気象庁レーダーによる火山噴煙観測と 降灰予報業務の高度化

気象庁レーダーによる火山噴煙観測と
降灰予報業務の高度化
「火山礫・火山灰・噴煙の監視・予測手法の検討」にむけ,
そのためのセンサー技術の活用の観点から.
気象庁 気象研究所
高木朗充○・新堀敏基
地磁気観測所 福井敬一
2013/7/25
次世代安心・安全ICTフォーラム企画部会
災害・環境監視技術検討会
1
内 容
1.はじめに
– 最近の噴火活動
– リモートセンシングによる火山観測の目的
2.気象レーダーを活用した火山噴煙の観測例
− 過去の観測事例
− 2011年霧島山(新燃岳)噴火の事例
3.レーダーによる火山防災業務への貢献の可能性
− 噴火監視技術の高度化への貢献
− 降灰予報業務の高度化への貢献
4.今後に向けて
2
1.はじめに
3
国内の活火山
• 概ね過去1万年以内に噴火した火山と
現在活発な噴気活動のある火山
• 全国で110(全世界の約10%)
大雪山
アトサヌプリ
十勝岳
有珠山
北海道駒ヶ岳
秋田焼山
恵山
雌阿寒岳
岩木山
樽前山
磐梯山
焼岳
乗鞍岳
丸山
倶多楽
秋田駒ヶ岳
鳥海山
岩手山
草津白根山
栗駒山
新潟焼山
蔵王山
白山
吾妻山
御嶽山
安達太良山
那須岳
日光白根山
浅間山
富士山
雲仙岳
鶴見岳・伽藍岳
薩摩硫黄島
口永良部島
箱根山
伊豆東部火山群
神津島
阿蘇山
九重山
霧島山
桜島
青ヶ島
新島
三宅島
伊豆大島
八丈島
諏訪之瀬島
4
火山噴火に伴う災害
主な火山災害とその特徴
①火山灰
・埋没,加重による倒壊などの被害や細粒
火山灰により人体,交通等への影響
・被害・影響が広域に及ぶ
②火砕流
・高温であり、高速で流れ下るため危険
・建物などの破壊などの被害
③噴石
マグマ
・大きな噴石は人命に関わる
・建物などの破壊などの被害
④融雪型火山泥流
マグマ溜り
・積雪地への火砕流流入などで発生
・建物などの流失,破壊などの被害
⑤溶岩流
・建物などの火災,埋没,破壊などの被害
(流れる速度は遅い)
(鹿児島県HP,気象庁火山パンフより)
5
最近の火山噴火① 2011年新燃岳
2011年1∼9月,鹿児島・宮崎県境の霧島山(新燃岳,標高1421m)でマグマ噴火発生
爆発的噴火は1959年以来,マグマ噴火としては1716∼17年享保噴火以来,約300年ぶり
2011/01/27 NATIONAL GEOGRAPHIC Daily News
6
降灰の影響
(↑)新燃岳の火山灰が降り積もる中,マスク姿で
登校する子供たち=28日午前7時45分,都城市
(2011/1/28 asahi.comより)
(→)新燃岳噴火の影響で,宮崎空港発着の航空
便には欠航が相次いだ=28日午前10時27分,
宮崎市(2011/1/28 asahi.comより)
校舎の裏側
都城市立御池小学校(火口の南東8.0 km)の除灰状況(2011/2/18 気象研撮影)
(2011/2/7付高知新聞より)
7
降下火山礫(小さな噴石)の影響
2011/2/14 新燃岳噴火の被害状況
新燃岳火口から約16km地点.車のサン 新燃岳火口から約14kmの地点.大
ルーフに約1.5cmの穴が開いていた. きさ1.5∼2cmの噴石で波板屋根に
穴が開いていた.
