観光振興に関する要望 2009 年 8 月 社団 法人 会 九州経済連合会 長 産業振興委員長 松 尾 新 吾 木 瀬 照 雄 観光振興に関する要望 2009 年8月 九州経済連合会 観光は裾野が広い産業であり、新たな産業や雇用を生み出し、地域経済への波及効果 が高い重要な産業です。このため本会では、観光産業の振興を最重点課題の一つと位置 付け、九州地域の一体的発展を図るため官民で組織する「九州観光推進機構」と連携し て取組みを進めております。また、政府においても昨秋、観光庁を創設され、「観光立 国推進基本計画」の実現に向けて積極的な取組みが進められているところです。 しかしながら、昨年来からの経済危機、円高および、新型インフルエンザ問題など 観光を取り巻く環境は急速に変化しております。このような中、当地域では観光の持続 的発展を図るため、九州域外の大都市圏や海外からの誘客を図るとともに、新たな観光 資源の開発による新規需要開拓が必要となっています。 このため、これらの推進にあたっては、地域が率先して魅力ある観光地づくりや誘客 に取組んでいくことは基本ですが、依然として遅れているハード・ソフト両面のインフ ラ整備や規制改革を早急に実現し、公正な競争の基に観光振興を図っていくことが重要 となっています。 つきましては、観光産業の育成・強化を図るため、下記事項について特段のご配慮を 賜りますよう強く要望致します。 記 1. 安心かつ質の高い国際観光交流に向けた政府間協力の促進 海外からの旅行者が満足する安心かつ質の高いツアーを保証し、国際観光の更なる発展を 図るため、日本国内の地上手配に際しては、信頼できる正規事業者を通じるよう、相手国政府 と協力して関係機関へ一層の働きかけを図ること。 2.外国人旅行者に対するワンストップサービスの充実 九州では、韓国や中国など海外からの個人・小グループ観光が増加する中で、これらの 外 国人に対する受け入れやサポート体制が十分に整備されていないのが現状です。このた め、不測のトラブルに初期対応できる 24 時間ワンストップサービスが可能な総合案内所を設 置するとともに、既存の観光案内所との連携により、サービスの更なる向上を図ること。 3.外国人旅行者のショートビジットに対応した入国管理手続き(CIQ)の迅速化 海外からの外航クルーズ船の入港において短時間の仮上陸が増加する中で、上陸前の入 国管理手続き(CIQ)の迅速化を図ること。 4.産業観光振興に向けた受け入れ企業支援 九州地域には、日本の近代化に貢献した歴史的な遺構や日本経済を牽引する先進工場 が各地に点在していることから、それらを活用した産業観光の推進により、九州観光の魅力を さらに高めていくことが重要となっています。このため、見学者の受け入れに対応する説明要 員の確保や教育にあたっては、企業と行政が一体となって地域別専門案内士を養成するな ど、受け入れ企業の負担をできるだけ減らす支援を講じること。 5.通訳案内士試験制度の見直し 九州地域の外国人観光客は東アジアからの旅行者 が大半であり、その約 7 割が韓国から の旅行者となっています。しかしながら、海外からの旅行者に快適で質の高いサービスを提供 する上で重要な役割を担っている通訳案内士の有資格者は依然として少数にとどまっていま す。このため、現行の試験内容を基本的かつ重要な項目にとどめ、新たに通訳案内士補の枠 を設けるなどにより合格枠を広げ、OJT 等を通じたより実践的な人材育成ができるよう試験制 度の見直しを検討すること。 6.海外との学校交流を通じた国際観光の振興 文化・スポーツ交流等を通じた相互理解を促進するとともに、国際観光の振興にもつながる 海外からの教育旅行の受け入れに対して、交流経費の補助など受け入れ学校の負担を減ら す支援を講じること。 7.広域観光の振興に不可欠な循環型高速交通体系の早期整備 各地に点在する魅力ある観光資源をルート化して、九州観光の一体的な広域観光の振興を 図るため、東九州自動車道をはじめとした高規格幹線道路、地域高規格道路等の循環型高速 交通体系の早期整備を図ること。 以上
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