JP 4251438 B2 2009.4.8 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 式 【化1】 10 [式中、 R1は水素、C1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、ポリハロC1-6アルキル、C26アルケニル、C2-6アルキニル、アリール、アリールC1-6アルキル又はアリールオキシ であり; R2は水素;ハロ;C1-6アルキルオキシ;ヒドロキシC1-6アルキルオキシ;アミノC1 -6アルキルオキシ;モノ−もしくはジ(C1-4アルキル)アミノ−C1-6アルキルオキシ; アリール;アリールオキシ;アリールC1-6アルキルオキシ;アリールチオ;アリールC1 1 1 1 1 -6アルキルチオ;Het ;Het オキシ;Het チオ;Het C1-6アルキルオキシ ;Het1C1-6アルキルチオ;場合によりハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1-6アルキルオ 20 (2) JP 4251438 B2 2009.4.8 キシ、C1-6アルキルチオ、アリール、Het1、アリールオキシ、アリールチオ、アリー ルC1-6アルキルオキシ、アリールC1-6アルキルチオ、Het1C1-6アルキルオキシ、H et1C1-6アルキルチオからそれぞれ独立して選ばれる1、2もしくは3個の置換基で置 換されていることができるC1-6アルキルであり; R3及びR4はそれぞれ独立してフェニルを示し、ここで該フェニルは場合によりヒドロ キシ、ハロ、C1-6アルキル、シアノ、アミノカルボニル、ポリハロC1-6アルキル、ポリ ハロC1-6アルキルオキシ、ポリハロC1-6アルキルチオからそれぞれ独立して選ばれる1 、2、3、4又は5個の置換基で置換されていることができ; −X−は−O−、−S−及び−S(=O)m−から選ばれる2価の基であり; 各mは独立して1又は2であり; 10 アリールは場合によりヒドロキシ、ハロ、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C16アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1-6アルキル及びポリハロC1-6アルキル オキシからそれぞれ独立して選ばれる1、2、3、4又は5個の置換基で置換されている ことができるフェニルであり; Het1はピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル 、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフ ラニル、テトラヒドロチエニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル 、ピペリジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピペラジニル、ヘキサヒドロピリダジニル 、ベンゾピロリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキ サゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニル、2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリニル 20 から選ばれる単環式もしくは二環式複素環を示し、該単環式もしくは二環式複素環のそれ ぞれは場合によりハロ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルキルオキシ、C1-4アル キルカルボニル又はポリハロC1-4アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1、2もしく は3個の置換基で置換されていることができる] の化合物、そのN−オキシド、製薬学的に許容され得る付加塩、第4級アミン又は立体化 学的異性体。 【請求項2】 R1が水素、C1-6アルキル又はアリールC1-6アルキルであり;R2が水素、C1-6アル キル又はアリールチオであり;R3及びR4がアリールであり、XがO、S又は−S(=O )mである請求項1に記載の化合物。 30 【請求項3】 R1がC1-3アルキル又はアリールC1-6アルキルである請求項1又は2に記載の化合物 。 【請求項4】 R1がメチルである請求項3に記載の化合物。 【請求項5】 R2がメチルである請求項1∼4のいずれか1項に記載の化合物。 【請求項6】 R3又はR4がシアノ、アミノカルボニル、C1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキ ルから選ばれる1、2もしくは3個の置換基で置換されているフェニルである請求項1∼ 40 5のいずれか1項に記載の化合物。 【請求項7】 R4がシアノ、アミノカルボニル、C1-6アルキル、ハロ、ポリハロメチルで置換されて いるフェニルである請求項1∼6のいずれか1項に記載の化合物。 【請求項8】 化合物が 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−6−(2−メチルフェノキシ)−3−オキソ ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3− オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 50 (3) JP 4251438 B2 2009.4.8 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−6−[(2−メチルフェニル)チオ]−3− オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−1,6−ジメチル−5−(2−メチルフェノ キシ)−2(1H)−ピラジノン; 5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−3−(フェニルアミノ)−2(1 H)−ピラジノン; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−[(2,4−ジメチルフェニル)チオ] −1,6−ジメチル−2(1H)−ピラジノン; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4− (フェニルメチル)ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 10 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4− (フェニルメチル)ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−3−[[4−(トリフルオロメチ ル)フェニル]アミノ]−2(1H)−ピラジノン; 5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−3−[[4−(トリフルオロメチ ル)フェニル]アミノ]−2(1H)−ピラジノン; 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−トリメチ ルフェニル)チオ]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−5−[(2,4,6−トリメチ ルフェニル)チオ]−2(1H)−ピラジノン; 20 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−トリメチ ルフェニル)スルホニル]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェニル)スルホニル]−3,4−ジヒドロ−4,5 −ジメチル−3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−ト リメチルフェニル)スルホニル]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−ト リメチルフェニル)スルフィニル]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−6−(2−メチルフェノキシ)−3− オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 30 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル −3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェニル)チオ]−3,4−ジヒドロ−4−メチル− 3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1− メチル−2(1H)−ピラジノン; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1, 6−ジメチル−2(1H)−ピラジノン; 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−6−[(2−メチルフェニル)チオ] −3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 40 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−(2,4−ジメチルフェニルチオ)−1 ,6−ジメチル−2(1H)−ピラジノン; 4−[[6−[(4−シアノフェニル)アミノ]−4,5−ジヒドロ−3,4−ジメチ ル−5−オキソピラジニル]オキシ]−3,5−ジメチル−ベンゾニトリル; 4−[4,5−ジメチル−3−オキソ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルスル ファニル)−3,4−ジヒドロ−ピラジン−2−イルアミノ]ベンゾニトリル; 4−[[6−[(2−メチルフェニル)チオ]−5−メチル−3,4−ジヒドロ−3− オキソ−4−(フェニルメチル)ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−5−メチル−6−[(2−メチルフェニル)チオ]−3− オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 50 (4) JP 4251438 B2 2009.4.8 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−3− オキソ−4−(フェニルメチル)ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 5−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−5−メチル−1−メチル−3−[[4− (トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]−2(1H)−ピラジノン; それらのN−オキシド、製薬学的に許容され得る付加塩、第4級アミン又は立体化学的異 性体である請求項1に記載の化合物。 【請求項9】 化合物が 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−6−(2−メチルフェノキシ)−3−オキソ ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 10 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3− オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−6−[(2−メチルフェニル)チオ]−3− オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−1,6−ジメチル−5−(2−メチルフェノ キシ)−2(1H)−ピラジノン; 5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−3−(フェニルアミノ)−2(1 H)−ピラジノン; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−[(2,4−ジメチルフェニル)チオ] −1,6−ジメチル−2(1H)−ピラジノン; 20 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4− (フェニルメチル)ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4− (フェニルメチル)ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−3−[[4−(トリフルオロメチ ル)フェニル]アミノ]−2(1H)−ピラジノン; 5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−3−[[4−(トリフルオロメチ ル)フェニル]アミノ]−2(1H)−ピラジノン; 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−トリメチ ルフェニル)チオ]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 30 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−5−[(2,4,6−トリメチ ルフェニル)チオ]−2(1H)−ピラジノン; 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−トリメチ ルフェニル)スルホニル]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェニル)スルホニル]−3,4−ジヒドロ−4,5 −ジメチル−3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−ト リメチルフェニル)スルホニル]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−ト リメチルフェニル)スルフィニル]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 40 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−6−(2−メチルフェノキシ)−3− オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル −3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェニル)チオ]−3,4−ジヒドロ−4−メチル− 3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1− メチル−2(1H)−ピラジノン; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1, 6−ジメチル−2(1H)−ピラジノン; 50 (5) JP 4251438 B2 2009.4.8 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−6−[(2−メチルフェニル)チオ] −3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−(2,4−ジメチルフェニルチオ)−1 ,6−ジメチル−2(1H)−ピラジノン; 4−[[6−[(4−シアノフェニル)アミノ]−4,5−ジヒドロ−3,4−ジメチ ル−5−オキソピラジニル]オキシ]−3,5−ジメチル−ベンゾニトリル; 4−[4,5−ジメチル−3−オキソ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルスル ファニル)−3,4−ジヒドロ−ピラジン−2−イルアミノ]ベンゾニトリル; それらのN−オキシド、製薬学的に許容され得る付加塩、第4級アミン又は立体化学的異 性体である請求項8に記載の化合物。 