金沢医大後援会橘会ニュース

金沢医大後援会橘会ニュース
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№
2014.12
医学教育棟
ご挨拶
国試対策室から …………………………… 18
会 長 ……………………………………
1
学年主任から ……………………………… 21
副会長 ……………………………………
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レジデントハウスの紹介 ………………… 29
学校法人 金沢医科大学 理事長
……
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金沢医大後援会橘会会務報告 …………… 36
金沢医科大学 学長 ……………………
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金沢医大後援会橘会役員名簿 …………… 38
金沢医科大学病院 病院長 ……………
9
平成26年度金沢医科大学役職教員名簿 … 39
金沢医科大学 副学長 ………………… 10
平成25年度金沢医大後援会橘会決算書 … 42
金沢医科大学 学長補佐 ……………… 12
平成26年度金沢医大後援会橘会予算書 … 44
金沢医科大学 医学部長 ……………… 14
会員の声 …………………………………… 45
金沢医科大学 教務部長 ……………… 15
金沢医科大学 学生部長 ……………… 16
【ご挨拶】
橘会ニュース
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ご 挨 拶
金沢医大後援会橘会 会長 八木 茂夫
橘会会員の皆様には、ご健勝にご活躍の事と拝察申し上げます。又、日頃より橘会の活
動にご理解とご協力を賜りまして、深く感謝申し上げます。
さて、北陸に住む人々にとって長年の夢でありました北陸新幹線が平成27年3月14日
(土曜日)に開業致します。これで、金沢―東京間が2時間28分と日帰りが十分可能とな
り、在来線での金沢―大阪間(2時間38分)より東京までの方が速くなり、人の流れも大
きく変化しそうです。既に今年の地価上昇率の全国トップは、金沢駅周辺でした。新幹線
効果により、裏日本唯一の私立医科大学である金沢医科大学のポテンシャリティが益々
アップすると確信しています。
皆様もご存知のように、平成26年3月発表の第108回医師国家試験の結果は新卒者の合
格率が95 . 2%と地元国立大学の金沢大学を抜き、私立大学39校中13位と、過去最高の合格
率でした。既卒者を含めての全体の合格率は89 . 5%で、残念ながら90%には達しませんで
したが、合格者数は119名と全国最多合格者数となりました。
医師国家試験への取り組みは、橘会の主たる事業でもあり、合格率アップを目標として
来ましたので、本当に嬉しいニュースでございました。勿論、この結果に満足せず、これ
からも100%全員合格を最重要課題として、更に指導対策の継続を大学にお願い致してお
ります。
本年3月の第37回の卒業式にて、104人の卒業生を送り出し、卒業生は合計3,712名を数
えるに至りました。そして4月には、第42回の入学式にて109名を新たにお迎えできまし
た。その新1年生は、初めて3,000名を超える過去最多の3,264名の受験生の中から選抜さ
れ、まさに30倍を超える過酷な受験戦争を勝ち抜いて来られた非常に優秀な皆さんです。
また、研修医宿舎をはじめとして、研修環境等の充実の結果、研修医は本学41名、氷見市
民病院1名、合計42名となり、これまでの最高の人数の卒業生が本学で研修される事とな
りました。金沢医科大学が創立40年以上経ち、本学卒業生の教授、教職員も増えてまいり
ました。また本学卒業生のご子弟の入学も増えており、金沢医科大学の素晴らしい伝統と
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橘会ニュース
第43号/2014.12
誇りと絆が着実に築かれている事を、教職員、事務職員そして学生諸君を通して強く感じ
られ、頼もしい限りです。
来年の第109回医師国家試験は、今年より受験者が増加するそうです。そして、新設の
医科大学が誕生するという報道もございます。医師国家試験は、今後も、医師が不足して
いると言われながらも、易しくなるとは思えません。我々橘会の役割は、これから更に重
要になると考えております。良医を目指すにもまず医師国家試験に合格しなければなりま
せん。そのためには学生一人一人の努力が最も大事ではございますが、医師国家試験全員
合格の最終目標に向けて、有効な対策をとってご指導頂く事を大学へお願いし続けてまい
ります。 今年度の橘会総会でも、会員の皆様の生の切実な声を多数頂き、時間が不足する程でご
ざいましたが、大変有意義な総会になりました。これからも多数の皆様方の総会へのご参
加を期待し、そして意見交換を期待しております。
橘会は、これからも大切なご子弟への教育環境充実支援と医師国家試験合格率アップを
第一と考え、大学と密接に協力し、金沢医科大学の更なる躍進を願って活動してまいりま
すので、橘会会員の皆様には、変わらぬご協力とご支援を賜わります様お願い申し上げま
す。
皆様方の益々のご健勝とご清祥を心からお祈り申し上げ、ご挨拶といたします。
【ご挨拶】
橘会ニュース
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ご 挨 拶
金沢医大後援会橘会 副会長 大島 譲二
橘会会員の皆様にはご健勝にてご活躍のこととお慶び申し上げます。また平素より橘会
の活動にご理解とご協力を賜りまして心より厚くお礼申し上げます。
今年7月13日の橘会総会の懇親会でもご挨拶させていただきましたが、私たちの願いは
私たちの子弟が軽々と国家試験を突破して、良医として社会で活躍してくれることです。
その実現に向けて橘会は大学並びに北辰同窓会とも連携して全力で学生支援事業を行って
おります。
国家試験はもはや資格試験でなく競争試験となり合格者数も政策的に凡そ7,600名程に
制限されています。合格者数が変更されない限り当然受験者数が増加すれば合格率は低下
することになります。総会の折、来年は医学部の入学者枠が増えてから、初めての卒業生
が受験する年となると飯塚副学長からお話がありました。さらにここ数年の国試浪人生な
どを含めると来年は国家試験受験者が9,000人を超えると予想されます。
取りも直さず、国家試験のハードルが増々高くなるという事です。
昨年の金沢医科大学の国家試験合格率は惨憺たるものでしたが、今年は様々な問題を克
服し見事にV字回復を達成しました。大学側の臨機応変な対応や学生たちの危機感がこの
ような立派な成績をもたらせたものと父兄として、また一卒業生としてたいへん喜んでい
る次第です。
今年の合格率の発表を聞いたのは、メディカルホームステイで私がお預かりしていた学
生たちからでした。今年は一度に3人の学生をお預かりしており、当日は昼間はクリニッ
クで臨床見学をしてもらい、夜は医師会主催の講演会に参加いたしました。
私を含めて4人が横一列に並んで学術講演を聞いていると、隣の○○君が「先生、これ
見てください」と私に携帯メールを差し出してきました。そこには大変うれしい今年の第
108回の国家試験の合格率が載っていました。それからは講演をほとんど聞かずに、スマ
ホのインターネットで詳しい国試の結果を見ながら盛り上がりました。学術講演会終了後
に食事をして、そして2次会に行って乾杯を繰り返したのは言うまでもありません。
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橘会ニュース
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先輩の国試合格率が良ければ、次に続く者も自信を持つことができます。不安を持って
緊張しながら国家試験に臨むより、自信を持ってリラックスして臨む方が更に良い結果に
繋がるというものです。私のところには毎年優秀な学生だけが選ばれて来ているのかと思
うほど、メディカルホームステイに来る学生の優秀さには驚かされます。そして素直でひ
た向きな彼らの姿を見ていると何とか全員国家試験を軽々と合格させてやりたいものだと
心から思うのです。努力は裏切りません。きっと来年も良い国家試験の結果が私たちを喜
ばせてくれるに違いありません。
6年間を通じて学生を育てていくには、膨大な努力と時間とコストと情熱が必要であ
り、大学教職員が一丸となって学生教育指導に当たっております。
橘会としても北辰同窓会としっかり連携し、更にきめ細やかな学生支援ができるよう努
力して参る所存です。橘会会員の皆様方には引き続きましてご理解とご協力を賜りますよ
う心からお願い申し上げます。
最後になりますが会員の皆様のご発展と何より私たちの子弟の前途洋々たる未来を祈念
してご挨拶といたします。
【ご挨拶】
橘会ニュース
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ご 挨 拶
金沢医大後援会橘会 副会長 伊藤 順
金沢医大後援会橘会会員の皆様には益々ご健勝にてお過ごしのこととお慶び申し上げ
ます。また、日頃より橘会の事業にご理解とご協力頂き、心から御礼を申し上げます。
さて、本年度の話題はなんと言っても、医師国家試験の合格率がこれまでの過去最高の
95.2%となったことで、全国私立医科大学の平均合格率92.5%を上回りました。それに伴い
卒業生40名以上が初期研修医として本学に残り初期臨床研修を開始しています。
さらに金沢医科大学の受験者数も年々増加し、過去最高の3,200名以上を数え、本学に
とっては非常に喜ばしい事ばかりです。これもひとえに竹越襄理事長をはじめ、勝田省吾
学長、国家試験対策担当の飯塚秀明副学長、国試対策室長の堤幹宏先生(本学3期生)そ
して金沢医科大学の教職員、事務員の方々のご尽力の賜物と深く感謝申し上げます。橘会
としても国家試験対策を最重要課題と考え、大学はもちろん、同窓会とさらに密接に協力
して国試対策の充実を図りたいと考えています。医師国家試験の合格率をさらに上げて維
持していくことが金沢医科大学の名を高め、在学生、卒業生の自信と誇りとなり、さらに
同窓の結束をより高めることになり本学の発展に相乗効果となることが期待されます。
そして来年3月より北陸新幹線が開業いたしますと、関東、甲信越周辺からのアクセス
が大変よくなります。毎年7月に開催いたします橘会総会へ多数のご父兄がお集まりにな
り忌憚のない御意見を聞かせて頂き大学の教育環境の改善につながることを期待いたしま
す。最後に橘会の皆様の益々のご健康とご多幸を祈念しご挨拶とさせて頂きます。
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橘会ニュース
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橘会の皆様へ
−大学の使命についてー
学校法人 金沢医科大学 理事長 竹越 襄
常日頃の橘会の皆様のご支援に感謝申し上げます。
ご父兄の皆様方には大事なお子様方をお預かりし、皆様が無事にめでたく卒業されます
ことを全職員が願って日夜努力しておりますが、ご不満の点が多々あろうかと懸念いたし
ております。良医になるべく厳しい勉学に堪えて日夜精進されている学生には国試合格と
いう大きな目標に向かって進んで欲しいと思います。幸い今年は本学始まって以来最高の
国試合格率(新卒 95 . 2%)を出し教職員一同、快哉を叫びました。しかし昨年の惨憺た
る成績を反省しながら、どうしたらこの高い合格率を維持できるかを考えねばなりませ
ん。色々と原因はあるでしょうが、何故同じ教育をしながら毎年合格率が上下するのか多
くの要素を解析せねばなりません。やる気のある学年とそうでない学年がどうして生まれ
るかの分析です。堤教授を中心とした本学卒業生の教員が国試対策委員会を引っ張り、後
輩を指導する体制に期待するところです。また橘会から毎年多額の国試対策費を支援して
頂き有効に使用させて頂いております。改めて感謝申し上げます。
さて、平成22年度にスタートした本学のグランドデザイン計画では、40周年記念にアナ
トミーセンター、金沢医科大学氷見市民病院の新築、およびレジデントハウスなどを建設
しましたが、この度、医学教育棟が完成いたしました。その他、立体駐車場を建設し職員
の駐車にも便宜を図りました。これは患者さんの駐車が容易になるための手立てです。今
後は中央診療棟の新築を行い、更に今までの古い建物の解体・新築を10年の年月をかけて
行います。50周年記念には新装成った素晴らしいキャンパスが誕生します。しかし、これ
らの構想には多額の経費がかかります。大学の努力は勿論ですが、橘会の皆様や北辰同窓
会の皆様の絶大なるご協力が必要です。どうか皆様の温かいご援助をお願い致します。
末筆ながら会員の皆様の益々のご健勝をご祈念申し上げ、ご挨拶とさせて頂きます。
【ご挨拶】
橘会ニュース
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ステークホルダーと共に大学を創る
金沢医科大学 学長 勝田 省吾
橘会の皆様には日頃、金沢医科大学に対し色々の面でご支援、ご協力をいただき誠に有
り難うございます。心からお礼申し上げます。
私は昨年、この橘会ニュースで「学生のための教育改革―教育の質保証―」というタイ
トルで、より良い教育を目指した本学の教育改革について述べました。今回は実質的な教
育改革を進める上で重要性が指摘されている大学とステークホルダー(利害関係者)の協
働による大学創りについて述べたいと思います。最近、文部科学省も社会のステークホル
ダーの信を得られる質の高い大学を保証するシステムの確立を目指しており、ステークホ
ルダーとの協働は大学にとっての重要な課題と言えます。
大学の使命は、教育(知の継承)、研究(知の創造)、社会貢献であり、それぞれの分
野の目的によって異なるステークホルダーを有しています。これまで各大学はそれぞれの
立場でステークホルダーとの連携を進めております。大学の最も重要な使命は社会に貢献
できる人材の育成であり、その根幹は教育であります。そういう意味において、大学に
とって最も重要なステークホルダーは大学で学ぶ学生であり、学生の保護者(ご父兄)と
卒業生も主要なステークホルダーです。直接関係する医療機関や産学連携の対象となる企
業、そして地域社会はもちろん、広く社会一般も重要なステークホルダーです。また、大
学の将来にとって重要な高校生や保護者、高校の教員もステークホルダーになります。
大学の方向性や教育の在り方を考えるにあたって教職員だけでなく、実際の教育を受け
ている学生諸君やご父兄、本学で教育を受けて学内外でご活躍の卒業生の皆さんの意見を
聞くことも大切なことです。卒業生の皆さんが本学の教育や学生生活にどれだけ満足して
いたのか、医療人の立場からどういう教育が求められているかなどニーズをくみ取り、外
部の視点を改革に反映していくことも重要と考えております。
本学はこれまで学生と教員の距離が近く、アットホームな雰囲気の中で、一人ひとりと
向き合って、学生の意見も取り入れながら教育を実践してきました。これは本学の伝統と
もいうべき特長です。現状を把握しながら、きめ細かい学生支援も行っており、最も重要
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橘会ニュース
第43号/2014.12
なステークホルダーである学生達と共に歩んできております。
橘会の皆様とは、この橘会ニュースや橘会定例役員会、そして毎年7月に開催される総
会等で大学の現況報告、八木会長はじめ会員の皆様との情報交換や大学に対するご要望や
ご批判をお聞きしています。また、会員の皆様に大学の理念や方針を理解していただき、
日常的、かつ不断の交流を通して問題を共有しながら、橘会と大学の間に乖離がないよう
相互の連携に努めております。ご父兄の皆様の強い思いは、何より先ずご子弟の医師国家
試験合格だと心得ております。本学は、これからも医学教育の質の改善と教育の成果であ
る医師国家試験の合格率を高い水準に維持することを最重要課題として取り組んでいく所
存でございます。国家試験の成績は気を緩めると厳しい結果をもたらします。教職員、学
生すべてが気を引き締めて、たゆまぬ努力を続けなければなりません。今、6年生全員と
教職員一丸となって、ゴールに向かってベストを尽くしているところです。
また、学生達に新しい気風も生まれ始めております。現在、5年生の学生諸君が早くか
ら国試合格100%目指して、クラス全体で勉学に励んでいることです。先日、クラス代表
から依頼されて、第5学年の学年集会に出席し学生諸君を激励しました。私にとって初め
てのことであり、第5学年の段階で自主的にクラス全体がしっかりとゴールを見つめて努
力している姿勢を高く評価したいと思います。このようなクラス全体で取り組む気風が全
学年に及び、これまでの本学の良き伝統が更に進化し、建学の精神を基盤とした確固たる
学風・校風が創られることを期待しています。
ステークホルダーから最も信頼される教育は「学生一人ひとりの力を伸ばす教育」で
す。学生が満足できる、ご父兄が安心してご子弟を任せられる、そして、卒業生が「金沢
医科大学で学んで良かった」と心から思える、そういう大学でありたいと思っています。
これからも大学の教職員と最も重要なステークホルダーである「学生」、「ご父兄」、
「卒業生」が正に四位一体となり、ここ北陸の地で、キラリと光る金沢医科大学を目指し
て努力していきたいと思っています。
橘会の皆様には今後とも温かい、そして力強いご支援・ご協力をお願い申し上げます。
【ご挨拶】
橘会ニュース
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医学教育棟完成
金沢医科大学病院 病院長 松本 忠美
今度、本年4月より金沢医科大学病院の病院長を拝命しております松本です。後援会橘会
の皆様には、創立40周年記念事業に多大なるご協力を賜りまして誠にありがとうございます。
お陰様をもちまして、アナトミーセンター(解剖棟)、研修医のマンションであります
レジデントハウスがすでに完成し、本年9月には病院新館(病院診療棟)の横に医学教育
棟が完成します。この医学教育棟が出来ますと今までの約40年間使用してきました高学年
用の講義室(C41,C42)が新しく広くなり、11月からの学生の講義はその新しいところ
で行われることになります。気分も新たになり、すばらしい講義が行われることと期待し
て大変楽しみにしております。
又、新しい6学年用のスチューデント医局(学生の自習室)も完成し、すばらしい勉学
の環境が整います。集団的かつ、みんなで励まし合いながら行えるので6学年の勉強がよ
り活発化しはかどるものと期待しております。又、最近の医学教育においては、病院での
臨床実習が重要視される様になってきております。特に、医師国家試験におきましては、
臨床の現場で実習を受けていれば何でもなく解ける問題があり、本を勉強するだけでは解
けない問題が出題される様になってきました。又、私の経験より自分で机に向かって勉強
したことは記憶に残りにくいのですが、臨床の現場で患者さんと話したことや、指導医に
注意されたこと、教えられたことはよく記憶に残るものです。従いまして、本大学病院で
も臨床実習に力を入れており、どんどん学生を臨床の現場に引っ張り出したいと考えてお
ります。そして、医学教育棟の中には、新しい臨床研修センターが出来、すべての初期研
修医には机が与えられ、新しい仮眠室なども整い、すばらしい臨床研修の場所が出来上が
ります。新しく完成したレジデントハウスと共に、初期研修環境が整いますので、今後、
より多くの初期研修医が本学に残ることを期待しております。
どうか、皆様方の子弟を卒業後、本学の病院で初期研修、後期研修を受けて学位や専門
医を取得して、十分臨床の実力をつけてから自分の手元に帰して頂ければよろしいかと考
えております。
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橘会ニュース
第43号/2014.12
ご 挨 拶
金沢医科大学 副学長 飯塚 秀明
平成25年9月より、勝田学長の再任とともに、医師国家試験対策を主とし、教学を担当
する副学長を命ぜられました。昨年の橘会ニュースに記しましたのは、以下の文でした。
『第107回医師国家試験の結果につきましては、後援会の皆様にご心配をおかけしました
ことは慙愧の念に耐えません。今年度は、学長が日頃述べられておりますように「V字回
復」が果たせるように、教員をはじめ担当の教学職員とも一致して奮励努力していると
ころです』。第108回医師国家試験の結果は、皆様もご承知のことと思いますが、まさに
V字回復が果たせました。学生諸君が危機感を持って、学年全体で必死に取り組んでくれ
たこと、教育学習支援センター・SD医局を中心に、教職員の努力が実った結果と思いま
す。
さて、現在も昨年以上に、学生・教職員とも今まさに奮闘しているところですが、折に
ふれて話しておりますように、今年度から本格的に医学部定員増後の学年が卒業を迎える
こととなり、国試受験者は大幅に増加すると思われます。したがって、これまで以上に競
争試験としての性格が強まるものと予想されます。合格基準や、合格者数などを予想する
のが難しい状況が続くものと思います。このような厳しい状況の中で私共ができること
は、基本的な知識・技能修得の到達目標を明確にし、よい意味で国家試験を見据えた低学
年からの対策を行うことと思われます。医師国家試験合格は、建学の精神である「良医の
育成」の一つの過程ですが、最も重要な関門であり、教学を担当する教職員一同、今後も
一層の努力をする所存です。橘会の皆様の変わらぬご支援をお願い申し上げます。
【ご挨拶】
橘会ニュース
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ご 挨 拶
金沢医科大学 副学長 栂 博久
2013年9月から副学長を拝命し、1年が経ちました。この間、大学では実に多くのこと
が動き、新たな大学のあり方に向かって階段を登っているように思います。橘会の皆様に
はいつもながら多くのご支援とご協力をいただきまして、深く感謝申し上げます。
