欧州実態調査報告書 - 日本会計研究学会

第 6章
欧州実態調査報告書
2015 年 9 月 24 日
欧州実態調査主査:山浦
久司(明治大学)
兼村
高文(明治大学)
東
信男(会計検査院)
*本実態調査は、科学研究費助成金(基盤研究B(課題番号
15H03400) ) の 助 成 に 基 づ い て 行 わ れ た 。
1
調査の背景
日本会計研究学会特別委員会は、総務省が推進しようとする地方公会計の発
生主義ベースでのシステム統一(以下「新公会計制度」という。)の動きを捉
えて、その進行状況を実態調査によって明らかにするとともに、新公会計制度
の地方自治体経営への利活用に関する事例を集め、それらの事例を共有情報化
して各地方自治体にフィードバックすることにより、地方自治体の行財政の健
全化、合理化、効率化に役立てることを主たる研究目標に掲げて立ち上げられ
た。
また、これらの研究目標に関連して、国や地方自治体自身が、公会計システ
ム統一化のそもそもの政策意図を何処におき、さらに統一後の政策実現の姿を
どのように描いているのかについて明らかにすることも、特別委員会の大きな
研究課題として挙げている。
ま た 、さ ら に 、新 公 会 計 制 度 の 統 一 的 な 基 準( 以 下「 新 公 会 計 基 準 」と い う 。)
と国際的な公会計基準との比較研究を行うことにより、新公会計基準の性格及
び特徴を明らかにするとともに、新公会計基準の改訂等へ向けた提案を行うこ
とも特別委員会の研究テーマの一つである。
こ う し た 諸 課 題 を 掲 げ る 特 別 委 員 会 に と っ て 、 近 年 の 欧 州 連 合 ( European
Union: EU) の 公 会 計 の 動 向 は 無 視 す る こ と が で き な い 研 究 題 材 を 提 供 す る も
のである。
すなわち、欧州連合では、欧州債務危機に端を発して、全加盟国の一般政府
(連邦政府、中央政府、州政府、地方政府および社会保障基金)に、統一的な
公会計基準に準拠した財務諸表を作成させ、これを加盟国の財政管理に活用し
ようとする動きがみられる。
EU は こ の 統 一 的 な 公 会 計 基 準 と し て 、 国 際 公 会 計 基 準 審 議 会 ( International
102
Public Sector Accounting Standards Board : IPSASB ) の 国 際 公 会 計 基 準
( International Public Sector Accounting Standards: IPSAS) の 全 基 準 を そ の ま ま
採 用 す る の で は な く 、IPSAS を 参 考 に し な が ら 欧 州 公 会 計 基 準( European Public
Sector Accounting Standards: EPSAS) を 設 定 ・ 適 用 し よ う と し て い る 。
そ こ で 、 EPSAS に つ い て 、 背 景 、 目 的 、 設 定 の 現 状 等 に つ い て 実 態 調 査 を 行
い、さらに今後のわが国の新公会計基準の改訂等へ向けた提案を行う際の参考
とすることとした。
2
調査の対象機関
EU の 欧 州 委 員 会 ( European Commission: EC) は 、 欧 州 統 計 局 ( Eurostat) に
EPSAS タ ス ク フ ォ ー ス を 設 置 し て EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト を 実 施 し て い る こ と 、
ま た 、EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト の 一 環 と し て 、PwC ブ リ ュ ッ セ ル に 加 盟 国 の 一 般 政
府 に 発 生 主 義 会 計 を 導 入 し た 場 合 の 費 用 と 便 益 を 分 析 さ せ た り 、 IPSAS の 各 基
準 を 評 価 さ せ た り す る 業 務 を 委 託 し て い る こ と か ら 、 Eurostat と PwC ブ リ ュ ッ
セ ル を 調 査 の 対 象 と し た 。さ ら に 、将 来 の EPSAS の ガ バ ナ ン ス に お い て 欧 州 会
計 検 査 院 ( European Court of Auditors: ECA) が 一 定 の 監 視 機 能 を 果 た す こ と が
予定されていること、また、加盟国の一般政府における発生主義会計の導入に
お い て 欧 州 会 計 士 連 盟( Federation of European Accountants:FEE)が 一 定 の 役 割
を 果 た す こ と が 期 待 さ れ て い る こ と か ら 、ECA と FEE も 調 査 の 対 象 と し た( 附
録 1 参照)。
3
3.1
EU の 概 要
目的
EU は 経 済 通 貨 統 合 、共 通 外 交・安 全 保 障 政 策 、警 察・刑 事 司 法 協 力 等 の 幅 広
い分野で協力を進めている政治・経済統合体であり、国家を超えた欧州統合を
目指している。この一環として、加盟国の一部では、人、物、資本及びサービ
スの自由な移動を可能とする共通市場を強化するため、単一通貨ユーロを導入
している。特に単一通貨の下では、各加盟国が独自の金融政策を実施できなく
なることから、ある加盟国の財政状況の悪化に伴う高インフレや金利上昇等の
影響が他の加盟国に及ぶ事態を回避するため、財政規律を遵守するための仕組
み が 不 可 欠 に な っ て い る 。2015 年 1 月 現 在 で 、EU の 加 盟 国 数 は 28 カ 国 で 、域
内 人 口 は 5 億 819 万 人 と な っ て い る 。 ま た 、 ユ ー ロ 圏 の 加 盟 国 数 は 19 カ 国 で 、
ユ ー ロ 圏 人 口 は 3 億 3833 万 人 と な っ て い る ( 図 表 6-1 参 照 ) 。
103
図表 6-1
国名
ユーロ圏
人口(1000 人)
○
11,258
7,202
10,538
5,659
81,174
1,313
4,625
10,812
46,439
66,352
4,225
60,795
847
1,986
2,921
562
9,849
429
16,900
8,584
38,005
10,374
19,861
2,062
5,421
5,471
9,747
64,767
ベルギー
ブルガリア
チェコ
デンマーク
ドイツ
エストニア
アイルランド
ギリシャ
スペイン
フランス
クロアチア
イタリア
キプロス
ラトビア
リトアニア
ルクセンブルグ
ハンガリー
マルタ
オランダ
オーストリア
ポーランド
ポルトガル
ルーマニア
スロベニア
スロバキア
フィンランド
スウェーデン
イギリス
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
EU 加盟国の現状
GDP(百万ユー
ロ)
402,027
42,010
154,738
257,753
2,915,650
19,962
185,411
179,080
1,058,469
2,132,449
43,084
1,616,253
17,506
24,059
36,308
49,428
103,216
7,941
662,770
329,295
413,133
173,045
150,018
37,303
75,214
205,178
430,258
2,222,912
一 般 政 府 財政 収 支
の GDP 比(%)
▲3.2
▲2.8
▲2.0
1.2
0.7
0.6
▲4.1
▲3.5
▲5.8
▲4.0
▲5.7
▲3.0
▲8.8
▲1.4
▲0.7
0.6
▲2.6
▲2.1
▲2.3
▲2.4
▲3.2
▲4.5
▲1.5
▲4.9
▲2.9
▲3.2
▲1.9
▲5.7
一 般 政 府 債 務 残高
の GDP 比(%)
106.5
27.6
42.6
45.2
74.2
10.6
109.7
177.1
97.7
95.0
85.0
132.1
107.5
40.0
40.9
23.6
76.9
68.0
68.8
84.5
50.1
130.2
39.8
80.9
53.6
59.3
43.9
89.4
EU(28 カ国)
508,191
13,944,015
▲2.9
86.8
ユーロ圏(19 カ国)
338,335
10,126,889
▲2.4
91.9
(注)人口は 2015 年 1 月 1 日現在、他は 2014 年
(出典)Eurostat
3.2
統治機構
EU の 主 要 機 構 に は 、① 欧 州 理 事 会( European Council)、② 欧 州 議 会( European
Parliament) 、 ③ 理 事 会 ( Council of the European Union) 、 ④ 欧 州 委 員 会 ( EC)
が あ る ( 図 表 6-2 参 照 ) 。 欧 州 理 事 会 は 最 高 意 思 決 定 機 関 で 、 加 盟 国 の 大 統 領
又は首相で構成される。欧州議会は立法機関で、加盟国における直接選挙で選
出 さ れ る 751 名 の 議 員 で 構 成 さ れ る 。議 員 の 任 期 は 5 年 で 、直 近 で は 、2014 年
5 月に選挙が行われた。理事会は立法機関で、加盟国の担当閣僚で構成され、
総 務 ・ 対 外 関 係 、経 済 ・ 財 政 問 題 、司 法 ・ 国 内 問 題 協 力 等 の 10 の 理 事 会 が 設 置
さ れ て い る 。 こ の う ち EU の 財 政 問 題 を 所 管 し て い る の は 、 経 済 ・ 財 政 問 題 理
事 会 ( ECOFIN) で あ る 。 欧 州 委 員 会 は 行 政 機 関 で 、 加 盟 国 か ら 選 出 さ れ る 28
名の委員(うち 1 名は委員長)により構成され、各委員はそれぞれ個別の政策
分野を所管する。委員長は欧州理事会が欧州議会に候補者を提案し、欧州議会
により選出される。また、委員は委員長が理事会の同意・採択を経た後、欧州
104
議会に候補者を提案し、欧州議会が欧州委員会全体を承認する。その後、欧州
理事会が欧州委員会を任命することになっている。委員長及び委員の任期は 5
年 で 、 欧 州 議 会 の 選 挙 後 に 任 命 さ れ る 。 こ れ 以 外 に 、 EU に は EU 司 法 裁 判 所 、
欧 州 会 計 検 査 院 ( ECA) 、 欧 州 中 央 銀 行 等 が 設 置 さ れ て い る 。
図表6-2
最高意思決定機関
EUの統治機構
欧州理事会
各加盟国の首脳により構成
(European Council)
欧州議会
751 名の議員により構成
(European Parilament)
立法機関
理事会
各加盟国の閣僚により構成
(Council of the European Union)
行政機関
欧州委員会
政策分野別に 10 の理事会が設置
28 名の委員(うち 1 名は委員長)により構成
(Euopean Commission)
各委員が個別の政策分野を所管
(出典)根岸(2014a)図表 2(p. 117)に加筆修正
3.3
法令体系
EU の 法 令 は 通 常 、立 法 手 続 を 通 じ て 欧 州 議 会 及 び 理 事 会 で 審 議 さ れ 、欧 州 議
