(北米自由貿易協定)等の
多国間協定もあります。地域経済統合の形態の中では、緩やかなもの
とされています。
FTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)とは、物品の関税
及びその他の制限的通商規則やサービス貿易の障壁等の撤廃を内容と
するGATT(関税及び貿易に関する一般協定)第24条及びGAT
S
(サービス貿易に関する一般協定)第5条にて定義された協定です。
EPA(Economic Partnership Agreement:経済連携協定)とは、
FTAの要素を含みつつ、締約国間で経済取引の円滑化、経済制度の
調和、協力の促進等市場制度や経済活動の一体化のための取組も含む
対象分野の幅広い協定です。
166
⑦少額輸入貨物の税率表を知る。
少額貨物(総額10万円以下の一般輸入貨物、国際郵便物)と入国
者が携帯(携行)又は別送する貨物は、一般の関税率とは別に定めら
れた簡易税率の適用を受けることができます。一般の関税率を適用受
ける場合、数千もの品目分類の中から税率を適用することになります
が、この簡易税率を適用する場合は、その品目分類を大別した6区分
及びアルコール飲料の区分(下記表)において税率を確定します。
ただし、この簡易税率の規定は、携帯品及び別送品、関税が無税ま
たは免税になるもの、我が国の産業への影響を考慮し、簡易税率を適
用することが適当でないとされている物品には適用されません。
また、この簡易税率を適用することについて輸入者が、これら輸入
貨物の全部について一般の関税率の適用を希望した場合は、一般の関
税率を適用します。なお、この簡易税率には、内国消費税及び地方消
費税は含まれていませんので、貨物を輸入する際は、内国消費税等が
別途課税されます。
・少額輸入貨物に対する簡易税率表(関税定率法第 3 条の 3 関係)
番号
品目〔具体的な品目例〕
税率
1:
アルコール飲料
¥70/L
(1)
ワイン
¥20/L
(2)
しょうちゅう等の蒸留酒
¥30/L
(3)
ワインクーラー、清酒、りんご酒等
2:
(1) トマトケチャップその他のトマトソース及びアイスクリ
20%
ームその他の氷菓
(2) なめし又は仕上げた毛皮(ドロップスキン)及び毛皮製
衣類、衣類附属品その他の毛皮製品
167
3:
(1) コーヒー及び茶(紅茶を除く。)
15%
(2) ゼラチン及びにかわ
(3) なめし又は仕上げた毛皮(ドロップスキンを除く)
4:
10%
(1) 動物(生きているものに限る。)
肉及び食用のくず肉
魚及び甲殻類、軟体動物及びその他の水棲無脊椎動物
酪農品、鳥卵、天然はちみつ及び他の類に該当しない食
用の動物性生産品
(2) 食用の野菜、根及び塊茎
(3) 食用の果実及びナット、かんきつ類の果皮並びにメロン
の皮
(4) しょうが(一時的な保存に適する処理をしたものに限
る。)
(5) 食用の海草その他の藻類
(6) 肉、魚又は甲殻類、軟体動物若しくはその他の水棲無脊
椎動物の調製品
糖類及び砂糖菓子
ココア及びその調製品
穀物、穀粉、でん粉又はミルクの調製品及びベーカリー
製品
野菜、果実、ナットその他植物の部分の調製品
(7) 各種の調製食料品
(8) くえん酸等
(9) 竹製のくし
(10)わら、エスパルトその他の組物材料の製品並びにかご細
工物及び枝条細工物
(11)絹織物
168
(12)その他の植物性紡織用繊維及びその織物並びに紙糸及
びその織物
(13)メリヤス編物及びクロセ編物
(14)衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのも
のを除く。)
5:
3%
(1) 生きている樹木その他の植物及びりん茎、根その他これ
らに類する物品並びに切花及び装飾用の葉
(2) 鉱物性燃料及び鉱物油並びにこれらの蒸留物、歴青物質
並びに鉱物性ろう
(3) 無機化学品及び貴金属、希土類金属、放射性元素又は同
位元素の無機又は有機の化合物
(4) 有機化学品(くえん酸等を除く。)
(5) なめしエキス、染色エキス、タンニン及びその誘導体、
染料、顔料その他の着色料、ペイント、ワニス、パテそ
の他のマスチック並びにインキ
精油、レジノイド、調製香料及び化粧品類
せつけん、有機界面活性剤、洗剤、調製潤滑剤、人造ろ
う、調製ろう、磨き剤、ろうそくその他これに類する物
品、モデリングペースト、歯科用ワックス及びプラスタ
ーをもととした歯科用の調製品
(6) 各種の化学工業生産品
(7) プラスチック及びその製品
(8) 毛皮及び人造毛皮並びにこれらの製品
(9) 染み込ませ、塗布し、被覆し又は積層した紡織用繊維の
織物類及び工業用の紡織用繊維製品
(10)傘、つえ、シートステッキ及びむち並びにこれらの部分
品
169
調製羽毛、羽毛製品、造花及び人髪製品
石、プラスター、セメント、石綿、雲母その他これらに
類する材料の製品
(11)ガラス及びその製品(ガラス製のビーズ等を除く。)
(12)銅及びその製品
ニッケル及びその製品
アルミニウーム及びその製品
(13)鉛及びその製品
(14)亜鉛及びその製品
(15)卑金属及びサーメット並びにこれらの製品
卑金属製の工具、道具、刃物、スプーン及びフォーク並
びにこれらの部分品
各種の卑金属製品
(16)家具、寝具、マットレス等
(17)がん具、遊戯用具及び運道具並びにこれらの部分品及び
附属品
6:
(1) 動物性生産品(他の類に該当するものを除く。)
無税
(2) 塩、硫黄、土石類、プラスター、石灰及びセメント
(3) 医療用ジェル
(4) ゴム及びその製品
(5) 紙及び板紙並びに製紙用パルプ、紙又は板紙の製品
(6) 陶磁製品
(7) 鉄鋼
(8) 鉄鋼製品
(9) 錫及びその製品
7:
前各号に掲げる品目以外のもの
5%
170
ただし、次のものは簡易税率によらず一般の商業貨物の税率が適用さ
れます。
1.関税が無税又は免除される貨物
2.犯罪に係るおそれがある貨物
3.国内産業への影響等を考慮して簡易税率によることを適当としな
い貨物
・簡易税率が適用されない主な品目例<一般商業貨物税率が適用され
ます。>
(1) ミルク、クリーム等
(12)石油
(2) 雑豆
(13) メントール
(3) 穀物
(14) 原皮・革
(4) 穀粉等
(15) 革製品
(5) 落花生及びこんにゃく芋
(16) 繭・生糸
