平成28年度 設楽町第二種特定鳥獣管理計画 (カモシカ)市町村計画 平成28年11月 設 楽 町 目次 ページ 1 カモシカによる林業被害と防除 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (1)林業被害の経緯 ・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (2)林業被害の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 (3)被害防除の実績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2 カモシカの生息状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 (1)管内の生息状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 (2)カモシカ生息数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 ア 旧設楽町 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 イ 旧津具村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 3 被害対策の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 4 被害防除実施計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 5 地域別個体数調整計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 6 個体数調整実施計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 (1)捕獲実施体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 (2)モニタリング等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 7 8 カモシカの保護管理及び被害対策のための森林の取扱い (添付図面 年度別計画位置図) ・・・・・・・ 1 カモシカによる林業被害と防除 (1)林業被害の経緯 設楽町におけるカモシカのスギ・ヒノキ幼齢木への森林被害は、昭和50年頃から東納庫地区周辺 の造林地に発生し始めたが、当初は補植する程に至らぬ被害であった。 しかし、その後は拡大造林事業によりカモシカの生息地域が拡大し、それに伴い森林被害区域は 年々増加傾向にあった。 近年は新植面積の減少に伴い被害面積も概ね減少しているものの、現在でも町内全域にわたって民 家付近等への出没・目撃情報が寄せられており、出没・目撃情報などから推測して、カモシカ生息数 は増加傾向にあると思われる。 森林被害の防除対策として忌避剤及び防護ネット等による防除を行っているが、年に2度の忌避剤 塗布や、防護ネットとツリーシェルターの併用による防除を行っても被害を受けている地域も見受け られる。 (2)林業被害の状況 被害実損面積 年度 区分 18 設 楽 町 旧 設 楽 町 旧 津 具 村 ※ 単位:ha 19 20 21 平 22 成 23 24 25 26 27 国有林 2.66 2.40 4.07 4.07 3.06 0 0 0 3.00 3.00 民有林 1.46 2.34 3.28 1.76 1.24 0.99 7.11 1.33 0 0 計 4.12 4.74 7.35 5.83 4.30 0.99 7.11 1.33 3.00 3.00 国有林 2.66 0 4.07 4.07 3.06 0 0 0 3.00 3.00 民有林 1.16 2.19 3.14 1.62 1.07 0.79 4.75 0.93 0 0 計 3.82 2.19 7.21 5.69 4.13 0.79 4.75 0.93 3.00 3.00 国有林 0 2.40 0 0 0 0 0 0 0 0 民有林 0.30 0.15 0.14 0.14 0.17 0.20 2.36 0.40 0 0 計 0.30 2.55 0.14 0.14 0.17 0.20 2.36 0.40 0 0 H26,H27 の国有林の被害面積は、カモシカ、ニホンジカを合わせて 30ha ありましたが、事後の被害区 分が出来ないためカモシカ被害は 10%程度と想定しました。 