会 と 理 事 会 の 双 方 の 合 意 を 得 て 成 立 す る 。EU で は 、欧 州 委 員 会 が 法 案 提 出 権 を
独占しており、欧州議会及び理事会は欧州委員会に対する法案提出請求権を有
す る も の の 、法 案 提 出 権 を 有 し て い な い 。EU の 法 令 に は 、① 規 則( Regulation)、
② 指 令( Directive)、③ 決 定( Decision)が あ る 。規 則 は 全 加 盟 国 に 直 接 適 用 さ
れ、各国の国内法よりも優先される。指令は全加盟国にその内容に沿って国内
の法令を改正することを義務付ける。決定は特定の加盟国、企業、個人等に適
用 さ れ る 。 こ れ 以 外 に 、 法 的 拘 束 力 の な い も の と し て 勧 告 ( Recommendation)
及 び 意 見 ( Opinion) が 出 さ れ る こ と が あ る 。
4
調査の結果
実態調査に当たっては、事前に、文献調査を行って具体的な質問事項を作成
し、調査の対象機関に送付した(附録 2 参照)。調査の対象機関からは、質問
事項に対する回答を得るとともに、参考資料及び参考資料が掲載されているウ
ェッブサイトアドレスの提供を受けた。調査の対象機関からの説明及び参考資
105
料に基づく、調査の結果は次のとおりである。
4.1
EPSAS の 背 景
2009 年 以 降 の 欧 州 債 務 危 機 は 、 EU の 各 国 政 府 が 財 政 的 安 定 性 を 明 確 に 示 す
と と も に 、信 頼 性 と 透 明 性 の 高 い 財 務 デ ー タ を 公 表 す る 必 要 性 を 明 ら か に し た 。
これは、ギリシャ政府の財務データの信頼性の欠如が欧州債務危機の一因にな
ったことに表れている。理事会は、過剰な政府の財政赤字を回避する目的で加
盟 国 に 課 せ ら れ て い る 欧 州 連 合 運 営 条 約 ( Treaty on the Functioning of the
European Union: TFEU) の 義 務 を 順 守 さ せ る た め 、 2011 年 11 月 に 「 加 盟 国 の
予 算 枠 組 み の 要 件 に 関 す る 理 事 会 指 令( Council Directive 2011/85/EU)」を 発 し
た。この指令において、各加盟国は自国の公会計制度に関して、一般政府を構
成 す る 全 部 門 を 包 括 的 に か つ 一 貫 性 を も っ て 対 象 に す る と と も に 、1995 年 欧 州
経 済 計 算 ( European System of Accounts: ESA) 基 準 の 基 礎 と な る デ ー タ を 準 備
するため、発生主義に基づくデータを提供するために必要な情報を有するもの
を整備するとされた(第 3 条第 1 項)。各加盟国がそれぞれ個別に発生主義会
計基準を設定・適用するよりは、全加盟国の一般政府に適用される統一的な発
生主義会計基準を設定・適用した方が、コスト効率性が高く、また、透明性と
比 較 可 能 性 が 高 ま る た め 、 EPSAS を 設 定 ・ 適 用 す る EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト が 開
始された。
4.2
EPSAS の 目 的
各 加 盟 国 は TFEU 第 126 条 及 び 過 剰 財 政 赤 字 手 続 に 関 す る 議 定 書 第 12 号
( Protocol No 12 on the Excessive Deficit Procedure) 第 1 条 に よ り 、 一 般 政 府 の
財 政 赤 字 が 対 GDP 比 で 3% 、 一 般 政 府 の 債 務 残 高 が 対 GDP 比 で 60% を 超 え な
い こ と が 義 務 付 け ら れ て い る が 、こ の 財 政 目 標 は 、ESA で 設 定 さ れ て い る 。ESA
基準は発生主義を採用しているため、基礎データが現金主義で提供されている
場合、これらのデータは、発生主義のデータに変換されなくてはならないが、
マクロレベルでの見積りにより調整されるため、変換された発生主義のデータ
は概算に止まることになる。また、ミクロレベルにおいて発生主義による財務
情報が存在しない場合には、財務取引や貸借対照表は様々な情報源から引き出
さなければならないため、非財務情報により算定される赤字と財務情報により
算 定 さ れ る 赤 字 の 間 に 統 計 的 な 矛 盾 を 生 じ さ せ る こ と に な る 。 ESA 基 準 に よ る
統計情報の品質は、その基礎データに大きく依存しているため、欧州委員会は
全 加 盟 国 の 一 般 政 府 に 適 用 さ れ る 統 一 的 、 か つ 、 ESA 基 準 と 矛 盾 し な い 発 生 主
義 会 計 基 準 、 つ ま り 、 EPSAS を 設 定 ・ 適 用 す る こ と と し た 。 こ れ に よ り 、 ESA
106
基準による統計情報に対する信頼性が高まり、財政状況の測定、報告及び予測
が 改 善 さ れ る 。EPSAS の 第 一 義 的 な 目 的 は 、財 政 目 標 を 設 定 し て い る ESA の 品
質の向上を図ることである。
こ れ に 加 え 、 加 盟 国 で は 、 EPSAS の 適 用 に よ り 、 財 務 情 報 の 透 明 性 と 比 較 可
能性が高まるため、財務管理の効率性が改善するとともに、説明責任が向上す
ることが期待されている。また、特に発生主義会計を採用していない加盟国で
は、意思決定に有用な財務情報を入手できるようになる。
4.3
IPSAS の 適 用 性
2011 年 11 月 の 理 事 会 指 令( 2011/85/EU)で は 、IPSAS が 現 在 、国 際 的 に 認 知
さ れ た 唯 一 の 包 括 的 な 公 会 計 基 準 で あ る た め 、 欧 州 委 員 会 は 2012 年 12 月 ま で
に 、IPSAS を 加 盟 国 に 適 用 で き る か ど う か 評 価 す る こ と と さ れ た( 第 16 条 第 3
項 )。欧 州 委 員 会 は 2013 年 3 月 に 評 価 結 果 を 欧 州 委 員 会 報 告 書「 加 盟 国 に お け
る 統 一 的 な 公 会 計 基 準 の 適 用 に 向 け て - 加 盟 国 に 対 す る IPSAS の 適 用 性 - 」に
まとめ、理事会及び欧州議会に報告した。この報告書では、加盟国(評価時点
で 27 カ 国 )の う ち 15 カ 国 で は 、国 の 公 会 計 基 準 が 何 ら か の 形 で IPSAS に 言 及
し て い た が 、 IPSAS を 完 全 適 用 し て い た 加 盟 国 は 皆 無 で あ る こ と が 明 ら か に さ
れた。また、報告書では、全加盟国の一般政府に適用される統一的な発生主義
会 計 基 準 の 必 要 性 が 認 識 さ れ た も の の 、現 在 の IPSAS を そ の ま ま 加 盟 国 に 適 用
することは困難であることも明らかにされ、その理由として、以下の点が指摘
された。
( ア ) 現 在 の IPSAS で は 、 同 一 の 取 引 ・ 事 象 に 対 し て 複 数 の 会 計 処 理 の 選 択 適
用を認めているため、統一化が阻害され、比較可能性が損なわれる。選択
適用の例として、有形固定資産の当初認識後の測定における原価モデルと
再評価モデルの選択適用等がある。
( イ ) 現 在 の IPSAS に は 、 公 的 部 門 に 特 有 の 取 引 ・ 事 象 に 関 す る す べ て の 基 準
が含まれているわけではないため、会計基準としては不完全である。開発
されていない例として、税収、社会保障給付、年金、文化遺産等に関する
基準がある。
( ウ )IPSASB は 現 在 、概 念 フ レ ー ム ワ ー ク を 作 成 し て い る が 、概 念 フ レ ー ム ワ
ー ク が 完 成 し た 後 、 IPSAS の う ち い く つ か の 基 準 は 見 直 さ れ る 可 能 性 が あ
る た め 、 現 在 の IPSAS は 安 定 的 な 基 準 と は い え な い 。
( エ ) IPSAS は 現 在 、 民 間 部 門 の IPSASB に よ っ て 開 発 さ れ て い る た め 、 加 盟
国 の 政 府 機 関 は 基 準 の 開 発 過 程 や IPSASB の 監 視 に 関 与 で き な い 。
( オ )IPSASB は 現 在 、限 ら れ た 資 源 し か 有 し て い な い た め 、財 政 危 機 等 の 緊 急
107
事態に対応した基準や推奨実務ガイドラインの開発を速やかに、かつ柔軟
に行うことができない。
4.4
EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト の ス ケ ジ ュ ー ル
2013 年 3 月 の 欧 州 委 員 会 報 告 書 で は 、全 加 盟 国 の 一 般 政 府 に 適 用 さ れ る 統 一
的 な 発 生 主 義 会 計 基 準 、 つ ま り 、 EPSAS の 必 要 性 が 認 識 さ れ 、 そ の 設 定 と 適 用
については、政治的な決定を得て段階的に実施していくこととされた。欧州統
計 局 は 2014 年 4 月 の 時 点 で 、 EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト を 次 の 3 段 階 を 経 て 実 施 す
ることを予定していた。
( ア ) 第 1 段 階 は 2013 年 中 頃 か ら 2014 年 中 頃 ま で で 、 EPSAS の ガ バ ナ ン ス 、
EPSAS の 要 求 事 項 等 に 関 す る 欧 州 委 員 会 報 告 書 ( Commission
Communication) を 作 成 す る 。
( イ ) 第 2 段 階 は 2014 年 中 頃 か ら 2015 年 末 ま で で 、 EPSAS の ガ バ ナ ン ス 、
EPSAS の 要 求 事 項 等 に 関 す る 法 的 枠 組 み ( Framework Regulation ) を 決 定
する。
( ウ )第 3 段 階 は 2015 年 末 か ら 2020 年 ま で で 、EPSAS の 承 認 と 段 階 的 な 適 用
を行う。
また、第 2 段階及び第 3 段階については、さらに次の 4 つのステップを経
て 実 施 す る こ と を 予 定 し て い た ( 図 表 6-3 参 照 ) 。
図表6-3
行程
年
2014
EPSASのスケジュール
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
法的枠組みと開始貸借対照表
EPSAS の第一陣(税収、社会保障給付、
年金等)
EPSAS の第二陣
連結と公的部門の財務諸表(WGA)
(注)
:基準の設定;
:基準の適用
(出典)EC(2014c)p. 17 に加筆修正
( エ )第 1 ス テ ッ プ は 2014 年 初 め か ら 2018 年 末 ま で で 、EPSAS に 関 す る 法 的
枠組みの決定と開始貸借対照表を作成する。
