In Vivo実験医学冊子 - 公益財団法人実験動物中央研究所

目 次
ごあいさつ
2
まえがき 3
第1章 ゼロベースのスタートから世 界 ト ッ プ へ 4
■ イン・ビボ実験医学の萌芽と発展
第2章 イン・ビボ実験医学の現在
10
■ 実験動物の感染症コントロール
■ 超免疫不全NOGマウスを用いた
「ヒト化マウス」
への試み
■ トランスジェニック・マーモセット作出までの道のり
第3章 ライフサイエンスの新たな扉を拓く
■ 日本の国際戦略に直結する新研究所の誕生
■ インタビュー 更なる公益性を求めて
■ インタビュー ライフサイエンスの
■ インタビュー 最先端医療の現場から
■ 特別寄稿 アミノ酸研究で「グローバル
28
果てしない世界
健康貢献企業グループ」
へ
CONTENTS
Preface 42
Foreword
43
Chapter1 From Humble Beginnings to the World’
s Top
44
■ In
Vivo Experimental Medicine: Its Evolution and History
Chapter2 In Vivo Experimental Medicine as We See Today
■ Control
■ NOG
■ Transgenic
50
of Infectious Diseases in Laboratory Animals
Mouse: The Super Immunodeficient Mouse
MarmosetsーHow the dream of generating transgenic primates came trueー
Chapter3 Opening the New Door in Life Science
■ As
■ Interview Seeking
■ Interview The
■ Interview Real-time
■ Special
Ajinomoto: Contributing to Global Health through Amino Acid Research
68
the Accelerator of Japan’s Global Strategy
Further Public Interest
Limitless World of Life Science
Report from the Most Advanced Medical Arena
contribution article
ごあいさつ
生命科学の最終ゴールは人間の生命機能の解明と病気の克服です。
最近の生命科学の進歩は目覚ましいものがありますが、わずか三千の遺伝子しか持たない
大腸菌ですら、人間は未だに人工合成できないのです。従って、分子科学を個体レベルで
イン・ビボ
統合した
「in vivo サイエンス」
こそ、将来の生命科学の方向性を定めるものと信じています。
このような研究や開発を支えるのは、高い品質を持ち、医学に精通した研究者の視点で開発・
改良された実験動物です。第二次世界大戦後間もなく医学の研究を始めた私は、動物実験
に不可欠なマウスやラットの品質が一定しないため、大変苦労しました。そこで、研究開
発の基礎としてきわめて重要でありながら、なおざりにされてきた
「品質・規格」
が一定で
ある高品質の実験動物の開発と研究につとめ、さらに品質・規格を検証するモニタリング
センターを設立しました。最近は生体の働きを、ありのままの状態で測定する高度の検査
方法を取り入れ、医学・医療の進歩と新薬・ワクチン開発への貢献を通じて、人類の健康
問題解決を目指しています。
この冊子は、そうした生命科学の動向を、イン・ビボサイエンスの観点から過去、現在、
そして未来にわたるまで、わかりやすくまとめるように努力いたしました。
皆様のご理解を促進する一助となれば、幸いです。
公益財団法人 実験動物中央研究所所長
野村 達次
2
まえがき
生体機能の理解なくして、学問としての医学もなければ、生体機能が破綻した場合の病
気の治療法も生まれません。そのため医学分野では、古来より生体機能を担うマクロから
ミクロの物質を明らかにしようとする努力が、営々と続けられてきました。特にここ 20
年間における遺伝子ハンティング技術の発展に伴って、多数の機能分子とそれをコードす
る遺伝子が猛烈な勢いで同定され、生体を構成する各種部品のレパートリーは多彩になっ
てきました。
しかし医学が対象とする生体は部品の単なる組み合わせではなく、それらが有機的に作
用しあっている複雑系です。従って、部品を網羅しただけでは生体の機能を深く理解する
ことはできず、機能的に不具合が起きた疾患の病因解明や治療開発にも繋がりません。
生体という複雑系の統合的理解には、遺伝子操作動物の作製が有用な手段で、特定分子
の異常が複雑系の機能に及ぼす影響を生体内
(in vivo)
で観察することが可能になります。こ
のような技術はまた、生体機能に不具合が起こる疾患のモデル作りにも役立ち、各種疾患
に特異的な遺伝子の異常発現や欠損個体を作製すれば、ヒト疾患の同様な症状の再現を検
討することができ、同時に治療法の開発にも用いられます。
実験動物として広く使用されているマウスやラットといったげっ歯類は、長期に渡って
生命科学領域に多大な貢献をしてきました。ところが生物系統樹の上からも、またヒト指
向性の病原体や治療等に対する各種生体反応からも、ヒトとはかけ離れているため、とき
には適切なヒト疾患モデルとはなり得ません。この点を克服するため、マウスにヒト遺伝
子を発現させたり、あるいはヒト細胞や組織を移植してヒト分子の生体内機能を検討する、
いわゆるヒト化マウスが開発されてきました。さらに、遺伝、代謝および高次機能の面で
もヒトとの距離が近い、霊長類の実験動物化という動きもあります。中でも新世界ザルに
属するマーモセットは、実験動物としての高い資質を備えているため、世界中が注目して
います。
いずれの開発も日本が先行状態にあり、個体生命科学の基盤の上に今後の生物医学分野
におけるさらなる発展、そして安全性・有効性の高い医療と健康維持に向けた飛躍的な研
究開発が、期待されています。
本書がこうした動きを理解する一助になれば、幸いです。
順天堂大学 医学部 免疫学 客員教授
公益財団法人 実験動物中央研究所
アドバイザリーコミッティー委員長
垣生 園子
3
— 第1章 —
ゼロベースのスタートから
世界トップへ
普段、私たちが何気なく服用する薬や、病院などで受けるMRIのような検
査が「現実のもの」となるには、実は、何年にもわたる度重なる研究と開発が
必要でした。そして、新たに開発された医療や医薬が本当に有効で安全なの
か、それを確かめるには、どうしても「生物」、すなわちイン・ビボを使って、
注意深く観察・確認をする必要があります。さらに、いろいろな病気はどう
して起こり、どうすれば治るのか、その謎を解くにも、こうしたイン・ビボ
実験的なアプローチが、必要不可欠になってきます。
今日、このイン・ビボ実験医学の分野において、日本は世界をリードするに至っ
ています。しかし第二次世界大戦が終結した1945年当時、日本人は衣食住
のあらゆる面で困っていました。当然、医療や医薬を満足に提供できる病院
もなく、医者も足らず、イン・ビボ実験医学という概念も言葉も存在しませ
んでした。
では、何もない、まさにゼロベースのスタートで、日本はどうして世界一
になれたのでしょう。その疑問に応えるべく、本章ではイン・ビボ実験医学
の過去から現在に至る歩みに、目を向けてみたいと思います。
4
第1章
ゼロベースのスタートから世界トップへ
イン・ビボ実験医学の萌芽と発展
フリーランスジャーナリスト
目加田 みちる
敗戦国の悲惨
「これではいけない」
と立ち上がったのが、当時、東京
第二次世界大戦が終結した 1945 年当時、日本の一
大学伝染病研究所
(伝研)
にいた安東洪次博士と、国立予
人当たりの実質 GDP
(Gross Domestic Product:国
防衛生研究所の田嶋嘉雄博士で、両博士は 1951 年に
内の生産活動。これを数字で表すことで、景気を測る
実験動物研究会を発足させています。その目指した方向
指標として用いる)
は 129,500 万ドルでした。これに
性を設立趣意書から探ると、自然感染のない、感受性が
対して米国は 1,172,200 万ドル
(日本の約 9 倍)
、英
一定した動物の供給をはじめ、年間を通じた一定の飼料
国は 673,700 万ドル
(日本の約5.2倍)
もありました 。
供給、さらには動物の飼育管理法の改善など、今日では
また平均寿命についても、1947 年当時の日本人男性
当たり前になっている
は約 50 才、女性でも約 54 才しかありませんでした。
事柄を、目標として掲
2010年の平均寿命が男性約79才、女性約86 才にま
げています。
で伸びていますから、これらの数値を見ただけでも、当
と こ ろ で 安 東・田
時の日本がいかに貧しく、人々が短命だったかが分かり
嶋 両 博 士 は、実 験 動
ます。
物研究会が打ち出し
その上、戦争の空襲で、東京とその近郊は一面焼け野
た概念を実践してくれ
原になっていました。ですから、医療機関や施設、さら
る「場」を求めていまし
に関連する研究所や医者も数が足らず、満足な治療も薬
た。その過程で白羽の矢を立てたのが、野村達次という
も提供出来ない状態でした。また、イン・ビボ実験に使
伝研に入って間もない医学研究者でした。野村研究員
用されるモルモットやウサギも、農家の人たちが片手間
は 1945 年に慶応義塾大学医学部を卒業後、自宅で病
に育てているような状況でしたから、質を問えるような
気療養をしている間に、自分の今後の研究活動に使える
シロモノではなく、大きさや色もまちまちでした。そし
マウスの飼育を思い立ちます。そのアイデアを家族が全
て研究所などが買い入れた動物も、糞尿とワラが層を成し、
員で支え、母親と姉が実際の動物飼育を担当してくれま
白い毛色が黄色く変色してしまうような状況で飼われて
した。そして実験動物研究会の趣旨に賛同し、父親と弟
いたため、バタバタと死んでいったそうです。
が飼育に必要な資金や建物等を提供する形で、ついには
実中研創設当時の野村達次(右奥)、田
嶋博士(中央)と安東博士(左)
5
第1章
1952 年に、実験動物中央研究所
(実中研)
を誕生させ
るべく、必然的に立ち上げられたのです。ここで特筆す
ています。
べきなのは、実中研が国にも企業にも属することなく、
さらに、かねてより
「医学研究者としての道を選ぶか、
野村達次のファミリーが設立・運営に至った、極めてユ
実験動物の飼育に専念することで日本の医学の研究水準
ニークな存在だったという事実でしょう。
全体を上げる道を選ぶか」
を、職場の上司である安東博
士に問いかけられていた野村青年は、1954 年に後者
コンプレックスがバネとなる
の道を選択することで、実中研の仕事に専念するように
ところで当時、日本はどういう状況だったのでしょうか。
なります。次いで、米軍施設から大量の動物と飼料の発
実は1955年は、その後の高度経済成長につながる
『神
注を受けて勢いに乗った実中研は、1957 年には法人
武景気』
幕開けの年にあたります。翌1956年の経済白
化され、私的な団体から社会的に認められる法人格として、
書の結びで、経済企画庁は
「もはや戦後ではない」
と記述
正式に発足しています。
し、これは流行語にまでなりました。さらに 1956 年
ここまで見てきたように、実験動物研究会は戦後日本
は家電を中心とする耐久消費財ブームが始まった年で、
の必然が生み出した研究会でした。そして、その理念を
冷蔵庫・洗濯機・白黒テレビが
『三種の神器』
と言われた
実践する実中研もまた、日本の医学研究水準全体を上げ
時代でした。
このように、日本全体が戦後復興期のマインドから脱
却し、人々は豊かさを求め、欧米に追いつけ追い越せと
いうムードで沸き立っていました。そして医学や医療、
さらに実験動物が用いられる前臨床の分野でも、日本は
前を行く米国やヨーロッパ諸国の背中を、必死に追って
いました。ですから、動物の固形飼料を製造する機械が
米国で発売されると、それを買い入れ、マウスやラット
かつて西多摩郡瑞穂町にあった実験動物中央研究所
も品質が良いものを米国から輸入して、日本で積極的に
繁殖させようとしました。日本の経済状況が回復するに
つれ、国や大学、そして企業のあらゆる研究機関が、そ
うした努力を重ねていったのです。
ところが1957年から1959年にかけての実中研は、
存続さえ危ぶまれるほど大変な状況に陥っていました。
米軍の撤収に伴う大口契約の突然の解除や、伝染病の流
行による全コロニーの殺処分、さらには火災によるラッ
写真提供:花王株式会社
ト生産施設の消失などの大事件が、次から次へと起こっ
実中研の創設当時はこのような石鹸製造機で固形飼料を作っていた
6
たのです。それでもあきらめずにひたすら前進し続けら
れたのは、一つには国全体が更なる発展へとひた走って
おり、そうした時代の潮流に後押しされたこと、また、
欧米に必ず追い付くんだという意気込み、さらには実験
ゼロベースのスタートから世界トップへ
動物の飼育・研究を通じて
「日本の医学の研究水準全体
られるものではありません。そこには長い年月にわたる
を上げるのだ」
という実中研設立以来の使命を、リーダー
継続的な研究開発の蓄積がありました。例えば 1960
である野村達次が持ち続けていたからだろうと、多くの
年代に苦労して確立した無菌動物の量産化技術がなけ
関係者は語ります。
れば、感染症に特別弱い免疫不全のヌードマウスや、
SCID
(Severe Combined Immune Deficient:重度の
世界が認めた
『日本品質』
複合的免疫不全に陥った)
マウスといった疾患モデル動
1975 年以降、日本は数々の世界トップレベルの業
物の安定的な生産供給は不可能でした。さらにラットや
績を、イン・ビボ実験医学の分野であげ始めます。幾つ
マウスのライフサイクルにおける徹底的な品質管理と高
かのおもだった例を挙げますと、ナキウサギやマーモセッ
度な技術がなければ、ヌードマウスにヒトがんを移植し、
ト、スンクスやミニブタ G 等の実験動物化、遺伝的な
各種抗がん剤を投与し、その効果のスクリーニングテス
均質性を保ちながら交雑系の長所を取り入れたハイブリッ
トを行い、株化したがん組織を冷凍保存するなどという
ド・アニマルの開発・生産、さらにはヒト疾患の症状を
ことは、到底出来ません。加えて、そうした実験動物の
持つ新たな系統の実験動物である
『疾患モデル動物』
の開
研究開発過程における注意深い観察がなければ、ヒトが
んの組織が白血球を異常なほど増殖させる G-CFS 因子
日本が世界に先駆けて実験動物化に成功したナキウサギ
中外製薬から発売されたノイトロジン。白血球減少
症の治療に使われている
発などが挙げられます。
を産生させる事実にも気が付かず、ノイトロジンという
実はこれらすべてのエリアにわたって、実中研は主体
白血球減少症を治療するような画期的な薬も、2007
的な存在でした。しかし、こうした実績は一朝一夕に得
年に日本から世界へ向けて発表されることはなかったの
です。
では、こうした地道な努力により得られた成果を、海
外はどのように受け止めていたのでしょうか。一例とし
てあげられるのが、実中研が 1991 年から 1999 年頃
まで精力的に取り組んだポリオマウスの開発と、それを
使った小児マヒ用生ワクチンの安全性を評価・確認する
ヌードマウスは様々な研究に大いに役立っている
検査方法の確立があります。小児マヒ
(ポリオ)
の予防接
7
第1章
種には、弱毒化させたポリオウィルスの生ワクチンが使
来の2年からわずか6カ月へと大幅に短縮されたのです。
用されます。しかしこの弱毒化が不十分だと、生ワクチ
これがきっかけとなって、新薬開発の審査・承認に
ンが感染源となってしまいます。従来、この生ワクチン
当たって国際的な共通ガイドラインの制定を促進する
の安全性の確認には、サルが使用されていました。と
ICH
(International Conference on Harmonization
いうのも、ポリオはヒトとサルにしか感染しないから
of Technical Requirements for Registration of
なのです。その一方で、個体数の減少や動物保護の観
Pharmaceuticals for Human Use)
という国際組織
点から、サルに代わる実験動物が求められるようになっ
が中心となり、発がん性試験法を日・米・欧の三極で
てきました。そこで実中研はポリオマウスの作出に成功
見直すことにしました。見直しの中には p53 マウスや
した東京都臨床医学総合研究所の野本明男博士の技術を
TgACマウスなどの他の国で開発された遺伝子操作マウ
引き継ぎ、ポリオマウスの実験動物化に成功しました。
スも含まれていますが、現在では米国やEUの規制当局
そして 1993 年には
や業界団体も rasH2マウスに最高の評価を与えています。
WHO
(World Health
こ う し た 結 果 を 受 け て、rasH2 マ ウ ス の 需 要 は
Organization: 世界保
2010 年には全世界で 23,000 匹に到達し、このマウ
健機構)
がポリオマウ
短期発がん性試験用 rasH2 マウス
スとサルを使った生ワ
クチンの安全性評価法
短期がん原性試験による試験期間、試験費用および使用動物の削減
rasH2 マウスは新薬開発の際に必ず行
われる発がん性評価試験に使用される
に関する比較テストを行い、ポリオマウスの方が精確度
と経済性に優れていると、判断しています。
もう一つここでご紹介したいのが、rasH2マウスです。
かつて
現在
試験期間
2年
6ヶ月
試験費用
200万ドル
80 -100万ドル
使用動物数
500〜750匹
250〜350匹
こちらは実中研が1990年に作出した新たなマウスで、
ヒトのrasがん遺伝子が組み込まれています。
スを用いた発がん性試験を軸にした
『新薬のヒトに対す
このマウスは新薬開発の際に必ず行われる
『安全性評
る発がん性を予測する新たな総合システム』
」
の構築に向
価試験』
のうち、特に
『発がん性試験』
のための動物とし
けた国際的な話し合いが始まっています。
て開発されました。従来の発がん性試験では、発売前の
8
新薬を遺伝子操作されていない普通のマウスに2年間毎
常に実用化を念頭に
日投与して
『がん』
が発生するかどうかを観察しなければ
『世界トップ』
という点だけから言えば、実中研は他に
ならず、膨大な時間と費用がかかることが頭痛の種となっ
も様々な業績を残しています。しかし野村達次所長は、
ていました。さらに
『がん』
が発生しても、それはネズミ
「世界一であっても、ヒトの医学研究、ヒトの病気の解
自体の加齢による変化や、ネズミ特有のメカニズムによ
明、ヒトの病気の治療に役立つものでなければ、意味が
る
『がん』
であることが非常に多く、ヒトに対する発がん
ない」
と、ことあるごとに強調してきました。実はこう
の危険性を正しく予測することが極めて難しいことが問
した姿勢は実中研の設立以来、全く変わっていません。
題でした。ところが rasH2 マウスの出現で、こうした
そして、次章で詳細をご紹介するように、最先端医療分
問題点の多くが解決され、新薬の
『発がん性試験』
の結果
野のNOGマウスやマーモセットの研究に携わる研究員
判定が容易になったばかりでなく、必要な試験期間も従
の間でも、このような認識は徹底しています。さらに野
ゼロベースのスタートから世界トップへ
村所長は、
「この実用化の部分を忘れ、世界一であるた
めだけの研究開発が、欧米各国の一流研究機関を時に衰
退させる」
最大の理由だと、警告を発しています。
一方、実用化を念頭に置くと、実験動物の品質を長期
にわたって維持管理し、その検査体制の確立も考えざる
を得ません。そのような実験動物の品質管理の必要性
も、当初は実中研が提起し、その後、日本における実験
動物全般にわたる共通課題、さらにはグローバルな提案
へと発展していきました。その詳細説明は次章に譲りま
すが、実中研の構内には世界初のICLAS
(International
Council for Laboratory Animal Science:国 際 実 験
動物学会議)
モニタリングセンターが設立され、実験
動物のグローバルスタンダードとなる品質管理関連の
検査を行っています。さらに実中研は、1998 年に
は GALAS
(Global Alliance for Laboratory Animal
Standardization)
という世界各国の動物生産企業の同
盟も結成して、実験動物のグローバルな標準化も目指し
ているのです。
参考文献
[1]世界経済の成長史 1820-1992、アンガス・マディソン著
[2]厚生労働省「生命表」
9
— 第2章 —
イン・ビボ実験医学の現在
高品質の動物の生産・供給が可能になってくると、今度は供給した動物の
品質維持をどうするかという問題が出てきます。その一つの回答として、国
際実験動物学会議(International Council for Laboratory Animal Science)
は 1979 年に、実験動物のグローバル・スタンダードの検査を行うモニタ
リング・センターを、世界各地に設置するべきだという勧告を発します。そ
れに呼応する形で、日本の実験動物中央研究所
(実中研)
は、同年、世界初の
ICLASモニタリング・センターに指定されました。以来今日に至るまで、こ
のモニタリング・センターは、日本の実験動物の品質を高水準で保持するこ
とに注力してきました。
このような動物の品質維持の動きと相まって、日本の様々な医療諸機関や
研究所は、より良い品質の実験動物を育てる努力を続けてきました。またそ
うした動きとは別個に、特定疾患の研究や治療に役立つ実験動物の研究開発も、
継続してきました。そうした長年にわたる努力が実り、今日、様々な新しい
タイプの
「世界初」
の実験動物が、日本から誕生しています。
こうした動向に着目しながら、本章ではモニタリング・センターの活動と共に、
世界中の医療関係者や諸機関が注目するNOGマウスとトランスジェニック・
マーモセットに焦点をあててみました。
10
第2章
イン・ビボ実験医学の現在
実験動物の感染症コントロール
公益財団法人 実験動物中央研究所
ICLAS モニタリングセンター
日本では 1970 年代後半になると、実験動物の長期的な品質管理が必要だという考え方がでてきました。そして実
験動物中央研究所
(実中研)
は、実験動物の品質項目は国際的な共通基準として定めるべきではないかと提案してい
ます。そこで、この提案に応じた国際実験動物学会議 (International Council for Laboratory Animal Science)
は、1979 年にグローバル・スタンダードの検査を行うモニタリングセンターを、世界各地に設置するべきだとい
う勧告を発します。そして同年、世界初の ICLAS モニタリングセンターとして、実中研は指定されました。
モニタリングセンターの役割
モニタリング普及のために自家検査用のキットや試薬
ICLAS モニタリングセンターは、1979 年に ICLAS
を作製し、頒布しています。
(International Council for Laboratory Animal
Science:国際実験動物学会議)
により唯一認定された、
3. モニタリング検査技術の開発改良
実験動物の遺伝および微生物学な品質管理のためセンター
信頼性の高い検査を実施するために、ニーズにあった
です。その主な業務内容は、
検査技術や検査キットの開発改良を行っています。
1. モニタリングの受託検査とコンサルテーション
4.教育・研修
国内外の大学・研究所、製薬会社、実験動物生産施設
技術研修会・講演会開催、そして大学・製薬会社等か
から、年間約 50,000 検体の微生物モニタリング検査
らの研修生の受入れを通じ、モニタリングの普及・啓発
を受託し、検査結果に対するコンサルテーションを実施
活動を行っています。
しています。
モニタリングの必要性
2. 標準試薬の作製と頒布
実験動物のモニタリング
(以下モニタリング)
の目的は、
11
第2章
あらかじめ設定された
(した)
動物の遺伝学的、微生物学
の開発が主流になった現在、今まで病原性が弱いと考え
的品質が、繁殖の場では累代、実験の場では動物導入時
られていた病原体が、これらマウスに高い病原性を持つ
から実験終了時まで、一定に維持されている
(いた)
こと
ことが確認されています。したがって、遺伝子組換えマ
の証明です。つまり、実験動物施設に存在していたら不
ウスの開発・実用化のために、新たな感染症との闘いが
都合な微生物をあらかじめ決めておき、それらを定期的
始まったと言えるかも知れません。
に検査することにより、汚染されていないことを確認す
そこで何故、実験動物の感染症コントロールが必要な
るのです。
のか、どんな感染症が有るのか、新たな感染症との闘い
このモニタリングにより、繁殖の場では、維持・供給
とは何なのか、そして感染症をコントロールするために
する動物の遺伝学的、微生物学的な品質が基準を満たし
はどうすれば良いのかといった点を、マウス・ラットの
ていること、そして実験の場では、得られたデータが遺
事例を中心にご紹介します。
伝的に汚染されておらず、感染症に侵されていないこと
を証明できます。
感染症コントロールは何故必要か?
