インドネシアの内航船需要に関する調査

助成
インドネシアの内航船需要に関する調査
2007 年 3 月
社団法人 日 本 中 小 型 造 船 工 業 会
は じ め に
17,000 余 り の 島 々 か ら 形 成 さ れ る 世 界 最 大 の 島 嶼 国 家 で あ る イ ン ド ネ シ
ア で は 、社 会 経 済 の 発 展 、国 民 生 活 の 維 持 時・向 上 に 海 運 が 非 常 に 重 要 な 役
割 を 果 た し て い る 。同 国 の 造 船 所 は 、規 模 と し て は 日 本 の 中 規 模 造 船 所 に 匹
敵 す る ス ラ バ ヤ の P.T. PAL 造 船 を は じ め 、 ジ ャ カ ル タ 、 バ タ ム 島 な ど 国 内
各 地 に 存 在 す る 。こ の イ ン ド ネ シ ア 造 船 業 界 は 今 、飛 躍 へ の チ ャ ン ス を 掴 み
つ つ あ る 時 期 で も あ る 。従 来 同 国 は 、海 運 業 の 振 興 が お ろ そ か に さ れ 、日 本
を 始 め 殆 ど の 国 が 100% 自 国 籍 船 で 行 っ て い る 国 内 海 上 輸 送 の 45% が 外 国
籍 船 で 行 わ れ 、同 国 の 貿 易 外 収 支 を 悪 化 さ せ る 一 因 と な っ て い る 。こ れ に 対
し 、 JICA の 支 援 の 下 、 国 内 海 上 輸 送 を 将 来 イ ン ド ネ シ ア 国 籍 船 の み に す る
こ と と し て お り 、こ れ に 伴 い イ ン ド ネ シ ア 造 船 業 界 は 国 内 船 主 か ら の 大 き な
造 船 需 要 が 期 待 で き る 状 況 に な っ て い る 。ま た 、バ タ ム 島 で は 海 外 か ら の 投
資 環 境 を 改 善 す る こ と な ど に よ り 、多 く の 外 資 に よ る 造 船 所( 特 に シ ン ガ ポ
ー ル )が 進 出 し て い る 。ま た 、近 年 の 急 増 す る 鉄 鋼 需 要 に 伴 っ て 粗 鋼 生 産 の
た め の 原 料 炭 の 増 産 が 行 わ れ て お り 、カ リ マ ン タ ン の 炭 鉱 の 新 規 開 発 な ど が
行われており、輸送用船舶需要を引き起こしている。
加 え て 、 2004 年 10 月 に ユ ド ヨ ノ 新 大 統 領 が 就 任 し た 後 、 2005 年 3 月 に
外国船の国内貨物輸送を原則禁じる沿岸航行規則の大統領令の発布により
海 運 振 興 を 図 っ た 。ま た 、新 造 船 建 造 資 金 を 獲 得 し 本 規 則 の 円 滑 な 運 用 を 図
る た め に 国 内 海 運 会 社 に 対 す る 外 国 資 本 の 導 入 を 認 め る 一 方 、シ ン ガ ポ ー ル
の 1.4 倍 、マ レ ー シ ア・タ イ の 2 倍 と い わ れ る イ ン ド ネ シ ア の 港 湾 で の コ ン
テ ナ 取 扱 料 金 の 引 き 下 げ を 決 定 し 外 航 船 誘 致 を 図 る な ど 、海 事 関 連 分 野 に お
いて積極的な振興策を実現可能な方法で進めてきた。
本 調 査 は 、こ の よ う な 状 況 の 下 、イ ン ド ネ シ ア の 海 運 、造 船 、関 連 工 業 を
取 り 巻 く 環 境 及 び 政 策 に つ い て も 調 査 、整 理 す る と と も に 、こ れ か ら の 展 望 、
内 在 す る 問 題 を 明 ら か に し 、わ が 国 造 船 業 、関 連 工 業 事 業 者 、及 び 海 事 関 係
者の参考に供することを目的としたものである。
ジェトロ・シンガポール・センター船舶部
(社団法人日本中小型造船工業会共同事務所)
ディレクター
田中
信行
目
1
次
イ ン ド ネ シ ア の 経 済 ・ 投 資 環 境 ...................................................................1
1-1
イ ン ド ネ シ ア の 経 済 概 況 ........................................................................1
1-1-1 基 礎 デ ー タ ......................................................................................1
1-1-2 マ ク ロ 経 済 ......................................................................................1
1-1-3 貿 易 動 向 .........................................................................................6
1-2
イ ン ド ネ シ ア 投 資 動 向 ...........................................................................8
1-2-1 投 資 環 境 全 般 ...................................................................................8
1-2-2 低 調 に 終 わ っ た 2006 年 の 直 接 外 国 投 資 .......................................... 11
1-2-3 新 投 資 法 ....................................................................................... 12
1-2-4 投 資 促 進 に 向 け た 政 策 ................................................................... 12
1-3
2
3
4
5
2007 年 以 降 の イ ン ド ネ シ ア 経 済 動 向 見 通 し ......................................... 15
イ ン ド ネ シ ア 海 運 業 の 現 状 ........................................................................ 17
2-1
大 統 領 指 令 の 発 令 と そ の 背 景 ............................................................... 17
2-2
大 統 領 指 令 の 発 令 後 の 動 き .................................................................. 22
2-3
大 統 領 指 令 の 発 令 の イ ン パ ク ト ............................................................ 25
海 運 会 社 ア ン ケ ー ト と 主 要 企 業 ................................................................. 27
3-1
海 運 会 社 ア ン ケ ー ト ............................................................................ 27
3-2
主 要 海 運 会 社 の 概 要 ............................................................................ 35
造 船 業 界 の 現 状 ........................................................................................ 41
4-1
造 船 業 界 の 概 要 ................................................................................... 41
4-2
造 船 所 ア ン ケ ー ト ................................................................................ 43
船 舶 需 要 .................................................................................................. 49
5-1
貨 物 量 予 測 ......................................................................................... 49
5-2
海 運 需 要 が 見 込 ま れ る 貨 物 .................................................................. 50
5-3
日 本 か ら の 輸 出 可 能 性 ......................................................................... 53
別添資料
1) ARPENI PRATAMA OCEAN LINE 所 有 船 舶 リ ス ト ·······························57
2) BERLIAN LAJU TANKER 所 有 船 舶 リ ス ト ·········································58
3) HUMPSS 所 有 船 舶 リ ス ト ·······························································60
4) PT Pelayaran Tempuran Emas Tbk 所 有 船 舶 リ ス ト ·····························63
5) PERTAMINA SHIPPING 所 有 船 舶 リ ス ト ···········································64
6) SAMUDERA 所 有 運 営 コ ン テ ナ 船 リ ス ト ·············································65
7) SAMUDERA 子 会 社 所 有 船 舶 リ ス ト ··················································66
8) そ の 他 の ア ン ケ ー ト 回 答 海 運 会 社 7 社 の 所 有 船 舶 リ ス ト ·························72
9) ア ン ケ ー ト 回 答 海 運 会 社 ( う ち 12 社 ) の 調 達 予 定 船 舶 リ ス ト ··················74
10) ア ン ケ ー ト 回 答 造 船 所 の 従 業 員 数 ······················································75
1
インドネシアの経済・投資環境
1-1
インドネシアの経済概況
1-1-1 基 礎 デ ー タ
表 1
面積
人口
人種
宗教
政体
元首
国会
内閣
192.2 万 平 方 キ ロ メ ー ト ル (日 本 の 5.1 倍 )
約 2 億 2,200 万 人 人 (2005 年 時 点 推 計 )
大 半 が マ レ - 系 ( ジ ャ ワ 、 ス ン ダ 等 27 種 族 に 大 別 )
イ ス ラ ム 教 87% 、 キ リ ス ト 教 10% 、 ヒ ン ズ - 教 2%
共和制
ス シ ロ・バ ン バ ン・ユ ド ヨ ノ 大 統 領( 2004 年 10 月 20 日 就 任 、任 期 5 年 )
(1) 国 民 協 議 会 ( MPR、 定 数 700 名 、 内 500 名 が 国 会 議 員 の 兼 任 、 135
名 が 地 域 代 表 、 65 名 が 諸 組 織 代 表 )
(2) 国 会( DPR、定 数 500 名 、内 38 名 は 大 統 領 が 指 名 し た 軍 人 、比 例 代
表制、任期 5 年)
内閣は大統領の補佐機関で、大統領が国務大臣の任免権を有する。
出 所 : JETRO 国 ・ 地 域 別 情 報 、 日 本 外 務 省
1-1-2 マ ク ロ 経 済
(1) 概 要
1980 年 代 以 降 、イ ン ド ネ シ ア で は ス ハ ル ト 政 権 の も と で 積 極 的 な 外 資 導 入 政 策 が 採 用
さ れ 、 同 国 は 1990 年 に は 9% 、 1995 年 に は 8.2% 1 と い う 高 い 経 済 成 長 を 達 成 し た 。 し
か し 、1997 年 7 月 に タ イ で 発 生 し た 通 貨 危 機 の 影 響 を 受 け 、同 国 通 貨 ル ピ ア ア は 米 ド ル
に 対 し 1 年 間 で 95% 切 り 下 が り 、外 貨 建 で 借 入 を 行 っ て い た 政 府 、企 業 の 負 担 は 増 大 し 、
通 貨 危 機 は 経 済 危 機 へ と 発 展 し た 。通 貨 危 機 後 は IMF プ ロ グ ラ ム に も と づ い た 経 済 運 営
が 行 わ れ た 。そ の 後 、経 済 の 混 乱 は 次 第 に 収 束 に 向 か い 、2000 年 に は 経 済 成 長 率 4.9%
に ま で 回 復 し た 。 し か し 、 2001 年 に は 3.8% に 再 度 落 ち 込 み 、 そ の 後 は 4% 前 半 の 成 長
率に留まっていた。
2004 年 10 月 、 イ ン ド ネ シ ア 初 の 大 統 領 直 接 選 挙 で ス シ ロ ・ バ ン バ ン ・ ユ ド ヨ ノ 大 統
領 が 国 民 の 高 い 支 持 を 受 け て 当 選 し た 。 同 年 の GDP 成 長 率 は 5.1% と 5%台 を 回 復 し 、
翌 2005 年 に は 5.6% と い う 経 済 危 機 後 最 高 の 成 長 率 を 記 録 し た 。2006 年 は 、前 半 は 4%
台 に 鈍 化 し た 2 が 、 最 終 的 に は 前 年 2005 年 の 5.6% と ほ ぼ 横 ば い の 5.5%と な っ た 3 。
ユドヨノ大統領は、①法、平等、人権を尊重する社会の実現、②治安の安定、③貧困
削 減・雇 用 拡 大 の た め の 経 済 成 長 促 進 、の 3 点 を 就 任 時 に 公 約 と し て 掲 げ て い る が 、こ
の公約の達成に向けて強いリーダーシップを取り続けており、安定した政権基盤の構築
に 成 功 し た と 評 価 さ れ て い る 4 。2007 年 1 月 に ユ ド ヨ ノ 大 統 領 と 会 談 し た IMF の ラ ト 専
務理事も、
「 マ ク ロ 経 済 の 安 定 と い う 観 点 か ら す れ ば 、イ ン ド ネ シ ア は 極 め て 重 要 な 成 果
1
2
3
4
ADB『 Key Indicator of Developing Asian and Pacific Countries』 よ り
信 金 中 央 金 庫 『 イ ン ド ネ シ ア の 投 資 環 境 』 2007 年 1 月 24 日
2007 年 1 月 31 日 、 ユ ド ヨ ノ 大 統 領 に よ る 年 頭 テ レ ビ 演 説 。 (時 事 ニ ュ ー ス 2007 年 2 月 1 日 )
み ず ほ 総 合 研 究 所 『 ユ ド ヨ ノ 政 権 下 の イ ン ド ネ シ ア 経 済 』 2006 年 2 月 14 日
-1-
を 達 成 し た 。」と 述 べ て い る 。た だ し 、同 専 務 理 事 は「 今 必 要 な の は 、成 長 を 加 速 さ せ る
こ と だ 」 と も 指 摘 し て い る 5。
表 2 インドネシア主要経済指標
実質GDP成長率
失業率
貸出金利(運転資金)
中央政府財政収支/GDP
一般政府総債務/GDP
財サービス輸出額
財サービス輸入額
経常収支/GDP
外貨準備(金除く)
輸入カバー倍率
総対外債務/GDP
純対外債務/GDP
外貨準備/短期対外債務
総対外債務/輸出
純対外債務/輸出
デット・サービス・レシオ
為替相場(年平均)
(%)
(%)
(%)
(%)
(%)
(10億USドル)
(10億USドル)
(%)
10億USドル
(月)
(%)
(%)
(倍)
(%)
(%)
(%)
(US$1=)
1998
▲13.1
5.5
32.2
▲2.1
74.6
54.8
44.0
4.3
22.7
6.2
158.5
118.7
0.0
275.7
206.6
31.7
10,014
1999
0.8
6.4
27.7
▲2.3
99.2
55.8
43.0
4.1
26.4
7.4
108.0
76.4
1.4
270.8
191.6
30.0
7,855
2000
4.9
6.1
18.5
▲1.2
102.7
70.6
56.0
4.8
28.5
6.1
87.5
63.3
1.3
204.5
148.0
22.5
8,422
2001
3.8
8.1
18.6
▲2.8
86.0
62.9
50.5
4.2
27.2
6.5
81.7
58.2
1.3
213.3
151.9
23.6
10,261
2002
4.3
9.1
19.0
▲2.4
71.6
65.8
52.7
3.8
31.0
7.1
64.9
44.2
1.4
200.8
136.8
24.7
9,311
2003
4.5
9.6
17.0
▲1.9
64.9
69.4
56.9
3.4
35.0
7.4
57.4
38.4
1.6
197.3
131.9
25.5
8,577
2004
5.1
9.9
14.3
▲1.4
59.5
88.4
79.1
0.7
35.0
5.3
54.6
37.7
1.7
159.1
109.7
22.1
8,939
2005
5.6
10.3
16.0
▲0.5
52.0
100.1
91.8
0.3
33.0
4.3
46.4
30.2
1.4
133.3
86.7
26.0
9,710
出 典 : 中 央 銀 行 、 財 務 省 、 中 央 統 計 局 、 IMF、 世 界 銀 行 、 ADB
出所:日本格付研究所
(2)
ソブリンレポート
2006 年 11 月
産業構造
イ ン ド ネ シ ア に お け る 産 業 構 造 を 、2005 年 の 業 種 別 GDP 寄 与 度 か ら 見 る と 、下 記 図
表 1 に あ る と お り 製 造 業 が 28%と 最 も 高 く な っ て お り 、次 い で 商 業 の 17%、農 業 の 15%
と続いている。
行政部門
4%
金融・家屋賃貸
9%
その他
5%
農業
15%
鉱業
9%
運輸・通信
6%
商業
17%
図 1
建築業
6%
製造業
28%
公益事業(電気、ガ
ス、水道)
1%
2005 年実質 GDP 業種別寄与度
出 所 : ADB Key Indicators 2006
各 業 種 別 の 成 長 率 を 見 る と 、 2005 年 は 全 業 種 で プ ラ ス 成 長 と な っ た 。 特 に 運 輸 ・通 信
分 野 が 高 い 成 長 率 を 示 し て お り 対 前 年 比 13%増 で あ る 。 ま た 、 商 業 、 建 築 業 が 同 8.6%
増 、 7.3%増 と 続 い て い る 。 製 造 業 は 、 上 記 図 表 2 の と お り 重 要 な 産 業 と な っ て い る が 、
5
Reuters
2007 年 1 月 24 日
-2-
成 長 率 は 2004 年 の 6.4%か ら 2005 年 に は 4.6%成 長 と 、や や 成 長 の ス ピ ー ド を 落 と し て
いる。
表 3
区
分
農業
鉱業
製造業
公益事業(電気、ガス、水道)
建築業
商業
運輸・通信
金融・家屋賃貸
行政部門
その他
実質 GDP 各業種別成長率
2002 年
3.2%
1.0%
5.3%
8.9%
5.5%
3.9%
8.4%
6.4%
0.4%
7.4%
2003 年
3.2%
- 1.4%
5.3%
4.9%
6.1%
5.4%
12.2%
7.2%
0.9%
8.0%
2004 年
3.3%
- 4.5%
6.4%
5.2%
7.5%
5.7%
13.4%
7.7%
1.7%
7.9%
2005 年
2.5%
1.6%
4.6%
6.5%
7.3%
8.6%
13.0%
7.1%
1.9%
8.1%
出 所 : ADB Key Indicators 2006
(3)
為替およびインフレ率
イ ン フ レ 率 は 2002 年 春 を ピ ー ク に 低 下 傾 向 を 辿 っ た こ と を 受 け 、中 央 銀 行 (イ ン ド ネ
シ ア 銀 行 )は 利 下 げ を 継 続 し 、 2004 年 以 降 イ ン フ レ が 上 昇 し 始 め て も 低 金 利 政 策 を 変 更
し な か っ た 。 イ ン フ レ は 加 速 し た が 、 低 金 利 政 策 が 続 い た た め 、 実 質 金 利 は 2005 年 に
入 っ て マ イ ナ ス と な っ た 。 2005 年 8 月 に 入 り 、 中 央 銀 行 は 政 策 金 利 ( BI 金 利 ) を
25bps(8.5%か ら 8.75% )へ と 引 き 上 げ た が 、 こ の 小 幅 な 利 上 げ は 金 融 引 き 締 め に 対 し 躊
躇 す る 態 度 を 市 場 に 示 す 結 果 と な っ た 。原 油 価 格 高 騰 、ス マ ト ラ 島 沖 地 震 ・津 波 後 の 食 料
価 格 の 上 昇 、 更 に 2005 年 の 燃 料 価 格 の 値 上 げ の 断 行 な ど を 背 景 に イ ン フ レ 圧 力 が 強 い
中での上記金融引き締めの遅れは、投資家の市場に対する不信感を買い、急激に資本が
流 出 し 為 替 相 場 が 下 落 し 、株 価 も 同 時 に 下 落 す る と い う 混 乱 を き た し た 。2005 年 8 月 に
は 、 対 1 US ド ル が 1 万 ル ピ ア ア を 超 え た 時 期 も あ る が 、 1 万 の 大 台 を 割 り 込 ん だ の は
メ ガ ワ テ ィ 政 権 発 足 の 約 半 年 後 に 当 た る 2003 年 3 月 以 来 の 3 年 半 ぶ り で あ っ た 。
そ の 後 、2005 年 9 月 に 中 央 銀 行 は 8.75%で あ っ た 政 策 金 利 を 、10%に 引 き 上 げ 、同 年
末 ま で に さ ら に 12.5%に ま で 引 き 上 げ た 。 ま た 、 財 政 構 造 改 善 た め に 大 幅 な 燃 料 補 助 金
の 削 減 も 行 っ た 。 さ ら に 同 年 12 月 に は 、 経 済 閣 僚 を 中 心 に 内 閣 改 造 を 行 っ た 。 経 済 閣
僚の要である経済担当調整相には、前メガワティ政権でマクロ経済運営の実績があるブ
デ ィ オ ノ 前 財 務 相 、財 務 相 に は 元 IMF 理 事 の ス リ・ム リ ア ニ 前 国 家 開 発 企 画 庁 長 官 が 就
任した。中核経済閣僚のポストに実績のあるテクノクラートを起用した経済チームが発
足させたのである。このマクロ経済運営の改善を示唆する動きを受け、海外投資家の信
認は回復し、ルピアア金利の高さもあいまって多額のポートフォリオ資本が流入するよ
うになった。なお、ムリアニ財務相は、英投資情報誌『エマージング・マーケッツ』か
らアジア地域のベスト財務相に選出されており、英金融情報誌『ユーロマネー』からも
「 世 界 の 今 年 の 財 務 相 」 に 選 出 さ れ た 6。
6
時事通信
2006 年 9 月 19 日
-3-
2005 年 10 月 に 引 き 上 げ ら れ た 燃 料 価 格 の 影 響 が 尾 を 引 き 、 2006 年 9 月 ま で は 高 い
イ ン フ レ 率 が 続 く が 、 同 年 10 月 以 降 は 落 ち 着 き 始 め た 。 中 央 統 計 局 の ル ス マ ン 長 官 は
「インフレ動向は石油燃料値上げの影響がなくなり、新しい局面に入った」と分析して
い る 7 。ま た 、政 策 金 利 も 2006 年 7 月 よ り 8 回 に わ た っ て 徐 々 に 下 げ る よ う 方 向 転 換 し
て お り 、 2007 年 2 月 現 在 は 9.25%と な っ て い る 。 イ ン フ レ 率 は 、 2005 年 末 発 足 の 新 規
経 済 チ ー ム の 主 導 下 で 落 ち 着 き 、2005 年 で は 通 年 17.11% で あ っ た が 、2006 年 は 6.6%
に収まった。
図 2
図 3
ルピアア対ドル為替相場の推移
インフレ率(対前年比)の推移
20
8500
9000
15
9500
10000
%
10
10500
5
11000
11500
2004
0
2005
2006
2007
出所:インドネシア中央銀行
Jan04
出所:インドネシア中央銀行
月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
通 年 CPI
上昇率
May04
Sep04
Jan05
May05
Sep05
Jan06
May06
Sep06
Jan07
出所:インドネシア中央銀行
表 4 消費者物価指数(CPI)上昇率対(前月比)
2005 年
2006 年
2007 年
CPI
上 昇 率 (% )
CPI
上 昇 率 (% )
CPI
上 昇 率 (% )
118.53
1.43
138.72
1.36
-
118.33
- 0.17
139.53
0.58
-
120.59
1.91
139.57
0.03
-
121.00
0.34
139.64
0.05
-
121.25
0.21
140.16
0.37
-
121.86
0.50
140.79
0.45
-
122.81
0.78
141.42
0.45
-
123.48
0.55
141.88
0.33
-
124.33
0.69
142.42
0.38
-
135.15
8.70
143.65
0.86
-
136.92
1.31
144.14
0.34
-
136.86
- 0.04
145.89
1.21
-
17.11
6.60
1.04
出所:インドネシア中央統計局
7
時事通信
2006 年 11 月 1 日
-4-
表 5
政策金利(BI レート)の変動
BI レート
8.50%
8.75%
10.00%
11.00%
12.25%
12.75%
12.75%
12.75%
12.75%
12.75%