気象庁 (平成23年2月14日20時15分発表)
霧島山(新燃岳)の火山活動解説資料より
宮崎県・鹿児島県 霧島山(新燃岳)噴火に関する政府支援チーム
「霧島山(新燃岳)噴火時に噴石等から身を守るために」 (H23/3)より
8
最近の火山噴火② 2010年アイスランド
エイヤフィヤトラヨークトル火山(Eyjafjallajökull)
• 63.63N,19.62W,標高1666 m
–
アイスランド南部の氷河に位置
2010年の火山灰放出を伴う活動
• 4月14日∼5月23日
–
–
2010/04/16
噴煙高度8000∼11000 m(海抜)に達する
噴火に伴う火山灰がヨーロッパ広域に拡散,
多くの航空便が欠航し各地の空港が閉鎖
航空輸送による経済活動などに大きな影響を及ぼす
2010/05/01‐02
2010/04/17
copyright (C) 2010 Sean Stiegemeier 写真: http://www.stromboli.netより
9
火山灰の影響
(2010/4/17付朝日新聞より)
10
リモートセンシングによる火山観測の目的
 火山現象の即時的かつ定量的把握
 噴火の規模(噴出率,噴出量)
 噴煙の状態(灰・礫の粒径,密度,速度分布など)
 昼夜・全天候下での噴煙観測⇔火山噴火時の降水観測
 大規模火山噴火時の降水・噴煙観測
 リモートセンシングデータ同化による数値予報モデルの改良
 火山灰の量的予測,火山礫の落下予測に対する初期値
 気象庁降灰予報,航空路火山灰情報(VAA)の改善
11
悪天時における監視の現状
2011/2/14 05:07 新燃岳の爆発的噴火(降水時)
気象庁の火山カメラ画像
(2011/2/14 05:08:01,新燃岳の南約7.5 km地点から撮影)
鹿児島空港の火山カメラ画像
(2011/2/14 05:08:00,新燃岳の南西約20 km地点から撮影)
鹿児島県姶良・伊佐地域振興局の監視カメラ画像
(2011/2/14 05:07:58∼05:08:00,新燃岳の西約3 km地点から撮影)
12
気象庁の噴火現象の監視
新たなリモートセンシング
気象衛星
ルーチン的な火山
観測手段ではない
気象レーダー
遠望観測
降灰
弾道を描いて飛散
する大きな噴石
遠望カメラ
震動観測
溶岩流
火山ガス
目視
風の影響を受ける
小さな噴石
火砕流
空振計
地震計
13
2.気象レーダーを活用した
火山噴煙の観測例
14
気象レーダーによる噴煙観測の事例
Hekla(アイスランド)
1970, 1981, 1991, 2000
レーダーによる火山噴煙観測結
果が文献に初出
爺爺岳
1973
Eruption cloud recorded on radar reached a height of 53,000 feet Augustine(アラスカ)
1976, 2005-2006
on 5 May. 有珠山
1977, 2000
St. Helens(米)
1980-1982, 2004
気象レーダーデータを
用いた初めての研究
Pagan(北マリアナ)
1981
桜島
1984, 1996, 2008火山噴煙を対象と
伊豆大島
1986
した機動観測
Pinatubo(フィリピン)
1991
多数のレーダーで同時に観測
雲仙
1991, 1993
富士山,東京,名古屋,羽田空港,
Spurr(アラスカ)
1992
東京電力雷レーダーで観測
Popocatépetl(メキシコ)
1998, 1999
三宅島
2000
Etna(イタリア)
2002-2003
Xバンドレーダーによる
浅間山
2004, 2008-2009
火砕流噴煙の観測
Grimsvötn(アイスランド) 2004, 2011
Fourpeaked(アラスカ)
2004
MPレーダーによる火
Anatahan(北マリアナ)
2005,2006
山噴煙の機動観測
Redoubt(アラスカ)
2009
気象庁レーダー観測網のエコー頂から
Eyjafjallajökull(アイスランド)2010
