STOP農作業事故

STOP農作業事故
秋作業における農作業事故の防止
当
面
の
(
技
10
術
月
対
)
平成27年9月28日
農
林
水
産
部
策
10
Ⅰ
月
の
技
術
対
策
安全・安心な農産物生産及び環境保全型農業の推進
1
2
安全・安心な農作物の生産
農薬の飛散(ドリフト)防止対策
3
4
5
農産物の適切な取扱い
環境保全型農業への積極的な取組み
農作物残さなどの適正処理等の推進
P1~2
Ⅱ
稲
作
1
2
3
適正乾燥調製、玄米品質の確認
農作業安全の推進
次年作への準備
P3
Ⅲ
畑
作
1
2
3
大豆
そば
麦類
P4~5
Ⅳ
果
樹
1
2
3
4
西 洋 な し 「 ラ ・フ ラ ン ス 」 の 適 期 収 穫 と 追 熟
りんご「ふじ」の着色管理
かきの防雹ネット被覆と収穫
台風対策
P6~8
5
6
農作業安全の推進
土壌改良
Ⅴ
野
菜
1
2
3
4
5
6
7
8
ハウス抑制果菜類の適正管理
いちご(低温カット栽培、促成栽培)の適期管理
夏秋いちご「サマーティアラ」の管理
食用ぎくの適期管理
無加温ハウスの利用
促成山菜
病害虫防除の徹底
転作田の排水対策
P 9 ~ 10
Ⅵ
花
き
1
2
3
4
5
6
ストックの管理
トルコぎきょうの管理
ダリアの管理
秋出し花壇苗の出荷
その他花きの管理
病害虫防除の徹底
P 11~ 12
Ⅶ
畜
産
1
2
3
4
5
6
家畜の飼養管理
家畜の衛生管理
草地の管理
放牧場の管理
稲わらの確保
家畜排泄物の適正な管理と利用の促進
P 13~ 14
Ⅰ
安全・安心な農産物生産及び環境保全型農業の推進
【10月の重 点事 項】
○農 薬 使 用 時 は 散 布 前 に ラ ベ ル を よ く 確 認 し 、 使 用 基 準 の 遵 守 を 徹 底 す る 。
○収 穫 作 業 の 前 に は 、 記 帳 し た 防 除 実 績 と 使 用 し た 農 薬 の 使 用 基 準 を 必 ず
確認する。
○ 収 穫 時 及 び 収 穫 後 の 農 産 物 は 、保 管 中 の 農 薬 付 着 や 異 物 混 入 等 の 事 故 防 止の
ため農薬、包装資材、農業資材及び農業機械等と明確に区分する。
○稲わらの堆肥原料への利用など、資源としての循環利用に努める。
1 安全・安心な農作物の生産
(1)病害虫防除所で提供する病害虫発生予察情報や防除情報等を積極的に活用
し、各地域で発生する病害虫に対して的確な防除対策を講じる。
( 2 )病 害 虫 の 発 生 し に く い 環 境 づ く り の た め 、耕 種 的 対 策 や 物 理 的 対 策 を 組 み合
わせ、農薬のみに頼らない防除対策を講じる。
( 3 )こ ま め な 圃 場 観 察 に よ る 病 害 虫 の 早 期 発 見 と 、正 確 な 診 断 に 基 づ く 適 切 な対
策を講じる。
( 4)農 薬 使 用 に あ た っ て は、農 林 水 産 省 登 録 番 号 の あ る 農 薬 を 使 用 す る と と も に 、
適用作物、使用濃度や使用量、使用回数及び収穫前使用日数を遵守する。
( 5 )農 薬 散布 に あ た っ て は 、周辺 の 住 民 、河 川 等 の周 辺 環 境 、周 辺 作 物に 十 分 配
慮 し、飛 散 防 止 対 策 を 講 じ る 等 地 域 住 民 や 養 蚕 農 家、た ば こ 耕 作 者、養 蜂 家 等
に被害が生じることがないよう注意する。
( 6 )収 穫 作 業 の 前 に は 、記 帳 し た 防 除 実 績 と 使 用 し た 農 薬 の 使 用 基 準 を 必ず
確認する。特に、収穫時期が早まる場合などは厳重に行う。
( 7 )農 薬 に 対 す る 耐 性 菌・抵 抗 性 害 虫 出 現 防 止 の た め 、同 一 成 分 の 農 薬 の 連 用 に
ならないよう薬剤を選択する。
2 農薬の飛散(ドリフト)防止対策
(1)風向と風速
風 を 考 慮 す る こ と が 飛 散 対 策 で 最 も 重 要 で あ る 。風 が 強 いと き は 日 中 の 散 布
を 避 け 、風 の 弱 い 早 朝 や 夕 方 に 防 除 を 行 う 。風 下 に 他 作 物 や 河 川 、住 宅 等 があ
る場合は、特に注意を払う。
(2)散布方法
園 地 の 端 部 で は 園 地 の 外 側 か ら 散 布 す る 。特 に 、ス ピ ー ド ス プ レ ー ヤ( S S )
で散布する場合は農薬が飛散しやすいので、端列は手散布で対応する。
(3)散布圧力・風量
粒径が細かくなるため、散布圧力を上げすぎないようにする。また、S
Sで散布する場合は、過大な風量とならないように散布する。
(4)散布ノズル
使用目的に合わせた適度な噴霧粒径のノズルを選択する。ドリフト低減型
ノズルも有効である。
(5)適正な散布量
散 布 量 が 多 く な る ほ ど 飛 散 し や す く な る の で 、作 物 の 生 育量 に あ わ せ た 適 正
な散布量とする。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 1 -
(6)近接作物生産者との連携・調整
近 接 作 物 の 収 穫 時 期 を 考 慮 し た 散 布 計 画 、散 布 時 期 、緩 衝 地帯 設 定 の 協 議 等 、
近隣作物の生産者と十分に連絡をとる。
(7)遮蔽シート・ネット等の設置
他 の 作 物 と の 境 界 に 防 風 ネ ッ ト を 設 置 す る か 、圃 場 周 囲 にソ ル ゴ ー 等 の 障 壁
作 物 を 植 栽 す る 。ま た は 、散 布 前 に 飛 散 の 影 響 を 受 け る 作 物 を シ ー ト で 被 覆す
る。
(8)飛散しにくい剤型の利用
粉剤や液剤をドリフトしにくい剤型(粒剤)に変更する。
3
農産物の適切な取扱い
(1)収穫時及び収穫後の農産物は、農薬、包装資材及びその他農業資材等と明
確に区分し保管する。
(2)農薬は施錠可能な場所に保管し、漏出防止に努めるとともに、他容器への
移し替えを行わない。
(3)コンテナ等の収穫容器は、洗浄されたものを使用し、収穫された農産物以
外のものを保管や運搬するために使用しない。