12.50%
12.50%
12.25%
11.75%
11.25%
10.75%
10.25%
9.75%
9.50%
9.25%
変更期日
2005/7/5
2005/8/9
2005/9/6
2005/10/4
2005/11/1
2005/12/6
2006/1/9
2006/2/7
2006/3/7
2006/4/5
2006/5/9
2006/6/6
2006/7/6
2006/8/8
2006/9/5
2006/10/5
2006/11/7
2006/12/7
2007/1/4
2007/2/6
出所:インドネシア中央銀行
(4)
財政運営
経 済 の 成 長 、為 替 相 場 の 安 定 を 達 成 し 、財 政 赤 字 は 確 実 に 縮 小 し て い る 。2001 年 に は
対 GDP 比 2.8%で あ っ た 財 政 赤 字 は 、2005 年 に は 0.5%に ま で 縮 小 し て い る (上 記 図 表 1
参 照 )。 政 府 債 務 の 水 準 も 順 調 に 下 が り 、 総 債 務 ( IMF 融 資 を 含 む ) の GDP 比 は 2006
年 6 月 末 に は 44%と 2000 年 末 の 103%か ら 大 き く 低 下 し た 8 。 さ ら に 、 2006 年 6 月 に
IMF 債 務 の 50%で あ る 約 37.6 億 US ド ル を 、 同 年 10 月 に は 残 る 約 32 億 US ド ル を 返
済 し 、 前 倒 し 完 済 を 達 成 し た 。 IMF 債 務 の 償 還 期 限 は 2010 年 で あ っ た が 、 大 幅 に 早 い
完済となった。
前倒し債務完済の背景にあるのが、好調に推移する経常収支と外貨準備高である。イ
ン ド ネ シ ア は 1997 年 に 始 ま っ た ア ジ ア 通 貨 危 機 で 打 撃 を 受 け 、 ス ハ ル ト 政 権 下 だ っ た
同 年 か ら IMF の 経 済 プ ロ グ ラ ム 下 に 入 っ た 。 ム ル ヤ ニ 財 務 相 は 、 IMF の 貸 付 金 利 が 引
き 上 げ ら れ た こ と や 外 貨 準 備 高 の 増 加 を 背 景 に 、2006 年 2 月 ご ろ か ら 前 倒 し 返 済 を 提 案
し た 。 前 倒 し 完 済 に よ り 、 金 利 負 担 を 前 半 の 50%返 済 だ け で 2 億 US ド ル 削 減 で き た 9 。
外 貨 準 備 高 の 急 増 は 、2005 年 9 月 以 降 の ポ ー ト フ ォ リ オ 資 本 の 流 入 に よ っ て 生 じ た も
の で あ る 10 。こ の 資 金 流 入 は 、上 記 (3)で 述 べ た と お り 、金 融 政 策 の 見 直 し (大 幅 な 利 上 げ )、
燃料補助金の削減、信頼の厚い経済閣僚の就任に伴う市場への安心感からもたらされた
も の で あ る 。ま た 、政 治 的 な リ ス ク を 冒 し つ つ も 2005 年 10 月 に 断 行 さ れ た 燃 料 補 助 金
の削減は、財政に対して石油価格の上昇などに対するより強い抵抗力を与えることにな
った。
日 本 格 付 け 研 究 所 ソ ブ リ ン レ ポ ー ト 2006 年 10 月
時 事 通 信 2006 年 9 月 5 日
10 日 本 格 付 け 研 究 所
ソ ブ リ ン ・ ・ク ォ ー タ リ ー ・ ・レ ビ ュ ー
8
9
-5-
2006 年 6 月 30 日
今後も市場の信認の厚い経済チームによる慎重なマクロ経済の運営が行なわれる中で、
債 務 の 水 準 は 低 下 し て ゆ く 可 能 性 が 高 い 11 。
1-1-3 貿 易 動 向
(1) 輸 出 入 動 向
2006 年 の 輸 出 高 は 、対 前 年 度 比 17.5%増 の 、1,006 億 9,030 万 US ド ル に 達 し 、史 上
初 め て 1,000 億 US ド ル の 大 台 を 突 破 し た 。一 方 、輸 入 高 は 前 年 比 5.9%増 の 610 億 7,810
万 US ド ル で 、 貿 易 黒 字 は 同 41.7% 増 の 396 億 1220 万 ド ル に 拡 大 し た 。
品 目 別 で 見 る と 、輸 出 で は 石 油 ・ガ ス が 国 際 相 場 の 上 昇 を 反 映 し 前 年 比 10.2%増 の 211
億 8,830 万 ド ル と な っ た 。 非 石 油 ・ガ ス 部 門 は 対 前 年 比 19.7%増 の 795 億 200 万 ド ル と
好 調 な 伸 び を 見 せ た 。特 に 、電 気 機 器 ・部 品 部 門 の 占 め る 割 合 が 全 体 の 9.2%と 最 も 多 く 、
伸 び 率 も 前 年 比 26%増 と 堅 調 で あ る 。ま た 、パ ー ム 油 輸 出 の 好 調 を 受 け 、植 物 性 油 脂 の
輸 出 は 全 体 の シ ェ ア 7.56%、 対 前 年 比 54%増 で あ る 。
輸 入 を 品 目 別 に 見 る と 、 石 油 ・ガ ス 製 品 が 全 体 の 3 割 を 占 め る 。 7 割 を 占 め る 非 石 油 ・
ガ ス 製 品 で は 、機 械 ・同 製 品 お よ び 鉄 鋼 ・同 製 品 が そ れ ぞ れ 輸 入 全 体 の 17.6%、6.8% を 占
め 、伸 び 率 も 33% 、24%と な っ て お り 、企 業 に お け る 設 備 投 資 、生 産 動 向 の 好 調 が 伺 え
る。
下 記 表 は 2005 年 ま で の デ ー タ と な っ て い る が 、 速 報 に よ る と 2006 年 の 非 石 油 ・ガ ス
の 輸 入 元 は 2005 年 ま で は 日 本 が 首 位 で あ っ た が 、2006 年 は 中 国 (55 億 370 万 US ド ル )
が初のトップとなった。
11
日本格付け研究所
ソ ブ リ ン ・ ・ク ォ ー タ リ ー ・ ・レ ビ ュ ー
-6-
2006 年 9 月 25 日
表 6
インドネシア商品別輸出入
(単位:100万ドル)
区
分
非石油・ガス製品
電気機器・部品
動植物性油脂
鉱物性燃料
ゴムおよび同製品
木材および木製品
石油・ガス製品
原油
石油製品
ガス
総額
区
分
非石油・ガス製品
機械・同製品
鉄鋼・同製品
電気機器・部品
有機化学品
輸送機器
石油・ガス製品
原油
石油製品
ガス
総額
貿易収支
金額
66,429
7,328
4,951
4,486
3,581
3,111
19,232
8,146
1,921
9,183
85,660
輸 出
2005年
構成比
77.5%
8.6%
5.8%
5.2%
4.2%
3.6%
22.5%
9.5%
2.2%
10.7%
100.0%
2004年
金額
34,793
6,311
2,717
2,776
3,258
2,423
11,732
5,831
5,892
9
46,525
金額
40,243
8,076
3,345
3,329
3,244
3,061
17,458
6,797
10,615
15
57,701
輸 入
2005年
構成比
69.7%
14.0%
5.8%
5.8%
5.6%
5.3%
30.3%
11.8%
18.4%
0.0%
100.0%
25,060
27,959
-
2004年
金額
55,939
6,573
4,421
2,916
2,999
3,271
15,645
6,241
1,654
7,750
71,585
輸出
金額
79,502
9,243
7,612
8,196
7,018
-
-21,188
-
--
--
-100,690
2006年*
構成比
79.0%
9.2%
7.6%
8.1%
7.0%
-
--
21.0%
--
-
--
-100.0%
伸び率
19.7%
26.1%
53.8%
82.7%
96.0%
--
10.2%
-
--
--
-17.5%
伸び率
15.7%
28.0%
23.1%
19.9%
△0.4%
26.3%
48.8%
16.6%
80.2%
75.3%
24.0%
金額
42,103
-
--
---
4,996
3,457
18,975
--
-
--
-61,078
2006年*
構成比
68.9%
17.6%
6.8%
-
-8.2%
5.7%
31.1%
-
--
--
-100.0%
伸び率
4.6%
-
--
--
-54.0%
12.9%
8.7%
-
--
--
-5.9%
11.6%
39,612
伸び率
18.8%
11.5%
12.0%
53.8%
19.4%
△4.9%
22.9%
30.5%
16.1%
18.5%
19.7%
輸入
-
41.7%
注 : *2006 年 に つ い て は 速 報 報 道 (2007 年 2 月 1 日 )に よ り 記 入 。 ま た 、 灰 色 の 部 分 は 速 報
報道値より計算し、記入したもの。
出典:インドネシア中央統計局
出 所 : 2004-2005 年 に つ い て は 『 ジ ェ ト ロ 貿 易 投 資 白 書 2006 年 版 』
2006 年 に つ い て は 速 報 報 道 に よ り 記 入
表 7
区
分
インドネシア
主要国・地域別輸出入
輸出
2005年
金額
構成比
18,049
21.1
11,053
12.9
7,086
8.3
15,825
18.5
7,837
9.1
6,662
7.8
2,868
3.3
9,868
11.5
1,025
1.2
10,238
12.0
878
1.0
1,669
1.9
85,660
100.0
2004年
金額
15,962
日本
9,072
アジアNIES *1
4,830
韓国
ASEAN *2
12,998
6,001
シンガポール
4,605
中国
2,342
中東
8,767
米国
828
中南米
EU25
9,006
643
ロシア・東欧
1,359
アフリカ
71,585
合計
[注] *1 シンガポールを除く。
*2 インドネシアを除くASEAN加盟9カ国
伸び率
13.1
21.8
46.7
21.8
30.6
44.7
22.5
12.6
23.9
13.7
36.6
22.8
19.7
2004年
金額
6,082
3,450
1,943
11,494
6,083
4,101
3,720
3,225
985
5,321
959
2,341
46,525
(単位:100万ドル, %)
輸入
2005年
金額
構成比
伸び率
6,906
12.0
13.6
4,498
7.8
30.4
2,869
5.0
47.7
17,040
29.5
48.2
9,471
16.4
55.7
5,843
10.1
42.5
4,654
8.1
25.1
3,879
6.7
20.3
1,114
1.9
13.1
5,827
10.1
9.5
958
1.7
△0.1
1,607
2.8
△31.4
57,701
100.0
24.0
出 所 :『 ジ ェ ト ロ 貿 易 投 資 白 書 2006 年 版 』
-7-
(2) 自 由 貿 易 協 定 関 連
① 日 本 と の 経 済 連 携 協 定 ( EPA: Economic Partnership Agreement) 12
日 本 と イ ン ド ネ シ ア の EPA に つ い て は 、2003 年 よ り 予 備 協 議 が 開 始 さ れ 、2005 年 6
月のユドヨノ大統領訪日の際に両国首脳によって日本・インドネシア経済連携協協定
( JIEPA) 交 渉 の 開 始 が 合 意 さ れ た 。 第 1 回 交 渉 は 2005 年 7 月 に 行 わ れ 、 続 い て 同 年
10 月 、2006 年 に は 2 月 、4 月 、8 月 、10 月 と 計 6 回 の 交 渉 が 行 わ れ 、同 年 11 月 に は 大
筋合意に達した。
JIEPA の 網 羅 す る 内 容 は 物 品 貿 易 、サ ー ビ ス 貿 易 、税 関 手 続 き 、投 資 、自 然 人 の 移 動
と関連する協力、エネルギー・鉱物資源、知的財産、政府調達、競争、ビジネス環境の
整 備 と 企 業 の 信 頼 の 醸 成 、そ し て 協 力 と 、広 範 囲 に 及 ん で い る 。物 品 貿 易 の 自 由 化 で は 、
両 国 と も 、協 定 発 効 後 10 年 以 内 に ほ ぼ す べ て の 品 目 の 関 税 を 撤 廃 す る こ と に 合 意 し た 。
今後は、その内容に沿って、日・インドネシア間で協定案文の確定作業を行い、両国の
代 表 者 間 で 署 名 す る こ と と な る 。 2007 年 中 の 発 効 を 目 指 し て い る 。
ただし、インドネシア側にとって同協定の最終合意の前提条件である新投資法案の国
会 審 議 は 難 航 し て い る 。 イ ン ド ネ シ ア 政 府 は 、 新 投 資 法 の 2006 年 中 の 成 立 を 目 標 と し
ていたが、国会各会派は慎重姿勢を示し、細則を盛り込む意見が強く、審議は硬直化し
て い る 13 。
②
中 国 ・ ASEAN 自 由 貿 易 協 定 ( ACFTA)
2002 年 11 月 、「 ASEAN-中 国 包 括 的 経 済 協 力 枠 組 み 協 定 」 が 締 結 さ れ 、 右 「枠 組 み 協
定 」に 則 り 、2004 年 11 月 に「 ASEAN-中 国 包 括 的 協 力 枠 組 み 協 定 に お け る 物 品 貿 易 協 定 」
が 締 結 さ れ た 。 「枠 組 み 協 定 」に 則 り 、 ア ー リ ー ハ ー ベ ス ト ( EHP) が 2004 年 前 後 よ り
実 施 さ れ た (国 に よ っ て 開 始 年 が 異 な る )。 イ ン ド ネ シ ア の 中 国 と の EHP 対 象 品 目 は 46
品 目 (パ ー ム 油 や 家 具 な ど )で 、 2004 年 1 月 1 日 か ら 関 税 率 を 10%に 下 げ 、 2006 年 1 月
にこれらの関税を撤廃した。
ま た 、「 物 品 貿 易 協 定 」 に 則 り 、 2006 年 7 月 よ り EHP 対 象 品 目 以 外 の 品 目 に つ い て
関 税 の 引 き 下 げ が 実 施 さ れ 始 め た 。 ASEAN6 お よ び 中 国 は 、 2010 年 ま で に 物 品 の 90%
について関税を撤廃することになる。
イ ン ド ネ シ ア は そ の 他 に も 、 米 国 、 オ ー ス ト ラ リ ア 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 、 イ ン ド 14 と
の FTA 開 始 に 向 け 研 究 し て い る が 、 い ず れ も 大 き な 進 展 は な い 。
1-2
インドネシア投資動向
1-2-1 投 資 環 境 全 般
イ ン ド ネ シ ア は 、か つ て は 日 本 か ら の 直 接 投 資 の 最 大 の 受 入 国 だ っ た が 、1997 年 の ア
ジア危機を境に日本からの投資流入は大幅に減少した。その後、同国経済は次第に落着
1 2 経 済 連 携 協 定( EPA:Economic
Partnership Agreement)は 、自 由 貿 易 協 定 の 内 容 を 基 礎 と し な が ら 、
投 資 や 、例 え ば 看 護 師 や 介 護 労 働 者 と い っ た ヒ ト の 移 動 を 促 進 さ せ た り 、政 府 調 達 、競 争 政 策 、知 的 財 産
な ど の 分 野 で の ル ー ル づ く り 、さ ら に は 様 々 な 分 野 で の 協 力 を 通 じ て 、各 種 経 済 制 度 の 調 和 等 を 図 る な ど 、
より幅広い対象分野について経済関係の強化を図ることを目的とした協定
13 時 事 通 信
2006 年 12 月 27 日
1 4 Xinhua、 2005 年 8 月 14 日
-8-
きを取り戻したが、日本からの直接投資の多くはその間に台頭したタイ、中国、ベトナ
ムなどに向かうようになった。インドネシアにはこれといった投資優遇策が存在せず、
また機械部品などの裾野産業が国内に育っていないなどの問題から、投資メリットを充
分 に 活 用 し に く い 状 況 に あ る こ と が そ の 背 景 と し て 挙 げ ら れ る 15 。
これに加え、高速道路や港湾設備などのインフラの整備の遅れ、労働問題、賄賂の横
行、治安の悪化などの要因が、外資による直接投資を妨げているといえる。
(1)
投資環境の改善課題
JBIC の ア ン ケ ー ト 調 査 16 で は 、イ ン ド ネ シ ア の 投 資 環 境 改 善 の 課 題 と し て 挙 げ ら れ て
いるのが、①治安・社会情勢が不安、②インフラの未整備、③他社との激しい競争およ
び通貨・物価の不安定、④管理職クラスの人材確保が困難であること、⑤法制の運用が
不透明であること、である。また、未整備なインフラの内訳として最も深刻なものとし
て挙げられているのが電力、次いで道路、通信、水関連である。
また、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム、シンガポール、イ
ンド、中国を比較すると、現地トップマネジメントの不在を問題視する日系企業はイン
ドネシアで最も多くなっている。また、地場系企業の技術力不足を問題視する企業の数
は、中国に次いで 2 位となっている。
(2)
優位点
上 記 JBIC の 調 査( 2006 年 )に よ る と 、将 来 の 有 望 事 業 展 開 先 と し て イ ン ド ネ シ ア を
挙げる企業数は前年より減少し、全体における得票率でも減少した。しかしインドネシ
アを有望視していると答えた企業がその理由として挙げているのは、①市場の成長性、
② 安 価 な 労 働 力 、 ③ 第 三 国 輸 出 拠 点 と し て の 位 置 付 け 、 ④ 市 場 の 現 状 規 模 で あ る 17 。
た だ し 2006 年 に 関 し て は 、 前 年 の 燃 料 価 格 上 昇 な ど に よ る 物 価 高 騰 を 反 映 し て 、 最
低 法 定 賃 金 上 昇 率 が 平 均 21% と 急 激 に 上 昇 し た 。水 準 の 高 い 地 域 は 、ジ ャ カ ル タ 、バ タ
ムのほか、ベカシ、タンゲランなどの首都周辺地域である。スハルト政権時代は労働運
動 が 制 限 さ れ て い た が 、 同 政 権 後 は 民 主 化 に よ る 労 働 運 動 が 盛 ん に な っ て お り 、 2006
年 は ジ ャ カ ル タ で 15.1% 、 バ タ ム 島 で 28.3% と 上 昇 率 が 大 き く な っ て い る
15
16
17
18
信 金 中 央 金 庫 『 イ ン ド ネ シ ア の 投 資 環 境 』 2007 年 1 月 24 日
JBIC『 わ が 国 製 造 業 企 業 の 海 外 事 業 展 開 に 関 す る 調 査 報 告 』 2006 年 11 月
同上
信 金 中 央 金 庫 『 イ ン ド ネ シ ア の 投 資 環 境 』 2007 年 1 月 24 日
-9-
18 。
表 8
インドネシア
比較項目
ジャカルタ
ワーカー賃金(一般工職)
131(月額)
エンジニア賃金(中堅技術者)
中間管理職賃金(課長クラス)
アジア主要国の投資コスト比較(2005 年)
インド
バタム島
シンガポール
タイ
フィリピン
ベトナム
(単位:USドル)(単位:US ドル)
マレーシア
中国
ニューデリー
バンガロール
ムンバイ
シンガポール
バンコク
マニラ
ホーチミン
クアラルンプール
上海
85~100(月額)
105~239(月額)
159~234(月額)
―
455~604(月額)
146(月額)
182(月額)
111~185(月額)
205(月額)
172~301(月額)
270(月額)
351~501(月額)
303~498(月額)
339~648(月額)
―
1,668(月額)
316(月額)
279(月額)
249~373(月額)
790(月額)
334~593(月額)
618(月額)
300~1,003(月額)
737~1,219(月額)
660~1,320(月額)
―
2,831~3,154(月額)
584(月額)
649(月額)
572~1,054(月額)
1,643(月額)
772~1,521(月額)
―
4.40/日
4.85/日
54.84/月
―
85.50(月額)
非熟練工:61.32~63.51/月
法定最低賃金
82.16/月
81.75/月
69.41/月
54.68/月
準熟練工:62.42~64.61/月
熟練工:63.51~65.71/月
工業団地借料(平方メートル当り)
3.60~4.10(月額)
3.94~6.06(月額)
―
3.79~5.92(月額)
―
4.95~12.50(月額)
4.86(月額)
1.00(月額)
0.16 (月額)
40ドル/41年+管理費
0.075ドル
―
1.00(月額)
事務所賃料(平方メートル当り)
22.00~26.00(月額)
9.99(月額)
18.88~35.40(月額)
9.49~14.23(月額)
15.83~36.55(月額)
34.79~36.06(月額)
11.67(月額)
7.4(月額)
23.00(月額)
9.96~14.21(月額)
28.35(月額)
.駐在員用住宅借上料
1,800~2,500(月額)
1,470~1,881(月額)
1,535~3,289(月額)
1,534~2,631(月額)
767~4,933(月額)
1,528.5~2,645.5(月額)
1,581(月額)
1,726(月額)
2,200(月額)
924~1,056(月額)
3,400~3,500(月額)
0.79~1.18
固定電話からの料金:0.79
0.79~1.18
携帯電話からの料金:0.94
(月間通話時間により異なる)
1.43
3
3.39
- 10 -
.国際通話料金(日本向け3分)
(平日9~12時)
2.26(6~9時、12~22時)
(月間通話時間により異
2.72(9~12時)
なる)
(1)1.65、(2)1.35
0.9912
1.46
1.2
1.70(22~6時)
(1)土日、7~23時
(平日料金)
(2)(1)以外の時間帯
月間基本料金:2.71/
kVA
月間基本料金:2.79/
kVA
月間基本料金:なし
月間基本料金:3.95/kW
月間基本料金:7.76
kWh当たり料金:0.04
kWh当たり料金:0.06
kWh当たり料金:0.09
kWh当たり料金:0.08(最初の
10万kWh)、0.09(それ以上の消
費)
kWh当たり料金:0.06
(1)月額基本料金:
4.14/kW
月間基本料金:4.27~
5.39/kW
(契約量内の場合。契約
kWh当たり料金:0.041~
量超過分は10.56Sドル
0.042
/kW)、
月間基本料金:
月間基本料金:なし
月間基本料金:4.57/kW
月額基本料金:なし
17.27+6.93/kW
kWh当たり料金:0.05~
0.06(電圧により異なる)
kWh当たり料金:0.05
1kwh当たり:0.04~0.11
.業務用電気料金(KWhあたり)
(2)kWh当たり料金:
(時間帯により変動あ
り)
(契約電力により異なる)
kWh当たり料金:0.11
30%
35%
28%
28%
33%
(実効税率)
(実効税率)
(実効税率)
(実効税率)
0.098(7~23時)、
0.058(23~7時)
法人所得税(%)
0~5,000万ルピア:
10%
0~5,000万ルピア:10%
33.66%
33.66%
33.66%
20%(2008年課税年度より
18%)
5,000万超~1億ルピ
ア:15%
5,000万超~1億ルピア:
15%
(実効税率)
(実効税率)
(実効税率)
(実効税率)
(実効税率)
5%(2007年7月1日より
7%)
7%
1億ルピア超:30%
付加価値税(%)
1億ルピア超:30%
10%
12.50%
12.50%
12.50%
(国税)
(VAT)(標準税率)
(VAT)(標準税率)
(VAT)(標準税率)
(物品サービス税(GST)) (財貨サービス税(GST))
10%
0%、5%、10%
売上税:5~25%
17%
(VAT)(標準税率)
(VAT)(標準税率)
(品目により異なる)
(VAT)(標準税率)
10%
(品目により異なる)
サービス税:5%
出所:ジェトロ海外情報ファイル『投資コスト比較』
1-2-2 低 調 に 終 わ っ た 2006 年 の 直 接 外 国 投 資
直 接 外 国 投 資 (実 現 額 )は 、 2005 年 に は 史 上 2 番 目 89 億 US ド ル を 記 録 し た 。 し か し
2005 年 10 月 の 石 油 燃 料 値 上 げ に よ る コ ス ト 増 大 等 購 買 力 低 迷 が 響 き 、再 び 投 資 に ブ レ
ー キ が か か り 、2006 年 の 実 績 値 は 前 年 比 33% 減 の 59 億 7,600 万 US ド ル に 留 ま っ た 19 。
( 2007 年 2 月 現 在 、投 資 調 整 庁 の URL に は 2006 年 11 月 ま で の 数 値 し か 公 表 さ れ て い
な い た め 、 下 記 図 表 10 は 11 月 ま で の 数 値 の み 。)
分 野 別 で は 、 2006 年 は 金 属 ・ 機 械 ・ 電 子 部 門 が 最 も 多 く 全 体 の 約 20%、 次 い で 紙 ・
製 紙・印 刷 部 門 、自 動 車・そ の 他 輸 送 機 器 部 門 が そ れ ぞ れ 全 体 の 10%を 占 め 上 位 と な っ
て い る (い ず れ も 同 年 11 月 ま で の 実 績 )。 2006 年 に 大 き く 減 少 し た の は 、 化 学 ・ 医 薬 品
部門、運輸・通信・倉庫業、建設業である。
表 9
インドネシア分野別外国直接投資実現額
( 単 位 : 100 万 US ド ル )
分類
I
1
2
3
4
5
II
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
III
18
19
20
21
22
23
24
第一次産業
農業
牧畜業
林業
水産業
鉱業
第二次産業
食品
繊維
皮革・製靴
木材
紙・製紙・印刷
化学・医薬品
ゴム・プラスチック
非金属鉱物
金属・機械・電子
医療器具・光学機器
自動車・その他輸送機器
その他
第三次産業
電気・ガス・水道
建設業
貿易・商業
ホテル・レストラン
運輸・通信・倉庫業
不動産・工業団地・オフィス関連
その他サービス
合計
2001年
144.7
64.1
4.3
11.0
65.3
2,198.5
133.1
286.9
21.4
45.9
376.5
710.1
103.0
13.2
385.3
3.7
91.7
27.7
1,166.2
195.3
129.5
81.8
35.5
190.7
133.9
399.5
3,509.4
2002年
102.5
9.0
8.0
1.1
84.4
