4. きれいな空気と水のなかで、環境のことを考えた事業活動を行うまち

第3編 望ましい環境像実現のための取り組み
4.
1
きれいな空気と水のなかで、環境のことを考えた事業活動を行うまち
有害な化学物質による影響と公害の防止を徹底しよう
現在のわたしたちの生活は、さまざまな化
有害な化学物質が排出されることに懸念を
学物質を使用した製品によって支えられて
抱く町民も多く、有害な化学物質による影響
おり、製品の製造から廃棄までの各段階で化
の未然防止が求められています。
学物質は環境中に放出されます。化学物質の
また、幸田町では、市街化区域に占める工
なかには、人の健康や生態系に有害な影響を
業系用途地域の割合が比較的高くなってい
及ぼすものや、有害な影響の有無や仕組みが
ますが、規模の大きな工場は工業団地に集積
科学的に十分解明されていないものも多く、
し、公害防止対策も十分に行われ、これまで
化学物質による環境負荷を効果的・経済的に
目立った公害問題は起こっていません。今後
*
低減するため、PRTR制度 等の新たな取
とも公害防止に向けた取り組みを進め、公害
り組みが行われています。
を発生させないことが必要です。一方、住工
幸田町内や隣接する地域では過去に有害
混在地区で事業活動を行う規模の小さい工
な化学物質による地下水汚染が発生したこ
場については、騒音や悪臭の発生等により周
とがあり、現在も町内の工場・事業場では多
辺に住む人々と摩擦を生じる場合があり、そ
くの化学物質が使用されています。このため、
の対策が求められています。
*PRTR制度(環境汚染物質排出移動登録制度)とは・・・・・
PRTR制度とは、人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質について、環
境中への排出量や廃棄物に含まれて工場・事業場の外に移動する量を事業者自らが把
握し、都道府県に報告を行い、国が事業者からの報告や統計資料等を用いた推計に基
づき、対象化学物質の環境中への排出量や廃棄物に含まれて移動する量を把握し、集
計し、公表する仕組みのこと。
PRTR制度によって、毎年どのような有害な化学物質が、どのようなところから、
どれくらい排出されているかを知ることができるようになりました。また、PRTR
制度には、事業者自らの努力により化学物質の排出や移動を抑制する効果があります。
対象事業者
事業者は、対象となる化学物質の使用状況を把握
し、自主的な管理を強化する。対象となる化学物
質、業種、規模は政令で定められている。
化学物質の使用
状況をチェック
大気や水等への排出量、廃棄
物としての移動量を届け出
国 民
国民は、個別事業所デー
タの開示を請求できる。
情報を公表
都道府県
情報を公表・
開示
企業秘密にあたる
情報は、直接国に
届け出
都道府県
都道府県が窓口。
※意見を付すこともできる
開示請求
国
集計データと個別事
業所データを通知
国が集計してデータベース化。
国は、届け出対象以外の排出量(届け出対象外の事業者、家庭、自動車等)と移動
量についても推計し、公表します。
- 52 -
第3編 望ましい環境像実現のための取り組み
町の施策
有害な化学物質による影響や公害の総合的な防止対策の推進
○公害防止協定の締結と遵守を強化するとともに、協定の適切な見直しを行います。
○工場・事業場から発生する有害な化学物質や公害に関する事項、および町内の公害に
係わる環境の状況について、調査・監視体制の強化・充実を図ります。
○町内の有害な化学物質による汚染や公害に係わる環境情報を積極的に公表します。
有害な化学物質による影響の防止
○工場・事業場で使用されている有害な化学物質の削減を促進します。
○工場・事業場における有害な化学物質の使用実態を把握し、有害な化学物質に関する
環境監視を強化します。
○PRTR制度の適正な運用等、工場・事業場に対し有害な化学物質の適正な管理を行
うよう指導を強化します。 *
○化学物質の環境リスクおよびリスク管理に関する情報の収集と、町民・事業者への情
報提供を積極的に行います。
公害防止対策の推進
○大気汚染防止法や愛知県公害防止条例に基づく指導の徹底等により工場・事業場から
の大気汚染物質の排出防止を進めるとともに、大気汚染防止のための広域的連携を推
進します。
○悪臭防止法や愛知県公害防止条例に基づく指導の徹底等により、工場・事業場からの