10 【請求項10】 化合物が 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−6−(2−メチルフェノキシ)−3− オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル −3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−[(2,4−ジメチルフェニル)チオ]−3,4−ジヒドロ−4−メチル −3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−[(4−シアノフェニル)アミノ]−4,5−ジヒドロ−3,4−ジメチ ル−5−オキソピラジニル]オキシ]−3,5−ジメチル−ベンゾニトリル; 20 それらのN−オキシド、製薬学的に許容され得る付加塩、第4級アミン又は立体化学的異 性体である請求項8又は9に記載の化合物。 【請求項11】 薬剤として用いるための請求項1∼10のいずれか1項に記載の化合物。 【請求項12】 HIV(ヒト免疫不全ウィルス)感染の予防もしくは処置用の薬剤の製造のための請求 項1∼10のいずれか1項に記載の化合物の使用。 【請求項13】 多剤耐性HIV感染の予防もしくは処置用の薬剤の製造のための請求項12に記載の化 合物の使用。 30 【請求項14】 製薬学的に許容され得る担体及び活性成分として請求項1∼10のいずれか1項に記載の 化合物の治療的に有効な量を含む製薬学的組成物。 【請求項15】 請求項1∼10のいずれか1項に記載の化合物の治療的に有効な量を製薬学的に許容され 得る担体と緊密に混合することを特徴とする、請求項14に記載の製薬学的組成物の調製 法。 【請求項16】 W1が適した離脱基を示す式(II)の中間体を、適した触媒、適した塩基及び適した 溶媒の存在下に、好ましくは高められた温度で、式(III)の中間体と反応させ、 【化6】 40 50 (6) JP 4251438 B2 2009.4.8 [式中、R1、R2、R3、R4及びXは請求項1に記載した通りである] 必要に応じて、(I)の化合物を当該技術分野において既知の変換に従って互いに転換し ;そしてさらに必要に応じて、酸を用いる処理により式(I)の化合物を治療的に活性な 無毒性の酸付加塩に転換するか、あるいは逆に、アルカリを用いる処理により酸付加塩の 形態を遊離の塩基に転換し;そして必要に応じて、それらの立体化学的異性体又はN−オ キシド形態を製造することを特徴とする、請求項1に記載の化合物の製造法。 【請求項17】 (a)請求項1∼10のいずれか1項に記載の化合物及び(b)他の抗レトロウィルス 性化合物を、HIV感染の処置における同時、分離又は順次使用のための組み合わせ調剤 として含有する製品。 10 【請求項18】 製薬学的に許容され得る担体ならびに活性成分として(a)請求項1∼10のいずれか 1項に記載の化合物及び(b)他の抗レトロウィルス性化合物を含んでなる製薬学的組成 物。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明はヒト免疫不全ウィルス(HIV)複製阻害特性を有するピラジノン誘導体に関 する。本発明はまた薬剤としてのそれらの使用、それらの製造法及びそれらを含んでなる 製薬学的組成物に関する。 20 【背景技術】 【0002】 特許文献1は、HIV逆転写酵素阻害活性を有するピラジン誘導体を開示している。 【0003】 特許文献2は、CRF(副腎皮質刺激ホルモン放出因子)アンタゴニストとしてのピラ ジノン誘導体を記載している。 【特許文献1】英国特許第2,266,716号明細書 【特許文献2】国際公開第98/11075号パンフレット 【発明の開示】 【0004】 30 本化合物はそれらの構造又はそれらの活性、特にそれらの向上したHIV複製阻害特性 により、先行技術の化合物と異なる。 本発明は、式 【0005】 【化1】 40 【0006】 [式中、 R1は水素、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミ ノ、ホルミル、カルボキシル、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ポリハ ロC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキ ル、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルカルボニル、アミノカルボニル、−S( =O)m−NH2、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル、C1−6 アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルオキシ、アリール、アリールC 1−6アルキル又はアリールオキシであり; 50 (7) JP 4251438 B2 2009.4.8 R2は水素;ハロ;メルカプト;ホルミル;シアノ;カルボキシル;アジド;ヒドロキシ ;オキシラニル;アミノ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ;ホルミルアミ ノ;R5R6N−C(=O)−;R7−N=C(R8)−;C1−6アルキル−S(=O )m;アリール−S(=O)m;場合によりハロ、ヒドロキシ、シアノ、ホルミル、C1 −6アルキルオキシ、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキルオキシカルボニル 、C1−6アルキルカルボニルオキシ、N−ヒドロキシ−イミノ、アリール又はHet1 からそれぞれ独立して選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC 2−6アルケニル;場合によりハロ、ヒドロキシ、シアノ、ホルミル、C1−6アルキル オキシ、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6ア ルキルカルボニルオキシ、N−ヒドロキシ−イミノ、アリール又はHet1からそれぞれ 10 独立して選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC2−6アルキ ニル;C1−6アルキルオキシ;ヒドロキシC1−6アルキルオキシ;アミノC1−6ア ルキルオキシ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ−C1−6アルキルオキシ ;C1−6アルキルカルボニル;アリールカルボニル;Het1カルボニル;C1−6ア ルキルオキシカルボニル;C1−6アルキルカルボニルオキシ;アリール;アリールオキ シ;アリールC1−6アルキルオキシ;アリールチオ;アリールC1−6アルキルチオ; モノ−もしくはジ(アリール)アミノ;Het1;Het1オキシ;Het1チオ;He t1C1−6アルキルオキシ;Het1C1−6アルキルチオ;モノ−もしくはジ(He t1)アミノ;C3−7シクロアルキル;C3−7シクロアルキルオキシ;C3−7シク ロアルキルチオ;C1−6アルキルチオ;ヒドロキシC1−6アルキルチオ;アミノC1 20 −6アルキルチオ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノC1−6アルキルチオ ;場合によりハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルチ オ、ヒドロキシ−C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルオ キシ、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキルカルボニル−オキシ、アミノカル ボニルオキシ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニルオキシ、C1− 6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルオキシカルボニル−C1−6アルキルオ キシ、C1−6アルキルオキシカルボニルC1−6アルキルチオ、アリール、Het1、 アリールオキシ、アリールチオ、アリールC1−6アルキルオキシ、アリールC1−6ア ルキルチオ、Het1C1−6アルキルオキシ、Het1C1−6アルキルチオ、C1− 6アルキル−S(=O)m−オキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)ア 30 ミノ、ホルミルアミノ、C1−6アルキルオキシカルボニルアミノ、C1−6アルキルオ キシC1−6アルキルカルボニルアミノ、モノ−もしくはジ(アリール)アミノ、モノ− もしくはジ(アリールC1−4アルキル)アミノ、(C1−6アルキル)(アリールC1 −4アルキル)アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキルオキシC1−4アルキル) アミノ、モノ−もしくはジ(アリールC1−4アルキルオキシ−C1−4アルキル)アミ ノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキルチオC1−4アルキル)アミノ、モノ−もしく はジ(アリールC1−4アルキルチオ−C1−4アルキル)アミノ、モノ−もしくはジ( Het1C1−4アルキル)アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノC1 −4アルキルオキシ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノC1−4アルキルチ 9 10 11 オ、R −C(=O)−NH−、R −NH−C(=O)−NH−、R −S(=O 40 )2−NH−又は式 【0007】 【化2】 【0008】 50 (8) JP 4251438 B2 2009.4.8 の基からそれぞれ独立して選ばれる1、2もしくは3個の置換基で置換されていることが できるC1−6アルキルであり、ここで A1はCH又はNを示し、A2はCH2、NR12又はOを示し、但しA1がCHの場 合、A2はCH2以外であり、該式(a−1)、(a−2)又は(a−3)の基は場合に より水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ヒドロキシC1−4アルキル、 C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルオキシカルボニル−C1−4アル キル、アミノC1−6アルキル、カルボニル、ヒドロキシ、シアノ、アミド、モノ−もし くはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニル、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル) アミノC1−6アルキル、4−ヒドロキシ−フェニル、4−シアノ−フェニルからそれぞ れ独立して選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができ; 10 R3及びR4はそれぞれ独立してフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル又はピ リダジニルを示し、ここで該芳香環のそれぞれは場合によりヒドロキシ、ハロ、場合によ りシアノもしくは−C(=O)R13で置換されていることができるC1−6アルキル、 C3−7シクロアルキル、場合により1個もしくはそれより多いハロゲン原子又はシアノ で置換されていることができるC2−6アルケニル、場合により1個もしくはそれより多 いハロゲン原子又はシアノで置換されていることができるC2−6アルキニル、C1−6 アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、アミノカ ルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、ポリハロC 1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキルオキシ、ポリハロC1−6アルキルチオ、− S(=O)pR13、−NH−S(=O)pR13、−C(=O)R13、−NHC(= O)H、−C(=O)NHNH2、−NHC(=O)R13、−C(=NH)R13又は 20 式 【0009】 【化3】 【0010】 の基からそれぞれ独立して選ばれる1、2、3、4又は5個の置換基で置換されているこ 30 とができ、 ここで各Aは独立してN、CH又はCR13であり; BはNH、O、S又はNR13であり; pは1又は2であり; −X−は−NR14−;−NH−NH−;−N=N−;−O−;場合によりハロ、C1− 6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルオ キシ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アル キル)アミノカルボニルで置換されていることができる−C1−6アルカンジイル−;− C(=O)−;−CHOH−;−S−;−S(=O)m−から選ばれる2価の基であり; 各mは独立して1又は2であり; 5 R 40 6 及びR はそれぞれ独立して水素あるいは場合によりシアノ、C1−4アルキルオキ シ、C1−4アルキルチオ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ又は 式 【0011】 【化4】 【0012】 50 (9) JP 4251438 B2 2009.4.8 の基で置換されていることができるC1−4アルキルを示し、ここで