1,552.2
219.3
117.7
57.4
19.3
26.5
527.5
57.7
54.1
352.5
0.4
90.0
29.8
1,435.4
13.7
162.8
18.2
1,166.9
15.3
58.5
3,090.1
2003年
253.4
219.2
1.1
1.0
32.1
1,880.4
319.2
152.4
5.8
157.8
8.4
282.2
99.9
42.9
434.5
6.5
313.5
57.3
3,316.6
76.7
106.7
307.4
80.3
2,667.5
0.7
77.3
5,450.4
2004年
308.5
161.0
20.2
5.3
122.0
2,803.3
574.3
165.5
13.2
4.1
414.3
614.1
81.0
107.1
312.8
13.0
402.6
101.3
1,489.3
6.1
385.6
672.7
89.5
103.8
35.2
196.4
4,601.1
2005年
407.8
171.5
52.8
118.8
5.8
58.9
3,502.1
598.8
70.9
47.8
91.0
9.9
1,152.9
398.5
66.2
522.9
3.1
359.7
180.4
5,004.7
68.7
921.9
380.2
180.3
2,946.8
208.3
298.5
8,914.6
2006年
(1-11月)
467.1
336.3
16.5
15.8
98.5
3,115.6
314.6
418.1
51.8
58.9
440.3
196.6
108.0
94.8
890.6
0.2
424.8
116.9
1,117.2
104.6
133.5
398.9
110.9
116.6
194.7
58.0
4,699.9
出 所 : 投 資 調 整 庁 ( BKPM)
国 別 で は 、 2006 年 に お け る デ ー タ は 公 表 さ れ て い な い が 、 BKPM の 担 当 者 に よ る と
日 本 か ら の 投 資 は 大 幅 に 減 少 し て い る 20 。下 記 の と お り 直 接 投 資 (認 可 )額 を 見 る と 、2005
年 に は シ ン ガ ポ ー ル が 金 融・通 信 業 へ 大 き く 投 資 し 、ト ッ プ に 踊 り 出 た 。2006 年 の 投 資
額も他国を大きく引き離しており、シンガポール一国でインドネシア直接外国投資認可
額 の 12.3%を 占 め る ( 10 月 期 ま で )。 た だ し 、 1967 年 ~2006 年 ま で の 累 積 値 で 見 る と 、
日 本 か ら の 投 資 が 全 体 の 13.7%と ト ッ プ で あ る 。
19
20
時事通信
日経新聞
2007 年 1 月 24 日
2007 年 2 月 5 日
お よ び 日 経 新 聞 2007 年 2 月 5 日
- 11 -
表 10
区 分
日本
英国
シンガポール
香港
台湾
米国
韓国
中国
その他とも合計
2000
2001
1,819
3,680
608
141
134
237
711
124
16,015
818
793
1,173
41
84
88
374
6,055
15,207
インドネシア国別直接外国投資認可額
2002
519
747
3,377
1,712
83
469
378
47
9,956
2003
2004
2005
1,252
999
801
258
117
212
166
264
14,327
1,689
1,318
617
20
69
133
419
25
10,418
1,176
1,529
3,933
125
133
91
417
205
13,579
2006/1-10月
寄与度
362
(2.7%)
858
(6.5%)
1,629
(12.3%)
288
(2.2%)
216
(1.6%)
123
(0.9%)
653
(4.9%)
100
(0.8%)
13,212
(100%)
1967~2006/10累計
寄与度
43,089
(13.7%)
27,892
(8.9%)
31,016
(9.9%)
17,042
(5.4%)
16,898
(5.4%)
11,715
(3.7%)
12,441
(4.0%)
7,128
(2.3%)
314,421
(100%)
出 典 : BKPM 資 料
出所:信金中央金庫『インドネシアの投資環境』
2006 年 は 輸 出 が 好 調 な パ フ ォ ー マ ン ス を 見 せ る 一 方 で 投 資 が 不 振 で あ り 、こ の 投 資 の
不振が成長のスピードを減速させる、という構図となった。ユドヨノ大統領は年頭演説
において、投資低迷の要因は①融資アクセスの悪さと高金利、②税務改革の遅れ、③投
資 認 可 の 非 効 率 性 、④ 法 的 確 実 性 の 欠 如 、⑤ 治 安 問 題 、⑥ 政 局 、⑦ イ ン フ ラ 整 備 の 遅 れ 、
⑧ 労 働 問 題 、⑨ 投 資 を 阻 む 地 方 条 例 - の 9 つ を 挙 げ 、2007 年 は こ れ ら を 改 善 す る た め 各
種 政 策 や 優 遇 措 置 実 現 に 一 層 注 力 す る こ と を 強 調 し て い る 21 。
1-2-3 新 投 資 法
現 行 投 資 法 は 、外 国 投 資 法( 1967 年 制 定 /70 年 改 訂 )お よ び 内 国 投 資 法( 68 年 制 定 /70
年 改 訂 )の 2 法 か ら 成 る が 、そ の 後 の 環 境 変 化 に 対 応 す る た め 数 回 に わ た り 政 令 や 大 統
領令などの形で実質的に部分的な改訂が行われてきた。これらの包括的な見直しが行わ
れ 、 2006 年 3 月 、 新 投 資 法 が 国 会 に 上 程 さ れ た 。
同法案は、内外投資に関する基本的な法的枠組みを示すものである。投資関連行政に
か か わ る 中 央 政 府 と 地 方 政 府 と の 関 係 、 投 資 調 整 庁 ( BKPM) の 機 能 と 役 割 、 許 認 可 手
続き、ネガティブリスト、税制上の恩典(インセンティブ)といった主要な項目の詳細
は、別途制定される政令や大統領令・規則などに委ねられている。このような一般規定
にとどまっている政府草案に対し、国会各会派は新投資法に慎重姿勢を示し、細則を盛
り込む意見が強く審議は硬直化している。
1-2-4 投 資 促 進 に 向 け た 政 策
(1) イ ン フ ラ の 整 備
上 記 1-2(1)で も 述 べ た と お り 、 ユ ド ヨ ノ 大 統 領 は 、 ① 法 、 平 等 、 人 権 を 尊 重 す る 社 会
の 実 現 、② 治 安 の 安 定 、③ 貧 困 削 減・雇 用 拡 大 の た め の 経 済 成 長 促 進 の 3 点 を 就 任 時 に
公約として掲げている。③については、インドネシアの投資環境を改善させることが中
心 課 題 と さ れ た 。成 長 促 進 の た め に は 、投 資 を 拡 大 さ せ る こ と が 不 可 欠 と の 認 識 に 立 ち 、
投資環境改善を通じて企業の投資意欲向上を図ろうとしている
投 資 環 境 の 改 善 の た め の 課 題 と し て は 、●雇 用 機 会 の 改 善 と 創 出 、●投 資 環 境 の 改 善 と
ビ ジ ネ ス の 保 証 、 ●民 間 部 門 の 参 加 を 通 じ た イ ン フ ラ 開 発 の 加 速 、 が 挙 げ ら れ て い る 。
21
時事通信
2007 年 2 月 1 日
- 12 -
表 11
ユドヨノ政権の基本政策アジェンダ
◎ 安全で平和なインドネシアの実現
◎ 公正で民主的なインドネシアの実現
◎ 繁栄するインドネシアの実現
i)
投資環境の改善
・ 雇用機会の改善と創出
・ 投資環境の改善とビジネスの保証
・ 民間部門の参加を通じたインフラ開発の加速
ii) マ ク ロ 経 済 の 安 定
iii) 貧 困 の 解 消 と 社 会 福 祉 の 向 上
出 所 : み ず ほ 総 合 研 究 所 『 ユ ド ヨ ノ 政 権 化 の イ ン ド ネ シ ア 経 済 』 2006 年 2 月 14 日
イ ン フ ラ 開 発 を 促 進 す る た め 、2005 年 1 月 、イ ン ド ネ シ ア 政 府 は「 イ ン フ ラ サ ミ ッ ト 」
を 初 開 催 し た 。同 サ ミ ッ ト で は 、91 の 投 資 案 件 を 内 外 投 資 家 に 紹 介 し 民 間 投 資 を 募 っ た
が 、2006 年 3 月 現 在 投 資 希 望 が あ っ た の は 16 件 に 留 ま っ て い る 。政 府 は 低 調 な イ ン フ
ラ へ の 投 資 を 加 速 さ せ る た め 、 2006 年 2 月 、 イ ン フ ラ 政 策 パ ッ ケ ー ジ を 策 定 し た 。
上 記 政 策 パ ッ ケ ー ジ で は 、● 規 定・行 政 手 続 き 、認 可 制 度 の 修 正 に よ る 投 資 環 境 改 善 、
●イ ン フ ラ や 石 油・ガ ス な ど 戦 略 分 野 の 事 業 制 度 見 直 し 、●主 に 国 内 投 資 家 を 対 象 と し た
資 金 調 達 方 法 の 改 善 - の 3 つ の 基 本 方 針 の 下 、 156 の 詳 細 項 目 が 挙 げ ら れ た 22 。 新 投 資
法 の 成 立 、税 法 改 正 、税 関 手 続 き の 改 善 、PPP( Public Private Partnership:官 民 パ ー
ト ナ ー シ ッ プ ) の 進 展 等 の 行 動 計 画 が 網 羅 さ れ て い る 23 。 156 項 目 の こ の う ち 、 92 項 目
は 2006 年 中 に 完 了 し た 。2007 年 に 入 り 、残 る 64 項 目 の う ち 18 項 目 は 現 状 に 合 わ な い
た め 取 り 消 さ れ る こ と と な り 、 残 り は 46 項 目 と な っ て い る 。
第 二 回 イ ン フ ラ サ ミ ッ ト 開 催 は 2005 年 11 月 に 予 定 さ れ て い た が 、輸 送 関 連 法 案 の 国
会 審 議 の 遅 れ や 、 投 資 取 引 や 土 地 収 用 を め ぐ る 問 題 な ど で 2006 年 6 月 に 延 期 さ れ 、 さ
らに中東の投資希望者との協議などを行った結果さらに延長されることになったが、最
終 的 に は 2006 年 11 月 1~ 3 日 、「 イ ン ド ネ シ ア ・ イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ー 2006」 と し
て開催された。
第二回目は、第一回目サミットにおいて提示された事業の大半が実現していない現状
を 踏 ま え 、提 示 事 業 は 十 分 準 備 が 整 っ て い る 以 下 の 10 件 に 限 定 さ れ た 。い ず れ も 2007
年 中 の 着 工 、 2009 年 の 完 工 が 目 標 で 、 既 に 売 却 準 備 が 整 っ て い る 。 下 記 10 案 件 と は 別
に 準 備 中 の 事 業 101 件 も 紹 介 さ れ た 。 同 会 議 に は 30 カ 国 の 企 業 ・ 金 融 関 係 者 ら 1,200
人が参加した。
同会議終了後、ジャカルタのスカルノハッタ空港とマンガライ駅を結ぶ鉄道事業(必
要 投 資 額 9,000 億 ル ピ ア ア ) に 、 少 な く と も 内 外 10 社 が 参 加 意 欲 を 示 し て い る こ と 、
バンテン州タンゲラン県と西ジャワ州バンドン市の水道供給事業に外資 3 社が意欲を示
し て い る こ と が 明 ら か に な っ て い る 。ま た 、世 界 銀 行 が 最 大 10 億 US ド ル の イ ン フ ラ 支
援 を 表 明 、 日 本 の 国 際 協 力 銀 行 も 、 日 本 の プ ロ ジ ェ ク ト 参 加 を 条 件 と し て 、 最 大 10 億
US ド ル の 支 援 が 可 能 と 表 明 し た 。 ADB も 同 会 議 開 催 に 先 立 ち 、 2006~ 09 年 の 支 援 プ
時 事 通 信 2006 年 2 月 1 日
日 本 貿 易 保 険『 イ ン ド ネ シ ア に お け る イ ン フ ラ プ ロ ジ ェ ク ト を め ぐ る 現 状 と 今 後 の 見 通 し 』2006 年 7
月 7日
22
23
- 13 -
ロ グ ラ ム と し て 、イ ン フ ラ 分 野 中 心 に 融 資 と 贈 与 合 わ せ 計 40 億 US ド ル の 支 援 を 表 明 し
ている。
イ ン ド ネ シ ア へ の イ ン フ ラ 投 資 は 1997 年 の 金 融 危 機 以 降 抑 え ら れ た が 、 ユ ド ヨ ノ 政
権 で は 年 間 の イ ン フ ラ 投 資 額 を 現 状 の 対 GDP 比 2% か ら 同 5% 以 上 に 引 き 上 げ る こ と を
目 標 に 、05 年 ~ 09 年 の 累 計 投 資 額 を 1,450 億 米 ド ル と 見 積 も っ て い る 。そ の 大 半 は 外
資に頼らざるを得ないが、第二回インフラサミットのように焦点を絞った上で案件を提
示し、同時に法制度の改正・整備に重点を置き、着実にインフラ整備を進めていくこと
が期待されている。
表 12
第二回インフラサミットにおける提示事業
事 業 名
投 資 額 ( 百 万 US ド ル )
中 ジ ャ ワ 石 炭 火 力 発 電 所 ( 2×600MW)
1,200
パ ス ル ア ン 発 電 事 業 ( 1×500MW)
275
メダン-クアラナム-トゥビンティンギ高速道路(60Km)
142
ソ ロ - ク ル ト ソ ノ 高 速 道 路 ( 165Km)
928
マルガギリ-クタパン間フェリーターミナル
97
トゥルック・ラモン港(スラバヤ港拡張)
280
バンドン水道供給
26
ドゥマイ水道供給
44
タンゲラン水道供給
37
国家通信網事業(光ファイバー網パラパ、全長 3 万キロ)
1,500
出 典 : 国 家 開 発 計 画 庁 ( Bappenas)
出所:時事通信
(2)
2006 年 11 月 1 日
経済特区
投 資 を 呼 び 込 む た め の 手 段 と し て 、イ ン ド ネ シ ア 政 府 は 国 内 7 カ 所 で 産 業 向 け の 経 済
特区設置を計画している。経済特区を計画しているのは、北スマトラ、バンテン、西ジ
ャワ、中ジャワ、東ジャワ、南スラウェシ、東カリマンタンの 7 州の一部地域で、各経
済 特 区 で は 税 率 10% の 付 加 価 値 税 免 除 、償 却 の 迅 速 化 、投 資 控 除 な ど の 税 務 優 遇 措 置 を
与える予定である。
政 府 は 同 計 画 を 迅 速 に 進 め る た め に 経 済 特 区 チ ー ム ( KEKI) を
新 た に 発 足 さ せ た 。経 済 特 区 の 開 発 計 画 や 条 件 な ど を 策 定 す る こ と に な る KEKI は 、ブ
デ ィ オ ノ 調 整 相 ( 経 済 担 当 ) が 座 長 を 務 め 、 投 資 調 整 庁 ( BKPM) の ル ト フ ィ 長 官 が 作
業を統括する。
上記計画のモデル地区となっているのが、シンガポールとの共同プロジェクトとなっ
て い る リ ア ウ 諸 島 州 の バ タ ム 島 、ビ ン タ ン 島 、カ リ ム ン 島 で あ る 。同 島 は 2005 年 10 月
か ら 特 別 保 税 地 域 (Bonded Zone Plus)と し て の 扱 い を 受 け て お り 、 島 内 に お け る 付 加 価
値税の免除、輸入関税の限定的適用、島内での輸入物品の自由な移動などが認められる
ようになっている。
2006 年 6 月 25 日 、シ ン ガ ポ ー ル お よ び イ ン ド ネ シ ア 政 府 は 上 記 3 島 を さ ら に「 経 済
特区化」するための枠組み合意に調印した。企業進出と雇用創出に向けて投資手続きの
簡素化、各インフラ構築、効率的な行政整備を進めるため、税関、金融、出入国面でも
特別措置を図る。
- 14 -
経済特区の設立を見越し、シンガポール、マレーシア、オランダ、中国および英国か
ら の 16 社 が 同 地 域 で の 新 規 投 資 を す で に 申 請 し た 。総 投 資 額 は 2,854 万 US ド ル 。業 種
はゴム・プラスチック製造、合金業、機械・家電業、繊維などである。このほかにも、
金 属 ・ 機 械 ・ 電 子 機 器 と 建 設 ・ 不 動 産 分 野 の 外 資 5 社 が 拡 張 投 資 ( 総 投 資 額 3,417 万
US ド ル ) を 申 請 し た 。 木 製 家 具 分 野 の 国 内 1 社 も 新 規 投 資 を 申 請 し て い る 。 さ ら に 、
チュニジア、ナイジェリア、ナミビア、タンザニア、スーダンのアフリカ 5 カ国がバタ
ム 島 の 経 済 特 区 で の 投 資 に 意 欲 を 示 し て い る 24 。 バ タ ム 、 ビ ン タ ン 、 カ リ ム ン 3 島 の 経
済 特 区 化 に 関 し て は 、2006 年 末 に は 法 案 作 成 も 着 手 さ れ て お り 、準 備 は 着 々 と 進 ん で い
る。
他 の 経 済 特 区 化 候 補 地 域 に つ い て は 、 2006 年 11 月 現 在 、 北 ス マ ト ラ 州 、 東 ジ ャ ワ 州
ボ ジ ョ ネ ゴ ロ 県 、南 ス ラ ウ ェ シ 州 の 3 地 域 有 力 候 補 と な っ て い る が 、計 画 は 順 調 に は 進
んでいない。中ジャワ州については、設置条件となるインフラ整備促進が十分でないた
め 経 済 特 区 化 は 困 難 で あ る と の 意 見 も 出 て い る 25 。
1-3
2007 年 以 降 の イ ン ド ネ シ ア 経 済 動 向 見 通 し
IMF は 2007 年 の イ ン ド ネ シ ア の 済 成 長 率 を 6% と 予 想 し て い る 。2007 年 も 投 資 の 大
幅 な 回 復 は 見 込 め ず 、政 府 目 標 達 成 は 困 難 で あ る と し た 。イ ン フ レ 抑 制 、金 利 低 下 な ど 、
全体的に好調を維持するが、これらを貧困・失業削減に結び付けるための投資が引き続
き伸び悩むとの見方である。投資回復のためには、規制緩和や新投資法・改正税法の早
期成立、法執行の強化、汚職撲滅など山積する課題の早期解決が不可欠であると指摘し
て い る 26 。
ま た 、日 本 の ア ジ ア 経 済 研 究 所 は 、2007 年 の イ ン ド ネ シ ア 経 済 は 内 需 が 回 復 す る た め 、
5.8% の 成 長 と な る と 予 測 し て い る 27 。 イ ン フ レ 圧 力 の 後 退 や 為 替 の 安 定 化 な ど 背 景 に 、
2007 年 に は 利 下 げ が 進 み 、経 済 環 境 の 改 善 を 受 け 、前 年 伸 び 悩 ん だ 消 費 や 投 資 は 回 復 に
向かうとしている。政府消費は、貧困対策や災害復興、教育・福祉政策など公共サービ
ス の 改 善 を 中 心 に 、 10% の 伸 び と な る と 予 想 し て い る 。 懸 念 材 料 は 、 2006 年 に 好 調 だ
った輸出が、米国や日本など先進国経済が若干減速し、輸出増のスピードが落ちること
で あ る 。原 油 価 格 は 、2006 年 中 盤 か ら 安 定 し て き て お り 、さ ら な る 燃 料 補 助 金 削 減 が 実
施される可能性は低く、消費者物価上昇率は落ち着くものと見られている。
イ ン ド ネ シ ア 政 府 の 2004 年 ~ 09 年 の 中 期 開 発 計 画 で は 、 下 記 の と お り マ ク ロ 経 済
指 標 に 関 す る 数 値 目 標 を 示 し て お り 、 最 終 的 に は 7% を 上 回 る 経 済 成 長 率 の 達 成 を 目 標
に 掲 げ て い る が 、そ の 段 階 に 至 る ま で の 2006 年 時 点 で は 目 標 を 大 き く 下 回 る 5.6%成 長 、
2007 年 の 成 長 も 上 記 の と お り 6%後 半 に ま で 引 き 上 げ る こ と は 困 難 だ と 見 ら れ て い る 。
24
25
26
27
時 事 通 信 2006 年
時 事 通 信 2006 年
時 事 通 信 2007 年
アジア経済研究所
11 月 10 日
11 月 2 日
1月 5日
記 者 発 表 2006 年 12 月 13 日
- 15 -
表 13
中期開発計画におけるマクロ経済指標数値目標
項目
単位
実質GDP成長率
%
消費者物価上昇率
%
失業率
%
貿易収支
億USドル
外貨準備高
億USドル
財政収支対GDP比
%
公的債務残高対GDP比
%
対外債務残高
億USドル
2004年
5.1
6.1
9.7
251
363
▲ 1.1
53.9
1,349
2005年
5.5
7.0
9.5
238
368
▲ 0.7
48.0
1,309
2006年
2007年
2008年
2009年
6.1
6.7
7.2
7.6
5.5
5.0
4.0
3.0
8.9
7.9
6.6
5.1
210
200
192
178
360
356
352
359
▲ 0.6
▲ 0.3
0.0
0.3
43.9
39.5
35.4
31.8
1,292
1,287
1,297
1,331
出典:インドネシア国家開発企画庁
出所:みずほ総合研究所『ユドヨノ政権下のインドネシア経済』
ユドヨノ大統領は政治、経済の指揮のみならず、就任直後から繰り返し大きな自然災
害 の 対 応 に も 追 わ れ て き た 。ま ず は 就 任 早 々 に 直 面 し た 2004 年 12 月 の ス マ ト ラ 島 沖 地
震 ・ 津 波 、 2005 年 3 月 に は 再 度 ス マ ト ラ 島 沖 で 大 地 震 発 生 、 同 年 4 月 は ス マ ト ラ 島 タ
ラ ン 山 の 火 山 活 動 が 活 発 化 し 2 万 を 超 え る 住 民 が 避 難 、 2006 年 5 月 に は ジ ョ グ ジ ャ カ
ル タ ・ 中 部 ジ ャ ワ で 発 生 し た 大 地 震 、 同 年 7 月 に も ジ ャ ワ 南 西 沖 で マ グ ニ チ ュ ー ド 7.2
の 大 地 震 及 び 津 波 が 発 生 、さ ら に 、12 月 に は ア チ ェ 、北 ス マ ト ラ 両 州 で 豪 雨 に よ る 大 洪
水 発 生 、2007 年 に 入 る と 今 度 は 2 月 に ジ ャ カ ル タ 首 都 圏 の 大 雨 に よ る 洪 水 被 害 が 起 き て
い る 。自 然 災 害 で は な い が 、2005 年 10 月 に バ リ 島 ジ ン バ ラ ン 及 び ク タ に て 発 生 し た 同
時爆弾テロ事件にも対応しなければならなかった。また、鳥インフルエンザに対する対
応も迫られている。
しかし現政権の進める汚職の抑制、財政構造の健全化、マクロ経済の健全化は結果が
出 始 め て お り 、上 記 の 災 害 の 対 応 に 対 す る ユ ド ヨ ノ 大 統 領 へ の 批 判 は あ ま り 聞 か れ な い 。
経 済 運 営 の 結 果 が 評 価 さ れ 、 2006 年 5 月 に は ム ー デ ィ ー ズ 、 同 年 7 月 に は ス タ ン ダ ー
ド & プ ア ー ズ 、 同 年 9 月 に は 日 本 格 付 け 研 究 所 、 2007 年 1 月 に は 有 力 格 付 け 機 関 フ ィ
ッチ・レーティングスがそれぞれインドネシアの国債格付けを上げている。
ユドヨノ政権は更なる投資環境の改善を進め、投資の本格回復と高成長への復帰の期
待に応え、成長を加速させることが期待されている。
- 16 -
2
インドネシア海運業の現状
2-1
大統領指令の発令とその背景
イ ン ド ネ シ ア は 17,000 を 越 え る 島 々 か ら 540 万 平 方 キ ロ メ ー ト ル 超 の 海 域 に 広 が る
世 界 最 大 の 群 島 国 で 、そ の 海 岸 線 は 前 兆 8 万 1,000 キ ロ メ ー ト ル に 及 び 、カ ナ ダ に つ い
で 世 界 で 2 番 目 に 長 い 。こ れ ら の 島 々 の 間 の 貨 客 輸 送 手 段 と し て 、内 航 海 運 は イ ン ド ネ
シアにとって非常に重要である。
しかし、インドネシアの海上輸送の多くは外国の船会社によって担われているのが現
状 で あ る 。 海 運 総 局 (Directorate General of Sea Communications)の 資 料 に よ る と 、
2005 年 の イ ン ド ネ シ ア の 内 航 貨 物 2 億 633 万 ト ン の う ち 、 イ ン ド ネ シ ア 籍 船 が 輸 送 し
た 貨 物 は 1 億 1,445 万 ト ン で 全 体 の 55.5% に 過 ぎ な い 。
表 14
インドネシアの内航貨物量の推移とインドネシア籍船・外国籍船のシェア
単 位 : 100 万 ト ン 、 %
種
別
2000 年
2001 年
2002 年
2003 年
2004 年
2005 年
80.63
89.95
77.23
90.72
93.51
114.45
53.0%
60.0%
53.8%
53.2%
52.7%
55.5%
71.47
59.99
66.22
79.80
83.83
91.88
47.0%
40.0%
46.2%
46.8%
47.3%
44.5%
152.10
149.97
143.45
170.52
177.34
206.33
インドネシア籍 船 輸 送 の貨 物
全 体 に占 める割 合
外 国 籍 船 輸 送 の貨 物 量
全 体 に占 める割 合
合
計
出所:海運総局
単位:%
100.0
%
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
60.0%
53.8%
53.0%
47.0%
46.2%
53.2%
46.8%
52.7%
47.3%
55.5%
44.5%
40.0%
40.0
30.0
20.0
10.0
Year
0.0
2000年
2001年
2002年
国内貨物%(インドネシア船籍)
図 4
2003年
2004年
2005年
国内貨物% (外国船籍)
インドネシア籍船・外国籍船による内航貨物の輸送割合
出所:海運総局
- 17 -
一 方 、 外 航 貨 物 に い た っ て は イ ン ド ネ シ ア 籍 船 が 輸 送 す る 貨 物 の 割 合 は 、 2002 年 の
1.9% か ら 徐 々 に 上 向 い て い る も の の 、2005 年 の 貨 物 量 全 体 の 4 億 9,297 万 ト ン の 5.1%
となっている。
単位:%
100.0
%