( オ ) 第 2 ス テ ッ プ は 2015 年 初 め か ら 2019 年 末 ま で で 、 第 一 陣 の EPSAS( 税
収、社会保障給付、年金等)の設定と適用を行う。
( カ )第 3 ス テ ッ プ は 2016 年 初 め か ら 2019 年 末 ま で で 、第 二 陣 の EPSAS の 設
108
定と適用を行う。
( キ ) 第 4 ス テ ッ プ は 2017 年 初 め か ら 2020 年 末 ま で で 、 連 結 と 公 的 部 門 の 財
務 諸 表 ( Whole of Government Accounts: WGA) を 作 成 す る 。
4.5
EPSAS の ガ バ ナ ン ス
欧 州 統 計 局 は 将 来 の EPSAS の ガ バ ナ ン ス に 関 し 関 係 者 の 意 見 を 参 考 と す る
た め 、2013 年 11 月 に 意 見 公 募 資 料( Public Consultation Paper)を 公 表 し た 。こ
れ に よ る と 、 EPSAS の ガ バ ナ ン ス 構 造 は 次 の よ う に 提 案 さ れ て お り ( 図 表 6-4
参照)、事務局機能はいずれも欧州委員会が果たすことになっている。
( ア ) EPSAS の 開 発 計 画 と EPSAS の 原 案 の 承 認 を 行 う EPSAS 委 員 会 ( EPSAS
Committee)を 設 置 す る 。こ の 委 員 会 は 、各 加 盟 国 が 任 命 す る 行 政 機 関 の ハ
イ レ ベ ル の 委 員 で 構 成 さ れ 、欧 州 委 員 会 の 代 表 者 が 委 員 長 を 務 め る 。ま た 、
他 の EPSAS 関 係 者 も オ ブ ザ ー バ ー と し て 参 加 す る 。
( イ ) EPSAS 委 員 会 の 下 に 、 ワ ー キ ン グ グ ル ー プ を 設 置 す る 。 こ の ワ ー キ ン グ
グ ル ー プ に は 、 EPSAS の 原 案 を 開 発 す る EPSAS 基 準 ワ ー キ ン グ グ ル ー プ
( EPSAS Standards Working Group) と EPSAS の 有 権 解 釈 を 行 う EPSAS 解
釈 ワ ー キ ン グ グ ル ー プ( EPSAS Interpretation Working Group)が あ る 。ワ ー
キンググループは、各加盟国が任命する公的部門の基準設定及び政府会計
の専門家で構成され、欧州委員会の代表者が議長を務める。また、他の
EPSAS 関 係 者 も オ ブ ザ ー バ ー と し て 参 加 す る 。
( ウ )ワ ー キ ン グ グ ル ー プ の 下 に 、EPSAS に 関 し て テ ー マ ご と に 技 術 的 に 詳 細
な 準 備 作 業 を 行 う EPSAS タ ス ク フ ォ ー ス ( EPSAS Task Force) を 時 限 的 に
設置する。このタスクフォースは、各加盟国が任命する公的部門の基準設
定 及 び 政 府 会 計 の 専 門 家 で 構 成 さ れ 、欧 州 委 員 会 の 代 表 者 が 議 長 を 務 め る 。
ま た 、 他 の EPSAS 関 係 者 も オ ブ ザ ー バ ー と し て 参 加 す る 。
( エ ) EPSAS の 設 定 過 程 を 監 視 す る EPSAS ガ バ ナ ン ス 諮 問 委 員 会 ( EPSAS
Governance Advisory Board)を 設 置 す る 。こ の 委 員 会 は 、公 会 計 基 準 設 定 の
分野で優れた能力を有する専門家で構成される。委員長は理事会が欧州委
員会との協議を経た後、欧州議会の同意を得て任命する。また、委員は欧
州議会及び理事会が欧州委員会との協議を経た後、それぞれ同数を任命す
る。
( オ )EPSAS の 原 案 を 開 発 す る 初 期 過 程 に お い て 幅 広 く 関 係 者 の 意 見 を 反 映 さ
せ る た め 、 EPSAS 技 術 的 助 言 グ ル ー プ ( EPSAS Technical Advisory Grope)
を 設 置 す る 。 こ の グ ル ー プ は 、 会 計 及 び 監 査 の 職 業 的 専 門 家 、 EPSAS を 適
用する財務諸表の作成者、統計学の専門家、学識経験者等で構成される。
109
議長は委員の選挙で選出する。また、委員の一部は欧州委員会が欧州議会
及 び 理 事 会 と の 協 議 を 経 て 任 命 し 、他 は そ れ ぞ れ の 所 属 長 が 直 接 任 命 す る 。
EPSAS の ガ バ ナ ン ス 構 造 は 、欧 州 統 計 局 の( 案 )の ま ま で あ り 、調 査 時 点 で 、
当 初 2014 年 中 頃 ま で に 予 定 し て い た EPSAS の ガ バ ナ ン ス に 関 す る 欧 州 委 員 会
報告書は作成されていない。
図表6-4
EPSASのガバナンス構造
理事会
欧州議会
欧州委員会
EPSAS 委員会
EPSAS ガバナンス諮問委員会
EPSAS 基準ワーキンググループ
EPSAS 解釈ワーキンググループ
EPSAS タスクフォース
EPSAS タスクフォース
EPSAS 技術的助言グループ
(注)
:監視;
:基準の設定と適用;
:専門的助言と意見
(出典)EC(2013b)Annex 2
4.6
EPSAS の 設 定
2013 年 3 月 の 欧 州 委 員 会 報 告 書 で は 、現 在 の IPSAS を そ の ま ま 加 盟 国 に 適 用
す る こ と は 困 難 で あ る と さ れ た が 、 同 時 に 、 EPSAS を 設 定 す る 場 合 、 IPSAS が
参 考 に な る と さ れ た 。 こ の 報 告 書 で は 、 EPSAS の 要 求 事 項 と し て 、 ① 発 生 主 義
会 計 、 ② 複 式 簿 記 、 ③ 国 際 的 に 統 一 化 さ れ た 財 務 報 告 、 ④ ESA 原 則 と の 整 合 性
が 挙 げ ら れ て い る 。ま た 、欧 州 統 計 局 は 現 在 の IPSAS( 評 価 時 点 で 32 基 準 )を
EPSAS の 設 定 に お い て 、① わ ず か な 調 整 で 、又 は 調 整 を 行 わ な い で 適 用 可 能 な
基 準 ( 1、 2、 3、 4、 5、 9、 10、 11、 12、 14、 16、 19、 27、 32) 、 ② 調 整 に よ り 、
又 は 会 計 処 理 の 選 択 適 用 か ら 限 定 適 用 の 変 更 に よ り 適 用 可 能 な 基 準( 7、8、13、
15、 17、 18、 20、 21、 22、 23、 24、 25、 26、 31) 、 ③ 修 正 に よ り 適 用 可 能 な 基
準 ( 6、 28、 29、 30) に 分 類 し て い る ( 図 表 6-5 参 照 ) 。
EPSAS は 欧 州 委 員 会 に よ り 要 求 事 項 が 示 さ れ 、欧 州 統 計 局 に よ り そ の 基 礎 と
な る IPSAS が 3 分 類 さ れ た だ け で あ り 、 調 査 時 点 で 、 当 初 2015 年 初 め か ら 予
定 し て い た EPSAS の 設 定 は 行 わ れ て い な い 。
110
図表 6-5
EPSAS 設定の基礎となる IPSAS の分類
IPSAS
名 称
完全適用
調整適用
修正適用
IPSAS 1
財務諸表の表示
○
IPSAS 2
キャッシュ・フロー計算書
○
IPSAS 3
会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬
○
IPSAS 4
外国為替レート変動の影響
○
IPSAS 5
借入コスト
○
IPSAS 6
連結財務諸表と個別財務諸表
○
IPSAS 7
関連法人への投資
○
IPSAS 8
合弁事業に対する持分
○
IPSAS 9
交換取引からの収益
○
IPSAS 10
超インフレ経済化における財務報告
○
IPSAS 11
工事契約
○
IPSAS 12
棚卸資産
○
IPSAS 13
リース
○
IPSAS 14
後発事象
○
IPSAS 15
金融商品:開示及び表示
○
IPSAS 16
投資不動産
○
IPSAS 17
有形固定資産
○
IPSAS 18
セグメント別報告
○
IPSAS 19
引当金、偶発債務及び偶発資産
○
IPSAS 20
関連当事者についての開示
○
IPSAS 21
非資金生成資産の減損
○
IPSAS 22
一般政府部門の財務情報の開示
○
IPSAS 23
非交換取引からの収益(租税及び移転)
○
IPSAS 24
財務諸表における予算情報の表示
○
IPSAS 25
従業員給付
○
IPSAS 26
資金生成資産の減損
○
IPSAS 27
農業
○
IPSAS 28
金融商品:表示
○
IPSAS 29
金融商品:認識と測定
○
IPSAS 30
金融商品:開示
○
IPSAS 31
無形資産
○
IPSAS 32
サービス移譲契約:譲与者
○
(注)完全適用には軽微な調整を含み、調整適用には会計処理の選択適用から限定適用への変更を含む。
(出典)EC(2013a)ANNEX 7.1(pp. 125-126)
4.7
EPSAS の 法 的 枠 組 み
全 加 盟 国 に EPSAS を 適 用 さ せ る た め に は 、 EPSAS の 枠 組 み を 法 制 化
( Framework Regulation ) す る 必 要 が あ る 。 そ の 前 段 階 と し て 、 欧 州 委 員 会 は
EPSAS の 法 的 枠 組 み に 関 す る 欧 州 委 員 会 報 告 書 を 欧 州 議 会 及 び 理 事 会 に 提 出
す る 必 要 が あ る 。そ の 後 、欧 州 委 員 会 は EPSAS の 枠 組 み に 関 す る 法 案 を 欧 州 議
会及び理事会に提出することになる。欧州統計局は、法制内容として次の事項
を予定している。
( ア ) EPSAS の ガ バ ナ ン ス と EPSAS 委 員 会 の 設 置
( イ ) EPSAS の ガ バ ナ ン ス の 基 礎 と な る 原 則
( ウ ) EPSAS を 適 用 す る た め の デ ュ ー プ ロ セ ス
( エ ) EPSAS の 要 求 事 項
( オ ) EPSAS の ス タ ー テ ィ ン グ ポ イ ン ト と し て の IPSAS の 位 置 付 け
EPSAS の 枠 組 み は 、欧 州 統 計 局 に よ り 法 制 内 容 が 示 さ れ た だ け で あ り 、調 査
時 点 で 、 当 初 2014 年 中 頃 ま で に 予 定 し て い た EPSAS の 法 的 枠 組 み に 関 す る 欧
111
州委員会報告書は作成されていない。
4.8
EPSAS 適 用 の 便 益
欧 州 統 計 局 は 加 盟 国 が 一 般 政 府 に EPSAS を 適 用 し た 場 合 に 生 じ る 便 益 を 分
析 す る 研 究 業 務 を PwC ブ ッ リ ュ セ ル に 委 託 し た 。PwC ブ ッ リ ュ セ ル は 、加 盟 国
へのアンケート結果、既に公的部門に発生主義会計を導入した国の優良事例の
分析を行い、分析結果を委託研究報告書「公的部門に発生主義会計を適用した
場 合 の 費 用 を 含 め た 潜 在 的 な 影 響 に 関 す る 情 報 、及 び 各 IPSAS の 適 用 性 に 関 す