A3及びA4はそれぞれ独立してCH2、NR12又はOを示し; R7は水素、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシ、カルボキシC1−4アルキルオキシ 、C1−4アルキルオキシカルボニル−C1−4アルキルオキシ、C2−4アルケニルオ キシ、C2−4アルキニルオキシ又はアリールC1−4アルキルオキシであり; R8は水素、カルボキシル又はC1−4アルキルであり; R9は水素;場合によりシアノ、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキル−S(=O )m−、アリール又はHet2で置換されていることができるC1−4アルキル;C1− 2 C2− 4アルキルオキシ;C2−4アルケニル;アリールC2−4アルケニル;Het 2 C2−4アルキニル;アリールC2−4アル 4アルケニル;C2−4アキニル;Het キニル;C3−7シクロアルキル;アリール;ナフチル;又はHet2であり; R10はC1−4アルキル、アリールC1−4アルキル、アリール、アリールカルボニル 10 、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキル オキシカルボニルC1−4アルキルであり; R11は場合によりアリール又はHet3で置換されていることができるC1−4アルキ ル、ポリハロC1−4アルキル又は場合によりアリールもしくはHet3で置換されてい ることができるC2−4アルケニルであり; R12は水素、C1−4アルキル又はC1−4アルキルカルボニルであり; R13はC1−6アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ又は ポリハロC1−6アルキルであり; 20 14 R は水素;アリール;ホルミル;C1−6アルキルカルボニル;C1−6アルキル; C1−6アルキルオキシカルボニル;ホルミル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6 アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルオキシで置換されているC1− 6アルキル;C1−6アルキルオキシカルボニルで置換されているC1−6アルキルオキ シC1−6アルキルカルボニルであり; アリールは場合によりヒドロキシ、ハロ、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、 C1−6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1−6アルキル及びポリハロC1 −6アルキルオキシからそれぞれ独立して選ばれる1、2、3、4又は5個の置換基で置 換されていることができるフェニルであり; Het1はピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、 30 ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラ ニル、テトラヒドロチエニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、 ピペリジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピペラジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、 ベンゾピロリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサ ゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニル、2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリニルか ら選ばれる単環式もしくは二環式複素環を示し、該単環式もしくは二環式複素環のそれぞ れは場合によりハロ、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1− 4アルキルカルボニル又はポリハロC1−4アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1、 2もしくは3個の置換基で置換されていることができ; Het2はピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、 ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニ ル、ピリダジニル、ベンゾピロリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾ リル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、2− オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリニル、キノリノニル、ピロリジニル、テトラヒドロフ ラニル、テトラヒドロチエニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル 、ピペリジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピペラジニル、ヘキサヒドロピリダジニル 又は式 【0013】 40 (10) JP 4251438 B2 2009.4.8 【化5】 【0014】 の基から選ばれる単環式もしくは二環式複素環を示し、ここで A5及びA6はそれぞれ独立してCH2又はOから選ばれ; 該単環式もしくは二環式複素環のそれぞれは場合によりハロ、ヒドロキシ、C1−4アル キル、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルカルボニル、ポリハロC1−4アルキ 10 ル又はアリールからそれぞれ独立して選ばれる1、2もしくは3個の置換基で置換されて いることができ; Het3はピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、 ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルから選ばれる単環式複素環を示し、 該複素環のそれぞれは場合によりハロ、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルキ ルオキシ、C1−4アルキルカルボニル又はポリハロC1−4アルキルからそれぞれ独立 して選ばれる1、2もしくは3個の置換基で置換されていることができる] を有する新規な化合物、それらのN−オキシド、製薬学的に許容され得る付加塩、第4級 アミン及び立体化学的異性体に関する。 【0015】 20 本明細書の前記及び後記で用いられる場合、基として又は基の一部としてのC1−2ア ルキルは、メチル又はエチルを定義する;基として又は基の一部としてのC1−3アルキ ルは、1∼3個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばメチ ル、エチル、プロピル、1−メチルエチルを定義する;基として又は基の一部としてのC 1−4アルキルは、1∼4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基 、例えばC1−3アルキルに関して定義されている基ならびにブチル、1−メチル−プロ ピルなどを定義する;基として又は基の一部としてのC1−6アルキルは、1∼6個の炭 素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばC1−4アルキルに関し て定義されている基ならびにペンチル、ヘキシル、2−メチルブチルなどを定義する;C 1−6アルカンジイルは、1∼6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和2価 30 炭化水素基、例えばメチレン、1,2−エタンジイル又は1,2−エチリデン、1,3− プロパンジイル又は1,3−プロピリデン、1,4−ブタンジイル又は1,4−ブチリデ ン、1,5−ペンチリデン、1,6−ヘキシリデンなどを定義する;C2−4アルケニル は、二重結合を含有する2∼4個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状炭化水素基、例 えばエテニル、プロペニル、ブテニルなどを定義する;C2−6アルケニルは、二重結合 を含有する2∼6個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状炭化水素基、例えばC2−4 アルケニルに関して定義されている基ならびにペンテニル、ヘキセニルなどを定義する; C2−4アルキニルは、三重結合を含有する2∼4個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝 鎖状炭化水素基、例えばエチニル、プロピニル、ブチニルなどを定義する;C2−6アル キニルは、三重結合を含有する2∼6個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状炭化水素 40 基、例えばC2−4アルキニルに関して定義されている基ならびにペンチニル、ヘキシニ ルなどを定義する;C3−7シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロ ペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを包括する。 【0016】 本明細書の前記で用いられている場合、用語(=O)は、炭素原子に結合している場合 はカルボニル部分、硫黄原子に結合している場合はスルホキシド部分及び2個のそのよう な項が硫黄原子に結合している場合はスルホニル部分を形成する。 【0017】 ハロという用語はフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを包括する。前記及び後記で用 いられる場合、基として又は基の一部としてのポリハロメチルは、モノ−もしくはポリハ 50 (11) JP 4251438 B2 2009.4.8 ロ置換メチル、特に1個もしくはそれより多くのフルオロ原子を有するメチル、例えばジ フルオロメチル又はトリフルオロメチルとして定義される;基として又は基の一部として のポリハロC1−6アルキルは、モノ−もしくはポリハロ置換C1−6アルキル、例えば ハロメチルにおいて定義されている基、1,1−ジフルオロ−エチルなどとして定義され る。ポリハロメチル又はポリハロC1−6アルキルの定義内で1個より多いハロゲン原子 がアルキル基に結合している場合、それらは同一もしくは異なることができる。 【0018】 Het1、Het2及びHet3は、Het1、Het2及びHet3の定義内で挙げ られている複素環のすべての可能な異性体を含むものとする。例えばHet1、Het2 又はHet3がピロリルを示す場合、これは2H−ピロリルも含む。 10 【0019】 Het1、Het2又はHet3基は、他に特定されていなければ、適宜いずれの環炭 素もしくはヘテロ原子を介して式(I)の分子の残りの部分に結合していることもできる 。かくして例えば複素環がイミダゾリルである場合、それは1−イミダゾリル、2−イミ ダゾリル、4−イミダゾリルなどであることができる。 【0020】 いずれかの可変基(variable)(例えばアリール、R13など)がいずれかの 置換基内に1度より多く存在する場合、それぞれの定義は独立している。 【0021】 環系中に引かれている線は、結合が適した環原子のいずれにも結合し得ることを示して 20 いる。 【0022】 治療的使用のために、式(I)の化合物の塩は、対イオンが製薬学的に許容され得るよ うな塩である。しかしながら、製薬学的に許容され得ない酸及び塩基の塩も、例えば製薬 学的に許容され得る化合物の製造又は精製において用途を見出すことができる。製薬学的 に許容され得ても、許容され得なくても、すべての塩が本発明の範囲内に含まれる。 【0023】 上記で挙げた製薬学的に許容され得る付加塩は、式(I)の化合物が形成することがで きる治療的に活性な無毒性酸付加塩の形態を含むものとする。製薬学的に許容され得る酸 付加塩は、塩基の形態を無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸など 30 ;硫酸;硝酸;リン酸など;あるいは有機酸、例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸 、乳酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、シュウ酸、マロン酸、コハ ク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパ ントリカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メ チルスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ −2−ヒドロキシ安息香酸などのような適した酸で処理することにより簡単に得ることが できる。逆にアルカリを用いる処理により、塩の形態を遊離の塩基の形態に転換すること ができる。 【0024】 酸性プロトンを含有する式(I)の化合物を、適した有機及び無機塩基を用いる処理に 40 より、それらの治療的に活性な無毒性金属もしくはアミン付加塩の形態に転換することが できる。適した塩基塩の形態は例えばアンモニウム塩、アルカリ及びアルカリ土類金属塩 、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基 、例えば第1級、第2級及び第3級脂肪族及び芳香族アミンとの塩、例えばメチルアミン 、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4種のブチルアミン異性体、ジ メチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピ ルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルア ミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリン及び イソキノリン、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキ シメチル)−1,3−プロパンジオール、ヒドラバミン塩、ならびに例えばアルギニン、 50 (12) JP 4251438 B2 2009.4.8 リシンなどのようなアミノ酸との塩を含む。逆に酸を用いる処理により、塩の形態を遊離 の酸の形態に転換することができる。 【0025】 付加塩という用語は、式(I)の化合物が形成することができる水和物及び溶媒付加形 態も含む。そのような形態の例は、例えば水和物、アルコラートなどである。 