2015 表紙:2011 年-冬号) 冬 公益社団法人 1 目次 新着情報 法令・通知・基準改正(2014 年 5 月-2014 年 10 月) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 頁 論文・文献その他の情報(2014 年 5 月-2014 年 10 月) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 頁 論文・書籍紹介 論文紹介「Pensions at a Glance 2011 年版」 Pensions at a Glance 2011 年版 (OECD および G20 加盟国の退職後所得システム(抜粋)パート II 第 3 章~第 6 章) ・・・・・・・ 10 頁 書籍紹介「退職に関する財務助言市場」(The Market for Retirement Financial Advice) オリビア・ミッチェル、ケント・スメッター編 ・・・・・・・ 69 頁 論文募集について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77 頁 ご意見・ご要望について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 78 頁 ©2015 公益社団法人日本年金数理人会 本資料は日本年金数理人会会員の能力向上のためのものに作成されたものであり、当該目的にのみ使用す ることが認められます。本資料の記載内容は、当団体が信頼できると判断した各種データに基づき作成されて おりますが、その正確性、確実性を保証するものではありません。法令変更、金融情勢の変化などにより、本 資料に記載された内容は予告なしに変更されることがあります。本資料に関する権利は、公益社団法人日本 年金数理人会に帰属し、本資料の一部または全部の無断複写複製を禁じます。 2 新着情報 法令・通知・基準改正(2014 年 5 月-2014 年 10 月) 法令・通知改正 厚生年金基金に関する政省令と告示 関係法令 厚生労働省告示第334号(平成26年8月18日)平成25年改正法の施行期日を定める政令 主な内容 平成25年改正法(平成25年6月26日法律第63号)の一部の施行期日を、平成26年4 月1日と規定したもの。 ・期ズレなしの利回りは平成 25 年度 :年 8.22% ・期ズレありの利回りは平成27年(暦年):年8.22% 関係法令 厚生労働省告示第349号(平成26年9月10日) 主な内容 厚生年金基金の代行返上時または解散時に国に納付する最低責任準備金(期ズレ なし)を算定する場合に適用する平成26年度第1四半期の利回りを定めるもの。 ・平成 26 年度(同年度の 4 月から 6 月までの期間に限る):年 7.27% 厚生年金基金に関する通知の発出 関係通知 「厚生年金基金の設立要件について」の一部改正について(年企発0722第1号) (平成26年7月22日) 主な内容 厚生年金基金解散時の残余財産の分配方法について、年金受給権者及び加入員 に対して十分な説明を行うことを条件に、最低積立基準額を基準とする方法以外の 方法を採用することが可能となった。通知発出日から適用。 事務連絡 「厚生年金基金における最低責任準備金調整額の算出に用いる厚生年金運用利回りにつ いて」 3 (事務連絡 平成26年8月8日) 主な内容 最低責任準備金調整額の算定に用いる平成25年度の利回りは年8.22%となった。 確定給付企業年金に関する通知の発出 事務連絡 「開放型受託保証型確定給付企業年金に関する承認申請等に係る事務処理について」 (事務連絡 平成26年10月10日) 主な内容 受託保証型確定給付企業年金の適用が加入者の存在する制度にも拡大されたこと に伴い、それらの制度に対する事務手続きの簡素化の内容を規定。 確定拠出年金に関する政省令と告示 関係法令 確定拠出年金法施行令及び公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年 金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令の一部を改正す る政令 (平成26年6月18日政令第214号) 主な内容 平成26年10月1日より、企業型年金の拠出上限額が変更となることに伴う措置 ・厚生年金基金の加入員及び確定給付企業年金の加入者等の者: 27,500 円 ・上記以外の者: 55,000円 4 論文・文献その他の情報(2014年5月-2014年10月) 政府関係 厚生労働省 将来の厚生年金・国民年金の財政見通し(平成 26 年 6 月 3 日) 主な内容 少なくとも 5 年毎に実施される将来の厚生年金、国民年金の財政の長期見通しを明らかに する財政検証結果が示されている。 今回の検証は、将来の経済状況の仮定及び経済前提の条件を変えた 8 つのケース(所得代 替率 50%を上回るケースと下回るケース)を並列で示し、さらにオプションとして 3 つの試算(マ クロ経済スライドの仕組みの見直し、被用者保険の更なる適用拡大、保険料拠出期間と受給 開始年齢の選択制)を示している。 (参照サイト http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/) 厚生労働省 平成 25 年簡易生命表の概況(平成 26 年 7 月 31 日) 主な内容 厚生労働省が公表した平成 25 年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男性 80.21 歳 (前年+0.27 歳)、女性 86.61 歳(前年+0.20 歳)で、いずれも過去最高を更新した。 (参照サイト http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life13/index.html) 厚生労働省 平成 26 年版 厚生労働白書(平成 26 年 8 月 1 日) 主な内容 第 1 部では「健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年~」をテーマとして特集。具体 的には、これまでの健康に関する施策の変遷に触れつつ、国民の健康に関する意識を分析 した上で、健康づくりに関する取組が広がるよう、自治体や企業等の事例を紹介している。 第 2 部「現下の政策課題への対応」では、子育て、雇用、医療・介護、年金など、厚生労働 行政の各分野について、最近の施策の動きをまとめている。 (参照サイト http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000052241.html) 5 厚生労働省 厚生年金・国民年金の平成 25 年度決算の概要の公表について (平成 26 年 8 月 8 日) 主な内容 年金特別会計の平成 25 年度の収支決算の概要を発表。運用収益(時価ベース)は、厚生 年金が 9 兆 5,328 億円(前年度比▲9,378 億円)、国民年金が 6,622 億円(▲671 億円)となっ た。積立金残高(時価ベース)は、厚生年金が 123 兆 6,139 億円(+5 兆 7,316 億円)、国民年 金が 8 兆 4,492 億円(+3,046 億円)となった。 (参照サイト http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12501000-Nenkinkyoku-Soumuka/000005 3720.pdf) 厚生労働省 平成 25 年人口動態統計(確定数)の概況(平成 26 年 9 月 11 日) 主な内容 平成 25 年の合計特殊出生率(女性が生涯に産む子どもの数)は 1.43 で前年の 1.41 を上回 った。年齢(5 歳階級)別にみると、20~29 歳の各階級では前年より低下したが、15~19 歳及 び 30~49 歳の各階級では上昇、最も合計特殊出生率が高いのは 30~34 歳となっている。 (参照サイト http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei13/index.html) 厚生労働省 22 日) 平成 26 年 8 月末現在 国民年金保険料の納付率(平成 26 年 10 月 主な内容 現年度分の納付率は、56.4% (対前年同期比+1.6%)、過年度分(25 年度分)の納付率は、 63.4%(25 年度末から+2.5 ポイント)、 過年度分(24 年度分)の納付率は、65.4% (24 年度 末から+6.4 ポイント) (参照サイト http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12512000-Nenkinkyoku-Jigyoukanrika/00 00061799.pdf) 6 その他 信託協会・生命保険協会・全国共済農業協同組合連合会 型)の受託概況(平成 26 年 5 月 27 日) 企業年金(確定給付 主な内容 3 業態(信託・生命保険・JA 共済連)に係る企業年金(確定給付型)の受託概況(平成 26 年 3 月末現在、速報値)を以下の通り取りまとめた。 1. 受託件数は、厚生年金基金: 531 件、確定給付企業年金: 14,278 件。 2. 資産残高は、対前年比 5 兆 6,271 億円(対前年比 7.1%)増の 84 兆 5,422 億円。 - 厚生年金基金が 30 兆 9,301 億円、確定給付企業年金が 53 兆 6,121 億円。 - 信託業界 68 兆 7,467 億円、生命保険業界 15 兆 3,878 億円、JA 共済連 4,076 億円。 3. 加入者数は、厚生年金基金: 408 万人、確定給付企業年金: 788 万人。加入者総数では 制度への重複加入はあるものの 1,197 万人と、厚生年金保険の被保険者数 3,471 万人 (平成 25 年 3 月末)から推計すれば、民間サラリーマンの約 35%が企業年金(確定給付 型)に加入。 (参照サイト http://www.shintaku-kyokai.or.jp/news/news260527-1.html http://www.seiho.or.jp/info/news/2014/0527-3.html http://www.ja-kyosai.or.jp/about/news/2014/20140526104843.html) 厚生労働省 平成 25 年度 年金積立金管理運用独立行政法人の運用状況につ いて(平成 26 年 7 月 4 日) 主な内容 内外株式の価格上昇に加え、外国為替市場における円安進行により、平成 25 年度の収益 率は+8.64%、収益額は+10 兆 2,207 億円、平成 25 年度末の運用資産額は 126 兆 5,771 億円となった。 (参照サイト http://www.gpif.go.jp/operation/state/pdf/h25_q4.pdf) 企業年金連合会 平成 25 年度 年金資産運用状況(平成 26 年 10 月 3 日) 主な内容 資産残高 11 兆 7520 億円(対前年度末比 +1 兆 74 億円)、修正総合利回り+13.24%、 時間加重収益率+13.19%。 (参照サイト http://www.pfa.or.jp/activity/shisan/files/pfaunyo2013.pdf) 7 論文 “Flattening Tax Incentives for Retirement Saving (退職後の貯蓄に対する税制上の 優遇措置は縮小),” July 2014 - Brookings Economic Studies (ブルッキングス研究 所経済調査) 主な内容 米国の年金制度は、安心して残りの人生を送るために必要な資産に比べ極めて限定的な資 産しか持たずに退職年齢に達した何百万人もの労働者の役には立っていない。米 FRB の消 費者金融調査のデータによると、退職年齢に近い世代(55 歳から 64 歳)が世帯主になってい る世帯の約 40%が退職貯蓄口座に資産を保有していない。この年齢層が属する全世帯の退 職貯蓄口座残高の中央値は 12,000 ドルにすぎない(2013 年 Rhee)。同時に、年金全体では 確定給付(DB)プランから確定拠出(DC)プランへ徐々にシフトしている。民間部門では特に こうしたシフトが鮮明になっている。1989 年から 2012 年までの期間に、DB プランに加入してい る民間企業の常勤労働者の比率が 42%から 19%に低下した一方、DC プランに加入している労 働者の比率は 40%から 51%に上昇した(2013 年米労働省労働統計局、2011 年 Wiatrowski)。 DB プランは定年退職まで長年にわたり一つの企業に勤務したラッキーな少数派に対する給 付額は大きくなることが多く、DC プランでは転職歴のある労働者が有利になることもある。同 時に、DB プランから DC プランへの移行は新たな課題も提示している。 (参照サイト: http://www.brookings.edu/~/media/research/files/reports/2014/07/01%20flattening%20t ax%20incentives%20for%20retirement%20saving/flattening_tax_incentives_for_retirement_savi ng.pdf) “Retirement Security in an Aging Society(高齢化社会における退職後の保障),” Feb 2014 - The National Bureau of Economic Research (全米経済研究所) 主な内容 米国の人口に占める 65 歳以上の高齢者の比率は、1950 年には 8.1%、2000 年には 12.4%で、 さらに 2050 年には 20.9%に達すると予測されている。85 歳以上の高齢者の比率は現在の水準 から 2 倍以上になり、世紀半ばには 4.2%に達すると予測されている。米国での人口の高齢化 により退職後の保障という問題の重要性が高まってきている。高齢者の収入源には大きな格 差がある。所得分布で下半分に属する高齢者に関しては、社会保障給付が最も重要なサポ ート源になっている。プログラムの変更は彼らの福祉に直接影響を及ぼすことになる。多様な 収入源を持った相対的に所得の高い高齢者にとっては、私的年金、資産および勤労所得か らの収入の重要性が相対的に高くなっている。民間部門で確定給付年金プランから確定拠出 年金プランへ移行するトレンドは、退職後の保障に対する個人の責任分担を増大させるととも 8 に、退職後の保障は個人が行った選択によって大きく左右されることになった。人口の大部分 は、退職前に多くの貯蓄がない限り、退職後に生活水準を維持することは不可能なようだ。 (参照サイト: http://www.nber.org/papers/w19930.pdf) “Hybrid Pensions: Risk Sharing Arrangements for Pension Plan Sponsors and Participants(ハイブリッド型年金プラン:プランスポンサーと年金加入者によ るリスク分担,” Feb 2014 - Society of Actuaries(米国アクチュアリー会) 主な内容 多様なハイブリッド型年金プランの種類の増加とハイブリッド型年金プランの重要性の高まりを 理由に、本書では、一部の国で社会保障給付の付与に活用されるハイブリッド型年金プランを 含め、多くのハイブリッド型年金プランの評価を行い、世界中で提供されている多様なハイブリ ッド型年金プランについて概観し説明する。大半のハイブリッド型年金プランはかなり新しいも のだが、中には設立されて何年も経過している年金プランがあるほか、あまり進展がなく提案段 階にとどまっているものもある。また、ハイブリッド型年金プランは加入者に移転されるリスクに応 じて分類されており、最後に、ハイブリッド型年金プランをさらに詳しく分類するリスク指数を作 成する。付録においては、選ばれた数ヵ国で利用されている多様なハイブリッド型年金プランの 調査結果も提示している。 (参照サイト: http://www.soa.org/files/research/projects/research-2014-hybrid-risk-sharing.pdf) “Provision of survivor’s benefits in private sector Defined Benefit occupational pension schemes (民間部門の企業年金スキームにおける遺族給付の付与),” June 2014 - UK Department for Work and Pensions (英国労働年金省) 主な内容 遺族給付に関するこの調査では、英国全体で民間部門の確定給付型企業年金スキームとハ イブリッド型企業年金スキームにおける遺族給付の付与に関する情報を収集した。この調査に より、この部門における年金スキームの全体像に関する理解が深まったほか、企業年金スキー ムにおける遺族給付の実態が明らかになった。 (参照サイト: https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/323427/r r868-survivors-benefits-in-occupational-pension-schemes.pdf) 9 論文・書籍紹介 論文紹介 「図表で見る世界の年金(Pensions at a Glance) 2011 年版」 Pensions at a Glance 2011 年版 OECD および G20 加盟国の退職後所得システム(抜粋)パート II 第 3 章~第 6 章 OECD 2011 (調査研究委員会 訳) 翻訳の品質および原文との整合性に関する責任は、本翻訳を行った公益社団法人日本年金 数理人会調査研究委員会にある。原文と本翻訳の内容に相違がある場合、原文の内容が優先 する。 10 第 3 章 高齢者の所得と貧困 ここで提示する 2 つの指標は近年の高齢者の財政状態を表している。1 つ目の指標は高 齢者の所得を検証し、人口全体の所得と比較したものである。この指標はまた、高齢者 の年齢と世帯の種類による所得の相違、および時系列的な所得の変化についても示して いる。所得の源泉-公的給付、報酬および自営収入または私的年金、およびその他の貯 蓄に伴う所得-に関する資料も提示されている。 2 つ目は高齢者の貧困に関する指標である。ここでは、全国平均の半分未満の所得で生 活している高齢者の割合、および高齢者の年齢、性別と世帯の種類による所得の相違を 示している。高齢者の貧困率と人口全体の貧困率も比較している。 これらの指標は、 『図表でみる世界の年金』 (Pensions at a Glance)の本版で初めて紹介さ れるもので、第 II 編第 2 章の年金受給資格の分析を補完する有益な指標である。年金受 給額の計算からは将来を見越した指標が得られる。年金受給額の計算は、今日労働市場 に参入する労働者に対する給付の価値を検証する。所得と貧困に関するこれらの指標は、 過去の国民年金制度が今日、どの程度適正な退職所得を提供しているか、そのパフォー マンスを評価する上で役立つ。 11 ■高齢者の所得 要約 高齢者の所得は概して、世帯の規模の相違を考慮しても、人口全体の所得を下回ってい る。OECD 加盟国の平均では、2000 年代中盤には 65 歳を上回る高齢者の所得は人口全 体の所得の 82%であった。データを入手できる 25 ヵ国のうち 13 ヵ国では、1980 年代 中盤から 2000 年代中盤までは高齢者の所得が人口全体の所得を上回る伸びを見せた。大 半の OECD 加盟国では、高齢者の所得の大部分を公的な所得移転が占めている。 2000 年代中盤には、65 歳を上回る高齢者の平均所得は人口全体の平均所得の 82.4%であ った。オーストリア、フランス、ルクセンブルク、メキシコ、ポーランドでは人口全体の 平均所得と比較した比率が最も高く、96%前後となっている。対照的に、アイルランドと 韓国では高齢者の所得が人口全体の平均所得のわずか 3 分の 2 である。 66 歳から 75 歳までの高齢者の平均所得は 75 歳を上回る高齢者の平均所得より高く、人 口全体の平均所得に対する比率はそれぞれ 86%と 78%である。高齢の退職者の所得が低い 一因は、75 歳を上回るグループは、平均余命より長い人で構成され、賃金が低く、勤務時 間が短く、かつ就労期間中の中断期間が長い傾向のある女性が大半を占めているという事 実によって説明できる。年金の受給年齢に到達した相対的に若年の高齢者の所得より最高 齢の高齢者グループの所得が高いのは 3 ヵ国にすぎない。 65 歳を上回る単身者が世帯主になっている世帯の所得は、 (所得の計算において世帯の規 模を調整しても)世帯主は同じ年齢層に属し、2 名以上の成人で構成されている世帯の所 得の 73%にすぎない。しかし、ルクセンブルク、メキシコ、オランダ、スイスでは単身の 高齢者の所得が相対的に高い。遺族と専業配偶者に対して比較的厚い給付が行われている ことがその理由である。他方、日本、韓国、スロバキア共和国、トルコでは単身の高齢者 の所得はかなり低く、2 名以上の世帯の所得の 60%を下回っている。 高齢者の所得は絶対値(米ドル)だけでなく相対的な基準でも示されており、2000 年代 中盤の高齢者の平均所得は 18,000 米ドルであった。 所得のトレンド データが入手できる 25 ヵ国のうち 13 ヵ国では、1980 年代中盤から 2000 年代中盤までの 高齢者の所得が人口全体の平均所得を上回る伸びを記録した。最も大きく伸びたのはオー ストリア、 ドイツとノルウェーである。 1980 年代中盤から 2000 年代中盤までの 20 年間に、 高齢者の所得が相対的に最も大きく減少したのはニュージーランドとトルコであった。 所得の源泉 高齢者が得る主要な 3 つの所得源のうち、公的な所得移転(報酬比例年金、資力調査付き 12 給付など)が最も重要である。こうした公的な所得移転は平均して高齢者の所得の 60%前 後を占めている。65 歳を上回る高齢者が最も大きく公的移転に依存している国はフランス とハンガリーで、所得の 85%が公的な所得移転を源泉にしている。フィンランドでは、公 的制度である企業年金が、公的な所得移転ではなく、資本的収入として計算されている。 1988 年になってようやく公的年金スキームが導入された韓国では公的な所得移転の比率 が低い。 労働所得と資本所得はともに高齢者の平均所得の約 20%を占めている。労働所得が高齢 者の所得の 40%超を占めている日本、韓国、メキシコとトルコでは特に重要である。OECD に加盟している別の 7 ヵ国では、労働所得が高齢者の所得の 25%以上を占めている。アイ スランドや米国など、一部の国では、標準年金受給資格年齢が 65 歳より高くなっている。 また、他の国では、高齢者は拠出歴のギャップを補填するために労働を続けている。また、 所得は世帯単位で測定されており、高齢者は同居する若年者の報酬に依存すると想定され る。三世帯以上が同居する世帯で生活している多くの高齢者にとって、所得の源泉として の労働の重要性はさらに高まるものと考えられる。 オーストラリア、カナダ、デンマーク、オランダ、スイスおよび英国(およびフィンラン ド、上述を参照)では、資本所得(私的年金が大半を占める)が高齢者の所得の 30%以上 を占めている。 定義および数値算定方法 雇用労働、自営業、資本および公的移転を源泉とする所得が対象。表示されているデータ は可処分所得(すなわち、個人所得税と社会保障拠出金を控除後)に関するものである。 所得は世帯ベースで測定され、世帯の規模を調整するため衡平にされている。定義とデー タソースの詳細については、OECD(2008 年) 「格差は拡大している?」 (Growing Unequal?) を参照。OECD(2009 年) 「図表でみる世界の年金」 (Pensions at a Glance)所載「高齢者の 所得と貧困」 (Incomes and poverty of older people)の特別章にはさらに詳しい分析が記載さ れている。 