(6) 豚肉及び牛肉の調製品
(17) ニット製衣類
(7) ココア調製品
(18) 履物
(8) 穀粉・穀物の調製品
(19) 身辺用細貨類(卑金属製以
(9) 調製食料品
外)
(10) たばこ
(20) 革製の携帯用時計バンド
(11) 精製塩
(21) 革製の腰掛けの部分品
⑧輸入商品の関税率の目安を知る。
この表は、個人輸入者の関心が高い代表的な品目について、その関
税率を示したものです。関税の税率は、輸入国、品目の材質、加工の
有無及び用途などによって大きく変わることがありますので、この表
の関税率がそのまま適用されるとは限りません。一応の目安と考えご
活用ください。(平成 17 年 4 月 1 日現在)
171
・輸入商品の関税率
区分
品目
関税率
衣料品
毛皮のコート
20%
外衣類(織物)、下着類(織物)
6.5~12.8%
Tシャツ
7.4~10.9%
水着(織物)
9.1%
ネクタイ(織物)
8.4~13.4%
マフラー類(織物)
4.4~9.1%
革製
8~16%
アクセサリー
金(GOLD)製、銀製、プラチナ製
無税~5.4%
時計
腕時計、その他の時計
無税
光学機器
カメラ、撮影機
無税
楽器
ピアノ、弦楽器、アコーデオン、吹奏
無税
ハンドバッ
グ
楽器
記録物
レコード、テープ、書籍、雑誌、CD
無税
印刷物
楽譜、ポスター、複製画、カタログ類
無税
美術品
肉筆の書画、版画、彫刻
無税
化粧品
香水、オーデコロン、口紅、マニキュ
無税
ア用品、化粧水、浴用化粧石鹸
趣味用品
がん具、人形、模型
無税~3.9%
飲料
茶葉(ウーロン茶、紅茶)
無税~17.0%
スポーツ用品
乗用自動車、オートバイ
無税
レジャー用品
スキー用具、モーターボート、ヨット、 無税
カヌー、ゴルフクラブ
172
釣り用具
3.2%
建築物
プレハブ住宅
無税
履物
革製又は革を使用したもの(運動用、
3.4 ~ 30% 又 は
その他)
\4,300/足の内
いずれか高い税
率
家具類
敷物
腰掛け
無税~3.8%
家具(事務所・台所・寝室用)
無税~3.8%
じゅうたん(綿製、羊毛製、人造繊維
無税~8.4%
製)
台所用品
陶磁器、金属食器、ガラス器、ガラス
無税~4.6%
コップ類
寝具類
毛布(綿製、羊毛製、人造繊維製)マ
3.8~10.9%
ットレス、ふとん、シーツ(綿織物)
洋酒類
ウイスキー、ブランデー、リキュール
無税
ワイン
15%~\182/L
173
Ⅹ
トラブル処理も理解しておこう。
1.輸入リスクの対応を考えておく。
「海外から商品を仕入れる(輸入)場合」、輸送時に事故や事件が
発生し、輸入ビジネスに損害が発生する危険性(リスク)があります。
この損害を賠償または補償してもらう請求行為を称し、通常「クレー
ム」(被害額賠償請求)と言います。国内取引の被害額賠償請求(ク
レーム)はその事実を文書でクレーム(抗議)することにより、その
損害を補填または賠償も比較的簡単に処理可能です。すなわち、両者
間には同一の国内法、同一の商慣習などがあり、基本的ビジネス・ベ
ースが同一ですので、争点がハッキリするため、時間的浪費もなく簡
単に解決しやすいからです。
しかし、海外との取引はそれらが大きく異なると共に、国内取引で
は比較的疎かになる時間的タイムラグが海外との取引では極めて大き
くなり、大きな問題(損害)となります。すなわち、時間的隔たりが
商機を失ったり、品質を変えたり、為替の危険性を高めたり、保管期
間を長引かせたり、などを引き起こし、甚大な被害と費用を発生させ
る可能性があります。
「輸入リスク(危険)」には、「商品(貿易)クレーム」と「運送クレー
ム」に分けられます。また、その解決方法には和解、斡旋、調停、仲
裁、裁判(訴訟)などで対応しなければなりません。なお、仲裁は法
的拘束力がありますが、契約書に「仲裁条項」を入れておく必要があ
ります。(「仲裁条項」が無ければ仲裁申請もできないからです。)
商事仲裁条項:P.182 参照
174
①運送クレームとは、
運送クレームには、貨物の運送中におきた事故、事件などによって、
貨物が損害を受けた場合にクレームが発生します。その場合に、その
損害を誰が賠償、補償してくれるかです。また、事故、事件などは誰
の責任であるか特定が難しい場合が多くあります。そこで通常「貨物
保険」(航空貨物の場合も同じ)を付けることによって、保険会社が
補償してくれます。この貨物保険の条件(約款)は、複雑ですが、実
際の保険申込み(付保)は比較的簡単です。
輸入する取引契約が終わり、出荷される時に、輸出者(売主)か、輸
入者(買主)のどちらが、付保(保険をかける)するかを事前に決め付保
します。
事故発生に伴うクレームは公正な第三者による鑑定書(サーベイ・
レポート)が必要です。ロイド代理店のものが国際的に信用を得ていま
す。貨物事故が起こった場合や貨物の品質について鑑定、検査、検定
を行う人/企業をサーベイヤーと言います。この鑑定や検査を証明す
る書類をサーベイ・レポートと言います。
②商品クレームとは、
商品クレームには「当事者」(売手・買手)間のクレームと「第三
者」(消費者、利用者など)間のクレームがあります。当事者間のク
レームの場合は、売買契約(輸入)の条件と異なる場合に発生します。
たとえば、契約の商品(品質や仕様条件など)が異なって売り物にな
らない、等ということが発生した場合です。事前に契約条件で、代品
交換、代金返済などを明記しておくことが必要です。これらは運送状
上の問題でないので貨物保険での求償の対象とはなりません。<その
対策1つとしては貿易保険を参照ください。P.115 参照>
第三者とのクレームの場合は、輸入品を販売した後に起こる消費者
175
/購買者からの商品クレームです。これに対する保険としてPL保険
があります。
③損害・被害が発生した場合クレームは、
損害・被害が発生した場合は、当事者間の運送クレームや第三者と
の商品クレームは付保した保険で求償できますが、当事者間の商品ク
レームは通常、売買契約書に基づき当事者間の話し合いによって、解
決することが一番重要です。しかし、貿易トラブルは、国際間の問題
ですので、国内のように自由に連絡や折衝ができるわけでもありませ
ん。場合によっては相手国まで出向き話し合わなければならないこと
にもなるなど、時間と経費がより多くかかります。
時間と経費が取られる意味では、国内商取引でも同じですが、お互
