一般演題 2 大ホール 15:45 ∼ 17:00 座長 演題 6 日本医科大学多摩永山病院循環器内科 産業医科大学 循環器内科 井川 修 荻ノ沢泰司 至適心房 Pacing Site の検討 −心房間伝導時間の観点から− 東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科 ○伊藤 尚志、野呂 眞人、榎本 善成、久次米真吾、森山 明義、酒井 毅、熊谷 賢太、 坂田 隆夫、杉 薫 【背景】一般に手技の簡便性等の理由から、心房にリードを留置する場合右心耳 pacing が広く行われ ている。しかし、心房内伝導遅延があると心房細動(Af)が発生しやすくなり、さらに心房筋のリモ デリングによる不応期の不一致が生じ Af が維持されやすくなるため、これらを是正する目的で右心 耳以外を pacing するという概念が生じた。現在までに右房内 2 点 pacing、右房と冠静脈洞(Cs)から 同時に pacing を行う両心房 pacing、心房間伝導路である Bachmann 束を直接 pacing する Bachmann 束 pacing、低位心房中隔 pacing など様々な方法が示されているが、いずれの pacing site 及び pacing 方法が より生理的であるかは未だ明らかとなっていない。両心房間の伝導時間がより短い部位が、心房興奮 の観点からより生理的な心房 pacing site である可能性がある。 【目的】右心房の様々な部位から pacing した際に、右心房内のどの部位が左心房までの興奮伝播時間(心 房間興奮時間)が短いかを検討した。 【方法および対象】上室性頻拍症のためカテーテルアブレーションを施行した 5 例で、高位右房 (Bachmann 束)から pacing した際の Cs 遠位部(左房)までの伝導時間 Cs 入口部から pacing した際 の Cs 遠位部(左房)までの伝導時間 卵円孔から pacing した際の Cs 遠位部(左房)までの伝導時間 を比較検討した。 【結果】それぞれの Pacing 部位での心房間伝導時間を比較検討した結果、Cs 入口部からの pacing が、 今回行った pacing site の中で最も心房間伝導時間が短かった。 【考案】今回の検討では、Af 発生率等までは検討していないが、心房間の興奮伝導時間からの観点か らは、Cs 入口部からの pacing が心房 pacing の中で最も生理的である可能性が示唆された。 − 18 − 一般演題 2 大ホール 15:45 ∼ 17:00 演題 7 心室頻拍と心不全のコントロールに難渋した Glenn 術後の単心室症例に CRT-D が奏功した一例 榊原記念病院 ○矢川真弓子、井上 完起、山下 光美、谷崎 剛平、梅村 純 症例は 39 歳男性。出生時に右胸心、右室性単心室、完全大血管転位症、肺動脈弁狭窄症を指摘され ていた。1982 年に他院で BT shunt 手術をうけるもその後の侵襲的治療は困難と判断され保存的に経過 を見られていた。2006 年に当院を受診し、同年 Glenn 手術、房室弁置換、完全房室ブロックに対してペー スメーカー(DDD)植え込術を施行された。術後、慢性心不全及び心室頻拍(VT)と心房頻拍(AT) の頻発に対してβ遮断薬、Amiodalone、Sotalol を導入したが、その後も心不全や不整脈のコントロー ルに難渋し繰り返し入院加療していた。RV pacing dependent で dyssynchrony であったため 2010 年 3 月 に CRT-D への upgrade を施行した。Glenn 手術後の症例で、経静脈的アプローチが不可であったため右 側開胸術で、左室リードを以前に留置した心室リードの対側の左室側の心室に縫着、経静脈用のショッ クリードを皮下に留置し、左腹部に CRT-D を植え込みした。重症心不全症例であり心外膜パッチ留置 による拡張障害を危惧して、経静脈用のショックリード皮下留置を選択した。CRT-D 植え込み術後、 心不全コントロールは良好となったが、不整脈に関しては slow VT と AT の rate がいずれも 110bpm 程 度で近似しており、VT detection zone の設定に苦慮した。また AT に VT を伴う dual tachycardia も頻発 していたが、zone の微調整及び AT に関しては APP/ARS 及び AT/AF burst を活用し、VT は rate が遅く 血行動態安定していることもあり、VT に関しては Burst/Ramp の回数を増やすことで shock 作動を減 らし停止し得るようになった。その後も 90 〜 100bpm のより遅い slow VT も document されたが、血 行動態は安定しており、遠隔モニタリングシステムの臨時送信を活用することで早期に対応すること ができた。今回我々は、コントロール困難な心不全、VT、AT を持つ Glenn 術後の右室性単心室症例 に CRT-D 導入を行うことで良好なコントロールができるようになった一例を経験しため報告する。 − 19 − 一般演題 2 大ホール 15:45 ∼ 17:00 演題 8 リード抜去により治癒しえた MRSA 敗血症を繰り返した感染性心内膜炎 の1例 小倉記念病院 循環器科 ○永島 道雄、合屋 雅彦、廣島 謙一、牧原 優、林 健太郎、福永 真人、安珍 守、 山里将一朗、安藤 献児、延吉 正清 2009 年に発表された Heart Rhythm Society のリード抜去適応基準では繰り返すグラム陽性球菌の菌 血症は Class である。