220万'V{,?/田の追加減産で合意 累計減産量は420万'vl',I/田で過去最大 -第151回OP EC臨時総会- opECは12月17日,アルジェリアのオランで第151回臨時総会を開催し, 1月1日 から220万JJTL/日の追加減産を実施することで合意した。 減産は昨年9月実生産量の2,905万'L{,-J日を基準としており, 1月からのOPEC (イ ラクを除いた11カ国合計)の新目標生産量は2,485万IJJ-L/日となるo wT lが夏場のピーク1471㍍/JJ,-hら足下40JJ,-JJJ,-^と100lu{'7以上急落するなかで,市 場が予想した200万JJ,-J日を超える大幅追加減産で合意することにより市況下落に歯止 めをかけようというものだ。 op ECは昨年9月に50万JL{元/日(実質減産), 11月1日からは更に150万'L{Th/日の減 産を決めており,今総会での220万JJ瓦/日の追加減産を加えた累計減産量は420万'J'-b/El と過去最大級。これまで消費国に配慮して減産に対して消極的だったサウジが「原油価 格の適正水準は75lL{,-b/JL'元」と,市況急落に対する強い危機感をあらわにするとともに, 今総会では減産に積極的な姿勢を示し,非op EC産油国のロシアなどにも協調減産を とりつけた。 しかしながら,今回の合意を受けたWT I (NYMEX)は4年6カ月ぶりに40'J'-Vを 割り込んだ。 OPECの大幅減産は織り込み済みとされ,世界経済の減速に伴う原油需 要の減退懸念は強まるばがノのようだ。 (12月22日記) に当たり,その伸びを大幅下方修正していくにつ wT 1 147ドルから40㌦へ急落 れて下落していった。 2008年の世界の石油需要を ピークから100ドルの下げ 1983年以来25年ぶりにマイナスになると見込んだ ことが大きく影響したのに加えて,ユーロ圏や日 wT Iは昨年夏場の147ドル/JJ右をピークに下落 本のGDP実質成長率の2期連続マイナス,米国 を続け, 12月入り後は今OPE′C臨時給会開催前 新規失業保険申請件数の26年ぶりの高水準,米国 まで40ドル/JJ'芯台前半での推移となった(表参照)0 11月雇用統計の失業率・雇用者数の大幅悪化, N 10月24日の前稔会で150万JL'L/日の減産を決め BER (全米経済研究所)による「米国は2007年 たにもかかわらず市況は下げ止まらず, 11月4日 12月から景気後退入りした」宣言など,景気先行 まで70ドル/'L,{右をキープしていたWT Iは, 11月11 き懸念によるエネルギー需要の減退観測が市況を 日に60ドル/JJ誌を割り込むと,わずか10日後の同20 一気に急落させた。 また, OPECが11月29日にカイロで開いた緊 日には50ドル/'完を割り込んだ。 この間の原油市況の急落は,世界的な経済悪化 急会合で追加減産を見送ったこと,そして,目標 に伴う原油需要の減退観測が強まったことによる 生産量2.730万㍍/日を上回るヤミ増産を行ってい もの。 IEA, EIA, OPECといった各専門 ることも下落に拍車をかけた。市場は需要の下方 機閑が,世界の石油需要の実績,予測を発表する 修正が続いたことともあり,供給過剰感を急速に -32- 旬刊セ キ ツ ウ 2009. 1.10 強めた。 原油市況の推移 (単位・ドル/㍍) そのような状況下,開かれることになった今臨 ドバイ バスケット 時総会は減産についてのコンセンサスが早くから 1月平均 92.93 86.92 88.35 得られていた。 2月平均 95.35 89.83 90.64 3月平均 105.42 96.81 99.03 4月平均 112.46 1 03.24 1 05.1 6 5月平均 125.46 119.78 119.39 11月29日,カイロで開かれた緊急会合後のOP EC首脳の発言をみてもそれは明らか。 