研究面では、文科省の科学研究費補助金が連続して2億円を超えており、採択件数も前
年度と比べて見劣りしない結果でした。ただ、比較的若手の採択がまだ十分ではなく、こ
ちらへのてこ入れが必要と思われます。もう一つ、特定機能病院を継続するために病院担
当医師からの英語論文が年間70編以上必要と厚労省から通知が来ました。これは、なかな
かクリアしにくい課題と思われます。臨床担当医師は多忙で、なかなか論文を書く余裕が
少ないからです。幸い、本学のここ数年の実績はこの基準に近いところまで来ており、も
う少し頑張ればというところまでは来ているようです。私が所属する科(呼吸器内科学)
もそうですが、大学院生の研究を基礎教室の先生方と共同で行うことが増えており、この
辺りのタイアップをうまく使って行けば、臨床系の若手の英語論文も増えて行くと期待で
きると思います。
学校教育法がかなり大きく改定され、平成27年4月から施行されることになりました。
学長、副学長の役割や、教授会の内容についての部分がかなり含まれており、来年に向け
て、本学の学則なども変更する部分がかなりありそうです。国が決めた方針ですが、少し
でも本学の更なる発展につながるような形で適用できたらいいと思います。この辺りにつ
いても積極的に関わって行けたらと思っております。
橘会の皆様におかれましては、従前と同様、ご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。
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橘会ニュース
第43号/2014.12
ドクター養成の極意
金沢医科大学 学長補佐/地域医療学 神田 享勉
金沢医科大学医学部は医師を養成する教育機関です。近年は、心的知性を磨くための教
育機関としての役割も担っています。1人前のドクターを養成することは、家族や周囲の
関係者の労苦と忍耐が伴うものです。ご子息、ご息女は医学部に入学しました。しかし、
明るい将来ばかりではないでしょう。大学では、留年や、事故、失恋などいわゆる想定外
の失敗を味わうかもしれません。その際にどう切り抜けるか。失敗から切り抜ける力がレ
ジリエンス(resilience;回復力)です。米国医学部入学試験であるMCATの内容が2015年
から変更となり、このレジリエンスを含めた行動決定因子を新規試験項目にしました。困
難に際して挫けないことが医学部入学の要素として考慮されたのでしょう。
レジリエンスは、誰もが高めることができるものです。運動を含めた生活態度、仲間と
の交流、情緒的サポートがプラス因子です。加えて、失敗を克服できた経験も重要です。
ではマイナスの因子は何でしょうか、発育期の有害環境です。たとえば、両親の不仲、い
じめ、貧困などのトラウマです。特に父親の役割が大切とされます。父親が厳しく躾けす
ぎ、ダメばかり言うとか、放任主義で奥様に任せっきりなどは大変なマイナス因子です。
小児期の強い有害事象は、ストレス応答システムの獲得にマイナスの影響を与え、長期間
持続するダメージを脳神経に与えるのです。ですが、ご安心ください、成人してからでも
修正は可能なのです。
修正は、支持的で愛にあふれた環境に長期間置かれることにより、自己修正能力が
作動し、レジリエンスを高めることができます(Michael Rutter著、Journal of Child
Psychology and Psychiatry、2013)。加えて、ちょっとした困難を乗り越える経験も大切
です。結果として、健康度や適応能力は格段に良好な状態へ変化するのです。現代の科学
で、遺伝子配列の変化がなくても、遺伝子発現変化は可能であることは証明されていま
す(Samra HA他、Adv Neonatal Care, 2012)。例えば若者が、「どうせおれはダメなん
だ。」と話すことがあります。このネガティブ思考はレジリエンス不足であり、両親の愛
や良好な環境によって変更可能です。遺伝子によって形成された性格は変えられません
【ご挨拶】
橘会ニュース
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が、思考や行動様式は成人してからでも変更可能なのです。
では、支持的で愛にあふれた環境とはどういう所でしょう。家庭であれば、両親が仲良
く、お互いを認め会い、子供たちは両親の愛を十分感じて育っている環境です。大学で
は、学生や教官、事務職員が一体となって、互いを尊重しあい共感できる環境です。まさ
に金沢医科大学が目指す環境なのです。学生の夢を伸ばし、人間愛を育て、共通の目標に
向かって協力する理想の大学です。今までの本学では、教官からの学生への愛情表現が充
分ではありませんでした。加えて、困難に立ち向かっている学生に注目し大切に扱ってや
れなかったのかもしれません。その弊害は、少なくない留年や国家試験合格率の低迷、そ
して研修医数の減少に現れました。現在の本学は、過去から多くを学び、レジリエンスを
高める教育を担った大学に変貌中です。
具体的に、相手が愛を感じる愛情表現とはなんでしょうか。例を3つ挙げます。1つ、
ささいなことでも言葉でほめる。2つ、みぶりで愛情をあらわす、3つ、ものやかたちで
愛情をしめす。言葉では、アイウエオです。「アー、イいね。ウーん、エ∼?、オー!す
ごいよ。」と感動の気持ちを相手に伝えることでしょう。ものとは、感謝状やサンキュー
カードなどです。感動の身ぶりを付ければ最高でしょう。相手を認め、相手が喜んでくれ
ることは、相手のみならず、褒めたひとの健康が改善されるという研究結果もあります。
希望を抱いて入学された学生すべてを、高いレジリエンスを有する医師に育てる環境作り
に、竹越理事長、勝田学長とともに邁進したいと思っています。
橘会ニュース
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第43号/2014.12
医学生に求められる医学教育:
初年次教育と臨床実習重視の流れ
金沢医科大学 医学部長/腎臓内科学 横山 仁
橘会の皆様には日頃からご配慮・ご援助をいただき誠にありがとうございます。昨年よ
り医学部長を拝命し、教務部長から引き続いて、平成25年より医師国家試験出題基準とし
ても適応されている医学教育モデル・コア・カリキュラムの要点である「卒業前臨床教育
の充実」、「地域医療」、「研究マインドの涵養」に沿ったカリキュラム充実を図ってまいり
ました。本学では、今後もこれら一連の医学教育改革・国試の動きへも素早い対応を進め
て行く所存です。
第1学年から第6学年を通したカリキュラムの充実は当然ながら、重点項目の一つは初
年次教育です。求められている学習能力(課題探求・解決能力)を磨くとともに生涯学習
(継続的学習)の端緒となる重要な学年と考えております。一方、医学生を取り巻く環境
として、医学部入学定員は平成27年度には過去最大の9,134人が予定され、18歳人口当た
り約134人に1人となりますが、震災復興や国際的医学教育の名目で新たな1校の申請準
備が認可されています。加えて欧米等における医学校教育を受けた帰国医学生の少なから
ぬ増加が見込まれております。ご承知のように、医師国家試験は、受験生のほぼ90%の合
格率となっており、実質的な「競争試験」となっています。今後とも「全員卒業、全員合
格」を目指した競争に打ち勝つ教育を日常学習の中でも進めたいと考えております。この
ためにも、第1∼4学年では、「ユニット講義」と「能動学習」を通じた知識の充実とと
もに第5∼6学年では、臨床実習での体験を基礎とした臨床的思考の訓練を十分に積んでい
ただきたいと考えています。
また、平成26年度からわが国における医学教育の国際標準化評価に関する医学教育認証
評価評議会の審査が、いよいよ始まっております。本学でもこれに対応した取り組みとし
て、すでに教育ワークショップをはじめ各担当委員会で検討を開始しております。
医学教育とくに臨床教育は、常に「理想」と「現実」のギャップがあり、これを克服す
る事が課題となっております。これからも「良医育成」のための学部教育を目指すととも
に改めて「国家試験に打ち勝つ」教育を併せ持ちたいと考えております。
今後とも、一層のご支援・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
【ご挨拶】
橘会ニュース
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本学の医学教育の特色
金沢医科大学 教務部長/皮膚科学 望月 隆
橘会の皆様には日頃から本学の教育に多大なご支援をいただき、感謝いたしておりま
す。2013年9月より横山教授の後を継いで教務部長を拝命し、勝田学長、横山医学部長の
もと、2年目を迎えております。本年も学生の皆さんが学業に打ち込み、かつ個性ある豊
かな学生生活を送ることをサポートすべく学生部とも密に連携しつつ教育に当たりたいと
考えています。
さて、過日日本医師会の医学生向け雑誌Doctoraseに「本学の教育の特色」についてコ
ラムを依頼され、少人数教育による問題解決能力の涵養、そしてクリニカルシミュレー
ションセンターでの実践的医療技術の習得など、システムを強調した内容の原稿を仕上げ
ました。特にシミュレーションセンターを使った教育では常にその向こうに患者さんの存
在を意識してもらうことで、効率的に、現場で役立つ技術の習得にあたれるのではないか
と、まとめたのです。しかし、これは私たちが教育に日頃費やしているエネルギーの全て
ではありません。何に主にエネルギーを投入しているのか、もう少し考えなくてはならな
いと思いつつ脱稿してしまいました。
ところで先日、平成27年4月採用の研修医の採用試験があり、そこで面接委員を担当し
ました。本院への志望者数は過去最高で、一次募集の段階で既に56名と研修医定員をほぼ
充足し、当初は時間もかかりそうと若干気分が重たかったのです。しかし、本院の志望理
由を聞いていくと「研修医の先輩が生き生きと働いているのを見て、ここでやっていくイ
メージが湧いてきました」「5、6年の病院実習で先生や先輩に丁寧に教わり、それを後
輩にも伝えたいと思いました」という返答を何人もから聞きました。おそらく、各々の教
員が手をかけて後進の指導に当たり、そこにかけていたエネルギーが若手医師、研修医を
経て学生に至りつつあるのでしょう。そのことを面接を通じて学生諸君から教えてもら
い、大変うれしく思いました。学生諸君を含め、一人一人の若手を、将来の同僚として丁
寧にエネルギーをかけて育てていること、これこそが本学の教育の特徴なのだと認識した
次第です。
医学教育棟の整備などハード面での充実も進んでいく中、これからもこの学生諸君の期
待を実現すべく、橘会の皆様とともに教員、事務職員一丸となって丁寧な教育にあたりた
いと考えております。
橘会ニュース
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第43号/2014.12
臨床と研究
金沢医科大学 学生部長/整形外科学 川原 範夫
私がいままで医学教育に関したいろいろな講演や文章の中で最も心に残っているのは
2002年4月16日付けの朝日新聞:私の視点での河崎一夫先生の「医学生へー医学を選んだ
君に問う」です。非常に有名なのでその文章についての感想、批評も含めて目にされた方
も多いと思います。本学でも図書館前のロビーにパネルで展示してあります。
特に引き合いに出されるのが、前半部分の「医師の仕事はテレビドラマのような格好の
いいものではない。重症患者のために連夜の泊まりこみ、急患のため休日の予定の突然の
取り消しなど日常茶飯事だ。死にいたる病に泣く患者の心に君は添えるか?」さらに「君
自身や君の最愛の人が重病に陥った時に、勉強不足の医師にその命を任せられるか?医師
には知らざるは許されない。医師になることは、身震いするほど怖いことだ。」と述べら
れています。この辺りは、現在、私も自分自身を振り返り、自問し、自戒するとき身震い
します。
ただし本文で強調したいのはその後半部分です。「医師の歓びは二つある。その1は自
分の医療によって健康を回復した患者の歓びがすなわち医師の歓びである。その2は世の
ため人のために役立つ医学的発見の歓びである。」さらに「1人の診療に10分の時間を掛
けるとしよう。1日10時間、1年300日、一生50年間働くとすれば延べ90万人の患者を診
られる。インスリン発見前には糖尿病昏睡の患者を前にして医師たちは為すすべがなかっ
た。しかしバンチングとベストがインスリンを発見して以来、インスリンは彼らが見たこ
ともない世界中の何億人もの糖尿病患者を救い、今後も救い続ける」そして「その1の
みで満足せず、その2の歓びもぜひ体験したいという強い意志を培って欲しい。」と続け
られています。最近では、CTスキャン、MRIの発明や山中先生のiPS細胞の研究は見事に
「その2」にあたると思います。
私も、自分の一生の診療時間を計算すると、せいぜいのべ40万人の患者に寄り添い、診
療するのが限界です。もちろん上記に例に挙げたノーベル賞級の研究は誰しもできること
ではありません。われわれ臨床医は目の前の患者を治療する現場での小さな臨床的な疑問
【ご挨拶】
橘会ニュース
17
でも見逃さず真剣に向き合い、解決法を考え、実践していく姿勢が大切です。私の専門の
整形外科を例にとると、例えば骨折の骨接合術でのねじの入れ方、入れる方向の小さな工
夫でもいい、人工関節の設置の工夫、もしくは安全な脊髄神経の除圧方法でもいいです。
その成績を学会で発表し、議論して行くことが大切です。学会で発表し、論文に残してい
くことによって自分の周囲の限られた患者にとどまらず日本中の、もしくは世界中の同様
の疾患になやむ患者にとって福音となっていくことは間違いありません。先人が成し遂げ
てきた業績の上に少しでも積み上げることができれば、それは医学の進歩に外なりませ
ん。
これから医師、医療人となって羽ばたいていく無限の可能性を持っている本学の学生諸
君には目の前の患者にとって「現時点での最善の治療」を行うとともに診療の場での「な
ぜ?」という疑問を逃さず、その解決法を考え、「未来の最善の治療法」につながるリ
サーチマインドを持ち続けていただ
きたいと思います。最後に、まだ読
まれていない方は河崎一夫先生の朝
日新聞のオリジナル文章を一読いた
だければ幸いです。
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橘会ニュース
第43号/2014.12
国試対策室から
平成26年度の医師国家試験対策の取り組み
国試対策室長/教育学習支援センター長
肝胆膵内科教授 堤 幹宏
橘会の皆様には、日ごろからご高配をいただき、ありがとうございます。
昨年から国試対策を担当することになりましたが、その経緯と本年度の国試対策の取り
組みを紹介するとともに、本学における教育学習支援の展望についても私見を述べたいと
思います。
従来から、図1に示しますような体制で国試対策を行ってきています。国試対策委員会
では、1年間の模試、標準試験(卒業試験)等々のスケジュールを決定するとともに、試
験問題の難易度や成績等の分析を行い、国家試験の合格率の向上に努めてきています。し
かし、6学年の学生と日々接し、様々な悩みを聞き、学習の進捗状況をチェックするとい
うことは、国試対策室あるいは国試対策委員会で行うことは不可能であったことも事実で
す。その点を考慮し、平成25年の6月に「教育学習支援センター」が新たに設けられまし
た(図2)。
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教育学習支援センターは、本来1学年から6学年までの全学生、特に成績の低迷してい
る学生を支援することを目的としたもので、1、2学年は、基礎の先生方を中心に、3か
ら6学年は、臨床の先生方が担当することになっています。実際、1、2学年の学生に関
しては、平成25年度から基礎の先生方により積極的に支援が行われてきています。しか
し、3から6学年の学生に関しては、臨床の各教室のマンパワー不足からすぐに対応する
【国試対策室から】
橘会ニュース
19
ことは不可能で、平成25年度は、国試を目前にした6学年を中心に支援することにしまし
た。
すでにご報告させていただいたように、平成22年度から6学年にはSD (Student
Doctor)医局、すなわち個人およびグループで学習できる部屋が提供されています。し
かし、1昨年までは、学年主任や国試対策室の先生方が不定期にSD医局を訪れるだけ
で、学生との接点も限られたものでした。そこで、平成25年度からは、SD医局に女性の
事務員を常在するようにし、学生達の様々な悩みや意見、問題点を吸いあげるようにし、
SD医局をより効率の良い学習環境にするための努力を行ってきています。その結果、SD
医局の雰囲気も明るくなっただけでなく、SD医局を利用する学生の数が圧倒的に増えま
した。
また、従来から、5学年の3学期に施行した標準試験の成績をもとに、下位40名の学生
を対象に、個別指導を行ってきていますが、学生と指導教官との間のコミュニケーション
は必ずしも良好とは言えませんでした。その反省をもとに、平成26年度では、指導教員を
本学卒業の先生にお願いし、先輩・後輩の関係を有効に活用することを試みています。下
位40名の学生達には、上位60名を脅かすほどになってもらいたいという意味を込めて「ご
ぼう抜きの会」と名付け、叱咤激励を行ってきています。実際、2か月後の模試で、上位
30名に躍進する学生が出てきています。しかしその一方で、当然ながら下位40名に落ちる
学生も出てきますが、そのような学生でも決して成績が落ちたわけでなく、下位の学生の
頑張りがすごかった結果、順位低下につながったことによります。上位50番程度では、気
を抜くとすぐに下位40名に入ってしまうことを学生は模試のたびに実感させられることに
なります。しかし、そのことが刺激となり、結果として、学生全体の成績の向上につな
がってきています。
もう一つ、教育学習支援センターで力を入れていることは、グループ学習をすることを
積極的に勧めていることです。成績上位の学生が下位の学生を教えるように指導していま
す。成績上位の学生が、下位の学生に教えることにより、上位の学生自身の知識の整理に
繋がりますので、決して教えることが時間の無駄にはなりません。また、下位の学生は、
教師に教えてもらうより、同程度の知識の学生に教えてもらう方がより早く理解すること
ができるのも事実です。医療はチームで行われます。グループ学習をすることにより、学
生間の団結力が一層強まりますし、指導している学生は、最後には、「下位の学生を絶対
合格させる」という気持ちになります。そして、指導されている学生にもその気持ちが伝
20
橘会ニュース
第43号/2014.12
わり、彼らはさらに勉強するようになります。この関係は卒業後も続き、かけがえのない
友情へと発展します。このことは、昨年の学生を見ていて実感したことです。平成26年度
も、そのようなグループ学習をするグループが自主的に何組もつくられることを願ってい
ます。
教育学習支援センターでは、主任の先生と相談の上、昨年度から5学年にもグループ学
習を強制的にさせるようにしてきています。週1回、金曜日の午後5時から、主に必修問
題を提供し、グループでディスカッションをしながら解くように指導してきましたが、今
年度の6学年では、下位40名の学生でも模擬試験の必修問題80点をクリアーするように
なっており、5学年でのグループ学習は有効であることが証明されてきています。平成26
年度も昨年と同様にグループ学習を行うことにしていますが、嬉しいことに、5学年の国
試対策委員から、グループ学習を成功させるために積極的に取り組みたいこと、必修問題
だけでなく一般問題も加えて欲しいとの要望がありました。このように、学生自らグルー
プ学習を行うという機運が目覚め始めてきています。「国試の合格率が100%の最初の学
年になりたい」という意気込みまで出てきており、本学では、近い将来、学生自身の力
で、100%の常連大学になることを確信しています。
学生自らが金沢医大生であることを誇りに思えるような大学にするため、これからも教
職員が一丸となって努力してまいりますので、橘会の諸兄には今後一層のご支援、ご鞭撻
をよろしくお願いします。
橘会ニュース
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学年主任から
1年生で主体的な学びをしっかり身に付ける
第1学年主任/生化学Ⅱ教授
米倉 秀人
2013年度から第1学年の学年主任を担当しております。私は2学年の授業も担当して
おりますし、第2学年主任の岩淵教授(生化学Ⅰ)は第1学年の授業も担当していますの
で、1学年と2学年で連携を取りながら、入学時から長い目で学生の皆さんを見守ってい
きたいと考えております。
1年生は、前期では一般教養科目と生命科学基礎を学習するとともに、介護施設での早
期臨床体験実習を行い、医師として必要な「人間力」を養います。医学英語が通年で開講
され、「英語力」養成にも重点が置かれています。また、「文章を読み取り、考え理解し、
伝える力」を充実させる授業にも重点を置いています。後期からは、医学部専門課程の解
剖学(人体の構造Ⅰ)と生化学(代謝と遺伝Ⅰ)が開始され、ここから本格的に医学の道
に入ります。
したがって、この学年は医学へのスタートを切る極めて重要な学年です。第1学年で医
学を学ぶ姿勢を再確認し、しっかりとした学習習慣を身に付けること、すなわち「主体的
な学び」を確立することが、高学年での学習や共用試験、医師国家試験、そして医師に
なってからの活躍をも規定するといっても過言ではないと思います。勝田学長も再三、第
1学年の重要性を強調しております。
医学部での学習は、高校での学習と比較すると、内容が広く深くなり、多くの学生の皆
さんにとって、たいへんなのは事実だと思います。進級のためには、すべての科目の合格
が必要であることから、穴のない、着実な学習が必要です。将来のためにも、学生の皆さ
んには単なる暗記に頼るのではない、科学的・論理的思考によるしっかりした「対応力」
を身に付けていただきたいと思います。そのためには、常に疑問を持って考え続けるとと
もに、労力を惜しまず地道に努力を続けていくしか道はないと思います。それには学生の