また、実験動物学の分野における微生物検査には、モ
実験動物施設の感染事故発生は、様々な問題を起こし
ニタリング以外に、飼育中あるいは実験中に発見した異
ます。まず、病原性が強い感染が起こると動物は死亡し、
常動物を対象に、原因を明らかにするために実施する診
生産、実験を中止せざるを得ない状況になります。病原
断
(異常原因追及)
のための検査や、ある時期における特
性が弱い感染においても、感染により生体は通常と異な
定の微生物汚染の広がりについて調べる疫学調査などが
る反応を示し、生産や実験成績に影響を及ぼします。また、
あります。しかし品質保証の目的で行われるのは、モニ
感染の原因が人獣共通伝染病の場合は、人の健康管理の
タリングをおいて他にありません。
問題に発展します。その結果、生産の場では動物の生産・
供給の停止が起こり、生産業者の信頼性が低下します。
感染症との闘い
他方、実験の場では、実験成績の再現性や信頼性が低
実験動物の開発と実用化は、感染症との闘いであった
下し、科学的実験が損なわれ、動物の命が無駄になって
(ある)
と言っても過言ではありません。日本においても
しまいます。また感染した動物コロニーの再構築には、
今から30年以上前は、致死的な感染症があちこちの実
長い時間と多額の費用が必要になります。こうした事態
験動物施設で発生し、その度に生産や実験を中止せざる
を防ぐには、日常の感染コントロールが、実験動物施設
を得ない状況が続いていました。現在は、マウスやラッ
において不可欠であることは、言うまでもありません。
トに対し致死的な病原性を持つ病原体の流行は激減し、
また感染症コントロールは、動物愛護の観点からも、
また飼育施設においても感染防御のための対策がハード、
なくてはならない行為です。病原性の強い感染は動物に
ソフト両面において整備され、安全に実験動物の生産や
強い苦痛を与え、感染事故の発生により施設全体の動物
動物実験を行う事ができるようになりました。しかし、
(感染していない動物も含め)
が、淘汰されてしまう事態
この様な環境が整備された背景には、実験動物学に携わっ
が起きる場合があります。したがって、感染コントロー
た諸先輩方の感染症との壮絶な戦いがあった事を、忘れ
ルは、動物の苦痛排除、そして使用動物数の削減の面で、
てはならないのです。
動物の福祉に貢献します。
一方、遺伝子改変技術を用いたヒト疾患モデルマウス
12
イン・ビボ実験医学の現在
どんな感染症が有るのか
かし、免疫不全マウスに対しては、文字通り重度な肝炎
マウス・ラットの主な感染症をここに示しました。そ
を起こすなど、致死的な病原性を示します。
の中から過去猛威をふるい、マウス・ラットの3大感染
過去高い汚染率を示していたこの感染も、現在は
症と言われた感染症を紹介しましょう。
10%以下に低下していますが
(表)
、今でも、大学・研
マウス・ラットの主な感染症と原因微生物
究機関では散発しており、免疫不全マウスを用いた実験
施設では、注意が必要です。
肺炎
センダイウイルス, M. pulmonis ,
カーバチルス, ネズミコリネ菌,
ニューモシスティスカリニ
(免疫不全)
など
肝炎 マウス肝炎ウイルス, ティザー菌,
ヘリコバクターヘパティカスなど
マイコプラズマ属の Mycoplasma pulmonis の感染
腸炎
マウス肝炎ウイルス, ティザー菌,
ヘリコバクターヘパティカス、
により起こる、慢性呼吸器疾患です。マウスやラットに
サルモネラ菌など
感染しますが、特にラットでは重篤な慢性気管支炎を起
唾液腺涙腺炎
唾液腺涙腺炎ウイルス
こし、一生治癒することはありません。この感染症も、
皮膚病
白癬菌, 黄色ブドウ球菌,
過去には高い汚染率を示し、特に大学のラット飼育施設
エクトロメリアウイルスなど
では、高い値を示していました。
・センダイウイルス病
・Mycoplasma pulmonis 病
1980年代の主要微生物汚染状況
パラインフルエンザウイルスに近縁のセンダイウイル
病原体
スに感染する事により起こる、急性呼吸器疾患です。感
センダイウイルス
18.0%
22.7%
染したマウス・ラットは、くしゃみや肺炎など、人のイ
マウス肝炎ウイルス
39.4%
ー
ンフルエンザと同じような症状を示します。ただし、人
M. pulmonis
3.0%
11.4%
にはうつりません。病原性は強く、感染したマウスを死
唾液腺涙腺炎ウイルス
ー
15.9%
亡させる事があります。また伝播力も強く、迅速な対策
を取らないと、あっという間に施設全体に感染が広がっ
てしまいます。
30 年前は、多くの施設においてこの感染事故が発生
していましたが、現在では感染事故は激減しています。
・マウス肝炎ウイルス病
コロナウイルスの仲間であるマウス肝炎ウイルス
マウス施設汚染率 ラット施設汚染率
※マウス肝炎ウイルスはマウスのみ、
唾液腺涙腺炎ウイルスはラットのみ感染
2009年の主要微生物汚染状況
病原体
マウス施設汚染率 ラット施設汚染率
センダイウイルス
0.2%
0%
マウス肝炎ウイルス
1.1%
ー
M. pulmonis
0.3%
3.1%
唾液腺涙腺炎ウイルス
ー
0.5%
※マウス肝炎ウイルスはマウスのみ、
唾液腺涙腺炎ウイルスはラットのみ感染
(MHV)
に感染する事により起こる、マウスの感染症で
す。このウイルスには病原性が強い株
(強毒株)
と弱い株
(弱毒株)
が存在し、強毒株感染の場合、マウスは急死し
ます。ただ、現在世の中で流行している株は、弱毒株が
主流で、通常のマウスに対して病原性はありません。し
13
第2章
新たな感染症との闘いとは
は、
「感染症を施設内に持ち込まない」
です。感染症を持
ここまでご紹介したように、現在は通常のマウス・ラッ
ち込む原因としては、感染動物そのものの他、病原体に
トに重大な影響を与える病原性の強い病原体の流行は、
汚染した実験材料、器材等があります。したがって微生
減少しています。一方において、黄色ブドウ球菌、緑膿
物検査成績等、施設内に導入する動物に関しては、これ
菌や肺パスツレラといった微生物の汚染は、依然高い値
らの事前の情報収集と解析を行うと同時に、使用器具器
を示しています。
材の消毒や滅菌等が必要になります。また万が一、感染
これらについては、通常のマウス・ラットが感染して
症を持ち込んでしまった場合、それを
「施設に広げない」
も、病気を起こすことは稀です。しかし、日和見病原体
ための管理
(作業動線、消毒、滅菌等の標準操作手順書:
と呼ばれるこれら病原体が免疫不全マウス・ラットに感
Standard Operating Procedures(SOP)
)
、つまり適
染すると、致死的な病気を起こす場合があります。これ
正な衛生管理体制も必要になります。この衛生管理が正
まで、黄色ブドウ球菌感染によるヌードマウスの皮膚病、
しく行われ、感染症コントロールがなされているかどう
肺パスツレラ感染による Rag2KO マウスの肺炎、さら
かを監視するシステムとして、微生物モニタリングがあ
に緑膿菌感染によるNOGマウスの敗血症などの病気が、
るのです。
実験施設内で起こったことがあります。
ここで見てきたような活動を通じ、ICLAS モニタリ
ングセンターは、日本の実験動物の品質向上と感染症コ
日和見病原体の汚染状況
(2009年)
病原体
マウス施設汚染率 ラット施設汚染率
今後とも感染症コントロールのオピニオンリーダーと
肺パスツレラ
4.3%
3.0%
して粛々と現在のスタンスを維持しながら、ICLAS モ
緑膿菌
3.4%
7.3%
ニタリングセンターは活動を継続してまいります。
黄色ブドウ球菌
23.4%
54.2%
ニューモシスティスカリニ
4.8%
0%
動物実験の主流が、免疫不全動物を中心としたヒト化
モデルに変化した現在、通常の動物では今まで余り気に
留めなかった日和見病原体が、実験動物の生産や動物実
験に大きな影響を及ぼす可能性があります。別の言い方
をすると、これからはセンダイウイルスやマウス肝炎ウ
イルスなど、病原性が強い感染症コントロールを継続し
ながら、同時にこれら日和見病原体を飼育環境から排除
することも、必要不可欠になってきたのです。
感染症をコントロールするためには
感染症をコントロールするため、つまり実験動物施設
内における感染事故の発生を防ぐために一番重要なこと
14
ントロールに貢献してきました。
イン・ビボ実験医学の現在
超免疫不全NOGマウスを用いた
「ヒト化マウス」
への試み
公益財団法人 実験動物中央研究所
実験動物研究部・バイオメディカル研究部
NOGマウスは、2002年に世界に先駆けて公表された、主な免疫機能がほとんど働かない、いわゆる免疫不全のマ
ウスです。その正式名称は、国際命名規約に則ると NOD.Cg-PrkdcscidIl2rgtm1Sug/Jic という複雑なもので、研究分野
ではNOD-scid, IL-2Rrnull マウスとされています。しかし、それでもまだ長いため、通常は
「NOGマウス」
と呼ばれて
います。一見なんの変哲もないマウスですが、このマウスはヒトを含むマウスではない動物の細胞、組織や臓器を拒
絶しません。そのため、
「ヒト化マウス」
として、ヒト疾病の解析や創薬に大きな期待が寄せられています。ですが研
究チームにとっては、このマウスは最終形ではありません。様々な改良型の新しい免疫不全マウスと、それを使った
イン・ビボ実験を通じて、ヒト疾患の解析や新しい治療薬の開発に役立ちたいと考えています。NOGマウスの世界を、
ちょっと覗いてみましょう。
開発の歴史
た時期でした。このマウスを使って、免疫学の今日の基
実験動物の中でも、免疫不全マウスは極めてユニーク
礎が、動物の体内
(in vivo)
で育まれたといっても過言で
な動物です。というのも、ヒトなど他の動物の細胞や組
はありません。
織を使った研究が、このマウスの中で行えるからです。
さて、ヌードマウスは免疫不全であるため、微生物感
実際、がん研究が飛躍的に進展するのに、免疫不全マウ
染で容易に死んでしまいます。1973年に実中研はヌー
スは大きな役割を果たしてきました。その中で特筆すべ
ドマウスを導入しましたが、これにより飼育を可能にす
きなのはヌードマウスです。このマウスは、1962 年
る絶対的な微生物統御と環境整備を、自らに課したので
に英国で、毛のない突然変異マウスとして初めて報告さ
す。同時に、実中研の野村達次所長は、国際ヌードマウ
れました
[1]
。その後、1968年にこのマウスには胸腺
スワークショップをRegaard博士らと一緒に立ち上げ、
がないことが、Pantelouris博士によって明らかにされ
1997 年までに 9 回に及ぶ国際会議を開催し、ヌード
ました
[2]
。当時は免疫学の勃興期で、中でも胸腺とそ
マウスの有用性を広範に検討しました。さらに、厚生省
こで分化するT細胞の役割に、大きな注目が集まってい
(現:厚生労働省)と日本の製薬会社との共同研究プロジェ
15
第2章
実中研における免疫不全マウス開発の歴史
16
クトを立ち上げ、今日、日本では年間13万匹のヌード
1985年にこのマウスをBosma博士から分与しても
マウスが、抗がん剤の薬効評価に使われるに至っています。
らった実中研は、1991年に神奈川科学技術アカデミー
ところで、ヌードマウスでは、皮膚や増殖が激しい
(KAST)
の支援を受け、当時、東海大学の上山義人助教
がん細胞などは生着しましたが、通常の血液細胞など
授と共に
「hu-mouse プロジェクト」
を立ち上げました。
は生着しませんでした。しかし 1983 年、米国の Fox
そのプロジェクトにおいて他の近交系マウスにSCID遺
Chase Cancer Center の Bosma 博士が偶然に、T 細
伝子を導入したり、あるいは当時可能になった遺伝子
胞だけでなく、抗体を産生する B 細胞も欠いた、SCID
導入技術を用いて、ヒト遺伝子をSCIDマウスに導入す
(重症複合免疫不全症)
マウスを発見しました
[3]
。この
るなど、様々な改良を重ねたのです。そのうち、NOD
マウスもやはり免疫学者の注目を集め、様々な研究が行
(Non-obese diabetic)
マウスという 1 型糖尿病のモデ
われました。その中で、当時スタンフォード大学にいた
ルマウスに、SCID 遺伝子を入れた NOD-SCID マウス
MuCune 博士は、このマウスの腎臓の皮膜下にヒト胎
では、ヒトの細胞が極めて良く生着することが確認さ
仔の肝臓と胸腺を移植することで、ヒトの造血細胞をこ
れ、HIV-1感染実験が容易にできることが分かったので
のマウスの中で分化させることに成功し
[4]
、1988年
す
[5]
。
には、エイズの原因ウイルスである HIV-1 が感染する
しかしこのマウスはそもそも、ヒトの細胞の生着性
ことを報告しました。彼はこのヒト胎児臓器を移植した
を高めるために作られたものではありませんでした。
SCID マウスを
「SCID-hu」
と命名し、エイズの研究に大
NOD マウスの糖尿病は T 細胞がないと発症しません。
きく貢献しました。しかし日本では倫理面からほとんど
このため、T 細胞がない NOD-SCID マウスを作り、T
使われませんでした。ちなみに、このSCIDマウスです
細胞クローンを移植して、糖尿病にどのようなT細胞が
ら、ヒトの血液細胞の生着や増殖は弱いものでした。
関連するかを調べるために、大阪大学の微生物研究所の
イン・ビボ実験医学の現在
菊谷仁教授との共同研究として、作られたものでした。
のは、このマウスではSCIDマウスで頻発する胸腺腫が
ちなみに NOD-SCID マウスが他の SCID マウスよりヒ
認められないことです
[8]
。加えて、SCID マウスは一
ト細胞の生着率が高いのは、NOD マウスが持っている
般的に加齢によりT、B細胞が認められるようになりま
多様な免疫不全のためではないかと考えられています。
すが、NOGマウスではこれが全く認められません
[9]
。
いずれにせよ、このマウスでは免疫反応の中心的な役割
このように、NOGマウスはSCIDやNOD-SCIDマウ
を果たすヒトT細胞が分化しないため、免疫反応などの
スで問題とされるような現象が認められないことから、
研究には使われませんでした。
使いやすい実験動物だと言えます。しかし、重度の免疫
実中研は KAST 終了後も、主要テーマの一つとして
不全マウスであるため、感染症には極めて弱いのです。
免疫不全マウスの改良を継続し、免疫不全を複合化した
従って、このマウスを維持したり、実験したりする場合は、
マウスの開発を続けました。NOG マウスはそうした動
病原体がいない厳重な飼育条件下で飼わなければなりま
きの中で作られたもので、NOD-SCID マウスに、IL-2
せん。逆にそのような飼育状況が保てれば、1年以上の
受容体ガンマー鎖
(IL-2R γ)
遺伝子を不活化した IL-2R
寿命があります。
γノックアウト
(KO)
マウスを掛け合わせて、2000 年
に作製されました
[6]
。
NOGマウスのヒト化マウスへの応用
IL-2Rγ KOマウスは、東北大学医学部の菅村教授の
NOG マウスに様々なヒトの細胞や組織などを移植す
グループによって、1996年に作製されたマウスです
[7]
。
ることによって、様々な
「ヒト化マウス」
が作製できます。
IL-2R γ 鎖は T、B や NK 細胞の分化に必要な様々なサ
ここで言う
「ヒト化マウス」
とは、単にヒトの遺伝子を導
イトカイン
(IL-2、IL-4やIL-7など)
の受容体に共有され
入して蛋白が発現するというものではなく、ヒトの細胞
ているサブユニットです。このマウスの体内では、サブ
や組織が機能的に働くマウスを意味します。そのため、
ユニットの IL-2R γ 鎖が働かないため、サイトカイン
ヒト疾患の治療薬の開発などに使うことができるのです。
も働きません。このため、免疫不全が起こるのです。
造血系ヒト化マウス:
NOGマウスの特性
NOG マウスで最も注目されるのは、ヒトの臍帯血の
NOG マウスの重度の免疫不全形質はおもに 3 つのマ
造血幹細胞を移植すると、様々なヒト造血細胞が効率
ウス系統からもたらされています。一つ目はNOD近交
的にマウスの中で分化、増殖する点です。特に、NOD-
系マウスからもたらされた補体活性とマクロファージ機
SCIDマウスで分化しなかったT細胞
(CD4+やCD8+)
能の減退、二つ目は SCID マウスからもたらされた T、
などが分化するため、このヒト造血NOGマウスを用い
B細胞の欠損、そして三つ目がIL-2Rγ KOマウスから
れば、従来難しかったヒトの免疫応答が、このマウスの
もたらされたNK細胞の消失や樹状細胞機能不全、さら
中で解析できる可能性が出てきました。実際、このマウ
にサイトカインシグナルの欠失です。
スのリンパ装置の一つである脾臓には、ヒトのリンパ節
ですから、このマウスの全身のリンパ装置は萎縮し、
で認められるようなリンパ濾胞様構造が観察され、その
リンパ節や腸のパイエル板は肉眼では全く認めることは
中のヒト細胞の構成も極めて似ています。
できませんし、胸腺も痕跡としてしか見ることはできま
しかし、このマウスでもまだ完全な免疫応答が引き
せん。また、脾臓もペラペラです。さらに特筆すべきな
起こされる訳ではありません。このため、実中研では
17
第2章
78.25x000
さらに改良を加え、ワクチン検定すら可能なヒト造血系
皮下移植 HeLa 細胞の生着率比較
移植細胞生着率︵%︶
NOGマウスの作製を目指して、研究を進めています。
移植細胞数
(cells/ 匹)
100
感染症モデル:
NOG マウスの体内では造血幹細胞を移植することに
よって、長期にヒトのリンパ球が維持できるため、リン
75
50
10
5
10
4
10
3
10
2
パ球に感染するヒトの疾患に極めて有効なモデルになり
ます。例えば、ヒトエイズの原因ウイルスである HIV1、成人T細胞白血病
(ATL)
のHTLV-1や、ヒトの常在
25
0
NOG
ウイルスで伝染性単核球症などの多様な疾病を引き起
SCID Nude
こす Epstein Barr ウイルス
(EBV)
などは、ヒト造血系
NOG マウスの中でもヒトに認められるような疾病を引
生体内で起こっている血行性肝転移現象の一部を、マウ
き起こします
[10、11、12]
。例えば、ヒト化 NOG
ス個体内で再現する動物実験モデルです。ヒト膵臓がん
マウスへの EBV 感染により、ヒトで認められる様々な
細胞を脾臓から門脈に接種し、6週間後に肝転移結節形
症状が起こります。現在、このモデルを用いて、病態の
成評価を行った結果を、この図で示しています。従来の
解析や治療薬の開発が進められています。
がんモデル:
NOG マウスのように異種の細胞をほとんど拒絶しな
い実験動物の出現で、これまでのイン・ビボがん研究が
ヒト膵臓がん細胞移植による肝転移結節形成率の比較
NOG マウス
AsPC-1
MIA PaCa-2
大きく変わってきました。まず最も単純なヒトがん細胞
のイン・ビボ実験として、マウス皮下へのヒトがん細胞
株の移植実験例をご紹介しましょう。
3種類の免疫不全マウス、すなわち1)
ヌードマウス、
2)
SCID マウス、3)
NOG マウスの皮下に、それぞれ
ヒト子宮頚がん細胞株
(HeLa S3)
を移植し、その生着
性を比較しました。その結果、NOG マウスではわずか
10個の細胞を移植しただけでも腫瘍塊が形成されるほど、
異種細胞の生着性が良いことがわかりました
[13]
。
次に少し複雑なヒトがん細胞のイン・ビボ実験例として、
がん転移モデルを紹介します。膵臓や大腸で発生したが
んが大きくなり、やがて血管内に浸潤・流出し、門脈を
P ANC-1
Capan-1
BxPC-3
Capan-2
PL45
SCIDマウス
AsPC-1
MIA PaCa-2
移植細胞数(cells/ 匹)
P ANC-1
Capan-1
BxPC-3
Capan-2
PL45
0
25
10
5
10
10
3
10
50
4
2
75
100
肝転移巣形成率(%)
通って肝臓にたどり着き、がん細胞は次第に増殖をはじ
め
『転移結節』
を形成します。この転移モデルは、ヒトの
18
SCID マウスやヌードマウスを用いた実験では、10 万
イン・ビボ実験医学の現在
〜100 万個のがん細胞を移植しないと、なかなか転移
臓よりも大きなヒト卵巣が発達します。さらに、単に増
結節が形成されませんでしたが、NOG マウスではわず
殖するばかりでなく、成熟卵胞への発育も認められるこ
か 100 個の細胞を移植しただけで、転移結節を形成で
とから、ヒト組織の完全構築が可能だということになり
きました
[14]
。
ます。また、再構築された子宮内膜様組織は、ホルモン
このようにNOGマウスを宿主とすることによって格
の調節投与によって月経周期がはじまるなど、ヒトと同
段に感度が高く、半定量的な肝転移モデルが確立できます。
様な生理機能を示すこともわかりました。
さらにまた、膵臓がんの実験と同様に大腸がんでも再現
性良く転移結節が形成されます
[15]
。この転移モデル
マウス肝臓でのヒト肝細胞分布
は肝転移関連遺伝子・タンパクの探索研究や、新しい抗
がん剤の開発に役立てられる可能性があります。
GVHDモデル:
移植片対宿主病
(Graft vs Host Disease: GVHD)
は
白血病などの治療のために骨髄移植した際に起こる、移
植した細胞が患者の細胞、組織や臓器を攻撃することに
よって引き起こされる重篤な疾病です。実際に骨髄移植
ヒトアルプミン抗体染色
患者の 10% 程度が重篤な GVHD を起こすと考えられ
ています。NOG マウスにヒト末梢血液のリンパ球を移
植すると、GVHDが発症し、NOGマウスが死亡します。
従来用いられてきた NOD-SCID マウスを用いたモデル
よりも少数の細胞で発症し、かつ動物へのX線照射も必
ずしも必要ではありません。特にこのモデルの特徴は、
従来難しかった静脈内移植でも GVHD が発症すること
です
[16]
。このモデルを使うことで、GVHDの発症機
サイトケラチン 8/18 抗体染色
序の解析や、治療薬の開発が可能だと考えられます。
組織保有モデル:
NOG マウスの高い異種細胞受容性は、ヒトの正常組
織・細胞の生着性向上にも貢献しています。たとえば、
ヒトの子宮内膜や卵巣皮質の細胞や組織片をNOGマウ
スの皮下や腎皮膜下に移植すると、部分的にマウス内に
ヒト組織・器官が再構築されることがわかりました
[17
ヘマトキシリン&エオジン染色
−19]
。すなわち、卵巣摘出したNOGマウスの腎皮膜
下に数ミリ角の卵巣組織を移植すると、数ヶ月後には腎
さらに最近では、マウスの肝臓をヒトの肝細胞で置き
19
第2章
換えた
「ヒト型肝臓
(humanized liver)
マウス」
も開発さ
在するかを、抗ヒトアルブミン抗体や抗ヒトサイトケラ
れています。ちなみに肝臓には極めて高い再生能力があ
チン8/18抗体による免疫染色法で確認してみると、7
るにもかかわらず、試験管内で長期間培養することに、
割近い肝実質細胞がヒト肝細胞で置換されていることが
未だに成功していません。しかし、単離したマウス肝細
わかりました。また、ヒト型肝臓マウスの肝臓で、ヒト
胞でも生体内であれば、肝臓を再構築するほど良く増殖
の薬物代謝関連酵素群やトランスポーターなどの遺伝子
することが、Dr. Rhimらにより報告されています
[20]
。
が、正常に発現していることも確認されています。
その後、マウス生体内でヒト肝細胞を増殖させる試
実中研は uPA-NOG マウスに加え、肝傷害を誘導で
みが 2000 年頃から始まり、いくつかのモデルマウス
き る TK (Herpes Simplex Virus-Tymidine Kinase)-
が開発されました。その中でも、1990年にHeckelら
NOGマウスの開発にも成功しています
[23]
。ヒト型肝
が作製した Urokinase-Type Plasminogen Activator
臓マウスは肝炎ウイルス研究やヒト型薬物代謝研究など、
(uPA)
トランスジェニックマウスは、最も一般的なヒ
ト肝細胞の正所性移植モデルです
[21]
。
そこで、我々は異種細胞を高率に生着させる NOG
マウスをプラットフォームとして、マウス肝臓でのみ
uPA 遺伝子を発現する uPA-NOG マウスを新たに開発
しました
[22]
。uPA-NOG マウスの肝細胞傷害はあま
uPA-NOG マウスの母(左)と子供(右)
り強くないため、従来のuPAマウスで報告されている、
「新生仔の出血」
による高い致死性が見られないのが特徴
です。このuPA-NOGマウスの脾臓から肝臓に向かって、
ヒト正常肝臓細胞を移植すると、4週後には移植された
マウスの血液中でヒトアルブミンが検出されるようにな
り、時間経過と共に血中ヒトアルブミン濃度が上昇します。
ヒト型肝臓マウスの肝臓中にどれくらいヒト肝細胞が存
20
創薬研究に有用な動物実験モデルとなっています。
イン・ビボ実験医学の現在
参考文献
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[23]M. Hasegawa et al., Biochem Biophys Res Commun 405,
405 (Feb 18, 2011).