13 高齢者の所得、2000 年代中盤 65 歳を上回る高齢者の所 65 歳を上回 得の、人口全体の所得に対 る単身の高 65 歳を上回 する比率 齢者の所得 る高齢者の の、65 歳を 平均所得 65 歳を 66 歳か 75 歳を 上回るそれ (米ドル、 上回る ら 75 歳 すべて 上回る 以外の高齢 購買力平価 までの の高齢 高齢者 者の所得に (PPP)) 高齢者 対する比率 者 65 歳を上回る高齢者の所 65 歳を上回 得の、人口全体の所得に対 る単身の高 する比率 齢者の所得 の、65 歳を 65 歳を 66 歳か 上回る 75 歳を 上回るそれ ら 75 歳 上回る 以外の高齢 すべて までの の高齢 高齢者 者の所得に 高齢者 対する比率 者 65 歳を上回 る高齢者の 平均所得 (米ドル、 購買力平価 (PPP)) オーストラリア 69.7 71.9 66.4 78.1 17 340 ルクセンブルク 96.0 94.4 98.3 90.3 37 630 オーストリア ベルギー 96.6 76.4 100.8 80.5 91.5 71.0 80.2 81.7 26 088 18 217 メキシコ オランダ 97.1 87.0 98.1 89.3 95.1 83.8 90.5 86.9 6 470 26 538 カナダ 90.8 94.8 85.4 73.7 26 510 ニュージーランド 68.0 69.7 64.5 75.8 14 921 チェコ共和国 デンマーク 79.1 72.4 80.8 76.4 76.3 67.6 66.1 80.7 11 046 17 604 ノルウェー ポーランド 78.9 94.7 88.1 94.8 69.2 94.6 64.7 69.0 23 308 9 393 フィンランド 74.9 78.4 69.6 73.7 17 387 ポルトガル 79.5 84.1 72.7 69.0 12 507 フランス ドイツ 94.5 91.5 97.6 96.3 91.2 85.5 84.4 79.5 21 922 22 395 スロバキア共和国 スペイン 78.0 79.1 83.3 81.1 68.9 76.4 56.4 78.7 7 460 15 505 ギリシャ ハンガリー 80.0 83.8 83.8 86.8 74.4 78.8 68.3 70.0 15 626 9 597 スウェーデン スイス 82.0 80.2 91.6 82.0 69.8 76.9 65.0 88.6 18 165 24 185 アイスランド 87.8 95.9 77.5 76.3 21 811 トルコ 91.9 89.5 99.7 47.9 5 829 アイルランド イタリア 65.9 83.4 70.4 88.4 59.8 76.0 62.1 70.2 16 838 16 687 英国 米国 72.9 86.2 76.7 95.7 68.2 75.8 79.0 69.5 22 053 28 437 日本 86.6 88.5 84.2 57.3 22 425 OECD 加盟 30 ヵ国 82.4 85.9 77.9 73.1 18 271 韓国 66.7 66.3 67.4 59.7 14 238 注:購買力平価(PPP)為替レートは、実際の消費に関する国際比較に基づいている。 出典:OECD 所得分布データベース、OECD(2008 年)「格差は拡大している?」、年齢別の所得比較に関しては図表 2.4、所得の絶対額に関しては 表 5.A.1.1 を参照。 http://dx.doi.org/10.1787/888932371025 1980 年代中盤から 2000 年代中盤までの 所得のトレンド 1980 年代中盤 高齢者の所得の 伸びが早い国 OECD 加盟 25 ヵ国の平均 2000 年代中盤 出典:OECD 所得分布データベース、OECD(2008 年)「格差は拡大 している?」図表 2.6 を参照。 http://dx.doi.org/10.1787/888932371025 所得の源泉、2000 年代中盤 公的移転 労働所得 資本所得 フランス ハンガリー スロバキア共和国 ベルギー オーストリア ルクセンブルク ポーランド チェコ共和国 ドイツ イタリア スペイン スウェーデン ギリシャ ポルトガル ニュージーランド ノルウェー アイスランド デンマーク アイルランド 英国 オランダ 日本 スイス カナダ トルコ オーストラリア 米国 メキシコ 韓国 フィンランド 全世帯の可処分所得に占める比率、2000 年代中盤 注:労働所得には報酬(給与所得)と自営所得の両方が含まれている。 資本所得には、私的年金給付のほか、年金以外の貯蓄から生まれる収 益が含まれている。 出典:OECD 所得分布データベース http://dx.doi.org/10.1787/888932371025 14 ■高齢者の所得貧困 要約 OECD 加盟国の平均では、65 歳を上回る高齢者の 13.5%が、所得貧困(国民中央値の半 分を下回る所得と定義されている)の状態で貧しい暮らしをしている。国ごとに大きな 差異があり、貧困な高齢者が事実上いない国が 2 つある一方、貧困率が OECD 平均の 2 倍に達する国が 4 つある。貧困率は、人口全体の平均(10.6%)より高齢者の方が高い。 高齢の女性の貧困率は高齢の男性の貧困率より高く、年齢が高くなるほど高齢者の貧困 率は上昇する。 2000 年代中盤には、65 歳を上回る高齢者の貧困率が韓国では極めて高く(45%)、オース トラリア、アイルランド、メキシコも 25%を上回っている。チェコ共和国、オランダ、ニ ュージーランドでは高齢者の貧困率が最も低い(2%前後)。ベルギー、フィンランドとイ タリアの貧困率は OECD 平均(13.5%)に近い。 高齢者の貧困の発生率の差異を説明する重要な要因の 1 つは、最低所得保障としての退職 給付を設定する水準である。例えば、オーストラリアとアイルランドでは、2000 年代中盤 には退職給付が貧困の基準値を下回っていた。対照的に、ニュージーランドの基礎年金は 同国の貧困の基準値をはるかに上回っていた(第 II 編第 1 章「基礎年金、目標年金および 最低年金」 に記載されている指標を参照)。 韓国で高齢者の貧困率が極めて高い主な理由は、 公的年金制度が導入されたのが 1988 年と日が浅く、2000 年代中盤に退職した者は年金受 給権をほとんどまたは全く持っていなかったためである。 OECD に加盟している 30 ヵ国のうち 19 ヵ国では、人口全体の貧困率が高齢者の貧困率を 下回っている。人口全体と高齢者の貧困率の差が最も大きい国は、オーストラリア、ギリ シャ、アイルランド、韓国、メキシコとスイスである。高齢者の貧困に陥る可能性が比較 的低い国は 11 ヵ国である。その中で最も際立っているのがポーランドで、高齢者の貧困率 は人口全体の貧困率より 10 パーセントポイント近く低くなっている。 貧困と年齢 全体的には、 「前期高齢者(younger old) 」 (66 歳から 75 歳まで)の貧困は「後期高齢者 (older old) 」 (75 歳以上)より稀で、それぞれの貧困率は 11.7%と 16.1%である。フィンラ ンド、アイルランドとノルウェーでは、この 2 つの年齢層の間には 2 桁の差異がある。こ れについては多くの説明が行われている。最も重要なことは、実質賃金は時間とともに増 加する傾向があるため、後になって退職する集団ほど初回の給付額は高くなる。また高齢 者の中では女性が多数を占めており、平均では、女性は 66 歳から 75 歳までの高齢者の 53%、 75 歳を上回る高齢者の 60%を占めている。とは言え、ルクセンブルク、オランダ、ニュー ジーランドとポーランドの 4 ヵ国では 75 歳を上回る(後期)高齢者の貧困率は前期高齢者 15 の貧困率をわずかに下回っている。さらに、アイスランドでは前期高齢者と後期高齢者の 貧困率に差がない。 貧困と性別 OECD に加盟している 30 ヵ国のうち 27 ヵ国では、高齢の女性ほど高齢の男性より貧困に 陥るリスクが高くなっている。平均の貧困率は、女性が 15%、男性が 11%である。このパ ターンにはアイスランド、ルクセンブルクとニュージーランドという 3 つの例外があり、 いずれの国も高齢者全体の貧困率が低い。しかし、ベルギー、メキシコ、オランダ、ポル トガルとトルコの 5 ヵ国では、女性の高齢者の貧困率が比較的低く、男性の貧困率をわず かに上回っているにすぎない。 女性と男性の貧困率の差が最も大きいのは、アイルランド、フィンランド、ノルウェーの 3 ヵ国で、女性の貧困率が男性の貧困率より 10 パーセントポイント以上高くなっている。 しかし、オーストリア、イタリア、日本、スロバキア共和国および米国でも女性と男性の 間に大きな差がある。 世帯の種類別の貧困 貧困リスクの差が最も顕著に現れるのが世帯の種類である。65 歳を上回る者が世帯主に なっている世帯のうち、平均すると単身世帯 4 世帯のうち約 1 世帯が貧しい暮らしをして いる。これに対し、夫婦の世帯 10 世帯のうち貧しい暮らしをしている世帯は 1 世帯にも満 たない。アイルランド、韓国では、単身の高齢者の大部分が貧しい暮らしをする可能性が 特に高い。オーストラリア、日本、メキシコおよび米国でも単身の高齢者の貧困率は 40% から 50%に達している。 定義および数値算定方法 国際比較について、OECD は貧困を「相対的な」概念として扱っている。貧困の基準は特 定の国の特定の時点における家計所得の中央値に左右される。ここでは、貧困の基準を、 等価換算した家計可処分所得中央値の 50%に設定している。用語の定義とデータソースの 詳細に関しては OECD(2008 年) 「格差は拡大している?」を参照。OECD(2009 年) 「図 表でみる世界の年金」 (Pension at a Glance)所載「高齢者の所得と貧困」の特別章にはさら に詳細な分析が記載されている。 16 所得貧困率 家計可処分所得中央値の 50%に満たない比率 65 歳超の 全員 26.9 7.5 12.8 5.9 2.3 10.0 12.7 8.8 8.4 22.7 4.6 5.0 30.6 12.8 22.0 45.1 3.1 28.0 2.1 1.5 9.1 4.8 16.6 5.9 22.8 6.2 17.6 15.1 10.3 22.4 13.5 オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チェコ共和国 デンマーク フィンランド フランス ドイツ ギリシャ ハンガリー アイスランド アイルランド イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ ニュージーランド ノルウェー ポーランド ポルトガル スロバキア共和国 スペイン スウェーデン スイス トルコ 英国 米国 OECD 加盟 30 ヵ国 年齢別 66~75 26.1 5.3 10.5 5.2 2.0 6.9 8.2 7.2 6.5 19.2 4.2 5.0 25.8 11.2 19.4 43.3 3.4 26.3 2.2 1.6 3.8 5.4 14.4 3.2 20.0 3.4 16.6 14.9 8.5 20.0 11.7 高齢者(65 歳超) 性別 75 超 男性 28.3 24.6 10.2 3.6 16.0 12.7 6.8 3.1 2.6 1.4 13.7 8.0 19.5 6.5 10.6 6.6 11.1 5.1 27.8 20.4 5.5 1.8 5.0 5.8 37.1 24.6 15.2 8.1 25.4 18.4 49.8 41.8 2.6 4.0 27.6 31.2 2.0 1.7 1.4 2.1 14.6 3.5 3.8 2.6 19.9 16.0 10.6 2.0 20.1 26.4 9.8 4.2 19.3 15.2 15.6 14.6 12.6 7.4 27.4 18.5 16.1 11.1 世帯の種類別 単身 夫婦 17.7 49.9 16.4 3.9 16.7 10.0 16.2 3.9 5.6 2.0 17.5 3.8 28.0 3.9 16.2 4.1 15.0 4.7 34.2 17.6 11.1 0.8 9.8 2.3 65.4 9.4 25.0 9.4 47.7 16.6 76.6 40.8 2.9 3.6 44.9 20.9 2.6 2.3 3.2 1.1 20.0 1.2 6.0 5.9 35.0 15.7 10.4 2.9 38.6 24.2 13.0 1.1 24.3 14.6 37.8 17.3 17.5 6.7 41.3 17.3 25.0 9.5 女性 28.9 10.1 12.9 8.1 2.9 11.5 16.9 10.4 10.8 24.5 6.6 4.3 35.3 16.1 24.7 47.2 2.4 28.5 2.4 0.9 13.1 6.1 17.0 8.4 24.7 7.7 19.3 15.6 12.6 26.8 15.2 人口全体 (全年齢) 12.4 6.6 8.8 12.0 5.8 5.3 7.3 7.1 11.0 12.6 7.1 7.1 14.8 11.4 14.9 14.6 8.1 18.4 7.7 10.8 6.8 14.6 12.9 8.1 14.1 5.3 8.7 17.5 8.3 17.1 10.6 出典:OECD 所得分布データベース、OECD(2008 年)「格差は拡大している?」表 5.3 を参照。 http://dx.doi.org/10.1787/888932371044 年齢別の所得貧困率 高齢者の所得貧困率(性別) 高齢者の貧困率(%) 男性の貧困率(%) 男性ほど貧困に陥る 可能性が高い 高齢者ほど 貧困に陥る 可能性が 高い 女性ほど 貧困に陥る 可能性が 高い OECD 加盟 30 ヵ国 高齢者ほど貧困に 陥る可能性が低い 人口全体の貧困率(%) 女性の貧困率(%) 出典:OECD 所得分布データベース、OECD(2008 年)「格差は拡大 している?」表 5.1 と 5.3 を参照。 出典:OECD 所得分布データベース、OECD(2008 年)「格差は拡大 している?」表 5.6 を参照。 http://dx.doi.org/10.1787/888932371044 http://dx.doi.org/10.1787/888932371044 17 第 4 章 退職所得制度の財政 これらの指標は、個人の年金受給資格と退職所得に焦点を当てた前 2 章とは異なり、退 職所得制度を全体として考察するものである。 まず、年金の財源について考察する。最初の指標は、公的年金と強制加入型私的年金を 別個に特定できる国について、公的年金と強制加入型私的年金に対する拠出率を示して いる。この指標は、年金拠出による公的な収入に関するデータも提供している。 年金支出に関する 3 つの指標の 1 つ目は、1990 年から 2007 年までの公共支出について 考察する。この指標は公的年金給付を支払うために必要な国民所得の金額を表している。 また政府全体の予算における公的年金の重要性も示している。入手できる場合には、 「現 金以外の」給付(住宅など)の費用に関するデータも提供されている。支出に関する 2 つ目の指標は私的年金に着目し、強制加入型私的年金スキーム、準強制加入型私的年金 スキームと任意加入型私的年金スキームの給付支出について考察する。入手できる場合 には、この指標は税制上の優遇措置を通じた私的年金に対する公的な支援の費用に関す る情報も示している。 最後の指標は年金支出にかかわる長期的な財政予測について考察するもので、2007 年か ら 2060 年までの期間における年金に対する公的な支出額の推移を表している。この指標 は、EU 加盟 27 カ国とノルウェーの高齢化に関する欧州連合の 2 回目の報告書および OECD 加盟国とその他の主要国に関する各国のデータを利用している。 18 ■年金拠出 要約 年金拠出率は 1990 年代中盤からほぼ横ばいで推移している。公的な拠出金を別途課して いる OECD 加盟 25 ヵ国の平均拠出率は、1994 年の 19.2%から 2009 年には 19.6%に増 加し、2004 年には 20.0%という最高率を記録した。ほぼ横ばいで推移しているのは、高 2000 年代中盤には、65 歳を上回る高齢者の平均所得は人口全体の平均所得の 82.4%であ い労働税を課税することで雇用に影響が及ぶことを政府が懸念したためと思われる。ま った。オーストリア、フランス、ルクセンブルク、メキシコ、ポーランドでは人口全体の さに、こうした懸念は、人口の高齢化と年金制度の成熟化に伴う年金財政のひっ迫より 優先されているように見える。 データを入手できる 23 ヵ国では、こうした拠出金による収入は平均で国民所得の 5.1% に相当し、また租税および拠出金で調達された政府収入総額の 14.2%にのぼる。 「図表でみる世界の年金」 (Pensions at a Glance) に示されている大半の数値は年金制度を給付の 視点から考察したものである。本章では拠出の視点から考察する。 表の左側は拠出率の推移をみたものである。年金拠出を別途義務付けている国の 3 分の 2 前後(具 体的には、オーストリア、ベルギー、カナダ、チリ、フランス、ギリシャ、イタリア、韓国、ルク センブルク、オランダ、ポーランド、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、米 国)では 2004 年から 2009 年まで拠出率が変化していない。さらに、フィンランド、ドイツおよび イスラエルでは極めて小さな変化に留まっている。ハンガリーでは拠出率が大幅に上昇したほか、 日本でもハンガリーほどではないが、拠出率が上昇している。対照的に、エストニアとスロバキア 共和国では拠出率が引き下げられた。拠出率の引き下げは、雇用を増大させるため労働税を削減し たいという願望を動機とすることが多い。 表の右側は公的年金スキームに対する拠出金で調達された金額をみたものである。収入を示す数 値は年金制度の他の変数の影響を説明するため、拠出率の数値を補足したものである。例えば、大 半の OECD 加盟国が年金の拠出額に上限を設定している。その上限には、平均所得並みとしている 国もあれば、イタリアの平均所得の 3.7 倍、メキシコの 6.2 倍まで幅がある。言うまでもなく、上限 が低くなるほど所定の拠出率に対する収入が減少する。拠出額に下限が設定されている国もあり、 低所得者ほどほとんど拠出しないか、または全く拠出していない。最後に、一部の国の収入は、イ ンフォーマル・セクターの規模や所得の過少申告の影響を受けている可能性がある。 年金拠出による公的な収入が最も多いのはフィンランドで、国民総生産(GDP)の 9.1%に相当す る。トルコの拠出率は OECD の平均とほぼ同一であるにもかかわらず、拠出金で調達されるのは国 民所得の 2.2%にすぎず、インフォーマル・セクターの規模の大きさが反映されている。カナダでも、 拠出率(OECD 平均の半分)と上限(平均所得とほぼ同水準)の低さが理由で、拠出金収入が少な く、GDP の 2.8%にすぎない。 平均すると、被雇用者の拠出で調達された金額は GDP の 1.8%に相当するのに対し、雇用者の拠 19 出は GDP の 2.9%に相当する。すなわち、被雇用者が総額の 35%を支払っているのに対し、雇用者 は総額の 57%を支払っている(主に、自営業者の拠出金が残りを占めているが、失業者などそれ以 外のグループの拠出金も含まれている)。チェコ共和国、フィンランド、ハンガリー、イタリアおよ びスペインでは、拠出金の大半が雇用者に課されている。しかし、雇用者に課される負担の一部ま たは全部が労働者に転嫁されることが多くの経済分析で明らかにされている点に留意することが重 要である。具体的には、賃金の引下げまたは雇用の減少という形で現れることがある。オーストリ ア、ベルギー、カナダ、ドイツ、日本、ルクセンブルク、スイス、トルコ、米国を含む多くの国で は、雇用者と被雇用者がおおむね折半で拠出している。 表の最後の縦列は、租税と拠出金で得た政府収入の総額に占める年金拠出額の比率を表し ている。今回は、イタリアが最も高い数値を示していない。ギリシャとスペインでは、イ タリアの 19.9%に対し、年金拠出額が総収入の 24-25%を占めている。オーストラリア、 デンマークとニュージーランドでは、年金は一般財源を原資にしている。先に述べた理由 から、カナダ、韓国とトルコでは、年金拠出金が政府収入に占める比率は相対的に低くな っている。 20 公的年金拠出率と年金拠出収入 年金拠出率(総所得に対する比率) 1994 年 オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チリ チェコ共和国 デンマーク エストニア フィンランド フランス ドイツ ギリシャ ハンガリー アイスランド アイルランド イスラエル イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ ニュージーランド ノルウェー ポーランド ポルトガル スロバキア共和国 スロベニア スペイン スウェーデン スイス トルコ 英国 米国 OECD 加盟 34 ヵ国 その他の主要国 アルゼンチン ブラジル 中国 インド インドネシア ロシア連邦 サウジアラビア 南アフリカ EU 加盟 27 ヵ国 1999 年 22.8 16.4 5.2 22.8 16.4 7.0 26.9 26.0 18.6 21.5 19.2 20.0 30.5 21.5 16.7 19.7 20.0 30.0 28.3 16.5 6.0 16.0 32.7 17.4 9.0 16.0 17.9 17.9 19.5 28.5 27.5 29.3 19.1 9.8 20.0 28.3 15.1 9.8 20.0 12.4 19.2 12.4 19.3 2004 年 2007 年 2009 年 私的年金拠出のみ 22.8 22.8 22.8 16.4 16.4 16.4 9.9 9.9 9.9 29.8 29.8 29.8 28.0 32.5 28.0 私的年金拠出のみ 35.0 22.0 22.0 21.4 20.9 21.6 16.7 16.7 16.7 19.5 19.9 19.9 20.0 20.0 20.0 26.5 29.5 33.5 個別の年金拠出はなし 個別の年金拠出はなし 6.1 6.2 6.9 32.7 32.7 32.7 13.9 14.6 15.4 9.0 9.0 9.0 16.0 16.0 16.0 私的年金拠出のみ 17.9 17.9 17.9 拠出なし 私的年金拠出のみ 19.5 19.5 19.5 個別の年金拠出はなし 26.0 24.0 18.0 24.4 24.4 24.4 28.3 28.3 28.3 18.9 18.9 18.9 9.8 9.8 9.8 20.0 20.0 20.0 個別の年金拠出はなし 12.4 12.4 12.4 20.0 19.8 19.6 28.0 31.0 28.0 24.0 6.0 28.0 18.0 23.8 23.7 31.0 28.0 24.0 6.0 26.0 18.0 拠出なし 23.3 被雇用者 2009 年 雇用者 2009 年 10.3 7.5 5.0 28.8 6.5 12.6 8.9 5.0 1.0 21.5 2.0 4.5 6.8 10.0 6.7 9.5 20.0 17.1 9.9 10.0 13.3 24.0 3.9 9.2 7.7 4.5 8.0 3.1 23.8 7.7 4.5 8.0 17.9 0.0 9.8 年金拠出収入、2008 年 (対 GDP 比率) (租税の 総額に対す 被雇用 雇用者 合計 る比率) 者 0.0 0.0 0.0 0.0 3.8 8.0 18.9 3.5 2.3 2.0 4.7 10.7 1.3 1.3 2.8 8.3 1.8 0.0 6.0 0.0 8.3 0.0 22.2 0.0 1.6 7.1 9.1 21.2 2.6 3.1 1.1 3.0 3.7 5.8 6.6 7.9 6.8 18.2 24.7 17.3 2.1 2.9 1.5 2.6 0.0 6.5 2.9 1.0 2.4 0.0 8.6 5.8 2.5 6.0 0.0 19.9 20.4 9.3 16.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 9.8 3.6 2.7 7.7 22.1 4.0 15.5 4.7 7.0 4.9 9.0 14.0 8.9 23.6 11.9 4.9 11.0 0.8 2.3 4.1 13.8 1.3 2.6 2.7 1.1 6.8 3.7 2.7 1.1 9.0 6.4 5.9 2.2 24.2 13.3 20.3 9.3 6.2 8.4 6.2 11.2 2.3 1.8 2.3 2.9 4.6 5.1 16.3 14.2 23.7 31.0 28.0 24.0 6.0 26.0 18.0 11.0 11.0 8.0 12.0 2.0 0.0 9.0 12.7 20.0 20.0 12.0 4.0 26.0 9.0 22.5 7.9 14.0 注:数字はすべて小数点第一位に四捨五入されている。OECD の平均拠出率の数値には、年金拠出が行われていない国、または社会保障制度全般 に対する拠出の一部になっている国は含まれていない。拠出収入に関する OECD の平均数値は、拠出が行われていない国を計算上ゼロとして含め ている。 一部の事例では、年金拠出収入は、拠出率と同じ比率で複数の社会保障制度の間で収入が分割されるという前提で計算されている。拠出金の総額 には、雇用されていない者(主に自営業者)が支払った金額が含まれている。 フィンランド:現在は 53 歳以上の被雇用者の拠出率が高い。雇用者には、雇用者の資本金により、給与支払額の 0.8%から 3.9%の範囲内で変動す る追加の課金が課されている。フランス・オランダ:拠出金収入を年金に対する拠出とそれ以外の目的での拠出に区分することができない。ポー ランド:年金に対する拠出比率は 2007 年 7 月に 3 パーセントポイント引き下げられたため、それ以前は高い数値が表示されている。 出典:OECD(様々な年)課税賃金、OECD(2008 年)収入統計:社会保障局、米国(様々な年)、世界中の社会保障プログラム、OECD 年金モデ ルと課税モデル。 http://dx.doi.org/10.1787/888932372412 21 ■年金に対する公共支出 要約 OECD 加盟国における高齢者年金給付と遺族給付に対する現金公共支出は、1990 年から 2007 年までの間に国民所得の伸びを 15%上回るペースで増加し、国民総生産(GDP) に対する平均比率は 6.1%から 7.0%に上昇した。各国の政府支出項目の中では公的年金 が最大になることが多く、平均では政府支出総額の 17%を占めている。 2000 年以降、OECD 加盟国の中で国民所得に対する年金支出の比率が最も高いのがイタ リアで、対 GDP 比率は 14.1%と 7 分の 1 に近い。