皆さん自身が明確な目標を持ち、それに向けて何が必要かを理解していることが第一に重
要です。
学生の皆さんの前には、医師・医学者としての成功への道が大きく開かれています。教
員はそれに対して最大限の援助を行います。でも、この道は本人自身の足で辿っていかな
くてはいけないのです。
引き続き橘会の皆様のご理解とご支援を切にお願い申し上げます。
橘会ニュース
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第43号/2014.12
第2学年のカリキュラムについて
第2学年主任/生化学Ⅰ教授
岩淵 邦芳
平成24年度より第2学年の主任を担当しております。第2学年では、解剖学、組織学、
生化学、生理学、病理学など、基礎医学の講義、実習が始まります。第3学年以降に学習
する臨床医学を理解するうえでの基礎知識を身につけるとともに、特に解剖学実習を通し
て入学後初めて医学の心に触れる時期でもあります。その学習量は膨大で、第1学年と比
べて格段の差があります。そのため例年、第1学年では試験で不合格を一つも出さなかっ
たのに、第2学年に入った途端にいくつも不合格を出してしまい、戸惑ったり落ち込んだ
りする学生が出てきます。
本学では、平成15年度から臓器別講義が導入されています。そのため、例えばかつては
体液生理と神経生理との2つに大きくまとめられていた生理学が、心臓血管系、呼吸器
系、腎・尿路系、内分泌・生殖器系、消化器系、脳・神経・感覚器系の6つに分けられる
ことになりました。それぞれに試験が課せられますから、学生は生理学だけで6つの試験
を受けなければならないことになります。他の科目を加えますと、第2学年全体では17の
試験が課せられることになります。そのすべてに合格しなければ、第3学年へは進級でき
ません。また4月から7月の科目数に比べて、9月以降の科目数が多い点も、学生に負担
をかけている大きな原因となっています。
1年間に17科目の試験は多すぎるというのは教員も認識しております。現在教務部は、
第2学年の学生への負担を少しでも軽減しようと努力しております。一つの例として、平
成25年度より、生理学の6つの試験はそのままながら、体液生理、神経生理のそれぞれ3
つの試験を、1つの試験として数えることとしました。さらに今後は、これまで第2学年
で講義していた科目のいくつかを、多少余裕のある第1学年に移行することも考えており
ます。
第2学年の学習は、共用試験、医師国家試験合格のためばかりでなく、将来医師となっ
た時に、患者さんの病態を理解するうえでも極めて重要です。暗記に頼るのではなく、
「なぜそうなるのか?」を自らに問いかけ、答をもとめて自ら学習するといった地道な努
力を続け、科学的・論理的に考える力を身につけてほしいと思います。医学部6年間の中
でも最も厳しい1年間ではありますが、学生全員が乗り切っていけるよう、また第3学年
に進級した時には全員が精神的に一段階成長した医学生となれるよう、教員全員で全面的
に支援したいと思っています。
【学年主任から】
橘会ニュース
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第3学年諸君へ
第3学年主任/消化器内科学教授
有沢 富康
今年度より新たに第3学年の主任を担当させていただいております。いよいよ臨床系の
講義が始まり、学生諸君は待望の疾患というものに関して触れ、学ぶことで医療人として
生きていくという実感を新たにしていることと思います。この一年間は、臨床医として生
きていく、本当の意味での第1歩であるのですから、大切に過ごしていただきたいと思い
ます。しかしながら、まず学生諸君が直面することは、学ぶことの膨大さでしょう。よく
ある質問が、何をどこまで勉強すればよいかということです。実際に、生体の複雑さ、多
様さを説明するには医学はまだまだ未熟な科学であり、原因の判らないことも多数ありま
す。それゆえ、日進月歩で新しいことが世界中で発見され、情報量は急速に増えていって
いますし、一方で原因の分からないことを理解していくということはそれなりに苦痛を伴
います。その中でいったい何をどこまで学ばなければいけないのか・・・、結局のところ
ここまでというものはないのかもしれません。最終目標をどこに設定するかにより、当然
なすべきことも変わってきますが、少なくとも医療人をめざし医学部に入学してきた学生
諸君にとっては、今学んでいることすべてが一生の財産になるわけですから、ある意味果
てしのない旅路のほんの入り口といった感じかもしれません。ただ、ひとつ言えること
は、例えは悪いかもしれませんが、行った努力に見合った、またはそれ以上の効果をあげ
る工夫も必要かもしれません。そのためには、確実であることはしっかりと知識として身
につけ、それ以降は得た知識をいかに有効に活用するかがポイントでしょうか。
現在、より実践的な医学教育が望まれてきています。その代表的なものが、臨床実習時
間の大幅な増加でしょう。それは必然的に知識を詰め込むだけのような講義の時間は削減
されることを意味します。知識は持っているだけでは意味はなく、有効に活用できてこそ
初めて意味をなします。ABCは知ってても、それだけで英語は話せません。すなわち、
知識は各自が教科書を読んで取得し、大学という場では知識を有することを大前提とし
て、有効により実践的に知識を活用することを学ぶ、そのような方向に今後は流れていく
と推定されます。第3学年は医療人として生きていく上で、最も基礎となる部分を形成す
る1年だと思います。教えられる環境から自らが自覚を持って学ぶ環境へ、学ぶことは決
して辛いことではなく、今まで知らなかったことを知ることができる素晴らしい経験だと
思います。一つのことを学ぶたびに今までとは違った自分が存在する、そのような積み重
ねが、この1年間でより医療人に近づいていく諸君を形成すると思っています。
橘会ニュース
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第43号/2014.12
記憶と知識
第4学年主任/循環器内科学教授
梶波 康二
2年ぶりに第4学年を担当させていただいております。昨年度の第3学年から持ち上が
りで2年続けてのお付き合いとなった学生が中心ですが、まさに伸び盛りの「医師の卵」
の成長を肌で感ずる喜びがあります。
第4学年は、引き続き座学ならびに実習を通じ臨床医学の基礎を学び、第5学年以降の
臨床実習に向け仕上げを行う学年です。特に学年末に行われる共用試験は、全国統一の内
容で行われることから、知識と技能に関する達成度を評価される「他流試合」と言えま
しょう。前半部分のCBTでは、コンピュータに向かって丸一日MCQ(多肢選択問題)に
取り組むとともに、後半のOSCEと呼ばれる実技試験では、模擬患者さんを前にして基本
的診察技法が試され、複数の試験官の前で「一人の医師」として振舞う態度も含めて評価
されます。
そのような第4学年の学習において重要視してほしいことがあります。それは、「記
憶」と「知識」の違いです。第3学年でスタートした臨床医学の学習では、多様な疾患に
関する実に膨大な情報の洪水にさらされます。例えば、ある疾患の症状として5項目が記
載されていた時、これを箇条書きに「記憶」することは比較的短時間で可能かもしれませ
ん。しかし、少し掘り下げて、どのようなメカニズム(病態)ゆえにその症状がみられる
のかを理解すれば、容易に忘れ去られる「記憶」から、簡単には消えない応用可能な「知
識」へとバージョンアップが期待できるでしょう。必要な情報を自らの「知識」として積
み重ねるために費やされる時間と手間は決して小さくないでしょうが、それに見合った長
期効果は保証されるはずです。試行錯誤の段階で多少の苦しみを伴ったとしても、自分自
身に適した「知識」の積み上げ方を身につけることができれば、一生の財産になることは
間違いありません。「記憶」ではなく「知識」を豊かにするよう努力してほしいと願って
います。
「良医」となるために必要な知識と技能に磨きをかけ、医療人としての将来を支える基
盤が皆に備わることを切に願い、副主任ならびに指導教員と協力しサポートを続けていく
所存です。橘会会員ならびに関係者の皆様には、今後ともなお一層のご理解とご支援をお
願い申し上げます。
【学年主任から】
橘会ニュース
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良医を育てるために
第5学年主任/耳鼻咽喉科学教授
三輪 高喜
今年度から第5学年主任を拝命しました三輪高喜でございます。金沢医大後援会橘会の
皆様には、日頃より、本学の運営ならびに学生の教育にご高配賜り、深く御礼申し上げま
す。
本学の建学の精神の筆頭に示されていますのは、「良医を育てる」であります。この精
神を肝に銘じて教員全員が、学生、研修医、若手医師の教育、研修にあたっております
が、学生にとりまして、良医になるにはまず医師にならねばなりません。さらに良医とい
うハードルをクリアするためには、医師としてのみならず人間としての高い倫理観を持つ
必要があります。第5学年の学生は、4年を費やして主に座学で医師になるための知識と
倫理観を学んできました。そして5年生の実習において、診療にあたる医師を通じて、ま
た、実習を受けさせていただく患者さんを通じて、それらを身に着けることになります。
授業で覚えた知識が間違いではなかったこと、身体や検査結果は嘘をつかないことを目の
当たりにすることにより、更に知識を確実なものにしてくれています。その証拠に、例
年、学年当初に回ってくる学生と、後半以降に回ってくる学生とでは、知識も患者さんへ
の対応も、見違えるほど違っていることがわかります。一方で、教える立場の我々も、患
者さんへの対応など、学生から見られていることを意識して診療と教育にあたらねばなり
ません。
さて、第5学年にとりましては、医師になるための国家試験が少しずつ近づいてきてい
ます。最近のデータでは、第6学年の年度初めに行われる模擬試験の成績が国家試験の成
績に反映することが明らかになっています。すなわち、5年生までの学習が非常に大切で
あることを意味しています。また、昨今の国家試験問題は、診療機器の実際の使用方法な
ど、教科書には載っておらず、実習をまじめに受けていなければ解けない問題も増えてき
ており、その意味でも5年生の実習は重要なものになってきます。また、本学の国家試験
対策としましては、実践的な実習教育に加えて、昨年から第5学年の学生に毎週1回のグ
ループ学習を開始しました。その結果として、本年の第6学年は、年度初めの模擬試験に
おいて、グループ学習の対象とした必修問題を含めて、全国平均を上回る好成績を収める
ことができました。最終的な結果は来年の国家試験の成績を見なければわかりませんが、
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橘会ニュース
第43号/2014.12
昨今の傾向からは、合格率の飛躍的な向上が得られるものと信じております。従いまし
て、本年度の第5学年の学生におきましても、夏休み明けから、前年度と同様のグループ
学習を開始しております。
私自身、学生時代は模範学生とは決して言えなかったのですが、演じきるのも良医の条
件と現在の職責をお引き受けしております。本学を卒業した医師が誰からも高い評価を受
けられるよう、教員一同、全力で向かっていきます。今後ともご指導、ご鞭撻ならびにご
協力賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
【学年主任から】
橘会ニュース
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私の回想、医師国家試験対策を振り返って
第6学年主任/糖尿病・内分泌内科学教授
古家 大祐
金沢医大後援会橘会の皆様には、日頃からご厚情を賜り深謝申し上げます。平成26年
度から第6学年主任を拝命いたしました。2年間主任を担当されました「犀川 太 副主任
(小児科学教授)」に学生へのアプローチをご教授頂きながら、「田中 達朗 副主任(泌
尿器科学教授)」、「正木 康史 副主任(血液免疫内科学准教授)」と一致団結して活動して
います。今年の6年生は、私が5学年の主任をしている時から、実習グループで臨床実習
を行いながら、実習の復習と第107回医師国家試験問題の問題を解いてきた実績がござい
ます。その成果もあって、6学年になってからもスムーズにグループ学習が実践されてい
ます。したがって、第6学年の全員が卒業して、平成25年度の医師国家試験合格率を上回
る成績を残せると自負している次第です。
私も大学を卒業して31年目になりましたが、当時の学生時代に国家試験合格に対してど
のような学習方法を実践してきたのか、記憶に残っていることを回想してみました。5年
生の時から6名で始めたグループ勉強は、苦手な神経内科を克服するために、分担して一
冊の本を読み切りました。その結果、神経疾患の理解度が向上して、臨床実習においても
得意げに担当医の先生と、受け持ち患者さんの治療に関して議論したことを鮮明に記憶し
ています。同時に、朝倉書店 内科学書をそれぞれが分担して簡潔にまとめて報告する勉
強会を1年間継続しました。その後、6年生になる前の春休みには、グループの団結を図
るため3泊4日でグループ学習を休暇村 南淡路で行いました。数台の車に便乗して、春
を感じながらのドライブ、休暇村(国家試験強化村)に到着、さすがに南淡路、既に春を
しっかり肌で感じストレスからも解放される機会を得ました。6年生となり、いよいよ過
去5年間の国家試験問題をグループで解いては誰かが解説をするシステムを、週3回、3
時間/1回のペースにて秋まで行いました。その成果もあって、グループ全員が秋の模擬
試験では高成績をおさめることが出来ました。我々のグループ学習が噂となり、夏前くら
いから他の6学年生も誰一人漏れることもなくグループ学習を開始した次第です。冬の各
診療科独自の卒業試験前には我々のグループ学習は終了しました。ここで思い出すのは、
グループ学習を解散してからのことです。何か、国家試験へ向けての意欲がうせ、気が抜
けたことです。つまり、グループで学習を継続していれば、お互いが刺激し合ってこのよ
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橘会ニュース
第43号/2014.12
うな事態を回避できたと反省しています。
今年の6年生は、様々なグループを形成しており、一人がいくつかのグループに所属し
て、それぞれのテーマに沿った国家試験対策の勉強会をやっています。担当教官として、
国家試験の直前まで気を抜かず、結束を固めたグループ勉強会を継続していくよう指導し
ていく所存です。金沢医科大学の標準試験は国家試験方式の出題ですので、今の成績がさ
らに向上して、必ず素晴らしい成績を収め「全員卒業」、「国家試験合格率95%以上」を達
成してくれると確信しています。また、橘会のご支援により11月末には新しく完成した医
学教育棟5階のSD医局に移転します。環境が変わることが契機になり、第109回医師国家
試験に向けて、日々真摯に勉学に励んでくれると期待しています。最後になりましたが、
今後ともご支援のほど宜しくお願い申し上げます。
橘会ニュース
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レジデントハウスの紹介
金沢医科大学レジデントハウスの
概要等について
臨床研修センター 部長 宮澤 克人
金沢医科大学レジデントハウス(研修医宿舎)
(以下「レジデントハウス」)の入居を開
始し、はや2年が経過しようとしています。
このレジデントハウスは、研修医確保支援の一端を担うため、研修医が初期臨床研修に
専念できる環境を提供できる宿舎として、本学テニスコート横の河北潟や白山、立山連邦
を一望とする開放的な敷地に平成24年11月に地上8階建で完成し、同年12月1日より研修
医が入居を開始し、運営が始まりました。現在、建物の総合管理については、アカシア商
会に委託(契約)しています。
建物の概要は、単身者用1LDK 53室、既婚者用2LDK 12室、この他、入居者専用の駐
車スペースとトランクルーム、カンファレンスルーム(4階)や研修会等にも利用可能な
多目的ルームの談話室(2階)を有しており、また、エントランスには宅配ボックスも設
置されるなど、研修医にとって充実した施設となっています。
平成26年9月1日現在の入居者数は、2年次研修医23名、1年次研修医28名の計51名で
あり、予定では平成27年度採用の研修医の入居によりほぼ満室となる見込みです。なお、
ここ最近、本院が臨床研修の協力病院となっている基幹型協力病院採用の研修医から、本
院診療科における研修希望が増え、受入た研修医の宿泊施設の整備が急務となったため、
協力病院からの受入専用として平成26年7月に1LDKを1室確保し、家電等の整備を行い
ました。
さて、レジデントハウスの最も気になる入居者の感想ですが、宿舎が新しく綺麗である
ことはもちろんのことですが、部屋の間取りも十分広く、全室オール電化で食洗機(2
LDKのみ)、エアコン等の機器も完備されおり、とても快適であると、住み心地につい
ても大変好評を得ています。特に研修医からは宅配ボックスが非常に便利であると大好評
です。居住している研修医からの『もっと永く住みたい』という一言に凝縮されているよ
うに、レジデントハウス宿舎の存在は研修医にとって金沢医科大学病院の魅力の一つと
なっているようです。
橘会ニュース
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第43号/2014.12
金沢医科大学レジデントハウスの概要
1.入居期間 医科研修医 初期臨床研修期間の2年以内とする。
歯科研修医 初期臨床研修期間の1年以内とする。
2.家 賃 Aタイプ:2LDK 月額 30, 000 円(既婚者用)
Bタイプ:1LDK 月額 20, 000 円(単身者用)
※家賃は当月分を当月給与から引き落とし
3.施設設備
①室内の間取り図(別添資料)
②配置物品:【バス・トイレ・洗面台・キッチン・IHヒーター・エアコン、
電気温水器(オール電化)】
※冷蔵庫、洗濯機、ベッド、カーテン、家具、他家電製品等:個人で準備
③設備:インターネット利用可(NTT フレッツ光:OCN)※プロバイダー契約済
LED照明(浴室のみ白熱電球)、ウォシュレットトイレ、フルオートバス
④セキュリティ:モニター付きインターホン、カメラ付きオートロックシステム
⑤その他:駐車場(1戸1台:65 台+来客用3台)、駐輪場、トランクルーム、
宅配ボックス
※2LDK の駐車場は2台まで駐車可能
4.公共料金
①電気料金 共用部:大学負担 各戸:入居者負担
②水道料金 全て大学負担
③NHK受信料 各戸入居者一任
④ケーブルテレビ(個人契約) 各戸入居者負担
⑤インターネット 通常契約は大学負担、別途個人契約の場合は入居者負担
⑥電話使用料 個人で固定電話設置の場合は入居者負担
⑦保険(個人用火災総合保険) 入居者負担(入居時強制契約:個人徴収)
【お問い合わせ先】 金沢医科大学病院 臨床研修センター事務課
電話(076)286 − 3511(代表)
内線 5482・5483・5484
【レジデントハウスの紹介】
橘会ニュース
31
【間取り】
レジデントハウス外観
1階 正面玄関内
トランクルーム︵全住戸分有り︶
1階
正面玄関内
宅配BOX
橘会ニュース
32
第43号/2014.12
正面玄関横 駐輪場
正面玄関前 専用ゴミ集積場
2階 談話室
玄関前連絡通路(各階共通)
4階 テニスコート横専用駐車
4階 専用駐車場側玄関 外観
4階 専用駐車場側玄関
(テニスコート横)
【レジデントハウスの紹介】
橘会ニュース
4階 専用駐車場側玄関入口
33
4階 カンファレンスルーム
4階 自動販売機コーナー
1LDK(単身者用)
1LDK(単身者用)
2LDK(既婚者用)
2LDK(既婚者用)
橘会ニュース
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第43号/2014.12
レジデントハウス利用者の声
初期臨床研修医 水沼有威子
レジデントハウスに住み始めて約半年が経ちます。シックな雰囲気で、住み心地は最高
です。いろいろご紹介したいところですが、ここでは、私のお気に入りな点を挙げたいと
思います。
まず、セキュリティシステムが充実している点です。モニター付インターホンや電気錠
システムは安心ですし、便利です。また、インターネットを工事などなしで接続でき、通
信速度も速く快適です。そして、部屋の窓から見える景色がきれいでとても好きです。河
北潟から上に遠くに向かって立山・白山を一望できます。晴れた早朝は特にきれいで、
うっとり見惚れてしまいます。夜は金沢の夜景をかじることもできます。また、何より、
同期や先輩が近くにいることです。研修の話でも遊びの話でも、すぐに会って話せる気軽
さと安心感は、何物にも代えられません。先日も、病院からの帰りが同期と一緒になり、
レジデントハウスに着いてからまだ話し足りず、そのまま同期の部屋で話し込んだりしま
した。もちろん、周りが顔見知りばかりでプライバシーがなくなるような環境を嫌う人に
は、レジデントハウスはあまりおすすめ出来ないかも知れませんが、私には合っているよ
うです。
病院での研修内容はもちろんですが、このような快適で安心できる居住環境が整えられ
ていて、私は大変恵まれていると感じます。そのことも含めて、後輩たちに金沢医科大学
病院での研修を勧める気持ちも強くなりました。恵まれていることに感謝し、今後もより
一層研修に励んでいきます。
【レジデントハウスの紹介】
橘会ニュース
35
レジデントハウスでの生活
初期臨床研修医 平井 太郎
4月からはじまった金沢医科大学での研修生活ももう半年が経とうとしています。最初
は右も左もわからない実際の医療現場に出てどうなるものかと不安が大きかったですが、
指導医の先生方や研修センターの事務の方々、また患者様に支えられて日々経験を積み充
実した研修生活を送っています。そして日々の業務を終えて、私たち研修医の多くは病院
からほど近いレジデントハウスへと帰ります。
金沢医科大学の研修医寮としてつくられたレジデントハウスは築2年で作りも新しくす
ごく住みやすい環境が整っています。病院までは徒歩2分程の距離にあり、また家賃が
