マグネシウム - 成和脳神経内科医院

マグネシウム
片頭痛治療のかなめ
Migraine
成和脳神経内科医院
マグネシウムの役割
1.緊張状態から解放してくれます
筋肉の動きは、筋肉細胞内のカルシウム量の
増減で決まります。カルシウムの量が増えると
筋肉が緊張(収縮)し、カルシウムの量が減る
と筋肉が弛緩します。
じつは、カルシウムの量を減らすときにマグ
ネシウムが使われています。イメージでいいま
すと、細胞にカルシウムを出し入れするポンプ
があって、マグネシウムはこのポンプがカルシ
ウムを汲み出すときに欠かせないのです。ですから、マグネシウムが不足する
と筋肉が収縮した状態を解消できなくなります。神経も過敏になるために痛み
も感じやすくなります。
マグネシウムは「抗ストレスミネラル」と呼ばれ、ストレスによって激しく
消費されてしまうので、イライラ感が増したり、怒りつぽくなったりもします。
こうした状況が長く続き、もしも心臓で激しい緊張状態が起こったら……心臓
は麻痺を起こしてその動きを止めてしまうことになるわけです。これが突然死
です。
寝ているあいだに足がつる、まぶたがピクピクと
けいれんするといった症状も、筋肉が緊張した状態
が続くために起こります。こういう症状があらわれ
やすい人はマグネシウム不足です。
また、片頭痛の前兆として「肩がこる」という人
もたくさんいますがこれも同様です。心当たりのあ
る方は、すくに「マグネシウム液」を水に溶かしたものを飲んでみてください。
ちょつと多めに 4 ~5 cc ほど。効果はバツグンです!
-1-
マグネシウムの不足によって緊張型頭痛を起こすという研究報告もあり、不
足したマグネシウムを補うことで頭痛を改善に導いてくれます。
マグネシウムが役に立つのは、肩こりなど筋肉の緊張から来る筋緊張性頭痛
です。マグネシウムは、筋肉の緊張を解いてくれます。また血管の筋肉をリラ
ックスさせることで血流が増え、血行が良くなるからです。
マグネシウムを大量摂取することで血液の循環がよくなり、また筋肉の収縮
も抑えるので、緊張型頭痛にも効果があります。
2.こんなに大事なのに・・・
!?
ところで、マグネシウムつてあまり“健康ネタ”には登場しない成分だと思
いませんか?
というのも、マグネシウムは比較的簡単にとれるものだと思わ
れてきたからです。
しかし、実際はそう簡単ではありません。ストレ
スに弱い女性のほとんどが、じつはマグネシウム不
足です。たぶんその原因の1つには、カルシウムが
多くてマグネシウムが少ない「乳・乳製品」(ケー
キ含む!)のとり過ぎがあると思います。女性はみ
んな大好きですから。
乳・乳製品には、カルシウムが多く含まれていま
す。あなたも小さい
頃、「丈夫な骨や歯をつくるために牛乳を飲も
う!」といわれたでしょう。でも実際のところ、
カルシウムをたくさんとってもほとんどが吸収
されずに排泄されてしまうし、それだけならま
だしも、マグネシウムなどほかの大事なミネラ
ルを道づれにしてしまいます。「小食だけど乳
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製品は死ぬほど好き!」という女性は、超ヤバイかも知れません!?
カルシウムとマグネシウムの摂取バランスは、カルシウム「2」に対してマ
グネシウム「1」が理想的だといわれてます。それが牛乳だと《10: 1》、
チーズにいたっては《20 ~ 30:1》というバランスの悪さです。
サプリメント(錠剤)でとるから大丈夫と思っても、
ほとんど吸収されないので無意味です。マグネシウムは
薄くして飲むのがいちばんいい方法です。毎日コツコツ
つづけて、マグネシウム不足を起こさないようにするし
かありません!