そのほかの欧州大陸諸国も公的年金支出 の比率が高く、オーストリア、フランスおよびギリシャの支出額は GDP の約 12%、ドイ ツ、ポーランドおよびポルトガルも GDP の約 11%に達している。これらの国では総じて、 公共支出の総額に占める年金の比率は 25%から 30%にのぼっている。高水準の年金支出は 人口統計に一部起因しており、上述の 7 ヵ国は OECD 加盟国の中では最も高齢化が進んで いる。 左側のチャートは 2007 年の年金支出と老年人口指数を比較したものである(老年人口指 数は 20 歳以上の成年人口に占める 65 歳以上の高齢者人口の比率である。これは、第 II 編 第 5 章に示した「高齢者支援率」の逆数である。)この 2 つには強い関係があるが、決定的 な要因とは言えない。日本、スウェーデン、スイス、英国などの国も人口統計的に類似し ているか、またはさらに悪い状態にあるが、これらの国の年金支出の比率は上述の上位 7 ヵ国よりはるかに低い。 アイスランド、韓国およびメキシコでは公的年金に対する支出が GDP の 2%にも満たな い。この 3 ヵ国は相対的にはいずれも若い国である。また韓国の年金制度は未成熟で、報 酬比例年金スキームが導入されたのは 1998 年にすぎない。メキシコの支出比率の低さは年 金加入率の低さ(被雇用者のわずか約 35%)を反映している。アイスランドでは、退職所 得の大部分が強制加入型企業年金から支給されており(次の指標「年金給付支出:公的年 金と私的年金」を参照) 、高齢者に対する所得の給付で公的部門の果たす役割は小さくなっ ている。 オーストラリア、カナダ、アイルランド、ニュージーランドなど、人口統計的に有利な他 の国でも支出は低くなる傾向が見られる。しかし、こうした相関が常に当てはまるわけで はない。例えば、人口統計的には OECD 加盟国の中で 2 番目に若いにもかかわらず、トル コは GDP 比 6%の支出を行っている。この比率は、トルコに比べ 65 歳超の人口全体に占 める比率が 2-3 倍であるデンマーク、オランダ、英国、米国より高くなっている。 トレンド ベルギー、カナダ、アイルランド、スペイン、スウェーデンおよび米国の 6 ヵ国では、1990 22 年から 2007 年までの期間中、年金支出の対 GDP 比率がかなり安定的に推移してきた。 5 ヵ国では、公的年金支出の伸びが国民所得の伸びを下回った。ニュージーランドでは、 1992 年から 1994 年まで基礎年金の価値を凍結する政策と年金開始年齢を 60 歳から 65 歳 に引き上げる 2 つの政策を背景に、公的年金支出の対 GDP 比率が 40%超減少した。アイ スランド、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェーでもこの比率が大幅に減少した。 6 ヵ国では、国民所得に比べて公的年金支出が 2 倍以上の伸びを記録した。韓国、メキシ コ、 (この 2 ヵ国ほどではないものの)トルコでは、1990 年の起点が低かったことが反映 されている。しかし、ポーランドとポルトガルでは、公的年金支出が OECD の平均を下回 る水準から OECD の平均をはるかに上回る水準に変化した。日本の変化は急速な高齢化の 進展に起因している。 支出総額と純支出額 表の右から 2 番目の列には、 給付に対して支払われた租税と拠出金を控除した後の純額ベ ースの公的年金支出が表示されている。右側のチャートは年金支出総額との比較である。 支出額が最も高いオーストリア、フランス、イタリアの 3 ヵ国と税率が相対的に高い北欧 諸国では純支出額が支出総額を大幅に下回っている。年金に課税されない国(スロバキア 共和国)や一般的に公的年金の給付額が基礎的な税の減免ラインを下回る国(オーストラ リア、チェコ共和国、アイルランド、英国)では支出総額と純支出額の間に大きな差はな い。 現金以外の給付 表の一番右の列は、高齢者に対する公共支出の総額(現金以外の給付を含む)を表示して いる。6 つの国では、かかる給付が GDP の 1%を上回っている。デンマーク、フィンラン ド、ノルウェー、スウェーデンで最も重要な給付は住宅給付である。こうした給付は個人 による特定の支出を条件にしているため、 「現金以外の給付」と定義されている。オースト ラリアと日本でも現金以外の給付が高い数値を記録している。 23 高齢者および遺族に対する給付に係る公共支出 1990 年 オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チリ チェコ共和国 デンマーク エストニア フィンランド フランス ドイツ ギリシャ ハンガリー アイスランド アイルランド イスラエル イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ ニュージーランド ノルウェー ポーランド ポルトガル スロバキア共和国 スロベニア スペイン スウェーデン スイス トルコ 英国 米国 OECD 3.0 11.4 9.1 4.2 6.1 5.1 7.3 10.6 9.0 9.9 2.2 3.9 10.1 4.9 0.7 8.2 0.5 6.7 7.4 5.6 5.1 4.9 7.9 7.7 5.6 2.4 4.8 6.1 6.1 高齢者および遺族に対する現金での公共支出 現金以外の 給付を含む 水準 純額ベースの 増減率 総額 水準(対 GDP 比率) (政府支出総額に 水準 (%) 対する比率(%))(対 GDP 比率)(対 GDP 比率) 1990~ 1995 年 2000 年 2005 年 2007 年 1990 年 2007 年 2007 年 2007 年 2007 年 3.6 3.8 3.3 3.4 11.2 8.6 10.1 3.3 4.5 12.3 12.3 12.5 12.3 7.8 22.1 25.3 10.6 12.7 9.4 8.9 9.0 8.9 –2.9 17.4 18.3 8.0 9.0 4.7 4.3 4.2 4.2 –1.2 8.5 10.6 3.9 4.2 5.2 6.9 7.5 5.9 5.2 6.3 7.5 7.3 7.4 21.8 17.5 7.4 7.7 5.6 6.2 5.3 5.4 8.6 9.2 10.9 4.1 7.3 6.0 5.3 5.2 15.2 5.3 8.4 8.8 7.7 8.3 13.3 15.1 17.5 6.8 9.2 12.0 11.8 12.3 12.5 17.5 21.5 23.9 11.7 12.8 10.7 11.2 11.5 10.7 19.1 24.5 10.4 10.7 9.6 10.7 11.7 11.9 20.9 26.3 12.0 7.4 8.6 9.1 18.3 9.6 2.4 2.2 2.0 1.9 –14.7 4.5 1.8 2.3 3.5 3.1 3.4 3.6 –7.7 9.0 9.7 3.4 3.9 4.7 4.9 5.1 4.8 10.7 5.0 11.3 13.6 14.0 14.1 38.9 19.1 29.4 12.4 14.1 6.1 7.4 8.7 8.8 80.5 27.0 8.4 10.1 1.2 1.4 1.5 1.7 130.5 3.7 5.7 1.7 1.9 8.8 7.5 7.2 6.5 –19.8 21.6 18.1 5.9 6.6 0.7 0.9 1.2 1.4 202.0 7.2 1.4 1.4 5.8 5.0 5.0 4.7 –29.8 12.2 10.4 4.1 5.5 5.7 5.0 4.3 4.3 4.3 –41.8 14.0 10.9 3.5 5.5 4.8 4.8 4.7 –16.6 11.4 6.5 3.8 9.4 10.5 11.4 10.6 107.0 25.2 9.7 10.7 7.2 7.9 10.3 10.8 119.8 10.2 10.8 6.3 6.3 6.2 5.8 17.0 5.8 6.2 10.6 9.9 9.6 22.7 9.7 9.0 8.6 8.1 8.0 1.5 20.5 7.4 8.5 8.2 7.2 7.6 7.2 –6.8 14.1 5.3 9.5 6.7 6.6 6.8 6.4 14.2 18.6 19.9 6.7 2.7 4.9 5.9 6.1 159.2 6.2 5.4 5.3 5.6 5.4 11.0 11.6 12.0 5.1 5.9 6.3 5.9 5.9 6.0 –1.5 16.4 16.3 5.6 6.0 7.4 6.7 6.9 7.1 7.0 14.5 16.5 6.2 注:データ、出典および方法の詳細については、Adema, W.および M. Ladaique(2009 年) 、 『福祉国家の実現にはどの程度費用がかかるのか?(How Expensive is the Welfare State ?) 、OECD 社会支出データベース(SOCX)におけるグロスとネットの指標』 、社会、雇用および移民に関する調査報 告書 92 号、OECD 出版局(パリ)を参照。 出典:OECD 社会支出データベース(SOCX)、OECD 主要経済指標データベース。 http://dx.doi.org/10.1787/888932371063 人口圧力と公的年金支出 2007 年の年金に対する公共支出(対 GDP 比率) OECD 2007 年の老年人口指数 (20 歳以上の総人口に対する 65 歳超の高齢者の比率) 注:回帰直線は年金支出=-2,091 (1,908) + 0.3835 (0.07814) x 老年人口 指数。不均一分散調整後の標準誤差は括弧内に表示されている。老年 人口指数に関する係数は 1%で有意となり、 回帰の R2 は 0.4670 である。 出典:OECD 社会支出データベース(SOCX)、国連、世界人口予測- 2008 年改定 http://dx.doi.org/10.1787/888932371063 公的年金支出の総額と純額 2007 年の公的年金支出純額(対 GDP 比率) OECD 2007 年の公的年金支出総額(対 GDP 比率) 注:チャートは 45°の直線を表している。データ、出典および方法の 詳細については、Adema, W.および M. Ladaique(2009 年) 、 「福祉国家 の実現にはどの程度費用がかかるのか?、OECD 社会支出データベー 、社会、雇用および移民 ス(SOCX)におけるグロスとネットの指標」 に関する調査報告書 92 号、OECD 出版局(パリ)を参照。 出典:OECD 社会支出データベース(SOCX) http://dx.doi.org/10.1787/888932371063 24 ■年金給付支出:公的年金と私的年金 要約 私的年金スキームの支払額は、データを入手できる OECD 加盟 25 ヵ国の 2007 年の平 均では国民総生産(GDP)の 1.6%に相当した。これは退職給付に対する平均的な公共支 出の 5 分の 1 に相当する。私的年金の支払額は 1990 年から 2007 年までの間、GDP の 伸びより 23%速いペースで増加しており、公的年金支出の増加ペースを上回っている。 OECD 加盟 34 ヵ国のうち 14 ヵ国では、私的年金への加入が義務付けられているか、また は労使間の協定を通じてほぼ全員加入( 「準強制加入型」 )を実現している。それ以外の国 では、任意加入型の私的年金( 「個人年金」)または雇用者が提供する年金(「企業年金」 ) ) が広く普及している。 私的年金の支払額が最も大きいのはスイスで、2007 年には GDP の 6%に相当した。公共 支出を加えると、給付総額は GDP の 12.4%に相当し、オーストリア、フランス、ギリシャ などの公的年金支出の金額に匹敵する。私的年金の支給額に関するデータには法定の最低 水準を上回る給付が含まれているが、スイスの企業年金は強制加入型である。 企業年金が「準強制加入型」になっているオランダは、私的年金給付がスイスに次いで 2 番目に大きく、GDP の 5.2%に相当する。オランダに続き、カナダ、英国、米国の 3 ヵ国 では私的年金の給付額が GDP の 4%から 5%に相当する。私的年金への加入は任意だが、 企業年金プランと個人年金プランが広く普及している。 (英国では、所得比例公的年金制度 から「適用除外」した個人に関しては強制加入である。第 III 編の各国のプロフィールを参 照。 )上記各国に次いで私的年金に対する給付額が大きいのは、強制加入型企業年金スキー ムを採用しているアイスランドと、 (私的年金への加入が任意である)ベルギーおよび日本 で、GDP の 3%以上に相当する。 1990 年代に入ると、オーストラリア、エストニア、ハンガリー、メキシコ、ポーランド、 スロバキア共和国、スウェーデンなど多くの国で強制加入型私的年金が導入された。中東 欧諸国を筆頭に、一部の国では主に若年労働者がこうした新しい制度に加入している。そ の多くがまだ年金の給付を始めていない。オーストラリアとスウェーデンでは給付支払い の多くが、私的年金への加入が強制される前からすでに運営されていた任意加入型のスキ ーム(オーストラリア)と準強制加入型のスキーム(スウェーデン)に関連している。こ うしたケースではすべて、すべての退職者が標準就労期間を通して強制加入型私的年金プ ランに加入するのは数十年先になる。 トレンド 私的年金の支給額が最も早いペースで伸びているのは比較的低い基準 (GDP 比 0.5%未満) の国である。しかし、ベルギー、アイスランド、スイスなど、例外もある。スイスで企業 25 年金が強制加入型になったのは 1985 年で、加入率が大幅に上昇してきた。後世代の退職者 の各々が平均的に私的年金への加入歴が長くなるため、現在は私的年金受給資格者の急激 な増加という形で現れている。 優遇税制 大半の OECD 加盟国は私的年金プランを通じて蓄えられた退職後の貯蓄に対して税制上 の優遇措置を講じている。多くの場合、個人の拠出額の全額または一部が所得税納税義務 から控除されるほか、投資収益の全額または一部は課税を免除される。一部の国は年金支 給に対する租税を減免している(第 II 編第 2 章の「年金および年金受給者に関する課税措 置」に関する指標を参照) 。 こうした財政的なインセンティブ費用は、多くの OECD 加盟国で、1960 年代に開発され た「租税支出」という概念を利用して測定されている。これは、基準となる課税措置と比 較した税制上の優遇措置の価額を定量的に測定する試みである。これは、租税支出がすな わち、政府が同じ効果を実現するために補助金(直接的な支出)として提供する必要があ る金額であるという考えに基づいている。 退職後の貯蓄に対する租税支出に関するデータは、OECD に加盟している 21 ヵ国で入手 できる。この数値の半分超は GDP 比で 0.2%以下である。報告された租税支出が GDP の 1%以上に相当する国は、オーストラリア、カナダ、アイスランド、アイルランドおよび英 国の 5 ヵ国にすぎない。 租税支出の数値には重要な制約条件が含まれている。選択された基準となる税制が異なる ため、各国間での比較ができないことである。その名称にもかかわらず、租税支出は直接 的な支出と同じではなく、したがって公的年金支出の額に加算することは適切ではない。 参考文献 OECD(2010 年) 、OECD 加盟国における租税支出、OECD 出版局、パリ 26 年金給付支出-公的年金および私的年金 私的年金スキームの給付支出 スキームの種 類 a a 1.5 1995 年 1.8 0.4 1.7 3.5 1.0 a 0.0 1.8 2000 年 2.9 0.5 2.0 4.0 1.1 0.2 0.0 2.0 2005 年 1.9 0.5 3.5 4.3 1.3 0.2 0.0 2.3 v m v v v 0.1 0.2 0.1 0.6 0.4 0.4 0.1 0.1 0.7 0.4 0.3 0.2 0.1 0.8 0.5 0.2 0.2 0.1 0.8 0.4 0.2 0.2 0.1 0.8 0.4 154.3 10.6 162.8 24.1 6.9 v v 1.4 0.9 1.8 1.1 2.3 1.0 2.8 1.0 3.0 0.9 113.5 0.9 m v m v v v 2.7 0.3 0.2 a m a 3.1 0.2 0.3 a 0.0 a 1.2 0.2 0.5 3.0 0.0 a 1.1 0.2 a 2.3 0.0 0.6 1.2 0.2 a 2.9 0.0 0.5 –57.1 –22.1 m q a 3.9 0.0 4.7 0.0 4.8 0.0 5.2 0.0 5.2 34.8 v 0.6 0.6 0.6 0.6 0.6 2.7 v v 0.3 a 0.3 0.1 0.4 0.2 0.6 0.4 0.5 0.5 58.8 q/m m v 1.2 3.2 0.0 1.9 4.9 0.0 1.8 5.8 0.0 2.1 6.0 0.0 2.1 6.0 0.0 72.8 88.7 23.5 v/m v 4.3 2.7 1.3 5.2 3.1 1.4 6.1 3.8 1.5 4.8 3.8 1.6 4.5 4.3 1.6 6.2 61.0 23.3 v v v v m m v q/m オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チリ チェコ共和国 デンマーク エストニア フィンランド フランス ドイツ ギリシャ ハンガリー アイスランド アイルランド イスラエル イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ ニュージーランド ノルウェー ポーランド ポルトガル スロバキア共和国 スロベニア スペイン スウェーデン スイス トルコ 英国 米国 OECD 1990 年 0.4 1.0 2.6 公的給付支出と 私的年金に 私的給付支出 対する優遇税制 (対 GDP 比率) (対 GDP 比率) 2007 年 2007 年 2 2.7 5.3 12.8 0.1 12.6 0.1 8.2 2.0 6.3 7.7 0.1 増減率 (%) 1990~2007 年 水準(対 GDP 比率) 2007 年 1 1.9 0.5 3.7 4.1 1.1 0.2 0.1 2.2 22.4 261.2 58.4 7.7 5.2 8.5 12.8 41.2 0.1 0.0 11.5 12.3 9.1 4.9 4.5 4.8 15.5 0.8 12.7 0.7 1.7 7.0 1.4 10.0 0.5 0.2 1.0 1.2 0.0 4.3 5.3 10.6 11.3 6.3 9.6 8.0 9.3 12.4 0.6 0.2 0.1 0.2 0.2 6.1 9.9 10.3 8.4 1.2 0.8 0.6 m = 強制加入私的年金、q = 準強制加入、v = 任意加入 1. オーストラリア、カナダ、チリのデータは 2005 年以降のデータである。 2. アイスランド、ノルウェー、ポーランド、英国のデータは 2005 年以降のデータである。データ、出典および方法の詳細については、Adema, W. および M. Ladaique(2009 年) 、 「福祉国家の実現にはどの程度費用がかかるのか?、OECD 社会支出データベース(SOCX)におけるグロスと ネットの指標」、社会、雇用および移民に関する調査報告書 92 号、OECD 出版局(パリ)を参照。 出典:OECD 社会支出データベース(SOCX)、OECD 主要経済指標データベース。 http://dx.doi.org/10.1787/888932371082 私的年金に対する税制上の優遇措置 2003 年のパラメータとルール メキシコ ニュージーランド ルクセンブルク スロバキア共和国 オランダ スウェーデン ギリシャ 韓国 ベルギー イタリア イスラエル チリ ポーランド OECD スペイン オーストリア 日本 フィンランド デンマーク ポルトガル 米国 トルコ ハンガリー アイルランド オーストラリア 英国 ノルウェー カナダ フランス ドイツ チェコ共和国 税制上の優遇措置、拠出額に占める比率% 出典:Yoo, K. Y. および A. de Serres(2004 年)、「OECD 加盟国における私的年金貯蓄に関する課税措置」、OECD 経済調査、39 巻 2 号、OECD 出 版局、パリ、73-110 頁 http://dx.doi.org/10.1787/888932371082 27 ■公的年金に対する公共支出の長期予測 要約 前述した 2 つの指標が示すとおり、大半の OECD 加盟国では過去 20 年間、年金に対する公共 支出が増加の一途をたどってきた。長期予測によると、データを入手できる OECD 加盟 29 ヵ国のうち 25 ヵ国で年金支出の継続的な増加が予想される。平均では、年金支出額は 2010 年の国民総生産(GDP)比 8.4%から 2050 年には GDP 比 11.4%に上昇すると予測されている。 年金支出増加の主な牽引役は人口統計の変化である。右の頁に示されている予測は、欧州連合 (EU)の高齢化レポート(その対象は、27 の EU 加盟国およびノルウェー)と各国の予測のいずれ かから引用されている。データは主に 2060 年までの予測であるが、3 ヵ国は 2050 年までの予測に なっている。長期予測は年金政策を立案する際には不可欠のツールである。多くの場合、年金改革 の実施時期と、公的年金への公共支出に影響を及ぼし始める時期との間には長いタイムラグがある。 各国の退職後所得を提供する方法の複雑性と多様性を反映して、予測の対象となるプログラムに は広範な差異がある。例えば、公務員に対する特別な制度がデータに含まれていない国もあれば、 データに含めている国もある。同じく、予測には退職者に対する資力調査付き給付に対する支出を 含めることも除外することもあり得る。データの対象範囲も、前述した 2 つの指標における過去の 支出トレンドのデータソースである OECD 社会支出(SOCX)データベースの対象範囲とは異なっ ている。2007 年の数値は、対象となる給付の範囲が異なるため、SOCX データベースと本書で利用 したデータソースの間で異なる可能性がある。 とは言え、これらの数値は広範なトレンドを明らかにしている。OECD 加盟 29 ヵ国と EU 加盟 27 ヵ国の双方で、2010 年から 2060 年までの期間に、年金支出は平均では GDP より 40%速いペースで 増加すると予測されている。年金支出は国民所得を増加させる重要な一部であるが、年金支出の伸 び率は人口統計の変化によってもたらされる伸び率をはるかに下回っている。後述する第 II 編第 5 章の「高齢者支援率」という指標は、2010 年から 2050 年までの間に年金受給資格年齢に達した人 口に対する生産年齢人口の比率が半分になることを示している。これは、公的年金に充当される国 民所得の比率が 2 倍になることを示唆している。 公共支出の額にそこまでの増加が見込まれていないのは、年金改革が実施されるからであろう。 将来の退職者に対する給付削減と年金支給開始年齢の引上げにより公的年金支出の伸びは抑えられ る。デンマーク、フランス、イタリア、スウェーデン、米国など、多くの国では予測可能な期間に わたって年金支出はほぼ横ばいで推移する。年金支出が時間とともに大きく減少すると予想されて いるのはエストニアとポーランドの 2 ヵ国にすぎない。エストニアとポーランドでは、報酬比例公 的年金給付の一部に代えて強制加入型の確定拠出制度を導入した。しかし、ハンガリーとスロバキ ア共和国でも同じような改革が行われたが、公的年金支出の増加トレンドを食い止めることはでき ないと予想されている。 28 5 ヵ国では 2010 年から 2060 年までの間に年金支出が 2 倍またはそれ以上に増加すると予想されて いる。ギリシャとルクセンブルクでは、公共支出がすでに OECD の平均を上回っているほか、2060 年までには GDP の 20%を上回ると予測されている。 (しかし、これらの予測では 2010 年に制定され たギリシャの年金改革の影響は考慮されていない。 )2060 年には OECD 加盟国の中で人口統計的に 最も高齢化が進む日本でも公共支出が急激に上昇し、OECD の平均をわずかに下回る現在の水準か ら 2060 年には OECD の平均をはるかに上回ると見られている。アイルランドと韓国の増加率も急 激である。しかし、両国とも低いベースからの増加であり、2060 年になっても年金支出は OECD の 平均をはるかに下回る。韓国のこうした急激な増加は、同国では OECD 加盟国の中で最も急激に高 齢化が進んでいる事実と、年金制度の制定が 1988 年にすぎず、まだ成熟していない事実を反映して いる。 スロベニアでも同じように支出が急激に増加し、2010 年の GDP 比 10.1%から 2060 年には GDP 比 18.6%に上昇する。 年金支出の伸び率は 5 ヵ国で平均に近づくと予想されている。オーストラリア、スイス、 英国では OECD の平均をはるかに下回る起点から始まっている。対照的に、ベルギーとノ ルウェーの起点は OECD の平均をかなり上回っている。 (しかし、ノルウェーではこの予 測が行われた後に年金改革が実施された。) 