2万円(単身者用の部屋)と格安であるということは研修医にとって最もありがたい点で
はないでしょうか。部屋はネット環境、冷暖房が完備してあり、またサンルームも設置さ
れています。部屋の広さも十分すぎるほどであり、まだ慣れない仕事が終わり家に着いた
時の癒しは格別です。
あと細かい点でいうと入居者用の宅配ボックスは留守の時でも荷物を届けてもらえるの
で、仕事で家に帰れなくても再配達してもらう必要がなく便利です。
また入居者の共用スペースとして、談話室やカンファレンスルームがあり、研修初めのこ
ろに先輩方が談話室で飲み会を企画して下さったりもしました。カンファレンスルームに
はパソコンが置いてあり、そこで発表用の資料を作ったり、調べものをしたりすることが
出来ます。
そして何より同期や1年上の先輩方と常に近くの環境にいることで、研修生活における
悩みや喜びも共有することができると思います。
この素晴らしい環境を最大限に活用して、今後も充実した研修生活を送っていきたいで
す。
橘会ニュース
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第43号/2014.12
金沢医大後援会橘会会務報告
平成26年度金沢医大後援会橘会総会
平成26年7月13日(日)10時から、ホテル金沢において全国各地から約140名の会員の
出席のもと、平成26年度金沢医大後援会橘会の総会、懇親会が開催された。
総会では、八木茂夫会長が議長となり、議案に基づき審議が進めら
れた。
① 第1号議案 平成25度事業報告及び収支決算報告
② 第2号議案 平成26年度事業計画(案)及び収支予算(案)
③ 第3号議案 役員の改選について
議案3の役員の改選については、本年5月末にて任期満了となる10名
の役員のうち4名が退任され6名の役員が再任された。また、新入生の父母の中から新た
に3名の役員が承認された。
その後、大学の役職教員が入場し、勝田学長以下病院長、副学長、学長補佐、医学部
長、大学院医学研究科長、教務部長・副部長、国試対策室長、学生部長・副部長、第1学
年∼第6学年主任・副主任の役職教員が紹介された。勝田学長と松本病院長から挨拶の言
葉が述べられた。横山医学部長から、昨年総会終了後から本年7月までの間に講座主任及
び教授に就任された9名の先生が紹介された。
(講座主任及び新任教授)
宮澤 克人 泌尿器科学教授(講座主任)
和藤 幸弘 救急医学教授(講座主任)
笹川 寿之 産科婦人科学特任教授
高田 久 金沢医科大学氷見市民病院脳神経外科臨床教授
東 伸明 解剖学Ⅰ特任教授
倉田 康孝 生理学Ⅱ特任教授
兼氏 歩 整形外科学臨床教授
古田 壽一 健康管理センター臨床教授
村上 望 金沢医科大学氷見市民病院一般・消化器外科臨床教授
【会務報告】
橘会ニュース
37
引き続き、金沢医大後援会橘会賞の授与式が行われ
た。栂副学長から選考経過の説明がなされた後、八木
会長から表彰状と奨励金及び副賞が授与され、受賞者
から謝辞が述べられた。
(受賞者)
脳神経外科学 助教 笹川 泰生
(脳神経外科学 飯塚秀明教授が指導)
肝胆膵内科 助教 林 伸彦
(肝胆膵内科 堤幹宏教授が指導)
最後に、大学の現況報告として、川原学生部長から「学生部活動について」、飯塚副学
長から「第108回医師国家試験結果概要と平成26年度国試対策」について説明がなされた
後、質疑応答が行われた。
会員から国試対策目的に使途を明確にした寄付制度創設の提案があった。別の会員から
も、他大学には教授会または教学の会議に学生の代表が出席するところがあり、大学と学生
が一体となっているので、本学でも検討してはどうかとの意見が出された。
また、国家試験予備校を利用し合格率を上げている大学もあると聞くが、本学はどれく
らい、また、どのように予備校を利用しているかとの質問があり、飯塚副学長から本学の
予備校利用について詳細な説明がなされた。
総会終了後、会場を移して懇親会が開催された。八木会長の挨拶の後、来賓の大学役員
が紹介され、来賓を代表して髙島副理事長からご挨拶をいただいた。その後、伊藤副会長
の乾杯の発声で懇親会が開会され、参加した会員は、各学年担当の先生方と子弟の家庭で
の状況や大学での生活状況、各科目における修得状況等について、和やかに語りあってい
た。
定刻になり、大島副会長から閉会の挨拶があり散会となった。
懇親会終了後、隣に設けた会場で、父母面談会が開催され、医学部長、教務部長、各学
年主任、副主任、指導教員が面談にあたり、事前に申し込みのあった第1学年生から第6
学年生まで80組の学生と父母が参加した。
橘会ニュース
38
金沢医大後援会橘会役員名簿
役 職
氏 名
顧 問
姫野 洋一
会 長
八木 茂夫
副会長
大島 譲二
副会長
伊藤 順
理 事
船
理 事
多賀 千之
理 事
佐伯 吉則
理 事
平川 博之
理 事
三治 秀哉
理 事
世良 憲正
理 事
能崎 純一
理 事
別府 和重
理 事
武田 純爾
理 事
玉井 学
理 事
生駒 尚秀
理 事
廣井 透雄
理 事
米田 秀志
理 事
案浦 康高
理 事
大島 隆史
理 事
堀地 肇
監 事
塩谷 隆策
監 事
正木 康史
勉
第43号/2014.12
橘会ニュース
平成26年度 金沢医科大学役職教員名簿
学
長
勝田 省吾
教授
副
学
長
飯塚 秀明
教授
脳神経外科学
副
学
長
栂 博久
教授
呼吸器内科学
学長補佐
神田 享勉
教授
地域医療学
医学部長
横山 仁
教授
腎臓内科学
看護学部長
篠原 治道
教授
解剖学Ⅱ
大学院医学研究科長
芝本 利重
教授
生理学Ⅱ
図書館長
利波 久雄
教授
放射線医学
一般教育機構長
勝田 省吾
教授
教
部
務
部
長
望月 隆
教授
皮膚科学
副 部 長
古家 大祐
教授
糖尿病・内分泌内科学
副 部 長
梶波 康二
教授
循環器内科学
副 部 長
岩淵 邦芳
教授
生化学Ⅰ
センター長
堀 有行
教授
医学教育学
副センター長
伊藤 透
教授
消化器内視鏡学
教育学習支援センター
センター長
堤 幹宏
教授
肝胆膵内科
学
部
長
川原 範夫
教授
整形外科学
副 部 長
北村 修
教授
法医学
副 部 長
川
康弘
教授
精神神経科学
副 部 長
甲野 裕之
教授
看護学部 医科学
主
任
米倉 秀人
教授
生化学Ⅱ
副主任
澁谷 良穂
教授
一般教育機構 英語
副主任
東海林博樹
准教授 一般教育機構 生物学
主
医学教育センター
生
部
学年主任
第1学年
第2学年
第3学年
第4学年
第5学年
任
岩淵 邦芳
教授
生化学Ⅰ
副主任
上田 善道
教授
病理学Ⅱ
副主任
中村 晃
教授
免疫学
主
任
有沢 富康
教授
消化器内科学
副主任
佐々木 洋
教授
眼科学
副主任
辻 裕之
教授
頭頚部外科学
副主任
川
康弘
教授
精神神経科学
主
任
梶波 康二
教授
循環器内科学
副主任
元雄 良治
教授
腫瘍内科学
副主任
北村 修
教授
法医学
副主任
堀 有行
教授
医学教育学
主
任
三輪 高喜
教授
耳鼻咽喉科学
副主任
秋田 利明
教授
心臓血管外科学
39
橘会ニュース
40
副主任
和藤 幸弘
教授
救急医学
副主任
伊藤 透
教授
消化器内視鏡学
主
第43号/2014.12
任
古家 大祐
教授
糖尿病・内分泌内科学
副主任
犀川 太
教授
小児科学
副主任
堤 幹宏
教授
肝胆膵内科
副主任
田中 達朗
教授
泌尿器科学
副主任
正木 康史
准教授 血液免疫内科学
学生支援センター
センター長
川
教授
学生保健室
室
長
中川 秀昭
嘱託教授 公衆衛生学
校
医
利波 久雄
教授
放射線医学
校
医
森本 茂人
教授
高齢医学
校
医
川
康弘
教授
精神神経科学
校
医
倉田 康孝
教授
生理学Ⅱ
校
医
西条 旨子
准教授 公衆衛生学
校
医
森河 裕子
教授
看護学部 医科学
校
看護学部 医科学
第 6 学年
課外活動支援室
生活支援室
学業支援室
教務委員会
康弘
精神神経科学
医
石橋 隆治
教授
カウンセラー
堀井 康平
臨床心理士・専任カウンセラー
カウンセラー
堀田眞理子
臨床心理士・非常勤カウンセラー
保健相談員
北川 純子
看護師
室
長
西尾 眞友
教授
薬理学
アドバイザー
津田 龍佑
講師
一般教育機構 体育学
アドバイザー
小島 正美
教授
看護学部 医科学
室
長
北村 修
教授
法医学
副 室 長
東 伸明
教授
解剖学Ⅰ
アドバイザー
土島 睦
教授
肝胆膵内科
アドバイザー
東海林博樹
准教授 一般教育機構 生物学
アドバイザー
岸邊 美幸
講師
形成外科学
アドバイザー
島崎 猛夫
講師
先端医療研究領域
室
長
古家 大祐
教授
糖尿病・内分泌内科学
アドバイザー
米倉 秀人
教授
生化学Ⅱ
アドバイザー
岩淵 邦芳
教授
生化学Ⅰ
アドバイザー
有沢 富康
教授
消化器内科学
アドバイザー
梶波 康二
教授
循環器内科学
アドバイザー
三輪 高喜
教授
耳鼻咽喉科学
委 員 長
望月 隆
教授
皮膚科学
副委員長
古家 大祐
教授
糖尿病・内分泌内科学
副委員長
梶波 康二
教授
循環器内科学
副委員長
岩淵 邦芳
教授
生化学Ⅰ
委
員
米倉 秀人
教授
生化学Ⅱ
委
員
澁谷 良穂
教授
一般教育機構 英語
委
員
東海林博樹
准教授 一般教育機構 生物学
【役職教員名簿】
学生部委員会
橘会ニュース
委
員
上田 善道
教授
病理学Ⅱ
委
員
中村 晃
教授
免疫学
委
員
有沢 富康
教授
消化器内科学
委
員
佐々木 洋
教授
眼科学
委
員
辻 裕之
教授
頭頚部外科学
委
員
川
康弘
教授
精神神経科学
委
員
元雄 良治
教授
腫瘍内科学
委
員
北村 修
教授
法医学
委
員
堀 有行
教授
医学教育学
委
員
三輪 高喜
教授
耳鼻咽喉科学
委
員
秋田 利明
教授
心臓血管外科学
委
員
和藤 幸弘
教授
救急医学
委
員
伊藤 透
教授
消化器内視鏡学
委
員
犀川 太
教授
小児科学
委
員
堤 幹宏
教授
肝胆膵内科
委
員
田中 達朗
教授
泌尿器科学
委
員
正木 康史
准教授 血液免疫内科学
委
員
横山 仁
教授
腎臓内科学
委
員
微生物学
員
教授
臨床感染症学
委 員 長
大原 義朗
飯沼 由嗣
川原 範夫
教授
委
教授
整形外科学
副委員長
北村 修
教授
法医学
副委員長
川
康弘
教授
精神神経科学
副委員長
甲野 裕之
教授
看護学部 医科学
委
員
米倉 秀人
教授
生化学Ⅱ
委
員
岩淵 邦芳
教授
生化学Ⅰ
委
員
有沢 富康
教授
消化器内科学
委
員
梶波 康二
教授
循環器内科学
委
員
三輪 高喜
教授
耳鼻咽喉科学
委
員
古家 大祐
教授
糖尿病・内分泌内科学
委
員
中川 秀昭
嘱託教授 公衆衛生学
委
員
西尾 眞友
教授
薬理学
委
員
紺家千津子
教授
看護学部 成人看護学
委
員
柳原真知子
教授
看護学部 母性看護学・助産学
委
員
中島 素子
教授
看護学部 公衆衛生看護学
委
員
前田 修子
教授
看護学部 在宅看護学
委
員
田村 幸子
教授
看護学部 総合看護学
委
員
岩井 邦充
教授
看護学部 医科学
委
員
小島 正美
教授
看護学部 医科学
委
員
森河 裕子
教授
看護学部 医科学
オブザーバー
北川 純子
看護師 学生保健室 保健相談員
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橘会ニュース
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第43号/2014.12
平成25年度 金沢医大後援会橘会 決算書
೵‫ؙ‬೙‫ؙ‬ৌ‫ؙ‬ස‫਀ؙ‬
平成26年 2 月28日現在
(単位:円)
資 産 の 部
流 動 資 産
金 額
308,437,216
負債及び正味財産の部
流 動 負 債
金 額
55,615,857
※
繰越支払資金
140,861,794
前 納 会 費
55,332,000
(内 訳)
普通預金(みずほ銀行)
43,808,475
普通預金(福井銀行)
96,240,451
普通預金(北國銀行)
572,724
普通預金(北陸銀行)
240,144
運 用 資 金
55,332,000
(内 訳)
未
払
金
正 味 財 産
283,857
552,821,359
(内 訳)
普通預金(福井銀行)
4,720,000
普通預金(北國銀行)
30,000,000
貸付金
25,390,092
普通預金(北陸銀行)
20,612,000
国試対策支援特定預金
86,853,330
授業料貸与準備積立金
300,000,000
合 計
608,437,216
貸
付
金
国試対策支援特定預金
固 定 資 産
授業料貸与準備積立金
合 計
繰越支払資金
140,577,937
25,390,092
86,853,330
300,000,000
300,000,000
608,437,216
未払金内訳は、国試対策追加支援
①授業料貸与準備積立金は、昭和58年度から平成6年度までの12回積立
内訳:福井銀行(210,000,000円)北國銀行(70,000,000円)北陸銀行(20,000,000円)
②国試対策支援特定預金は平成15年から開始
内訳:福井銀行(86,853,330円)
③※印 繰越支払資金 140,861,794円-283,857円(期末未払金)=140,577,937円
(収支決算書 次年度繰越高)
2,180,000
1,500,000
200,000
600,000
3,500,000
4,000,000
300,000
入 学 記 念 事 業 費
卒 業 記 念 事 業 費
橘会会長賞授与事業費
橘 会 賞 授 与 事 業 費
既卒者国試対策支援事業費
共 用 試 験 支 援 事 業 費
臨床研修医支援事業費
交
通
出
1,621,449 パート職員派遣料
1,204,590 出欠ハガキ代・郵送代等
1,700,000
1,200,000
222,811,111
226,503,177
合 計
前 期 繰 越 高
国試対策特定預金取崩
226,503,177
222,811,111
119,150,889 国試対策支援事業口
27,342,506 編入学 5名
119,150,889
22,800,000 新入生 109名
32,000,000
811,428 銀行預金利息収入
811,428
17,204,288 貸与返還金 5名
17,204,288
21,800,000
200,000
200,000
18,404,288
18,404,288
備 考
新入生 109名 11,400,000 編入学 5名
4,014,000 新入生 109名 編入学(0.5ケ年) 5名
20,088,000 予納会費の振替 535名
再入学生 2名 超6年 21名
35,502,000
決算額
(単位:円)
橘会ニュース
合 計
22,800,000
140,577,937
21,800,000
133,723,177
次 期 繰 越 高
578,934 慶弔費 ・ 各種手数料等
1,000,000
国試対策特定預金繰入
578,934
3,000,000
80,850 総会出欠ハガキ・封筒 印刷
103,467
100,000
100,000
232,542 サポートデスク契約
1,684,059 役員旅費交通費
2,000,000
300,000
3,918,435 総会 7/14 役員会 6/28、12/6
3,500,000
0
費
備
支
予
の
費
他
費
費
雑
の
刷
品
費
費
費
5,602,494
5,500,000
2,000,000
そ
印
耗
信
通
消
件
人
事 務 費 支 出
議
旅
費
会
会 議 費 支 出
費
2,422,039 参考書 111 名
1,100,000
会員の連絡親睦事業費
国 試 対 策 支 援 金 収 入
2,280,000 カシオ医学電子辞書 114名
授 業 料 貸 与 金 返 還 金
卒業記念品 100名
1,487,000
卒業パーティー助成金(H25)
195,300 受賞者2名 記念品 9万円 資 産 運 用 収 入
657,250 受賞者2名 賞金 40万
受
取
利
息
モーゼルグラス 20万
348,000 模擬試験受験料 13名
10,400,000
授 業 料 貸 与 事 業 費
248,000 使用実績 24.8 万円
3,924,000
5,000,000
学 生 後 援 事 業 費
20,124,000
7,837,541 パート職員派遣料等
新 入 会 員 当 年 度 会 費
内灘祭助成 100万 聴診器 228万
4,781,650 国試対策委員会助成金 150万
既 会 員 当 年 度 会 費
授業料 990万円(3名貸与)
10,373,352 生命保険料 47万円
1,211,343 橘会ニュース・名簿 作成・発送 貸 付 金 返 還 金 収 入
12,000,000
国試対策追加支援事業費
34,948,000
10,900,000
会 費 収 入
新 入 会 員 入 会 金
事 業 費 支 出
19,788,822 国試科目ビデオ、特別講義等
予算額
収 入 の 部
51,630,297
科 目
20,000,000
備 考
60,780,000
決算額
予算額
支 出 の 部
大 学 後 援 事 業 費
科 目
ઽ੍ੑ઴છ‫ؙ‬自 平成25年 3 月 1 日 ∼ 至 平成26年 2 月28日
【決算書】
43
2,200,000
合 計
会
入
既
会
員
当
年
度
会
用
収
利
入
振込依頼書・封筒印刷
100,000
1,000,000
2,000,000
費
費
232,045,937
新入生 110名分(@¥200,000)
慶弔費・香典・生花等
サポートデスク契約料
100,000
3,000,000
出欠ハガキ代・郵送代等
300,000
年
繰
越
合 計
度
高
前
国試対策特定預金取崩収入
1,200,000
パート職員派遣料
取
運
国 試 対 策 支 援 金 収 入
産
国試対策特定預金取崩収入
出席者の旅費交通費
2,000,000
受
1,700,000
総会・役員会
4,000,000
6,000,000
155,445,937
出
費
費
費
費
費
費
費
次 年 度 繰 越 高
支
出
出
業
22,000,000
備
の
品
支 通
支 事
国 試 対 策 特 定 預 金 繰 入
予
雑
印
他
信
通
刷
件
人
の
務 事 耗
交
費 議
費
消
与
費 旅
議 会
会 賞
授
橘会賞 2名 各30万
会
橘
業
会長賞 2名 (卒業式で授与)各10万 資
業
600,000
事
200,000
事
橘 会 会 長 賞 授 与 事 業 費
念
1,500,000
記
入
収 金
費
息
授業料 330万 (1名貸与)
会員名簿 50万 発送費 10万
貸 付 金 返 還 金 収 入
橘会ニュースの発行 50万
入学記念品 カシオ医学電子辞書 110名
授 業 料 貸 与 金 返 還 金
卒業謝恩会の助成金 50万
卒業記念品 100万
費
記
費
業
念
学
卒
業
入
事
1,100,000
料
員
232,045,937
140,577,937
国試対策支援事業口から追加支援として
国試対策支援事業口から
8,000,000
新入生 110名分(@¥200,000)
22,000,000
銀行預金利息
貸与金返還対象者3名
22,000,000
500,000
500,000
3,740,000
3,740,000
前納会費の振替 563名分
(内超6年在学生 15名分)
新入生 110名分(@¥36,000)
3,960,000
20,268,000
新入生 110名分(@¥100,000)
備 考
11,000,000
35,228,000
予算額
収 入 の 部
新 入 会 員 当 年 度 会 費
会
費 科 目
(単位:円)
橘会ニュース
そ
※パート職員派遣料300万円含む
内灘祭 100万 聴診器授与 250万
国試対策委員会助成 150万
費
3,300,000
与
業
費
貸
事
業
援
会 員 の 連 絡 親 睦 事 業 費
後
授
新
22,000,000
入
会 国試模試・国試科目ビデオ・生講義等
43,900,000
備 考
費
5,000,000
出
8,000,000
業
支 事
生
援
費 学
後
業 学
予算額
支 出 の 部
国 試 対 策 追 加 支 援 事 業 費
大
事 科 目
ઽ੍੒઴છ‫ؙ‬自 平成26年 3 月 1 日 ∼ 至 平成27年 2 月28日
44
第43号/2014.12
平成26年度 金沢医大後援会橘会 予算書
橘会ニュース
45
会員の声
寄 稿
第1学年父兄 滋賀県
赤井 隆
4月、娘の入学を喜び、新しい目標に向かって歩み始めた娘の成長を見守る事となった
今年は、私の人生の大きな節目ともいえる年になりました。
私は歯科医、女房は矯正歯科医の職業についているためか、娘が幼い頃から、食卓での
会話も医療関係の話題が多かったように思います。そういった環境に育ったためか、娘の
部屋のドアには、「レントゲン室」の表札が掲げてあったり、小学生時代から医療系の本
やTV番組に興味を持っていました。
人体の仕組みや生命の起源といった生物の話題に強い関心を持ち、大学受験が近づくと
医学部を目指すようになりました。
私としては、歯学の方に進んでほしい気持ちがあったのは否めませんが、一年間予備校
に通い、目標を達成しようとしている娘には何も言えませんでした。
入学後、クラブを選択するのに大変迷った様子で、3つほど兼部したいクラブがあると
話していました。早くも先輩方にいろいろと相談に乗っていただいている様子で、大学生
活を満喫しているようです。
また、この夏休みを利用してロサンゼルスのソノマ大学へ語学研修に行かせていただき
ました。大いに留学生活を楽しみ、海外の友人達もたくさん作る事ができたようです。帰
国してからは、英語の勉強に一段と熱が入って、将来は長期的な医学留学を目標に据えて
いるようです。
金沢医科大学での充実した学生生活を送る喜びを、親子共々感じております。
末筆ながら、金沢医大後援会橘会のますますの発展を祈願しております。
橘会ニュース
46
第43号/2014.12
金沢医大の経験を生かして、今
第1学年父兄 大阪府
友田 幸一
昭和52年に関西医科大学を卒業後、平成9年に金沢医科大学に赴任し、11年という歳月
を金沢の地で過ごしました。そして平成20年から再び母校に戻り今に至っています。ここ
で金沢時代のことを振り返ってみたいと思います。私が赴任した当時はすでに創立25年が
