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Sandra Ramos
Drawing/Collage from
"Espejismos"
2002 5/10(金)
∼21
(火)12Noon∼7PM Closed on Mondays
・
サ
ン
ド
ラ
ラ
モ
ス
蜃
気
楼
Organized by
Top to bottom:
Crecimiento / Water Color/Collage on Paper 75x105cm 2000
El Pez de Gaston / Collage on paper (fish bone, mirror, photo) 95x70cm 2001
La Mano de Dios / Collage on paper (mirror, metal, photo) 95x70cm 2001
サンドラ・ラモス 蜃 気 楼
Drawing/Collage from
協力: 正木基/本間桃世/森本利則(写真)
Sandra Ramos"Espejismos"
Born in Havana in 1969. Ramos is part of the new generation of
Cuban artist who emerged after the 1959 revolution. She expresses through self-reflection the feelings of Cuba's young generation.
サンドラ・ラモスのメッセージ
これらの作品は、人間は一体宇宙の中でどの場所
に存在するのだろう、という人類共通の問いかけ
に対する私の個人的な、そして内面的なアプロー
チを表現したものです。
私たちは常に私たちについてまわり、またそれを
想うと眠れなくなる未知なる世界について、芸術、
宗教、哲学、そして科学を通し何とか答えを見つ
けようとしてきました。
自然界における人類の詩的な存在の証、宇宙の中
での輪廻転生、目には見えないけれども人間とそ
のコンテクストとの関係、己の小ささに対する認
知と、普遍的な存在そのものがつかさどる無限の
可能性…
私たちは生まれる前に何者だったのか?今は何者
なのか?そして私たちは死後、どこへ向かうのか?
そのような想い・問いかけが私にこれらの作品の制
作へと導いてくれたきっかけです。
あるフォト版画の印刷を機に私は自分の作品にい
つも自分の肖像を使うようになり、前述の問いか
けに対する答えを表現してきました。作品を通し
て私個人と自然界 ∼私たちが生まれ、還ってゆ
く世界∼ との絆を表しているつもりです。そこ
には常に変わり行くもっともらしい説と、限りな
いマチエールの可能性が述べられています。
いくつかの作品にはギリシャの哲学者によるミレ
トス話*へと私たちを導いてくれる移り気な流れの
川があり、また、精神の雄大な旅を改めて見つめ
ようと言うきっかけとなる私たち自身の反映・映し、
自分も知らない自身の内面へと、導いてくれる橋
が潜んでいるのです。そうかと思えば他の作品で
私たちは土に、雲に、空気に変わり、また鳥とな
って高く舞い上がり、または小さな魚となって穴
を掘り、永遠の海の子宮に深く潜ってゆくのです。
技法を少々お話しすれば、これらの作品はミクス
トメディア、とりわけ自然の有機的な物質の残留
物が再生されて使われています。鳥の羽根、山ア
ラシの針、植物、枯葉、魚の骨、貝殻などを紙、
鏡といった、人間の手によってつくられた材料と
組み合わせています。それぞれの要素が使われて
いるのは決して偶然でも、なんとなくでもありま
せん。ひとつひとつのモノはそれぞれの作品の中
で象徴的な意味とコンセプチュアルな意味を表す
ため、密に結びついているのです。
鏡はその「映し出す」役割を持つものとして、水の
象徴として、また生と死の間を渡すものとして…
鏡は未知への扉であり、その扉は私たちを存在の
神秘へと導いてくれます。
鳥の羽根は私たちを飛翔へ、自由な空へと羽ばた
かせてくれます。砂は現世へ、この世の有限性を
象徴しているのです。
*ミレトス話−紀元前2世紀のギリシア人Aristides Miletusが書いた恋愛・
冒険小話集
まなざしの行方:正木 基
サンドラ・ラモスは、1990年代初頭、社会主義圏崩壊の影響を受けるただ中のキューバにデビューした。ラモス
にとっての制作の最初の指針は、非社会主義圏世界(とりわけ米国)との関係を断ち切られて成り立っていた、社会
主義がいつかはユートピアに至るという価値概念の消滅の渦中に、キューバ人としてキューバの中で、何が見定め
られるのか、何を見定めるべきという問いであったろう。
彼女の代表作で、1990年代キューバ美術の代表作でもある『あらゆるところの水は悪い環境』(1993年)で、キ
ューバ島の形となって横たわる裸体のラモスは、海流に身を委ねているかのようだ。が、いうまでもなく、パラダ
イスを思わせるラモス島(キューバ)は、周囲の海によって、米国をはじめとする外界世界と隔絶されてもいた。さ
らに、その後の作品で、ラモスは、キューバ島を赤ん坊にして周辺の海を羊水のイメージに重ねて見せた。そこで、
キューバ島にとって、本来海洋的交通の要であるはずの海が、外界世界からの過保護、言わば隔絶であること、従
って、交通と隔絶という海洋の二面性が問題提起として視覚化されている。そこから、海、その水で生きる者たち
がキューバ人、というラモスの認識が生まれたならば、貝殻にしても、魚にしても、そこに生きとし生けるものに
対する彼女のアイデンティティーが認められて不思議はない。海に囲まれ、海の中で、どのように生きるかが、そ
こでの問いなのだ。
そうした自然環境的関係と同様にラモスの作品は、キューバ人の生活に見られるさまざまな事象や夢想や象徴を作
品の中に取り込み、日常環境との関係をも、作品に取り込み、視覚化して見せる。例えば、先のラモス島(=キュ
ーバ島)のパロマの樹(帝王椰子)や、左腕のモロ要塞(これは外敵に犯され続けたキューバ史のシンボルでもある)の
ように。それはキューバの自画像をイメージする作業だ。そしてキューバを見る作業が、キューバ人である自身を
鏡で見定めるような自己参照的な作業であることは言うまでもない。そこで一貫しているのは、常に、キューバ人
女性として、キューバから、いかにして世界とのコミュニケートを通じ、自身が、強いてはキューバ(人)が世界の