21
第2章
トランスジェニック・マーモセット
作出までの道のり
公益財団法人 実験動物中央研究所
マーモセット研究部・応用発生学研究部
2009年5月28日、遺伝子導入マーモセット
(tgマーモセット)
作出を報告する論文が
「Nature」
に掲載され、tgマー
モセットの写真が表紙を飾りました。この論文は世界で初めて霊長類に導入された外来遺伝子が次世代に受け継がれ
ることを明らかにすることにより、
「トランスジェニック霊長類」
が実験動物として利用できる事を示したものです。
この技術を確立した実中研の研究チームは、その後もより効率的にトランスジェニック・マーモセットを作出するた
めに重要な発生工学研究、動物に対して非侵襲的な発生工学技術の確立、iPS細胞の樹立など基礎科学の分野でも世
Reprinted by permission from Nature
Vol.459, pp.523-527, 28 May 2009
Copyright:Macmillan Publishers Limited.
界をリードするに至っています。
Nature 誌の表紙を飾った実中研の
トランスジェニック・マーモセット
22
霊長類である必要性
なったことで、その利用価値は飛躍的に高まりましたが、
実験動物は、ヒトの疾患研究や薬の開発を研究するた
それでもげっ歯類と霊長類といった種の違いが大きい脳
めに使用されます。人間における臨床試験に入る前の実
神経系の病気の研究などに十分対応できないジレンマが
験
(前臨床試験)
に使用されるため、ヒトに近い霊長類が
ありました。
求められてきました。ところが霊長類は飼育や繁殖が困
実中研における霊長類の本格的な研究は、1967 年
難なことから、今まではマウスやラットが使われてきま
に始まりました。当時、米国フォード財団の資金援助を
した。特にマウスは、ヒトの遺伝子を導入できるように
受けて、ニホンザルを使った不妊の研究を開始しました。
イン・ビボ実験医学の現在
さらにニホンザルを人工繁殖させ実験動物化する研究も、
たのです。
日本モンキーセンター
(愛知県犬山市)
と共同でスタート
させ、三河湾沖の無人島や奄美大島の近くに野外コロニー
コモンマーモセットの特徴
の作出を計画しました。
マカク属のニホンザルは10数キロ、カニクイザルで
ところが後者が観光開発や製油所開発計画の対象とな
も数キロあり、大きな飼育スペースが必要です。さらに
り、代替地がみつからないまま、ニホンザルの野外繁殖
マカク属のサルの飼育には、専門的なトレーニングを受
計画は頓挫してしまいます。
けた飼育者が必要となります。
さらにニホンザルは 1 年 1 産 1 子の繁殖力しかない
一方のコモンマーモセット
(以下マーモセット)
は体重
ため、実験用動物としては限界があることも浮き彫りに
約 350 グラムと非常に小さく、ラットくらいの大きさ
なりました。そこで実中研ではマカク属サルとしてアカ
しかありません。小型であるため、短期間の集中訓練で
ゲザル、カニクイザルやニホンザル、コモンマーモセッ
飼育や研究に比較的容易に取り扱えるようになります。
トなどマーモセット類、合計12種類の霊長類を飼育し、
野生のマーモセットは、群れで生活するニホンザルな
実験動物としての観点から有用性を詳細に評価すること
どとは異なり、家族単位で生活します。この家族では、
にしました。
父親や兄や姉が子育てを手伝うという特長があります。
つがいは一度作られると比較的安定するため、ケージの
コロニーの壊滅
中で雄雌のペアを平穏に飼育できます。
しかしこの
「施設内繁殖」
の試みも、苦難に満ちたもの
でした。
繁殖率をさらに高める挑戦
1978 年末、実中研が飼っていたマーモセット類が
実中研で人工飼育されたマーモセットは、効率よく繁
バタバタと死に出したのです。原因は肺炎桿菌による敗
殖するようになり、野生では一度に2匹しか産まないの
血症でした。これはワクチンを開発・投与することで一
が、かなりの確率で3匹産むようになりました。ところ
応収束しましたが、主なマーモセットコロニーは殆ど全部、
がここでまた新たな問題が生じてきました。マーモセッ
途絶えてしまいました。
トの母親には乳首が2つしかなく、3匹が2つの乳首を
そこで 1981 年に実験動物として繁殖させていたコ
奪い合うようになってしまったのです。しかもマーモセッ
モンマーモセットを、英国のインペリアル・ケミカル・
トの赤ちゃんは
「専用乳首」
を持つため、一つの乳首を共
インダストリー
(ICI)
から40匹導入しました。ところが
有する兄弟はやがて栄養失調になって、かなりの確率で
またもや病気が動物を襲ったのです。今度は、ゆっくり
死んでしまいました。そこで実中研では人工哺育
(哺乳)
と弱っていき、徐々にやせ、行動が鈍くなり、衰弱死す
の技術を新たに開発しました。その結果、2匹は親哺育、
る消耗病という病でした。これで 40 匹のうち 30 匹の
残りの仔は人工哺育するというシステムが確立され、年
コモンマーモセットが死んでしまいました。
産 800 匹の体制を確立するに至りました。これは日本
そこで飼料や飼育環境も変え、飼育場所も他に移しま
国内では2位をはるかに引き離した数で、世界的に見て
した。様々な工夫の結果、ようやくコモンマーモセット
も最大級のマーモセット繁殖拠点となっています。
が死ななくなった 1983 年、追加の 60 匹を ICI から導
このような圧倒的な生産能力を背景に、実中研では
入し、やっとコモンマーモセットがうまく育つ環境が整っ
マーモセットを実験動物としての品質向上の試みを進め
23
第2章
ました。その一つが無菌マーモセットの開発です。そし
てマーモセット ES 細胞株を樹立し、2005 年に Stem
て 1988 年には帝王切開によって胎仔を摘出し、無菌
Cells 誌に報告しました。ES 細胞は全ての体細胞を作
状態を維持する技術を使って、マーモセットを無菌化す
ることが可能なため、1998 年に Wisconsin 大学の
ることに成功しています。
Thomson らによってヒトの ES 細胞の樹立が報告され
ところが無菌マーモセットの継代にはまだ成功してい
て以来、再生医療への応用に期待されています。再生医
ません。というのも無菌状態で育てられたオスのマーモ
療への応用には、ヒトにES細胞由来の細胞が移植され
セットは、親などから交尾の方法を教わるチャンスがな
た場合の有効性・安全性の検証をよりヒトに近い性質を
いため、せっかく無菌状態で生まれても子孫を残すこと
持つマーモセットおよびマーモセットES細胞を用いた
ができませんでした。
動物実験により十分に行う必要があります。また、ヒト
ES細胞は生命の萌芽である受精卵を滅して作製される
マーモセット発生工学基礎技術の確立とマーモセット
ため、研究にヒト ES 細胞を使用するためには
「生命化
ES細胞の樹立
学や医学の恩恵およびこれらへの期待が十分な科学的合
実験動物としての有用性が高いマーモセットですが、
理性に基づいていること」
が要件の一つとなっています。
マウスとは異なり遺伝子改変技術がないことが、ヒト疾
その科学的合理性を示すためには、このマーモセット
患モデルとしての弱点でした。実中研では、この弱点克
ES細胞を用いて行われた研究結果が重要な基礎データ
服のため、遺伝子改変マーモセットの作出法の確立に挑
となるのです。このような背景から、研究チームが樹立
戦することにしました。遺伝子改変マーモセットを作出
したマーモセットES細胞は、世界各国の研究者に利用
するには、卵子、精子、受精卵を採取する方法、受精卵
されています。またマウス、ヒト以外では良質なiPS細
の培養法、遺伝子導入法、受精卵を仮親の子宮へ移植す
胞の樹立が困難と言われていたのですが、2010 年に
る法など、発生工学技術の確立が必要となります。これ
は良質なマーモセットiPS細胞の樹立に成功し、今後は
らの技術はマウスでは確立されていますが、マーモセッ
iPS細胞を用いた再生医療の有効性、安全性の研究も行っ
トとマウスでは繁殖生理学的性質が異なるため、マウス
て行く予定です。
の方法をそのままマーモセットに用いることができませ
さらに動物愛護の観点から、採卵時に
「マーモセット
ん。そこで研究チームは、まず遺伝子改変マーモセット
へのダメージをいかに少なくするか」
への挑戦が続いて
を作出するための基本となるマーモセット発生工学の研
います。これは順天堂大学泌尿器科の花沢喜三郎先生と
究から着手し、その手始めとして受精卵を安定的に採卵
の長年の共同研究により、現在ではマーモセットを全く
する方法を確立しました。まず血中のプロゲステロンと
傷つけることなくマーモセットの受精卵を採取できるよ
呼ばれるホルモンの測定法を確立し、これによりマーモ
うになっています。
セットの排卵のタイミングを把握すること、また黄体退
24
行因子プロスタグランジン F2 αを用いることにより、
遺伝子改変マーモセット作出への試み
マーモセットの性周期を人為的にコントロールし、複数
現在、遺伝子改変マウスで最も多く研究に用いられて
のマーモセットから同じ日に受精卵を採取できるように
いるのは、発生の初期段階の胚盤胞期の受精卵に遺伝子
しました。
改変したES細胞を注入して作製したキメラマウス法で
このようにして採取したマーモセットの受精卵を用い
す。この方法は、特定の遺伝子を欠損させたマウスを作
イン・ビボ実験医学の現在
製できることが特徴であり、機能が解らない遺伝子の解
ための試行錯誤をしました。その結果、スクロース
(ショ
析に非常に有効です。しかし、このキメラ動物を作出で
糖)
溶液を培地に加え、浸透圧で囲卵腔を広げることで、
きるES細胞が樹立できるのは、これまでマウスに限ら
十分なウイルスベクターの注入が可能になり、遺伝子導
れていました
(最近ラットでもキメラができるようにな
入効率も飛躍的に上げることを見出しました。このよう
りました)
。そこで別の遺伝子改変マーモセット作出法
にして GFP 遺伝子を導入し、緑色に光るマーモセット
を検討した結果、より遺伝子導入効率が良く、比較的難
受精卵を仮親マーモセットの子宮へ移植し、妊娠・出産
しい技術を必要としないレンチウイルスベクター法を選
させることで
「遺伝子導入霊長類」
が誕生しました。
択しました。レンチウイルスベクターには遺伝子が導入
されても発現しない
「サイレンシング」
という現象を起こ
Nature 誌採択の難関
しにくい、理化学研究所の三好浩之博士が開発したレン
遺伝子導入霊長類の作出は、米国の研究者も挑戦して
チウイルスベクターを分与していただき使用しました。
いました。米国の2つのチームは、それぞれ 2001 年
導入遺伝子には、2008 年にノーベル化学賞を受賞し
にはすでに GFP 遺伝子導入アカゲザル作出を発表して
た下村脩博士がオワンクラゲから発見した緑色蛍光たん
いました。ただし遺伝子は入っていても体細胞では、サ
ぱく質
(GFP)
遺伝子を選びました。この遺伝子がマー
イレンシングによりGFPが発現していなかったのです。
モセットの染色体に組み込まれ、遺伝子が発現すると緑
遺伝子改変によるヒト疾患モデル動物の作出を行う場合、
色に光るため遺伝子の導入が容易に確認できるからです。
導入した遺伝子が発現しないのでは意味がありません。
我々のチームは、GFP遺伝子が体細胞で発現するマー
モセットを複数匹作出することに成功した、という成果
を発表しようとNature誌に投稿しました。残念ながら、
この論文はリバイスという書き直し編集手続きの後に不
受理となってしまいました。その翌週、Nature 誌には
米国の研究チームによる
「ハンチントン病遺伝子を入れ
たアカゲザルが生まれた」
という論文が掲載されたのです。
しかし論文をよく読むと、遺伝子が発現した個体は生ま
れてすぐに死んでしまったと書いてあり、生きている動
物では導入された遺伝子が発現しているのかは十分に検
受精卵の外側の透明体と卵子の間に、ウイルスベクター液を注入して
いるところ
討されていないようでした。この論文の内容なら、我々
のチームの方がはるかに科学的に意味のあるデータであ
ると思われました。そこで、より完璧なデータとするた
レンチウイスルベクターは囲卵腔と呼ばれる、受精
めに、マーモセットに導入した遺伝子が次の世代に伝わ
卵と受精卵を包む透明体との隙間に注入するのですが、
るかどうかを検討しました。というのは、導入遺伝子が
マーモセットの囲卵腔が小さいため十分にウイルスが入
次世代に伝わって機能すれば、遺伝子改変霊長類を繁殖
らず遺伝子導入効率が低いことがわかりました。これで
させて実験動物としてのコロニー化することができ、初
は貴重な受精卵を無駄にしてしまうため、効率を上げる
めて実験動物として安定的に利用可能である事を示せる
25
第2章
Reprinted by permission from Nature
Vol.459, pp.523-527, 28 May 2009
Copyright:Macmillan Publishers Limited.