(4)トラック等の運搬車輌は、十分な清掃を実施する。特に、農薬散布器具を
積載した場合は使用後必ず洗浄する。
(5)収穫後の農産物を保管、調製及び包装作業に使用する施設は、十分な清掃
を実施する。
(6)衛生的に保つことが困難になった出荷容器は、廃棄する。
4
環境保全型農業への積極的な取組み
(1)畜産堆肥等を活用した土づくりを推進し、地力の向上を図る。
(2)堆肥を施用した場合は、堆肥由来の肥料成分を考慮した施肥を行う。
(3)病害虫の発生しにくい環境づくりのため、耕種的対策や物理的対策を組み
合わせ、農薬のみに頼らない防除対策の指導を図る。
5
農作物残さなどの適正処理等の推進
(1)稲わら等の農作物残さなどのうち循環利用が可能なものは資源として適正
に利用を進める。
(2)資源として利用できない農作物残さなどは一般廃棄物に該当する。廃棄物
の焼却(野焼き等)は原則禁止されており、市町村等の焼却処分場で適正に
処理する。
( 3 )「 農 業 、林 業 又 は 漁 業 を 営 む た め に や む を 得 な い も の と し て 行 わ れ る 廃 棄物
の 焼 却」に つ い て は 、焼 却禁 止 の 例 外 と さ れ て い る が、「 や む を 得 な い も の と
し て 焼 却 で き る か」の 判 断 に つ い て は、農 家 等 が 自 己 判 断 せ ず 、農作 物 残 さ な
どが発生した市町村の廃棄物担当課に確認する。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 2 -
Ⅱ
稲
作
【10月の重 点事 項】
○「つや姫 」や直 播 栽 培 の「はえぬき」は9月 下 旬 から刈 取 適 期 になっている。籾 水 分
や枝 梗の枯れ具 合を良く見て、速やかに刈 り取り作 業を行う。
○刈 取 り後 は、適 正 な乾 燥 ・調 製 を行 う。籾 水 分 が低 い場 合 は、胴 割 米 が発 生 しない
よう、水 分 を確 認 しながら丁 寧 に乾 燥 する。また、必 要 に応 じて色 彩 選 別 機 を使 用
するなど、品 質の高いコメの生産に努める。
○籾 すり作 業 は、必 ず「試 しずり」を行 い、玄 米 の肌 ずれや砕 米 、胴 割 れ、着 色 粒 、ア
ラ混 入 等がないことを確 認する。
○農 作 業 の安 全 に十 分 配 慮 し、ゆとりをもって作 業 を行 い、農 作 業 事 故 が起 こらない
よう万 全を期す。
1
適正乾燥調製、玄米品質の確認
乾 燥 調 製 作 業 に お い て は 、 乾 燥 機 停 止 後 の 余 熱 に よ る 乾 燥 の 進 行 ( 余 熱 乾 燥)
に 注 意 し、適 正 水 分(15%)に 仕 上 げ る 。ま た、調 製 の 失 敗 を 防 ぐ た め、必 ず「 試
し ず り」を 行 い 、肌 ず れ や 砕 粒、胴 割 れ の 発 生、ア ラ 混 入 等 が な い こ と を 確 認 し
て か ら 連 続 作 業 に 入 る 。玄 米 に 仕 上 げ た ら 、玄 米 品 質 を 確 認 し 、着 色 粒 が あ る 場
合は、色彩選別機等で取り除き、品質を高めた上で出荷する。
2
農作業安全の推進
コ ン バ イ ン な ど の 収 穫 機 、乾 燥 機、籾 す り 機 な ど の 農 業 機 械 の 使 用 に あ た っ て
は 、農 作 業 事 故 の防 止 対 策 を 徹 底 す る。特 に 、作 業 後 半 にな る と 、気 の 緩 み や 疲
れ か ら 農 作 業 事 故 が 起 こ り や す く な る た め 、無 理 な 作 業 は避 け 、安 全 対 策 を 十分
に講じ事故防止に努める。
3 次年作への準備
(1)稲わらの腐熟促進
稲 わ ら の 腐 熟 促 進 を 図 る た め 石 灰 窒 素 等 を 施 用 す る 場 合 は、収 穫 後 な る べ く
早 い 時 期 に 散 布 す る 。な お、腐 熟 促 進 剤 は 、関 与 する 微 生 物 の 活 性 が 高 ま る よ
う に 、連 年 施用 に 努 め る 。ま た、よ う り ん 、ケ イ カ ル等 を 併 用 す る と 土 づ く り
の効果が一層高まることから、土壌診断結果に基づき適正量を施用する。
特 に、腐 熟 促 進 を 目 的 に、石 灰 窒 素 を 秋 施 用 し た 場 合 は、次 年 産 水 稲 が 過 剰
生育になり、食味を低下させる場合があるので、基肥等の施用量を減ずる。
(2)圃場の均平、排水
コ ン バ イ ン 等 の 秋 作 業 で 田 面 の 凹 凸 が 大 き く な っ た 場 合 は、秋 の う ち に 均 平
作 業 を 行 っ て お く。ま た 、排 水の 悪 い と こ ろ に は 明 渠 を 掘 り 、停 滞 水 を排 除 す
る。特に、秋から翌春にかけて水閘の開放等により圃場の乾燥を心掛ける。
(3)品種構成等の点検
本 年 の 米 づ く り を 点 検 し 、経 営 規 模 や 販 売 戦 略 に 合 わ せ た 品 種 構 成 や 作 業計
画等を検討する。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 3 -
Ⅲ
畑
作
【10月の重 点事 項】
○大 豆 は今 月 下 旬 には刈 取 り適 期 となる。事 前 に圃 場 を巡 回 し、いつ頃 から刈 取 り作
業に入 れるかを見 定 め、適 期に収 穫 し、適 正 な乾 燥 調 製を行い、品 質 の高い大 豆に
仕 上げる。
○そばの成 熟 期 は10月 中 旬 頃 の見 込 みである。コンバインの稼 働 計 画 をしっかりと立
て、適 期 刈 取りと品 質 向 上に努める。
○ 麦 類 の播 種 適 期 は9月 下 旬 ~10月 上 旬 である。例 年 、播 種 時 期 が遅 れ、越 冬 前 の
生 育 量 (草 丈 及 び茎 数 )が確 保 できず、穂 数 不 足 で減 収 する事 例 が見 られる。播 種
期が遅くならないように適 期 作 業に努める。
1 大 豆
(1)適期収穫
ア 大 豆 の 開 花 期 は 平 年 並 み で あ り 、そ の 後 の 低 温・日 照 不 足 で 成 熟 期 は 平年
