2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 第1学年1組 国語科学習指導案 場所 1年1組教室(教室棟3F) 1 単元名 2 教材名 指導者 教諭 溝上 郁夫 表現技法を用いて,人物の心情を表現しよう さまざまな表現技法 光村図書1年 「ワニとハブとひょうたん池で」 (新潮文庫『ナイフ』 重松清) 3 単元について (1)生徒観 生徒はこれまで「特徴的な言葉に着目して読む」 「表現を工夫して物語を書く」 ( (小学中学年) , 「優 れた表現を味わい,朗読する」 「短歌を作る」 (小学高学年)などの活動を行ってきている。その過程で 工夫された表現に触れ,それを活用する学習をしてきたと思われる。しかし,4月実施の佐賀県学力調 査で, 「語句に関する知識」の領域で対県比0.86,また, 「書くこと」でも0.89,さらに「読む こと」でも0.87という結果が出ている。これらが示すように国語の力が全体的に低い状態で入学し てきている。 中学校では, 「野原はうたう」の中で韻文における表現技法の学習を,また「星の花が降るころに」の なかで比喩などの工夫された表現とその効果を考える学習を行ってきた。これらの学習を通じて,知識 を活用することが苦手で,そのために知識の定着も浅いことが見えてきた。 【系統図】 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 ~言葉~ 読む ○特徴的な言葉に着 目して読む。 書く ○物語を書く。 ・表現を工夫して書 く。 読む ○優れた表現を味わ い,朗読する。 書く ○短歌を作る。 (中学年) ・国語辞典の使い方 ・こそあど言葉(指示する語句) ・似た意味の言葉,反対の意味の言葉(類義語・対 義語) ・いろいろな意味をもつ言葉(多義語) ・慣用句 ・ことわざ ・故事成語 ・文と文をつなぐ言葉(接続する語句) <学習用語> 短歌・俳句・文語・連・ 民話 修飾語・こそあど言葉 (高学年) ・敬語 ・和語・漢語・外来語 ・書き言葉と話し言葉 ・複合語 ・生活の中の敬語 ・言葉の変遷(説明文) 和語・漢語・外来語 書き言葉・話し言葉 複合語 (中 1) ・話し言葉と書き言葉 ・指示する語句と接続する語句 ・さまざまな表現技法 表現技法 ・体言止め・倒置・反 復・対句・省略・比喩 (直喩・隠喩・擬人 法) 読む ○人物の行動や情景 描写から心情を読み 取る。 書く ○別の人物の立場で 書こう。 - 61 - 慣用句・ことわざ・故 事成語 つなぎ言葉 漢詩 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 (2)教材観 本単元は,学習指導要領における「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」の指導事項(1) イ「言葉の特徴やきまりに関する事項」の(オ) 「比喩や反復などの表現の技法について理解すること」 をねらいとしている。 「ワニとハブとひょうたん池で」では,主人公の「辛さ」や「悔しさ」という感情 がそのまま描かれることなく,比喩等を用いながら詩的に表現されている。さまざまな表現技法の意味 や効果を感じやすい教材である。また,中学校でのいじめの話なので,生徒にとって自分たちの生活と 重ね合わせることができ,心情を読み取りやすい教材である。 (3)指導観 本単元は,表現という点で「野原はうたう」 (1学期に学習) , 「星の花が降るころに…」 (2学期に学 習)の復習として,またそれを発展した学習として位置づけることができる。単元の最後には,さまざ まな表現技法を「書く」活動に活用できる力を育成したいと考える。表現技法について理解することは, 「読む」こと, 「書く」ことに生かすための学習であり,それらの活動も単元に含めることにより,より その意味や効果について考えることができ,知識も定着すると考えた。 授業ではまず学習計画・自己評価表を使い,学習の見通しを持たせることにより,各自の目標と授業 の目標を明確化させる。学習形態としては,個人で考える時間を十分にとった上で班活動を積極的に取 り入れたい。他者の考えや感じ方に触れることで自らの思考を深め,また多様な考えにも気付かせたい。 毎時の授業で用いるワークシート上では,学習課題を明確にし,手引きを載せることで一人ひとりの生 徒の思考を促進させる。また班での話し合いでは,手順や進め方を繰り返し確認させることで,円滑に 進むようにする。そのなかで小説の表現のおもしろさを知り,表現を工夫して書く喜びを味わわせたい。 4 単元の指導目標 ◎ 多様な表現方法を知り,文章を書く楽しみを感じることができる。 ○ 感情を工夫した表現で言語化することができる。 5 単元の評価規準 国語への関心・意欲・ 言語についての知 読む能力 書く能力 態度 識・理解・技能 ・人物の心情の表現を ・文脈の中における工夫 ・状況や心情が読む人に効 ・さまざまな表現技 工夫しながら言語化 された表現の意味を的 果的に伝わるよう,表現 法の意味や効果に しようとしている。 確にとらえ,人物の心 を工夫して書いている。 ついて理解してい 情を理解している。 る。 6 単元の指導計画(全6時間) 過 時 学習内容及び学習活動 指導上の留意点 程 ①学習の見通しを持つ。 ・既習事項の確認をするととも ・学習課題を設定し, 「学習計 にこれからの学習への見通し 画・自己評価表」の使い方を を立てる。 知る。 つ か 1 表現技法を用いて、人物の心情を表現しよう! む ②教科書の「さまざまな表現技 (復習) 法」を用いながら「野原はうた ・表現技法 う」と「星の花が降るころに ・体言止め・倒置・反復・対句 …」の復習を行う。 ・省略・比喩(直喩・隠喩・擬人 - 62 - 評価規準と評価方法 ・単元の学習課題を 知り,個人の課題 を設定できる。 (関・意・態,知・理・ 技) ◇観察・発言・ワーク シート 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2 ・表現技法の確認 ・工夫された表現の確認 ③「ワニとハブとひょうたん池 で」を読む。 ④次回は,本文から工夫された表 現を拾い上げ, 「詩的な表現」 について考えることを確認す る。 ①前時の復習をし,本時の課題を 確認する。 2校時 法) ・工夫された表現 「音のないこま送りの映像を見 ているように,変に長く感じら れた」など 文章中から「詩的な表現」を見つけ、その特徴について考える! (関・意・態,読むこ と) ◇観察・発言・ワーク シート ②「ニキビが悩みのアイちゃんの ・主人公の「ハブ」 (村八分)に 頬に触れた私のまなざしは,ま された状況とそうされたこと るでゴミ箱に放られる紙くずみ を信じたくなく,誰かにすが たいに,ぽとりと床に落ちてし りつきたい心情を確認し,そ まった」の表現の特徴について の効果について少し問いかけ 考える。 る。しかし,生徒自身の思考を ③似たような表現を本文中から探 促進させるため,あまり言い し,班で発表し合う。 過ぎない。 ④それらを仮に「詩的な表現」と ・ 「あたしの視線を受け止めてく 名付け,そういったものが周囲 れるのは,黒板の隅に記され にないかを考える。 た『今日の日直』の丸っこい文 ⑤次回までに, 身の回りにある 「詩 字だけだった」などが挙げら 的な表現」を探してくることを れる。 確認する。 ・歌詞, 小説, 商品のパッケージ, CMなど,どこから探してき てもいいことを伝える。迷わ ないように,具体例として「君 はいつも僕の薬箱さ(歌詞) 」 などを挙げておく。 考 え る / 深 め る 3 ①前時の復習をし,本時の課題を 確認する。 「詩的な表現」を定義しよう! ②探してきた「詩的な表現」を班 で発表し合う。 ③班でいいものを三つ選び,全体 ・5分間話し合わせ, 各班のホワ で発表し,共有する。 イトボードに記入させ,黒板 ④出てきたものを参考にし, 「詩的 に貼りだす。 な表現」を定義する。 ・ワークシートには定義するに ⑤定義を班で協議し,全体で発表 あたって最も参考にした「詩 する。 的な表現」も書かせる。 ⑥再度自分で考えなおす。 ・定義するにあたって, いくつか の具体例から共通点を抽出 し,抽象化できているかを確 認する。 - 63 - (関・意・態,読むこ と) ◇観察・発言・ワーク シート 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 確 か め る 4 ①前時の復習をし,本時の課題を 確認する。 5 ①前時の復習をし,本時の課題を 確認する。 2校時 (関・意・態,書くこ と) ◇観察・発言・ワーク 「詩的な表現」を用いて、人物の心情を表現しよう ②「ハブ」にされた主人公になり ・小説でも歌詞でもいいことを シート きって,歌詞または小説を書く。 伝える。 その際,詩的な表現を必ず用い ・小説の場合, 書き出しに困る生 てみる。制限時間は15分。 徒もいるので, 「~ミドリちゃ んも,無言で席を立つ。 」につ ながる形で書くようにという 手引きをワークシート上に載 せる。 ③一度班でお互いに読み合う。 ・他の人の書いたものを読むこ とで,自分の考えを深化させ ④再度自分一人で書く。 たり,違う視点で考えたりす る参考とさせる。その際,話し 合いや協議はしない。 (関・意・態,書くこ と) ◇観察・発言・ワーク 書いた原稿をクラスのみんなで読み合おう! ②みんなの書いた原稿を読む。 ○全員分を印刷してきて,全員 シート に配る。 ③最もよかったものを選び,その ○第3時に自らで書いた「詩的 表現の特徴と選んだ理由を書 な表現」の定義を参考に評価 く。 するよう伝える。 ④クラスで最も支持を得た作品を 発表する。 ⑤学習計画・自己評価表を用い, この学習を通して身に付いた力 を考える。 7 本時の学習(3/5) (1)本時の指導目標 様々な表現に触れ, 「詩的な表現」を定義しよう。 (2)本時の評価規準 ア 「詩的な表現」を身の回りから探し出してきており, 「詩的な表現」の定義を書こうとしている。 【国語への関心・意欲・態度】 イ いくつかの具体的な例から共通点を見出し, 「詩的な表現」を定義しようとしている。 【読む能力】 - 64 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 (3)本時の授業過程〔P:パーソナルワーク(個)/G:グループワーク(班)/C:クラスワーク(全体)〕 過程 学習内容及び学習活動 形態 指導上の留意点 評価規準と評価方法 つ ①前時の振り返りをする。 C ○学習計画表を用い,目標を確 か ②本時の学習の見通しをも 認させる。 む つ。 様々な表現に触れ、 「詩的な表現」を定義できる! ③探してきた「詩的な表現」 を班で発表し合う。 G ④班でいいものを三つ選び, 全体で発表し,共有する。 C 考 え る / 深 め る 確 か め る P ⑤「詩的な表現」として挙げ られたものから共通点を 見出し, 「詩的な表現」を定 義する。 ⑥定義を班で協議し,全体で 発表する。 ⑦再度自分で考える。他の班 の意見を参考にし,自分な りに定義し直す。 ⑧本時のまとめと自己評価 をする。 ⑨次時の学習の見通しをも つ。 C P C ○5分間話し合わせ,各班のホ ワイトボードに記入させ,黒 板に貼りだす。 ○この発表では,様々な「詩的な 表現」の具体例を目に触れさ せることが目的なので,あま りコメントしない。 (予想される回答例) ・すごく元気そうに見えるよ。 日 焼けがたまらなく魅力的だ。 まるでカフェ・オ・レの精みた いに見える。 『ダンス・ダンス・ダンス』 村 上春樹 ○ワークシートには定義するに あたって最も参考にした「詩 的な表現」も書かせる。 ○定義するにあたって,いくつ かの具体例から共通点を抽出 し,抽象化できていればよい。 (予想される回答例) ・実際にはないことを, たとえを 使って,強く,わかりやすく, よりいっそう気を引かせる表 現。 ・本当にはありえないのに, いろ いろなイメージがわき,人の 心をつかむもの。 ○「協議」なので,協議用の話し 合いマニュアルに沿って進め る。 ○学習計画表に記入させる。 ○次回は「詩的な表現」を用いて 実際に文章(歌詞)を書いてみ ることを確認する。 - 65 - ア〈活動の観察〉 ア〈活動の観察〉 ア〈活動の観察〉 イ〈ワークシートの 記述〉 ア〈活動の観察〉 イ〈ワークシートの 記述〉 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 第1学年2組 技術・家庭科(家庭分野)学習指導案 場所 1年2組教室(教室棟3F) 1 題材 衣服の選択と手入れ 2校時 指導者 教諭 栗田 美紀 (内容C-(1)イウ) 2 題材について (1)題材の目標 自分の衣生活に関心をもたせるとともに,衣服の適切な選択や手入れができるようにし,生活にお ける実践につなげ,これからの衣生活をよりよくしようとする能力と態度を育てる。 (2)題材の評価規準 生活や技能への 関心・意欲・態度 衣服の選択,手入れ について,実生活との かかわりから考え,こ れからの衣生活をより よくしようとしてい る。 生活を工夫し 創造する能力 実生活における衣生 活の課題を見つけ,そ の解決に向けて自分な りに工夫している。 生活の技能 衣服の選択,手入れ について実践できる基 礎的・基本的な技術を 身に付けている。 生活や技術についての 知識・理解 衣服の選択,手入れ について実生活で生か せる基礎的・基本的な 知識を身に付けてい る。 3 指導に当たって (1)生徒観 本学級の生徒は,小学6年において,衣服の働き,日常着の快適な着方の工夫,日常着の手入れの 必要性,ボタン付けや洗濯についての学習を行っている。 学年が上がるとともに,一般に「着る」ことに対する関心が高まる。なかでも多くの生徒はおしゃ れや流行に対しての興味関心が高い。しかし,実生活における衣服の手入れや管理については,多く の生徒は親や他人任せであり,洗濯やアイロンがけ,ボタン付けといった日常の手入れも自分で行っ ている生徒は非常に少ない。小学校で学習した玉どめ,玉結び,ボタン付けなど,基本的な知識や技 術が身についていない生徒も少なくなかった。 小学6年 ・衣服の働きが分かり,衣服に関心をも って日常着の快適な着方を工夫でき る ・日常着の手入れが必要であることが 分かり,ボタン付けや洗濯ができる 中学1年 ・衣服と社会生活とのかかわりを理解し,目的に応じた 着用や個性を生かす着用を工夫できる ・衣服の計画的な活用の必要性を理解し,適切な選択が できる ・衣服の材料や状態に応じた日常着の手入れができる (2)題材観 近年,衣料大型店の台頭により,安価で質も悪くない衣服を購入することができるようになったた め,手入れや補修をしてまでも衣服を大切に長く着るということが薄れつつあるように感じる。 このように衣生活を取り巻く環境が変化してきている現代において,これからの私たちに求められ ていることは,衣服の計画的な活用,適切な選択,日常着の手入れをおこなっていくことで衣服を大 切に長く着ることである。そして,そのことが環境に配慮した行動にもつながると考える。 そこで,本題材では,生徒が毎日着用している制服を取り上げ,「制服着用をする中で考えられる トラブル」といった視点から課題を考えさせる。その際,先輩の3年間の制服年表を参考にして考え させ,実際に制服のトラブルの事例をも提示する。また,制服への関心を持たせ,大切に着ることに つなげるために,自分自身の制服年表をつくらせる。 - 66 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 (3)研究テーマとのかかわり 技術・家庭科の目標が「生活に必要な基礎的な知識と技術の習得を通して,生活と技術とのかかわ りについて理解を深め,進んで生活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる」とあるように, 家庭科は実生活との「かかわり」が大変重要であることは言うまでもない。 ただ,各家庭における生 活環境や生活体験は個人によって大きく異なるため,実生活の多様な在り方を知るためにも,個人, グループ,クラスでの話し合いや交流を多く取り入れていくことは必要不可欠である。 (4)指導観 本題材は,中学校学習指導要領技術・家庭〔家庭分野〕の「C(1)衣服の選択と手入れ」にあた る。自分の衣生活に関心をもたせるとともに,衣服の適切な選択や手入れができるようにし,生活に おける実践につなげ,これからの衣生活をよりよくしようとする能力と態度を育てることをねらいと している。指導にあたっては,大切に手入れし保管をすることにより,長く着られることに気付か せ,物を大切にする心を育てたい。また,自分の衣服の手入れを自分でできる知識・技能を確実に習 得させ,生活に生かせるよう指導していきたい。そのためには,身近な生活の中から生徒自らが課題 を発見し,解決を図る学習指導の工夫をすることで実生活に結びつくと考えた。まずは個人で課題を 発見させ,次にグループで課題を設定し,課題解決にあたらせる。クラス全体での発表の場を設ける ことで,多様な考え方や方法に触れさせたい。 4 題材の指導過程(全7時間) 時 次 学習課題及び主な学習活動 指導上の留意点 間 つ 1 ①実際の制服を見る。 ○2つの制服を示す。 か ②単元を通しての学習課題を設定 む 本 する。 時 3年間,制服を大切に着よう。 2 考 え る / 深 め る 評価規準と 評価方法 ③制服のトラブルについて考え ○制服年表や制服のトラブルの 【関】制服におこる る。 事例を提示する。 トラブルとその対処 ④本時の学習課題を確認する。 法について考え,そ 制服におこるトラブルを知り,自分が知りたい対処法を決めよう。 れらから自分の課題 ⑤実際にトラブルの対処をする。 ○実物を準備し,実際にトラブル を見つけることがで きる。 (観察,ワーク ⑥制服のトラブルへの対処から課 の対処をさせてみる。 題を見つける。 シート) ①前時に考えた課題ついて想起 ○前時に出た課題について確認 し,確認する。 する。 ②本時の学習課題を確認する。 制服におこるトラブルへの対処法について考えよう。 3 4 ③制服におこるトラブルへの対処 ○トラブルへの対処法について 【工】テーマを設定 し,学習の見通しを 法についてまとめる。 出た意見をまとめる。 ④グループごとに,テーマを設定 ○まとめた意見を参考にさせ,グ 立てることができる し,課題解決の計画を立てる。 ループごとにテーマを決めさ (観察,ワークシー せ,どのような方法で解決をす ト) るか計画を立てさせる。 ①前時に各班で決定したテーマを ○グループごとに自分たちのテ 【関】制服におこる 確認する。 ーマを発表させる。 トラブルへの対処法 ②本時の学習課題について確認す について積極的に調 る。 べることができる (観察) 制服におこるトラブルへの対処法について考えよう。 - 67 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 5 ③課題解決のための調査活動を行 ○時間配分を伝え,協力して活動 い,発表の準備をする。 するように助言する。 ○資料を提示する。 ○発表の方法を確認する。 ○わかりやすい発表の仕方と注 意点を実演して説明する。 ①前時に調査活動,発表準備を行 ○前時までの学習内容を想起さ っていたことを確認する。 せ本時は調べた内容を他のグ ②本時の学習課題について確認す ループに発表し,情報を交流す る。 ることを確認する。 制服におこるトラブルへの対処法について発表しよう。 ②グループごとに発表する。 ○発表前に,トラブルへの対処法 ③発表を聞き,気づきなどを記入 に対しての気づきなどを記入 する。 するように確認する。 ④本時のまとめをする。 ○制服のトラブルを対処し,清潔 で快適に着用することが環境 にも配慮した行動であること に気付かせる。 ○制服年表をつくっていくこと を確認する。 確 か め る 6 7 ①前時の各グループの発表内容の ○前時の発表内容の資料を確認 資料を確認する。 する。 ②専門店に補修等を依頼したとき ○専門店に補修等を依頼したと の料金とかかる日数などを知 きの料金とかかる日数などを る。 知らせることで,自分でできる ようになったほうがよいこと に気付かせ,技能習得への意識 を高める。 ③本時の学習課題について確認す る。 2校時 【技】制服におこる トラブルへの対処法 についての情報を収 集・整理することが できる(資料) 【工】制服におこる トラブルへの対処法 についてわかりやす く伝えるための工夫 をしている(観察) 【関】各グループの 発表を聞き,生活に 生かそうとしている (ワークシート) 【知】各グループの 発表を聞き,制服に 関する具体的な方法 について理解してい る (ワークシート) 【技】補修の方法を 身に付けることがで きる(練習布) 制服におこるトラブルへの対処法について実際してみよう。 ④各グループから発表された対処 ○動画等を見せて,まつり縫いや 法(補修の方法など)を実際にして スナップ付けの方法などを提 みる。 示し,練習布で練習させる。 5 本時の学習 (1)目標 制服におこるトラブルの対処法を考えること,実際に行ってみることで,手入れや補修についての 関心を高めるとともに,その技能・知識習得の必要性を意識させ,課題を持たせる。 (2)本時の評価規準 ・ 制服のトラブルとその対処法について考え,実際にしてみることで,手入れや補修の技能や知識 の必要性に気づくことができる。 ・手入れや補修の技能や知識について自分の課題を見つけることができる。 - 68 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ (3)展開 〔P:パーソナルワーク(個)/G:グループワーク(班)/C:クラスワーク(全体)〕 過 形 学習活動 教師の支援活動 程 態 つ C ①2つの制服を見比べて,気づ ○3年間着用した比較的きれいな制服と傷み か いたこと等を発表する。 の激しい制服の2つの制服を見比べさせ, む 気づきを発表させる。 ②単元を通しての学習課題に ついて確認する。 2校時 評価規準 と評価方法 3年間,制服を大切に着よう。 C ③3年間におこる制服のトラ ブルについて考える。 ④制服年表や実物を見て,3 年間の制服トラブルを知 る。 考 え る / 課 題 解 決 の 準 備 ・ 実 践 / 深 め る 確 か め る P P C G P ○自分の今までの経験から考えさせ,制服の 図に×マークをつけさせ,トラブルが起こ る箇所を確認しやすくする。 ○先輩の制服年表や実物を提示して,さまざ まなトラブルが起こることを知らせる。 ○トラブルについてまとめたものを制服の図 へ重ねて貼っていくことで,どこの箇所に どんなトラブルが起こるのかさらに確認し やすくする。 ⑤本時の学習課題を設定する。 ⑥トラブルの生じた制服を実 ○スカートの裾がほつれたもの,ズボンの裾 際に対処してみる。 がほつれたもの,シャツにシミがついたも の,ネクタイがアイロンで縮んだものの4 種類のトラブルを準備し,実際にどのよう に対処するのかをさせてみる。ただし,シ ャツのシミと縮んだアイロンについては対 処法を考えさせ,ワークシートに記入ささ せる。 ○裁縫道具は教師側で準備しておく。 ⑦実際に対処してみての気づ ○実際にしてみての感想を記入させ,技能や きを記入し、発表する。 知識の必要性に気づかせる。 ⑧さまざまなトラブルへの対 ○グループで話し合う対処法について確認 処法について考える。 し,グループで話し合わせる。 ⑨自分が知りたい対処法を決 ○グループで話し合う中で,対処法がわから める。 ないもの,できないものがでてくるので, その中から特に自分が知りたいものを1つ 決めるように助言する。 C ⑩本時のまとめをする。 C ⑪次回への見通しを持つ。 ○今まで対処法がわからないとき,できない ときはどうしていたのかということを投げ かけ,他人任せになっていたことやそれが 困ることであるということについて気づか せる。 ○今日の学習で学んだことを振り返らせる。 ○自分が知りたい対処法について,次回から 調査活動に入ることや調査方法について確 認する。 - 69 - 【関】制服の トラブルにつ いて考えるこ とができる (ワークシー ト) 【関】制服に おこるトラブ ルの対処をし たり,対処法 について考え たりすること ができる (観察) 【知】技能や 知識の必要性 に気づくこと ができる(ワ ークシート) 【関】自分の 知りたい対処 法を決めるこ とができる (ワークシー ト) 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 第1学年5組 数学科学習指導案 場所 3階作業室(教室棟3F) 指導者 講師 野崎 明日香 1 単元名 第 6 章 空間図形 1 節 立体と空間図形 2 単元について (1)単元の目標 観察,操作,実験などの活動を通して,空間図形に対する直観的な見方や考え方を深めるとともに, 空間図形の性質について論理的に考察する能力を高める。そのために, ○ いろいろな立体や,その見取り図,展開図,投影図についての観察,操作実験を通して,立体に ついての理解を深めようとする。 ○ 立体を観察することなどを通して,空間における平面や直線の位置関係を理解する。 ○ 平面図形や直線が動いたときにできる立体とその性質について理解する。 ○ いろいろな立体についての用語や見取り図,展開図,投影図,また空間における平面や直線の位 置関係について理解する。 (2)単元の評価規準 項 1 平 面 と 直 線 空 間 内 に お け る 2 よ る 空 間 図 形 の 構 成 平 面 図 形 の 運 動 に 3 表 現 と 読 み 取 り 空 間 図 形 の 平 面 上 へ の 数学への 関心・意欲・態度 ・空間における直線 や平面に関心をも ち,それらの位置 関係について考え ようとしている。 ・空間図形の構成に 関心をもち,直線 や平面図形の運動 によって,どの空 間図形が構成され るかを考えようと している。 観点別学習状況の評価規準 数学的な 数学的な技能 見方や考え方 ・空間における直線と直 ・空間における直線 線,直線と平面,平面と平 や平面の位置関係 面の位置関係にはどのよ は記号を用いて表 うな場合があるのかを考 したり,記号を用 えることができる。 いた表現から,そ ・空間における直線と平 の位置関係を読み 面,平面と平面の位置関 取ったりすること 係について,平行や垂直 ができる。 であるかどうかを確かめ ることができる。 ・柱体,錐体,球などの空間 ・直線や平面図形の 図形を,直線や平面図形 運動によって構成 の運動によって構成され されている空間図 ているとみることができ 形を見取図などで る。 表すことができ る。 数量や図形などにつ いての知識・理解 ・空間における直線 や平面の位置関係 にはどのような場 合があるのかを理 解している。 ・直線や平面図形の 運動によって,ど のような空間図形 が構成されるかを 理解している。 ・回転体の意味を理 解している。 ・見取図,展開図,投 ・見取図,展開図,投影図を ・空間図形を見取 ・見取図,展開図,投 影図に関心を持 用いて,空間図形の性質 図,展開図,投影図 影図の意味を理解 ち,それらを用い を見いだすことができ を用いて平面上に している。 て空間図形を表し る。 表すことができ ・見取図,展開図,投 たり,読み取った る。 影図に表す方法を りしようとしてい ・見取図,展開図,投 理解している。 る。 影図がどのような 空間図形を表して いるのかを読みと ることができる。 - 70 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 3 指導に当たって (1)生徒観 生徒はこれまで小学校の量と測定の領域において平面図形の長さや面積,立体の体積などを比較した り測定したりする学習を経験してきている。また,図形領域においては平面図形や立体図形について具 体的に操作して分類したり,辺の長さや角度の大きさに着目して弁別したりしてきた。小学校 4 年生で は,直方体に関連して平面や直線の垂直や平行の関係についても学習している。さらに,角柱や円柱に ついては,その見取り図や展開図をかくなど本単元につながる学習を経験してきている。 中学校においては前単元平面図形において,点,直線,角,距離などの意味や基本的な作図の仕方と その根拠,円と扇形の性質とその計量などについて学習してきている。 本学級の生徒は,課題に対して熱心に取り組み,積極的に発表・発言をする生徒がいる一方,課題に 対して意欲を保てず途中で投げ出したり,答えを導き出すのに時間がかかったりする生徒もいる。学習 形態はグループ学習を中心として行っていて,問題に取り組む際に困難さを感じたときに教師や友人に 質問しながら問題に取り組む姿が見られるようになってきた。 【系統図】 量と測定 図形 1年 長さ、広さ、かさの大きさの比較 1年 平面図形、立体図形の観察や構成 2年 長さの単位 体積の単位 2年 箱の形 3年 長さの単位 重さの単位 4年 面積の単位 正方形・長方形の面積 角度の単位 5年 三角形・四角形・平行四辺形・台形・ ひし形の面積 体積の単位 直方体・立方体の体積 4年 直方体と立方体 5年 角柱・円柱 見取図 展開図 6年 概形の面積 円の面積 角柱・円柱の体積 1年 平面図形 基本的な作図の方法とその活用 図形の移動 1年 空間図形 ・直線や平面の位置関係 ・空間図形の構成と平面の構成 ・扇形の弧の長さと面積、柱体や錐体及び球の表面積・体積 3年 三平方の定理 高校 空間のベクトル - 71 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 (2)教材観 小学校においては, 第1学年から身近な立体について観察したり,分類したりして,ものの形を次 第に抽象化して,図形としてとらえる学習をしてきた。また,第5学年までに,立方体,直方体,角柱, 円柱を取り扱い,それらの見取図や展開図をかくことを通して,立体図形への理解を深めてきた。 本単元では,小学校での学習の上に立って,空間図形についての理解を一層深める。小学校で取り扱 った立体を空間における直線や平面図形の運動によって構成された空間図形として意識させる。また, 図形を観察、操作や実験などの活動を通して直観的な理解を助け,論理的に考察し表現する能力を培う。 立体を平面上の図に表す際,見取図や展開図,投影図を用いるが,その特徴を理解して,相互に関連づ けながら考察できる力の育成もねらっている。 (3)研究テーマとの関わり 生徒が主体的に学習活動に取り組めるように,授業の形態をパーソナルワーク,グループワーク,ク ラスワークという流れで行っていく。この活動をより意味のあるものにする手立てとして,ワークシー トの工夫に取り組んでいる。ワークシートには,自分の考えを書くスペースやグループでの話し合いの まとめを書くスペースを入れるようにしている。この学習活動を積み重ねることによって,主体的な学 習態度を育てていきたい。 (4)指導観 本単元では,前単元「平面図形」で学習したことがらをもとに空間図形の性質について理解を深め, 論理的に考察する能力を高めることをねらっている。また,立体の表面積や体積の求め方についても理 解し,求めることができるようにする。 本時は,見取図で表された立体を展開図や投影図を用いて考察・推論し,他者に伝える活動を通して, 見取図,投影図,展開図のよさを味わわせたい,また,立体を構成・分解する相互の活動を通して空間 図形の見方を豊かにしたい。生徒それぞれが確実に自分の考えを持ち,表現できるよう,ワークシート に記入欄を設ける。ワークシートをもとにしたグループでの話し合い活動を通し,意欲的に学習に取り 組ませたい。既習事項が十分身についていない生徒については,グループでの話し合い活動やヒントカ ードを活用する等,丁寧に対応したい。 4 単元の指導過程 (全 10 時間 本時 10/10) 次 時 間 学習課題及び主な学習活動 指導上の留意点 ①身のまわりのいろいろな立体を観察 ・建築物を立体と見なし,そ し分類することを通して,その立体 れらの写真などをもとに の特徴について考え,説明する。 しながら分類させ,その分 類の観点についても触れ ②単元を通しての学習課題と学習計画 るように指導する。 を確認する。 第 一 次 立体の名称と特徴について説明できる! 1 ③錐体と柱体の特徴をもとに分類を考 ・本単元では,いろいろな立 える。 体をその特徴により分類 することや空間における 平面と直線の位置関係に ついても気づかせる。 ・面に着目させたり,形状に 着目させたりしながら分 類することに気づかせる。 ④底面の形をもとに角錐の名称を理解 ・錐体について,その底面に - 72 - 評価基準と方法 [関] 立体や図形に 興味を持ち,主体的 に探求しようとし ている。 (観察,ワークシー ト) [知・見方]立体の 名称と特徴を理解 し,自分の考えをま とめることができ る。 (ワークシート) 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ する。 ①本時の学習課題を確認する。 着目させ,分類をさせる。 いろいろな立体について展開図をかくことができる! 2 第 二 次 3 第 三 次 5 [技能] 見取図をも とに辺の長さに注 目して展開図をか くことができる。 (観察・ワークシー ト) 展開図を作製する 際の気づきを自分 の言葉でまとめる ことができる。 (観 察・ワークシート ②角柱と角錐について,底面の形に着 ・見取図をもとに,底面の形 目して展開図のかき方を考える。 から側面の形や数を類推 させ展開図をかかせる。 また,展開図に表すと,見 取図では重なっている頂 点が離れてかかれること があることについても気 づかせたい。 ③円柱では底面の円周の長さと側面の ・展開図では,円錐の側面が 横の長さ,円錐では底面の円周の長 扇形になることや,円柱で さと側面の弧の長さが一致すること は平行四辺形になること に着目しながら,展開図をかくこと に気づかせる。 ができる。 ①本時の学習課題を確認する。 [知識・見方] 立体の名称と特徴 正三角形を使って,多面体をつくろう! ②正三角形を使って多面体を作り,辺・ ・作成した多面体をもとに を理解し,自分の考 頂点・面の数について調べ考察する。 辺・頂点・面の数について えをまとめること (ワーク 調べ表にまとめ,考察させ ができる。 シート) る。 ③様々な多面体について調べたことの ・様々な図形について調べた 中から共通点を導き出し,その共通 共通点がオイラーの多面 点がオイラーの多面体定理であるこ 体定理であることを知ら とを知る。 せる。 ④正多面体について調べ,オイラーの ・正多面体においても定理が 定理が適用できることを確かめる。 適用できることを確認さ せる。 ①本時の学習課題を確認する。 4 2校時 [技能]操作・観察 を通して2直線の 空間における2直線の位置関係を説明できる! ②具体物を操作しながら,平面が 1 つ ・半具体物を示したり,電子 位置関係を説明す に決まる条件を考える。 黒板を利用したりしなが ることができる。 ら,平面が一つに決まる条 (ワークシート) 件についてとらえさせる。 ・2直線の共有点について考 えさせながら位置関係を とらえさせる。 ③巻き簀を用いて空間における2直線 ・空間におけるねじれの位置 の平行やねじれの位置の関係を説明 についてとらえさせ,それ することができる。 を具体的な立体の中で見 いだすことができるよう にする。 ①本時の学習課題を確認する。 [技能] 直線と平面 の位置関係を説明 空間における直線と平面の位置関係を理解しよう! ②直線と平面の位置関係について考え ・前時の学習をもとに,直線 することができる。 る。 と平面の共有点について (ワークシート) - 73 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 6 2校時 考えさせながら位置関係 をとらえさせる。 ③点と平面との距離,柱体や錐体の高 ・底面と他方の底面もしくは さについて理解する。 底面と向かい合う頂点ま での距離が柱体や錐体の 高さとなることに気づか せる。 ①本時の学習課題を確認する。 [技能] 2直線の位 置関係を理解し, ま 2平面の位置関係をできる! ②下敷きやノートを使って,平面と平 ・2平面の位置関係について た身の回りの平面 面の平行,垂直について理解する。 も共有点に着目して分類 の位置関係を見つ ③立体の構成要素である面の位置関係 するとよいことに気づか けることができる。 (ワークシート) を考える。 せる。 ④身の回りにある平面の位置関係に気 ・身の回りにある身近なもの づくことができる。 も立体の構成要素である ととらえ,平面の位置関係 を考えさせる。 ①本時の学習課題を確認する。 [技能] 見取図をも とに, 立体の性質や 平面図形が動いてできる立体とその性質について説明できる! ②平面図形を平行に移動して構成され ・模型をもとに既習の立体は 立体の切断面につ る立体について類推し,その見取図 平面が平行移動してでき いてまとめること ができる。 をかくことができる。 たものととらえさせる。 ・既習の立体をイメージさせ (ワークシート) 7 第 四 次 8 ③平面図形を回転して構成される立体 について類推し,その見取図をかく ことができる。 る際、平面図形を軸を中心 に回転移動させてできた 軌跡ととらえさせ,その見 取図をかかせる。 ④立体の切断面について類推すること ・回転体を,回転軸を含む平 ができる。 面,回転軸に垂直な平面で 切断したときの切断面に ついて考えさせた後,立方 体の切断についても考え させる。 ①本時の学習課題を確認する。 [技能] 作成した見 取図をもとに, 立体 線分が動いてできる立体とその性質について説明できる! ②柱体は線分を底面の周に沿って垂直 ・既習の立体を線分が移動し の性質についてま に立てたまま移動して構成される立 てできるものととらえさ とめることができ 体と類推し,その見取図をかくこと せることで,空間図形にお る。 ができる。 ける想像力や直観力を育 (ワークシート) ③錐体については平面上にない点を中 成する。 心に線分を底面の周に沿って移動し て構成される立体と類推し,その見 取図をかくことができる。 ④身の回りにある立体が面の平行移 ・身のまわりにある立体が面 動,回転移動または線分の移動によ や線分の移動によって構 ってできた立体かどうかを弁別し説 成されていることに気づ 明することができる。 