る 技 術 的 分 析 」に ま と め 、2014 年 8 月 に 欧 州 統 計 局 に 提 出 し た 。こ の 報 告 書 に
よ る と 、 EPSAS 適 用 の 便 益 と し て 次 の 事 項 が 挙 げ ら れ て い る 。
( ア ) ESA 統 計 情 報 の 基 礎 デ ー タ の 品 質 が 向 上 す る た め 、 各 加 盟 国 に お い て マ
クロレベルでの財政状況の監視が改善され、財政目標の達成を目指しなが
ら財政政策に関する意思決定が行われるようになる。
(イ)政府の財政状態について包括的な財務情報が入手できるため、各加盟国
において財政の長期的な持続可能性に関する評価が可能となり、世代間負
担の公平性を考慮しながら財政政策に関する意思決定が行われるようにな
る。
(ウ)公的主体のサービス提供に関するフルコスト情報が入手できるため、公
的主体においてサービス提供の効率性の評価が可能となり、効率性の向上
を目指しながらサービス提供に関する意思決定が行われるようになる。
(エ)統一化された公会計基準の適用により、統一化された公監査の手続きが
行 わ れ る た め 、 EU 域 内 に お い て 財 務 監 査 の 品 質 が 向 上 す る よ う に な る 。
(オ)公的資源の使用に関する効率性と有効性の評価に資する財務情報が入手
できるため、議会での審議や市民による監視に活用され、政府による民主
的な説明責任の履行が改善されるようになる。
(カ)政府が投資家に提供する財務諸表の信頼性が向上するため、国際金融市
場において投資家の意思決定が合理的に行われ、政府発行債券の借入金利
が 低 下 す る よ う に な る 。試 算 に よ る と 、借 入 金 利 1% の 低 下 は 、EU 全 体 で
10 億 ユ ー ロ の 節 減 を も た ら す 。
4.9
EPSAS 適 用 の 費 用
欧 州 統 計 局 は 加 盟 国 が 一 般 政 府 に EPSAS を 適 用 す る 場 合 に 生 じ る 費 用 を 分
析 す る 研 究 業 務 も PwC ブ ッ リ ュ セ ル に 委 託 し た 。PwC ブ ッ リ ュ セ ル は 、加 盟 国
の会計制度の現状、既に公的部門に発生主義会計を導入した国の費用の分析を
行 う と と も に 、 EU 全 体 で EPSAS の 適 用 に 要 す る 費 用 の 試 算 を 行 い 、 分 析 と 試
112
算 の 結 果 を 上 記 の 委 託 研 究 報 告 書 に 含 め た 。分 析 と 試 算 で は 、EPSAS が 未 だ 開
発 さ れ て い な い た め 、 IPSAS を 適 用 す る こ と が 想 定 さ れ て い る 。 報 告 書 で は 、
EPSAS 適 用 に 要 す る 費 用 は 、 IT 費 用 と 非 IT 費 用 に 分 類 さ れ て い る 。 IT 費 用 と
は 、EPSAS を 適 用 す る IT シ ス テ ム の 開 発 又 は 改 修 に 要 す る 費 用 の こ と で あ る 。
ま た 、 非 IT 費 用 と は 、 ① EPSAS に 対 応 し た 会 計 処 理 の 原 則 及 び 手 続 の 作 成 に
要する費用、②開始貸借対照表、初度適用の財務諸表を作成するための基礎デ
ータの収集に要する費用、③継続適用の財務諸表を作成するための基礎データ
の収集に要する費用、④会計担当職員の研修に要する費用、⑤内部統制の変更
に要する費用のことである。
これらの費用の決定要因は、一般政府の規模と複雑性、政府会計の成熟度、
現 存 す る IT シ ス テ ム の 成 熟 度 、 そ し て 、 新 た な IT シ ス テ ム を 開 発 す る か ど う
か で あ る 。 EU 全 体 で み る と 、 EPSAS の 適 用 に 要 す る 費 用 は 、 各 加 盟 国 が 既 存
の IT シ ス テ ム を す べ て 改 修 し て 適 用 す る 場 合 に は 12 億 ~ 21 億 ユ ー ロ 、各 加 盟
国 が 既 存 の IT シ ス テ ム の う ち 成 熟 度 の 低 い も の だ け を す べ て 新 規 に 開 発 し て
適 用 す る 場 合 に は 18 億 ~ 69 億 ユ ー ロ 、 そ れ ぞ れ 掛 か る と 試 算 さ れ て い る 。 ま
た 、 こ れ ら の 費 用 の GDP 比 は 、 0.009~ 0.053% と な っ て い る 。
EPSAS 適 用 の 費 用 の う ち 主 な も の は 一 回 限 り で 、 か つ 一 定 の 期 間 、 つ ま り 、
EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト の 実 施 期 間( 約 5 年 間 )に し か 発 生 し な い が 、EPSAS 適 用
の便益はより長期間にわたって発生する。このため、便益は金銭価値化するこ
とが困難であるものの、欧州統計局としては、費用を上回ると評価している。
4.10
EPSAS の 内 部 統 制
既 に 述 べ た と お り 、各 加 盟 国 は 2011 年 11 月 の 理 事 会 指 令( Council Directive
2011/85/EU) で 、 公 会 計 制 度 に 発 生 主 義 会 計 を 導 入 す る こ と を 義 務 付 け ら れ た
が、発生主義会計導入後の公会計制度は、内部統制に服するとされている(第
3 条 第 1 項 ) 。 EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト で も 、 有 効 な 内 部 統 制 は 、 高 品 質 の 財 務 報
告を作成するための前提条件とされているが、欧州統計局によると、全加盟国
に 統 一 的 な 内 部 統 制 の 概 念 、法 制 度 、基 準 等 を 適 用 す る こ と は 想 定 し て お ら ず 、
各加盟国の裁量に委ねるとしている。
現 状 で は 、内 部 統 制 の 概 念 、法 制 度 、基 準 等 は 加 盟 国 に よ り 異 な っ て い る が 、
何らかの内部統制は存在している。加盟国(国レベル)の内部統制は、概念的
に、集権化された内部統制と分権化された内部統制に分けられる。集権化され
た 内 部 統 制 と は 、 行 政 府 内 に 独 立 し た 財 務 監 査 総 監 ( Inspection Générale des
Finances)等 の 機 関 を 設 置 し 、公 的 資 金 を 使 用 す る す べ て の 機 関 を 統 一 的 に 監 査
する仕組みのことである。また、分権化された内部統制とは、公的主体の管理
113
者とその他の職員によって実施される総合的なプロセスのことで、リスクに対
応するとともに、当該公的主体の任務を遂行する中で、①経済的、効率的及び
効果的な業務の遂行、②説明責任の履行、③関連法令への準拠、④資産の保全
の達成に関して合理的な保証を提供する仕組みのことである。分権化された内
部統制を採用している加盟国では、内部統制の設置が法令で義務付けられてい
ることが多い。この場合、公的主体は、内部統制基準としてトレッドウェイ委
員 会 支 援 組 織 委 員 会 ( COSO ) の 統 合 的 枠 組 み ( Internal Control-Integrated
Framework)や 最 高 会 計 検 査 機 関 国 際 組 織( INTOSAI)の 公 的 部 門 の 内 部 統 制 基
準 ガ イ ド ラ イ ン ( Guidelines for Internal Control Standards for the Public Sector)
を適用している。また、公的主体はそれぞれの内部統制の有効性に関して自己
評価した報告書を作成し、当該公的主体の年次報告書又は年次財務諸表に掲載
又は添付している。
4.11
EPSAS の 財 務 監 査
既 に 述 べ た と お り 、各 加 盟 国 は 2011 年 11 月 の 理 事 会 指 令( Council Directive
2011/85/EU) で 、 公 会 計 制 度 に 発 生 主 義 会 計 を 導 入 す る こ と を 義 務 付 け ら れ た
が、発生主義会計導入後の公会計制度は、独立した監査に服するとされている
( 第 3 条 第 1 項 ) 。 EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト で も 、 外 部 監 査 人 に よ る 財 務 監 査 は 、
高品質の財務報告を作成するための前提条件とみなされているが、欧州統計局
によると、全加盟国に統一的な監査実施主体、監査基準等を適用することは想
定しておらず、各加盟国の裁量に委ねるとしている。
現状では、一般政府の財務監査の実施状況は加盟国により異なり、行われて
い な い 国 も あ る 。監 査 実 施 主 体 に つ い て は 、① 最 高 会 計 検 査 機 関( Supreme Audit
Institutions: SAI) が 一 般 政 府 の 全 部 門 を 監 査 し て い る 場 合 、 ② SAI が 連 邦 政 府
及び中央政府を含む一般政府の一部を監査している場合、③連邦政府及び中央
政 府 の SAI 以 外 の 監 査 機 関 、 州 政 府 及 び 地 方 政 府 の 監 査 機 関 が そ れ ぞ れ の 監 査
を行っている場合、④民間の監査法人又は公認会計士が連邦政府、中央政府及
び州政府を除く一般政府の一部を監査している場合がある。監査基準について
は 、 ① 国 際 監 査 基 準 ( International Standards on Auditing: ISA) 及 び 最 高 会 計 検
査 機 関 国 際 基 準( International Standards of Supreme Audit Institutions: ISSAI)を
完 全 適 用 し て い る 場 合 、 ② ISA 及 び ISSAI を 調 整 適 用 し て い る 場 合 、 ③ ISA 及
び ISSAI を 参 考 に し て い る 場 合 、 ④ 欧 州 監 査 基 準 ( European Standards of
Auditing) を 参 考 に し て い る 場 合 、 ⑤ 独 自 の 監 査 基 準 を 適 用 し て い る 場 合 が あ
る。
114
4.12
EPSAS と 発 生 主 義 予 算
PwC ブ ッ リ ュ セ ル の 委 託 研 究 報 告 書 で は 、 発 生 主 義 予 算 へ も 言 及 し て お り 、
発生主義会計は発生主義予算を導入する前提と考えられている。これは、既に
発生主義予算を導入した国から、導入の効果に対して肯定的な評価が寄せられ
ているからである。発生主義予算については、加盟国ではオーストリア、イギ
リス及びドイツ(ヘッセン州)が導入している。また、加盟国以外の欧州では
スイスが導入している。これらの国では、効果として、①より長期的な視点で
政策の選択に関する意思決定ができること、②予算を反映した予定財務諸表と
実 績 の 比 較 が で き る こ と 、③ フ ル コ ス ト で 予 算 と 実 績 を 直 接 比 較 が で き る た め 、
