語句の説明 ●1.地上デジタル放送 一般に見ている民放・NHKのテレビ放送のこと。 BS・CS放送は、宇宙に浮かぶ人工衛星から電波を出しているが、地上放送は住まいの地域の近く にある放送用鉄塔から、電波を出している。 BS放送やCS放送と区別するため、「地上」とつけて呼んでいる。 【特徴】 ・ハイビジョンやCD並の高音質になり、これまで画面が二重に映ったりしていた地域では、雑 音の少ない美しい映像でテレビを楽しむことができる。 ・身近な情報や暮らしに役立つ情報など、これまでの放送サービスと比べて、きめ細かな情報を 見ることができる。 ・字幕解説番組の充実や聞き取りにくい音声の速度変換、見たい番組を容易に検索できるなど、 人に優しい放送サービスの充実が図られる。 ・車やバス等の移動受信でも安定してテレビを見ることができるほか、携帯端末(携帯電話、カ ーナビ等)を利用した新しい放送サービスや、インターネットや電話回線と接続することによ って双方向サービスも可能となり、クイズに答えたり、懸賞に応募するなどのテレビの新しい 使い方が広がる。 ●2.BSデジタル放送(Broadcast Satellite) BSは放送衛星。BSデジタル放送は放送衛星を経由して電波を送っている。高精細度画質の放 送が主体である。 ●3.CSデジタル放送(Communication Satellite) 通信衛星を利用したデジタル放送のこと。スカイパーフェクトTVなどが、このCSを使ってい る放送。標準画質で数百の専門チャンネルの放送。現在主力となっている放送形式であり、衛星の 位置・種類ごとにいくつかのプラットホームに分かれている。 基本的に規格上はBSデジタルなどに近い仕組みなので、信号切り替えによるステレオ二ヶ国語放 送など、アナログ放送では不可能なものも提供可能になっている。2005年現在は、ごく一部のチャン ネルを除きアナログ放送並みのサービスしか提供していない放送チャンネルがほとんど。 ●4.受信設備 受信設備とは、衛星からの電波やVHF・UHFの地上波をアンテナで受信する設備のこと。 良好な電波を受信して、各家庭まで送る。 ケーブルテレビでの受信点は多くの場合、社屋の屋 上や敷地内に設置することが多い。 ●5.STB(Set Top Box) テレビに接続して様々なサービスを受けられるようにする機器で、テレビの上に置いておくこと が多いことからこう呼ばれています。ケーブルテレビ網に接続して番組を受信するものや、電話回 線に接続してインターネット接続や通信カラオケを提供するものなど、様々な種類があります。 3 − 45 ●6.ステータスモニター(STM) ケーブルテレビシステムにおいて、良質なテレビ映像を見るためには、伝送線路の中継増幅器の 状態を常に最良に保つための伝送路監視設備である。 ●7.ホームターミナル(HT) ケーブルテレビのテレビ映像を見るために加入者宅に設置される設備。 ●8.FTTH(Fiber To The Home) 光ケーブルを一般個人宅へ直接引き込む、光通信の網構成方式である。 ●9.パススルー 放送局から受信した周波数や変調方式を変更しないで送信する同一周波数パススルー方式と伝送 可能な周波数帯域に変更して送信する周波数変換パススルー方式がある。 周波数変換パススルー方式を視聴する場合は、チューナーの受信帯域が拡張されている必要があ る。 * 同一周波数パススルー方式(周波数:UHF、変調方式:OFDM) 放送局から受信した電波の周波数や変調方式を変更しないで送信している。 * 周波数変換パススルー方式(周波数:MID,SHB、変調方式:OFDM) 放送局から受信した電波を伝送可能な周波数帯域に変更して送信している。マニュアル受信 チャンネル設定が必要な場合がある。 ●10.ヘッドエンド設備 ヘッドエンド設備とは、受信設備で受信したさまざまな電波を1本のケーブルにまとめて各家庭 へ送り出すシステムである。 受信した電波は必要に応じて、スクランブルの解除や周波数の変更を行う。 受信した電波をそ のまま各家庭へ送り出すことも可能だが、その場合多くの周波数帯が未使用部分となり効率が悪く なる。 そのためケーブルテレビでは受信した電波を効率よく使用するために電波の周波数を変え て送り出している。 これを変調という。 この変調により、使用する周波数帯域が規則的に並べ られ無駄なく運ばれる。 変調された電波には、スクランブルがかけられる。 契約者以外の人が 無断で電波を使用できないように、暗号を入れる。 暗号を入れた電波は暗号を解く機械がないと テレビでは見られないようになっている。 この暗号を解く機械はホームターミナルといって、各 家庭のテレビに設置する。 こうして整えられた電波は市内に張り巡らされたケーブルテレビの幹 線ケーブルを通って、各家庭へ送られる。 ●11.HFC(Hibrid Fiber Coaxial) 光/同軸ハイブリッド方式といい、CATV網のネットワーク構成の一つで、光ファイバ と同軸のケーブルを組み合わせたもの。伝送は幹線系のみとし、分配系は同軸網で構成する。 3 − 46 ●12.SD放送とHD放送 デジタル放送の画質による区分のこと。SD(Standard Definition)放送は標準放送(SDTV)と 呼ばれるのに対し、HD(High Definition)放送はデジタルハイビジョン放送(HDTV)、あるいは ハイビジョン放送と呼ばれている。 画質の美しさを決める走査線数は、SD放送が525本、 HD放送が1,125本。 また、画面の縦横比率を示すアスペクト比は、SD放送が4対3中心 (16対9の商品が存在する)であるのに対し、HD放送では16対9が標準である。 現在はデジタル 放送への移行期であるため、SD画質の番組を擬似的にHD放送で放送しているテレビ局もある。 ●13. トランスモジュレーション 地上デジタル放送をケーブルテレビで配信する際の方式の 1 つで、地上デジタル放送で放送され ている映像・音声・データといった放送波をケーブルテレビで配信する際に、OFDMによる変調 方式から64QAMに変調方式を変えて伝送する方式。 