かせる。 - 74 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ ①本時の学習課題を確認する。 9 10 [見方] 立体の投影図のかき方を理解し,投影図と見取図の相互関係を説明し 課題について自分 の言葉で説明でき よう! ②影絵から立体を想像し,その立形の ・生徒の興味を引くため影絵 たか。 (ワークシート) 投影図をかく。 による提示を行う。 ③投影図から立体を類推し,見取図を ・立体を自分の視点を移動さ かく。 せて観察させ,見取図をか く活動を通して,その性質 を分析的に考察させる。 ④見取図をもとに投影図を完成させ, ・見取図から投影図にかき写 そのかき方を説明する。 す作業を通して立体を分 析的に見ることができる ようにする。 ①本時の学習課題を確認する。 [関心]見取図投影 図を手がかりに問 立体の見取図・展開図・投影図を利用して長さ比べをしよう! ②立方体の表面の対角線の長さが等し ・活動が停滞している生徒に 題に取り組んだか。 いことを展開図や投影図にうつす活 は,見取図の見た目による [見方]課題につい 動を通して立方体の表面の対角線の ことなく,展開図や投影図 て自分の言葉で説 長さが等しいことを説明する。 にうつすことで,長さ比較 明できたか。 (ワークシート) をするように指導する。 ③立方体の表面の対角線と立体内部の ・内部の対角線については, 対角線の長さには大小関係があるこ 具体的なイメージを持つこ とを切断面の投影図を用いて説明す とのできない生徒もいるの る。 で,模型を提示し,立方体 の切断を想起させ,長さ比 較をするように指導する。 ③節末の練習問題に取り組む。 ・これまでの学習をもとに練 習問題に取り組ませる。 5 本時の学習 (1)目標 ・立方体の見取図をもとに,見た目によることなく立方体の表面の対角線の長さが等しいことを説明できる。 ・立方体の表面の対角線の長さと立体内部の対角線の長さには大小関係があることを説明することができる。 (2)本時の評価規準 ・見取図や展開図,投影図を手がかりに立方体の表面の対角線の長さが等しいことを説明できる。 ・立方体の表面の対角線よりも内部の対角線の長さが長いことを,展開図や切断図を用いて説明することが できる。 (3)展開 〔P:パーソナルワーク(個)/G:グループワーク(班)/C:クラスワーク(全体)〕 過 程 形 態 学習活動 つ か む C ①本時の学習課題を確認し,問題に取り 組む。 教師の支援活動 立体の展開図・投影図を利用して長さ比べをしよう! - 75 - 教材等 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 問題1 右の図は立方体の見取図です。 この立方体を見て,けいたさんは,「AB の長さの方が AC の 長さより長く見えるけど,本当かな?」といいました。 あなたはどう思いますか。みんなで話し合ってみましょう。 C A B 展開図・投影図などを利用して,立方体 ○見取図からは長さがはっきりとらえ の表面の対角線の長さを比較する。 られないことから別の平面図形に 写して比較することを助言する。 P ②AC,AB の長さについて,展開図や投 ○一つの考えが定まったら,別の見 ワークシー 影図を用いて気づいたことをワークシ 方で考えさせ,自分の考えが適切 ト ートに記入する。 であるかどうかを確かめさせる。 G ③グループで自分の考えを説明する。 C ④話し合った結果を発表し,他のグルー ○2通り以上の考えを発表させる。 プの意見と比較する。 ○見取図,展開図,投影図の利点, 欠点について触れる。 ⑤問題2に取り組む。 考 え る 深 め る P ○ワークシートにかいた図を用いな ヒントカード がら数学的な根拠をもとに説明する ことを確認させる。 ○グループ内で異なる考えが出た場 合や他の新たな考えが思い浮かん だ場合には必ずワークシートに記 入させる。 問題 2 右の図は立方体の見取図です。 この立方体を見て,けいたさんは,「AC の長さと AD の長さが同じに見えるけど,本当かな?」といいました。 あなたはどう思いますか。みんなで話し合ってみましょう。 C A D ⑥AC,AD の長さについて,展開図や投 ○表面の対角線の比較から,思考を 影図を用いて比較し,気づいたことをワ 深めるために,表面の対角線と内 ークシートに記入する。 部の対角線の長さについて,比較 させる。 ○思考が進まない生徒には,立方体 の模型をヒントとして与え,問題解 決に取り組ませる。 ⑦友人の考えを聞き,自分の考えを深め ○グループ内で異なる考えが出た場 る。 合や他の新たな考えが思い浮かん だ場合には必ずワークシートに記 入させる。 ⑧話し合った結果を発表し,他のグルー ○2通り以上の考えを発表させる。 プの意見と比較する。 確 か め る C ⑨今日の授業の振り返りをする。 ○立体を平面図形に写す際,それぞ れの図の特徴(利点と欠点)を言葉 でまとめることができるように助言す る。 - 76 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 第2学年1組 美術科学習指導案 場所 美術室(管理棟3F) 1 単元名 指導者 講師 西岡 修 【教材名】 てん刻 2 単元について (1)単元の目標 ○ てん刻に興味・関心をもち,根気強く意欲的に制作することができる。 (てん刻への関心・意欲・態度) ○ 自分らしい発想や構想を練り,表現の活動に生かすことができる。 (豊かな発想や構想) ○ 石の素材を知り,用具の適切な使い方を理解して,自分らしい表現を工夫できる。 (創造的な技能) ○ 自分の作品や他の人の作品のよさを感じ取ることができる。 (鑑賞の能力) (2)単元の評価規準 関心・意欲・態度 豊かな発想や構想 創造的な技能 鑑賞の能力 ・具象表現や抽象表現に ・表したいイメージを基 ・石の特性を生か ・造形的なよさや美しさ, 関心をもち,主体的に に主題を生み出し,単 し,表現意図に合 表したいイメージを基 創意工夫して表した 純化や強調などを考 う新たな表現方法 にした主題と表現の工 り,表現の工夫などを え創造的な構成を工 を工夫するなどし 夫などを感じ取り,自分 感じ取ったりしようと 夫し,構想を練ってい て創造的に表現し の価値観をもって味わ している。 る。 ている。 っている。 3 指導に当たって (1)生徒観 本学級の生徒は落ち着きがあ り,美術の学習に興味をもって取 り組める。しかし,深く追求すると ころはやや弱く,完成を急ぎ,じっ くりと感じたり,考えたりできな い生徒もいる。そこで構想の段階 でのアイデアを大切にさせたい。 また完成までの制作段階を理解さ せ,見通しをもって授業に臨ませ たい。 (2)教材観 篆刻(てんこく)とは,石などを 彫って印をつくることである。正 式には,篆書体を用い,書画に押し たり,鑑賞用の印としてつくられ るものである。本題材は,一つの題 材の中に,紐(手に持つ部分)の立 体表現の分野,紐(手に持つ部分) や印面のデザインの分野,完成後 【系統図】 小学校6年での木彫オル ゴール制作や1学年で彫 刻刀を使った一版多色刷 り版画した経験がある。 立 体的に石を彫刻刀やのみ を使って加工する制作に も興味・関心を持って意欲 的に取り組むことができ ると思われる。 小学5年 デザイン作品 小学6年 木彫オルゴール作品 ・彫りのデザイン ・彫刻刀の使い方 - 77 - 中学 1 年 ・自然物の構成(デザイン) ・一版多色刷版画 中学2年 4,5、6月 絵文字 ・明朝体について ・絵文字のアイデア ・彩色の表現技法 中学2年2月 てん刻 ・印面や紐のデザイン ・彫りの表現技法 ・作品鑑賞の能力 中学 3 年12月~3月 ・携帯ストラップ(卒業制作) 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 に互いの良さや美しさを認め合う鑑賞の分野というように,中学校の美術学習の総合的な題材として適 していると思われる。 作品の完成後は,学級全員の作品を捺印し,生徒にとって記念作品となるように指導したい。石とい う身近で手応えのある素材を根気強く彫ることで制作に対する姿勢が身に付き,仕上げた時の達成感や 満足感を得られるものと考え,本題材を設定した。 (3)研究テーマとの関わり 本校の研究テーマである「生徒とともに育つ学校」つまり生徒が主体的に学ぶ場面を中心に置きたい。 具体的には,美術は,個人作業になりがちなケースが多いが,グループでアイデアスケッチを批評しあ うことや協力して作業を行わせることでお互いのよさを高めあわせたい。また自分の感じたことや作品 に対する思いが一目で分かるワークシート等の工夫をしたい。 (4)指導観 本題材では,彫刻,デザイン,鑑賞の要素を盛り込み,完成に至る見通しをもたせ,学習意欲を継続 していく支援の工夫が大切である。導入の過程では,参考作品を鑑賞し興味・関心を引き出すと共に, 印の歴史にも触れ,日本の伝統的な美術としての側面についても理解させたい。発想・構想の過程では, 十分にアイデアスケッチを行い,制作の見通しを持たせたい。印面の書体は,正式な篆書体にとらわれ ず,生徒のオリジナルな書体も認め発想に幅をもたせ,より個性的なものにしたい。紐(手に持つ部分) では, 「手になじむ形」 「壊れにくい形」 「具象形か抽象形か」といった投げかけを行い,生徒に表現の多 様性を大切にさせ,構想を十分に練らせたい。表現の過程では,用具の適切な使い方と安全面に配慮し, 慎重かつ根気強い制作態度を培っていきたい。 4 単元の指導過程 ( 全15時間 本時12/15 ) 時 次 学習課題及び主な学習活動 指導上の留意点 間 第 1 ①これまでの立体表現について振り ○小学校6年時のオルゴー 一 返る。 ル作品や中学1年時の木 次 ②単元を通しての学習課題を設定す 版画について振り返えら 導 る。 せる。 入 自分らしい発想を基に石の素材を生かしながら 評価基準と評価方法 【関】てん刻に興味関 心をもち,主体的に課 題に取り組もうとし ているか。 (ワークシ ート・観察) てん刻の制作を行う! ③印の歴史について知る。 第 二 次 追 求 ○古代の印から現代の印に ついて理解させる ④いろいろなてん刻作品を鑑賞す ○参考作品を見てよさを見 る。 付け,発想の参考とさせ る。 ①本時の学習課題について知る。 ○自分らしい紐(持つ部分) のアイデアを考えさせる。 紐(持つ部分)のアイデアを考える 2 (ワークシート) ○より正確に構想を練らせ るためにスケッチは正面 だけでなく,側面のスケッ チも行わせる。 (ワークシ ート) - 78 - 【発・構】自分らしい アイデアを考えるこ とができたか。 (ワー クシート) 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ ①本時の学習課題について知る。 印面のアイデアを考える 3 ②アイデアを考える。 4 ①本時の学習課題について知る。 5 持つ部分の荒削りをする 6 ②荒削りをする。 7 8 ①本時の学習課題について知る 印面に文字を写す ○陰刻と陽刻の違いを理解 させる。 ○様々な書体があることを 知らせる。 ○できるだけ多くのアイデ アを出させる。 (ワークシ ート) ○分かりやすくするために, 正面から削った後に側面 からの荒削りを行わせる。 ○トレーシングペーパーを うまく使わせる。 ②印面に文字を写す。 9 ①本時の学習課題について知る。 10 印面を彫る 第 三 次 ま と め ②てん刻刀の使い方を指導する。 ③印面を彫る。 11 ①本時の学習課題について知る 12 紐(持つ部分)を仕上げる ○彫る部分と残す部分を理 解させる。 ○怪我に注意しながら彫ら せる。 ○荒削り後のさらに細かい 目線で仕上げさせる。 ②紐(持つ部分)を仕上げる。 13 ①本時の学習課題について知る。 耐水ペーパーで磨く ②耐水ペーパーを使い,石を磨く。 ○耐水ペーパーは,はじめは 240番くらいから,仕上 げに2000番くらいを つかわせる。 2校時 【発・構】自分らしい アイデアを考えるこ とができたか。 (ワークシート) 【技】用途に応じて道 具を使い,構想にした がって,荒削りができ たか。 (観察・作品) 【技】用途に応じて道 具を使い,印面に文字 を写すことができた か。 (観察・作品) 【技】用途に応じて道 具を使い,印面に写し た文字をうまく彫る ことができたか。 (観 察・作品) 【技】用途に応じて道 具を使い,紐(持つ部 分)を仕上げることが できたか。 (観察・作 品) 【技】用途に応じて道 具を使い,石を磨くこ とができたか。 (観察・ 作品) 14 ①本時の学習課題について知る。 ○印泥をうまく使わせ,捺印 【技】用途に応じて道 させる。 具を使い,うまく捺印 捺印する ことができたか。 (観 ②捺印する。 察・捺印した紙) ③自分の彫った字を捺印しての感想 を書く。 15 ①本時の学習課題について知る。 ○自他の作品の良さや違い 【鑑】自他の作品の良 を感じさせる。 さや美しさを理解す 自他の作品を鑑賞する ることができたか。 ②班活動でお互いの良さを鑑賞し合 (ワークシート) う。 5 本時の学習 (1)目標 陰刻と陽刻の違いを理解し,てん刻刀を使って印面を彫る。 (2)本時の評価規準 用途に応じて道具を使い,印面に写した文字をうまく彫ることができたか。 【創造的な技能】 - 79 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 (3)展開 〔P:パーソナルワーク(個)/G:グループワーク(班)/C:クラスワーク(全体)〕 過 程 形 態 つ か む C 考 え る P 深 め る G 確 か め る P C 学習活動 教師の支援活動 教材等 ①前時の学習内容の復習 ○生徒の制作状況を確認し,遅れて ・板書 ・前時に印面を写したところ いる生徒には声かけを行う。 までを確認し, 完成までの見 通しをもつ。 ②本時の課題について知る。 ・プロジェクター 下書きにしたがって印面を彫ろう! ③印面の彫り方について理解 ○プロジェクターを使い,視覚的に する。 生徒に示すことで,てん刻刀の使 い方を分かりやすく理解させる。 ④下書きにしたがって印面を ○てん刻刀の使い方を守り,安全に ・てん刻刀 彫っていく。 彫ることを伝える。 ○陰刻と陽刻の違いについて確認 ・ワークシート し,彫り方の確認を行なわせる。 ○石のもつ特性を生かしながら集 中して彫らせる。 ○「A」の生徒に対する手立てとし て、自分のもっている技能や発想 を他の生徒にも広めるように促 す。 ○「B」や「C」の生徒に対する手立 てとして、 「A」の生徒のアドバイ スや教師の支援をもとに制作を 進める。 ⑤班の友人の作品を鑑賞し, お ○班内で相互に鑑賞する手順を理 互いの作品のよさや気づき 解させる。 を言い合い, お互いの作品を ・全員分の作品を中央に並べ、全員 高め合う。 で見る。 ・気づいたことは自由に発言してよ い。 ・自分の作品以外の全員分につい て、個々に感じたことを付箋紙に ・付箋紙 記入して全員に渡す。 ○班ごとに相互評価を行う。 ⑥今日の作業を振り返り, 自分 ○今日の振り返りをさせて作品に ・ワークシート の気づきや他の人からの気 対して愛着を持たせるような問 づきをもとに感想を書く。 いかけを行う。 ⑦あと片付けをする。 ○各自協力してあと片付けをさせ ⑧次時の予告をする。 る。 ○本時の学習を振り返り,次時の学 習の見通しを持たせる。 - 80 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 第2学年2組 国語科学習指導案 場所 2年2組教室(教室棟2F) 指導者 教諭 袈裟丸 みのり 1 単元名 用言の活用を学んで,自動詞・他動詞を使った作文を書こう。 2 教材名 文法2 用言の活用(光村図書) 3 単元について (1)生徒観 生徒はこれまでに,小学校で「単語の活用」 ,中学1年生で「単語の分類」などの学習をしてきてい る。 しかし,1年次に実施された,平成25年度標準学力調査の結果からは, 「文法・語句に関する知識」 問題で全国平均 55.3(達成率)に対し,46.2 となっており,9.1 も下回っているというデータが出てい る。また,全国平均に対して, 「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」では 6.2,観点「言語に ついての知識・理解・技能」では 6.7 と低かった。 しかも,文法の学習は断続的なものとなりがちなため,学習内容が定着することが難しいという傾向 も見られる。これらのことから,生徒は文法に関して苦手意識をもっていると思われる。 (2)教材観 この教材は活用の学習をすることを目的として いる。用言の活用について,動詞を例にして学習 する。この学習は,まず,文中で使われる際に語 形を変化させる単語があること,次に,その変化 には規則性(五十音図の行と段に沿った変化)が あること,その規則性はいくつかのグループ(活 用の種類)に分けられること,の三つの学習から 構成される。また,このような学習を,他の用言 である形容詞・形容動詞についても行う。 活用する語である用言(動詞・形容詞・形容動 詞)の特性に関する基本的な知識を学習するほ か,形式用言や自動詞・他動詞に関する知識も学 ぶ盛りだくさんの教材となっている。普段何気な く使用している言葉にも,一定の規則性があるこ とを知り,まとまった知識を得ることは,普段の 言語生活を振り返ることにつながると考える。ま た,この学習が言葉の意味をしっかり考えていく きっかけとなり,言葉の活用力を高めるための教 材であるととらえている。 【系統図(文法) 】 小学校 ・主語と述語との関係 ・修飾と被修飾との関係 ・文の構成についての初歩的な理解 ・単語の活用 ・性質や役割による語句の類別 中1 ・言葉の単位 ・文の組み立て ・単語の分類 ・読んで話し合い、感じ方の違いを知る 中2 ・1年生の復習 ・自立語 ・用言の活用 ・付属語 (3)指導観 本単元の目標は,用言の活用について理解し, そこには規則性があることに気づかせることと,日常の言語生活において,自動詞・他動詞が文脈の 中で果たす働きを理解し,作文を書くことの二つである。 指導に当たっては, 「自立語」を確認し,用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用について理解させ るとともに,生活の中の動詞を考えることによって日常の言語生活を振り返らせたい。そこでまず学 習計画・自己評価表を使い,学習の見通しを持たせることにより,各自の目標と授業の目標を明確化 させる学習を行う。学習形態としては,パーソナルワークだけではなくグループワークを取り入れる ことで,少しでも文法への苦手意識を軽減したい。そして,日常的な場面の例文を活用することでそ - 81 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ の内容を把握させ,普段は意識せずに使っている自動詞・他動詞の意味を考えることで自分自身の言 語生活を振り返るきっかけとしたい。 4 単元の指導目標 ・ 動詞の活用の種類や活用形について理解することができる。 ・ 形容詞・形容動詞の活用について理解することができる。 ・ 自動詞・他動詞の性質や働きについて理解し,自分の表現に役立てることができる。 5 単元の評価規準 国語への関心・意欲・態度 ・用言の活用について理解し,話すこ と・聞くこと,書くことおよび読む ことに役立てようとしている。 書く能力 ・自動詞・他動詞 の違いを理解 し,作文を書い ている。 言語についての知識・理解・技能 ・動詞の活用が五種類に分けられるこ とを理解している。 ・形容詞と形容動詞の活用の違いを理 解している。 6 単元の指導過程(全5時間 本時4/5 ) 過 時 学習活動 指導上の留意点 程 第 1 ①学習の見通しを持つ。 ・既習事項の確認をするとと 一 学習課題を設定し, 「学 もにこれからの学習への見 次 習計画・自己評価表」の 通しを立てる。 使い方を知る。 ・品詞カードを使って, 「自 立語」を思い出させる。 評価規準と評価方法 ・単元の学習課題を知り,個人の 課題を設定できる。 (関・意・ 態)◇観察・学習計画・自己評 価表 自動詞・他動詞を使って作文を書こう。 ②例文から,動詞の特性 や働きを考える。 ③生活の中の動詞を探 し,ワークシートにま とめる。 第 二 次 ・教科書の挿絵を使うこと で,内容をつかみやすくす る。 ・生活全般を振り返らせ,生 活の中から「動詞」を探さ せる。 ・グループで話し合い,相互 に行動や動作を発見させる ようにして短文を書かせ る。 2 ①前時の復習をし,本時 の課題を確認する。 動詞の活用の種類や,活用形について考えよう。 ②ワークシートの活用表 の空欄を埋める。 ③「活用形」 「語幹」 「活 用語尾」について理解 する。 ・ 「ない」 「ます」 「。 」 「と き」 「ば」 「。 」 (命令して言 い切る) 「う」に続く形を 考えさせる。 ・活用形が「語幹」と「活用 語尾」に分けられること を,例語を用いて説明す る。 ・六つの活用形の名称「未然 形」 「連用形」 「終止形」 - 82 - ・後ろに続く言葉によって,動詞 の形が変わることを理解して いる。◇観察 ・日常生活の中から動詞を探す ことができる。 ・短文作りに関して,互いに話し 合っている。 (関・意・態,話 すこと・聞くこと)◇観察・ワ ークシート ・本時の課題を確認している。 (関・意・態)◇観察・ワー クシート ・動詞が後ろに続く言葉によっ て形を変えていることに気づく ことができる。◇観察・ワーク シート ・ 「語幹」と「活用語尾」の区別 ができ,六つの活用形につい ておおよそどのようなものか 理解している。◇観察・ワー クシート 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ ④五種類の活用について 理解する。 ⑤三種類の音便について 理解する。 第 三 次 「連体形」 「仮定形」 「命令 形」について説明し,確認 させる。 ・活用のしかたを理解させ, その名称について説明す る。 ・ 「イ音便」 「促音便」 「撥音 便」の三種類について,例 語を挙げながら説明する。 3 ①前時の復習をし,本時 の課題を確認する。 形容詞と形容動詞の活用について考えよう。 ②形容詞の活用につい て,ワークシートの活 用表の空欄を埋める。 ③形容動詞の活用表につ いて,ワークシートの 活用表の空欄を埋め る。 ④練習課題に取り組み, 用言の活用について理 解する。 4 ①前時の復習をし,本時 の課題を確認する。 ・活用は一つしかないことに 気づかせる。 ・命令形の「○」について, 考えさせる。 ・活用は一つしかないことに 気づかせる。 ・ 「元気です」は「元気だ」 の丁寧ないい方として触れ ておく。 ・ワークP107~P111 を解かせる。 自動詞・他動詞の違いや性質を理解し,作文を書こう。 ②教材文を読み,2つの 動詞の違いについて考 える。 ③自動詞・他動詞を使 い,作文にまとめる。 ・自動詞「壊れた」と他動詞 「壊した」の違いを考えさ せる。 ・生活体験の中から,自動 詞・他動詞の例を探させ る。 ・グループで話し合わせ,自 動詞と他動詞の使い方で失 敗した例や,注意されたこ となどを自由に出させる。 5 ①前時の復習をし,本時 の課題を確認する。 2校時 ・活用の種類が五つあることと それぞれの活用のしかたの違 いについて理解している。 ◇観察・ワークシート ・音便について理解している。 ◇観察・ワークシート ・本時の課題を確認している。 (関・意・態) ◇観察・ワークシート ・活用表を完成させることがで きる。 ◇観察・ワークシート ・活用表を完成させることがで きる。 ◇観察・ワークシート 問題を解くことができる。 ◇観察・ワーク ・本時の課題を確認している。 (関・意・態) ◇観察・ワークシート ・働きの異なる2つの動詞に注 目し,考えることができる。 ◇観察 ・事実を踏まえ,適切な表現で 作文を書くことができる。 (書 くこと) ◇観察・ワークシート ・本時の課題を確認している。 (関・意・態) ◇観察・ワークシート 自動詞・他動詞作文を発表しよう。 ②完成した作文の発表会 ・グループの中から作文を1 ・発表者の作文を,興味をもっ て聞いている。 (関・意・態, を行い,友達の自動詞・ 点選び,発表させる。 話すこと・聞くこと) 他動詞体験と比較して ◇観察 理解を深める。 ③学習計画・自己評価表 - 83 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 を用い,この学習を通 して身についた力を考 える。 7 本時の学習(4/5) (1)本時の指導目標 自動詞・他動詞の違いを理解し,自分の体験を作文に書かせる。 (2)本時の評価規準 ア 自動詞・他動詞を使って,自分の体験を作文に書くことができる。 (3)本時の授業過程 〔P:パーソナルワーク(個)/G:グループワーク(班)/C:クラスワーク(全体)〕 過 程 つ か む 学習活動 形態 指導上の留意点 ①既習事項の振り返 りをする。 C ②本時の学習の見通 しをもつ。 P ○形容詞・形容動詞の活用について確認する。 ○用言について再度確認し,既習事項を思い 出させる。 ○学習計画表を用い,目標を確認させる。 評価規準と 評価方法 自動詞・他動詞の違いや性質を理解し、作文を書こう。 考 え る 深 め る 確 か め る ③教材文を読み,2 つの動詞( 「壊れ た」 「壊した」 )の 違いについて考え る。 P ④生活体験の中か ら,自動詞・他動 詞を探す。 ⑤自動詞・他動詞を 使い,作文【40 0字】にまとめ る。 G ⑥本時のまとめと自 己評価をする。 ⑦次時の学習の見通 しをもつ。 C P C P ○プリント(向田邦子著・ 「男どき女どき」 (新潮文庫)より)を配布し, ( )の 中に入る言葉を考えさせる。 ○働きの異なる2つの動詞,自動詞「壊れ た」と他動詞「壊した」の違いを考えさせ る。 ○グループで話し合わせ,自動詞と他動詞の 使い方で失敗した例や,注意されたことな どを自由に出させる。 ○作文の中で使用する自動詞・他動詞を選 び,まずその2つの動詞の活用を確認させ る。 ○提示したプリントを参考にして,自分の体 験を自動詞・他動詞を使って書かせる。 ○つまずいている生徒には,場面を思い出さ せ,教材文を参考にして書かせる。 ○自己評価表に記入させる。 ○次時は作文の発表会を行うことを伝える。 - 84 - ア〈活動の観察〉 ア〈活動の観察〉 ア〈ワークシート の記述〉 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 第2学年3組 技術・家庭科(技術)学習指導案 場所 2年3組教室(教室棟2F) 2校時 指導者 教諭 佐藤 真也 1 単元名 【教材名】 エネルギー変換機器の仕組みと保守点検 B-(1) 2 単元について (1)生徒観 本学級の生徒は,4月より4人組により学習を進める形態を取り入れており,10月からは,グルー プによる座席を学校生活全般で進めている。そのためか,少しずつではあるが役割に関しても意識して 活動する場面が見られるようになってきた。 実験や実習に関しての関心が高く,意欲的に取り組む傾向にある。しかし,ねばり強く学習に取り組 むことが苦手で課題に直面するとあきらめてしまう傾向も強い。そのためか,自分の考えを表現するこ とも苦手である。 この点に於いて本学級で学習を進めていく過程の中で,課題を明確にしていく過程やそれを解決に導 いていく過程を注意深く見守っていく必要があると考える。 生徒は第2学年で,理科で「電気」の学習を行っており,電気に関する基礎知識は身に付けているが, 「電池を使ってどうやって豆電球を点灯させるか」という課題を解決できない生徒も少なくない。また, 「電気機器の仕組みを知りたい」と言う生徒は半分以下である。その上生徒たちは,電気エネルギーが 具体的に身の回りでどのように利用されているかについて考える機会はほとんどないと言える。この点 からも,技術科での学習を深め,生徒一人ひとりが実践的な態度を身に付け,「持続可能な社会」の実 現に結びつけていく必要がある。 (2)教材観 私たちは,さまざま技術の進歩により便利で快適な生活を送れるようになってきた。特に,日常生 活において多くの電化製品に囲まれ生活を営んでいる。しかしながら,電気エネルギーの利用が当た り前の世の中で,電気エネルギーの恩恵を感じずに生活している生徒も多い。昨今のエネルギー問 題,特に,原子力発電所停止による電気エネルギー供給不足のような社会的問題や環境問題を考えた とき,電気エネルギーの有効的な利用は大変大きな課題である。 以上のような状況からか,家庭用の照明機器は,従来の白熱電球や蛍光灯から,LED照明への切り替 えが進みつつある(出荷数;白熱電球91500 千個・前年比95%,電球型蛍光灯2500 千個・前年比 87%,LED電球1800 千個・前年比167%,日本電球工業会自主統計2012年3月より)。また,家庭だけ ではなく世の中においても信号機や電光掲示板などさまざまな場所でLED照明が利用され,電気エネル ギーの有効利用や環境負荷への軽減へ向けた取り組みが進んでいる。 今回,生徒が身近にふれられるものから学習を深めていくことで学習意欲を高め,「電気エネルギ ーに関わる技術の適切な評価・活用」を考える題材として,電気エネルギーを光のエネルギーに変換 する技術を用いた白熱電球・蛍光灯・LED電球の評価・活用を設定した。教科書に提示してある資料だ けでなく,教師が配布した資料を用いて比較・検討を行い適切に技術の評価を行わせていく。 電気エネルギーを光のエネルギーに変換する技術の評価・活用を通して「持続可能な社会」を目指 す実践的な態度を養うとともに,人や環境を大切にするエネルギーの有効利用についても考えさせた い。 (3)研究テーマとの関わり 私たちの生活を考えたときに,電気エネルギーの存在は必要不可欠のものである。しかし,エネルギ ー資源の枯渇や地球温暖化をはじめとした環境問題はこれから私たちが地球人として未来へと向かう 中で,もっとも大きな課題の1つであることは間違いない。したがって,本単元における電気エネルギ ーの変換技術を社会的,環境的及び経済的側面から適切に評価・活用していく能力の育成はとても大切 なものとなってくる。生徒一人ひとりが主体的に学び,様々な資料などの活用を行い,既得の知識を活 - 85 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 用し,実践的な態度を培っていくことこそが「持続可能な社会」の実現へ向けて必要な要素であると考 え取り組みを進めていきたいと考える。 (4)指導観 本単元では, 「エネルギー変換に関する技術の適切な評価・活用について考える」という内容で照明 機器を例にとって指導を進めていく。 指導にあたっては,知識の習得に偏らず,実験や実習を通してエネルギーの変換技術や有効利用に ついて考えさせていく。また,生徒の興味・関心を高め,学習内容の定着を図るためにICTを効果 的に活用する。生活を工夫し創造する能力として,白熱電球・蛍光灯・LED電球のそれぞれの特徴を比 較検討し,エネルギーの有効利用・環境への負荷・消費者などの側面から利用場所に適した電気機器 を選択させ学習を深めていきたい。それからグループ学習へとつなぎ,他者の視点や考えを知ること で自分の考えをより深化させ,振り返りとつなげていきたい。 使用するワークシートは,学習事項のまとめや習得した知識・技術を活用した課題解決に生かせる ように工夫し,生徒の主体的な学びを支援することで,持続可能な社会を築くために,進んで関わろ うとする態度を育てたいと考える。 3 単元の目標 日頃から用いている電気機器等を安全に使用するために機器の簡単な保守点検と事故の防止に配慮し た使用ができるようにする。 エネルギー変換方法や力の伝達のしくみについての知識を深めと同時に,現在のエネルギー事情を知る ことで,よりよい社会を築くために,エネルギー変換に関する技術や社会や環境との関わりについて主体 的に考える生徒の育成を目指す。また,生徒一人ひとりが知り得たエネルギー変換に関する技術を適切に 評価し,課題を見つけ,解決策を模索し,活用しようとする態度へと深化させる。 4 単元の評価規準 生活や技術への 関心・意欲・態度 生活を工夫し 創造する能力 生活の技能 ・機器の点検すべき場所 を見つけ,保守点検と 事故防止ができる。 ・ろう電,感電,加熱及 び短絡による事故を 防止できる。 - 86 - 生活や技術についての 知識・理解 ・社会で利用されてい る機器等におけるエ ネルギー変換,制御, 利用についての知識 を身につけている。 ・力や運動を伝達する 仕組みの特徴や共通 部品についての知識 を身につけている。 ・機器の構造や電気回 路,各部の働きにつ いての知識を身につ けている。 ・機器の定期点検の必 要性についての知識 を身に付けている。 ・電気機器の定格表示 や安全に関する表示 の意味及び許容電流 の遵守等,適切な使 用方法についての知 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 識を身に付けている。 ・エネルギー変換に関 する技術が社会や環 境に対して果たして いる役割と影響につ いて理解している。 ・エネルギー変換に関 ・エネルギー変換に関す する技術の課題を進 る技術の課題を明確 んで見つけ,社会的, にし,社会的,環境的 環境的及び経済的側 及び経済的側面から 面から比較,検討し 比較,検討しようとす ようとするとともに るとともに適切な解 適切な解決策を示そ 決策を模索し,示すこ うとしている。 とができる。 5 単元の指導過程 ( 全 9 時間 本時 8/9 ) 時 次 学習課題及び主な学習活動 指導上の留意点 間 1 ①社会で利用されている機器で使用さ ○エネルギーという言 れているエネルギー変換の方法を知 葉をこれまでどのよう ることができる。 な意味で使ってきたか 第 1 想起させる。 次 エネルギー変換に関する技術の適切な評価・活用について考える。 ( 導 ②いろいろな機器で用いられているエ ○エネルギー変換につ 入 ) ネルギー変換の方法を調べ分類する。 いて分類を行う場合 ③学習計画を確かめる。 の考え方を示す。 第 2 次 ( 追 求 ) ①本時の学習課題を確かめる。 2 身近な電気機器のしくみを考 える。 ②基本的な回路を知る。 ①本時の学習課題を確かめる。 簡単な電気回路を描く。 3 ②階段の照明の回路を描く。 ①本時の学習課題を確かめる。 4 電気機器の表示はどんな意味 がある? ②安全に関する表示を説明する。 ①本時の学習課題を確かめる。 5 電気機器の表示を見て安全な 使い方がわかる。 2校時 評価規準と評価方法 【知】機器に使用されて いるエネルギー変換の方 法,制御,利用の方法を指 摘できる。 (ワークシート) ○光のエネルギーに変 【知】電気機器の構造や 換する電気機器を中 各部の働きを指摘でき 心に仕組みを示す。 る。 (ワークシート) ○実態図と回路図を対 比させ利点を抑えつ つ示す。 ○校舎の階段の照明を イメージさせ,考えさ せる。 ○身近な電気製品の表 示サンプルを用い,考 えさせる。 ○定格値の設定の仕方 について考えさせる。 ○日常の生活を営む上 で考えられるパターン を提示し,生活を振り返 りながら考えさせる。 【知】電気用図記号や電 気回路について理解でき る。 (ワークシート) 【知】電気機器の構造や 安全に関する表示の意味 を理解している。 (ワークシート) 【知】保守点検と事故防 止の重要性及び安全な使 用方法を指摘できる。 (ワークシート) ②安全に使用するための正しい使い方 を説明できる。 ①本時の学習課題を確かめる。 ○回路計や工具を適切 【技】回路計や工具を適 に使えるよう,既存の 切に使用して,電気機器 電気機器の安全に使用するた 6 学習を振り返らせる。 の保守点検と事故防止が めにできること できる。 - 87 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 第 3 次 ( ま と め ) ○回路計の使用時は,安 ②実際に使用している電気機器が安全 全に配慮し,レンジの に使用されているか点検する。 設定に気をつけさせ る。 ①本時の学習課題を確かめる。 ○身の回りにある動力 の伝達機構について 力や運動を伝達する仕組みを 触れ,考えさせる。 知る。 ○動力源としてのモー 7 ②カム装置かリンク機構の動きを知る。 タの回転運動をどの ように伝達している か実験を通して知ら せる。 ①本時の学習課題を確かめる。 ○様々なエネルギー変 換を行う際の変換効 今後10年間の電気料金。 率を考慮することを どうする? 8 振り返らせる。 本 ②エネルギー変換に関する技術が社会 時 や環境に果たしている役割と影響を ○各種資源の利活用を 考える。 含めて考えさせる。 9 ①本時の学習課題を確かめる。 エネルギー変換に関する技術の 適切な評価と活用を考える ○家庭や企業での取り 組みを調べ,考えさせ る。 ②今後の社会におけるエネルギー変換 ○新しい資源やエネル に関する技術の課題を見つけ,解決策 ギーについて触れ,有 を模索する。 効に活用するための 方策を考えさせる。 2校時 (観察) 【知】力や運動を伝達す る仕組みの特徴や共通部 品を指摘できる。 (ワークシート) (小テ スト) 【関・意・態】エネルギー 変換に関する技術の課題 を進んで見つけ,社会的, 環境的及び経済的側面か ら比較,検討しようとす るとともに,適切な解決 策を示そうとしている。 (ワークシート) 【知】エネルギー変換の 技術が多くの産業を支 え,自然環境の保全など にも貢献していることを 説明できる。 (レポート) 6 本時の学習 (1)目標 照明機器を参考にエネルギー変換に関する技術の課題を進んで見つけ,社会的,環境的及び経済的側 面から比較,検討しようとするとともに,適切な解決策を示そうする態度の育成。 (2)本時の評価規準 エネルギー変換に関する技術の課題を進んで見つけ,社会的,環境的及び経済的側面から比較,検討 しようとするとともに,適切な解決策を示そうとしている。 【関心・意欲・態度】 - 88 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ (3)展開 〔P:パーソナルワーク(個)/G:グループワーク(班)/C:クラスワーク(全体)〕 過 程 形 態 つ か む C 学 習 活 動 ①前時までの学習内容の確認。 ②本時の学習内容を確かめる。 