噴煙高度の時間変化を推定
霧島山(新燃岳)
2011
15
ちゃちゃだけ
国後島爺爺岳1973年噴火(釧路レーダー)
1973 年7 月14 日の噴火 南西側の根室測
候所(爺爺岳から南西約130km)から撮影
レーダーからエコー頂高度
10∼12km
1973 年7 月14 日11:00 釧路レーダー
石黒長蔵 (1974) 根室半島沖地震後の火山活
動. 気象庁技術報告第87号「1973年6月17日根
室半島沖地震調査報告」より
16
有珠山1977年噴火(札幌レーダー )
1977年8月7日09:30頃
洞爺村上空から
(北海道新聞社)
(PPI)
(RHI)
1977 年8 月9 日00:46‐00:47 札幌レーダー
レーダーからエコー頂高度7km
1997/8/8 17:04
横山泰孝 (1980) 当初噴火の状況. 気象庁技術報告第99号
「有珠山噴火活動調査報告 (1977年8月∼1978年12月)」
(この他に函館レーダーでも検知)
1997/8/8 17:41
17
伊豆大島1986年噴火(富士山レーダー等)
1986年11月21日に発生した割れ
目噴火(東京大学地震研究所)
島内からは高さ不明
富士山頂から撮影された1986 年11 月21 日16:30 ころ(上側)と16:50 ころ(下側)の伊豆大島噴火の噴
煙の状況(廻・河野(1987)の資料による)
富士山レーダーで観測された1986 年11 月21 日18:00 ∼ 20:18 の間における伊豆大島噴火の噴煙エコー出力写真(白矢印,
PPI,水平レンジ200km,18:00 と20:02 は水平レンジ500km)
レーダーからエコー頂高度10∼12km
(この他に東京,羽田,名古屋レーダーでも検知)
澤田(2003):測候時報,70,119‐169.
富士山レーダーによる1986 年11 月21 日17:11 の伊豆大島噴火の噴煙エコーのRHI 18
観測写真(白矢印,水平レンジ100km,高度レンジ20km,仰角8.8°,方位角137.8°)
雲仙岳1991年噴火(福岡レーダー )
雨雲で高さ不明
1991 年6 月3 日 降水相当強度:32∼64mm/h,エコー頂高度不明
1991/6/3 16:08の火砕流噴煙(読売新聞社)
エコー頂高度
6.5km
1991 年6 月8 日 降水相当強度:32∼64mm/h,エコー頂高度:6.5km
澤田(2003):測候時報,70,119‐169.
1991 年6 月12 日 降水相当強度:16∼32mm/h,高さ不明
1992 年2 月5 日 降水相当強度:弱い,高さ不明
(この他に種子島レーダーでも検知)
19
浅間山2004年噴火(長野レーダー)
2004/9/1 20h07m
2004/9/1 20:01の爆発直後の映像。火口から南
8km の地点の高感度カメラの映像。中腹以上は
雲がかかっている。(平成16 年9月 地震火山月
報(防災編))
カメラからは高さ不明
2004/9/1 20h17m
レーダーからエコー頂高度10∼11km
第103回(2006/2/28)火山噴火予知連絡会気象庁資料
20
有珠山2000年噴火(函館レーダー)
函館レーダーの観測による2000 年3 月31 日の有珠山噴火の
噴煙エコーと思われる記録(黒矢印)
レーダーからエコー頂高度3.5km
澤田(2003):測候時報,70,119‐169.
2000/3/31 14:00‐14:30
南西側上空から アジア航測株式会社撮影
監視カメラから噴煙の高さ3.5km
21
三宅島2000年噴火(静岡・東京レーダー)
遠望観測から噴煙の
高さ3.5km以上不明
2000/8/18 17:10 アジア航測株式会社撮影
2000年8月10日の三宅島の噴煙エコー(静岡レーダー)
2000年8月18日の三宅島の噴煙エコー 左:静岡レーダーPPI,右東京レーダーエコー頂高度
レーダーからエコー頂高度14∼16km
気象庁技術報告(2006),128.および
澤田(2003):測候時報,70,119‐169.