いに良く知り合って、納得いくような取引実績を積んで行くことが必
要です。「クレーム」を最小限にする方法の一つとしては、最初の輸
入仕入れ量をできるだけ少なくして、継続的に様子を見ることです。
売手の状況や条件等を把握し、相互理解と相互協力ができるような信
頼関係を結ぶことが一番です。また、不幸にして当事者間の商品クレ
ームが発生した場合は関係機関や日本商事協会に相談しましょう。ま
た、当事者間の話し合いすら出来ない紛争や倒産などとの対策として
貿易保険の付保も検討しましょう。
第三者との商品クレームは不可効力的な要素も多く、判断できない面
もある。
2.トラブルの要因を知る。
取引上のトラブルには上記の様に輸入時までの問題(輸送クレーム、
商品クレーム)と通関後の問題(商品クレーム)があります。輸入時
までの問題は前記の通りですが、通関、販売後にも輸入者に課せられ
176
る義務と責任があることを認識しておく必要があります。
例として、輸入品は販売後も輸入者にその輸入品に対する責任が製
造物責任法(PL法)により問われます。また、輸入電気製品に対し
ては電気用品安全法(検査を受けたPSEマークの表示など)、輸入食
品に対しては食品衛生法(内容物の検査、明示など)により、責任を
問われます。また、不良品等クレームに対しては輸入者に責任(民事、
刑事共に)があります。
3.クレーム処理を知る。
①貨物輸送上のクレームは、
貨物輸送クレームは(航空、海上共に)輸送上で発生する数量不足、
盗難、減量、変質、潮濡れ、汚損、錆び、焼失、損傷などがあります
が、これらは誰に責任があるか不明確である場合が多くあります。こ
れに対応するために貨物保険をかけるのが常識です。事故発生の際は
保険条件に基づき保険会社に書面で損害請求(クレーム)します。輸出
相手国の保険会社で付保した場合、日本に支店が無い・解らないケー
スがありますので、予め代理店を確認しておきましょう。代理店も無
いような保険会社は付保させないで日本の保険会社で付保するように
します。また、途上国では自国保険主義(保険の付保を自国の保険会
社を指定する法制、制度)を採っている国もあります。
付保条件(貨物保険の条件、種類:P.26 参照)により補填されない
場合がありますので、条件は確認しておきましょう。また、条件によ
り保険料も大きく異なります。
事故が発生した場合は直ちに、付保した保険会社又はその代理店に
相談します。被害金額が大きい場合は速やかに保険会社指定のサーベ
ーヤーからサーベイ・レポートを取り付けます。
177
クレーム時に必要とする書類は
Claim Letter
(求償理由書)
Claim Bill or Debit Note
B/L Copy
Invoice
(求償額明細書)
(船荷証券)
(送り状)
Packing List
(梱包表)
Boat Note / Delivery Record
Survey Report
(配達記録表/ボート・ノート)
(事故調査報告書)
注:事故調査報告書は必要かどうか保険会社に確認します。小額の
場合は不要な場合があります。
②当事者間のクレームは、
当事者間で合意されない場合は、売買契約書に定める裁定方法で「あ
っせん」や「調停」または「仲裁」を行います。「仲裁」の決定でも
解決しない場合は「国際訴訟」ということになります。なお、㈳日本
商事仲裁協会での「仲裁」は「仲裁条項」を契約書に明記することで
日本では法的拘束力を有することになります。
日本には国際間の商事紛争の解決に携わっている㈳日本商事仲裁
協 会 ( JCAA = Japan Commercial Arbitration Association : URL :
http://jcaa.or.jp/)がありますので、当事者間の商事紛争について
は相談してください。
なお、JCAA は会員制度を採っているが簡単な相談には乗ってくれる
し、入会(有料)すると相談内容により、細かい指導を行ってくれま
す。
注:仲裁とは「私的裁判による紛争解決」手段であり、日本の国内法
が認めた強制的紛争の解決手段です。
178
③第三者とのクレームは、
一般に、輸入品(製造物)は、製造者(メーカー)<第一者>から
輸入業者(卸売業者など)<第二者>を経て小売店に卸され、それが
消費者(ユーザーなど<第三者>)に販売されることになりますが、
その消費者<第三者>が輸入品の欠陥によって被害を受けた場合は製
造者など(輸入者を含む)に対して損害賠償を求めることができる法
律が製造物責任法(PL法)です。
この法律は円滑かつ適切な被害救済に役立つ法律で 1995 年(平成 7
年 7 月施行)に制定されました。具体的には、製造者等が、自ら製造、
加工、輸入又は一定の表示をし、引き渡した製造物の欠陥により他人
<第三者>の生命、身体又は財産を侵害したときは、過失の有無にか
かわらず、これによって生じた損害を賠償する責任があることを定め
ています。また、免責事由や期間の制限についても定めています。輸
入者はこれら責任を補填する保険としてのPL保険を考慮します。
④中小企業向け PL 保険とは、
商工会議所では、中小企業のために一般商品より割安なPL保険を
用意しています。このPL保険に加入した中小企業が製造または販売
した製品(輸入品も)や、行った仕事の結果が原因で他人<第三者>
の生命や身体を害するような人身事故や、第三者のモノを壊したりす
るような物損事故が発生し、加入期間中に損害賠償請求が提起された
ことについて、中小企業が法律上の損害賠償金や争訟費用等の損害を
被った場合に保険金を支払うものです。
・中小企業向け PL 保険のメリット
・日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会の3
つの団体が全国ベースで運営していること。
179
・全国規模のスケール・メリットを活かして個別加入よりも割安であ
ること。
・保険料は全額、損金処理できること。
・加入の条件
各地の商工会(議所)の会員である中小企業者(個人事業者も加入
可)であることです。ただし、業種によっては加入できない場合もあ
ります。詳しくは、近くの前記3団体又は損保代理店に相談してくだ
さい。
中小企業とは、中小企業基本法に定められる中小企業者を言います。
詳しくは日本商工会議所の会員向けサービス「中小企業PL保険」を