教師の支援活動 ○光のエネルギーへの変換を中 心に様々なエネルギー変換を 行う際の変換効率を考慮する ことを振り返らせる。 今後10年間の電気料金。どうする? P G 考 え る / 深 め る C G 確 か め る C ③3つの照明機器の特徴を確認。 ○机間指導により,必要に応じた アドバイスを行う。 ④グループの意見を聴き,自分の ○役割の確認をし,スキルシート 考えを広げ,深める。 の活用を促す。 ・焦点を絞り,各グループが重要 ○ワークシートを確認しながら 視したポイントをまとめる。 必要に応じてアドバイスを行 う。 ○ホワイトボードシートにまと ⑤グループの意見をまとめ,他の めたものを黒板に貼り,報告者 グループとの意見を比較検討す に発表させる。 る。 ⑥グループでの再検討 ○考えに変更があった場合は,赤 で加除修正を行わせる。 教 材 等 ・電子黒板 ・ワークシート ・白熱電球 ・蛍光灯 ・LED ・ワークシート ・スキルシート ・ホワイトボードシ ート ⑦黒板に貼られている意見をもと ○重要視しているポイントによ ・ワークシート に光へのエネルギー変換に技術 って考え方が変わることに気 についての自分の考えを記入す づかせ,様々な考えの中から自 る。 分なりの考えを書き込めるよ うに配慮する。 - 89 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 第2学年5組 国語科学習指導案 場所 2年5組教室(教室棟2F) 1 単元名 指導者 教諭 坂本 康臣 描写に注意して読み,主人公をかえてリライトしよう。 【教材名 走れメロス】光村図書2年 視点を変えて物語を書こう。 【教材名 表現の仕方を工夫して書こう。 】光村2年 2 単元について (1)単元の目標 ◎ 描写の効果や登場人物の言動の意味を考えさせ,登場人物の心情を読み取り,内容及び主題の把握 ができるようにする。 ◎ 登場人物の心情を理解し,登場人物の心情が読み手に効果的に伝わるように,描写を工夫したりし て書くことができるようにする。 (2)単元の評価規準 国語への 関心・意欲・態度 自分自身の体験や 思いなどを思い起 こし,作品に対する 興味や共感を高め, 人物の心情に寄り 添おうとしている。 読む能力 書く能力 描写や会話に注意 しながら,人間への 理解や主人公の生 き方について,自分 の考えを持とうと している。 状況や心情が 読む人に伝わ るよう,表現を 工夫して書い ている。 言語についての 知識・理解・技能 ・相手や目的に応じて文章の形態や文 章表現に違いがあることを理解してい る。 ・抽象的な概念を表す語句や難語句な どについて理解して読み、語感を磨き、 語彙を豊かにしている。 ・文章に用いられている漢字を正しく 読んでいる。 3 指導に当たって (1)生徒観 生徒はこれまで「登場人物の人柄や気持ち」 (小3) , 「特徴的な言葉に着目して読む」 (小4) , 「人物 像と,人物どうしの関わりに気をつけて読む」 (小5)など,場面の状況や表現に注意しながら,登場人 物の気持ちを読み取る学習をしてきている。しかし,平成26年度の全国学力・学習状況調査(平成 26 年4月実施)の結果を見るに, 「書く」領域の本校の正答率が 32,2%であり,他の領域と比較しても極 めて低く,問題文の条件などを理解できないまま答えている生徒が多いように見受けられる。そのため, 今年は単元ごとに「条件つき作文」の指導(表現)を取り入れるようにして授業をすすめてきた。 また,2年生になってからは「アイスプラネット」などの小説教材で,人物の心情やその変化を,人 物の言動から読み取ることに力点をおいた学習を行った。本単元でも主人公の言動や周囲の情景描写に 着目しながら人物の心情の変化,葛藤から成長する姿を読み取る学習をし,その学習を活用した形で書 く学習につなげたいと考える。 (2)教材観 本単元は,学習指導要領における「C 読むこと」の指導事項(1) 「ウ 場面の展開や登場人物など の描写に注意して読み,内容の理解に役立てること。 」をねらいとしている。 「走れメロス」は,登場人物の心情や,葛藤の先に見られる変化が,言動の描写だけでなく,情景の 描写を通しても書かれている。その点からも作品を味わう力を育て,描写を手がかりにして登場人物の 心情や生き方を読み取る力を身につけさせるのに適した教材である。 - 90 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ また, 「視点を変えて書こう」と いう教材は,さまざまな角度から 物事を見つめなおし,文章の書き 方の視点を知り,描写から表現の 特徴や工夫を読み味わうのに適し た教材である。 【系統図】 読むこと~文学的な文章~ 中1 ・文脈の中で語句の意味や場面展開に着目する ・場面展開や登場人物の描写に着目する ・人物の行動や情景描写から心情を読み取る (3)指導観 本単元では,1学期に学習した 人物の言動から心情を読み取る学 中2 習を生かし,情景描写や表現の工 ・言動や心情などから作品を読み取る(アイスプラネット) 夫からも人物の心情を捉える力を ・人物の描写から人柄や心情を読み取る(盆土産) 育成したい。そこでまず学習の見 ・描写や会話に着目し、人物像の変化を読み味わう(走れメロス) 通しを持たせることにより,各自 の目標と授業の目標を明確化さ せ, 「読むこと」における意図的な学習を行う。学習形態としては,個人で考える時間を十分にとった 上で,班活動を積極的に取り入れたい。他者の考えや感じ方に触れることで自らの思考を深め,また多 様な読みの可能性にも気づかせたい。毎時の学習課題を明確にし,登場人物に対する一人ひとりの生徒 の思考を促進させたい。 また,班での話し合いでは,手順や進め方を繰り返し確認させることで,円滑に進むようにする。さ らに,第二次の最後には語り手を他の登場人物に変えて, 「走れメロス もう1つの物語(仮) 」を書か せることで, 「一人称の視点で話が進むこと」 , 「短い文の繰り返しの持つ効果」などの表現の工夫に気 づかせたり,創作活動の喜びを味わわせたりすることで,生徒の書くことに対する意欲を向上させたい。 そして,リライトをすることにより,メロス以外の登場人物の心情やその変化について気づかせたい。 4 単元の指導計画(全10/10時間) 過 時 学習内容及び学習活動 程 第 一 次 1 2 指導上の留意点 評価規準と 評価方法 作品の前半部分について語句の確認ができる。 ・単元の学習課題を 確認し,個人の課 ①第1の場面から第4の場面 ・読めない漢字,難しい語句を付箋 題を設定できる。 まで個人で読み,読めない の色を変えて書き出させる。 ・抽象的な概念を表 漢字,意味のわからない語 す語句や難語句な 句をノートに書きだす。 どについて理解し て読み、語感を磨 ②グループ内で読めない漢 ・グループ内で共有させ,学び合い き、語彙を豊かに 字,意味の難しい漢字を出 をおこなわせる。 している。 しあい,教え合う。 ③意味の難しい語句につい ・グループ内で分担し,辞書を使っ ・文章に用いられて いる漢字を正しく て,辞書で調べる。 て確認させる。 読んでいる。 (関・意・態・言語) ◇観察・発言・ワーク シート・付箋 作品の後半部分について語句の確認ができる。 ・個人の課題を設定 ①第5の場面から第6の場面 ・読めない漢字,難しい語句を付箋 できる。 ・抽象的な概念を表 まで個人で読み,読めない の色を変えて書き出させる。 す語句や難語句な 漢字,意味のわからない語 ・グループ内で共有させ,学び合い どについて理解し 句をノートに書きだす。 をおこなわせる。 - 91 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 第 二 次 3 ②グループ内で読めない漢 字,意味の難しい漢字を出 しあい,教え合う。 ③意味の難しい語句につい て,辞書で調べる。 ④本教材の終わりには,語り 手を変えたリライトを書 き,作品を互いに交流する という学習活動への見通し を持たせる。 ①場面1,場面2についてグ ループで読む。 ②場面1から作品の設定を捉 える。 2校時 ・グループ内で分担し,辞書を使っ て読み、語感を磨 て確認させる。 き、語彙を豊かに ・語り手を変えたリライト小説に している。 ついて説明をすると共に登場人 ・文章に用いられて 物について詳しく学習していく いる漢字を正しく ことが大切であることを伝える。 読んでいる。 (関・意・態・言語) ◇観察・発言・ワーク シート・付箋 ・前半部分について確認させ,グル ープで句点(。 )読みさせる。 ・冒頭から全体の状況を整理させ る。 (時代)紀元前8世紀? (季節)初夏 (場所)シラクスの町 (様子)ひっそりしている,暗い, 寂しい ・個人の課題を設定 できる。 (関・意・態) ◇観察・発言・ワーク シート 作品の前半部から主人公についてわかることを整理し、その言動な どから人物像をとらえることができる。 ③登場人物を確認する。 ④場面1,場面2から主人公 「メロス」の人物像を捉え る。 4 ①場面3,場面4を読み,メロ スが出会う試練について考 える。 ・主な登場人物を整理させる。 メロス(牧人)/ ディオニス(王) / セリヌンティス(石工) / フ ィロストラトス(石工の弟子) / 妹とその婿(牧人) ・主人公についてわかることや人 物像を捉える。 (わかること) 羊と遊んで暮らしている / 村の 牧人 / 父も母も女房もない / 16 歳の妹と2人暮らし / 短刀を 持って王城へ入る。 (人物像) 政治がわからない / 激怒・邪悪 に対しては人一倍に敏感 / のん き / 単純な男 / 人を疑うこと が嫌い / うそをつくことが嫌い ・人物像をとらえるために必要な スキルを整理し,提示する。 (例)会話文や心内語からの推測 行動描写からの推測 人物像を表す単語 その他 試練1 故郷への未練 試練2 川の氾濫 試練3 山賊の出現 試練4 心身の疲労 - 92 - ・描写や会話に注意 しながら,人間へ の理解や主人公の 生き方について, 自分の考えを持と うとしている。 (読む) ◇観察・発言・ワーク シート ・描写や会話に注意 しながら,人間へ の理解や主人公の 生き方について, 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 場面2から場面5にかけて、メロスの行動を確認し、メロスの心情 の変化に気づくことができる。 第 三 次 5 ②試練を乗り越えていく様子 を確認したうえで,場面2 ~場面5にかけてメロスの 心情がどのように変化して いくのかについて場面ごと に考える。 ①場面5,場面6についてグ ループで回し読みする。 2校時 自分の考えを持と うとしている。 ・王の前に引き出された場面 (読む) ・村を出発して走り出した場面 ◇観察・発言・ワーク ・疲れきって倒れた場面 シート ・再び走り出した場面 ・セリヌンティウスと再会した場 面 ・後半部分について確認させ,グル ープで句点(。 )読みさせる。 作品の後半部分から主人公の人物像をとらえ、前半との違いに気づ くことができる。 ②場面5,場面6から主人公 の人物像を捉える。 ③前時に整理した前半の人物 像と本時に整理した後半の 人物像を比較し,整理する。 6 ・人物像 (メロス) 村の牧人 / 羊と遊んで暮らして いる / 正義感がある / 人を信 じている / 恥かしがりや / 裏 切ろうと思ったことを正直に告白 している。 ④前半から後半で見られる変 ・メロスが出会う幾多の試練 化の理由について考える。 葛藤しながらも乗り越えていく中 で成長するメロスの姿に気づかせ る。 ①メロスが普通の牧人から勇 ・生徒が比較的分かりやすいと思 者へと変わっていく様子を われる「桃太郎」や「浦島太郎」 確認する。 などの話を例に,物語である場所 からある場所に移動する中で,何 かしらの変化がおきることが多 いことに気付かせる。 ・描写や会話に注意 しながら,人間へ の理解や主人公の 生き方について, 自分の考えを持と うとしている。 (読む) ◇観察・発言・ワーク シート ・個人の課題を設定 させる。 (関・意・態) ◇観察・発言・ワーク シート・付箋 メロスの心情の変化に気づくことで、メロスの人間性が変化したこ ・描写や会話に注意 しながら,人間へ とに気づくことができる。 の理解や主人公の ②メロスの変化について考え (例) 生き方について, る。 ・怒っている→恥ずかしがってい 自分の考えを持と る うとしている。 ③メロスの変化の中で特に大 ・怒っている→怒っていない 事な変化は何かを考える。 ・普通の人 →勇者など ・ (前半)メロスは激怒した ↓ (後半)勇者はひどく赤面した ・普通の人間から勇者に変わった。 ・単純な男から内面で深く考えて 行動にうつすことのできる人へ と変わった。 7 ①前時の学習を振り返り,メ ロスが勇者になったことを 確認する。 - 93 - (読む) ◇観察・発言・ワーク シート 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 文章中から勇者に必要な条件を考えることができる。 ②文章中から勇者になるため に必要な条件を考える。 ③先ほど挙げた条件を踏ま え,本小説を通して作者が 読者に伝えたいもの(主題) について考え,30字程度 にまとめ,リライトにつな げる。 第 四 次 8 ・1人最低 10 以上考えさせる。 (例)邪悪を許さない / 徳がある / 議論 / 家族思い / 名誉を守 る / 闘争 / 困難に打ち勝つ / 愛 / 真実 / 卑劣を憎む / 裏切 らない / 正義 / 義務遂行 / 信 頼に報いる / 正直 / 命よりも 大切なもの など ・ 「人は~」 「世の中は~」という形 で主題を書き出すように指示し, 主題を考えたうえでリライトに 臨むことを確認させる。 作者が読者に伝えたいもの (例) ・人は勇気と希望を持ち、正 義を貫くことが大切だ。 ・人は信頼に応えるため、困 難から逃げることなく、努 力することが大切だ。 ・世の中の人々は正義を貫 き、何事にもあきらめない 根性と勇気が大切だ。 ①リライトに必要な語り手を ・教材「視点を変えて書こう」を提 個人で決める。 示する。 視点を変えて物語を書こう。 (1) 9 ②ディオニス,セリヌンティ ・物語の初めで確認した人物像と, ・個人の課題を設定 ウスのどちらかを語り手に 終わりで確認した人物像を比較 できる。 したリライト小説を書く。 し,リライトへの構想を持たせ る。 ・ 「走れメロス」そのものが一人称 (関・意・態) の視点で話が進んでいること、効 ◇観察・発言・ワーク 果的に短い文を繰り返している シート ことを気づかせる。 ・メロスの葛藤,メロスとの関係や メロスに対する気持ち等を踏ま え,他の登場人物の変化について も本文中の描写から気づかせ,リ ライト作品に反映させる。 ①語り手を変えてリライトす ・前時の続きの学習であることを ・情景描写など, 表現 る。 確認する。 を工夫しながら人 物の心情を表そう 視点を変えて物語を書こう。 (2) としている。 (関・意・態,書くこ と) ◇観察・発言・ワーク シート - 94 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ ま と め 10 2校時 ①リライトした文章を個人で ・表記や語句の用法,場面のつなが ・堂々と発表するこ 推敲する。 りなどに注意して,読みやすい文 とができ,また人 章にする。 の発表を聴き,評 価することができ 登場人物の心情を分かりやすく表現するためにグループ活動を行 る。 (関・意・態) い、自分の作品を推敲することができる。 ②リライトした作品をグルー ・工夫した点,読み取った内容をど ◇観察・発言・ワーク シート プ内で読みあい,自分の作 のように活用したのかなどをグ 品にいかせる工夫を探し, ループ内で話し合わせる。 出しあう。 ③自分の作品を加筆,修正す ・グループ内での発表からの気づ る。 きをいかして書かせる。 ④学習全体を振り返り,学習 ・グループ活動を通して学んだこ の成果と課題をまとめる。 とをいかして振り返らせる。 (3)本時の授業過程 〔P:パーソナルワーク(個)/G:グループワーク(班)/C:クラスワーク(全体)〕 過 評価規準と 学習内容及び学習活動 形態 指導上の留意点 程 評価方法 つ ①前時の振り返りをする。 C ○目標を確認させる。 か ②本時の学習の見通しをも む つ。 登場人物の心情を分かりやすく表現するためにグループ活動を行い、自分の作品 を推敲しよう。 考 え る 深 め る ③リライトした作品に誤字や 脱字,また表現におかしな ところがないかを確認す る。 ④グループ内で作品を発表し 合う。 ⑤友達の作品を読み,友達の 優れた部分や,もう少し工 夫した方がよいところを伝 え合う。 ⑥グループ内で出た意見をも とに再度,自分の作品を読 み直し,加筆訂正をおこな う。 ⑦グループの代表者を決め, クラスで発表する。 確 か め る P ○表記や語句の用法, 場面のつながりな ア〈活動の観 どに注意して, 読みやすい文章にさせ 察〉 る。 G P ○グループ内の友達の作品の工夫して イ〈ワークシ いる点を付箋に書かせる。 ートの記 述〉 ○自分の作品に対しての他者の評価を ア〈活動の観 知ることで, 創作への意欲を高めさせ 察〉 る。 イ〈ワークシ ートの記 述〉 ○加筆訂正をおこなうと共に, グループ ア〈活動の観 の代表者を決めさせる。 察〉 G P C ⑧本時のまとめと自己評価を する。 C P ⑨次時の学習の見通しをも つ。 C ○ディオニス, セリヌンティウスのいず ア〈活動の観 れか片方に発表が偏らないように配 察〉 慮する。 ○メロスだけが葛藤していたのではな く,他の登場人物も葛藤していたこと を補足する。 ○次時は新しい教材に進むことを伝え る。 - 95 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 走れメロス 太宰治 場面分け ①町の異変。 王への激怒。 メロスは激怒した。必ず,かの邪知暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわか らぬ。メロスは,村の牧人である。笛を吹き,羊と遊んで暮らしてきた。けれども邪悪に対しては,人一 倍に敏感であった。今日未明,メロスは村を出発し,野を越え山越え,十里離れたこのシラクスの町にや って来た。メロスには父も,母もない。女房もない。十六の,内気な妹と二人暮らしだ。この妹は,村の ある律儀な一牧人を,近々花婿として迎えることになっていた。結婚式も間近なのである。メロスは,そ れゆえ,花嫁の衣装やら祝宴のごちそうやらを買いに,はるばる町にやって来たのだ。まず,その品々を 買い集め,それから都の大路をぶらぶら歩いた。メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。 今はこのシラクスの町で,石工をしている。その友を,これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく会わな かったのだから,訪ねていくのが楽しみである。歩いているうちにメロスは,町の様子を怪しく思った。 ひっそりしている。