当クリニックにおける エコーレポート作成の報告 池田バスキュラーアクセス・透析・内科クリニック 川原田 貴士、岩下 廉史、上野 庸介、谷口 安田 透、池田 英治 潔 背景 1 AVFの使用法 GL-2-5:毎回穿刺部位を変え、AVFのできるだけ広い範囲に まんべんなく穿刺することが望ましい。 AVGの使用法 GL-4-2:同一部位での反復穿刺を避けて グラフト血管全体に まんべんなく穿刺することを推奨する。 狭い範囲でVA血管を繰り返し穿刺するとその部の血管が拡張するので穿 刺も容易になる。しかし、長期的にみると仮性動脈瘤や穿刺部位前後の血 管の狭窄の原因となる。 2011年版 社団法人 日本透析医学会 「慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作製および修復に関するガイドライン」 884-885頁 第4章 バスキュラーアクセスの日常管理 (1)穿刺法より 背景 2 穿刺困難:8症例 エコー・DSAによる 穿刺マップ・穿刺部の指導 6症例 部分置換術等による 穿刺ルートの作製 AVFに部分 グラフト:3症例 Run off veinの 狭窄・閉塞の改善 2症例 1ヶ月間当クリニック外来で 穿刺・エコー下穿刺でルート作成 ルート作成:2症例 VAトラブル紹介期間:平成22年9月~平成23年8月(全症例332例) 目的 他施設からのVAトラブルや穿刺困難症例に対し、 VA管理及び穿刺サポートの一環としてエコーレポート (東葛クリニック病院作成を一部改変)による報告を紹介施 設に行った。 その後、紹介施設へエコーレポートの使用状況のアンケート を実施した。 アンケートによって、エコーレポートの効果度を判定し、 今後VA管理に有効なものとなりうるかを調査した。 対象 【期 間】2012年4月~7月(4カ月間) 【症 例】 当クリニックへVAトラブルで紹介となり エコーレポートを作成した9症例(全症例112例) 血流不足 2症例 穿刺困難 7症例 平均透析歴 9.1年 平均年齢 60.4歳 男:女 5:4 【施設数】8施設(全29施設) 症例 59歳 女性 【主訴】穿刺困難・V側穿刺部痛 V側が他にない 【透析歴】5年 【VA】右肘部AVF 右肘部AVF 吻合部 右肘部AVF A A V V 右肘部AVF 新V 吻合部 新V エコーレポート (写真撮影・エコー測定) GE-Healthcare社製 LOGIQ e シャント 写真撮影 エコー測定 エコーレポート(原本) エコーレポート (エコー画像) 短軸 新V側 血管までの距離 :0.29cm 血管径:0.72cm 長軸 エコーレポート (穿刺コメント) 血管までの距離:0.29cm 血管径:0.72cm 穿刺部位としては、漏れやすく、 ためらいのある部位ですが、 径も太く穿刺部痛もなく経過しました。 血流が多く太いので、 16Gクランプ針を使用しました。 エコーレポート(完成) PTA・シャントオペ 履歴 RI・血流量 エコー画像 血管までの距離 血管径 穿刺コメント 写真・穿刺部位 V側穿刺部位と向き ( ) A側穿刺部位と向き ( ) プローブの向き (黒丸がノッチ) ( ) エコーレポートと穿刺に関するアンケート 1.エコーレポートを見てから穿刺している (はい・いいえ) 2.血管のイメージがしやすくなった (はい・いいえ) 3.スムーズに穿刺できるようになった (はい・いいえ) 4.再穿刺が減った (はい・いいえ) 5.穿刺部位が増えた (はい・いいえ) 6.エコーレポートに興味はない (はい・いいえ) 7.エコーレポートはあった方が良い (はい・いいえ) 8.エコレポートの記載内容が分かりにくい (はい・いいえ) 9.他の患者用も作成して欲しい (はい・いいえ) 10.正直、穿刺はしたくない (はい・いいえ) 11.PTAの診療報酬改定内容を知っている (はい・いいえ) 結果 1.エコーレポートを見てから穿刺している 1 2.血管のイメージがしやすくなった 「はい」 69.0% 3.スムーズに穿刺できるようになった 「はい」 40.5% 「はい」 88.1% 4.再穿刺が減った 「はい」 35.7% 結果 5.穿刺部位が増えた 「はい」 54.8% 7.エコーレポートはあった方が良い 「はい」 95.2% 2 6.エコーレポートに興味はない 「いいえ」 90.5% 8.記載内容が分かりにくい 「いいえ」 92.9% 結果 9.他の患者用も作成して欲しい 3 10.正直、穿刺はしたくない 「はい」 76.2% 「いいえ」 73.8% 11.PTAの診療報酬改定内容を知っている 「はい」 78.6% 考察 #1 VAトラブルの穿刺困難症例などを対象に 穿刺サポートを目的として、エコーレポートを 作成し患者からは概ね良好な意見をもらえた。 #2 エコーレポートの活用度、有効度をアンケートにて 調査をした結果、穿刺改善度に関しては、4~6割が 有効という結果だった。 #3 エコーレポートは、9割以上のスタッフから有効で 活用できるツールという評価が得られた。 穿刺スタッフのコメント欄 (賛同意見) ①血管を触知した感覚と、実際穿刺した時の感覚が違う時が あるので助かる。 ②血管の走行もわかりやすくなり、新たな穿刺部位もできた。 ③各部位の穿刺コメントはとても助かる。 (不用の意見) ①参考になるが、無くても穿刺できる。 ②細い血管のレポートは必要か?穿刺する必要があるのか? (改善意見) ①写真に血管の走行があるともっとわかりやすい。 ②造影画像も添付してほしい。 エコーレポート(改訂版) まとめ #1 VA管理のツールとしてエコー レポートは有効に活用された。 #2 今後改良を加え、アクセス穿刺に 対しての負担軽減となるものにまで 発展させたい。
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