参照してください。
・保険料の目安【例】
前年度売上高 1 億円・加入タイプA型(賠償限度額 1 億円)の年間保
険料
・パン/菓子製造小売業者
8 万 2,600 円
・飲食店
5 万 4,800 円
中小企業のPL保険取扱保険会社 18 社一覧(2005 年 7 月 1 日現在)
あいおい損害保険
セコム損害保険
ニッセイ同和損害保険
朝日火災海上保険
ゼネラリ保険
日本興亜損害保険
エース損害保険
損保ジャパン
ニューインディア保険
共栄火災海上保険
大同火災海上保険
富士火災海上保険
現代海上火災保険
東京海上日動火災保
三井住友海上火災保険
スミセイ損害保険
険
明治安田損害保険
日新火災海上保険
180
4.紛争処理の最善策は仲裁である。
・クレーム解決のための仲裁による紛争処理
クレームを解決する方法は、①話合いによる解決(和解)、②仲裁契
約条項による解決(仲裁)、③訴訟による解決(裁判)の3つに大別
されます。話合いで解決出来ないとき、仲裁か、訴訟かの選択になり
ますが、例外を除き一般的には非公開という点などから仲裁が適して
いるといえます。
①
仲裁とは私法上の権利、その他法律関係に関する紛争が生じた場
合、又は生じる恐れのある紛争を、訴訟手続きによる解決ではなくて、
相互の合意(契約書の上)で、当事者以外の私人である第三者に紛争
の解決を委ね、その判断に服する制度ということができます。
②
仲裁に解決を委ねる為には、仲裁条項を契約書で結んでおく必要
があります。仲裁条項には2種類あり、1つは契約締結時に、将来の
紛争に備え、仲裁により解決する旨合意し、当該契約条項に仲裁条項
又は仲裁約款(Arbitral Clause)を挿入しておく方法で、一般に広
く行われています。他の1つは、当該取引から紛争が発生した後、そ
の紛争を当事者間で仲裁に付託して解決する方法で、その合意を仲裁
付託(Submission)と呼びます。
③
解決を委ねる第三者の仲裁人として、仲裁機関を選定するのが一
般的です。各国の仲裁機関として、日本は(社)日本商事仲裁協会、米
国はアメリカ仲裁協会、英国はロンドン仲裁協会、また、国際商工会
議所などがあります。仲裁条項を取り決める際、どの仲裁地を選択す
るかが重要となります。お互い譲り難い課題です。言葉の問題、距離
の問題、経費の問題などから自国の機関を選択したいのは人情ですが、
この帰趨は当事者の力関係に左右されるケースが多いと思われます。
181
第三国の機関を選定するのも一案です。
④
仲裁の判断は裁判の判決とほぼ同一効力を有します。国際間で実
効性を持たせるためには、該当国の仲裁機関で示された判断が当該国
の関係当事者に執行力(拘束力)を持つ必要があります。
1958 年に成立した「ジュネーブ議定書」条約に署名している国はお
互い執行する義務があります。従って、契約相手当事者の国がこの条
約に参加しているかどうかを確認する必要があります。
⑤
仲裁と訴訟とを比較した場合、仲裁の利点として上げられるもの
は、訴訟は上告制度があり紛争が長引く恐れがありますが、仲裁は一
審制です。訴訟は、公開が原則であるが、仲裁は非公開です。企業に
は非公開が信用上、貴重です。仲裁は紛争解決に必ずしも法律を厳格
に適用せず、ビジネス的な解決も可能です。
⑥
仲裁と似て非なるものに調停があります。調停は当事者の合意に
基づき選任した第三者の調停人が提示した解決案を両当事者が認め
てはじめて効力を持つ裁定の方法です。
商事仲裁条項
* 国内外や商事を問わず、下記の条項を規定することを薦めます。
“この契約からまたはこの契約に関連して、当事者の間に生ずることが
あるすべての紛争、論争または意見の相違は、(社)日本商事仲裁協
会の商事仲裁規則に従って、(都市名)において仲裁により最終的に
解決されるものとする。”
“All disputes, controversies or differences which may arise between
the parties hereto, out of or in relation to or in connection with this
Agreement shall be finally settled by arbitration in (name of city),
in accordance with the Commercial Arbitration Rules of The Japan
Commercial Arbitration Association.
182
参考資料
1.実行関税率表
実行関税率表(2006 年 4 月版)商品別分類
第 1部
動物(生きているものに限る。)及び動物性生産品
第 1類
動物(生きているものに限る。)
第 2類
肉及び食用のくず肉
第 3類
魚並びに甲殻類、軟体動物及びその他の水棲無脊椎動
物
第 4類
酪農品、鳥卵、天然はちみつ及び他の類に該当しない
食用の動物性生産品
第 5類
第 2部
動物性生産品(他の類に該当するものを除く。)
植物性生産品
第 6類
生きている樹木その他の植物及びりん茎、根その他こ
れらに類する物品並びに切花及び装飾用の葉
第 7類
食用の野菜、根及び塊茎
第 8類
食用の果実及びナット、かんきつ類の果皮並びにメロ
ンの皮
第 9類
コーヒー、茶、マテ及び香辛料
第 10 類 穀物
第 11 類 穀粉、加工穀物、麦芽、でん粉、イヌリン及び小麦グ
ルテン
183
第 12 類 採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は
医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物
第 13 類 ラック並びにガム、樹脂その他の植物性の液汁及びエ
キス
第 14 類 植物性の組物材料及び他の類に該当しない植物性生産
品
第 3 部
動物性又は植物性の油脂及びその分解生産物、調製食用脂
並びに動物性又は植物性のろう
第 15 類 動物性又は植物性の油脂及びその分解生産物、調製食
用脂並びに動物性又は植物性のろう
第4部
調製食料品、飲料、アルコール、食酢、たばこ及び製造たば
こ代用品
第 16 類 肉、魚又は甲殻類、軟体動物若しくはその他の水棲無
脊椎動物の調製品
第 17 類 糖類及び砂糖菓子
第 18 類 ココア及びその調製品