29 2007 年から 2060 年までの年金に対する公共支出の予測 2007 年 2010 年 2015 年 2020 年 2025 年 2030 年 2035 年 2040 年 2045 年 2050 年 2055 年 2060 年 OECD 加盟国 オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チリ チェコ共和国 デンマーク エストニア フィンランド フランス ドイツ ギリシャ ハンガリー アイスランド アイルランド イスラエル イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ ニュージーランド ノルウェー ポーランド ポルトガル スロバキア共和国 スロベニア スペイン スウェーデン スイス トルコ 英国 米国 OECD 加盟 28 ヵ国 その他の主要国 アルゼンチン ブラジル 中国 インド インドネシア ロシア連邦 サウジアラビア 南アフリカ EU 加盟 27 ヵ国 3.6 12.8 10.0 4.6 3.6 12.7 10.3 5.0 3.6 12.8 10.9 5.4 3.7 13.0 11.8 5.8 13.4 13.0 6.3 4.3 13.8 13.9 6.6 13.9 14.4 6.6 4.7 13.9 14.6 6.5 14.0 14.7 6.4 7.8 9.1 5.6 10.0 13.0 10.4 11.7 10.9 6.9 10.2 6.2 11.8 13.5 10.1 12.2 10.9 6.9 10.6 5.9 12.6 13.6 10.5 13.2 11.0 7.0 10.5 5.8 13.4 13.9 11.0 14.8 10.9 7.1 10.6 5.6 13.9 14.2 11.5 17.1 11.0 7.6 10.5 5.4 13.9 14.5 11.9 19.4 11.4 8.4 10.4 5.4 13.6 14.4 12.1 21.4 12.2 9.4 10.0 5.3 13.4 14.3 12.2 23.0 12.7 4.0 7.1 9.4 6.4 10.7 13.5 10.2 11.6 11.3 4.0 4.1 4.3 4.6 5.0 5.4 5.8 6.4 14.0 14.0 14.0 14.1 14.3 14.8 15.2 0.6 8.7 0.9 8.6 2.4 6.5 4.7 9.6 10.8 11.9 6.6 10.1 8.9 9.6 6.3 7.3 6.7 4.6 8.4 1.1 8.9 1.4 9.9 2.0 12.1 2.5 14.2 7.2 4.8 10.8 9.6 12.1 6.3 10.6 9.2 9.5 6.6 7.8 5.3 11.5 9.7 12.4 6.3 11.1 9.5 9.4 6.8 8.4 5.9 12.0 9.7 12.6 6.9 12.0 10.1 9.4 7.5 6.8 4.8 8.6 6.9 4.9 8.9 7.2 4.9 6.6 4.0 8.9 11.6 11.4 6.8 9.9 8.4 9.5 6.4 6.6 4.3 5.2 1.1 8.9 5.9 8.5 2.2 1.7 0.9 7.9 2.2 1.3 9.1 7.3 1.7 9.2 1.8 9.6 13.9 14.8 6.3 13.6 14.7 6.2 10.8 9.3 5.2 13.3 14.1 12.5 24.3 13.7 11.0 9.2 4.9 13.4 14.0 12.8 24.1 13.8 7.1 10.2 9.6 5.3 13.3 14.2 12.3 24.0 13.2 6.9 8.0 8.4 8.6 15.6 15.4 14.7 14.2 13.6 3.1 16.6 3.9 18.4 4.8 20.7 6.0 23.7 6.5 23.9 9.3 6.7 12.7 9.4 12.6 7.3 13.3 10.8 9.5 8.1 10.0 7.3 13.2 9.3 12.3 7.8 14.7 11.9 9.5 8.6 10.3 7.7 13.4 9.2 12.5 8.3 16.1 13.2 9.4 8.6 10.3 7.8 13.4 9.1 12.8 8.8 17.3 14.6 9.1 8.8 10.4 10.5 13.5 9.0 13.1 9.9 18.6 15.6 9.2 13.6 8.8 13.4 10.2 18.6 15.1 9.4 7.6 4.9 10.0 7.8 4.9 8.0 4.8 10.8 7.9 4.8 5.5 22.1 3.5 10.3 8.0 13.3 9.1 13.3 9.4 18.2 15.5 9.0 8.6 11.4 8.1 4.8 11.4 8.6 4.7 9.3 4.7 1.5 12.8 1.4 12.9 6.4 1.8 10.0 4.9 14.0 14.7 6.3 1.7 10.6 6.1 1.6 11.1 1.6 11.6 1.5 12.1 8.6 15.8 2.6 0.9 2.1 6.0 7.1 1.5 12.5 注:OECD 加盟 28 ヵ国の数字は 2010 年から 2050 年までの完全なデータを入手できる国のみを表示している。EU 加盟 27 ヵ国の数字は加盟国の 単純平均である(欧州委員会が公表している加重平均ではない)。公務員およびその他の公共部門の労働者を対象にした年金スキームは一般的に は EU 加盟国の計算に含まれている:欧州委員会、前掲書参照。カナダ、日本、南アフリカ、米国に関しては、これらの年金スキームに対する支 出は含まれていない。退職者向けの個別の資力調査付き年金制度に関する予測は、場合により入手できないことがある。米国と欧州委員会の前掲 書に記載されている一部の EU 加盟国がこれに該当する。同じく、韓国のデータは報酬比例年金スキームを含んでいるものの、基礎(資力調査付 き)年金は含まれていない。 出典:欧州委員会(2009 年)、European Economy に掲載された「2009 年高齢化レポート:EU 加盟 27 ヵ国の経済予測と予算予測(2008 年から 2060 年)」2009 年 2 号、ブラッセル;オーストラリア連邦(2010 年)、2050 年までのオーストラリア:将来の課題;カナダ財務省金融監督局、チーフ アクチュアリー室から提供された計算結果;韓国年金リサーチ機関;ロシア連邦:ロシア連邦の年金(2009 年)、 「ロシア連邦の年金基金発展の保 険数理上の予測」、保険数理評価・戦略立案部;南アフリカ、全員加入基礎年金を前提にした OECD 事務局の予測;社会保障局(2010 年)、高齢 者と遺族向け連邦保険および障害保険信託基金評議委員会の年次報告書、米下院文書 111-137 頁;スタンダード・アンド・プアーズ(2010 年)、 グローバルエージング 2010:アルゼンチン、ブラジル、中国、アイスランド、インド、インドネシア、メキシコ、サウジアラビア、トルコに関す る不可逆的な真実。 http://dx.doi.org/10.1787/888932372431 30 第 5 章 人口統計的、経済的背景 人口の高齢化は過去 20 年における年金政策と年金改革の背景になった主要な牽引役の 1 つである。高齢化は人口統計上の 2 つの変化の結果である。 1 つ目の変化は出生数の低下である。出生率が時間とともに変化してきた状況について、 要因の簡単な考察とともに、本章の最初の指標で論考する。人口の高齢化を加速させて いる 2 つ目の要因は平均余命の上昇である。出生時と 65 歳時における平均余命の変化が 時系列的に示されている。将来の平均余命の変化についても簡単に論考する。 人口の高齢化については 3 つ目の指標として取り上げる。高齢化の程度は支援率(年金 受給者数に対する生産年齢者数)で測定されている。高齢者支援率は 1950 年の過去のデ ータから 2050 年までの予測として 1 世紀にわたって示されている。 最後の指標は経済的な背景を表している。2008 年の OECD による「平均的な所得の労 働者」の数値を利用して計算された平均所得に関するデータを提供している。報告では これらのデータが広範に利用されており、多くの変数値や年金受給状況が、国民の平均 報酬に対する比率という形で報告されている。報酬分布に関する情報もある。年金受給 に関する指標は所得の中央値で示されることが多いため、人口の半分がこれを下回り、 人口の半分がこれを上回る。この報酬分布のデータは、年金制度の全体構造、年金の累 進性、年金給付水準や年金財産の加重平均といった各指標の計算にも用いられている。 31 ■出生率 要約 2005 年から 2010 年までの期間においては、OECD 加盟 34 ヵ国のうち 29 ヵ国で、合計特 殊出生率が、総人口を一定に保つために必要な子供数を表す人口置換水準を下回ってい る。例外はイスラエルとメキシコ(女性 1 人当たり、それぞれ 2.8 人と 2.2 人)のほか、 2000 歳を上回る高齢者の平均所得は人口全体の平均所得の 82.4%であ (2.1年代中盤には、65 人という人口置換水準にある)アイスランド、トルコ、米国に限られている。しか った。オーストリア、フランス、ルクセンブルク、メキシコ、ポーランドでは人口全体の し、OECD 加盟国の 3 分の 2 を超える国では過去 10 年間に出生率が緩やかに増加してい る。出生率は平均余命とともに人口の高齢化を決定付ける要因になるため、年金制度に 対して重要な影響をもたらす。 2005 年から 2010 年までの期間における OECD 加盟国全体の平均出生率は 1.69 人であり、 人口置換水準を大きく下回っている。少子化傾向は 1970 年代から続いている。出生率の低 下は、ライフスタイルに対する個人の好み、および不安定な労働市場、適切な住居の不足、 高額な育児費用など、日常生活における制約の変化を反映している。 女性が出産したいとする子供の数と実際に出産した子供の数のギャップ(およびギャップ の拡大)はこうした制約の影響を表している。 もう 1 つの要因は婚姻関係の有無の変化である。特に日本や韓国など、結婚と出産の関連 性が強い国では、未婚女性の比率が高まるほど出生率は低下する。こうした関連性は、ギ リシャ、イタリア、ポーランド、スイスなど欧州の一部の国でもかなりみられる。その一 方、未婚女性の出産パターンも変化してきた。例えば、フランス、アイスランド、ノルウ ェー、スウェーデンでは誕生する子供の半分以上が婚外子である。OECD 加盟国では、婚 外子の平均的な比率は 3 分の 1 に達している。 5 年ごとに 0.01%の上昇と極めてゆっくりとしたペースではあるものの、最近の出生率の 上昇は続くと予想されている。2045 年から 2050 年までの 5 年間の OECD 加盟国全体の出 生率は平均で 1.80 人と予測されている。 低い出生率は社会と経済に広範な影響を及ぼす。第一に、 出産年齢の女性が減少するため、 人口減少に拍車がかかる。第二に、高齢者を家庭で介護できる者が減少する。第三に、高 齢者の年金とヘルスケアの原資を調達するため生産年齢者の税負担が増大する。第四に、 労働力も高齢化するため、技術変化に対する適応力が低下し、生産性と経済成長の低下を 招く恐れがある。最後に、高齢化に伴い、高齢者はそれぞれの貯蓄を利用して消費を支え るため、経済投資の原資を提供する貯蓄のプールが縮小する可能性がある。 出生率の低下傾向に伴って、平均出産年齢が徐々に上昇している(平均出産年齢の上昇が 出生率低下の一因でもある) 。平均出産年齢は、1995 年から 2000 年までの 28 歳から 2045 年までには 30 歳を超えると予測されている。出産の先送りは持続的な影響をもたらす。第 一に、女性が子供を出産しない確率または希望する人数より少ない子供を出産する確率が 32 上昇する。第二に、病気にかかるリスクが母子ともに高まる。 他の主要国では、アルゼンチン、インド、インドネシア、サウジアラビア、南アフリカの 現在の出生率は人口置換水準の 2.1 人をかなり上回っている。しかし、これらの国でも OECD 加盟国のトレンドを追随し、2025 年から 2030 年までの間に大半の国が人口置換水 準まで低下するか、または同水準を下回ることになる。平均の出産年齢も大半の OECD 加 盟国よりかなり低い(一般的には少なくとも 2 歳低い) 。 定義および数値算定方法 合計特殊出生率は、ある女性が出産年齢の終了時まで生存し、各年齢において子供を出産 する可能性が現在の平均的な年齢別出生率と同じである場合に、当該女性が出産する子供 の数である。合計特殊出生率の計算は、一般的に、5 年ごとに定められた年齢別出生率を 合計することによって行われる。女性 1 人当たりの合計特殊出生率が 2.1 人であれば、移 民が流入せず、死亡率に変化がないという前提で人口の安定性を確保できる。 参考文献 D’Addio, A. C.および M. Mira d’Ercole(2005 年) 、 「OECD 加盟国における出生率のトレ ンドと決定要因:政策の役割」 、社会、雇用および移民に関する調査報告書 27 号、OECD 出版局(パリ) 。 OECD(2009 年) 、 「図表でみる社会」(Society at a Glance) 、OECD 出版局(パリ) 33 合計特殊出生率、1975 年-2050 年 1975-80 年 OECD 加盟国 オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チリ チェコ共和国 デンマーク エストニア フィンランド フランス ドイツ ギリシャ ハンガリー アイスランド アイルランド イスラエル イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ ニュージーランド ノルウェー ポーランド ポルトガル スロバキア共和国 スロベニア スペイン スウェーデン スイス トルコ 英国 米国 1985-90 年 1995-2000 年 2005-10 年 2015-20 年 2025-30 年 2035-40 年 2045-50 年 OECD 加盟 34 ヵ国 1.99 1.65 1.71 1.73 2.80 2.31 1.68 2.06 1.66 1.86 1.52 2.32 2.12 2.29 3.48 3.41 1.94 1.83 2.92 1.49 5.25 1.60 2.18 1.81 2.26 2.41 2.47 2.20 2.57 1.66 1.53 4.72 1.72 1.79 2.26 1.86 1.44 1.56 1.62 2.65 1.92 1.54 2.20 1.66 1.81 1.43 1.53 1.82 2.12 2.29 3.05 1.34 1.66 1.60 1.47 3.63 1.56 2.03 1.80 2.15 1.62 2.15 1.66 1.46 1.91 1.53 3.28 1.81 1.92 1.91 1.78 1.37 1.60 1.56 2.21 1.17 1.76 1.33 1.74 1.76 1.34 1.30 1.38 2.06 1.90 2.94 1.22 1.37 1.51 1.72 2.67 1.60 1.95 1.85 1.48 1.46 1.40 1.25 1.18 1.56 1.47 2.57 1.70 1.99 1.68 1.83 1.38 1.77 1.57 1.94 1.41 1.84 1.64 1.83 1.89 1.32 1.38 1.35 2.10 1.96 2.81 1.38 1.27 1.22 1.66 2.21 1.74 2.02 1.89 1.27 1.38 1.28 1.36 1.43 1.87 1.45 2.13 1.84 2.09 1.69 1.85 1.46 1.84 1.67 1.85 1.57 1.85 1.84 1.85 1.85 1.39 1.46 1.47 1.98 1.87 2.46 1.44 1.30 1.29 1.74 1.89 1.81 1.95 1.85 1.34 1.44 1.40 1.52 1.65 1.85 1.54 1.97 1.85 1.95 1.71 1.85 1.56 1.85 1.77 1.85 1.67 1.85 1.85 1.85 1.85 1.49 1.56 1.57 1.86 1.85 2.22 1.54 1.40 1.39 1.84 1.85 1.85 1.85 1.85 1.44 1.54 1.50 1.62 1.75 1.85 1.64 1.85 1.85 1.85 1.73 1.85 1.66 1.85 1.85 1.85 1.77 1.85 1.85 1.85 1.85 1.59 1.66 1.67 1.85 1.85 2.04 1.64 1.50 1.49 1.85 1.85 1.85 1.85 1.85 1.54 1.64 1.60 1.72 1.84 1.85 1.74 1.85 1.85 1.85 1.77 1.85 1.76 1.85 1.85 1.85 1.85 1.85 1.85 1.85 1.85 1.69 1.76 1.77 1.85 1.85 1.90 1.74 1.60 1.59 1.85 1.85 1.85 1.85 1.85 1.64 1.74 1.70 1.82 1.85 1.85 1.83 1.85 1.85 1.85 1.80 その他の主要国 アルゼンチン ブラジル 中国 インド インドネシア ロシア連邦 サウジアラビア 南アフリカ EU 加盟 27 ヵ国 3.44 4.31 2.93 4.89 4.73 1.94 7.28 5.00 2.07 3.05 3.10 2.63 4.15 3.40 2.12 6.22 4.00 1.82 2.63 2.45 1.80 3.46 2.55 1.25 4.62 2.95 1.49 2.25 1.90 1.77 2.76 2.19 1.37 3.17 2.55 1.53 2.08 1.60 1.84 2.30 1.88 1.53 2.56 2.30 1.61 1.92 1.50 1.85 1.96 1.85 1.63 2.15 2.10 1.67 1.85 1.60 1.85 1.85 1.85 1.73 1.86 1.94 1.74 1.85 1.75 1.85 1.85 1.85 1.83 1.85 1.85 1.79 出典:国連、世界人口予測-2008 年改訂 http://dx.doi.org/10.1787/888932371101 平均出産年齢 カナダ イタリア 米国 フランス 日本 ドイツ 英国 OECD 加盟 34 ヵ国 チェコ共和国 イスラエル スペイン エストニア 韓国 OECD 加盟 34 ヵ国 ハンガリー メキシコ 出典:国連、世界人口予測-2008 年改訂 http://dx.doi.org/10.1787/888932371101 34 ■平均余命 要約 20 世紀最大の成果の 1 つは平均余命の著しい伸長である。長寿化が続いており、このト レンドは持続すると予測されている。2005 年から 2010 年までの間、出生時平均余命は、 男性が 76.1 歳、女性が 81.8 歳であった。女性の平均余命が最も長いのは日本(86.2 歳) で、フランス、スイス、イタリアおよびスペインが続いている。男性の出生時平均余命 が最も長いのはアイスランド(80.2 歳)で、スイス、オーストラリア、日本およびスウ ェーデンが続いている。 退職所得制度の財政にとっては、高齢者の平均余命が特に重要な意味を持つ。さらに高齢 者の寿命はかつてないほど長くなっている。2005 年から 2010 年までに、OECD 加盟国の 平均で 65 歳の女性はさらに 19.9 年生存すると予想されており、 2045 年から 2050 年の期間 には 23.5 年に延びると予測されている。65 歳の男性は、2005 年から 2010 年までの間には 16.4 年生存すると予想されており、2045 年から 2050 年までの間には平均余命が 3.1 年延び て 19.5 年に達すると予測されている。高齢者の寿命の男女差は相対的にはほぼ一定の幅で 推移すると見込まれているが、絶対的には差が広がると予想されている(OECD 加盟国の 平均では 3.5 年から 4.0 年に広がる) 。こうした予測に基づくと、65 歳からの年金支給額は 約 20%増加することになる。 高齢者の平均余命には OECD 加盟国の間でかなりの差異がある。2045 年から 2050 年まで の期間には、65 歳に達した日本の女性はさらに 27.3 年生存すると予測されている。対照的 に、同じ期間に 65 歳に達したトルコの女性の平均余命は 19.2 年と予想されている。日本 の平均余命は他の国をかなり上回っており、次にフランスが高く、平均余命は 25.5 年と予 想されている。 男性に関しては、国別の差は女性ほど大きくない。2045 年から 2050 年までの期間で 65 歳からの平均余命が最も長いのはスイスの 22.0 年で、アイスランドが 21.4 年でそれに続い ている。男性で 65 歳からの平均余命が最も短いのはトルコで、15.4 年である。 2045 年から 2050 年までの期間における 65 歳時の平均余命の男女差は、OECD に加盟し ているほぼすべての国で女性が 3 年から 5 年長いと予測されている。この主たる例外が日 本で、女性の平均余命が特に長いため、女性と男性の間に 6 年を超える差異がある。 こうしたトレンドを受けて、 多くの OECD 加盟国では年金支給開始年齢を引き上げるか、 または引上げを計画している(第 I 編の第 1 章「年金支給開始年齢と平均余命、1950 年‐ 2050 年」を参照) 。他の国では、人口の長寿化に伴って年金の支給水準を自動的に調整す る要素を退職所得制度に導入している(第 I 編の第 5 章「年金と平均余命の連動」を参照) 。 当然のことながら、出生時平均余命も日本が最も長く、2005 年から 2010 年までの期間で は日本の女性の平均余命は 86.2 歳で、OECD 加盟国の平均である 81.8 歳を上回っている。 35 日本は男性についても平均余命が最も長い国の 1 つであるが、平均余命は 79.0 歳で、アイ スランド(80.2 歳) 、スイス(79.3 歳)、オーストラリア(79.1 歳)を下回っている。 全体的な寿命の伸びは、生活水準の向上だけでなく、質の高い医療サービスを利用しやす くなったことも理由になっている。しかし、社会経済的な下層階級に属する人の平均余命 の伸びは小さくなっている。社会経済状況による死亡率の差異は、年金支給開始年齢(65 歳)では生産年齢層における差異より小さくなっている。 OECD に加盟していない主要国に目を転じると、平均余命は総じて低い。南アフリカでは 出生時平均余命が、女性は 53.2 歳、男性は 49.9 歳となっている。いずれの数字も、調査対 象になっている国の平均余命を 10 年以上下回っているが、HIV/AIDS の蔓延が背景になっ ている。ロシア連邦も出生時平均余命の男女差が 12.9 年と最も大きい(これに対し、OECD 加盟国の平均は 6.7 年) 。 定義および数値算定方法 平均余命は、特定の国、特定の年(この場合は、2005 年から 2010 年まで、および 2045 年から 2050 年まで)において、ある年齢に達した人が、その後生存すると予想される、年 齢別・性別の平均年数と定義されている。寿命を決定付ける要因は徐々に変化するため、 平均余命は長期にわたって分析するのが最善である。 参考文献 Whitehouse, E. R.(2007 年) 「平均余命リスクと年金:誰が負担するのか?」 、社会、雇用お よび移民に関する調査報告書 60 号、OECD 出版局(パリ)。 Whitehouse, E. R.および A. Zaidi(2008 年) 「死亡率における社会経済的な差異:年金政策 に対する影響」 、社会、雇用および移民に関する調査報告書 71 号、OECD 出版局(パリ)。 36 65 歳時における男性および女性の追加の平均余命(年数)、2005 年~2010 年・2045 年~2050 年 女性 男性 日本 フランス スイス イタリア オーストラリア ベルギー スペイン アイスランド カナダ フィンランド イスラエル ノルウェー オーストリア 韓国 ドイツ ニュージーランド アイルランド スウェーデン スロベニア ルクセンブルク OECD 加盟 34 ヵ国 英国 米国 ギリシャ ポルトガル オランダ EU27 ヵ国 チリ デンマーク アルゼンチン チェコ共和国 ブラジル ポーランド メキシコ エストニア スロバキア共和国 ハンガリー 中国 サウジアラビア インドネシア トルコ ロシア連邦 インド 南アフリカ 出典:国連、世界人口予測-2008 年改訂 http://dx.doi.org/10.1787/888932371120 男性および女性の出生時平均寿命(年数) 、2005 年~2010 年 男性 日本 フランス スイス イタリア スペイン オーストラリア アイスランド スウェーデン フィンランド カナダ イスラエル ノルウェー オーストリア ベルギー 韓国 ドイツ アイルランド ニュージーランド ルクセンブルク オランダ ポルトガル スロベニア OECD 加盟 34 ヵ国 チリ 英国 米国 ギリシャ EU27 ヵ国 デンマーク ポーランド チェコ共和国 アルゼンチン メキシコ スロバキア共和国 エストニア ハンガリー ブラジル サウジアラビア 中国 トルコ ロシア連邦 インドネシア インド 南アフリカ 女性 出典:国連、世界人口予測-2008 年改訂 http://dx.doi.org/10.1787/888932371120 37 ■高齢者支援率 要約 人口の高齢化は近年の相次ぐ年金改革の背景になった主な牽引役の 1 つである。高齢者 支援率は、人口動態が年金制度にもたらす圧力を示す重要な指標の 1 つである。この比 率は退職年齢(65 歳以上)に達した人口に対する生産年齢(20 歳から 64 歳)人口の比 率を示すものである。現時点の平均では、年金受給資格年齢に達した高齢者1人に対し、 生産年齢者は 4 人強にすぎない。 OECD 加盟国では人口の高齢化が以前から続いており、平均の支援率は 1950 年から 1980 年までの間に 7.2 から 5.1 に低下した。