差異分析の結果を予算編成に反映できることなどを挙げている。欧州統計局に
よ る と 、EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト は 、全 加 盟 国 の 一 般 政 府 に 統 一 的 な 発 生 主 義 会 計
基 準 を 適 用 し 、最 終 的 に 公 的 部 門 の 財 務 諸 表( WGA)を 作 成 す る こ と を 目 指 し
ており、その後、発生主義予算を導入するかどうかは、各加盟国の裁量に委ね
るとしている。
4.13
EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト の 現 状 と 今 後 の 見 込 み
EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト の 調 査 時 点 の 現 状 は 、EPSAS の ガ バ ナ ン ス に 関 す る 意 見
公 募 資 料 に 対 す る 応 募 意 見 の 分 析 を 行 い 、そ の 結 果 に 基 づ い て 、EPSAS の 法 的
枠組みに関する欧州委員会報告書の作成を準備している段階である。この欧州
委 員 会 報 告 書 の 作 成 は 、当 初 2014 年 中 頃 ま で に 終 え る こ と を 予 定 し て い た 。従
っ て 、 現 在 の と こ ろ 、 EPSAS は 存 在 し な い 。
欧 州 統 計 局 は 認 め て い な い が 、他 の 調 査 対 象 機 関 に よ る と 、EPSAS プ ロ ジ ェ
クトが遅れている背景には、欧州委員会内部の事情と加盟国の抵抗があるとさ
れている。欧州委員会内部の事情とは、欧州委員会委員長の交代である。
バ ロ ー ゾ 前 委 員 長 は EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト を 積 極 的 に 推 進 し て き た が 、 2014
年 5 月 に 行 わ れ た 欧 州 議 会 選 挙 後 に 退 任 し た 。 2014 年 11 月 に は 、 ユ ン カ ー 前
ルクセンブルグ首相が欧州委員会委員長に就任したが、ユンカー委員長の政策
構 想 に お い て 、EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト の 優 先 順 位 は 低 い と さ れ 、積 極 的 な 指 導 力
は発揮されていない。
ま た 、加 盟 国 の 抵 抗 と は 、ド イ ツ の EPSAS 適 用 に 対 す る 反 対 で あ る 。ド イ ツ
の 財 政 状 態 は 、現 在 の と こ ろ 他 の 加 盟 国 よ り 比 較 的 良 好 で あ る が 、EPSAS を 適
用することになれば、将来的に年金債務を計上せざるを得なくなり、他の加盟
国 と 同 様 の レ ベ ル に 財 政 状 態 が 悪 化 す る の で な い か と い う こ と で あ る 。つ ま り 、
透明性が向上することで、国際金融市場において借入金利が上昇することを懸
念しているのではないかということである。
115
EPSAS の 法 制 化 に は 、欧 州 委 員 会 か ら の 法 案 の 提 出 と 、欧 州 議 会 及 び 理 事 会
の 同 意 が 必 要 で あ る た め 、上 記 の 事 情 を 顧 み る と 、EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト が 確 実
に実施されるかどうかは予断を許さないといえよう。
4.14
参考
4.14.1
EU の 会 計 制 度
EU 諸 機 関 に は 、 2005 年 か ら 発 生 主 義 会 計 が 導 入 さ れ て い る が 、 適 用 さ れ る
会 計 基 準 は 、IPSAS を 基 礎 と し て い る 。EU に は 、欧 州 委 員 会 と そ の 他 の 諸 機 関
に 会 計 責 任 者 ( Accounting Officer) が 置 か れ 、 予 算 を 執 行 す る と と も に 、 個 別
決算書を作成している。この個別決算書は、財務諸表と予算実績報告書で構成
される。会計責任者はそれぞれの機関の個別決算書を作成するが、欧州委員会
の 会 計 責 任 者 は 、 こ れ ら を 連 結 し た EU の 連 結 決 算 書 を 作 成 す る こ と が 義 務 付
け ら れ て い る 。 欧 州 委 員 会 の 会 計 責 任 者 は 、 EU の 連 結 決 算 書 の 作 成 に 当 た り 、
EU 財 務 規 則 ( EU Financial Regulation) 第 143 条 第 1 項 に 基 づ き 、 国 際 的 に 認
め ら れ た 公 会 計 基 準 、 つ ま り 、 IPSAS を 基 礎 と し た 会 計 基 準 を 適 用 す る こ と と
さ れ て い る 。 会 計 責 任 者 は IPSAS を 基 礎 と す る も の の 、 資 産 、 負 債 、 収 益 、 費
用及びキャッシュフローを真実かつ公正に表示するために必要がある場合に
は 、 IPSAS の 調 整 適 用 を 行 う こ と が 認 め ら れ て い る 。 ま た 、 IPSAS が 開 発 さ れ
て い な い EU 固 有 の ト ピ ッ ク に つ い て は 、 会 計 基 準 諮 問 グ ル ー プ の 助 言 を 得 な
が ら 独 自 の 会 計 基 準 を 設 定 し て い る 。 こ れ ら に は 、 費 用 及 び 未 払 金 ( Expenses
and payables)及 び 事 前 資 金 調 達( Pre-financing)に 関 す る 基 準 が あ る 。さ ら に 、
欧 州 委 員 会 の 会 計 責 任 者 は 、EU 財 務 規 則 第 152 条 に 基 づ き 、そ の 他 の 諸 機 関 の
会計責任者との協議を経て、これらの機関に適用される会計基準を設定する権
限 が 与 え ら れ て い る 。こ の 基 準 は 、EU 財 務 規 則 第 143 条 に 準 拠 す る た め 、IPSAS
が基礎となる。
4.14.2
EU の 検 査 制 度
EU の 検 査 は 、ECA が 行 っ て い る 。ECA は 1975 年 の ブ ッ リ ュ セ ル 条 約 に よ り
設 立 さ れ 、1992 年 の マ ー ト リ ヒ ト 条 約 に よ り 決 算 の 信 頼 性 と 合 規 性 に 関 す る 年
次 報 告 を 行 う こ と と さ れ た 。 ECA は 現 在 、 TFEU 第 287 条 及 び EU 財 務 規 則 第
159 条 に 基 づ き 、 連 結 財 務 諸 表 と 連 結 予 算 実 績 報 告 書 で 構 成 さ れ る EU の 連 結
決算書、及びこの連結決算書の裏付けとなっている取引の合規性を検査するこ
と を 義 務 付 け ら れ て い る 。 ECA の 役 割 は 、 検 査 結 果 に 基 づ き 、 連 結 決 算 書 の 信
頼性とその裏付けとなる取引の合規性について、欧州議会及び理事会に保証を
提 供 す る こ と で あ る 。ECA は 法 令 で 義 務 付 け ら れ て い る わ け で は な い が 、自 己
116
の 裁 量 で 、 IFAC の ISA と 職 業 倫 理 規 程 、 及 び INTOSAI の ISSAI に 準 拠 し て 検
査 を 行 い 、年 次 報 告 書 に お い て 、連 結 決 算 書 に 重 要 な 虚 偽 表 示 が な い か ど う か 、
及びその裏付けとなる取引が関連法令に準拠しているかどうか合理的保証を行
っ て い る 。ま た 、ECA は EU 諸 機 関 の 個 別 決 算 書 に つ い て も 同 様 の 検 査 を 行 い 、
その検査結果に基づき、機関別の特定年次報告書を作成している。
4.14.3
EPSAS と ECA
2013 年 11 月 の EPSAS の ガ バ ナ ン ス に 関 す る 意 見 公 募 資 料 で は 、EPSAS の ガ
バ ナ ン ス を 監 視 す る 役 割 を 担 う 機 関 と し て 理 事 会 、欧 州 議 会 と と も に ECA が 挙
げ ら れ て い た 。EPSAS が 全 加 盟 国 の 一 般 政 府 に 適 用 さ れ る こ と に な れ ば 、EU 諸
機 関 に も 適 用 さ れ る こ と が 考 え ら れ る 。こ の 場 合 、EPSAS が 適 用 さ れ た 連 結 決
算 書 及 び 個 別 決 算 書 の 検 査 を 行 う の は ECA で あ る た め 、 ECA と し て は 、 独 立
性 を 確 保 し な が ら 、EPSAS の ガ バ ナ ン ス に お い て 一 定 の 監 視 機 能 を 果 た し て い
きたいとしている。
5
今後の研究課題
EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト の 第 一 義 的 な 目 的 は 、ESA 基 準 と 整 合 性 が 取 れ た 財 務 デ
ー タ を 提 供 す る こ と に よ り 、 ESA の 品 質 の 向 上 を 図 る こ と で あ る 。 こ れ は 、 財
政 目 標 が ESA で 設 定 さ れ て い る た め 、 EPSAS を 適 用 し た 財 務 デ ー タ の 提 供 に
よ り 、 ESA に 対 す る 信 頼 性 が 高 ま り 、 財 政 目 標 の 測 定 、 報 告 及 び 予 測 が 改 善 さ
れるからである。今回の実態調査では、財務報告と国民経済計算の整合性を取
る こ と の 重 要 性 を 再 認 識 す る こ と が で き た 。一 方 、わ が 国 の 新 公 会 計 基 準 で は 、
国民経済計算の品質の向上を図ることを目的とはしていないが、わが国におい
ても、財政目標は国民経済計算で設定されているため、国民経済計算と整合性
が取れた財務データを提供するという観点から、新公会計基準の改訂等に向け
た提案を検討する必要がある。
ま た 、 EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト で は 、 IPSAS の 全 基 準 を そ の ま ま 採 用 す る こ と は
しないが、一部の基準を除き、完全適用または調整適用することとしているた
め 、 今 回 の 実 態 調 査 で 、 IPSAS の 会 計 基 準 と し て の 有 用 性 を 確 認 す る こ と が で
き た 。 EPSAS プ ロ ジ ェ ク ト が IPSAS を ベ ン チ マ ー ク と し た の は 、 IPSAS が 現
在、国際的に認知された唯一の包括的な公会計基準であり、特定の国の制度を
前提としていないからであろう。
ち な み に 、 わ が 国 の 新 公 会 計 基 準 を IPSAS と 比 較 す れ ば 、 新 公 会 計 基 準 は 、
①地方公共団体の内部者が財政の効率化・適正化を図るため、財務書類を活用
117
す る こ と を 重 視 し て い る こ と 、② 税 収 に つ い て「 持 分 説 」を 採 用 し て い る た め 、