95.4%
94.6%
98.1%
96.6%
95.2%
95.0%
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
4.6%
5.4%
2000年
2001年
1.9%
3.4%
4.8%
5.1%
2002年
2003年
2004年
2005年
0.0
国際貨物% (インドネシア船籍)
図 5
国際貨物% (外国船籍)
インドネシア籍船・外国籍船の外航貨物の輸送割合
出所:海運総局
現在、このようにインドネシアの内航・外航輸送の多くを外国籍船が占めている理由
の 1 つ に は 1980 年 代 の 規 制 緩 和 が あ る 。 イ ン ド ネ シ ア 政 府 は 1987-88 年 に 海 運 業 の 規
制緩和を行い外航貨物輸送が外国企業に開放した。当時、インドネシアの海運企業は、
貨物のコンテナ化に取り組みはじめたばかりであったが、そこへ、外国企業の参入によ
り競争が激化し、運賃が低下。すでにコンテナの設備を有していた外資海運会社がシェ
アを伸ばしていくことになった。報道によると、インドネシア籍船が外国貨物輸送に占
め る 割 合 は 1980 年 代 に は 、 20% ほ ど で あ っ た が 、 1998 年 時 点 で は 、 3% に ま で 減 少 し
た 28 。 ま た 、 内 航 輸 送 に つ い て も 、 1992 年 の イ ン ド ネ シ ア 海 運 法 第 12 号 に よ る と 、 国
内諸島間の輸送はカボタージュ原則に則るものとなっているが、インドネシア海運会社
の船舶保有量が充分でないため、多くの外国籍船が国内貨物を輸送しており、インドネ
シ ア 籍 船 が 占 め る 割 合 は 1998 年 時 点 で 既 に 54% 29 と 、 内 航 輸 送 に も 関 わ ら ず 半 分 近 く
を占めるのみになった。
規 制 緩 和 の 他 に も 、 政 府 に よ る 老 朽 船 ス ク ラ ッ プ 政 策 30 、 船 舶 購 入 向 け 資 金 調 達 の 問
28
Lloyd’s List International 1998 年 8 月 17 日 掲 載
Lloyd’s List International 1998 年 10 月 30 日 掲 載
30 イ ン ド ネ シ ア 政 府 は 1984 年 に 、30 年 以 上 の 老 朽 船 は 1984 年 5 月 1 日 よ り 、25 年 以 上 の も の は 1985
年 1 月 よ り 貨 物 輸 送 運 航 を 禁 止 し た 。政 府 は 老 朽 船 の 交 換 を 試 み た が 、資 金 調 達 難 も あ り 、需 要 の す べ て
を 満 た す こ と は で き な か っ た 。1999 年 8 月 10 日 付 け Lloyd’s List に よ る と 、こ の 政 策 に よ り イ ン ド ネ シ
アの海運業界は大きな打撃を受け、多くのインドネシアの船会社が倒産に陥った。
29
- 18 -
題 31 な ど 、 イ ン ド ネ シ ア の 海 運 業 界 を 取 り 巻 く 環 境 は 1980 年 代 以 降 、 悪 化 し て い っ た 。
さらに、インドネシアの海運会社は少数の船舶しか所有していない零細企業が多く、
船 舶 を 購 入 す る た め の 資 金 調 達 が 困 難 で あ る 。 ASEAN SHIPPING DIRECTORY
(2004-2005 年 版 )に 掲 載 さ れ て い る イ ン ド ネ シ ア 船 主 協 会 の 会 員 企 業 を 所 有 船 舶 数 別 に
み る と 、1 隻 し か 所 有 し て い な い 企 業 が 841 社 と 全 体( 1014 社 )の 82% を 占 め て い る 。
ま た 10 籍 以 上 の 船 舶 を 所 有 し て い る 企 業 は 74 社 で 全 体 の 7% を 占 め る に 過 ぎ な い 。
10隻以上, 74社, 7%
6~9隻, 99社, 10%
5籍, 36社, 4%
1隻, 431社, 42%
4隻, 78社, 8%
3隻, 107社, 11%
2隻, 189社, 18%
1隻~5隻、841社、83%
図 6
インドネシア船主協会会員の所有船舶数別内訳
出 所 : ASEAN SHIPPING DIRECTORY 2004-2005 年 版 よ り 作 成
こ う し た 状 況 を 踏 ま え 、イ ン ド ネ シ ア 政 府 は JICA の 協 力 を 得 て 2002 年 か ら 2004 年
に自国の内航海運業の育成に関する調査を行った。内航海運業の育成にあたっては、カ
ボ タ ー ジ ュ 規 制 の 強 化 が 必 須 と な る 。 そ の た め 、 イ ン ド ネ シ ア 政 府 は 2005 年 3 月 に 大
統領指令第 5 号を発令した。大統領指令第 5 号の全文は以下のとおり。
国 内 海 運 産 業 強 化 に 関 す る イ ン ド ネ シ ア 共 和 国 大 統 領 指 令 2005 年 第 5 号 3 2
国内海運産業の強化政策の実施を最大化する目的で、以下の者に対し:
1.経済担当調整大臣
2.国家開発計画担当国務大臣/国家開発計画庁長官
3.運輸大臣
31 イ ン ド ネ シ ア の 銀 行 は 、 船 舶 フ ァ イ ナ ン ス に 対 す る 知 識 が 乏 し く 、 ま た 不 動 産 な ど の 利 回 り の い い 案
件 に 融 資 を 優 先 さ せ た 。ま た 、外 資 の 銀 行 は 、船 舶 建 造 の 納 期 が 遅 れ る ケ ー ス が 多 か っ た た め 、徐 々 に 船
舶購入への融資をしなくなった。また、インドネシア国内の金利は高く、資金調達は容易ではなかった。
32 時 事 通 信
2005 年 4 月 8 日
- 19 -
4.財務大臣
5.内務大臣
6.産業大臣
7.貿易大臣
8.林業大臣
9.国家教育大臣
10.エネルギー・鉱物大臣
11.海洋・水産大臣
12.国営企業担当国務大臣
13.協同組合・中小企業担当国務大臣
14.全国の州知事/県知事/市長
以下の内容を指示する:
第1に、カボタージ原則を適切に適用し、国内海運業を強化するため、以下の通り各自
の職務、機能、権限に沿って政策を発表し、必要な措置を取ること。
1.商業:
a.国内の港湾間における海運積載物は本大統領指令の施行後、可及的速やかにインド
ネシア国旗掲揚船舶により輸送され、国内海運会社により操業されなくてはならない。
b .調 達 お よ び / ま た は 輸 送 の 費 用 が 国 家 予 算 / 地 方 予 算 に よ り 負 担 さ れ る 輸 入 物 品 は 、
政府の財/サービス調達に関する法令に注意した上で、国内海運会社により操業される
船舶を用いなくてはならない。
c.財の所有者と国内海運会社の間で長期輸送契約による提携が実現されるよう推進す
る。
2.財務:
a.税務:
1)現行の税務規定に沿い、国内海運業と船舶業に付与される既存の諸政策の実施方法
を再編する。
2)国内海運業と船舶業の成長・発展を促進する税制を完全化する。これには、インド
ネシア国旗掲揚船舶に輸送され、国内海運会社により操業される輸出積載物所有者に対
する優遇措置を含む。
3)既に優遇措置を得た国内海運会社と国内造船会社がその後に事業分野以外で投資を
行った場合は、ペナルティに関する規定を厳しく適用する。
b.金融機関:
1)国内銀行業界が国内海運産業の発展のための資金拠出において積極的な役割を担う
よう、推進する。
2)特に国内海運産業の開発向け資金拠出分野で活動するノンバンク金融機関を開発す
る。
3)国内船舶業界の発展実現を促進する資金拠出スキームを開発する。
c.保険:
1)特定の種類・寸法・耐用年数を持ち、国内海運会社が保有および/または操業する
全 て の 船 舶 、お よ び / ま た は 国 内 外 で 購 入 ま た は 製 造 さ れ た 全 て の 中 古 / 新 規 船 舶 に は 、
- 20 -
少 な く と も 船 殻 及 び 機 械 (Hull and Machineries)の 保 険 を 掛 け な く て は な ら な い 。
2)国内または国外で操業する国内海運会社によって輸送される積載物/財には、保険
を掛けなくてはならない。
3)船舶保険分野で活動する国内保険会社が国際船舶保険の保有能力基準を順守するよ
う推進する政策を策定する。
3.輸送:
a.海運:
1)本大統領指令の施行後、可及的速やかに国内海運の実施を編成し、国内海運は全て
インドネシア国旗掲揚船舶が担うこととする。
2)常に秩序立った運航を行っている船舶に対して、停泊の優先、港湾サービス料、燃
料の調達料の軽減などを通じた優遇措置を付与することで、運航路網を再編成する。
3)船舶旗を外国旗からインドネシア国旗に交換するプロセスを再編成する。
4 )海 上 先 取 特 権 お よ び 船 舶 抵 当 権 に 関 す る 国 際 条 約( Maritime Liens and Mortgages
1993) の 批 准 を 迅 速 化 す る と 共 に 、 海 上 先 取 特 権 お よ び 船 舶 抵 当 権 に 関 す る 法 案 の 準
備を完了する。
5 ) 船 舶 だ 捕 ( Arrest of Ship) に 関 す る 国 際 条 約 の 批 准 を 迅 速 化 す る と 共 に 、 国 内 状
況に即した船舶だ捕に関する法案の準備を完了する。
6)資金拠出の便宜、船舶・人材・事業管理の質向上、国内海運向けの港湾インフラと
施設建設など、国内海運の発展を支援する。
7 ) 積 載 物 ・ 船 舶 容 積 情 報 フ ォ ー ラ ム ( IMRK) の 設 置 を 迅 速 化 し 、 既 存 船 舶 の 積 載 物
と船舶容積を、透明性を持って把握可能とする。
b.港湾:
1)効果的で効率的なサービスを付与するため、港湾実行業務を再編成する。
2)外国貿易受け入れ港と越境機能を持つ港を再編成する。
3)最大限のサービス水準を達成するため、港湾インフラおよび施設を開発する。
4)港湾管理を開発することで段階的・選択的に調整者と管理者の機能を分割させ、同
一港湾内でのターミナル間、および港湾間のサービス競争を可能とする。
5)サービス業務のない活動に対する港湾サービス料金の賦課を廃止する。
6)港湾サービスを向上させるため船舶・財・乗客のサービス管理システムと方法を再
編成する。
4.産業:
a.国内造船業を含む大企業および中小企業、協同組合の造船産業の成長と発展を推進
するため、特に以下の方法をとる:
1)造船産業の設計、研究、開発センターを開発する。
2)船舶の標準化と部品を開発する。
3)船舶の原料および部品産業を開発する。
4)国内で船舶の製造および/または修理を行い、および/またはオフセット生産スキ
ームを通じて外国から船舶を調達する国内海運会社に対して、優遇措置を付与する。
b.国家予算/地方予算で調達費用が負担される船舶の建造は、政府の財/サービス調
達に関する法令に注意した上で、国内造船会社により行われなくてはならない。
- 21 -
c.bで意味する船舶への資金拠出で、船舶が外国からのものである場合、船舶の建造
は最大限に地元物品を使用し、技術移転を行うこととする。
d.国家予算/地方予算で費用が負担される船舶のメンテナンスおよび修理は、政府の
財/サービスに関する法令に注意した上で、国内造船会社により行われなくてはならな
い。
5.エネルギーと鉱物資源:
インドネシア国旗掲揚船舶を操業し、国内で海運活動を行う国内海運会社に対して、航
路と運航日数に則って石油燃料の供給を保証する。
6.教育および研修:
a . 地 方 政 府 お よ び 民 間 が 、 国 際 海 事 機 構 (IMO)の 基 準 を 満 た し た 船 員 の 教 育 と 研 修 セ
ンターを開発するよう推進する。
b .IMO の 基 準 を 満 た し た 船 員 を 育 成 す る た め 、教 育 機 関 と 船 員 サ ー ビ ス 利 用 者 の 間 の
協力を発展させる。
第2に、経済担当調整大臣は、本大統領指令の実施を調整し、定期的に大統領に報告す
ること。
第3に、本大統領指令が十全な責任と共に実施されるよう、実施結果は定期的に大統領
に報告すること。
本大統領指令は、発布日から施行する。
ジャカルタにおいて発布
2005年3月28日
2-2
大統領指令の発令後の動き
(1) カ ボ タ ー ジ ュ 規 定 の 細 則
大 統 領 指 令 第 5 号 の 発 令 を 受 け て 、こ の 内 容 の 実 施 に 関 す る 大 臣 規 定 が 発 布 さ れ て い
る 。2006 年 7 月 5 日 付 け 時 事 通 信 2006 年 7 月 5 日 付 け に よ れ ば 、大 統 領 指 令 第 5 号 の
発 令 後 1 年 間 で 大 統 領 規 定 1 つ 、運 輸 省 規 定 4 つ 、大 臣 合 同 規 定 1 つ 、エ ネ ル ギ ー 鉱 物
省 規 定 1 つ が 交 付 さ れ て い る 。こ れ ら の す べ て の 詳 細 情 報 は 入 手 す る こ と は で き な か っ
た が 、 運 輸 省 規 定 4 つ の う ち 1 つ は 、 2005 年 11 月 18 日 に 交 付 さ れ た 内 航 貨 物 輸 送 に
お け る イ ン ド ネ シ ア 籍 船 の 利 用 義 務 を 定 め た 運 輸 省 指 令 第 71 号 で あ る 。第 71 号 で は 一
般貨物、肥料、セメント、米、木材などは即日からインドネシア籍船で輸送することを
義務付け、石炭、パームオイル、鉱物、穀物、農産物、生鮮野菜・果実・魚などはイン
ド ネ シ ア 籍 船 が 手 配 で き る 場 合 は そ れ を 使 う こ と を 義 務 付 け 、 ま た 2011 年 ま で に 段 階
的 に 外 国 籍 船 の 利 用 を 廃 止 す る こ と を 定 め て い る 。 そ の 概 要 は 以 下 の と お り 33 。
・ 内 航 貨 物 は イ ン ド ネ シ ア の 船 会 社 、 特 別 海 運 輸 送 提 供 業 者 34 、 中 小 船 会 社 が 所 有
33
2006 年 4 月 24 日 付 け 海 運 総 局 資 料 よ り
イ ン ド ネ シ ア に お け る 特 別 海 運 (Special Shipping)を 定 義 は 、自 社 の 海 運 以 外 の 主 要 事 業 の た め に 自 社
で 海 運 輸 送 を 行 う こ と を 指 す 。す な わ ち 、自 社 で 使 う 原 材 料 、設 備 な ど を 自 社 で 輸 送 す る こ と を 指 し 、主
に 林 業 、観 光 業 、工 業 、漁 業 、救 助 、海 底 浚 渫 作 業 、調 査 、教 育 、ト レ ー ニ ン グ お よ び そ の 他 の 社 会 的 サ
ー ビ ス を 指 す ( JICA Study on the Development of Domestic Sea Transportation and Maritime
Industry in the Republic of Indonesia (STRAMINDO)最 終 報 告 書 よ り )
34
- 22 -
するインドネシア籍船によって輸送するものとする。
・インドネシア籍船によって輸送される内航貨物とは、次のものを指す
i.
石油及び天然ガス
ii.
一般貨物
iii.
石炭
iv.
木材
v.
米
vi.
パームオイル
vii.
肥料
viii.
セメント
ix.
鉱 物 (金 属 鉱 物 、 非 金 属 鉱 物 、 第 3 種 鉱 物 35 )
x.
その他の穀物
xi.
液体その他の化学品
xii.
農作物
xiii.
野菜、果実、魚(生鮮品)
xiv.
石油天然ガス産業に使用するもの
・具体的には次のような品目を含む。
No
1
貨物の種別
石油及び天然ガス
含まれる貨物
原 油 、コ ン デ ン セ ー ト 、燃 料 、ガ ス /LNG/LPG、
アスファルト、その他液体の石油製品
2
一般貨物
繊維および繊維製品、家具、包装された食用
油、手工芸品、機械、エレクトロニクス製品、
ゴム製品、鉄鋼およびその他の金属製品、加
工放送食品および飲料、パルプおよび紙製品、
車両、タバコ、茶、砂糖、塩、その他の製品
35
3
4
石炭
木材
5
6
米
パームオイル
7
8
肥料
セメント
すべての石炭鉱物製品
材 木 、 製 材 、 木 材 製 品 原 料 ( 例 ; 合 板 な ど )、
そ の 他 の 木 材 製 品 ( ラ タ ン 、 松 や に 、 な ど )、
木材チップ
すべての種類の米
パームオイル、ココナッツオイル
すべての種類の肥料
すべての種類のセメント
石 灰 岩 、 粘 土 な ど の 戦 略 的 物 資 で な い 鉱 物 を 指 す 。 (www.usembassyjakarta.org よ り )
- 23 -
・上記に述べる内航貨物をインドネシア籍船で輸送することを義務付ける時期は以
下のとおりとする。
コンテナ貨物およびコンテナ以外の一
本指令発効と同時
般貨物、木材、セメント、肥料、米
パ ー ム オ イ ル 、鉱 物 、そ の 他 の 作 物 、野
遅 く と も 2008 年 1 月 1 日 ま で に 導 入
菜・魚などの生鮮品
液体及びその他の化学品および農作物
遅 く と も 2009 年 1 月 1 日 ま で に 導 入
石油天然ガス、石炭
遅 く と も 2010 年 1 月 1 日 ま で に 導 入
石油天然ガス産業に使用するもの
遅 く と も 2011 年 1 月 1 日 ま で に 導 入
ただし、インドネシア籍船が手配できる場合は、上記の導入前の期日でもインド
ネシア籍船を利用する。
さ ら に 、 同 指 令 で は 違 反 し た 場 合 は ラ イ セ ン ス を 剥 奪 す る と し 、 2005 年 11 月 18 日
同指令を発効するとしている。
(2) そ の 他 の 動 き
報道や海運総局の資料によると、上述の内航貨物輸送におけるインドネシア籍船の利
用 義 務 を 定 め た 運 輸 省 指 令 第 71 号 以 外 に 、 次 の よ う な 規 定 が 交 付 、 あ る い は 検 討 さ れ
ている。
発 効 済 み ( 2006 年 4 月 現 在 )
・海 運 会 社 が 徴 収 し て い る 港 湾 サ ー ビ ス 料 (Terminal Handling Charge : THC)を 、2005
年 11 月 1 日 か ら 20 フ ィ ー ト コ ン テ ナ あ た り 150 米 ド ル か ら 95 米 ド ル へ 、40 フ ィ ー
ト コ ン テ ナ あ た り 230 米 ド ル か ら 145 米 ド ル へ 引 き 下 げ る こ と を 発 表 36 。
法 案 作 成 済 み ( 2006 年 4 月 現 在 )
・インドネシア籍船はインドネシア船級協会で船級を取得することを義務付け
・船舶調達システムと手続きおよび船籍の変更と利用に関する簡素化についての規定
業 界 関 係 者 と 協 議 中 ( 2006 年 4 月 現 在 )
・貨物および船員情報フォーラムの設置に関する運輸省と貿易省の共同規定
・政府が輸入する貨物の国内海運会社による輸送に関する運輸省と貿易省の共同規定
・荷主と国内海運会社の間の長期輸送契約に関する運輸省と貿易省の共同規定
・ イ ン ド ネ シ ア 港 湾 会 社 (Ind. PT. (Persero) Pelabuhan Indonesia)が 運 営 す る 従 来 の 船
渠 (Conventional dock)に お け る コ ン テ ナ の 積 荷・揚 荷 に 関 わ る サ ー ビ ス 料 金 の 決 定 メ
カニズムとガイドラインに関する運輸省規定
・ 港 湾 オ フ ィ ス 技 術 導 入 ユ ニ ッ ト (Port Office Technical Implementation Unit (Ind.
UPT Kantor Pelabuhan))に お け る コ ン テ ナ の 積 荷 ・ 揚 荷 に 関 わ る サ ー ビ ス の 手 続 き
THC は 海 運 会 社 が 港 湾 サ ー ビ ス の コ ス ト 回 収 の た め に 徴 収 し て い る も の で 、他 国 で も 徴 収 さ れ て い る
が 、イ ン ド ネ シ ア は 港 湾 効 率 が 悪 い た め 、近 隣 諸 国 よ り も 高 く 海 運 会 社 が 設 定 し て お り 、輸 入 業 者 は そ の
廃 止 を 求 め て い た 。た だ し こ の 措 置 は 一 時 的 な も の で 、 ア ー ン ス ト ヤ ン グ に 委 託 し て い る THC の 妥 当 な
金 額 の 調 査 結 果 を 待 っ て 最 終 決 定 す る こ と に な っ て い る 。 (2006 年 11 月 27 日 付 け 時 事 通 信 な ど )
36
- 24 -
とシステムに関する運輸省規定
・ 国 際 貿 易 に 開 放 す る 港 湾 の 決 定 に 関 す る 運 輸 省 、貿 易 省 、財 務 省 、国 内 産 業 省 の 共 同
規 定 37
・公共サービス向けの港湾施設開発に関する運輸省規定
・中小海運会社の発展に関する協同組合中小企業省、運輸省の共同規定
また、大統領指令第 5 条の発令後、次の国際条約の批准がすすんでいる。
① 海 上 先 取 取 得 権 及 び 船 舶 抵 当 権 に 関 す る 国 際 条 約 (Maritime Liens and Mortgages
1993)の 批 准 と 法 制 度 化
② 船 舶 だ 捕 に 関 す る 国 際 条 約 (International convention on Arrest of Ship 1999)の 批
准書素案と船舶だ捕法案の策定
2-3
大統領指令の発令のインパクト
大 統 領 指 令 第 5 条 の 発 令 直 後 、 イ ン ド ネ シ ア 船 主 協 会 (INSA)で は 翌 年 2006 年 に は イ
ン ド ネ シ ア 籍 船 が 輸 出 貨 物 輸 送 の 10% を 占 め 、2020 年 ま で に 30% を 占 め る よ う に な る
と 、イ ン ド ネ シ ア 海 運 業 界 の 大 幅 な 飛 躍 を 期 待 し て い た 。し か し 、2006 年 の デ ー タ は ま
だ 発 表 さ れ て い な い が 、2005 年 に イ ン ド ネ シ ア 籍 船 が 輸 送 し た 内 航 貨 物 は 全 体 の 55.5%
と 、 前 年 の 52.7% か ら の 微 増 に と ど ま っ た 。 外 航 貨 物 に つ い て も 4.8% か ら 5.1% と 微
増 で あ る 。 微 増 に と ど ま っ て い る 背 景 に つ い て 、 INSA は 、 省 庁 間 の 連 携 の 悪 さ 、 政 府
によるカボタージュ制度の運用が不徹底であること、政府が金融業界向けに船舶の資金
調達を後押しするように働きかけていないこと、などがカボタージュ制度の効果があま
り あ が っ て い な い 背 景 だ と 38 不 満 の 声 を 上 げ て い る 。
ま た 、 海 運 総 局 に よ る と 、 イ ン ド ネ シ ア 籍 船 の 数 は 2006 年 3 月 1 日 現 在 で 6,791 隻
と な っ て お り 、 前 年 の 6,041 隻 と 比 べ て 12.4% 増 と な り 39 、 大 統 領 指 令 以 降 、 登 録 船 舶
数は増加している。しかし、増加した船の多くは外国海運会社が所有しているものも多
く 、 内 航 輸 送 に 従 事 す る た め に イ ン ド ネ シ ア 籍 に 移 し た だ け だ と い う 指 摘 も あ る 40 。
一方、大統領指令を受け、資金調達力のある大手海運会社では、次々と船舶調達計画
を発表している。
37
報 道 に よ れ ば 外 国 籍 船 が 入 港 で き る 港 湾 の 数 を 、 現 状 の 一 般 港 141 ヶ 所 、 特 別 港 600 港 か ら 、 25 港
に 限 定 す る こ と で 運 輸 省 は 検 討 中 。 2006 年 2 月 13 日 Asia Pulse
38
Asia Pulse 2006 年 9 月 20 日
3 9 Jakarta Post
2006 年 3 月 29 日 、 Asia Pulse 2006 年 3 月 16 日
4 0 Jakarta Post
2006 年 3 月 29 日
- 25 -
表 15
海運会社などの船舶調達計画の発表
会社名
購入船舶
ARPENI
2006 年 内 に 船 舶 2 8 隻 を 購 入 す る 方 針 を 発 表 。
PRATAMA
投資総額は 1 億 3200 万ドル。これには 1~4 隻の
OCEAN LINE
乾バルク船、2隻の一般貨物船、1~3 隻の浮クレ
ーン船(floating crane ship)、 10 隻のタグボート
出典
2006/5/19 時 事 通 信
2006/7/5 Asia Pulse
2006/5/19 AFX Asia
2006/2/13 Lloyds List
などが含まれる。
海運大手アルペニ・プラタマ・オーシャン・ライ
ンは 2006 年に 1 億 2,900 万米ドルを投じて 8 隻
の中古船を購入することを発表した。購入船舶の
総重量は50万DWTの見込み。同社は石炭輸送
の分野に特に強く、購入船舶もその多くが乾バル
ク船となる。購入資金は 40%は自己資金で、60%
は新たに資金調達する。
BERLIAN LAJU
2009 年までに、4 億 5,000 万~5 億ドルを投じ、
船舶 15 隻を追加する予定であることを発表。一
方、タンカー3 隻をシンガポールのファースト・
2006/9/12 時 事 通 信
証券会社アナリストレポ
ート
シップ・リース社に売却する。売却価格は1隻当
たり 4,500 万ドルで、総額1億 3,500 万ドル。2006
年 9 月中に取引を完了する。なお、同社は売却後、
ファースト・シップ・リース社から売却した船舶
をリースしている。
HUMPUSS
海運大手ハンプスは 2006 年 3 月から 4 月にかけ
INTERMODA
て、7000 万米ドルを当時て 10 隻の新造船を調達
TRANSPORTASI
す る 計 画 を 発 表 し た 。 LNG タ ン カ ー 、 タ グ ボ ー
2005/12/22 Asia Pulse
ト、バージなどが含まれる。
PELAYARANI
イ ン ド ネ シ ア 国 営 海 運 会 社 ペ ル ニ 社 (Pelayarani
NASIONAL
Nasional Indonesia )は 1,780 億ルピア(1,980 万
INDONESIA
米ドル)を投じて客船を多目的船に改造すること
2006/4/28 Asia Pulse
を発表した。
PELINDO III
国 営 1,200 億 ル ピ ア (1,330 万 米 ド ル )を 投 じ て
2006 年 末 ま で に タ グ ボ ー ト や 引 船 ( pilot ship)
