PDFファイル

地球温暖化問題と原子力・再処理
-原子力ルネサンス時代の新・原子力産業事情-
平成21年 11月
平成22年
9月 Rev.2
林田 尚武
'前半のお話(
原子力の基本と状況







環境問題における原子力の位置付け
エネルギー事情から見た原子力
原子力発電のしくみ
日本、世界の原子力発電の現状
エネルギーセキュリティと核燃料サイクル
商業用再処理施設・六ヶ所再処理工場とは-
プルサーマルの現状
'後半のお話(
原子力の変遷と今後






'付録(
原子力業界の歴史的変遷
原子力ルネサンスに向けた業界の統合・再編
世界の新規建設計画
米国、中国その他新興国の動向
原子力業界の新たな勢力図と相関図
原子力ルネサンスの最新状況
九州あるいは熊本と原子力の係り
自然エネルギー(太陽光、風力発電)と
原子力発電の比較
核分裂で放出される中性子数とプルトニウムの生成
原子燃料サイクル施設の位置
六ケ所再処理工場
再処理工場の中央制御室
原子力発電所の中央制御室
再処理工場と原子力発電所の比較
六ケ所ウラン濃縮工場
原子力産業の変遷




米スリーマイル島事故'’79年(や旧ソ連チェルノブイ
リ事故' ’86年(等の影響を受け、80年代以降、世界
の原発の新規の建設は下降。米国は約30年間新規
建設がゼロ。いわゆる「原子力冬の時代」。
日本は、原発関連産業が原発建設と技術開発を着
実に継続。
2000年代に入り、エネルギーの安定供給と地球温
暖化対策の観点から、世界的な原子力回帰の動き
が現出。いわゆる「原子力ルネサンス」。
日本の技術力と実績に世界中が注目。
過去'~2000年代初め(の主な原子力メーカの構図
GE社'米(
BWR陣営
東芝
日立
WH社'米(
PWR陣営
三菱重工
フラマトムAP
その他
カナダ'CANDU炉(、ロシア'VVER炉(
世界を巻き込んだ原子力業界の
再編・統合の動き'1/2(



’06年2月東芝がWH社(米(を買収したのがきっかけ。
BWRとPWRの両型式を供給する世界唯一のメーカが
誕生。中型炉AP-1000(110万Kw(で世界中に攻勢。
一方、東芝単独でABWR(135万Kw(をセールス。
さらに、ウラン燃料の供給、再処理等への事業拡大を
窺う。
三菱重工'MHI(は ’06年10月AREVA社'欧州(と中
型炉ATMEA1'110万Kw (で事業提携。
但し、大型炉では、それぞれUS-APWR'170万Kw (、
EPR' 160万Kw (で競合関係。
世界を巻き込んだ原子力業界の
再編・統合の動き'2/2(




日立は’06年11月GE社'米(と原子力事業の新会社
を設立。大型炉ABWR (135万Kw(、ES-BWR (155
万Kw(で攻勢。
三菱重工は日立とタービン事業で提携。将来の原子
力全体での提携も視野。
東芝は、PWR機器の製造の一部を三菱重工へ依頼
するも重工は拒否。IHI、韓国・斗山重工へ発注。
東芝、日立、 GE社'米(合弁の原子燃料加工工場
'J-GNF(より東芝を排除。
全面争奪戦へ
主要な原子力メーカの再編と統合
~2000年代初め
BWR
'世界約100基(
現
GE社'米(
日 立
東 芝
GE社'米(
日 立
東 芝
WH社'米(
三菱重工
東 芝
買収、子会社化
WH社(米(
三菱重工
事業提携
AREVA(欧州(
PWR
'世界約300基(
シーメンス'独、KWU)
フロマトムAP'仏(
ロシア
その他
在
ロシア、カナダ
合併
新会社設立
'日立GEニュークリア・
エナジー社(
新会社設立
'ATMEA社(
世界の原子力産業の歴史的変遷
原子力ルネサンスを見据えた
三陣営の戦い'1/5(