カイロでの緊急会合後,アブドラ・サウジ国王 6月平均 134.02 1 27.59 1 28.33 が「原油価格の適正水準は75㌦/JJ芯である」と異 7月平均 133.49 131.30 131.22 例の発言を行ったのをはじめ, 「原油市場は200万 8月平均 116.72 113.32 112.41 ㍍/日の供給過剰である」 (ノザリ・イラン石油 9月平均 103.76 96.80 96.85 1 0月平均 76.72 68.87 69.1 6 11月平均 57.44 50.1 2 49.76 12月1日 49.28 48.35 4526 「供給過剰を是正し,需給バランスを均衡させる 2 46.96 42.35 4 1.60 ため, OPECは一段の大幅減産を決定する必要 3 46.79 42.65 40.75 がある」 (ヘリルOPEC議長, 12月11日), 「原 4 43.67 40.55 39.56 油価格は100ドル/'蒜以上であるべき。 150-200万 5 40.81 39. 1 5 36.67 ㍍/日の追加減産を次回絵会で提案する」 (ノザ 8 43.71 38.45 3 7.54 9 42.07 39.75 38. 1 9 1 0 43.52 39.05 3 7,94 相, 12月1日), 「産油国の国内事情を考慮すると, 少なくとも70-80ドル/'完の原油価格水準が必要で ある」 (アルバドリOPEC事務局長, 12月3日), 1) ・イラン石油相, 12月14日), 「市場の1億㍍の 供給過剰対策として,次期総会では大幅減産が必 ⊥11 47.98 40.25 40.12 要となる」 (アルバドリOPEC事務局長)とい 12 46.28 42.95 41.32 った発言に明らかなように, 40ドル/Jv{=前半で低迷 15 44.51 45.35 42.53 するWT Iに対してこれ以上の下落を恐れるOP 16 43.60 43.05 40.74 ECの危機感は日ごとに強まっていった。 1 7 40.06 44.45 40.95 18 36.22 41.35 39.48 1 9 33.87 40.75 37.72 1 2月平均 43.29 41.90 40.04 なかでも,これまで消費国,特に米国に対する 配慮から,価格下落や減産に対する態度を保留し てきたサウジが初めて「原油の適正価格は75ドル/ Jv'=J と言及したことの意味は大きい。 OPECの wTIはNYMEX,ドバイは東京。 12月平均は19日まで。 価格急落に対する危機感の強い表れと受けとれ る.更にサウジは,総会開催直前に200万'V',-V/日 JL{,I/日のサプライズ合意となったばかりでなく, の減産の可能性を示唆しており,市場の注目は減 今総会にオブザーバーとして出席していたロシ 産幅がどの程度に設定されるのかにあった。 ア,アゼルバイジャンの協調減産をとりつけるこ 結局, 「1月からは2008年9月実績の2.905万 とにも成功している。ロシアは11月の35万㍍/日 ㍍/日(イラクを除いた11カ国合計)を基準とし, の輸出削減に加え, 1月から更に32万㍍/日カッ そこから420万Jv{TL/日削減した2.485万Jv',I/日を1 トする方針を明らかにしたほか,アゼルバイジャ 月からの新目標生産量とする」 (コミュニケ)こ ンが30万Jv'XL/日の減産を表明している。 とで各国が合意,結果的には9月の50万㍍/日, 大幅追加減産と非OPECとの協調減産。原油 10月の150万JJ芯/日の減産に220万㍍/日を加えた 市況の急落に強い危機感を抱くOPECにしてみ 減産を行うという形での合意となった。数字の上 ればやれるだけのことはやったということもいえ ではサウジが主張した200万㍍/日を超える220万 るのだが,市況の反応はOPECが求めるものと 2009. 1.10 旬刊セ キ ツ ウ -33- ドル/'蒜,Lでひけたo翌18日, WT Iは4ドル近く続落 は違った。 し36.22ドル/'蒜となり,終値でも40ドル/'蒜の大台を w T I 40ドル/I.,i,->割れ 割り込んだ。 