マグネシウムは生命活動に必要な”代謝”の原動力となる、300 種類の「酵
素」のサポーターでもあります。
3.「むくみ」との関連
マグネシウムが不足すると、筋肉
などの細胞中のカルシウム濃度が高
まり、細胞が“緊張状態”になりま
す。この状態が続くと、血圧が上が
ったり、筋肉が動かなくなったり、
細胞内のミトコンドリア(エネルギ
ーをつくる)が死んでしまったりと、
かなり“マズイ状況”になります。
そのため、カラダを守ろうとする
仕組みが働いて、細胞内に水分を取
り込み、カルシウム濃度を下げよう
とするのです。これがいわゆる「水ふくれ(水太り)」の状態です。
このとき、マグネシウムが適正に補給されれば、細胞から余分な水分が排出
されて正常な状態に戻ります。
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健康ジュースやマグネシウム液による補充を始めると、一時的に尿の量が増
えることがあるのですが、これは細胞内の余分な水分をとり除いてくれるから
です。水分が減る分、体重も減少します。
さらに、寝起きの顔がむくんでしまうのは、寝ているあいた、筋肉をほとん
ど使わないことが原因です。
動脈の血液は、心臓のポンプにより全身に行き渡ります。反対に静脈の血液
の“戻り”は(リンパの戻りも)、筋肉の働き、特にインナーマッスルの働き
に左右されます。夜、寝ているあいだは筋肉が活動しないので、末端組織はも
ろにその影響を受けて戻りが悪くなるのです。ところが、朝起きて筋肉を使い
始めると、末端組織にたまっている水分も抜けていき、まぶたのはれも次第に
引いてくるというわけです。
4.生理との関連
生理前になると子宮の筋肉が収縮し始めますが、その原因はカルシウムの濃
度が増えることがあげられます。カルシウムは筋肉を収縮させる性質がありま
すが、自律神経の乱れにより、細胞からカルシウムが流れ出し、子宮の筋肉を
過剰に収縮させてしまいます。
そこでその収縮を抑えてくれるのがマグネシウムです。マグネシウムは筋肉を
緩和させてくれますが、生理前になると筋肉の収縮を和らげようとどんどんマ
グネシウムが使われ不足状態になってしまいます。
私達の生活環境は、マグネシウムが不足しやすい
日本人には慢性的にマグネシウムが不足しています。その原因は、昔と比べ
欧米化した食生活にあります。
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厚生労働省「平成 21 年国民健康・栄養調査」に
よると、マグネシウムの平均摂取量は 20 歳以上の
男性では 264mg、20 歳以上女性では 234mg です。
食品からの摂取量だけで男性では 100mg 前後、
女性では 50mg 前後のマグネシウムが毎日不足し
ていると推定されます。
日本人のマグネシウム不足の原因として「食生活の“欧米化”」と「精製塩
の過剰摂取」を挙げられています。粗塩にはマグネシウムをはじめとするミネ
ラルが多く含まれます
また、塩分の過剰摂取により、体内からのマグネシウムの排泄が増えると、
マグネシウムは不足気味になります。その他、マグネシウムはストレスが加わ
ると尿中にたくさん排泄され、さらに不足傾向になります。ストレスにさらさ
れる現代人は、マグネシウムが不足しやすい生活になっているのです。
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マグネシウムは代謝に関係する酵素の活性化や、糖をエネルギーに変換する
働きがあります。また、体内の水分を腸に集める働きがあり、腸に残っている
宿便が、体外に排出されやすくなると言われています。このため、ダイエット
で不足しがちになります。
PMSと呼ばれる月経前症候群がある女性の血中マグネシウム濃度は、月経
前症候群がない女性に比べ低いと報告されています。
これにより月経前症候群の緩和にマグネシウムが役立つと言われています。
また、妊娠中に起こる「こむらがえり」の原因の1つにマグネシウム不足あ
げられています。
それではマグネシウム不足の原因はなんでしょうか?