との言葉をいただきました。また世界的に権威のある科
トランスジェニック・マーモセットの蛍(左)と光(右)
学雑誌のNature誌の編集部内も親切に案内してもらい、
なかなかできない体験をさせてもらいました。Nature
編集部から戻って約1ヶ月、無事に胎仔が出生し、光一
と名付けられました。この時、光一の胎盤を回収して解
析する必要があったのですが、マーモセットのお母さん
は胎盤を食べてしまう習性があるので、赤ちゃんが生ま
れたらすぐに胎盤回収をすべく、研究室のメンバー全員
で交代で泊まり込み、ビデオカメラで出産観察をしたの
も懐かしい思い出です。様々な解析の結果、光一の皮膚
からです。そこで性成熟に達した
「光」
の精子を使って体
での GFP 遺伝子の発現が認められ、これらのデータを
外授精を行った結果、これらの受精卵の中に緑色に光る
まとめた論文を Nature 誌に送り、ついに Nature 誌へ
受精卵がいくつかあることがわかりました。早速、この
の掲載が決定しました。
緑色に光る受精卵を仮親のマーモセットに移植し、すく
すくと育っている胎仔の超音波診断の写真を載せた原稿
マーモセットが拓く地平
をNature誌に再投稿しました。投稿の結果は実際に健
霊長類であるマーモセットを用いて多くの病気に対す
康な仔が産まれ、遺伝子の発現が認められなければ掲載
るヒト疾患モデルが作製できるようになれば、医学研究
できないとの事でした。この際、新論文として投稿した
は一変します。特に神経系・代謝系など、生理学的にも
にも関わらず、なぜか手違いにより、我々が以前不採用
解剖学的にもヒトとマウスでは大きく異なるため、マウ
となった論文について Nature 誌のレフェリー
(論文の
スでは疾患モデルが作製できずに、治療法を全く研究・
採択を決める審査員)
の決定に対して不服申し立てをす
開発できない病気に対しても治療法の開発研究が行える
る
「再投稿」
として処理されてしまいました。そのため、
ようになると期待できます。また、このトランスジェニッ
通常3名のレフェリーであるところ、更に2名が追加さ
ク技術とイメージング技術とを併せることにより、動物
れた計5名のレフェリーからの様々な質問やコメントに
を犠牲にしたり傷つけたりすることなく、体内の組織の
答えなくてはならなくなってしまい、12ページにも渡
発達、加齢の変化を同一の個体を使って研究することも
る手紙をレフェリーに書く羽目になってしまいました。
可能になります。これは、動物愛護の面からも大きな進
この長文にわたる私たちの返信を見たNature誌の編集
歩となるでしょう。
者から
「メールではなく電話で話をしたい」
とメールがあ
り、ちょうど翌週にロンドンに出張する予定だったので
「電
話よりも直接お会いしましょう」
と連絡をし、早速翌週
にNature誌の編集部にて編集者と会う事になりました。
話し合いの結果、超音波診断で発育が確認されている胎
仔の無事出産を待って、この胎仔に遺伝子が伝達してい
ることが示されればNature誌に掲載することができる
26
イン・ビボ実験医学の現在
参考文献
[1]佐々木えりか(2008)iPS 細胞を用いたヒト疾患モデルマーモセッ
ト作製法の確立、日本再生医療学会誌、再生医療、7 (3): 72-75,
[2]佐々木えりか (2010) 神経変性疾患の治療法開発に向けてのモ
デル実験動物:
マーモセットの遺伝子操作 生体の科学 61 (1): 41-46
[3]Sasaki, E., Suemizu, H., Shimada, A., Hanazawa, K., Oiwa, R., Kamioka,
M.,
Tomioka, I., Sotomaru, Y., Hirakawa, R., Eto, T., Shiozawa, S., Maeda, T.,
Ito, M., Ito, R., Kito, C., Yagihashi, C., Kawai, K., Miyoshi, H.,
Tanioka,
Y., Tamaoki, N., Habu, S., Okano, H., Nomura, T. (2009) Generation
of
transgenic nonhuman primates with germline transmission. Nature, 459:
523-7
[4]Tomioka, I., Maeda, T., Shimada, H., Kawai, K., Okada, Y., Igarashi, H.,
27
— 第3章 —
ライフサイエンスの
新たな扉を拓く
羽田空港の再拡張・国際化に合わせて、医療やライフサイエンス分野に関
連する実験動物中央研究所
(実中研)
の新たな研究拠点が、川崎市の殿町地区
に誕生しました。この施設は、今後どのような役割を発揮していくのでしょ
うか。
川崎市はこの研究所の開設を皮切りに、産学公民連携研究センターの整備
等を通じて、この一帯を中心に、ライフサイエンス・環境分野の国際競争力
を有する拠点を形成しようと意気込んでいます。実中研としても、この研究
施設を若い人たちにイン・ビボのことを知ってもらう
「場」
にすると同時に、
諸機関と協力して、日本の最先端技術を広く世界に紹介していきたい、さら
にまた、ここをベンチャービジネス等に積極的に活用してもらうことで、彼
らの医療関連技術の付加価値を高めて欲しいと願っています。同時にグロー
バルな連携を継続しながら、アジア各国との開発協力や共同治験に注力して、
新しいものも作り上げていきたいと考えています。
こうした動きに呼応して、企業の動きも活発化してきましたが、ここでは
『うま味調味料』
という
『食』
の分野から
『医療』
の分野に進んできた味の素グルー
プのユニークな研究活動にも焦点をあて、今後どのような日本発のオリジナ
ルな技術や製品を世界へ届けようとしているのかも、ご紹介します。
28
第3章
ライフサイエンスの新たな扉を拓く
日本の国際戦略に直結する
新研究所の誕生
川崎市長
阿部 孝夫
このたびの実験動物中央研究所 ( 実中研 ) の新研究所
た後の37ヘクタールの用地の一部を、川崎市が都市再
の開所は非常に有意義なことであり、心からお喜び申し
生機構
(UR)
から譲り受け、それを実中研に定期借地権
上げます。
付きでお貸しすることで、成立しました。実中研の新研
開所を前にして東日本大震災が発生し、川崎市も他の
究所の開設がこの地域の第一期事業ですが、第二期事業
地方自治体と同様に、救援物資や援助隊の派遣等で支援
としては、もうすぐ建設が始まる産学公民連携研究セン
を行ってきましたが、海外からの支援が実に手早く、広
ターがあります。この研究センターが完成した暁には、
範に及んでいる事実は、日本の国民にとって期待以上で
川崎市の環境総合研究所や健康安全研究センターなどが
あったと思います。これも今まで日本がいろんな形で国
入居し、あるいは貸実験室などの様々なサービスも組み
際社会に貢献してきたからであり、国際社会が日本を支
込まれ、新たな事業が展開される予定です。
援しようという気持ちを強く持ったのでしょう。見方を
また、実中研のこれまでの国際的な役割から考えて、
変えれば、日本の持てる力を、今後とも一層国際社会や
この近辺には世界中から研究開発関係の人たちが集まっ
地球人類のために発揮していくべきであると、痛感させ
てくることが予想されます。さらに羽田空港の拠点空港
られる一件です。
化がそうした動きに拍車をかけて、ここはまさに日本の
実中研は、今まで川崎市宮前区の野川という場所で長
将来を引っ張っていくような場所になると思われます。
い歴史を築き、日本が国際社会に貢献する医療やライフ
日本中の空港近辺で、これほど立地条件が素晴らしく整っ
サイエンス分野において、非常に重要な役割を発揮して
ている場所は、他に見受けられません。そうした認識から、
来ました。そして新たな取り組みを通じて、さらに国際
この地域を政府の国際戦略総合特区にしようという提案
社会に貢献しようという動きが、まわりからも望まれる
も行っています。
状況になってきました。こうした動きの中、実中研が羽
加えて、横浜市をはじめ神奈川県内にはいろいろな研
田空港の再拡張国際化に合わせて殿町地区に拠点を設け
究所があるので、神奈川県や横浜市とも連携し、さらに
ることは、これからの日本の国際戦略にも直結する非常
多摩川を挟んだ東京の大田区や品川区とも連携をしなが
に重要な役割であると思います。
ら、このエリアを日本の将来を担うような場所に育て上
この事業は、殿町3丁目地区のいすず自動車が移転し
げていこうという取り組みを進めており、コンベンショ
29
第3章
殿町3丁目地区土地利用イメージ
国際線地区の整備
環境、
ライフサイエンス研究開発機能
中核機能(約 2ha)
■ 公益財団法人 実験動物中央研究所
<再生医療・新薬開発センター、
慶應義塾大学・実中研
連携プロジェクト>
■ 国際線旅客ターミナルビル
■ 国際線旅客ターミナル
・敷地面積:約 13万㎡
・敷地面積:約 17万㎡
・主な施設:ターミナルビル
・主な施設:貨物上屋、
生鮮上屋、
燻蒸施設等
延べ面積:約 15,9万㎡
・貨物取扱量:50万㌧/年
地上5階建
■ 産学公民連携研究センター(仮称)
駐車場
<環境総合研究所、
(仮称)健康安全研究センター、
研
延べ面積:約 6,7万㎡
究開発施設、
企業・大学向け入居施設、
アジア企業やア
地上6層7階建
ジアを目指す国内外の支援拠点として活用>
東京国際空港ターミナル提供
‚Q
約2,300台収容
①賑わい・交流機能
エプロンゾーン
京急
空港
・段階的土地利用
④物流機能
線
天空橋駅
・商業、
業務、
レクリエーション、
■
第3ゾーン
空港連携機能
交流機能を中心とした複合機能の導入
・ホテル、
コンベンション機能
港
空
②臨空関連・業務・研究開発機能
・国際化の効果と近接性を活かしながら、
空港機能を支える臨空関連産業や
JR東海道貨物支線
産業支援機能など
首都高速
横羽線
大師
JCT
大師入口
• • •• • • •• •
新駅
⑤臨空関連機能
全日本空輸(株)ANA
羽田空港
国際線ビル駅
<全体計画>
延べ面積:約 6,1万㎡
従業員数:約 3,140人
東
京
ノ
レ
ー
ル
国際貨物ゾーン
約9ha
約7ha
殿町2丁目
モ
殿町3丁目地区
1
殿町1丁目
港線
第2ゾーン
国際交流機能
商業機能
・段階的土地利用
・臨空関連機能、
物流機能
(流通 加工)
、
京急空
・敷地面積:約3万㎡
大師橋
③臨空関連・産業支援機能
・延べ面積:約 4,4万㎡
■
第1ゾーン
文化・交流機能
産業支援機能
産業支援、
業務機能等の立地を誘導
・敷地面積:約8万㎡
国際旅客ゾーン
環状八
号線
・羽田空港の再拡張
路
道
絡
連
?iƒ??[ƒJƒ‰ƒCƒU?[?j
ヨドバシカメラ
アッセンブリーセンター
2
約7ha
多摩川
3
約7ha
国道409号
京急
大師
線
小島新田駅
殿町夜光線
産業道路
産業道路駅
• • • • • • • • •
30
4
殿町出入口
高
速
約8ha
川
崎
縦
貫
線
5
約3ha
0 100 200 300 400 500m
ンセンターや、その他の新たな機能についても期待が広
し、寺島実郎氏等各界をリードする方々に中心になって
がっています。
頂いて、国際競争拠点形成戦略会議を立ち上げております。
とはいうものの、まさに最先端の分野であるだけに、
同時にまた地域協議会も設立して、国の取り組みに合わ
これから具体的にどういう事業が展開されるのか、予測
せた川崎市の体制づくりも進めています。
がつかない部分もあります。そこで、区画整理等で土地
そこで、このような取り組みに対して、国や政府の諸
利用を固定的に決めて計画を進める方法をとらず、この
機関に、今後ともより深いご理解と積極的なご協力を頂
立地条件を評価して最先端の取り組みを進めようとする
きたいと、願っています。
方々と我々が連携して、羽田空港とこの最先端のライフ
いずれにせよ、ここがスタート地点ですので、国際社
サイエンス分野の研究とが結びつくような形で、プロジェ
会に大きく貢献する場所として、新研究所が核となって、
クトを進めて行きたいと思っています。ですから川崎市
今後その機能が強化されていくことを、心
は元東大総長で三菱総研理事長の小宮山宏先生を座長と
から期待しています。
ライフサイエンスの新たな扉を拓く
インタビュー
更なる公益性を求めて
公益財団法人 実験動物中央研究所
専務理事
野村 龍太
2011年4月、実験動物中央研究所
(実中研)
は財団法人から公益財団法人となり、様々な角度から人類に貢献する姿勢を、
一層明確にしました。そして同年7月の新研究所開設を起点として、さらに人々の健康を推進する活動を展開しよう
としています。その決意と今後の活動の方向性を、専務理事の野村龍太が語ります。
―新研究所を立ち上げる意義は、どこにあるのでしょう。
め華々しさがなく、地味なエリアです。しかし最も注目
野村:実中研は過去 60 年近くにわたる歴史において、
を集める最先端医学や医療の研究開発には、実はこうし
医学・医療分野の研究開発に貢献してきました。これか
た基礎部分の研究開発が欠かせないのです。ですから若
らは、公益財団法人として今まで以上に皆さんに何を期
い人たちにもっとイン・ビボを知ってもらうと同時に、
待されているかを常に考えながら、さらに活動を展開し
世界中の医学・医療関係者が困った時に真っ先にこの新
ていかなくてはなりません。世界最先端の医学研究には、
研究所を思い浮かべ、訪問出来るような施設にしていき
最先端の実験動物の開発が必要であり、実中研は世界で
たいと考えています。
他にない画期的な動物を作り続けています。
また、薬や治療をヒトに施す前にその安全性や有効性
―新研究所が提供するメリットを、具体的に教えて下さい。
を確かめるには、実験動物を用いた前臨床段階での研究
野村:私たちは人類に貢献することを常に念頭において、
開発が不可欠です。しかし、もしも前臨床で使われる
rasH2 マウスや NOG マウスなど、世界中で
「ここにし
動物の品質にもばらつきがあったら、きちんとしたデー
かない」
実験動物を作り上げてきました。しかし、ただ
タが取れないので、ヒトでの臨床プロセスには進めませ
単に世界唯一というのではなく、実際に使える実験動物
ん。この当たり前のことが実は大変難しく、この開発に
を作り出すには、高品質で同一規格の動物をどうやって
約40年かけてシステムを完成させました。
作り出すか、生産・供給体制をどうやって確立するかなど、
その一方で、イン・ビボとも呼ばれるこの分野は基盤
様々なノウハウの積み重ねが必要で、このプロセスの構
研究に携わる仕事で、ハイテクではありません。そのた
築に、だいたい10年から15年かかります。
31
第3章
研究者が自分の論文を書くためなら、新たな動物を作
ない場合が多いのです。特に日本は今まで、ベンチャー
出するところで終ってしまいます。また企業にすると、
ビジネス育成のためのインフラ整備が不十分でした。そ
そんなに長い時間を研究開発にかけていては、コストが
こで新たに開設された私どもの研究施設を積極的に使っ
かさみ、ペイしなくなります。ですからここに実中研の
て頂き、ご自分の手元にある例えば5千万円とか1億円
存在意義があると思います。
の医療関連技術を、5億円や10億円にまで価値を高めて、
世に公表して頂きたいと思います。これらの仕事を広い
意味での公益性だと考えています。
―グローバルな取り組みについては、どうでしょう。
野村:実中研はもともと世界に目を向けて、仕事をして
きました。というのも、渡り鳥は国境に関係なく飛び回り、
鳥インフルエンザの発生源となる場合があります。蚊に
しても地球温暖化の影響でデング熱やマラリアを日本に
持ち込んで来る日は近いと危惧されます。このように医
実中研における研究風景
学の研究は、日本の患者さんだけを対象としていても、
全く意味がありません。どうしてもグローバルな観点を
今後、様々な機関の方たちと協力して、実中研が作っ
持たざるを得ないのです。
た実験動物を使って、日本の最先端技術を広く世界に紹
介していきたいと思っています。ただし私たちの仕事は
非常に重要でも、目立ちません。あくまでも黒子的な存
在なのです。
―事業の公益性は。
野村:本年3月末まで文部科学省の財団法人として活動
してきた実中研は、常に広く人類の健康に貢献する事を
目的とした公益性を念頭において、研究開発に取り組ん
できています。最先端の研究を進めることにより製薬企
業等と共に医薬品開発にかかわる技術開発・研究をして
国際会議の参加者と共に
きました。しかし、医療の世界はこの10年間で大きく
32
変わり、MRI や非侵襲性の検査方法など、患者さんの
こうしたスタンスは海外でも広く共感を生み、例えば
心理的・肉体的ストレスが大幅に緩和された治療法も、
私たちが開発したポリオマウスは、生ポリオワクチンの
一般的になってきました。
安全性を確認するための優れた実験動物として、WHO
ところが、このように新たに医療分野に進出されたと
の認定を受けています。一方、米国 FDA の認定を受け
ころは動物実験の基盤がなく、動物実験施設も持ってい
た rasH2 マウスは、医薬品ががんを発生させるかどう
ライフサイエンスの新たな扉を拓く
かを確認する安全性試験に、世界標準のシステムとして
てきました。こうした経験から得られた様々な技術を、
幅広く用いられています。さらに、今までもスウェーデ
幅広く人類のために役立てることが、理想なのです。
ンのカロリンスカ研究所や、フランスのパスツール研究所、
あるいは米国のスタンフォード大学等と共同研究を幅広
く行ってきましたが、こうした連携は今後も継続してい
きたいと思っています。
―今後注力するのは。
野村:地理的にも民族的にも日本に近い、アジア諸国の
重要性が増してきました。日本は第二次世界大戦後60
年以上にわたり、製造業的資本主義に力を入れてきまし
た。しかし今後は、グリーン・イノベーションやライフ
実中研の新たな研究施設
サイエンス等、日本の先進性が発揮できる知識財産型資
本主義へと転換していくべきだと思います。その動きの
中で、日本が核となりアジア各国と協力して研究開発を
行い、新しいものを作り上げていくことを、視野に入れ
るべきです。
―新研究所の具体的な理想形はありますか。
野村:二つの動きが考えられます。一つは最新の医学研
究を見据えつつも、今までの研究所としての独自のキャ
ラクターを基本として大切にすること。すなわち質の良
い均質な実験動物やその周辺技術の、ユーザーとなる医
療機関や研究者、そして企業への提供を継続することが
求められます。
もう一つが今まで築き上げてきたいろんなノウハウや
技術をさらに発展させていくために、応用と用途開発に
力を入れるべきだと思っています。新研究所で医薬品や
医療システムの安全性評価や実用性の試験が行われたり、
ペットの健康管理にも応用できるモニタリング検査や、
不妊治療にも使える可能性がある遺伝子改変技術の研究
など、オープンイノベーション拠点として様々な用途に
使われるのが、ベストだと思います。
私たちは60年近く、実験動物といろんな形で関わっ
33
第3章
インタビュー
ライフサイエンスの
果てしない世界
東京大学名誉教授
カロリンスカ研究所外国人教授
ソウル大学 WCU(World Class University) 教授
独立行政法人 理化学研究所 脳科学総合研究センター
発生神経生物研究チーム シニアチームリーダー
医学博士
御子柴 克彦
日本のみならずスウェーデンや韓国など広く海外でも教鞭を取られる御子柴博士は、脳科学研究の第一人者です。こ
れからの時代、研究者は広い視野を持たなくてはならないと強調される博士の、ライフサイエンスとイン・ビボ実験
医学に対するお考えを、語って頂きました。
34
―先生が手がけられているライフサイエンスとは、どん
身体全体の恒常性が維持されます。ここまでが身体内部
な学問なのでしょう。
のお話しです。
御子柴:地球上のすべての生き物は原子からなり、それ
では外とのコミュニケーションをどうやって取るかと
が遺伝子、分子、高分子、タンパク集合体、細胞、さら
いうと、これは脳神経系の細胞組織がきちんと出来てい
に細胞を最終統合した形で組織が形成されています。細
ないと、言葉もしゃべれないし、耳も聞こえないし、外
胞組織は全部異なる特徴を持っていて、それぞれが助け
からのどんな情報も、個体の中に取り入れることが出来
合って細胞社会を形成しています。ところが組織を構成
ません。
する細胞が一部でも変な行動をしたりする、すなわちが
つまり生命に関わる研究をしようとすると、どうして
ん化したりすると、人間社会と同じように、この細胞社
も分子のみでなく、全体の流れを見なくてはならないの
会の調和が乱れて、組織の機能がおかしくなってしまい
です。そして生物を生きたまま、個体として、ある特定
ます。
の刺激に対して脳がどのような反応をするか、更にこれ
さて、様々な組織が集まって個体が出来る訳ですが、
に対応して、その調節の支配下にあるそれぞれの臓器の
内分泌系、免疫系、そして神経系の細胞組織が全部調和
反応を観察するのが、イン・ビボ実験医学となります。
しながらうまく働くことで、個体が個体として機能し、
このように生命に関するあらゆる現象を、生物学や化学、
ライフサイエンスの新たな扉を拓く
物理学などの基礎的な面と、医学、心理学、人文社会科
れまでは、ある色素を細胞へ与えてその変化を観察する
学、農学、工学などの応用面とから総合的に研究する学
指示薬が中心でしたが、これですと長時間特定の場所に
問がライフサイエンスです。そしてこの分野の研究では、
留めておく事ができず、長くても数時間位でした。
どこかのエリアに狭く特化するのではなく、生命につい
しかし現在、遺伝子を用いた検出指示薬の解析が進ん
て幅広く、様々な角度から考えることが求められます。
できたことにより、年オーダーで調べられるようになり
ました。これにより、例えばアルツハイマー病のように
―最新の動向は。
長期にわたり発症する場合には、正常な時、何か外界か
御子柴:分子レベルにおける研究と個体レベルからの研
ら刺激やストレスがきて異常が起きる瞬間、さらに病気
究の両方を同時に見て理解する事が、最先端の生命の研
が進行してゆく過程を、イン・ビボで持続的かつ経時的
究です。イン・ビボ実験医学は個体そのものの研究であ
に観察できます。
ると捉えられがちですが、分子の動きを個体の立場でみ
このように分子レベルから、個体レベルを比較しなが
る研究だといってもよいかもしれません。つまり個体が
ら観察する研究がさらに進めば、そもそも長い時間をか
取る行動等の背景を探り、神経細胞の連絡の場所である
けておきる病気ですら、なぜ起きるのかというメカニズ
シナプスから情報を取る、換言すると、個体レベルのも
ムも、やがて解明されるようになるでしょう。
のを分子レベルで研究し、何がどう変わったから、個体
レベルでのこのような変化がおきてくるのかを知る研究
―川崎市臨海部における新研究所の発足の意義は。
だとも言え、これが進んできています。
御子柴:上記のような研究や分析、そしてそれらに基づ
く医療や医薬の開発には膨大な人手と時間とコストがか
正常と異常との相互比較を各レベルで行うことにより、
生命現象の本質に迫る
正常
かり、全てのことを一つの研究機関や施設で手掛けるの
は不可能です。ですから新たな研究拠点でいろいろなと
ころが協力し合い、コラボレーションできることは、非
分子
常に良いことだと思います。広い視野から生きる仕組み
細胞
を考え、研究し、関係するいろいろな学問を統合し、そ
組織
して様々な提言をしていくというスタンスが、今後益々
臓器
個体(学習・行動)
社会
異常
生命現象の本質の解明
重要になってくると思います。色々な製薬企業や、様々
な先端技術をもった企業も参画されるので、これらが統
合されることは大変重要です。しかも羽田が国際空港と
なり、アジア諸国を中心としながら世界各国と直接リン
ク出来る立地の真向かいに、新研究所が発足することは、
世界の研究のハブとしての新しい旅立ちを、示している
のではないでしょうか。
さらに最近は遺伝子を使った指示薬もどんどん出来て
きて、年オーダーで個体をみながら、その一部の臓器の
働きを観察することもできるようになってきました。こ
35
第3章
インタビュー
最先端医療の現場から
慶應義塾大学教授
医学博士
岡野 栄之
最先端医療分野における優れた研究者として、日本国内のみならず世界的にも極めて高い評価を得ている慶應義塾大
学医学部の岡野栄之教授は、日本政府の支援を受ける再生医療も含めた数々の最先端医療プロジェクトを、積極的に
推進しています。今まで不治の病とされてきた難病に果敢に挑戦する岡野博士の取り組みを、川崎市臨海部に新たに
出来た研究施設に寄せる期待と共に、語って頂きました。
―先生が取り組まれている最先端医療分野の研究活動を
組み、大脳皮質の発達と認知症や精神疾患との関連性に
具体的に教えて頂けますか。
着目して、アルツハイマー病、統合失調症や自閉症など
岡野:現在 3 件ほど政府の支援を受けたプロジェクト
の発症メカニズムの解明と治療法の確立を目標としてい
を手掛けています。一つが文部科学省・再生医療の実現
ます。
化プロジェクトで、これは京都大学の山中伸弥教授が
36
2006 年に開発・発表した iPS 細胞を使って、脊髄損
―どういうところと連携して、プロジェクトを推進して
傷のような中枢神経系疾患の治療法の開発を目指した研
いるのでしょう?
究です。iPS細胞は、患者さん自身の皮膚の細胞からも
岡野:私たちは基礎研究、動物を使った前臨床試験、さ
簡単に樹立出来るため、自己細胞を用いた再生医療のツー
らにヒトへの臨床治験を統合的かつ効率的に行うために、
ルとして、国際的にも非常に注目されています。2番目
支援を受けている文部科学省、厚生労働省、内閣府はも
に取り組んでいるのが文部科学省・脳科学研究推進戦略
ちろんのこと、理化学研究所や実験動物中央研究所
(実
プログラムで、こちらは脳の働きや精神神経疾患の病態
中研)
といった研究機関とも密接に連携しています。特
の解明を目指しています。そして3番目に推進している
に実中研とは10年以上にわたって緊密な共同研究を行
のが内閣府・最先端研究開発支援プログラム
(FIRST プ
い、様々なヒト疾患モデルを用いた研究を行ってきました。
ログラム)
で、こちらは応用研究として心の問題に取り
また実中研は我々と共同で、世界初の脊髄損傷モデルや
ライフサイエンスの新たな扉を拓く
遺伝子改変霊長類の作出にも成功しています。
心として、産官学の新しい連携体制を築いていくのが楽
しみです。
ヒト
チンパンジー
マカクサル
拡大した大脳皮質による複雑な機能の仕組み
マーモセット
マウス
54
23
40
91
ヒト
複雑な
行動の
解析
マーモセットの利点
1.ヒトサイトカイン・ホルモンと交差性
2.高い繁殖効率
3.小型で飼育・繁殖が楽
4.優れた脳科学研究モデルとなっている
脳の進化の謎を遺伝子から解明
大脳皮質モジュール
ニホンザル
ニホンザル
マーモセット
マーモセット
日本発 世界初!
ラット
普遍的な脳のシステムと
回路の作動機構
マウス
PFC
―脳科学分野における前臨床試験に、霊長類が使われる
のはなぜですか?