2006/6/1 時 事 通 信
2006/6/1 Asia Pulse
を調達することを発表。3,000 万ルピアのタグボ
ートは 2006 年 6 月に納入。
PERTAMINA
国営石油会社プルタミナは 8 隻の新造船の入札を
行 う 予 定 が あ る こ と を 発 表 し た 。 5000 立 方 メ ー
ト ル の LPG キ ャ リ ア 2 隻 、 17,500DWT と
30,000DWT のプロダクトタンカーを 2 隻づつ、
85,000DWT のアフラマックス石油タンカー2隻
を調達する。
国営造船2社とタンカー3 隻の建造契約(総額
8182 万ドル)を締結した。タンカーは 2009 年に
完成の予定。さらに同社は 5 隻のタンカーを発注
する計画。これらは主に液化石油ガス輸送向け
で、発注先は外国中心となる見込み。
- 26 -
2005/12/20 Lloyd's List
2007/2/8 時 事 通 信
会社名
RIG
TENDERS
INDONESIA
購入船舶
2006 年 内 に 船 舶 2 7 隻 を 購 入 す る こ と を 明 ら か
出典
2006/6/6 時 事 通 信
にした。投資額は 5480 万ドルで、外国銀行から
の融資と社内資金で調達する。船舶は同社株8
0.54%を保有するマレーシア海運大手のスコ
ミ・マリーン、提携会社のバトゥア・アバディ・
ラインなどから購入する。リグの保有船舶数は6
5隻に増える。新たに購入する船舶は、カリマン
SAMUDERA
INDONESIA
タンの鉱業地域からの石炭輸送に利用する。
5,000 万米ドル以上を投じてコンテナ 2 隻を購入
する計画を発表。コンテナ船の輸送能力は 1,500
T E U s で 、 2007 年 の コ ン テ ナ 取 扱 量 は 前 年 比
276%増の 17 万 3,000 ユニット達成を目指す。
2007 年に 2 億ドルを投じてLNGタンカー2 隻購
入することを発表。タンカー2隻の輸送能力は 14
万 5,000DWT。英石油大手BPが主導するタン
グー・ガス事業(西イリアンジャヤ州)で生産さ
れるLNGを、インドと中国向けに 20 年間輸送
(契約総額8億5000万ドル)する。来年末の
建造完了、2008年の運航開始を目標としてい
る。タンカーは日本で建造される予定。
2007/1/22 時 事 通 信
2006/9/20 時 事 通 信
出所:報道記事などより作成
3
海運会社アンケートと主要企業
3-1
海運会社アンケート
本調査では、具体的な各社の船舶需要を考察するため、インドネシアの海運会社にア
ン ケ ー ト を 実 施 し た 。 前 述 の よ う に イ ン ド ネ シ ア に は 1,000 社 を 超 え る 海 運 会 社 が 存 在
するが、その多くは保有船舶数の少ない零細企業である。そこで、インドネシア船主協
会 の 協 力 を 得 て 、 大 手 と 考 え ら れ る 33 社 を リ ス ト ア ッ プ し て も ら い 、 訪 問 ア ン ケ ー ト
あ る い は 電 話 ア ン ケ ー ト を 試 み た 。 そ の 結 果 、 33 社 中 15 社 か ら 回 答 を 得 る こ と が で き
た。また、国営石油会社プルタミナの子会社のプルタミナ・シッピングにもアンケート
を実施することができた。アンケートを試みた企業のリストおよび回答企業は以下の通
りである。
- 27 -
表 16
アンケートアプローチ先企業と回答企業一覧
No
会 社 名
インタビュー回 答
1 ADMIRAL LINES
○
2 AMASNUSA PERSADA
○
3 ANDHIKA LINES
○
4 AQUARIA SHIPPING LTD
5 ARMADA BUMI PRATIWI LINES
○
6 ARPENI PRATAMA OCEAN LINE tbk
○
7 BARUNA RAYA LOGISTIC INC
○
8 BERLIAN LAJU TANKER, Tbk
○
9 BUMI LAUT SHIPPING CORP.
10 DJAKARTA LLOYD
○
11 GESURI LLOYD
○
12 GURITA LINTAS SAMUDERA
13 HUMPUSS INTERMODA
TRANSPORTASI Tbk
○
14 JAYAKUSUMA PERDANA LINE
15 KARANA LINES
16 MASKAPAI PELAYARAN PULAU LAUT`
17 MARATUS
18 MUTIARA NUSA ANTAR SAMUDERA LINES
19 PARNARAYA NUSANTARA
20 PELAYARAN BEHTERA ADHIGUNA
○
21 PELAYARAN NASIONAL INDONESIA (PELNI)
22 PELAYARAN TEMPURAN EMAS TBK
23
○
PERTAMINA DIT. HILIR BID. PERKAPALAN
(PERSERO)
24 PRIMA VISTA
25 RIG TENDERS INDONESIA Tbk
○
26 RIMBA SEGARA LINES
27 SAMUDERA INDONESIA Tbk
○
28 SUDJACA TANKER
29 TAHTA BAHTERA
30 TANJUNG GLORY SHIPPING
31 TARUNA CIPTA KENCANA
32 TONASA LINES
33 TRIKORA LLOYD
- 28 -
以下、アンケート結果の分析を概説する。
(1)
事業内容
回 答 企 業 16 社 の う ち 、 船 主 、 用 船 主 、 オ ペ レ ー タ ー の す べ て の 事 業 に 従 事 し て い る
企 業 は 9 社 と 最 も 多 く 、続 い て 船 主 ・ オ ペ レ ー タ ー の 事 業 を 行 っ て い る 企 業 が 5 社 、用
船主・オペレーター企業が 2 社であった。また、船主、用船主、オペレーター以外の事
業 も 併 せ て 行 っ て い る 企 業 も 10 社 あ り 、 そ の 内 容 は 船 社 代 理 店 、 荷 役 、 仲 介 業 務 な ど
が挙げられた。中にはコンテナターミナルオペレーションを行っている企業もあった。
(2)
資本金
インドネシアでは上場企業以外は資本金や売上高などの財務情報を公開していない。
回 答 企 業 16 社 の う ち 上 場 企 業 が 5 社 あ り 、 そ れ ら 5 社 の 資 本 金 を み る と 1,000 万 米 ド
ル か ら 8,000 米 ド ル 超 と な っ て い る 。
表 17
回答企業のうち上場企業の資本金
単 位 : 100 万 ル ピ ア 、 100 万 米 ド ル 、 100 万 S ド ル
会
社
名
米ドル換算
資 本 金
(1US$ = 9050 ル ピ ア )
PR Arpeni Pratama Ocean line Tbk
7,496 億 5,100 万 ル ピ ア
約 8,283 万 米 ド ル
PT Berlian Laju Tanker Tbk
2,598 億 2,600 万 ル ピ ア
約 2,871 万 米 ド ル
2,250 億 ル ピ ア
約 2,486 万 米 ド ル
1,240 億 2,500 万 ル ピ ア
約 1,370 万 米 ド ル
4,500 万 S ド ル
約 2,673 万 米 ド ル
PT Humpuss Intermoda
Transportasi Tbk
PT Pelayaran Tempuran Emas Tbk
PT. Samudera Shipping services
出所:各社アニュアルレポートより
(3)
売上高
上述のとおり、上場企業以外、売上情報は公開していない。上場企業 5 社の売り上げ
は下記の通りである。
- 29 -
表 18
アンケート回答企業の資本金
売上高
会 社 名
2005 年の対前
2003 年
2004 年
PT Arpeni Pratama Ocean
5,971 億 4,700
8,458 億 6,700
1 兆 1,679 億
Line Tbk
万ルピア
万ルピア
3,800 万ルピア
9,698 億 6,600
1 兆 3,514 億
2 兆 6,171 億
万ルピア
3,300 万ルピア
9,200 万ルピア
7,119 億 6,000
8,163 億 4,500
万ルピア
万ルピア
3,656 億 5,000
6,257 億 8,000
万ルピア
万ルピア
PT Berlian Laju Tanker Tbk
PT Humpuss Intermoda
-
Transportasi Tbk
PT Pelayaran Tempuran
Emas Tbk
1,794 億ルピア
2005 年
PT Samudera Shipping
5 億 500 万Sド
5 億 9,600 万S
6 億 8,000 万S
Services
ル
ドル
ドル
年比伸び率
97%
170%
15%
249%
35%
出所:各社アニュアルレポート
(4)
企業体
16 社 中 14 社 は 地 場 企 業 で 残 り は 1 社 (PT Arpeni)が 外 資 と の 合 弁( た だ し 外 資 保 有 率
は 5% )、 も う 1 社 PT Rig Tender Indonesia は マ レ ー シ ア の Scomi 社 の 子 会 社 と な っ
ている。
(5)
設立年
回 答 企 業 16 社 は 1959 年 か ら 1987 年 の 間 に 設 立 さ れ て い る 。
(6)
従業員数
16 社 中 11 社 か ら 回 答 が あ っ た が 、 20 人 か ら 数 百 人 、 1000 人 ま で 回 答 内 容 は 多 岐 に
わたっている。
(7)
所 有 /運 営 船 舶 数 お よ び 所 有 /チ ャ ー タ ー 状 況
所 有 / 運 営 船 舶 数 は プ ル タ ミ ナ ・ シ ッ ピ ン グ の 137 隻 が 最 高 で 最 も 少 な い も の は
Admiral Lines, Amasnusa Persada の 2 隻 で あ る 。 ま た 、 154 隻 中 118 隻 を チ ャ ー タ
ー し て い る Pertamina Shipping 、 所 有 と チ ャ ー タ ー が 約 半 々 と な っ て Samudera
Shipping Services を 除 き 、 全 体 と し て は 所 有 船 舶 の 比 率 が 多 く な っ て い る 。
- 30 -
表 19
回答企業の所有運営船舶数および所有/チャーター状況
所 有 /運 航 船 舶 数
会社名
所 有 /チャーター
PT Admiral Lines
2
すべて所有
PT Amasnusa Persada
2
すべて所有
Andhika
2(所有)
2 or 3 (オペレーション)
Armada Bumi Pratiwi Lines
2 隻所有、それ以外はチャーター
19
すべて所有
58
すべて所有
PT Baruna Raya Logistics Inc
3
旅客船は所有
PT Berlian Laju Tanker
61
PT Djakarta Lloyd
14
PT Gesuri Lloyd
1
PT Arpeni Pratama Ocean Line
Tbk
48 隻所有、そのほか 2 隻チャータ
ー、11 隻契約(Contracted)
政府所有(同社は国営海運会社
である)
チャーター
18 及 びタグおよびバージを5
PT Gurita Lintas Samudera
セット
(2007 年 2 月に貨物船 1 隻が
すべて所有
納入される予定)
PT Humpuss Intermoda
43
36 隻所有、7 隻チャーター
6
5 隻所有、1 隻チャーター
24
すべてチャーター
Pertamina Shipping
154
36 隻所有、118 隻チャーター
PT Rig Tenders Indonesia Tbk
65
すべて所有
PT. Samudera Shipping services
55
27 隻所有、26 隻チャーター
Transportasi Tbk
PT Pelayaran Behtera Adhiguna
PT Pelayaran Tempuran Emas
Tbk
註:水色のハイライトは上場企業、以下同じ
(8)
所 有 /運 営 船 舶 内 訳
回 答 企 業 の 所 有 船 舶 の 内 訳 を み る と 、石 油 タ ン カ ー が 最 も 多 く 182 隻 と な っ て い る が 、
これは国営石油会社プルタミナの子会社、プルタミナ・シッピングの所有石油タンカー
154 隻 が 含 ま れ る か ら で あ る 。 次 に 多 い の は コ ン テ ナ 船 で 69 隻 で あ る が 、 こ れ に は
Samudera Shipping が チ ャ ー タ ー し て い る 26 隻 が 含 ま れ る 。
- 31 -
表 20
インタビュー回答企業の所有/運航船舶内訳
所有/運航船舶タイプ
所有/運航船舶タイプ
会社名
PT Admiral Lines
PT Amasnusa Persada
ANDHIKA
Armada Bumi Pratiwi Lines
PT Arpeni Pratama Ocean
Line Tbk
PT Baruna Raya Logistics
Inc
PT Berlian Laju Tanker Tbk
石油タンカー
ケミカルタンカー 一般貨物
14隻
最大30,000 dwt
5隻
最大4,400 dwt
最小1,100 dwt
4隻
LPG船-1隻
レジャー
ボート
バージ
1隻
その他
バルクキャリア3隻
5隻
9隻
ユーティリティー船1
隻、Ro-Ro船1隻 x
ガスタンカー4隻、石
油プロダクトタンカ
油プロダクトタン
ー5隻、他に契約船が
カー5隻、他に契約
11隻 船が11席
32隻
14隻
多目的船1隻
- 32 -
18隻
7隻
最大37,087 dwt
最小3,565 dwt
タグボートとバージ
を 5セを5セット
ット
14隻
最大231 GT
最小119 GT
7隻
最大5,500 dwt
最小1,329 dwt
3隻
バルクキャリア1隻
24隻
最大1,173 TEUS
最小191 TEUS
LNG船を含め154隻
最大300,000 dwt
最小1,500 dwt
2隻
2隻ともとも
17,726DWT
15隻
最大3,139 GT
最小1,351 GT
2隻
PT Rig Tenders Indonesia
Tbk
PT Samudera Shipping
services
漁船
1隻
PT Pelayaran Tempuran
Emas Tbk
Pertamina Shipping
タグボート
2隻
1隻
PT Gurita Lintas Samudera
PT Pelayaran Bahtera
Adhiguna
客船
2隻
PT Djakarta Lloyd
PT Gesuri Lloyd
PT Humpuss Intermoda
Transportasi Tbk
コンテナ船
10隻
最大
11,277DWT
最小2,781DWT
29隻
29
隻
(チャーター26隻、所有
3隻 ) 3隻)
最最大1,560
大 1,560TEUS
TEUS
最
小 115TEUS
TEUS 、子
最小115
子 会 社 Foremost
会社Foremost
Maritime所有分4隻
Maritime 所有分4隻
オフショア船40隻、
タブボートとバージ
25セ25セット、
ット
オイルバージ1隻、
オイルバージ1隻、
油井サービスボート
油井サービスボート
1隻、
アンカーハンド
1隻、アンカーハンド
リングボート1隻、
ガ
リングボート1隻, ガ
スキャリア2隻、石
スキャリア2隻、石
炭運搬船5隻
炭運搬船5隻
出所:アンケート回答結果および各社ウェブサイトから作成
な お 、 所 有 船 舶 の リ ス ト に つ い て は 、 上 場 企 業 5 社 を 含 め 13 社 に つ い て 情 報 を 収 集
した。各社の所有船舶リストは別添1~8 を参照のこと。
(9)
船舶調達先国
船 舶 建 造 国 に つ い て 複 数 回 答 で 聞 い た と こ ろ 、 最 も 多 い の は 日 本 で 11 社 で あ っ た 。
回 答 企 業 の 69% が 日 本 か ら 船 舶 を 調 達 し て い る こ と に な る 。続 い て イ ン ド ネ シ ア 国 内 が
7 社、欧州 6 社となっている。
表 21
回答企業の船舶調達先国
国
回答企業数
11
日本
(10)
インドネシア
7
欧州
6
中国
4
韓国
4
シンガポール
3
北米
2
マレーシア
1
その他
3
中古船・新造船別
所有運航船舶を中古船で購入したか新造船で購入したか聞いたところ、回答企業のう
ち 8 社 が 「 両 方 」と 応 え た 。新 造 船 の み を 使 っ て い る 企 業 は 3 社 、中 古 船 の み を 使 っ て
いる企業は 4 社、無回答は 1 社となった。
(11)
調達予定の有無と時期
今 後 の 船 舶 調 達 計 画 に つ い て 聞 い た と こ ろ 、 調 達 計 画 が あ る 企 業 が 12 社 、 な し と 回
答した企業は 4 社であった。
調達の予定はない,
4社
調達する計画があ
る, 12社
図 7
調達予定の有無
- 33 -
ま た 、 調 達 予 定 が あ る と 回 答 し た 12 社 の 調 達 時 期 に つ い て は 、 今 年 も 来 年 も 調 達 す
る と い う 企 業 が 5 社 、今 年 調 達 す る と い う 企 業 が 2 社 、来 年 調 達 す る と い う 企 業 が 2 社 、
2 年後に調達するが 1 社、未定が 2 社となった。今年も来年も調達すると回答した企業
のうち2社は毎年調達しているということで、旺盛な購買意欲が感じられる。また、未
定と回答した企業のうち1社は、
「 船 が あ れ ば い つ で も ほ し い 」と 回 答 し て お り 、船 舶 供
給が逼迫していることがわかる。
(12)
調達予定船舶
調 達 予 定 の あ る 12 社 に 、 調 達 船 舶 の タ イ プ を 複 数 回 答 で 聞 い た と こ ろ 、 以 下 の 通 り
となった。旅客船、漁船、レジャーボートの調達予定はない。
表 22
調達予定船舶タイプ
船舶タイプ
回答企業数
石油タンカー
5社
ケミカルタンカー
4社
一般貨物船
3社
タグボート
1社
バージ
1社
そ の 他 ( ガ ス 、 LNG、 バ ル ク 船 な ど )
4社
ま た 、調 達 先 に つ い て は 、未 定 と い う 回 答 が 多 か っ た 。調 達 予 定 が あ る と 回 答 し た 12
社の調達予定船舶に関する回答の詳細は別添 9 のとおり。
な お 、 訪 問 イ ン タ ビ ュ ー を 行 っ た 企 業 の う ち Berlian Laju Tanker か ら は 、 今 後 の 調
達予定船舶リストを入手した。
表 23
Berlian Laju Tanker の調達予定船舶リスト
2006 年 8 月 31 日 現 在
発注先造船所
下ノ江造船
臼杵造船所
新来島どっく
福岡造船
STX SHIP YARD
HYUNDAIHEAVY
INDUSTRIES
船舶名
GAS SULAWESI
GAS PAPUA
GAS BALI
MT.PERTIWI
MT.PUJAWATI
MT.PRITA DEWI
MT.PURWATI
MT.PUSPAWATI
MT.PRAMONI
MT.PRAMESTI
MT.PURBASARI
MT.GAS LOMBOK
MT.GAS SUMBAWA
MT.LNG-1
MT.LNG-2
船舶タイプ
LPG 5000cbm
LPG 5000cbm
LPG 5000cbm
Chemical/19,000dwt
Chemical/19,000dwt
Chemical/19,000dwt
Chemical/19,000dwt
Chemical/19,000dwt
Chemical/19,000dwt
Chemical/19,000dwt
Chemical/19,000dwt
Ethylene9000M3
Ethylene9000M3
LNG Carrier155,000M3
LNG Carrier155,000M3
納入時期
27-Oct-2006
1-Feb-2007
May-June-2007
28-Jun-2006
29-Sep-2006
26-Jul-2006
End of Feb-2007
9-Jan-2006
End of May-2008
Apr-2009
End of Jan-2009
June-July-2008
July-August-2008
15-Nov-2008
15-Mar-2009
出 所 : Berlian Laju Tanker
- 34 -
(13)
調達の背景
調 達 の 背 景 に つ い て 複 数 回 答 で 聞 い た と こ ろ 、需 要 増 と 回 答 し た 企 業 が 9 社 、 規 制 の
変 更 が 7 社 、そ の 他 が 4 社 で あ っ た 。そ の 他 の 理 由 に は 、「 老 朽 船 の 買 い 替 え 」「 コ ン テ
ナ 化 へ の 対 応 」「 チ ャ ー タ ー の コ ス ト が 高 い た め 」 な ど で あ っ た 。
(14)
納入トラブル
納入トラブルについて聞いたところトラブルがあったと回答したのはプルタミナ・シ
ッ ピ ン グ の 1 社 の み で あ っ た 。別 の 1 社 は 過 去 の 納 期 ト ラ ブ ル で は な い が 、2009 年 ま で
納入してもらえない点が問題と指摘している。造船需要の高まりで造船所が建造能力満
杯の状態で操業しているため、早期の納入ができない状況になっており、インドネシア
の船主もその影響を受けていることがわかる。
また、その他のコメントでは、インドネシアにおける金利の高さが船舶調達の障害に
なっているという意見があった。
アンケートからは、貨物輸送需要の高まり、前述のようなカボタージュ規制による国
内海運業者の輸送能力増強の必要性から、旺盛な船舶調達需要はあるものの、造船所の
建造能力や、金利の高さなどの問題に直面している企業のあることがわかる。
3-2
主要海運会社の概要
今回のアンケート回答企業のうち、上場企業 5 社について概説する。
(1)
PT Arpeni Pratama Ocean Line Tbk
1975 年 に 設 立 さ れ た 海 運 会 社 で 船 主 、船 舶 運 航 、船 舶 マ ネ ー ジ メ ン ト 、代 理 店 業 務 な
ど に 従 事 し て い る 。2005 年 に ジ ャ カ ル タ 証 券 取 引 所 に 上 場 し た 。バ ル ク 貨 物( 主 に 石 炭 )、
合板やパルプなどの一般貨物、石油ガス産業向けの液体輸送に従事している。バルク貨
物 は 同 社 の 売 り 上 げ の 約 6 割 を 占 め る が 、そ の 多 く を 占 め る 石 炭 は 主 に 発 電 所 向 け で あ
る 。同 社 は 発 電 所 向 け の 石 炭 輸 送 市 場 で は 国 内 の 24% の シ ェ ア を 持 つ と み ら れ て い る 41 。
一般貨物輸送は主に合板、パルプ、紙などの輸送で、仕向け地は日本、台湾、中国、韓
国 で あ る 。平 均 8500DWT の 船 舶 5 隻 を 一 般 貨 物 輸 送 に 使 用 し て い る 。液 体 貨 物 は 同 社
の主力事業ではないが、プルタミナなどの石油会社に船舶を長期チャーターしており、
定期的に用船料が入っている。
同 社 の 2005 年 度 の 売 り 上 げ 内 訳 は 図 8 の と お り 。
41
DGS Vickers 証 券 2006 年 6 月 2 日 ”Indonesia Result Analyzer Arpeni Pratama Ocean”
- 35 -
2006年度(見込み)
2005年度
代理店
サービス
9.4%
その他
0.5%
液体貨物
10.7%
液体貨物
13.6%
バルク貨
物 60.0%
一般貨物
16.5%
図 8
その他
0.5%
代理店
サービス
9.9%
バルク貨
物 62.3%
一般貨物
16.6%
PT Arpeni Pratama Ocean Line Tbk の売り上げ内訳
出 所 : DBS Vickers 証 券
同 社 の 所 有 船 舶 数 は 、下 記 の 通 り 2003 年 度 か ら 2005 年 度 の 2 年 間 で 約 倍 増 し て い る 。
ま た 、 下 記 の 通 り 2005 年 末 に は 50 隻 で あ っ た が 、 2006 年 9 月 の イ ン タ ビ ュ ー 時 の 情
報 で は 58 隻 と な っ て お り 、 DBS Vickers 証 券 の 予 測 で は 2006 年 末 に は 67 隻 ま で 増 え
る見込みとされている。
表 24
PT Arpeni Pratama Ocean Line Tbk の商船態の規模の推移
単 位 : DWT, %
2003 年
2004 年
2005 年
2006 年
2007 年
454,838
405,767
493,770
510,120
641,453
液体貨物船
35,831
45,996
75,994
67,036
75,994
一般貨物船
41,188
41,188
41,188
46,188
61,188
531,857
492,951
610,952
623,344
778,635
19
18
39
54
54
液体貨物船
1
4
5
5
5
一般貨物船
5
5
5
7
7
クルーボート
1
1
1
1
1
26
28
50
67
67
バルク貨 物 船
98.72%
92.47%
96.82%
99%
99%
液体貨物船
94.52%
100.00%
98.39%
99%
99%
一般貨物船
98.36%
98.30%
96.66%
99%
99%
合計
98.68%
96.73%
97.88%
99%
99%
区
分
商 船 隊 規 模 (DWT)
所 有 およびチャーター
バルク貨 物 船
合計
船舶数
バルク貨 物 船
合計
商船隊利用率
出 所 : DBS Vickers 証 券
- 36 -
船 舶 数 の 増 加 に 伴 い 、売 上 高 も 上 昇 し 、2005 年 に は 前 年 比 38% 増 の 1 兆 1,679 億 3,800
万 ル ピ ア を 記 録 、 税 引 き 前 利 益 も 991 億 5,100 万 ル ピ ア か ら 1,893 億 ル ピ ア と 91% 増
となった。
表 25
PT Arpeni Pratama Ocean Lines Tbk の財務内容
単 位 : 100 万 ル ピ ア
区
分
2004 年
2005 年
2006 年
2007 年
所有船舶
511,886
751,944
1,095,344
1,344,958
チャーター船舶
246,492
300,978
150,489
75,245
代理店
84,523
109,742
120,717
132,788
その他
2,966
5,273
5,801
6,381
合計
845,867
1,167,938
1,372,351
1,559,372
粗利益
257,048
386,113
税引き前利益
99,151
189,300
純利益
77,220
168,720
出 所 : DBS Vickers 証 券 、 及 び PT Arpeni Pratama Ocean Lines Tbk ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト
(2)
Berlian Laju Tankers
1981 年 に 設 立 、 船 主 、 船 舶 運 航 、 船 舶 チ ャ ー タ ー 、 代 理 店 業 務 な ど に 従 事 し て い る 。
1990 年 に は イ ン ド ネ シ ア の 海 運 会 社 と し て は 初 め て ジ ャ カ ル タ 株 式 市 場 に 上 場 し た 。
2006 年 10 月 に は シ ン ガ ポ ー ル 株 式 市 場 に も 上 場 し た 。32 隻 の ケ ミ カ ル タ ン カ ー を 所 有
し、化学品輸送では大手。インドネシアにおけるカボタージュ制度の強化により、プル
タミナは国内の石油輸送や石油の輸入にも国内海運会社を使う動きがすすんでおり、同
社 も リ ビ ヤ か ら の 石 油 輸 入 輸 送 の 契 約 を 受 注 し て い る 42 。 同 社 所 有 石 油 タ ン カ ー の う ち
輸 送 能 力 の 35% 程 度 は プ ル タ ミ ナ に チ ャ ー タ ー し て い る と み ら れ て い る 43 。
2005 年 の 売 り 上 げ は 対 前 年 比 94% 増 の 2 兆 6,171 億 9,200 万 ル ピ ア 、 税 引 き 後 利 益
は 対 前 年 比 165% 増 の 6,451 億 8,600 万 ル ピ ア を 記 録 し た 。2006 年 は 石 油 の 輸 送 運 賃 相
場 が 対 前 年 比 31% 程 度 下 降 し た が 、化 学 品 輸 送 の 運 賃 が 堅 調 に 推 移 し 、売 り 上 げ は 12%
増 の 2 兆 9,215 億 ル ピ ア 、税 引 き 後 利 益 は 、3 隻 の タ ン カ ー を 売 却 し た こ と も あ り 、92%
