小笠原諸島父島および母島における外来アリ類の生息実態の解明 ∼外来アリ類の防除、分布拡大阻止を目指して∼ 【企画提案者】 首都大学東京・理工学研究科 江口 克之、可知 直毅、加藤 英寿 【提案局・分野】 環境局 , 産業労働局 農林水産部、福祉保健局 環境・衛生、東京都病害虫防除所、東京都港湾局 小笠原諸島父島列島及び母島列島はツヤオオズアリなどの侵略的外来 アリ類の分布拡大に直面している。在来の地表性小型無脊椎動物の強 力な捕食者、競争者となる一方、アブラムシやカイガラムシと親密な 共生関係を結ぶことにより、植物群集の構造や農作物の生産に大きな 影響を及ぼす可能性がある。 本研究の目的 ① 外来アリ類の分布、生活史情報の収集。 ② 生態ニッチモデリングを用いた外来アリ類の環境嗜好性、潜在的生 息適性地の推定、分布拡大の様式や経路の推定。 ③ 小笠原航路上でのアリ類の移動の実態把握 【調査地図の作製】 62.5m×62.5m メッシュに分け、メッシュ に土地被覆属性、道路属性を与える。 【分布調査】 調査対象メッシュを選定する。 単位時間採集法を用いて、メッ シュごとにアリ類各種の在・不 在を記録する。 【生態ニッチモデリング】 アリ類各種の在不在データと環境要 素のデータを重ねあわせることで、 環境嗜好性や生息適性地を推定する。 土壌水分量 ➡ ➡ 植被率 気温 種Aの生息適性地 種Bの生息適性地 今後の展望・期待される効果等 外来種の環境嗜好性、潜在的生息適性地を推定する。 分布拡大の様式や経路の推定。 ➡ 人間の暮らしへの影響(農業、公衆衛生)の予測。 在来生物相への影響の予測。 ➡ 監視、防除・拡散阻止の優先度の評価、駆虫法の確立。 分布拡大の様式や、生態系攪乱の様式、程度、駆虫法への反応性 応性 に関しては、地理的変異がしばしば見られるので、対策を行なう なう 地域での実態把握が不可欠である。 小笠原航路上でのアリ類の移動の実態把握 アカカミアリ有翅生殖中の小笠原諸島父及び日本本土への侵入未遂例 (山本・細石、2010) 2009 年6月 16、17 日に小笠原諸島父島から港区の竹芝埠頭へ航行す る「おがさわら丸 」甲板上で、アカカミアリ(特定外来生物)の有翅 女王が採集された。一部の女王は生存しており、交尾をしていた。
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