しかし、最近は支援率の低下が鈍化してきており、 30 年間では 5.1 から 4.1 に低下している。2010 年以降は、人口の高齢化が加速すると予 想されている。2025 年には支援率が 3 人に達し、2050 年には 2 人強まで低下すると予想 されている。 2010 年の時点で、 OECD 加盟国の中で人口統計的に最も高齢化が進んでいたのは日本で、 支援率はわずか 2.6 である。ドイツとイタリアでも支援率は 3.0 を下回っている。 最も若い国はトルコとメキシコで、支援率はそれぞれ 9.8 と 8.6 人である。この 2 ヵ国に 次いで若いのはチリで、支援率は 6.5 である。OECD に加盟する英語圏 5 ヵ国のうち、4 ヵ国(オーストラリア、カナダ、アイルランドおよび米国)はいずれも人口統計的には相 対的に恵まれており、支援率は 4.4 と 5.3 の範囲内にある。最新の出生率が人口置換水準を わずかに下回っているのにアイルランドと米国で支援率が恵まれているのは、労働者の流 入が多いことが一因である。その他の国で現在、人口統計的に若い国は、スロバキア共和 国とポーランドで、支援率はそれぞれ 5.4 と 4.9 である。 支援率の推移は、死亡率、出生率および移民によって決定される。上述した 2 つの指標で 示されているとおり、OECD 加盟国では平均余命が継続して伸びており、大半のアナリス トが将来も平均余命が伸びると予測している。この結果、高齢者と年金受給者の人口も増 加する。 出生率も大幅に低下しているため、必然的に労働市場に参入する労働者数も減少する。幼 児はすでに誕生しているため、今後 20 年間の生産年齢人口数の変動規模は判明している。 例えば、1980 年前後には OECD 加盟国では平均の出生率が人口置換水準を下回ったが、こ れは、新しい世代がそれぞれの親の世代より少なくなることを意味している。例えば、2000 年までの出生者数は、 「ミレニアムベビー」の世代がその親の世代より 20-25%減少するこ とを暗示する。しかし、将来においては出生率の動向に関して大きな不確実性がある。 OECD 加盟国全体に関しては、支援率の低下が将来も度を越さないレベルで安定的に継続 すると予想されている。しかし、人口統計的に若い国で高齢化が急速に進んでいることか ら、OECD 加盟国の間で同質化がかなり進むと予測されている。OECD 加盟国の中で圧倒 的なスピードで高齢化が進むのは韓国である。支援率は 2009 年の 6.1 から 2050 年には 1.5 38 に低下すると予測されている。韓国は OECD 加盟国の中で 4 番目に若い国から、日本に次 いで 2 番目に高齢化が進んだ国になる。 現時点では人口統計的に若い他の OECD 加盟国(チリ、メキシコ、トルコ)でも高齢化 が比較的急速に進む。しかし、韓国とは異なり、これらの 3 ヵ国は 2050 年の時点でも OECD 加盟国の中では最も若い国に属し、支援率はチリとメキシコが 2.5、トルコは 3.2 である。 EU27 ヵ国も OECD 加盟国の平均とほぼ同じパターンを辿っている。欧州諸国ではすでに OECD の平均より高齢化が進んでおり、2010 年の時点では OECD の平均値である 4.1 人に 対し、EU27 ヵ国の支援率は 3.5 となっている。2050 年には EU の支援率がわずか 1.8 人に なる。 他のすべての主要国で、支援率は OECD の平均を上回っている。しかし、多くの国が数 十年後には急激な人口の高齢化に直面する。例えば、ブラジルと中国では、支援率が現在 の約 8 から 2050 年には 2.5 に低下する。予測期間の最後の年度で、現在の OECD の平均よ り人口統計的に若い国は、インド、サウジアラビアおよび南アフリカのみで、支援率はそ れぞれ 4.5、4.6、6.1 である。 定義および数値算定方法 本章で用いた高齢者支援率の予測は、最新の「中位推計値」人口予測に基づいている。こ の予測は、国連の世界人口予測-2008 年改訂からの引用である。 39 高齢者支援率:実績値および予測値、1950 年~2050 年 オーストラリア カナダ オーストリア チリ ベルギー チェコ共和国 エストニア フィンランド ドイツ ギリシャ OECD 加盟 34 ヵ国 デンマーク イスラエル イタリア オランダ 日本 韓国 ルクセンブルク ノルウェー OECD 加盟 34 ヵ国 メキシコ スペイン スウェーデン スイス スロバキア共和国 OECD 加盟 34 ヵ国 中国 ハンガリー OECD 加盟 34 ヵ国 アイスランド アイルランド フランス ニュージーランド ポーランド スロベニア アルゼンチン インド ポルトガル OECD 加盟 34 ヵ国 ブラジル インドネシア トルコ 英国 ロシア連邦 サウジアラビア 米国 OECD 加盟 34 ヵ国 南アフリカ EU27 ヵ国 出典:国連、世界人口予測-2008 年改訂 http://dx.doi.org/10.1787/888932371139 40 ■稼得報酬:平均と分布 要約 「平均報酬」はシステム変数と年金モデル化の結果の提示の基礎になっている重要な数 値の 1 つである。報酬分布は、年金制度の累進性、退職所得パッケージの構造と加重平 均など、複合指標を計算するために用いられる。 以下の表には、2008 年の OECD の平均賃金(AW)統計に従って平均報酬の水準が示さ れている。 (トルコだけは報酬に関する広範なデータがないため、平均報酬に関する旧式の APW(平均的な生産労働者)測定値に基づいてモデル化されている。)報酬は、あらゆる 種類の控除(個人所得税、社会保障拠出金を含む)前の総賃金と定義されているが、被雇 用者に支払われる超過勤務手当とその他の現金支給が含まれる。 平均報酬は各国の通貨と米ドル(市場レートと購買力平価(PPP)の両方)で表示されて いる。PPP 為替レートは、ドルの購買力が国によって異なる事実を調整したもので、国ご との財とサービスのバスケット(訳者注;ある家庭が 1 年間生活していく上で必要な、さ まざまな財・サービスの値段を合計したものを「バスケット」という)の価格差を考慮に 入れている。Economist 誌は、人気があり、理解し易いバージョンの PPP( 「Big-Mac」指数) を定期的に公表している。この指数は、ビッグマックの価格が世界中で同じになる水準と 各国通貨の実勢水準との差を表す(www.economist.com/markets/bigmac を参照)。 OECD 加盟国全体の 2008 年の平均報酬は市場レートで 40,600 米ドルであった。PPP ベー スでは、 平均報酬は 34,900 米ドルであった。 PPP ベースで計算した金額が低くなることは、 多くの OECD 加盟国の通貨の対米ドル実勢レートが、財とサービスの標準的なバスケット の価格が等しくなる為替レートより割高になっていることを示唆している。 他の主要国の平均報酬は、AW や他の一貫性のある基準に基づいていない(そのような基 準を入手することができないためである) 。データは各国の情報源から収集されているため、 個人の平均所得、対象となる平均賃金、および入手可能な特定のグループの労働者の平均 賃金の間で相違がある。 報酬の平均と中央値 本報告書で提示されている大半の結果は平均報酬に基づいている。しかし、主要な指標の 多くは報酬の「中央値」 (すなわち、半分の労働者の報酬がこの水準を下回り、半分の労働 者の報酬がこの水準を上回る)も利用して表示されている。右頁の表には、OECD の報酬 分布データベースから引用された報酬の中央値も、平均報酬に対する比率という形で表示 されている。この比率は国ごとに大きな差異がある。トルコとメキシコでは報酬が広範に 分布しており、中央値が平均報酬の 5 分の 3 前後にすぎない。対照的に、カナダ、デンマ ーク、フィンランドおよびスウェーデンでは中央値が平均報酬の 90%に近く、アイスラン 41 ドでは 95.5%となっている。 右頁の表は、報酬分布の最上位グループと最下位のグループについても考察している。報 酬が最も低い十分位(労働者の 10%がこの水準を下回る報酬を得ている)に関しては、 OECD 加盟 29 ヵ国の平均は平均報酬の 50%を下回っており、この水準は主要な指標で「低 所得者」の事例として利用されている。最も高い十分位(労働者の 10%がこの水準を上回 る報酬を得ている) の報酬は OECD 加盟 29 ヵ国の平均報酬の 166%である。主な結果では、 報酬が平均報酬の 150%以上の個人を「高所得者」としている。 定義および数値算定方法 「平均的な労働者」シリーズ(AW)は、「図表でみる世界の年金」(Pensions at a Glance) の第 2 版(OECD、2007 年)から引用されている。この概念はより多くの経済セクターを 対象にしているほか、肉体労働者と非肉体労働者の両方を含んでいるため、 「平均的な肉体 労働者」 (APW)という従前の指標より広範な概念である。新しい AW 測定値は OECD の 報告書、Taxing Wages の中で紹介され、給付と賃金の指標という役割も果たしている。 「図 表でみる世界の年金」 (Pensions at a Glance)の第 3 版(OECD、2009 年)には、測定結果 が大きく異なる 8 ヵ国の報酬に関する新旧の測定基準に基づく所得代替率の比較も含まれ ている。 参考文献 D’Addio, A. C.および H. Immervoll(2010 年) 、 「民間部門で働く男性と女性の報酬:年金 と税制上の優遇措置をモデル化するために補強されたデータ」社会、雇用および移民に関 する調査報告書 108 号、OECD 出版局(パリ) OECD(2007 年) 、給付と賃金、OECD 出版局(パリ) OECD(2007 年) 、 「図表でみる世界の年金」 (Pensions at a Glance) : OECD 加盟国の公共 政策、OECD 出版局(パリ) OECD(2009 年) 、 「図表でみる世界の年金」 (Pensions at a Glance : OECD 加盟国における 退職所得制度、OECD 出版局(パリ) OECD(2009 年) 、Taxing Wages 2007-2008、OECD 出版局(パリ) 42 平均報酬と報酬分布、2008 年 市場レートと購買力平価為替レートでの各国通貨と米ドル OECD 平均報酬測定値 各国通貨 (AW) 米ドル、 市場レート 対米ドル為替レート 米ドル、PPP (購買力平 価)レート 市場レート PPP(購買力 平価)レート OECD 加盟国 オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チリ チェコ共和国 デンマーク エストニア フィンランド フランス ドイツ ギリシャ ハンガリー アイスランド アイルランド イスラエル イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ ニュージーランド ノルウェー ポーランド ポルトガル スロバキア共和国 スロベニア スペイン スウェーデン スイス トルコ 英国 米国 OECD 加盟 34 ヵ国 60 400 38 800 39 700 43 000 5 826 000 274 500 359 300 157 000 37 300 32 700 41 400 23 900 2 338 800 4 068 000 40 900 112 400 26 300 5 000 500 33 500 000 48 400 76 000 43 500 46 700 440 000 33 700 16 100 8 700 15 800 23 200 352 500 74 500 18 800 33 600 40 300 50 400 56 800 58 100 40 200 11 200 16 100 70 500 14 700 54 500 47 800 60 500 35 000 13 600 46 200 59 700 31 300 38 500 48 400 30 400 70 700 6800 63 600 32 800 77 900 14 000 23 500 12 700 23 100 33 900 53 400 68 700 14 500 61 500 40 300 40 600 40 900 45 600 45 600 34 800 15 900 20 000 43 800 18 100 40 400 37 200 50 600 34 100 18 300 34 100 43 400 31 300 32 800 42 700 42 600 53 300 10 200 51 700 31 300 50 700 18 300 25 100 16 200 25 100 32 100 39 900 47 500 20 600 53 100 40 300 34 900 1.20 0.68 0.68 1.07 522.46 17.08 5.10 10.69 0.68 0.68 0.68 0.68 172.47 88.00 0.68 3.59 0.68 103.39 1 100.86 0.68 11.15 0.68 1.43 5.65 2.41 0.68 0.68 0.68 0.68 6.60 1.08 1.30 0.55 1.00 1.48 0.85 0.87 1.23 365.73 13.70 8.20 8.67 0.92 0.88 0.82 0.70 127.86 119.34 0.94 3.59 0.80 117.03 785.78 0.91 7.45 0.84 1.49 8.68 1.84 0.64 0.54 0.63 0.72 8.84 1.57 0.91 0.63 1.00 その他の主要国 アルゼンチン ブラジル 中国 インド インドネシア ロシア連邦 サウジアラビア 南アフリカ EU 加盟 27 ヵ国 33 700 16 500 28 900 154 400 13 100 000 207 500 32 600 114 300 10 600 9000 4200 3500 1400 8300 8700 13 800 37 300 18 600 11 300 7 600 9 600 2 400 14 500 10 700 24 700 31 100 3.17 1.83 6.95 43.51 9 698.96 24.85 3.76 8.26 1.81 1.46 3.80 16.01 5 454.52 14.33 3.04 4.64 報酬分布 (平均報酬に対する比率%) 最下位の 十分位 中央値 最上位の 十分位 49.5 48.1 60.4 44.6 83.3 82.7 84.5 89.1 167.5 164.0 153.4 166.9 49.3 60.9 85.2 89.0 153.1 150.4 62.3 55.1 43.4 42.8 37.8 147.9 159.5 165.7 147.7 176.0 45.2 89.5 81.2 87.0 68.0 74.3 95.5 82.7 56.1 52.4 39.9 48.9 27.4 51.7 51.2 63.2 39.2 40.9 45.1 85.1 87.6 81.7 77.9 62.2 84.0 87.2 88.9 80.3 69.3 78.7 156.6 162.7 181.7 167.3 216.7 158.8 160.6 149.0 169.3 189.2 163.5 52.3 56.0 56.6 42.0 39.6 36.7 48.2 78.2 89.8 84.9 55.2 75.5 77.1 81.2 171.2 150.9 153.4 203.7 165.9 177.6 166.2 169.0 注:トルコに関しては AW 測定基準に基づく平均報酬を入手できないため、APW(平均的な生産労働者)の定義が利用されている。平均報酬は 100 ドル単位に四捨五入され、為替レートは小数点第 1 位に四捨五入されている。 AW=平均賃金、PPP=購買力平価 出典:OECD(2009 年)、Taxing Wages 2007-2008;OECD 主要経済指標;OECD 報酬分布データベース;D’Addio, A. C.および H. Immervoll(2010 年)、 「民間部門で働く男性と女性の報酬:年金と税制上の優遇措置をモデル化するために補強されたデータ」社会、雇用および移民に関する調査 報告書 108 号、OECD 出版局(パリ) http://dx.doi.org/10.1787/888932372450 43 第 6 章 私的年金と公的年金積立金 「図表でみる世界の年金」 (Pensions at a Glance)の本版では私的年金と公的年金積立金 の指標の範囲を大幅に拡張している。 8 つの指標の 1 つ目として、私的年金に加入している生産年齢人口の比率について考察 している。これは、強制加入型スキーム、準強制加入型スキームと任意加入型スキーム を区別している。また雇用者が提供し、または業界規模で設けられるスキームによる企 業年金と、個人が年金事業者と取り決める個人年金についても区別している。 次に、私的年金の制度的な構造について検証する。これは年金を支給するために利用さ れる媒体の種類を示し、私的年金基金、内部留保と保険契約を区別している。この指標 は、年金の種類や確定給付型、確定拠出型、および混合スキームまたは複合スキームの 分類についても検証する。 それに続き、年金ギャップを分析する。これは、個人が退職後に特定の水準の所得を実 現するために任意加入型の私的年金で蓄える必要がある金額を示している。 4 つ目の指標は、2009 年の私的年金と公的年金積立金に含まれている資産に関するもの である。これらの資産がどのように投資されているかについて、5 つ目の指標で説明する。 それに続き、2008 年と 2009 年における私的年金と公的年金積立金の投資運用成績を分析 している。 7 つ目の指標では、私的年金スキームの事業費と強制加入型確定拠出年金において加入 者が負担する手数料について考察する。 最後の指標は、確定給付型企業年金スキームに焦点を当てている。この指標は、これら のスキームで保有されている資産と、現在および将来の年金債務とを対比検証するもの である。2007 年、2008 年および 2009 年について、上場企業 2,100 社の年金スキームの積 立率が提示されており、本社が所在する国別に集計されている。 44 ■私的年金への加入率 要約 年金改革によって公的年金の受給額が削減されたため、私的年金の枠組みの重要性が近 年増大してきている。OECD に加盟している 17 ヵ国では、私的年金への加入が強制また は準強制されている(すなわち、労使協約を通じて被雇用者ほぼ全員の加入を実現して いる) 。さらに、OECD に加盟している別の 6 ヵ国では、任意加入型私的年金(企業年金 と個人年金)に生産年齢人口のかなりの比率(40%超)が加入している。 OECD 加盟 34 ヵ国のうち、16 ヵ国では何らかの形の強制加入型または準強制加入型私的 年金制度を採用し、生産年齢人口の高い加入率を確保している。フィンランド、アイスラ ンド、ノルウェーとスイスでは、企業年金への加入が強制されており、生産年齢人口の 70% から 80%が加入している。雇用者は年金スキームの運営を義務付けられており、拠出率は 政府が定めている。OECD 加盟国の中ではアイスランドの加入率が最も高く、生産年齢人 口の 82.5%が加入している。その他の企業年金も準強制加入型に分類できる。業界全体ま たは全国規模の労使協約を通じて雇用者は年金スキームを設定し、被雇用者に加入を義務 付けている。かかる協約によってすべてのセクターをカバーできるわけではないため、こ れらの年金制度は強制加入型には分類されていない。例として、デンマーク、オランダお よびスウェーデンにおける企業年金が挙げられる。この 3 ヵ国の加入率は強制加入型年金 制度を採用している国の加入率に近く、生産年齢人口の 60%以上が加入している。 最近では、社会保障給付の一部に替えて、ラテンアメリカと中東欧諸国で強制加入型個人 年金口座制度が導入された。このような年金プランは、エストニア、ハンガリー、メキシ コ、ポーランド、スロバキア共和国のほか、デンマークとスウェーデンでも見られる。デ ンマークとスウェーデンではほぼ全員が加入しているが、高齢者は新制度に加入できない 傾向があるその他の国では全員加入にはほど遠い。新規労働者が個人年金に加入するにつ れて、30%から 50%という加入率は時間とともに上昇すると目されている。これらの国の 一部では非正規雇用の比率が高く、年金加入率の上昇を妨げている。 任意加入型企業年金プランの加入率は国ごとに異なっている。一部の国では、雇用者が被 雇用者と共同で自由に企業年金を設定できるという意味で、これらの年金プランは任意加 入型と呼ばれている。個人が自由に加入の是非を決定できる場合には個人年金プランは任 意加入型になる。任意加入型年金プラン(企業年金と個人年金の両方)の加入率は、カナ ダ、チェコ共和国および英国では 50%を上回っているほか、スロベニアも 50%に近い。他 方、ギリシャ、ルクセンブルク、ポルトガル、トルコなどの国では、任意加入型年金プラ ンの加入率が極めて低い(5%に満たない)。これらの国では、公的年金による厚い給付が 私的年金への加入率が低い理由になっている。強制加入型私的年金制度を導入しているメ キシコでも任意加入型個人年金の加入率は低い(1.6%) 。 45 イタリアとニュージーランドの 2 ヵ国では、全国規模で私的年金プランへの自動加入制度 (オプトアウト条項付き)が導入されている。しかし、その結果はまちまちで、ニュージ ーランドは新たに導入した「KiwiSaver」制度で 43%の加入率を実現した。一方、イタリア では退職手当引当制度(いわゆる Trattamento di Fine Rapporto-TFR)に留まることを明示 的に選択しなかった被雇用者は、2007 年に退職手当引当金が企業年金プランに自動的に払 い込まれた。こうしたルールにかかわらず、イタリアでは生産年齢人口のうち任意加入型 年金プランに加入しているのは 12.8%にすぎない。 任意加入型私的年金の加入率は年齢によって起伏があり、国によって異なるものの 35 歳 から 44 歳、または 45 歳から 54 歳までという生産年齢の全盛期でピークに達し、また報酬 とともに増加する傾向がある。 定義および数値算定方法 私的年金の加入率に関しては複数の測定基準が共存している。個人が私的年金プランに資 産を保有し、そのプランに拠出している場合、または個人に代わって拠出金が支払われて いる場合には、その個人は私的年金プランの加入者とみなされる。本書のデータにおいて 私的年金プランの加入者であるためには、個人は年金資産を保有するか、または発生給付 の受給権を保有している必要がある。そのため、ある個人が、ある年に(失業他、様々な 理由から)拠出を行っていない、またはその個人に代わって拠出が行われていない場合で も、その個人が年金資産を保有している場合、または発生給付の受給権を保有している場 合には加入者とみなされる。加入率に関するこれら 2 つの基準の大きな差異は大規模なイ ンフォーマル・セクターを抱えている国で発生している。 個人が企業年金プランと任意加入型個人年金プランの両方に加入することがあり得るた め、行政のデータを利用する際に個人がダブルカウントされる可能性がある。そのため、 企業年金と個人年金の加入データを合計しても任意加入型年金プランの正確な加入率は得 られない。例えば、カナダの場合には、生産年齢人口の 33.9%が企業年金プランに加入、 生産年齢人口の 35.1%が個人年金プランに加入しているが、任意加入型年金の加入率は 52.6%である。これは、企業年金プランに加入している者の 48%が個人年金プランにも加 入していることを示唆している。 46 プランの種類別に見た私的年金スキームの加入率、2009 年 生産年齢人口(16 歳から 64 歳まで)に占める比率、% 強制加入型/ 準強制 加入型 OECD 加盟国 オーストラリア 1,2,3 オーストリア ベルギー2 カナダ 2 チリ チェコ共和国 デンマーク エストニア フィンランド フランス 4 ドイツ 5 ギリシャ ハンガリー アイスランド 3 アイルランド イスラエル イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ ニュージーランド 68.5 該当なし 該当なし 該当なし 74.8 該当なし ATP:~70.0 QMO:~59.0 65.0 ~100.0 該当なし 該当なし 該当なし 43.6 82.5 該当なし 35.2 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 50.2 69.3 - 任意加入型 個人 企業年金 年金 12.1 38.5 33.9 該当なし 合計 該当なし 25.7 35.1 60.2 - 52.6 60.2 - 該当なし 7.4 3.5 32.2 0.2 該当なし 該当なし 28.6 7.5 18.8 3.4 1.5 該当なし 9.1 21.3 7.0 29.9 19.2 10.5 5.5 12.2 0.1 42.9 28.8 19.2 37.6 12.8 1.6 - 任意加入型 個人 企業年金 年金 強制加入型/ 準強制 加入型 OECD 加盟国(続き) ノルウェー ポーランド 53.0 ポルトガル 該当なし スロバキア共和国 36.5 スロベニア 6 該当なし スペイン 該当なし スウェーデン 3 PPM:~76.0 QMO:~68.0 スイス 2 70.1 トルコ 英国 7 該当なし 米国 3 該当なし その他の主要国 アルゼンチン ブラジル 8 EU27 ヵ国 中国 インド インドネシア ロシア連邦 3 サウジアラビア 南アフリカ 8 1.2 4.3 該当なし 7.0 該当なし 該当なし 合計 該当なし 22.0 21.8 28.1 - 21.8 48.2 - 該当なし 0.5 49.1 32.8 4.2 18.1 24.7 4.7 41.1 該当なし 2.0 5.4 23.4 6.1 - - -:入手不能を意味する。 