もう既に日も落ちて,町の暗いのはあたりまえだが,けれども,なんだか,夜のせい ばかりではなく,町全体が,やけに寂しい。のんきなメロスも,だんだん不安になってきた。道で会った 若い衆を捕まえて,何かあったのか,二年前にこの町に来たときは,夜でも皆が歌を歌って,町はにぎや かであったはずだが,と質問した。若い衆は,首を振って答えなかった。しばらく歩いて老爺に会い,今 度はもっと語勢を強くして質問した。老爺は答えなかった。メロスは両手で老爺の体を揺すぶって質問を 重ねた。老爺は,辺りをはばかる低声で,わずか答えた。 「王様は,人を殺します。 」 「なぜ殺すのだ。 」 「悪心を抱いているというのですが,誰もそんな,悪心をもってはおりませぬ。 」 「たくさんの人を殺したのか。 」 「はい,初めは王様の妹婿様を。それから,ご自身のお世継ぎを。それから,妹様を。それから,妹様の お子様を。それから,皇后様を。それから,賢臣のアレキス様を。 」 「驚いた。国王は乱心か。 」 「いいえ,乱心ではございませぬ。人を信ずることができぬというのです。このごろは,臣下の心をもお 疑いになり,少しく派手な暮らしをしている者には,人質一人ずつ差し出すことを命じております。ご命 令を拒めば,十字架にかけられて殺されます。今日は,六人殺されました。 」 聞いて,メロスは激怒した。 「あきれた王だ。生かしておけぬ。 」 ②捕縛,王との対決。 王との約束(セリヌンティウスを身代わりに人質にする) 。 メロスは単純な男であった。買い物を背負ったままで,のそのそ王城に入っていった。たちまち彼は, 巡邏の警吏に捕縛された。調べられて,メロスの懐中からは短剣が出てきたので,騒ぎが大きくなってし まった。メロスは王の前に引き出された。 「この短刀で何をするつもりであったか。言え!」暴君ディオニスは静かに,けれども威厳をもって問い 詰めた。その王の顔は蒼白で,眉間のしわは刻み込まれたように深かった。 「町を暴君の手から救うのだ。 」とメロスは,悪びれずに答えた。 「おまえがか?」王は,憫笑した。 「しかたのないやつじゃ。おまえなどには,わしの孤独の心がわから ぬ。 」 「言うな!」とメロスは,いきり立って反駁した。 「人の心を疑うのは,最も恥ずべき悪徳だ。王は,民 の忠誠をさえ疑っておられる。 」 - 96 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 「疑うのが正当の心構えなのだと,わしに教えてくれたのは,おまえたちだ。人の心は,あてにならない。 人間は,もともと私欲の塊さ。信じては,ならぬ。 」暴君は落ち着いてつぶやき,ほっとため息をついた。 「わしだって,平和を望んでいるのだが。 」 「何のための平和だ。自分の地位を守るためか。 」今度はメロスが嘲笑した。 「罪のない人を殺して,何が平和だ。 」 「黙れ。 」王は,さっと顔を上げて報いた。 「口では,どんな清らかなことでも言える。わしには,人のは らわたの奥底が見え透いてならぬ。おまえだって,今にはりつけになってから,泣いてわびたって聞かぬ ぞ。 」 「ああ,王はりこうだ。うぬぼれているがよい。私は,ちゃんと死ぬる覚悟でいるのに。命ごいなど決し てしない。ただ,──」と言いかけて,メロスは足元に視線を落とし,瞬時ためらい, 「ただ,私に情け をかけたいつもりなら,処刑までに三日間の日限を与えてください。たった一人の妹に,亭主をもたせて やりたいのです。三日のうちに,私は村で結婚式を挙げさせ,必ず,ここへ帰ってきます。 」 「ばかな。 」と暴君は,しゃがれた声で低く笑った。 「とんでもないうそを言うわい。逃がした小鳥が帰っ てくると言うのか。 」 「そうです。帰ってくるのです。 」メロスは必死で言い張った。 「私は約束を守ります。私を三日間だけ許 してください。妹が私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば,よろしい,この町に セリヌンティウスという石工がいます。私の無二の友人だ。あれを人質としてここに置いていこう。私が 逃げてしまって,三日目の日暮れまで,ここに帰ってこなかったら,あの友人を絞め殺してください。頼 む。そうしてください。 」 それを聞いて王は,残虐な気持ちで,そっとほくそ笑んだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰ってこ ないに決まっている。このうそつきにだまされたふりして,放してやるのもおもしろい。そうして身代わ りの男を,三日目に殺してやるのも気味がいい。人は,これだから信じられぬと,わしは悲しい顔して, その身代わりの男を磔刑に処してやるのだ。世の中の,正直者とかいうやつばらにうんと見せつけてやり たいものさ。 「願いを聞いた。その身代わりを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰ってこい。遅れたら,その身代わ りを,きっと殺すぞ。ちょっと遅れてくるがいい。おまえの罪は,永遠に許してやろうぞ。 」 「なに,何をおっしゃる。 」 「はは。命が大事だったら,遅れてこい。おまえの心は,わかっているぞ。 」 メロスは悔しく,じだんだ踏んだ。ものも言いたくなくなった。 竹馬の友,セリヌンティウスは,深夜,王城に召された。暴君ディオニスの面前で,よき友とよき友は, 二年ぶりで相会うた。メロスは,友に一切の事情を語った。セリヌンティウスは無言でうなずき,メロス をひしと抱きしめた。友と友の間は,それでよかった。セリヌンティウスは縄打たれた。メロスはすぐに 出発した。初夏,満天の星である。 ③村に帰り,式の準備。 妹の婿を説得。 妹の結婚式。 妹と婿に別れを告げ,眠る。 メロスはその夜,一睡もせず十里の道を急ぎに急いで,村へ到着したのは明くる日の午前,日は既に高 く昇って,村人たちは野に出て仕事を始めていた。メロスの十六の妹も,今日は兄の代わりに羊群の番を していた。よろめいて歩いてくる兄の,疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして,うるさく兄に質問を 浴びせた。 「なんでもない。 」メロスは無理に笑おうと努めた。 「町に用事を残してきた。またすぐ町に行かなければ ならぬ。明日,おまえの結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。 」 妹は頰を赤らめた。 「うれしいか。きれいな衣装も買ってきた。さあ,これから行って,村の人たちに知らせてこい。結婚式 は明日だと。 」 - 97 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 メロスは,また,よろよろと歩きだし,家へ帰って神々の祭壇を飾り,祝宴の席を調え,間もなく床に 倒れ伏し,呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。 目が覚めたのは夜だった。メロスは起きてすぐ,花婿の家を訪れた。そうして,少し事情があるから, 結婚式を明日にしてくれ,と頼んだ。婿の牧人は驚き,それはいけない,こちらにはまだなんの支度もで きていない,ぶどうの季節まで待ってくれ,と答えた。メロスは,待つことはできぬ,どうか明日にして くれたまえ,とさらに押して頼んだ。婿の牧人も頑強であった。なかなか承諾してくれない。夜明けまで 議論を続けて,やっと,どうにか婿をなだめ,すかして,説き伏せた。結婚式は,真昼に行われた。新郎 新婦の,神々への宣誓が済んだころ,黒雲が空を覆い,ぽつりぽつり雨が降りだし,やがて車軸を流すよ うな大雨となった。祝宴に列席していた村人たちは,なにか不吉なものを感じたが,それでも,めいめい 気持ちを引き立て,狭い家の中で,むんむん蒸し暑いのもこらえ,陽気に歌を歌い,手を打った。メロス も満面に喜色をたたえ,しばらくは,王とのあの約束をさえ忘れていた。祝宴は,夜に入っていよいよ乱 れ華やかになり,人々は,外の豪雨を全く気にしなくなった。メロスは,一生このままここにいたい,と 思った。このよい人たちと生涯暮らしていきたいと願ったが,今は,自分の体で,自分のものではない。 ままならぬことである。メロスは,我が身にむち打ち,ついに出発を決意した。明日の日没までには,ま だ十分の時がある。ちょっとひと眠りして,それからすぐに出発しよう,と考えた。そのころには,雨も 小降りになっていよう。少しでも長くこの家にぐずぐずとどまっていたかった。メロスほどの男にも,や はり未練の情というものはある。今宵呆然,歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り, 「おめでとう。私は疲れてしまったから,ちょっとご免こうむって眠りたい。目が覚めたら,すぐに町に 出かける。大切な用事があるのだ。私がいなくても,もうおまえには優しい亭主があるのだから,決して 寂しいことはない。おまえの兄のいちばん嫌いなものは,人を疑うことと,それから,うそをつくことだ。 おまえも,それは知っているね。亭主との間に,どんな秘密でも作ってはならぬ。おまえに言いたいのは, それだけだ。おまえの兄は,たぶん偉い男なのだから,おまえもその誇りをもっていろ。 」 花嫁は,夢見心地でうなずいた。メロスは,それから花婿の肩をたたいて, 「支度のないのはお互いさまさ。私の家にも,宝といっては妹と羊だけだ。他にはなにもない。全部あげ よう。もう一つ,メロスの弟になったことを誇ってくれ。 」 花婿はもみ手して,照れていた。メロスは笑って村人たちにも会釈して,宴席から立ち去り,羊小屋に もぐり込んで,死んだように深く眠った。 ④出発。 川の氾濫。 山賊の出現。 心身の疲労・衰弱。 目が覚めたのは,明くる日の薄明のころである。メロスは跳ね起き,南無三,寝過ごしたか,いや,ま だまだ大丈夫,これからすぐに出発すれば,約束の刻限までには十分間に合う。今日はぜひとも,あの王 に,人の信実の存するところを見せてやろう。そうして笑ってはりつけの台に上ってやる。メロスは,悠々 と身支度を始めた。雨も,幾分小降りになっている様子である。身支度はできた。さて,メロスは,ぶる んと両腕を大きく振って,雨中,矢のごとく走り出た。 私は,今宵,殺される。殺されるために走るのだ。身代わりの友を救うために走るのだ。王の奸佞邪知 を打ち破るために走るのだ。走らなければならぬ。そうして,私は殺される。若いときから名誉を守れ。 さらば,ふるさと。若いメロスは,つらかった。幾度か,立ち止まりそうになった。えい,えいと大声上 げて,自身をしかりながら走った。村を出て,野を横切り,森をくぐり抜け,隣村に着いたころには雨も やみ,日は高く昇って,そろそろ暑くなってきた。メロスは額の汗を拳ではらい,ここまで来れば大丈夫, もはや故郷への未練はない。妹たちは,きっとよい夫婦になるだろう。私には,今,なんの気がかりもな いはずだ。まっすぐに王城に行き着けば,それでよいのだ。そんなに急ぐ必要もない。ゆっくり歩こう, と持ち前ののんきさを取り返し,好きな小歌をいい声で歌いだした。ぶらぶら歩いて二里行き三里行き, そろそろ全里程の半ばに到達したころ,降ってわいた災難,メロスの足は,はたと止まった。見よ,前方 の川を。昨日の豪雨で山の水源地は氾濫し,濁流とうとうと下流に集まり,猛勢一挙に橋を破壊し,どう - 98 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 どうと響きをあげる激流が,こっぱみじんに橋げたを跳ね飛ばしていた。彼は茫然と立ちすくんだ。あち こちと眺め回し,また,声を限りに呼び立ててみたが,繋舟は残らず波にさらわれて影なく,渡し守の姿 も見えない。流れはいよいよふくれ上がり,海のようになっている。メロスは川岸にうずくまり,男泣き に泣きながらゼウスに手を上げて哀願した。 「ああ,しずめたまえ,荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎ ていきます。太陽も既に真昼時です。あれが沈んでしまわぬうちに,王城に行き着くことができなかった ら,あのよい友達が,私のために死ぬのです。 」 濁流は,メロスの叫びをせせら笑うごとく,ますます激しく躍り狂う。波は波をのみ,巻き,あおり立 て,そうして,時は刻一刻と消えていく。今はメロスも覚悟した。泳ぎ切るより他にない。ああ,神々も 照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を,今こそ発揮してみせる。メロスはざんぶと流れに飛び 込み,百匹の大蛇のようにのたうち荒れ狂う波を相手に,必死の闘争を開始した。満身の力を腕に込めて, 押し寄せ渦巻き引きずる流れを,なんのこれしきとかき分けかき分け,獅子奮迅の人の子の姿には神も哀 れと思ったか,ついに憐愍を垂れてくれた。押し流されつつも,見事,対岸の樹木の幹にすがりつくこと ができたのである。ありがたい。メロスは馬のように大きな胴震いを一つして,すぐにまた先を急いだ。 一刻といえどもむだにはできない。日は既に西に傾きかけている。ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠を登り, 登り切ってほっとしたとき,突然,目の前に一隊の山賊が躍り出た。 「待て。 」 「何をするのだ。私は日の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬ。放せ。 」 「どっこい放さぬ。持ち物全部を置いていけ。 」 「私には,命の他にはなにもない。その,たった一つの命も,これから王にくれてやるのだ。 」 「その,命が欲しいのだ。 」 「さては,王の命令で,ここで私を待ち伏せしていたのだな。 」 山賊たちは,ものも言わず一斉に棍棒を振り上げた。メロスはひょいと体を折り曲げ,飛鳥のごとく身 近の一人に襲いかかり,その棍棒を奪い取って, 「気の毒だが,正義のためだ!」と猛然一撃,たちまち 三人を殴り倒し,残る者のひるむすきに,さっさと走って峠を下った。一気に峠を駆け降りたが,さすが に疲労し,折から午後の灼熱の太陽がまともにかっと照ってきて,メロスは幾度となくめまいを感じ,こ れではならぬと気を取り直しては,よろよろ二,三歩歩いて,ついに,がくりと膝を折った。立ち上がる ことができぬのだ。天をあおいで,悔し泣きに泣きだした。ああ,あ,濁流を泳ぎ切り,山賊を三人も打 ち倒し,韋駄天,ここまで突破してきたメロスよ。真の勇者,メロスよ。今,ここで,疲れ切って動けな くなるとは情けない。愛する友は,おまえを信じたばかりに,やがて殺されなければならぬ。おまえは, 希代の不信の人間,まさしく王の思うつぼだぞと自分をしかってみるのだが,全身なえて,もはや芋虫ほ どにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝転がった。身体疲労すれば,精神も共にやられる。もう, どうでもいいという,勇者に不似合いなふてくされた根性が,心の隅に巣くった。私は,これほど努力し たのだ。約束を破る心は,みじんもなかった。神も照覧,私は精いっぱいに努めてきたのだ。動けなくな るまで走ってきたのだ。私は不信の徒ではない。ああ,できることなら私の胸をたち割って,真紅の心臓 をお目にかけたい。愛と信実の血液だけで動いているこの心臓を見せてやりたい。けれども私は,この大 事なときに,精も根も尽きたのだ。私は,よくよく不幸な男だ。私は,きっと笑われる。私の一家も笑わ れる。私は友を欺いた。中途で倒れるのは,初めからなにもしないのと同じことだ。ああ,もう,どうで もいい。これが,私の定まった運命なのかもしれない。セリヌンティウスよ,許してくれ。君は,いつで も私を信じた。私も君を欺かなかった。私たちは,本当によい友と友であったのだ。一度だって,暗い疑 惑の雲を,お互い胸に宿したことはなかった。今だって,君は私を無心に待っているだろう。ああ,待っ ているだろう。ありがとう,セリヌンティウス。よくも私を信じてくれた。それを思えば,たまらない。 友と友の間の信実は,この世でいちばん誇るべき宝なのだからな。セリヌンティウス,私は走ったのだ。 君を欺くつもりは,みじんもなかった。信じてくれ! 私は急ぎに急いでここまで来たのだ。濁流を突破 した。山賊の囲みからも,するりと抜けて一気に峠を駆け降りてきたのだ。私だからできたのだよ。ああ, このうえ,私に望みたもうな。放っておいてくれ。どうでもいいのだ。私は負けたのだ。だらしがない。 笑ってくれ。王は私に,ちょっと遅れてこい,と耳打ちした。遅れたら,身代わりを殺して,私を助けて くれると約束した。私は王の卑劣をにくんだ。けれども,今になってみると,私は王の言うままになって いる。私は遅れていくだろう。王は,独り合点して私を笑い,そうしてこともなく私を放免するだろう。 - 99 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 そうなったら,私は,死ぬよりつらい。私は,永遠に裏切り者だ。地上で最も不名誉の人種だ。セリヌン ティウスよ,私も死ぬぞ。君といっしょに死なせてくれ。君だけは私を信じてくれるにちがいない。いや, それも私の,独りよがりか? ああ,もういっそ,悪徳者として生き延びてやろうか。村には私の家があ る。羊もいる。妹夫婦は,まさか私を村から追い出すようなことはしないだろう。正義だの,信実だの, 愛だの,考えてみればくだらない。人を殺して自分が生きる。それが人間世界の定法ではなかったか。あ あ,なにもかもばかばかしい。私は醜い裏切り者だ。どうとも勝手にするがよい。やんぬるかな。──四 肢を投げ出して,うとうと,まどろんでしまった。 ⑤水音に目覚め,再び走り出す。 旅人たちの会話。残光が消える寸前,間に合う。 セリヌンティウスとの再会。 ふと耳に,せんせん,水の流れる音が聞こえた。そっと頭をもたげ,息をのんで耳を澄ました。すぐ足 元で,水が流れているらしい。よろよろ起き上がって,見ると,岩の裂け目からこんこんと,何か小さく ささやきながら清水がわき出ているのである。その泉に吸い込まれるようにメロスは身をかがめた。水を 両手ですくって,一口飲んだ。ほうと長いため息が出て,夢から覚めたような気がした。歩ける。行こう。 肉体の疲労回復とともに,わずかながら希望が生まれた。義務遂行の希望である。我が身を殺して,名誉 を守る希望である。斜陽は赤い光を木々の葉に投じ,葉も枝も燃えるばかりに輝いている。日没までには, まだ間がある。私を待っている人があるのだ。少しも疑わず,静かに期待してくれている人があるのだ。 私は信じられている。私の命なぞは問題ではない。死んでおわびなどと,気のいいことは言っておられぬ。 私は信頼に報いなければならぬ。今はただその一事だ。走れ! メロス。 私は信頼されている。私は信頼されている。先刻の,あの悪魔のささやきは,あれは夢だ。悪い夢だ。 忘れてしまえ。五臓が疲れているときは,ふいとあんな悪い夢を見るものだ。メロス,おまえの恥ではな い。やはり,おまえは真の勇者だ。再び立って走れるようになったではないか。ありがたい! 私は正義 の士として死ぬことができるぞ。ああ,日が沈む。ずんずん沈む。待ってくれ,ゼウスよ。私は生まれた ときから正直な男であった。正直な男のままにして死なせてください。 道行く人を押しのけ,はね飛ばし,メロスは黒い風のように走った。野原で酒宴の,その宴席の真った だ中を駆け抜け,酒宴の人たちを仰天させ,犬をけとばし,小川を飛び越え,少しずつ沈んでゆく太陽の, 十倍も速く走った。一団の旅人とさっとすれ違った瞬間,不吉な会話を小耳に挟んだ。 