現在、原発保有国は31ヶ国。今後、新興国を中心
に43ヶ国が新たに導入を計画。
世界では、アジアを中心に現在44基の原発が建設
中。内、日本での建設中は2基。'因みに着工準備
中は14基(
世界原子力協会'WNA(の4月調査では、今後10年
以内に稼動を目指す原発195基、10~15年の間に
はさらに344基を見込む。中国177基、インド58基、
ロシア54基など。
原子力ルネサンスを見据えた
三陣営の戦い'2/5(
米国
• 32基以上の建設・運転許可'COL(を申請済。
•
•
•
•
東芝・WHグループ
東芝単独
三菱重・AREVAグループ
日立・GEグループ
AP-1000型
ABWR型
ATMEA-1型
ESBWR型
16基内定
8基内定
2基内定
6基内定
• オバマ政権は、核不拡散を重視。→再処理路線の
凍結、高速炉の建設中止を発表。
• 直接処分'ワンス・スルー方式(の方針。然し、現状
ヤッカマウンテン処分場建設を凍結。
原子力ルネサンスを見据えた
三陣営の戦い'3/5(
中国
• 13基が現在建設中。26基の新設計画。'平成20年
度原子力白書では76基(
• 現在は、907万Kwで総発電設備容量の1.3%、 ’20
年には総発電量7,000万Kwを目標に、世界一の原発
大国を目指し、さらに計画を加速中。
• 東芝・WHグループがAP-1000型で6基を受注。昨年
4月浙江省三門で2基が着工。
• 内陸部'湖北、湖南、江西の3省(初の原発建設が年
内に開始。再処理プラントを甘粛省に建設計画。
中国の原子力発電所建設計画
原子力ルネサンスを見据えた
三陣営の戦い'4/5(
ロシア
• 26基の新設を計画。
• 現在の原発比率16%を25~30%へ高める計画。
• ロスアトムは’30年までに約300基の原発需要を見
込む。
•’09年アレバNPを離脱した独・シーメンスと合弁合意。
その勢いで世界市場へ進出。
インド
• 6基が現在建設中。’20年までに14基の新設を計画。
•日本企業は出遅れ。日印原子力協定の締結を急ぐ。
インドの原子力発電所建設計画
原子力ルネサンスを見据えた
三陣営の戦い'5/5(
新興国
• 東南アジアのベトナム、インドネシア、タイ、マレーシ
ア、カンボジア等で新設を計画。
•中東湾岸諸国'UAE,サウジアラビア、クウェート他(、アフリカ
諸国'アルジェリア、エジプト、リビア他(で導入が活発化。原油
や天然ガスの輸出維持が目的。
•トルコは、天然ガスのロシア依存の軽減をめざし、韓
国と原発建設の協力覚書を締結。
•ヨルダン'日仏、カナダ、ロシア企業の争奪戦(、サウ
ジアラビア'東芝・WHグループが有力(が直近の舞台。
世界各国の原子力開発の状況
世界の原発の建設実績シェア
'出力容量ベース(
出典;日本原子力産業協会
東芝グループ
その他
27%
28%
4%
三菱重工業
15%
26%
アレバ'仏(
日立&GE
2030年の地域別市場予測とメーカー別受注状況
出典;週刊「ダンヤモンド」’07年9月1日号
原子力ルネサンスの最新状況'1/2(


昨12月末、UAEアブダビ首長国の原発受注合戦'計
4基(で、当初の予想に反し日本勢は韓国に敗退。
コスト面と官民一体の受注体制不備が敗退の要因。
今年2月、東南アジア初の原発となるベトナム第一
期原発の受注合戦'2基分(で、ロシアの国営企業ロ
スアトムに敗退。
軍事品供与やエネルギー協力が決め手。
残り第二期分'2基分(に向け、官民共同出資の新会
社「国際原子力開発」を10月に設立。民主党政権主
導での「新成長戦略」の下、交渉活動を展開。
原子力ルネサンスの最新状況'2/2(



今年3月、米MS創業者兼会長ビル・ゲイツが東芝と
組み、次世代原子炉TWRの開発を表明。
核燃料の交換なしに最長100年間連続運転が可能
な10万~100万Kwの高速炉。
今年5月、敦賀の高速増殖炉「もんじゅ」が’95年の
ナトリウム漏れ事故以来14年5カ月ぶりに運転を再
開。我が国の核燃料サイクル政策の中核。
9月、ドイツのメルケル政権は、’98年のシュレー
ダー政権が決定した’20年までに国内の原発全廃の
「脱原発」方針を転換し、平均で約12年間延長する
「脱・脱原発」へカジ。
'付録(
九州あるいは熊本と原子力の係り




日本初のプルサーマル発電が玄海3号機で’09
年11月より開始。現在順調に運転中。
’09年1月九州電力の新規の原発計画が新聞紙
上にて発表。天草が立地候補地に浮上。
日本原燃・六ヶ所再処理工場の操業開始遅れも
あり使用済燃料中間貯蔵施設の計画を九州電
力が発表。建設地点を選定中。
過去には、 ’04年高レベル放射性廃棄物の最終
処理場の誘致で御所浦町が脚光。事業規模約3
兆円を見込む。