悪臭の防止対策を推進します。
○水質汚濁防止法や愛知県公害防止条例に基づく指導の徹底等により工場・事業場から
の水質汚濁物質の排出防止を進めるとともに、水質汚濁防止のための広域的連携を推
進します。
○騒音規制法や振動規制法、愛知県公害防止条例に基づく指導の徹底等により、工場・
事業場からの騒音・振動の防止対策を推進します。
○土壌汚染の実態把握に努めるとともに、土壌汚染の防止対策を推進します。
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第3編 望ましい環境像実現のための取り組み
きれいな空気と水のなかで、環境のことを考えた事業活動を行うまち
*有害な化学物質の適正な管理を行うよう指導を強化するために
具体的にはこんなことをします・・・・・
◆PRTR制度についての説明会の実施やインターネットの活用等により、事業者に対し
て制度の趣旨や内容の周知と指導を行い、適正な運用を図ります。
◆有害な化学物質の適正な保管・使用・処理についての情報提供を充実させます。
◆有害な化学物質の適正管理に関する計画の作成と提出を要請します。
◆立ち入り検査の実施を推進します。
◆災害や事故による有害な化学物質の漏出等を防止するため、庁内関係部局や関係機関に
よる緊急時対応体制を整備し、災害時・事故時の環境監視の実施や周辺に住む人々等に
対する迅速な情報伝達、漏出・拡散防止等について、より適切に対応します。
◆工場・事業場に対して、事故未然防止のために以下の指導を行います。
・安全教育の徹底と有害な化学物質の取り扱い手順書の作成
・災害時や事故発生時等の緊急時対応手順書の作成と提出
・緊急時連絡体制の確立
町民の環境配慮行動
○有害な化学物質による影響や公害問題に関心をもち、情報の入手に務めましょう。
○町民が参加して行われる大気や水質の環境調査に積極的に参加・協力しましょう。
○有害な化学物質による影響や公害防止のために町や事業者が行う取り組みについて
理解し、その推進に協力しましょう。
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第3編 望ましい環境像実現のための取り組み
事業者の環境配慮行動
○事業の実施にあたり、適切な公害防止協定の締結や必要に応じた見直しを行い、遵守
しましょう。
○周辺環境の汚染の可能性が確認された場合は、速やかに関係機関に連絡し、適切な対
応をしましょう。
○有害な化学物質の使用削減に努めるとともに、適正管理の徹底と未規制化学物質の自
主管理を進めましょう。
○事故や災害による有害な化学物質の漏出等を防止するため、安全教育の徹底と取り扱
い手順の作成、緊急時対応システムの確立を進めましょう。
○自社の工場・事業場で使用している化学物質を中心に、リスク管理のための科学的デ
ータの収集・蓄積と、町や町民への情報提供を積極的に進めましょう。
○排ガスや排水、悪臭、騒音、振動による環境への負荷の一層の低減に努めましょう。*
○有害な化学物質や排水、集塵灰等の適切な保管・処理を徹底し、土壌および地下水の
汚染を防止しましょう。
○土地の改変や用途を変更する際は、土壌調査を実施しましょう。
*排ガスや排水、悪臭、騒音、振動による環境への負荷の低減対策の実施例・・・・・
◆排水処理設備等の公害防止設備・機器を設置したり、改善したりする。
◆原材料や工程を見直す。
◆ボイラー等の燃料を、良質燃料に転換する。
◆悪臭発生物質の保管施設を整備したり、保管施設や保管方法を改善する。
◆用水について、クローズドシステムを採用する。
◆建物の遮音性の向上を図る。
◆有害な物質を含む可能性のある排水や集塵灰等を適切に保管し、処理する。
- 55 -
第3編 望ましい環境像実現のための取り組み
きれいな空気と水のなかで、環境のことを考えた事業活動を行うまち
2 廃棄物の減量化と適正処理を進めよう
(t/年)
2,000
工場における製品の製造等の生産活動は、
事業系一般廃棄物排出量の変化
不燃系
可燃系
多くの廃棄物を発生させ、環境に大きな負荷
1,500
を与えます。今日では、環境保全を経営戦略
812.50
の重要な一要素と位置づけ、廃棄物の減量化
464.43
324.16
178.90
801.50
822.36
897.24
918.32
平成10年
11年