増 の 1 兆 2,412 億 ル ピ ア が 見 込 ま れ て い る 。
42
DBS Vickers 証 券 2006 年 8 月 24 日
43
Danereksa 証 券 レ ポ ー ト 2006 年 12 月 7 日
- 37 -
表 26
Berlian Laju Tankers Tbk の売り上げ内訳
単 位 : 100 万 米 ド ル
2003 年
2004 年
2005 年
2006 年
2007 年
2008 年
化学品
76.0
112.7
155.1
133.2
133.8
154.4
石油
29.2
29.9
97.9
146.8
153.3
148.4
ガス
4.8
7.5
12.5
16.0
21.9
23.3
その他
3.1
1.5
0.9
2.8
11.3
9.7
合計
113.1
151.6
266.4
298.8
320.3
335.8
化学品の占める割合
67.2%
74.3%
58.2%
44.6%
41.8%
46.0%
石油の占める割合
25.8%
19.7%
36.7%
49.1%
47.9%
44.2%
ガスの占める割合
4.2%
4.9%
4.7%
5.4%
6.8%
6.9%
その他の占める割合
2.7%
1.0%
0.3%
0.9%
3.5%
2.9%
区
分
註 : 2006 年 度 以 降 は CIMB-GK 証 券 推 測 値
出 所 : 同 社 ウ ェ ブ サ イ ト お よ び CIMB-GK 証 券
表 27
Berlian Laju Tanker Tbk の財務状況
単 位 : 10 億 ル ピ ア
2004 年
2005 年
2006 年
2007 年
2008 年
1,351.4
2,617.2
2,921.5
2,938.1
3,098.5
税引き前利益
247.8
653.0
1,250.0
1,034.1
933.2
税引き後利益
243.2
645.2
1,241.2
1,020.1
918.5
区
分
売り上げ
註 : 2006 年 度 以 降 は CIMB-GK 証 券 推 測 値
出 所 : 同 社 ウ ェ ブ サ イ ト お よ び CIMB-GK 証 券
2007 年 1 月 か ら は MARPOL 条 約 に よ り 、化 学 製 品( 食 用 油 を 含 む )を 輸 送 す る タ ン
カ ー は IMO II / III 準 拠 を 義 務 付 け る 規 制 が 発 効 す る 。こ の た め 、化 学 品 輸 送 運 賃 が 25%
程 度 上 昇 す る と 見 込 ま れ て い る 。 同 社 の タ ン カ ー は す べ て IMO II/III に 準 拠 し て お り 、
化 学 品 輸 送 に お け る 売 り 上 げ ・ 利 益 増 を 見 込 ん で い る 。 44
ま た 、同 社 は 2009 年 ま で に 4 億 5,000 万 ~ 5 億 米 ド ル を 投 じ て 船 舶 15 隻 を 追 加 す る
予 定 で あ る 45 。
(3)
Humpuss Intermoda Transportasi Tbk
1986 年 に 設 立 、1997 年 に ジ ャ カ ル タ 証 券 取 引 所 に 上 場 し た 海 運 会 社 で 、LNG、石 油 、
メ タ ノ ー ル /化 学 品 、石 炭 貨 物 の 輸 送 、船 舶 マ ネ ー ジ メ ン ト 、船 舶 代 理 店 業 務 に 従 事 し て
い る 。 石 油 お よ び LNG タ ン カ ー は 長 期 契 約 で プ ル タ ミ ナ に チ ャ ー タ ー し て い る 。 プ ル
タ ミ ナ に は 7 隻 の タ ン カ ー 、 1 隻 の LNG タ ン カ ー を チ ャ ー タ ー し て い る 。 メ タ ノ ー ル
キ ャ リ ア は 関 連 会 社 の Humpuss Trading が メ タ ノ ー ル 輸 送 に 利 用 し て い る 。
44
CIMB BK 証 券 2006 年 12 月 1 日
45時 事 通 信
2006 年 9 月 12 日
- 38 -
2005 年 の 売 り 上 げ は 対 前 年 比 15% 増 の 8,160 億 ル ピ ア と な っ た が 、 純 利 益 は 5% 減
の 1,430 億 ル ピ ア で あ っ た 。
表 28
Humpuss Intermoda Tranposrtasi Tbk の財務状況
単 位 : 10 億 ル ピ ア
区
分
2003 年
2004 年
2005 年
売り上げ
670
712
816
粗 利 益
318
323
334
営業利益
265
260
268
純 利 益
148
151
143
出所:同社ウェブサイト
(4)
PT Samudera Indonesia Tbk
PT Samudera Indonesia Tbk は 1964 年 に 設 立 さ れ 、域 内 の コ ン テ ナ 輸 送 、タ ン カ ー
サービス、オフショアサービス、重機やコンテナの陸上輸送サービス、コンテナの保管
及びメンテナンスサービス、倉庫業、通関業などに従事しているほか、外国海運会社の
代 理 業 も 行 っ て い る 。 1999 年 に ジ ャ カ ル タ 証 券 取 引 所 に 上 場 し た 。 1988 年 に ジ ャ カ ル
タとシンガポール間のフィーダーサービスを開始し、コンテナ事業に参入。その後フィ
ーダーサービスをインドネシアのジャカルタ以外の港、さらにマレーシアにも拡大して
い っ た が 、域 内 の 積 み 替 え ハ ブ で あ っ た シ ン ガ ポ ー ル が 中 心 と な る た め 、1993 年 に フ ィ
ー ダ ー コ ン テ ナ サ ー ビ ス 会 社 Samudera Shipping Lines (SSL)を シ ン ガ ポ ー ル に 設 立 、
2000 年 に は シ ン ガ ポ ー ル 株 式 市 場 二 部 に 上 場 さ せ た 。SSL は 現 在 で は 中 東 、イ ン ド 洋 、
東 南 ア ジ ア 、 極 東 に も 航 路 を 持 つ 。 ま た 、 SLL の 子 会 社 の Foremost Maritime 社 は 石
油や化学品などの輸送にも従事している。
PT Samudera Indonesia Tbk は 持 ち 株 会 社 で 、 2005 年 度 の 同 社 の 売 り 上 げ は 対 前 年
比 28% 増 の 4 兆 5,240 億 ル ピ ア 、純 利 益 は 対 前 年 比 69% の 3,430 億 ル ピ ア を 記 録 し た 。
表 29
PT Samudera Indonesia Tbk の財務内容
単 位 : 10 億 ル ピ ア
2003 年
2004 年
2005 年
売り上げ
2,837
3,541
4,524
営業利益
98
351
541
税引き前利益
74
330
557
純 利 益
43
203
343
区
分
出 所 : Worldscope database
一 方 、Samudera Shipping Lines 社 の 2005 年 度 の 売 り 上 げ は 対 前 年 比 14% 増 の 6 億
8,038 万 S ド ル 、 税 引 き 後 利 益 は 52% 増 の 8,330 万 S ド ル を 記 録 し た 。
- 39 -
表 30
Samudera Shipping Lines 社の財務内容
単 位 : 100 万 S ド ル
2003 年
2004 年
2005 年
売り上げ
505.1
596.3
680.4
営業利益
9.4
54.7
84.4
税引き前利益
9.6
55.2
84.7
純 利 益
8.6
54.8
83.3
区
分
出所:同社アニュアルレポート
な お 、Samudera Indonesia は 2007 年 に 2 億 ド ル を 投 じ て LNG タ ン カ ー を 2 隻 購 入
す る こ と を 2006 年 9 月 に 発 表 し て い る 。 タ ン カ ー 2 隻 の 輸 送 能 力 は 14 万 5,000DWT。
英 石 油 大 手 B P が 主 導 す る タ ン グ ー・ガ ス 事 業( 西 イ リ ア ン ジ ャ ヤ 州 )で 生 産 さ れ る LNG
を 、 イ ン ド と 中 国 向 け に 20 年 間 輸 送 ( 契 約 総 額 8 億 5,000 万 ド ル ) に 使 わ れ る 。 タ ン
カ ー は 日 本 で 建 造 さ れ る 予 定 で 、2007 末 の 建 造 完 了 予 定 で 2008 年 の 運 航 開 始 を 目 標 と
し て い る 。 46
ま た 、 2007 年 1 月 に は 5,000 万 米 ド ル 以 上 を 投 じ て コ ン テ ナ 2 隻 を 購 入 す る 計 画 を
発 表 し た 。 コ ン テ ナ 船 の 輸 送 能 力 は 1,500TEUs で あ る 。 47
(5)
PT Pelayaran Tempuran Emas Tbk
PT Pelayaran Tempuran Emas Tbk は 1987 年 に 設 立 さ れ た 主 に 国 内 の コ ン テ ナ 輸 送
に従事する海運会社である。ハブ港のジャカルタとスラバヤとその他のインドネシア国
内主要港の間を運航している。主な貨物は米、小麦、砂糖、セメント、その他一般貨物
である。従来これらの貨物はバルク船で輸送されていたが、安全で効率的な貨物輸送へ
のニーズが高まる中で、コンテナ化がすすんでいる。海外の主要港への航路も開設して
お り 、ジ ャ カ ル タ と マ レ ー シ ア の ポ ー ト ク ラ ン 、シ ン ガ ポ ー ル 、タ イ の レ ム チ ャ バ ン 港 、
バ ン コ ク 港 を 結 ん で い る 。 ま た 、 子 会 社 PT Perusahaan Bongkar Muat Jasa Trisari
を 通 じ て ジ ャ カ ル タ 港 で の 荷 役 作 業 も 行 っ て い る 。2003 年 に ジ ャ カ ル タ 証 券 取 引 所 に 上
場した。
2005 年 の 売 り 上 げ は 対 前 年 度 71% の 3,656 億 ル ピ ア 、 純 利 益 は 前 年 よ り 2.5 倍 近 い
539 億 5,300 万 ド ル に 達 し た 。
46時 事 通 信
47時 事 通 信
2006 年 9 月 20 日
2007 年 1 月 22 日
- 40 -
表 31
PT Pelayaran Tempuran Emas Tbk の財務内容
単 位 : 10 億 ル ピ ア
2003 年
2004 年
2005 年
売り上げ
179.4
365.7
625.8
営業利益
32.4
73.7
164.0
税引き前利益
29.7
58.3
135.3
純 利 益
33.0
54.0
126.5
区
分
出所:同社ウェブサイト
4
造船業界の現状
大 統 領 指 令 第 5 号 で は カ ボ タ ー ジ ュ 原 則 の 徹 底 に よ る 国 内 海 運 業 の 発 展 に 併 せ て 、造
船業の発展推進を目指すことを謳っている。本章では海運振興政策において船舶の供給
源となる造船業界について概略する。
4-1
造船業界の概要
イ ン ド ネ シ ア の 造 船 産 業 は 旧 オ ラ ン ダ 植 民 地 時 代 の 修 理 ド ッ ク を 政 府 が 1960 年 に 接
収し、国営企業として運営を続けている造船所やその後新たに設立された国営造船所が
中 心 と な っ て い る 。 中 で も 大 手 は 、 オ ラ ン ダ か ら 接 収 し た 造 船 所 3 ヶ 所 と 1960 年 代 に
設 立 し た 造 船 所 4 ヶ 所 が 合 併 し た DKB Shipyard (Dok Perkapalan Kodja Bahari)で 、
同 社 は ス マ ト ラ 島 Sabang, Padang, Palemban、 カ リ マ ン タ ン 島 Banjarmasin, ジ ャ カ
ル タ に 5 ヶ 所 、ジ ャ ワ 島 Cirebon, Semarang の 合 計 11 ヶ 所 に 造 船 所 を 持 つ 。ま た 、ス
ラ バ ヤ の 海 軍 造 船 所 を 改 築 し て 1980 年 に 設 立 さ れ た 国 営 の PT Pal は 、 最 新 の 設 備 を
有し、大型船、軍艦、特殊船舶、海洋オフショア構造物の建造能力を持つインドネシア
屈指の造船所である。
一 方 、 シ ン ガ ポ ー ル か ら フ ェ リ ー で 40 分 に 立 地 す る バ タ ム 島 で は 、 多 く の シ ン ガ ポ
ール系造船所が多く立地し、インドネシアでの一大造船集積地を形成している。今回、
本 調 査 の 実 施 に あ た り 、 バ タ ム 島 に 1989 年 に 設 立 し た PT Palma Progress Shipyard
に訪問インタビューを行った。同社によると、バタム島では当初、エンジン付きの海上
浮 体 物 の 建 造 は 認 め ら れ て い な か っ た が 、1994 年 頃 か ら 認 め ら れ る よ う に な り 、そ れ を
機にシンガポールからの進出が増えたという。シンガポールは土地面積や労働者数など
の面で事業拡大がしにくくなっていたが、バタム島には土地があり、シンガポールの造
船 所 の 事 業 拡 大 に は 格 好 の 選 択 肢 と な っ た わ け で あ る 。 現 在 で は 45 社 の 造 船 所 が 島 の
東 側 を 中 心 に 立 地 し て お り 、そ の う ち イ ン ド ネ シ ア 資 本 は PT Palma Progress Shipyard
と PT Vandar Victory Shipyard 社 の 2 社 、 そ の 他 は シ ン ガ ポ ー ル 資 本 な ど の 外 資 と の
ことである。また、活発な外資系造船所の進出により、バタム島には造船関連の裾野産
業 も 発 達 し て き て い る と い う 。 2006 年 に は ほ と ん ど 毎 月 の よ う に 新 規 参 入 が あ っ た が 、
最 近 は 立 地 す る 場 所 が 少 な く な っ た 。 PT Palma Progress Shipyard に よ る と 、 州 政 府
はバタム島ではなく、隣接するカリムン島で造船産業を育成したい考えで、新規の造船
- 41 -
投資はカリムン島に誘導する動きがあるようだ。
な お 、イ ン ド ネ シ ア 造 船 工 業 会 (IPERINDO)の 2006 年 ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト に よ る と 、
工 業 省 に 登 録 さ れ て い る 造 船 所 は 240 社 で あ る が 、そ の 大 半 は 小 規 模 修 理 造 船 所 で あ る 。
造船所の立地を地域別にみると、最も多いのはスマトラ島(バタム島を擁するリアウ
州 が ス マ ト ラ 島 南 部 に あ る た め 、バ タ ム 、ビ ン タ ン 、カ リ ム ン 島 を 含 む )で 、82 社 が 立
地 し 、年 間 新 造 船 能 力 は 11 万 6,600GT、年 間 修 繕 能 力 は 378 万 4,100GT と な っ て い る 。
こ の う ち 企 業 数 の 4 割 、年 間 新 造 船 能 力 及 び 年 間 修 繕 能 力 の 約 4 分 の 3 は 、前 述 の よ う
にシンガポール資本をはじめ外資系の造船所が多く立地するバタム島が占めている。ス
マトラ島でバタムに次いで造船産業が集積しているのは、スマトラ島最大の都市メダン
の 近 郊 、べ ラ ワ ン で 10 社 が 立 地 し て い る 。今 回 の 調 査 で 、べ ラ ワ ン に 立 地 す る PT Warna
Nusa Sentana Shipyard に 訪 問 イ ン タ ビ ュ ー を 行 っ た 。同 社 に よ れ ば 、ベ ラ ワ ン の 造 船
所は同社が最大で、それ以外は中小の造船所がほとんどだという。
ス マ ト ラ 島 に 続 い て 造 船 所 が 多 い の は ジ ャ ワ 島 で 、77 社 が 立 地 し 、年 間 新 造 船 能 力 は
27 万 2,800GT、 年 間 修 繕 能 力 は 219 万 3,000GT と な っ て い る 。 そ の う ち 、 ジ ャ カ ル タ
に は 36 社 が 立 地 し て い る 。
地 域 別 造 船 所 の 立 地 状 況 は 表 32 の と お り で あ る 。 な お 、 同 資 料 は 上 述 の 工 業 省 に 登
録 さ れ て い る 造 船 所 数 と 同 様 、IPERINDO の 2006 年 ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト か ら 抜 粋 し た
も の で あ る 。 造 船 所 数 は 合 計 249 と な っ て い る が 、 こ の う ち 11 ヶ 所 は 政 府 系 の DKB
Shipyard に 属 す る も の で 、 企 業 数 と し て は 239 社 に な り 、 同 じ IPERINDO の 2006 年
ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト に 記 載 さ れ て い る 上 述 の 企 業 数 240 社 と 若 干 異 な る 。
表 32
地域
スマトラ島
インドネシアの地域別造船所立地状況
年 間 新 造 船 能 力 (GT)
116,600
82
15,000
1
445,500
10
30,000
4
2,976,000
32
5,000
2
132,000
8
3,500
20,000
7
10,000
152,600
15
600
8,000
3
16,000
Riau
Batam*
86,500
Padang
Jambi
Bangka
Palembang
Lampung
造船所数
3,784,100
Sabang
Belawan
年 間 修 繕 能 力 (GT)
- 42 -
ジャワ島
272,800
Cilegon
2,193,000
77
21,000
4
Jakarta
77,200
1,139,900
36
Cirebon
8,000
60,000
1
Cilacap
Tegal
1
1,000
40,000
10
16,600
187,000
6
166,000
730,100
16
4,000
15,000
3
198,100
56
Pontianak
30,000
5
Balikpapan
51,600
14
Samarinda
57,500
20
Banjarmasin
59,000
17
10,000
327,000
18
Bitung
2,000
148,000
8
Makasar
8,000
155,000
6
Kendari
24,000
4
マラク島
22,000
4
Ambon
22,000
4
イリアンジャヤ島
58,000
12
Sorong
31,000
5
Jayapura
27,000
7
6,582,200
249
Semarang
Surabaya
Banyuwangi
カリマンタン島
スラウェジ島
合計
399,400
註:Batam の数字には、ビンタン島に立地する 3 社、カリムン島に立地する1社が含まれる。
出 所 : IPERINDO2006 年 版 ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト よ り 作 成
4-2
造船所アンケート
今 回 、IPERINDO の 協 力 を 得 て IPERINDO に 所 属 す る 造 船 所 へ の ア ン ケ ー ト を 実 施
し た 。IPERINDO に 所 属 す る 造 船 所 46 社 中 、12 社 か ら 回 答 を 得 た 。回 答 企 業 の リ ス ト
は以下のとおりである。
- 43 -
表 33
アンケート回答企業リスト
会社名
所在地
PT. DAYA RADAR UTAMA
Jakarta
PT. DOK & PERKAPALAN KODJA BAHARI
Jakarta
PT. DOK DAN PERKAPALAN SURABAYA
Surabaya
PT. INDONESIA MARINA SHIPYARD
Jawa Timur
PT. INDUSTRI KAPAL INDONESIA (PERSEO) / IKI
Makassar
PT. INGGOM SHIPYARD
Jakarta
South
PT. INTAN SENGKUNYIT
Sumatera
PT. JASA MARINA INDAH
Jakarta
PT. NAGOPATMOLO
Banjarmasin
PT. PAL INDONESIA (PERSERO)
Surabaya
PT. PALMA PROGRESS SHIPYARD
Batam
PT. WARNA NUSA SENTANA
Medan
*前 述 の よ う に 、 PT Dok & Perkapalan Kodja Bahari は ジ ャ カ ル タ を 含 め 11
ヶ所に造船所を有する。ジャカルタは本社所在地でもある。
以下、アンケート結果の分析を概説する。
(1)
事業内容
回 答 企 業 の す べ て が 造 船 に 従 事 し 、10 社 が 修 繕 に 従 事 し て い る 。船 舶 素 材 タ イ プ で み
る と 、回 答 企 業 の す べ て が 鋼 製 船 舶 の 建 造 を 行 っ て お り 、ア ル ミ ニ ウ ム は 2 社 、FRP は
1 社 、木 造 は 2 社 で あ る 。ま た 機 器 の 修 理 に も 従 事 し て い る 企 業 は 8 社 あ っ た 。
「その他」
と 回 答 し た 3 社 は 、具 体 的 に は エ ン ジ ニ ア リ ン グ 、鋼 製 構 造 物 の 建 造 な ど を 行 っ て い る 。
表 34
区 分
(2)
アンケート回答企業の事業内容
鉄鋼
アルミニウム
FRP
木造
造船
12
12
2
1
2
修繕
10
10
3
1
2
機器修理
9
-
-
-
-
その他
3
-
-
-
-
資本金
インドネシアでは通常、資本金などの財務情報は公開していないが、4 社については
開 示 し て も ら っ た 。100 億 ル ピ ア 以 下 の 企 業 が 3 社 、1 兆 ル ピ ア 以 下 が 1 社 、10 兆 ル ピ
ア以下が 1 社となっている。
- 44 -
(3)
売り上げ
売 り 上 げ に つ い て も 通 常 、上 場 企 業 以 外 は 開 示 し て い な い が 、今 回 は 9 社 か ら 回 答 を
得 た 。 9 社 中 3 社 は 100 億 ル ピ ア 未 満 ( 約 110 万 米 ド ル ) 未 満 、 4 社 が 1,000 億 ル ピ ア
未 満 ( 約 1,100 万 米 ド ル ) 未 満 で 、 売 り 上 げ 規 模 は そ れ ほ ど 大 き く な い 造 船 所 が 多 い 。
ち な み 、1 兆 ル ピ ア 以 上 と 回 答 し た の は 、国 営 の PT Pal で 、2005 年 の 売 上 額 は 1 兆 626
億ルピアであった。
表 35
回答企業の売上高
100 億 ルピア未 満
3
1,000 億 ルピア未 満
4
1 兆 ルピア未 満
1
1 兆 ルピア以 上
1
無回答
1
合 計
(4)
10
企業体
回 答 企 業 10 社 は 全 て イ ン ド ネ シ ア 地 場 資 本 の 企 業 で あ る 。 政 府 系 か 民 間 か は ア ン ケ
ートの設問には加えていないが、調べたところ、次の 4 社は政府系であった。
PT Dok & Perkapalan Kodja Bahari
PT Dok Dan Perkapalan Surabaya
PT Industri Kapal Indonesia
PT Pal Indonesia
(5)
設立年
設 立 年 に つ い て は 8 社 か ら 回 答 が あ っ た 。1970 年 代 に 設 立 さ れ た と こ ろ が 最 も 多 く 4
社 、ほ か は 1910 年 代 、2000 年 代 が そ れ ぞ れ 1 社 ず つ 、1980 年 代 、 1990 年 代 が そ れ ぞ
れ 2 社ずつとなっている。
(6)
従業員数
従 業 員 数 に つ い て 聞 い た と こ ろ 、 政 府 系 造 船 所 の 直 接 雇 用 人 員 は 700 人 か ら 2000 人
以 上 と 大 規 模 で あ る が 、民 間 造 船 所 は 数 十 人 か ら 多 く て も 100 人 強 の と こ ろ が 多 く 、民
間 造 船 所 の 規 模 が 小 さ い こ と が わ か る 。 バ タ ム の PT Palma Progress 社 は 1200 人 と 民
間では規模が大きいが、これは下請けと合わせての人数で、直接雇用人数は非公開であ
っ た 。 二 大 造 船 所 の PT. Dok & Perkapalan Kodja Bahari と PT Pal は そ れ ぞ れ 技 術 ス
タ ッ フ だ け で 1000 人 以 上 抱 え て い る 。 回 答 企 業 の 従 業 員 数 一 覧 は 別 添 10 の と お り 。
(7)
下請けの利用
回 答 企 業 12 社 全 て が 下 請 け を 使 っ て い る 。 下 請 け に 出 す 業 務 を 複 数 回 答 で 聞 い た と
ころ、空調、塗装、鉄骨構造物を挙げた企業がそれぞれ 9 社で最も多くなっている。
- 45 -
表 36
(8)
下請けに出す業務(複数回答)
空調
9
塗装
9
設計
4
配管
8
機械加工
2
鉄骨構造物
9
その他
4
造船実績
過 去 3 年 間 の 主 な 造 船 実 績 を 聞 い た と こ ろ 9 社 か ら 回 答 が あ っ た 。 表 37 に 示 す よ う
に 、 PT PAL 以 外 は 小 型 船 の 建 造 が 多 い 。
表 37
造船所名
PT. DAYA RADAR
UTAMA
PT. Dok & Perkapalan
Kodja Bahari
アンケート回答企業の造船実績
顧客名
海運総局長室
海運総局長室
顧 客 タイプ
政府機関
政府機関
民間企業
国内企業
PT. Pelindo III,
Surabaya
Dir. Jend
PerHub. Darat
PEMDA
BENGKALIS
Prop. Riau
PT.PEL M EKAR
SEJATI
KHARISMA
Dir. Jend
PerHub. Darat
造船実績例
建造船舶数
建 造 船 舶 タイプ
貨 物 船 、旅 客 船
9
3
Ro-Ro 船
3
2x 550HP
政府機関
500GRT
350GRT
1000DWT
PT. INDUSTRI KAPAL
INDONESIA (PERSEO)
/ IKI
運輸省
政府機関
7
PT. INGGOM
SHIPYARD
非公表
政府機関
2
1
1
PT. JASA MARINA
INDAH
Misi, USA
外国民間企業
PT. RIG
PT. MBS
PT. MBSS
PT. KLI
PT. KSA
PERTAMINA
CUBE S.P.A
SIDER
NAVIGACAOLDA
MS STADT
SOLINGEN
GmbH & Co
MS EMBDENS
WEVAART
GmbH & Co
外国民間企業
PT. NAGOPATMOLO
PT. PAL INDONESIA
(PERSERO)
PT PALMA PROGRESS
PT WARUNA NUSA
SENTANA
タグボート
建造船舶規模
500 DWT
100-750 GRT
2 x 900 HP
2 x 1200 HP
フェリー
300GRT
旅客船
200, 300, 500 GRT
200, 750 DWT
タグボート 2x750 HP
パイロット船 2x160 HP
係 留 ボート 2x80 HP
209 GT
49 GT
19 GT
1
バージ
500 DWT
国内政府機関
外国民間企業
M000208
M000225
タグボート、バージ
タグボート、バージ
タグボート、バージ
バージ
タグボート、バージ
石 油 タンカー
貨物船
8000
8000
8000
2500
8000
30000 DWT
185000 DWT
外国民間企業
M000226
貨物船
185000 DWT
外国民間企業
M000236
コンテナ船
50000 DWT
外国民間企業
M000237
コンテナ船
50000 DWT
10
バージ
15000GT
国内海運会社
石炭採掘会社
国内海運会社
- 46 -
(9)
修繕実績
修 繕 実 績 に つ い て は 10 社 か ら 回 答 を 得 た 。 造 船 同 様 、 小 型 船 が 多 く な っ て い る 。
表 38
アンケート回答企業の修繕実績
修繕実績
造船所名
顧客名
顧客タイプ
修繕船舶数
修繕船舶タイプ
政府系企業
19
旅客船
港湾
政府機関
1
タグボート
海軍
政府機関
5
その他
政府機関
4
石油タンカー
政府系企業
1
旅客船
PT.DAYA RADAR
PELNI
UTAMA
プルタミナ
PUSRI
PT.Dok & Perkapalan
PT.RIG TENDERS
Kodia Bahari
PT.PELNI
2000-3000HP
8000DWT
一般貨物船
国内民間企業
政府系企業
旅客船
PT.JEMBATAN MADURA
国内民間企業
一般貨物船
PT.