「今ごろは,あの 男も,はりつけにかかっているよ。 」ああ,その男,その男のために私は,今こんなに走っているのだ。 その男を死なせてはならない。急げ,メロス。遅れてはならぬ。愛と誠の力を,今こそ知らせてやるがよ い。風体なんかはどうでもいい。メロスは,今は,ほとんど全裸体であった。呼吸もできず,二度,三度, 口から血が噴き出た。見える。はるか向こうに小さく,シラクスの町の塔楼が見える。塔楼は,夕日を受 けてきらきら光っている。 「ああ,メロス様。 」うめくような声が,風とともに聞こえた。 「誰だ。 」メロスは走りながら尋ねた。 「フィロストラトスでございます。あなたのお友達セリヌンティウス様の弟子でございます。 」その若い 石工も,メロスの後について走りながら叫んだ。 「もう,だめでございます。むだでございます。走るの はやめてください。もう,あの方をお助けになることはできません。 」 「いや,まだ日は沈まぬ。 」 「ちょうど今,あの方が死刑になるところです。ああ,あなたは遅かった。お恨み申します。ほんの少し, もうちょっとでも,早かったなら!」 「いや,まだ日は沈まぬ。 」メロスは胸の張り裂ける思いで,赤く大きい夕日ばかりを見つめていた。走 るより他はない。 「やめてください。走るのはやめてください。今はご自分のお命が大事です。あの方は,あなたを信じて おりました。刑場に引き出されても,平気でいました。王様がさんざんあの方をからかっても,メロスは 来ますとだけ答え,強い信念をもち続けている様子でございました。 」 「それだから,走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う,間に合わぬは問題でないのだ。人の - 100 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 命も問題でないのだ。私は,なんだか,もっと恐ろしく大きいもののために走っているのだ。ついてこい! フィロストラトス。 」 「ああ,あなたは気が狂ったか。それでは,うんと走るがいい。ひょっとしたら,間に合わぬものでもな い。走るがいい。 」 言うにや及ぶ。まだ日は沈まぬ。最後の死力を尽くして,メロスは走った。メロスの頭は空っぽだ。何 一つ考えていない。ただ,わけのわからぬ大きな力に引きずられて走った。日はゆらゆら地平線に没し, まさに最後の一片の残光も消えようとしたとき,メロスは疾風のごとく刑場に突入した。間に合った。 「待て。その人を殺してはならぬ。メロスが帰ってきた。約束のとおり,今,帰ってきた。 」と,大声で 刑場の群衆に向かって叫んだつもりであったが,喉がつぶれてしゃがれた声がかすかに出たばかり,群衆 は,一人として彼の到着に気がつかない。既に,はりつけの柱が高々と立てられ,縄を打たれたセリヌン ティウスは徐々につり上げられてゆく。メロスはそれを目撃して最後の勇,先刻,濁流を泳いだように群 衆をかき分けかき分け, 「私だ,刑吏! 殺されるのは,私だ。メロスだ。彼を人質にした私は,ここにいる!」と,かすれた声 で精いっぱいに叫びながら,ついにはりつけ台に上り,つり上げられてゆく友の両足にかじりついた。群 衆はどよめいた。あっぱれ。許せ,と口々にわめいた。セリヌンティウスの縄は,ほどかれたのである。 「セリヌンティウス。 」メロスは目に涙を浮かべて言った。 「私を殴れ。力いっぱいに頰を殴れ。私は,途 中で一度,悪い夢を見た。君がもし私を殴ってくれなかったら,私は君と抱擁する資格さえないのだ。殴 れ。 」 セリヌンティウスは,全てを察した様子でうなずき,刑場いっぱいに鳴り響くほど音高くメロスの右頰 を殴った。殴ってから優しくほほ笑み, 「メロス,私を殴れ。同じくらい音高く私の頰を殴れ。私はこの三日の間,たった一度だけ,ちらと君を 疑った。生まれて初めて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ,私は君と抱擁できない。 」 メロスは腕にうなりをつけてセリヌンティウスの頰を殴った。 「ありがとう,友よ。 」二人同時に言い,ひしと抱き合い,それからうれし泣きにおいおい声を放って泣 いた。 ⑥王の改心。 群衆の中からも,歔欷の声が聞こえた。暴君ディオニスは,群衆の背後から二人のさまをまじまじと見 つめていたが,やがて静かに二人に近づき,顔を赤らめて,こう言った。 「おまえらの望みはかなったぞ。おまえらは,わしの心に勝ったのだ。信実とは,決して空虚な妄想では なかった。どうか,わしも仲間に入れてくれまいか。どうか,わしの願いを聞き入れて,おまえらの仲間 の一人にしてほしい。 」 どっと群衆の間に,歓声が起こった。 「万歳,王様万歳。 」 一人の少女が,緋のマントをメロスにささげた。メロスは,まごついた。よき友は,気をきかせて教え てやった。 「メロス,君は,真っ裸じゃないか。早くそのマントを着るがいい。このかわいい娘さんは,メロスの裸 体を皆に見られるのが,たまらなく悔しいのだ。 」 ⑦勇者の赤面 勇者は,ひどく赤面した。 - 101 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 第3学年3組 数学科学習指導案 場所 3年3組教室(教室棟1F) 1 単元名 指導者 教諭 中島 雅啓 第8章 標本調査 1節 標本調査 2 単元について (1)単元の目標 コンピュータを用いたりするなどして母集団から標本を取り出し,標本の傾向を調べることで,母集 団の傾向が読み取れることを理解するとともに,その考えを活用できるようにする。そのために ○ 簡単な場合について標本調査を行い,母集団の傾向の傾向をとらえ説明できるようにする。 ○ 標本調査の必要性と意味を理解する。 (2)単元の評価規準 節 項 1 1 立 体 と 空 間 図 形 標 本 調 査 2 活標 用本 調 査 の ・おおむね満足と判断できる規準 観点別学習状況の評価規準 数学への 数学的な 数学的な技能 関心・意欲・態度 見方や考え方 ・標本調査に関心を ・母集団から偏りな ・無作為に標本 もち,その必要性 く標本を抽出する を抽出し,整 と意味を考えたり 方法について考え 理することが ,母集団から偏り ることができる。 できる。 なく標本を抽出し ・整理した標本を基 たり,母集団の傾 にして,母集団の 向を推定したりし 傾向を推定するこ ようとしている。 とができる。 ・標本調査を行い, ・問題を解決するた ・問題を解決す 母集団の傾向を捉 めに,標本調査を るために,無 え説明することに 行い,母集団の傾 作為に標本を 関心をもち,問題 向を捉え説明する 抽出し,整理 の解決に生かそう ことができる。 することがで としている。 きる。 数量や図形などにつ いての知識・理解 ・標本調査や全数調 査の必要性と意味 を理解している。 ・標本調査を行い, 問題を解決する手 順を理解してい る。 3 指導に当たって (1)生徒観 生徒はこれまで小学校において絵や図の読み取りから,表やグラフを用いた資料の分類整理すること を学習し,目的に応じた資料を集め2つの観点から分類整理して特徴を調べることを学習している。さ らに,資料の平均や散らばりを調べ,統計的に考察したり,表現したりすることができるように学習し ている。 中学校においては中学1年では,資料の傾向を把握するために,ヒストグラムや代表値や資料の整理 に関して近似値を学習している。また,中学2年では資料の観察から経験的確率を学んでいる。 本学年の生徒は,4月に実施した全国学力・学習状況調査において数学A,数学Bの正答率は全国平 均と比較すると,それぞれ,-8.0,-9.8 ポイントとなっている。また数学Bにおいて確率の項目は-13 ポ イントになっており確率を求めること,そしてその結果から考察することを苦手としている。 学び合いについては,課題解決する場面で行っており,意見の交換を行い,学習を進めている。 - 102 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 【系統図】 中 学 校 1年 7章 資料の活用 ヒストグラム,代表値,近似値 小 学 校 1年 2年 3年 4年 5年 6年 絵や図を用いた数量の表現 簡単なグラフ 表や棒グラフ 資料の分類整理(2観点の表) , 折れ線グラフ 百分率,円グラフや帯グラフ 資料の平均,度数分布 2年 6章 確率 確率の必要性と意味 確率を求めること 不確定な事象をとらえ説明すること 3年 8章 標本調査 標本調査の必要性と意味 標本調査を行うこと (2)教材観 本単元では,第1学年で学習した目的に応じて 資料を収集して整理し,資料の傾向を読み取るこ とや第2学年で多数回の試行を行って資料を集 めることで不確定な事象の起こりやすさに一定 の傾向があることを通して確率については学習 をしてきた。 本単元では,この学習の上に立ち,母集団の一 部分を標本として抽出する方法や標本の傾向を 調べることで母集団の傾向が読み取れることを 理解できるようにすることを狙っている。 高等学校 数学Ⅰ データの分析 分散,標準偏差及び相関係数 数学A 場合の数と確率 順序,組合せ,条件付き確率, 独立試行 数学B 確率分布(二項分布,正規分布,期待値)と 統計的な推測(母集団と標本) (3)研究テーマとの関わり 生徒とともに育つ学校づくりを目指すため, 次の2点を中心に教材研究を進めている。 ① パーソナルワーク,グループワーク,クラスワークを中心にした授業の構築 ② 生徒の思考プロセスが生徒自ら分かるワークシートの開発 (4)指導観 数学を苦手にしている生徒が多いので,実際に調査を行うことで標本調査を身近なものとして生徒自 身が主体的に活動し,調査のプロセスを丁寧に指導することで全員が調査できることを目指す。 また,標本調査で得られる値がそれぞれ異なることを生徒の結果から実体験で学び,より良い標本調 査を行うための注意点やアンケートの取り方などを検討し考えを導き出させたい。 4 単元の指導過程 ( 全5時間 本時4/5 ) 次 第 一 次 ( 導 入 ) 時 間 1 学習課題及び主な学習活動 指導上の留意点 評価基準と方法 ①人口ピラミッドから分かる こと,そして推測できること を考え,説明する。 ②単元を通しての学習課題と 学習計画を確認する。 ・90歳以上,65歳以上,15歳から 64歳,15未満の人口にそれぞれ注 目し,50年後の人口を推測し,どのよ うなことが予測できるかを考えるよう に指導する。 [関]全数調査と 標本調査に興味を 持ち,主体的に探 求しようとしてい る。 (観察,ワーク シート) 世の中のさまざまな調査について理解を深めよう! - 103 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 ・本単元では,いろいろな事柄を全数調 査と標本調査を用いて調査を行い, 2種類の調査の特徴とそのよさを学 習していくことを知らせる。 第 二 次 2 3 第 三 次 4 5 ①本時の学習課題を確認す る。 [知・思] 全数調査と標本調 査の特徴と無作為 全数調査と標本調査を比較しそれぞれの長所を考えよう! ②全数調査と標本調査の用語 ・調査の目的や費用や手間の部分に注 抽出を理解し,ま の意味を理解し,調査を行 目し標本調査の必要性を考えさせ とめることができ る。 う上で,全数調査や標本調 る。 (ワークシート) 査の適性をそれぞれの場合 において考える。 ・無作為抽出は手当たり次第に抽出す ③無作為に抽出するというこ ることではなく,各資料の取り出し とを理解する。 が,同様に期待されることを意味し ていることを既習の確率から確認さ せる。 ・無作為抽出するために乱数さいや乱 数表を用いることを理解させる。 ①本時の学習課題を確認する [技能] 母集団の平均値と 標本調査から母集団の性質を理解しよう! ②標本調査を行うときに母集 ・記録を基に母集団の平均値と標本の 標本調査の平均値 団の平均値と標本の平均値 平均値を比較し,あまり差がみられ を比較する際の気 を比較し,あまり差がみら ないことを,実際に生徒それぞれに づきを自分の言葉 れないことを理解する。 異なった資料から平均値を求め理解 でまとめることが できる。 (観察・ワ させる。 ③標本調査を行う上で,標本 ・標本調査を行う上で,標本の選び方が ークシート) の選び方で適切な選び方を 検討する。 ①本時の学習課題を確認する 間違えるとどのような不都合ができ るかを考えさせる。 [見・考]標本調 査の具体的な改善 よりよい標本調査行うにはどうすればよいのだろう! ②英和辞典の単語数を,標本 ・標本調査のプロセスを具体的に示し, 点を考え,説明す 調査を基に導き出す。 各自で単語数を求めさせるようにす ることができる。 (観察・ワークシ る。 ③標本調査の結果からよりよ ・求めた単語数が異なった原因につい ート) い標本調査を行うためには て考えさせ,その値が近づくために どのような改善点があるか はどのようにするとよいかいろいろ 意見を出し集約する。 な意見を出させ,よりよい改善点を 見つけるように考えさせる。 ①本時の学習課題を確認する [見・考] アンケートの注意 実際の標本調査では何に注意して調べるとよいだろう! ②標本調査を行うときのアン ・標本調査を行うときのアンケートの 点を考え,どのよ ケートについての注意事項 注意点をみつけ,また公表する際の うな質問をすると よいかを考え説明 や回収結果からの母集団の まとめ方を考えさせる。 することができ 傾向についてどんなことが る。 いえるかを意見交換し統計 (ワークシート) 調査の理解を深める。 - 104 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 5 本時の学習 (1)目標 ◎ 実際の標本調査の活動をもとに,よりよい標本調査への改善点を導き出すことができる。 (数学的な見方や考え方) ○ 標本調査のプロセスを理解し,実際に標本調査を行うことができる。 (数学的な技能) (2)展開 〔P:パーソナルワーク(個)/G:グループワーク(班)/C:クラスワーク(全体)〕 過 程 形 態 学習活動 教師の支援活動 教材 等 ①本時の学習課題を確認する よりよい英和辞典の単語の総数を,標本調査を活用して調べよう! つ か む C P 考 え る G C 深 め る 確 か め る C C ○調査を行う前に,標本調査のプロセスを丁 学習問題 寧に確認し,問題を解決できるようにす 英和辞典に掲載されている見出し る。 単語の総数を次のように,標本調査 をして求めなさい。 ⅰ無作為に数ページを抽出する。 ⅱ各ページに掲載されている見出し単 語がいくつあるか数える。 ⅲ15ページ分を調べる。 ⅳ15ページ分の単語を合計し,1ペー ジ分の単語の数の平均値を求める。 ⅴ英和辞典の総ページ数とⅳの結果を 基に,単語の総数を推測する。 ②各自で学習問題を解決する。 ○机間指導をしながら,ワークシートに自分 ワーク の推測を記入していくように助言する。 シート ○役割を決めて話し合いを進めさせる。 ③グループで自分の推測を説明する。 ○異なる推測がグループで出た場合には必 ずワークシートに記入させ確認できるよう にする。 ④話し合った結果を発表し,他のグル ○それぞれのグループから推測した単語数 ープの意見と比較する。 が異なることを確認する。 ⑤推測の違いについて,付箋を使いど ○推測の違いが生じた原因の分析とその改 のような問題点があったのかを検討 善策を生徒自身で考えさせる。 し,様々な改善法を考える。 ⑥グループで問題点を分類分けし,改 ○数学的な類推をもとに説明することを確認 善点をまとめる。 させる。 ○異なる考えがグループで出た場合や他の 新たな考えが思い浮かんだ場合には必ず ワークシートに記入させるようにする。 ⑧話し合った結果を発表し,他のグル ○グループの意見で,その方法が実際に正 ープの意見と比較し,検証を行う。 しい推測に近づいて行くかを確認させる。 ⑨今日の授業の振り返りをする。 今日学んだことや,自分が考えたことを通し て文章で書かせるようにする。 - 105 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 第3学年4組 外国語科学習指導案 場所 3年4組教室(教室棟1F) 1 単元名 2校時 指導者 教諭 大曲 景子 選んだ写真について、英語で説明しよう。 2 教材名 Let’s Read3 “An Artist in the Arctic” New Horizon English Course Book3 東京書籍 3 単元について (1)生徒観 本学級は,授業中の様々な活動に対して非常に積極的に取り組む姿勢が見られるものの, 「聞くこ と」 「話すこと」 「読むこと」 「書くこと」の4技能のうち, 「書くこと」を最も苦手としている生徒が 大半を占める。これまでも文章を書かせる活動の際には,必ずモデル文を提示し,書くことが苦手な 生徒においてはそれに倣って書くなどの手立てを講じてきた。 11月に実施した「佐賀県中学校英語学力調査」では,表現力を問う問題において,無回答の生 徒,また文法の間違いをしている生徒,正しい文法を用いて書けているが文章にまとまりがない生徒 の3パターンに分かれ,正しくまとまりのある文章を書くことができた生徒は1人もいなかった。学 習指導要領でも「書くこと」について「語と語のつながりなどに注意して正しく文を書くこと」さら に「自分の考えや気持ちなどが読み手に正しく伝わるように,文と文のつながりなどに注意して文章 を書くこと」が,指導の要点として挙げられている。正しく文を書くことへの手立てとしては,中学 校1年生の頃から毎日1ページの単語練習の宿題を課している。また,3年生の2学期からは,授業 のはじめに5問程度の単語テストを実施するようになり,その結果として,単語力は徐々に身に付い ているように思われる。しかし,身に付けた単語を適切に用いて,主語・動詞などに気をつけながら 正しい文を書くこと,さらに全体的にまとまりのある文章を書くことにおいては,まだまだ指導が必 要である。 (2)教材観 本単元では,写真家星野道夫の写真と彼の生き方について説明している伝記あり,彼の心情や環境 の変化が細かく描かれている。また,彼が撮影した写真を通して,自然の美しさや厳しさ,自然と共 存する人々の生活を知ることができる。 本単元は,ある程度まとまった量の文章から構成されており,これまで扱った単元が平均約 200 語 程度だったのに対し,本単元では約 450 語と 2 倍以上の単語数である。そのため、いかに速く正確に 情報を読み取れるかという力を養うのに適当な単元である。 (3)研究テーマとの関わり グループワークを取り入れることで,生徒間の関わり合いを大切にし,お互いの良いところを認め 合う姿勢を育てると同時に,主体的に活動し,お互いの意見を交換することで理解を深め合う,より よい授業実践が可能になると考える。 (4)指導観 指導に当たっては,この1年間を通して,生徒の実態に合わせ「読むこと」 「書くこと」を中心とし た活動を多く取り入れ進めてきた。 まず「読むこと」に関しては,読み取りの観点を与えるなどして,速く正確に読めるよう指導をし てきた。また,語彙力をつけるために,日々の単語の宿題や,授業中の単語テストを継続して行っ た。 「書くこと」においては,まずモデル文をいくつか提示し,それに倣って書く練習を定期的に行う などしてきた。