並 み か ら や や 遅 く な る と 予 想 さ れ る が 、早 め に コ ン バ イ ン や 乾 燥 機 の 整 備点
検を行い適期刈取りに向けた効率的な利用計画を立てる。
イ 成 熟 期 の 判 断 は 、葉 が 黄 変 し て 落 葉 し 、莢 が 品 種 特 有 の 色 に 変 化 し た 時期
で あ る 。コ ン バ イ ン に よ る 収 穫 適 期 は 、成 熟 期 に 達 し た 日 か ら 概 ね 7 日 後以
降 で 、 子 実 ・ 莢 水 分 が 20% 以 下 、 茎 水 分 が 60% 以 下 と な っ た 時 期 で あ る 。
ウ 品種毎の刈取り晩限は、「タチユタカ」や「里のほほえみ」では成熟後
3 0 日 ま で で あ る が 、「 リ ュ ウ ホ ウ 」、「 エ ン レ イ」で は 、し わ 粒 や 紫 斑 粒
な ど が 成 熟 後 比 較 的 早 い 段 階 か ら 増 加 す る の で、品 質 保 持 の た め 成 熟 後 2 0
日経過を目安に収穫する。
(2)汚損粒発生防止
今 年 は 雑 草 が 残 っ て い る 圃 場 が 散 見 さ れ る 。コ ン バ イ ン 収 穫 で は 、雑 草 や 青
立 大 豆 の 草 汁 が 汚 損 粒 の 原 因 に も な る の で 、収 穫 前 に必 ず 抜 き 取 る 。刈 取り 時
には泥をかき込まないよう、刈取りの高さには十分注意する。
(3)適正乾燥
仕 上 げ 乾 燥 水 分 は 15% と す る が 、コ ン バ イ ン 収 穫 体 系 等 に お い て 静 置 型 乾 燥
機 を 用 い る 場 合 は 、送 風 温 度 を 30℃ 以 下 と し 、子 実 水 分 が 高 い 場 合 や 張 り 込 み
量が少ない場合は、送風温度を若干低めにする。
(4)調製
ア 選 別 調 製 は 、品 質 向 上 を 図 る う え で 重 要 な 作 業 で あ り 、共 同 調 製 施 設 等の
効 率 的 な 利 用 計 画 を 立 て る。特 に 、産 地 銘 柄 を 確 立 す る た め に、中 粒 以 上(中
粒 7.3~7.9mm、 大 粒 7.9mm 以 上 ) で 粒 揃 い の よ い も の を 出 荷 す る 。 破 砕 粒、
奇 形 粒 、 虫 害 粒 な ど の 障 害 粒 は 形 状・粒 径 選 別 機 に よ り 完 全 に 除 去 す る 。
イ 紫 斑 粒 、褐 斑 粒 等 の 着 色 粒 は 、色 彩 選 別 機 で 除 去 で き る の で 、有 効 活 用 を
図る。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 4 -
2 そ ば
(1)収穫期判定
収 穫 適 期 は 子 実 全 体 の 70~80% が 黒 褐 色 に 変 化 し た 時 で あ る 。コ ン バ イ ン に
よ る 収 穫 適 期 の 目 安 は 、約 80% が 黒 化 し た 時 期 で 、低 速 、低 回 転 で ゆ っ く り 行
う 。刈 り 遅 れる と 風 味 や 香 り が 失 わ れ る 可 能 性 が あ る の で、適 期 よ り や や 早 め
に刈取り作業に入り、適期内に終了する。
(2)乾燥調製
収 穫 後 の 急 速 な 高 温 乾 燥 は 、風 味 の 低 下 に つ な が る の で 絶 対 に 行 わ な い 。火
力 乾 燥 の 場 合 、通 風 温 度 は 外 気 温 +10℃ を 目 安 に 、最 高 で も 30℃ 以 下 と し 、毎
時 乾 減 率 は 1% 以 下 と す る 。 子 実 水 分 は 16% に 仕 上 げ る 。
水 分 20% 程 度 で 乾 燥 を 一 時 休 止( 5 時 間 程 度 )す る 二 段 乾 燥 で 、水 分 の 均 一
化を図ることができる。
なお、夾雑物や石などは米穀用の石抜機などを使用して丁寧に除去する。
3 麦 類
(1)排水対策
麦 類 は 湿 害 に 弱 い 作 物 な の で、 圃 場 の 周 囲 に は 必 ず 明 渠 を 掘 る。 ま た 、 耕 起
前 に サ ブ ソ イ ラ ー や 弾 丸 暗 渠 を 7~ 10m 間 隔 で 本 暗 渠 へ 直 交 す る よ う に 実 施
し 、表 面 の 停 滞水 が ス ム ー ズ に 排 水 で き る よ う に す る 。ま た 、砕 土・耕 起 は 丁
寧 に 行 い 、 砕 土率 70% ( 2 ㎝ 以 下 の 土 塊 が 70% 以 上) 以 上 を 目 標 と し 、 出 芽
率の向上及び生育の均一化に努める。
(2)適期播種
播 種 適 期 は 9 月 下 旬 か ら 1 0 月 上 旬 で あ る 。播 種 が遅 れ る と 越 冬 前 の 生 育 量
( 草 丈 及 び 茎 数 )が 少 な く な り 、雪 腐 病 が 発 生 し や す く な る と と も に 、穂 数 不
足 で 減 収 し 品 質 も 低 下 し や す い 。こ の た め 、播 種 は 10 月 1 0 日 頃 ま で に は 終
えるようにする。
(3)施肥量
基 肥 量 は 、10a 当 た り 窒 素 、 リ ン 酸 、 カ リ を 各 10 ㎏ と す る 。 ま た 、 麦 類 は
酸 性 に 弱 い 作 物 な の で 、 p H 6.0~ 6.5 を 目 標 に 、 苦 土 石 灰 や 炭 カ ル 等 を 100
㎏ /10a 程 度 施 用 し 、 土 壌 pH を 適 正 化 す る 。
(4)播種量
県 内 で の 麦 の 播 種 様 式 の 約 85% は ド リ ル 播 き と な っ て い る 。 生 育 を 揃 え 収
量 、品 質 の 高 位 安 定 化 を 図 る た め 、播 種 は ド リ ル 播 き を 基 本 と す る 。播 種 量 は
10 ㎏ /10a を目 安 と す る が 、 播 種 期 が 一 週 間 遅 れ る 場 合 は 、 播 種 量 を 20% 増
量して播種する。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 5 -