次のような身の回りの生活環境は、容易にマグネシウム不足を起こしてきま
す。
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・アルコールの飲み過ぎ
アルコールの多飲により
尿中にマグネシウムを排泄する量が増加します
・毎日の牛乳摂取
カルシウムばかりが多い牛乳を いつも飲むことで
2:1が望ましいカル
シウム:マグネシウムのバランスが狂い、マグネシウムの相対的欠乏を招いて
しまいます
・ストレス
ストレス対応ホルモンがマグネシウムの排泄を促してしまいます。最初に、
その機序は説明しました。
・激しい運動や暑すぎる環境
マグネシウムは
汗とともに大量に排泄されます。
・食材のマグネシウム含有量が低
い
日本の土壌は火山灰土でミネラ
ルが少ないため
その土壌で育っ
た作物はあまりミネラルを含まな
いのです。
さらに農薬の使用で土壌が枯れ
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以前より含有率は低下していると言われています。
・白米小麦粉など精製食品の摂取
精製過程でミネラル分がそぎ落とされてしまっています。
・白砂糖の摂取
消化分解にマグネシウムが大量に消費されます。
・加工品や清涼飲料水の摂取
これらに多く含まれるリンによりマグネシウムの吸収が妨げられます。
・食品添加物や農薬等の摂取
有害物質を解毒するために肝臓でマグネシウムを消費します。
・エストロゲン過剰(環境ホルモン含む)
本来月経期間中はエストロゲン濃度が低いはずですが、肉・乳製品・環境ホ
ルモンの摂取でエストロゲンが高濃度になると、マグネシウムの体内濃度は低
下します。
肉・牛乳・乳製品、これらにホルモン剤(エストロゲン様環境ホルモン)が
含まれている可能性がある事をご存知ですか?
例えば乳牛は、早くから、そして大量にお乳を出させるために、遺伝子組み
換え牛成長ホルモンというのが投与されている事があります。日本では規制も
表示義務もないですが)
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アメリカでは、逆にこのホルモン剤を「投与してません」と書くと、投与し
ている牛乳の販売を妨害する、と裁判が起こり、区別してはいけないようにな
っています。
ホルモン剤投与でたくさんお乳を出す牛
さんは、ママさん達ならわかると思います
が、乳腺炎を起こしやすくなります。その
乳腺炎防ぐために、抗生剤も投与されてい
るのです。
肉牛にもホルモン剤は使われており、日
本では4種類のホルモン剤投与が認可され
ているようです。(EU では一切禁止されて
いますが・・)
ホルモン剤に抗生剤をお肉や牛乳・乳製品から取っているかもしれない、な
んて、普通は気付きませんので注意が必要です。
・食の欧米化
洋食より和食の方がマグネシウムを多く含む献立ですが、食の欧米化により
マグネシウムの摂取量は低下しています。
・生理時には・・
生理前になると、自律神経の乱れにより、細胞からカルシウムが流れ出し、
カルシウムの濃度が増えるため、子宮の筋肉を過剰に収縮させてしまい、子宮
の筋肉が収縮し始めますが、子宮の筋肉の収縮を和らげようとどんどんマグネ
シウムが使われ不足状態になってしまいます。このようにして、特に更年期以
前の女性は、月経前に血中マグネシウムを骨や筋肉へと移行させるため、生理
中は脳内のマグネシウムレベルが低下してきます。
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などなど。。。
細胞内のカルシウムイオン濃度の異常
細胞の代謝には、細胞内外に存在する
カルシウムやナトリウム、カリウムやマ
グネシウムといったミネラルイオンが大
きくかかわっています。
皆さんは高血圧の治療薬として用いら
れる「カルシウム拮抗薬」というのをご存知でしょうか? 細胞膜にはミネラ
ルイオンが通過できる小さな「穴」があり、透過できるイオンの種類によって、
「ナトリウムチャネル」とか「カルシウムチャネル」といった名がつけられて
います。これを使って必要なミネラルを自在に出入りさせることで細胞内のミ
ネラルイオン濃度の調整をするのです。カルシウム措抗薬にはカルシウムチャ
ネルをふさぐ働きがあり、カルシウムイオンが細胞内へ流入するのを防ぎます。
ミトコンドリアには、細胞内のカルシウムイオン濃度を適正に調整する作用
があります。
ところが、細胞内のカルシウムイオン濃度が異常に高くなり過ぎると、ミト
コンドリアの調整機能は破壊されてしまいます。調整機能が壊れたミトコンド
リアは死滅してしまうのです。