第 19 類 穀物、穀粉、でん粉又はミルクの調製品及びベーカリ
ー製品
第 20 類 野菜、果実、ナットその他植物の部分の調製品
第 21 類 各種の調製食料品
第 22 類 飲料、アルコール及び食酢
第 23 類 食品工業において生ずる残留物及びくず並びに調製飼
料
第 24 類 たばこ及び製造たばこ代用品
184
第5部
鉱物性生産品
第 25 類 塩、硫黄、土石類、プラスター、石灰及びセメント
第 26 類 鉱石、スラグ及び灰
第 27 類 鉱物性燃料及び鉱物油並びにこれらの蒸留物、歴青物
質並びに鉱物性ろう
第6部
化学工業(類似の工業を含む。)の生産品
第 28 類 無機化学品及び貴金属、希土類金属、放射性元素又は
同位元素の無機又は有機の化合物
第 29 類 有機化学品
第 30 類 医療用品
第 31 類 肥料
第 32 類 なめしエキス、染色エキス、タンニン及びその誘導体、
染料、顔料その他の着色料、ペイント、ワニス、パテ
その他のマスチック並びにインキ
第 33 類 精油、レジノイド、調製香料及び化粧品類
第 34 類 せつけん、有機界面活性剤、洗剤、調製潤滑剤、人造
ろう、調製ろう、磨き剤、ろうそくその他これに類す
る物品、モデリングペースト、歯科用ワックス及びプ
ラスターをもととした歯科用の調製品
第 35 類 たんぱく系物質、変性でん粉、膠着剤及び酵素
第 36 類 火薬類、火工品、マッチ、発火性合金及び調製燃料
第 37 類 写真用又は映画用の材料
第 38 類 各種の化学工業生産品
第7部
プラスチック及びゴム並びにこれらの製品
185
第 39 類 プラスチック及びその製品
第 40 類 ゴム及びその製品
第8部
皮革及び毛皮並びにこれらの製品、動物用装着具並びに旅行
用具、ハンドバッグその他これらに類する容器並びに腸の製品
第 41 類 原皮(毛皮を除く。)及び革
第 42 類 革製品及び動物用装着具並びに旅行用具、ハンドバッ
グその他これらに類する容器並びに腸の製品
第 43 類 毛皮及び人造毛皮並びにこれらの製品
第9部
木材及びその製品、木炭、コルク及びその製品並びにわら、
エスパルトその他の組物材料の製品並びにかご細工物及び枝条細工
物
第 44 類 木材及びその製品並びに木炭
第 45 類 コルク及びその製品
第 46 類 わら、エスパルトその他の組物材料の製品並びにかご
細工物及び枝条細工物
第 10 部
木材パルプ、繊維素繊維を原料とするその他のパルプ、古
紙並びに紙及び板紙並びにこれらの製品
第 47 類 木材パルプ、繊維素繊維を原料とするその他のパルプ
及び古紙
第 48 類 紙及び板紙並びに製紙用パルプ、紙又は板紙の製品
第 49 類 印刷した書籍、新聞、絵画その他の印刷物並びに手書
き文書、タイプ文書、設計図及び図案
第 11 部
紡織用繊維及びその製品
第 50 類 絹及び絹織物
186
第 51 類 羊毛、繊獣毛、粗獣毛及び馬毛の糸並びにこれらの織
物
第 52 類 綿及び綿織物
第 53 類 その他の植物性紡織用繊維及びその織物並びに紙糸及
びその織物
第 54 類 人造繊維の長繊維及びその織物
第 55 類 人造繊維の短繊維及びその織物
第 56 類 ウォッディング、フェルト、不織布及び特殊糸並びに
ひも、綱及びケーブル並びにこれらの製品
第 57 類 じゆうたんその他の紡織用繊維の床用敷物第 57 類
じ
ゆうたんその他の紡織用繊維の床用敷物
第 58 類 特殊織物、タフテッド織物類、レース、つづれ織物、
トリミング及びししゆう布
第 59 類 染み込ませ、塗布し、被覆し又は積層した紡織用繊維
の織物類及び工業用の紡織用繊維製品
第 60 類 メリヤス編物及びクロセ編物
第 61 類 衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みの
ものに限る。)
第 62 類 衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みの
ものを除く。)
第 63 類 紡織用繊維のその他の製品、セット、中古の衣類、紡
織用繊維の中古の物品及びぼろ
第 12 部
履物、帽子、傘、つえ、シートステッキ及びむち並びにこ
れらの部分品、調製羽毛、羽毛製品、造花並びに人髪製品
187
第 64 類 履物及びゲートルその他これに類する物品並びにこれ
らの部分品
第 65 類 帽子及びその部分品
第 66 類 傘、つえ、シートステッキ及びむち並びにこれらの部
分品
第 67 類 調製羽毛、羽毛製品、造花及び人髪製品
第 13 部
石、プラスター、セメント、石綿、雲母その他これらに類
する材料の製品、陶磁製品並びにガラス及びその製品
第 68 類 石、プラスター、セメント、石綿、雲母その他これら
に類する材料の製品、陶磁製品並びにガラス及びその
製品
第 69 類 陶磁製品
第 70 類 ガラス及びその製品
第 14 部
天然又は養殖の真珠、貴石、半貴石、貴金属及び貴金属を
張つた金属並びにこれらの製品、身辺用模造細貨類並びに貨幣
第 71 類 天然又は養殖の真珠、貴石、半貴石、貴金属及び貴金
属を張つた金属並びにこれらの製品、身辺用模造細貨
類並びに貨幣
第 15 部
卑金属及びその製品
第 72 類 鉄鋼
第 73 類 鉄鋼製品
第 74 類 銅及びその製品
第 75 類 ニッケル及びその製品
第 76 類 アルミニウム及びその製品
188
第 77 類 (欠番)
第 78 類 鉛及びその製品
第 79 類 亜鉛及びその製品
第 80 類 すず及びその製品
第 81 類 その他の卑金属及びサーメット並びにこれらの製品
第 82 類 卑金属製の工具、道具、刃物、スプーン及びフォーク
並びにこれらの部分品
第 83 類 各種の卑金属製品
第 16 部
機械類及び電気機器並びにこれらの部分品並びに録音機、
音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用
の機器並びにこれらの部分品及び附属品
第 84 類 原子炉、ボイラー及び機械類並びにこれらの部分品
第 85 類 電気機器及びその部分品並びに録音機、音声再生機並
びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用
の機器並びにこれらの部分品及び附属品
第 17 部
車両、航空機、船舶及び輸送機器関連品