Ⅳ
果
樹
【10月の重 点事 項】
◎おいしい「ラ・フランス」の生 産・出 荷のため、「適 期 収 穫」・「産 地 追 熟」を徹 底する。
※「ラ・フランス」は、「統
「統 一 販 売 開 始 基 準 日 」を守り、産
地 が一 丸 となっておいしく仕
」
上げた果 実の販 売を心がける。
○りんご「ふじ」の葉 摘 み、玉 回 しは、2~3回 に分 けて行 う。支 柱 の手 直 しや誘 引 、徒
長 枝の葉 摘み等も組 み合わせ、樹 全 体の日 当たりが良くなるよう留 意する。
○気 象 情 報に注 意し、台 風や雹などの気 象 災 害 対 策に万 全を期 す。
○西 洋 なしの収 穫 や、りんごの葉 摘 み・収 穫 作 業 等 、高 所 での作 業 が多 くなるため、農
作 業 安 全に配 慮し、事 故 防 止に努める。
1
西洋なし「ラ・フランス」の適期収穫と追熟
「 ラ・フ ラ ン ス 」 は 、 収 穫 が 早 い と 香 り が 少 な く 食 味 が 劣 り 、 逆 に 、 収 穫 が 遅
い と 日 持 ち が 悪 く 、果 肉 障 害 が 発 生 し や す く な る の で 、適 期 に 収 穫 す る こ と が重
要である。
( 1 )「 ラ・フ ラ ン ス 」の 収 穫 適 期 は 、満 開 後 の 日 数 や 日 平 均 気 温 を 利 用 し た 予測
式、果実調査(ヨード反応指数、果肉硬度)等により総合的に判断する。
● ラ・フ ラ ン ス の 収 穫 適 期 の 指 標
① 満 開 後 日 数 :170 日 ( 園 芸 試 験 場 の 直 近 の 10 年 の 平 均 )
② Y =0.03219X +117.1( X : 満 開 90~159 日 後 の 日 平 均 気 温 の 積 算 値
Y:満開から収穫適期までの日数
)
③ ヨ ー ド 反 応 指 数 :2.5~1.5
④ 果 肉 硬 度 :10 ポ ン ド
( 2 )収穫 は 、熟 度 が 進 む 日 当 た り の 良 い 樹 の 上 部 や 南 側 の 果 実 か ら 始 め、下 枝 や
樹冠内部の日当たりの悪い果実は2~3日遅れて収穫するのが望ましい。
( 3 )予 冷 は 5 ℃ で 1 0 日 間 を 基 本 と す る が 、出 荷 調 整 等 の た め に 予 冷 期 間 が 長く
な る 場 合 は 2 ℃ と す る 。大型 冷 蔵 庫 の 場 合 、出入 り 口 近 く と 奥 、上部 と 下 部 の
温度ムラを確認し、十分な予冷効果が全体に得られるよう調節する。
( 4 )エ チ レ ン 処 理 は 密 閉 施 設 内 で 行 い 、濃 度 は 250~500ppm で 2 4 ~ 4 8 時 間 を
基本とする。処理後は直ちに開放する。
エ チ レ ン 処 理 は、適 期 に 収 穫 さ れ た 果 実 に 行 う。な お 、エ チ レ ン 処 理 し た 果
実は追熟日数や日持ちが短い傾向があるので、出荷時期に注意する。
( 5 ) 追 熟 は 温 度 変 化 の 少 な い 屋 内 、 ま た は 15℃ 前 後 の 処 理 施 設 で 行 う 。 追 熟 時
の 温 度 が 高 い(20℃ 以 上 )と 、輪 紋 病 の 発 病 が 増 え た り 、香 り が 少 な く な り食
味 が 低 下 す る の で 、 追 熟 温 度 は 20℃ 以 下 と す る 。
( 6 ) 果 実 の 長 期 貯 蔵 を 行 う 場 合 は 、 萎 凋 防 止 の た め 貯 蔵 庫 の 湿 度 を 85~90% 程
度 に 維 持 す る 。 貯 蔵 期 間 が 長 く な る と 、 果 肉 障 害 の 発 生 が 多 く な る こ と か ら、
貯蔵期間は、最長でも60日以内とする。
( 7 )追熟 後 の 箱 詰 め の 際 は、選 果 を 徹 底 し 、輪紋 病 等 の 病 害 果 が 混 入 し な い よ う
十分注意する。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 6 -
● ラ・フランスの「統 一 販 売 開 始 基 準 日」について
その年の生育状況をふまえ、適期収穫と産地追熟によって、
お い し い 「 ラ ・フ ラ ン ス 」 を 販 売 で き る 目 安 と な る 日
山 形 県 、J A グ ル ー プ 、青 果 市 場 協 会 、市 町 村 な ど の 関 係 機 関・団 体
が一体となって、統一販売開始基準日の遵守に取り組む。
2 りんご「ふじ」の着色管理
( 1 )着色 管 理 は 支 柱 の 立 て 直 し や 誘 引 か ら 行 い、大 枝 同 士 の 間 隔 を 空 け、樹 全 体
の日当たりを良くする。
( 2 )「 ふ じ 」の 葉 つ み 、玉 回 し は 2 ~ 3 回 に 分 け て 行 う 。1 回 目 の 葉 摘 み は 9月
末 頃 ~ 1 0 月 上 旬 に 、果 そ う 葉 を 主 体 に 摘 む。1 回 目 か ら 葉 摘 み を 多 く す る と 、
着色が遅れたり、来年の花芽の充実が悪くなるので注意する。
2 回 目 は 1 0 月 中 旬 頃 か ら 、果 実 周 辺の 葉 と 徒 長 枝 や 発 育 枝 の 葉 を 摘 む 。2
回目の葉摘みとあわせて玉回しを行う。
その後も、着色の進みを見ながら、葉摘み、玉回しの修正を行う。
(3)反射シートは収穫30日前頃(10月上旬)を目安に設置する。
3 かきの防雹ネット被覆と収穫
( 1 )近 年 は 気 象 変 動 が 大 き く 、降 雹 な ど 果 樹 の 作 柄 を 左 右 す る 気 象 災 害 が 増 える
傾 向 が み ら れ る 。 秋 の 降 雹 被 害 は 、 1 0 月 か ら 1 1 月 に か け て 多 く な る の で、
防雹ネットを遅れずに設置する。
( 2 )収穫 期 に 近 づ い た ら 、園 地 ご と 、樹 ご と に カ ラ ー チ ャ ー ト を 用 い て 果 皮 色 を
確 認 し 収 穫 時 期 を 決 め る 。J A や 農 業 技 術 普 及 課 か ら の 情 報 な ど も 参 考 に しな