12年
13年
1,000
に積極的に取り組んでいる事業者があるもの
500
の、全体としては十分とはいえません。また、
大規模小売店舗をはじめとする事業場におい
0
ても、梱包材や生ごみが大量に発生します。
事業者は、製品の製造や販売にともない、
資料:平成 13 年版清掃事業概要(幸田町)
自社の工場・事業場から発生する廃棄物を減
量化するだけでは、廃棄物の減量に向けた取
廃棄物のリサイクルについて工夫していること
り組みは十分とはいえません。事業者が製造
回答割合(%)
0
10
20
30
し消費者に販売した製品が、使用・消費され
社内でのリサイクルに努力
て廃棄物となるのであり、循環型社会を形成
するためには、事業者には、廃棄物の減量に
リサイクル業者への売却
つながる製品の製造や販売を行うことが求
他工場・事業場と協力して資源回収
他工場・事業場に提供・売却
められます。
ています。その一環として、廃棄物の減量化
31.7
34.4
2.0
焼却時の熱利用
生ごみの堆肥化
4.2
20.8
12.9
18.8
19.8
リサイクルは特に行っていない
に貢献する産業を誘致することを考えてい
く必要があります。
50
31.7
11.5
1.0
4.2
町では、今後も新たな産業の誘致を検討し
40
その他独自の工夫
5.2
11.9
事業系一般
廃棄物
産業廃棄物
資料:平成 12 年環境に関する事業者アンケート(幸田町)
町の施策
廃棄物の減量化の促進
○製品の製造や販売にともなう廃棄物の発生抑制を促進します。*
○製品の製造や販売にともなって工場・事業場から発生する廃棄物のリサイクルの促進
と、リサイクルを進めるための事業者の連携強化を図ります。*
○原材料や製品の流通における梱包材等の廃棄物の発生抑制とリサイクルを促進します。
廃棄物の減量につながる製品の製造や販売の促進
○再生資源を原材料とする製品の製造や販売を促進します。
○製品の使用や消費、廃棄にともない発生する廃棄物の減量化につながる製品の製造や
販売、および廃棄物の発生の少ない販売方法の実施を促進します。
○修理体制の整備や容器の店頭回収等、廃棄物の減量化につながる体制の整備を促進し
ます。
- 56 -
第3編 望ましい環境像実現のための取り組み
廃棄物の適正処理の徹底
○マニフェストシステム(産業廃棄物管理票制度)の適正な運用等により、事業者によ
る廃棄物の分別と適正処理の徹底を促進します。
○県をはじめとする関係機関との連携を強化し監視や指導の充実を図るなど、不法投棄
や不適切な焼却等の事業者による廃棄物の不適正な処理の防止に努めます。
○原材料の見直し等による有害廃棄物の削減と、有害廃棄物の適正な保管および処理の
徹底を促進します。
リサイクル関連産業の誘致
○学識経験者や事業者等と協力し、リサイクル関連産業の誘致に向けた調査研究を推進
します。
○県や事業者団体等との連携強化を図り、リサイクル関連産業の誘致を推進します。
*製品の製造や販売にともなう廃棄物の発生抑制や、発生した廃棄物の
リサイクルを促進するために具体的にはこんなことをします・・・・・
◆シンポジウムや講演会の開催、広報活動等により、廃棄物の発生抑制に関する事業者の
意識啓発に努めます。
◆廃棄物の発生抑制やリサイクルに関する技術情報や、町内の大規模工場・事業場の効果
的な取り組みについての情報を収集し、中小規模の事業者に積極的に提供します。
◆資源回収業者やリサイクル方法等、廃棄物のリサイクルに関する情報を積極的に提供し
ます。
◆アンケートや聞き取り調査、廃棄物の組成調査を実施し、工場・事業場からの廃棄物の
発生量やリサイクルの状況について把握し、必要に応じて指導を行います。
◆町内および工業団地内において、異なる事業者間で相互に廃棄物を有効利用するなど、
全体として廃棄物の排出ゼロを目指した事業者の連携強化を図ります。
◆工業団地の整備にあたっては、各工場での分別スペースの確保、団地単位での資源化施
設等の設置スペースの確保を図ります。
◆主に大規模工場・事業場を対象に、製造・販売段階での廃棄物の発生抑制を含む廃棄物
の減量化に関する計画の策定、提出、実施状況の報告を要請します。
◆中小事業者を対象とし、廃棄物のリサイクルに関する手引き書の作成と配布、リサイク
ル責任者養成の支援を行います。
◆県の産業廃棄物広域交換制度、国や県の減量化・資源化に関する融資制度の周知に努め