外国民間企業
石油タンカー
PT.ABADI
外国民間企業
タグボート
2005:50205GT
一般貨物船、旅客船、
2006(-okt):84937
タグボート、バージ
GT
に浮体修理を 25 隻
PT.INDONESIA
2005 年に浮体修理
MARINA SHIPYARD
非公表
PT.INDUSTRI KAPAL
PT.ASDP
INDONESIA(PERSEO)/ PT.RUSIANTO
IKI
建造船舶規模
国内民間企業 を 17 隻、2006 年
その他
90
旅客船
300-600GRT
国内民間企業
10
バージ
300-400GRT
BERSAUDARA
PT.TONASA LINES
その他
2
タグボート
BAHARI NUSANTARA
国内民間企業
10
石油タンカー
PI.INGGOM
非公表
国内民間企業
90
クルーボート
SHIPYARD
非公表
国内民間企業
50
タグボート、バージ
非公表
国内民間企業
14
タグボート、LCT、MV
非公表
国内民間企業
7
タグボート、バージ
バージ
非公表
国内民間企業
5
PT.INTAN
PT.ADIQUATRO
国内民間企業
1
バージ
SENGKUNYIT
PT.SALAMBAHAGIA
国内民間企業
4
石油タンカー、一般貨物船
MASINDO MARINE PTE.LTD
外国民間企業
2
バージ
PT.KARYATAMASRIWIJAYA
国内民間企業
2
バージ、タグボート
300GRT
500-1000DWT
PT.BUMI CEUDAUA
国内民間企業
3
バージ、旅客船
PT.JASA MARINA
PT.SPIL
国内民間企業
13/year
コンテナ船
4350DWT
INDAH
PT.DLU
国内民間企業
4/year
コンテナ船
5700DWT
PT.KLI
国内民間企業
4/year
一般貨物船
4500DWT
PT.GLS
国内民間企業
7/year
一般貨物船
4500DWT
PT.RIO TENDERS
外国民間企業
PT.NAGOPA TMOLO
PT.PAL INDONESIA
ダクボート、バージ
8000
PT.MBS
タグボート、バージ
8000
PT.MBSS
タグボート、バージ
8000
PT.KLI
バージ
2500
PT.KSA
タグボート
8000
海軍
政府機関
インドネシアの軍艦
(PERSERO)
その他
外国民間企業
石油タンカー、一般
貨物船、コンテナ船、
旅客船、タグボート、
漁船
PT.WARUNA NUSA
非公表
国内海運会社
SENTANA
非公表
政府系企業
コンテナ船、
非公表
政府系企業
タグボート、バージ
- 47 -
150
オイルタンカー、バージ
(10)
外国顧客の有無
12 社 中 半 数 以 上 の 8 社 が 外 国 顧 客 向 け の 仕 事 を し た こ と が あ る と 答 え て い る 。
(11)
外国市場
主な外国市場を挙げてもらったところ、オーストラリア、中国、ドイツ、インド、イ
タリア、韓国、マレーシア、マルタ、オランダ、ポルトガル、シンガポール、台湾が挙
がった。
(12)
機器や資材の調達先
機器や資材の調達先、ブランド名を聞いたところ、電気設備、コンピューター、救済
防火設備、内装、アルミニウム、鉄鋼ではインドネシア国内調達を挙げる企業もあった
が、エンジン、推進装置、レーダー、減速装置、発電機では日本製を上げる企業が多か
った。航海機器や救済防火設備では中国製という声も上がっている。
表 39
アンケート回答企業の機器・資材調達先
機器・資材
エンジン
国
ブランド・メーカー
イ ン ド 、日 本 、ド イ ツ 、 Yanmar, Mitsubishi, WARTSILA
FINLAND OY, HRP Asia, Niigata,
韓国
Caterpilar, CAT, MAN B&W,
MAK-Caterpillar, STX
推進装置
日本
-
レーダー
日本
Furuno, JRC
減速装置
シンガポール、日本
HRP
発電機
英国、日本、ドイツ
Taiyo, Stanford, Yanmar, Caterpillar
その他補機
インドネシア、日本
PT. TEKNIK TADAKARA, Orient Marine,
SIEMENS, TTS
インドネシア、日本、
Legrend, Mitsubishi, Taiyo, Sanshin,
ドイツ
Thor
コンピューター
インドネシア、日本
Vascom Computer
航海計器
中国、日本、欧州
Furuno, Orient Marine
救命・防火設備
中 国 、日 本 、イ ン ド ネ
PT. HASTA INSAN, PT. GADING MAS
シア
SAKTI, Surya Segara, PT. Adi Jaya
電気設備
Kusuma
内装
インドネシア、日本
CV. Gagas Laras Cipte
アルミニウム
インドネシア、日本
Komatsu, Seaplus/Korea
鉄鋼
イ ン ド ネ シ ア 、シ ン ガ
HG Metal Manufacturing, PT.KS, PT.
ポール、韓国
GDS, Krakatau Steel, SDS, KS, Krakatau
Steel, Gunawan Dian Jaya Steel, Three
house prima, Well Steel
- 48 -
(13)
今後の市場
今後有望と思われる市場について、複数回答で挙げてもらったところ、国内市場を挙
げ た と こ ろ が 11 社 、 輸 出 市 場 を 挙 げ た と こ ろ が 9 社 と な り 、 国 内 市 場 と 輸 出 市 場 両 方
への期待が高いことがわかる。また、輸出市場を具体的に挙げてもらったところ、アセ
ア ン を 挙 げ た 会 社 は 12 社 中 10 社 と な り 、近 隣 諸 国 へ の 期 待 が 大 き い 。他 に は 、欧 州 を
挙げた企業が4社、北米 1 社となっている。
(14)
有望な分野
市 場 と し て 伸 ば し て い き た い 船 舶 タ イ プ を 聞 い た と こ ろ 、 造 船 で は タ グ ボ ー ト が 10
社、石油タンカー、旅客船がそれぞれ9社でとなった。修繕ではタグボート、バージが
それぞれ 8 社で最も多くなっている。
表 40
アンケート回答企業の今後ビジネスを伸ばしたい船舶タイプ
区 分
造 船
修 繕
石 油 タンカー
9
7
ケミカルタンカー
3
3
一般貨物船
8
7
コンテナ船
8
7
旅客船
5
4
タグボート
10
8
漁 船
7
5
レジャーボート
2
1
バージ
8
8
その他
2
3
5
船舶需要
5-1
貨物量予測
BMI リ サ ー チ の 試 算 に よ る と 、イ ン ド ネ シ ア の 国 内 輸 送 及 び 国 際 輸 送 に 占 め る 内 航 海
運 の 割 合 は 2006 年 現 在 12.4% 、外 航 海 運 の 割 合 は 23% と な っ て い る 。陸 運 が 国 内 輸 送
及 び 国 際 輸 送 合 計 の 46% を 占 め て い る 。 17,000 以 上 の 島 か ら 成 る イ ン ド ネ シ ア で 陸 運
の割合がこれだけ多いのは、工業化がジャワ島など一部の国土に集中しているためと考
え ら れ る 。 こ の 傾 向 は こ こ 数 年 で 大 き く 変 化 す る も の で は な い が 、 内 航 海 運 量 の 2006
年 か ら 2011 年 は 43% 上 昇 、 年 平 均 伸 び 率 に し て 6.16% と な り 、 外 航 海 運 は 同 38% 、
年 平 均 伸 び 率 に し て 6.26% と 陸 運 や 鉄 道 よ り 高 い 伸 び が 見 込 ま れ て い る 。
- 49 -
表 41
インドネシアのモード別貨物輸送量(国内輸送及び国際輸送)の推移
単位:百万トン・キロ、%
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
CAGR
06-11*
運
20,034
21,056
22,353
23,632
25,244
26,882
28,715
30,642
32,687
5.56%
前 年 比 (%)
4.7%
5.1%
6.2%
5.7%
6.8%
6.5%
6.8%
6.7%
6.7%
シ ェ ア (%)
47%
47%
47%
46%
46%
46%
46%
45%
45%
道
4,281
4,325
4,446
4,561
4,731
5,066
5,433
5,841
6,267
前 年 比 (%)
-2.4%
1.0%
2.8%
2.6%
3.7%
7.1%
7.4%
7.3%
7.3%
区
分
陸
鉄
シ ェ ア (%)
10%
10%
9%
9%
9%
9%
9%
9%
9%
内航海運
4,809
5,201
5,784
6,325
6,835
7,319
7,863
8,439
9,053
前 年 比 (%)
7.1%
8.2%
11.2%
9.4%
8.1%
7.1%
7.4%
7.3%
7.3%
シ ェ ア (%)
11.3%
11.6%
12.1%
12.4%
12.5%
12%
12%
12%
13%
外航海運
9,739
10,484
11,188
11,945
12,907
13,897
14,931
16,024
17,191
前 年 比 (%)
6.6%
7.7%
6.7%
6.8%
8.1%
7.7%
7.4%
7.3%
7.3%
シ ェ ア (%)
23%
23%
23%
23%
24%
24%
24%
24%
24%
運
1,634
1,759
1,897
2,075
2,396
2,792
3,138
3,425
3,737
前 年 比 (%)
2.4%
7.7%
7.8%
9.4%
15.5%
16.5%
12.4%
9.1%
9.1%
シ ェ ア (%)
3.85%
3.92%
3.96%
4.07%
4.38%
5.11%
5%
5%
5%
パイプライン
2,003
2,106
2,247
2,387
2,580
2,793
3,001
3,220
3,455
前 年 比 (%)
4.7%
5.1%
6.7%
6.2%
8.1%
8.3%
7.4%
7.3%
7.3%
空
シ ェ ア (%)
4.7%
4.7%
4.7%
4.7%
4.7%
5%
5%
5%
5%
計
42,501
44,931
47,915
50,925
54,693
58,749
63,092
67,592
72,389
前 年 比 (%)
4.5%
5.7%
6.6%
6.3%
7.4%
7.4%
7.4%
7.1%
7.1%
総
註 : CAGR06-11
5.44%
6.16%
6.26%
10.3%
6.36%
6.04%
2006-2011 年 6 年 間 年 平 均 成 長 率
出 所 : BMI リ サ ー チ 、 2006 年 第 4 四 半 期 版
5-2
海運需要が見込まれる貨物
今後海運需要が見込まれる貨物としては、石炭、石油、化学品などの分野が挙げられ
る。
(1)
石炭
インドネシアは深刻な電力不足で停電が頻繁におこり、これが製造業などの投資活性
化 の 足 か せ と も な っ て い る 。 さ ら に 国 営 電 力 会 社 PLN が 運 営 す る 発 電 所 の 多 く は 老 朽
化 し て い る 。 そ の た め 、 PLN で は 24 ヶ 所 の 石 炭 火 力 発 電 所 を 建 設 す る 計 画 で 、 総 発 電
能 力 8,500MW が 見 込 ま れ 、 2009 年 ま で に 完 成 さ せ る 予 定 で あ る 。 48
さ ら に 、 民 間 投 資 に よ る 総 発 電 力 1 万 MW の 石 炭 発 電 所 建 設 プ ロ ジ ェ ク ト も 始 動 し 、
2006 年 10 月 か ら 入 札 が 開 始 さ れ た 。11 月 に は 双 日 が 参 加 す る 企 業 連 合 が 南 ス マ ト ラ 州
の ム シ ラ マ ス 石 炭 火 力 発 電 所 ( 1200MW) の 電 力 売 買 契 約 を 結 ん だ 。 推 定 投 資 額 は 15
億 ド ル で 、 同 企 業 連 合 が 炭 鉱 開 発 か ら 発 電 所 の 建 設 ・ 操 業 を 担 う 。 49
48
49
DBS Vickers 証 券 2006 年 6 月 2 日 。
時 事 通 信 2006 年 11 月 2 日
- 50 -
10,000MW 分 の 発 電 に は 年 間 3000 万 ト ン の 石 炭 が 必 要 に な る と み ら れ て い る 50 。
INSA で は 、 現 在 の 商 船 隊 の ま ま で は 十 分 な 船 の 手 当 て は 困 難 で 、 電 力 セ ク タ ー 振 興 に
障 害 が で る と の 見 解 を 示 し て い る 。長 期 的 に は ハ ン デ ィ マ ッ ク ス 船 35 隻 、SEA TRAIN
SHIP 55 隻 が 必 要 に な り 、 そ の 調 達 に は 12 億 5000 万 米 ド ル を 要 し 、 短 期 的 に は 2007
年 ま で に 18 隻 の ハ ン デ ィ サ イ ズ 船 が 必 要 に な る と し て い る 。 51
な お 、 2006 年 2 月 14 日 の DBS Vickers 証 券 の レ ポ ー ト に よ る と 、 イ ン ド ネ シ ア に
お け る 石 炭 輸 送 大 手 は シ ン ガ ポ ー ル 系 の Sembawang Kimtrans や Labroy で あ る が 、
カ ボ タ ー ジ ュ 規 制 の 強 化 に よ り 、 国 内 海 運 会 社 で 石 炭 輸 送 強 い Arpeni Pratama Ocean
Line 社 な ど が 有 利 に な る と 見 て い る 。
(2)
石油
国 営 石 油 会 社 の プ ル タ ミ ナ で は 石 油 や ガ ス の 輸 送 に 154 の 船 舶 を 使 用 し て い る が 、そ
の う ち 所 有 し て い る の は 36 隻 の み で あ る 。 そ の た め 同 社 は 年 間 4 億 米 ド ル 程 度 を 船 舶
チャーター費用に投じているが、インドネシアの国内海運企業向けに発注されていたの
は そ の 25% 程 度 で あ る 52 。カ ボ タ ー ジ ュ 規 制 の 強 化 に よ り 、プ ル タ ミ ナ の 用 船 契 約 が イ
ンドネシア国内の海運会社に振り向けられると考えられ、石油タンカーやガスキャリア
への需要も見込める。
ま た 、2006 年 9 月 に 同 社 に イ ン タ ビ ュ ー を 行 っ た と こ ろ 、用 船 料 が 高 い た め 、自 社 所
有 の 船 舶 を 増 や し た い 意 向 を 持 っ て い る 。実 際 、2007 年 2 月 に は 国 営 造 船 所 2 社 に タ ン
カー3 隻を発注、さらに 5 隻の液化石油ガス輸送用タンカーを調達する計画を明らかに
し た 。 液 化 石 油 ガ ス 輸 送 用 タ ン カ ー は 外 国 に 発 注 す る 計 画 で あ る 53 。
(3)
化学品
前 述 の よ う に 2007 年 1 月 よ り MARPOL 条 約 準 拠 の 船 舶 を 化 学 品 輸 送 に 使 う こ と が
義務付けられている。インドネシアではパーム粗油の生産が伸び、輸出量が世界トップ
の マ レ ー シ ア に 迫 る 勢 い で 、パ ー ム 粗 油 輸 送 用 で MARPOL 条 約 準 拠 の 船 舶 の 需 要 が 伸
びることが予想される。またバイオ燃料への関心が高まり、インドネシアでもバイオ燃
料プラントへの投資が始動しているが、こうしたプラント向けの材料輸送のニーズも高
まるものと思われる。
(4)
INSA 予 測 に よ る 船 舶 需 要
こうしたことから、石炭、パーム粗油、原油の内航海運需要を満たすために、インド
ネ シ ア 船 主 協 会 ( INSA) は 政 府 と 造 船 迅 速 化 チ ー ム を 結 成 し た 。 同 チ ー ム に は 政 府 機
関 か ら は 工 業 省 、化 学 技 術 応 用 研 究 庁 、運 輸 省 、中 央 銀 行 、国 営 出 力 PLN、民 間 か ら は
INSA な ど の 海 運 業 界 団 体 と 石 炭 鉱 業 協 会 が 参 加 。 造 船 は 国 内 の 造 船 所 に 委 託 す る こ と
50
51
52
53
時 事 通 信 2007 年 2 月 8 日
Asia Pulse2006 年 10 月 4 日
DBS Vickers 証 券 2006 年 6 月 2 日
時 事 通 信 2007 年 2 月 8 日
- 51 -
に な っ て い る 。54
2006 年 9 月 に INSA か ら 入 手 し た 資 料 に よ れ ば 、イ ン ド ネ シ ア の 今
後 10 年 間 の 船 舶 需 要 は 2,553 隻 ~ 3,976 隻 と 見 込 ま れ 、そ の 内 訳 は 次 の と お り と な っ て
いる。
表 42
今後 10 年間のインドネシアにおける船舶需要
No.
種別
重量
隻数
1
一 般 貨 物 (国 内 )
3,500 - 5,000 DWT
1,200 - 1,700
2
一 般 貨 物 (海 外 )
10,000 - 15,000 DWT
10 - 20
3
石 炭 キャリア(海 外 )
60,000 - 70,000 DWT
18 - 20
4
バージ
5,000 - 8,000 DWT
400 - 800
5
タグボート
2,400 HP
500 - 1,000
6
多 目 的 一 般 貨 物 船 (海 外 )
6,500 DWT
10 - 20
7
パームオイル運 搬 船 (国 内 )
3,000 - 5,000 DWT
250
8
原 油 運 搬 船 (国 内 )
35,000 DWT
30
9
原 油 運 搬 船 (VLCC)(海 外 )
300,000 DWT
5 - 6
10
Clean Oil Carrier
3,500 DWT
72
11
Clean Oil Carrier
6,500 DWT
36
12
Clean Oil Carrier
17,500 DWT
12
13
Clean Oil Carrier
35,000 DWT
6
14
Clean Oil Carrier
85,000 DWT
4
-
2,553 - 3,976
合 計
出 所 : INSA
(5)
問題点
一方、カボタージュ制度の強化により国内商船隊を増強するには課題もある。1 つは
船 舶 購 入 の 資 金 調 達 で あ る 。バ タ ム 島 の PT Palma Progress Shipyard に 訪 問 し た 際 も 、
船舶資金調達の問題を指摘していた。同社によると、インドネシアの銀行は船舶ファイ
ナンスの経験が乏しく、
「 船 舶 の よ う に 移 動 し て い る も の 」を 担 保 に 融 資 す る こ と に 消 極
的なことが多く、同社の顧客も資金調達に苦労しているという。この問題を解消するた
め 、大 統 領 指 令 第 5 号 で は 海 運 産 業 開 発 向 け 資 金 提 供 者 と な る ノ ン バ ン ク 金 融 機 関 の 開
発や、海運業界振興のために国内銀行がより積極的な役割を担うことを挙げている。運
輸 省 は 、カ ボ タ ー ジ ュ の 実 現 に 向 け た 内 外 銀 行 の 融 資 は 活 発 化 し て お り 、2005 年 7 月 に
インドネシアが海上先取特権および船舶抵当権に関わる国際条約を批准して以来、国営
銀 行 に よ る 新 規・中 古 船 舶 の 調 達 融 資 は 1 兆 7,000 億 ル ピ ア に 達 し た と 発 表 し て い る 55 。
ま た INSA の ウ ン ト ロ 会 長 は 2006 年 5 月 、 国 内 船 舶 会 社 を 対 象 に 融 資 す る フ ァ イ ナ ン
ス 機 関 の 設 立 計 画 が あ る こ と を 明 ら か に し た 56 。 徐 々 に で は あ る が 、 資 金 調 達 の 問 題 に
2006 年 9 月 27 日
時 事 通 信 2006 年 2 月 20 日
時 事 通 信 2006 年 5 月 4 日
54時 事 通 信
55
56
- 52 -
も 取 り 組 ん で い る よ う で あ る 。し か し イ ン ド ネ シ ア の 国 内 金 利 は 2006 年 現 在 年 利 10%
前後と高いので、これも船舶購入資金調達においては阻害要因となっている。
ま た 、INSA の ウ ン ト ロ 会 長 は 、2006 年 9 月 に カ ボ タ ー ジ ュ 強 化 の 大 統 領 指 令 を 発 令
したあと1年たってもインドネシアの商船隊が増強されないのは、政府省庁間の連携が
悪いせいだと不満のコメントを発している。内航海運強化にあたっては、政府省庁間、
業界団体の密接な連携プレーが必要となろう。
5-3
日本からの輸出可能性
海運会社へのアンケートでは、資金力のある大手を中心に実施したが前述のアンケー
ト分析のとおり、旺盛な購買意欲が感じられた。内航のみならず、外航船の分野でもプ
ルタミナの船舶入札など、今後も活発な船舶需要が見込まれる。しかし、アンケートに
回答したのは一部の大手企業のみであり、それ以外の大方の中小船主については、船舶
を購入したくても資金調達の問題が立ちはだかっている。日本の造船所がインドネシア
への輸出を考える場合、資金的な問題からどうしても一部の大手海運会社に焦点を絞る
ことになろうが、その際にはインドネシア国内の造船所も含め、厳しい国際競争にさら
される。需要増が見込まれているのは石炭輸送船やオイルタンカーなど、必ずしも日本
の技術でなくても建造できるものが多い。日本が強みを発揮できるのは一部の限られた
市場になる可能性もあることを留意すべきである。
- 53 -
白
- 54 -
別
添
資
- 55 -
料
白
- 56 -
別添1
PT Arpeni Pratama Ocean Line 所有船舶リスト
No. Name of Vessel
General Cargo Vessels
1 MV Alas
2 MV Gayatri
3 MV Hanjani
4 MV Dewi Laksmi
5 MV Dewi Parwati
Type of Vessle
General
General
General
General
General
Bulk Coal Vessels
6 MV Saraswati
7 MV Dewi Umayi
8 MV Urmila
9 MV Banowati
10 MV Citrawati
11 MV Indrani
12 MV Suryawati
Bulk
Bulk
Bulk
Bulk
Bulk
Bulk
Bulk
Year built
Cargo
Cargo
Cargo
Cargo
Cargo
Carrier
Carrier
Carrier
Carrier
Carrier
Carrier
Carrier
Vessels for Liquid Services
13 MT Duragandini
Oil Tanker
14 MT Srikandi
Product Tanker
15 MT Shinta
Product Tanker
16 MT Gas Jaya
LPG Carrier
17 MT Aditi
Product Tanker
Tugboats
18 TB Suralaya
Tug
19 TB Tarahan Jaya
Tug
20 TB Kertapati
Tug
21 TB Benoa
Tug
22 TB Buana Satu
Tug
23 TB Tuban
Tug
24 TB Lotus 669
Tug
25 TB Adangbay
Tug
26 TB Muara Pantai
Tug
27 TB Cigading
Tug
28 TB Buana Sukses Tug
29 TB Tanjung Jati
Tug
30 TB Cilegon
Tug
31 TB Paiton
Tug
32 TB Tubansan Indah Tug
Barges
33 BG
34 BG
35 BG
36 BG
37 BG
38 BG
39 BG
40 BG
41 BG
42 BG
43 BG
44 BG
45 BG
46 BG
47 BG
48 BG
49 BG
50 BG
51 BG
APOL 3001
APOL 2702
APOL 3002
APOL 3003
APOL 3005
APOL 3006
APOL 3007
APOL 3008
APOL 3009
Buana 3001
Buana 3002
APOL 3010
APOL 3012
APOL 3011
APOL 3015
APOL 3018
APOL 3019
APOL 3016
APOL 3017
Floating Cranes
52 FC Lotus Satu
53 FC Lotus Dua
54 FC Lotus 328
55 FC Lotus 118
56 FC Lotus 668
57 FC Tekko
Boat
Boat
Boat
Boat
Boat
Boat
Boat
Boat
Boat
Boat
Boat
Boat
Boat
Boat
Boat
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Barge
Floating
Floating
Floating
Floating
Floating
Floating
Cranes
Cranes
Cranes
Cranes
Cranes
Cranes
Crew Boat
58 MV Ayu Wulandari Crew Boat
Size
No.