がら、適期収穫に努める。
( 3)脱 渋 中 の 汚 損 果 発 生 防 止 の た め、収 穫 時、運 搬 、選 果 時 は、果 面 に 細 か い 傷
を つ け な い よ う 果 実 を て い ね い に 扱 う 。ま た 、果 実 が 濡 れ て い る と 汚 損 果 の発
生要因になるので、降雨後は果実が乾いてから収穫する。
4
台風対策
気象情報に注意し、台風対策に万全を期す。(※詳細は9月号参照)
5
農作業安全の推進
1 0 月 は 、「 ラ・フ ラ ン ス 」の 収 穫 や り ん ご の 葉 摘 み・収 穫 作 業 な ど 、高 所 作
業が多くなるため、農作業事故防止対策に万全を期す。
( 1 )脚立 は チ ェ ー ン を し っ か り か け て 使 用 し 、最 上 段 に 登 っ て 作 業 し な い。登 り
降りの際は手に物を持たず、脚立の脇やステップを掴みながら動く。
ま た 、無 理 な 体 勢 に な ら な い よ う 、こ ま め に 掛 け 替 え る よ う に し 、収 穫 作業
で は、籠 に 入 れ る 量 を 少 な め に し て、余 裕 を 持 っ て 動 け る 量 で 果 実 を 移 し 替 え
るように心がける。
( 2 ) 高 所 作 業 台 車 の 移 動 時 は 作 業 台 を 下 げ 、 周 り を よ く 確 認 し な が ら 運 転 す る。
作 業 は 必 ず 開 閉 ゲ ー ト は ロ ッ ク し て 使 用 し 、昇 降 や ス イ ン グ 時 は 、周 囲 や頭
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 7 -
上 を よ く 確 認 す る。ま た 、作 業 台 か ら の 乗 出 し、荷 物 の 載 せ 過 ぎ は 絶 対 に し な
い。
6
土壌改良
土 壌 改 良 を 行 う 場 合 は、降 雪 前 ま で に 部 分 深 耕 や 有 機 物 の 施 用 を 行 う。最 近 は 、
S S の 走 行 な ど に よ り 土 壌 が 硬 く 締 ま り 、根 の 伸 長 が 阻 害 さ れ て い る 園 地 が 見ら
れ る の で 、 積 極 的 に デ ィ ガ ー に よ る 穴 掘 り や 幹 ま わ り の た こ つ ぼ 深 耕 等 を 行 う。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 8 -
Ⅴ
野
菜
【10月の重 点事 項】
○施 設 果 菜 類 では、ハウスの保 温 管 理 を徹 底 し、収 量 の確 保 に努 める。ハウスの密
閉 管 理により、病 害が発 生しやすくなるため、早 期 防 除の徹 底を図る。
○露 地 野 菜では、収 穫 遅れのないよう計 画 的に収 穫 作 業を行う。
○無 加 温 ハウスにおける葉 菜 類 栽 培 は、翌 年 の作 付 け計 画 に支 障 が出 ないように、
計 画 的に播 種を行う。
○台 風 、大 雨 による湿 害 を回 避 するため、明 渠 や排 水 口 の確 認 等 、排 水 対 策 を徹 底
する。
1 ハウス抑制果菜類の適正管理
( 1 ) 日 中 の ハ ウ ス 内 温 度 は 25℃ を 目 標 と し て 管 理 し 、 日 照 時 間 が 短 く な る 中 旬
以 降 は、早 め の 保 温 を 心 が け る。灌 水 は 午 前 中 に 行 い、夜 間 に 余 分 な 水 分 を 残
さない。
( 2 ) 抑 制 き ゅ う り は 、 カ ー テ ン や 補 助 暖 房 機 を 設 置 し て 最 低 夜 温 10℃ 以 上 に 管
理し、追肥等で草勢を維持しながら品質を高める。
2 いちご(低温カット栽培、促成栽培)の適期管理
(1)低温カット栽培では、無仮植育苗の場合は9月下旬まで、仮植した場合は
1 0 月 下 旬 ま で が 定 植 の 適 期 と な る 。活 着 後 に 追 肥 を 行 い 、越 冬 前 に 株 の 充実
を 図 る 。 低 温 カ ッ ト 栽 培 の 温 度 は 、 で き る だ け 15℃ 以 下 に 管 理 す る 。
( 2 )促成 栽 培 は 、1 0 月 上 旬 頃 か ら 開 花 期 に 入 る た め、早 め に 病 害 虫 の 防 除 対 策
を 行 い 、 ミ ツ バ チ 等 の 訪 花 昆 虫 を ハ ウ ス に 導 入 し 、 確 実 な 受 粉 を 図 る 。 ま た、
花 房 出 蕾 期 ~ 収 穫 期 は 水 分 要 求 量 が 多 い の で 、葉 縁 の 溢 泌( い っ ぴ つ)液 の 量
を目安にして、少量多回数の潅水を行う。
3 夏秋いちご「サマーティアラ」の管理
( 1)夏 秋 栽 培「 サ マ ー テ ィ ア ラ」で は 、日 中 18~25℃、夜 間 5℃ 以 上 に な る よ う
に 内 張 り カ ー テ ン を 設 置 し て 保 温 に 努 め る 。ハ ウ ス 内 の 通 風 を 良 く し 換 気 に努
め病害発生防止に心がける。
( 2 )気 温 の 低 下 に 伴 い 、給 液 量 を 徐 々 に 減 ら す 管 理 を 行 う 。た だ し 、給 液 量 を減
ら す 場 合 は、1 日 の 株 当 た り 窒 素 供 給 量 を 考 慮 し て、給 液 濃 度 を 上 げ、草 勢 を
落とさない管理を行う。
( 3 )うど ん こ 病 等 の 病 害 が 発 生 し や す い 時 期 と な る た め、早 期 発 見、早 期 防 除 に
努める。また、出荷時に病害果の混入がないように、選別を徹底する。
4 食用ぎくの適期管理
( 1 )ハ ウ ス 早 熟 栽 培 は 、1 0 月 下 旬 ま で に ハ ウ ス 被 覆 を 行 う 。そ の 後 、挿 し 芽苗
を 株 間 15~20 ㎝ の 2 条 で 植 え 付 け る 。
( 2 )ハウ ス 抑 制 栽 培 で は 、花 芽 分 化 期 は 最 低 夜 温 13℃ 、そ れ 以 降 は 5℃ を 確 保 す
る。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