岡野:新しい治療法や薬などをヒトで治験する前には、
動物を使って安全性を確かめる必要があります。これを
遺伝子
操作による
解析
ラット
NAc
HP
Amy
Hypo
マウス
● 抑制性 GABA
DRLC
VTA
● 興奮性グルタミン酸
● 報酬系ドーパミン
● 覚醒系アドレナリン
● 不安系セロトニン
脳システムと回路図
従前
ゼブラフィッシュ
本プロジェクト
前臨床試験といい、ヒトに近い霊長類が有用です。さら
に、特に人の高次脳機能や精神神経疾患の病態等を解明
―海外との連携はいかがでしょう。
するには、生物学的あるいは遺伝学的にヒトに近い研究
岡野:国際的なシンポジウムなどを通じて、海外の研究
用霊長類を使用する必要があります。というのも、ラッ
者との意見交換も行い、共同研究や医療提携も進めてい
トやマウスの免疫機能や神経系の構造と機能は、ヒトと
きたいですね。また羽田国際空港の対岸という立地は、
随分異なる点が多いからなのです。
最先端医療で世界中の患者さんを惹き付ける良いハブと
なる可能性も、秘めています。
―2011 年 7 月、新たな研究開発拠点が川崎市の臨海
今後はPRにも力を入れて、外に開かれた研究開発施
部に出来ました。
設になっていって欲しいですね。
岡野:新天地で研究開発活動に専念して、これまで築い
てきた技術を更に展開させ、実際に役に立つ医療技術の
開発と確立に注力したいと考えています。研究成果を製
品化していきたいですし、製薬、イメージング、PET
技術や再生医療などに取り組むベンチャー企業とのコラ
ボレーションもあり得ると思います。この研究拠点を中
37
特別寄稿
アミノ酸研究で
「グローバル 健康貢献企業グループ」
へ
味の素株式会社
味の素株式会社
前取締役専務執行役員研究開発統括
現同社アドバイザー
兼味の素ファインテクノ株式会社 会長
三輪 清志
味の素㈱の歴史は、1908 年に東京帝国大学教授の
態で、必要なアミノ酸の水溶液を選ぶのです。例えば必
池田菊苗博士が昆布の
「うま味」
がアミノ酸の一種である
須アミノ酸であるリジンが欠乏している場合は、20種
グルタミン酸であることを発見し、これを創業者の鈴木
類のアミノ酸溶液から、リジンをきちんと選んで飲みま
三郎助が 1909 年にうま味調味料として事業化したと
すし、ラットをランニングホイールで運動させると、筋
ころから始まります。以来、今日に至るまで、味の素㈱
肉の栄養源となる分岐鎖アミノ酸
(BCAA)
を、苦くても
はアミノ酸を研究し続けてきました。
飲むようになります。さらに高脂肪食を与えたラットは、
アミノ酸はさまざまなタンパク質を形作る一群の生体
うま味アミノ酸であるグルタミン酸ナトリウムの水溶液
内物質ですが、その生体内での役割は多様で未解明なこ
を好んで選び摂取しますが、一方で選択肢を与えずに水
ともたくさんあります。そこで味の素では、アミノ酸の
だけを飲水ボトルにいれて与えたラットに比べて肥満が
栄養学研究や生体内機能の解明などの学術的研究、新し
抑制されるという研究結果も、最近得られました。この
い医療用途の開発などに注力し、その用途も医薬品、健
ような様々な研究成果が、アミノ酸の新しい栄養価値の
康栄養食品、調味料、動物飼料など、さまざまに広がっ
創出や、医薬品の開発などに役に立つのです。
てきました。
アミノ酸を動物に投与して栄養学的指標を測定すると
いったオーソドックスなやり方は、世界中の研究者によっ
て行われてきましたが、味の素で開発されたアミノ酸の
研究方法はちょっとユニークで、ラットやマウスの自主
性を尊重して、何種類かのアミノ酸を溶かした水溶液を
自由に選択して飲んでもらい、それを観察する方法を採
用しています。
すると驚くことに、ラットやマウスはその時の体の状
味の素における研究風景
味の素グループは全体として、過栄養や低栄養、高齢
者の栄養などのグローバルな社会課題にアミノ酸を利用
した解決策の提供、アミノ酸研究から生まれる医薬品の
開発、また最近開発事業化した血液中のアミノ酸群を測
定分析することで、早期がんなどの疾患のスクリーニン
グ診断をする独自の技術
(アミノインデックス®)
の提供、
さらにはアミノ酸の動植物栄養研究を利用した食資源の
確保への貢献などを通じ、
「グローバル健康貢献企業グルー
プ」
として 21 世紀の社会課題の解決に貢献することを
目指しています。
そうした概念を大切にしながら、研究開発拠点をグロー
バルに展開すると同時に、川崎市の臨海部に近い鈴木町
地区に主要拠点を置き、1,000 人を越える要員が日夜
研究開発活動に取り組んでいます。
このように、うま味調味料という
『食』
の分野から
『医療』
の分野にも進んできた味の素グループは、独自のイン・
ビボ技術も応用しながら、川崎市の臨海部に出来た新た
な研究開発拠点とも積極的・多角的に連携して、日本発
のオリジナルな技術や製品を、もっと世界中へ、おいし
さと共にお届けしたいと願っています。
The Future of
In Vivo
Experimental Medicine
40
CONTENTS
Preface 42
Foreword43
Chapter1 From Humble Beginnings to the World’s Top
■ In
44
Vivo Experimental Medicine: Its Evolution and History
Chapter2 In Vivo Experimental Medicine as We See Today
■ Control
■ NOG
■ Transgenic
50
of Infectious Diseases in Laboratory Animals
Mouse: The Super Immunodeficient Mouse
MarmosetsーHow the dream of generating transgenic primates came trueー
Chapter3 Opening the New Door in Life Science
■ As
■ Interview Seeking
■ Interview The
■ Interview Real-time
■ Special
Ajinomoto: Contributing to Global Health through Amino Acid Research
68
the Accelerator of Japan’s Global Strategy
Further Public Interest
Limitless World of Life Science
Report from the Most Advanced Medical Arena
contribution article
目 次
ごあいさつ
2
まえがき 3
第1章 ゼロベースのスタートから世 界 ト ッ プ へ 4
■ イン・ビボ実験医学の萌芽と発展
第2章 イン・ビボ実験医学の現在
10
■ 実験動物の感染症コントロール
■ 超免疫不全NOGマウスを用いた
「ヒト化マウス」
への試み
■ トランスジェニック・マーモセット作出までの道のり
第3章 ライフサイエンスの新たな扉を拓く
■ 日本の国際戦略に直結する新研究所の誕生
■ インタビュー 更なる公益性を求めて
■ インタビュー ライフサイエンスの
■ インタビュー 最先端医療の現場から
■ 特別寄稿 アミノ酸研究で「グローバル
28
果てしない世界
健康貢献企業グループ」
へ
Preface
The ultimate goal of the life sciences is to clarify the biological functions of humans
in order to overcome diseases.
Recent progress in the life sciences has been remarkable, but we still cannot
synthesize E. coli bacterium that has only 3,000 genes. This is the reason why I believe
that “in vivo experimental medicine,” which brings together the molecular sciences at
an individual level, will define the future directions of our research activities in the life
sciences.
High-quality laboratory animals, which are developed and improved by researchers
with a strong medical background, support research and development (R&D) in the
life sciences. When I started medical research soon after the end of World War II,
the quality of the mice and rats indispensable for medical research was very poor,
which presented considerable problems. That was the reason why I concentrated my
efforts on R&D of high-quality laboratory animals with established quality standards,
which had been almost completely neglected in the past. Such animals are extremely
important as a basis for R&D. These activities resulted in the establishment of a
Monitoring Center to verify these quality standards. Recently, very high-level testing
methods that can make in situ measurements of animals under actual physiological
conditions have been adopted. The aim is to contribute to human healthcare through
the progress of medical science and development of new drugs and vaccines.
This brochure is intended to facilitate understanding of trends in the life sciences in
the past, present and future from the standpoint of in vivo experimental medicine.
We hope that these articles will stimulate and enhance your understanding of this
important field.
Tatsuji Nomura
Director, M.D.&Ph.D.,
Central Institute for Experimental Animals
42
Foreword
Medicine could not exist without learning, and no cure for a disease could be
developed without understanding the biological functions of a living organism. That is
the very reason why significant efforts have been made to define macroscopic through
to microscopic substances. With the development of gene hunting technology over
the past 20 years, various functional molecules and their respective coding molecules
have been defined at enormous speed, thereby adding great variation to the parts
comprising a live body.
But a living organism is not comprised of just a combination of parts. It is a complex
being inside which those parts interact organically. This means that a mere overview
of all the parts does not lead to the profound understanding of the live body. Such an
approach would restrict us from clarifying the cause of a disease or developing its
cure.
Production of a genetically modified animal is meaningful for synthetically
understanding a living organism that is very complex. These animals allow live
(in vivo) observation of how a specific molecule abnormality affects the complex
live body. This technology also allows the production of disease model animals
with certain organ function disorders. By transmitting specific abnormal genes or
by deleting certain genes, various symptoms similar to human ailments can be
reproduced using animals. This leads to the development of an effective cure for the
respective diseases.
Rodents such as mice and rats have been common experimental animals that have
greatly contributed to life science over many years. However, they cannot become
appropriate human disease models, since they are phylogenically different from
human beings, both in terms of their genetic makeup, as well as their biological
reactions towards human pathogens and medical treatments. To overcome such
shortcomings,humanized mice with human genes or human cell and tissue
transplants have been developed. More recently, primates are being turned into
experimental animals as they have more similar genetic and metabolic features to
human beings. In particular, global attention is increasing towards marmosets that
belong to the New World Monkey race, for having various outstanding features as an
experimental animal.
All the movements introduced above are led by Japan, consolidating the
foundations for promoting whole body life science. There are increasing expectations
for further development in the biomedical arena, together with accelerated research
and development in achieving safer and more effective health and medical care.
We sincerely hope this brochure will enhance your knowledge and understanding
of our work in life science.
Sonoko Habu
M.D. & Ph.D., Juntendo University School of Medicine, Department of Immunology
Chair, CIEA Advisory Committee
43
— Chapter I —
From Humble Beginnings
to the World’s Top
Pills and tablets that one might casually pop into their mouth without much
thought, or medical tests ordered by doctors such as MRI, require many years of
research, development, tests and trials, before they reach us.
Close studies to confirm the efficacy and safety of various drugs and medical
treatments by using in vivo live animals are a prerequisite before use by human
beings. The in vivo experimental approach is also a necessary procedure that is
always undertaken to find out the cause and cure of a disease.
Today, Japan leads the world in this area of in vivo experimental medicine. But just
after World War II in 1945, the country’s impoverished citizens were short of even
the basic commodities in life such as food, clothes and housing. There also weren’t
enough hospitals or doctors that could provide care or drugs on a satisfactory level.
As such, the concept or the phrase “in vivo experimental medicine” didn’t even
exist.
How then did Japan become the world’s No. 1 existence in this area from such
humble beginnings? This chapter explores the reasons for its success by looking
back on the evolution and history of in vivo experimental medicine.
44
Chapter 1
From Humble Beginnings to the World's Top
In Vivo Experimental Medicine:
Its Evolution and History
Freelance Journalist
Michiru Mekata
Misery of a Defeated Nation
In 1945 just after World War II, Japan’s per capita GDP
(Gross Domestic Product: the economic indicator of a
nation) reached only US$1,295 million, as compared
to the US$11,722 million of the US, and the US$6,737
million of the UK. These figures show that the US GDP
of the times was roughly nine-fold Japan’s, while the
UK’s was approximately 5.2 times more1. As for Japan’s
average life expectancy in 1947, men barely reached the
age of 50, and women around 54. By comparison, these
figures have shot up to 79 and 86 respectively in 20102.
A brief observation of such figures suggests just how
poor and short-lived Japan’s citizens were in those days.
Worse, Tokyo and its suburbs were burnt down to
ashes from war bombings. Hence, there was a lack
of everything, including medical facilities, related
laboratories, doctors, nurses, and so on. This meant that
nobody could receive satisfactory treatment or required
medication.
Conditions were perhaps worse for experimental
animals used in medical tests. The size or the color of
a laboratory animal like a guinea pig or a rabbit greatly
differed from one another. Quality was out of question,
since those animals were bred by farmers as mere side
jobs. Those animals bought in by research labs died
one after another too, for being kept in an environment
where their excrements and hay formed layers, and their
white fur had often turned yellow from filth.
Two doctors, Dr. Koji Ando of the Epidemic Disease
Research Laboratory of Tokyo University, and Dr. Yoshio
Tajima of the National Institute of Health, stood up to
change the situation by establishing the Experimental
Animal Research Committee in 1951. The objectives of
the committee were to supply non-infectious animals
with uniform receptivity, ensure a stable annual supply
of animal feed, and to improve the rearing management
methods of experimental animals. Though these are all
common standards for any animal breeder today, they
were very difficult goals to achieve in those days.
Following
the committee
establishment, these
two doctors searched
for a “place” that
would actually realize
their objectives.
Eventually, they
discovered Tatsuji
Tatsuji Nomura (right standing), Dr.
Nomura, a medical
Tajima (center) and Dr. Ando (left), at
researcher who had
the time when the Central Laboratory
just joined Dr. Ando’s
for Experimental Animals was
originally established
team at the Epidemic
Disease Research Laboratory. Graduating the Keio
School of Medicine in 1945, young Tatsuji Nomura
spent some years at home to recover his physical health
before starting to work.
It was during that time when he came across the idea
of breeding his own mice for use in his future work at
the lab. Luckily, the entire Nomura family supported
his idea, and Tatsuji’s mother and elder sister took up
the task of breeding his mice. Later in 1952, his father
and younger brother offered the necessary capital
45
Chapter 1
post-war era. Likewise, CIEA, the practitioner of the
committee’s ideology, derived from the need to raise
the entire level of medical research in Japan. Also of
note here is that CIEA was a very unique existence for
being established and operated by the Nomura family,
instead of belonging to the public sector or any private
corporation.
and buildings to establish the Central Laboratory for
Experimental Animals (current Central Institute for
Experimental Animals), responding to and in approval
of the Charter of the Experimental Animal Research
Committee established by Ando and Tajima.
By 1954, Tatsuji abandoned his career as a medical
researcher, and chose to concentrate on breeding
experimental animals. Such a brave decision was made
in response to the question his boss, Dr. Ando, had
been asking him: “Are you going to become a medical
researcher or an experimental animal breeder and help
raise the overall level of medical research in Japan?”
Concurrent with Tatsuji’s decision, CIEA’s activities
gained momentum, especially by receiving a massive
order from the US military. Taking this opportunity, and
to gain more solid social status, CIEA turned itself into a
formal foundation in 1957.
As we have seen so far, the Experimental Animal
Research Committee was born out of the need of the
Courtesy: Kao Corporation
The original building of the laboratory that once stood in Mizuho Town,
Nishi-Tama County
Solidified animal feed (pellets) was once made at CIEA by using a soap
producing machine like this
46
Turning the Inferiority Complex into a Driving Force
What then was the overall condition of Japan around
the mid 1950s, when CIEA was formed? The year
1955 was when Japan experienced an unprecedented
economic spurt that continued until 1957. In the 1956
Economic White Paper, the Economic Planning Agency
proudly stated that “the post-war era is already a thing
of the past.” This was also the year when the boom in
consumer durables started, and everybody rushed to buy
refrigerators, electric washing machines and black-andwhite TV sets.
Shunning the post WWII mindset of rebuilding and
restoration, people pursued wealth and tried to catch up
with and overtake the West. This attitude also prevailed
in the medical arena, including the preclinical field
where experimental animals were used. Hence, national
institutions, universities, corporations, laboratories
and other facilities working in this area, all competed
with each other. Chasing after the backs of the US and
European countries that always stayed in front, they
bought in the latest animal feed-producing machine
from the US when hearing of the launch of such a new
item, or tried to actively breed high-quality mice and rats
by importing expensive parent animals from the West.
But that was not the case with CIEA from 1957 to
1959. Even its existence was endangered. First, the US
military abruptly cancelled its large-scale order. Then, a
salmonella outbreak forced the institute to exterminate
most of its animal colonies. Even the saved handful of
healthy animals were later lost in a fire that broke out at
its breeding facility.
But CIEA did not or would not give up, and continued
to proceed forward. Many say that this was probably
because Japan as a nation ran on and CIEA received
the tailwind gusto of the times. Another likely reason
was because CIEA itself was determined to catch up
with the West. But above all, CIEA went on probably
because Tatsuji Nomura upheld CIEA’s mission since
From Humble Beginnings to the World's Top
The World-Approved Japan Quality
1975 became a benchmark year, as Japan started
making numerous world-class achievements in the field
of in vivo experimental medicine. Some prominent
examples include the production and stable supply of
the Rock Rabbit, marmoset, Gottingen Miniature Pigs,
and the Suncus Murinus as experimental animals. Japan
was also successful in the development and supply of
hybrid animals that retained genetic uniformity while
incorporating the merits of a crossbreed. It also started
developing unconventional, new types of ‘disease model
animals’ displaying human disease symptoms.
easily from infections. Furthermore, thorough quality
control of rats and mice in their life cycle coupled with
a highly sophisticated medical skills process were a
prerequisite for achieving the process of transplanting a
human cancer on a Nude Mouse, administering various
anticancer drugs, screening their efficacy, and then
deep-freezing the colonized cancer cells. Moreover,
if not for close observations of the laboratory animals
during the various stages of R&D, the researchers might
have overlooked how the G-CSF (Granulocyte Colony
Stimulating Factor) forced human cancer to produce an
abnormal count of white blood cells. And if not for the
G-CSF discovery, Neutrogin, an innovative leucopenia
treatment drug, would not have been released from
Japan to the world in 2007.
Pika, a small hare species, which Japan led the world in
turning into an experimental animal
Neutrogin, an innovative leucopenia treatment drug,
released from Chugai Pharmaceutical
CIEA was in fact the leader in achieving all the above
results. They were the fruits of continual R&D by CIEA’s
researchers over many years. For example, if CIEA did
not establish the volume production technology of
SPF (specific pathogen-free) animals through so many
trials and errors during the 1960s, stable production
and supply of disease model animals would have
remained a mere dream. This is especially true for the
immunodeficient Nude Mouse and the SCID (Severe
Combined Immune Deficient) mouse that die very
How then did the world evaluate the achievements
derived from the continual, untiring R&D efforts as
introduced above?
One example is the Polio Mouse in which CIEA
concentrated its efforts from 1991 until around 1999
to turn into an experimental animal, by taking over its
establishment skill from Dr. Akio Nomoto of the Tokyo
Metropolitan Institute of Medicine.
During those years, CIEA also strained to establish a
trustworthy safety evaluation process of the live Polio
vaccine by using the Polio Mouse it developed. This
was very important, since live vaccines produced from
the attenuated Polio virus are used for immunization,
and the safety of the vaccine must be carefully checked
to prevent it from causing Polio. In the past, this safety
checking process was conducted by using monkeys,
since only humans and monkeys catch Polio. However,
requests rose for a substitute laboratory animal, together
with the growing demand in animal protection. When
establishment “to raise the overall level of medical
research in Japan.”
The Nude Mouse is used in many areas of research
47
Chapter 1
the World Health Organization (WHO) conducted
a comparative test on the Polio Mice and monkeys
in 1993 to compare and evaluate their efficacy on
measuring the safety of the live Polio vaccine, the test
confirmed the superiority of the Polio Mouse over a
monkey, both in terms of test result accuracy and cost.
Another example
is the rasH2 Mouse,
which CIEA finally
came out with after
about eight years
of trial and error.
Embedded with the
The rasH2 Mouse is used in
‘ras’ human cancer
the compulsory “carcinogenicity
assessment test” process
gene, this mouse was
of a newly developed drug
specifically developed
for the “carcinogenicity assessment test”: a compulsory
examination process that is implemented during the
“safety evaluation test” of a newly developed drug.
In the past, this compulsory process was extremely
unpopular for being expensive and time-consuming.
The dilemma was that it required an observation period
of over two years after the chemical substance in a new
drug was continually administered to healthy mice and
rats to check whether the substance caused cancer or
not. Furthermore, even if that substance developed
cancer in mice, that cancer may have resulted from
aging, or may be something unique to a mouse. Hence,
it was very difficult to make a correct judgment on
whether or not it would also cause cancer among
human beings.
CIEA therefore created a big sensation in 1995 by
announcing the rasH2 Mouse, which cut down the
required time of carcinogenicity assessment tests from
over two years to just six months. The advent of the
rasH2 Mouse even led the ICH (International Conference
on Harmonization of Technical Requirements for
Registration of Pharmaceuticals for Human Use) to
review its safety assessment process for new drugs.
Following the rasH2 Mouse, other genetically
modified mice, such as the p53 Mouse, the TgAC
Mouse and the XPA Mouse, were released in succession
from various research laboratories in the US and
Europe. But a comparative test of the four different
kinds of mouse conducted by the respective new
drug approving administrative organizations in Japan
48
(Ministry of Health, Labor and Welfare), the US (Food
and Drug Administration: FDA) and the European
Union (Committee for Proprietary Medicinal Products:
CPMP), evaluated the rasH2 Mouse most highly. As
such, the worldwide demand for the rasH2 Mouse in
2010 reached 23,000, turning it into the most popular
laboratory animal for carcinogenicity assessment.
rasH2 Mouse for Short-term Carcinogenicity
Assessment Testing
Offered advantages: Shorter experimental period, lower test
costs and fewer used animals
Experimental
period
Past
24 mo.
Test cost $2 mil.
Used no. of
animals
500 – 750
Present
6 mo.
$0.8 mil. – $1 mil.
250 – 350
Pursuing Practical Use
If speaking merely about being the world’s No. 1, CIEA
has come up with many more firsts over years. But Tatsuji
Nomura has repeatedly stressed on many occasions that
“there’s no point in being the world’s No. 1 if that status
does not contribute to the medical research and/or cure
of human diseases.” That stance remains unchanged
at CIEA ever since its establishment. It continues to be
a shared understanding among researchers involved
in the most cutting-edge medical research areas of
NOG Mouse and transgenic marmosets, on which
the details are introduced in the next chapter. Nomura
further warns that “forgetting to put the findings or
accomplishments into practical use is one of the main
reasons why some leading research institutions lose their
power and positioning.”
Stressing on practical use naturally leads to considerations on the long-term management and the
quality control of experimental animals, including their
proper inspection methods. Such a need was originally
pointed out by CIEA and came to be a shared concern
among many related institutions in Japan, and eventually
grew into a global-level proposal.
As a practical step forward, CIEA came to establish the
world’s first ICLAS (International Council for Laboratory
Animal Center) Monitoring Center within its grounds in
From Humble Beginnings to the World's Top
1989 to conduct global-standard quality inspections of
laboratory animals.
Then, CIEA pursued to establish a global standard
for experimental animals through the collaboration
of numerous animal breeders around the world
under GALAS (Global Alliance for Laboratory Animal
Standardization), which was established in 1998.
References
[1]Monitoring the World Economy 1820-1992, Angus Maddison
[2]Vital Statistics, Ministry of Health, Labor and Welfare
49
— Chapter Ⅱ —
In Vivo Experimental Medicine
as We See Today
Over time, the goal to produce and supply high-quality experimental animals was
achieved. The question then rose on how to maintain the quality of those animals.
In response, ICLAS (International Council for Laboratory Animal Science) issued a
notice in 1979, stating that a monitoring center conducting global standard checking
on the quality of animals should be established in each area around the world. This
leads to CIEA’s designation as the site of the world’s first ICLAS Monitoring Center.
Since then, this monitoring center has endeavored to maintain the high quality
standard of experimental animals supplied from Japan.
Together with such a move, various medical institutions and research facilities
continued their efforts to produce better quality laboratory animals. Concurrently,
they also pursued the R&D of experimental animals that contribute to the study
and cure of specific diseases. Thanks to such tireless efforts, many new types of the
“world’s first” type of experimental animals are now being announced from Japan.
Turning to such recent trends, the activities of the ICLAS Monitoring Center are
introduced in this chapter, together with the NOG Mouse and the Transgenic
Marmoset that are attracting much attention among medical investigators and
facilities throughout the world.
50
Chapter 2
In Vivo Experimental Medicine as We See Today
Control of Infectious Diseases
in Laboratory Animals
ICLAS Monitoring Center
Central Institute for Experimental Animals
By the late 1970s, long-term quality control of laboratory animals became a point of issue in Japan. The
Central Institute for Experimental Animals (CIEA) suggested that the quality of those animals should be
guaranteed based on an international standard. According to this suggestion, the International Council for
Laboratory Animal Science (ICLAS) issued a recommendation in 1979, noting that such a monitoring center
should be established in each respective region of the world. In response, CIEA established the world’s first
ICLAS Monitoring Center.