該当なし:該当しないことを意味する。 1. データは強制加入型と任意加入型の合計を指している。 2. データは 2008 年の数値である。 3. 各国の当局から被雇用者の総数に対する比率として提供されたデータに基づく OECD の推計。提供されたデータは、生産年齢人口に対する就 業率によって調整されている。これは、労働力に含まれていない個人を含めないことを暗黙の前提にしている。 4. データは 2006 年の数値である。 5. 企業年金の加入率は 2007 年の数値で、Second Pillar のすべての年金が含まれている。個人年金の加入率は 2008 年の数値で、Riester 年金制度 と Rürup 年金制度が含まれている。 6. 特に特定の年に複数の企業で勤務している個人はつねに 2 種類以上の年金制度の加入者になるため、データには重複した計数が含まれること がある。 7. 複数の企業年金スキーム、および企業年金と個人年金の現役加入者と繰延加入者の間での重複した計数がデータに含まれることがある。比率 は、男性については 16 歳から 64 歳まで、女性については 16 歳から 59 歳までの就労期間に基づいて計算されている。 8. データは 2007 年の数値である。 出典:OECD グローバル年金統計および各国監督当局の推計 http://dx.doi.org/10.1787/888932371158 年齢別および報酬別の任意加入型私的年金プランの加入率 被雇用者の総数に対する比率、% オーストラリア アイルランド カナダ ノルウェー 被雇用者の総数に占める比率% フィンランド 英国 ドイツ 米国 被雇用者の総数に占める比率% 年齢 報酬分布の十分位 出典:Antolin, P.および E. R. Whitehouse(2009 年)、 「年金ギャップの補填:任意加入型退職後の貯蓄加入率とバリュー」 、社会、雇用および移民に 関する調査報告書 69 号、OECD 出版局(パリ)、OECD による各国のデータセットの分析(フィンランドとノルウェー)、各国の情報源 http://dx.doi.org/10.1787/888932371158 47 ■私的年金プランの制度的な構造 要約 私的年金プランは様々な形態で資金を積み立てている。2009 年には、データを入手でき る OECD 加盟国の平均では、OECD の私的年金資産の 74%が年金基金、19%が生命保険 会社および年金保険会社によって運営される年金保険契約、4%が銀行や投資顧問会社が 提供する退職後の所得に関連した商品によってそれぞれ保有されているほか、3%が内部 留保であった。 年金基金においては、DC プランが果たす役割は増大しつつある。ただし、多くの国で歴 史的に企業(職域)年金として DB が選好されてきたことを主因として、一部の国では 今も DB プランが年金基金資産の大部分を占めている。 大半の OECD 加盟国では、 企業年金は圧倒的に年金基金を通じて積み立てられているが、 年金保険契約が大きな役割を果たしているベルギー、デンマーク、フランス、ノルウェー およびスウェーデンのほか、内部留保(スポンサーである雇用者のバランスシート上の引 当金)を企業年金プランの主な形態にしているドイツなどの例外もある。個人年金プラン は銀行および資産運用会社から提供される年金保険契約または金融商品を通じて積み立て られることが多い。こうした一般的なトレンドに対する主な例外が、チリ、ハンガリー、 メキシコ、ポーランド、スロバキア共和国などで設定されている強制加入型の個人年金プ ランである。これらの制度では資産を蓄積する段階(退職前)に年金基金のみを介して積 み立てることができる。退職時には、蓄積された資産を年金保険商品に分類される年金保 険(annuity)に転換できる(場合によっては転換を義務付けられる) 。 2009 年にデータを入手できる OECD 加盟国の平均では、 私的年金市場の 74%が年金基金、 19%が生命保険会社および年金保険会社によって運営される年金保険契約、4%が銀行や投 資顧問会社かが提供する退職後の所得に関連した商品によってそれぞれ保有されているほ か、3%が内部留保である。 大まかに言うと、年金給付の計算方法と内在するリスクを誰が負担するかによって、年金 プランは基本的には確定給付(DB)と確定拠出(DC)のいずれかに定義することができ る。DC プランでは加入者がリスクの矢面に立つ一方、伝統的な DB プランではスポンサ ーである雇用者が大半のリスクを負担する。一部の国では、雇用者が様々な形の複合型と 混合型の DB プランを導入しているが、実質的には雇用者と被雇用者の間である程度のリ スク分担が行われている。カナダ、オランダなどの国における条件付き物価スライド型プ ランでは、給付水準は基金の将来の支払能力によって決定する。キャッシュバランスプラ ン(複合型 DB プランのもう 1 つの種類)は一定の拠出率と収益率保証(スポンサーであ る雇用者が保証を提供するため、これらのプランは DB に分類される)に基づいて給付を 行う。ベルギー(法律により雇用者は最低収益率保証を義務付けられている)、ドイツ、日 48 本および米国では、こうしたプランの人気が増大している。混合型のプランは、DB およ び DC という異なる 2 つの要素で構成されるプランで、同一のプランの一部として取り扱 われる。例えば、このプランは退職前の一定の年齢まで DC 計算式に基づいて給付額を計 算し、それ以降は DB 計算式を適用する。給付または収益率が保証され、加入者が共同で リスクを負担する、デンマーク、アイスランド、スイスのような DC プランもある。積立 不足が発生した場合にスポンサーである雇用者に対する遡及権がないため、このプランは DC に分類されている。しかし、このプランでは DB プランと同じく将来の給付をある程 度予測することができる。 OECD 加盟国では伝統的に企業年金プランで DB スキームを採用してきた。しかし、新し い加入者に対する DB プランの提供を中止し、DC プランへの加入を従業員に奨励してい る(かつ場合によっては既存の従業員に対する将来の給付発生も凍結させている)雇用者 の数で証明されているとおり、近年、多くの国では企業年金プランのスポンサーの間で DC プランに対する関心が強まってきている。しかし、DB プランは、主に多くの国で企業(職 域)年金にとって好ましい枠組みとして歴史的に主流であったことから、今も重要な役割 を果たしている。2009 年には、公的部門の年金基金では依然として DB が圧倒的に多いカ ナダ、フィンランド、フランス、ドイツ、韓国、ルクセンブルク、ノルウェー、ポルトガ ル、英国、米国などの国では、伝統的な DB 資産が年金基金資産の大部分を占めている。 もう 1 つの極端な例として、チリ、チェコ共和国、ギリシャ、ハンガリー、ポーランド、 スロバキア共和国およびスイスではすべての年金基金が DC スキームに分類されている。 他の OECD 加盟国では、国ごとに DB スキームと DC スキームの内訳が異なっている。 定義および数値算定方法 OECD は私的年金の分類に関する指針を定めている(2005 年の OECD 報告書を参照) 。分 析ではこの枠組みが利用されている。年金基金に関してはデータを容易に入手できる。他 方、すべての国が銀行や投資顧問会社が提供する年金保険契約や退職後の貯蓄商品に関す る情報を収集、報告しているわけではない。年金プランのスポンサーがバランスシート上 で(資産を法的に区別することなく)行う年金引当金による内部留保型制度に関する情報 を入手できるのも数ヵ国にすぎない。 参考文献 OECD(2005 年) 、私的年金:OECD 分類および用語解説、OECD 出版局(パリ) 。OECD の分類は、www.oecd.org/dataoecd/0/49/38356329.pdf から入手できる。 49 一部の OECD 加盟国における調達形態種類別の私的年金資産、2009 年 総資産に対する比率% 年金基金 帳簿準備金 年金保険契約 銀行/投資会社が運用するファンド トルコ スロバキア共和国 1 ニュージーランド 日本 ハンガリー ギリシャ エストニア チェコ共和国 チリ イスラエル ポーランド オーストラリア アイスランド ポルトガル メキシコ フィンランド スペイン イタリア 2 米国 スロベニア カナダ 韓国 オーストリア 3 デンマーク ベルギー1,4 ノルウェー1,4 スウェーデン 1 フランス 1 1. データは 2008 年の数値である。 2. 内部留保型制度に関するデータは当該プランの技術的な正味積立金を指している。 3. 内部留保型制度と年金保険契約に関するデータは OECD の推計である。 4. 年金保険契約に関するデータは OECD の推計である。 出典:OECD グローバル年金統計 http://dx.doi.org/10.1787/888932371177 一部の OECD 加盟国における DB 資産、DC 資産および複合型年金基金資産の相対的な比率、2009 年 総資産に対する比率 ノルウェー フランス 1 フィンランド カナダ 韓国 ポルトガル ルクセンブルク 米国 トルコ ニュージーランド スペイン メキシコ アイスランド オーストラリア イタリア デンマーク イスラエル DC 複合型/混合型 スイス 1 スロベニア スロバキア共和国 1 ポーランド ハンガリー ギリシャ エストニア チェコ共和国 チリ DB 1. データは 2008 年の数値である。 出典:OECD グローバル年金統計 http://dx.doi.org/10.1787/888932371177 50 ■年金ギャップ 要約 強制加入型年金スキームの所得代替率が OECD 加盟 34 ヵ国の平均を下回る国が 18 ヵ国 ある。こうした「年金ギャップ」はアイルランドの平均所得者やメキシコの女性の給与 に対して 28%以上の差となる例がある。英国とメキシコの男性の給与対比でも年金ギャ ップは 25%を上回っている。 年金ギャップを補填して全体の所得代替率を OECD の平均まで押し上げるために必要な 年金拠出額は、標準就労期間を通して拠出が行われた場合には最大で報酬の 7.5%になり 得る。しかし、大半の労働者が任意加入型私的年金への支払いを開始するのは就労後か なりの期間が経過した後である。その結果、6 ヵ国では、20 年間の拠出記録がない労働 者の拠出率を 10-15%に設定する必要がある。 この計算には退職後の所得を提供するすべての強制加入型プログラムが含まれており、そ の中には加入義務のある私的年金スキームと広範な社会支援スキームが含まれる。18 ヵ国 のグループには、英語圏の OECD 加盟 6 ヵ国(具体的には、オーストラリア、カナダ、ア イルランド、ニュージーランド、英国および米国)がすべて含まれている。OECD に加盟 している東アジアの 2 ヵ国(日本と韓国)およびベルギーやドイツを含む一部の欧州大陸 諸国も含まれている。 英国では、平均的な所得者の年金全体を OECD 平均の水準まで引き上げるためには、私 的年金スキームで 25.4%という所得代替率を実現する必要がある。18 ヵ国の中ではスウェ ーデンとポルトガルの年金ギャップが最も小さく、それぞれ 3.5%および 3.4%と分析され ている。18 カ国全体については、強制加入型年金の所得代替率は(男性の)平均所得者で 43.1%である。これは、平均では 14.3%の年金ギャップがあることを暗示している。メキシ コに関しては、年金保険が男女別に計算されているため男性と女性の結果は異なっている。 理由は、女性は蓄積された金額を退職後、男性より長期にわたって受給する必要があるた めである。 年金ギャップ補填のチャートに含まれている国は比較対照のため最初のチャートと同じ 順番で並べられている。結果は国ごとの年金支給開始年齢の差異に伴う影響を受けており、 年金支給開始年齢が低い国(例えば、エストニアとフランス)は、拠出期間が短く、退職 後の期間が長いことを意味する。ドイツ、英国および米国では、標準的な年金支給開始年 齢が長期的に 67 歳と 68 歳に引き上げられているため、拠出率は年金支給開始年齢が引き 上げられる前より低くなっている。 平均余命の差異も影響を及ぼしている。例えば、メキシコでは 65 歳の者はさらに 20.3 年 生存すると予測されているが、日本ではこの年数が 25.3 年である。言うまでもなく、平均 余命が長くなるほど、より長期にわたって支給義務を負う年金を賄うため、必要な拠出率 51 は上昇する。 全期間において拠出履歴がある場合には、年金ギャップを補填するため退職後の貯蓄プラ ンに払い込む必要がある報酬に対する割合は、一般的には高くない。例えば、日本と英国 では約 6%、アイルランドでは 7%を上回っている。オーストラリア、ベルギー、カナダ、 ドイツ、韓国および米国など、その他の多くの国で必要とされる拠出率は 2.5%から 4.1% である。 しかし労働者が必ずしも標準就労期間を全うするとは限らず、数年間にわたって拠出を行 わないこともあり得る。 ここでは、 就労の開始が 10 年および 20 年遅れた個人を例にする。 表示されている国に関しては、必要な拠出率の平均は、標準就労期間を全うした者の 3.8% に対し、就労期間が 10 年短い者の拠出率は 5.3%、20 年短い者の拠出率は 8.0%となる。就 労期間が 20 年短い者の必要な拠出率は、アイルランドでは 15.6%、日本では 13.4%で、標 準就労期間を全うした者にとって必要な水準の 2 倍を上回っている。 定義および数値算定方法 年金ギャップは、各国での強制加入制度における水準から OECD 加盟国の平均まで全体 的な所得代替率を引き上げるために任意加入型私的年金に拠出しなければならない金額を 示す数値である。単純化し、比較可能にするため、計算では、任意加入型年金に加入して いる者が、給付の価値が拠出額と投資収益によって左右される確定拠出プランに加入して いることを前提にしている。モデル化により、他の指標の計算と同じ一般的な前提を置い ている。とりわけ、事務管理手数料を控除した後の年金貯蓄の実質収益率を年率 3.5%と想 定している。 52 この頁には誤植があり、正しくはスウェーデンは表から除外される。 年金ギャップ 平均所得者における強制加入型年金スキームのグロス所得代替率および OECD の平均所得代替率との差異 強制加入型年金 年金ギャップ ポルトガル スウェーデン ノルウェー チェコ共和国 フランス エストニア オーストラリア チリ カナダ 韓国 ドイツ ベルギー 米国 ニュージーランド 日本 英国 メキシコ アイルランド メキシコ‐女性 所得代替率 個人報酬に対する比率、% 出典:OECD 年金モデル;OECD 報酬分布データベース http://dx.doi.org/10.1787/888932371196 年金ギャップの補填 OECD の平均的なグロス所得代替率を実現するために平均所得者に求められる拠出率 標準就労期間満了 10 年短い就労期間 20 年短い就労期間 ポルトガル スウェーデン ノルウェー チェコ共和国 フランス エストニア オーストラリア チリ カナダ 韓国 ドイツ ベルギー 米国 ニュージーランド 日本 英国 メキシコ アイルランド メキシコ‐女性 所得代替率 個人報酬に対する比率、% 出典:OECD 報酬分布データベース 53 ■年金基金と公的年金基金の資産 要約 大半の OECD 加盟国では将来の年金債務の履行を助けるため多額の資産が蓄積されてき た。2009 年には年金基金の資産の総額が国民総生産(GDP)の 68%近くに相当した。OECD 加盟国の半数が国民年金の支払いを助けるために公的年金積立金を設定している。これ らの国では、公的年金積立金が GDP のほぼ 20%にのぼっている。 2009 年には OECD 加盟国の年金基金の資産が 16.8 兆ドルに達している。OECD 加盟国の 中では米国の年金基金市場が最も大きく、その資産価値は 9.6 兆ドルで OECD 加盟国全体 の 57.1%を占めている。大規模な年金基金制度を有する他の OECD 加盟国としては、英国 (資産総額は 1.6 兆ドルで、 2009 年の OECD 加盟国の年金基金市場におけるシェアは 9.5%) 、 日本(資産総額は 1.0 兆ドルで、シェアは 6.2%) 、オランダ(資産総額は 1.0 兆ドルで、シ ェアは 6.1%) 、オーストラリア(資産総額は 8,000 億ドルで、シェアは 4.8%)およびカナ ダ(資産総額は 8,000 億ドルで、シェアは 4.8%)などがある。 2009 年に、年金資産の対 GDP 比率が 100%を上回っていた国は、オランダ(129.8%) 、ア イスランド(118.3%) 、スイス(101.2%)の 3 ヵ国にすぎない。これら 3 ヵ国に加え、オ ーストラリア(82.3%) 、英国(73.0%)と米国(67.6%)では、年金資産が OECD 加盟国の 対 GDP 比率の加重平均(67.6%)を上回っている。これらの国では、積立方式年金を導入 してから長い年月を経ており、英国と米国を除いて、強制加入型または準強制加入型の私 的年金制度を導入している。それ以外の国では、年金基金の資産の対 GDP 比率が国ごとに 異なっている。 OECD に加盟している 34 ヵ国のうち、年金資産の対 GDP 比率が 20%を上回っているの は 13 ヵ国にすぎない。それ以外の国ではこの数年に強制加入型の積立方式年金制度が導入 されてきた。このうち、チリの歴史が最も長く、蓄積されてきた資産は OECD 加盟国の平 均に近い(65.1%) 。ハンガリー、メキシコ、ポーランド、スロバキア共和国など、1990 年 代末から 2000 年代の前半に強制加入型私的年金を導入した国の成長見通しも極めて明る い。強制加入型私的年金を導入して以来、年金資産は急激な伸びを見せ、ハンガリーとポ ーランドでは GDP の 13%前後に達している。新しい退職所得制度に加入する人が増加す るとともに、既存の加入者が追加の拠出を行うため、これらの数字は今後数十年にわたり 上昇を続けると見られる。 公的年金基金(PPRF)は、人口の高齢化に伴う国庫への影響を軽減しながら、公的年金 制度の将来の年金支払原資の資金準備で重要な役割を果たすことが期待されている。2009 年末には、データを入手できる OECD 加盟 16 ヵ国では PPRF の資産総額が 4.6 兆米ドルに 達した。最大の積立金を保有しているのは米国の社会保障信託基金で、その資産は OECD 加盟国全体の 54.7%に相当する 2.5 兆米ドルにのぼっている(ただし、この資産は米財務 54 省が社会保障信託に発行した売買不能の借用証書(IOU)で構成されている)。日本の年金 積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が 2 番目に大きく、1.3 兆米ドル(OECD 加盟国全 体の 28.2%に相当)の資産を保有している。残りの国の中では、韓国、スウェーデンおよ びカナダも多額の積立金を蓄積しており、それぞれ全体の 4.7%、 2.3%、2.3%を占めている。 各国の経済と資産総額を比較すると、OECD 加盟国では 2009 年に、PPRF 資産が平均で GDP の 19.6%を占めている。GDP に対する比率が最も高いのはスウェーデンの AP ファン ドで、対 GDP 比率は 27.2%である。その他で比率が高い国には韓国(26.1%) 、日本(25.8%) などがある。オーストラリア、ニュージーランドおよびポーランドでは PPRF が設立され てから比較的日が浅い(2002 年から 2006 年にかけて設立)ため、これまで蓄積された資 産の水準が低い。今後は資産の蓄積が進むと見られる。 定義および数値算定方法 年金基金とは独立法人として形成され、資産をプールし、年金給付の原資調達のみを目的 とし、年金プランへの拠出金によって賄われている。年金プラン/基金の加入者には、年金 基金の資産に対し、法律上の権利もしくは受益権またはその他契約上の請求権が付与され ている。 PPRF は、公的年金支出を賄うために政府または社会保障機関によって設定された基金で ある。かかる積立金の資産は広義の政府部門の一部を形成している。 55 OECD 加盟国における年金基金と公的年金基金の資産、2009 年 対 GDP 比率および資産額(単位:百万米ドル) 年金基金 対 GDP 米ドル 比率 OECD 加盟国 オーストラリア オーストリア ベルギー1 カナダ チリ チェコ共和国 デンマーク 2 エストニア フィンランド フランス 1,3 ドイツ 4 ギリシャ ハンガリー アイスランド アイルランド イスラエル イタリア 日本 5 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ ニュージーランド 6 82.3 4.9 3.3 62.9 65.1 6.0 43.3 6.9 76.8 0.8 5.2 0.0 13.1 118.3 44.1 46.9 4.1 25.2 2.2 2.2 7.5 129.8 11.8 808 224 18 987 16 677 806 350 106 596 11 332 133 980 1371 182 286 21 930 173 810 63 16 886 14 351 100 278 95 257 86 818 1 042 770 29 632 1171 107 135 1 028 077 13 755 公的年金基金 対 GDP 米ドル 比率 5.9 該当なし 5.0 8.5 2.1 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 4.3 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 13.7 該当なし 該当なし 25.8 26.1 該当なし 0.3 該当なし 7.1 51 629 該当なし 23 480 108 627 3 420.8 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 118 669 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 31 049 該当なし 該当なし 1 308 704 217 768 該当なし 3 605 該当なし 8 265 年金基金 対 GDP 米ドル 比率 OECD 加盟国(続き) ノルウェー7 ポーランド ポルトガル スロバキア共和国 1 スロベニア スペイン スウェーデン 1,8 スイス 1 トルコ 英国 9 米国 OECD 加盟 34 ヵ国 その他の主要国 アルゼンチン 10 ブラジル 10 EU27 ヵ国 中国 10 インド インドネシア ロシア連邦 11 サウジアラビア 南アフリカ 10 公的年金基金 対 GDP 米ドル 比率 7.3 13.5 13.4 4.7 2.6 8.1 7.4 101.2 2.3 73.0 67.6 67.6 27 852 58 143 30 441 4 640 1 266 118 056 35 307 496 957 14 017 1 589 409 9 583 968 16 777 792 5.0 0.5 5.7 該当なし 該当なし 5.7 27.2 該当なし 該当なし 該当なし 17.9 19.6 18 963 2 343 13 068 該当なし 該当なし 83 387 108 785 該当なし 該当なし 該当なし 2 540 348 4 642 111 11.5 17.1 .. 0.6 5.4 2.2 1.5 .. 58.4 30 105 224 218 .. 19 980 61 971 9 614 14 987 .. 165 630 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし 注: 「OECD 全体」は、データが表示されている国の基金資産の対 GDP 比率の加重平均または米ドルによる基金の資産総額を示している。 該当なし:該当しないことを意味する。 1. 年金基金のデータは 2008 年の数値である。 2. 年金基金のデータは任意加入の企業年金基金のみの数値である。これらのプランに、企業年金保険契約で管理されている資産を加えると、そ の総額は GDP の 99.3%にのぼる。 3. 公的年金基金のデータは 2008 年の数値である。 4. 年金基金のデータは任意加入の企業年金基金のみの数値である。これらのプランに、企業年金保険契約で管理されている資産を加えると、2008 年の総額は GDP の 13.3%にのぼる。 5. 年金基金のデータは日本銀行によるデータである。 6. 公的年金基金のデータは 2009 年 6 月の数値である。 7. 政府管掌年金基金-グローバル(前身は Government Petroleum Fund と呼ばれた政府系ファンド)は、年金支出の原資調達を上回る原油収入を 積み立てることを任務にしている(そのため政府管掌年金基金に分類されていない。