(その後,報道写真から14kmと判明)
22
国土交通省・気象庁レーダー観測網
(右図)
気象庁Cバンドレーダー
観測網(2013年6月現在)
● 気象ドップラーレーダー 20基
■ 空港気象ドップラーレーダー 9基
△ 活火山 110山
福岡レーダー
(下図)
国交省Xバンドレーダー
観測網(2013年6月現在)
鹿児島空港
レーダー
新燃岳
標高1421 m 種子島レーダー
2011年新燃岳噴火を捉えた気象レーダー
(H25/6/13 国土交通省報道発表資料より)
23
噴煙エコー 2011/1/26 14:50∼19:00JST
3 km CAPPI
種子島・
福岡レーダー
(合成)
20 km
種子島運用休止
∼17:10
気象レーダーによる噴煙高度(青:種子島・福岡レーダー,橙:鹿児島空港レーダー)
A‐B間鉛直断面
10
10
9
9
8
8
7
7
6
6
5
5
4
4
3
3
2
2
1
1
0
A
B
0
火山カメラ画像(新燃岳の南7.5 km地点)
レーダー配置図
24
気象レーダーによる火山噴煙の観測事例
2011/1/26 15JST∼28 00JST新燃岳噴火に伴う噴煙エコー頂高度の時間変化
2011/1/26 17:20JST
A
Shinmoe-dake
B
2011/1/27 04:20JST
zmax: 56.5 dBZ
(~124 mm/h)
5km
A
Shinmoe-dake
B
10km
B
zmax: 56.2 dBZ
(~119 mm/h)
A
B
2 km CAPPI
10km
5km
A
Shinmoe-dake
2 km CAPPI
2 km CAPPI
10km
2011/1/27 17:30JST
A
zmax: 54.2 dBZ
(~89 mm/h)
5km
B
A
B
新燃岳標高
25
3.レーダーによる火山防災業務への
貢献の可能性
26
噴火監視技術の高度化への貢献
∼噴火の検知,規模等の即時把握∼
これまではレーダーでたまたま検知できていた
噴煙エコーを,定量的に把握する技術開発
反射強度と火山灰量の関係
27
噴火監視技術の高度化への貢献
∼降水中の噴煙エコー∼
悪天時に気象レーダーによる噴煙監視が期待される.
しかし,降水エコーの中の火山噴煙のエコーを判別
することは,まだ困難.
28
2011/2/14新燃岳の爆発的噴火(降水時)
05:07噴火発生(新燃岳の南西約2.6 km地点での空振:332.1 Pa)
気象庁の火山カメラ画像
(2011/2/14 05:08:01,新燃岳の南約7.5 km地点から撮影)
鹿児島空港の火山カメラ画像
(2011/2/14 05:08:00,新燃岳の南西約20 km地点から撮影)
鹿児島県姶良・伊佐地域振興局の監視カメラ画像
(2011/2/14 05:07:58∼05:08:00,新燃岳の西約3 km地点から撮影)
29
遠望カメラ
05:07噴火発生
05:08:01
種子島・福岡レーダー(合成)
3 km CAPPI
05:00‐10
鹿児島空港レーダー(飛行場)
10km
層状性の降水エコーに混じる
噴煙エコー
B
3km CAPPI
05:04‐09
5km
A
A
05:13:43
3km CAPPI
B
3 km CAPPI
05:10‐14
10km
05:10‐20
B
空港レーダーサイト
5km
A
3km CAPPI
05:16‐20
05:19:27