第 86 類 鉄道用又は軌道用の機関車及び車両並びにこれらの部
分品、鉄道又は軌道の線路用装備品及びその部分品並
びに機械式交通信号用機器(電気機械式のものを含
む。)
第 87 類 鉄道用及び軌道用以外の車両並びにその部分品及び附
属品
第 88 類 航空機及び宇宙飛行体並びにこれらの部分品
第 89 類 船舶及び浮き構造物
189
第 18 部
光学機器、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査機器、
精密機器、医療用機器、時計及び楽器並びにこれらの部分品及び附属
品
第 90 類 光学機器、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査
機器、精密機器及び医療用機器並びにこれらの部分品
及び附属品
第 91 類 時計及びその部分品
第 92 類 楽器並びにその部分品及び附属品
第 19 部
武器及び銃砲弾並びにこれらの部分品及び附属品
第 93 類 武器及び銃砲弾並びにこれらの部分品及び附属品
第 20 部
雑品
第 94 類 家具、寝具、マットレス、マットレスサポート、クッ
ションその他これらに類する詰物をした物品並びにラ
ンプその他の照明器具(他の類に該当するものを除
く。)及びイルミネーションサイン、発光ネームプレー
トその他これらに類する物品並びにプレハブ建築物
第 95 類 がん具、遊戯用具及び運動用具並びにこれらの部分品
及び附属品
第 96 類 雑品
第 21 部
美術品、収集品及びこつとう
第 97 類 美術品、収集品及びこつとう
190
2.書籍紹介
①ジェトロの本
・ アジア見本市ビジネス動向
2005
・ 欧州見本市ビジネス動向
2005
・ 北米見本市ビジネス動向
2005
・ 輸入商品別マーケティングガイド
2004
・ 農水産物輸入法規ハンドブック
2005年度版
・ ジェトロ貿易ハンドブック
2006
その外の書籍、定期刊行物などは「ジェトロの本」から検索できます。
また、注文できます。
②関連法規資料
以下の資料は、ジェトロ・オンライン・ブックショップにて販売して
います。
・食品、器具及び容器包装、おもちゃ、洗浄剤の規格基準および試験
法
(06/06)英語版
・食品衛生法
(06/04)英語版
・産業用機材輸入法規ハンドブック(06/03)日本語版
英語版
・消費財輸入法規ハンドブック
(06/03)日本語版
英語版
・農水産物輸入法規ハンドブック
(05/12)日本語版
英語版
・食品衛生法に基づく食品・食品添加物等の規格基準(抄)(0/02)
日本語版
英語版
・JAS制度について
(04/02)
日本語版
英語版
・動物検疫の概要
(03/04)
日本語版
英語版
・植物検疫の概要
(03/04)
日本語版
英語版
191
・ジェトロのサイトから閲覧可能法令
以下の資料はジェトロのサイトからご覧いただけます。
http://www.jetro.go.jp/jpn/regulations/
法令
日本語版
英語版
食品、器具及び容器包装、おもちゃ、洗浄
06 年 06 月
販売品
06 年 04 月
販売品
02 年 07 月
02 年 07 月
03 年 03 月
03 年 03 月
剤の規格基準及び試験法
食品衛生法
電気用品安全法
電気用品の技術上の基
準を定める省令 国際規格からの相違
食品添加物としての香料
電気用品安全法
01 年 11 月
電気用品安全法施行令
01 年 11 月
電気用品安全法施行規則
01 年 11 月
電気用品安全法施行規則 App.(改正版)
02 年 04 月
電気用品安全法等に基づく経済産業大臣
01 年 11 月
の処分に係る審査基準等
電気用品の技術上の基準を定める省令
02 年 02 月
特定機器に係る適合性評価の欧州共同体
02 年 02 月
との相互承認の実施に関する法律
特定機器に係る適合性評価の欧州共同体
02 年 02 月
との相互承認の実施に関する法律第 35 条
に基づく国際証明書等に関する省令
有害物質含有家庭用品規制法
99 年 08 月
99 年 03 月
家庭用品品質表示法ガイド
99 年 08 月
98 年 09 月
計量法の概要
03 年 1 月
03 年 1 月
輸出用木製梱包材について
あり
192
3.輸入ビジネス関連官庁・団体
・
(独)日本貿易振興機構(JETRO)
URL:http://www.jetro.go.jp
Tel: 03-3582-5171(東京)
Tel: 06-6447-2307(大阪)
・
(財)対日貿易投資交流促進協会(MIPRO)
URL:http://www.mipro.or.jp
Tel: 03-3989-5151(相談専用)
・イービズポーター=商売お助け人
URL:http://www.e-bizporter.jp
・(社)日本商事仲裁協会 TEL:03-3287-3051
〒100-0006
千代田区有楽町 1-9-1 日比谷サンケイビル 4.5F
http://www.jcaa.or.jp/
・国際商業会議所日本国内委員会事務局
(International Chamber of Commerce)
URL:http://www.iccjapan.org/icc-japan/gaiyou-j.htm
Tel:03-3213-8585
Fax:03-3213-8589
・金融庁(Financial
Services
Agency)
URL:http://www.fsa.go.jp/policy/honninkakunin/
・東京海上日動(TOKIO
MARINE
NICHIDO)
UR:http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/j0406/html/003.html
注:旧協会貨物約款と新協会貨物約款
・ダン社(Dun & Bradstreet Corp.)
URL:http://www.dnb.co.jp/products/reports.html
・ムーディーズ社(Moody's Investors Service Inc.)
193
URL:http://www.moodygroup.co.jp/mic_index.htm
・スタンダード・アンド・プアーズ社(Standard & Poors' Co.,Ltd.)