ます。
◆工場・事業場で発生する廃棄物の発生抑制やリサイクルに積極的に取り組んでいる事業
者の認定制度や表彰制度を導入します。
- 57 -
第3編 望ましい環境像実現のための取り組み
きれいな空気と水のなかで、環境のことを考えた事業活動を行うまち
町民の環境配慮行動
○町内の工場・事業場における廃棄物の減量化対策に関心をもち、支援しましょう。
○不法投棄場所の通報等、町による不法投棄防止の取り組みに協力しましょう。
○リサイクル関連産業の誘致に協力しましょう。
事業者の環境配慮行動
○廃棄物の発生状況を把握し、製造・加工・販売段階および原材料や製品の流通におけ
る廃棄物の発生抑制と、発生した廃棄物のリサイクルを進めましょう。
○廃棄物を再利用・リサイクルするための、事業者間の情報交換や連携強化に努めま
しょう。
○再生資源を原材料とする製品や廃棄物の減量化につながる製品 * の製造や販売を進め、
製品情報を消費者に積極的に提供しましょう。
○販売店は、容器や包装材を削減する販売方法を進めましょう。
○販売店は、買い物袋持参等の消費者のごみ減量のための行動を促進する制度を実施し
ましょう。
○食品販売業者は、生ごみのリサイクルを進めましょう。
○修理体制の整備、自社製品や包装材の回収・リサイクル体制の確立等、廃棄物の減量
化につながる体制の整備を進めましょう。
○廃棄物についての排出事業者責任を認識し、廃棄物の分別と適正処理、マニフェスト
制度の遵守を徹底しましょう。
○有害廃棄物の削減に努めるとともに、適切な保管と処理を徹底しましょう。
○リサイクル関連産業の誘致に協力しましょう。
- 58 -
第3編 望ましい環境像実現のための取り組み
*廃棄物の減量化につながる製品の例・・・・・
使用または消費時に廃棄物の発生の少ない製品
◆より小型な製品
◆使い捨てではなく、繰り返し利用できる製品
◆リターナブル容器に入った製品
◆詰め替え型の製品
◆包装の少ない製品
等
再利用・リサイクルしやすい製品
◆一つの製品において、素材の種類や部品点数が少ない製品
◆ねじの数が少ない等、解体しやすい構造の製品
長期にわたって使用可能な製品
◆耐久性に優れた製品
◆部品の交換や修理が容易な製品
等
工場・事業場からの廃棄物
の削減と、廃棄物の減量に
つながる製品の製造・販売
を進めます。
- 59 -
等
第3編 望ましい環境像実現のための取り組み
きれいな空気と水のなかで、環境のことを考えた事業活動を行うまち
3 周辺環境と調和し地域に開かれた事業活動を進めよう
環境のことを考えた事業活動を行うため
域に開かれた事業活動を行うことが必要で
には、公害の防止や廃棄物の減量に努めるだ
す。そのためには、事業活動に係わる環境情
けでは十分ではありません。事業活動が周辺
報を積極的に公開し、環境コミュニケーショ
の環境と調和し、快適な環境等が維持されて
ンを活発に行うことが重要です。
いることが必要です。
また、事業者も地域社会の一員であり、工
場・事業場のある地域との連携を強化し、地
町の施策
周辺環境との調和の推進
○事業者による工場・事業場での周辺の自然環境や景観との調和を図る取り組みを促進
します。
○工場・事業場周辺地域の生活道路において、交通渋滞等の交通障害を発生させないよ
う事業活動と道路交通状況との調和を図るための対策を推進します。
○事業者による工場・事業場敷地で、周辺に住む人々への憩いの場の提供を促進します。
地域との連携強化の促進
○事業者が行う環境保全活動や、町民が行う環境保全活動への事業者による支援を通じ
て、地域との連携の強化を図る取り組みを促進します。
○事業者による地域行事への参加等を通した地域との交流を促進します。
○事業者による事業活動に係わる環境情報の積極的な提供と、町民との環境コミュニケ
ーションによる地域との連携の強化を促進します。
町民の環境配慮行動
○事業者による周辺の自然環境や景観との調和を図る適切な取り組みに協力しましょう。
○町や事業者による交通安全対策や渋滞緩和対策に協力しましょう。
○地域の行事や環境保全活動、環境学習への事業者の参加・支援を積極的に受け入れ、
地域と事業者の連携を強化しましょう。
○事業者が公表する環境情報の入手に努め、環境情報を通した交流と事業活動への理解
を深めましょう。
- 60 -
第3編 望ましい環境像実現のための取り組み