【0026】 前記で用いた「第4級アミン」という用語は、式(I)の化合物の塩基性窒素と適した 第4級化剤、例えば場合により置換されていることができるアルキルハライド、アリール ハライド又はアリールアルキルハライド、例えばメチルヨーダイドもしくはベンジルヨー ダイドの間の反応によって式(I)の化合物が形成することができる第4級アンモニウム 10 塩を定義している。良い離脱基を有する他の反応物、例えばアルキルトリフルオロメタン スルホネート、アルキルメタンスルホネート及びアルキルp−トルエンスルホネートを用 いることもできる。第4級アミンは正に帯電した窒素を有する。製薬学的に許容され得る 対イオンにはクロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロアセテート及びアセテートが含まれ る。選択される対イオンはイオン交換樹脂カラムを用いて導入され得る。 【0027】 式(I)の化合物ならびにそれらのN−オキシド、付加塩、第4級アミン類及び立体化 学的異性体のいくつかは、1個もしくはそれより多いキラリティーの中心を含有し、立体 化学的異性体として存在し得ることがわかるであろう。 【0028】 20 前記で用いた「立体化学的異性体」という用語は、式(I)の化合物ならびにそれらの N−オキシド、付加塩、第4級アミン類又は生理学的官能性誘導体(physiolog ically functional derivatives)が有し得るすべての可 能な立体異性体を定義する。他にことわるか又は指示しなければ、化合物の化学的名称は 、基となる分子構造のすべてのジアステレオマー及びエナンチオマーを含有するすべての 可能な立体化学的異性体の混合物ならびに、実質的に他の異性体を含まない、すなわち1 0%未満、好ましくは5%未満、特に2%未満そして最も好ましくは1%未満の他の異性 体を伴う個々の式(I)の異性体及びそれらのN−オキシド、塩、溶媒和物又は第4級ア ミン類のそれぞれを示す。特にステレオジェン中心はR−もしくはS−立体配置を有する ことができ;2価環状(部分的)飽和基上の置換基はシス−もしくはトランス−立体配置 30 のいずれかを有することができる。二重結合を含む化合物は、該二重結合においてE又は Z−立体化学を有し得る。式(I)の化合物の立体化学的異性体は明らかに本発明の範囲 内に包含されることが意図されている。 【0029】 本化合物のN−オキシド形態は、1個もしくは数個の第3級窒素原子がいわゆるN−オ キシドに酸化されている式(I)の化合物を含むものとする。 【0030】 式(I)の化合物のいくつかはそれらの互変異性体として存在することもできる。その ような形態は、上記の式において明らかに示されてはいないが、本発明の範囲内に含まれ ることが意図されている。 40 【0031】 下記で用いられる場合はいつも、「式(I)の化合物」という用語はそれらのN−オキ シド形態、それらの塩、それらの第4級アミン類及びそれらの立体化学的異性体も含むも のとする。特に興味深いのは、立体化学的に純粋な式(I)の化合物である。 【0032】 興味深い群の式(I)の化合物は、 R1が水素、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキ ル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、アリールC1−6アルキル又 はアリールオキシであり; R2が水素;ハロ;C1−6アルキルオキシ;ヒドロキシC1−6アルキルオキシ;アミ 50 (13) JP 4251438 B2 2009.4.8 ノC1−6アルキルオキシ;モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ−C1−6ア ルキルオキシ;アリール;アリールオキシ;アリールC1−6アルキルオキシ;アリール チオ;アリールC1−6アルキルチオ;Het1;Het1オキシ;Het1チオ;He t1C1−6アルキルオキシ;Het1C1−6アルキルチオ;場合によりハロ、ヒドロ キシ、シアノ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルチオ、アリール、Het1、 アリールオキシ、アリールチオ、アリールC1−6アルキルオキシ、アリールC1−6ア ルキルチオ、Het1C1−6アルキルオキシ、Het1C1−6アルキルチオからそれ ぞれ独立して選ばれる1、2もしくは3個の置換基で置換されていることができるC1− 6アルキルであり、 3 4 R 及びR がそれぞれ独立してフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル又はピ 10 リダジニルを示し、ここで該芳香環のそれぞれは場合によりヒドロキシ、ハロ、C1−6 アルキル、シアノ、アミノカルボニル、ポリハロC1−6アルキル、ポリハロC1−6ア ルキルオキシ、ポリハロC1−6アルキルチオからそれぞれ独立して選ばれる1、2、3 、4又は5個の置換基で置換されていることができ; −X−が−NR14−;−NH−NH−;−N=N−;−O−;−C1−6アルカンジイ ル−;−C(=O)−;−CHOH−;−S−;−S(=O)m−から選ばれる2価の基 であり; R14が水素;アリール;ホルミル;C1−6アルキルカルボニル;C1−6アルキル; C1−6アルキルオキシカルボニル;ホルミル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6 アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルオキシで置換されているC1− 20 6アルキル;C1−6アルキルオキシカルボニルで置換されているC1−6アルキルオキ シC1−6アルキルカルボニルであり; アリールが場合によりヒドロキシ、ハロ、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、 C1−6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1−6アルキル及びポリハロC1 −6アルキルオキシからそれぞれ独立して選ばれる1、2、3、4又は5個の置換基で置 換されていることができるフェニルであり; Het1がピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、 ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラ ニル、テトラヒドロチエニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、 ピペリジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピペラジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、 30 ベンゾピロリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサ ゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニル、2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリニルか ら選ばれる単環式もしくは二環式複素環を示し、該単環式もしくは二環式複素環のそれぞ れは場合によりハロ、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C1− 4アルキルカルボニル又はポリハロC1−4アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1、 2もしくは3個の置換基で置換されていることができる 化合物である。 【0033】 式(I)の化合物の特定の群は、以下の条件の1つ又はそれより多く、好ましくはすべ てが満たされている群である: 40 1 i)R が水素、C1−6アルキル又はアリールC1−6アルキルであるか;あるいは ii)R2が水素、C1−6アルキル又はアリールチオであるか;あるいは iii)R3が場合により置換されていることができるフェニルであるか;あるいは iv)R4が場合により置換されていることができるフェニルであるか;あるいは v)XがO、S又はS(=O)mである。 【0034】 さらに別の特別な式(I)の化合物は、R1が水素であるか、あるいはR1がC1−3 アルキル又はアリールC1−6アルキル、特にR1がメチルである化合物である。 【0035】 R2が水素又はC1−6アルキル、特にメチルである化合物も特別な式(I)の化合物 50 (14) JP 4251438 B2 2009.4.8 である。 【0036】 さらにもっと別の興味深い式(I)の化合物は、R3又はR4がシアノ、アミノカルボ ニル、C1−6アルキル、ハロ、ポリハロC1−6アルキルから選ばれる1、2又は3個 の置換基で置換されているフェニルである化合物である。 【0037】 さらにもっと別の興味深い式(I)の化合物は、R4がシアノ、アミノカルボニル、C 1−6アルキル、ハロ、ポリハロメチル、好ましくはシアノ又はアミノカルボニルで置換 されているフェニルである化合物である。好ましい式(I)の化合物は: 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−6−(2−メチルフェノキシ)−3−オキソピ 10 ラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オ キソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−6−[(2−メチルフェニル)チオ]−3−オ キソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−1,6−ジメチル−5−(2−メチルフェノキ シ)−2(1H)−ピラジノン; 5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−3−(フェニルアミノ)−2(1H )−ピラジノン; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−[(2,4−ジメチルフェニル)チオ]− 20 1,6−ジメチル−2(1H)−ピラジノン; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−( フェニルメチル)ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−( フェニルメチル)ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−3−[[4−(トリフルオロメチル )フェニル]アミノ]−2(1H)−ピラジノン; 5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−3−[[4−(トリフルオロメチル )フェニル]アミノ]−2(1H)−ピラジノン; 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−トリメチル 30 フェニル)チオ]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−5−[(2,4,6−トリメチル フェニル)チオ]−2(1H)−ピラジノン; 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−トリメチル フェニル)スルホニル]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェニル)スルホニル]−3,4−ジヒドロ−4,5− ジメチル−3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−トリ メチルフェニル)スルホニル]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−トリ 40 メチルフェニル)スルフィニル]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−6−(2−メチルフェノキシ)−3−オ キソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル− 3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェニル)チオ]−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3 −オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1−メ チル−2(1H)−ピラジノン; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1,6 50 (15) JP 4251438 B2 2009.4.8 −ジメチル−2(1H)−ピラジノン; 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−6−[(2−メチルフェニル)チオ]− 3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−(2,4−ジメチルフェニルチオ)−1, 6−ジメチル−2(1H)−ピラジノン; 4−[[6−[(4−シアノフェニル)アミノ]−4,5−ジヒドロ−3,4−ジメチル −5−オキソピラジニル]オキシ]−3,5−ジメチル−ベンゾニトリル; 4−[4,5−ジメチル−3−オキソ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルスルフ ァニル)−3,4−ジヒドロ−ピラジン−2−イルアミノ]ベンゾニトリル; 4−[[6−[(2−メチルフェニル)チオ]−5−メチル−3,4−ジヒドロ−3−オ 10 キソ−4−(フェニルメチル)ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−5−メチル−6−[(2−メチルフェニル)チオ]−3−オ キソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−5−メチル−3,4−ジヒドロ−3−オ キソ−4−(フェニルメチル)ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 5−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−5−メチル−1−メチル−3−[[4−( トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]−2(1H)−ピラジノン; それらのN−オキシド、製薬学的に許容され得る付加塩、第4級アミン類及びそれらの立 体化学的異性体から選ばれる。 