したがって、上表の数字は政府管掌年金基金-ノルウェ ー(前身は National Insurance Scheme Fund)の数値(5.0%)のみが表示されている。対照的に、より大規模な政府管掌年金基金-グローバルの 総資産は GDP の 109.6%にのぼる。 8. 年金基金のデータは任意加入の企業年金基金のみの数値である。2008 年には、これらのプランにプレミアム年金制度で管理されている資産を 加えると、その総額は GDP の 8.9%にのぼるとともに、企業年金保険契約で管理されている資産は GDP の 38.9%にのぼる。 9. 年金基金のデータは OECD の推計である。 10. データは 2007 年の数値である。 11. データは 2006 年の数値である。 出典:OECD グローバル年金統計 http://dx.doi.org/10.1787/888932372469 56 ■年金基金と公的年金基金の資産配分 要約 2009 年末の時点では、伝統的な資産クラス(主に債券と株式)が年金基金と公的年金基 金ポートフォリオにおける最も一般的な投資対象であった。株式と債券の比率は国によ ってかなりの差があるが、一般的には債券を選好する傾向が強い。 2009 年のデータを入手できる大半の OECD 加盟国では、債券と株式が依然として最も重 要な資産クラスになっており、OECD に加盟している 9 ヵ国では、2009 年末の時点で年金 基金のポートフォリオ全体の 80%を上回っている。例えば、オーストリアでは債券への投 資が年金資産総額の 54.9%、株式への投資が 26.8%を占めており、オーストリアの年金基 金において株式と債券を合計した加重平均は 81.7%となっている。2009 年の年金基金のポ ートフォリオ総額に対する債券と株式を合計した比率は、ポーランドでは 96.7%、メキシ コでは 95.4%、チリでは 93.8%、ノルウェーでは 89.7%、デンマークでは 88.4%、イスラエ ルでは 85.2%、チェコ共和国では 84.7%、ハンガリーでは 82.2%である。その一方、エスト ニア(37.9%) 、韓国(36.5%) 、ルクセンブルク(44%)ではこの比率が 50%を下回ってい る。 年金基金のポートフォリオにおける株式と債券の比率は国によって大きく異なっている。 2009 年末の時点では、一般的には債券を選好する傾向が強かったが、OECD 加盟国の中に は株式を選好している国もあった。例えば、オーストラリアでは債券 12.8%に対し株式の 比率が 54.4%、 フィンランドでは債券 37.5%に対し株式の比率が 40.6%、 米国では債券 31.4% に対し株式の比率が 45.4%と、いずれも株式が債券を上回っている。カナダとチリでは株 式と債券の比率がほぼ同水準で、年金基金の投資全体の 3 分の 1 を上回っている。 「債券」カテゴリーの中では、多くの国で、年金基金が保有する債券のうち、社債に対し 公債の比率がかなり高くなっている。例えば、ギリシャとトルコでは公債が保有債券全体 の 100%を占めているほか、ポーランドでは 96.6%、イスラエルでは 85.8%、ハンガリーで は 85.5%を占めている。一方、ノルウェーでは 30.7%、チリでは 26.7%、ドイツでは 8.9% にすぎない。 一部の OECD 加盟国では、 現預金も年金基金ポートフォリオで高いシェアを占めている。 例えば、2009 年のポートフォリオ全体に占める現預金の比率は、スロベニアでは 20.7%、 トルコでは 27.8%、ギリシャでは 32.1%、韓国では 40.2%、ルクセンブルクでは 42.6%とな っている。 大半の OECD 加盟国では、若干の例外はあるものの、貸付金、不動産(土地と建物) 、不 分割保険契約および私募投信は年金基金資産のうち比較的小さな金額しか占めていない。 例えば、スイス、ポルトガル、フィンランド、カナダ、オーストラリアでは不動産が年金 基金のポートフォリオで重要な構成要素になっている(総資産の 5%から 10%を占めてい 57 る) 。DB スキームの積立不足を削減し、収益を高める圧力がオルタナティブ投資に向かわ せる原動力になっている例も見られ、年金基金がリスクをヘッジするとともに、原市場に 直接投資する代替としてデリバティブを利用する機会が増えている。 2009 年末の時点では、PPRF(公的年金基金)のポートフォリオでも債券と株式が主な資 産クラスであった。それぞれの長期的な投資見通しと、一般的には投資の自主性が高まっ ていることを反映して、一部の基金では株式を偏重する傾向も強かった。例えば、2009 年 にアイルランドの国民年金基金は資産の 72.0%を株式に投資し、5.5%を債券に投資してい た。一方、株式と債券に投資している比率は、ノルウェーでは 61.4%と 33.9%、スウェー デン(AP3 ファンド)では 50.2%と 35.6%、オーストラリアでは 44.2%と 23.7%であった。 他方、日本、ポルトガル、ポーランドおよびメキシコでは、2009 年の時点で基金が投資し た金額は株式より債券の方がはるかに大きかった。 極端な例がベルギー、スペインおよび米国の PPRF で、法律により全額が国債に投資され ている(ただし、スペインの基金では総資産の 3.3%を現預金として保有している)。 一部の PPRF でも不動産のほか、プライベート・エクイティ・ファンドやヘッジファンド など従来とは異なる資産クラスへの投資が始まっている。例えば、プライベート・エクイ ティ・ファンドとヘッジファンドに対する配分比率が最も高いのは、ニュージーランド (2009 年には全体の 26.7%) 、カナダ(17.1%) 、オーストラリア(12.7%)である。 58 一部の OECD 加盟国における代表的投資カテゴリーに対する年金基金の資産配分、2009 年 投資総額に占める比率% 株式 債券 その他 1 現預金 オーストラリア チリ 米国 フィンランド 英国 2 加重平均 カナダ ベルギー2 オランダ ノルウェー ポーランド オーストリア トルコ スウェーデン 2 ポルトガル アイスランド 単純平均 スイス 2,3 ハンガリー デンマーク メキシコ ルクセンブルク 日本 4 スペイン イタリア 5 スロベニア ギリシャ イスラエル 6 ドイツ 7 エストニア 8 スロバキア共和国 2 韓国 チェコ共和国 注:GPS データベースは、投資信託に対する投資およびルックスルー投資信託による現預金、債券、株式その他に対する投資に関する情報を提供 している。国によって資産内容を把握(ルックスルー)できない場合には、OECD の機関投資家データベースから入手したオープンエンド会社型 (投資信託)に対する資産配分データに基づく推計が行われている。そのため、この図表における資産配分データには、株式、債券、現金に対す る直接投資と投資信託を通じた間接投資が含まれている。 1. 「その他」のカテゴリーには、貸付金、土地建物、不分割保険契約、私募投信、その他の投資信託(すなわち、現金、債券または株式には投 資していない)およびその他の投資が含まれている。 2. データは 2008 年の数値である。 3. 「その他」のカテゴリーの数値が高いのは、主に土地建物(11%)とその他の投資信託(8%)によるものである。 4. 日銀のデータ。 「その他」のカテゴリーの数値が高いのは、主に対外証券投資(26%)によるもので、様々な証券の内訳に関する情報は入手で きない。 5. 「その他」のカテゴリーの数値が高いのは、主に不分割保険契約(22%)によるものである。 6. 「株式」のカテゴリーには投資信託によるすべての投資が含まれているが、様々な証券の内訳に関する情報は入手できない。 7. 「その他」のカテゴリーの数値が高いのは、主に貸付金(30%)とその他の投資信託(16%)によるものである。 8. 「その他」のカテゴリーの数値が高いのは、主に私募投信(46%)によるものである。 出典:OECD グローバル年金統計 http://dx.doi.org/10.1787/888932371215 一部の OECD 加盟国における代表的投資カテゴリーに対する公的年金基金の資産配分、2009 年 投資総額に占める比率% 株式 債券 現預金 その他 1 アイルランド ノルウェー スウェーデン‐AP3 オーストラリア フランス‐FRR カナダ 2 ニュージーランド 3 単純平均 日本 ポルトガル ポーランド 加重平均 メキシコ スペイン ベルギー 米国 1. 「その他」のカテゴリーには、仕組み商品、土地建物、私募投信、貸付金、不分割保険契約およびその他の投資が含まれている。 2. 「その他」のカテゴリーの数値が高いのは、主に私募投信(17%)によるものである。 3. データは 2009 年 6 月の数字である。「その他」のカテゴリーの数値が高いのは、主に私募投信(27%)によるものである 出典:OECD グローバル年金統計 http://dx.doi.org/10.1787/888932371215 59 ■年金基金と公的年金基金の運用成績 要約 年金基金は、2009 年に平均+6.5%の実質投資収益をあげた。こうした収益の回復にかか わらず、2009 年 12 月 31 日時点の年金基金の資産価値は 2007 年 12 月時点の水準を平均 で 9%下回っていた。2009 年には、公的年金基金(PPRF)が 2008 年の金融危機で蒙った 損失を取り戻した。2009 年末には、PPRF の資産総額が平均で 2008 年末の水準を 7.3%、 2007 年 12 月の水準を 13.9%、それぞれ上回った。 2008 年には、OECD 加盟国の年金基金は平均では実質ベースで 22.5%のマイナス・リタ ーンとなった。OECD 加盟国の年金基金は、2009 年中に 2008 年に失った時価総額 3.5 兆米 ドル(2007 年 12 月の 18.7 兆米ドルから 2008 年 12 月に 15.3 兆米ドルに減少)のうち 1.5 兆米ドル前後を回復した。 年金基金は 2009 年末までに実質ベースで平均+6.5%の投資収益をあげた。2009 年の年金 基金のパフォーマンスは大半の OECD 加盟国で 10%から 15%の範囲内にある。OECD 加盟 国の中で 2009 年に最も高いパフォーマンスをあげた年金基金は、チリ(23%)、ハンガリ ー(17%) 、オランダ(16%)およびルクセンブルク(14%)である。他方、チェコ共和国、 韓国などの国では年金基金の平均投資収益率がわずかなプラス(5%未満)となった。アイ スランドでは年金基金の 2009 年の投資収益率はマイナスであった(▲10%) 。 このような回復にかかわらず、大半の OECD 加盟国では年金基金の資産が 2007 年末時点 を上回る水準まで戻っておらず、2008 年の損失を全額取り戻すためにはしばらく時間がか かると見られる。情報を入手できる国に関しては、2009 年 12 月 31 日現在の年金基金の資 産は平均で 2007 年 12 月時点の水準を 9%下回っている。しかし、中には 2008 年の損失か らすでに完全に回復している国もある。これに該当するのは、オーストリア(2009 年末時 点の資産は 2007 年 12 月の水準を 4.0%上回っていた)、チリ(同 8.4%) 、エストニア(同 34.4%) 、ハンガリー(同 23.3%) 、アイスランド(同 3.5%) 、イスラエル(同 60.9%) 、ニ ュージーランド(同 11.3%) 、ノルウェー(同 9.2%)、ポーランド(同 28.3%)とスロベニ ア(同 45.2%)である。 PPRF の投資収益に対する金融危機の影響は国により大きく異なる。一部の国(アイルラ ンド、ノルウェー、フランスの年金基金およびスウェーデン)では年金基金が 2008 年に 20%を上回る大幅なマイナス・リターンになった一方、他の国(ベルギー、スペイン、米 国、メキシコ)ではプラスの投資収益をあげた。2009 年末の時点では、データを入手でき るすべての基金がプラスの実質正味投資収益をあげたが、その規模はメキシコの+1.3%か らノルウェーの+30.7%となっている。 (総資産で加重平均した)2008 年の投資収益率は小 幅なマイナス、2009 年はプラスで、2008 年の▲2.0%から 2009 年には+6.2%へ上昇した。 2009 年末には、PPRF 資産の総額は 2008 年末時点の水準を平均で 7.3%、2007 年 12 月の水 60 準を 13.9%、それぞれ上回っている。 2009 年の回復は、同じ 10 年間に発生した大規模な 2 つのバブル崩壊によって引き起こさ れた損失の回復に向けた重要なステップであることを示している。より長期の投資期間に わたってデータをみると、依然として長期トレンドを下回ってはいるものの、パフォーマ ンスは上向いてきたように見える。過去 5 年間の年平均実質収益率はアイルランドの▲ 0.6%からスウェーデン(第 6 次 AP ファンド)の+4.1%の範囲内に収まっている。さらに 長期のデータが入手できる国に関しては、パフォーマンスを示す数値は若干明るくなって きたように見える。例えば、過去 10 年間のメキシコの IMSS reserve の年平均実質収益率は 3.4%、ポーランドの demographic reserve fund の収益率は+5.9%、またノルウェーの政府管 掌年金基金の収益率は+4.6%であった。 定義および数値算定方法 (物価上昇率調整後の)実質収益率は各国の評価方法を利用して計算されている。 61 一部の OECD 加盟国における年金基金の実質正味投資収益率、2008 年‐2009 年(%) アイルランド アイスランド 米国 1 オーストラリア 加重平均 ベルギー ハンガリー チリ フィンランド カナダ オランダ ポーランド ルクセンブルク ポルトガル オーストリア イスラエル 単純平均 英国 スイス ノルウェー スペイン エストニア イタリア メキシコ スロバキア共和国 チェコ共和国 スロベニア ギリシャ ドイツ 韓国 トルコ 1.2009 年のデータは 2009 年 1 月から 6 月までの期間を指している。 出典:OECD グローバル年金統計 http://dx.doi.org/10.1787/888932371234 一部の OECD 加盟国における PPRF の実質正味投資収益率、2008 年‐2009 年(%) アイルランド ノルウェー フランス‐FRR スウェーデン‐AP21 スウェーデン‐AP1 スウェーデン‐AP4 スウェーデン‐AP3 スウェーデン‐AP6 カナダ 2 単純平均 オーストラリア フランス‐ARRCO3 フランス‐AGIRC ポーランド ニュージーランド 4 ポルトガル 韓国 5 加重平均 ベルギー スペイン 米国 メキシコ 1. スウェーデンには 5 つの国民年金基金(AP1 から AP4 および AP6)がある。 2. 2009 年のデータは 2010 年 3 月 31 日に終了した 2010 年度の数値である。 3. AGIRC と ARRCO はそれぞれ、ホワイトカラー労働者とブルーカラー労働者を対象とする未積立の強制加入型の補完的なプラン(積立金あり) である。これらのプランに関する詳細な情報は、OECD 私的年金見通し(2005 年)に掲載されている。 4. データは毎年 6 月の数値である。 5. 2009 年のデータは 2010 年 1 月から 3 月までの期間の数値である。 出典:OECD グローバル年金統計 http://dx.doi.org/10.1787/888932371234 62 ■年金基金の事業費と費用 要約 運用資産に対する事業費の総額で測定される私的年金制度の効率性は国によって大きく 異なっており、運用資産の 0.1%から 1.2%に及んでいる。これらの費用を賄うために年金 加入者が負担する手数料の体系と水準は国ごとにかなり異なっている。 私的年金制度の効率性は運用資産に対する総事業費を調べることによって判断できる。私 的年金制度の総事業費には、年金拠出金を退職給付に変換する過程で関係するすべての事 務管理費用と運用費用が含まれている。 図表は、2009 年に OECD 加盟国が報告した年金基金業界の事業費を示している。一般的 には、確定拠出制度を採用している国と多数の小規模な基金を持っている国の事業費は、 確定給付年金、複合的確定拠出年金または集合的確定拠出年金の枠組みを提供する少数の 基金しかない国より高いように思われる。例えば、メキシコでは事業費が運用資産の 1.2%、 スペインでは 1.1%、スロベニアでは 0.9%、チリとニュージーランドでは 0.8%、スロバキ ア共和国とハンガリーでは 0.7 を占めている。他方、オーストリア(0.2%) 、ギリシャ(0.2%) 、 デンマーク(0.1%) 、アイスランド(0.1%)とルクセンブルク(0.1%)では、事業費が総 資産の 0.3%にも満たない。 私的確定拠出年金制度では、 年金事業者が年金加入者に請求する手数料を通じて事業費を 賄っている。手数料体系は国によってかなり複雑である。この分析では強制加入型 DC 制 度の手数料のみを考慮に入れている。 オーストラリア、デンマーク、メキシコおよびポーランドでは手数料は定額である。デン マークでは、この手数料は投資に関わる事務管理費用と ATP 制度の保険部分の事務管理費 用をカバーしている。メキシコでは、16 中 2 つの Afore(年金基金)のみが 2009 年に追加 の残高明細書と文書再発行の対価として定額の手数料を請求していた。ポーランドでは基 金を移動する際に加入年数に応じて定額の手数料(加入年数が 1 年未満の場合には 60 ズウ ォティ、2 年未満の場合には 80 ズウォティ、加入年数が 2 年を上回る場合は無料)が設定 されている。 拠出に対して変動する手数料(給与に対する比率または拠出金に対する比率で示される) が最も一般的で、表に列挙されている大半の国で採用されている。例外は、ATP に対して のみ定額の手数料が請求されるデンマークのほか、エストニア、メキシコおよびスウェー デンである。メキシコでは、2008 年 3 月現在、Afore は資産にのみ手数料を課すことがで きる。2008 年 3 月以前は資産と拠出の両方に手数料を請求することができた。 資産に対する変動手数料は基金の資産額または収益のいずれかを基準に請求することが できる。この手数料が誘因となり、年金事業者は投資収益を高めようとする。オーストラ リア、エストニア、ハンガリー、イスラエル、メキシコおよびスウェーデンは資産に対し 63 てのみ手数料を請求するが、ポーランドとスロバキア共和国は資産と収益の両方に手数料 を課している。 定義および数値算定方法 事業費には、潜在的な加入者に対するプランの販売、拠出金の徴収、拠出金の運用会社へ の送金、口座記録の維持、加入者への報告書送付、資産への投資、口座残高の年金保険へ の転換、および年金保険の支払いが含まれる。 手数料は定額と変動のいずれかになる。定額手数料の特徴は、手数料の水準が給与、基金 のいずれの影響も受けないことである。変動手数料は、拠出金の受入、運用資産の金額、 または運用資産に係る投資収益のいずれかに対する比率という形をとることがある。 一部の手数料は全額報告されない可能性がある。例えば、チリでは国際的な投資信託に投 資している年金基金はかかる投資信託から運用報酬を直接控除している。年金基金の管理 者はかかる報酬を個別に報告していない。 64 ルクセンブルク アイスランド 1 デンマーク ギリシャ オーストリア 2 ベルギー2 韓国 ドイツ 1 英国 2 ポルトガル 1 イスラエル カナダ オーストラリア 1,3 ポーランド フィンランド 1 オランダ スイス 2 ノルウェー ハンガリー チェコ共和国 1 スロバキア共和国 1,2 ニュージーランド 1 チリ スロベニア スペイン メキシコ 一部の OECD 加盟国における年金基金の投資総額に対する事業費率、2009 年(%) 1. データには投資管理費用が含まれていない。 2. データは 2008 年の数値である。 3. データには自家運用老齢年金基金が含まれていない。 出典:OECD グローバル年金統計 http://dx.doi.org/10.1787/888932371253 一部の OECD 加盟国における強制加入型 DC スキームの平均事務管理手数料、2009 年 拠出額に対する 正味手数料 (給与に対する比率:%) 資産に対する手数料 (個人口座残高に 対する比率:%) 拠出金の 0~4.5% 0.7~2.53 オーストラリア 収益に対する手数料 (投資収益に対する 比率:%) 38(年間) 1.50 チリ 362 デンマーク 1.54 エストニア ハンガリー 0.44 0.57 イスラエル 拠出金の 4.3% 0.39 1.70 メキシコ 13.02 から 21.70 0.44 0.41 資産の 0.023% 拠出金の 1% (個人年金口座維持 手数料) 年金基金資産の 月次平均純額に対し 最大で 0.025% 過去 6 ヵ月間に実現され た収益の 6 分の 1 に対し 最大で 5.6% ポーランド スロバキア共和国 定額手数料 (現地通貨建て) スウェーデン 80 から 160(移動手数料) 0.42~1.21 出典:各国の監督当局の推計 http://dx.doi.org/10.1787/888932371253 65 ■DB スキームの積立率 要約 2009 年末時点の上場企業の確定給付プランの積立率は依然として 2007 年末の水準を大 きく下回っていた。 OECD 加盟国の年金資産の約 60%は、収益または給付を保証する確定給付プランおよび その他のプランが保有している。市場は 2009 年に回復に転じたが、一部の OECD 加盟国 では確定給付プランの積立率は依然として非常に低い水準にある。確定給付年金基金が 2008 年に蒙った資産の大きな損失は、債務評価に使用された社債利回りの上昇によって確 定給付債務の水準が低下したことから一部の国で一部相殺された。2009 年には、社債利回 りの低下によって確定給付債務が増加し、中には多額の投資収益の一部が相殺されるなど、 反対の影響を受けた国もあった。そのうえ、オーストラリアなど一部の国では為替レート の不利な変動によって投資収益が減少した。 図表には、2,100 社の上場企業が 2009 年、2008 年および 2007 年に終了した会計年度の年 次財務諸表で公表した確定給付債務の総額に対する積立水準の推計中央値が示されている。 すなわち、各社の年金資産が国際会計基準で定義されている各社の確定給付債務を上回っ ている比率(または下回っている比率)の推計中央値が表示されている。企業は本社が所 在する国別にグループ分けされている。 使用された指数に組み入れられている企業のうち、南アフリカとブラジルに本社を置く企 業が、中央値では、調査対象企業の中で最も積立率が高かった。年金資産が会計基準に基 づく年金関連債務を上回ったのはこの 2 ヵ国だけであった。残りの国は多少とも積立不足 になっていた。ノルウェー、ベルギー、スウェーデンおよび日本に本社を置く企業は、会 計基準に基づく積立率が最も低かった。 指数に組み入れられた企業の積立率の中央値は、2007 年に終了した会計年度末の 13%の 積立不足から 2008 年に終了した会計年度末には 23%の積立不足まで悪化した。2009 年に 終了した会計年度末には積立比率の中央値がわずかに低下し、26%の不足となった。南ア フリカ、カナダ、ポルトガル、英国、オーストラリア、アイルランドおよび日本に本社を 置く企業では 2009 年の積立率が 2008 年に比べて悪化した。一方、スイス、オランダ、フ ィンランド、米国、ノルウェー、ベルギーおよびスウェーデンに本社を置く企業では積立 率が改善した。 定義および数値算定方法 積立水準(すなわち、年金債務に対する年金資産の比率)は、年金プランのスポンサーの 会計データを利用して推計されている。確定給付プランを運営する上場企業に関しては、 年金債務を報告する包括的な義務がある。 66 積立水準は、企業のサンプルと、2007 年、2008 年および 2009 年に終了した会計年度末の 年金に対する確定給付債務を報告している 2,100 社を対象にしたグローバル指数を利用し て計算されている。このグローバル指数は、50 の国およびすべてのセクターを調査対象に してトムソン・ファイナンシャル・リミテッドが作成したトータル・マーケット・エクイ ティ指数である。 企業は、本社が所在する国別にグループ分けされている。そのため、データは本社が所在 する国の年金プランではなく、本社が管理している年金プランを表している。企業の財務 諸表に記載されている積立水準は、世界全体を合計したベースに基づいて報告されること が最も多いこと、そのため特定のプランのレベルまたは各国の規制上の積立基準に関して 起きたことを非常に大まかに示すのみであることに留意することも重要である。 上場企業 2,100 社の確定給付債務の総額に対する積立超過率または不足率の推計中央値 本社を置く国別の比率 1 (単位:%) 日本本社 スウェー デン本 社 ベルギー 本社 米国本社 フィンラ ンド本 社 アイルラ ンド本 社 オースト ラリア 本社 英国本社 ポルトガ ル本社 ノルウェ ー本社 2009 年 通 年 換算 2008 年 通 年 換算 オランダ 本社 スイス本 社 カナダ本 社 ブラジル 本社 南アフリ カ本社 2007 年 通 年 換算 1. 2009 年 に確定 給付債 務を報 告した 指数組 入企業 のみが 含まれ ている 。ブラ ジルに つい ては 2007 年度末 のデー タを入 手でき ない。 