事業者の環境配慮行動
○緑地の確保や生態系の連続性の確保等により、周辺の自然環境との調和を図りま
しょう。
○景観に配慮した建物の建設や建築物の美観向上により、周辺の景観との調和を図りま
しょう。
○敷地の緑化や生け垣化、緑地の地域への開放を進めましょう。
○工場・事業場周辺の生活道路で、交通渋滞等の交通障害を発生させないようにしま
しょう。
○町民による環境保全活動や地域の行事に積極的に参加しましょう。
○工場・事業場のある地域において環境保全活動を実施したり、町民の環境学習や環境
保全活動を支援しましょう。
○町民からの意見や苦情、問い合わせに積極的に対応しましょう。
○環境保全に関する取り組みについての情報提供や、町民とのリスクコミュニケーショ
ンを積極的に行いましょう。
事業活動における環境コミュニケーションの重要性・・・・・
今日、国において環境政策の手法が規制的手法に加えて経済的手法を重視してきている
こと、同時に事業者による環境経営が進んできていること、一方で消費者や投資家も消費
や投資をグリーン化しつつあること等を背景に、事業者にとっては「環境」という新しい
評価基準が競争条件の一つとなっています。このため、地域と事業者の連携を強化するた
めだけではなく、いわゆる「環境淘汰(環境を評価基準とする淘汰)」に生き残っていく
ためにも、事業活動における環境コミュニケーションの重要性が高まっています。
環境経営の進化と環境コミュニケーション
資料:平成 14 年度環境白書(環境省)
- 61 -
第3編 望ましい環境像実現のための取り組み
きれいな空気と水のなかで、環境のことを考えた事業活動を行うまち
4
地球環境のことを考えた事業活動を進めよう
者には、省エネルギー型製品のように、使用
工場における製品の製造等の生産活動は、
電気をはじめとするエネルギーや原材料、水
や消費にともなう地球環境への負荷が少な
等の資源を大量に消費し、地球環境問題の原
い製品の製造や販売を行うことが求められ
因の一つとなっています。また、大規模小売
ます。
今日では、物流は自動車によるものが主体
店舗をはじめとする事業場においても、エネ
となっており、事業活動にともない輸送車両
ルギー消費が多くなっています。
から排出されるガスは、地球温暖化や酸性雨
事業者は、自社の工場・事業場の省エネル
の原因の一つとなっています。
ギー等に取り組むだけでは、地球環境に配慮
した取り組みは十分とはいえません。事業者
事業者が、地球環境の保全に関する取り組
が製造し販売した製品を、消費者が使用した
みを積極的かつ効果的に行うためには、まず、
り、消費したりすることにより地球環境に負
社内に取り組みを進めるための仕組みや体
荷を与えることになります。このため、事業
制をつくることが重要です。
事業者の地球環境にやさしい行動の取り組み状況
回答者割合(%)
自動車交通量の削減
低公害車の導入
0
10
20
30
40
60
5.9
3.0
電気の節約
54.5
節水を心がける
中水利用の推進
50
36.6
2.0
9.9
環境にやさしいエネルギーの利用
環境管理や環境ISO導入
4.0
社員への環境教育
4.0
資料:平成 12 年環境に関する事業者アンケート(幸田町)
- 62 -
第3編 望ましい環境像実現のための取り組み
町の施策
製品の製造や販売段階での地球環境への配慮の促進
○工場・事業場における省資源・省エネルギー型の施設整備や工程の導入、水の有効利
用に関する取り組みを促進します。
○工場・事業場における新エネルギーの活用を促進します。
○工場・事業場におけるフロン等の使用実態調査を行うとともに、オゾン層破壊物質を
使用しない施設整備や工程の普及を図ります。
物流等における地球環境への配慮の促進
○輸送効率の向上や効率的な物流システムの構築を推進し、輸送車両の利用の抑制を図
ります。
○低公害車等の普及を図ります。
○輸送車両等を対象とした環境にやさしい運転方法の普及を図ります。
地球環境に配慮した製品の製造や販売の促進
○省エネルギー型製品や節水型製品等、省資源・省エネルギーに有効な製品の製造や販
売を促進します。
○冷媒や発泡剤、消火設備としてオゾン層破壊物質や温室効果ガスを使用していない製
品の製造や販売を促進します。
○再生資源や間伐材を使用した製品等、森林資源の保全に配慮した製品の製造や販売を