Role of the Monitoring Center
The ICLAS Monitoring Center is the only center in the
world that was approved by the International Council
for Laboratory Animal Science (ICLAS) in 1979 that
undertakes genetic and microbiological quality control
of laboratory animals. The main activities of the Center
are as follows.
1. Contract monitoring and consultation
The Center accepts requests for microbiological
monitoring of about 50,000 samples a year from
universities and research institutes, pharmaceutical
companies and animal breeders. It also provides
consultation on monitoring results.
2. Preparation and distribution of standard reagents
The Center prepares kits and reagents for in-house
checking and distributes them to promote monitoring.
3. Development and improvement of monitoring
technology
Checking techniques and diagnostic kits are developed
and improved as required to assure highly reliable
monitoring.
4. Education and training
Promotional and publicity activities for monitoring
are undertaken by holding technical training courses
and lectures, as well as by accepting trainees from
universities, pharmaceutical companies, etc.
Necessity of Monitoring
The aim of laboratory animal monitoring is to maintain
the consistent genetic and microbiological quality of the
animals in each generation at the breeding site, from
the time of their introduction until completion at the
51
Chapter 2
research site. In other words, harmful microorganisms in
laboratory animal facilities are determined beforehand
and their non-existence is confirmed through regular
checking (monitoring).
Such monitoring can verify that the animals maintained
and supplied at the breeding site meet genetic and
microbiological quality standards, while the data
obtained at the research sites prove that those animals
are not contaminated genetically or have never been
subjected to any infectious diseases.
Apart from monitoring, microbiological tests of
laboratory animal science include diagnosis that
clarify the cause of abnormality in animals discovered
during the rearing or studying process (abnormality
cause pursuit), as well as epidemiological surveys that
investigate how some specific microorganisms spread at
a certain point of time. However, no checking procedure
other than monitoring could be possibly conducted to
ensure the quality of experimental animals.
Struggle against Infections
It is no exaggeration to say that the struggle against
infections has been the major hurdle against the
development and the practical use of laboratory animals.
In Japan, lethal infections occurred in laboratory
animal facilities until some 30 years ago, leading to
the discontinuation of animal production and studies.
Today, epizootics caused by lethal pathogens for mice
and rats have significantly decreased and measures have
been taken to prevent infections in rearing facilities both
in terms of hardware and software, thus leading to the
safe production of laboratory animals and safe animal
experiments. However, we must not forget that the safe
environment we see today was developed through the
heroic battle of many laboratory animal scientists in the
past.
As human disease mouse model development
incorporating genetic engineering technologies
has become the main trend today, even pathogens
demonstrating weak pathogenicity have been found to
be highly pathogenic in such mice. This suggests that a
new battle against infectious diseases have started, in
order to turn transgenic mice into experimental animals
for practical use.
Introduced henceforth are some actual examples on
mice and rats to explain why infectious disease control
52
of experimental animals is necessary, what kind of battle
is now emerging towards infectious diseases, and what
should be done to control infectious diseases.
Why is Infection Control Necessary?
Infection outbreaks at laboratory animal facilities cause
various problems. First, infections caused by potent
pathogens lead to animal deaths, and discontinuation of
production and experiments becomes unavoidable. Even
infectious diseases caused by weak pathogens result in
abnormal body responses of the animals, thus affecting
production and experimental results. If the infection is a
zoonoses, it leads to the issue of human health control,
thereby stopping the production and supply of animals,
and reducing the breeder’s reliability.
Infections at experimental sites reduce the
reproducibility and reliability of experiments/study
results, and waste the entire experiment process, as well
as the precious lives of the animals. Rederivation of
the infected animal colonies is costly and takes a long
time. It is therefore quite obvious that routine control
of infections and practical measures are indispensable
at laboratory animal facilities to prevent such situations
from occurring.
Infection control is also necessary from the viewpoint
of animal welfare. Infectious diseases caused by potent
pathogens are extremely painful for the animals and
contagious to all animals in the facility. Those uninfected
may eventually get the infection from the infected, too,
thereby sacrificing all the animals bred at the breeding
site.
It therefore becomes necessary to consider the
refinement and reduction of experimental animals.
Refinement refers to enhance animal well-being and
minimize/eliminate their pain and distress. Reduction,
meanwhile, refers to various efforts made to reduce the
number of used animals.
What Kind of Infectious Diseases Occur?
The main infections of mice and rats are shown here.
These include the three main infections of these animals
that were prevalent in the past.
・Sendai Virus infection
Sendai Virus, a murine parainfluenza virus, causes
an acute respiratory disease. Mice and rats infected by
In Vivo Experimental Medicine as We See Today
Major Infectious Diseases and Pathogens in
Laboratory Mouse and Rat
Pneumonia: Sendai virus, M. pulmonis , CAR bacillus
Corynebacterium kutscheri ,
Pneumocystis carinii (in immunodeficient host)
Hepatitis: Mouse hepatitis virus, Tyzzer’
s organism,
Helicobacter hepaticus , etc.
Enteritis:
Mouse hepatitis virus, Tyzzer’
s organism,
Helicobacter hepaticus,
Salmonella organisms, etc.
Sialodacryoadenitis:
Sialodacryoadenitis virus (SDAV)
Dermatosis:
Trichophyton, Staphylococcus aureus ,
Ectromelia virus, etc.
this virus show symptoms similar to human influenza,
such as sneezing and pneumonia. Though uninfected
to human beings, the virus has strong pathogenicity to
mice, and infected mice often die. Transmissibility is also
strong and the infection can quickly spread to the entire
facility if prompt measures are not taken.
Many facilities suffered from this infection 30 years
ago, but such outbreaks have been sharply reduced
today.
・Mouse Hepatitis Virus infection
Mice can be infected by the mouse hepatitis virus,
a corona virus. This virus includes strains with both
strong (virulent strain) and weak (avirulent strain)
pathogenicity. When infected by the virulent strain, the
mouse dies abruptly. Today, the avirulent strain is most
widespread, but is generally non-pathogenic in mice.
However, strong lethal pathogenicity is demonstrated
in immunodeficient mice, including the occurrence of
severe hepatitis.
Though showing a high contamination rate in the past,
the ratio today has been reduced to 10% or below for
this infection. Nevertheless, it still occurs sporadically
at universities and research institutes. Hence, special
caution is required at experimental facilities that have
immunodeficient mice.
・Mycoplasma pulmonis infections
A ch r o n i c r e s p i r a t o r y d i s e a s e i s c a u s e d by
Mycoplasma pulmonis . Although both mice and rats
catch this disease, serious chronic bronchitis is observed
among rats and it is incurable. This infection also showed
a high contamination rate in the past, with especially
high figures observed at the rat rearing facilities of
universities.
Microbial Contamination in the 80s
Pathogen
Contamination rate
in mouse facility
Contamination rate
in rat facility
Sendai virus
18.0%
22.7%
Mouse hepatitis virus (MHV)
39.4%
ー
M. pulmonis
3.0%
11.4%
Sialodacryoadenitis virus
ー
15.9%
* MHV is only transmitted to mice, while Sialodacryoadenitis virus is
only transmitted to rats.
Microbial Contamination in 2009
Pathogen
Contamination rate
facility
in mouse
Contamination rate
in rat facility
Sendai virus
0.2%
0%
Mouse hepatitis virus
1.1%
ー
M. pulmonis
0.3%
3.1%
Sialodacryoadenitis virus
ー
0.5%
* MHV is only transmitted to mice, while Sialodacryoadenitis virus is
only transmitted to rats.
Struggle against New Infections
As explained so far, strong pathogenicity infection
outbreaks that have serious effects over ordinary mice
and rats are decreasing. However, contamination rates
of Staphylococcus aureus, Pseudomonas aeruginosa and
Pasteurella pneumotropica are still high.
Ordinary rats and mice rarely get infected by the above
bacteria known as “opportunistic pathogens.” However,
they may become lethal when immunodeficient mice
and rats are infected. To date, CIEA has observed skin
diseases in Nude Mice caused by S. aureus infection,
pneumonia in Rag2KO Mice due to P. pneumotropica
infection, as well as septicemia in NOG Mice caused by
P. aeruginosa infection.
As the main trend in animal experiments has now
shifted to humanized models mainly comprised from
immunodeficient animals, opportunistic pathogens
that did not attract much attention in ordinary animals
may have serious effects when trying to turn those
immunodeficient animals into laboratory animals for
53
Chapter 2
general use in experiments. It is therefore indispensable
to continue the infection control of strong pathogens
such as the Sendai virus and the mouse hepatitis
virus, while at the same time eliminating opportunistic
pathogens from the breeding environment.
Measures that Prevent Infections
The most important point in infection control, or
more specifically the prevention of infection outbreaks
at laboratory animal facilities, is to prevent infections
from being introduced into those facilities. Introduction
routes of infections include not only the infected
Opportunistic Pathogen Contamination Conditions
Pathogen
Contamination rate
in mouse facility
Contamination rate
in rat facility
Pasteurella pneumotropica
4.3%
3.0%
Pseudomonas aeruginosa
3.4%
7.3%
Staphlococcus aureus
23.4%
54.2%
Pneumocystis carinii
4.8%
0%
animals themselves, but also by pathogen-contaminated
experimental materials, devices, and so on. Hence,
information such as microbiological monitoring results,
should be collected and analyzed on animals to be
introduced into facilities in advance, while the used
equipment and devices must be disinfected or sterilized.
However, if an infection has already been introduced,
proper sanitation control (incl. work traffic line control,
Standard Operating Procedures (SOP) of disinfection
or sterilization) should be conducted to prevent the
infection from spreading throughout the facility. In
that context, the microbiological monitoring system is
necessary for proper sanitation and infection control .
As we have seen so far, the ICLAS Monitoring Center’s
various activities contribute to the quality improvement
and infection control of laboratory animals in Japan.
The ICLAS Monitoring Center will continue its activities
into the future, by maintaining its current status as the
opinion leader in infection control. 54
In Vivo Experimental Medicine as We See Today
NOG Mouse:
The Super Immunodeficient Mouse
Laboratory Animal Research Department, Biomedical Research Department
Central Institute for Experimental Animals
First introduced to the world in 2002, the NOG mouse is an immunodeficient mouse with almost no major
immune functions. Its formal name under the International Code of Nomenclature is NOD.Cg-Prkdcscid
112rgtm1Sug/Jhic. But since this is complicated, the animal is identified as the NOD-scid, IL-2Rgnull mouse
among researchers. Even this name is still long, so in normal practice the animal is referred to as the NOG
Mouse. At first glance, this mouse appears to be quite common. But in fact it is very unique as it does
not reject cells, tissues or organs of other animals including humans. For this reason, it is referred to as a
‘humanized mouse’ and is anticipated to accelerate the analysis of various human diseases and new drug
development. But for our research team, this mouse is not the ultimate goal. Through the development of
new, improved versions of immunodeficient mice and in vivo experiments using such animals, we seek to
contribute further to human disease analyses and new therapeutic agent developments. Let us take a closer
look at the NOG Mouse.
Development History
Among experimental animals, immunodeficient
mice are unique since they can be used as a scaffold
for conducting experimental research on the cells or
tissues of other animals, including humans. In fact,
immunodeficient mice have played a major role in the
dramatic advances in cancer research. Of these animals,
the Nude Mouse is especially noteworthy. This mouse
was first reported in England in 1962 as a genetically
mutated mouse with no hair [1]. Then in 1968, Dr.
Pantelouris discovered that this mouse had no thymus [2].
Those were the times when great advances were being
made in the field of immunology, and attention was
focused on the roles of the thymus gland and T cells that
differentiate in the thymus. In hindsight, the foundations
of present-day immunology were laid in those days
through in vivo experimental studies using the Nude
Mouse.
Being immunodeficient, a Nude Mouse is highly
susceptible to microorganism infections. By introducing
them for the first time to CIEA in 1973, the institution
forced itself to maintain absolute control over
microorganisms and consolidate an environment where
Nude Mice can be safely reared. Concurrently, Dr. Tatsuji
Nomura, Director of CIEA, founded the International
Nude Mouse Workshop together with Dr. Reggard. By
1997, nine such international workshops were held to
investigate the potential usefulness of Nude Mice from a
broad spectrum. In addition, a joint research project was
undertaken by the former Ministry of Health and Welfare
(current Ministry of Health, Labor and Welfare) and
drug companies in Japan. As a result of those actions,
55
Chapter 2
The History of Immunodeficient Mouse Development at CIEA
130,000 Nude Mice are used each year in Japan today,
for evaluating the efficacy of anticancer therapeutics.
As research progressed, we discovered that ordinary
blood cells of different species could not be transplanted
into a Nude Mouse, although skin or cancer cells that
propagate rapidly could be engrafted. However in
1983, Dr. Bosma of the US Fox Chase Cancer Center
occasionally discovered the SCID (severe combined
immunodeficient) Mouse, which lacks not only T cells
but also B cells that generate antibodies [3]. This mouse
then captured much attention of immunologists and
came to be used in various research projects. Among the
numerous researchers of those days, Dr. MuCune, then
at Standford University, succeeded in the differentiation
of human hemopoietic cells in a SCID Mouse, after
subcapsular transplanting of the liver and thymus of
a human fetus in a mouse kidney [4]. In 1988, Dr.
MuCune reported that these mice had become infected
by HIV-1, the virus that causes AIDS. The SCID Mouse
into which Dr. MuCune transplanted human fetal organs
was named “SCID-hu,” and came to play a major role in
AIDS research. But due to ethical reasons, it was hardly
ever used in Japan. Moreover, human blood cells did not
easily propagate even in this SCID-hu Mouse.
In 1985, CIEA obtained the original SCID Mouse from
56
Dr. Bosma. In 1991, by obtaining support from the
Kanagawa Academy of Science and Technology (KAST),
CIEA launched the “hu-mouse project” jointly with
Assistant Professor Yoshihito Ueyama of Tokai University.
Under this project, various improvements were made by
introducing SCID genes into mice of other inbred strains,
or introducing human genes into the SCID Mouse
by applying the newly developed gene transfection
technology. Through such actions, human cells were
found to be easily engrafted, and HIV-1 infection tests
could also be easily conducted in the NOD-SCID
Mouse, which was created by implanting SCID genes
into a Type-1 diabetic mouse model known as the NOD
(non-obese diabetic) Mouse[5].
The reason why the engraftment rate of human
cells in a NOD-SCID Mouse is higher than in other
SCID Mice is probably because of the diverse forms
of immunodeficiency possessed by the NOD-SCID
Mouse. In any case, this mouse was not used in immune
response studies, since T cells that play the major role in
an immune response, did not differentiate in this mouse.
Putting aside the issue of human cell engraftment, we
wanted to find out more about the relationship of T cells
with diabetes, since we only knew that diabetes did not
develop in a NOD-SCID Mouse when it didn’t have T
In Vivo Experimental Medicine as We See Today
cells. Hence, the NOD-SCID Mouse without T cells was
created through a joint research project with Professor
Hitoshi Kikutani of the Research Institute for Microbial
Diseases of Osaka University. We investigated which T
cells were associated with diabetes, by transplanting T
cell clones into the NOD-SCID Mouse.
Even after the KAST project ended, CIEA continued to
improve the immunodeficient mouse model as one of its
major research themes, and carried on developing mice
with combined immunodeficiencies.
It was in the course of this progress that the NOG
Mouse was created in 2000. It came into being by crossbreeding a NOD-SCID Mouse with an IL-2R Knockout
(KO) Mouse, in which the IL-2 receptor gamma chain
(IL-2Rγ) gene had been inactivated [6].
The IL-2RγKO Mouse was originally developed in
1996 by a group led by Professor Sugamura of the
Medical Science Department at Tohoku University. The
IL-2Rγ chain is a subunit coexisting with diverse cytokine
receptors (such as IL-2, IL-4 or IL-7) that are required
for the T, B or NK cells to differentiate. Because the IL2Rγ chain subunit does not function in the body of this
mouse, cytokines also do not function, thus causing its
immunodeficiency.
NOG Mouse Characteristics
The NOG Mouse is severely immunodeficient and its
characteristics mainly derive from its three mouse strains:
First is its reduced complement activity and macrophage
functions inherited from the NOD inbred mouse strains.
The second is deficiencies in T and B cells derived from
the SCID Mouse. The third is the NK cell elimination,
functional deficiency of dendritic cells, as well as
cytokine signal loss, which come from the IL-2RγKO
Mouse.
In the NOG Mouse, the systemic lymphatic system has
atrophied, its lymph nodes and colonic Peyer’s patches
cannot be recognized macroscopically, and only traces
of the thymus can be observed. The spleen is also flimsy.
Furthermore, thymomas, which often occur in a SCID
Mouse, never occur in a NOG Mouse [8]. Also, while
T and B cells become generally recognizable with aging
in a SCID Mouse, they never are identified in a NOG
Mouse [9].
As seen, since problematic phenomena observed in a
SCID or NOD-SCID Mouse are never found in a NOG
Mouse. It is an easy-to-use animal in experiments. That
being said, it must be reared under very strict conditions
completely free of pathogens, since this mouse is
severely immunodeficient and highly susceptible to
infection. Once such rearing conditions are maintained,
the animal can live for over a year.
Humanizing the NOG Mouse
Diverse strains of humanized mice can be produced by
transplanting human cells or tissues into a NOG Mouse.
The humanized mouse referred to herein is not a mouse
into which human genes have merely been introduced
and their proteins have been expressed, but it refers to a
mouse in which human cells or tissues function actively.
Due to such a distinctive feature, a NOG Mouse can
be used for developing therapeutic agents for human
diseases.
Hemopoietic humanized mouse:
The most noteworthy fact about the NOG Mouse is
that upon transplanting human hemopoietic stem cells
of the human cord blood, various human hemopoietic
cells differentiate and efficiently propagate within
the mouse. In particular, T cells (CD4+ and CD8+)
differentiate in a NOG Mouse, while they do not in a
NOD-SCID Mouse. Hence, by using the humanized
hemopoietic NOG Mouse, various immune responses
can be analyzed. For example, in the spleen, which is
one of the lymph mechanisms of this mouse, a lymphoid
follicle-like structure is observed that is similar to human
lymph nodes, with the human cell composition inside
being very similar to the actual composition within a
human being.
But even this mouse does not create a complete
immune system. Hence, CIEA is currently attempting to
make more improvements and establish a humanized
hemopoietic mouse that allows vaccine tests.
Infectious disease model:
By transplanting hemopoietic stem cells into the NOG
Mouse, human lymphocytes can be maintained for a
long time, thus becoming a very effective model for
lymphocyte-infecting human diseases. For example,
the human AIDS-causing HIV-1 virus, the adult T cell
leukemia (ATL)-causing HTLV-1 virus, as well as the
Epstein Barr virus (EBV) that is present in most humans
57
Chapter 2
can cause a variety of illnesses including infectious
mononucleosis. It also causes similar symptoms in
the humanized hemopoietic NOG Mouse [10, 11,
12]. Since various symptoms that can be observed in
human beings occur when a humanized NOG Mouse
is infected by the EBV, this model is studied for use in
disease analysis and new therapeutic development.
Cancer model:
The advent of the NOG Mouse that rejects almost no
xenogenic cells has dramatically changed in vivo cancer
research. A simplified in vivo example of human cancer
cells is introduced below to show how human cancer
cells are subcutaneously transplanted into a mouse.
Human cervical cancer cells (HeLa S3) were
subcutaneously transplanted into three types of
immunodeficient mice, namely the 1) Nude Mouse,
2) SCID Mouse and 3) NOG Mouse, to compare the
engraftment conditions of each mouse. Results showed
the outstanding xenogeneic engraftment condition of the
NOG Mouse, and tumors formed after transplanting just
10 cells into it [13].
78.25x000
Engraftment rate (%) of mice with tumors
Comparative growth of HeLa S3 cells among BALB/cA-nu/nu,
SCID and NOG mice
Cell dose
(cells/head)
100
75
50
10
5
10
4
10
3
10
2
25
0
which the hemopoietic hepatic metastasis that occurs
in humans was partially reproduced inside the mouse
body. Under such situation, human pancreatic cancer
cells were inoculated into the mouse portal vein from
the spleen, and hepatic metastatic nodes formed after six
weeks.
In experiments using an ordinary SCID Mouse or
a Nude Mouse, metastatic nodes only formed after
transplanting100,000 to one million cancer cells. In
contrast, a metastatic node formed after only 100 cells
were transplanted in a NOG Mouse [14].
By using the NOG Mouse as the host in such a
manner, sensitivity can be elevated dramatically and a
semi-quantitative hepatic metastasis model can also be
established. Furthermore, pancreatic cancer metastatic
nodes with good reproducibility can be formed, just as
is the case with colon cancer [15]. This metastasis model
has the potential of being used for investigative research
on genes and proteins involved in hepatic metastasis,
and for developing new anticancer drugs.
GVHD model:
Graft vs. Host Disease (GVHD) is a critical illness
Comparison of the liver metastases after intrasplenic injection of human
pancreatic cancer cells
NOG Mouse
AsPC-1
MIA PaCa-2
P ANC-1
Capan-1
BxPC-3
NOG
SCID Nude
Capan-2
PL45
Introduced next is a cancer metastasis model, a
slightly more complex in vivo test example of human
cancer cells. Cancer that originates in the spleen or large
intestine enlarges and eventually infiltrates into and
flows through blood vessels, until it passes through the
portal vein and finally reaches the liver. There, the cancer
cells start to propagate and form a metastatic node. The
metastasis model here is a laboratory animal model in
58
SCID Mouse
AsPC-1
MIA PaCa-2
Cell dose (cells/head)
P ANC-1
Capan-1
BxPC-3
Capan-2
PL45
0
25
10
5
10
10
3
10
50
4
2
75
Engraftment rate (%)
100
In Vivo Experimental Medicine as We See Today
that may occur when bone marrow is transplanted
for treating leukemia and so on. It occurs when the
transplanted cells attack the patient’s cells, tissues and
organs. Roughly 10% of all patients who receive bone
marrow transplants are suspected to fall victim of serious
GVHD.
GVHD occurs and leads to the death of the animal
when lymphocytes from human peripheral blood are
transplanted in them. The disease occurs in a NOG
Mouse with much fewer cells than in a NOD-SCID
Mouse, the commonly used immunodeficient animal,
and the need to x-ray the animal is also greatly reduced.
The distinctive feature of this model is that GVHD
occurs even in an intravenous transplantation, which
was rarely observed until now [16]. This model opens up
new possibilities in GVHD onset mechanism analysis,
and therapeutic drug development.