【0038】 20 やはり好ましい式(I)の化合物は、 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−6−(2−メチルフェノキシ)−3−オキソピ ラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オ キソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−6−[(2−メチルフェニル)チオ]−3−オ キソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−1,6−ジメチル−5−(2−メチルフェノキ シ)−2(1H)−ピラジノン; 5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−3−(フェニルアミノ)−2(1H 30 )−ピラジノン; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−[(2,4−ジメチルフェニル)チオ]− 1,6−ジメチル−2(1H)−ピラジノン; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−( フェニルメチル)ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−( フェニルメチル)ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−3−[[4−(トリフルオロメチル )フェニル]アミノ]−2(1H)−ピラジノン; 5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1−メチル−3−[[4−(トリフルオロメチル 40 )フェニル]アミノ]−2(1H)−ピラジノン; 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−トリメチル フェニル)チオ]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−5−[(2,4,6−トリメチル フェニル)チオ]−2(1H)−ピラジノン; 4−[[3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−トリメチル フェニル)スルホニル]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェニル)スルホニル]−3,4−ジヒドロ−4,5− ジメチル−3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−トリ 50 (16) JP 4251438 B2 2009.4.8 メチルフェニル)スルホニル]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−3−オキソ−6−[(2,4,6−トリ メチルフェニル)スルフィニル]ピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−6−(2−メチルフェノキシ)−3−オ キソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル− 3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェニル)チオ]−3,4−ジヒドロ−4−メチル−3 −オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1−メ 10 チル−2(1H)−ピラジノン; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−(2,4−ジメチルフェノキシ)−1,6 −ジメチル−2(1H)−ピラジノン; 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−6−[(2−メチルフェニル)チオ]− 3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 3−[(4−クロロフェニル)アミノ]−5−(2,4−ジメチルフェニルチオ)−1, 6−ジメチル−2(1H)−ピラジノン; 4−[[6−[(4−シアノフェニル)アミノ]−4,5−ジヒドロ−3,4−ジメチル −5−オキソピラジニル]オキシ]−3,5−ジメチル−ベンゾニトリル; 4−[4,5−ジメチル−3−オキソ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルスルフ 20 ァニル)−3,4−ジヒドロ−ピラジン−2−イルアミノ]ベンゾニトリル; それらのN−オキシド、製薬学的に許容され得る付加塩、第4級アミン及び立体化学的異 性体から選ばれる化合物である。 【0039】 特に好ましい式(I)の化合物は、 4−[[3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル−6−(2−メチルフェノキシ)−3−オ キソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−(2,4−ジメチルフェノキシ)−3,4−ジヒドロ−4,5−ジメチル− 3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−[(2,4−ジメチルフェニル)チオ]−3,4−ジヒドロ−4−メチル− 30 3−オキソピラジニル]アミノ]−ベンゾニトリル; 4−[[6−[(4−シアノフェニル)アミノ]−4,5−ジヒドロ−3,4−ジメチル −5−オキソピラジニル]オキシ]−3,5−ジメチル−ベンゾニトリル; それらのN−オキシド、製薬学的に許容され得る付加塩、第4級アミン類及びそれらの立 体化学的異性体から選ばれる。 【0040】 一般に式(I)の化合物は、W1が適した離脱基、例えばハロゲン原子、例えばクロロ 、ブロモなどを示す式(II)の中間体を適した触媒、例えばCuCl、酢酸パラジウム 、パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)、適した塩基、例えばCs2CO3 及び適した溶媒、例えばトルエン又は1−メチル−2−ピロリジノンの存在下に、場合に より単独のもしくは2,4,6−(トリ−tert−ブチル)−フェノールと組み合わさ れた酢酸エチルの存在下あるいは場合によりナフトエ酸の存在下で式(III)の中間体 と反応させることにより製造することができる。該反応を好ましくは高められた温度で行 なうことができ、且つ場合によりN2雰囲気下で行なうことができる。 【0041】 40 (17) JP 4251438 B2 2009.4.8 【化6】 【0042】 10 式(I)の化合物を、下記に記載するものを含む当該技術分野で既知の官能基変換反応 に従って互いに転換することができる。 【0043】 3価の窒素をそのN−オキシド形態に転換するための当該技術分野において既知の方法 に従って、式(I)の化合物を対応するN−オキシド形態に転換することができる。該N −酸化反応は一般に、式(I)の出発材料を適した有機もしくは無機過酸化物と反応させ ることにより行うことができる。適した無機過酸化物には例えば過酸化水素、アルカリ金 属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムが含ま れ;適した有機過酸化物にはペルオキシ酸、例えばベンゼンカルボペルオキソ酸又はハロ 置換ベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸、ペル 20 オキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばter tブチルヒドロ−ペルオキシドが含まれ得る。適した溶媒は例えば水、低級アルコール類 、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン類、例えば2−ブタノン、 ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン及びそのような溶媒の混合物である。 【0044】 XがSを示す式(I)の化合物は式(I−a)により示され、適した酸化剤、例えば過 酸化物、例えばクロロ過安息香酸の存在下、適した溶媒、例えばジクロロメタンの存在下 で、XがS(=O)mを示す式(I)の化合物に転換することができ、該化合物は式(I −b)により示される。 【0045】 30 【化7】 【0046】 40 R1が場合により置換されていることができるC1−6アルキルであってR1aにより 示される式(I)の化合物は式(I−c)により示され、R1が水素である式(I)の化 合物に脱アルキル化することができ、該化合物は式(I−d)により示される。従って式 (I−c)の化合物を最初に適した薬剤、例えばW2が適した離脱基、例えばハロゲン原 子、例えばクロロを示すPO(W2)3を用いて脱アルキル化し、W2が上記で定義した 通りである式(IV)の中間体を生成させる。該式(IV)の中間体を続いて適した溶媒 、例えばアルコール、例えばメタノール、エタノールなどの存在下で適したアルコラート 、例えばC1−2アルキルO−Na+、例えばメタノラートもしくはエタノラートと反応 させ、式(V)の中間体を生成させることができ、それを適した薬剤、例えばBBr3と の反応により式(I−d)の化合物に脱アルキル化することができる。 50 (18) JP 4251438 B2 2009.4.8 【0047】 【化8】 10 【0048】 20 R1aがアリールC1−6アルキルであり、式(I−c−1)により示される式(I− c)の化合物を適した薬剤、例えばAlCl3の存在下及び適した溶媒、例えばo−ジク ロロベンゼンの存在下で脱プロトン化することによって式(I−d)の化合物を製造する こともできる。反応はN2雰囲気下及び高められた温度において行なうことができる。 【0049】 【化9】 30 【0050】 下記の節に、前記の製造における中間体の製造のいくつかの方法を記載する。複数の中 間体及び出発材料が商業的に入手可能であるか又は当該技術分野において一般的に既知の 通常の反応法に従って製造できる既知の化合物である。 【0051】 式(II)の中間体は、適した酸、例えばスルホン酸、例えばショウノウスルホン酸、 トリフルオロメタンスルホン酸など及び適した溶媒、例えばアルコール、例えばイソプロ パノールなどの存在下で式(VI)の中間体を式(VII)の中間体と反応させることに より製造することができる。該反応は好ましくは高められた温度で行なわれる。 【0052】 40 (19) JP 4251438 B2 2009.4.8 【化10】 【0053】 10 式(VI)の中間体は、W1が上記で定義した通りである式(VIII)の中間体を適 した溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、クロロベンゼン、ジクロロメタン、ク ロロホルムの存在下に、場合により適した塩、例えばテトラエチルアンモニウムブロミド の存在下でW1が上記で定義した通りである式(IX)の中間体と反応させることにより 製造することができる。 【0054】 【化11】 20 【0055】 R1が水素である式(VI)の中間体は式(VI−a)により示され、式(X)の中間 体を適した塩基、例えば炭酸二ナトリウム及び適した溶媒、例えばN,N−ジメチルホル ムアミドの存在下で適したハロゲン化剤、例えばN−ブロモスクシンイミドと反応させる ことによって製造することもできる。 30 【0056】 【化12】 40 【0057】 上記の方法で製造される式(I)の化合物は立体異性体の混合物として、特にエナンチ オマーのラセミ混合物の形態で製造され得、それは当該技術分野において既知の分割法に 従って互いから分離され得る。式(I)のラセミ化合物を適したキラル酸との反応により 対応するジアステレオマー塩の形態に転換することができる。該ジアステレオマー塩の形 態を続いて例えば選択的もしくは分別結晶化により分離し、アルカリによりエナンチオマ ーをそれから遊離させる。式(I)の化合物のエナンチオマーの形態を分離する別の方法 は、キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。該純粋な立体化学的異性体を 、適した出発材料の対応する純粋な立体化学的異性体から誘導することもでき、但し、反 応は立体特異的に起る。特定の立体異性体が望ましい場合、好ましくは該化合物は立体特 50 (20) JP 4251438 B2 2009.4.8 異的な製造法により合成されるであろう。これらの方法は有利にはエナンチオマー的に純 粋な出発材料を用いるであろう。 発明の効果 【0058】 式(I)の化合物は、特にヒトにおける後天性免疫不全症候群(AIDS)の病因学的 作用体(aetiological agent)であるヒト免疫不全ウィルス(HIV )に対して、抗レトロウィルス性を示す。HIVウィルスはヒトT−4細胞に優先的に感 染し、それらを破壊するか又はそれらの正常な機能、特に免疫系の協調を変化させる。結 局、感染した患者のT−4細胞の数は絶えず減少し、さらにそれらは異常に行動する。従 って免疫学的防御システムは感染及び新生物と戦うことができず、HIV感染患者は通常 10 肺炎のような日和見感染により、又はガンにより死亡する。HIV感染に伴う他の状態に は血小板減少症、カポージ肉腫ならびに痴呆及び進行性構語障害、運動失調及び見当識障 害のような症状を生ずる進行性脱髄を特徴とする中枢神経系の感染が含まれる。HIV感 染はさらに末梢神経障害、進行性全身性リンパ節症(PGL)及びAIDS−関連症候群 (ARC)も伴ってきた。 【0059】 本化合物は、多剤耐性HIV株、特に多剤耐性HIV−1株に対しても活性を示し、さ らに特定的に本化合物は、当該技術分野において既知の非−ヌクレオシド逆転写酵素阻害 剤に対する後天性耐性を有するHIV株、特にHIV−1株に対する活性を示す。当該技 術分野において既知の非−ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤は本化合物以外の非−ヌクレオ 20 シド逆転写酵素阻害剤である。それらはまた、ヒトα−1酸糖タンパク質に対してほとん どもしくは全く結合親和性を有していない。 【0060】 それらの抗レトロウィルス性、特にそれらの抗−HIV性、特別にはそれらの抗−HI V−1−活性の故に、式(I)の化合物、それらのN−オキシド、製薬学的に許容され得 る付加塩、第4級アミン類及びそれらの立体化学的異性体は、HIVに感染した患者の処 置において、及びこれらの感染の予防のために有用である。一般に本発明の化合物は、そ の存在が逆転写酵素により媒介されるか又はそれに依存しているウィルスに感染した温血 動物の処置において有用であり得る。本発明の化合物を用いて予防又は処置されることが できる状態、特にHIV及び他の病原性レトロウィルスに伴う状態にはAIDS、AID 30 S−関連症候群(ARC)、進行性全身性リンパ節症(PGL)ならびにレトロウィルス により引き起こされる慢性CNS病、例えばHIV媒介痴呆及び多発性硬化症が含まれる 。 【0061】 従って本発明の化合物又はそれらのいずれかのサブグループを上記の状態に対する薬剤 として用いることができる。該薬剤としての使用又は処置の方法は、HIV−感染患者へ の、HIV及び他の病原性レトロウィルス、特にHIV−1に伴う状態と戦うのに有効な 量の全身的投与を含む。