出 典:ト ムソン ・ロイ ターズ ・デー タスト リーム http://dx.doi.org/10.1787/888932371272 67 上場企業 2,100 社の確定給付債務の総額に対する積立超過率または不足率の推計中央値 本社を置く国別の比率 1 (単位:%) 本社 ノルウェ 米国本社 フィンランド本社 オーストラリア本社 英国本社 ポルトガル本社 オランダ本社 アイルランド本社 2009 年通年換算 2008 年通年換算 スイス本社 カナダ本社 ブラジル本社 南アフリカ本社 2007 年通年換算 1. 2009 年に確定給付債務を報告した指数組入企業のみが含まれている。ブラジルについては 2007 年度末のデータを入手できない。 出典:トムソン・ロイターズ・データストリーム http://dx.doi.org/10.1787/888932371272 部分翻訳された原文は OECD により英語およびフランス語で発行された以下を表題とする 文書: Pensions at a Glance 2011: Retirement-income Systems in OECD and G20 Countries Panorama des pensions 2011: Les systèmes de retraites dans les pays de l'OCDE et du G20 © 2011 OECD All rights reserved. © 2015 公益社団法人日本年金数理人会(本日本語翻訳版について) 68 書籍紹介 「退職に関する財務助言市場」(The Market for Retirement Financial Advice) オリビア・ミッチェル、ケント・スメッター編 (三井住友信託銀行 杉田健) 本書は、退職に関する財務助言(retirement financial advice)業務、すなわち個人の年金勘 定の運用・原資の年金化などに関する助言業務について、実態・効果・規制の観点から論 じたものである。DB(給付建て)企業年金制度から DC(掛金建て)企業年金制度への移 行が続いている米国では、個人の責任で自己の年金勘定の資産を運用し、原資を年金化す る重要性が増しているが、 これに伴い財務助言業務が広がっており一大市場となっている。 本書は、財務助言業務(ファイナンシャル・プランナー業務と言っても良い)の市場に対 する様々な研究を収録したのが本書である。 本書は索引も含めて 341 ページからなり、14 の論文から構成され、導入部に続く 3 つの 部分に分かれる。すなわち冒頭、財務助言業務の市場に関する問題意識及び本書の概要が 解説され、引き続き第 1 部は財務助言業務の実態に関する 6 つの論文、第 2 部は財務助言 の効果測定に関する 4 つの論文、第 3 部は規制に関する 2 つの論文が収録されている。以 下、主要部分を抜粋して紹介するが、原著の分量が多いため必ずしも主要論点を網羅しき れていない。関心のある方は原著に当たられることをお勧めする。 第1章 財務助言市場:序言 本書の編集にあたったオリビア・ミッチェルとケント・スメッターが財務助言業務の市場 に関する問題意識及び本書の概要を解説している。米国では、4600 万人以上のベビーブー マーが、リタイアする年齢に近づいている。その多くは、いつ仕事を辞めるか、いつ社会 保障給付や給付建て企業年金を請求するか、退職貯蓄と DC 勘定から幾らを引き出すか、 退職後医療をどのように管理するか、年金勘定の資産を年金化すべきか、年金化の時期は いつかについて準備ができていない。さらに、若い人々は、住宅や退職後に備えてローン を返済し、貯蓄をし、保険に入り、そしてもちろん自分のリスク選好に適合した資産運用 をする必要がある。 選択肢は多岐にわたり、圧倒されるほど複雑であり、ほとんどの人々 は、プロの財務助言者の助けを借りずに意思決定はできない。個人の財務に関する問題は 個人個人で異なり、ツールや一般的なセミナーよりも 1 対 1 の助言が好まれるが、それに は報酬がかかるし、助言が妥当かどうかの判断も難しい。 規制当局も静観はしていない。特に保険や運用商品の販売手数料に財務助言の報酬を含む 場合の利益相反が問題になっており、英国とオーストラリアは最近、販売手数料に財務助 言の報酬を含めることを法律で禁止した。 本書は、財務助言者の役割、効果測定および規制の 3 つに分けて論文を収録した。本書で は退職後医療については、ほとんど取り扱っていない。また、将来的には良く教育された 69 投資家が自身で金融商品を選択することになるのだろうが、本書は助言市場を扱い、本人 の資産選択問題については今後のテーマとしている。 第 1 部 財務助言者の役割 第 2 章 財務助言市場の実情 米国の退職給付における 401(k)と IRA の占めるウエイトの増加に伴い、財務助言の役割 は増大しており、財務助言市場が注目されている。個人が投資判断をする場合の知識不足 などの困難さを軽減し、誤りを正すために財務助言は、政策当局からも母体企業からも期 待されており、財務助言の質を高め量を増やすことが指向されている。 財務助言の範囲は様々である。投資助言に限定している者が多いが、年金購入についての 助言を含む場合もある。財務助言を提供している会社は、銀行、信託会社、投資信託会社、 投資顧問会社、証券会社、および保険会社である。会計士事務所および弁護士事務所も行 っている。財務助言業務を行っている会社の 19%が証券業務を行い、27%は保険商品を売 っている。助言のみの会社もあれば、資産を預かっている会社もある。オンラインで 401 (k)の投資助言を行うファイナンシャル・エンジン(Financial Engines)という会社も ある。 財務助言の資格は多い。認定財務プランナー(Certified Financial Planner),公認財務アナリス ト(Chartered Financial Analyst,CFA) 、公認投資カウンセラー(Chartered Investment Counselor) 、 個人財務スペシャリスト(Personal Financial Specialist)、公認財務コンサルタント(Chartered Financial Consultant)、公認保険引受人(Chartered Life Underwriter)があげられる。このほ かに、認定ファンドスペシャリスト(Certified Fund Specialist)、認定投資管理分析士 (Certified Investment Management Analyst)があり、アクチュアリー会正会員(Fellow of the Society of Actuaries)も該当する。 財務助言の報酬は、残高比例もあれば、投資商品または保険の販売手数料に含まれている ものもあり、時間当たりの報酬もあれば、顧客の年収に応じて決められるものもある。 このように財務助言は多種多様であるが、問題もある。第一に利益相反が生じていること である。投資商品や保険の販売手数料に助言業務の報酬が含まれている場合、財務助言は 顧客にとって最善のものであるとは限らないからである。第二に、 すでに述べたように様々 な資格があるが、助言を受ける者は助言についてどの水準の法的保護が受けられるかがわ かりにくい。このような問題に対する規制の枠組みは、開示義務、禁止行為を定めること、 受任者義務(fiduciary duty)を課すことによって行われるが、規制にはコストも伴う。 第 3 章 顧客へのリスクの説明 本章は、財務設計(ファイナンシャルプランニング)の中でも基本的な要素であるリスク マネジメントについて概観する。リスクマネジメントに関する財務助言者の基本的な考え 70 方(パラダイム)は、4 種類に分類できる。第一は伝統的パラダイムで現代投資理論に基 づき長期的に見れば株のリターンは債券より良いと考える。第二はライフサイクル・パラ ダイムで金融資産のみならず生涯所得も視野に入れて考える、第三は行動経済学パラダイ ム、第四は経験ある助言者パラダイムである。投資リスクマネジメント・長寿リスクマネ ジメント・剰余がある場合の戦略のそれぞれについて、4 つのパラダイムによる回答は異 なっている。 第 4 章 社会保障について、財務助言者と DC プロバイダーは顧客および加入者をどれだ け教育しているか 社会保障特に公的年金をいつ受け取るかは重要である。遅く受給開始をしたほうが 1 回あ たりの年金額が多くなるが、遅すぎると年金総額が少なくなる。独身者に比べて家族持ち は判断がさらに難しくなる。自分が死んだあとに配偶者がもらう年金のことまで考えて最 適な受給開始時期を決める必要があるからである。すなわち個人での決定というより世帯 単位での決定をする必要がある。しかし、多くの人は社会保障について詳しくないし、ま して年金請求の決定についても情報を多く持っていない。したがって財務助言者にとって 社会保障に関する助言は重要であるが、財務助言者が社会保障について十分な知識に基づ いて的確な助言をしているかというと、必ずしもそうではない。社会保障庁のウエブサイ トは様々な情報を提供しており、最適な支給開始時期を助言するメニューもある。 第 5 章 アメリカ人の退職後の生計のための資産配分の重要性 財務助言者は一般的に資産運用における資産配分の助言を重視しているが、もっと幅広く、 リタイアの年齢を遅らせること、現役の時に貯蓄を増やしておくこと、リバースモーゲー ジの活用も重要である。簡単なモデルで計算すると、リタイアを遅らせたほうが資産運用 リスクを過度に取らずに所得代替率を増やすことができる。さらにダイナミック・プログ ラミングを使用して CRRA 効用関数を用いて理想的な株式配分割合を計算した。これによ れば平均的な世帯はもっと株式比率を増やしたほうが良い。上位 1 割の世帯はすでに株式 比率が多いので、さらに株の比率を増やす必要は少ない。 第 6 章 職場での財務助言の進展 過去数年間で DB から DC への移行が進んだ関係で、従業員は自分で投資および貯蓄の判 断をせざるを得ない。しかし、貯蓄・投資・一時金原資の年金化は一定水準の財務的スキ ルが必要とされるが、多くの人々にはこれが欠けている。これを受けて多くの雇用主は財 務助言を従業員が利用可能になるようにお膳立てしてきた。個々人がばらばらに投資助言 者を利用しようとすると資産規模が小さすぎるが、企業単位でまとまればスケールメリッ トにより従業員に対する財務助言が可能になるのだ。ERISA 法上の受任者責任(fiduciary duty)が要求するところによれば、母体企業は職場での財務助言の提供者を適切に選ぶ必要 71 がある。 1980 年代および 1990 年代に職場で提供されたのは投資概念に関する一般的教育であった。 多くの企業が提供していたのは決定論的なものだった。401(k)の加入者の資産運用 は必ずしもうまくいっていない。共通の誤りは ① 雇用主の株への過度の集中 ② 後追い ③ 不適切なリスク水準の選択 ④ 貯蓄機会を利用しないこと(マッチングの活用を含む) である。 1990 年代では規制も職場助言が不十分な要因であった。なぜなら ERISA 法はレコードキ ーパーや投資顧問会社の財務助言を規制していたからである。また雇用主もリスクがある ため加入者はほったらかし状態だった。 1996 年労働省は解釈通知 96-1 を出状して、 母体企業の従業員に対する支援を奨励した。 母体の役割を明確にして業者を使うことが容易になった。インターネットの普及に伴い、 低いコストで多くの加入者に財務助言を提供できるようになった。1995 年と 1996 年に、 ベンチャーキャピタルが出資した 2 つの企業が設立された。401(k)フォーラム社(のちに mPower)およびファイナンシャル・エンジン社である。これらの会社がウエブ上で提供す る財務助言は、自分の販売する商品を推奨すること(self-dealing)は不可という ERISA 法 のルールに反しないようにできている。ファイナンシャル・エンジン社は 1996 年にウィリ アム・シャープおよびジョセフ・グルンドフェストにより設立され、金融経済学を駆使し た高度なサービスがインターネット上で安価に提供できている。報酬は資産の 50 ベーシス (0.5%)から 200 ベーシス(2%)である。 第 7 章 年金化の意思決定支援のための助言の役割 老後の安心のためには、終身年金給付があることが重要である。米国の社会保障給付は終 身年金を提供しているが、水準的には十分とは言えない。企業年金のうち給付建て制度 (DB)は伝統的に終身年金を支給してきた。これに対して IRA(個人退職勘定)および DC 制度は原則として一時金給付であり、どこかで年金に変換する(終身年金保険の購入) 必要がある。年金化のタイミング、変換すべき年金のタイプ(自分が死亡した時に配偶者 に年金を引き継ぐかどうか) 、年金をインフレ連動にするか等様々な選択肢があるし、同一 の年金においても複数の業者が提供するうちから最も年金額の多いものを選択したいもの である。また年金化を企業単位でまとめて行うことによって個々人がばらばらに行った時 よりも金額的に有利になる可能性がある。このように年金化には多くの選択肢があるため、 年金化の意思決定を支援する助言が重要となる。ちなみに英国では年金化のプロセスを支 援するために、政府系独立機関の TPAS(The Pension Advisory Service)がオンラインサー ビスを提供している。 72 第2部 財務助言の効果測定 第 8 章 財務助言者の効果測定 財務助言者が顧客の財務状況の向上に貢献しているかは 25 年前よりも重要な課題である。 なぜなら財務設計(ファイナンシャル・プランニング)における個人の責任が増すと共に、 金融市場が複雑で変動が激しくなっているからだ。しかし、この重要さにもかかわらず財 務助言者の貢献度の実証研究は少ない。単純に財務助言者に相談したか否かで分けると、 貢献度は大きくなる。例えばある調査では、財務助言者に相談した方が、富は平均して 138,934 ドル増え、株式割合は 14%多く、資産クラスの数は1~8の間で答えてもらうと 平均して 0.86 多くなった。しかし良く考えると富の大きさ・株式割合・資産クラスの数は 財務助言者への相談の他に、資産の規模、大学教育を受けているか、子供の数等にも関係 しているはずである。そこで財務助言者への相談のみならず、その他の変数も独立変数と して重回帰分析したほうが適切である。そうすると、先ほどのデータでは財務助言者の貢 献度は 138,934 ドルから 66,182 ドルに減少、株式割合の差は 14%から 6%に減少、資産ク ラスの数の差は 0.86 から 0.39 に減少した。このように分析フレームワークのデザインは影 響が大きい。今後の研究の課題としては、次の三つがあげられる。第一は財務助言者と言 っても様々である点をどうするかである。第二は調査の設計方法の工夫である。RFE (Randomized Field Experiment、乱数化されたフィールド実験)手法は有用であろう。第三 は期間をもっと長くとると貢献度は変わってくるかもしれないということだ。 第 9 章 財務助言と行動変化 この章では二つの課題を扱う。第一は個人は財務助言に反応して自らの投資行動を改善さ せるのか、そして第二は、政策当局が中立的な財務助言を容易に得られるように計らえば 個人は助言を求めそれを実行に移すだろうかというものである。調査は RAND 米国ライフ パネル(ALP)に登録された 2,224 のメンバーについて実施された。この結果、本人が求 めていないのに提供された財務助言は投資行動に一切影響がなく、財務助言を自ら求めた 者のパフォーマンスは良いことがわかった。政策当局は財務助言を義務化することを有力 視するかもしれないが、上記の調査結果によれば効果的ではない。財務助言を任意に得る ことができ、被用者の投資行動に制約をつけなければ、財務助言は受け入れられパフォー マンスの向上をもたらすだろう。 また調査によれば、財務的リテラシーは結果を改善するが、固有のモチベーションのよう な観察できない要素がパフォーマンスに深く関係している。そこで助言や支援ツールをい くら充実させても、モチベーションの有無などで大きくパフォーマンスが開く可能性があ る。したがって単なる情報伝達だけではだめで、知識を行動に変えさせるための助言や教 材が必要だ。 73 第 10 章 財務助言市場をいかに機能させるか 金融業界の規制は急速に変化している。EU の金融安定化機構(Financial Stability Board) は、金融商品に関する消費者保護のために消費者保護庁の創設を提言した。米国では金融 消費者保護局(Consumer Financial Protection Bureau)が 2011 年 7 月から活動している。英 国 で は 金 融 サ ー ビ ス 庁 ( Financial Service Authority) が 金 融 行 為 庁 (Financial Conduct Authority)に改組された。この改組の目的の一つは欠陥の多い財務助言業務の監督を強化す ることである。ここで「欠陥」とされたのは、消費者の知識の不足を埋める代わりに、消 費者の無知と未経験に付け込んでいることである。 財務助言者が、助言の質の高さを競い合う環境を作る必要があるが、そのためには情報提 供側の規制や利益相反の開示だけでは不十分であり、助言の根拠としてのアウトプットの 充実が必要である。すなわち過去のリターンの変化についての標準化された分類を使用し て、ポートフォリオのリスクとリターンの過去の状況をわかりやすく示すことである。こ れにより助言者も消費者も、個人の目標リスクとポートフォリオのリスクに一層注意を向 けるようになろう。アウトプットの透明性は、ポートフォリオを消費者の選好に適合させ るという、財務助言者に最も求められる能力を示すことになろう。 第 11 章 財務助言の効果はあるのか 個人が資産運用を誤ったことによる損失の影響を考えると、投資を含む財務の専門家の助 言を求めることは弁護士や会計士の助言を得るのと同様に重要なはずであるが、Elmerick らの研究によると米国で財務助言を活用しているのは 5 人に一人にすぎない。また、統計 (the National Longitudinal Survey of Youth)によれば財務助言を活用している人の割合は、 所得が高いほど、純資産が多いほど、学歴が高いほど、賃借人よりも自宅保有者の方が多 い。 財務助言と報酬の関係は一つの課題である。というのはコミッションベースすなわち、金 融商品の手数料に助言報酬が含まれている場合には、パッシブな資産運用を助言すること が少ない等のバイアスがかかると思われるからだ。英国では 2013 年からリテールの金融商 品の手数料に助言報酬を含めることを禁止した。オーストラリアも同様の規制をしている。 米国では 2010 年 Dodd-Frank 法の早期のバージョンには、財務助言の専門家に対して受任 者基準を適用するという案があった。これには反対意見もあるが、著者は情報の非対称性 の軽減は健全な株式市場および保険市場の発展に有用と考えるので、賛成である。 第 12 章 投資信託に投資する者は、いつ、なぜ、いかに財務助言者を使うのか。 2011 年 5 月現在で米国の世帯の 4 割以上が投資信託を保有しており、投資信託を保有す る世帯の半数近くが継続的な財務助言者を利用している。助言内容は特定の投資信託の選 択や購入に止まらず広い範囲にわたる。多くの者は相続、リタイア、転職または家族構成 74 の変化等の事象の結果として財務助言を求めるようになる。特定の目的(リタイアに備え る、教育)のための貯蓄に関する助言を求めることもある。 助言関係は複雑で、意思決定過程においてはギブアンドテイクを含む。継続的に助言関係 のある投資信託の投資家は、意思決定において 3 つに大別できる。助言者主導(38%) 、共 同作業(34%) 、投資家主導(29%) 。継続的助言関係のある投資信託の保有者は、金融資 産が比較的多くまた投信が自分の目的達成のために有用と確信している度合いが強い。財 務目的でインターネットを用いることは継続的財務助言の活用と負の相関がある。おそら く自助努力型の投資家は継続的財務助言をあまり必要としないからであろう。 第3部 財務助言の市場と規制 第 13 章 財務助言者への規制の調和 ブローカー·ディーラーおよび投資顧問は、株式・債券・投信について詳しくない投資家 に定期的に助言や提言を提供している。投資家は、全米を合わせると数兆ドルの資産を財 務助言者に委託していることになるので、投資家の未来は、財務助言者の能力に依存する と言っても過言ではない。財務助言の重要性にもかかわらず、通常の投資家はブローカー ディーラーと投資顧問の相違をほとんど知らない。1930 年代からブローカーと投資顧問は、 報酬により区別されていた。すなわちブローカーは売買手数料の中に財務助言の報酬を含 めるが、投資顧問の場合は投資顧問料を取っていた。しかしブローカーが資産ベースの報 酬を取るようになってから、この差は崩れ、今や多くのブローカーは自らを投資の顧問者 と呼んでおり、役割と責任に混乱が生じている。結果として規制当局は、ブローカーと投 資顧問の調和を図って、両者共通の基準を作るという提案に取り組むことになった。新し い統一基準を作ることに異論は少ないが、この基準によって市場の流動性を阻害すること は避けたいと規制当局は考えている。調和の議論は 1990 年代後半から起こった。SEC の 考え方は規制緩和の観点であり、投資顧問法におけるブローカー除外の規定(第 2002 条 (a)(11))を拡大解釈することであった。しかしこれは 2007 年 5 月 21 日に法廷で無効にさ れた。ドッド・フランク法の中で、議会はさらなる調査を要求し、SEC の立場は規制強化 に転じ、ブローカーに対する義務を重くするものとなる見込みである。 第 14 章 財務助言者の規制:現行システムの検証と代替案 米国における財務助言者の規制は一律ではなく、法律が分かれている。例えば投資顧問会 社は、1940 年の投資顧問法、SEC の規則および州法による。証券会社は 1934 年の証券取 引法、SEC 規則および FINRA による。保険会社の営業は連邦の規制はなく州の保険法に 従う。このようにバラバラではあるが、一応すべて規制の網がかかっている。しかし、財 務助言の重要性の増大に伴い、このような在り方でよいのかという議論はあり、例えば以 下のような意見がある。 75 ・パッチワークのような規制でなく、包括的な規制のための連邦法を定めるべき。 ・受任者義務(fiduciary duty)をブローカー、ディーラー、投資助言者に拡大すべきとい う意見がある一方で、受任者の概念があいまいであるという意見がある。 ・財務助言者の資格と基準を明確にすべき。 ・財務助言者は自主規制機関にすべて登録すべき。 76 論文募集について 本誌では、下記要領にて論文を募集いたします。 1. 応募テーマ 企業年金の制度、財政、会計、税制、投資理論、ファイナンス等に関する内容をはじめ、公的 年金、社会保障等も含めた広く年金に関る内容を対象とします。 例: ・ 人口減少・高齢社会における公私年金の役割と運営のあり方 ・ 退職給付の債務・費用の測定のあり方 ・ 企業年金の本質と今後の企業年金のあるべき姿 ・ 終身年金の効用と普及のための課題 2. 応募資格 企業年金に関心のある方ならどなたでも結構です。年齢、国籍を問いません。また、団体等共 同執筆による応募も可とします。 3. 応募方法概要 (1) 論文は、次の書式等とします。 ・ A4 判横書き 5~10 頁程度、1 頁 40 字×36 行、日本語 ・ 表やグラフは最小限 ・ 他から引用した部分や統計は出所を明示 ・ 氏名、住所、電話番号、FAX、メールアドレスを記載 (2) 未発表の論文又は既発表の論文としますが、既発表の論文の場合には、発表先の了解を予 め得てください。 (3) 提出された論文は返却しません。 (4) 日本年金数理人会調査研究委員会にて、掲載の可否を決定いたします。 4. 論文送付先 お問合せ・応募先 公益社団法人 日本年金数理人会 調査研究委員会 〒108-0014 東京都港区芝 4-1-23 三田NNビル B1 階 電 話 03-5442-0208 FAX 03-5442-0700 ホームページ http://www.jscpa.or.jp/ 電子メール mitann#[email protected] 77 ご意見・ご要望について 日本年金数理人会調査研究委員会では、会員の皆様からの本調査報への、ご意見、ご 要望を受け付けています。 調査報の内容、今後取り上げてほしいテーマなど、ぜひお寄せください。 ご意見・ご要望の送付先 公益社団法人 日本年金数理人会 調査研究委員会 〒108-0014 東京都港区芝 4-1-23 三田NNビルB1 階 電 話 03-5442-0208 FAX 03-5442-0700 ホームページ http://www.jscpa.or.jp/ 電子メール mitann#[email protected] 2015 年 1 月 発 行 発行者 公益社団法人日本年金数理人会 〒108-0014 東京都港区芝 4-1-23 三田NNビルB1 階 電 話 03-5442-0208 FAX 03-5442-0700 ホームページ http://www.jscpa.or.jp/ 電子メール mitann#[email protected] 編 集 公益社団法人日本年金数理人会 調査研究委員会 78
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