Tissue maintenance model:
The engraftment properties of normal human cells and
tissues can also be improved by the high xenogenic
cell receptivity of the NOG Mouse. For example, when
tissue fragments, human uterine endometrium cells
or the ovarian cortex are transplanted subcutaneously
or under the renal capsule in a NOG Mouse, human
tissues and/or organs are found to be partially
reconstructed within the animal [17-19]. In other words,
when several millimeters of ovarian tissue is transplanted
under the renal capsule of a NOG Mouse, the tissue
grows over several months into a human ovary larger
than the mouse’s kidney. Moreover, the tissue does not
simply propagate but develops into a mature human
ovary. This means that in this case, the human tissue can
be completely reconstructed. It has also been discovered
that through controlled administration of hormones,
the uterine endometrium resembling reconstructed
tissue can exhibit identical physiological functions
as the human counterpart, including the start of the
menstruation cycle.
Recently, a humanized liver mouse has been
developed in which mouse liver has been replaced with
human hepatocytes. Although the liver has a very high
regenerative capacity, it was never successfully cultivated
in the test tube: A contrast against the report from Dr.
Rhim et al. who found the isolated mouse hepatocytes
propagate so well in vivo that the liver was reconstructed
[20].
Distribution of the Human Liver Cells
within the Humanized Mouse Liver
Immunohistochemical staining for human albumin
Immunohistochemical staining for human Cytokeratin (8/18)
Hematoxylin and eosin (H&E) staining
Efforts to induce propagation of human hepatic cells in
live mice began around 2000, and a number of mouse
models were generated. Of these, the urokinase-type
plasminogen activator (uPA) transgenic mouse produced
by Heckel et al. in 1990 has become the most common
orthotopic transplantation model for human hepatocytes
[21].
Using the NOG Mouse as a platform for engrafting
59
Chapter 2
xenogenic cells efficiently, we successfully developed
an innovative uPA-NOG Mouse in which the uPA
gene is expressed only in the mouse liver [22]. Since
uPA-NOG Mouse mother (left) and its offspring (right)
hepatocyte impairment in an uPA-NOG Mouse is not
very pronounced, it does not manifest high mortality
from neonatal bleeding, as was often the case with
the conventional uPA Mouse model. When normal
human hepatocytes are transplanted from the spleen
to the liver in an uPA-NOG Mouse, human albumin
can be detected in the blood of the recipient mouse
after four weeks. Furthermore, the human albumin
blood concentration was found to elevate over time.
The human hepatocyte level within the liver of a
humanized liver mouse can be checked through the
immunohistological staining method using antibody
against human albumin or 8/18 antibody against human
cytokeratin. This test showed that nearly 70 percent
of native hepatocytes were replaced with human
hepatocytes. Human drug metabolism-involved enzyme
group genes, as well as transporter genes, were also
confirmed to be expressed normally in the liver of the
humanized liver mouse.
In addition to this uPA-NOG Mouse, CIEA has
successfully developed a TK (Herpes Simplex Virus
Tymidine Kinase)-NOG Mouse that can induce liver
dysfunction [23].
As seen, the humanized liver mouse has become a
very promising laboratory animal model for studying
hepatitis viruses, humanized drug metabolism, and so
on that will contribute to new drug creation.
60
In Vivo Experimental Medicine as We See Today
References
[1]J. Issacson, B. Cattenach, Mouse News Letter 27, (1962).
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61
Chapter 2
Transgenic Marmosets
How the dream of generating transgenic primates came true
Marmoset Research Department,
Department of Applied Developmental Biology
Central Institute for Experimental Animals
Reprinted by permission from Nature
Vol.459, pp.523-527, 28 May 2009
Copyright: Macmillan Publishers Limited.
On May 28, 2009, the front cover of Nature magazine showed a photograph of a transgenic marmoset
developed by a research team at the Central Institute for Experimental Animals (CIEA) in Japan. This article
showed that an exogenous gene had been inserted into a primate, the common marmoset, and was passed
on to the next generation. This fact opened a new era for transgenic primates used in biomedical science.
Utilizing its technology to breed a transgenic primate as a laboratory animal, CIEA is now playing a lead
role in the world’s science arena by mass producing transgenic marmosets and accumulating efficient
reproductive technology.
CIEA’s Transgenic Marmoset
featured on the front cover of
journal Nature
Necessity of Primates
Laboratory animals are used for research on
human diseases and side effects of medication.
Primates that are genetically as close as possible to
humans are required for use in high-risk experiments
before clinical studies are performed on humans.
Since primates are often difficult to rear and
reproduce, mice and rats have been used instead.
Mice in particular have shown marked increases in
62
performance as laboratory animals because human
genes can be inserted into them. But there was a
dilemma because they could not be used in fields
where restrictions due to species differences cannot
be overcome, such as neurological diseases including
Parkinson's disease.
The actual research on primates at CIEA started in
1967. At that time, studies on infertility using
Japanese monkeys (macaques) were initiated with
In Vivo Experimental Medicine as We See Today
funding by a grant from the Ford Foundation in the
United States. Research on artificial reproduction
and development of laboratory animals was also
begun in collaboration with the Japan Monkey
Center in Inuyama, Aichi Prefecture. A wild Japanese
macaque colony was established on a man-made
island in Mikawa Bay, and the formation of a larger
colony was planned on an island near Minami
Oshima in southern Japan. However, this island
underwent tourist development and plans also
evolved to build an oil refinery on that island. No
alternative could be found and reproduction of the
Japanese macaque in the wild was thus abandoned.
Since Japanese macaques produce only one
offspring a year, this limits their use as laboratory
animals. As such, CIEA bred 12 types of primates
including rhesus monkeys, cynomolgus monkeys,
Japanese macaques and the common marmoset, and
undertook a detailed evaluation of the strengths and
weaknesses of each primate as a laboratory animal.
Destruction of the Colony
In-house reproduction was attempted but it proved
difficult.
At the end of 1978, primates bred in CIEA died in
rapid succession due to septicemia caused by
Klebsiella pneumoniae. This outbreak was stopped
by developing and administrating a vaccine, but
almost the entire colony was destroyed.
Hence in 1981, 40 common marmosets that were
bred as laboratory animals were introduced to CIEA
from Imperial Chemical Industries (ICI) in the UK.
However, these animals were also attacked by a
disease. This time, they gradually became weak and
thinner and movement became slower. The disease
was known as the ‘wasting syndrome’ and it killed
30 of the 40 common marmosets.
Everything was tried to stop the marmosets from
dying: The diet was changed and extra care was
taken on their overall nutritional balance. The rearing
environment was also changed by moving them to
another rearing facility. As a result of all these efforts
combined, the marmosets’ health began to
improve.
In 1983, a further 60 marmosets were introduced
from ICI and a good rearing environment for the
common marmoset was finally established.
Marmoset Characteristics
Japanese macaques weigh 20-30 kilograms and
cynomolgus monkeys weigh three to four kilograms.
A large rearing space is required and caretakers for
macaques also require special training.
In contrast, common marmosets are very small
weighing only about 350 grams, and are around the
same size as rats. Because they are so small, animal
technicians and investigators with intensive shortterm training can handle them easily for breeding or
research purposes.
Male and female marmosets are basically the
same size and form pairs that are comparatively
stable, which means they can be reared peacefully
in one cage. However, when fights between a pair
become frequent after around seven years, the male
and female are separated to form a new pair.
Strategies to Increase the Reproductive Rate
Marmosets bred artificially in CIEA showed high
rates of reproduction and frequently had three
offspring at a time. This was a remarkable achievement
since in the wild, they only produce two offspring at
one time.
However, this actually presented a new problem.
Mother marmosets have two nipples and three
nurslings must compete to drink from them. Since
marmoset babies have their own exclusive nipple,
siblings struggled to share one nipple. They became
malnourished and often died. The result was that
breeding could proceed well only if one of the three
babies was removed.
Since CIEA had no intent of abandoning the
marmosets, new techniques for artificial nursing
were developed. Thanks to continual improvements,
the survival rate for artificial nursing today has
become higher than that for natural nursing, and
annual production now stands at about 800
marmosets. This number is much greater than that
achieved by the second largest producer in Japan,
and CIEA is now one of the world’s largest breeders
of marmosets.
Backed by such high productivity, attempts were
made at CIEA to raise the quality level of marmosets
63
Chapter 2
as laboratory animals. One result has been the
development of specific pathogen-free (SPF)
marmosets. In 1988, SPF marmosets were successfully
produced through its long-held technique of
preparing SPF animals at the fetal stage.
However, CIEA still has not succeeded in
reproducing SPF marmosets. This is because male
marmosets reared under SPF conditions have no
opportunity to learn mating methods from their
parents. Consequently, offspring born under such
conditions do not remain SPF, and end up in the
rearing facilities of ordinary marmosets.
Establishment of Preimplantation Embryo Collection
Techniques
Pluripotent stem cells, such as embryonic stem
(ES) cells and induced pluripotent stem (iPS) cells,
can give rise to any fetal or adult cell types. A mouse
ES cell line was first established by Evans and
Kaufman at Cambridge University in the UK in 1981.
This was followed by an ES cell line development for
rhesus monkeys in 1995 and a human ES cell line
development in 1998 by Thomson et al. at the US
Wisconsin University. In 2007, Yamanaka et al.
established human iPS cells. These pluripotent stem
cells are expected to be applied to the field of
regenerative medicine as a cell source.
However, these pluripotent stem cells cannot be
immediately applied in the clinical treatment of
humans, since safety or efficacy of these stem
therapies is unknown. Hence, it is necessary to
perform various prior animal experiments to confirm
their safety and efficacy. But then, because of the
phylogenetic difference between human and mice,
some disease symptoms such as Parkinson's disease
do not appear in mice. Furthermore, the cell
characteristics of pluripotent stem cells are also
different between mice and primates. It is therefore
necessary to confirm all those points in non-human
primate experimental animals. Since the macaques
species such as rhesus or Japanese monkey delivers
only a single offspring, it is difficult to use many
animals in experiments. Prolificacy of the common
marmoset has thus made it to be considered the most
suitable species for use in biomedical science.
To establish a preclinical study system for
64
regenerative medicine using ES cells, CIEA went on
to produce marmoset ES cells. In order to establish
the ES cell line of marmosets, a technique for embryo
collection had to be established. At the beginning of
this project, we elucidated the timing of ovulation ->
fertilization -> implantation by measuring the
progesterone level of a female marmoset. By applying
this mechanism of the marmoset ovarian cycle
through the peripheral blood level control of
progesterone, we can now manage the ovarian cycle
in general. For embryo collection, we established a
non-invasive method through the full cooperation of
Dr. Kisaburo Hanazawa of the Department of
Urology of Juntendo University. Currently, the
challenge continues to establish a non-invasive
method for marmoset oocytes collection. In 2005,
we reported the establishment of marmoset ES cells
in the scientific journal Stem Cells. This was deposited
in the cell bank in the Riken BioResources Center
and it is now used by researchers worldwide. This
research was one step towards generating transgenic
primates.
Challenge of Introducing Genes into Marmoset
Embryos
The most popular method to produce a genetically
modified mouse is through “blastocyst injection,” a
method in which genetically modified ES cells are
injected into the blastocyst-stage embryo. This
method is powerful because it can produce a targetgene knockout mouse, which lacks the specific gene
function that the researcher is interested in. However,
the use of this technique is limited to mice (although
a target-gene knockout rat has also been recently
produced). There are two other widely used protocols:
the pronuclear injection method and the lenti-viral
injection method. The former method directly injects
a transgene DNA into the pronucleus of the embryo,
by using a glass needle. The second alternative is a
method that injects a lenti-viral vector into the
embryo.
The decision was made to use the latter that was
developed by Dr. Hiroyuki Miyoshi of RIKEN, since
the efficiency of transgene introduction is very high,
it is technically easier to inject the vector into the
embryo, and since this showed a low rate of the
In Vivo Experimental Medicine as We See Today
How the virus vector fluid is injected
According to our decision, the virus vector fluid
was first injected into the perivitelline space: the
space between the zona pellucida and the embryo.
However, this proved difficult since the marmoset
perivitelline space was too narrow and a sufficient
amount of viruses could not be injected. After various
considerations, the problem was solved by adding a
sucrose solution to the medium that expanded the
targeted region by increased osmolality, thus
facilitating the introduction of the viral vector.
This viral vector contains the green fluorescent
protein (GFP) as the transgene, a protein discovered
in jellyfish by Dr. Osamu Shimomura who won the
Nobel Prize for Chemistry in 2008. The green
fluorescence can be observed when the gene is
introduced into the marmoset genome and expressed
successfully.
After the lenti-viral injection, several marmoset
embryos shone fluorescent green. These GFP positive
embryos were then transferred to the surrogate
mother, and five transgenic marmosets were born.
The Long Road for Nature to Accept Our Manuscript
The race to generate a transgenic primate was a
“hot topic” among researchers around the world. In
2001, two independent US groups reported the
generation of the GFP transgenic rhesus monkeys.
However because of silencing, neither of their
transgenic monkeys expressed the GFP in their
tissues. This was problematic, since the expression of
the transgene in tissues is the most important point,
when using a transgenic primate as the human
disease model.
Our group submitted the manuscript on transgenic
marmoset generation to Nature journal. The
manuscript was rejected after being checked by
peer-reviewers and spending half a year to review
the manuscript. The reason for their rejection became
obvious the following week. Nature featured a paper
from the US research group on the generation of a
transgenic Huntington’s disease rhesus monkey
model. However, careful reading of the paper
indicated that animals expressing the transgene died
soon after birth and it was unlikely that transgene
expression in live animals was determined. Our
results seemed much more significant scientifically,
since transgenic animals without transgene
expression cannot be used in experiments. We
therefore decided to complete all the data, by which
we meant to elucidate the germline transmission of
the transgene.
This is because a transgenic animal cannot be
proliferated as a laboratory animal if the gene does
not appear in the next generation. Hence, the
germline transmission of the transgene was
determined through in vitro fertilization (IVF), by
using the sperm from the male transgenic marmoset
“Ko.”
As a result, several IVF embryos showed green
Reprinted by permission from Nature
Vol.459, pp.523-527, 28 May 2009
Copyright:Macmillan Publishers Limited.
“silencing” phenomenon, by which the transgene is
not expressed by the virus vector even after transgene
introduction.
Transgenic Marmosets Kei (left) and Ko (right)
65
Chapter 2
fluorescence. One of these embryos was transferred
into a surrogate mother. After transplantation of the
green fluorescent embryos, we re-submitted our
manuscript with the ultrasound image of a fetus to
Nature magazine. However, Nature’s decision was
that they could not accept our paper unless a healthy
offspring was obtained. We therefore had to wait for
another month until delivery. The results of a
subsequent analysis showed that Koichi expressed
the GFP in skin tissue. Finally, the paper on a
transgenic marmoset developed by our team was
accepted and published in Nature magazine.
Marmosets to Open Up a New Field
Biomedical science will dramatically change if
transgenic marmosets can be used as human disease
models. To date, some disease models have been
impossible to generate since neuro-physiological
functions and metabolic pathways are quite different
between human and mice. However, therapies for
these diseases could be developed in the future by
using transgenic marmoset disease models.
Furthermore, the combined use of non-invasive
imaging technology with transgenic marmosets
expressing fluorescent proteins in specific tissues
would contribute to noninvasive tissue observation
without sacrificing the animals.
66
In Vivo Experimental Medicine as We See Today
References
[1]Sasaki, E., Suemizu, H., Shimada, A., Hanazawa, K., Oiwa, R., Kamioka, M.,
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stem cells from common marmoset (Callithrix jacchus) fetal liver cells using
defined factors, including Lin28. Genes Cells. 15:959-69.
67
— Chapter Ⅲ —
Opening the New Door in
Life Science
In July 2011, a new medical and life science research facility of the Central
Institute for Experimental Animals (CIEA) was opened in the Tonomachi area of
Kawasaki City. Located in an ideal location just across from the newly expanded
and re-internationalized Haneda Airport, this chapter will explore the potential of
the CIEA laboratory.
Following the opening of this new facility, Kawasaki City is starting to construct
an industry-academia-government-citizen collaborative research center, with the
ultimate goal of turning the entire coastal area into Japan’s global foothold in the
areas of life science and environmental technology.
Meanwhile, CIEA hopes to use the new “foothold” for introducing in vivo
experimental medicine to young people, disseminating Japan’s latest technology
through the cooperation of various industries and organizations, and producing
innovative treatment methods and drugs by collaborating with other Asian nations
in developing and conducting clinical tests. CIEA will also open up the facility to
domestic venture companies for their use in heightening the value of their already
possessed skills and technologies in the medical arena.
Various industries are joining such action, and highlighted here is the unique
R&D movement of the Ajinomoto Group. Proceeding into the medical field from
the dietary arena focusing originally on “umami seasoning,” Ajinomoto is now
attempting to launch more healthy diet-related skills and products from Japan to the
world.
68
Chapter 3
Opening the New Door in Life Science
As the Accelerator
of Japan’s Global Strategy
Takao Abe
Mayor
Kawasaki City
The opening of the new laboratory of the Central
Institute for Experimental Animals (CIEA) has significant
meaning, and I am exceptionally happy about it.
Roughly four months before its opening, northern
Japan was struck by a devastating earthquake. Kawasaki
City, along with other local self-governing bodies, rushed
to supply goods and aid to the disaster areas. All the
citizens of Japan including myself were also happily
surprised to receive so much encouragement and help
from around the world. I assume such willingness to
help derived from the global citizens’ thoughts towards
Japan and its people for contributing to the global
society over decades in many ways. As we revive and
rise from the disaster, we, as a country, should pay back
to the generosity and consideration of all people and
countries around the world by straining to improve the
international society, the globe, and humankind.
For many years, CIEA had been promoting its research
activities in the Nogawa district of Kawasaki City. It
played a vital role in upgrading Japan’s medical and
life science standard as a whole, which ultimately
contributed to helping many people and countries
around the world. Its establishment of the new laboratory
has thus gained much support and understanding as
an ideal foothold for promoting international-level
contribution. The new facility also helps Japan to drive
its global strategy in this area, being located immediately
across the newly expanded and re-internationalized
Haneda Airport.
The land on which CIEA’s new laboratory was
constructed once served home to Isuzu’s automobile
production plant. After Isuzu moved out, Kawasaki City
obtained some parts of this vast 37-hectare area from the
Urban Renaissance Agency (UR), and lent it to CIEA on
a term leasehold interest basis. This in fact is the Phase
I movement of Kawasaki City’s action plan to renovate
the entire Rinkai Coastal Area. Following CIEA’s new
laboratory completion, we will proceed into Phase II
by starting to build the industry-government-academiacitizen joint research center. When completed, various
environmental, health and safety and R&D-related
institutions will base their work from this new center.
New services such as rental laboratories will be started,
thereby stimulating various new cooperative actions
exceeding conventional barriers or borders.
Due to the global feature of CIEA, many more
researchers from around the world are able to visit its
new laboratory. Internationalization of this coastal area
will be further accelerated by the tailwind trend to turn
Haneda into an international aerial hub. Kawasaki City
is also suggesting to the government to designate this
area as Japan’s global strategy special zone, since no
other location in Japan adjacent to an airport is blessed
with such an appealing geographical competitive edge.
Furthermore, Kawasaki is also reaching out to
Yokohama City and Kanagawa Prefecture, as well as
Tokyo’s Ota and Shinagawa Wards that stand on the
opposite side of Tama River. This is because many more
R&D and service facilities are located in the neighboring
districts, and we can raise the potential and value of
the entire coastal area by uniting our knowledge and
power to build full-service convention centers and
69
Chapter 3
Land Use Image of the Tonomachi 3-chome Coastal Area
International Airport Functions
Environment, Life Science R&D Functions
International Passenger Terminal
Building
International Passenger Terminal
Occupied land area: approx. 130,000 ㎡
Main facilities: Cargo handling, fresh food
and New Drug Development Research Center
Main facilities: Terminal building
handling, smoking facilities
<Central Institute for Experimental Animals, Keio
Total floor space: approx.159,000 ㎡
Cargo handling amount: 500,000 tons/year
■ Core
facilities (approx. 2ha)
CIEA Regenerative Medicine
Total floor space: approx.170,000㎡
5-storyed
University-CIEA Collaborative Research Project>
Parking lot
Industry-Government-Academia-
Total floor space: approx. 67,000 ㎡
Citizen Joint Research Center (tentative
7-storyed(one underground)
name)
Capacity:approx. 2,300 cars
‚Q
Courtesy:Tokyo International Airport Terminal
①Excitement and Exchange
Ke
Apron zone
iky
・Step-by-step land use
・Multiple function integration including
commercial, business recreation and exchange
functions
・Hotel and convention functions
uA
irp
ort
Lin
e
④Logistics
Tenkubashi Sta.
Third Zone:
Airport-related
functions
ne
First Zone:
Culture and exchange
Industrial support functions
大師橋
③Airport-related: Industrial Support
ssway
Expre
JR東海道貨物支線
2
Shuto
Sangyo Doro
Approx.
7ha
9 Tonomachi Ramp
Route 40
uD
ais
hi
Lin
e
KojimaShinden Sta.
• • • • • • • • •
accommodation facilities.
That being said, our ideas are vastly unconventional
and thus difficult to predict what specific businesses
will start operating in this area. Hence, instead of fixing
the use of the land here, we hope to collaborate with
advanced-minded business operators who understand
and value the location of the site, and take practical
action that link the latest trends in life science research
with the functions of the new Haneda International
Airport. This is why we invited Dr. Hiroshi Komiyama,
former Head of Tokyo University and current President
of Mitsubishi Research Institute, to head our Global
Competitive Foothold Nurturing Strategic Conference,
which is comprised of many other leaders of respective
70
⑤Airport-related
All Nippon Airways (ANA)
・Occupied land area: approx. 30,000 ㎡
・Employee total: approx. 3,140 persons
ky
o
M
on
or
ai
l
International
cargo zone
Approx.
9ha
Approx.
7ha
Tonomachi
2-chome
Tonomachi Yako Line
Sangyo
DoroSta.
・Total floor space: approx. 44,000 ㎡
・Total floor space: approx. 61,000 ㎡
Haneda Airport
International Building Sta.
Tonomachi 3-chome Area
Daishi Ramp
iky
・Occupied land area: approx. 80,000㎡
To
• • •• • • •• •
Ke
International
passenger zone
Yodobashi Camera Assembly
Center
Second Zone:
International exchange
Commercial functions
1
Tonomachi
1-chome
n
co
Keiky
Circu
u Airp
lar Ro
ort Lin New Sta.
ute N
e
o. 8
・Re-expansion of Haneda Airport
・Invite airport-related industries, provide industrial
support and enhance business functions, while
acknowledging the benefits of internationalization and
the proximity to Haneda
Daishi JCT.
t
or
rp
Ai
?iƒ??[ƒJƒ‰ƒCƒU?[?j
②Airport-related: Business and R&D
・Step-by-step land use
・Airport-related, logistic (distribution, processing),
and industrial support functions, etc.
d
oa
gr
n
cti
Tama River
3
Approx.