OPECの大幅減産は織り込み済み 市場はO P E Cの減産順守に懐疑的 とされ,世界経済の減速に伴う原油需要の減退懸 念が売りにつながっているもので, 2004年6月29 今総会の合意を受けて天坊昭彦石油連盟会長 日以来4年半ぶりの安値となっている。結果的に (出光興産社長)は「今回の決議は, 10月の臨時 はOPECの合意は何のきき目もなかったことに 総会での150万㍍/日減産に続く緊急対応で,実 なる 質的に事前予想の200万㍍/日を超える減産幅は OPECが大幅減産を決めても実行が伴わなけ 金融危機の実体経済への波及と先進国を中心とし れば効果はない。減産の基準を昨年9月実績とし, た深刻な石油需要減退を受けた原油価格続落に対 われわれはきちんと減産を行いますよと宣言した するOPECの強い危機感を示すもの」とした上 つもりのOPECだが, 220万㍍/日の追加減産 で,原油価格の見通しについては「今回の大型減 を口でいっても実行に移さなくては,市況は下げ 産により一定の価格下支え効果はあると思うが, 止まらないし,反騰するわけでもない。 11月時点 石油需要が減退傾向を継続していること,また減 でのOP ECの減産順守率は50-60%にしか過ぎ 産履行が確認されるまでには時間がかかることか ないとの見方もある。口先ばかりの減産合意で, ら,世界経済情勢と石油需要動向,産油国の実際 果たして220万㍍/日の追加減産を順守できるの の生産動向を巡り,原油価格は短期的には依然不 かどうか。市場の注目は減産を実行できるかどう 安定な状態を継続するものと考えられる」とのコ かに集まっているが,結果がわかるのは1カ月, メントを発表。また,渡文明新日石会長は「今回 2カ月先のこととなる。また,今回,非OPEC の減産合意は,世界経済の減速を背景に石油需要 との協調減産をとりつけたことについてはそれな の伸びが鈍化するなかで,需給の適正化,ひいて りの評価をする向きもあるが,減産についてはO は中長期的な価格安定化に資するものと考えられ PEC内でも一枚岩でないのに,非OPECと減 る」と評価した上で, 「原油価格は7月をピーク 産で歩調を合わせることができるのだろうか。一 に下落に転じ,現在は40㌦,/'蒜台で一進一退の状 歩間違えれば非OPECにシェアを奪われかねな 況にある。一時期の狂勝ともいうべき事態が沈静 いことになる。 化したことは,世界経済にとって歓迎すべきこと I EAは最新(12月号)の市場報告で, 2008年 だが,油価の過度な下落は新規石油開発投資を停 の世界の石油需要の伸びを前回の報告から33万 滞させ,原油の供給力不足を招くおそれがあり, 7㍍/日下方修し, 8.584万㍍/日,前年比20万'蒜/ 将来的な抽価高騰の遠因ともなりかねない」と指 日(0.2%)のマイナスと見込んだ。下方修正は毎 捕, 「極端な価格上昇は回避すべきであるが,本 度のことだが, 2008年の需要がマイナスになるの 来原油価格は需給ファンダメンタルズに基づき, は今回の市場報告が初めてで,実に1983年以来25 消費国と産油国双方にとって受け入れられるレベ 年ぶりとなる。 IEAでは, 2009年については同 ルで形成されるべきであり,引き続きOPECに 44万㍍/日(0.5%)増の8,628万'V{忘/日とプラス は価格安定に向けた主導的な役割を期待したい」 を見込んでいるが,これは世界経済の減速を考え と語っている。両氏とも,大幅追加減産に対して 一定の評価をしながらも,天坊氏は減産履行が市 ればかなり甘い見通しといえる。 E IAでは世界 況の鍵を振るとの見方だ。 ㍍/日, 2009年を45万'蒜/日減の8,530万'V{芯/日と の石油需要を, 2008年を5万'Ll'芯/日減の8,575万 今回の合意を受けた17日のWT I (NYMEX) 2年連続のマイナスと見込んでいる。 I EAが次 は一時40ドルを割り込み,終億は3.54ドル下げの40.06 の市場報告で2009年の需要をマイナスへと下方修 -34- 旬刊セ キ ツ ウ 2009. 