特 集 東日本大震災 このたびの東日本大震災で被災された皆さまに、謹んでお見舞い申し上げます。 被 災地の1日も早い復興をお祈り申し上げます。 当社グループでは、この未曾有の大災害に対し被災地へのガソリン・灯 油などの 石油製品の供給を最優先し、製油所のフル稼 働 、震災で停 止した油槽所の早期復旧 および日本 海側の油槽所からの緊急輸送 、SSの営 業 再 開に全力を尽くしました。 今回の特集では、これらの活動についてご報 告いたします。 被災状況の確認 石油業界の総力を結集して供給体制を整備 2011年3月11日午後2時46分、東北・三陸沖を 一方、石油精製・元売会社の団体である石油連盟 震源とするマグニチュード9.0という国内観測史上 (以下「石連」) でも11日16時に「石油連盟緊急対 最大の巨大地震が発生し、直後に津波が太平洋側 策本部」を設置し、同日夕刻より被害状況の確認を の東北から関東まで広範囲に押し寄せ、地域一帯 開始しました。 に甚大な被害をもたらしました。 被災直後は、他社の宮城、茨城、千葉、神奈川に 当社では地震発生の14分後、本社内に「対策本 ある6つの製油所が操業を停止したため、わが国 部」を設置し、社員とその家族、販売店や協力会社 の原油処理量は一時的に通常の400万バレル/日 など関係者の安否確認を行うとともに、製油所、石 から270万バレル/日に落ち込みました。被災を免 油化学工場、油槽所、支店(現・営業所)、サービス れた製油所は各社とも最大処理能力での運転を続 ステーション (以下「SS」) などの被害状況の確認 け、不足を補いました。 にあたりました。その結果、当社の4ヵ所の製油所、 被災地への燃料輸送については、太平洋側の油 2ヵ所の石油化学工場は、すべて通常運転を継続 槽所が出荷を停止していたため、被害の少なかった していることを確認。 しかしながら、石油製品の物流 日本海側の油槽所からローリーやドラム缶による陸 拠点となる油槽所では、太平洋側にある八戸、塩釜、 上輸送を行いました。タンクローリーも震災でかなり 日立、釧路の4油槽所が停電や設備被害で出荷停 失われたので、西日本などから約300台を東北地域 止状態。SSについては13日の時点で、東北支店管 に派遣しました。 内454SSのうち営業可能なSSは221ヵ所しかな いという惨憺(さんたん) たる状況でした。 また、24時間体制のオペレーションルームを石連 内に設置し、官邸から要請された緊急需要先への 直接指示をする 中野社長 燃料輸送に対応しました。供給先は、自衛隊のヘリ コプター、病院、 自治体、政府指定の緊急重点SS (東北207ヵ所、関東187ヵ所)、福島原発関連の 緊急車両など、約1,410件です (3月31日現在)。 本社対策会議 5 出光グループ CSR レポート 2011 自衛隊への緊急供給に対応 塩釜の2油槽所を元売5社で共同使用 仙台市内では、当社グループ直営の仙台一番町 SSが震災当日に、いち早く復旧しましたが、翌日か 東北地方太平洋沿岸の油槽所のほとんどが操 ら給油を求める車が殺到したことから、お客さまに 業停止に追い込まれるなか、宮城県塩釜港沿いの 定額給油と整理券による行列解消をお願いするこ 当社塩釜油槽所では、所員および協力会社の方々 ととなりました。この経験を被災地の全SSへ横展 の懸命の努力により早期復旧が実現できました。石 開し、顧客対応やツールづくりなどに役立てました。 連は同油槽所とエクソンモービルの塩釜油槽所を 1ヵ月後の4月11日には、東北地方の約90%にあ 元売5社で共同利用することを決定。国土交通省、 たる407ヵ所のSSが営業を再開しています。 経済産業省、宮城県などの関係機関に周辺道路や 港湾の整備協力を依頼しました。3月15日には周辺 地域の停電も解消し、17日から当社塩釜油槽所で、 緊急車両や病院向けに限定して、 タンクに残ってい る在庫品の出荷を再開しました。塩釜港の港内に流 被災直後の大船渡SS 入した大量の浮遊物、堆積物の除去は20日までに 終了。21日には同油槽所でタンカーからのガソリン、 灯油などの荷揚げも再開しました。復旧にご協力い ただいた関係各方面の方々に御礼申し上げます。 給油設備2基だけでローリー配送基地として “復活” した大船渡SS 被災地の1日も早い復興を願って 当社販売部では、大震災を受け5月1日付で 「東北復興支援室」を立ち上げました。同室は、前 復旧後初のタンカーを受け入れる当社塩釜油槽所 例のない大きな痛手を受けた販売店の方々に、心の ケアや営業再開の支援を行うことを当面の目的とし 全社をあげてSS営業再開を支援 ています。被災された販売店の中には、廃業を決め た直後に震災に遭遇、地域の中でSS販売店として 当社東北支店(現・北東北および南東北営業所) の存在意義を再認識され、廃業を延期した店主も 管内のSS454ヵ所のうち、3月13日時点で営業可 おられます。東北復興支援室は、復興を願う販売店 能な店舗は半数以下の221ヵ所でした。 この事態を と東北地方の皆さまを今後もできる限り応援してい 深刻に受け止め、被災したSSの営業再開を最大の きます。 使命とし、本社、各支店(現・営業所)、関係会社から 応援部隊を派遣、SS店頭の給油、交通整理を手伝 うとともに、 タンクや配管の検査、店頭オペレーショ ンの支援などを行いました。また、避難所への灯油 や救援物資の配送でも応援部隊が大きな戦力とな りました。 南東北営業所内に設置された 「東北復興支援室」 出光グループ CSR レポート 2011 6
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