特に、式(I)の化合物をHIV感染の処置又は予防のための薬 剤の製造において用いることができる。 式(I)の化合物の利用性の観点から、ウィルス感染、特にHIV感染に苦しむヒトを 40 含む温血動物の処置の方法あるいはヒトを含む温血動物がそれらに苦しむのを予防する方 法を提供する。該方法はヒトを含む温血動物に式(I)の化合物、それらのN−オキシド 形態、製薬学的に許容され得る付加塩、第4級アミン又は可能な立体異性体の有効量を投 与すること、好ましくは経口的に投与することを含む。 【0062】 本発明は、治療的に有効な量の式(I)の化合物及び製薬学的に許容され得る担体もし くは希釈剤を含む、ウィルス感染の処置のための組成物も提供する。 【0063】 本発明の化合物又はそれらのいずれかのサブグループを投与目的のための種々の製薬学 的形態に調製することができる。全身的投与薬剤のために通常用いられるすべての組成物 50 (21) JP 4251438 B2 2009.4.8 を適した組成物として挙げることができる。本発明の製薬学的組成物の調製のためには、 場合により付加塩の形態における特定の化合物の活性成分として有効な量を、製薬学的に 許容され得る担体と緊密な混合物において合わせ、その担体は投与のために望ましい調剤 の形態に依存して多様な形態をとり得る。望ましくはこれらの製薬学的組成物は、特に経 口的、直腸的、経皮的又は非経口的注入による投与に適した単位投薬形態にある。例えば 経口的投薬形態における組成物の調製において、通常の製薬学的媒体のいずれか、例えば 懸濁剤、シロップ、エリキサー、乳剤及び溶液のような経口用液体調剤の場合、水、グリ コール類(例えばポリエチレングリコール類)、油、アルコールなど:あるいは粉剤、丸 薬、カプセル及び錠剤の場合、澱粉、糖類、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤 などのような固体担体を用いることができる。それらの投与の容易さのために、錠剤及び 10 カプセルは最も有利な経口的投薬単位形態を与え、その場合には固体の製薬学的担体が用 いられるのは明らかである。非経口用組成物の場合、担体は通常少なくとも大部分におい て無菌水を含むが、例えば溶解性を助けるための他の成分が含まれることができる。例え ば担体が食塩水、グルコース溶液又は食塩水とグルコース溶液の混合物を含む注入可能な 溶液を調製することができる。注入可能な懸濁剤も調製することができ、その場合には適 した液体担体、懸濁剤などを用いることができる。使用の直前に液体形態の調剤に転換さ れることが意図されている個体の形態の調剤も含まれる。経皮的投与に適した組成物の場 合、担体は場合により浸透促進剤及び/又は適した湿潤剤を、場合により皮膚に有意な悪 影響を引き起こさない小さい割合のいずれかの性質の適した添加剤と組み合わせて含むこ とができる。該添加剤は皮膚への投与を容易にすることができ、及び/又は所望の組成物 20 の調製を助けることができる。これらの組成物は種々の方法で、例えば経皮パッチとして 、スポット−オンとして、軟膏として投与することができる。吸入(inhalatio n)又は吸入(insufflation)を介して、この方法を介する投与のために当 該技術分野において用いられる方法及び調剤により、本発明の化合物を投与することもで きる。かくして一般に、本発明の化合物を溶液、懸濁剤又は乾燥粉剤の形態で肺に投与す ることができる。経口的又は鼻的吸入(inhalation)又は吸入(insuff lation)を介する溶液、懸濁剤又は乾燥粉剤の送達のために開発されたいずれのシ ステムも本化合物の投与に適している。 【0064】 式(I)の化合物の溶解性を助長するために、適した成分、例えばシクロデキストリン 30 が組成物中に含まれることができる。適したシクロデキストリンはα−、β−、γ−シク ロデキストリン又は、シクロデキストリンの無水グルコース単位のヒドロキシ基の1個も しくはそれより多くがC1−6アルキル、特にメチル、エチル又はイソプロピルで置換さ れているそれらのエーテル類及び混合エーテル類、例えば無作為にメチル化されたβ−C D;ヒドロキシC1−6アルキル、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシ−プロピルもしく はヒドロキシブチル;カルボキシC1−6アルキル、特にカルボキシメチルもしくはカル ボキシ−エチル;C1−6アルキルカルボニル、特にアセチルで置換されているそれらの エーテル及び混合エーテルである。錯体化剤及び/又は可溶化剤として特に注目すべきな のはβ−CD、無作為にメチル化されたβ−CD、2,6−ジメチル−β−CD、2−ヒ ドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−γ−CD、2−ヒドロキシプロピル 40 −γ−CD及び(2−カルボキシメトキシ)プロピル−β−CD及び特に2−ヒドロキシ プロピル−β−CD(2−HP−β−CD)である。 【0065】 混合エーテルという用語は、少なくとも2個のシクロデキストリンヒドロキシ基が異な る基で、例えばヒドロキシ−プロピル及びヒドロキシエチルでエーテル化されているシク ロデキストリン誘導体を示す。 【0066】 平均モル置換(M.S.)は無水グルコースのモル当たりのアルコキシ単位の平均モル 数の尺度として用いられる。平均置換度(D.S.)は無水グルコース単位当たりの置換 されたヒドロキシルの平均数を指す。種々の分析的方法、例えば核磁気共鳴(NMR)、 50 (22) JP 4251438 B2 2009.4.8 質量分析(MS)及び赤外分光分析(IR)によりM.S.及びD.S.値を決定するこ とができる。用いられる方法に依存して、1つの与えられるシクロデキストリン誘導体に 関してわずかに異なる値が得られ得る。好ましくは質量分析により測定される場合、M. S.は0.125∼10の範囲であり、D.S.は0.125∼3の範囲である。 【0067】 経口的又は直腸的投与のための他の適した組成物は、式(I)の化合物及び1種もしく はそれより多い適した製薬学的に許容され得る水溶性ポリマーを含む固体分散系から成る 粒子を含む。 【0068】 下記で用いられる「固体分散系」という用語は、少なくとも2種の成分、この場合は( 10 in casu)式(I)の化合物と水溶性ポリマーを含み、ここで一つの成分が単数も しくは複数(当該技術分野において一般的に既知の追加の製薬学的に許容され得る調製剤 、例えば可塑剤、防腐剤などが含まれる場合)の他の成分全体に多少均一に分散されてい る固体状態(液体又は気体状態に対して)における系を定義している。該成分の分散系が 、系が化学的及び物理的に全体を通じて均一又は均質であるか、あるいは熱力学で定義さ れる1つの相から成るようなものである場合、そのような固体分散系は「固溶体」と呼ば れる。固溶体は、その中の成分が通常それらが投与される生物にとって容易に生物利用性 となる故に好ましい物理的系である。この利点はおそらく、該固溶体が胃−腸液のような 液体媒体と接触する時に液体の溶液を形成できる容易さにより説明され得る。溶解の容易 さは少なくとも部分的に、固溶体からの成分の溶解に必要なエネルギーが結晶性又は微結 20 晶性固体相からの成分の溶解に必要なエネルギーより少ないことに起因し得る。 【0069】 「固体分散系」という用語は、固溶体より全体を通じて均一でない分散系も含む。その ような分散系は化学的及び物理的に全体を通じて均一でないか、あるいは1つより多い相 を含む。例えば「固体分散系」という用語は、非晶質、微結晶性もしくは結晶性の式(I )の化合物又は非晶質、微結晶性もしくは結晶性の水溶性ポリマーあるいは両方が水溶性 ポリマー又は式(I)の化合物を含む他の相あるいは式(I)の化合物と水溶性ポリマー を含む固溶体中に多少均一に分散されているドメイン又は小領域を有する系にも関する。 該ドメインは、いくつかの物理的特徴により明確に特色付けられ、寸法が小さく、そして 固体分散系全体に均一且つ無作為に分布する固体分散系内の領域である。 30 【0070】 固体分散系の調製のために、溶融−押出し、スプレー−乾燥及び溶液−蒸発を含む種々 の方法がある。 【0071】 溶液−蒸発法は以下の: a)式(I)の化合物及び水溶性ポリマーを場合により高められた温度で適した溶媒中に 溶解し; b)a)点の下で得られる溶液を場合により真空下で、溶媒が蒸発するまで加熱する 段階を含む。溶液を大表面上に注いで薄いフィルムを形成し、そこから溶媒を蒸発させる こともできる。 40 【0072】 スプレー−乾燥法では、やはり2つの成分を適した溶媒中に溶解し、次いで得られる溶 液をスプレードライヤーのノズルを介してスプレー噴霧し、続いて得られる液滴から高め られた温度で溶媒を蒸発させる。 【0073】 固体分散系の調製のための好ましい方法は、以下の: a)式(I)の化合物及び適した水溶性ポリマーを混合し、 b)場合によりかくして得られる混合物と添加剤を配合し、 c)かくして得られるブレンドを均一な溶融物が得られるまで加熱し且つ配合し、 d)かくして得られる溶融物を1つもしくはそれより多いノズルを介して押出し;そして 50 (23) JP 4251438 B2 2009.4.8 e)溶融物が固化するまでそれを冷却する 段階を含む溶融−押出し法である。 【0074】 「溶融物」及び「溶融する」という用語は広く解釈されるべきである。これらの用語は 固体状態から液体状態への変化を意味するのみでなく、ガラス状の状態からゴム状の状態 への遷移を指すこともでき、そこにおいて混合物の一方の成分が他方の成分中に多少均一 に埋め込まれることもできる。特別な場合には、一方の成分が溶融し、単数もしくは複数 の他の成分が溶融物中に溶解し、かくして溶液を形成し、それは冷却されると有利な溶解 性を有する固溶体を形成することができる。 【0075】 10 上記の固体分散系の調製の後、得られる生成物を場合により微粉砕し、篩別することが できる。 【0076】 固体分散系生成物を600μm未満、好ましくは400μm未満そして最も好ましくは 125μm未満の粒度を有する粒子に微粉砕又は粉砕することができる。 【0077】 上記の通りに調製される粒子を次いで通常の方法により錠剤及びカプセルのような製薬 学的投薬形態に調製することができる。 【0078】 上記の固体分散系調製法のパラメーター、例えば最も適した溶媒、作業温度、用いられ 20 る装置の種類、スプレー−乾燥の速度、溶融−押出機における押出速度を、当該技術分野 における熟練者が最適化できることはわかるであろう。 【0079】 粒子中の水溶性ポリマーは、20℃で水溶液中に2%(w/v)において溶解される時 に1∼5000mPa.s、より好ましくは1∼700mPa.sそして最も好ましくは 1∼100mPa.sの見掛粘度を有するポリマーである。例えば適した水溶性ポリマー にはアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキル セルロース、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースのアルカリ 金属塩、カルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエステ ル、澱粉、ペクチン、キチン誘導体、二−、オリゴ−及び多糖類、例えばトレハロース、 30 アルギン酸又はそれらのアルカリ金属及びアンモニウム塩、カラゲナン、ガラクトマンナ ン、トラガカント、寒天、アラビアゴム、グアゴム及びキサンタンゴム、ポリアクリル酸 及びそれらの塩、ポリメタクリル酸及びそれらの塩、メタクリレートコポリマー、ポリビ ニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリ マー、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組み合わせ、ポリアルキレンオキ シドならびにエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーが含まれる。好ましい 水溶性ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。 【0080】 国際公開第97/18839号パンフレットに記載されている通り、上記の粒子の調製 物における水溶性ポリマーとして1種もしくはそれより多いシクロデキストリンを用いる 40 こともできる。該シクロデキストリンには当該技術分野において既知の製薬学的に許容さ れ得る非置換及び置換シクロデキストリン、さらに特定的にはα−、β−、γ−シクロデ キストリン又は製薬学的に許容され得るそれらの誘導体が含まれる。 【0081】 上記の粒子の調製に用いられ得る置換シクロデキストリンには米国特許第3,459, 731号明細書に記載されているポリエーテルが含まれる。さらに別の置換シクロデキス トリンは1個もしくはそれより多いシクロテキスリトンヒドロキシ基の水素がC1−6ア ルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、カルボキシ−C1−6アルキル又はC1−6アル キルオキシカルボニルC1−6アルキルで置き換えられているエーテルあるいはそれらの 混合エーテルである。特にそのような置換シクロデキストリンは、1個もしくはそれより 50 (24) JP 4251438 B2 2009.4.8 多いシクロテキスリトンヒドロキシ基の水素がC1−3アルキル、ヒドロキシC2−4ア ルキル又はカルボキシC1−2アルキルあるいはさらに特定的にメチル、エチル、ヒドロ キシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、カルボキシメチル又はカルボキシ エチルで置き換えられているエーテルである。 【0082】 特に有用なのはβ−シクロデキストリンエーテル、例えばDrugs of Futu re,Vol.9,No.8,p.577−578(1984)においてM.Nogra diにより記載されているようなジメチル−β−シクロデキストリン及びポリエーテルで あり、例えばヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン及びヒドロキシエチルβ−シク ロデキストリンが例である。そのようなアルキルエーテルは約0.125∼3、例えば約 10 0.3∼2の置換度を有するメチルエーテルであることができる。そのようなヒドロキシ プロピルシクロデキストリンは例えばβ−シクロデキストリンとプロピレンオキシドの間 の反応から生成し得、約0.125∼10、例えば約0.3∼3のMS値を有しているこ とができる。 【0083】 他の型の置換シクロデキストリンはスルホブチルシクロデキストリンである。 【0084】 式(I)の化合物対水溶性ポリマーの比率は広く変化し得る。例えば1/100∼10 0/1の比率を適用することができる。興味深い式(I)の化合物対シクロデキストリン の比率は約1/10∼10/1の範囲である。さらに興味深い比率は約1/5∼5/1の 20 範囲である。 