当院では MRSA 敗血症を繰り返す症例に対して、リード抜去が奏功した一例を 経験したので報告する。 症例 80 代女性 主訴は発熱。平成 19 年 9 月に前医で高度房室ブロックに対して左前胸部 DDD ペースメーカー移植術を施行。平成 22 年 12 月に MRSA 腎盂腎炎の診断で入院加療。平成 23 年 3 月に MRSA 敗血症の診断で入院。両側肺上葉に肺化膿症を疑う結節陰影あり。バンコマイシン投与し 5 月退院。 退院 2 日後に再度発熱あり、入院し再度 MRSA 敗血症の診断でバンコマイシン投与。7 月に退院。退院 後数日で再度発熱を認め、MRSA 敗血症となり入院。創部に問題はないが、リード感染症疑われ当院 へ転院。当院転院後の血液培養検査では 2 セットで MRSA 陽性であった。左前胸部には局所の感染所 見は認められなかった。入院後に施行した経食道心エコー検査では最大 14mm の Vegetation の付着を 3 か所に認めた。入院 5 日目に経静脈的リード抜去術を施行。心室、心房リードの培養から MRSA を 認めた。感染性心内膜炎に準じて抗生剤治療を 4 週間継続し、抗生剤を中止しても発熱などの感染徴 候なく、培養で陰性であることを確認し、右前胸部へ DDD ペースメーカー移植術を施行した。術後 感染徴候なく経過し、新規移植後 2 週間で退院となった。 結語:MRSA による敗血症を繰り返したリード感染症の一例を経験した。デバイス留置術後の繰り返 すグラム陽性球菌敗血症に対してはリード抜去が有効な症例がある。 − 20 − 一般演題 2 大ホール 15:45 ∼ 17:00 演題 9 ペースメーカ患者の心不全入院における、心室ペーシング比率や QRS 幅 の影響について 山口労災病院循環器科 1、山口大学医学部保健学科 2、山口大学医学部循環病態内科学 3 ○板垣 和男 1、瀧田 覚 1、関耕 三郎 1、佐々木 徹 1、清水 昭彦 2、松崎 益徳 3 方法:当院でペースメーカを植込み術を行った 112 人を対象に、心室ペーシング率や心不全入院の調 査を行い。続いて、右室中隔ペーシング(N=39)と右室心尖部ペーシング(N=22)における QRS 幅 の比較を行った。 (SSS:N=37)の 81% が 30% 未満だが、房室ブロック(AVB: 結果:心室ペーシング率は、洞機能不全症候群 N=53)の 79%、徐脈性心房細動(SAF:N=18)の 67% が、70% 以上であった。心不全入院は、SSS で 1 人(3%)、AVB で 4 人(8%)、SAF で 5 人(28%)で、あった。その 10 例中 7 例が、心室ペーシ ング率が 70% 以上であり、その 7 例の QRS 幅は全例 160ms 以上であった。以上から心不全入院にお いて、心室ペーシングの与える影響は無視できないと考えられた。右室中隔ペーシングの QRS 幅(145 ±14ms)は、右室心尖部ペーシングの QRS 幅(159±21ms)より短かく(P<0.01)、心室ペーシングの 悪影響を減じる可能性を示唆した。 − 21 − 一般演題 2 大ホール 15:45 ∼ 17:00 演題 10 ペースメーカのポケット作成部位の検討 — 精神面、機能的、および、 美容的観点から アンケート調査を通じて 東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科 ○武中 宏樹、野呂 眞人 、伊藤 尚志、榎本 善成、久次米真吾 、森山 明義、熊谷 賢太、 酒井 毅、杉 薫 【背景】ペースメーカー植込みに際し、pacemaker mode や lead の留置部位、pacemaker のアルゴリ ズムは考慮されるが、pacemaker generator の留置部位が考慮されることは少ない。症例によっては、 generator の留置部位を精神面、機能的、および美容的見地からも考慮する必要があると考えられる。 【 目 的 】Pacemaker generator の 留 置 部 位 を 留 置 方 法 と 機 能 的、 美 容 的 観 点 か ら 検 討 し た。 さ ら に Generator 留置部位に関するアンケート実施した。 【方法および対象】Pacemaker 植え込み術が施行された 523 例を対象として、Generator 植え込み部位を 検討し、その部位が選択された理由と部位への留置法、および長期的な合併症の有無を検討した。さ らに腋窩 10 例、前胸部 119 例を対象に Generator 留置部位に関するアンケート実施した。 【結果】501 名が前胸部、9 名が乳房下、12 名が腋窩、1 名が大鎖骨上窩に generator が留置されていた。 大鎖骨上窩の一名が一年後に pocket 部の皮膚潰瘍を生じた。前胸部に Generator を留置した症例のう ち 63.0%(75 例)が留置部位に関して何らかの不満を感じているのに対し、腋窩に留置した症例では 90%(9 例)が留置部位に対して満足している結果がえられた。 【考案】多くの症例では前胸部に generator が留置されていたが、女性で特に若年女性の場合には精神的、 美容的観点からも前胸部に generator を留置することで大幅に QOL を損なう可能性がある。このため、 当院では、必要に応じて、generator の留置部位を考慮し、前胸部以外の部位にも generator 留置を試み ている。generator を腋窩に留置することは精神面、機能的、および、美容的見地からも有用である可 能性がある。 − 22 − MEMO
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