URL:http://www.standardandpoors.co.jp/
・㈱東京商工リサーチ
営業本部
URL:http://www.tsr-net.co.jp/
E-Mail:[email protected]
TEL:03-3574-2258
・㈱帝国データーバンク(TEIKOKU DATABANK.LTD)
URL:http://www.tdb.co.jp/
・
(財)ジェトロ厚生会
URL:http://jetro-k.or.jp/
・シティバンク
URL:http://www.citibank.co.jp/
・三菱東京UFJ銀行
URL:http://www.bk.mufg.jp/
・外為ナビ(Foreign Exchange)
URL:http://www.fx-navi.jp/
・郵便貯金ホームページ
URL:http://www.yu-cho.japanpost.jp/s0000000/ssk20000.htm
・㈳日本商事仲裁協会(Japan Commercial Arbitration Association)
URL:http://www.jcaa.or.jp/
・東京税関税関相談官室
Tel:03-3472-7001
URL:http://www.customs.go.jp/
・(財)日本関税協会(JTASS:Japan Tariff Association)
URL:http://www.kanzei.or.jp/
Tel:03-3263-7221
注:「実行関税率表」(発行)
194
・経済産業調査会
Tel:03-3535-4884
URL:http://www.chosakai.or.jp/
注:「新輸入注意事項集<加除式>」などの解説書発行
・公正取引委員会
Tel:03-3581-5471
URL:http://www.jftc.go.jp/index.htm
・スポーツ用品公正取引協議会
Tel:03-3219-2531
・厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課<残留農薬>
TEL:03-5253-111 内線 2487、2489
URL:http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/
注:「ポジティブリスト制度」食品添加物等
・貿易アドバイザー協会(AIBA)
本
部
〒108-0071 東京都港区白金台 2-9-6
白金台光和ビル 6F
事務局
〒101-0021 東京都千代田区外神田 1-1-5
昌平橋ビル 2F
TEL: 03-3255-2477
FAX: 03-3255-2477
URL:http://trade-advisers.com/index.asp
E-mail: [email protected]
・㈳日本通関業連合会(Japan Customs Brokers Association)
URL:http://tsukangyo.or.jp/gaiyo.html
・(独)日本貿易保険
〒101-8359
(NEXI)
Tel:03-3508-2535
TEL:03-3512-7650
千代田区西神田 3-8-1 千代田ファーストビル東館 3F
http://nexi.go.jp/
・㈳日本損害保険協会(SONPO)
URL:http://www.sonpo.or.jp/
・日本船主協会
URL:http://www.jsanet.or.jp/memberco/index.html
195
・㈳航空貨物運送協会
URL:http://www.jafa.or.jp/outline/main.html
・㈳日本インターナショナル・フレイト・フォワーダーズ協会(JIFFA)
URL:http://www.jiffa.or.jp/
・東京商工会議所
URL:http://www.tokyo-cci.or.jp/
・ 財務省関税局
Tel:03-3581-4111
URL:http://www.customs.go.jp/
・財務省関税局業務課
Tel:03-3581-3041
URL:http://www.mof.go.jp
4.海外ビジネス支援事業者
あなたの海外ビジネスを支援してくれる事業者です。
☆貿易アドバイザー協会(AIBA)
TEL: 03-3255-2477
FAX: 03-3255-2477
URL:http://trade-advisers.com/index.asp
E-mail: [email protected]
☆(有)ジャパントレードリンク
代表者
小林公典
E-Mail:[email protected]
URL: http://www.fureai.or.jp/~kkb/
☆
有限会社 イー・マテリアル
代表取締役
渡邉 淨
〒350-1123 埼玉県川越市脇田本町 29-1 トーア川越 308
Tel: 049-220-3000
FAX : 049-220-3330
URL: http://www.zokuzokunet.com/ematerial/
196
5.ジェトロ国内事務所一覧
所在都市
ジェトロ国内事務所および情報デスク所在地・連絡先
東京都
ジェトロ東京本部
〒107-6006
TEL:03-3582-5511
東京都港区赤坂 1 丁目 12-32
アーク森ビル
東京都
ジェトロ池袋情報デスク
(池袋)
〒170-8630
大阪市
TEL:03-3984-5960
東京都豊島区東池袋 3-1-3
ワールドインポートマート
6F
ジェトロ大阪本部
TEL:06-6447-2307
〒530-0005
大阪府大阪市北区中之島 3-3-3
中之島三井ビル 5F
札幌市
TEL:011-261-7434
ジェトロ北海道事務所
〒060-0001
北海道札幌市中央区北 1 条西 3 丁目
札幌 MN ビル 10F
青森市
TEL:017-734-2575
ジェトロ青森事務所
〒030-0802
青森県青森市本町 1-2-15
青森本町第一生命ビル 5F
八戸市
ジェトロ八戸情報デスク
〒039-1162
青森県八戸市豊洲 3-9
八戸港貿易センター
盛岡市
ジェトロ盛岡事務所
〒020-0045
TEL:017-872-1850
3F
TEL:019-651-2359
岩手県盛岡市盛岡駅西通 2-9-1
マリオス 3 階
仙台市
ジェトロ仙台事務所
〒980-0014
TEL:022-223-7484
宮城県仙台市青葉区本町 3-6-16
漁信基ビル 5F
197
所在都市
ジェトロ国内事務所および情報デスク所在地・連絡先
秋田市
ジェトロ秋田事務所
〒010-0951
TEL:018-865-8062
秋田県秋田市山王 2-1-40
田口ビル 1F
山形市
ジェトロ山形事務所
〒990-0043
TEL:023-622-8225
山形県山形市本町 2-4-3
本町ビル 4 階
郡山市
ジェトロ福島事務所
〒963-0101
TEL:024-947-9800
福島県郡山市安積町日出山字北千保 19-8
ビッグパレット福島 3F
三戸市
ジェトロ茨城情報デスク
〒310-0801
茨城県水戸市桜川 2-2-35
茨城県産業会館
埼玉市
8F
ジェトロ千葉事務所
〒261-7123
TEL:048-647-4157
埼玉県さいたま市大宮区桜木町 1-7-5
ソニックシティ
千葉市
9F
ジェトロ埼玉情報デスク
〒330-8669
TEL:029-228-4819
TEL:043-271-4100