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5 無加温ハウスの利用
( 1)1 0 月 播 種 で き る 軟 弱 野 菜 と し て は 、チ ン ゲ ン サ イ 、こ ま つ な、み ず な 、ほ
う れ ん そ う、二 十 日 だ い こ ん 等 が あ る。ハ ウ ス の 利 用 体 系 を 考 え 、計 画 的 に 作
付 け し、ハ ウ ス の 有 効 活 用 を 図 る。前 作 が 果 菜 類 の 場 合、土 壌 診 断 を 行 い 肥 料
の残効による発芽・生育障害に注意する。
こ ま つ な 、ほ う れ ん そ う で は 溝 底 播 種 、不 織 布 等 の べ た が け を 併 用 す る こと
により、11月中旬まで播種することができる。
( 2)ハ ウ ス で の ね ぎ 初 夏 ど り は、1 0 月 上 旬 に 播 種 す る。品 種 は 抽 苔 の 少 な い「長
悦 」、「 羽 緑 一 本 太 」、「 い さ お 」、「 彩 揮 」を 用 い る 。育 苗 は 、ペ - パ - ポ
ッ ト ま た は セ ル ト レ イ を 用 い 、 培 土 に よ っ て 水 分 保 持 力 、 肥 効 が 異 な る の で、
種類に応じて灌水、追肥を行う。
6 促成山菜
( 1 )1 月 上 旬 収 穫 を 目 標 に し た 場 合 に は 、品 種 特 性 に 応 じ た 冷 蔵 処 理 に よ る 休眠
打破を行う。
( 2 ) う ど で は 1 0 月 下 旬 に 掘 り 上 げ 約 3 0 日 間 、2℃ の 冷 蔵 庫 に 貯 蔵 し 休 眠 打 破
を 行 う。ま た 、う る い で は 1 1 月 上 旬 に 掘 り 上 げ 水 洗 い 後、約 2 1 日 間 同 じ く
2℃ の 冷 蔵 で 貯 蔵 す る 。 伏 せ 込 み は 、 最 初 の 24 時 間 は 地 温 35℃ を 維 持 し 、そ
の 後 収 穫 ま で 20℃ で 管 理 す る 。
( 3 )たら の き は 、育 苗 を 2 ~ 4 月 に 開 始 す る と 初 年 目 の 収 量 が 高 く な る の で、育
苗 す る 前 年 の 1 0 月 に 根 株 を 掘 り 上 げ て お く 。掘 り 上 げ た 根 株 は 、水 洗 い した
後 に ポ リ エ チ レ ン 袋 で 密 封 し 、5℃ の 冷 蔵 庫 で 保 存 す る 。
( 4 )た ら の 芽を 4 月 以 降 に 促 成 す る 場 合 は 、1 1 月 に穂 木 を 採 取 し 、先 端か ら 5
~10cm の と こ ろ で 頂 芽 部 を 摘 除 し て か ら 穂 木 を 貯 蔵 す る 。 こ れ を 4 月 に 促 成
すると、頂芽を残して貯蔵した穂木よりも側芽の収量が多くなる。
7 病害虫防除の徹底
( 1 ) ハ ウ ス の 保 温 管 理 下 は 、 低 温 、 多 湿 に よ る 病 害 が 発 生 し や す い 条 件 と な る。
過湿にならないよう日中の換気に努める。
( 2 )病害 虫 防 除 は 、農 薬 のみ に 依 存 す る こ と な く、作 物 の 生 育 環 境 条 件 の 整 備 等
を組み合わせた総合的な防除に努める。
8
転作田等の排水対策
次 年 度 に 野 菜 の 作 付 け を 予 定 し て い る 圃 場 で は 、トラ ク タ ー ア タ ッ チ の サ ブ ソ
イラーやプラソイラーで心土破砕を行うなど、排水対策をしっかり行う。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
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Ⅵ
花
き
【10月の重 点事 項】
○トルコぎきょう、ダリア、花 壇 苗など秋 出し主 要 品 目 の収 穫・出 荷 期を迎 え、仕 上 げ管
理の重 要な時 期となる。施 設の温 度 管 理や病 害 虫の発 生に細 心 の注 意を払う。
○目 標 とする出 荷 時 期 ・品 質 に合 わせて、きめ細 やかな肥 培 管 理 、防 除 管 理 、灌 水 管
理、生 育・開 花 調 節を行う。
○春~夏 出し品 目の播 種 及び定 植 期にあたり、計 画 的な作 業に努める。
○ばら等 の施 設 栽 培 品 目 では、省 エネルギーや暖 房 コストの節 減 を図 るため、温 室 内
の保 温 及び循 環 扇 等 による温 度の均 一 化 、暖 房 機の点 検 整 備を行う。
1 ストックの管理
( 1 ) 秋 季 の 天 候 の 影 響 に よ り 、 開 花 時 期 が 大 き く 変 動 す る 品 目 で あ る 。 本 年 は、
昨 年 同 様 、8 月 中 旬 以 降 の 気 温 が 平 年 並 み ~ や や 低 く 経 過 し た こ と か ら 、早く
播 種 し た も の で は 花 芽 分 化 が 早 ま っ て い る 。今 後 の 気 象 条 件 に も よ る が 、平均
気 温 と 日 照 時 間 が 平 年 並 み 以 上 で 経 過 し た 場 合 、開 花 時 期 が 出 荷 計 画 よ り 早く
な る こ と が 予 想 さ れ る 。その た め 、花 芽 分 化 や 発 蕾 状 況 等 の 観 察 を 行 い、生 育
の 推 移 を 的 確 に 把 握 し な が ら 、関 係 機 関 や 市 場 と 連 携 を 密 に し て 、出 荷 計 画の
検討と調整を図る。
( 2 ) 温 度 管 理 は 、 生 育 適 温 が 20℃ 以 上 と 比 較 的 高 温 で あ る も の の 、 切 り 花 品 質
面 か ら の 適 温 は 日 中 15~18℃、夜 間 10℃ 前 後 で 、花 芽 分 化 以 降 の 夜 温 は 6~8
℃ で 管 理 す る と 、 良 好 な 切 り 花 が 生 産 で き る 。 一 方 、3℃ 程 度 ま で は 生 育 や 開
花 に 支 障 が な い た め 、早 期 開 花 が 懸 念 さ れ る 園 地 で は 、ハ ウ ス サ イ ド や 妻 面の