このように、ミトコンドリアのエネルギー産生やミトコンドリア自体の生死
には細胞内のカルシウムイオン濃度が強くかかわっており、カルシウムイオン
濃度は片頭痛の発症にも非常に大きな原因となります。
マグネシウムとカルシウムの関係
カルシウムには筋肉を「収縮させる」作用があります。マグネシウムは筋肉
細胞内のカルシウムをポンプで汲み出すように排出することから、収縮した筋
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肉を「緩める」作用があります。カルシウムとマグネシウムは、このように常
に相反的に作用し、通常はカルシウムイオン濃度が適正に維持されています。
しかし、細胞内のマグネシウムが著しく
不足すると、カルシウムイオンを細胞外に
排出するカルシウムポンプの調整機能が働
かなくなり、筋肉は収縮状態(緊張した状
態)が続くことになります。その結果、こ
むら返りを起こしたり、瞼がピクピクと痙
學したりするなどの症状があらわれます。
さらにマグネシウムの不足が進むと、筋
肉細胞内のカルシウム濃度が高くなり過ぎて筋肉の伸縮ができなくなります。
もしそれが心臓で起きれば、心臓の機能停止(死)といった重篤な状態に陥
ることになるわけです。
片頭痛の前兆や、発症の引き金となる脳血管の収縮は、脳血管細胞内のカル
シウム濃度の高まりによっても生じます。それはつまり、マグネシウム不足が
もたらす結果でもあるのです。
マグネシウム不足の原因は先程も述べました。 その原因としては、利尿剤
などの薬剤の服薬、食事からのマグネシウム摂取量不足、胃腸の吸収障害(下
痢など)があり、そのほかにも多くの生活習慣に原因があります。
たとえば、インスリンはブドウ糖とともにリンを細胞内に移動させる作用が
ありますが、暴飲暴食などによってインスリンの過剰分泌を起こすと、必要以
上に細胞内にリンが取り込まれて血液中のリン濃度が低下し、低リン血症を起
こします。低リン血症になるとマグネシウムは腎臓から尿とともに多く排泄さ
れます。このように、インスリンの過剰分泌もマグネシウム不足を起こす原因
となります。
また、マグネシウムは「抗ストレスミネラル」と呼ばれるように、ストレス
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が多いときほど多く消費されます。片頭痛の人は精神的ストレスを受けやすく、
ほとんどの人がマグネシウム不足であるといっても過言ではないと思います。
その他、激しい運動、過労、過食など、マグネシウムを消耗する要因は、現
代の生活環境の中に満ちあふれているのです。
肉・牛乳(乳製品)・卵の摂りすぎの弊害
私たちの健康にとって、カルシウムは非常に重要なミネラルです。しかし一
方でカルシウムのとり過ぎが「マグネシウム不足を引き起こす」ということは
あまり知られていません。特に食が細い(小食)にもかかわらず、肉類や乳・
乳製品が好きという人は要注意です。
牛乳は、カルシウムを多く含む食品とし
てよく知られています。でも、牛乳をとり
過ぎると、カルシウムは腸から充分に吸収
されることなく、そのほとんどが糞便とと
もに排泄されてしまいます。このとき、カ
ルシウムだけではなく、体に必要なマグネ
シウムなどのミネラルや栄養素も一緒に引
き連れて排泄されてしまうのです。
では、もし牛乳に含まれるカルシウムを充分に吸収したとするとどうなる
か? 血液中のカルシウム濃度が急激に高まります。これがまたよくないので
す。
体にはホメオスタシス(恒常性維持機能)という、バランスをとって正常値
に近づけようとする働きがありますから、余分なカルシウムは尿としてただち
に排泄されることになります。この排泄にともない、マグネシウムや亜鉛など
のミネラル、他の栄養素がやはり失われることになるのです。
このように、牛乳の吸収率がよいにしろ悪いにしろ、カルシウムを多く含む
牛乳や乳製品をとり過ぎることは、結果的にマグネシウムをはじめとする必要
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なミネラルを失うことになります。実際、牛乳や乳製品など、カルシウム分か
特に多い食品のとり過ぎによってマグネシウム不足になるケースは多いので
す。
ちなみに、カルシウムとマグネシウムの摂取比は「2一1」が適切と考えら
れていますが、牛乳そのもののカルシウムとマグネシウムの比は「10 一1」程
度と、カルシウムの比率が高くてアンバランスです。それから代表的な乳製品
であるチーズに含まれるカルシウムとマグネシウムの比は、ナチュラルチーズ