A
3 km CAPPI
空港レーダーでは山による遮蔽と降水
・噴煙による減衰の影響がありそう
B
10km
05:20‐30
B
3km CAPPI
05:21‐26
05:25:10
A
5km
30
降灰予報業務の高度化への貢献
∼降下火砕物の予測精度の向上∼
31
現在の降灰予報の例
http://www.seisvol.kishou.go.jp/tokyo/STOCK/kouhai/kouhai.html
32
降灰および火山礫の落下予測の方法
気象庁移流拡散モデル(JMA‐RATM)による
風による
輸送開始
噴火発生
遠望カメラ,気象レーダー,衛星観測 ※
噴火に関する
火山観測報
噴煙高度
継続時間
※震動(地震,空振)等データに基づく,
噴煙高度の即時的な把握手法についても検討中
①噴煙柱モデル
初期条件
初期時刻における
火山粒子データ
数値予報GPV
(MSM/LFM)
気象データ
②移流拡散モデル
(RATM)
時間発展
予報時間ごとの
火山粒子データ
③落下量の算出
可視化
噴出物総質量
火山灰・礫の粒径分布 ① 噴煙柱内部の
火山灰・礫の初期分布
各高度からの拡散比率
移流・拡散
火山灰・礫の落下速度
乾性・湿性沈着
降灰域の描画
最大粒径分布の描画
予報区の抽出
予報時間ごとの
図情報
② 風に流される
火山灰・礫の移流拡散
予測結果を
画情報に変換
降灰・降下
火山礫予測
(用語)
GPV (Grid Point Value): 数値予報モデルの格子点値
MSM (Mesoscale Model): 水平格子間隔5 kmの数値予報モデル 気象庁非静力学モデル(JMA‐NHM)
LFM (Local Forecast Model): 水平格子間隔2 kmの数値予報モデル
RATM (Regional Atmospheric Transport Model): MSMやLFMを入力値とする気象庁領域移流拡散モデル
③ 火山灰・礫の
落下範囲・量の算出
33
初期値:噴煙柱モデル
主な構成要素
• 噴煙柱の形状・・・逆円錐形
• 噴出物総質量・・・(下記)
• 火山灰の粒径分布・・・対数正規分布
D 0.25mm,σD 1.0
• 各高度からの拡散比率 など
m
鈴木(1983, ’85, ’90),ハザードマップ作成指針(国土庁, 1992)
総質量の見積り
ピナツボ1991 (VEI=6)
噴煙の浮力と大気の密度成層のバランスから
M KMH 4T
H km :噴煙の高さ
T h :噴火の継続時間
K M 2.4~10×105 kg/km4/h
降灰の量的予測や火山礫の落下予測を
行うためには,噴煙の高さと継続時間の
即時把握が必要
H
三宅島2000 (VEI=3)
アイスランド2010 (VEI=4)
伊豆大島1986 (VEI=3)
新燃岳2011 (VEI=3)
Ṁ
Mastin et al. (2009)
34
気象庁移流拡散モデル(JMA‐RATM)の概要
 移流・拡散・降下過程
水平風速のゆらぎ
→Uliasz(1990)
気象場の平均風速←GPV
∆
∆
∆
∆
∆
∆
∆
∆
∆
移流項
拡散項
鉛直風速のゆらぎ
→MY2 (1974, ’82)
∆
降下項
• 鉛直方向のつりあいの式→終端速度 で落下と仮定
1
4
⁄2
⁄2
2
3
• 空気の抵抗係数(Wilson & Huang, 1979; Suzuki, 1983):
24
.