1 (3)被害対策の実績 単位:ha 平 年度 区分 国有林 民有林 計 国有林 防 護 民有林 柵 等 計 補 国有林 民有林 植 計 個 体 数 調整(頭) 忌 国有林 避 民有林 剤 計 国有林 防 護 民有林 柵 等 計 補 国有林 民有林 植 計 個 体 数 調整(頭) 忌 国有林 避 民有林 剤 計 国有林 防 護 民有林 柵 等 計 補 国有林 民有林 植 計 個 体 数 調整(頭) 忌 避 剤 設 楽 町 旧 設 楽 町 旧 津 具 村 成 18 19 20 21 22 29.20 38.32 34.29 30.65 24.63 23 8.39 24 25 26 27 18.11 40.48 33.00 38.00 10.11 7.81 5.18 3.47 0.08 0 0.46 0.46 0.46 0 39.31 46.13 39.47 34.12 24.71 8.39 18.57 40.94 33.46 38.00 0 0 0 0 14.49 0 19.98 43.31 35.00 5.00 0 0 0.15 0 0.07 1.18 0.66 0.24 0 1.33 0 0 0.15 0 14.56 1.18 20.64 43.55 35.00 6.33 0 0 0 0 0 0 0 0 30.00 0 0 0 0.15 0 0 0 0 0 0.46 0 0 0 0.15 0 0 0 0 0 30.46 0 15 15 15 15 15 29.20 38.32 29.49 28.25 24.63 7.47 7.15 4.32 3.47 36.67 45.57 33.81 0 0 0 0 0 0 0 12 12 12 12 8.39 18.11 40.48 33.00 38.00 0.08 0 0.46 0.46 0.46 0 31.72 24.71 8.39 18.57 40.94 33.46 38.00 0 0 12.09 0 19.98 43.31 35.00 5.00 0.15 0 0 0.38 0.06 0.24 0 0.10 0.15 0 12.09 0.38 20.04 43.55 35.00 5.10 0 0 0 0 0 0 0 30.00 0 0 0 0.15 0 0 0 0 0 0.46 0 0 0 0.15 0 0 0 0 0 30.46 0 10 10 10 10 10 12 9 9 9 9 9 0 0 4.80 2.40 0 0 0 0 0 0 2.64 0.66 0.86 0 0 0 0 0 0 0 2.64 0.66 5.66 2.40 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2.40 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.07 0.80 0.60 0 0 1.23 0 0 0 0 2.47 0.80 0.60 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5 5 5 5 5 3 3 3 3 3 2 2 カモシカの生息状況 (1)管内の生息状況 町内でカモシカが目撃され始めたのは昭和10年頃で、昭和30年に国の特別天然記念物に指定さ れてから急激に個体数が増加し、昭和40年頃には町内全域に出没するようになった。 近年では、民家や道路などおいても出没・目撃されるようになってきている。 (2)カモシカ生息数 ア 旧設楽町 (ア) 生息密度調査結果 調 査 調査区 調査地区 年月日 面積(ha) 4.10.27 滝 沢 97.3 4.10.27 御堂山 95.1 6.10. 3 滝 沢 97.3 6.10. 3 御堂山 95.1 9.10.27 滝 沢 97.3 9.10.27 御堂山 95.1 12. 2.19 滝 沢 97.3 12. 2.19 御堂山 95.1 13.10.20 滝 沢 97.3 13.10.20 御堂山 95.1 17.11. 7 滝 沢 97.3 17.11. 7 御堂山 95.1 22.11.11 滝 沢 97.3 22.11.11 御堂山 95.1 ※平均生息密度は、糞塊数による補正後の数値 森林の状況(%) 目撃 平均棲息密度 北設楽郡全域 頭数 頭/100ha 頭/100ha 人工林 天然林 88 12 1 1.74 1.86 90 10 1 88 12 0 1.80 1.88 90 10 1 88 12 0 1.78 1.99 90 10 2 88 12 2 2.61 2.11 90 10 3 88 12 1 1.04 1.66 90 10 1 78 22 0 1.42 1.62 78 22 0 78 22 2 1.30 1.21 78 22 2 (イ) 推定生息数 森 林 区 分 生息分布森林面積 平均生息密度 生 息 頭 国 有 林 5,422 (ha) 1.30 (頭/100ha) 民 有 林 14,790 (ha) 1.30 (頭/100ha) 192 (頭) 計 20,212 262 (頭) (ha) 1.30 (頭/100ha) 70 数 (頭) 3 イ 旧津具村 (ア) 生息密度調査結果 調査年月 調査区 調査地区 日 面積(ha) 6.10.27 大 入 89.5 6.10.14 梨ケ嶽 105.5 9.10.29 大 入 89.5 9.10.29 梨ケ嶽 105.5 12. 