さらに,書く活動の際には,必ず辞書を引くよう促し,習慣づけるよう指導してき た。そして,お互いに書いたものをグループまたはクラス全体で発表することで,生徒全員の理解を - 106 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 深め,またお互いに承認し合う場を与えてきた。 本単元において,まず「読むこと」を中心とした授業を展開し,書く活動にすすめていく。書く活 動の際には,生徒たちにまずモデル文の提示を行い,書く活動のヒントにしてもらいたい。また,前 単元で扱った後置修飾を使ったり,全体的にまとまりのある文章にしたりするために適当な接続詞を 使うようアドバイスをする。授業形態としては,パーソナルワークの後に,グループワークを行うこ とで,個人でじっくり考えたものを持ち寄り,班のメンバーと協力しながらよりよいものに作り上げ るよう導きたい。 【系統図】 中学1年3月 Let’s Read “Over the Horizon” 物語話の展開を正確に理解し,込められたメッセージを読み取る 中学2年9月 Let’s Read1 “A Magic Box” 物語話の結末を考えながら読む 中学2年12月 Let’s Read2 “Try to Be the Only One” 評伝登場人物の生き方・考え方の変化を読み取る 中学2年3月 “Can Anyone Hear Me? 物語 物語の起承転結を考えながら読む 中学3年9月 Let’s Read1 “A Mother’s Lullaby” 物語 場面の変化や登場人物の心情を読み取る 中学3年1月 Let’s Read2 “Roy Brown – Boy Detective” 物語 場面の変化や,事件の経過とその真相について読み取る 中学3年10月 Unit5 “Electronic Dictionaries – For or Against” 現在分詞・過去分詞の形・意味・用法を理解し,表現できる 中学3年11月 Unit6 “Break the Barrier” 関係代名詞の形・意味・用法を理解し、表現できる 中学3年2月 Let’s Read3 “An Artist in the Arctic” 評伝 場面の変化や登場人物の心情を読み取る 4 単元の指導目標 ○ 辞書を活用するなどして書く。 (コミュニケーションへの関心・意欲・態度) ○ 読み取った英文をもとに,自分の印象や感想を英語で書く。 (外国語表現の能力) ○ 場面や心情の変化に注意して説明文の重要な部分を読み取る。 (外国語理解の能力) 5 単元の評価規準 コミュニケーションへの 関心・意欲・態度 ・辞書を活用するなどして 書いている。 外国語表現の能力 外国語理解の能力 ・自分の印象や感想を 英語で書くことがで きる。 ・場面や心情の変化に 注意して説明文の大 切な部分を読み取る ことができる。 - 107 - 言語や文化についての 知識・理解 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 6 単元の指導過程(全7時間 本時7/7) 時 次 学習課題及び主な学習活動 間 ①本時の学習課題について知る。 第 1 次 ( 導 入 ) 1 2 2校時 評価規準と 評価方法 【理】p.84 の内 容に関する質問 星野道夫がアラスカと出会ったきっかけを読み取る ②教科書 p.84 の写真を見ながら,ア ○簡単な Q&A を通して,理 に対して,答え ることができ ラスカや星野道夫に関しての導入を 解を深める。 る。(ノートチェ 行う。 ③教科書 p.84 を黙読させ,話の概要 ○トピックセンテンスを意 ック) をつかませる。 識して読むよう助言す ④新出単語に気をつけながら,音読練 る。 習を行う。 ①本時の学習課題について知る。 ○前時の内容を Q&A を通し 【理】p.85 の内 て振り返る。 容に関する質問 に対して,答え アラスカでの生活の様子を知る ②教科書 p.85 を黙読させ,話の概要 ○速く正確に読むように指 ることができ る。(ノートチェ をつかませる。 示する。 ック) ③ピクチャーカード等を使いながら, 指導上の留意点 アラスカの生活様式について知る。 ④新出単語に気をつけながら,音読練 習をする。 ①本時の学習課題について知る。 第 2 次 ( 追 求 ) 3 4 ○前時の内容を Q&A を通し 【理】p.86,87 の て振り返る。 内容に関する質 問に対して,答 星野道夫の人生について知る ②教科書 p.86,87 を黙読し,内容を読 ○トピックセンテンスを意 えることができ る。(ノートチェ み取る。 識して読むよう助言す ック) ③新出単語に気をつけながら,音読練 る。 習をする。 ①本時の学習課題について知る。 アラスカの環境の変化について知る ②教科書 p.88 を黙読し,内容を読み 取る。 ③ピクチャーカード等を用いながら, アラスカの環境の変化について知 る。 ①本時の学習課題について知る。 星野道夫の人生を振り返り,まとめる 5 ②教科書 p.89 を黙読し,内容を読み とる。 ③ワークシートを使って,星野道夫の 人生をまとめる。 ①本時の学習課題について知る。 それぞれのページに見出しをつける 6 ②各ページのトピックセンテンスを抜 き出し,それをもとに適当な見出し を選ぶ。 - 108 - 【理】p.88 の内 容に関する質問 に対して,答え ることができ る。(ノートチェ ック) 【理】p.84~ p.89 から,星野 道夫の人生をま とめることがで きる。(ワークシ ート) 【理】読みとった 内容をもとに,各 ページに適当な見 出しをあてはめる ことができる。 (ワークシート) 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ ①本時の学習課題について知る。 ( 7 本 時 ) 【表】読みとっ た情報をもと に,5文以上の 英文を書くこと ができる(ワーク シート) 選んだ写真について,説明と選んだ理由を5文以上の英語で書く ②選んだ写真についての説明と感想を 5文以上の英語で書く。 7 本時の学習 (1)指導目標 読んだ英文の情報をもとに,写真を1つ選び,それについての説明と自分の感想を5文以上の英語 で書く。 (2)本時の評価規準 ○ 写真についての説明と感想を5文以上の英文で書くことができたか。 【表現】 ○ 積極的に辞書などを活用して書いている。 【意欲・関心・態度】 (3)展開 〔P:パーソナルワーク(個)/G:グループワーク(班)/C:クラスワーク(全体)〕 過 形 学習活動 教師の支援 教材等 程 態 つ ①前時の学習内容を,簡単な英語 か による口頭質問で振り返る。 C む ②本時の課題を確認する。 選んだ写真について,説明と選んだ理由を5文以上の英語で書く 考 え る ③グループで写真を1枚選び,そ れについて,個人で写真の説明 や感想を書く。 P 深 め る G C 確 か め る ④グループでそれぞれ書いた英文 を発表する。 ⑤それぞれの英文をもとに,グル ープで英文を完成させる。 ⑥話し合った結果をグループごと に発表させる。 ⑦自分の活動を振り返る。 ○モデル文を提示する。 ○3年生の学んだ後置修飾(分 詞・関係代名詞)を用いた文 を必ず入れるよう伝える。 ○書くことが苦手な生徒にはモ デル文に倣って書くようアド バイスする。 ○接続詞等を用いて,全体的に まとまりのある文章になるよ うアドバイスする。 ○役割を決めて話し合いを進め させる。 ・英和/和英辞書 ・ピクチャーカード ・ワークシート ○書架カメラで提示させる。 ・書架カメラ ○他の生徒の発表を受けて,自 分の英文を振り返らせる。 P - 109 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 第3学年6組 音楽科学習指導案 場所 音楽室(管理棟3F) 指導者 教諭 甲斐 信太郎 1 題材名 歌詞や曲想,声部の役割を生かして混声合唱をしよう 第2期 『旅立ちの時』ドリアン助川 作詞 久石譲 作曲 『この星に生まれて』杉本竜一 作詞・作曲 2 単元について (1)題材の目標 音色,速度,旋律,テクスチュア,強弱などを知覚し,それらの働きによる特質や雰囲気を感受し, 聴いたり合唱表現を工夫したりする。また,フレーズや和音等の用語や速度記号を理解して表現に生か す。 (2)単元の評価規準 音楽への関心・意欲・態度 音楽表現の創意工夫 音楽表現の技能 ①歌詞の内容や曲想に関心を持 ①楽曲の旋律,旋律の組み合わせ ①歌詞の内容や曲想,声部の役割 ち,音楽表現を工夫して歌う 方,強弱,構成を知覚し,それ と全体の響きとのかかわりを 学習に主体的に取り組もうと らの働きが生み出す特質や雰 生かした曲にふさわしい音楽 している。 囲気を感受している。 表現をするために必要な,発 ②声部の役割と全体の響きに関 ②歌詞の内容や曲想を感じ取っ 声,言葉の発音などの技能を身 心をもち,合わせて歌う学習 て音楽表現を工夫し,どのよう に付けて歌っている。 に主体的に取り組もうとして に歌うかという思いや意図を いる。 もっている。 3 指導に当たって (1)生徒観 2学期の合唱コンクールや3学期の卒業式に向けての取り組み方法について,昨年度までは,音取り や発声などを教師主導型で行っていた。曲の解釈などについても教師主導型で行ってきたので,生徒た ちにとっては,歌唱力や表現力を身に付けるという意識に至っていなかった。 そこで,今年度は,これまでの授業のあり方を大幅に変更した。まず,全クラスに合唱リーダー(男 子2名、女子2名)を設定した。合唱リーダーの動きについては,クラスによって様々であったが,授 業を進めながら,他のクラスの合唱リーダーの動きを紹介していくにつれて, 「CDの操作だけをすれ ばいい」という意識であった合唱リーダーも他のクラスのアイディアを取り入れながら、パート練習を すすめることができた。パート練習がうまく進まないパートへの指示も,できるだけ合唱リーダーを通 した形で指導を行うことにした。始めは,効率よくパート練習が進むだろうかという不安もあったが, 教師主導型の時と比べ,早いクラスでは,練習し始めて3時間目には指揮者とピアノ伴奏者と一緒に合 唱するクラスも多かった。また,教師主導型の時のように,教師がピアノにはりつくことなく,自由に 動くことができるので,ピアノ伴奏者や指揮者へも気を配る時間を産み出すこともできた。 音楽の授業だけでなく,生徒会の文化委員会が主体となり,文化委員長からの発信で,合唱リーダー 研修会などを設定した。合唱をみんなの力で作っていくのだという意識付けにも効果的だったと思う。 並び方や入退場、自主練習などは,文化委員や合唱リーダーの音頭で学級活動としてという形に持って いくことができた。また,以前は,各クラス用にCDデッキを割り振っていたが,デッキを借りに行く ことに面倒くささを感じている反応が生徒に見られたが,今回はクラス用のCDデッキの数量確認を行 っただけで,生徒自身が練習に必要だからCDデッキを借りていく姿が見られた。 - 110 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 3学期の合唱への取り組みについては,歌詞の内 容を感じ取り,歌唱表現する力を身に付けさせたい。 (2)教材観 本教材では,学習指導要領 A表現(1)歌唱ア「歌 詞の内容や曲想を味わい,曲にふさわしい表現を工 夫して歌うこと。 」やA表現(1)歌唱ウ「声部の役割 と全体の響きとのかかわりを理解して,表現しなが ら合わせて歌うこと。 」について行う。 〔共通事項〕と しては,音色,速度,旋律,テクスチュア,強弱に着 目したい。 扱う楽曲は,新たに取り組み始める『旅立ちの時』 と2学期に合唱リーダーを設定して取り組んだ『こ の星に生まれて』である。どちらも混声 3 部合唱で あるが,今年度は,合唱リーダーを中心として取り組 み始めたことから,混声2部合唱で取り組む。 (3)研究テーマとの関わり 今回の活動は,男子と女子という二つのグループ (パート)での活動が主体である。音楽の専門的な指 導については,合唱リーダーに委ねることは難しい が, 「大きな声で歌おう」というような指導について は,教師側から行うことは格段に減った。2学期か ら,グループ学習をメインにすることによって,自然 に学び合うという環境を作ってきたので, 「このよう に曲を作っていきたい」という意見も出しやすくな っていくのではないかと思われる。1年生の時から 習慣付けていけば,3年生になった時には音楽の専 門的な内容にも生徒たちが主体的に関わり,工夫し ていく姿が見られるのではないかと思われる。 【系統図】 中学1・2年 「合唱への取り組み」<教師主導型> ・二つの旋律のかかわり ・声部の役割 ・歌詞の内容を生かす 中学3年9月〜10 月 「合唱への取り組み 第1期」 ・二つの旋律のかかわり ・声部の役割 ・言葉の発音 中学3年 11 月 「アルトリコーダーへの取り組み」 ・運指の確認 ・曲にふさわしい表現をするための発音,ブ レスコントロールなどの技能を身に付ける 中学3年 1 月 「合唱への取り組み 第2期−1」 授業開始から10~15分間 (4)指導観 本題材でも合唱リーダーを中心に,2学期の合唱 「ギターへの取り組み」 コンクール時期に培ったノウハウを基にして活動を ・演奏方法の習得 行っていきたい。また,2学期は音程正しく歌うこと ・3〜5種類のコード習得 や発声などの技能面に重きを置いた活動になったの で,今回は,歌詞の持つ意味などに触れ,どのように 歌って表現するかということを意識させていきた 中学3年2月〜3月 い。 「合唱への取り組み 第2期−2」 パート練習の方法についても, 『旅立ちの時』のB ・二つの旋律のかかわり メロからサビ,間奏の合唱形態になっている所をピ ・声部の役割 ックアップして練習しやすいように,パート練習用 ・言葉の発音 のCDは,音声をあらかじめいくつかのトラックに ・歌詞の内容を生かす 分けた形で準備する。パート練習時に、 「もう一度曲 の最初から」という練習の仕方でなく,部分練習を取 り入れるよう促していきたい。部分練習への取り組 み方は,生徒たちの自主的な練習の中ではまだまだ定着していないので,教師側から合唱リーダーへあ る程度具体的に指示することになる。 - 111 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 4 単元の指導過程 ( 全6時間 本時3/6 ) 学習課題及び 評価規準 次 時 指導上の留意点 主な学習活動 【評価方法】 10 分 めあて1 第 の 曲の雰囲気を感じ取り,正しいリズムと音程で歌う。 1 活 ・音取りをし,リズムと音程を歌 ・合唱リーダーを中心にパート練習 関①【観察,学 次 動 習カードⅠ】 えるようになる。 を行う。 導 を ・範唱用CDを用いてパート練習を 入 3 行う。 回 創②【観察,学 習カードⅡ−1 めあて2 〜3】 歌詞の内容や曲想,音楽の諸要素を感じ取り,それを生かして歌う。 ・歌詞の内容を感じ取る。 第 二 次 追 求 2 ③ 時 4 ・歌詞の内容や曲想から,よりよ い表現のために必要なことを 考える。 ・歌詞の内容を味わいながら,曲 想を意識して合唱する。 ・曲のイメージと実際の歌声を 比較する。 第 三 次 ま と め ・歌詞全体を読んでの感想を記入す る。 ・歌詞の内容から,自分が大切にし たいポイントを書き出す。 ・音楽的に重要な山場を考える。 ・自分のパートにとって重要な部分 の理由を含めて書く。 ・互いに聞いたり,録音した音声を 聞いたりしながら,自分たちがイ メージしている歌声なのかを考え る。 めあて3 声部の役割や全体の響きを生かして合唱する。 5 6 創①【観察,学 習カードⅡ − 4】 技①【観察,学 習カードⅢ】 関②【観察、楽 譜】 ・各パートの役割や全体の響き ・録音したものを聴き,気付いたこ を感じ取る。 とを楽譜に記入する。 ・録音をし,気付いたことなどを ・どのような歌い方(音色,テクス 楽譜に書き込む。 チュア,強弱)をすればよいかを 話し合う。 ・話し合ったことをもとに歌う。 5 本時の学習 (1)目標 歌詞や曲想を意識して,自分たちが持っている曲のイメージと実際の歌声を比較することができる。 (2)本時の評価規準 ○ 音楽表現を工夫して歌う学習に主体的に取り組もうとしている。 【音楽への関心・意欲・態度】 ○ 歌詞の内容や曲想を感じ取って音楽表現を工夫し,どのように歌うかという思いや意図をもっている。 【音楽表現の創意工夫】 - 112 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ 2校時 (3)展開 〔P:パーソナルワーク(個)/G:グループワーク(班)/C:クラスワーク(全体)〕 過 形 学習活動 教師の指導支援活動 評価規準・教材等 程 態 C ①「校歌」と「この星に生まれて」 ・本時の雰囲気づくりと発 を歌う。 声練習を兼ねて,姿勢等 に気を付け,大きな声で つ 歌うことを意識させる。 か P ②学習カードⅡで,自分の持つ曲 のイメージを振り返る。 む 曲のイメージと実際の歌声を比較しよう! G 考 え る 深 め る G C G 確 か め る C ③パートに分かれて「山場」をど ・拡大した歌詞カードに 関【観察】 のように歌うかを,合唱リーダ 「山場」にしたい部分を 創【学習カードⅢ】 ーを中心に考える。 チェックさせる。 ☆拡大した歌詞カ ④「山場」をどのように歌いたい ・音色や強弱,テクスチュ ード のかを考え,歌って表現する。 アを考え,音楽表現を工 ☆録音機 夫させる。 ・必要に応じて録音し,自 分たちの表現に工夫を 加えさせる。 ⑤男子パートと女子パートで「山 場」をどのように歌って表現す ・それぞれのパートで工夫 るかの情報交換をする。 した部分が分かりやす いように教師側で助言 ⑥情報交換した結果をふまえて, する。 男子パートと女子パートで練習 を行う。 ・お互いの情報を拡大化し カードに記入させる。 ⑦本時の活動を振り返りながら歌 う。 ・ 「山場」をどのように歌う のかを意識して歌わせ る。 ⑧活動の反省を評価カードに記入 ・本時で曲のイメージと実 評価カード する。 際の歌声を比較したこ とを紹介する。 参考文献 ○『小学校学習指導要領解説 音楽編』 (平成 20 年,文部科学省) ○『中学校学習指導要領解説 音楽編』 (平成 20 年,文部科学省) ○『評価規準の作成,評価方法等の工夫改善のための参考資料(中学校 音楽) 』 (平成 23 年,国立教育政策研究所 教育課程研究センター) ○『平成 24 年版 観点別学習状況の評価規準と判定基準』 (2012 年、北尾倫彦監修、図書文化) ○『中学音楽が魅力的に変わる!授業プランの新モデル 30 第2・3学年編』 (2010 年,原田徹・酒井美恵子編著,明治図書) - 113 - 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ - 114 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ - 115 - 2校時 生徒とともに育つ学校づくりを目指して~「授業づくり」の実践を通して~ - 116 - 2校時
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