経ち、他大学からも多くの教授が就任する開かれた大学でした。そこでの11年間に地方大
学でしか経験できない多くのことを学ばせていただきました。その一つは医師不足です。
当時、地方大学が抱える大きな問題で、卒業生のほぼ7割が地元に帰ってしまい、入局者
がゼロという年が続きました。限られた教室員で日常業務をこなすのは大変なことで、医
師は専門だけとは言っておれず皆が同じように何でもこなさないと回りません。ご存じで
しょうが耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域は分野が多岐にわたり、通常、年功序列式に段階的
に手術を担当します。例えば扁桃摘出術は1∼2年目の先生が、咽頭や鼻の手術は3∼5
年目の先生が、そして専門医以降は耳や癌の手術を担当するといった具合です。私が赴任
した当時は10名に満たない医局員で年齢も皆若く、耳と癌の手術が十分にできるレベルの
医師がいない状況でした。私はこの分野の指導だけをすればよいかと思っていたら、実は
それだけでは足らず、何年か振りに扁桃の手術や鼻の手術も手伝うことになりました。ま
るで入局当初に戻った気分で猛烈に働きました。教授は書類に追われ部屋に閉じこもりが
ちなのですが、その時は初心に戻って、朝から晩までみんなと一緒に仕事をしている一体
感を覚えたものです。もう一つの貴重な経験は、都会の大学では受診する患者さんの数も
多いので、それに追われる毎日ですが、地方大学は地域医療、診療で患者さんの所へも往
診に行くことが求められます。ある患者さんを訪問したときに、「わしは、体は病めて
弱っているが、これを忍び、耐える心は今でも強いぞ」と言われたことばが今でも忘れま
せん。何もできなくても心を強く持ってもらえるように患者さんと向き合うことが、まさ
に医療の原点ではないでしょうか。技術だけではなく、慈愛の心の大切さをその時あらた
めて実感した次第です。
それから関西医大に戻って5年になります。関西医大には3つの附属病院(図1)があ
りますが、平成18年には枚方本院が新しく開院し、さらに香里分院も再建され開院し、2
年後の平成28年にはもう一つの滝井病院がリニューアルオープンします。また医局員の数
【会員の声】
橘会ニュース
47
も5倍を超える大所帯で、この教室を統括しなければならないと思うとその責任が重く肩
に圧し掛かってきた思いでした。しかし教室が大きくなると、何人かの専門チーム、グ
ループができて、それぞれが高度なレベルの医療を責任を持って提供してくれます。個人
の負担は軽くなりますが、逆に専門しかできない偏った医師になってしまいます。都会の
医師は、専門外は診てくれないという患者さんの声をよく聞きます。今、教室の中で耳鼻
咽喉科を総合的に診られる医師は限られた数しかいません。全国的にもこのような傾向に
なってきていることから「総合臨床専門医」制度が設立されようとしています。しかし各
科の中でもその科の総合診療医を育てることが必要なのではないでしょうか。私が関西医
大に着任した当初、耳鼻咽喉科の専門を極めるコースの他に、将来開業を目指す医師、特
殊な技術を習得したい医師、女性医師などのためのコースや耳鼻科総合臨床医コースなど
を設けることを計画しました(図2)。このコースは、専門医取得後約5年(計約10年)
の期間に開業医として日常外来診療の中でここまでできる、また絶対に役立つ技術、こつ
などのアウトカムベースに立った教育をします。私は主に耳領域で難聴、めまい、耳鳴な
どの感覚機能障害の教育を受け持っています。一例をあげますと、頭位めまい症の診断に
おいて、注視眼振をみながら頭位を変えることで、他の内耳疾患と鑑別できることを考案
し、忙しい外来で指1本で診察ができます。診断がつくと、薬を処方するのではなく、理
学的に頭位変換法を行い、また患者さんにも自宅でできるように指導することで早期に治
すことができます。本疾患は中∼高年齢者に多く、めまい患者の約40%の頻度といわれて
います。一般にめまいがすると安静をとらせ、めまい薬を処方するのが常識ですが、この
病気は薬に頼らず逆に頭を動かした方が早く治るのです。またメニエール病など内耳めま
い疾患も、めまいの発作期は安静をとらせますが、寛解期にはリハビリを積極的に行い、
中枢代償を促進させることが大事なのです。他にも真珠腫症は普通、手術をしないと治せ
ない病気ですが、ある軟膏を塗布することで軽症であれば完治できることや、外来診療で
鼓膜穿孔を簡単に閉鎖する方法など開業をしても必ず役立つマル秘の手技を指導していま
す。技術的指導だけではなく、感覚機能障害の患者さんは不定愁訴も多く、そのような患
者さんとのコミュニケーションの取り方も合わせて指導しています。
一方、大学の仕事として現在、私は副学長・教務部長として医学生の卒前教育に携わっ
ています。特に医学生の態度・人間性教育に重点を置いておりますが、これは理屈ではな
く、自らが実体験を通して学ぶものと信じております。私自身の金沢での経験から、都会
の大学では慈愛の心の大切さを身を持って体験できる機会が少ないように思います。1学
橘会ニュース
48
第43号/2014.12
年のオリエンテーションや総合人間医学の中で、「病気を診る前に人を診る」ことを強調
しておりますが、実際に5、6学年の臨床実習では、患者さん一人に割く時間が少ないよ
うに思います。そこで私自信が体験したように自ら出向いて行って患者さんを診る「地域
医療実習」の重要性を強調し、受け入れ施設をさらに増やす努力をしてきました。その一
つに金沢医大との繋がりを生かし、公立穴水総合病院「能登北部地域医療研究所」での実
習を昨年度から取り入れました。ここは超高齢社会(20年後の日本の高齢社会)が今すで
に実在しています。所長の中橋毅教授は、将来の医療を担う若い医師の卵達にこの状況を
実感し、これからの医療の在り方を考えて欲しいと強調されています。また僻地医療体験
で、孤島(舳倉)の診療所に行きますが、島民の「たった一人の医師がそこに居てくれる
から私たちは島を去りません」という言葉が印象的でした。患者(住民)と医師との強い
信頼関係、繋がりが理屈ではなく自然にできているのです。すべての学生が実習に行ける
わけではありませんが、今後さらにこのような実習先を増やし、できるだけ多くの学生が
貴重な体験を通して真の良医になってくれることを期待しています。
筆を終えるにあたり、金沢医科大学の未来と橘会のますますのご発展を祈念し、そして
このたび執筆の機会を与えていただいた金沢医大後援会橘会の八木茂夫会長に感謝の意を
表します。
枚方病院…本院、750 床、最先端で高度な医療を提供。
da Vinci Si の導入による Robotic surgery の開始など
滝井病院…494 床、急性期医療を担う。心臓血管病センター開設、
平成 28 年に向けたリニューアル計画など
香里病院…200 床、地域とともに歩む。「ご近所ドクター」のサ
イトを開設など
図1 附属病院
枚方病院・大学
滝井病院
香里病院
図2:関西医大における耳鼻咽喉科・頭頸部 外科の診療・研修体制 【会員の声】
橘会ニュース
49
24時間テレビマラソン(×365×6)
第1学年父兄 石川県
新傳 博文
何がきっかけかは分かりませんが、小学校のころから「お医者さんになりたい」という
夢を娘は持っていました。とはいえ、親には「医者にしたい」という特別な意志はなく、
「学業成績を見て、そのうち現実的な進路選択をするだろう」という程度でしか思ってい
ませんでした。「本気かも?!」と感じたのは大学浪人を懇願してきた時点です。
浪人生活は京都で送りました。この間、近所や町内アーケード街に友達がたくさんでき
たようです。友達の平均年齢は、― あくまで憶測ですが ― 75歳前後ではないかと思わ
れます。メル友になったり、プレゼントをもらったり、食事に誘ってもらったりと、なん
となく『懐かしの昭和』を彷彿させるふれ合いがありました。下宿を引き払う際には、お
祝いを兼ねた送別会までしていただくなど、町内の(ご高齢の)方には、かなり可愛がら
れたようです(笑)。
そういえば「ホームレスのおじさんを見ると、話しかけたくなる。」とか「店番がお年
寄りだと、買わずにいられなくなる。」とか言っていたのを思い出します。情に流される
危うさもありますが、そんな性格がお年寄りとの絆(?)をより深めたのかもしれませ
ん。私が納得できる、医師としての唯一の資質です。
最近、地域の方から声をかけていただきます。「おめでとうございます。よかったです
ね。」とか「主人も喜んでいます。ぜひ戻ってきてください。」とか・・・。さりげない会
話から過疎化や高齢化、医師不足等々、珠洲市が抱える地域事情がうかがえます。資質が
どうかは別にして、入学したからには、これらの期待に応えられるよう自己研鑽を積んで
ほしいと思います。今年度で私も妻も定年退職を迎えます。この先、家計のやりくりは大
変ですが、夢に向かうランナーに伴走する勇気と覚悟を絞り出している最中です(汗)。
医療界や医師という仕事については、本人も家族の誰もが未知の世界です。その意味で不
安はありますが、多くの方から教えていただき、支えていただきながら頑張っていこうと
思います。どうぞよろしくお願いします。
50
橘会ニュース
第43号/2014.12
美味しいものが支えてくれた受験
第2学年父兄 奈良県
戸尾ひでみ
今から2年前。高3で医歯薬予備校に通っていた娘。皆より早く8月に四国の大学の
AO入試を受けることになり、娘は急ピッチで受験の準備を始めた。娘はとにかく勉強を
頑張る。私たち両親は娘がいかに本番で力が出せるか考える。やはり、ご当地の美味しい
物を食べることか。高知では受験の前夜に予備校の先生が教えてくださったカツオの塩タ
タキを食べて笑顔で受験本番に繋げた。小さい時から美味しい物を食べるとテンションが
上がる娘は試験には手応えがあったというので発表の日を待ったが医学部受験の現実は厳
しく不合格。11月。いよいよ推薦入試が始まる。
さあ、いざ、金沢医科大学へ。不合格からの2ヶ月、勉強はやるだけやった。あとは本
番で実力発揮するのみ。高知ではカツオの塩タタキで実力が出せたことから、金沢では小
松弥助でお寿司を食べるようにと予備校講師の先生がアドバイスくださって、予約は何ヶ
月待ちもありという人気店に、半ば諦めモードで電話をしてみた。すると5日前だという
のに、受験日の前日の11時半からの2席を奇跡的に確保。弥助の為ならと早起きし、朝一
番のサンダーバードに乗り、金沢駅からタクシーを飛ばして弥助にまっしぐら。参考書の
詰まったトランクを横に置き弥助さんの握る絶品寿司に舌鼓を打ち、金沢でも美味しい笑
顔で受験当日に繋げることができました。当日は実力発揮出来たのでしょう。もしかする
と実力以上の力が出たのか奇跡的に入学を許可していただきました。やるだけやったら当
日は美味しい物を食べる作戦成功!(笑)
かくして大学生となった今も、娘は毎日美味しい日々を過ごしている様子。先生、先
輩、友達と金沢ならではの美味しい魚や野菜をたくさん食べて、テンション上げて益々勉
強頑張って良い医師になって欲しいと願う両親です。
【会員の声】
橘会ニュース
51
来春の北陸新幹線の開業に思う
第2・4学年父兄 埼玉県
石井 義則
現在、長女が4年生、長男が2年生でお世話になっております。埼玉支部の石井と申し
ます。長女の入学時に ハイブリッド医師 という題目で寄稿させて頂きました。今回も
八木会長から投稿の依頼を頂きましたので、最近、関東地区でもTVや新聞の話題に良く
上る北陸新幹線についての所感を述べたいと思います。
会員の皆様も御承知の如く、北陸新幹線は田中角栄元総理の1972年に出版された「日本
列島改造論」の中の一環として計画されました。その本意は、新幹線や高速道路の建設、
工場の再配置などで都市と農村の格差をなくし、東京圏への人口の集中を抑えることを望
んだようです。しかし、上越新幹線が開業する直前の1980年の人口を100とすれば2010年
の新潟県の人口は97、一方東京は113、我が埼玉県は133。結果として新幹線で人を吸い寄
せたのは農村よりも都市圏だったようです。
奇しくも、私が長女と同じ4年生(学2)の昭和57年に上越新幹線は開業しました。そ
れまで、新潟<=>熊谷は( 特急とき が熊谷駅を通過してしまうこともあり、また、
経済的に苦しかったこともあり) 急行佐渡 を利用し片道6時間を要しました。現在、
新幹線利用で最短90分です。母校と地元との時間的距離が1/4になり、近くなりまし
た。また、偶然にも長野新幹線開業の平成9年には、新潟県立妙高病院に勤務しておりま
した。妙高高原駅から長野駅を経由して熊谷駅までの時間が開業前後で大きく短縮された
ことが昨日のことのように思い出されます。しかし、新幹線の開通に伴う時間の短縮によ
り失ったものも少なからず感じております。上越線でのトンネル内駅の土合駅や長い清水
トンネルを越えた土樽駅を知る若者も少なくなったと思います。また、軽井沢駅と横川駅
でのディーゼル機関車の連結のための待ち合わせなどなど経験できません。所謂、移動の
際の 車窓 を楽しむ気持ちの余裕が無くなったことを強く感じます。余り公にする話で
はありませんが、新幹線開業前は、千葉まで戻る学友との帰省の際の6時間で車窓と越後
銘酒を楽しみすぎ、酩酊してしまい記憶のないまま帰宅したことが幾度かありました。移
動時間の短縮は、便利になったと解釈できる反面、気持ちに余裕が持てなくなったという
捉え方もできます。情報量も増え、学習量が増えた現在の医学部の学生は、様々なツール
が発達し、短い時間で効率よく情報収集可能になった半面、 人 として気持ちの余裕が
52
橘会ニュース
第43号/2014.12
無くなっていないのか?ということが懸念されます。
さて、先ほども述べましたように新幹線は人の流れを大きく変えてしまいます。観光や
ビジネスで石川県を訪れる人は、特急で2時間半程度の関西圏が250万人で首都圏の234万
人よりもやや多いようです。しかし、上越新幹線と特急で4時間近くかかる東京−金沢間
が、北陸新幹線開業後、2時間半に短縮することで、来年に首都圏からの来訪者が急増
する見通しを立て、石川県は500万人に倍増させる目標を掲げるようです。その実現のた
め、昨年から加賀百万石の武家文化と新鮮な日本海の幸を前面に首都圏でのPRを強化
し、女性雑誌で観光特集なども展開中で、金沢市も小気味よいキャッチフレーズ「ちょっ
と、金沢まで。」を東京メトロで宣伝しているのを目にします。
一方、 入り の反対の 出 の影響も考えられます。先日、金沢訪問の際にも駅のポス
ターに 軽井沢へ が多く見られました。数年前には思いもよりませんでした。しかし、
出 に関しては、特に、関西圏の大学が危機感を募らせているようです。現在、石川県
内の高校生の大学進学先は関西圏が首都圏よりもやや多いようです。開業後は、関西圏の
大学は学生を東京に取られかねないと考えているようです。対して、首都圏の大学は開業
を好機とみて攻勢にでており、ある大学では夏休み中に訪れる石川、富山両県内の訪問高
校数を例年の4倍に増やすとの報道もあります。開業後の人の流れは如何なるのか?に注
目しております。
最後になりますが、私が最も注目したいのは、開業後の金沢医科大学の学生構成の変化
や卒業生の動向です。これまで、2つの新幹線の開業の影響を実感した経験からも、金沢
<=>首都圏の時間の短縮は、必ずしや学生・卒業生の行動パターンの変化に繋がりま
す。ある意味、開学以来起こる最も大きな変化になると考えます。現在、大学本部が中心
に進めるハード面の充実も然ることながら、大学を支える大きな柱の一つである橘会の充
実も金沢医科大学の更なる飛躍に必要不可欠なことと確信しております。八木会長を中心
とした橘会執行部の先生方の開業後に備えた新たな行動計画に期待しております。私自
身、微力ながら可能な限りの協力をして行きたいと考えております。会員の皆様の益々の
ご活躍を祈念しております。
【会員の声】
橘会ニュース
53
雑 感
第2・5学年父兄 石川県
上田 満之
橘会ニュースへの寄稿依頼をいただき、戸惑っております。
息子も娘も金沢医科大学にお世話になっており、重い筆を取ることとしました。
現在、私は石川県内で開業していますが、勤務医時代に約3年間ほど石川県内のある
総合病院で金沢医科大学出身の先生方と一緒に仕事をさせていただきました。髭をたくわ
えていつもニコニコとされていた耳鼻科の先生。先生は大の釣り好きで医局の釣り大会を
企画開催されました。沖縄県出身の泌尿器科の先生。宴会で興に乗ると沖縄独特の口笛を
吹いて両手を頭上に掲げて左右に振り、足も踏み鳴らす踊りを披露されました。形成外科
の女医の先生。先生は幼い頃よりピアニストを目指して鍛錬を続けてこられたが、手が小
さくてピアニストをあきらめ医師に転向されたとのこと。高校時代には暴走族だった神経
内科の先生。ちょっと強面でしたが実は優しく、同じ病棟でお世話になりました。
その他、何人かの先生のお顔が脳裡に浮かびます。
性格がきつい先生や取っ付きにくい先生もおられた中で、金沢医科大学出身の先生方は
総じて、優しくて気のいい方が多かったと記憶しています。20年近く前の話ですが、楽し
い勤務医時代を過ごさせていただきました。
私が医学生だった時代と比べ、現在は膨大な医学知識を覚える必要があり、子供たちの
勉強ぶりを見ていると大変だなと思っています。
大学当局も講義や実習のカリキュラム編成に御苦労されていると思いますが、講義と
試験の日程に関していささかの疑問を感じています。1週間同じ診療科の講義を受け、
週末に試験があるようですが、知識の定着の点からはこのシステムは如何なものでしょう
か?数か月間にわたって講義を受け、その間に自分なりに知識を咀嚼反芻することで、
頭の中で知識を整理して定着するのではないでしょうか?もし体調を崩して数日、講義に
出られなかった場合は大変です。
おそらく、大学当局の先生方も熟慮を重ねた上で現行のシステムを採用されていること
と思いますが、このような意見もあることを御考慮ください。
息子も娘も医師になる希望に胸をふくらませて学生生活を送っています。これも金沢医
科大学の諸先生方や橘会の皆様の御尽力・御支援の賜物と感謝申し上げます。
橘会ニュース
54
第43号/2014.12
金沢とのご縁
第2・6学年父兄 埼玉県
小川 寧山
長女が本校入学試験の日、私の母の通夜でした。家内は入試当日の朝、金沢駅で、大学
が手配してくれたバスに娘が乗り込んだのを確かめ、急ぎ戻ってきました。私が「どんな
様子だったか」と聞きますと、「うなだれてた」との答え。数日後、結果は思いもよらぬ
合格の通知。「これはおばあちゃんのご恩だね」と、家族で抱き合って喜びました。
母は、人生の大半を腎臓病で苦しみましたが、低たんぱくの食事療法や腹膜透析で自分
の病状を管理し、主治医の教授先生が「高齢者でもこんなにできるんだという良い意味
で、症例を学会に発表したよ」とまで言って下さった優等生の患者でした。母は結婚を機
に教職をやめ、農家に嫁ぎ、大変な苦労をしました。長女と、身長も性格もよく似てい
る、心優しい母でした。私は、理不尽さに耐える母の横顔を見て育ちました。女性が、社
会で自立して生きていくためには、自分の職業をしっかり持たなければいけないと強く
思っていました。家内も同意見で、長女に医師の道を勧めました。しかし、医学部はとて
も難関です。ですから「金沢医大に拾っていただいた」というのが、親の正直な気持ちで
す。
そんな長女ですが、進級に伴って、心の成長も著しいのに目を見張ります。入学時は、
「おいしいものを食べた」とかいう話ばかりで、「医師になる」という自覚は何もない様
子でしたが、5年生の病院実習を経て、6年生になるともう別人のような意識の変化に、
親として驚かされます。新聞等で「現在の医学部教育は云々」と言われますが、一人前の
医師として育成する医学部カリキュラムには、頭が下がります。これほど体系の取れた、
また人間性も鍛え直していく教育は、私の知っている限り、日本では医学部以外ないので
はと思います。長女もこの頃は、きりっとした顔立ちで、医師の卵らしくなり、言葉遣い
も最上級生としての自信を感じさせます。親としても頼もしく思います。
先日、能登で宿坊をなさっている住職夫妻を家族で訪ねました。日本の原風景のような
里山のお寺で、いろりを囲み、ご家族と話に花が咲きました。このご住職は、長女が病院
実習で担当した患者様です。長女が病棟で「お坊様のようなお名前ですが、ご住職です
か」と聞きますと、「そうです」とのお答え。「私もお寺の子供なんです」という話を
きっかけにして、担当が終わってもよくお見舞いに伺ったようでした。何時間も話してい
【会員の声】
橘会ニュース
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るので、周りの方々は、実のお孫さんとおじいちゃんと思っていたようです。そんな子供
の縁で、私たち家族みんなでお訪ねした次第です。能登の人は、人情味があり、失いかけ
ていた「心のふるさと」ができました。
大学前のアパートから、朝「行ってきまーす」と、二人の子供が大学に向かう後姿を見
るにつけ、ぜひこの恵まれた環境で勉強できることを大切に思って、真摯に励んでほしい
と願っています。
あの大戦から70年の歳月が過ぎました。もう戦争のことを知っている人すらわずかにな
りました。今年の7月に亡くなった私の父は、子供らよりずっと若い16歳で、海軍の生徒
として入隊しました。それは「貧しい者は軍隊でしか満足な教育を受けられない」からで
した。その勉学も、いつしか人間魚雷の搭乗員としての訓練となり、そして終戦を迎えま
した。敗戦により、また平和な時代になりましたが、軍隊は消滅し、貧しい若者が学べる
機会は、皮肉にも閉ざされてしまいました。たとえ死と隣り合わせであっても、父にとっ
て「学べる喜び」は、代えがたいものでした。そんな勉学に対する渇望を生涯満たすこと
なく極楽へ行かざるを得なかった父の気持ちもぜひ汲み取って、思い切り勉強に精進して
もらいたいと思います。それが、孫としてできる祖父への供養だと思います。
最後になりましたが、金沢医大及び金沢医大後援会橘会のますますのご発展を祈念し、
父兄としても全力で支えていく所存でありますので、これからもどうかよろしくお願いい
たします。
橘会ニュース
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第43号/2014.12
若きロングスリーパーの悩み?