3. 5 大 入 89.5 12. 3. 5 梨ケ嶽 105.5 13. 9.29 大 入 89.5 13. 9.29 梨ケ嶽 105.5 17.11. 7 大 入 89.5 17.11. 7 梨ケ嶽 105.5 22.11.8 大 入 89.5 22.11.8 梨ケ嶽 105.5 ※平均生息密度は、糞塊数による補正後の数値 森林の状況(%) 目撃 平均棲息密度 北設楽郡全域 頭数 頭/100ha 頭/100ha 人工林 天然林 88 12 4 3.19 1.88 90 10 2 88 12 1 1.03 1.99 90 10 1 88 12 1 1.98 2.11 90 10 3 88 12 2 2.07 1.66 90 10 2 91 9 1 1.86 1.62 91 9 1 91 9 0 1.71 1.21 91 9 0 (イ) 推定生息数 森 林 区 分 生息分布森林面積 平均生息密度 生 息 頭 国 有 林 220 (ha) 1.71 (頭/100ha) 4 (頭) 民 有 林 4,436 (ha) 1.71 (頭/100ha) 76 (頭) 計 4,656 (ha) 1.71 (頭/100ha) 80 (頭) 数 4 3 被害対策の方針 現在、町で主に実施しているカモシカ食害防除方法は忌避剤処理及び防護柵、ツリーシェルター並 びに個体数調整である。 今後の防除方法としては、忌避剤処理や防護柵、ツリーシェルターの継続・実施面積の拡大を重点 的に行っていきたいが、実施にあたっては従事者の確保や、事業実施地が急傾斜であるため、資材の 運搬が困難である等の問題もあるが、平成28年度は前年度に引き続き忌避剤処理等による対策を実 施し、個体数の調整とあわせて森林被害の防除に努める。 4 被害防除実施計画 26(実績) 民有林 国有林 体 民有林 国有林 体 民有林 国有林 (ha) 0.46 30.00 30.46 1.33 8.00 9.33 0.93 13.00 13.93 幼 2~5年生 (ha) 22.98 7.27 30.25 23.29 7.27 30.56 21.84 15.27 37.11 林 6~10 年生 (ha) 98.77 29.14 127.91 96.44 29.14 125.58 106.01 23.31 129.32 122.21 66.41 188.62 121.06 44.41 165.47 128.78 51.58 180.36 忌避剤処理 設 楽 防護柵等 町 被 害 対 策 個体数調整 (ha) 0.46 33.00 33.46 0 38.00 38.00 0 25.00 25.00 21 2,700 2,721 0 5,600 5,600 0 3,800 3,800 (ha) 0 35.00 35.00 1.33 5.00 6.33 0.93 20.00 20.93 (千円) 0 28,000 28,000 3,198 7,700 10,898 2,117 32,000 34,117 (頭) (頭) 新植地 (ha) 0.46 幼 2~5年生 (ha) 10.62 林 6~10 年生 (ha) 79.26 計 (ha) 89.88 (ha) 忌避剤処理 設 楽 町 防護柵等 被 害 対 策 個体数調整 12 540 12 12 12 144 144 144 7.27 17.89 11.00 7.27 29.14 108.40 77.36 29.14 66.41 156.75 88.46 44.41 0.46 33.00 33.46 0 (千円) 21 2,700 2,721 (ha) 0 35.00 35.00 (千円) 0 28,000 28,000 698 (頭) (頭) 30.00 8.00 8.10 0 13.00 18.27 8.72 15.27 23.99 106.50 78.72 23.31 102.03 132.87 87.44 51.58 139.02 38.00 38.00 0 25.00 25.00 0 5,600 5,600 0 3,800 3,800 0.10 5.00 5.00 0 20.00 20.00 7,700 7,700 0 32,000 32,000 9 9 9 405 405 405 9 9 9 108 108 108 13.00 新植地 (ha) 0 0 0 1.23 0 1.23 0.93 0.00 0.93 幼 2~5年生 (ha) 12.36 0 12.36 12.29 0 12.29 13.12 0.00 13.12 林 6~10 年生 (ha) 19.51 0 19.51 19.08 0 19.08 18.57 0.00 18.57 計 31.87 0 31.87 32.60 0 32.60 