Car Market Research : 2007年5月 ガリバー自動車研究所レポート 2007年5~7月 国内自動車市場の動向 2006年はガソリン価格高騰や相次ぐ新モデルの発表により、軽自動車 が過去最大の新車販売台数を記録した。そしてむかえた2007年1~4月 も昨年同様の立ち上がりを見せ、軽自動車が好調に推移している。 では、今年の5~7月の動向はどうなるだろうか?新車・中古車それぞ れの視点から探ってみた。 主な内容 <新車市場> 5~7月に発売が予想される主要車種 新型車のリセールバリュー予測 新型車は市場の後押しをできるか 5~7月予測 <中古車市場> 長期的な新車・中古車の購入価格推移 5~7月の中古車相場推移 中古車の動き ■レポートに関するお問い合わせ 株式会社ガリバーインターナショナル 広報部 〒100-6425 東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビルディング25F TEL 03-5208-5501 FAX 03-5208-5511 ■レポート総合企画/制作 ガリバー自動車研究所 Car Market Research : 2007年5月 2007年5~7月の新車市場 2007年も4ヶ月が経過し相変わらず軽自動車の販売が好調に推移している。昨年は新型軽自動車が数多く発売され、 ガソリン価格高騰も手伝い軽自動車の販売台数は過去最高を記録した。今年1~3月も昨年以上の数字で推移する軽 自動車の販売台数は、ようやく4月に前年を下回ったが果たして今年も好調に売れ続けるのだろうか? 2007年5~7月に登場が予想される新型車 ■ この時期に登場が予想されるのは「レクサス・LS」に追 加されるハイブリッドやコンパクトカー・ミニバンなど。昨年 大量にモデルチェンジや新型モデルが投入された軽は残 念ながら登場しないと見られる。 一般にフルモデルチェンジなどが行われ新型車が発売 されると、販売台数が伸びる傾向にある。通常半年から 1年程その効果が続くため、昨年の軽自動車販売好調を もたらした。 しかし、昨年5~7月に少なかった小型・普通車のモデル チェンジが今年は多く、市場の活性化が期待できそうである。 ■登場予定車種のリセールバリュー 図1を見ると、ミニバンの「ノア/ヴォクシー」、高級セダン の「レクサス・LS」、SUVの「デュアリス」がAランクと高い。 コンパクトカーは市場に溢れてきており、リセールバリュー はあまり高くない。よって、ミニバン・高級セダン・SUVとい ったところがリセールバリューから見た現在の人気傾向と いえる。 レクサス・LS600hLとマツダ・デミオ 図1:2007年5~7月登場予定新型車 リセールバリュー リセールランク メーカー 車名 3年後Min 3年後Max B トヨタ イスト 45% ~ 58% A トヨタ ノア/ヴォクシー 57% ~ 67% B トヨタ プレミオ/アリオン 50% ~ 59% A レクサス LS 58% ~ 64% A 日産 デュアリス 59% ~ 67% C マツダ デミオ 37% ~ 54% B スバル インプレッサ 47% ~ 56% ■新型車は低迷する新車販売の後押しができるか? 昨年の新車市場を牽引してきた軽自動車は、2007年は新型車が少なく厳しい状況と見られる。今年既に発売となった 新型車は「三菱・デリカD:5」と「ホンダ・クロスロード」のみ。これらの2台は受注は好調も、元々の販売目標が低いため 市場に与えるインパクトは低い。また、スズキと日産が互いにOEM供給する「ランディ」と「ピノ」は既存車種のOEMことも あり底上げは難しいだろう。 そこで気になるのが、これから登場予定の新型車である。特に、人気のミニバンである「トヨタ・ノア/ヴォクシー」と市 場規模があるコンパクトカーの「マツダ・デミオ」の2台だ。「ノア/ヴォクシー」は2001年のデビューからしばらくの間新車 販売ランキング※で上位にランクインした人気車種であり、「デミオ」も発売からしばらくはトップ10前後と好調を維持した 。今年フルモデルチェンジされる各車で「ノア/ヴォクシー」以外は現状のランキング※で下位に沈んでしまっている。そ れらの車がフルモデルチェンジされるとなれば当然、新車販売の後押しを期待したい。 ※日本自動車販売協会連合会による新車販売ランキング ■厳しい状況が予想される2007年5~7月 ここ6ヶ月の状況や5~7月に発売が予想される新型車から市場を予想すると、新車市場はまだ停滞が続くだろう。昨 年登場している「トヨタ・エスティマ」や「トヨタ・カローラ」などの売れ筋新型車の伸びも、新車寿命の短命化が進んでいる 現状では前年同時期比でみると、モデルチェンジしていない多くの車のマイナスの方が大きい。 また、昨年1~3月には軽自動車を入れると10車種もの新型車が登場しているが、今年の1~3月は半数の5車種し かない。要するに、この5~7月に売る注目モデルが少ないのだ。従って、この5~7月の新車市場は1~4月同様前年 割れとなることが予想される。 ただ少しだけ希望を挙げるとしたら、「ノア/ヴォクシー」は「エスティマ」以上の市場規模があり、「デミオ」も台数が稼 げるコンパクトカーなので販売台数の上乗せに期待したい。 Car Market Research : 2007年5月 2007年5~7月の中古車市場 2007年1~4月の中古車登録台数は新車登録と同じような動きをしてきたが、この5~7月の中古車市場動向はどうだ ろうか。中古車にとって重要なファクターとなる“相場”から市場を見てみよう。 ■長期的な中古車の平均価格推移 図1は日本自動車工業会(自工会)が発表した消費者の新 車・中古車の平均購入単価推移である。2年間隔の調査だが 新車は1997年をピークに2003年まで下降トレンドだったが、 2005年度調査では上昇している。中古車は1995年がピークで 2001年にやや上昇したものの、その後下降トレンドである。 このふたつのグラフは違う商材のため全く同じカーブにはな りにくいが、中古車の元は新車である。よって、新車の販売価 格は新車ユーザーが買い換える数年後の中古車価格に影響 するといえる。 図2の中古車オートオークション(AA)市場の動きは、昨年つ いに出品台数800万台を超え、過去最大の流通台数となった 。要因としては、中古車輸出の拡大やリユース車の流通増加 などがあげられる。その結果、低価格車両のAA流通比率が 拡大し、成約単価は年々下降してきている。 しかし、2006年に下落がやや緩やかになっているように、下 降トレンドの要因となるリユース車はある一定の規模まで拡 大し、これ以上の下落は少ないと考えられる。 図1:新車と中古車の平均購入価格推移 出所:日本自動車工業会 2005年度乗用車市場動向調査 図2:中古車登録台数と中古車AAの出品・成約台数/成約率 中古車平均価格下落の歯止めのポイントとなるのは、図1 の2005年に見られる新車価格の下げ止まりの影響がどの程 度で中古車市場に到達するかである。クルマの買い替えサイ クルは平均で6.8年※。これを図1に割り当てると2012年には 中古車相場も上昇することが予想されるが、それまで下落の 歯止めは厳しそうだ。 ※自工会 2005年度乗用車市場動向調査 ■5~7月の中古車相場推移 長期的な中古車相場の下落傾向が続くように、5~7月の 中古車相場も前年よりは下降することが予想される。 また、短期的に5月は2~3月と比較して中古車の購入ユー ザーが減少するので、在庫はあるのに買い手がいなくなり中 古車相場が安くなるものが多い。この時期をあえて狙った購 入というのはおすすめできる。 台数は左軸、成約率は右軸%、成約金額は右軸万円 出所:日本自動車販売協会連合会 月刊ユーストカー ■中古車の動き 中古車の購入価格が下降する要因は、自動車の買い換えサイクルの長期化や、2003年まで続いた新車購入価格の 下落など、いくつか挙げられる。中古車購入価格の下落は、消費者にとっては良い状況であり、高価な買い物の一つに 挙げられる自動車が更に購入しやすくなっているといえるが、登録台数は横ばいであり、なかなか売り上げにつながらな いのが実情である。 しかし、2006年にはこれまで下降トレンドだった中古車相場もやや緩やかになり、多くの新車が今後市場に出回ること を考えると、中古車市場も活性化され、相場や販売台数に影響を与える可能性が出てくる。新車市場の活性化に期待し たい。
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