世代間負担の公平性に関するフロー情報は、純資産変動計算書において、純行
政コストから税収等の財源を控除した本年度差額に表示されること、③減損、
資産除去債務、退職後給付(年金)等において負債及び費用の一部が認識され
ないため、フルコストが表示されないこと、④サービス業績情報の作成が義務
付けられていないため、サービスのコストに関する情報が提供されないことな
どが明らかになっている。
したがって、地方公共団体の内部者が財政の効率化・適正化を図るために財
務 書 類 を 活 用 す る こ と を 重 視 し て い る に も か か わ ら ず 、 新 公 会 計 基 準 と IPSAS
の乖離の中には、効率性の評価で重要な役割を果たすコスト情報に影響を及ぼ
すものも含まれている点は重要な論点になると考えられる。特に、固定資産の
減損、資産除去債務及び従業員給付(退職年金)については、わが国の公会計
の 一 部 に お い て 既 に IPSAS が 適 用 さ れ て い て 、地 方 公 共 団 体 に も 一 定 の 効 果 が
期 待 で き る た め 、今 後 、新 公 会 計 基 準 の 改 訂 に 向 け た 提 案 を 検 討 し て い き た い 。
参考文献
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法 と 調 査 』 355: 114-128.
根 岸 隆 史 ( 2014b)「 EU( 2) - 2014 年 欧 州 議 会 選 挙 結 果 と EU の 展 望 - 」『 立
法 と 調 査 』 359: 79-95.
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69-91.
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for budgetary frameworks of the Member States.
EC( 2013a)COMMISSION STAFF WORKING DOCUMENT( SWD( 2013)57 final).
EC( 2013b)PUBLIC CONSULTATION PAPER、Document accompanying the public
consultation “ Towards implementing European Public Sector Accounting
Standards (EPSAS) for Member States – Public consultation on future EPSAS
governance principles and structures” .
EC( 2013c) REPORT FROM THE COMMISSION TO THE COUNCIL AND THE
EUROPEAN PARLIAMENT、 Towards implementing harmonized public sector
accounting standards in Member States、The suitability of IPSAS for the Member
States( COM( 2013) 114 final) .
EC( 2014a) COMPENDIUM of the public internal control systems in the EU Member
118
States、 Second edition.
EC( 2014b)Public consultation on future EPSAS governance principles and structures:
Draft report.
EC( 2014c) Taking stock on EPSAS development、 FEE Roundtable Harmonizing
European Public Sector Accounting.
EC( 2015)Update on the EPSAS Project、Meeting with Team of Japanese Researchers.
ECA( 2013)The Role of the Court of Auditors in Modernizing the Accounting System
of the European Institutions.
ECA( 2014) ANNUAL REPORTS concerning the financial year 2013.
Ernst & Young( 2012)An overview and comparison of public accounting and auditing
practices in the 27 Member States.
PwC( 2014)Collection of information related to the potential impact、including costs、
of implementing accrual accounting in the public sector and technical analysis
of the suitability of individual IPSAS standards.
119
附録 1
現地調査
1. 日 程
月日(曜日)
時間
8 月 1 6 日( 日 )
11:40
成 田 国 際 空 港 発 ( SK984)
16:05
カストルップ国際空港着
18:10
カ ス ト ル ッ プ 国 際 空 港 発 ( SK597)
19:40
ブリュッセル国際空港着
12:30
PwC ブ リ ュ ッ セ ル 主 催 昼 食 会
13:30
PwC ブ リ ュ ッ セ ル ( 調 査 事 項 )
8 月 1 7 日( 月 )
日程
宿泊
ブ リ ュ ッ セ ル ( Royal Windsor Hotel Grand
Place)
同上
~
13:30
~
PwC ブ リ ュ ッ セ ル ( ICAEW と の 会
16:00
合)
16:00
~
17:00
8 月 1 8 日( 火 )
10:00
欧州会計士連盟
同上
~
12:00
8 月 1 9 日( 水 ) 8 : 3 0
ブリュッセル駅発
12:30
14:00~
ル ク セ ン ブ ル グ ( Mercure Grand Hotel Alfa
ルクセンブルグ駅着
Luxembourg)
欧州会計検査院
16
:00
武田参事官主催夕食会
19:00
~
21:00
8 月 2 0 日( 木 ) 1 0 : 0 0 ~
欧州統計局
同上
ルクセンブルグ駅発
ブ リ ュ ッ セ ル( Hilton Brussels Grand Place)
12
:30
8 月 2 1 日( 金 ) 9 : 0 0
8 月 2 2 日( 土 )
13:00
ブリュッセル駅着
10:30
ブ リ ュ ッ セ ル 国 際 空 港 発 ( SK594)
12:00
カストルップ国際空港着
15:45
8 月 2 3 日( 日 ) 9 : 3 5
機中泊
カ ス ト ル ッ プ 国 際 空 港 発 ( SK983)
成田国際空港着
2. 訪 問 者
①山浦久司(明治大学教授)
②兼村高文(明治大学教授)
③東信男(会計検査院国際検査情報分析官)
上 記 以 外 に 、 PwC ブ リ ュ ッ セ ル に は 仲 澤 孝 宏 、 三 刀 屋 淳 両 公 認 会 計 士 ( あ ら た 監 査 法 人 ) が 、 欧 州 会 計 検 査
院及び欧州統計局には楢崎義憲・在ルクセンブルグ日本国大使館一等書記官がそれぞれ同行した。
120
3. 訪 問 先 対 応 者
ブリュッセル
ルクセンブルグ
① PwC ブ リ ュ ッ セ ル
③欧州会計検査院
Mr. Patrice Schumesch、 Partner
Mr. Ralp Otte 、 Head of Unit for the Reliability of
Mr. Martin Manuzi、 ICAEW Europe Region Regional
Accounts
Mr. Sebastian Mitrowski、 Presidency-Communications
Director
and Institutional Relations
②欧州会計士連盟
Mr. Olivier Boutellis-Taft、 Chief Executive
④欧州統計局
Ms. Petra Weymuller、 Senior Manager
Mr. Alexandre Makaronidis、 Head of Unit、 Task Force
Mr. Paul Gisby、 Manager
EPSAS
Mr. Istvan Varjas( EPSAS Team Member)
Ms. Anabela Rodrigues( 同 上 )
Ms. Carmela Zammit( 同 上 )
4. 訪 問 先 住 所
ブリュッセル
ルクセンブルグ
① PwC ブ リ ュ ッ セ ル
③欧州会計検査院
PwC Brussels
European Court of Auditors
Woluwegarden – Woluwedal 18
12、 Rue Alcide de Gasperi
1932 Brussels
1615 Luxembourg
Tel: +32( 0) 2 710 4211
Tel: +352 4398-1
②欧州会計士連盟
④欧州統計局
Federation of European Accountants
Eurostat
Avenue d’ Auderghem、 22-28/8
Joseph Bech building
B-1040 Brussels
5、 Rue Alphonse Weicker
Tel: +32( 0) 2 893 3360
2721 Luxembourg
Tel: +352 4301-1
5. 宿 泊 先
ブリュッセル
ルクセンブルグ
8 月 16 日 ~ 8 月 19 日
8 月 19 日 ~ 8 月 21 日
Royal Windsor Hotel Grand Place
Mercure Grand Hotel Alfa Luxembourg
5 Rue Duquesnoy
16、 Place de la Gare
Brussels
Luxembourg City
Tel: +32( 0) 2 505 5555
Tel: +352 490 0111
8 月 21 日 ~ 8 月 22 日
Hilton Brussels Grand Place
Carrefour de l’ Europe 3
Brussels
Tel: +32( 0) 2 548 4211
6. 現 地 協 力 者
在ルクセンブルグ日本国大使館
一等書記官
楢崎義憲
121
附録 2
質問事項
1. QUESTIONNAIRES to PwC Brussels
( 1) Introduction
・ Does PwC have documents describing the outline of process when PwC provides supporting services for
i mp l e m e n t i n g a c c r u a l s - b a s e d a c c o u n t i n g i n c e n t r a l g o v e r n m e n t s a n d l o c a l g o v e r n m e n t s ?