で「20 一1」程度、プロセスチーズ「30 一1」と、もっとバランスが悪くな
っています。マグネシウム不足はミトコンドリアの働きを悪くさせますので、
牛乳や乳製品のとり過ぎには充分に気をつけましょう。
また、肉・牛乳・乳製品、これらにホルモン剤(エストロゲン様環境ホルモ
ン)が含まれている可能性があり、本来月経期間中はエストロゲン濃度が低い
はずですが、肉・乳製品・環境ホルモンの摂取でエストロゲンが高濃度になる
と、マグネシウムの体内濃度は低下します。
またタンパク質を多量に摂ると(肉食)、解毒の働きをする肝臓と、排泄を担
う腎臓に、大きな負担をかけることになります。尿素が増えてくると、それを
尿として流し出すために、体は多くの水分を必要とします。そして尿と一緒に、
カルシウムやマグネシウムなどのミネラル類も排泄されてしまうことになりま
す。こういったことから、マグネシウム不足を引き起こすことになり、マグネ
シウム不足はミトコンドリの働きを悪くさせます。
高脂肪・高タンパク質食品に偏った食生活を続けると、カロリーのとり過ぎ
とあいまって、「SOD」(スーパーオキシドディスムターゼ)や「グルタチオ
ンペルオキシダーゼ」、「カタラーゼ」といった、抗酸化酵素”の活性に必要不
可欠なマンガン、鉄、銅、亜鉛、セレンなどのミネラル元素の不足を引き起こ
します。結果、活性酸素の発生が増加することになり、ミトコンドリアの働き
を悪化させます。
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肉類や乳・乳製品といっだ動物性タンパク質”たっぷりの食事は、腸内環境
を悪くします。腸内の悪玉菌の大好物は、肉などたんぱく質や脂肪を多く含む
食品です。
悪玉菌はたんぱく質やアミノ酸を分解し、有害物質を作り出し、このためミ
トコンドリアの働きを悪化させることになります。
牛乳の飲み過ぎは、過剰なカルシウムが
排泄されるのと同時に、マグネシウム・亜
鉛・鉄などのミネラルや、他の栄養素も失
われてしまいます。その結果、さらにミネ
ラル不足が進むことになります。
砂糖のような「空のカロリー食品」の多い食事には必須栄養素が不足してい
ますから、カロリーだけは満たされても必須栄養素は欠乏するという事態が生
じます。結局エネルギー代謝が円滑に進まず、ミトコンドリアの働きを悪くさ
せます。
ミトコンドリアは「生命のエネルギー工場」と呼ばれ、エネルギーを産生す
る重要な場所です。ミトコンドリアの働きの悪さは、新陳代謝やエネルギー代
謝など代謝の低下を意味します。このエネルギー代謝を円滑に行うためには、
食生活でとくに栄養素・ビタミン・ミネラルを過不足なくバランスよく摂取す
ることが大切になります。
偏った食事は、ミトコンドリアの働きを悪化させ、新陳代謝やエネルギー代
謝が円滑に行われなくなります。
こうしたことから、食生活が極めて重要な鍵を握っています。
以上のように、食生活でとくに栄養素・ビタミン・ミネラルを過不足なくバ
ランスよく摂取することが大切になります。
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インスリン過剰分泌
血糖値というのは血液中のブドウ糖の濃
度のことです。ブドウ糖というのは、ご飯
や麺類などの主食に多く含まれる「糖質」
が分解されたもので人間が活動するための
主なエネルギーになります。食事をすると
糖質が消化吸収されブドウ糖になり吸収さ
れ、血液によって体のあちこちに運ばれます。
血液の中のブドウ糖はそのままではエネルギーとして使えません。血管から
エネルギーを使う器官の細胞に取り込まれないといけないのですが、その取り
込む役割をするのが「インスリン」です。
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、食事をして血糖値が上昇す
ると分泌量が増え、血中に増えたブドウ糖を細胞に取り込みます。
その取り込まれたブドウ糖がエネルギーになって、人間は活動することがで
きるのですが、余分にとってしまったエネルギー(ブドウ糖)は脂肪として蓄
えられてしまいます。
急激に血糖値が上がりすぎますと、血糖の急激な上昇を抑制するためにイン
スリンが過剰に分泌されることになります。過剰に分泌されたインスリンは血
糖を下げすぎることになります。血糖値が下がりすぎると、血糖を適正なレベ
ルに戻そうとするからだの仕組みが働き、体脂肪から遊離脂肪酸がエネルギー
源として放出されるようになります。
体脂肪からブドウ糖などエネルギー源としての生成とその消費がバランスし
ていれば問題を生じることはありませんが、急激な血糖値の変化にそのバラン
