画像解析によるコバルト・リッチ・クラスト採鉱時の 基盤岩混入率推定

画像解析によるコバルト・リッチ・クラスト採鉱時の
基盤岩混入率推定手法の構築
大阪府立大学大学院
海洋システム工学分野
山崎研究室
研究背景
コバルトリッチクラストとは…
深海底に眠る鉱物資源の一種。わずか10cmほどの厚さで海底の岩盤上
に薄膜状に固着するFe・Mn酸化物である。成長速度は100万年にわずか数mm~数cmといわれている1)。その成分には、
Co,Cu,Ni,やPt,レアアース類も含有しており、日本のEEZ(排他的経済水域)内にも多く賦存が確認されているため、将来の
金属供給源のひとつとして、他の深海底資源とともに開発に向けての探査、研究が進められている。
1) Usui, A, and Someya, M (1997). “Distribution and Composition of Marine Hydrogenetic and Hydrothermal Manganese Deposits in the Northwest Pacific,” in Nicholson, K
et al. eds, Manganese Mineralization: Geochemistry and Mineralogy of Terrestrial and Marine Deposits, Geol Soc London Spec Publ, pp 177-198.
コ バルト リ ッ チク ラ ス ト
深海底の岩盤表面で10cm厚の薄膜状に固着
採鉱時における鉱物層下の岩盤層(基盤岩)の混入
Crust
不要成分の増加による開発システム全体の効率悪化
Cutout depth
10cm
開発システムの効率化において基盤岩混入率の制御が必要!!
Rocks
研究目的
鉱石の輝度値差から基盤岩の混入率を推定する画像解析手法を構築
掘削直後の鉱石を上記手法により解析し、基盤岩混入率を一定に保つ制御システムの提案
1. 掘削制御の効果推定
採鉱機モデル2)による掘削シュミレーションを行い、制御の有無による回収効果を簡易推定した
微地形パターン
機体横図 - 画像取得位置
解析・制御フロー
シミュレーション結果
切り出し深さ設定・掘削
解析
装置
掘削ローラ デジタルカメラ
1秒ごとに画像取得
基盤岩混入率を推定
鉱区の計算範囲の設定
掘削ローラ
X
Y
ビット
875cm
Z
miner
100cm
100cm 切り出し
深さ 500cm
mine area
基盤岩混入率
15% over
基盤岩混入率
15% under
切り出し深さ
切り出し深さ
2cm 減
1cm 増
切り出し深さの制御システムを構築できれば、
クラスト厚にかかわらず、安定した採鉱量、基盤岩混入率を保つことが可能
切り出し深さ再設定
2)DOMA (1995)
(1995). Research Report on Mining System for Cobalt-Rich Manganese Crusts,
Crusts Deep Ocean Minerals Association
Association, Tokyo
Tokyo, 92p (in Japanese
Japanese, unpublished).
unpublished)
2. クラストと基盤岩の輝度差による判別
画像解析手法構築のための予備実験としてクラストと基盤岩の輝度値差を調べた
[double]
クラスト・基盤岩のサンプル
[crust]
[rock]
各画像の輝度値の分布
左図中の輝度値「0~160」区間
(p ix e l 数)
(p ixe l 数)
3500
400
3000
[blank]
2500
2000
350
c ru s t
300
ro c k
250
ro c k
d o u b le
200
d o u b le
1500
今後の研究方針
c ru s t
150
1000
クラストと基盤岩が、それぞれ別の輝度値をもつことが確認できた
エッジ抽出等を組み合わせ、画像内のクラスト面積、基盤岩面積を求め、
基盤岩混入率の推定ができる画像解析手法を構築する
b la n k
b la n k
100
(輝度値)
50
500
(輝度値)
0
0
50
100
150
200
250
0
0
30
60
90
120
150
クラスト破砕実験を行い、画像解析手法の構築に必要と思われるデータ・画像を取得する
クラストの破砕後の形状
鉱石の厚みによる結果のばらつき
堆積物 よる遮断
堆積物による遮断
粉塵の飛散
点光源・面光源
地形の凹凸による鉱石と光源の距離
エッジ抽出
【問い合わせ先】
Vermeer T1255TL
コアラーによるクラスト回収の様子
大阪府立大学大学院 工学研究科 航空宇宙海洋系専攻 海洋システム工学分野
山崎哲生,中谷直樹,新井励
E-mail : [email protected]