ビニールを大きく開けて、できるだけ低温で管理する。
( 3 )灌 水 は 茎 葉 が 地 表 面 を 覆 い 、節 間 伸 長 が 旺 盛 に な っ て き た ら 徐 々 に 灌 水 量を
減 ら す 。発 蕾 期 以 降 は 圃 場 の 保 水 力 や 品 種 を 勘 案 の う え 控 え る よ う に し て 、茎
葉と花穂の締まりの向上を図る。
2 トルコぎきょうの管理
(1)加温シェード10~11月出し栽培
1 0 月 は 主 茎 の 頂 花 の 肥 大 期 を 迎 え る。主 茎 の 頂 花 を 摘 蕾 す る と、1 次 側 枝
や 2 次 側 枝 の 花 蕾 の 発 達 が 進 み 、小 花の 開 花 揃 い が 向 上 す る 。摘 蕾 作 業 は 、頂
花 が 1 ㎝ 程 度 の 大 き さ に な る 頃 ま で 花 梗 ご と 摘 み 取 る よ う に し て 行 う 。 ま た、
主 茎 上 部 ~ 中 部 の 一 次 側 枝 は 、 切 り 花 収 穫 時 に 3~ 5 本 程 度 が 残 る よ う に 、 品
種 特 性 と 草 姿 バ ラ ン ス 等 を 考 慮 し な が ら 、主 茎 下 部 か ら 発生 し て い る 側 枝 は 取
り 除 く 。灌 水 は 、花 蕾 の 発 達 を 促 す た め に 、切 り 花 収 穫 期ま で 極 端 に 控 え な い
よ う に 管 理 す る 。 温 度 管 理 は 、 最 低 温 度 15℃ を 目 安 に 加 温 を 行 う 。
(2)加温促成6月出し栽培
9 月 上 旬 ~ 中 旬 に 播 種 し 、1 1 月 中 旬 ~ 1 2 月 上 旬 頃 ま で に 定 植 す る 加 温促
成 6 月 出 し 栽 培 の 育 苗 で は 、本葉 の 展 葉 期 を 迎 え る。水 管 理 は 、タ イ マー を 使
用 し て 、 ミ ス ト 装 置 で 行 う 場 合 は 、 1 日 2~3 回 、 1 回 あ た り 3 分 程 度 を 目 安
に 、ミ ス トノ ズ ル の 吐 出 量 に 応 じ て 灌 水 量 を 調 節 す る。底 面 給 水 の 場 合 は、播
種 し て か ら 、発 芽 が 揃 う ま で の 3 週 間 は 、培 養 土 の 表 面 が 乾 か な い よ う に す る。
本 葉 展 葉 期 か ら 定 植 ま で 、毎 日、目 の 細 か な 散 水 器 具 で、育 苗 容 器 の 上 か ら 十
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 11 -
分に灌水する。
3 ダリアの管理
( 1 )露地 栽 培 で は 、切 り 花の 収 穫 盛 期 を 迎 え る こ と か ら、計 画 的 に 芽 か き 作 業 等
を 行 い、商 品 性 の 高 い 草 姿 に 仕 上 げ る。芽 か き 作 業 が 遅 れ る と 、収穫 時 期 が 遅
れたり、花径が小さくなったり、花首が曲がったりするので注意する。
収 穫 作 業 は 、品 種ご と に 収 穫 適 期 と さ れ る 開 花 ス テ ー ジ が 異 な る た め 、生 産
組 織 等 で 作 成 し て い る 出 荷 基 準 等 に 留 意 し て 行 う 。切 り 花 後 は 、速 や か に 切り
花 品 質 保 持 剤 入 り の 生 け 水 で 吸 水 し 、花 弁 の 展 開 の 向 上 や 日 持 ち 性 の 確 保 を図
る。
( 2 ) ハ ウ ス 栽 培 で は 、 露 心 花 発 生 の 防 止 の た め 、 日 長 14 時 間 に な る よ う に タ イ
マーの設定を確認・調整する。
4
秋出し花壇苗の出荷
パ ン ジ ー・ビ オ ラ 、葉 ぼ た ん 、ス ト ッ ク の 出 荷 時 期 と な る 。数 色 の 品 種 を 組 み
合 わ せ て の 出 荷 と な る こ と か ら 、開 花 状 態 、茎 葉 の ボ リ ュ ー ム に 留 意 し て 組 み 合
わ せ る 。ま た、出 荷 先 や 出 荷 時 期 に よ っ て は 、単 色 詰め が 価 格 を 確 保 し や す い 場
合もあることから、出荷先と連携して荷姿を決定する。
ま た 、出 荷 に 際 し て は 、黄 化 し た 茎 葉 等 を 除 去 す る と と も に 、ポ ッ ト や 出 荷 用
カゴトレーの汚れを拭き取り、商品性の向上に努める。
5 その他花きの管理
( 1 )ば ら の ロ ッ ク ウ ー ル 周 年 栽 培 で は 、内 張 カ ー テ ン に よ る 保 温 と 加 温 に よ り施
設 内 温 度 が 最 低 16~ 18℃ 、 培 地 温 が 20℃ 前 後 に な る よ う に 管 理 す る 。
( 2 )アル ス ト ロ メ リ ア は 、気 温 低 下 に 伴 い 生 育 が 旺 盛 に な る た め 、葉 色 や 草 勢 を
み な が ら 追 肥 を 行 う 。 追 肥 は 、 効 果 が 持 続 す る よ う に 普 通 化 成 肥 料 を 使 用 し、
窒 素 成 分 量 で 2kg/10a 前 後 を 目 安 に 行 う 。液 肥を 使 用 す る 場 合 は 、灌 水 時 に
窒 素 濃 度 で 80~100ppm 程 度 を 目 安 に 施 用 す る 。 間 引 き は 、 株 が 混 み 合 わ ない
よう細茎や曲がり茎を中心に行い、株元まで光が入るように努める。
( 3 ) オ リ エ ン タ ル ハ イ ブ リ ッ ド 系 ゆ り で は 、 最 低 温 度 が 15℃ 以 上 と な る よ う に
保 温、加 温 を 行 う 。「 カ サ ブ ラ ン カ」で は 、茎 を 硬 く 仕 上 げ る た め に、光 を 十
分 に あ て 、 日 中 は 25℃ 以 上 に な ら な い よ う に 換 気 を 徹 底 す る 。
( 4 )収 穫 が 終 了 し た り ん ど う 等 の 宿 根 性 花 き は 、茎 葉 が 黄 化 し た ら 地 際 部 で 折り