スが崩れてしまうと血液中の遊離脂肪酸濃度を高めることになります。
緩やかな血糖値の上がり方なら良いのですが、急上昇と急降下を繰り返すよ
うな食事をしていると太りやすいのです。上がりすぎた血糖値を下げるために
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インスリンが頑張って中性脂肪をたくさん作ってしまうということなのです・
・・
また、急上昇急降下の食べ方はすぐにお腹が空くので、食べる量が多くなっ
てしまいますし、いつも大量のインスリンを出していると膵臓が疲れてしまい
糖尿病になりやすくなってしまいます。
インスリンの過剰分泌を起こすと、必要以上に細胞内にリンが取り込まれて
血液中のリン濃度が低下し、低リン血症を起こします。低リン血症になるとマ
グネシウムは腎臓から尿とともに多く排泄されます。このように、インスリン
の過剰分泌もマグネシウム不足を起こす原因となります。
肥満の人が健康を願うのであれば、何よりも標準体重(BMI:一 25 以下)
まで減量することが第一優先です(スポーツなどで筋肉体質な人は別として)
。
肥満であればあるほど、ミトコンドリアの増殖は抑えられてエネルギー代謝
が少なくなり、さらに肥満になりやすくなるという悪循環に陥ります。
食事はカロリーのとり過ぎに気をつけるとともに、いつも満腹でいるのでは
なく、次の食事の前には必ず空腹を感じるようにすることです。食事からブド
ウ糖の供給がなくなれば空腹感を感じ、体に蓄積されているグリコーゲンや中
性脂肪からのエネルギー代謝が開始されます。このとき、ミトコンドリアは栄
養分が不足してきたことを認識して数を増やそうとするのです。ですから間食
はダメです!
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さらに、空腹時の運動は軽いものであっても、ミトコンドリアをより刺激す
ることになり、効率よく数を増やすことにつながります。
小断食(三度の食事を一度程度抜く)は、ミトコンドリアを刺激するのに有
効な手段ですが、2日を越える絶食は、刺激ではなくミトコンドリアの死滅を
招く可能性があり逆効果です。分子化学療法研究所の後藤日出夫先生提唱され
る、朝食を「万能健康ジュース」に変えること”は、日常的に軽い刺激を与え
ることになり、ミトコンドリアの活性化に有効です。
標準体重以下(BMI一 20 以下)の人はカロリーを制限する必要はなく、
むしろ摂取カロリーを増やす必要がありますが、それでも間食は控えて、さら
に空腹時には軽い運動をすることが、ミトコンドリアの数を増すためには効果
的です。
食べ物では、ブドウの果皮(赤ワインにも含まれる)やピーナッツの薄皮に
含まれるポリフェノールの一種レスペラトロールに、カロリー制限と同じよう
な効果があり、ミトコンドリアの数を増すといわれています。また、大豆や大
豆製品に含まれるタンパク質成分のβコングリシニンや、黒豆の皮に含まれる
アントシアニン、トマトなどに含まれるリコピンもミトコンドリアの数を増す
効果があるといわれています。
脂肪細胞から分泌されるホルモンの一種、アディポネクチンには、ミトコン
ドリアの数を増やす効果があるといわれています。これも肥満になれば分泌量
が減り、減量すると増えます。標準体重でいること、きちんと空腹感を感じる
ことが、ミトコンドリアを増やす最良の方法なのです。
このように、食べ過ぎはミトコンドリアの働きを悪化させます。
さらに活性酸素は細胞にインスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)
を高めて、それにより糖尿病や動脈硬化を引き起こしやすい状態をつくるとい
う悪循環になります。
インスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)は、それ自体で「酸化ス
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トレス」を促進すると言われています。
これらによって引き起こされる炎症反応は活性酸素の増加や細胞の酸化を促
進する要因になります。
血液中に溢れる遊離脂肪酸も直接的に酸化ストレスを増加させる要因になっ
ています。
血液中に大量の遊離脂肪酸があると、血液の酸化が亢進します。
また、脂質が酸化されると細胞が障害されてしまいます。
細胞を包む膜の活性酸素産生、細胞内のミトコンドリアでの活性酸素産生も
促進します。
また、肥満化した脂肪細胞からは様々な生理活性物質(アディポカイン)や
炎症を引き起こす物質(炎症
性サイトカイン)が分泌され
ます。