31.69 0.00 31.69 旧 忌避剤処理 津 村 12 540 0.10 (千円) 具 12 540 30.46 (千円) 捕獲個体調査 体 (ha) (千円) 旧 全 (千円) (千円) 捕獲個体調査 全 28(計画) 新植地 計 全 27(実績) (ha) (ha) (千円) 防護柵等 被 害 対 策 個体数調整 (ha) 1.23 0.93 0.93 (千円) 2,500 2,117 2,117 (頭) (千円) 捕獲個体調査 (頭) (千円) 3 3 3 135 135 135 3 3 3 36 36 36 5 5 地域別個体数調整計画 捕獲団地名 設 面 積 捕獲数の上限 (ha) (頭) 旧 設 楽 町 旧 津 具 村 前年度捕獲実績 (頭) (頭) 木戸洞地区 34.04ha 3 大平地区 67.55ha 3 3 三ゲンヤ地区 49.07ha 3 2 日影地区 61.50ha 3 3 石ノ津地区 77.25ha 3 1 霧ケ窪地区 77.19ha 2 1 中手向地区 139.52ha 2 2 簀ノ子地区 100.63ha 2 木戸洞地区 34.04ha 3 大平地区 67.55ha 3 三ゲンヤ地区 49.07ha 3 日影地区 61.50ha 3 3 石ノ津地区 77.25ha 3 1 霧ケ窪地区 77.19ha 2 1 中手向地区 139.52ha 2 簀ノ子地区 100.63ha 2 楽 町 捕獲予定頭数 備 考 12 3 9 3 2 2 6 6 個体数調査実施計画 (1)捕獲実施体制 会長1名、副会長1名、理事・監事4名、会員53名の計59名で構成され、田口地区、名倉地 区、段嶺地区、津具地区の4地区に分かれて組織されている設楽町猟友会に委託し実施する。 個体数調整の実施にあたっては、猟友会員の中から個体数調整従事者を選定し、数回に分けて予 定数を捕獲する。 (2)モニタリング等 ア 食害及び生息状況の調査 捕獲実施団地の幼齢造林地内等にプロットを作成し、その中の食痕の有無の調査を行い、 被害率を推定する。また、生息状況を把握するため、捕獲団地を踏査し、糞塊、足跡、食痕を記 録する。 実施計画 26年度 27年度 木戸洞、大平、三ゲンヤ、日影、石ノ 木戸洞、大平、三ゲンヤ、日影、石ノ 津、霧ケ窪、中手向、簀ノ子 津、霧ケ窪、中手向、簀ノ子 設 食 害 調 査 楽 町 捕獲団地名 箇 設 数 総調査本数 生 息 調 査 食 害 調 査 所 数 捕獲団地名 箇 所 数 楽 町 実施団地名 箇 旧 津 食 害 調 査 所 数 箇 所 数 具 村 8箇所 8箇所 木戸洞、大平、三ゲンヤ、日影、石ノ 木戸洞、大平、三ゲンヤ、日影、石ノ 津 津 5箇所 800本 5箇所 800本 木戸洞、大平、三ゲンヤ、日影、石ノ 木戸洞、大平、三ゲンヤ、日影、石ノ 津 津 5箇所 5箇所 霧ケ窪、中手向、簀ノ子 霧ケ窪、中手向、簀ノ子 3箇所 480本 3箇所 480本 霧ケ窪、中手向、簀ノ子 霧ケ窪、中手向、簀ノ子 捕獲団地名 総調査本数 生 息 調 査 8箇所 1,280本 実施団地名 総調査本数 生 息 調 査 8箇所 1,280本 木戸洞、大平、三ゲンヤ、日影、石ノ 木戸洞、大平、三ゲンヤ、日影、石ノ 津、霧ケ窪、中手向、簀ノ子 津、霧ケ窪、中手向、簀ノ子 箇 旧 所 実施団地名 箇 所 数 3箇所 3箇所 7 イ 捕獲個体調査 カモシカ保護管理の具体的な施策を検討するため捕獲個体調査を実施する。 カモシカ捕獲の際、従事者が個体の外部計測を行った後、「個体計測記録用紙」へ必要事項を 記入するとともに、頭部及び生殖器を収集し、ビニール袋に入れて町へ提出する。 町は採取資料を冷凍保存し、研究機関へ妊娠率、年齢構成、性比等の調査を依頼する。 ウ 毛皮等の処理 良質な皮についてのみを製品化することとし、加工する場合は「製品台帳」を作成し製品の管 理を徹底する。 捕獲時の傷が大きい等の理由で加工しない場合は現場で埋設処分する。 なお、固体の肉塊については自家消費することを原則とする。 7 カモシカの保護管理及び被害対策のための森林の取扱い 野生動物を保護しつつ健全な森林を育てることは、自然環境を保全する上からきわめて大切なこと であり、一方では林業の振興を図る上から、野生動物による食害などの被害をできるだけ抑えること が求められている。特に近年は、カモシカ・ニホンジカなどによる幼齢木食害や農作物への被害が深 刻な問題になっており、人間と野生動物、または農林業と野生動物の共存が重要な課題となっている。 このため、計画においては、忌避剤処理及び個体数調整による防除方法によって森林被害を抑える とともに、間伐や枝打ち等の適切な森林管理を実施しながら下層植物を増やすなどの林業的防除方法 を取り入れて、野生動物の環境を保護するなど「共存」に努めることとする。 8
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