【0085】 1000nm未満の有効平均粒度を保持するのに十分な量で表面改質剤がその表面上に 吸着しているナノ粒子の形態で式(I)の化合物を調製するのはさらに簡便であり得る。 有用な表面改質剤には、式(I)の化合物の表面上に物理的に接着するが該化合物に化学 的に結合しないものが含まれると思われる。適した表面改質剤は好ましくは既知の有機及 び無機製薬学的賦形剤から選ばれることができる。そのような賦形剤には種々のポリマー 、低分子量オリゴマー、天然産物及び界面活性剤が含まれる。好ましい表面改質剤には非 イオン性及びアニオン性界面活性剤が含まれる。 【0086】 30 式(I)の化合物の調製のさらに別の興味深い方法は、式(I)の化合物が親水性ポリ マー中に導入された製薬学的組成物及びこの混合物を多くの小ビーズ上のコートフィルム として適用し、かくして簡便に製造することができ且つ経口的投与のための製薬学的投薬 形態の調製に適した組成物を得ることを含む。 【0087】 該ビーズは中心の丸い、又は球状の芯、親水性ポリマーと式(I)の化合物のコーティ ングフィルム及び場合によりシール−コーティング層を含む。 【0088】 ビーズの芯として用いるのに適した材料はマニホールドであり、但し該材料は製薬学的 に許容され得、且つ適した寸法及び堅さを有する。そのような材料の例はポリマー、無機 40 物質、有機物質ならびに糖類及びそれらの誘導体である。 【0089】 投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、前記の製薬学的組成物を単位投薬形態で調 製するのが特に有利である。本明細書で用いられる単位投薬形態は、1回の投薬として適 した物理的に分離した単位を指し、各単位は所望の治療効果を生むために計算されたあら かじめ決められた量の活性成分を、必要な製薬学的担体と一緒に含有する。そのような単 位投薬形態の例は錠剤(刻み付き又はコーティング錠を含む)、カプセル、丸薬、粉剤小 包、ウェハース、座薬、注入可能な溶液又は懸濁液などならびに分離されたそれらの複数 である。 【0090】 50 (25) JP 4251438 B2 2009.4.8 HIV−感染の処置における熟練者は、本明細書に示す試験結果から有効な1日量を決 定できるはずである。一般に、有効な1日量は体重のkg当たり0.01mg∼50mg 、より好ましくは体重のkg当たり0.1mg∼10mgであろうと思われる。必要な投 薬量を1日を通じての適した間隔における2、3、4回もしくはそれより多い細分−投薬 量として投与するのが適しているかもしれない。該細分−投薬量を例えば単位投薬形態当 たりに1∼1000mg、特に5∼200mgの活性成分を含有する単位投薬形態として 調製することができる。 【0091】 正確な投薬量及び投与の頻度は、当該技術分野における熟練者が周知の通り、用いられ る特定の式(I)の化合物、処置される特定の状態、処置される状態の重度、特定の患者 10 の年令、体重及び一般的身体条件ならびに患者が摂取してい得る他の薬剤に依存する。さ らに、処置される患者の応答に依存して、及び/又は本発明の化合物を処方する医師の評 価に依存して、該有効な1日量を減少させるか又は増加させることができることは明らか である。従って、上記で挙げた有効な1日量の範囲は単に指針であり、本発明の範囲又は 使用をいずれの程度にも制限することは意図されていない。 【0092】 本式(I)の化合物は単独で、又は他の治療薬、例えば抗−ウィルス薬、抗生物質、抗 菌・カビ剤、免疫調節剤又はウィルス感染及び日和見感染の処置のためのワクチンと組み 合わせて用いることができる。それらを単独で又はウィルス感染の予防のための他の予防 薬と組み合わせて用いることもできる。本化合物を長時間に及んでウィルス感染に対して 20 患者を守るためのワクチン及び方法において用いることができる。本化合物をそのような ワクチンにおいて単独で、又は本発明の他の化合物と一緒に、又は他の抗−ウィルス薬と 一緒に、ワクチンにおける逆転写酵素阻害剤の通常の利用と一致する方法で用いることが できる。かくして本化合物をワクチンにおいて通常用いられる製薬学的に許容され得る添 加剤と組み合わせ、予防的に有効な量で投与し、HIV感染に対して長時間に及んで患者 を守ることができる。 【0093】 また、抗レトロウィルス性化合物と式(I)の化合物の組み合わせを薬剤として用いる ことができる。かくして本発明は、抗−HIV処置における同時、分離もしくは順次使用 のための組み合わされた調剤として(a)式(I)の化合物及び(b)他の抗レトロウィ 30 ルス性化合物を含有する製品にも関する。1つの調剤中で種々の薬剤を製薬学的に許容さ れ得る担体と一緒に組み合わせることができる。該他の抗レトロウィルス性化合物は、既 知の抗レトロウィルス性化合物、例えばスラミン(suramine)、ペンタミジン( pentamidine)、チモペンチン(thymopentin)、カスタノスペル ミン(castanospermine)、デクストラン(dextran)(デクスト ランサルフェート)、ホスカルネト−ナトリウム(foscarnet−sodium) (トリナトリウムホスホノホルメート);ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えばジドブ ジン(zidovudine)(3’−アジド−3’−デオキシチミジン、AZT)、ジ ダノシン(didanosine)(2’,3’−ジデオキシイノシン;ddI)、ザル シタビン(zalcitabine)(ジデオキシシチジン、ddC)又はラミブジン( 40 lamivudine)(2’−3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン、3TC)、ス タブジン(stavudine)(2’,3’−ジデヒドロ−3’−デオキシチミジン、 d4T)、アバカビル(abacavir)など;非−ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、 例えばネビラピン(nevirapine)(11−シクロプロピル−5,11−ジヒド ロ−4−メチル−6H−ジピリド−[3,2−b:2’,3’−e][1,4]ジアゼピ ン−6−オン)、エファビレンツ(efavirenz)、デラビルジン(delavi rdine)、TMC−120、TMC−125など;TIBO(テトラヒドロ−イミダ ゾ[4,5,1−jk][1,4]−ベンゾジアゼピン−2(1H)−オン及びチオン) −型の化合物、例えば(S)−8−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロ−5−メチル −6−(3−メチル−2−ブテニル)イミダゾ−[4,5,1−jk][1,4]−ベン 50 (26) JP 4251438 B2 2009.4.8 ゾジアゼピン−2(1H)−チオン;α−APA(α−アニリノフェニルアセトアミド) 型の化合物、例えばα−[(2−ニトロフェニル)アミノ]−2,6−ジクロロベンゼン −アセトアミドなど;トランス−活性化タンパク質の阻害剤、例えばTAT−阻害剤、例 えばRO−5−3335又はREV阻害剤など;プロテアーゼ阻害剤、例えばインジナビ ル(indinavir)、リトナビル(ritonavir)、サクイナビル(saq uinavir)、ロピナビル(lopinavir)(ABT−378)、ネルフィナ ビル(nelfinavir)、アムプレナビル(amprenavir)、TMC−1 26、BMS−232632、VX−175など;融合阻害剤、例えばT−20、T−1 249など;CXCR4レセプターアンタゴニスト、例えばAMD−3100など;ウィ ルスインテグラーゼの阻害剤;ヌクレオチド−様逆転写酵素阻害剤、例えばテノフォビル 10 (tenofovir)など;リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、例えばヒドロキシ ウレアなどであることができる。 【0094】 ウィルスのライフサイクル中の種々の事象(events)を標的とする他の抗−ウィ ルス薬と一緒に本発明の化合物を投与することにより、これらの化合物の治療効果を強力 にすることができる。上記の組み合わせ治療は、組み合わせの各成分がHIV複製の異な る部位に作用するので、HIV複製の阻害において相乗効果を発揮する。そのような組み 合わせの使用は、所望の治療もしくは予防効果に必要であろう与えられた通常の抗−レト ロウィルス薬の投薬量を、その薬剤がモノテラピー(monotherapy)として投 与される場合と比較して減少させることができる。これらの組み合わせは、薬剤の抗−ウ 20 ィルス活性を妨げることなく、通常の単一の抗−レトロウィルス治療の副作用を減少させ るか、又は取り除くことができる。これらの組み合わせは、それに伴う毒性を最少にしな がら、単一薬剤治療への耐性の可能性を減少させる。これらの組み合わせは、それに伴う 毒性を増加させることなく、通常の薬剤の有効性を増加させることもできる。 【0095】 感染ならびにAIDS及びARC、例えば痴呆のようなHIV感染に関連する疾患又は 疾患の症状を予防するか、又はそれと戦うために、本発明の化合物を免疫調節剤、例えば レバミソール(levamisole)、ブロピリミン(bropirimine)、抗 −ヒトアルファインターフェロン抗体、インターフェロン アルファ、インターロイキン 2、メチオニン エンケファリン、ジエチルジチオカルバメート、腫瘍壊死因子、ナル 30 トレキソン(naltrexone)など;抗生物質、例えばペンタミジン イセチオレ ート(pentamidine isethiorate)など;又はコリン作用薬、例 えばタクリン(tacrine)、リバスチグミン(rivastigmine)、ドネ ペジル(donepezil)、ガランタミン(galantamine)などと組み合 わせて投与することもできる。式(I)の化合物を他の式(I)の化合物と組み合わせる こともできる。 【0096】 本発明はHIV感染の予防又は処置のための本化合物の使用に焦点を当てているが、そ れらのライフサイクル中の義務的事象(obligatory events)を類似の 逆転写酵素に依存している他のウィルスのための阻害剤として本化合物を用いることもで 40 きる。 実験部分 A.中間化合物の製造 実施例A1 a.CH2Cl2(50ml)中の臭化オキサリル(8.82g)の溶液をジクロロメタ ン(200ml)中の2−(メチルアミノ)−プロパンニトリル臭化水素化物(3.30 g)の懸濁液に滴下した。滴下の後、3滴のN,N−ジメチルホルムアミドを加え、得ら れる混合物をすぐに24時間還流させた。溶液の蒸発の後、残留物をカラムクロマトグラ フィー(シリカゲル、ジクロロメタン中の5%酢酸エチル)により精製し、3.90g( 69%)の3,5−ジブロモ−2,6−ジメチル−2(1H)−ピラジノン(中間体1; 50 (27) JP 4251438 B2 2009.4.8 融点 119∼120℃)を得た。 b.メチルアミノアセトニトリル塩酸塩[CAS−25808−30−4](43.91 g、400ミリモル)を150mlのK2CO3(55.28g、400ミリモル)の水 溶液で処理した。この水溶液をCH2Cl2(4x150ml)で抽出した。ジクロロメ タン溶液をMgSO4上で乾燥し、15∼18℃において減圧下で蒸発させた。残留物を 乾燥Et2O中に溶解し、溶液を介してHBrガスを泡立てた。沈殿を濾過により集め、 デシケーター中で終夜乾燥し、32.62g(54%)のメチルアミノアセトニトリル臭 化水素塩(中間体2a)を得た。 c.中間体2bの製造 【0097】 【化13】 10 【0098】 臭化オキサリル(3.90ml、2.62ミリモル)をCHCl3(50ml)中の中 間体2a(2g、13.31ミリモル)の懸濁液に滴下し、続いてテトラエチルアンモニ 20 ウムブロミド(1.45g、6.65ミリモル)を加えた。反応混合物を4時間還流させ 、次いで蒸発させた。残留物をシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけ(CH2 Cl2中の10%酢酸エチル)、0.99g(28%)の中間体2bを得た([MH+] =化学イオン化質量分析により決定されるプロトン化された化合物の質量=267)。 実施例A2 a.2−プロパノール(50ml)中の中間体1(1.50g)、4−アミノベンゾニト リル(0.94g)及びショウノウスルホン酸(1.26g)の混合物を48時間還流さ せた(油浴120℃)。反応混合物の冷却後、濾過により沈殿を集め、2−プロパノール 、炭酸カリウム水溶液、水及びジエチルエーテルで連続的に洗浄した。シリカゲル上のカ ラムクロマトグラフィー(CH2Cl2中の5%酢酸エチル)による精製は1.42gの 30 5−ブロモ−3−(4−シアノフェニルアミノ)−1,6−ジメチル−2(1H)−ピラ ジノン(中間体3;融点 254∼255℃)を与えた。 b.中間体4の製造 【0099】 【化14】 40 【0100】 2−プロパノール(50ml)中の中間体2b(1.34g;5ミリモル)、4−アミ ノベンゾニトリル(0.904g;7.5ミリモル)及び10−ショウノウスルホン酸( 1.18g;5ミリモル)の混合物を48時間還流させた(油浴120℃)。反応混合物 の冷却後、濾過により沈殿を集め、2−プロパノール、炭酸カリウム水溶液、水及びジエ 50 (28) JP 4251438 B2 2009.4.8 チルエーテルで連続的に洗浄した。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(CH2C l2中の10%酢酸エチル)による精製は1.21g(79%)の中間体4を与えた;融 点 293∼294℃)。 実施例A3 a.中間体5の製造 【0101】 【化15】 10 【0102】 400mlの水中の19g(100ミリモル)のNa2S2O3及び8.81g(20 0ミリモル)のアセトアルデヒドの混合物に21.4g(200ミリモル)のベンジルア ミンを加えた。60℃で4時間攪拌した後、反応混合物を室温に冷却し、続いて13.0 3gのKCNを加えた。この反応混合物を再度60℃で15時間攪拌した。次いでそれを CH2Cl2で抽出し(2x250ml)、有機層を水で洗浄し、MgSO4上で乾燥し 、濾過し、蒸発させた。得られるα−アミノニトリルを300mlのジエチルエーテル中 20 に溶解した。溶液を介してHClガスを0℃で15分間泡立てた。得られるα−アミノニ トリル塩酸塩を濾過した。沈殿をジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥し、16.6 3g(85%)の中間体5を得た。 b.中間体6の製造 【0103】 【化16】 30 【0104】 クロロベンゼン(20ml)を中間体5(16.63g;85ミリモル)に室温で加え 、続いて100mlのクロロベンゼン中の塩化オキサリル(43ml、480ミリモル) の溶液を30分かけて、ならびに10gのトリエチルアンモニウムクロリドを滴下した。 反応混合物を室温で窒素下に、2日間攪拌した。溶媒の蒸発の後、残留物をシリカゲルカ ラムクロマトグラフィー(溶離剤としてCH2Cl2及びCH2Cl2中の5%酢酸エチ ルを用いる)により精製した。