これらの生理活性物質や遊離
脂肪酸などが合わさって、身
体の「酸化ストレス」を促進
する要因となり、全身の障害
を招くことになるのです。
マグネシウムの補充はどのように・・
マグネシウム不足が持続すれば、ミトコンドリアの働きをさらに悪くさせる
ことに繋がることになり、片頭痛を悪化させる”元凶”にもなってきます。この
ため、片頭痛改善・予防のためにはマグネシウムの補充は必須の項目となって
います。ちょっと油断すれば、すぐにマグネシウム不足が起きてきます。
通常、食事で摂取されたマグネシウムの 20 ~ 50 %が小腸で吸収され、残り
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は便として排泄されてしまいます。マグネシウムは細胞の中に蓄えられ、血液
中には微量です。
一度にたくさんのマグネシウムをとっても、血中のマグネシウム濃度は上が
りませんし、細胞内のマグネシウム不足が解消されることもありません。恒常
的に充分な量をとる食生活をし、マグネシウム不足を徐々に改善していくこと
が必要です。
マグネシウムを一度に多くとり過ぎると下痢の症状があらわれます。しかし、
他のミネラル分と比較すると、食事ごとの摂取可能量の見極めは容易であり、
片頭痛の人は下痢を起こさない範囲内で、できれば1日に200~400ミリ
グラムのマグネシウムを追加的にとるようにすることが勧められます。(マグ
ネシウム液による)。
ちなみに、マグネシウム不足になると瞼がピクピクする、足がつるといった
症状が出ます。こんなときは200ミリグラム程度のマグネシウムをとると、
翌日にはほとんど改善されます。
片頭痛では、ミネラルの1種であるマグネシウムの不足が知られています。
頭痛発作中の患者の脳内マグネシウム濃度を調べると、30%から50%の
人が、通常より低いことは実験によりわかっています。
マグネシウムは、血管の収縮を抑えたり、血小板が凝集するのを防ぐなど、
血液の循環機能を整えます。そのため、マグネシウムが不足すると血管が痙攣
しやすくなり、痛みに敏感になるので頭痛がひどくなってきます。
マグネシウムを大量に摂取することで血液の循環がよくなり、また筋肉の収
縮も抑えるので、片頭痛にも緊張型頭痛にも効果があります。
こうしたことから、常日頃、マグネシウムの補充を考えなくてはなりません。
そのためには、基本的には食事から摂取することです。
●マグネシウムを多く含む食品
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玄米によるご飯
100g 48mg
白米によるご飯
100g
米、麦こうじ味噌
100g
40mg
80mg
豆こうじ味噌
100g 130mg
アーモンド
30g 87mg
カシューナッツ
30g 72mg
国産大豆
30g 66mg
落花生
30g 60mg
干しひ時期
10g 54mg
納豆1パック
100g 100mg
かき
70g 50mg
ほうれん草
70g 50mg
いんげん豆
30g 45mg
かつお
100g 40mg
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あおのり
3g 40mg
あずき
30g 36mg
とうもろこし
1本120g 35mg
枝豆
50g 35mg
バナナ
100g 34mg
食品から摂取するのが一番ですが、より確実に補充していく場合は「マグネ
シウム原液」を作成され、これで必要量を補充する方法があります。
以下は、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生の考案されたものです。
マグネシウム原液の作り方
マグネシウムの原料は、スーパーでニガリ(200円/100cc)を求める
か、薬局で「塩化マグネシウム」(500g/1本、1000円~1200円)を
買い求めることです。豆腐屋で用いる20Kg袋を買って(4000円程度です)
つくるのは量が多すぎて現実的でないため、薬局で「塩化マグネシウム」(50
0g/1本、1000円~1200円)を買い求めるのが適当と思われます。
50 mg マグネシウム原液の作り方:
こうしたマグネシウムの原液は、本来「片頭痛治療薬」として製品化される
べきですが、メーカーには利益にならないため、市場には出回っていません。
ですから、自分でつくるしかないようです。(トリプタン製剤のように利潤が
上がらないためです)
具体的な”マグネシウム水溶液”の作り方です
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2リットルの空きペットボトルの1.2リットルのところにマジックインクで