2 1.07
粘性項
移流拡散モデルで用いている火山灰・礫の密度
慣性項
ここで,
⁄ :レイノルズ数
/2 :火山灰・礫の形状因子
:火山灰・礫の径
,
:空気の密度と粘性率←GPV
:火山灰・礫の密度
火山灰・礫の落下速度の一例
35
気象レーダーによる噴煙高度の初期値利用
2011/1/26 06JST∼28 00JST新燃岳噴火
①26 00Z FT=6‐9
②26 06Z LFM
26 06Z
FT=3‐9
③26 12Z 09Z
FT=3‐9
④26 18Z 15Z
FT=3‐9
⑤27 00Z 21Z
FT=3‐9
⑥27 06Z 27 03Z
FT=3‐9
09Z
15Z
• 初期値:噴煙柱モデルの高さに,種子島・福岡レーダーの噴煙エコー頂高度を使用
• 継続時間10分ごとに高さを更新
36
火山灰トレーサーの輸送シミュレーション
2011/1/26 15JST∼28 00JST新燃岳噴火,1時間ごと(レーダー観測を利用した場合)
積算降灰量の予測値
3D可視化
10km
8
6
4
2
0
31N
30N
29N
40 km
132E
133E
火山灰トレーサーの粒径
134E
単位面積あたりの重量(しきい値:0.1 g/m2)
37
噴煙高度の違いによる降灰予測の改善
2011/1/26 15JST∼28 00JST新燃岳噴火に伴う積算降灰量
遠望カメラ観測に基づく予測
気象レーダー観測に基づく予測
●:降灰あり,○:降灰なし
40 km
●:降灰あり,○:降灰なし
40 km
∼1mm
∼1cm
∼10cm
38
降灰の量的予測への活用事例
2011/1/26 15JST∼28 00JST新燃岳噴火に伴う積算降灰量
現地調査に基づく降灰量
気象レーダー観測に基づく予測
2011/1/26∼27
●:降灰あり,○:降灰なし
(産総研・アジア航測,120回噴火予知連資料;
古川,産総研TODAY 2011/09)
40 km
右図は,気象レーダーの噴煙エコー頂高度を初期値に,
気象庁局地モデルの数値予報GPVを入力値に用いた,
気象庁移流拡散モデル(JMA‐RATM)による予測結果
∼1mm
∼1cm
∼10cm
39
火山礫の落下予測への活用事例
2011/1/26 15JST∼28 00JST新燃岳噴火に伴う最大粒径分布
現地調査に基づく
降下軽石の最大粒径分布
2011/1/26∼27
気象レーダー観測に基づく予測
D=55mm
D=25mm
D=30mm obs. AIST, 1/26PM‐27AM
D=35mm obs. ERI, ‐1/27AM
D<10mm
D=36mm obs. ERI, 1/27PM
D=26mm obs. AIST, 1/27PM
D=80‐70mm
D=25mm obs. ERI, 1/26PM
D=40mm
D=60mm
(地震研・防災科研,120, 122回噴火予知連資料)
40 km
●降下礫あり
右図は,気象レーダーの噴煙エコー頂高度を初期値に,
気象庁局地モデルの数値予報GPVを入力値に用いた,
気象庁移流拡散モデル(JMA‐RATM)による予測結果
40
4.今後に向けて
41
気象レーダーによる火山噴煙観測
 噴煙の即時的かつ定量的把握
これまで,気象レーダーでたまたま観測されていた火山噴煙
火山監視業務で気象レーダーを活用するためには,
 即時的に噴火を検知する技術
 噴煙の高さを定量的に把握する技術
 反射強度と火山灰の関係の定式化による,噴煙状態の把
握技術
の開発が必要.
42
その他の気象レーダーによる火山観測の課題
 噴火現象の即時的かつ定量的把握
 一般気象レーダー,および可搬型レーダーの活用
 バンド(…, C, X, Ku,…)の選択−観測範囲,高度,粒径との関係
 噴煙に対する電波の散乱・減衰特性,レーダー方程式の調査
 噴火の規模(噴出率,噴出量)と反射強度や偏波パラメータ(偏波間
位相差変化率など)との関係
 噴煙の状態(灰・礫の粒径,密度,速度分布など)のマルチパラメータ
(ドップラー速度,反射因子差や偏波間相関係数など)による解析
 昼夜全天候下での噴煙観測⇔火山噴火時の降水観測
 降水域(雨・雪)と降灰域(灰・礫)の判別
 リモートセンシングデータ同化による数値予報モデルの改良
 移流拡散モデルによる即時的かつ高精度な火山噴煙(灰・礫)の予測
 気象と地象の融合型研究
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