第3学年父兄 滋賀県
近藤 和典
最初に、日頃から、諸先生方始め、秘書室のスタッフの方々の、きめ細やかなケアに心
から感謝の気持ちをお伝えいたします。
さて、過去に遡ると、新生児の頃の娘は、冬生まれであるにも関わらず、妻は母乳を与
えるのに、夜中に一度起きる程度で、授乳が楽だったようです。
その後も、外出先でも、12時間は睡眠し続けるということも多々あり、呼吸が止まって
いるのでは?と心配して確認することも、しばしばであったと記憶しています。当時は、
睡眠医学も今ほど注目されておらず、開業当初は、年中無休で仕事に忙殺されていたとい
う事情もあり、睡眠時間が長い娘には、感謝しておりました。
ところが、高3になり、それまでは、漠然と人を助ける仕事に就きたいと言っていたの
が、医学部医学科を目指すと断言、睡眠時間を削る事のできない娘にとって、現役時代に
始まり、苦悩・苦難の浪人生活が、、、。ロングスリーパーの覚醒対策グッズの数々、目
覚まし時計は、NASA開発の転がり続ける物、愛犬の吠え声の録音できるもの、さらに
は、2500ルクスの高照度蛍光灯の光療法なども試しましたが、どれも決定打には,至ら
ず。貴学に入学が決まった時には、家族全員、感涙状態でした。
有難い事に、先生方からは、科学的・論理的思考に基づく対応力が身に付くような教育
を与えて頂き、ヨット部・クラッシック部の皆様にもよくして頂き、学生生活は充実して
おりますが、未だに、時間調整がうまくできず、悩む時もあるようです。
そんな時、生化学の先生が、娘の過去の睡眠の経緯等から、ロングスリーパーであると
診断して下さいました。
世間的には、大したハンデイキャップではないかもしれませんが、本人にとっては、救
急救命医を目指すのを断念せざるを得ないほどの危機感を感じているようです。
これからも、病気を診るだけではなく、人間そのものを診ることができる、良医を目指
し、日々、精進してくれるものと信じておりますが、ロングスリーパーとして、更に、困
難な事態にも対処していかねばなりません。
愛校心の強い娘を、今後とも引き続きご指導よろしくお願いいたします。
最後に、金沢医科大学並びに橘会の益々の御発展を祈念しております。
【会員の声】
橘会ニュース
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我が家の家族旅行
第3学年父兄 新潟県
木村 雅俊
我が家では、子供達の小さい頃から、家族全員で家族旅行を楽しんで来ました。
妻の仕事の都合上、旅行はゴールデンウィークやお盆の時期、或いは正月を挟んだ時期
となっていました。
私は新潟県上越市に住まいします。現在67歳で、建築設計事務所を経営、妻は57歳、歯
科医師で歯科医院を開業、長女も歯科医師で、副医院長として医院を手伝っております。
次女は本学に在学中で、私の母は88歳、介護付き老人ホームに入所しております。
今年の夏は、妻と子供達2人と共にシンガポールに行ってきました。17年ほど前に訪れ
た時と比べ、街の風景が非常に変わったことに驚きました。埋め立てで拡張した国土には
高層ビルが建ち並び、国民の95%が持家で極貧層はいないということです。確かに、アジ
ア諸国の街角でよく見かけた物乞いの姿は見かけません。ゴミやアジア独特の異臭も感じ
ません。ガイドの話によるとシンガポールの人口構成は、中国系76.8%、インド系7.9%、
マレー系13.9%、その他1.4%だそうです。
私達の宿泊場所は子供達の希望で決定したMARINA BAY SANDSホテル
で、3棟をつなぐ屋上のプールが特徴的なホテルです。
このホテルには先日安倍総理も訪れて、「このような統合型リゾート施設を日本にも欲
しい。」と言われたようです。ホテル施設のみならず、周辺の環境が素晴らしく、まさに
国策施設だと思いますし、中国人「華僑」の力を思い知らされた感があります。
シンガポールの休日には、運河の周辺にある公園は若い女性達で溢れています。アイス
クリームを片手にベンチに腰掛け、何やらお互いに情報交換をして、長い時間を過ごして
いるそうです。彼女達のほとんどがフィリピンからの出稼ぎ労働者で、主にメイドとして
働いて生計を立て、シンガポールで得た収入を、故郷のフィリピンへ仕送りしているのだ
そうです。ともかくその勢いには驚かされます。
一方、少子高齢化が急速に進む日本を振り返ってみると、次世代への展望が見えにくい
ように感じます。戦後生まれの私には、日本社会の仕組みの問題点が見えてきます。行政
に関わった仕事をすると、官僚の天下りと利権の構図が一部の特権層を生み、東京と地
方、県庁所在地とその地方の経済格差が生まれ、その経済格差が地方に生まれた子供達の
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橘会ニュース
第43号/2014.12
教育格差につながり、地方の社会基盤を発展から遠ざけてしまっているのではないかと思
われます。限界集落、農耕放棄地などが顕著な現象として現れ、多方面にわたってかつて
の常識が覆される社会が、モーレツな勢いで迫ってくる気がします。言葉では地方の時代
と言われてもう随分時間が経った気もしますが、少しもその環境が変化してきたとは思え
ません。私が感じる一番大きな問題点は、地方といわれる地域に「人」がいない事はもと
より、若い働き手にかつて見られた将来に向かっての「大志」が見られないことです。彼
らには、自分の生活や家族の生活が、自分の仕事にかかっているという自覚が乏しいよう
です。昨今の言葉で言えば「草食系」とでも言うのか、勿論全てではありませんが、とり
あえず親元に住めば食べる事には困らず、勤めれば、時間から時間まで労働基準法とやら
に守られます。結婚も出来ず、自分の足で立つ生活を諦めてしまっています。次代を担わ
なければならない地方の青年達がこの様では、地方の時代も来る筈がないように思います。
お話が我が家の家族旅行から離れてしまった様なので、元へ戻すことにします。
本学でお世話になっている友紀を医師の道へ進む気持ちにさせたのも、この家族旅行が
動機付けになった様に思います。
それは、彼女が小学六年生の時、家族でフィリピンのセブ島を訪れた時の事でした。
ガイドの案内でサン・アグスチン教会を訪れました。40∼50人ほども居たかと思います
が、大勢の子供達が、観光客を相手に物売りをしていました。私達に寄って来る男の子達
に混じって、赤く細長い蝋燭を大事そうに持った小さな女の子がいました。着ている衣類
はボロボロでいくつもの穴があき、手足は痩せ細り、年齢は5歳∼6歳位かに思えまし
た。私達にそっと近着き、赤い蝋燭を差出し、何をしゃべるでもなく、うつむいたまま
じっと私達の傍にいるのです。ガイドはそれを制止し、見ていた友紀は、現実のあまりの
悲惨な光景に驚き、声も出なかった様子でした。「先を急ぎますよ。」というガイドの声
で、その子を振り切り、あわててガイドについて行きました。その場を逃げるように車に
乗り込み、次の観光地へと向かいましたが、後ろ髪を引かれる思いが残りました。ホテル
に帰ってからもその女の子のことが頭から離れず、友紀は夜も眠れなかったようです。翌
朝、「私の持って来た服の中の一番小さい服を、昨日の女の子にあげたい。」と友紀に言わ
れ、私たちはその日のスケジュールを変更して、サン・アグスチン教会へもう一度行くこ
とにしました。
サン・アグスチン教会の前でガイドの助けを借り、女の子捜しが始まりました。簡単に
は見つからず、ガイドにチップを渡し、調べてもらった話によると、「この子供達(スト
【会員の声】
橘会ニュース
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リートチルドレンと言う)を世話している教会のシスターが居るから、その人に聞いてみ
たら見つかるかも知れない。」と言うことでした。「この子供達は、親の無い子も多く、夜
は道路の側溝で寝泊まりし、物売りをした僅かの収入と教会のシスターからの施しで命を
繋いでいる。勿論病気になっても治療は受けられず、成人になれるのはよほど運の良い子
供だ。たとえ成人になっても、女の子は売春婦、男の子は犯罪者の手先となって、その日
暮らしがほとんどだ。」とガイドに聞かされました。
夕方になり諦めて帰ろうとした頃になって、シスターが「この子ですか?」と連れてき
てくれたのが昨日の女の子でした。やっと見つかりました。友紀は急いで用意してきた自
分の洋服をその子に渡すと、その子はその場ですぐに着替え、とても喜んでいました。私
たちはその子に多少のお金を渡したいと考えていましたが、大勢の子供たちに取り囲ま
れ、皆が手を出して、むしり取られるような状態になってしまいました。ガイドも「その
女の子にだけお金を渡せば、その子が後で皆にいじめられる。」と言うので、その女の子
から赤い蝋燭を買って、少し多めにお金を支払ったというだけになりました。
走って追いかけてくる子供たちを振り切り、やっとの思いで車に逃げ込み、教会を後に
しました。そして私達家族は、気持ちに何か温かい物を感じながら、セブ島を離れること
になりました。
ところが帰国してからも、名前すらわからないこの女の子が気がかりで、あの生命力の
無さそうな子があの国で生きていけるのか、とても心配でした。手がかりとなるのは、友
紀のあげた服を着た女の子と一緒に撮った一枚の写真だけです。私達は地元の教会へ出向
き、セブ島での出来事を神父様にお話しし、僅かばかりの寄付を申し出ました。そしてサ
ン・アグスチン教会の神父様に手紙を書いていただいたり、旅行社に協力を求めたりして
捜してもらいましたが、結局女の子を見つけることはできませんでした。
それから3年の月日が流れ、私たちはやっとその子の生活状況を知る事となりました。
ダイビングでセブ島を訪れていた方が、サン・アグスチン教会の周辺を聞きまわり、見つ
け出してくれたのです。
彼女の名前はイサマリといい、両親と姉の4人でスラムに住んでいました。あの体つき
のきゃしゃで弱々しかった女の子は11歳で、写真で見るととても元気そうで安心しまし
た。ただ、年齢からすると、小学校の学年は2年遅れています。父親は身体障害者で働け
ず、家族は物売りで僅かのお金を得てはいますが、経済的な理由で、義務教育といえども
学校に行けなかったのでしょう。「深入りはしない方が良い」と神父様からアドバイスを
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橘会ニュース
第43号/2014.12
受けましたが、私達にすれば、僅かなお金で学校へ行けるとのことなので、彼女が小学校
を卒業するまでにかかる費用と、彼女が働かずに学校へ行っても家族が生活できるよう、
一家の生活費を支援することにしました。
その1年後、友紀の高校受験も終わったということで、5月の連休に再び家族でセブ島
の旅行を計画しました。友紀は自分の小さい頃からの洋服を2つの大きなボストンバッグ
いっぱいに詰め込んで、イサマリに渡すため持参することにしました。本当に会う事が出
来るのか不安が募りましたが、イサマリを見つけてくれた方に手を貸してもらい、その家
族に会うことが出来ました。
友紀が持参したボストンバッグを彼女に渡すと、彼女は町の広場に持って行き、自分の
仲間を呼び集めて、持参した洋服をみんなに配り始めました。彼女のために持参したのに
と思いながらもその光景を見て、みんなでお互いに協力して生きているんだという彼女達
の生き方を学んだ気がして、気持ちがまた温かくなりました。
その後、イサマリに「私の家に来て」と誘われました。ガイドには「危険だから」と止
められましたが、昼間でもあり、ガイドを含めて大人(男子)が3人居るので、行ってみ
ることにしました。そこは借家だそうですが、ベニヤで作った2階建の箱、はしごも無く
2階は別の人の家、平面的にはベニヤ3枚ほどはあったかと思いますが、壁はベニヤ1
枚、天井の高さは大人が腰をかがめてようやく立てる高さ、雨が降れば当然床まで濡れてし
まうという状態でした。入り口に建具は無く、外を鶏が一羽駆け回っていたのが印象的でし
た。居合わせたお隣の住人らしき人にじろじろ見られ、変な奴が来たと思われた様でした。
早々に子供達を連れてホテルへ戻りました。イサマリはプールに入ったことがないとい
うので、イサマリ姉妹と友達の水着を買ってホテルのプールに連れて行きました。ホテル
のガードマンにチップを渡し、ようやくプールに入れてやることが出来ました。イサマリ
も友紀も大喜びではしゃいでいました。
イサマリを帰して、翌日私達はセスナ機をチャーターして、離島のホテルに昼食と海水
浴に出かけました。パイロットのサービスで友紀は初めてセスナ機を操縦する経験をしま
した。小一時間のフライトでしたが、友紀は貴重な経験をすることができました。友紀
ちゃんパイロットの誕生です。
セブ島の子供達の事を思うと、これで良いのかと矛盾を感じながら、フィリピンを後に
しました。この子供達との出会いが、友紀の「人生の職業」として医師を志すきっかけに
なった様で、友紀の成長を見るにつけ、世界の子供達に幸せあれと祈っています。
【会員の声】
橘会ニュース
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2度目ですみません
第4学年父兄 石川県
碓井 貞成
息子が入学した年に一度投稿させて戴いたので、今回橘会から再度原稿依頼を受け、何
かの間違いかと当惑。しかし人生顧みて、自分の勘違いとか失念はあっても、事務局の手
違いということはまずなく、理由を聞くのも失礼と思い観念しました。それから2週間、
なかなか書けません。依頼文を読み返すと会員間の連絡、親睦を図りとありますが、ご依
頼に沿えるかどうかはわかりません。橘会ニュースを過去4冊を読み直して見ましたが、
親の想いが切々と伝わってきます。私も入学時から想いはずっと一緒、前回書き尽しても
う書くことがないというのが本音、学年が進み国家試験が近づいてくると、ますます思い
は重く切実になってきます。これは卒業まで国家試験に合格するまで続くのでしょうね。
最近見聞したことを書くことにします。
北陸新幹線の開業日が3月14日、2時間28分で東京へと発表されましたが、最近お引き
受けした役職で上京する機会が頻繁に増え、北陸に住む者にとっては本当に待ちに待った
新幹線であることを実感しています。関東圏出身の方のご父兄も同感のことと思います。
数年前から上京するようになって思うことは、知己が増え沢山の情報と刺激をいただける
ようになりました。金沢の町はそれなりに文化都市でもあり、観光地でもあり、雨は多い
が雪はそれほど降らず、そんなに生活の不自由は感じず、のんびりと過ごせる街です。し
ばらく田舎にこもっていても、何も逆に刺激がなく、10年20年あっという間に過ぎて暮ら
してきました。つくづくのんびり暮らせてよかったと思っておりますが、その反面のんび
りしすぎたという反省もあります。田舎暮らしには一長一短あります。東京に着いて雑踏
に紛れ一息、いろいろ情報を詰め込んで疲労困憊であわただしく最終便で帰宅、自宅の枕
でゆっくり休んでいます。
先日も厚労省へ行く機会がありました。介護保険制度の改正法案が国会ですでに通過
し、27年4月には地域包括ケアシステムが始まります。介護療養型医療施設の廃止(平成
30年3末)や介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の利用対象を原則要介護3以上と
することなどが言われています。医療や介護を必要とする者への在宅対応のしくみづくり
が不可欠です。地域包括ケアはこの原稿を書いている26年8月の段階では厚労省の担当者
が言うほどまだ地域の医師会まで具体的な話が来ているように思えないのですが、医療・
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橘会ニュース
第43号/2014.12
介護の連携であったり、認知症対策であったり、他職種連携をはかる地域ケア会議であっ
たり、予防介護であったりします。医療特に地域医療を取り巻く環境は大きく変化し、介
護に 包括 されて飲み込まれてしまうのではないかと懸念しています。
自分自身も医療系専門学校の一介の教育者でもあるので、考えてしまうこともありま
す。いい素材であっても同じ素材であっても、一定の刺激がなければ、刺激を与える環境
がなければ育ちません。地元の学生さんを見ていて、特に国家試験を前にすると学生も教
員も刺激がないためかのんびりしていてハラハラすることもあります。つい激励叱咤して
しまいます。東京から戻った日に多いようですが、それがいいかどうかは別問題のようで
す。ただその地域にあった育て方というものもあるというのは実感です。じっくり熟成さ
せゆっくり長い目で見て育てる、落ち着いた街並みと恵まれた自然環境、周囲の穏やかな
県民性といった環境も大事なことなのだと思っております。4年前将来あまり大きなこと
を考えず、身の丈にあった地域医療をして、地元でのんびり暮らしていくのにはいいので
はないかと思い地元の大学へ行くように勧めました。本人が親許を離れて、都会で刺激を
受けて生きていく機会を奪ったことにはなりますが、本人の性格にあった環境も必要かと
思っています。金沢医科大学はハートの暖かいところがあって、ゆったりした環境でがつ
がつせずあたたかく穏やかに育てていただいていると思っています。いささか地元贔屓の
表現になってしまいましたが・・・。
これとは別に、近年の教育現場の変化に対応するのは大変です。医学科の優秀な学生の
問題とは別の真逆の問題が起こっています。うちの専門学校も国家試験合格が必要です
が、少子化、ゆとり教育の影響による学力低下が大きく影響してきています。競争せず入
学してくる子供が増えました。成績の格差が大きいのです。国家試験対策はもちろんその
前に、初年次教育の重要性、その対策(モチベーションを上げていかに落ちこぼれを防ぐ
か、中途退学を防ぐか)が叫ばれています。低学力者対策も入学時から始めなければなら
ず、グループ教育(横)だけでなく、縦の関係(上級生から下級生の指導)の構築、教員
との世代ギャップ(会話のチャンネルが違うので、教員の言う日本語が理解できていない
問題)、グループ教育をする以前の問題(低学力者ほど孤立化しやすいのでグループに入
り込めない)があります。低学力者を集めて教育するのではなく、上位と一緒のグループ
で学習させる方が大事とのこと。教育現場ではここまでの配慮と教育方法の改革への努力
が求められています。
【会員の声】
橘会ニュース
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昨年から今年にかけ地元医師会の講演会で、金沢医科大学の先生方が続きました。たま
たま医師会の学術担当になっているので、地元医療を勉強するいい機会だと思い、専門を
問わずいろいろの科の講演を聞かせていただきました。息子が大学で第一人者の最先端の
講義を聞いているのだろうとうれしく思い、誇りに思ういい機会でもありました。実際に
生の講演を聞くのとジャーナルを読むのとでは大違いです、感激もしました。会場の待合
室で講演のお礼を申し上げたあと、小声で息子が在学していますというとどの教授も一瞬
のうちに笑顔になられてほっとします。本当にありがとうございました。
雑 感
第4学年父兄 新潟県
近藤 鉄也
まず最初に、日頃よりお世話になっております大学の先生方や職員の方々、橘会関係者
の皆様に感謝申し上げます。
娘が入学した年は東北大震災のあった2011年でした。親元を離れての暮らしぶりを見に
行く道中、新潟県内のトンネルの照明が、暫くの間節電で片側半分になっていたのに、金
沢に入ると電気事情が普段のままで驚いた記憶があります。また入学式で、金沢医科大学
からもボランティアで被災地に赴かれたことを聞き、頭の下がる思いでおりました。良き
医療人を育てておられるのだなと感心しておりました。
私は、歯科医療に携わりもうじき30年を迎えます。開業当初は、う蝕の洪水時代でし
た。朝から晩までう蝕の治療に追われていました。お年をとられた患者さんはほとんど歯
がなくて、義歯を作っていればいい時代でした。最近はう蝕で受診される患者さんは以前
ほど多くなく、歯周病の治療や予防歯科を目的に来院される患者さんが多くなってきまし
た。年配の患者さんも自分の歯が残っている方が多く、治療をする際には服用している薬
をチェックする事が多くなりました。
医科歯科連携とか多職種連携とか言われ、国もそのような方針を示しております。しか
しまだまだ十分とは言えない現状ではないでしょうか。今は患者さんをはさんで医師と歯
科医師は別の場所にいるように思います。[口の中を診ない医者、口の中しか診ない歯医
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橘会ニュース
第43号/2014.12
者]こんな言葉を聞いたことがあります。全くその通りですね。
最近では悪性腫瘍手術をした患者さんの、周術期の口腔機能管理で接点も増えつつあり
ますが、まだまだ認知されているのは一部の医師の間だけのように思います。
医師と歯科医師がもっと連携をとれればいいのにと考えます。
日本人の死亡原因の第3位になった肺炎。その多くは高齢者の誤嚥性肺炎と言われてい
ます。これは口腔内を清潔に保てばかなり減らすことができます。
糖尿病と歯周病はお互いに作用しあっていることは、かなり認知されてきていると思い
ます。またそれ以外にも口腔内の細菌が作用していると考えられる全身疾患、例えば細菌
性心内膜炎、早産や低体重児出産、敗血症、動脈硬化、胃潰瘍などがあります。さらに歯
周病や口腔内の慢性病巣が原因で2次的に起こる疾患として腎炎、皮膚炎、関節炎などが
あると言われています。
これからは全て患者さんのために、患者さんを中心とした医療を提供していかなければ
ならないと思います。そのためには前述したような医科と歯科だけでなく、医科の内部で
も科を越えた連携が必要だと思います。患者さんに対しては「病気をみるのではなく、人
をみる医療人」になってもらいたい。そんなふうに思っております。これからの人達には
是非そうあって欲しいと思います。
【会員の声】
橘会ニュース
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夢が現実に
第4学年父兄 愛知県
金岩 久康
次男が、金沢医科大学にお世話になり、はや四年がたちました。親元を離れて下宿生活
をおくっておりますが、一年生の頃は心配で毎月のように下宿先を訪れ、掃除、洗濯、買
い物をしてきた事が昨日の事の様におもいだされます。
一年生の時より金沢医大後援会橘会の総会・懇談会に毎年参加させて頂いており、大学
の校風・国試対策の事等が大変よくわかります。また、懇親会では、一年に一回ですが、
親しくお話しを出来る雰囲気に、毎回いろいろな方と出会う事が楽しみになってきまし
た。これからも、是非参加したいと思っております。
息子達には、小学校の頃から家の仕事の手伝いをしてもらいながら、「自分の将来の仕
事は自分で見つけなさい」、「大人になっても、社会情勢が変わったりして、今の仕事が何
時まで続くわからない時代で、次に何を仕事にしたらいいのか分からないのは、子供で
も大人でも一緒と思う。」書店の仕事もしていたので、子供達は小さい頃からいろいろな
本、漫画を読んで、夢を描がいていたと思うので、「大きい資格を取りなさい。」と話をし
てきました。なかなか決まらなかったのですが、大学に入り今は、将来の夢や研修先の事
などいろいろ思っているようで、頼もしくも感じられます。我が家は、医者とは無縁の