促進します。
社内の仕組み・体制づくりの促進
○事業者による従業員の環境意識を向上させるための取り組みを促進するため、学習機
会に関する情報や環境教育プログラムに関する情報等を積極的に提供します。
○環境マネジメントシステムに関する情報の積極的な提供、環境活動評価プログラム *
の普及啓発等により、環境への負荷の少ない事業活動を進めるための、社内の組織や
制度の整備を促進します。
町民の環境配慮行動
○町内の工場・事業場における地球環境のことを考えた事業活動に関心をもち、支援し
ましょう。
- 63 -
第3編 望ましい環境像実現のための取り組み
きれいな空気と水のなかで、環境のことを考えた事業活動を行うまち
事業者の環境配慮行動
○建物の採光や断熱性の向上、省資源・省エネルギー型の設備・機器や工程の導入、省
エネルギー行動の実践を進めましょう。
○自然エネルギーやコージェネレーションシステム等の新エネルギーの活用を進めま
しょう。
○事業活動における節水の実践や雨水利用、工程内での水の循環利用等、水の有効利用
を進めましょう。
○製品の製造・加工におけるオゾン層破壊物質の排出抑制と適正処理を行うとともに、
オゾン層破壊物質を使用しない工程の導入や代替品への転換を進めましょう。
○納品システムの合理化、共同輸配送施設の整備等による物資輸送の合理化や、鉄道や
海運の積極的な活用を進めましょう。
○輸送用車両に低公害車等の導入を進めましょう。
○業務用車両の適正な整備の実施と、アイドリングストップ等環境にやさしい運転を徹
底しましょう。
○省エネルギー型製品や節水型製品、再生品等、省資源・省エネルギーに有効な製品の
製造や販売を進め、製品情報を消費者に積極的に提供しましょう。
○オゾン層破壊物質や温室効果ガスを使用していない製品の製造や販売を進め、製品情
報を消費者に積極的に提供しましょう。
○再生資源や間伐材等を利用した森林資源の保全に配慮した製品の製造や販売を進め、
製品情報を消費者に積極的に提供しましょう。
○環境に関する研修を行うなど、従業員の環境意識の向上と環境に配慮した行動の実践
のための環境教育を進めましょう。
○ISO14001 の認証取得や環境活動評価プログラム * への参加等、環境保全に配慮した事
業活動を進めるための仕組みと体制づくりを進めましょう。
○自社製品についてのライフサイクルアセスメントを実施し、情報を消費者に積極的に
提供しましょう。
アイドリングを 10 分間やめる
と、4t トラックでガソリン 130
∼170cc の節約ができます。
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第3編 望ましい環境像実現のための取り組み
*環境活動評価プログラムとは・・・・・
環境省では、規模や種類を問わず、幅広い事業者が、自主的に「環境との関わりに気づ
き、目標をもち、行動する」ことができるように、具体的で簡便な方法を提供する「環境
活動評価プログラム」を平成 8 年に作成し、平成 11 年に見直しました。
◆環境活動評価プログラムの構成
事業活動にともなう環境への負荷の簡便な把握方法や、環境保全のための具体的な取り
組みのチェックリストを示し、自己チェックの結果を基にした計画づくりと取り組みの推
進が容易にできるようになっています。
◆環境活動評価プログラムへの参加届出方法
環境活動評価プログラムに取り組んでいる事業者は、届け出て下さい。(社)全国環境保
全推進連合会事務局では届出内容を参加者リストに登録し、環境保全に配慮して行動して
いる事業者として公表します。
環境活動評価プログラムの実施手順
1 評価項目の選択
事業活動と環境の関わりを考慮し、今後どの
ような項目について取り組むかを選択。
2 環境への負荷と取り組みの自己チェック
選択した項目について、自らの事業活動より
生じる二酸化炭素や廃棄物の排出量等の負荷
を把握するとともに、具体的な取り組みの実
施状況をチェックする。
見
直
し
3 環境行動計画の作成
自己チェックの結果を基に、これからの取り
組み目標や取り組み内容を定める。
4 環境行動計画にそった行動
行動計画にそって実際に行動し、活動状況や
結果を定期的に記録。
5 活動結果の評価・改善策の検討
活動結果を計画や目標、前年の結果等と比較
して評価する。評価結果を基に次年度の改善
策を検討。
- 65 -