線を入れておきます。
漏斗等を用い塩化マグネシウム粉末 500 gをペット
ボトルに入れます。
塩化マグネシウムはネット通販で買いましょう。
( 薬局で入手できにくい地域もあります)
加熱後冷却水か市販の飲料水を1.2リットル
の線近くまで入れます。
ペットボトルに栓をし、よく振って溶解させます。
(その後、静置し正確に1.2リットルになるよう水を追
加します)
。
以上で完成です
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これを、もっと簡略化させたものが、「マグCプラス」です。
「マグCプラス」は、「万能健康ジュース」の材料に登場する「50 mg マグネ
シウム原液」をちょっとアレンジしたものです。つくり方はすごく簡単です。
材料
水
75
cc
塩化マグネシウム
ビタミンC
100 g
3g
つくり方
水に塩化マグネシウムとビタミンC
をよくかき混ぜて溶かして完成! あと
は冷蔵庫で保存して下さい
サプリメントを飲んでもマグネシウム不足は解消されません
マグネシウム不足を解消するのが目的ならば、市販のサプリメントでマグネ
シムを補えばよいのでは??と思われる方が多いかと思うのですが、残念なが
らサプリメントではマグネシウム不足を解消するのは難しいです。
なぜならばマグネシウムは大量の水で希釈しないと吸収されないからです。
サプリメントでマグネシウム不足を解消しようと思ったら 2 ℓくらいの水と一緒
に飲まないと効果はありません。サプリメントを 2 ℓの水で飲むなんてとても現
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実的ではありません。そこで確実&簡単にマグネシウムを摂取する手段として、
この「マグネシウム水溶液」が考案されました。多くの方々はサプリメントで
代用されようとされますが、全く効果はありません。
マグネシウム水溶液の飲み方
[飲み方の基本]
500cc の水に小さじ 1 杯程度のマグネシウム水溶液を入れて飲みます。
[味付けの工夫]
上記の様に水で薄めるだけで、マグネシウム不足を補う事がでますので、効
果的にはこれで問題無いのですが。このままではニガくて飲めないと思います。
味付けを工夫して楽しみながらマグネシウムを摂取するのがよいのです。
クエン酸とビタミンCを 1 gずつ入れて飲む事をオススメしています。
こうする事によってレモン水の様な味になり、味のバリエーションが増えま
す。
もう一つのオススメはクエン酸、ビタミンCの他、更に「蜂蜜」を加えるこ
とです。
甘味が出るので美味しく頂けます。
[実際の飲むタイミング]
飲むタイミングは
(1)片頭痛の前兆時に飲む
(2)日頃の”水分補給時”に飲む
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この 2 点です。
これを行うためには
(1)先程説明した[飲み方の基本][味付けの基本]を基に出来たものを、ペッ
トボトル等に詰めて常に携帯し、必要に応じて飲むようにします。水分補給と
かねて・・
(2)もしくは、原液の状態(小さじ 1 杯あたり 500 gの水に希釈しない状態)
の物を小さな小瓶(弁当に入っている醤油挿しの様なもの)に詰めて携帯し、
出先で必要に応じて水に薄めて飲む。頭痛がきそうな予感がしたときに服用し
ます。
の 2 種類の方法をオススメしています。
これらはあなたの生活スタイルに合わせて、やりやすい方を実行して頂けれ
ばOKです。
このように、これを原液として、万能健康ジュースにも使用できますし、ス
ポーツドリンクなどの代わりに、500ml の水(ペットボトル)に 2 ~3cc入
れて飲むのもOK。また、ご飯を炊くときに少し入れるのもいいですね。
塩化マグネシウム(粉末)はドラッグストアなどでは手に入れにくいので、
ネットで購入するのがいいでしょう。市販のニガリ(水溶液)でもよいのです
が、ちょつと割高になります。おとうふ屋さんでもらえるとラッキーですね。
以上のように、慢性頭痛を改善させるためにはマグネシウムの補充がいかに
大切かが理解されたことと思います。
問題は、日常生活を送る際にちょっとしたことがマグネシウム不足を引き起
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こすことになりますので、注意が必要になってきます。ここが最も大切なこと
です。
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