為、医学部のこと等はよくわからないのですが、目先の損得に捉われずに自分の進むべき
道を見極め、間違えずに進んでもらいたいと思っています。
橘会ニュース
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第43号/2014.12
寄 稿
第4学年父兄 現在4年生の保護者です。日頃は、大学の先生方や、職員の皆さんをはじめ、橘会等々
に、大変お世話になり感謝しています。
毎年7月開催の保護者会には、入学当初から出席させていただいており、今回で4回目
となります。この保護者会では、大学の様子や、国家試験の状況等々をはじめ、有益な内
容が盛り沢山で、いつも満足感に浸っております。会の最後には、保護者からの質問や意
見・要望等々が活発に出されますが、ご出席くださっています先生方から、的確にご回答
をいただけます。これらの要望等に対しては、改善されたとの報告が、翌年のこの席上に
おいてありまして、確実に反映されていることを知り、安堵感をおぼえました。
このように、保護者会は、年1回の開催ではありますが、非常に有益なものとなってお
り、できるだけ多くの保護者の方々に参加していただけるよう、今後についてもよろしく
お願いします。加えて、各学年の保護者の皆様におかれましても、遠方からの参加になる
にしても、とても有意義な会となっていますので、必ずご出席されることをお勧めしま
す。大学に子供を預けっぱなしにせず、自ら大学や保護者会、そして学生生活に関わって
いかれることを望んでおります。それがお互いの向上に結びつくと確信しています。
次に大学側にお願い事をさせていただきたいと思います。「良医育成」の方針に基づ
き、諸先生方におかれましては、学生の指導面において、日々精進されていると存じま
す。私どもの子供は、勉学について行くのがやっとで、毎年ぎりぎりで進級させていただ
いています。こちらで学ばれていらっしゃる学生さんは、優秀な方々ばかりで、将来も有
望なかたたちであると思います。しかし、偏差値的には、さらに上位の大学も多々ありま
す。勿論偏差値だけでその能力を判断することは、よくないかとは思いますが、少なくと
も医師を目指す前の段階においては、劣性であることは否めません。私のような素人が申
すまでもなく、医師は当然多くの知識を必要とします。しかしながら、知識が備わってい
るだけでは、いわゆる、「良医」とは言えません。やはり、人間対人間の関わりの中で
の医学であり、いかにそのコミュニケーション能力が勝っているかが問われます。この
「人」としての、人間性で勝負できる医師になって欲しいと思います。これからの時代に
は、そんな人との関わりを大切にしていける医師が求められるのではと思います。学生に
【会員の声】
橘会ニュース
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は、老若男女を問わず、様々な人と接する機会をより多くもてるよう、またそのような
人々とのコミュニケーション能力をつちかえるようなご指導をも、入念にしていただきた
いと思います。
そして、今年の国家試験では、すばらしい結果を出され、嬉しく思っています。今後
も、このような結果をだしていただけることを願っております。
教官や先輩の背をみて学ぶ
第4学年父兄 福岡県
白川 文彦
医学の進歩は目まぐるしく、日々新しい技術が生まれます。医師にとって、新しいこと
にチャレンジし、学んでいくことは非常に重要なことです。こういった「学ぶ姿勢」をも
つきっかけとなったのは、学生時代の教官や先輩たちの真剣に医学に取り組む姿からだっ
たように思います。
大学を卒業して早や35年。よく思い出すのは、学生の将来を真剣に案じ、当時、カリ
キュラム委員長をなされ、面白い授業をなさっていた橋村医学部長です。「知識の暗記
(解剖学)に明け暮れていると、自分で考える事を忘れてしまい、スポイルされる」が先生
の口癖でした。難しい電気神経生理学も、実験の歴史的背景、つながりや方法論、結果の
吟味、考察を踏まえ、資料や引用論文の批判を大切にされていました。難しい授業であ
るにもかかわらず、大変面白く、毎回、授業を全部理解しようと、一行一句漏らさずnote
takingをした事を思い出します。また、学生にテーマを与え、論文批判やグループ発表を
課し、学生達は資料の理解や参考文献の孫引きにたいへん四苦八苦しました。しかし、不
思議と面白く、当時のグループメンバーの苦労が懐かしくなります。病理学教室では、教
室主催のCPCや抄読会に学生の参加や、また放課後や日祝日、夏休みに実験病理を学生に
許可いただき、たいへんご理解、ご配慮いただきました。日曜日や夏休みなど予定外の病
理解剖へのお誘いなど、たいへん有難く思い出します。
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第43号/2014.12
学友会や分子生物学研究会のお世話をなさっていた長瀬先輩を訪ねましたところ、レ
ポート作りの相談にのっていただきました。沢山の資料を整理し、完璧にしあげようと焦
るより、直面している問題を一つずつ、残された時間で作りあげ、残りの時間で、推敲を
やり直す、今もアドバイスを思い出します。大学に入学した最初の五月連休、脳科学合宿
セミナーに誘っていただきましたのも佐野先輩でした。授業でも触れない分野、当時の未
開拓分野を、四名ほどの同級生達で分担し、調査発表、教えあっていく自主性に、セミ
ナーについていけませんでしたが、たいへん驚き、大きな衝撃、感動を受けました。お世
話になった教官や先輩達には、何らお礼も恩返しもできていませんが、当時の教官や先輩
方の情熱や姿勢は、今も繰り返し思い出されます。
当大学の諸先生方もたいへん熱心です。時間外の補習や、自己学習できるように、予習
の練習問題、授業後の復習問題の作製など、情熱を持って教育に取り組んでおられます。
自然と学生たちは「学ぶ姿勢」を身に着けていくことだと思います。授業の内容も、PD
F等にまとめられ、繰り返し学習できるようになっており、卒業後も、一生の財産となる
でしょう。諸先生方の御配慮がたいへんありがたいです。
難しく複雑な医学医療を、面白く楽しい、また解りやすく役に立つ形に、ご紹介賜りま
すと、その情熱や姿勢に、学生や父兄は、いつまでも感動するのだと思います。多くの諸
先生方や、関係者の皆様に、厚くお礼申し上げます。
【会員の声】
橘会ニュース
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野菜作りと娘
第5学年父兄 長野県
小林 敏美
長野県は山国だからでしょうか、「海の見える医学部に行きたい」と言ってオープン
キャンパスに参加したのが、金沢医科大学とのお付き合いの始まりでした。瓶に入った
耳小骨 を見せられながら、病院の最上階から青く美しい日本海を眺めたことが決め手
となり、お世話になることになりました。あれから早5年、光陰矢の如しです。
娘は小さい頃から生き物が大好きで、鈴虫をはじめいろいろな虫を飼ってきました。最
後は迷い犬で、これは主に親が面倒を見ることになりましたが、その犬も今年の2月、11
歳で病死してしまいました。生き物好きだったこともあり、一時は獣医学部も考えたよう
ですが、最終的に医学部を選んだのは、私と長女の影響があったのかもしれません。慣れ
ない一人暮らしで大丈夫だろうか、留年はしないだろうか、友達と仲良くやっていけるだ
ろうか等いろいろ心配しましたが、今では何とか試験を乗り切りながら大学生活を送る術
も身に付けたようで、このまま最後まで頑張ってくれることを期待しています。
私は現在小児科医院を開業していますが、開業後暫くしてから畑仕事を始め、かれこれ
20年近く野菜作りをしてきました。子供の頃、自分の背丈よりも高いトウモロコシの畑の
中を歩くと、あたかもトンネルのように感じられた記憶が脳裏に焼き付いていたため、大
人になったらトウモロコシを育ててみたいと思ったのが始まりです。一日の診療を終え、
畑に行って作物を収穫したり水をくれたりすると、その日の疲れも吹き飛んで心に活力を
貰えます。植物が太陽に向かって伸びていくのを見ると元気が出ますし、収穫は自分への
ご褒美のようにさえ思えます。長年野菜を作り続けている理由も、その辺にありそうで
す。
定番のキュウリ、トマト、なすを含め、毎年合計25種類ほどの野菜を育てます。1種類
当たりの苗の数は少ないのですが、収穫時期になると夫婦二人では食べきれないほど取
れ、キュウリなどは毎日夫婦で5∼6本消費する日々が続きます。それでも貯まってしま
うので娘たちに送ったり、職員に配ったりして何とか捌いています。娘が小さい時、鈴虫
やカタツムリの餌としてキュウリやナスを、黄アゲハ蝶の幼虫の餌として人参の葉を、野
菜籠を持ちながら畑で喜々として採っていたのがつい最近のことのようです。 そんな家庭で育ったせいでしょうか、娘は新鮮野菜が大好きです。収穫時期になると
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橘会ニュース
第43号/2014.12
「野菜を送って欲しい」とメールが来て、年に7∼8回は送っています。勿論、送料以上
の物を詰め込んで・・・。野菜の味などは市販の物と大差ないと思うのですが、「家の野
菜の方が断然美味しい」と言ってくれるので、私もつい嬉しくなり送り続けています。送
られてきた野菜が冷蔵庫にギッシリ詰まっていると、否応なしに料理する気力が湧いてく
るなどと、野菜を通して親子の会話も生まれます。
私が大学を卒業した頃に比べて覚えることが十倍以上も増えたといわれ、大学間共通試
験である共用試験(CBT)や客観的臨床能力試験(OSCE)等、昔はなかった医学教
育システムが採り入れられている中、娘が無事5年生になれたのも、ひとえに大学の諸先
生方、職員の皆様並びに橘会の皆様のご努力とご支援の賜物と心から感謝しております。
5年・6年と卒試・国試にむけて忙しくなっていくこれから、野菜を送っても娘が料理す
る時間は徐々に少なくなっていくと思われます。そのせいか、最近は送ってほしい品目が
野菜 から 野菜料理 に変わってきました。私の楽しみでもある 立派な野菜 を送る回
数が減り、女房の苦労が増えそうです。現在、長野県は男女とも平均寿命日本一です。高
齢者が畑仕事をする割合が高いことも一因のようですが、野菜摂取量が日本一ということ
も長寿日本一に関係していると言われています。皆さんも野菜作りをしてみてはいかがで
すか?
末筆ながら、金沢医大の益々の御発展を心から祈念して筆を置きたいと思います。
【会員の声】
橘会ニュース
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私の学生時代
第5学年父兄 神奈川県
森田 裕人
光栄にも金沢医大後援会橘会事務局より寄稿の依頼を頂きました。テーマも自由とのこ
とで逆にどうしようかと混迷しておりました。思いついたことをそのまま寄稿してみよう
と思い筆をとらせて頂きました。
そもそも私の家系は神奈川県の育ちですが私の父の時代より大学だけは雪国で過ごして
おりました。私の父は北海道で大学生活を過ごしました。幼少期より大学は雪国で過ごす
のもいいものだと言い聞かされており、父が酔っ払うといつも『都ぞ弥生』(北海道大学
の学生寮である恵迪寮(けいてきりょう)の寮歌の一つ)を歌っておりました。なぜかそ
の影響もあり私は雪国新潟で大学生活を過ごしました。
当時新潟へはL特急ときで上野から約4時間10分かかっておりました。トンネルを抜け
ると本当にそこは雪国なのだなと感動したのを覚えております。
新潟の冬は神奈川育ちの軟弱な私には想像できる範囲を超えておりとても厳しいもので
した。道路は氷になりアイススケートができる状態です。車のタイヤにはスパイクのピン
がたくさん装着されており氷の道路を突き刺しながら走行しておりびっくりしたのを覚え
ております。
このような厳しい冬もなぜか美味しい日本酒のとりこになるとすぐに苦にならなくなっ
てしまいました。
学生時代は学業もそれなりに行いましたが、やはり記憶に残るのは部活動とその後の夜
の宴会です。四半世紀ぶりに押し入れを開けてみて懐かしい東医体のメダルを見つけまし
た。部活動に没頭していた学生時代を久しぶりに思い出しました。夜の宴会は部活動が終
わるとほぼ毎日行われておりました(名誉のために、テスト期間中やポリクリに出てから
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橘会ニュース
第43号/2014.12
は自粛しておりました)。新潟のボトルキープは日本酒一升瓶キープが通常だったのも最
初は驚きました。代々学生が通っているお店なので教授をはじめいろいろな先生方も卒業
されてからもよくいらっしゃり、試験に落ちると何とか通していただけないか、店内でし
つこくお願いしたものでした。それで試験が通ったかは言及致しません。
現在でも治療の相談や手術・入院をお願いするときには大学の同期や部活動の先輩・後
輩に連絡すると迅速に対応して下さり大変助かっております。厳しい冬を共に経験した学
生時代のつながりがとても大切であることをひしひしと感じております。
私が大学を卒業する頃には、上越新幹線が開業し、関越自動車道も開通しL特急とき
で上野−新潟間が約4時間10分もかかっていたのが現在は東京−新潟間で最短1時間37
分となりました。国道17号線の狭い三国トンネルも通る必要も無く関越トンネル(上り
11055m 下り 10926m)であっという間に三国峠は越せるようになりました。入学した頃
に比べ新潟は一新し、とても便利になりました。
子供も私と祖父の意志を継いだかどうかはわかりませんが、雪国金沢の地で学生生活を
過ごさせていただいておりますが、子供なりに何か一生心に残る大切なものを経験できた
ら良いなと考えております。また卒業してからも金沢医大の諸先生方との交流がずっと続
くようにと切望しております。
2015年3月14日に北陸新幹線が金沢まで開業し、東京−金沢間が最短2時間28分で結ば
れ、金沢は関東圏に入ってきます。今までは西日本に所属する印象でしたが(西医体に所
【会員の声】
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属しているので余計にそう感じるのでしょうが)、関西圏と関東圏の両方に位置すること
になり今後は想像を超える急速な発展をなすことと思われます。
ますますの金沢医大後援会橘会のご発展をお祈りし私の徒然なる寄稿を終わりにしたい
と思います。このような機会を作っていただき誠にありがとうございました。
親子でのランニング
第5学年父兄 兵庫県
石井 洋治
ようやく娘も皆様のおかげで5年生になり、ほっとしております。
まだまだこれから、進級、卒業、国試といくつもの山がありますが、一つ一つを乗り越
えて、一医師、一社会人として活躍してもらいたいと願っております。
今まで、本人の未熟さのため、色々周囲の方々に御迷惑をおかけしていると思います。
この場をお借りいたしまして、陳謝いたすとともに、御世話になった方々に厚く御礼申し
上げます。
ランニングについて、娘との思い出があります。
姫路城下町マラソンという大会が毎年行われています。親子で手をつないで一緒に1.5
㎞を走るファミリーコースがあり、娘が幼稚園の時、3年連続出場しました。年少の頃
は、練習しなくても、私は楽勝に走ることができましたが、年長になると娘の方が、速く
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橘会ニュース
第43号/2014.12
なっていました。子供が私を引っ張って走っている間に、一緒に手をつないでゴールしな
ければならないため、他のチームに抜かされ、悔しい思いをさせてしまいました。
終わった後、私はしばらく苦しくて動けませんでした。その時40歳くらいでしたか、普
段の運動不足、年をとったことを痛感いたしました。
小学校になると、娘は一人で出場でき、賞状もいただいて来るようになり、中学は陸上
部に所属していました。
私も仕事が落ち着いてきた数年前から、これではいけないと思い、メタボな体を少し
でも解消すべく、少しずつ走るようになりました。昨年、NHKの「3か月でフルマラソ
ン!」の番組を見て、つい大阪マラソンチャレンジコース(8.8㎞)に応募したら、5−
6倍くらいの倍率にもかかわらず、当たってしまいました。
もうそろそろ還暦の話も出てくるような年で、しかもメタボな私が、果たして走ること
ができるのか。もちろん普段走られて、フルマラソンに出場される方にとっては、8.8㎞
は取るに足らない距離でしょうが、私にとってはとても長い距離です。
まずは番組通りに、自分の足に合ったランニングシューズを買いました。早速、履いて
みるととても気持ちよく、まずはウォーキングから始めました。少し慣れて走り始めたと
ころ、やはり1㎞位で「しんどく」なり、足を前にあげるのもおなかの贅肉が邪魔にな
り、「これは大丈夫だろうか」とさすがに不安になりました。
しかしながら、番組で紹介されたフォームにできるだけ気をつけながら、週1−2回
走っていると、徐々に慣れてきて、2㎞くらいの練習コースを走られるようになってきま
した。
姫路城の周囲は、ランニングコースを距離に応じていろいろ選択でき、公園の中を走れ
ば、車にできるだけ接触せず、排気ガスを吸わずに済むのが良かったです。
徐々に慣れてきて4−5㎞走れるようになると、体が循環すると言いましょうか、呼吸
と走るリズムができてきて、そうなれば水分補給に気をつければ、比較的長くても走る自
信が付いてきました。
いよいよマラソン当日、大阪城公園でのスタートエリアは長く20くらいの区画に分かれ
ていて、私はほぼ最後尾に近いところでした。スタートしたとの放送が流れましたが、一
向に前が動く気配がなく、15分位経ってからようやく徐々に動き始め、スタートラインま
でたどり着くのに約30分、1㎞位走り(歩き?)、これってトータル10㎞じゃないかと思
【会員の声】
橘会ニュース
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いました。
全体のペースはフルマラソンの人と一緒なので遅めで、とにかく人が多く渋滞の中を
走っている感じです。天気にも恵まれ、沿道からの暖かい声援もあり、周囲の風景を楽し
みながら快適に走ることができました。
ゴールに着いて、完走メダルとフィニシャータオルを受け取り、スポーツドリンクとバ
ナナ!をもらい、久々に達成感と充実感を味わいました。
今年もエントリーしたところ、いつもの倍率にもかかわらず、何と娘ともども大阪マラ
ソンチャレンジコース(8.8㎞)に当選しました。
一緒に走るのは20年近くぶりで、今から楽しみにしていて、ランニングを再開していま
す。遠く離れていると、なかなかお互い話す機会がなく、昨年走った経験者として、アド
バイスしたり、いろいろ話したいと思っています。娘も聞くと10㎞くらいは時々走ってい
るようです。
幼い時のように、一緒に手をつないでゴールはできませんが、心をつながらせて、ゴー
ルしたいと思っています。今度は足手まといにはなりません。
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クレーマーの教えから
第5学年父兄 静岡県
大塚 悦司
突風のように襲ってくるクレーマーの叫び、それに対し我々医療従事者は「こういう理
由であなたの言っていることは矛盾している」などと論理で武装した反論を浴びせること
でしょう。患者さんの口封じには成功しますが、そのクレーマーは行き場を塞がれまず2
度と来院しません。
私のある先輩の先生にお聞きしますと「クレーマーこそ最強の信頼関係を築くチャン
スである。」と言われます。我々の至らなさを堂々と教えてくれる程エネルギッシュなク
レーマーをもし味方につけることができれば、これに勝るファンはまずいないでしょう、
とのことです。
「叱られ怒鳴られながら人間は大きく成長していく、自分の悪いところを教えてくれて
こんなありがたいことはない、感謝する。」という有名なせりふ、株式会社「山善」の山
本社長のこのせりふは、まさにクレーマーの「教え」を真摯に聞き入れるよう我々を指弾
しているかのようにも感じられます。
あるビジネス誌では、国内有数の大企業数社内に各々設置されている「特捜クレーム処
理班」体制の徹底ぶりが紹介されております。その1例として、数年前に起きたある国内
家電メーカー製造の石油温風機が原因のCO中毒死亡事故に目を向けますと、メーカーが
行った迅速かつ徹底した誠意ある事後処理は、その後の世論の動向を味方につけ功を奏す
る結果となりました。企業間の鎬を削った壮絶な競争社会、私はこの現実に驚愕しました。
私は本田宗一郎氏の「自分の人生、失敗の連続だったが、失敗のつど自分の欠陥を発見し
て、これを改善し、失敗を自分の飛躍台にした」というエピソードをふと思い出します。
文章冒頭のようなクレーマーとの遭遇の際、我々医療従事者は我々にいくらかでも非が
あれば、まずその非を認め相手に対する反論等は一切コメントせずすぐ謝罪するそして謝
意を表わす姿勢こそ肝要かと思われます。
【会員の声】
橘会ニュース
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奉仕とルール
第5学年父兄 石川県
国下 正英
日本医師会の医の倫理綱領の中に「医学および医療は、病める人の治療はもとより、人
びとの健康の維持もしくは増進を図るもので、医師は責任の重大性を認識し、人類愛を基
にすべての人に奉仕するものである。」と謳ってあります。我々医療に携わる者にとっ
て、患者さんに接する毎日が奉仕の日々であると考えています。患者さんのためには良い
事だと思って行った医療行為だとしても、結果が良くなければ(言い換えれば、我々医療
を行う側が最善を尽くしても、医療を受ける側、患者さんが不満足であれば)医療トラブ
ル、更には医療裁判の原因にもなりかねません。こうして、我が国の医療情勢も大変厳し
い状況にあると思います。
息子が、金沢医科大学へ入学して早5年になります。入学後はヨット部に入部し真っ黒
になり部活動に頑張っていました。長期の休みには、遠方の同級生の地元へ遊びに行かせ
てもらっていたようでした。先日、自宅の机の上に5年生の臨床実習ノートが置かれてい
ました。何気なく開いてみますとその充実した内容に驚かされました。いつの間にここま
で進んでいたのかとびっくりしている次第です。後1年半で国家試験を迎え、無事合格で
きれば患者さんと真剣に向き合っていかなければなりません。こうした中、膨大な医学的
基礎知識を学び、さらに医師としての人間教育も受けているのだと思いました。金沢医科
大学の教育スタッフの諸先生方の努力には頭が下がる思いです。本当にありがとうござい
ます。
10年程前に、恩師から頂いたドクターズルール(クリフトン・K・ミーダー)のごく一
部を紹介します。
・医師であることに誇りを持ちなさい。しかし高慢になってはならない。
・あなたが沢山の医学的知識をもっているからといって、人生や人間について豊富な知識
がある事を意味するものでない。患者や他の人から学びなさい。
・能力のないものはせめて親切にしたまえ。
・患者の訴えは正しいものである。医学的にあり得ないと考えずに訴えに耳を傾けるこ
と。患者は全身で24時間疾病と対決している。
・大抵の病気は医師が見当違いの邪魔をしない限り自然に治っていく。
橘会ニュース