EtOH中の再結晶は14.41g(63%)の中間体6 を与えた。 c.中間体7の製造 【0105】 40 (29) JP 4251438 B2 2009.4.8 【化17】 10 【0106】 2−プロパノール(50ml)中の中間体6(1.35g;5ミリモル)、4−アミノ ベンゾニトリル(0.904g;7.5ミリモル)及び10−ショウノウスルホン酸(1 .18g;5ミリモル)の混合物を48時間還流させた(油浴120℃)。反応混合物の 冷却後、濾過により沈殿を集め、2−プロパノール、炭酸カリウム水溶液、水及びジエチ ルエーテルで連続的に洗浄した。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(CH2Cl 2中の5%酢酸エチル)による精製は80%の中間体7を与えた(融点 254℃)。 20 実施例A4 a.中間体8の製造 【0107】 【化18】 30 【0108】 トルエン中のdl−ラクトニトリル(2.243g;30ミリモル)の溶液にベンジル アミン(3.226g;30ミリモル)を加えた。室温で終夜攪拌した後、生成する水を 除去し、トルエン溶液をMgSO4上で乾燥した。濾過及びトルエンの蒸発の後、得られ る残留物を乾燥エチルエーテル中に溶解し、臭化水素を用いて0℃で30分間処理した。 得られる臭化物塩を濾過し、乾燥し、6.87g(95%)の中間体8を得た。 b.中間体9の製造 【0109】 【化19】 40 【0110】 CH2Cl2(50ml)中の臭化オキサリル(60ml;40ミリモル)の溶液をC H2Cl2(200ml)中の中間体8(4.82g;20ミリモル)の懸濁液に滴下し 50 (30) JP 4251438 B2 2009.4.8 た。滴下の後、数滴(3)のN,N−ジメチルホルムアミドを加え、得られる混合物をす ぐに24時間還流させた。溶液の蒸発の後、残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラ フィー(CH2Cl2中の5%酢酸エチル)により精製した。EtOH中の再結晶の後、 4.30g(60%)の中間体9が得られた(融点 126℃)。 c.中間体10の製造 【0111】 【化20】 10 【0112】 20 2−プロパノール(50ml)中の中間体9(1.79g;5ミリモル)、4−アミノ ベンゾニトリル(0.904g;7.5ミリモル)及び10−ショウノウスルホン酸(1 .18g;5ミリモル)の混合物を48時間還流させた(油浴120℃)。反応混合物の 冷却後、濾過により沈殿を集め、2−プロパノール、炭酸カリウム水溶液、水及びジエチ ルエーテルで連続的に洗浄した。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:C H2Cl2)による精製は1.80g(91%)の中間体10を与えた(融点 262℃ )。 B.最終的化合物の製造 実施例B1 a.化合物26の製造 30 【0113】 【化21】 40 【0114】 トルエン(50ml)中の中間体3(A2.aに従って製造)(0.32g)、2,4 ,6−トリメチルベンゼンチオール(0.304g)、炭酸セシウム(0.655g)、 塩化銅(I)(0.060g)及び5滴の酢酸エチルの混合物を120℃で24時間加熱 した。溶媒の蒸発の後、残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル中 の40%ヘキサン)により精製した。得られる生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキ サンと酢酸エチルの1/1混合物;酢酸エチル中の40%ヘキサン)により再精製し、1 29mgの化合物26を得た(融点 226∼227℃)。 50 (31) JP 4251438 B2 2009.4.8 b.化合物20の製造 【0115】 【化22】 10 【0116】 トルエン(500ml)中の中間体3(A2.aに従って製造)(2.393g;7. 5ミリモル)、2,4−ジメチルフェノール(1.887g;15ミリモル)、2,4, 6−トリ−tert−ブチルフェノール(2.026g;7.5ミリモル)、炭酸セシウ ム(7.536g;23ミリモル)、塩化銅(I)(150mg)及び酢酸エチル(1m l)の混合物を120℃で24時間加熱した。溶媒の蒸発の後、残留物をカラムクロマト グラフィー(シリカゲル、CH2Cl2中の10%酢酸エチル)により、続いて高性能液 20 体クロマトグラフィー(酢酸エチル中の40%ヘキサン)により精製し、0.945g( 35%)の化合物20を得た。 c.化合物1の製造 【0117】 【化23】 30 【0118】 中間体3(A2.aに従って製造)(0.24g;0.75ミリモル)、4−ヒドロキ シ−3,5−ジメチルベンゾニトリル(0.22g;1.5ミリモル)、炭酸セシウム( 0.344g;1.05ミリモル)、塩化銅(I)(0.04g)、1−ナフトエ酸(0 .18g;1.05ミリモル)及びモレキュラーシーブ4Å(0.20g)の混合物をト ルエン(30ml)中で6日間還流させた。溶媒の蒸発の後、残留物をカラムクロマトグ ラフィー(シリカゲル、CH2Cl2中の15%酢酸エチル)により、続いて高性能液体 クロマトグラフィー(酢酸エチル中の40%ヘキサン)により精製し、28mgの化合物 1を得た。 実施例B2 化合物17及び化合物18の製造 【0119】 40 (32) JP 4251438 B2 2009.4.8 【化24】 10 【0120】 15mlのCH2Cl2中の化合物26(0.101g)の溶液に3−クロロ過安息香 酸(0.082g)を加えた。室温で24時間攪拌した後、反応混合物を炭酸カリウムの 水溶液で洗浄し、乾燥してから蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィーにかけ、 CH2Cl2中の10%酢酸エチルを用いて最初に化合物17を溶離させ、次いで酢酸エ チルを用いて化合物18を溶離させ、0.033gの化合物17及び0.058gの化合 20 物18を得た。 実施例B3 a.化合物27の製造 【0121】 【化25】 30 40 【0122】 乾燥2口丸底フラスコにN2下で中間体7(A3.cに従って製造)(2ミリモル)、 乾燥1−メチル−2−ピロリジノン(10ml)及び新しい(freshly)チオクレ ゾール(0.523g;4ミリモル)を加えた。次いでN2下で固体Cs2CO3(1. 638g;5ミリモル)を加えた。次いでフラスコの中身を攪拌しながら、フラスコを1 30℃における油浴中で3時間加熱した。室温に冷却した後、溶媒を減圧下で蒸発させた 。残留物に水を加え、CH2Cl2を用いて3回抽出した。集めたCH2Cl2をブライ ンで洗浄し、MgSO4上で乾燥した。濾過及び有機溶媒の除去の後、粗生成物をカラム クロマトグラフィー(シリカゲル、溶離剤 CH2Cl2中の5%酢酸エチル−CH2C 50 (33) JP 4251438 B2 2009.4.8 l2中の10%酢酸エチル)により精製し、0.525g(60%)の化合物27を得た (融点 195℃)。 b.化合物28の製造 【0123】 【化26】 10 【0124】 0.438g(1ミリモル)の化合物27をN2下で乾燥o−ジクロロベンゼンに加え 、続いて0.134g(3ミリモル)のAlCl3を加えた。次いでフラスコの中身を攪 拌しながら、フラスコを160℃における油浴中で6時間加熱した。室温に冷却した後、 溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物を水で洗浄し、真空下で乾燥した。酢酸エチルを用い る結晶化は0.104g(30%)の化合物28を与えた(融点 290∼291℃)。 20 実施例B4 化合物9の製造 【0125】 【化27】 30 【0126】 トルエン(60ml)中の中間体11 【0127】 【化28】 40 50 (34) JP 4251438 B2 2009.4.8 【0128】 (A4.cに従って製造)(0.381g;1ミリモル)、2,4−ジメチルフェノール (0.252g;2ミリモル)、炭酸セシウム(0.819g;2.5ミリモル)及び触 媒量の塩化銅(I)(50mg)の混合物を110℃で48時間加熱した。室温に冷却し た後、溶媒を蒸発させ、CH2Cl2を用いて粗混合物を抽出した(3回)。有機相をM gSO4上で乾燥し、濾過し、蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ ゲル、CH2Cl2中の2−5%酢酸エチル)により、続いて高性能液体クロマトグラフ ィー(CH2Cl2中の2%酢酸エチル)により精製し、0.53g(12.5%)の化 合物9を得た(融点 175℃)。 実施例B5 10 化合物4及び 化合物5の製造 【0129】 【化29】 20 【0130】 トルエン(25ml)中の中間体4(A2.bに従って製造)(230mg、0.75 ミリモル)、o−チオクレゾール(145mg、1.13ミリモル)、炭酸セシウム(4 94mg、1.51ミリモル)及び塩化銅(I)(30mg)の混合物を120℃で36 時間加熱した。室温に冷却した後、溶媒を蒸発させ、残留物をCH2Cl2で抽出した。 有機相をMgSO4上で乾燥し、濾過し、蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムク ロマトグラフィー(CH2Cl2中の5%酢酸エチル)にかけた後、2つの純粋でない画 分が得られた。第1の画分を酢酸エチル中の再結晶によりさらに精製し、0.071g( 20%)の化合物5を得た。第2の画分をシリカゲル上の高性能液体クロマトグラフィー (ヘキサン/酢酸エチル:2/3)によりさらに精製し、0.078g(30%)の化合 物4を得た。 【0131】 表1は、上記の実施例の1つに従って製造された式(I)の化合物を挙げている。 【0132】 30 (35) JP 4251438 B2 2009.4.8 【表1】 10 20 30 【0133】 (36) JP 4251438 B2 2009.4.8 【表2】 10 20 30 40 【0134】 C.薬理学的実施例 以下の試験を用いて本化合物の薬理学的活性を調べた。 【0135】 抗−HIV薬の試験管内評価のために迅速、感受性且つ自動化アッセイ法を用いた。以 前にHIV感染を高度に受け易く且つそれを可能にする(permissive)ことが 50 (37) JP 4251438 B2 2009.4.8 示されている(Koyanagi et al.,Int.J.Cancer,36,4 45−451,1985)HIV−1形質転換されたT4−細胞系、MT−4が標的細胞 系として働いた。最終点としてHIV−誘導細胞変性効果の阻害を用いた。HIV−及び 擬似(mock)−感染細胞の両方の生存能(viability)を、3−(4,5− ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT )のその場還元を介して分光光度測定により評価した。50%細胞毒性濃度(μMにおけ るCC50)を擬似−感染標準試料の吸光を50%減少させる化合物の濃度として定義し た。HIV−感染細胞において化合物により達成されるパーセント保護を次式により計算 し: 【0136】 【数1】 10 【0137】 ここで(ODT)HIVはHIV−感染細胞において与えられた濃度の試験化合物を用い て測定される光学濃度であり;(ODC)HIVは標準未処置HIV−感染細胞に関して 測定される光学濃度であり;(ODC)MOCKは標準未処置擬似−感染細胞に関して測 定される光学濃度であり;すべての光学濃度の値は540nmにおいて測定された。上記 20 の式に従って50%保護を達成する用量を50%阻害濃度(μMにおけるIC50)とし て定義した。CC50対IC50の比率を選択指数(SI)として定義した。式(I)の 化合物はHIV−1を有効に阻害することが示された。特定のIC50、CC50及びS Iの値を下記の表2に挙げる。 【0138】 【表3】 30 40 (38) JP 4251438 B2 2009.4.8 フロントページの続き (72)発明者 ジヤンセン,ポール・アドリアーン・ジヤン ベルギー・ビー−2340ビールセ・トウルンホウトセベーク30・ジヤンセン・フアーマシユー チカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (72)発明者 バン・アケン,ケン・ジヤンヌ・アルフオンス ベルギー・ビー−8500コルトリーク・ブルイニングストラート3 (72)発明者 レウイ,パウルス・ジヨアネス ベルギー・ビー−2340ビールセ・トウルンホウトセベーク30・ジヤンセン・フアーマシユー チカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ 10 (72)発明者 コイマンス,ルシエン・マリア・ヘンリクス ベルギー・ビー−2340ビールセ・トウルンホウトセベーク30・ジヤンセン・フアーマシユー チカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (72)発明者 ド・ジヨング,マルク・ルネ ベルギー・ビー−2340ビールセ・トウルンホウトセベーク30・ジヤンセン・フアーマシユー チカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (72)発明者 ヘーレス,ジヤン ベルギー・ビー−2340ビールセ・トウルンホウトセベーク30・ジヤンセン・フアーマシユー チカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (72)発明者 デヤエルト,フレデリク・フラン・デジレ 20 ベルギー・ビー−2340ビールセ・トウルンホウトセベーク30・ジヤンセン・フアーマシユー チカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (72)発明者 ホールネルト,ジヨルジユ・ジヨセフ・コルネリス ベルギー・ビー−3000リユーベン・ベネデンストラート59・グロートベジーンホフ・ケイユ ーリユーベンリサーチアンドベデロツプメント (72)発明者 コンペルノル,フラン・ジヨセフ・コルネリス ベルギー・ビー−3000リユーベン・ベネデンストラート59・グロートベジーンホフ・ケイユ ーリユーベンリサーチアンドベデロツプメント (72)発明者 キロンダ,アムリ ベルギー・ビー−3000リユーベン・ベネデンストラート59・グロートベジーンホフ・ケイユ 30 ーリユーベンリサーチアンドベデロツプメント 審査官 福井 悟 (56)参考文献 英国特許出願公開第02266716(GB,A) 特開平04−253961(JP,A) 特表2001−502300(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.,DB名) C07D 241/00-241-54 A61P 31/33-33/44 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 40
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