利用者は、BSデジタル放送やCSデジ タル放送、ペイパービュー(PPV)などのさまざまなサービスを、1 台のセットトップボックスで受 信できる。 (周波数:MID,SHB,UHF、変調方式:64QAM) 帯域名 VHF(L) MID VHF(H) SHB UHF 帯域 90∼108MHz 108∼170MHz 170∼222MHz 222∼470MHz 470∼770MHz チャンネル 1∼ 3 ch C13∼ 3 ch 4∼12 ch C23∼C63 ch 13∼62 ch 数 3ch 10ch 9ch 41ch 50ch ●14. ONU(Optical Network Unit) 光ファイバー加入者通信網において、パソコンなどの端末機器をネットワークに接続するための 装置。 V−ONUは映像用、D−ONUはデータ用。 ●15. VOD(Video on Demand) 見たいときに見たいビデオを見ることができるサービスのことです。 光ファイバーの普及により、 家庭向けのVODサービスも複数登場しています。提供されているビデオは、映画をはじめ過去のテレ ビ番組やカラオケなど多彩です。 ●16. データ放送 データ放送とは電波の隙間で行われる補完放送のこと。 番組内容に即した運動型と、番組内容 とは関係なく、ニュースや天気予報などを放送する非連動型がある。 リモコンの「データ」ボタ ンを押せばすぐに表示される。 さらに一部のテレビ局では、データ放送と自社のウェブサイトを 連動させることにより、より詳しい情報を提供するサービスを行っている。 ●17. セグメント 地上デジタル放送では、1つの放送局に割り当てられた5.6Mhzの周波数帯域を13分割して利用し ている。 その分割された周波数帯域の単位を「セグメント」といい、通常、HD放送は12セグメ 3 − 47 ントを使って放送する。一方、SD放送では4セグメントで足りるので、最大3番組の同時放送が可 能である。 2006年4月から行われる「ワンセグ」は余った1セグメント分を利用している。 ●18. 64QAM デジタル変調方式の1つ。 多値直交振幅変調方式である16QAMからさらに伝送効率を高め、1シ ンボルで6bitの情報を伝送可能にした変調方式。 ケーブルモデムのダウンストリーム用の変調方 式として採用されている。 ●幹線系設備 幹線設備にはいくつかの方式がある。 幹線は太い同軸ケーブルや光ケーブルが使用されている。各家庭まで数キロの距離を伝送するた め、できるだけロスの少ない状態で伝送するためである。しかし同軸ケーブルは光ケーブルに比べ 電波のロスが大きくなる。そこで幹線の途中に増幅器を取り付け電波を増幅している。 ●宅内設備 宅内設備はケーブルテレビを引き込んだ各家庭が設置する設備である。 宅内にケーブルを引込際には、保安器という雷の異常電流を防ぐ機器を取り付ける。 宅内に設置するブースター・分配器は20MHz∼770MHzの周波数帯が通過するものを使用する。 ミッドバンド帯がカットされているVHF・UHF専用のものは使用できない。 ●OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing) 直交波周波数分割多重方式のこと。 OFDMとは、無線LANや地上波デジタル放送などで使われるデジタル変調方式の一つである。 地上波デジタル放送、5.2GHz帯を使うIEEE 802.11a や2.4GHz帯を使うIEEE 802.11gなどの無線 LAN、電力線モデムなどの伝送方式に採用されている。 ●D端子 デジタルチューナーやDVD/HDDレコーダーなどの映像出力を、テレビに接続するための映 像端子で、日本では最も普及している。 表示可能な映像フォーマットによってD1∼D5までの 性能区分があり、現行のDVD再生ではD2以上、ハイビジョン放送ではD3以上であれば性能的 な過不足はないとされる。 ちなみに「D」端子といっても、実際はアナログ接続です。D端子の「D」はDigitalの頭文字で はなく、端子の形が「D」に似ていることからそう名付けられました。 ●EPG(Electronic Program Guide) 電子番組表のこと。データ放送の一種で、電波の隙間を使って放送されている。リモコンの「番 組表」ボタンで表示される。EPGでは、現在から1週間先の放送番組のスケジュールや、簡単な番組 内容を表示できるほか、ジャンル検索や日時検索、視聴予約、録画予約なども行える。 3 − 48 ●サイマル放送 1つの放送局が複数のチャンネルや放送方式で同じ時間に同じ番組を放送することをいう。 キー局が流す番組を地方局が同時間帯に放送することはネット放送と呼ばれ、サイマル放送とは 区別して考えられている。 NHKが2局のBSやBSハイビジョン、第一および第二で同じ時間帯に同じ 番組を放送することがよい例だ。 2011年のアナログ放送の全面停止まで、地上波の放送局はデジ タル放送とアナログ放送の両方で同じ番組を同時に放送するサイマル放送が義務付けられている。 ●DOCSIS(Data Over Cable Service Interface Specifications ) ケーブルテレビのネットワークを利用してデータ通信を行うための技術仕様の業界標準。 ●GE-PON(Gigabit Ethernet-Passive Optical Network) 光ファイバーを用いた公衆回線網で1Gbpsの通信速度を実現する技術。 光ファイバーによる インターネット接続サービス(FTTH)の通信速度を大幅に向上させる技術として注目されている。 GE-PONの導入により、双方向1Gbpsのサービス提供が可能となる。 3 − 49
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