1985
1985
1985
2001
2002
14.4
7,775
7,774
7,760
8,930
8,930
41,169
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
1986
1981
1984
1983
1990
1986
1996
19.4
27,547
61,190
62,635
63,638
69,332
69,611
69,124
423,077
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
1992
1997
1998
1998
1990
11.0
35,831
3,582
3,580
3,003
29,998
75,994
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
1997
1992
2002
2005
2005
2005
1972
2005
2005
2006
2006
2006
2006
2006
1983
5.6
2,400
1,600
2,400
2,400
2,826
2,826
1,900
2,400
2,400
2,400
2,400
2,400
2,400
2,400
3,400
36,552
HP
HP
HP
HP
HP
HP
HP
HP
HP
HP
HP
HP
HP
HP
HP
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
2000
2001
2001
2004
2005
2005
2005
2005
2005
2005
2005
2006
2006
2006
2006
2006
2006
2006
2006
1.3
8,000
5,500
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
149,500
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
DWT
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
1985
1985
1989
1988
1997
1971
20.2
10,000
10,000
15,000
15,000
30,000
11,000
80,000
1976
Total DWT 689,740
Total HP
37,632
- 57 -
MT/day
MT/day
MT/day
MT/day
MT/day
MT/day
1,080 HP
1
2
3
4
5
2nd
2nd
2nd
2nd
2nd
2nd
2nd
hand
hand
hand
hand
hand
hand
hand
1
2
3
4
5
6
7
1
2
3
4
5
2nd
2nd
2nd
2nd
2nd
2nd
hand
hand
hand
hand
hand
hand
1
2
3
4
5
6
1
別添 2 Berlian Laju Tanker 所有船舶リスト
NO.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
OWNED
Gagarmayang
Anjasmoro
Hartati
Harsandai
Indradi
Nolowati
Nogogini
Wulansari
Ratih
Rasawulan
Yanaseni
Gerbera
Fatmarini
Frabandari
Freesia
Celosia
Erowati
Jembawati
Ulupi
Dragonaria
Tirtasari
Bauhinia
Kunti
Rengganis
Larasati
Mustokoweni
Setyawati
Cendanawati
Dewi Madrim
Eustoma
Trijata
Tribuana
Barunawati
badraini
Barawati
Bandondari
Pergiwo
Pergiwati
Pradapa
Gandari
Gandini
Ontari
Dewayani
Dewi Sri
Gas Sumatera
Gas Jawa
Gas Indonesia
Gas Kalimantan
BUILT
2004
1996
2004
2005
1993
1998
1996
1992
1996
1996
1992
2004
2004
2004
2003
1997
1999
1999
1999
1998
1997
1997
1992
1993
1991
1991
1994
1997
1987
1994
1991
1989
1992
1991
1990
1983
1993
1993
1993
1999
1998
1993
1999
1999
1989
1989
1990
1996
DWT
40,000
32,000
14,200
14,200
13,944
11,636
11,600
11,055
10,300
10,300
9,202
8,700
8,500
8,500
8,500
7,477
6,688
6,688
6,688
6,555
5,878
5,851
3,984
3,667
3,665
3,199
3,159
3,159
1,376
5,000
147,275
147,500
107,000
107,000
101,000
89,000
36,403
36,000
36,000
30,482
30,482
18,520
3,557
3,557
3,512 CBM
3,599 CBM
3,518 CBM
3,518 CBM
TYPE
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Crude Oil Tanker
Crude Oil Tanker
Crude Oil Tanker
Crude Oil Tanker
Crude Oil Tanker
Crude Oil Tanker
Crude Oil Tanker
Crude Oil Tanker
Crude Oil Tanker
Oil Product Tanker
Oil Product Tanker
Oil Product Tanker
Oil Product Tanker
Oil Product Tanker
Gas Tanker
Gas Tanker
Gas Tanker
Gas Tanker
NO.
49
50
CH ARTERED
MT Bestari
MT Bidadari
BUILT
2003
2003
DWT
6,500
6,500
TYPE
Chemical Tanker
Chemical Tanker
NO.
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
MT
DWT
5,000 CBM
19,900
19,900
19,900
19,900
19,900
5,000 CBM
5,000 CBM
5,000 CBM
155,000 CBM
155,000 CBM
TYPE
Gas Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Chemical Tanker
Gas Tanker
Gas Tanker
Gas Tanker
LNG Tanker
LNG Tanker
CONTRACTED
Gas Maluku
Pujawati
Pertiwi
Prita Dewi
Purwati
Puspawati
Gas Sulawesi
Gas Papua
Gas Bali
LNG 1
LNG 2
BUILT
1996
2006
2006
2006
2007
2008
2006
2007
2007
2008
2008
- 58 -
Berlian
NEW BUILDING SCHEDULE
Revised: 31 August 2006
Berlian Laju
Tanker
新造船計画
2006 年 8 月 31 日 現 在
発注先造船所
船舶名
船 舶 タイプ
GAS SULAWESI
LPG 5000cbm
27-Oct-2006
GAS PAPUA
LPG 5000 cbm
1-Feb-2007
GAS BALI
LPG 5000 cbm
May - June 2007
USUKI
MT.PERTIWI
Chemical/19,000 dwt
28-Jun-2006
SHIPYARD
MT.PUJAWATI
Chemical/19,000 dwt
29-Sep-2006
MT.PRITA DEWI
Chemical/19,000 dwt
26-Jul-2006
MT.PURWATI
Chemical/19,000 dwt
End of Feb 2007
MT.PUSPAWATI
Chemical/19,000 dwt
9-Jan-2006
MT.PRAMONI
Chemical/19,000 dwt
End of May 2008
MT.PRAMESTI
Chemical/19,000 dwt
Apr-2009
MT.PURBASARI
Chemical/19,000 dwt
End of Jan 2009
MT.GAS LOMBOK
Ethylene 9000 M3
June - July 2008
MT.GAS SUMBAWA
Ethylene 9000 M3
July - August 2008
HYUNDAI HEAVY
MT.LNG-1
LNG Carrier 155,000 M3
15-Nov-2008
INDUSTRIES
MT.LNG-2
LNG Carrier 155,000 M3
15-Mar-2009
SHITANOE
SHIPYARD
SHINKURUSHIMA
SHIPYARD
FUKUOKA
SHIPYARD
STX SHIP YARD
- 59 -
納入時期
別添 3 Humpuss Intermoda Transportasi 所有及び運営船舶リスト
No.
Name Of
Vessel
Owner of Vessel
- 60 -
Cometco Shipping
Inc
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi Tbk
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi Tbk
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi Tbk
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi Tbk
Heritage Maritime
Ltd S.A
Genuine Maritime
Ltd S.A
Humpuss Sea
Transport Pte .Ltd
Anadain Company
Inc
1
Ekaputra
2
Eka Samudra
3
Dwi Samudra
4
Tri Samudra
5
Catur Samudra
6
Panca Samudra
7
Sad Samudra
8
Sapta Samudra
9
Asta Samudra
10
Nawa Samudra
First Topaz Inc
11
Dasa Samudra
12
Griya Asmat
13
Griya Bali
14
Griya Dayak
15
Semar Satu
16
Box Satu
17
Semar Dua
Lucky Vision
Management Corp
New Century
Maritime Inc
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi Kimia
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi Kimia
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi Curah
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi Curah
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi Curah
Type Of
Vessel
Size
Year
Built
Place of
Building
Present
Employment
End of
Chater Period
LNG
136,400
CM
1990
Japan
20 Years
January 2010
Methanol
3,336
DWT
1982
Japan
Methanol
Trader
January 2010
Methanol
2,386
DWT
1977
Japan
Methanol
Trader
Methanol
2,153
DWT
1977
Japan
Methanol
Trader
Methanol
5,500
DWT
1994
Malaysia
Methanol
Trader
Oil
Tanker
Oil
Tanker
Oil
Tanker
Oil
Tanker
Oil
Tanker
Oil
Tanker
Oil
Tanker
37,087
DWT
37,087
DWT
6,864
DWT
17,500
DWT
3,565
DWT
3,565
DWT
18,144
DWT
1993
Japan
1993
Japan
12 years +
1 year option
12 years +
1 year option
1994
Singapore
12 years
August 2006
1994
Singapore
12 years
1997
Korea
10 years
1998
Korea
10 years
December
2006
December
2007
November
2008
1998
China
10 years
March 2009
Chemical
Tanker
3,670
DWT
1991
Japan
Chemical
Trader
Chemical
Tanker
1,329
DWT
1989
Japan
Chemical
Trader
Tug Boat
229 GT
2004
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Barge
2,013 GT
2004
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Tug Boat
227 GT
2003
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
June 2006
October 2006
No.
Name Of
Vessel
- 61 -
18
Box Dua
19
Semar Tiga
20
Box Tiga
21
Semar Empat
22
Box Empat
23
Semar Lima
24
Box Lima
25
Semar Enam
26
Box Enam
27
Semat Tujuh
28
Semar Delapan
29
Box Delapan
30
Semar Sembilan
31
Box Sembilan
32
Semar Sepuluh
Owner of Vessel
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Type Of
Vessel
Size
Year
Built
Place of
Building
Present
Employment
Barge
3,100 GT
1993
Singapore
Bulk Cargo
Trader
Tug Boat
167 GT
2003
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Barge
2,129 GT
1997
China
Bulk Cargo
Trader
Tug Boat
167 GT
2004
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Barge
2,013 GT
2005
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Tug Boat
119 GT
2002
Malaysia
Bulk Cargo
Trader
Barge
1,351 GT
2004
China
Bulk Cargo
Trader
Tug Boat
231 GT
2005
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Barge
2,013 GT
2005
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Tug Boat
230 GT
2004
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Tug Boat
231 GT
2005
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Barge
3,139 GT
2001
China
Bulk Cargo
Trader
Tug Boat
231 GT
2005
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Barge
2,995 GT
2001
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Tug Boat
231 GT
2005
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
End of
Chater Period
- 62 -
No.
Name Of
Vessel
33
Box Sepuluh
34
Semar Sebelas
35
Box Sebelas
36
Semar Dua
Belas
37
Box Dua Belas
38
Box Empat
Belas
39
Box Lima Belas
40
Semar Enam
Belas
41
Box Enam Belas
42
Semar Tujuh
Belas
43
Box Tujuh Belas
Owner of Vessel
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Curah
Type Of
Vessel
Size
Year
Built
Place of
Building
Present
Employment
Barge
3,139 GT
2001
China
Bulk Cargo
Trader
Tug Boat
231 GT
2005
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Barge
2,118 GT
2002
Malaysia
Bulk Cargo
Trader
Tug Boat
231 GT
2005
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Barge
3,028 GT
1996
Singapore
Bulk Cargo
Trader
Barge
3,009 GT
2005
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Barge
2,013 GT
2005
Indonesia
Bulk Cargo
Trader
Tug Boat
164 GT
2005
Malaysia
Bulk Cargo
Trader
Barge
2,087 GT
2005
China
Bulk Cargo
Trader
Tug Boat
234 GT
2005
Malaysia
Bulk Cargo
Trader
Barge
3,137 GT
2005
China
Bulk Cargo
Trader
End of
Chater Period
別添 4 PT Pelayaran Tempuran Emas Tbk 所有船舶リスト
Name of the ship
Type
DWT
MV. Kanal Mas
Container
958 TEUS
Germany
MV. Hilir Mas
Container
504 TEUS
Germany
MV. Gulf Mas
Container
623 TEUS
Germany
MV. Umbul Mas
Container
504 TEUS
Germany
MV. Selat Mas
Container
486 TEUS
Japan
MV. Warih Mas
Container
294 TEUS
Germany
MV. Kisik Mas
Container
623 TEUS
Germany
MV. Telaga Mas
Container
252 TEUS
Holland
MV. Curug Mas
Container
352 TEUS
Germany
MV. Tasik Mas
Container
223 TEUS
Germany
MV. Kuala Mas
Container
226 TEUS
Japan
MV. Muara Mas
Container
214 TEUS
Japan
MV. Pasir Mas
Container
219 TEUS
Germany
MV. Danu Mas
Container
268 TEUS
Japan
MV. Guhi Mas
Container
191 TEUS
Spain
MV. Mahar Mas
Container
424 TEUS
Germany
MV. Ayer Mas
Container
326 TEUS
Japan
MV. Belik Mas
Container
443 TEUS
Taiwan
MV. Palung Mas
Container
430 TEUS
Japan
MV Supitan Mas
Container
428 TEUS
Germany
MV. Cahya Mas
Container
650 TEUS
Japan
MV. Strait Mas
Container
1,173 TEUS
Germany
MV. River Mas
Container
1,173 TEUS
Germany
MV. Kedung Mas
Container
481 TEUS
Germany
- 63 -
Country constructed
別添 5 Pertamina Shipping 所有船舶リスト
- 64 -
Name
Year of Built
BALONGAN
2004
CENDRAWASIH - P.3005
1977
FASTRON
2004
GEBANG - P.8002
1986
GEUDONDONG - P.8001
1985
KARMILA - P.58
1992
KATOMAS
1999
KETALING
1998
KLASOGUN
1999
KLAWOTONG
1999
KRASAK
1999
KUANG
1998
KURAU - P.59
1992
MANGUN JAYA - P.33
1987
MELAHIN - P.36
1985
MENGGALA - P.34
1985
MERBAU - P.37
1985
MINAS - P.35
1985
MUNDU
2005
PALU SIPAT - P.1025
2000
PALUH TABUHAN/P.1019
1979
PANDAN
2000
PEGADEN - P.1924
1988
PELITA - P.1023
1981
PEMATANG/ P.1021
1979
PENDOPO/ P.1020
1979
PLAJU
2004
PUNGUT/ P.1022
1979
SANGA-SANGA/ P.3009
1983
SELSE/ P.3006
1983
SENGETI - P.3007
1982
SEPINGGAN/ P.3008
1982
SERANG JAYA/ P.3011
1983
SINDANG/ P.3010
1982
Flag
PANAMA
INDONESIA
PANAMA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
PANAMA
PANAMA
PANAMA
PANAMA
PANAMA
PANAMA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
PANAMA
PANAMA
INDONESIA
SINGAPORE
PANAMA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
PANAMA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
DWT
6,500
36,503
30,284
87,069
87,206
6,500
6,500
6,500
6,500
6,500
6,500
6,500
6,500
3,500
3,500
3,500
3,500
3,500
3,500
17,500
15,277
1,470
17,500
17,780
17,706
17,723
6,500
15,270
30,792
29,944
30,792
30,792
29,900
29,900
Type
SMALL TANKER II
MEDIUM RANGE
MEDIUM RANGE
LARGE RANGE II
LARGE RANGE II
SMALL TANKER II
SMALL TANKER II
SMALL TANKER II
SMALL TANKER II
SMALL TANKER II
SMALL TANKER II
SMALL TANKER II
SMALL TANKER II
SMALL TANKER I
SMALL TANKER I
SMALL TANKER I
SMALL TANKER I
SMALL TANKER I
SMALL TANKER I
GENERAL PURPOSE II
GENERAL PURPOSE I
BULK LIGHTER
GENERAL PURPOSE II
GENERAL PURPOSE II
GENERAL PURPOSE I
GENERAL PURPOSE II
SMALL TANKER II
GENERAL PURPOSE I
MEDIUM RANGE
MEDIUM RANGE
MEDIUM RANGE
MEDIUM RANGE
MEDIUM RANGE
MEDIUM RANGE
Country of Building
INDONESIA
JAPAN
INDONESIA
JAPAN
KOREA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
INDONESIA
JAPAN
INDONESIA
INDONESIA
JAPAN
JAPAN
JAPAN
INDONESIA
JAPAN
JAPAN
JAPAN
JAPAN
JAPAN
JAPAN
KOREA
別添 6 Samudera 所有運営コンテナ船リスト
船舶名
No.
規模
籍
1
Sinar Surya
1, 560 teus
Panama
2
Sinar Sunda
1, 560 teus
Panama
3
Sinar Batam
1, 560 teus
Panama
4
Hansa Stavanger
1, 550 teus
Germany
5
Sinar Toba
1, 404 teus
British
6
Sinar Lombok
1, 354 teus
Singapore
7
Kuo Chia
1, 295 teus
People’s Republic of China
8
Sinar Java
1, 174 teus
Panama
9
Sinar Solo
1, 054 teus
Panama
10
Sinar Bontang
1, 054 teus
Panama
11
Sinar Bintan
1, 054 teus
Panama
12
Sinar Bangka
1, 054 teus
Panama
13
Sinar Bandung
1, 054 teus
Panama
14
Sinar Bali
1, 048 teus
Singapore
15
Sinar Nusa
1, 030 teus
Singapore
16
Harmony
1, 022 teus
Liberia
17
Vinashin Mariner
1, 016 teus
Vietnam
18
Sinar Riau
1, 012 teus
Hong Kong
19
Oriental Bright
1, 001 teus
Panama
20
Mol Silver Fern
1, 001 teus
Panama
21
Yong Wang
950 teus
Hongkong
22
Pancaran Sinar
918 teus
Panama
23
Sea Space
884 teus
Cyprus
24
Providence
650 teus
Bahamas
25
Lumoso Express
646 teus
Singapore
26
Sinar Padang
495 teus
Singapore
27
Pancon Diamond
295 teus
Singapore
28
Sinar Salju
197 teus
Indonesia
29
Caraka J.N.III
115 teus
Indonesia
- 65 -
別添 7 SAMUDERA 子会社所有船舶リスト
- 66 -
- 67 -
- 68 -
- 69 -
- 70 -
- 71 -
別添 8 その他のアンケート回答海運会社 7 社の所有船舶リスト
PT Admiral Lines 所 有 船 舶
船舶名
- 72 -
船 舶 タイプ
General Cargo
General Cargo
DWT
7,800 dwt
7,800 dwt
建造年
1991
1985
建造国
Japan
Japan
所 有 /チャーター
Owned
Owned
PTAmanusa 所 有 船 舶
船舶名
MV. Lautan Arafura
MV. Caraka Jaya Niaga III-7
船 舶 タイプ
Container
Container
DWT
12,000DWT
12,000DWT
建造年
1979
1992
建造国
Germany
Indonesia
所 有 /チャーター
Owned
Owned
PT Banuna Raya Logistics 所 有 船 舶
船舶名
Poksay
船 舶 タイプ
Passenger
DWT
206
建造年
2002
建造国
Singapore
所 有 /チャーター
Owned
船 舶 タイプ
Full Container
Full Container
Full Container
Full Container
Full Container
Full Container
Full Container
Full Container
Full Container
Full Container
Full Container
Full Container
Full Container
Full Container
DWT
26.2
26.2
4.18
4.18
4.18
4.18
4.18
4.18
4.18
4.18
4.18
4.18
4.18
4.18
建造年
2000
2001
2000
2001
2001
1997
1997
1997
1997
1997
1997
1997
1997
1997
建造国
所 有 /チャーター
PT Djakarta Lloyd 所 有 船 舶
船舶名
mv. M.H. Thamrin PB 1600
mv. Sam Ratulangi PB 1600
mv. Jatiwangi PB 400
mv. Jatianom PB 400
mv. Jatipura PB 400
mv. Pontianak Caraka Jaya Niaga III - 34
mv. Semarang Caraka Jaya Niaga III - 35
mv. Cirebon Caraka Jaya Niaga III - 36
mv. Palembang Caraka Jaya Niaga III - 37
mv. Belawan Caraka Jaya Niaga III - 38
mv. Makassar Caraka Jaya Niaga III - 39
mv. Lhokseumawe Caraka Jaya Niaga III - 40
mv. Panjang Caraka Jaya Niaga III - 41
mv. Manado Caraka Jaya Niaga III - 42
- 73 -
PT Gesuri Lloyd 所 有 船 舶
船舶名
Ganda Setia
船 舶 タイプ
Multi-purpose
DWT
10.138
建造年
1979
建造国
所 有 /チャーター
Chartered
PT Gurita Lintas Samudera 所 有 船 舶
船舶名
MV. Mandiri Satu
MV. Mandiri Dua
MV. Mandiri Tiga
MV. Mandiri Lim
MV. Mandiri Enam
MV. Mandiri Tujuh
MV. Mandiri Delapan
MV. Salindo Perdana I
MV. Ayu Permata
MV. Ayumas Samudera
MV. Buddy Rakhmadi
MV. Dwi Buddyarto
MV. Dimaz Arianto
MV. Ardhianto
MV. Fitria Perdana
MV. Fitria Permata
MV. Fitria Paramitra
MV. Fitria Persada
船 舶 タイプ
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
General Cargo
DWT
6,163.73
6,771.39
8,273.02
7,855.18
8,173.00
6,668.00
7,104.67
10,058.00
8,621.00
6,944.00
11,406.00
7,081.80
6,508.00
9,090.00
6,543.00
6,806.95
6,438.00
6,612.85
建造年
1974
1975
1975
1974
1983
1981
1981
1975
1978
1990
1978
1981
1981
1994
1974
1974
1983
1977
建造国
所 有 /チャーター
PT Pelayaran Bahtera Adhiguna 所 有 船 舶
船舶名
MV Adhiguna Tarahan
MV Adhiguna Nugraha 1
MV Adhiguna Purnamarga
MV Adhiguna Rayamarga
TB Adhiguna Bahari
TB Uchida
船 舶 タイプ
Bulk Carrier
General Cargo
General Cargo
General Cargo
Barges
Barges
DWT
11,096
8,180
3,700
3,700
建造年
建造国
所 有 /チャーター
別添 9 調達予定があると回答した 12 社の調達予定船舶に関する回答
会社名
隻数
石油タンカー
新造船 調達
サイズ
/中古 先国
ケミカルタンカー
新造船 調達
隻数 サイズ
/中古 先国
PT Admiral Lines
1隻
PT Amasnusa
Persada
ANDHIKA
Armada Bumi Pratiwi
Lines
- 74 -
PT Arpeni Pratama
Ocean Line Tbk
PT Berlian Laju
Tanker Tbk
1
○
所有船舶
どちら
と同等の
でも
もの
4,0005,000
dwt
所有船舶と
同等のも
○バ
どちら
の。handy
ルク船
でも
max or
Panamax
未定
4,0005,000
dwt
中古
タグボート
新造船 調達
隻数 サイズ
/中古 先国
バージ
新造船 調達
隻数 サイズ
/中古 先国
その他
新造船 調達
隻数 サイズ
/中古 先国
国内
未定
〇
8,000 どちら
未定
dwt
でも
1隻
(バル
カーあ
るいは
乾貨物
船)
1隻
2隻
○
20,000
dwt
4隻
中古
中古
ガスキ
ャリア
○
5隻
PT Humpuss
Intermoda
Transportasi Tbk
3000
DWT
以上
未定
2 ある
いは3
隻
PT Pelayaran
Tempuran Emas Tbk
4隻
85,000 &
30,000
dwt
LPG
2隻
所有船
と同等
のもの
PT Rig Tenders
Indonesia Tbk
PT Samudera
Shipping services
船舶タイプ
コンテナ船
新造船 調達
隻数 サイズ
/中古 先国
1隻
中古 物色中
PT Djakarta Lloyd
PERTAMINA
SHIPPING
隻数
一般貨物船
新造船 調達
サイズ
/中古 先国
7000 to
中古
8000 dwt
2 隻 MRMMR 新造船
4
20,000
新造船
35,000
5,000
新造船
com
別添 10 造船所従業員数
Company
(6) Number of employees in 2004
Direct
Manageri
Administr
al
ative
15
- 75 -
Technical
Skilled
25
25
50
154
882
1092
55
99
61
Subcontractor
Semi
Manageri Administr
Technical
Skilled
Semi
ative
140
10
15
20
225
275
2403
80
80
200
160
520
521
35
710
130
270
190
80
731
300
300
600
4
41
22
38
12
117
3
2
48
6
8
67
4
13
39
27
12
95
2
3
40
25
15
85
PT. JASA MARINA INDAH
5
12
57
11
85
400
PT. NAGOPATMOLO
PT. PAL INDONESIA
(PERSERO)
1
11
4
2
3
21
584
414
1093
298
296
2685
25
skilled
Total
al
PT. DAYA RADAR
UTAMA
PT. Dok & Perkapalan
Kodja Bahari
PT. DOK DAN
PERKAPALAN
SURABAYA
PT. INDONESIA MARINA
SHIPYARD
PT. INDUSTRI KAPAL
INDONESIA (PERSEO)
/ IKI
PT. INGGOM
SHIPYARD
PT. INTAN
SENGKUNYIT
skilled
Total
75
345
400
5
20
25
0
別添 10
Company
- 76 -
PT. DAYA RADAR
UTAMA
PT. Dok & Perkapalan
Kodja Bahari
PT. DOK DAN
PERKAPALAN
SURABAYA
PT. INDONESIA MARINA
SHIPYARD
PT. INDUSTRI KAPAL
INDONESIA (PERSEO)
/ IKI
PT. INGGOM
SHIPYARD
PT. INTAN
SENGKUNYIT
PT. JASA MARINA INDAH
PT. NAGOPATMOLO
PT. PAL INDONESIA
(PERSERO)
(6) Number of employees in 2005
Direct
Manageri
Administr
al
ative
20
Subcontractor
Semi
Skilled
30
30
60
140
825
1065
262
66
96
468
33
17
28
60
39
21
59
128
269
190
79
725
4
43
17
28
4
96
4
13
39
27
12
95
2
50
12
57
11
130
400
1
11
4
2
3
21
560
390
1069
271
272
2562
skilled
30
Total
Manageri Administr
Technical
Technical
Skilled
al
ative
170
15
20
25
235
2292
94
94
235
188
3
6
60
35
300
300
Semi
skilled
85
Total
380
611
25
600
0
3
45
30
15
95
400
5
20
25
0
この報告書は競艇の交付金による日本財団の助成金を受けて作成しました。
インドネシアの内航船需要に関する調査
2007 年 ( 平 成 19 年 ) 3 月 発 行
発行
社団法人 日本中小型造船工業会
〒 105-0001
東 京 都 港 区 虎 ノ 門 1-15-16 海 洋 船 舶 ビ ル
TEL 03-3502-2063
FAX 03-3503-1479
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インドネシアの内航船需要に関する調査
二〇〇七年三月