取 り 、残 渣 は 翌 年 の 病 害 発 生 源 と な ら な い よ う 圃 場 外 に 搬 出 し 、適 正 に 処 分す
る。
6
病害虫防除の徹底
施 設 の 保 温 が 始 ま る と 、灰 色 か び 病( 各 品 目 )、べ と 病( ば ら )、白 さ び 病(き
く )が 発 生 し や す く な る た め 、暖 房 機 を 併 用 し て 空 中 湿 度 の 低 下 に 努 め る な ど の
耕 種 的 対 策 を 行 う 。ま た 、コ ナ ガ 、ア ブ ラ ム シ 、ハ ダ ニ 類 、オ ン シ ツ コ ナ ジ ラ ミ
等の害虫にも注意し、防除基準等を参考に適正防除を徹底する。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
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Ⅶ
畜
産
【10月の重 点事 項】
○寒 暖の差が大きくなるため、畜 舎 環 境を良 好に保ち疾 病 予 防に努める。
○下 牧 後の環 境の急 変を避けるため、飼 料 は2週 間 以 上かけて切り換 える。
○耕 畜 連 携により県 産 稲わらの確 保に努 める。
1 家畜の飼養管理
(1)乳用牛
高 泌 乳 牛 は 良 質 な 粗 飼 料 の 給 与 に 心 が け 、飼 料 摂 取 量 の 増 加 、栄 養 充 足 率 の向
上 に 努 め る 。ま た 、濃 厚 飼 料 と し て 、高 タ ン パ ク 、高 エ ネ ル ギ ー の バ イ パ ス タン
パ ク 質 を 多 く 含 む 飼 料 を バ ラ ン ス 良 く 給 与 す る 。乾 乳 牛 や 育 成 牛 な ど 栄 養 要 求量
が 少 な い 牛 は 、 冬 季 に 向 け 気 温 低 下 と と も に 熱 放 散 量 が 多 く な る た め 10% 程 度
増 し 飼 い す る 。哺 乳 子 牛 は 気 温 の 低 下 に 伴 っ て 消 化 器 系 や 呼 吸 器 系 の 疾 病 が 発生
し や す く な る た め 、カ ー フ ハ ッ チ 等 を 利 用 し た 別 飼 に 努 め る と と も に 、観 察 を念
入りに行い疾病の早期発見・早期治療に努める。
(2)肉用牛
こ の 時 期 は 寒 暖 の 差 が 大 き く な る た め 、子 牛 や 導 入 後 間 も な い 肥 育 素 牛 は 、呼
吸 器 系 疾 患 が 発 生 し や す く な る 。窓 の 開 閉 を こ ま め に 行 う な ど 外 気 を 入 れ る とと
もに、十分に敷料を施すことで牛舎内の温度・湿度管理に留意する。
(3)豚
豚 は 牛 に 比 べ 寒 さ に 弱 い た め 、風 が 直 接 体 に 当 た ら な い よ う コ ン パ ネ や ベ ニヤ
等 を 設 置 す る 。ま た 、子 豚 の 保 温 器 等 は 定 期 的 に 清 掃・点 検 し 、火 災 等 の ト ラブ
ル防止に努める。
2
家畜の衛生管理
細 菌 や ウ イ ル ス 性 疾 病 の 発 生 を 未 然 に 防 止 す る た め 、農 場 出 入 口 で の 車 両 等の
消 毒 、踏 み 込 み 消 毒 槽 の 設 置 、専 用 長 靴 や 専 用 衣 服 の 整 備 、ヒ ト・モ ノ の 出 入り
の 管 理 を 徹 底 す る な ど 、病 原 体 の 侵 入 と 伝 染 を 防 ぐ た め の 体 制 を 万 全 に す る 。さ
らに、畜舎内の消毒を定期的に行い、疾病の発生防止に努める。
3
草地の管理
早 春 の 追 肥 が 遅 れ が ち な 草 地 で は 晩 秋 に 追 肥 を 行 い 、 早 春 の 生 育 を 促 進 す る。
こ の 場 合 の 施 肥 量 は 、 窒 素 成 分 で 10a 当 た り 4kg 程 度 を 目 安 と す る 。
ま た 、翌 春 に 融 雪 水 の 停 滞 が 予 想 さ れ る 圃 場 に つ い て は 、天 候 を 見 計 ら っ て明
渠を設置するなど、秋のうちから排水対策を実施しておく。
4
放牧場の管理
下 牧 を 間 近 に 控 え た こ の 時 期 は 、気 象 条 件 に よ り 草 量 が 不 足 す る 場 合 が あ るの
で 、草地 の 状 況 を よ く 観 察 し、下 牧 日 程 を 調 整 す る。草 量 の 不 足 や 貯 蔵 飼 料 の 給
与が困難な場合は、関係機関、団体等と調整のうえ下牧日程を早める。
下 牧 後 は 牛 の 環 境 の 急 変 を 避 け る た め 、生 草 等 を 給 与 し な が ら 2 週 間 以 上 かけ
て 飼 料 を 切 り 換 え る 。呼 吸 器 系 疾 患 や 皮 膚 疾 患 の 徴 候 が 認 め ら れ た 際 は 、早 急に
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
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獣医師の診察を受け、牛舎内での感染拡大を防ぐ。
5
稲わらの確保
稲 作 農 家 や 関 係 機 関 と 連 携 し 稲 わ ら の 確 保 に 努 め る 。天 候 不 順 に よ り 乾 燥 した
稲わらの確保が難しい場合は、サイレージ調製など天候条件に応じた作業によ
り、できるだけ多くの県産稲わらを確保できるように努める。
6
家畜排せつ物の適正な管理と利用の促進
畜舎、堆肥舎、堆肥化処理施設及び周辺環境の点検と整備を行い、家畜排せ
つ物の適切な管理を継続する。
気 温 や 日 射 量 の 低 下 に よ り 家 畜 排 泄 物 の 発 酵 が 鈍 く な る た め 、夏 場 以 上 に 比 重
の 調 整 や 切 り 返 し に 留 意 し 、通 気 性 の 確 保 に 努 め 発 酵 を 促 す 。生 産 さ れ た 堆 肥 は
籾殻や稲わら等と交換し、水田に還元する。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
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