1.10 正する可能性も否定できない。需要の落ち込み方 違いなく中長期的に十分なエネルギー供給を確保 如何では今回の大幅追加減産合意はそれが履行を するために必要な投資がリスクに晒される水準に 伴ったものになったとしても市場へ与える影響は まで下落することに注視した。 限定的なものになってしまうかもしれない。 なお,総会後発表されたコミュニケは次のとお 上記の見解を踏まえ,総会は, 2009年1月1日 より, 2008年9月のOPECllの実生産量である 日量2,904,5万㍍からEl量420万Jv{右削減することで り。 合意し,加盟国は,生産量に関し,個々に合意し 第151回OP EC臨時総会コミュニケ オラン,アルジェリア 2008年12月17日 た量の削減を遵守するという確固とした決意を強 調した。 上記の決定を決議するに当たり,代表団は,潤 費国に対する経済的かつ継続的な原油の供給,更 石油輸出国機構(OPEC)の第151回(臨時) には,市場の安定とOPECの目的である公平か 総会は,総会議長のアルジェリアエネルギー鉱業 つ合意的な原油価格水準一将来的な健全な市場と 大臣で同国代表団長のシャキブ・ヘリル博士閣下 産油国と消費国双方の利益となる-を維持すると 及び稔会議長代行のアンゴラの石油大臣で同国代 いう,確固とした決意を改めて強調した。この点 表団長のホセ・マリア・ボデルホ・デ・ヴァスコ を踏まえ,総会は非OPEC産油/輸出諸国に対 ンセロス技師閣下のもと, 2008年12月17日に,ア しても,石油市場の安定のため機構へ協力するよ ルジェリアのオランで開催された。 う改めて要請する。 総会は,オブザーバーとして総会に参加した, 総会は,次回の定例総会を, 2009年3月15日の アゼルバイジャン共和国産業エネルギー大臣,オ 日曜日-ウィーンのホ-フブルク宮殿で2009年3 マーン国石油・ガス大臣,ロシア連邦副首相及び 月18, 19日に開催するOPEC国際セミナーの少 シリア・アラブ共和国石油・鉱物大臣の出席を歓 し前一に開催することを確認した。 総会は2009年における機構の予算を承認した。 迎した。 総会は,事務局長の石油市場動向報告とともに, 絵会は,アルジェリア民主人民共和国の大統領 閣僚監視小委員会-総会は,そのメンバーが機構 であるアブデラズイズ・ブ-テフリカ殿下,並び のために為してきた倦むことのない努力について にアルジェリア政府と人民に対し,総会の開催と 改めて謝意を示した-の報告について検討を行っ 総会及びすべての代表に向けられた友好的な歓迎 た。 に関して,心からの感謝を示した。加えて,総会 絵会は, 2009年一特に, 2009年第1 ・ 2四半期 は,アルジェリアのエネルギー鉱業大臣のシャキ 一における全体の需給予測を含む石油市場の見通 プ・ヘリル博士閣下及びそのスタッフに対して, しを分析し,市場に対する原油の供給量が実需を 総会に対する温かい歓待と卓越した準備に特別の 十分に上回る水準で維持されるとの認識に至っ 謝意を表明した。 た。これは, OECD諸国の原油在庫が過去5年 総会は,また, 2008年の絵会議長であるシャキ 平均を大きく上回り,今後もその増加傾向の継続 プ・ヘリル博士閣下に,その卓越した指導力に対 が見込まれているという事実により明確に証明さ して謝意を表明するとともに, 2009年の稔会議長 れている。更に,未曽有の景気低迷の影響により, として,ボデルホ・デ・ヴァスコンセロス技師閣 需要の著しい減退がもたらされており,結果とし 下が迎えられた。 て,前例のない価格下落圧力として, 2008年7月 初旬以来90ドル/Jv'芯以上の下落をもたらしている。 総会は,加盟国による批准の後, 2009年1月17 日に公表される予定の決議を承認した。 そして総会は,もしこのままであれば,価格は間 2009. 1.10 旬刊セ キ ツ ウ -35-
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