②販売商品によっては許認可が必要! ― 輸入モノは検査が必要な商品も多い ― 輸入モノの「食品関係」はすべて検査が必要 ネットショップで商品を販売する場合、許認可を受ける必要があるかを、まず確認する必要があります。 その結果「必要あり」と判断されれば、役所などで許認可を受けなければ、販売することはできません。 日本国内で入手した商品を売る場合は、「国内商品でも一部許認可が必要」で紹介されたフローチャートを使って許 認可が必要かどうかをチェックしていきましょう。 「衣類」「雑貨」「植物」などは、許認可を取る必要はほとんどありません。 一方、「食べ物&飲み物類」「中古品」「ペット類」などはチェックの対象です。 まず、「食べ物&飲み物類」から見ていきましょう。 許認可が必要なのは、主に①材料に自ら手を加えた加工物、②.お酒の販売です。 自分で栽培した果物や野菜の販売は、許認可を受ける必要はありません。 お米の販売については、農家から直接消費者に販売する場合は無許可でかまいません。 業者が加工したお菓子、缶詰も自由に売れます。 ①の「材料に自ら手を加えた加工物」とは、果物をお菓子にする、野菜を漬物やお惣菜にするといった商品が挙げら れ、営業するには「食品衛生責任者の免許」と「食品衛生法に基づく営業許可」の取得が必要です(「国内商品でも一 部許認可が必要」参照)。 ただし、漬物は地域によって許可が必要ない場合もあります。 ②の「お酒」は、2006 年の法改正で「通信販売酒類小売業免許」を取得すれば、ネットショップ専業でもお酒を販売で きるようになりました。 「中古品」の販売は、自分で使用したモノ以外、たとえば販売を目的として商品を仕入れたり、委託販売を請け負う場 合、古物商許可証が必要です。 なお「生き物類」は、犬やネコを扱う場合、動物保護相談センターに登録する必要があり、登録するためには動物取 扱主任者の講習を受け、免許を取得しなければなりません。 なお、魚や昆虫は免許を取得することなく販売できます。 一方、海外からの輸入商品は「食品関係」はすべて検査が必要だと思ってください。 缶詰など加工済みの食品でも検査が必要です。植物関係についても、植物防疫所での検査が必要です。 衣類や雑貨類は、基本的には自由に売ることができますが、一つ注意したい商品があります。 それは「口の中に入れる可能性のあるもの」です。 具体的には、食器類、フォーク類、風船、子供の遊び道具などは、食品衛生法の対象になります。 食品類の輸入と同じ手続きをします。 ― 国内商品でも一部許認可が必要 ― ― 中古品を扱う場合は「古物商の許可」の手続きをする ― 古物商の免許取得は警察署への連絡からスタート 「中古品」とは、どのようなものを指すのでしょうか。 簡単に言えば、①すでに使用されたもの、②未使用だが、一度消費者の手に渡ったもの、③メンテナンスされたも のの 3 点に当てはまる商品を中古品と定義し、販売するには、古物商の免許を取得する必要があります。 なお、自分の家で使っていたものを売るだけであれば、古物商の免許は必要ありませんが、将来、他人の中古品を 扱うつもりならば、今のうちに取得しましょう。 古物商の免許取得の初めの一歩は、自分の住所を管轄する警察署の生活安全課に電話連絡をすることから始まり ます。 所轄の警察は、必ずしも住所に一番近い所とは限らないので事前に確認しましょう。 なお、事前の電話連絡は、特に必要ないという警察署もあります。 出向いた警察署で、申請書 2 通(個人用・管理者用)、誓約書などが渡されます。 そして、登記事項証明書(東京法務局発行)や身分証明書、経歴書、賃貸契約書の写しなどを自分で揃えるように指 示されます。 書類を揃えるときに一番面倒なのは、登記事項証明書。犯罪歴がないことを証明するこの証明書の申請書を法務局 のホームページからダウンロードし、登記印紙 500 円分、返信用封筒と共に送付します。 登記印紙は、収入印紙とは違うので要注意です。 登記事項証明書が手元に届くまでは 1 週間ほどかかります。 その間の時間を使って、ほかの書類を揃えましょう。経歴書は、過去 5 年間を履歴書にまとめれば OK です。 すべての書類を準備したら、手数料の収入印紙を添え、警察署に行きます。 手数料は、事前に振り込みを求められる場合もあります。 警察での確認は、それほど時間がかかりません。以前は「ネットショップって何だ?」などと聞いてくる警察署もあっ たそうですが、最近ではそういったこともないようです。 警察での申請終了後、40 日ほどで許可が出た旨を知らせる連絡が入ります。 