どこに位置し、どう見られているかを計測することから、キューバ(人)のアイデンティティーとは何かを見定めよ
うということなのだ。それは、キューバだけでなく、世界中いたる所で、起きている価値概念や生活基盤の転倒、
言い換えるならば世界史レベルの変転を、いかに個人の生活史レベルで受け止めるかを、ラモスが、キューバとい
う事例を引いて、世界に提示しているということでもあるのではないか。それらの作業を、ラモスは、版画に始ま
り、ボックス・アート、油彩、ビデオ・インスタレーション、鏡やキューバの生活を象徴する事物のコラージュな
どさまざまな表現手段を横断して行ってきている。今回は、版画、ボックス・アート、油彩に引き続いて、コラー
ジュ作品が、初めて紹介される。 (美術評論家・casa de cuba主宰)
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 5-51-3 ガレリア2F
GALERIA 2F, 5-51-3, Jingumae, Shibuya-ku, Tokyo
Tel:03-3400-1995 Fax:03-3400-9526
プロモ・アルテ ラテンアメリカンアートギャラリー
www.promo-arte.com [email protected]
1969
ハバナ (キューバ)生まれ
1983
1988
1993
造形芸術初等学校卒業(キューバ)
サン・アレハンドロ造形芸術学校卒業(キューバ)
高等芸術学院ISA(Instituto Superior de Arte)卒業(キューバ)
主な個展歴
2002 「Espejismos(蜃気楼)」Promo-Arte Gallery(東京)
1999 「Inmersiones y enterramientos」ハバナギャラリー(キュ
ーバ)、Nina Menocalギャラリー(メキシコシティー)
1998 「Dos Cubanos sonadoras-夢見るキューバ女性作家展」ス
ペース21ギャラリー(東京)
1997 「サンドラ・ラモス展」INAXギャラリー(札幌)
「Autoreconocimiento del Pez」Nina Menocalギャラリー
(メキシコシティー)
1995 「サンドラ・ラモス新作展」420x20ギャラリー(オランダ)
「Cruzar las Aguas(川を渡ること)展」Ludwing財団(キュー
バ)、Stadtische Burg ギャラリー(ドイツ)
「Criaturas de Islas(島の子供達)展」Nina Menocalギャラ
リー(メキシコシティー)
「Naufragos de orilla(岸に着いた難破船の乗組員)展」
Le Pneumatique Nantaise (キューバ)
1993-4 「十字架を背負って-Jose Martiへのオマージュ」Jose Marti
文化センター(キューバ)、Nina Menocalギャラリー(メキシ
コシティー)
1993 「孤独にならないために」ビジュアル・アート開発センター(キューバ)
主なグループ展歴(1996以降)
2002 「キューバ現代美術の流れ 出版記念展」Promo-Arte Gallery
La Huella Multiple Sobreviviendo CDAV(キューバ)
2001 「Hello Cuba-Breaking Barriers-Contemporary Cuban
Art」The Mary Brogan 美術館(フロリダ、米国)
「Contemporary Cuban Prints」Cuban Art Space(ニュー
ヨーク、米国)
「Viva Cuba」Alva ギャラりー(コネチカット、米国)
「現代キューバ造形芸術展」キト市文化センター(エクアドル)
2000 「Vidas Paralelas」、「La gente en casa」第7回ハバナビ
エンナーレ(キューバ)
「Hidden Images(現代キューバ作家による紙を使った展示)」
Zoeller Art Center、 Lehigh大学アートギャラリー(ペンシ
ルバニア、米国)
「MOCA Art Auction」ロサンゼルス現代美術館(MOCA)(米国)
「ラテン・カリブ現代美術Today展」三浦美術館(松山)
「アフロ・キューバの世界展」三菱地所アルティアム(福岡)
1999 「イギリス人のために」Concourse ギャラリー、Barbicanセ
ンター(ロンドン)
「隠喩と注釈」サンフランシスコ大学(米国)
「New Year's Message from Cuba」Promo-Arte Gallery (東京)
1998 「キューバ現代美術展Cubartexユ98」(日本人キューバ移民百
周年事業) 浦添市美術館(沖縄)、代官山ヒルサイドフォーラム
(東京)、いわき市文化センター(福島)
「De Discretas Autorias-キューバ・ベネズエラからのニュ
ーポエム」Mario Abreu 現代美術館(ベネズエラ)
1997 「革命の隠された美術と時代無き美術」(トロント、カナダ)
「Utopian Territories, New Art from Cuba」Belkin アート
ギャラリー、British Colombia大学(バンクーバー、カナダ)
「Zona Vedada」第6回ハバナビエンナーレ(キューバ)
「Creative Graphicユ97」第8回国際版画トリエンナーレ、
Alvaro Aalto美術館(フィンランド)
1996 「夢見る世界-キューバ若手作家展」Casa de las Americas
(マドリッド)
「キューバとメキシコのニューアート」David Floriaギャラリ
ー、Woody Creck(コロラド、米国)
「境界を越えた女性たち」Santa Barbara現代美術フォーラム
(カリフォルニア、米国)、ICC現代アートギャラリー(イスラ
エル)、Kunstlerahaus Graz(オーストリア)
主な受賞歴
1997 Cultura Nacional栄誉賞(キューバ)
1993 国立版画サロン展特別賞(キューバ)
1991 CIPE賞(キューバ) 、
1990 ラテンアメリカ国際グラフィックコンクール La Joven
Estampa入選、Casa de las Americas(キューバ)
1988 国立美術指導サロン展受賞(キューバ)