・ We heard that PwC has brushed up the global survey on government accounting and reporting conducted in
2013. Are there any new knowledge or analysis?
( 2) Practical problems in the first-time adoption of IPSAS
・ It is said that public sector entities are to undertake the development of IT system、 training for employees
and assets evaluation for opening balance sheet when they adopt accruals-based accounting for the first time.
From PwC’ experiences of International Public Sector Accounting Standards (IPSAS) implementation support
services、 what kind of practical problems other than those did public sector entities face and how did they resolve
them when they adopted IPSAS for the first time?
( 3) Situation after IPSAS implementation
・ From PwC’ experiences of IPSAS implementation support services、 what kind of merits and demerits do
public sector entities have after IPSAS implementation?
・ P u b l i c s e c t o r e n t i t i e s t h a t h a v e i m p l e m e n t e d I P S A S a r e a p t t o k e e p c a s h - b a s e d b u d g e t i n g s ys t e m . I n t h a t
c a s e 、 f r o m P w C ’ e x p e r i e n c e s o f I P S A S i m p l e m e n t a t i o n s u p p o r t s e r v i c e s 、 h o w I P S A S b a s e d a c c o u n t i n g s ys t e m
does consist with cash-based budgeting system? That is、 how IPSAS accounting data is utilized in the process
of budget compilation?
( 4) Internal control framework under IPSAS based accounting system
・ It is said that effective internal control of public accounting is one of conditions that guarantee timely and
high quality accruals-based accounting data. From PwC’ experiences of IPSAS implementation support services、
what kind of internal control do public sector entities develop when they prepare and present IPSAS financial
statements? In that case、 what kind of internal control standards do they adopt?
( 5) Financial statements auditing framework under IPSAS based accounting system
・ It is said that external financial audit of public accounting is one of conditions that guarantee timely and
high quality accruals-based accounting data. From PwC’ experiences of IPSAS implementation support services、
Who conducts financial statements audit in public sector entities when they prepare and present IPSAS financial
statements? In that case、 what kind of auditing standards do they adopt?
( 6) EPSAS implementation
・ According to PWC (2014、 p. 10)、 the implementation of European Public Sector Accounting Standards
( E P S A S ) i n E U m e m b e r s t a t e s s e e m s t o b e p r e c o n d i t i o n f o r a d o p t i o n o f a c c r u a l s - b a s e d b u d g e t i n g s ys t e m . Wh a t
k i n d o f c o n c r e t e m e r i t s w i l l a c c r u a l s - b a s e d b u d g e t i n g s ys t e m h a v e ? A n d i f i t h a s s o m e m e r i t s 、 f o r w h a t a r e t h o s e
useful or to whom are those going to benefit?
・ According to PWC (2014、 pp. 48-49)、 there is a decision-making as one of benefits associated with EPSAS
i mp l e m e n t a t i o n . H o w E P S A S a c c o u n t i n g d a t a w i l l b e c o n c r e t e l y u t i l i z e d i n d e c i s i o n - m a k i n g ?
・ According to PWC (2014、 pp. 49-50)、 there are cost accounting and performance measurement as one of
benefits associated with EPSAS implementation. How EPSAS accounting data will be concretely utilized in cost
a c c o u n t i n g a n d p e r f o r m a n c e m e a s u r e m e n t ? Wh a t a r e t h e f i n a l c o s t o b j e c t s i n t h e c o u n t r i e s r e f e r r e d i n P W C
(2014)? That is、 final cost objects are merely policies、 programs and projects、 or final cost objects are output
indicators and outcome indicators、 and then unit cost is measured?
2. QUESTIONNAIRES to Federation of European Accountants
( 1) Introduction
・ We understand that Federation of European Accountants (FEE) has been actively getting involved in EPSAS
i mp l e m e n t a t i o n . W h y h a s F E E b e e n a c t i v e l y g e t t i n g i n v o l v e d a n d w h a t k i n d o f c o n t r i b u t i o n s h a s F E E m a d e t o
EPSAS implementation?
・ We hear that FEE will hold the public sector roundtable “ Paving the way to accruals accounting in Europe:
challenges and potential solutions for transition” in July. Why will FEE hold such kind of roundtable in this
time and what is its background?
・ We understand that EPSAS implementation was triggered by financial crisis in some EU member states. Is
122
our understanding right?
( 2) Reasons why EU does not adopt IPSAS itself
・ According to EU (2013a、 pp. 105-107)、 there are several reasons why European Union (EU) does not adopt
International Public Sector Accounting Standards (IPSAS) itself as European Public Sector Accounting Standards
(EPSAS). Does FEE think that these concerns are appropriate?
( 3) Utilization Method of EPSAS accounting data
・ According to EU (2013c 、 p. 4) 、 there would be distinct benefits for public sector management and
governance in adopting a single set of accruals-based accounting standards at all levels of governments
throughout the EU. In FEE’ s view、 how EPSAS accounting data should be concretely utilized in public sector
management and governance?
( 4) Development of EPSAS
・ According to EU (2013a、 Annex 7.1)、 32 IPSAS standards are grouped as (a) standards that might be
i mp l e m e n t e d w i t h m i n o r o r n o a d a p t a t i o n ( 1 、 2 、 3 、 4 、 5 、 9 、 1 0 、 1 1 、 1 2 、 1 4 、 1 6 、 1 9 、 2 7 、 3 2 ) 、 ( b ) s t a n d a r d s
that need adaptation、 or for which a selective approach is needed (7、 8、 13、 15、 17、 18、 20、 21、 22、 23、
24、 25、 26、 31) and (c) standards that are seen as needing to be amended for implementation (6、 28、 29、 30).
How is FEE contributing to the adaptation of group (b) and amendment of group (c) in the development of EPSAS?
・ A c c o r d i n g t o E U ( 2 0 1 3 a 、 p . 1 0 6 ) 、 s o me e x i s t i n g I P S A S s t a n d a r d s a r e v i e w e d a s i n c o mp l e t e 、 i n p a r t i c u l a r
concerning the recognition、 measurement and disclosure of public sector specific transactions such as social
benefits and taxes. This is one of reasons why EU does not adopt IPSAS itself as EPSAS. How is FEE contributing
to the development of topics that IPSAS standards have not yet been developed?
( 5) Practical problems in the first-time adoption of EPSAS
・ It is said that EU public sector entities are to undertake the development of IT system 、 training for
employees and assets evaluation for opening balance sheet when they adopt EPSAS for the first time. In FEE’ s
view、 what kind of practical problems other than those will EU public sector entities face and how they will
resolve them when they adopt EPSAS for the first time?
( 6 ) C o n s i s t e n c y b e t w e e n b u d g e t i n g s ys t e m a n d E P S A S b a s e d a c c o u n t i n g s y s t e m
・ Public sector entities that have implemented accruals-based accounting are apt to keep cash-based budgeting
s ys t e m . I n t h a t c a s e 、 i n F E E ’ s v i e w 、 h o w I P S A S b a s e d a c c o u n t i n g s y s t e m s h o u l d c o n s i s t w i t h c a s h - b a s e d
b u d g e t i n g s ys t e m ? T h a t i s 、 h o w I P S A S a c c o u n t i n g d a t a s h o u l d b e u t i l i z e d i n t h e p r o c e s s o f b u d g e t c o m p i l a t i o n ?
・ According to EU (2013a、 pp. 86-87、 92-93)、 central governments of Austria and United Kingdom have
adopted accruals-based budgeting system. Does FEE think that accruals-based budgeting system should be
adopted in EU public sector entities after full implementation of EPSAS?
( 7) Internal control framework under EPSAS based accounting system
・ According to EU (2013c、 p. 9)、 effective internal control of public accounting is one of conditions that
guarantee timely and high quality EPSAS accounting data. How FEE can contribute to the development of internal
control in EU public sector entities when they prepare and present EPSAS financial statements?
( 8) Financial statements auditing framework under EPSAS based accounting system
・ According to EU (2013c、 p. 9)、 external financial audit of public accounting is one of conditions that
guarantee timely and high quality EPSAS accounting data. How FEE can contribute to the financial statements
audit in EU public sector entities when they prepare and present EPSAS financial statements?
( 9) Involvement in public sector assurance
・ According to website of FEE、 FEE is now going to conduct not only financial audit but also performance
audit as a part of FEE’ s project “ Getting involved in public sector assurance” . It is usually supreme audit
institutions (SAI) that conduct financial audit and performance audit in central governments. Under these
circumstances、 how FEE is going to get involved in financial audit and performance audit in public sector? Is
FEE going to conduct them as assurance engagement from the viewpoint of independent outsiders、 or provide
supporting services for internal audit and SAI?
3. QUESTIONNAIRES to European Court of Auditors
( 1) Introduction
・ What is the coverage of European Court of Auditors (ECA) ’
audit mandate? Is it limited to the
i mp l e m e n t a t i o n o f t h e E u r o p e a n U n i o n ( E U ) b u d g e t ? I n t h a t c a s e 、 d o e s E C A c o n d u c t n o t o n l y f i n a n c i a l a u d i t o f
the consolidated accounts of EU but also performance audit of EU spending programs?
・ What is the relationship between ECA and supreme audit institutions (SAI) in EU member states?
123
( 2) Current public accounting system in EU
・ What is current public accounting system in EU?
・ According to ECA (2014、 p. 10)、 the consolidated accounts of EU are prepared and presented on the basis
of internationally accepted accounting standards for the public sector. Does EU apply International Public Sector
Accounting Standards (IPSAS) in full or adapt IPSAS standards? In the case of latter、 which IPSAS standards
are adapted、 why and how are they adapted?