その後、申請者が申請した住所に住んでいるかどうかを確認するために担当の警察署員が来訪します。 その際、標識と古物台帳を購入するよう指示があります。標識は警察が代行発注することがほとんど。 標識が出来上がったという知らせが入ったら、再び警察へ。これで免許取得は完了です。 古物商の免許取得は、書類の不備などに気をつけさえすれば、特に難しいことはありません。 ― 「古物商の許可」を取得するまでの手順 ― 輸入食器、玩具などを輸入する場合食品衛生法に基づいて検査する 海外商品を輸入する場合、「輸入関税」と「消費税」を支払う 海外からの輸入商品を許可なしで売れるかどうかは、「輸入モノは検査が必要な商品も多い」でも説明しましたが、 さらに詳しくチェックしましょう。 海外から輸入した商品を販売する場合、国内商品では許認可を受ける必要がない商品でも許可が必要となるものが あります。 たとえば、加工していない食品(野菜や果物など)、加工済みの食品(缶詰、缶ジュースなど)、植物関係などはすべ て届け出と検査が必要です。 まず、食品類は、加工済み&未加工ともに、厚生労働省検疫所輸入食品監視担当に宛てて「食品等輸入届出書」に 必要な書類を添付して届け出て、食品の審査・検査を受ける必要があります。 一方、未加工の食品は、厚生労働省検疫所での検査のほかに、植物防疫法に基づき、植物防疫所で検査申請を行 うことも必要です。 食品に、病害虫などが付着していないかを調べるためです。植物防疫所で「植物輸入検査申請書」にいくつかの書 類を添付して検査申請を行います。植物関係(ドライフラワーを含む)は、植物防疫所での検査のみ必要です。 以上、海外からの輸入商品の多くが「検査が必要」と解説しましたが、これらの検査の手続きを自分で行うのは手間 が掛かるので、代行業者に依頼しましょう。 ところで、輸入食器や玩具など、大人や乳幼児の口に触れる機会の多い商品も、食品衛生法の対象になるので食品 類の輸入と同様の手続きを行います。これも代行業者に依頼しましょう。 何度か輸入検査を経験し、慣れてくれば専門書などで勉強して自分で手続きするのもよいでしょう。 食器などを輸入する場合の手順は下の通りです。 ここで一つ覚えておきたいのは、海外の商品を輸入する場合は、基本的に「輸入関税」と「消費税(5%)」を支払う必 要があるという点です。 計算式が少々難しいため、簡易税率という制度もあります。 関税については、ここでは詳しく触れませんが、専用ホームページで確認してください。 ― お酒を販売する場合は「通信販売酒類小売業免許」を取得する ― ネットで販売できる酒類は地酒または輸入酒に限る 2006 年の法改正で「通信販売酒類小売業免許」を取得すれば、ネットショップ専業でもお酒の販売が可能になりまし た。 その免許取得の手順を確認しましょう。 通信販売酒類小売業免許を申請する場所は、所轄の税務署。 ここで覚えておきたいのは、ネットショップなど通信販売の場合、扱える酒類には条件があるという点。 その条件は、上の案内のとおりです。 つまり、一般の酒屋に置いてある大手蔵元のお酒は扱えません。 いわゆる地酒か輸入酒に限定されます。 しかし、小さな蔵元でも、取引の許諾を得るのはそれほど簡単ではありません。 となると、まずは免許だけを取得し、後から蔵元を探そうと考えたいところですが、そうはいきません。 なぜなら、免許の申請時に提出する必要書類の中に、酒類の製造者の証明書があります。 つまり、どの蔵元のどのお酒を販売するかが決まっている場合に限り、申請できるのです。 ちなみに、蔵元は課税移出数量などは公表していません。 小さな蔵元に電話をして話がうまく進みそうであれば、直接交渉に行くのが一番の近道。 販売実績がないネットショップの場合、今後の展望や現状など熱意を込めて話し、交渉してみましょう。 蔵元を探す間も、税務署に足を運びましょう。 提出する書類は、住民票、確定申告書の写し、事務所として使う土地・建物の契約書、事業を行う部屋の見取り図な どさまざまであり、膨大な量です。 もちろんネットショップのページのコピーも必須。 開業前であれば、トップページのイメージを手書きやパソコンで書いて提出する必要もあります。 蔵元との取引が可能となったら、免許を取得できたら販売するという「合意書」をもらって税務署に提出します。 その後、蔵元の証明書をもらえば、いよいよ申請書と必要書類を提出します。 免許取得までの“待ち時間”は数カ月です。 登録免許税は約 3 万円ですが、行政書士に頼む場合の 10 分の1程度で済みます。
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