千葉県千葉市美浜区中瀬 2-6
ワールド・ビジネス・ガーデン・マリブイースト 23 階
横浜市
ジェトロ横浜事務所
〒231-0023
TEL:045-222-3901
神奈川県横浜市中区山下町 2 番地
産業貿易センタービル 9 階
新潟市
ジェトロ新潟事務所
〒950-0965
TEL:025-284-6991
新潟県新潟市新光町 16-4
荏原新潟ビル 5F
198
所在都市
ジェトロ国内事務所および情報デスク所在地・連絡先
富山市
ジェトロ富山事務所
〒930-0866
TEL:076-444-7901
富山県富山市高田 527
情報ビル 2F
金沢市
ジェトロ金沢事務所
〒920-8203
TEL:076-268-9601
石川県金沢市鞍月 2 丁目 20 番地
石川県地場産業振興センター新館 4F
福井市
ジェトロ福井事務所
〒918-8004
TEL:0776-33-1661
福井県福井市西木田 2-8-1
福井商工会議所ビル 6F
長野市
ジェトロ長野事務所
〒380-0936
TEL:026-227-6080
長野県長野市中御所岡田 131-10
長野県中小企業指導センター1F
諏訪市
ジェトロ諏訪支所
〒392-0021
TEL:0266-52-3442
長野県諏訪市上川 1-1644-10
諏訪合同庁舎 5F
岐阜市
ジェトロ岐阜事務所
〒500-8384
TEL:058-271-4910
岐阜県岐阜市薮田南 5-14-53
県民ふれあい会館第一棟 6 階
静岡市
ジェトロ静岡事務所
〒424-0922
TEL:0543-52-8643
静岡県静岡市清水区日の出町 9-25
清水マリンビル 5F
名古屋市
ジェトロ名古屋事務所
〒460-0003
TEL:052-211-4517
愛知県名古屋市中区錦 2-2-22
名古屋センタービル別館 8 階
199
所在都市
ジェトロ国内事務所および情報デスク所在地・連絡先
津市
ジェトロ三重事務所
〒514-0004
TEL:059-228-2647
三重県津市栄町 1-954
三重県栄町庁舎 2F
大津市
ジェトロ滋賀情報デスク
〒520-8060
滋賀県大津市出浜 2-1
コラボしが21
京都市
2F
ジェトロ京都情報デスク
〒600-8813
神戸市
2F
ジェトロ和歌山情報デスク
〒640-8227
TEL:075-325-2075
京都市下京区中堂寺南町 134
京都府産業プラザ
和歌山市
TEL:077-521-6638
TEL:073-432-3237
和歌山県和歌山市西汀丁 26
和歌山県経済センタービル
3F
ジェトロ神戸事務所
TEL:078-231-3081
〒651-6591
兵庫県神戸市中央区浜辺通 5-1-14
神戸商工貿易センター6F
鳥取市
ジェトロ鳥取事務所
〒689-1112
TEL:0857-52-4335
鳥取県鳥取市若葉台南 7-5-1
鳥取県産業振興機構内
松江市
ジェトロ松江事務所
〒690-0826
TEL:0852-27-3121
島根県松江市学園南 1-2-1
くにびきメッセ 3F
岡山市
ジェトロ岡山事務所
〒700-0985
TEL:086-224-0853
岡山県岡山市厚生町 3-1-15
岡山商工会議所ビル 5F
200
所在都市
ジェトロ国内事務所および情報デスク所在地・連絡先
広島市
ジェトロ広島事務所
〒730-0011
TEL:082-228-2563
広島県広島市中区基町 5-44
広島商工会議所ビル 4F
下関市
ジェトロ山口事務所
〒750-0018
TEL:0832-31-5022
山口県下関市豊前田町 3-3-1
海峡メッセ下関国際貿易ビル 2F
徳島市
ジェトロ徳島事務所
〒771-0134
TEL:088-665-8126
徳島県徳島市川内町平石住吉 209-5
徳島健康科学総合センター3F
高松市
ジェトロ香川事務所
〒760-0017
TEL:087-851-9407
香川県高松市番町 2-2-2
高松商工会議所会館 5F
松山市
ジェトロ愛媛事務所
〒791-8057
TEL:089-952-0015
愛媛県松山市大可賀 2-1-28
アイテムえひめ 3F
高知市
ジェトロ高知事務所
〒780-0834
TEL:088-823-1320
高知県高知市堺町 2-26
高知中央第一生命ビル 6F
福岡市
ジェトロ福岡事務所
〒810-0001
TEL:092-741-8783
福岡県福岡市中央区天神 1-4-2
エルガーラ 7F
北九州市
ジェトロ北九州事務所
〒802-0001
TEL:093-541-6577
福岡県北九州市小倉北区浅野 3-8-1
AIM ビル 8F
201
所在都市
ジェトロ国内事務所および情報デスク所在地・連絡先
長崎市
ジェトロ長崎事務所
〒850-0031
TEL:095-823-7704
長崎県長崎市桜町 4-1
長崎商工会館 9F
佐賀市
〒840-8570
佐賀県佐賀市城内 1-1-59
佐賀県庁新行政棟南側
熊本市
TEL:0952-26-1474
ジェトロ佐賀情報デスク
流通課内
TEL:096-354-4211
ジェトロ熊本事務所
〒860-0806
5F
熊本県熊本市花畑町 7-10
熊本市産業文化会館 4F
大分市
TEL:097-592-4081
ジェトロ大分事務所
〒870-0266
大分県大分市大字大在 6 番
大分国際貿易センタービル 3F
宮崎市
ジェトロ宮崎情報デスク
〒880-0804
宮崎県庁
鹿児島市
宮崎県宮崎市宮田町 13-16
10 号館
2F
ジェトロ鹿児島事務所
〒892-0821
TEL:0985-38-9351
21 号室
TEL:099-226-9156
鹿児島県鹿児島市名山町 9-1
鹿児島県産業会館 6F
那覇市
ジェトロ沖縄事務所
〒901-0152
TEL:098-859-7002
沖縄県那覇市字小禄 1831-1
沖縄産業支援センター609 号室
202
あとがき
景気の回復に伴い、消費動向も改善してきております。一部では二
極化がすすみ、高級商品の売れ行きも改善方向にあるとの報道もあり
ます。最近の円安にあっても輸入は盛んになっておりますと共に、国
の地域活性化策に伴い地方でのイベント開催もあり、地域の活性化が
期待されております。一方、IT産業の発達で世界の商品、トレンド
が即座に入手できる環境が整っています。
国内流通システムもハード、ソフト両面で進み、輸入品も安価で迅
速に、かつ、使いやすくなりました。その中で、輸入品買い付けの場
である国際見本市に対する関心が高まっております。
本資料は筆者の40年のジェトロ勤務と展示会・見本市開催の実績
と経験により、日頃、輸入ビジネスに直接携われていない地域の中小
事業者に輸入ビジネスに参入されることを願って、まとめたものであ
ります。筆者はこの分野の専門家でないことも有り、一部不確かな事
項、誤りなどただ有るかと思われますが、地方の中小事業者が海外ビ
ジネスに参入される際の若干なりとも参考になれば幸いです。それら
を補完頂くために関連機関をご紹介しております。
また、皆様より、忌憚のないご意見等をお聞かせ頂き、改めて正式
な参考資料を出筆したいと考えております。
追伸
新しい動き、法令等の改正、修正、追加などについては下記
ホームページ(URL)でお知らせします。
ご意見等は下記まで頂ければ幸いです。
URL=http://www.e-bizporter.jp
e-mail=[email protected]
FAX=+81-48-825-3998
203