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第43号/2014.12
・病人が治るのを邪魔しないのがよい医者だ。
・「皆さんはこれから医師になって患者さんから先生と呼ばれるでしょう。しかし自分を
決して先生と思ってはいけません。患者さんのいう事をよく聞き、よく観察して患者さ
んから教わる事です。先生は患者さんです。」
・患者さんが話している最中に病室を出てはならない。
他にも、たくさんの ハッ と思い当たる格言が記載されています。今だに身につまさ
れる事ばかりです。勿論ドクターズルールに限らず守っていくべき多くのルールがありま
す。息子には、冒頭で述べたように、奉仕の気持ちと謙虚さを忘れず、社会人としては勿
論の事、医師としてのルールを守り、名医でなくても良医になってくれる事を願っていま
す。息子の学生生活には、全く無関心で、また橘会の会合にも全く出席せず大変申し訳な
く思っております。今回、このような機会を与えて頂きありがとうございました。
次の時代を担う医師として
第6学年父兄 石川県
久保 伸一郎
娘が金沢医科大学に入学して、6年目となりました。自宅は小松市内で金沢医科大学に
は近い方ですが、実家には、お盆、お正月の休みの時ぐらいしか帰ってきません。たまに
帰って来た時、会話の中で成長を感じることがあり、嬉しく思っております。入学時、
「何かあったら、30分以内に内灘へ駆けつけるぞ」と言ってありましたが、今まで1度も
エマジェンシコールは幸いにもかかってきませんでした。私も学生の頃は、親には干渉し
て欲しいとは思いませんでしたが、自分が親となると、元気でいるか、勉強はしている
か、友達、先生とは上手くいっているかなどと心配事は尽きません。学生時代は人生の内
で一番時間的に余裕があり楽しく自由に行動が出来る時ですが、さらに医師となる目標が
有る事は充実した大学生活を送れるのではないかと思います。娘には、勉学に励み、たく
さんの良い友達、恩師となる先生に出会い、教えを乞い自分のさらなる向上をめざして、
良医となるよう期待しています。
それを踏まえて、私は歯科医師ですが、先日、歯学部の学生時代の同級生で、卒業して
【会員の声】
橘会ニュース
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からも開業医の友としてつきあっていた人を亡くしました。私は卒業して29年目となり、
歯学部開学30周年で物故者が53名おり、友達はその内の1人でした。身近な友人の死はと
ても悲しく、同時にいろんな事を考えさせられました。そのひとつが現役の歯科医師とし
て何名の患者さんと向き合って診療し、手助けできるかということです。このことは今後
の私の人生設計にも関わってくる重い課題として受け止めています。
娘にはチーム医療で連携し困難に立ち向かってほしい事、しっかりとした人生設計を持
ち、多くの事を成し遂げる事は難しいので特化して専門性をもち、人の役に立つ医師とな
る事を私たち両親は願っています。次の時代を担う医師として、笑顔を忘れずに頑張って
ほしいと思います。
6年生となり、卒試、国試と越えなければならない山は次々とやってきますが、無事越
えることを祈っています。今までご指導頂いております金沢医科大学の諸先生方、職員の
皆様、良医を育てる学生教育に情熱をもち指導して頂きありがとうございます。診療、研
究、教育、学会対応と多忙の中、本当に感謝申し上げます。娘は卒業後、金沢医科大学に
席を置き地域医療に貢献し、勉強していきたいと申しておりました。今後ともよろしくお
願い致します。橘会の皆様には、保護者の代弁者となり、国試対策の事、図書館使用時間
延長の事等、学生の為にいろいろとご配慮いただきありがとうございます。また、早急に
柔軟に対応できる金沢医科大学の懐の広さを感じております。50周年を目指す今後10年の
飛躍を期待し、金沢医科大学の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
橘会ニュース
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卒業を控えて
第6学年父兄 石川県
高野 淳
息子暉(ひかる)が金沢医科大学に入学させて戴いて、早くも6年近くが経とうとして
います。先生方には本当にお世話になり、未熟で怠け癖のある息子をここまでお導き戴い
た事、本当に深く感謝致しております。
思い起こせば息子が「医者になりたい」と言い出したのは小学生の頃。「いいねえ」と
気楽に相槌を打っていましたが、大学受験を迎えた2008年度、景気に底が見えない社会状
況の中、毎日大学の就職難が報じられ、医学部人気が高まると同時に合格難易度はどんど
ん上昇。元来「勉強より運動が得意(笑)」を自負する息子の成績は振るわず、模擬試験
の合格可能性判定を見る度に「一体何年頑張ったら医学部に入学できる日が来るのだろ
う」と毎日を親子共暗澹たる気持ちで過ごしておりました。そんな中当時の高校の担任の
先生より「地元の金沢医科大学の公募推薦を受けてみないか」とのありがたいお言葉を戴
き、祈るような気持ちで願書を出させて戴きました。そして迎えた試験当日。やきもきし
ながら迎えに駆け付けた私どもに「グループ面接で余り思ったことを言えなかった」と肩
を落とす息子。「まだまだ本試験もあるから」と慰めながらも少し落胆していた帰り道。
それだけに合格発表の日、息子の番号を見つけた時の喜びは筆舌に尽くし難い程大きなも
のでした。最下位の成績で合格したのかもという危惧は感じながらも、とにかく医学を志
す道が拓けた事、親子で喜びを分かち合いました。
そして迎えた文字通り晴れの入学式。これで一安心。と、思ったのも実は束の間。ここ
から毎年進級判定のシーズンになると、この時と同じような不安感とドキドキと格別の喜
びと安堵・・・を繰り返して参りました。小学生の頃から担任の先生に「欲がない。競争
心がない」と言われ続け勉強に対しては常に消極的で、この学校でも1、2年次は「これ
に落ちたら留年」というぎりぎりの試験まで勉強に集中できなかった息子ですが、学年を
重ねるに従って少しずつですが医師を志す自覚と意欲に目覚め始めたようで、今なんとか
6年生として、来春の卒業と国家試験に向けて努力を続けているのは、ひとえに先生方の
熱心なご指導の賜物と感謝感謝の毎日です。本当にありがとうございます。それに加えて
息子と親しく交友してくださった優秀で意欲に溢れたお友達の皆様、そしてご父兄の皆様
にも深く感謝致しております。
【会員の声】
橘会ニュース
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これからも医学を究める長い道のりの中、先生方にも皆様にもお世話になる事ばかりだ
と思います。どうぞよろしくお願い致します。
娘の事と最近の国試事情など
第6学年父兄 静岡県
小山 仁
娘の由希子が金沢医大に入学し5年半ほどです。入学以来橘会には色々な面でお世話に
なり、感謝申しあげます。娘は3歳ころから小児喘息で、はじめは私が診ていましたが、
何度も重責発作を起こしたので大学の後輩の小児科医にも診てもらっていました。無事に
成長できればそれで十分と思っていましたが、小学生の高学年からは少し丈夫になり、本
人が医師になりたいと言うようになりました。それでは、少しでも希望が叶いやすいよう
にと中学から静岡市の雙葉学園に行かせました。上品な学校で、娘に良い影響をたくさん
与えてくれましたが、「進学できるところに行けば良い」という方針のようで、無理して
受験勉強という雰囲気はなく、一浪してしまいました。担任の先生には浪人した事すら驚
かれました。幸い金沢医大に入学しましたが、金沢は遠く、浜松の家から娘のアパートま
で4∼5時間かかります。何か起こってもすぐには行かれません。健康面の心配もあり、
低学年の時はしばしば様子を見に金沢まで行きました。娘に毎日電話連絡もしていまし
た。娘はいまどき過保護過干渉とからかわれたそうです。さすがに臨床実習が始まった頃
からは行っておりません。近年、医学教育は随分と変わり、私が医学生だった1970年代後
半∼1980年代とは習得すべき知識量も格段に増加していて、親から見ても勉強が大変だと
思っていました。娘はまじめにやっていたと思いますが、要領が悪く、毎年進級の心配を
してきました。本人の努力や、もって生まれた幸運、同級生や部活の先輩の方々の支援な
ど、諸々のファクターが影響し、少しずつ成績順位が上がり、留年することなく現在6年
です。今後、卒試、国試と更なるハードルが待っている訳ですが、親としては無事にこれ
らを突破してくれることを願っています。金沢医大は国試合格率があまり振るわない時期
もありましたが教官の先生方の工夫とたゆまぬ努力、後援会のバックアップもあり、近年
では良くなっていますね。あとは医学生本人の勉強の量と質に期待しています。
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橘会ニュース
第43号/2014.12
2年前の私の出身大学の同窓会で、某大学の助教授で国試対策委員をしていた同級生
が「ここに集まっている連中が今年国試を受けたら、半分くらいしか受からないでしょ
う。」とスピーチしていました。その時はその同級生氏が大げさに言っていると思いまし
た。ちなみに私の学年は国試合格率97∼8%でしたから。しかし後で直接話を聞いてみる
と本当に昔より難しくなっているそうです。今は求められる知識量が私の時代(1984年)
に比べ2倍位になっている印象です。私が不勉強だっただけで、当時すでにみんな私の
2倍位知識があったかもしれませんが。108回国試では前回、前々回と比較して専門医レ
ベルの知識が問われる問題が目立ち、平均点が下がったそうですね。以前の後援会橘会
ニュースでも学生部長先生が、「昭和50年代の国試は純粋に資格試験だったが、今は選抜
試験になった」とお書きになっていましたね。旧い話ですが、私が国試を受けた頃は、春
に落ちても秋にも国試がありました。今は、医学生にとってはまことに厳しい時代になっ
たのですね。しかし、なぜ国試が難化したのかについてはよくわかりません。そうなる必
然性は無いですよ。日本の医療レベルが低かったので医学生に要求されるレベルを上げた
というわけではないでしょう。現在は准国家試験とも言えるCBTやOSCEがあるので臨床
実習をまじめにやって卒業した学生を国試で重箱の隅を突くような嫌らしい問題で落とす
必要はないと個人的には思います。日本の医学教育の問題は臨床教育にあり、昨今ではと
ても改善されたのではないでしょうか。2010年に米国のECFMGが「2023年から、医学教
育の世界標準での認証を受けていない医学部の卒業生は、米国での医師国家試験の受験資
格がない」と声明を出し、世界中が米国の水準に合わせろと言わんばかりですが、こう
いった事も影響したのでしょうか?
現在私は浜松市で開業医を営んでおります。はじめは外科医を目指し外科で研修を受け
ましたが卒後10年足らずで開業しました。ですから外科医としては不十分なキャリアで
す。今は一般内科外来が主で外科的なことは外傷処置くらいです。患者は老人が多く、老
年病がほとんどです。介護保険がらみの雑用もたくさんあり、外科医だった時にはまるで
予想もしなかった分野で仕事をしています。介護保険については、介護認定審査会委員を
12年間休みなく引き受けさせられており、月に1∼2回審査会で時間をとられています。
主治医意見書など、書類作成も増えました。少なくとも月に20通ほどは書いています。長
年関わってきた印象をいえば、もっと簡略なシステムにして、管理費、事務費を大幅に削
減すべきと思いますが、現実は正反対です。
医局に所属していた当時毎週行っていた藤枝のパート病院で金沢医大出の先生達がおら
【会員の声】
橘会ニュース
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れ、少しですがご一緒に仕事をしました。外科の芦田先生お元気でしょうか?お世話にな
りました。内科の先生も小児科の先生も金沢医大卒でしたが、失礼ながらお名前を失念し
てしまいました。
ところで、最近インターネットで読んだニュースです。この8月下旬、厚労省の某室長
が日本病院会の理事会に出席して、今後の医療計画について、「マーケットリサーチを実
施して、将来推計を加味すればサプライサイドの縮小もある」が、「ナショナルミニマム
は確保したい」と発言されたそうです。誰がナショナルミニマムを決めるのでしょうか?
TPP交渉をにらんで、きっと公的保険による医療供給の制限はもう決まったことなので
しょう。それにしてもこんなカタカナ言葉の使い方は少々品がないと思います。
我が娘のみならず近い将来同業者となる後輩の方々の将来はどう変わっていくのか、い
ささか危惧されます。税率がさらに上がれば、患者が消費税を負担しないというのは医療
機関にとっては何とも不合理です。政府はこのままでいくつもりでしょうか。また、秘密
交渉であるTPP交渉妥結後に医療がどう影響を受けるのかも不安です。TPPでは米国は
「公的保険を縮小し、民間保険による自由診療に道を開け」と主張している訳です。保険
薬価や材料費が倍くらいに上がるといわれています。混合診療が自由化されます。日本中
医療特区だらけになるような気もします。保険診療そのものが崩壊するかも。何しろ秘密
交渉なので何が決まるのか分からないのです。おまけにISD条項というものがあり、日本
の国民皆保険制度が投資家の不利益と判断された場合世界銀行傘下の機関に訴えられ強制
的に制度を変えられてしまうかも知れない。目障りな医療保険のコマーシャルを流してい
る外資の保険会社の利益が最優先されるのでしょうか?カナダや韓国で色々なことが起
こっているのに、マスコミも何も報道しませんね。医療の置かれた現状を医学生はどれく
らい知っているのでしょうか。
悲観的な将来像はさておき、金沢医大卒業生は「人間性豊かな良医の育成」という指導
方針のもとに厳しく教育されていますから必ず立派に通用します。自信をもって国試を無
事に突破してください。どの分野に進むかは人それぞれですが、将来の日本の医療の大事
な担い手になってください。
橘会ニュース
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町医者雑感
第6学年父兄 京都府
青木 繁明
私は町医者ですがアナログで文化系の人間です。昔から「紙の文化」を愛し、書籍に囲
まれた書店の空間に癒されます。数学者でエッセイストの藤原正彦氏の「本屋を守れ」と
いうタイトルのコラムを御紹介します。1)要約すると「文化国家を自負するフランスは反
アマゾン法と呼ばれる法律まで可決した。我が国には再販制度があるが、このままでは書
店は絶滅する。安く本を買えるので国民も騒がない。本屋は町の知の拠点である。」この
コラムを読んで思い浮かんだのが国民皆保険制度です。国民の社会生活に役立っている制
度に国民自身はあまり感謝していないようにも思えます。独立行政法人国立病院機構理事
長の桐野高明氏によれば「日本の国民皆保険50周年を迎えた2011年に、医学雑誌ランセッ
トはそれを記念して特集号まで発刊したというのに、わが国では、新聞社も50周年をほと
んど取り上げなかったのは不思議だ。」と述べています。2)書店も国民皆保険制度も岐路
に立っています。
そして国民皆保険制度の報道に関連してよく耳にするのが「2025年問題」です。2025年
は団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる年です。報道番組では医療の在り方や負担増
の話はよく論議されていますが、司法解剖・行政解剖・病理解剖にはほとんど触れられて
いません。「死」に関してももう少し議論されるべきだと考えます。
また私は長年、公立学校の学校医を担当していますが学校現場においても何故「死」を
教えないのか不思議です。「命を大切に」とは誰にでも言えるでしょう。子供たちに、自
分自身も他人もかけがえのない存在だと理解してもらうためには、「死」に向き合うこと
も時には必要だと思います。
最後になりましたが、私の子供がお世話になった金沢について話をしたいと思います。
元金沢市長だった山出保氏は「金沢は加賀藩時代のサムライ文化が根源でしたので、公
家文化の京都とは違います。(中略)金沢は、京都ではなく、東京でもありません。だか
ら、金沢は、やはり金沢なのです。」と述べています。3)2015年春に北陸新幹線は金沢開
業を迎えます。東京との時間距離感が圧倒的に短くなります。ミニ東京化されずに、歴史
と伝統のある美しい金沢が続くことを願っています。私事で恐縮ですが、加賀野菜の加賀
太きゅうりと加賀れんこんが大好物です。また金沢の和菓子と京都の和菓子は甲乙つけ難
【会員の声】
橘会ニュース
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いです。
拙文にお付き合いありがとうございます。
皆さまの御子弟が金沢医科大学で習得された知識・技術を礎として、社会に貢献する医
師となられることを祈念しております。
<参考文献>
1)週刊新潮8/14・21号・新潮社「藤原正彦の管見妄語」
2)岩波新書・岩波書店 桐野高明「医療の選択」
3)岩波新書・岩波書店 山出保「金沢を歩く」
子から友になる君へ
第6学年父兄 山口県
舩津 浩彦
早いもので長男も金沢の地で6回目の冬を迎えております。1年生からバトミントン部
に所属し、とても良い友人、先輩、後輩方に恵まれて充実した学生生活を過ごしているよ
うです。6年生になっても西医体に参加したようですが、私自身は5年生で現役部員を引
退しましたので、正直まだやって大丈夫なのかという一抹の不安があります。留年だけは
しないということが父子の約束ですので、長男が約束を守っている間は口を出すまいと
思っております。
縁もゆかりもない金沢の地に送り出した訳ですが、長男の場合はほとんど不安がありません
でした。高校生の頃から寮生活を送り、すぐ友達をつくれる子供でした。入学式の時から周囲
に解け込む姿を見るにつけ、家内と「彼は違うね∼」と変に頷いていました。小さい頃は、過
敏で人見知りが強く偏食で、家内を悩ませた長男ですが、早くから医師になることを決めてい
たようです。大学生になった長男の振る舞いが礼儀正しくあることに、親として少し安堵して
おります。今後も患者様には一層心がけてもらいたいと念じております。
世間が思うほど医師が容易いものとは、私自身思えません。眠れぬ日々、後悔、反省の繰
り返しが今でも続いています。医師を辞めない限り続く宿命ですが、長男も同じような思い
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橘会ニュース
第43号/2014.12
を経験していくでしょう。そして経験して初めて、私の気持ちもわかるでしょうし、子供と
してではなく友人として酒が飲めることを楽しみに待ちたいと思います。
金沢医科大の教育にかける情熱で、最近の国家試験合格率はとても良い結果が出ていま
す。国立大学にも肩を並べられる実績には驚くばかりです。私は長男には大学院に進学
し、博士号をとるように勧めています。医師としての形成期において基礎研究に取り組む
ことは、長い人生に活きてくると思うからです。臨床経験の早期習得が目的で、市中の総
合病院にいきなり就職することが良い選択とは思えません。医学は、あくまでも大学中心
であるべきだと今でも思っています。大学が持つ様々な選択肢から自身のキャリアを形成
して行く方が良いと思います。
最後になりますが、今年度の国家試験の合格率が過去最高になるように6年生の健闘を期
待しています。バトミントン部の諸君!合格したらまた山口に遊びに来てください。美味し
いシャンパーニュで乾杯して、美味しい鮨を食べましょう。みんなの吉報を待っています。
また、日頃からお世話になっております教職員の方々に感謝を申し上げ、金沢医科大学、
金沢医大後援会橘会の益々のご発展を祈念しております。
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金沢医大後援会橘会共済事業(生命保険)についてのお知らせ
橘会では、会員の皆様に対し共済事業の一環として、三井生命保険株式会社と提携し、
生命保険事業を行っております。これは、橘会の発展と会員の皆様の相互扶助を目的とし
た事業であり、任意のご加入となりますが、生命保険をお考えの際は下記連絡先までご一
報くださるようお願いいたします。
金沢医大後援会橘会 会員の皆様へ
弊社業につきましては日頃よりご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
入学宣誓式や総会にて、橘会会長様からご案内がありましたように、弊社は永
年にわたり、橘会様と提携し共済事業を担当させていただいております。これま
でも多数のご契約を頂き、ご好評をいただいております。
この度、いまだご契約をいただいていない皆様にご挨拶を兼ねましてご連絡又
はご訪問をさせていただきたいと存じます。その際には趣旨をご理解いただき、
ご多忙とは存じますが、ご引見賜りますようお願い申し上げます。
金沢医大後援会橘会 生命保険等共済事業担当
三井生命保険株式会社 北陸支社 金沢営業部
安江 雅子
〒920-0853 石川県金沢市本町2-15-1 ポルテ金沢7F
TEL 076-222-0612
FAX 076-222-2295
E-Mail [email protected]
― 会員各位へのお願い ―
7月13日(日)ホテル金沢にて開催いたしました金沢医大後援会橘会総会では、大変
にお忙しい中ご出席をいただき、質疑応答の場では活発で貴重なご意見、ご発言をいただ
き誠にありがとうございました。
しかし、会員の皆様方の中には、
・総会当日は出席できなかったが、このような要望がある
・総会の場では発言ができなかったが、この事に関しては要望したい
等、様々なご要望、ご意見をお持ちの方が数多くいらっしゃると思います。特に、国試合
格率を上げるためにはご自身の体験から、ご子弟のご兄弟、ご姉妹の時はこうだった。他
大学のこのような対策が良いと思う、効果を上げている等、いろいろなご意見があるので
はないかと思います。
そのようなご意見を日々、一生懸命教育して下さる現場の先生方にお伝えし、少しでも
ご子弟の国試合格率アップの参考になればと考えます。メールやFAX、お手紙でも結構
ですので、是非、ご意見をお寄せ下さい。(記名、無記名は問いません)
(連絡先) 金沢医大後援会橘会事務局
学校法人 金沢医科大学 経営管理室
教育研究事業支援課内 〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1-1
TEL (076) 286-2211 (内線2721~2726)
FAX (076) 286-8214
メールアドレス:[email protected]
発行日 平成26年12月 1 日
【表紙写真】
金沢医大後援会橘会ニュース 第43号
発行責任者 金 沢 医 大 後 援 会 橘 会 会長 八 木 茂 夫
編集責任者 金沢医大後援会橘会副会長 大 島 譲 二
編 集 金沢医大後援会橘会事務局(教育研究事業支援課)
題 名「医学教育棟」
撮影日時 平成26年10月16日
〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1-1
電 話(076)286-2211(内線)2721~2726
FAX(076)286-8214
撮 影 者 中谷 渉