・ W h a t i s c u r r e n t b u d g e t i n g s ys t e m i n E U ? D o e s E U a d o p t p e r f o r m a n c e b u d g e t ?
・ H o w a c c r u a l s - b a s e d a c c o u n t i n g s y s t e m d o e s c o n s i s t w i t h c a s h - b a s e d b u d g e t i n g s ys t e m i n E U ? T h a t i s 、 h o w
accruals-based accounting data is utilized in the process of budget compilation?
( 3) Present situation of financial audit by ECA
・ A c c o r d i n g t o E C A ( 2 0 1 4 、p . 1 0 ) 、E C A c o n d u c t s i t s f i n a n c i a l a u d i t i n a c c o r d a n c e w i t h t h e I F A C I n t e r n a t i o n a l
Standards on Auditing (ISA) and the INTOSAI International Standards of Supreme Audit Institutions (ISSAI).
Does ECA apply ISA and ISSAI in full or adapt ISA standards and ISSAI standards? In the case of latter、 which
ISA standards and ISSAI standards are adapted、 why and how are they adapted?
( 4) Effects of application of EPSAS on financial audit by ECA
・ Is EU required to apply European Public Sector Accounting Standards (EPSAS) when each EU public sector
entity applies EPSAS? If yes、 how application of EPSAS will effect on financial audit by ECA?
・ According to EU (2013b、 p. 6)、 the EPSAS governance would be subject to oversight by ECA. What kind
o f c o n c r e t e r o l e s d o e s E C A p l a y i n E P S A S g o v e r n a n c e o r w i l l E C A p l a y?
( 5 ) C o n s i s t e n c y b e t w e e n b u d g e t i n g s ys t e m a n d E P S A S b a s e d a c c o u n t i n g s y s t e m i n E U
・ According to website of EPSAS.eu、 EPSAS project aims at promoting uniform budgeting and accounting
s t a n d a r d s f o r E U p u b l i c s e c t o r e n t i t i e s . H o w E P S A S b a s e d a c c o u n t i n g s ys t e m w i l l c o n s i s t w i t h c a s h - b a s e d
b u d g e t i n g s ys t e m i n E U i f E U i s r e q u i r e d t o a p p l y E P S A S ? T h a t i s 、 h o w E P S A S a c c o u n t i n g d a t a w i l l b e u t i l i z e d
in the process of budget compilation?
・ According to EU (2013a、 pp. 86-87、 92-93)、 central governments of Austria and United Kingdom have
adopted accruals-based budgeting system. Is there a possibility that accruals-based budgeting system would be
adopted in EU after full implementation of EPSAS?
4. QUESTIONNAIRES to Eurostat
( 1) Introduction
・ We understand that EPSAS project was triggered by financial crisis in some EU member states. Is our
understanding right?
・ How much progress has EPSAS project made so far? How much does EPSAS project have feasibility of full
i mp l e m e n t a t i o n ?
( 2) Reasons why EU does not adopt IPSAS itself
・ According to EU (2013a、 pp. 105-107)、 there are several reasons why European Union (EU) does not adopt
International Public Sector Accounting Standards (IPSAS) itself as European Public Sector Accounting Standards
(EPSAS). Which concerns are most decisive reasons?
・ Indicators of fiscal sustainability provided in the Treaty on the Functioning of the European Union (TFEU)
are based on the European System of Accounts (ESA 95) accruals data、 and the administrative objective of EPSAS
is to generate accrual data with a view to preparing data based on the ESA 95 standard (EU (2011、 Article 3)).
So、 will framework and basic concepts of ESA 95 precede those of IPSAS in the development of EPSAS?
( 3) Utilization Method of EPSAS accounting data
・ According to EU (2013c 、 p. 4) 、 there would be distinct benefits for public sector management and
governance in adopting a single set of accruals-based accounting standards at all levels of governments
throughout the EU. How EPSAS accounting data will be concretely utilized in public sector management and
governance?
・ Indicators of fiscal sustainability provided in TFEU are currently based on ESA 95 accruals data、 namely
the ratio of planned or actual government deficit to GDP and the ratio of government debt to GDP. Is there a
possibility that Indicators of fiscal sustainability would be directly based on EPSAS financial statements?
( 4) Schedule of development and application of EPSAS
・ According to PWC (2014、 p.14)、 the tentative target date of the presentation of the first EPSAS financial
s t a t e m e n t s i s 2 0 2 0 . Wh a t i s t h e s c h e d u l e f o r t h e p r e s e n t a t i o n 、 n a m e l y w h a t i s r o a d m a p a n d m i l e s t o n e o f
development、 endorsement and application of EPSAS?
124
・ According to EU (2013a、 Annex 7.1)、 32 IPSAS standards are grouped as (a) standards that might be
i mp l e m e n t e d w i t h m i n o r o r n o a d a p t a t i o n ( 1 、 2 、 3 、 4 、 5 、 9 、 1 0 、 1 1 、 1 2 、 1 4 、 1 6 、 1 9 、 2 7 、 3 2 ) 、 ( b ) s t a n d a r d s
that need adaptation、 or for which a selective approach is needed (7、 8、 13、 15、 17、 18、 20、 21、 22、 23、
24、 25、 26、 31) and (c) standards that are seen as needing to be amended for implementation (6、 28、 29、 30).
How adaptation of group (b) and amendment of group (c) are progressing now?
・ A c c o r d i n g t o E U ( 2 0 1 3 a 、 p . 1 0 6 ) 、 s o me e x i s t i n g I P S A S s t a n d a r d s a r e v i e w e d a s i n c o mp l e t e 、 i n p a r t i c u l a r
concerning the recognition、 measurement and disclosure of public sector specific transactions such as social
benefits and taxes. This is one of reasons why EU does not adopt IPSAS itself as EPSAS. Of topics that IPSAS
standards have not yet been developed 、 which topics are scheduled to be developed as EPSAS 、 and how
development of such topics are progressing now?
・ According to EU (2014、 p. 2)、 it was proposed to prepare a Commission Communication on EPSAS to
prepare the ground for a potential legislative proposal on EPSAS in 2015. What are concrete contents of this
potential legislative proposal on EPSAS or will be?
・ As last step of implementing EPSAS、 is each EU member state required to prepare whole-of government
accounts including central government、 state governments、 local governments and social funds、 which would
provide a comprehensive picture of governments’ assets、 liabilities、 revenue and expenses in one country?
( 5) Practical problems in the first-time adoption of EPSAS
・ It is said that EU public sector entities are to undertake the development of IT system 、 training for
e m p l o y e e s a n d a s s e t s e v a l u a t i o n f o r o p e n i n g b a l a n c e s h e e t w h e n t h e y a d o p t E P S A S f o r t h e f i r s t t i m e . Wh a t k i n d s
of practical problems other than those will EU public sector entities face when they adopt EPSAS for the first
time?
( 6 ) C o n s i s t e n c y b e t w e e n b u d g e t i n g s ys t e m a n d E P S A S b a s e d a c c o u n t i n g s y s t e m
・ According to website of EPSAS.eu、 EPSAS project aims at promoting uniform budgeting and accounting
s t a n d a r d s f o r E U p u b l i c s e c t o r e n t i t i e s . H o w E P S A S b a s e d a c c o u n t i n g s ys t e m w i l l c o n s i s t w i t h c a s h - b a s e d
b u d g e t i n g s ys t e m ? T h a t i s 、 h o w E P S A S a c c o u n t i n g d a t a w i l l b e u t i l i z e d i n t h e p r o c e s s o f b u d g e t c o mp i l a t i o n ?
・ According to EU (2013a、 pp. 86-87、 92-93)、 central governments of Austria and United Kingdom have
adopted accruals-based budgeting system. Is there a possibility that accruals-based budgeting system would be
adopted in EU public sector entities after full implementation of EPSAS?
( 7) Internal control framework under EPSAS based accounting system
・ According to EU (2013c、 p. 9)、 effective internal control of public accounting is one of conditions that
guarantee timely and high quality EPSAS accounting data. What kind of internal control are EU public sector
entities scheduled to develop when they prepare and present EPSAS financial statements? In that case、 what kind
of internal control standards are they scheduled to adopt?
( 8) Financial statements auditing framework under EPSAS based accounting system
・ According to EU (2013c、 p. 9)、 external financial audit of public accounting is one of conditions that
guarantee timely and high quality EPSAS accounting data. Who is scheduled to conduct financial statements audit
in EU public sector entities when they prepare and present EPSAS financial statements? In that case、 what kind
of auditing standards are they scheduled to adopt?
・ According to EU (2013b、 p. 3)、 an improvement in the efficiency and effectiveness of public auditing is
one of objectives of implementing EPSAS. How auditors are scheduled to utilize EPSAS accounting data in public
auditing?
We would be grateful if you would show us the documents or their website addresses necessary for answering above
m e n t i o n e d q u e s t i o n n a i r e s . W e a p p r e c i a t e yo u r c o o p e r a t i o n .
Bibliography
ECA( 2014) ANNUAL REPORTS concerning the financial year 2013.
EU( 2011) COUNCIL DIRECTIVE 2011/85/EU.
EU( 2013a) COMMISSION STAFF WORKING DOCUMENT( SWD( 2013) 57 final) .
EU ( 2013b ) PUBLIC CONSULTATION PAPER 、 Document accompanying the public consultation “ Towards
i mp l e m e n t i n g E u r o p e a n P u b l i c S e c t o r A c c o u n t i n g S t a n d a r d s ( E P S A S ) f o r E U M e m b e r S t a t e s – P u b l i c c o n s u l t a t i o n
on future EPSAS governance principles and structures” .
E U( 2 0 1 3 c ) R E P O R T F R O M T H E C O M M I S S I O N T O T H E C O U N C I L A N D T H E E U R O P E A N P A R L I A M E N T 、 T o w a r d s
125
i mp l e m e n t i n g h a r m o n i z e d p u b l i c s e c t o r a c c o u n t i n g s t a n d a r d s i n M e m b e r S t a t e s 、 T h e s u i t a b i l i t y o f I P S A S f o r t h e
Member States( COM( 2013) 114 final) .
EU( 2014) Public consultation on future EPSAS governance principles and structures: Draft report.
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accounting in the public sector and technical analysis of the suitability of individual IPSAS standards.
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