7ha
4
K
aw
as
a
ki
Approx.
8ha
Ex
pr
es
sw
5
Approx.
3ha
0 100 200 300 400 500m
ay
fields, including Prof. Jitsuro Terashima. Concurrently,
Kawasaki has established the regional committee
to correspond to the action plan of the national
government.
We seek further understanding and support of the
national government and administrators in such action,
and position the opening of CIEA’s new laboratory as the
starting point of our dynamic step into the future.
I very much look forward to the new laboratory
to reinforce its functions and serve as the nucleus in
contributing to the global society.
Opening the New Door in Life Science
Interview
Seeking Further
Public Interest
Ryuta Nomura
Executive Director
Central Institute for Experimental Animals
In April, 2011, the Central Institute for Experimental Animals (CIEA) became a formally registered public
interest incorporated foundation. This move demonstrated CIEA’s determination to further contribute to the
well-being of humankind from various angles. Following this, CIEA opened a new laboratory in July, 2011, to
promote its R&D activities that contribute more to the health of all people. The future suggested direction of
CIEA is introduced in the following interview with Ryuta Nomura, CIEA’s Executive Director.
Q: What significance does the new laboratory opening
have for CIEA?
Nomura: During its history that extends to almost 60
years, CIEA contributed to the R&D activities of the
medical and medical care fields of Japan. From now
on, we must enhance our activities as a public interest
incorporated foundation. We must think more about
“what we are expected to do by the general public,”
whenever we take any action.
The development of the most advanced laboratory
animals is expected when conducting cutting-edge
medical research. For R&D activities at the preclinical
stage, experimental animals are indispensable for
checking the safety and efficacy of drugs and treatments
before administering them to human beings. The uneven
quality of animals used in preclinical tests affects the
results obtained greatly, thus prohibiting the researcher
to advance into the next stage of human clinical testing.
Establishing a trustworthy production and supply system
of experimental animals is exceptionally difficult, and it
took CIEA almost 40 years to establish the entire system.
Known as in vivo experimental medicine, the work
in this area involves basic research. It is therefore
inconspicuous, and is far from being hi-tech or eyecatching. But continual R&D in this basic area becomes
indispensable for conducting studies in the sensational,
most advanced medicine and medical treatment areas.
That is why I would like young people to learn more
about in vivo experimental medicine by visiting this new
facility. At the same time, I want to make this laboratory
the first place for global researchers and doctors to think
of and visit, whenever they encounter a problem or hit a
wall in their work or study.
Q: What specific advantages does the new laboratory
offer?
Nomura: CIEA has continued creating experimental
animals such as rasH2 Mouse and NOG Mouse that
no one else can produce. But being the one-and-only
production facility of such animals is not enough. We
must always think of contributing to humankind. To this
extent, we must accumulate and apply various knowhow and mass produce/supply experimental animals
that can actually be used, are of high quality, and are
homogeneous.
This is where the meaning of CIEA’s existence lies,
71
Chapter 3
because the above process takes 10 to 15 years to form.
No person trying to write his/her thesis would spend that
amount of time in creating and maintaining the quality
level of those animals. Corporations wouldn’t take up
such task either, since such a long R&D period would be
too costly and would be meaningless from the ROI (return
on investment) viewpoint.
Research conducted at CIEA
This has especially been the case among venture
businesses in Japan, since the government had not
consolidated the infrastructure properly. Hence, we
would like such new business starters to actively utilize
our research facility, raise the value of their medicalrelated technology at hand that is perhaps worth 50
million or 100 million yen, to ultimately market it at 500
million or 1 billion yen.
Q: What global actions do you plan to take?
Nomura: CIEA has always been global because we
had to be. When you turn your eyes to the natural
environment, you find migrant birds flying around
unrestricted by national borders. But for that very reason,
they could become the cause of the bird flu. Likewise
and especially due to global warming, mosquitoes can
span anywhere in a mud pool and cause dengue fever
or malaria that are most likely to be brought into Japan
sooner or later. Under such conditions, we cannot
possibly concentrate on patients just in Japan. Necessity
leads us to turn our eyes to the world.
Utilizing the new laboratory as our foothold, we
hope to further collaborate with various institutions and
companies, and introduce Japan’s latest technologies to
the world by using our experimental animals.
That being said, our existence will never stand out. No
matter how important our work may be, we will always
stay in the background.
Q: What does public interest mean to CIEA?
Nomura: Until March 2011, CIEA was involved in
various activities as an institution approved by the
Ministry of Education, Culture, Sports, Science and
Technology. Our R&D activities have always tried to
contribute broadly to the health of humankind, and have
collaborated with various pharmaceutical companies
and so on to develop drugs in the most advanced
medical fields.
Much has progressed in the medical arena over the
past decade, and treatment methods such as MRI and
non-invasive inspection methods that greatly reduce
the psychological and physical stress of patients are
becoming common.
On the other hand, newly established organizations
advancing into the medical field do not have the basic
structure to conduct the required animal experiments.
72
Ryuta Nomura together with some international conference participants
Such a stance of ours has generated much recognition
around the world, and the Polio Mouse that we
developed came to be approved by WHO (World
Health Organization) as a superb experimental animal
for confirming the safety of live polio vaccines. Our
rasH2 Mouse that has received the approval of the US
FDA (Food and Drug Administration) is utilized widely
today as a world standard for testing new drugs to check
whether they cause cancer or not.
Opening the New Door in Life Science
Over many years, CIEA has also been conducting
various joint studies with the Karolinska Institutet of
Sweden, Institut Pasteur of France, Stanford University
in the US, and so on. We seek to continue such
collaborative action towards the future.
Q: Which areas are you going to focus on from now
on?
Nomura: Recently, importance is mounting for Asian
countries that are closer to Japan both geographically
and ethnically. Over 60 years since World War II,
Japan focused on a manufacturing-oriented capitalism.
But from now on, our country should switch over to
intellectual asset-oriented capitalism such as green
innovation and life science. This is the area where Japan
can demonstrate its true power and innovativeness.
Within such context, Japan should open up its mind
and think more of conducting joint clinical studies and
creating new things together with our Asian neighbors,
while serving as the nucleus of such activities.
CIEA’s new laboratory opened in July, 2011
Q: What is the ideal image of the new laboratory?
Nomura: There are two directions that we should
pursue. One is to maintain our basic, original character
as a laboratory, while bearing in mind the latest trends
in medical research. This would mean the continued
provision of high-quality, homogeneous experimental
animals and related technologies to our clients including
medical institutions, researchers and corporations.
Another direction would be to think about the
future application and new use development of our
accumulated know-how and technology. It would be
best if the new laboratory becomes an open innovation
foothold for conducting various safety evaluation and
utility tests on drugs and medical systems, monitoring
tests that can be applied for the health control of
pets, studies on genetic modification technologies for
application to infertility treatment, and so on.
CIEA has been involved with laboratory animals
in many ways over its many decades of history. Our
ultimate goal is to apply our technology acquired
through our experience for the true well-being of human
beings.
73
Chapter 3
Interview
The Limitless World of
Life Science
Katsuhiko Mikoshiba, M.D.& Ph.D.
Team Leader, Laboratory for Developmental Neurobiology
Brain Science Institute (BSI), RIKEN
Professor Emeritus of University of Tokyo
Foreign Professor at Karolinska Institute
Professor of Seoul National University (World Class University in Korea)
Dr. Katsuhiko Mikoshiba is a prominent figure in brain science research. He also teaches many students
around the world in such countries like Japan, Sweden and Korea. Stressing the importance of researchers
to have a multi-angled, broad perspective on all things, his thoughts on life science and in vivo experimental
medicine are introduced as follows:
Q: You have been studying and working in the field of
life science, but what specifically is “life science”?
Mikoshiba: All living things on earth are built
up of atoms. Atoms comprise genes, molecules,
macromolecules, proteins, cells, and ultimately organs
that consolidate the cells. Each cell organ has a different
feature, and helps each other to form a cell society. But
when some cells act strangely and become cancerous
for example, the harmony of this cell society is disturbed,
and the functions of the organ go wild. This is very
similar to what happens in human society.
Various organs come together to form an individual
organism. It can function as an individual organism and
maintain the homeostatic property of the entire body,
only when all the cell organs including the endocrine,
immune and nervous systems function harmoniously. So
far, I have explained what happens internally, within the
body of an individual organism.
74
Then, how does an individual communicate with the
outside world? No human being could speak words,
hear things, or take in any external information, unless
the cell organ of the cerebral nervous system is properly
formed.
This means that if we were to conduct any study
related to life, we must turn our eyes to the entire flow
of things. Scrutinizing in a narrow area and focusing
merely on molecules is not enough. In vivo experimental
medicine observes living creatures alive as an individual
organism, studies how the brain reacts to a certain
stimulus, and how each internal organ under the control
of the brain reacts.
As I have just explained, life science is an academic
field that studies all phenomena related to life from
such basic perspectives as biology, chemistry and
physics, through to such application fields as medicine,
psychology, natural sciences, art, social sciences,
Opening the New Door in Life Science
agriculture and engineering. This is why life science
studies should not be skewed to a certain area, but
should be conducted broadly from different angles.
Q: Can you introduce us to the latest trend in life
science?
Mikoshiba: It involves the simultaneous observation
and understanding at the molecular level and at the
individual organism level. In vivo experimental medicine
is often considered an area of study that focuses only on
the individual organism, but this is not true. It is more of
a research area where molecular actions are observed
from an individual organism level. Put another way, in
vivo experimental medicine questions the background
of why an individual takes a certain action by exploring
the field of synapses, the contact points of the nervous
cells.
In recent years, in vivo experimental medicine has
shown significant progress by exploring individual
conditions from a molecular level, digging down deep
to find out what molecular changes ultimately led the
individual organism to change. More recently, many
gene-utilized indicators have been released, allowing
researchers to study the functions of specific internal
organs, while observing each individual organ according
to the time flow.
Comparison between “Normal” and “Abnormal” at various
levels leads us to understand the mechanism of life.
Normal
Molecule
Cell
Tissue
Organ
Body
(learning・behavior)
Society
This method did not allow long-time observations, since
the pigment would not stay in one place for more than
several hours. But since gene-incorporated screening/
detection indicators allow years worth of observations,
symptoms that take a long time to form such as
Alzheimer’s can now be observed in vivo, according to
the time flow: From the stage of normality, the actual
moment when the abnormality occurs when receiving
certain external stimulus and/or stress, through to the
observation of the disease progress according to the time
flow.
As research further progresses to comparatively study
the individual organ from the molecular level, the
mechanisms for other diseases that take a long time to
form is sure to be clarified.
Q : H ow d o yo u va l u e t h e o p e n i n g o f t h e n e w
laboratory in the Kawasaki Coastal area by the Central
Institute for Experimental Animals (CIEA)?
Mikoshiba: Research and analysis discussed previously,
as well as the development of medical care and drugs
based on such research results, take a lot of manpower.
They also are very time-consuming and costly. It is
therefore impossible for a single research institution
or facility to do everything that I have just mentioned
on its own. Hence, I think it is very good that various
organizations can cooperate and collaborate at this
new research base. It will become more important to
think, study and integrate various academic arenas
for making dynamic, different proposals from a broad
viewpoint. It is also crucial to unite the actions of various
pharmaceutical companies and latest technologyholding private companies that are also supporting
CIEA’s move.
Furthermore, the opening of the new laboratory just
across from the newly re-internationalized Haneda
Airport suggests CIEA’s determination and direction to
become a global research hub that directly links various
countries around the world while positioning Asia in the
center.
Abnormal
Understanding the essence of living system
Conventional indicators obliged us to quickly observe
the change of a certain pigment administered to the cell.
75
Chapter 3
Interview
Real-time Report
from the Most Advanced
Medical Arena
Hideyuki Okano, M.D.& Ph.D.
Professor, Department of Physiology,
Keio University School of Medicine
慶應義塾大学教授
医学博士
岡野 栄之
Dr. Hideyuki Okano is highly reputed not only in Japan but around the world as an outstanding researcher
in the most advanced medical R&D. Receiving support from the government, he is vigorously undertaking
various cutting-edge medical projects including regenerative medicine. What is he specifically doing to
tackle very complex diseases that have so far been considered incurable? His challenges are introduced
herein, together with his expectations towards the new laboratory that started operating from July, 2011.
Q: What kind of latest medical R&D projects are you
involved in right now?
Okano: I am currently working on three projects
supported by the government: The first one is a
regenerative medicine realization project promoted by
the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and
Technology (MEXT). In this project, we focus on the iPS
(induced pluripotent stem) cell developed and released
to the world in 2006 by Kyoto University’s Professor
Shinya Yamanaka. We are trying to develop a treatment
method for central nervous system diseases such as
spinal cord injuries using the iPS cell. The world is
eagerly following our research progress, since an iPS cell
can be easily produced from the skin cell of the patient.
The second project is also funded by MEXT. It is a brain
science research promotion strategy-related program,
which pursues to reveal the functions of the brain and
various pathological conditions of neuropsychiatric
disorders. The third program promoted by the Cabinet
Office is called FIRST (Funding Program for World-
76
Leading Innovative R&D on Science and Technology),
and is an application study scrutinizing on mental
issues. Focusing on the relationship of the cerebral
cortex with neurological disorders such as Alzheimer’s
disease, schizophrenia and autism, FIRST tries to define
the pathogenic mechanism to establish effective cure
methods for the neurological disorders mentioned
above.
Q: Which organizations or institutions are you
collaborating with to promote your projects?
Okano: In order to efficiently and holistically conduct
basic research, preclinical studies using animals, through
to clinical tests on human beings, we work closely with
MEXT, the Ministry of Health, Welfare and Labor, as well
as the Cabinet Office from which we receive financial
assistance. At the same time, we also collaborate with
such research institutions as RIKEN and the Central
Institute for Experimental Animals (CIEA). We have held
an especially close relationship with CIEA for over ten
Opening the New Door in Life Science
years, conducting various joint studies including those
utilizing humanized disease models. Together with CIEA,
we also succeeded in producing the world’s first spinal
cord injury model and transgenic primate.
Human
Chimpanzee
Divergence in millions of years
Macaque
Marmoset
Mouse
54
23
research results into products, and collaborate further
with pharmaceutical companies, imaging machine
makers, PET technology, venture companies working
on regenerative medicine, and so on. I very much look
forward to creating an innovative industry-academiagovernment relationship at this newly established
research hub.
Higher brain function through the expanded
cerebral cortex
40
91
Why Marmoset?
1. Marmoset cells can cross-react with
many human hormones and cytokines.
2. Can be handled with comparative ease.
3. High reproductive efficiency.
4. Basic Research tools are available.
5. An Excellent Model for Neuroscience.
How was human Cerebral Cortex
expanded during evolution?
Human
Sophisticated
behavioral
analysis
Modules of Cerebral Cortex
Macaque
Macaque
Marmoset
Marmoset
Rat
Japan's original, world's first!!
Mechanisms of evolutionarily
conserved /distinct brain functions
Mouse
Mouse
Q: Why are primates used in brain science preclinical
tests?
Okano: This is because we must confirm the safety of
new treatment methods and drugs before conducting
clinical tests on human beings. In the process of
preclinical testing, the use of primates that are
biologically and genetically closer to human beings
becomes absolutely necessary. This is especially true
when trying to reveal the pathological conditions of
higher brain dysfunctions and neuropsychiatric disorders,
because the immune systems/functions and the nerve
structure/functions of rats and mice differ greatly from
those of human beings.
Q: A new research foothold was opened in July, 2011,
in the coastal area of Kawasaki City.
Okano: We seek to concentrate further on our R&D
activities in the new location, refine our already
established skills, and focus our efforts towards
developing and establishing medical skills that are
practical and meaningful. We would like to turn our
Rat
Functional
analysis
through Tg
and KO
animals
Before
PFC
NAc
HP
Amy
Hypo
● GABA
DRLC
VTA
● Glutamate
● Dopamine
● Instinct
● Serotonin
Neuronal Circuit
Zebrafish
Future
Q: What about your collaboration with overseas
countries and people?
Okano: We want to actively exchange more opinions
with foreign researchers through international
symposiums, while promoting further joint studies and
medical collaborations with them. The geographical
location of the new lab right across from the Haneda
International Airport also gives this coastal area the
potential of becoming the hub for attracting patients
from around the world with our cutting-edge medical
treatment.
Towards the future, I also hope the research lab will
open up further to the outside world by focusing more
on PR.
77
Special contribution article
Ajinomoto:
Contributing to Global Health
through Amino Acid Research
Kiyoshi Miwa, Ph.D.
Member of the Board & Corporate Senior Vice President
Research & Development
Ajinomoto Co., Inc.
The history of the Ajinomoto Group dates back to
1908, when Dr. Kikunae Ikeda, professor of the Tokyo
Imperial University (current Tokyo University), discovered
that the “umami” taste of kombu seaweed was derived
from glutamate, which is an amino acid. In 1909,
Ajinomoto founder Saburosuke Suzuki started selling
this substance as a umami seasoning, and this was how
Ajinomoto was founded. Since then, the Ajinomoto
Group has continued studying the amino acid until the
present day.
Amino acids are found in a live body, and they form
various proteins. They play numerous different roles
within the body, and much is still unknown. That is the
reason why the Ajinomoto Group has focused on the
academic research of amino acids, trying to define their
nutritional effects and functions played within the body,
and develop their medical use. Consequently, our efforts
extending over a century have led to the development of
a variety of amino acid-related products in the areas of
pharmaceuticals, health food, seasonings, animal feed
and so on.
Generally in a study, researchers follow the orthodox
procedure of measuring the nutritional index of the
amino acid given to a live animal. We, at the Ajinomoto
Group, developed a unique amino acid administering
process: In order to respect the voluntary will of the
rats and mice, we started preparing a variety of water
solutions containing different amino acids, thus allowing
the animals to freely choose the water solution of their
preference.
Quite surprisingly, rats and mice chose the water
solution containing the necessary amino acid, according
to their physical condition of the time. For example, if
they lack lysine, an essential amino acid, they would
choose and drink the lysine-containing water solution
from among the 20 different amino acid-containing
water solutions placed before them. After exercising
on the running wheel, the rats will go straight to the
branched-chain amino acid (BCAA) water solution in
spite of its bitter taste. This is because BCAA is a nutrition
enhancer for the muscles. Furthermore, rats given highfat meals are found to prefer drinking water solutions
containing monosodium glutamate (MSG), the umami
amino acid. Recent studies have discovered that rats
drinking MSG water solutions have a lower obesity level
than fatty food eating rats that are given only pure water
for drinking. Such research results define new nutritional
values in amino acids that open up possibilities in new
drug developments.
On a broader level, the Ajinomoto Group seeks to
be a “global health contribution corporate group”
that contributes to the solution of 21st century issues
through the provision of amino acid-applied solutions
to such global social issues as excessive dietary intake,
malnutrition, eating/feeding problems of the elderly, and
amino acid research-applied drug development.
technology, the Ajinomoto Group seeks to deliver its
original skills and products from Japan to the world
together with a delicious taste, by actively collaborating
with the new research facility of the Central Institute for
Experimental Animals in many diverse ways.
Research conducted at Ajinomoto
The Ajinomoto Group also seeks to provide more of
its technological skills such as the recently launched
Aminoindex® that can detect early-stage cancer by
measuring the amino acid content of the blood. By
applying its findings on the effect of amino acids over
the nutrition level of animals and plants, the Ajinomoto
Group also thinks that there are better ways to secure
food resources.
According to such varied ways of thinking, the
Ajinomoto Group has established its R&D facilities
around the world, with the main foothold being the
facility close to the Kawasaki Coastal Area where over
1,000 research staff continue their studies.
As we have seen so far, the Ajinomoto Group started
from the area of “food” with its umami seasoning and
has advanced into the area of “medicine” through
its research on amino acids. Applying its own in vivo
In Vivo 実験医学のこれから —ライフサイエンスの発展に向けて
本書の制作にあたり、ご協力いただいた方々に深謝申し上げます。(編集者一同)
垣生 園子
順天堂大学 医学部 免疫学 客員教授
公益財団法人 実験動物中央研究所 アドバイザリーコミッティー委員長
御子柴 克彦
独立行政法人 理化学研究所 脳科学総合研究センター シニアチームリーダー
阿部 孝夫
岡野 栄之
三輪 清志
川崎市長
慶應大学教授 味の素株式会社 前取締役専務執行役員 研究開発部
公益財団法人 実験動物中央研究所
高倉 彰
ICLASモニタリングセンター 伊藤 守
実験動物研究部 伊藤 豊志雄
マーモセット研究部
末水 洋志
佐々木 えりか
バイオメディカル研究部 応用発生学研究部
編集者:
制作:
目加田 みちる
中川 武史
阪田 洋子
芦田 博
フリーランスジャーナリスト
公益財団法人 実験動物中央研究所
公益財団法人 実験動物中央研究所
株式会社ディープブルース
発行日:
2011年7月12日
発行:公益財団法人 実験動物中央研究所 住所:〒210-0821川崎市川崎区殿町3丁目25番12号
TEL:044-201-8516 FAX:044-201-8521
E-mail:[email protected] URL:http://www.ciea.or.jp
©2011公益財団法人 実験動物中央研究所
The Future of In Vivo Experimental Medicine
We extend our heartfelt gratitude to all those involved in the production of this publication. (Editors)
Sonoko Habu
Takao Abe
Katsuhiko Mikoshiba
Hideyuki Okano
Kiyoshi Miwa
M.D. & Ph.D., Juntendo University School of Medicine, Department of Immunology
Chair, CIEA Advisory Committee
Mayor, Kawasaki City
M.D. & Ph.D., Team Leader, Laboratory for Developmental Neurobiology,
Brain Science Institute (BSI), RIKEN
M.D. & Ph.D., Professor, Department of Physiology, Keio University School of Medicine
Ph.D., Member of the Board & Corporate Senior Vice President,
Research & Development, Ajinomoto Co., Inc.
Editors:
Creative Director:
Michiru Mekata
Takeshi Nakagawa
Yoko Sakata
Hiroshi Ashida
Issuance Date:
July 12, 2011
Central Institute for Experimental Animals
Akira Takakura
ICLAS Monitoring Center
Mamoru Ito
Laboratory Animal Research Department
Hiroshi Suemizu
Biomedical Research Department
Toshio Itoh
Marmoset Research Department
Erika Sasaki
Department of Applied Developmental Biology
Freelance Journalist
Central Institute for Experimental Animals
Central Institute for Experimental Animals
deepblues inc.
Publisher: Central Institute for Experimental Animals
Address: 3-25-12 Tonomachi, Kawasaki-ku, Kawasaki 210-0821 JAPAN
Phone: +81-44-201-8516
Fax: +81-44-201-8521
E-mail: [email protected]
URL: http://www.ciea.or.jp
©2011 Central Institute for Experimental Animals
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